(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182691
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】連結給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/355 20220101AFI20221201BHJP
【FI】
F24H1/10 301F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090388
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 尚久
(57)【要約】
【課題】連結給湯システムにおいて、給湯回路を流れる湯水の流量が大きく変化した場合であっても、適切な給湯装置の運転台数を速やかに実現することが可能な技術を提供する。
【解決手段】本明細書が開示する連結給湯システムは、給湯回路に並列に設けられた複数の給湯装置と、給湯回路を流れる湯水の流量を検出する流量検出手段と、複数の給湯装置の運転台数を決定する台数決定手段を備えている。複数の給湯装置のそれぞれは、給湯回路を流れる湯水を加熱する加熱源と、加熱源への湯水の流通を許容する状態と禁止する状態の間で切り換わる切換弁と、加熱源および切換弁の動作を制御する制御装置を備えている。台数決定手段は、所定条件が満たされる場合に、流量検出手段で検出される流量の変化速度に応じて設定される台数変化量だけ、複数の給湯装置の運転台数を変化させる決定をするように構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯回路に並列に設けられた複数の給湯装置と、
前記給湯回路を流れる湯水の流量を検出する流量検出手段と、
前記複数の給湯装置の運転台数を決定する台数決定手段を備える連結給湯システムであって、
前記複数の給湯装置のそれぞれが、
前記給湯回路を流れる湯水を加熱する加熱源と、
前記加熱源への湯水の流通を許容する状態と禁止する状態の間で切り換わる切換弁と、
前記加熱源および前記切換弁の動作を制御する制御装置を備えており、
前記台数決定手段が、所定条件が満たされる場合に、前記流量検出手段で検出される前記流量の変化速度に応じて設定される台数変化量だけ、前記複数の給湯装置の前記運転台数を変化させる決定をするように構成されている、連結給湯システム。
【請求項2】
前記所定条件が、前記流量検出手段が検出した前記流量が所定の上側閾値を上回るという第1所定条件を含んでおり、
前記台数決定手段が、前記第1所定条件が満たされる場合に、前記台数変化量だけ、前記複数の給湯装置の前記運転台数を増加させる決定をするように構成されている、請求項1の連結給湯システム。
【請求項3】
前記所定条件が、前記流量検出手段が検出した前記流量が所定の下側閾値を下回るという第2所定条件を含んでおり、
前記台数決定手段が、前記第2所定条件が満たされる場合に、前記台数変化量だけ、前記複数の給湯装置の前記運転台数を減少させる決定をするように構成されている、請求項1または2の連結給湯システム。
【請求項4】
前記台数決定手段は、前記上側閾値よりも所定流量だけ小さい値を上回ってから前記上側閾値を上回るまでの間の経過時間に基づいて、前記流量の前記変化速度を算出するように構成されている、請求項2の連結給湯システム。
【請求項5】
前記台数決定手段は、前記下側閾値よりも所定流量だけ大きい値を下回ってから前記下側閾値を下回るまでの間の経過時間に基づいて、前記流量の前記変化速度を算出するように構成されている、請求項3の連結給湯システム。
【請求項6】
前記台数決定手段は、前記流量検出手段で検出される前記流量の変化を検知してから前記所定条件が満たされるまでの間の経過時間および前記流量の変化量に基づいて、前記流量の前記変化速度を算出するように構成されている、請求項1から3の何れか一項の連結給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給湯回路に並列に設けられた複数の給湯装置と、前記複数の給湯装置の運転台数を決定する台数決定手段を備える連結給湯システムが開示されている。前記複数の給湯装置のそれぞれは、前記給湯回路を流れる湯水を加熱する加熱源と、前記加熱源を流れる湯水の流量を検出する流量検出手段と、前記加熱源への湯水の流通を許容する状態と禁止する状態の間で切り換わる切換弁と、前記加熱源および前記切換弁の動作を制御する制御装置を備えている。前記台数決定手段は、前記複数の給湯装置のそれぞれの前記流量検出手段で検出される前記流量に応じて、前記複数の給湯装置の前記運転台数を1台ずつ変化させる決定をするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の連結給湯システムでは、給湯回路を流れる湯水の流量が大きく変化した場合であっても、給湯装置の運転台数を1台ずつ変化させるため、適切な給湯装置の運転台数が実現されるまでに長時間を要する。本明細書では、給湯回路を流れる湯水の流量が大きく変化した場合であっても、適切な給湯装置の運転台数を速やかに実現することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、連結給湯システムを開示する。連結給湯システムは、給湯回路に並列に設けられた複数の給湯装置と、前記給湯回路を流れる湯水の流量を検出する流量検出手段と、前記複数の給湯装置の運転台数を決定する台数決定手段を備えていてもよい。前記複数の給湯装置のそれぞれは、前記給湯回路を流れる湯水を加熱する加熱源と、前記加熱源への湯水の流通を許容する状態と禁止する状態の間で切り換わる切換弁と、前記加熱源および前記切換弁の動作を制御する制御装置を備えていてもよい。前記台数決定手段は、所定条件が満たされる場合に、前記流量検出手段で検出される前記流量の変化速度に応じて設定される台数変化量だけ、前記複数の給湯装置の前記運転台数を変化させる決定をするように構成されていてもよい。
【0006】
上記の連結給湯システムでは、給湯装置の運転台数の決定をする際に、給湯回路を流れる湯水の流量の変化速度に応じて設定される台数変化量だけ、給湯装置の運転台数を変化させる決定をする。このような構成とすることにより、給湯回路を流れる湯水の流量が大きく変化した場合であっても、適切な給湯装置の運転台数を速やかに実現することができる。
【0007】
前記所定条件は、前記流量検出手段が検出した前記流量が所定の上側閾値を上回るという第1所定条件を含んでもよい。前記台数決定手段は、前記第1所定条件が満たされる場合に、前記台数変化量だけ、前記複数の給湯装置の前記運転台数を増加させる決定をするように構成されていてもよい。
【0008】
上記の構成では、給湯回路を流れる湯水の流量が増加して、運転中の給湯装置だけでは能力が不足すると判断される場合に、給湯装置の運転台数を増加させる決定を行うことができる。このとき、給湯回路を流れる湯水の流量が急増した場合には給湯装置の運転台数を大幅に増やす一方で、給湯回路を流れる湯水の流量が微増しただけにすぎない場合には給湯装置の運転台数を僅かに増やすことになる。したがって、給湯回路を流れる湯水の流量の変化の度合いに応じて、適切な給湯装置の運転台数を速やかに実現することができる。
【0009】
前記所定条件は、前記流量検出手段が検出した前記流量が所定の下側閾値を下回るという第2所定条件を含んでもよい。前記台数決定手段は、前記第2所定条件が満たされる場合に、前記台数変化量だけ、前記複数の給湯装置の前記運転台数を減少させる決定をするように構成されていてもよい。
【0010】
上記の構成では、給湯回路を流れる湯水の流量が減少して、給湯装置の運転台数を減らした方が給湯回路全体としてのエネルギー効率が良いと判断される場合に、給湯装置の運転台数を減少させる決定を行うことができる。このとき、給湯回路を流れる湯水の流量が急減した場合には給湯装置の運転台数を大幅に減らす一方で、給湯回路を流れる湯水の流量が微減しただけにすぎない場合には給湯装置の運転台数を僅かに減らすことになる。したがって、給湯回路を流れる湯水の流量の変化の度合いに応じて、適切な給湯装置の運転台数を速やかに実現することができる。
【0011】
前記台数決定手段は、前記上側閾値よりも所定流量だけ小さい値を上回ってから前記上側閾値を上回るまでの間の経過時間に基づいて、前記流量の前記変化速度を算出するように構成されていてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、給湯装置の運転台数を変化させる決定を行う直前における、給湯回路を流れる湯水の流量の変化速度に応じて、台数変化量を設定することができる。したがって、給湯回路を流れる湯水の流量が急変した場合であっても、適切な給湯装置の運転台数を速やかに実現することができる。
【0013】
前記台数決定手段は、前記下側閾値よりも所定流量だけ大きい値を下回ってから前記下側閾値を下回るまでの間の経過時間に基づいて、前記流量の前記変化速度を算出するように構成されていてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、給湯装置の運転台数を変化させる決定を行う直前における、給湯回路を流れる湯水の流量の変化速度に応じて、台数変化量を設定することができる。したがって、給湯回路を流れる湯水の流量が急変した場合であっても、適切な給湯装置の運転台数を速やかに実現することができる。
【0015】
前記台数決定手段は、前記流量検出手段で検出される前記流量の変化を検知してから前記所定条件が満たされるまでの間の経過時間および前記流量の変化量に基づいて、前記流量の前記変化速度を算出するように構成されていてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、湯水の流量変化が始まった直後から給湯装置の運転台数を変化させる決定を行う直前までの湯水の流量の変化速度に応じて、台数変化量を設定することができる。したがって、流量の短期的な変動の影響を受けずに、適切な給湯装置の運転台数を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例1および実施例2に係る連結給湯システムの構成を示す図である。
【
図2】実施例1および実施例2に係る給湯器1の構成を示す図である。
【
図3】実施例1に係る連結給湯システムにおいて連結ユニット2によって実行される、給湯器1の運転台数の増加処理を示すフローチャートである。
【
図4】実施例1に係る、異なる流量変化速度で変化する湯水の総流量に対する傾斜測定期間をそれぞれ示す図である。
【
図5】実施例1に係る連結給湯システムにおいて連結ユニット2によって実行される、給湯器1の運転台数の減少処理を示すフローチャートである。
【
図6】実施例2に係る連結給湯システムにおいて連結ユニット2によって実行される、給湯器1の運転台数の増加処理を示すフローチャートである。
【
図7】実施例2に係る、異なる流量変化速度で変化する湯水の総流量に対する傾斜測定期間をそれぞれ示す図である。
【
図8】実施例2に係る連結給湯システムにおいて連結ユニット2によって実行される、給湯器1の運転台数の減少処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例1)
図1に示すように、本実施例の連結給湯システムは、複数の給湯器1と、連結ユニット2と、給水管3aと、給湯管3bと、複数の蛇口5を備えている。
【0019】
各給湯器1は、給水管3aから水が供給され、給湯管3bへ湯を送出するように、給水管3aおよび給湯管3bに対し並列に接続されている。給湯管3bには、各蛇口5が接続され、各蛇口5は、給湯管3bから供給された湯を外部に送出するように構成されている。
【0020】
連結ユニット2は、CPUやメモリ等によって構成される。連結ユニット2は、各給湯器1の電装ユニット9(詳細は後述する)と通信可能であり、給湯目標温度を各給湯器1に送信する。また、連結ユニット2は、各給湯器1の電装ユニット9から送信される給水情報および流量情報に基づいて、給湯器1の運転台数を決定し、運転開始信号または運転停止信号を各給湯器1に送信する。なお、連結ユニット2は、すべての給湯器1が運転を停止することがないように、給水可能状態にある給湯器1の台数が1台である場合には、運転停止信号を送信しないように構成される。連結ユニット2は、タイマを内蔵しており、タイマによって時間を計測し、計測した時間を記録することができる。
【0021】
図2に示すように、各給湯器1は、給水管3aと給湯管3bとを通水可能に接続する通水管3cと、通水管3cへの水の供給を許容する開状態と、通水管3cへの水の供給を遮断する閉状態との間で切り換わる切換弁7と、通水管3cを流れる水の流量を検出する流量センサ6と、通水管3cに設けられた熱交換器10と、熱交換器10を流れる水を加熱するガスバーナ11と、熱交換器10で加熱された湯の温度を検出する温度センサ8と、ガスバーナ11と切換弁7の動作を制御する機能を有する電装ユニット9を備えている。
【0022】
電装ユニット9は、CPUやメモリ等によって構成される。電装ユニット9は、温度センサ8により検出された湯の温度が、連結ユニット2から指示された給湯目標温度となるように、ガスバーナ11の火力を制御する。電装ユニット9は、連結ユニット2と通信可能であって、切換弁7の作動状態を示す給水情報と、流量センサ6により検出された通水管3cを流れる水の流量を示す流量情報を、連結ユニット2に送信する。給水情報については、切換弁7により通水管3cへの水の供給が可能であることを表す「給水可能状態」と、切換弁7により通水管3cへの水の供給が遮断されていることを表す「給水遮断状態」とのいずれかで示される。
【0023】
連結ユニット2は、各給湯器1の電装ユニット9から送信された流量情報に基づいて、各給湯器1内の湯水の流量の総和(総流量)を算出する。なお、総流量は、給水管3aおよび給湯管3bを流れる湯水の流量に等しい。
【0024】
次に、
図3を用いて、本実施例に係る連結給湯システムにおいて実行される、給湯器1の運転台数の増加処理について説明する。
【0025】
ステップ100において、連結ユニット2は、総流量が予め設定された傾斜測定開始流量Q1を上回るか否か判定する。総流量が傾斜測定開始流量Q1を上回るか否かの判定が否定された場合には、処理はステップ100に戻る。総流量が傾斜測定開始流量Q1を上回るか否かの判定が肯定された場合には、ステップ101に移行する。なお、傾斜測定開始流量Q1は、後述する傾斜測定終了流量Q2よりも小さい。例えば、傾斜測定開始流量Q1は、傾斜測定終了流量Q2よりも所定流量(例えば10L/min)だけ小さい流量である。
【0026】
ステップ101において、連結ユニット2は、連結ユニット2に内蔵されたタイマの時間tについて、t=0として、時間計測を開始し、ステップ102に移行する。
【0027】
ステップ102において、連結ユニット2は、総流量が予め設定された傾斜測定終了流量Q2を上回るか否か判定する。総流量が傾斜測定終了流量Q2を上回るか否かの判定が否定された場合には、処理はステップ102に戻る。総流量が傾斜測定終了流量Q2を上回るか否かの判定が肯定された場合には、ステップ103に移行する。なお、傾斜測定終了流量Q2は、例えば、後述する「中」と「大」の境界流量よりも2L/minだけ小さい流量に、給水可能状態にある給湯器1の台数を乗じたものである。
【0028】
ステップ103において、連結ユニット2は、連結ユニット2に内蔵されたタイマにおける時間計測を停止し、その時間t=T1を記録し、ステップ104に移行する。
【0029】
ステップ104において、連結ユニット2は、給湯器1の運転台数に係る増加台数の仮決定を行う。具体的には、連結ユニット2は、給水可能状態にある給湯器1のそれぞれの流量に基づいて、給湯器1の増加台数を仮決定する。本実施例においては、連結ユニット2は、給水可能状態にある給湯器1のそれぞれの流量の値に基づいて、各給湯器1の流量を、予め設定された「大」、「中」、「小」の段階のいずれかに分類する。例えば、連結ユニット2は、ある給湯器1の流量が14L/min以上の場合に、その給湯器1の流量を「大」に分類し、ある給湯器1の流量が6L/min以上14L/min未満の場合に、その給湯器1の流量を「中」に分類し、ある給湯器1の流量が6L/min以下の場合に、その給湯器1の流量を「小」に分類する。そして、連結ユニット2は、給水可能状態にある給湯器1のうち、流量が「大」に分類される給湯器1の台数と、流量が「小」に分類される給湯器1の台数との差を出力する。連結ユニット2は、この差が3以上である場合には、給湯器1の増加台数を3台と仮決定し、この差が2である場合には、給湯器1の増加台数を2台と仮決定し、この差が1である場合には、給湯器1の増加台数を1台と仮決定する。
【0030】
ステップ105aにおいて、連結ユニット2は、傾斜測定開始から傾斜測定終了までの経過時間T1が、流量変化速度判定指標n1未満であるか否か判定する。経過時間T1が流量変化速度判定指標n1未満であるか否かの判定が肯定された場合には、ステップ106aに移行する。
【0031】
ステップ106aにおいて、連結ユニット2は、ステップ104において仮決定された給湯器1の増加台数を1台増加させる補正を行い、給湯器1の増加台数を確定する。
【0032】
ステップ105aにおいて、経過時間T1が流量変化速度判定指標n1未満であるか否かの判定が否定された場合には、ステップ105bに移行する。ステップ105bにおいて、連結ユニット2は、経過時間T1が流量変化速度判定指標n1以上かつ流量変化速度判定指標n2未満であるか否か判定する。経過時間T1が流量変化速度判定指標n1以上かつ流量変化速度判定指標n2未満であるか否かの判定が肯定された場合には、ステップ106bに移行する。なお、流量変化速度判定指標n2の値は、流量変化速度判定指標n1の値より大きい値である。
【0033】
ステップ106bにおいて、連結ユニット2は、ステップ104において仮決定された給湯器1の増加台数について補正を行うことなく、給湯器1の増加台数を確定する。
【0034】
ステップ105bにおいて、経過時間T1が流量変化速度判定指標n1以上かつ流量変化速度判定指標n2未満であるか否かの判定が否定された場合には、ステップ105cに移行する。ステップ105cにおいて、連結ユニット2は、経過時間T1が流量変化速度判定指標n2以上であると判定し、ステップ106cに移行する。
【0035】
ステップ106cにおいて、連結ユニット2は、ステップ104において仮決定された給湯器1の増加台数を1台減少させる補正を行い、給湯器1の増加台数を確定する。
【0036】
ステップ106a、ステップ106b、ステップ106cの後、処理はステップ107に移行する。ステップ107において、連結ユニット2は、確定された給湯器1の増加台数分だけ、給水遮断状態にある給湯器1の電装ユニット9に対して、切換弁7を開状態にする、運転開始信号を送信する。
【0037】
図4に示すように、総流量の流量変化速度が大きい場合(図の実線参照)には、傾斜測定開始流量Q1を上回ってから傾斜測定終了流量Q2を上回るまでの経過時間T11は短い時間となる。このような場合には、総流量が急増しているので、給湯器1の運転台数を大幅に増やすことで、適切な給湯器1の運転台数を実現することができる。これに対して、総流量の流量変化速度が小さい場合(図の破線参照)には、傾斜測定開始流量Q1を上回ってから傾斜測定終了流量Q2を上回るまでの経過時間T12は長い時間となる。このような場合には、総流量が微増しただけにすぎないので、給湯器1の運転台数を僅かに増やすことで、適切な給湯器1の運転台数を実現することができる。
図3に示す処理によれば、ステップ105a、105b、105c、106a、106b、106cの処理において、傾斜測定開始流量Q1を上回ってから傾斜測定終了流量Q2を上回るまでの経過時間T1が短い場合(流量変化速度判定指標n1未満の場合)には、給湯器1の増加台数を多くし、経過時間T1が長い場合(流量変化速度判定指標n2以上の場合)には、給湯器1の増加台数を少なくすることで、適切な給湯器1の運転台数を速やかに実現することができる。
【0038】
次に、
図5を用いて、本実施例に係る連結給湯システムにおいて実行される、給湯器1の運転台数の減少処理について説明する。
【0039】
ステップ150において、連結ユニット2は、総流量が予め設定された傾斜測定開始流量Q3を下回るか否か判定する。総流量が傾斜測定開始流量Q3を下回るか否かの判定が否定された場合には、処理はステップ150に戻る。総流量が傾斜測定開始流量Q3を下回るか否かの判定が肯定された場合には、ステップ151に移行する。なお、傾斜測定開始流量Q3は、傾斜測定開始流量Q1よりも小さく、後述する傾斜測定終了流量Q4よりも大きい。例えば、傾斜測定開始流量Q3は、傾斜測定終了流量Q4よりも所定流量(例えば10L/min)だけ大きい流量である。
【0040】
ステップ151において、連結ユニット2は、連結ユニット2に内蔵されたタイマの時間tについて、t=0として、時間計測を開始し、ステップ152に移行する。
【0041】
ステップ152において、連結ユニット2は、総流量が予め設定された傾斜測定終了流量Q4を下回るか否か判定する。総流量が傾斜測定終了流量Q4を下回るか否かの判定が否定された場合には、処理はステップ152に戻る。総流量が傾斜測定終了流量Q4を下回るか否かの判定が肯定された場合には、ステップ153に移行する。なお、傾斜測定終了流量Q4は、例えば、「小」と「中」の境界流量よりも2L/minだけ大きい流量に、給水可能状態にある給湯器1の台数を乗じたものである。
【0042】
ステップ153において、連結ユニット2は、連結ユニット2に内蔵されたタイマにおける時間計測を停止し、その時間t=T10を記録し、ステップ154に移行する。
【0043】
ステップ154において、連結ユニット2は、給湯器1の運転台数に係る減少台数の仮決定を行う。具体的には、連結ユニット2は、給水可能状態にある給湯器1のそれぞれの流量に基づいて、給湯器1の減少台数を仮決定する。本実施例においても、連結ユニット2は、給水可能状態にある給湯器1のうち、流量が「小」に分類される給湯器1の台数と、流量が「大」に分類される給湯器1の台数との差を出力する。連結ユニット2は、この差が3以上である場合には、給湯器1の減少台数を3台と仮決定し、この差が2である場合には、給湯器1の減少台数を2台と仮決定し、この差が1である場合には、給湯器1の減少台数を1台と仮決定する。
【0044】
ステップ155aにおいて、連結ユニット2は、傾斜測定開始から傾斜測定終了までの経過時間T10が、流量変化速度判定指標n3未満であるか否か判定する。経過時間T10が流量変化速度判定指標n3未満であるか否かの判定が肯定された場合には、ステップ156aに移行する。
【0045】
ステップ156aにおいて、連結ユニット2は、ステップ154において仮決定された給湯器1の減少台数を1台増加させる補正を行い、給湯器1の減少台数を確定する。
【0046】
ステップ155aにおいて、経過時間T10が流量変化速度判定指標n3未満であるか否かの判定が否定された場合には、ステップ155bに移行する。ステップ155bにおいて、連結ユニット2は、経過時間T10が流量変化速度判定指標n3以上かつ流量変化速度判定指標n4未満であるか否か判定する。経過時間T10が流量変化速度判定指標n3以上かつ流量変化速度判定指標n4未満であるか否かの判定が肯定された場合には、ステップ156bに移行する。なお、流量変化速度判定指標n4の値は、流量変化速度判定指標n3の値より大きい値である。
【0047】
ステップ156bにおいて、連結ユニット2は、ステップ154において仮決定された給湯器1の減少台数について補正を行うことなく、給湯器1の減少台数を確定する。
【0048】
ステップ155bにおいて、経過時間T10が流量変化速度判定指標n3以上かつ流量変化速度判定指標n4未満であるか否かの判定が否定された場合には、ステップ155cに移行する。ステップ155cにおいて、連結ユニット2は、経過時間T10が流量変化速度判定指標n4以上であると判定し、ステップ156cに移行する。
【0049】
ステップ156cにおいて、連結ユニット2は、ステップ154において仮決定された給湯器1の減少台数を1台減少させる補正を行い、給湯器1の減少台数を確定する。
【0050】
ステップ156a、ステップ156b、ステップ156cの後、処理はステップ157に移行する。ステップ157において、連結ユニット2は、確定された給湯器1の減少台数分だけ、給水可能状態にある給湯器1の電装ユニット9に対して、切換弁7を閉状態にする、運転停止信号を送信する。
【0051】
図5に示す処理によれば、ステップ155a、155b、155c、156a、156b、156cの処理において、傾斜測定開始流量Q3を下回ってから傾斜測定終了流量Q4を下回るまでの経過時間T10が短い場合(流量変化速度判定指標n3未満の場合)には、給湯器1の減少台数を多くし、経過時間T10が長い場合(流量変化速度判定指標n4以上の場合)には、給湯器1の減少台数を少なくすることで、適切な給湯器1の運転台数を速やかに実現することができる。
【0052】
(実施例2)
本実施例に係る連結給湯システムは、
図1および
図2に示す、実施例1に係る連結給湯システムと同様の構成を備えている。
【0053】
次に、
図6を用いて、本実施例に係る連結給湯システムにおいて実行される給湯器1の運転台数の増加処理について説明する。
【0054】
ステップ200において、連結ユニット2は、総流量において、流量変化が検知されるか否か判定する。本実施例に係る連結給湯システムにおいて実行される給湯器1の運転台数の増加処理においては、連結ユニット2は、総流量の立ち上がりが開始された(総流量が定常状態から過渡的に増加する状態に移行した)か否かを判定する。流量変化が検知されるか否かの判定が否定された場合には、ステップ200に戻る。流量変化が検知されるか否かの判定が肯定された場合には、ステップ201に移行する。なお、ここでいう定常状態とは、例えば、ごく短期間の直後における総流量と直前における総流量との差、およびごく短期間の直前における総流量と直後における総流量との差が所定の閾値を上回らない状態が、一定期間継続される状態である。すなわち、連結ユニット2は、上記短期間の直後における総流量と直前における総流量との差が所定の閾値を上回るか否かを判定することによって、総流量の立ち上がりが開始されたか否かを判定する。所定の閾値は、例えば、上記短期間の直前における総流量の10%の値である。
【0055】
ステップ201において、連結ユニット2は、連結ユニット2に内蔵されたタイマの時間tについて、t=0として、時間計測を開始し、ステップ202に移行する。
【0056】
ステップ202において、連結ユニット2は、t=0のときの総流量(立ち上がり開始流量Q21)を記録し、ステップ203に移行する。
【0057】
ステップ203において、連結ユニット2は、総流量が予め設定された傾斜測定終了流量Q22を上回るか否か判定する。総流量が傾斜測定終了流量Q22を上回るか否かの判定が否定された場合には、ステップ203に戻る。総流量が傾斜測定終了流量Q22を上回るか否かの判定が肯定された場合には、ステップ204に移行する。なお、傾斜測定終了流量Q22は、例えば、後述する「中」と「大」の境界流量よりも2L/minだけ小さい流量に、給水可能状態にある給湯器1の台数を乗じたものである。
【0058】
ステップ204において、連結ユニット2は、連結ユニット2に内蔵されたタイマにおける時間計測を停止し、その時間t=T2を記録し、ステップ205に移行する。
【0059】
ステップ205において、連結ユニット2は、給湯器1の運転台数に係る増加台数の仮決定を行う。連結ユニット2は、実施例1と同様にして、給湯器1の運転台数に係る増加台数の仮決定を行う(
図3のステップ104参照)。
【0060】
ステップ206において、連結ユニット2は、ステップ202において記録した立ち上がり開始流量Q21と、傾斜測定終了流量Q22と、ステップ204において記録した、立ち上がり開始から傾斜測定終了までの経過時間T2より、総流量の流量変化速度Xを算出する。連結ユニット2は、具体的には、総流量の流量変化速度Xを、X=(Q22-Q21)/T2として算出する。
【0061】
ステップ207aにおいて、連結ユニット2は、ステップ206で得られた総流量の流量変化速度Xが流量変化速度判定指標n21未満であるか否か判定する。総流量の流量変化速度Xが流量変化速度判定指標n21未満であるか否かの判定が肯定された場合には、ステップ208aに移行する。
【0062】
ステップ208aにおいて、連結ユニット2は、ステップ205において仮決定された給湯器1の増加台数を1台減少させる補正を行い、給湯器1の増加台数を確定する。
【0063】
ステップ207aにおいて、総流量の流量変化速度Xが流量変化速度判定指標n21未満であるか否かの判定が否定された場合には、ステップ207bに移行する。ステップ207bにおいて、連結ユニット2は、総流量の流量変化速度Xが流量変化速度判定指標n21以上かつ流量変化速度判定指標n22未満であるか否か判定する。総流量の流量変化速度Xが流量変化速度判定指標n21以上かつ流量変化速度判定指標n22未満であるか否かの判定が肯定された場合には、ステップ208bに移行する。なお、流量変化速度判定指標n22の値は、流量変化速度判定指標n21より大きい値である。
【0064】
ステップ208bにおいては、連結ユニット2は、ステップ205において仮決定された給湯器1の増加台数について補正を行うことなく、給湯器1の増加台数を確定する。
【0065】
ステップ207bにおいて、総流量の流量変化速度Xが流量変化速度判定指標n21以上かつ流量変化速度判定指標n22未満であるか否かの判定が否定された場合には、ステップ207cに移行する。ステップ207cにおいて、連結ユニット2は、総流量の流量変化速度Xが流量変化速度判定指標n22以上であると判定し、ステップ208cに移行する。
【0066】
ステップ208cにおいては、連結ユニット2は、ステップ205において仮決定された給湯器1の増加台数を1台増加させる補正を行い、給湯器1の増加台数を確定する。
【0067】
ステップ208a、ステップ208b、ステップ208cの後、処理はステップ209に移行する。ステップ209において、連結ユニット2は、確定された給湯器1の増加台数分だけ、給水遮断状態にある給湯器1の電装ユニット9に対して、切換弁7を開状態にする、運転開始信号を送信する。
【0068】
図7に示すように、総流量の流量変化速度Xが大きい場合(図の実線参照)には、総流量の立ち上がりが開始されてから傾斜測定終了流量Q22を上回るまでの経過時間T21は短い時間となる。このような場合には、総流量が、定常状態から急増しているので、給湯器1の運転台数を大幅に増やすことで、適切な給湯器1の運転台数を実現することができる。これに対して、総流量の流量変化速度Xが小さい場合(図の破線参照)には、総流量の立ち上がりが開始されてから傾斜測定終了流量Q22を上回るまでの経過時間T22は長い時間となる。このような場合には、総流量が、定常状態から微増しただけにすぎないので、給湯器1の運転台数を僅かに増やすことで、適切な給湯器1の運転台数を実現することができる。
図6に示す処理によれば、ステップ207a、207b、207c、208a、208b、208cの処理において、総流量の流量変化速度Xが小さい場合(流量変化速度判定指標n21未満の場合)には、給湯器1の増加台数を少なくし、総流量の流量変化速度Xが大きい場合(流量変化速度判定指標n22以上の場合)には、給湯器1の増加台数を多くすることで、適切な給湯器1の運転台数を速やかに実現することができる。
【0069】
次に、
図8を用いて、本実施例に係る連結給湯システムにおいて実行される給湯器1の運転台数の減少処理について説明する。
【0070】
ステップ250において、連結ユニット2は、総流量において、流量変化が検知されるか否か判定する。本実施例に係る連結給湯システムにおいて実行される給湯器1の運転台数の減少処理においては、連結ユニット2は、総流量の立ち下がりが開始された(総流量が定常状態から過渡的に減少する状態に移行した)か否かを判定する。流量変化が検知されるか否かの判定が否定された場合には、ステップ250に戻る。流量変化が検知されるか否かの判定が肯定された場合には、ステップ251に移行する。定常状態とは、例えば、ごく短期間の直後における総流量と直前における総流量との差、およびごく短期間の直前における総流量と直後における総流量との差が所定の閾値を上回らない状態が、一定期間継続される状態である。すなわち、連結ユニット2は、上記短期間の直前における総流量と直後における総流量との差が所定の閾値を上回るか否かを判定することによって、総流量の立ち下がりが開始されたか否かを判定する。所定の閾値は、例えば、上記短期間の直前における総流量の10%の値である。
【0071】
ステップ251において、連結ユニット2は、連結ユニット2に内蔵されたタイマの時間tについて、t=0として、時間計測を開始し、ステップ252に移行する。
【0072】
ステップ252において、連結ユニット2は、t=0のときの総流量(立ち下がり開始流量Q23)を記録し、ステップ253に移行する。
【0073】
ステップ253において、連結ユニット2は、総流量が予め設定された傾斜測定終了流量Q24を下回るか否か判定する。総流量が傾斜測定終了流量Q24を下回るか否かの判定が否定された場合には、ステップ253に戻る。総流量が傾斜測定終了流量Q24を下回るか否かの判定が肯定された場合には、ステップ254に移行する。なお、傾斜測定終了流量Q24は、例えば、「小」と「中」の境界流量よりも2L/minだけ大きい流量に、給水可能状態にある給湯器1の台数を乗じたものである。
【0074】
ステップ254において、連結ユニット2は、連結ユニット2に内蔵されたタイマにおける時間計測を停止し、その時間t=T20を記録し、ステップ255に移行する。
【0075】
ステップ255において、連結ユニット2は、給湯器1の運転台数に係る減少台数の仮決定を行う。連結ユニット2は、実施例1と同様にして、給湯器1の運転台数に係る減少台数の仮決定を行う(
図5のステップ154参照)。
【0076】
ステップ256において、連結ユニット2は、ステップ252において記録した立ち下がり開始流量Q23と、傾斜測定終了流量Q24と、ステップ254において記録した、立ち下がり開始から傾斜測定終了までの経過時間T20より、総流量の流量変化速度X0を算出する。連結ユニット2は、具体的には、総流量の流量変化速度X0を、X0=(Q23-Q24)/T20として算出する。
【0077】
ステップ257aにおいて、連結ユニット2は、ステップ256で得られた総流量の流量変化速度X0が流量変化速度判定指標n23未満であるか否か判定する。総流量の流量変化速度X0が流量変化速度判定指標n23未満であるか否かの判定が肯定された場合には、ステップ258aに移行する。
【0078】
ステップ258aにおいて、連結ユニット2は、ステップ255において仮決定された給湯器1の減少台数を1台減少させる補正を行い、給湯器1の減少台数を確定する。
【0079】
ステップ257aにおいて、総流量の流量変化速度X0が流量変化速度判定指標n23未満であるか否かの判定が否定された場合には、ステップ257bに移行する。ステップ257bにおいて、連結ユニット2は、総流量の流量変化速度X0が流量変化速度判定指標n23以上かつ流量変化速度判定指標n24未満であるか否か判定する。総流量の流量変化速度X0が流量変化速度判定指標n23以上かつ流量変化速度判定指標n24未満であるか否かの判定が肯定された場合には、ステップ258bに移行する。なお、流量変化速度判定指標n24の値は、流量変化速度判定指標n23より大きい値である。
【0080】
ステップ258bにおいては、連結ユニット2は、ステップ255において仮決定された給湯器1の減少台数について補正を行うことなく、給湯器1の減少台数を確定する。
【0081】
ステップ257bにおいて、総流量の流量変化速度X0が流量変化速度判定指標n23以上かつ流量変化速度判定指標n24未満であるか否かの判定が否定された場合には、ステップ257cに移行する。ステップ257cにおいて、連結ユニット2は、総流量の流量変化速度X0が流量変化速度判定指標n24以上であると判定し、ステップ258cに移行する。
【0082】
ステップ258cにおいては、連結ユニット2は、ステップ255において仮決定された給湯器1の減少台数を1台増加させる補正を行い、給湯器1の減少台数を確定する。
【0083】
ステップ258a、ステップ258b、ステップ258cの後、処理はステップ259に移行する。ステップ259において、連結ユニット2は、確定された給湯器1の減少台数分だけ、給水可能状態にある給湯器1の電装ユニット9に対して、切換弁7を閉状態にする、運転停止信号を送信する。
【0084】
図8に示す処理によれば、ステップ257a、257b、257c、258a、258b、258cの処理において、総流量の流量変化速度X0が小さい場合(流量変化速度判定指標n23未満の場合)には、給湯器1の減少台数を少なくし、総流量の流量変化速度X0が大きい場合(流量変化速度判定指標n24以上の場合)には、給湯器1の減少台数を多くすることで、適切な給湯器1の運転台数を速やかに実現することができる。
【0085】
(変形例)
傾斜測定開始流量Q1、傾斜測定終了流量Q2、傾斜測定開始流量Q3、傾斜測定終了流量Q4、傾斜測定終了流量Q22、傾斜測定終了流量Q24の値は、適宜変更し得る。
【0086】
流量変化速度判定指標n1、流量変化速度判定指標n2、流量変化速度判定指標n3、流量変化速度判定指標n4、流量変化速度判定指標n21、流量変化速度判定指標n22、流量変化速度判定指標n23、流量変化速度判定指標n24の値は、適宜変更し得る。
【0087】
「大」、「中」、「小」の流量範囲は、適宜変更し得る。
【0088】
給水管3aまたは給湯管3bは、流量センサを備えていてもよく、連結ユニット2は、この流量センサで検出された流量を総流量とするものであってもよい。
【0089】
以上のように、一またはそれ以上の実施形態において、連結給湯システムは、給水管3aおよび給湯管3bに対し並列に設けられた複数の給湯器1と、給水管3aおよび給湯管3bを流れる湯水の総流量を検出する各給湯器1における流量センサ6および連結ユニット2(または、給水管3aもしくは給湯管3bが備える流量センサ)と、複数の給湯器1の運転台数を決定する連結ユニット2を備える連結給湯システムであって、複数の給湯器1のそれぞれが、給水管3aおよび給湯管3bを流れる水を加熱するガスバーナ11と、ガスバーナ11への水の流通を許容する開状態と禁止する閉状態の間で切り換わる切換弁7と、ガスバーナ11および切換弁7の動作を制御する電装ユニット9を備えており、連結ユニット2が、所定条件が満たされる場合に、給水管3aおよび給湯管3bを流れる湯水の総流量の流量変化速度に応じて設定される台数変化量だけ、複数の給湯器1の運転台数を変化させる決定をするように構成されている。
【0090】
上記の連結給湯システムでは、給湯器1の運転台数の決定をする際に、総流量の流量変化速度に応じて設定される台数変化量だけ、給湯器1の運転台数を変化させる決定をすることにより、総流量が大きく変化した場合であっても、適切な給湯器1の運転台数を速やかに実現することができる。
【0091】
一またはそれ以上の実施形態において、所定条件は、各給湯器1における流量センサ6および連結ユニット2(または、給水管3aもしくは給湯管3bが備える流量センサ)が検出した総流量が傾斜測定終了流量Q2(または傾斜測定終了流量Q22)を上回るという条件を含んでおり、連結ユニット2は、総流量が傾斜測定終了流量Q2(または傾斜測定終了流量Q22)を上回る場合に、複数の給湯器1の運転台数を増加させる決定をするように構成されている。
【0092】
上記の構成では、総流量が増加して、運転中の給湯器1だけでは能力が不足すると判断される場合に、給湯器1の運転台数を増加させる決定を行うことができる。このとき、総流量が急増した場合には給湯器1の運転台数を大幅に増やす一方で、総流量が微増しただけにすぎない場合には給湯器1の運転台数を僅かに増やすことになる。したがって、総流量の変化の度合いに応じて、適切な給湯器1の運転台数を速やかに実現することができる。
【0093】
一またはそれ以上の実施形態において、所定条件は、各給湯器1における流量センサ6および連結ユニット2(または、給水管3aもしくは給湯管3bが備える流量センサ)が検出した総流量が傾斜測定終了流量Q4(傾斜測定終了流量Q24)を下回るという条件を含んでおり、連結ユニット2は、総流量が傾斜測定終了流量Q4(傾斜測定終了流量Q24)を下回る場合に、複数の給湯器1の運転台数を減少させる決定をするように構成されている。
【0094】
上記の構成では、総流量が減少して、給湯器1の運転台数を減らした方が給湯回路全体としてのエネルギー効率が良いと判断される場合に、給湯器1の運転台数を減少させる決定を行うことができる。このとき、総流量が急減した場合には給湯器1の運転台数を大幅に減らす一方で、総流量が微減しただけにすぎない場合には給湯器1の運転台数を僅かに減らすことになる。したがって、総流量の変化の度合いに応じて、適切な給湯器1の運転台数を速やかに実現することができる。
【0095】
一またはそれ以上の実施形態において、連結ユニット2は、傾斜測定開始流量Q1を上回ってから傾斜測定終了流量Q2を上回るまでの間の経過時間T1に基づいて、総流量の流量変化速度を算出するように構成されている。
【0096】
上記の構成によれば、給湯器1の運転台数を変化させる決定を行う直前における、総流量の流量変化速度に応じて、台数変化量を設定することができる。したがって、総流量が急変した場合であっても、適切な給湯器1の運転台数を速やかに実現することができる。
【0097】
一またはそれ以上の実施形態において、連結ユニット2は、傾斜測定開始流量Q3を下回ってから傾斜測定終了流量Q4を下回るまでの間の経過時間T10に基づいて、総流量の流量変化速度を算出するように構成されている。
【0098】
上記の構成によれば、給湯器1の運転台数を変化させる決定を行う直前における、総流量の流量変化速度に応じて、台数変化量を設定することができる。したがって、総流量が急変した場合であっても、適切な給湯器1の運転台数を速やかに実現することができる。
【0099】
一またはそれ以上の実施形態において、連結ユニット2は、各給湯器1における流量センサ6および連結ユニット2(または、給水管3aもしくは給湯管3bが備える流量センサ)で検出される総流量の変化を検知してから総流量が傾斜測定終了流量Q22を上回る(または傾斜測定終了流量Q24を下回る)までの間の経過時間T2(またはT20)および傾斜測定終了流量Q22(または傾斜測定終了流量Q24)と立ち上がり開始流量Q21(または立ち下がり開始流量Q23)との差に基づいて、総流量の流量変化速度X(またはX0)を算出するように構成されている。
【0100】
上記の構成によれば、総流量の流量変化が始まった直後から給湯器1の運転台数を変化させる決定を行う直前までの総流量の流量変化速度X(またはX0)に応じて、台数変化量を設定することができる。したがって、流量の短期的な変動の影響を受けずに、適切な給湯器1の運転台数を実現することができる。
【0101】
以上、実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0102】
1 :給湯器
2 :連結ユニット
3a :給水管
3b :給湯管
3c :通水管
5 :蛇口
6 :流量検出手段
7 :切換弁
8 :温度センサ
9 :電装ユニット
10 :熱交換器
11 :ガスバーナ
Q1 :傾斜測定開始流量
Q2 :傾斜測定終了流量
Q21 :立ち上がり開始流量
Q22 :傾斜測定終了流量
Q23 :立ち下がり開始流量
Q24 :傾斜測定終了流量
Q3 :傾斜測定開始流量
Q4 :傾斜測定終了流量
X :総流量の流量変化速度
X0 :総流量の流量変化速度
n1 :流量変化速度判定指標
n2 :流量変化速度判定指標
n3 :流量変化速度判定指標
n4 :流量変化速度判定指標
n21 :流量変化速度判定指標
n22 :流量変化速度判定指標
n23 :流量変化速度判定指標
n24 :流量変化速度判定指標