IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ナビタイムジャパンの特許一覧

特開2022-182718情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182718
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20221201BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20221201BHJP
【FI】
G06Q50/30
G06Q10/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090425
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】500168811
【氏名又は名称】株式会社ナビタイムジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 政志
(72)【発明者】
【氏名】高田 三輝
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA03
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】デマンド交通において相乗りをしやすい環境を構築できる情報処理システム。
【解決手段】情報処理システムは、停留地点間を予約に応じて走行するデマンド交通の予約情報を取得する予約情報取得手段と、前記予約情報に基づいて路線ごとに予約可能なデマンド交通の出発時刻をリストにした仮想時刻表を生成する時刻表生成手段と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
停留地点間を予約に応じて走行するデマンド交通の予約情報を取得する予約情報取得手段と、
前記予約情報に基づいて路線ごとに予約可能なデマンド交通の出発時刻をリストにした仮想時刻表を生成する仮想時刻表生成手段と、
を備えた情報処理システム。
【請求項2】
前記仮想時刻表生成手段は、前記仮想時刻表を生成する際に、前記予約情報に基づいて路線ごとに、予約が入っているもののまだ空席があるデマンド交通の出発時刻をリストにし、前後の出発時刻の間隔が予め定められた時間間隔より大きい場合には、当該前後の出発時刻の間に、予約が入っていないデマンド交通の配車可能時刻を挿入する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記仮想時刻表生成手段は、予約が入っていないデマンド交通の配車可能時刻を、前記前後の出発時刻に対して等間隔となるように挿入する、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記仮想時刻表生成手段は、前記予約情報取得手段が新たな予約情報を取得すると、当該新たな予約情報に基づいて前記仮想時刻表を再生成する、請求項1~3のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記仮想時刻表生成手段は、前記予約情報取得手段がまだ予約情報を取得していない場合には、初期設定に基づいて予約が入っていないデマンド交通の配車可能時刻をリストにした仮想時刻表を生成する、請求項1~4のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記仮想時刻表生成手段は、前記デマンド交通が複数台であることを考慮して、前記仮想時刻表を生成する、請求項1~5のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項7】
経路探索条件を取得する経路探索条件取得手段と、
前記経路探索条件を満たす経路を前記仮想時刻表を参照して探索する経路探索手段と、
探索結果の経路を出力する経路出力制御手段と、
探索結果の経路がデマンド交通を利用する路線を含んでいる場合に、当該路線についての前記仮想時刻表を出力する仮想時刻表出力制御手段と、をさらに備える、請求項1~6のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項8】
予約可能なデマンド交通の路線を指定した検索条件を取得するデマンド交通検索条件取得手段と、
前記検索条件にて指定された路線についての前記仮想時刻表を出力する仮想時刻表出力制御手段と、をさらに備える、請求項1~6のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項9】
予約可能なデマンド交通の出発地を指定した検索条件を取得するデマンド交通検索条件取得手段と、
前記検索条件にて指定された出発地周辺の停留地点を出発地点とする路線についての前記仮想時刻表を出力する仮想時刻表出力制御手段と、をさらに備える、請求項1~6のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項10】
コンピュータを、
停留地点間を予約に応じて走行するデマンド交通の予約情報を取得する予約情報取得手段、および、
前記予約情報に基づいて路線ごとに予約可能なデマンド交通の出発時刻をリストにした仮想時刻表を生成する時刻表生成手段、として機能させる情報処理プログラム。
【請求項11】
通信可能に接続された複数のコンピュータによって構成される情報処理システムであって、
停留地点間を予約に応じて走行するデマンド交通の予約情報を取得する予約情報取得手段と、
前記予約情報に基づいて路線ごとに予約可能なデマンド交通の出発時刻をリストにした仮想時刻表を生成する時刻表生成手段と、
を備えた情報処理システムを機能させるために、
前記コンピュータの少なくとも1つを、前記手段の少なくとも1つとして機能させるための情報処理プログラム。
【請求項12】
通信可能に接続された複数のコンピュータによって、請求項1~9のいずれかに記載の情報処理システムを機能させるために、
前記コンピュータのうちの少なくとも1つを、請求項1~9のいずれかに記載の情報処理システムにおける各手段の少なくとも1つとして機能させるための情報処理プログラム。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1~9のいずれかに記載の情報処理システムにおける各手段の少なくとも1つとして機能させるための情報処理プログラム。
【請求項14】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
停留地点間を予約に応じて走行するデマンド交通の予約情報を取得するステップと、
前記予約情報に基づいて路線ごとに予約可能なデマンド交通の出発時刻をリストにした仮想時刻表を生成するステップと、を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、MaaS(Mobility as a Service)において、経路および/または時刻表が固定されておらず、ユーザの利用要求に応じて運行するオンデマンドモビリティ(デマンド交通ともいう)が注目されている。たとえば、いくつかの地方自治体などにおいては、より効率的なバス事業運営のため、デマンドバス交通の実証実験が行われている。
【0003】
特許文献1では、デマンドバスを利用した乗客の過去の乗車実績から、乗客の乗降に関する特性情報を抽出し、抽出された特性情報に基づいて、事業者側において予め運行スケジュールを決定しておく技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-22646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件発明者らは、デマンド交通についての多数の実証実験に参加した結果、以下の知見を得た。なお、以下の知見はあくまで本発明をなすきっかけとなったものであり、本発明を限定するものではない。
【0006】
すなわち、MaaSの実証でデマンド交通のニーズが高まっているなか、既存サービスでは、相乗りの実現が難しいという問題が見えてきた。本件発明者らは、その理由は以下(1)~(4)にあると考察した。
(1)デマンド交通の予約時に他人の予約情報(前後の配車情報)を利用者側は見ることができない。
(2)近くの人をピックアップして相乗りさせるかどうかはシステムが判断する。
(3)相乗りできるかどうかは、マッチングと経路探索のロジック次第である。
(4)実態としては、1人乗車を基本とした単純なタクシー配車のようなサービスになっている。
【0007】
本発明は、このような知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、デマンド交通において相乗りをしやすい環境を構築できる情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報処理システムは、
停留地点間を予約に応じて走行するデマンド交通の予約情報を取得する予約情報取得手段と、
前記予約情報に基づいて路線ごとに予約可能なデマンド交通の出発時刻をリストにした仮想時刻表を生成する時刻表生成手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、デマンド交通において相乗りをしやすい環境を構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施の形態に係る情報処理システムの概略的な構成を示す図である。
図2図2は、情報処理システムの動作の第1例を示すフローチャートである。
図3図3は、仮想時刻表を生成する処理の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、情報処理システムの動作の第2例を示すフローチャートである。
図5A図5Aは、情報処理システムの動作の第3例を示すフローチャートである。
図5B図5Bは、情報処理システムの動作の第4例を示すフローチャートである。
図6図6は、予約情報データベースに記憶されている予約情報の一例を示すテーブルである。
図7図7は、生成された仮想時刻表の一例を示す図である。
図8図8は、予約が入っていないデマンド交通の予約可能時刻が挿入された仮想時刻表の一例を示す図である。
図9図9は、初期設定に基づいて生成された仮想時刻表の一例を示す図である。
図10図10は、情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
図11図11は、情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
図12図12は、情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
図13図13は、情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
図14図14は、情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
図15図15は、情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
図16図16は、3つの停留地点間を1台のデマンドバスが走行する場合の配車パターンを説明するための図である。
図17A図17Aは、3つの停留地点間を1台のデマンドバスが走行する場合に生成される仮想時刻表を説明するための図である。
図17B図17Bは、3つの停留地点間を1台のデマンドバスが走行する場合に生成される仮想時刻表を説明するための図である。
図17C図17Cは、3つの停留地点間を1台のデマンドバスが走行する場合に生成される仮想時刻表を説明するための図である。
図18図18は、3つの停留地点間を2台のデマンドバスが走行する場合の配車パターンを説明するための図である。
図19A図19Aは、3つの停留地点間を2台のデマンドバスが走行する場合に生成される仮想時刻表を説明するための図である。
図19B図19Bは、3つの停留地点間を2台のデマンドバスが走行する場合に生成される仮想時刻表を説明するための図である。
図19C図19Cは、3つの停留地点間を2台のデマンドバスが走行する場合に生成される仮想時刻表を説明するための図である。
図19D図19Dは、3つの停留地点間を2台のデマンドバスが走行する場合に生成される仮想時刻表を説明するための図である。
図20A図20Aは、情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
図20B図20Bは、情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。
【0012】
以下に説明する実施の形態では、「デマンド交通」としてデマンドバスを例に挙げて説明することがあるが、「デマンド交通」は、経路および/または時刻表が固定されておらず、ユーザの利用要求に応じて運行する相乗り可能な輸送サービスであれば、デマンドバスに限られるものではなく、(バスより小型の車両を利用する)乗合タクシーなど、各種のオンデマンドサービスを含む表現である。「デマンド交通」は、自動運転車両であってもよい。
【0013】
一般に、デマンド交通の配車パターンには、(A)起終点および経路が固定されており、時刻表も一応(仮に)固定されているが、予約が入ったときのみ運行する路線固定型、(B)起終点および時刻表が固定されており、経路も一応(仮に)固定されているが、予約が入ったときのみ迂回経路を運行する迂回型、(C)起終点および起点出発時刻のみ固定されており、起終点間を予約に応じて運行するセミダイナミック型、(D)起終点、経路および時刻表がいずれも固定されていないダイナミック型、の4つがある。以下に説明する実施の形態では、デマンド交通の配車パターンとして、(D)ダイナミック型を例に挙げて説明することがあるが、停留地点間を予約に応じて走行するものであれば、(D)ダイナミック型に限られるものではなく、たとえば(C)セミダイナミック型であってもよい。
【0014】
本明細書において、「路線」とは、乗車地点と降車地点との組み合わせで決定される方向付きの区間をいう。たとえば、3つの停留地点A、B、Cの間を走行するデマンド交通は、A→B、A→C、B→C、B→A、C→A、C→Bの6つの路線を有している(以下の説明において、「○○→△△」は、○○を乗車地点、△△を降車地点とする1つの路線を意味する)。「路線」は、乗車地点から降車地点まで直接移動するものに限定されず、予約状況に応じて、乗車地点から別の停留地点を経由して降車地点まで移動するものであってもよい。たとえば、3つの停留地点A、B、Cの間を走行するデマンド交通において、A→Bの路線は、予約状況に応じて、停留地点Aから停留地点Bまで直接移動するものであってもよいし、停留地点Aから停留地点Cを経由して停留地点Bまで移動するものであってもよい。同じ路線の乗車時間は、経由地の有無等に応じて変動する可能性があってもよい。なお、停留地点は、通常のバス停留所のように、現実世界において標識などの物理的な構造物が設置されることで位置が指定されているものであってもよいし、現実世界において標識などの物理的な構造物は設置されておらずシステム上で仮想的に位置が指定されている(たとえば地図表示画面上においてピンなどで位置が特定される)ものであってもよい。
【0015】
(情報処理システムの構成)
図1は、一実施の形態に係る情報処理システム1の概略的な構成を示す図である。なお、同図において、各機能を行う機能部は、それぞれ各機能を行う手段ということができる。
【0016】
図1に示すように、情報処理システム1は、端末装置2と、サーバ3とを備えている。端末装置2とサーバ3とは、インターネット等のネットワーク4を介して互いに通信可能に接続されている。ネットワーク4は、有線回線と無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。なお、端末装置2とサーバ3の少なくとも一部は、コンピュータにより実現される。
【0017】
端末装置2は、ユーザが使用するものであり、たとえば、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末、ノートブックコンピュータ、またはデスクトップコンピュータなどの電子機器である。
【0018】
図1に示すように、端末装置2は、端末通信部21と、端末制御部22と、端末記憶部23と、端末入力部24と、端末出力部25と、端末測位部26とを有している。各部は、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0019】
端末通信部21は、端末装置2とネットワーク4との間の通信インターフェースである。端末通信部21は、ネットワーク4を介して端末装置2とサーバ3との間で情報を送受信する。
【0020】
端末制御部22は、端末装置2の各種処理を行う制御手段である。端末制御部22は、端末装置2内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0021】
端末記憶部23は、たとえば内蔵メモリや外部メモリ(SDメモリカード等)などのデータストレージである。端末記憶部23には、端末制御部22が取り扱う各種データが記憶される。端末記憶部23は、必ずしも端末装置2内に設けられていなくてもよく、端末記憶部23の一部または全部は、ネットワーク4を介して端末装置2と通信可能に接続された別の装置内に設けられていてもよい。
【0022】
端末入力部24は、ユーザが端末装置2に情報を入力するためのインターフェースであり、たとえばモバイル端末におけるタッチパネルやマイクロフォン、ノートブックコンピュータにおけるタッチパッド、キーボードまたはマウスなどである。
【0023】
端末出力部25は、端末装置2からユーザに対して各種情報を出力するインターフェースであり、たとえば液晶ディスプレイ等の映像表示手段やスピーカ等の音声出力手段である。具体的には、たとえば、端末出力部25は、ユーザからの操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示してもよい。
【0024】
端末測位部26は、端末装置2の現在位置を測定する測位手段である。端末測位部26は、たとえば、GPSや準天頂衛星システム(QZSS)などの電波航法手段による測位情報に基づいて現在位置を測定する。端末測位部26は、加速度センサや地磁気センサなどの自律航法手段による測位情報を測位に用いてもよい。端末装置2は、ユーザとともに移動するものであるから、端末測位部26により測定された位置情報は、ユーザの現在位置を示すものである。
【0025】
次に、サーバ3について説明する。図1に示すように、サーバ3は、サーバ通信部31と、サーバ制御部32と、サーバ記憶部33とを有している。各部は、バスやネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。
【0026】
このうちサーバ通信部31は、サーバ3とネットワーク4との間の通信インターフェースである。サーバ通信部31は、ネットワーク4を介してサーバ3と端末装置2との間で情報を送受信する。
【0027】
サーバ記憶部33は、たとえばハードディスク等の固定型データストレージである。サーバ記憶部33には、サーバ制御部32が取り扱う各種データが記憶される。たとえば、サーバ記憶部33は、交通ネットワーク情報を含む経路ネットワーク情報データベース33aと、地図情報を含む地図情報データベース33bと、予約情報データベース33cと、仮想時刻表データベース33dとを含んでいる。
【0028】
交通ネットワーク情報は、鉄道やバス等の交通網や道路網を規定する情報である。交通網の情報としては、交通機関の路線情報、時刻表情報、料金情報等を含む。道路網の情報は、例えば交差点等の道路網表現上の結節点であるノードのデータと、ノード間の道路区間であるリンクのデータとの組み合わせによって表現される。
【0029】
地図情報は、全国および各地方の道路地図などの地図データと、地図データに対応付けられた地図オブジェクト情報を含む。地図オブジェクト情報とは、地図上に表示される施設の形状についての形状情報、地図上に表示される注記についての注記情報、地図上に表示される記号についての記号情報などである。また、地図情報は公共交通機関の路線図に関する路線図情報を含んでいてもよい。
【0030】
上記の交通ネットワーク情報および地図情報は、所定のタイミングでアップデートされてもよい。
【0031】
予約情報データベース33cには、停留地点間を予約に応じて走行するデマンド交通の予約情報が記憶されている。図6は、予約情報データベース33cに記憶されている予約情報の一例を示すテーブルである。予約情報は、乗車希望日と、乗車地点と、降車地点と、出発時刻(または到着時刻)の情報を含んでいる。予約情報は、乗車人数(予約席数)の情報をさらに含んでいてもよい。予約情報に出発時刻の情報が含まれていない場合には、後述する予約情報取得部32aは、当該予約情報に含まれる乗車地点と降車地点と到着時刻の情報から出発時刻を計算により算出して補完してもよい。また、予約情報に到着時刻の情報が含まれていない場合には、予約情報取得部32aは、当該予約情報に含まれる乗車地点と降車地点と出発時刻の情報から到着時刻を計算により算出して補完してもよい。図6に示す例では、4件の予約情報が記憶されている。1件目の予約情報は、「2020年6月16日」における「B駅前→C公園前」の路線について、出発時刻「10:50」(または到着時刻「11:05」)、乗車人数(予約席数)「2人」で予約している情報である。2件目の予約情報は、「2020年6月16日」における「A駅前→B駅前」の路線について、出発時刻「10:55」(または到着時刻「11:15」)、乗車人数(予約席数)「2人」で予約している情報である。3件目の予約情報は、「2020年6月16日」における「B駅前→C公園前」の路線について、出発時刻「11:20」(または到着時刻「11:35」)、乗車人数(予約席数)「1人」で予約している情報である。4件目の予約情報は、「2020年6月16日」における「B駅前→C公園前」の路線について、出発時刻「12:00」(または到着時刻「12:15」)、乗車人数(予約席数)「1人」で予約している情報である。
【0032】
仮想時刻表データベース33dについては、後述する。
【0033】
なお、サーバ記憶部33は、必ずしもサーバ3内に設けられていなくてもよく、サーバ記憶部33の一部または全部は、ネットワーク4を介してサーバ3と通信可能に接続された別の装置内に設けられていてもよい。
【0034】
図1に示すように、サーバ制御部32は、予約情報取得部32aと、仮想時刻表生成部32bと、デマンド交通検索条件取得部32cと、仮想時刻表出力制御部32dと、探索条件取得部32eと、経路探索部32fと、経路出力制御部32gとを有している。これらの各部は、サーバ3内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0035】
仮想時刻表生成部32bは、予約情報データベース33cに記憶されている予約情報に基づいて、路線ごとに、予約可能なデマンド交通の出発時刻をリストにした仮想時刻表を生成し、仮想時刻表データベース33cに記憶する。図8は、仮想時刻表データベース33dに記憶されている仮想時刻表の一例を示すテーブルである。図8に示す例では、「2020年6月16日」における「B駅前→C公園前」の路線について、予約可能なデマンド交通の出発時刻である「11:20」、「11:40」、「12:00」が時間順に一覧で示されている。図8に示すように、仮想時刻表において、出発時刻ごとに、さらに、到着時刻が紐づけられて記憶されていてもよいし、乗車人数(予約席数)および/または空席状況が紐づけられて記憶されていてもよい。図8に示す例において、空席状況「△」は、予約が入っているもののまだ空席があるデマンド交通の便であることを示しており、空席状況「〇」は、予約が入っていないデマンド交通の便であることを示している。なお、図8に示す例では、仮想時刻表において、出発時刻と到着時刻と予約状況との組み合わせがリストされているが、到着時刻と予約状況は必ずしも必須ではなく、出発時刻と到着時刻とのペアがリストされていてもよいし、出発時刻と予約状況とのペアがリストされていてもよいし、出発時刻だけがリストされていてもよい。また、仮想時刻表は、実際には運行不可能な運行経路/運行時刻が含まれており、予約が入るにつれ、実際運行可能な経路のみに更新されていってもよい。たとえば、図16に示すように、3つの停留地点A、B、C間を2人まで乗車できる1台の車両B1で運行するデマンド交通である場合には、実際は1つの時刻に対して1つの路線のみ運行可能であるが、図17Aに示す仮想時刻表では、全ての路線(すなわち、A→B、A→C、B→C、B→A、C→A、C→Bの6路線)で予約可能時刻が30分ごとの等間隔でリストされており(すなわち実際には運行不可能な経路/時刻が含まれており)、図17Bおよび図17Cに示すように、予約が入るにつれ、実際運行可能な経路のみに更新されていってもよい。
【0036】
図3を参照して、仮想時刻表生成部32bが仮想時刻表を生成する処理の一例について具体的に説明する。図3に示すように、まず、仮想時刻表生成部32bは、路線ごとに、予約情報データベース33cに予約情報が記憶されている(予約が入っている)か否かを判定する(ステップS50)。
【0037】
対象とする路線について予約情報が記憶されている(予約が入っている)場合には(ステップS50:YES)、仮想時刻表生成部32bは、当該予約情報に基づいて、予約が入っているもののまだ空席があるデマンド交通の出発時刻をリストにして仮想時刻表を生成する(ステップS51)。具体的には、たとえば、図6を参照し、2人まで乗車できるデマンド交通において、「2020年6月16日」における「B駅前→C公園前」の路線についての仮想時刻表を生成する場合には、仮想時刻表生成部32bは、予約情報データベース33cから「2020年6月16日」における「B駅前→C公園前」の路線についての予約情報を抽出し、出発時刻が同じである予約情報が複数ある場合にはそれらの乗車人数を足し合わせた後、乗車人数が最大乗車可能数(2人)未満である予約情報(図6に示す例では、3件目と4件目の予約情報)の出発時刻を、図7に示すように時間順に一覧にして仮想時刻表を生成する。
【0038】
次いで、仮想時刻表生成部32bは、生成された仮想時刻表において、前後の出発時刻の間隔が予め定められた時間間隔(たとえば30分)より大きいか否かを判定する(ステップS52)。そして、前後の出発時刻の間隔が予め定められた時間間隔より大きい場合には(ステップS52:YES)、仮想時刻表生成部32bは、生成された仮想時刻表において、当該前後の出発時刻の間に、予約が入っていないデマンド交通の予約可能時刻を挿入し(ステップS53)、当該路線についての仮想時刻表を確定させる。ステップS53において、仮想時刻表生成部32bは、予約が入っていないデマンド交通の予約可能時刻を、前後の出発時刻に対して等間隔となるように挿入してもよい。具体的には、たとえば、図7を参照し、生成された仮想時刻表において、「11:20」の出発時刻の次の出発時刻が「12:00」であり、その間隔(=40分)が予め定められた時間間隔(=30分)より大きい。したがって、仮想時刻生成部32bは、図8に示すように、「11:20」と「12:00」との間に、予約が入っていないデマンド交通の予約可能時刻として「11:40」を追加して、「2020年6月16日」における「B駅前→C公園前」の路線についての仮想時刻表を確定させる。
【0039】
一方、ステップS50において、対象とする路線について予約情報がまだ記憶されていない(予約が入っていない)場合には(ステップS50:NO)、仮想時刻表生成部32bは、初期設定に基づいて、予約が入っていないデマンド交通の予約可能時刻をリストにした仮想時刻表を生成する(ステップS54)。具体的には、たとえば、仮に「2020年6月16日」における「B駅前→C公園前」の路線についての予約情報が予約情報データベース33cに記憶されていなかった場合には、仮想時刻表生成部32bは、図9に示すように、予約が入っていないデマンド交通の予約可能時刻を、初期設定に基づいて(たとえば30分ごとの等間隔で)リストにした仮想時刻表を生成する。なお、初期設定により設定される時間間隔は、等間隔に限定されるものではなく、時間帯や曜日に応じて(たとえば、朝夕は間隔を短くし、日中/夜間は間隔を長くする等)それぞれ設定できるようになっていてもよい。
【0040】
仮想時刻表生成部32bは、後述する予約情報取得部32aが新たな予約情報を取得して予約情報データベース33cに記憶すると、当該新たな予約情報に基づいて仮想時刻表を再生成(更新)してもよい。
【0041】
具体的には、たとえば、図16に示すように、3つの停留地点A、B、C間を2人まで乗車できる1台の車両B1で運行するデマンド交通である場合には、仮想時刻表生成部32bは、最初は全ての路線(すなわち、A→B、A→C、B→C、B→A、C→A、C→Bの6路線)において予約が入っていないため、図17Aに示すように、予約が入っていないデマンド交通の予約可能時刻を、初期設定に基づいて(図示された例では、30分ごとの等間隔で)リストにした仮想時刻表を生成する。
【0042】
次いで、たとえば図17Bに示すように、A→Bの路線について出発時刻「10:00」、乗車人数(予約席数)「1人」を指定した予約が入った場合には、車両B1は、「10:00~10:30」の時間帯においてA→Bの路線に割り当てられるから、仮想時刻表生成部32bは、当該新たな予約情報に基づいて、A→B以外の路線の仮想時刻表では「10:00~10:30」の時間帯が予約不可になる(グレイアウトされる、または仮想時刻表から消される)とともに、停留地点Bを出発する路線(すなわちB→CとB→A)の仮想時刻表のみ「10:30~11:00」の時間帯が予約可の状態で維持される(他の路線の仮想時刻表では「10:00~10:30」の時間帯が予約不可になる)ように、仮想時刻表を再生成(更新)する。
【0043】
次に、たとえば図17Cに示すように、さらにB→Cの路線について出発時刻「10:30」、乗車人数(予約席数)「1人」を指定した予約が入った場合には、車両B1は、「10:30~11:00」の時間帯においてB→Cの路線に割り当てられるから、仮想時刻表生成部32bは、当該新たな予約情報に基づいて、B→C以外の路線の仮想時刻表では「10:30~11:00」の時間帯が予約不可になる(グレイアウトされる、または仮想時刻表から消される)ように、仮想時刻表を再生成(更新)する。
【0044】
仮想時刻表生成部32bは、デマンド交通が停留地点間を複数台で運行する(同時間帯に複数の便が存在し得る)ものである場合には、仮想時刻表生成部32bは、デマンド交通が複数台であることを考慮して、仮想時刻表を生成してもよい。
【0045】
具体的には、たとえば、図18に示すように、3つの停留地点A、B、C間を2人まで乗車できる2台の車両B1、B2で運行するデマンド交通である場合には、仮想時刻表生成部32bは、最初は全ての路線(すなわち、A→B、A→C、B→C、B→A、C→A、C→Bの6路線)において予約が入っていないため、図19Aに示すように、予約が入っていないデマンド交通の便の予約可能時刻を、初期設定に基づいて(図示された例では、30分ごとの等間隔で)リストにした仮想時刻表を生成する。
【0046】
次いで、たとえば図19Bに示すように、A→Bの路線について出発時刻「10:00」、乗車人数(予約席数)「1人」を指定した予約が入った場合には、1台目の車両B1は、「10:00~10:30」の時間帯においてA→Bの路線に割り当てられるが、同時間帯においてまだ2台目の車両B2が残っているため、仮想時刻表生成部32bは、当該新たな予約情報に基づいて、どの路線の仮想時刻表においても全ての時間帯で予約可の状態が維持されるように、仮想時刻表を再生成(更新)する(A→Bの路線の仮想時刻表のみ「10:00~10:30」の時間帯における空席状況を「△」に変更する)。なお、2台の車両B1、B2で同じ路線を走行することも許容する場合には、A→Bの路線の仮想時刻表において「10:00~10:30」の時間帯における空席状況を「〇」のまま維持してもよい。
【0047】
次に、たとえば図19Cに示すように、さらにB→Cの路線について出発時刻「10:00」、乗車人数(予約席数)「1人」を指定した予約が入った場合には、2台目の車両B2は、「10:00~10:30」の時間帯においてB→Cの路線に割り当てられるから、仮想時刻表生成部32bは、当該新たな予約情報に基づいて、A→BおよびB→C以外の路線の仮想時刻表では「10:00~10:30」の時間帯が予約不可になる(グレイアウトされる、または仮想時刻表から消される)とともに、停留地点BまたはCを出発する路線(すなわちB→C、B→A、C→A、C→B)の仮想時刻表のみ「10:30~11:00」の時間帯が予約可の状態で維持される(他の路線の仮想時刻表では「10:00~10:30」の時間帯が予約不可になる)ように、仮想時刻表を再生成(更新)する。
【0048】
次に、たとえば図19Dに示すように、さらにB→Cの路線について出発時刻「10:30」、乗車人数(予約席数)「1人」を指定した予約が入った場合には、1台目の車両B1は、「10:30~11:00」の時間帯においてB→Cの路線に割り当てられるから、仮想時刻表生成部32bは、当該新たな予約情報に基づいて、路線B→Aの仮想時刻表において「10:30~11:00」の時間帯が予約不可になる(グレイアウトされる、または仮想時刻表から消される)ように、仮想時刻表を再生成する。なお、1台目の車両は、「10:00~10:30」の時間帯においてB→Cの路線(停留地点Cに到着する路線)に割り当てられ、2台目の車両B2は、「10:30~11:00」の時間帯においてC→Aの路線(停留地点Aに到着する路線)とC→Bの路線(停留地点Aに到着する路線)のどちらに割り当てられるか(もしくはどちらにも割り当てられないか)決まっていないことから、どの路線の仮想時刻表においても「11:00~11:30」の時間帯は予約可の状態が維持される。なお、2台目の車両B2が「10:30~11:00」の時間帯においてC→Aの路線とC→Bの路線のどちらにも割り当てらない場合には、10:30~11:00を移動時間(配車時間)とすることで、11:00~の運行はどの路線でも可能となる。
【0049】
デマンド交通検索条件取得部32cは、ユーザの端末装置2から、予約可能なデマンド交通の検索条件を取得する。一例として、図10を参照し、予約可能なデマンド交通の検索条件が、路線を指定したもの(すなわち出発地点101と到着地点102の両方を指定したもの)であってもよい。別例として、図14を参照し、予約可能なデマンド交通の検索条件は、出発地点101のみを指定したもの(到着地点102は指定しないもの)であってもよい。
【0050】
仮想時刻表出力制御部32dは、デマンド交通検索条件取得部32cにより取得された検索条件に基づいて仮想時刻表データベース33cから仮想時刻表を取得し、当該仮想時刻表を出力するための出力制御信号を端末装置2へと送信し、端末出力部25を介して仮想時刻表の出力を行う。一例として、図10を参照し、予約可能なデマンド交通の検索条件が、路線(たとえばB駅前→C公園前)を指定したものである場合には、仮想時刻表出力制御部32dは、当該検索条件にて指定された路線(B駅前→C公園前)についての仮想時刻表を仮想時刻表データベース33cから取得して、図11に示すように、端末出力部25を介して出力してもよい。別例として、予約可能なデマンド交通の検索条件が、出発地(たとえば端末測位部26により測定された端末装置2の現在位置)を指定したものである場合には、仮想時刻表出力制御部32dは、当該検索条件にて指定された出発地(現在位置)周辺の停留地点を出発地点とする路線についての仮想時刻表を仮想時刻表データベース33cから取得して、図15に示すように、端末出力部25を介して出力してもよい。図15の表示画面に係る一変形例として、仮想時刻表出力制御部32dは、ユーザの端末装置2でのアプリ起動時に端末装置2の現在位置を出発地としてその位置情報を端末装置2から取得し、当該出発地(現在位置)周辺の停留地点を出発地点とする路線についての仮想時刻表を仮想時刻表データベース33cから取得して、図15に示すように、端末出力部25を介して当該アプリのトップ画面等に出力してもよい。また、図15の表示画面に係る別の変形例として、仮想時刻表出力制御部32dは、ユーザの端末装置2にて地図画面が表示される際に、地図画面で表示する地点を出発地としてその位置情報を端末装置2から取得し、当該出発地(地図画面で表示する地点)周辺の停留地点を出発地点とする路線についての仮想時刻表を仮想時刻表データベース33cから取得して、図15に示すように、端末出力部25を介して当該地図画面等に出力してもよい。
【0051】
探索条件取得部32aは、ユーザの端末装置2から経路探索条件を取得する。経路探索条件は、出発地と目的地と出発時刻(または到着時刻)の情報を含んでいる。出発地は、端末測位部26により測定された端末装置2の現在位置であってもよいし、端末入力部24を介してユーザが入力(指定)した特定の位置であってもよい。出発時刻は、現在時刻であってもよいし、端末入力部24を介してユーザが入力(指定)した特定の時刻であってもよい。
【0052】
経路探索部32bは、探索条件取得部32aにより取得された経路探索条件に基づいて、当該経路探索条件を満たすような経路の情報を、経路ネットワーク情報データベース33aと地図情報データベース33bと仮想時刻表データベース33dとを参照して探索する。経路探索部32bが仮想時刻表データベース33dを参照して経路探索を行うことで、既に満席となっている(予約不可である)デマンド交通を利用する路線を含む経路が、探索結果として誤って出力されてしまうことを防止できる。
【0053】
経路出力制御部32cは、経路探索部32による探索結果の経路を出力するための出力制御信号を端末装置2へと送信し、図13に示すように、端末出力部25を介して探索結果の経路107の出力を行う。探索結果の経路107が、デマンド交通を利用する路線を含んでいる場合には、経路出力制御部32cは、探索結果の経路107とともに、当該路線にてデマンド交通の予約を行うためのボタン108を出力してもよい。
【0054】
経路出力制御部32cにより出力される探索結果の経路が、デマンド交通を利用する路線を含んでいる場合には、仮想時刻表出力制御部32dは、当該路線についての仮想時刻表を仮想時刻表データベース33cから取得し、当該仮想時刻表を出力するための出力制御信号を端末装置2へと送信し、端末出力部25を介して仮想時刻表の出力を行ってもよい。具合的には、たとえば、図13を参照し、探索結果の経路107に含まれる特定の路線(B駅前→C公園前)の表示領域109が、ユーザにより端末入力部24を介してタッチされると、仮想時刻表出力制御部32dは、当該路線についての仮想時刻表を仮想時刻表データベース33cから取得し、図11に示すように、端末出力部25を介して出力してもよい。
【0055】
予約情報取得部32aは、ユーザの端末装置2からデマンド交通の予約情報を取得して、予約情報データベース33cに記憶する。具体的には、たとえば、図13を参照し、探索結果の経路107に含まれる特定の路線(B駅前→C公園前)にてデマンド交通の予約を行うためのボタン108が、ユーザにより端末入力部24を介して押下されると、B駅前→C公園前の路線について出発時刻「11:20」を指定した新たな予約情報が、端末装置2からサーバ3へと送信され、予約情報取得部32aにより取得される。予約情報取得部32aにより取得された新たな予約情報は、予約情報データベース33cに記憶される。なお、予約情報取得部32aは、デマンド交通の予約情報をユーザの端末装置2から直接取得する態様に限定されるものではなく、たとえばデマンド交通の事業者のサーバ(不図示)から予約情報を取得してもよい。
【0056】
仮想時刻表生成部32bは、予約情報取得部32aにより取得された新たな予約情報に基づいて仮想時刻表を再生成(更新)した場合には、仮想時刻表出力制御部32dは、当該再生成(更新)された仮想時刻表を出力するための出力制御信号を端末装置2へと送信し、図12に示すように、端末出力部25を介して出力される仮想時刻表を更新してもよい。図12に示す例では、出発時刻「12:00」の便に対して、他のユーザによる新たな予約が入って満席となった(予約不可となった)ため、仮想時刻表が更新され、図11と比較すると、端末出力部25を介して出力される仮想時刻表から出発時刻「12:00」の便が消されている。一変形例として、予約不可となった便は、端末出力部25を介して出力される仮想時刻表においてグレイアウトされてもよい。
【0057】
(動作の第1例)
次に、図2を参照して、一実施の形態に係る情報処理システム1の動作の第1例について説明する。図2は、情報処理システム1の動作の第1例を示すフローチャートである。
【0058】
図2に示すように、まず、仮想時刻表生成部32bが、予約情報データベース33cに記憶されている予約情報に基づいて、路線ごとに、予約可能なデマンド交通の出発時刻をリストにした仮想時刻表を生成する(ステップS11)。仮想時刻表生成部32bが仮想時刻表を生成する処理(ステップS11)については、図3を参照してその一例を既に詳細に説明しており、ここではその説明を省略する。仮想時刻表生成部32bにより生成された仮想時刻表は、仮想時刻表データベース33cに記憶される(図8参照)。
【0059】
なお、ステップS11は、新たな予約が入るたびに繰り返し行われる。すなわち、後述するステップS14を参照し、予約情報取得部32aが、新たな予約情報を取得して予約情報データベース33cに記憶すると、仮想時刻表生成部32bは、当該新たな予約情報に基づいて仮想時刻表を再生成(更新)する(ステップS11)。
【0060】
次に、図10を参照し、端末装置2のユーザが端末入力部24を介して、予約可能なデマンド交通の路線を指定した検索条件(すなわち出発地点101および到着地点102、乗車希望日103、乗車人数104)を入力し、検索ボタン105を押下すると、端末装置2からサーバ3へと当該検索条件が送信され、サーバ3のデマンド交通検索条件取得部32cが当該検索条件を取得する(ステップS12)。
【0061】
次に、仮想時刻表出力制御部32dが、デマンド交通検索条件取得部32cにより取得された検索条件にて指定された路線についての仮想時刻表を、仮想時刻表データベース33cから取得し、当該仮想時刻表を出力するための出力制御信号を端末装置2へと送信し、図11に示すように、端末出力部25を介して仮想時刻表の出力を行う(ステップS13)。
【0062】
次いで、端末装置2のユーザが端末入力部24を介して、デマンド交通の予約操作を行うと、新たな予約情報が、端末装置2からサーバ3へと送信され、予約情報取得部32aにより取得される。たとえば、図11を参照し、仮想時刻表に含まれる1つの予約可能時刻(たとえば出発時刻「11:40」)の表示領域が、ユーザにより端末入力部24を介してタッチされると、B駅前→C公園前の路線について出発時刻「11:40」を指定した新たな予約情報が、端末装置2からサーバ3へと送信され、予約情報取得部32aにより取得される。一変形として、図11に示す表示画面に「時間を指定して予約」というボタン(不図示)が用意されており、ユーザは端末入力部24を介して当該ボタンを押下げすると、仮想時刻表に表示されている便以外にも、ユーザが出発/到着時間を任意に指定できるようになっており、B駅前→C公園前の路線について任意の出発時刻を指定した新たな予約情報が、端末装置2からサーバ3へと送信され、予約情報取得部32aにより取得されてもよい。予約情報取得部32aは、端末装置2から取得した新たな予約情報を予約情報データベース33cに記憶する(ステップS14)。
【0063】
以上のような本実施の形態によれば、路線ごとに、予約可能なデマンド交通の出発時刻をリストにした仮想時刻表が生成されるため、デマンド交通の予約時に、ユーザが当該仮想時刻表を参照することで、仮想時刻表にリストされている出発時刻のいずれかで予約が行われることを促すことができ、すなわち、予約時刻(出発時刻)が無限に分散されて1人乗車が増えてしまうことを抑制できる。具体的には、たとえば、11:35に予約しようと考えていたユーザと、11:45に予約しようと考えていたユーザとがいた場合に、それらのユーザが、図11に示されるような仮想時刻表を見ることができれば、当該仮想時刻表にリストされている11:40を選択して予約するよう心理的に誘導されて、相乗りになる確率が高まることが期待され、11:35と11:45にてバラバラに予約されて、非効率な1人乗車が増えてしまうことが抑制され得る。したがって、本実施の形態によれば、デマンド交通において相乗りをしやすい環境を構築できる。
【0064】
(動作の第2例)
次に、図4を参照して、一実施の形態に係る情報処理システム1の動作の第2例について説明する。図4は、情報処理システム1の動作の第2例を示すフローチャートである。
【0065】
図4に示すように、本実施例において、予約情報データベース33cに記憶されている予約情報に基づいて仮想時刻表を生成する工程(ステップS11)は、図2に示す動作の第1例と同様であり、説明を省略する。
【0066】
本実施例では、図4に示すように、仮想時刻表が生成されて仮想時刻表データベース33dに記憶された後(ステップS11の後)、探索条件取得部32aが、ユーザの端末装置2から経路探索条件を取得する(ステップS22)。
【0067】
次に、経路探索部32bが、探索条件取得部32aにより取得された経路探索条件に基づいて、当該経路探索条件を満たすような経路の情報を、経路ネットワーク情報データベース33aと地図情報データベース33bと仮想時刻表データベース33dとを参照して探索する(ステップS23)。
【0068】
次に、経路出力制御部32cが、経路探索部32による探索結果の経路を出力するための出力制御信号を端末装置2へと送信し、図13に示すように、端末出力部25を介して探索結果の経路107の出力を行う(ステップS24)。図13に示すように、探索結果の経路107が、デマンド交通を利用する路線(図示された例では、B駅前→C公園前)を含んでいる場合には、経路出力制御部32cは、探索結果の経路107とともに、当該路線にてデマンド交通の予約を行うためのボタン108を出力してもよい。
【0069】
次に、図13を参照し、探索結果の経路107に含まれる特定の路線(B駅前→C公園前)の表示領域109が、ユーザにより端末入力部24を介してタッチされると、仮想時刻表出力制御部32dは、当該路線についての仮想時刻表を仮想時刻表データベース33cから取得し、当該仮想時刻表を出力するための出力制御信号を端末装置2へと送信し、図11に示すように、端末出力部25を介して仮想時刻表の出力を行う(ステップS25)。
【0070】
次いで、図13を参照し、探索結果の経路107に含まれる特定の路線(B駅前→C公園前)にてデマンド交通の予約を行うためのボタン108が、ユーザにより端末入力部24を介して押下されると、B駅前→C公園前の路線について出発時刻「11:20」を指定した新たな予約情報が、端末装置2からサーバ3へと送信され、予約情報取得部32aにより取得される。予約情報取得部32aは、端末装置2から取得した新たな予約情報を予約情報データベース33cに記憶する(ステップS26)。
【0071】
以上のような態様によれば、図2に示す動作の第1例と同様の作用効果が得られることに加えて、経路探索部32bが仮想時刻表データベース33dを参照して経路探索を行うことで、既に満席となっている(予約不可である)デマンド交通を利用する路線を含む経路が、探索結果として誤って出力されてしまうことを防止できる。
【0072】
(動作の第3例)
次に、図5Aを参照して、一実施の形態に係る情報処理システム1の動作の第3例について説明する。図5Aは、情報処理システム1の動作の第3例を示すフローチャートである。
【0073】
図5Aに示すように、本実施例において、予約情報データベース33cに記憶されている予約情報に基づいて仮想時刻表を生成する工程(ステップS11)は、図2に示す動作の第1例と同様であり、説明を省略する。
【0074】
本実施例では、図5Aに示すように、仮想時刻表が生成されて仮想時刻表データベース33dに記憶された後(ステップS11の後)、図14を参照し、端末装置2のユーザが端末入力部24を介して、予約可能なデマンド交通の到着地点を指定しない検索条件(すなわち出発地点101、乗車希望日103、乗車人数104)を入力し、検索ボタン105を押下すると、端末装置2からサーバ3へと当該検索条件が送信され、サーバ3のデマンド交通検索条件取得部32cが当該検索条件を取得する(ステップS32)。
【0075】
次に、仮想時刻表出力制御部32dが、デマンド交通検索条件取得部32cにより取得された検索条件にて指定された出発地(たとえば現在位置)周辺の停留地点(たとえばB駅前)を特定する。そして、仮想時刻表出力制御部32dは、特定した停留地点(たとえばB駅前)を出発地点とする路線(たとえばB駅前→C公園前)についての仮想時刻表を仮想時刻表データベース33cから取得し、当該仮想時刻表を出力するための出力制御信号を端末装置2へと送信し、図15に示すように、端末出力部25を介して仮想時刻表の出力を行う(ステップS33)。
【0076】
次いで、図15を参照し、仮想時刻表に表示されている特定の便(B駅前→C公園前の路線を11:20に出発する便)にてデマンド交通の予約を行うためのボタン110が、ユーザにより端末入力部24を介して押下されると、B駅前→C公園前の路線について出発時刻「11:20」を指定した新たな予約情報が、端末装置2からサーバ3へと送信され、予約情報取得部32aにより取得される。予約情報取得部32aは、端末装置2から取得した新たな予約情報を予約情報データベース33cに記憶する(ステップS34)。
【0077】
以上のような態様によっても、図2に示す動作の第1例と同様の作用効果が得られる。
【0078】
(動作の第4例)
次に、図5Bを参照して、一実施の形態に係る情報処理システム1の動作の第4例について説明する。図5Bは、情報処理システム1の動作の第4例を示すフローチャートである。
【0079】
図5Bに示すように、本実施例において、予約情報データベース33cに記憶されている予約情報に基づいて仮想時刻表を生成する工程(ステップS11)は、図2に示す動作の第1例と同様であり、説明を省略する。
【0080】
本実施例では、図5Bに示すように、仮想時刻表が生成されて仮想時刻表データベース33dに記憶された後(ステップS11の後)、端末装置2のユーザが端末入力部24を介して、予約可能なデマンド交通のエリアおよび日時を指定した検索条件を入力すると、端末装置2からサーバ3へと当該検索条件が送信され、サーバ3のデマンド交通検索条件取得部32cが当該検索条件を取得する(ステップS42)。ここで、検索条件にて指定されるエリアは、地域、住所、POI等であり、ユーザが任意に入力できるようになっていてもよいし、リストから選択して入力するようになっていてもよい。日時は、日付、時間帯等で指定できるようになっていてもよい。
【0081】
次に、仮想時刻表出力制御部32dが、デマンド交通検索条件取得部32cにより取得された検索条件にて指定されたエリア(たとえば現在位置周辺)内に含まれるデマンド交通の路線を表示する路線図を生成し、当該路線図を出力するための出力制御信号を端末装置2へと送信し、図20Aに示すように、端末出力部25を介して路線図の出力を行う(ステップS43)。ここで、仮想時刻表出力制御部32dは、検索条件にて指定されたエリア内に含まれるデマンド交通の各路線についての仮想時刻表を、仮想時刻表データベース33cから取得し、取得した各路線の仮想時刻表に基づいて、検索条件にて指定された日時(たとえば現在時刻)において予約可能なデマンド交通の路線と、予約不可能なデマンド交通の路線とを互いに判別可能な態様で表示する。図20Aに示す例では、予約可能なデマンド交通の路線が実線で表示され、予約不可能なデマンド交通の路線が破線で表示されているが、これに限定されるものではなく、たとえば、予約可能なデマンド交通の路線のみ表示され、予約不可能なデマンド交通の路線は非表示にされてもよい。なお、図20Aに示す路線図では、各停留所および路線が無背景でデフォルメ表示されているが、これに限定されるものではなく、たとえばエリア内の停留所および路線の数が少ない場合などは、各停留所および路線が実際の地図上に重ねて表示されてもよい。図20Aに示す路線図において、符号Pが付されたピンは、現在位置を示している。
【0082】
その後、予約情報データベース33cに記憶されている予約情報が変更(たとえば、新たな予約の追加、または既存の予約のキャンセル)され、仮想時刻表生成部32bにより仮想時刻表が再生成(更新)された場合には、仮想時刻表出力制御部32dは、再生成(更新)された仮想時刻表に基づいて、路線図の表示を更新する(ステップS44)。たとえば、新たな予約が追加されることで、ある路線が予約可能な状態から予約不可能な状態に遷移した場合には、仮想時刻表出力制御部32dは、路線図上において、当該路線の表示を実線から破線に変更する(または非表示にする)。
【0083】
なお、図20Aに示す路線図において、予約不可能な路線(図示された例では破線で表示された路線)は、ユーザにより選択不可能(たとえばクリック不可能)であってもよいし、ユーザにより選択された(クリックされた)場合には、当該路線の路線名および時刻表が路線図に重ねて表示されるとともに、予約不可の旨のメッセージがさらに重ねて表示されるようになっていてもよい。
【0084】
次に、図20Bに示すように、端末装置2のユーザが端末入力部24を介して、路線図の中から1つの予約可能な路線(図示された例では、B駅~C公園の路線)を選択する(たとえばクリックする)と、選択された路線の情報が端末装置2からサーバ3へと送信され、サーバ3の仮想時刻表生成部32bが当該選択された路線の情報を取得する(ステップS45)。
【0085】
次いで、仮想時刻表生成部32bは、ユーザにより選択された路線についての仮想時刻表を、仮想時刻表データベース33cから取得し、当該仮想時刻表を出力するための出力制御信号を端末装置2へと送信し、図20Bに示すように、端末出力部25を介して仮想時刻表の出力を行う(ステップS46)。
【0086】
次いで、図20Bを参照し、仮想時刻表に表示されている特定の便(B駅前→C公園前の路線を11:20に出発する便)の予約状況の表示(図示された例では「△」の表示)が、ユーザにより端末入力部24を介して押下されると、B駅前→C公園前の路線について出発時刻「11:20」を指定した新たな予約情報が、端末装置2からサーバ3へと送信され、予約情報取得部32aにより取得される。予約情報取得部32aは、端末装置2から取得した新たな予約情報を予約情報データベース33cに記憶する(ステップS47)。
【0087】
以上のような態様によっても、図2に示す動作の第1例と同様の作用効果が得られることに加えて、予約可能なデマンド交通の路線を表示する路線図が生成されることで、停留所名の選択では位置関係が分かり難い場合などであっても、視覚的に予約可能な路線を選択してデマンド交通の予約を行うことが可能となる。
【0088】
なお、上述した実施形態で説明した情報処理システム1の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ハードウェアで構成する場合には、情報処理システム1の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0089】
また、情報処理システム1の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0090】
さらに、一つまたは複数の情報処理装置によって情報処理システム1を機能させてもよい。複数の情報処理装置を用いる場合、情報処理装置のうちの1つをコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することにより情報処理システム1の少なくとも1つの手段として機能が実現されてもよい。
【0091】
また、方法の発明においては、全ての工程(ステップ)をコンピュータによって自動制御で実現するようにしてもよい。また、各工程をコンピュータに実施させながら、工程間の進行制御を人の手によって実施するようにしてもよい。また、さらには、全工程のうちの少なくとも一部を人の手によって実施するようにしてもよい。
【0092】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や様々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 情報処理システム
2 端末装置
21 端末通信部
22 端末制御部
23 端末記憶部
24 端末入力部
25 端末出力部
26 端末測位部
3 サーバ
31 サーバ通信部
32 サーバ制御部
32a 予約情報取得部
32b 仮想時刻表生成部
32c デマンド交通検索条件取得部
32d 仮想時刻表出力制御部
32e 探索条件取得部
32f 経路探索部
32g 経路出力制御部
33 サーバ記憶部
33a 経路ネットワーク情報データベース
33b 地図情報データベース
33c 予約情報データベース
33d 仮想時刻表データベース
4 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図18
図19A
図19B
図19C
図19D
図20A
図20B