(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182726
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】インテークマニホールド、及びインテークマニホールドのカバー
(51)【国際特許分類】
F02M 35/104 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
F02M35/104 B
F02M35/104 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090436
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大垣 重郎
(72)【発明者】
【氏名】杢出 大樹
(57)【要約】
【課題】カバーを第1被覆部分及び第2被覆部分に分けることに伴う部品点数が増加する。
【解決手段】上側カバー40は、第1被覆部分50と、第2被覆部分60と、接続部分70と、補強材80と、を備えている。第1被覆部分50は、集合管21から視て、第1方向D1側に位置する2つの分岐管23を覆っている。第2被覆部分60は、集合管21から視て、第2方向D2側に位置する2つの分岐管23を覆っている。接続部分70は、第1被覆部分50と、第2被覆部分60を繋いでいる。補強材80は、接続部分70に取り付けられている。補強材80の剛性は、接続部分70の剛性よりも大きくなっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの集合管、及び前記集合管から分岐する複数の分岐管を備えるインテークマニホールド本体と、
前記分岐管の外面を覆うカバーと、
を備えるインテークマニホールドであって、
複数の前記分岐管は、並び軸に沿う方向に並んでおり、
前記集合管は、前記並び軸に沿う方向において隣り合う前記分岐管の間の位置に接続しており、
前記カバーは、
前記集合管から視て、前記並び軸に沿う第1方向側に位置する前記分岐管の外面を覆う第1被覆部分と、
前記集合管から視て、前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する前記分岐管の外面を覆う第2被覆部分と、
前記第1被覆部分及び前記第2被覆部分を繋ぐ接続部分と、
前記接続部分に取り付けられ、前記接続部分よりも剛性の大きい補強材と、
を備える
インテークマニホールド。
【請求項2】
前記補強材の前記第1方向側の端である第1端は、前記第1被覆部分の内部に位置しており、
前記補強材の前記第2方向側の端である第2端は、前記第2被覆部分の内部に位置している
請求項1に記載のインテークマニホールド。
【請求項3】
前記第1被覆部分は、発泡樹脂からなる第1発泡層を有し、
前記第2被覆部分は、発泡樹脂からなる第2発泡層を有し、
前記第1端は、前記第1発泡層の内部に位置しており、
前記第2端は、前記第2発泡層の内部に位置している
請求項2に記載のインテークマニホールド。
【請求項4】
前記補強材は、前記接続部分の表面のうち、前記インテークマニホールド本体と対向する側の面から露出していない
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のインテークマニホールド。
【請求項5】
前記第1被覆部分は、前記インテークマニホールド本体との固定箇所を1点のみ有し、
前記第2被覆部分は、前記インテークマニホールド本体との固定箇所を1点のみ有する
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のインテークマニホールド。
【請求項6】
前記接続部分は、発泡樹脂からなる第3発泡層を有し、
前記第3発泡層は、前記集合管と接している
請求項5に記載のインテークマニホールド。
【請求項7】
複数の分岐管を有するインテークマニホールド用の部品として適用されるカバーであって、
複数の分岐管のうちの1つを特定分岐管としたとき、
前記特定分岐管の外面を覆う第1被覆部分と、
前記特定分岐管に隣り合う前記分岐管の外面を覆う第2被覆部分と、
前記第1被覆部分及び前記第2被覆部分を繋ぐ接続部分と、
前記接続部分に取り付けられ、前記接続部分よりも剛性の大きい補強材と、を備える
カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インテークマニホールド、及びインテークマニホールドのカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インテークマニホールドと、インテークマニホールドを覆うカバーと、が記載されている。インテークマニホールドは、1つの集合管と、集合管から分岐する複数の分岐管と、を有している。カバーは、各分岐管の外面を覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インテークマニホールドにおいて、複数の分岐管は互いに概ね平行に延びている。そして、複数の分岐管は、各分岐管が延びる方向に対して直交する並び軸に沿って並んでいる。こうしたインテークマニホールドにおいて、集合管が、並び軸に沿う方向において隣り合う分岐管の間の位置に接続していることがある。このようなインテークマニホールドの構造にカバーを適用する場合、カバーが集合管に干渉しないようにする必要がある。そこで、カバーを、集合管から視て並び軸に沿う第1方向側の部分を覆う第1カバーと、集合管から視て第1方向とは反対方向の第2方向側の部分を覆う第2カバーとに分けることが考えられる。しかし、この場合、カバー及び当該カバーの取り付けに関する部品などの点数が増加するため、構造の複雑化及び製造工程の煩雑化の原因となり得る。
【0005】
なお、上では、集合管の接続位置により、カバーを第1カバー及び第2カバーに分ける例を示した。しかし、集合管の接続位置に限らずとも、インテークマニホールドに接続する各種の管、及びインテークマニホールドの近傍に存在する各種の部品との干渉を避けるために、カバーを第1カバー及び第2カバーに分けざるを得ないことがある。この場合も、上と同様の課題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、1つの集合管、及び前記集合管から分岐する複数の分岐管を備えるインテークマニホールド本体と、前記分岐管の外面を覆うカバーと、を備えるインテークマニホールドであって、複数の前記分岐管は、並び軸に沿う方向に並んでおり、前記集合管は、前記並び軸に沿う方向において隣り合う前記分岐管の間の位置に接続しており、前記カバーは、前記集合管から視て、前記並び軸に沿う第1方向側に位置する前記分岐管の外面を覆う第1被覆部分と、前記集合管から視て、前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する前記分岐管の外面を覆う第2被覆部分と、前記第1被覆部分及び前記第2被覆部分を繋ぐ接続部分と、前記接続部分に取り付けられ、前記接続部分よりも剛性の大きい補強材と、を備えるインテークマニホールドである。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、複数の分岐管を有するインテークマニホールド用の部品として適用されるカバーであって、複数の分岐管のうちの1つを特定分岐管としたとき、前記特定分岐管の外面を覆う第1被覆部分と、前記特定分岐管に隣り合う前記分岐管の外面を覆う第2被覆部分と、前記第1被覆部分及び前記第2被覆部分を繋ぐ接続部分と、前記接続部分に取り付けられ、前記接続部分よりも剛性の大きい補強材と、を備えるカバーである。
【0008】
上記各構成によれば、接続部分によって、第1被覆部分と第2被覆部分とが繋がれている。そのため、カバーを第1被覆部分及び第2被覆部分に分けることに伴う部品点数の増加が生じない。また、接続部分には、補強材が取り付けられている。そのため、接続部分において割れなどの破損が生じることも抑制できる。
【0009】
上記インテークマニホールドにおいて、前記補強材の前記第1方向側の端である第1端は、前記第1被覆部分の内部に位置しており、前記補強材の前記第2方向側の端である第2端は、前記第2被覆部分の内部に位置していてもよい。
【0010】
上記構成によれば、補強材は、第1被覆部分から第2被覆部分まで延びている。つまり、補強材は、接続部分より長い範囲で延びている。よって、接続部分の全体に亘って、接続部分を補強できる。
【0011】
上記インテークマニホールドにおいて、前記第1被覆部分は、発泡樹脂からなる第1発泡層を有し、前記第2被覆部分は、発泡樹脂からなる第2発泡層を有し、前記第1端は、前記第1発泡層の内部に位置しており、前記第2端は、前記第2発泡層の内部に位置していてもよい。
【0012】
上記構成によれば、補強材の第1端は、第1発泡層の内部に位置している。そのため、補強材の振動を、発泡樹脂である第1発泡層によって緩和できる。同様に、補強材の振動を第2発泡層によって緩和できる。
【0013】
上記インテークマニホールドにおいて、前記補強材は、前記接続部分の表面のうち、前記インテークマニホールド本体と対向する側の面から露出していなくてもよい。
上記構成によれば、補強材とインテークマニホールド本体とが接することを防げる。そのため、補強材とインテークマニホールド本体とが衝突することに伴う、異音の発生及び摩耗などを防止できる。
【0014】
上記インテークマニホールドにおいて、前記第1被覆部分は、前記インテークマニホールド本体との固定箇所を1点のみ有し、前記第2被覆部分は、前記インテークマニホールド本体との固定箇所を1点のみ有してもよい。
【0015】
上記構成によれば、カバーは、2点の固定箇所を有することとなり、カバーの振動を抑制できる。また、3点以上の固定箇所を有する場合と比べて、カバーをインテークマニホールド本体に取り付けるために必要な作業が増えることを抑制できる。
【0016】
上記インテークマニホールドにおいて、前記接続部分は、発泡樹脂からなる第3発泡層を有し、前記第3発泡層は、前記集合管と接していてもよい。
上記構成によれば、第3発泡層が集合管からの振動を吸収できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図6】
図1の6-6線に沿うインテークマニホールドの端面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<インテークマニホールドの一実施形態>
(全体構成)
図1に示すように、インテークマニホールド10は、インテークマニホールド本体20と、インテークマニホールド本体20の外面を覆うカバー30と、を備えている。本実施形態は、直列4気筒の内燃機関に取り付けられるインテークマニホールド10である。
【0019】
インテークマニホールド本体20は、1つの集合管21と、1つのサージタンク22と、4つの分岐管23と、を有している。なお、インテークマニホールド本体20は、樹脂製のピースを複数接合することにより形成されている。
【0020】
集合管21は、車両外部から吸気するための管である。集合管21は、インテークマニホールド本体20の上下に延びる略円筒状となっている。なお、インテークマニホールド本体20の上下に延びる軸を、第1軸AX1とする。第1軸AX1に直交する軸を第2軸AX2とする。第1軸AX1に直交し、且つ第2軸AX2に直交する軸を第3軸AX3とする。また、第1軸AX1に沿う方向の一方を上方向DUとし、上方向DUと反対方向を下方向DDとする。第2軸AX2に沿う方向の一方を第1方向D1とし、第1方向D1と反対方向を第2方向D2とする。さらに、第3軸AX3に沿う方向の一方を第3方向D3とし、第3方向D3と反対方向を第4方向D4とする。
【0021】
インテークマニホールド10が適用される内燃機関は、スロットルボディ100及び吸気管110を備えている。スロットルボディ100は、集合管21の上方向DUの端に接続している。そして、吸気管110は、スロットルボディ100における集合管21とは反対側の端に接続している。車両外部からの吸気は、吸気管110からスロットルボディ100を通り、集合管21を介して、インテークマニホールド本体20の内部へと流れる。なお、図示は省略するが、スロットルボディ100は、吸気の流量を調整するためのスロットルバルブを収容している。
【0022】
図2に示すように、サージタンク22は、集合管21におけるスロットルボディ100と反対側の端に接続している。サージタンク22は、第2軸AX2に沿う方向に長い略直方体の箱状となっている。サージタンク22は、吸気脈動を抑制するための空間を有している。
【0023】
4つの分岐管23は、それぞれサージタンク22に接続している。なお、上述したとおり、サージタンク22は集合管21に接続している。したがって、4つの分岐管23は、いずれも1つの集合管21から分岐したものである。第3軸AX3に沿う方向から分岐管23を視たとき、各分岐管23は、概ね第1軸AX1に沿って延びている。また、第2軸AX2に沿う方向から分岐管23を視たとき、各分岐管23は、サージタンク22を取り囲むように湾曲している。具体的には、
図1に示すように、分岐管23は、サージタンク22の下方向DD側の面から、サージタンク22の第3方向D3を向く面を経て、サージタンク22の上方向DU側の面に至っている。そして、
図2に示すように、分岐管23におけるサージタンク22とは反対側の開口端24は、第4方向D4、すなわち
図2における紙面手前方向を向いている。
図1に示すように、各分岐管23は、第2軸AX2に沿う方向に並んでいる。そのため、本実施形態においては、第2軸AX2が、複数の分岐管23の並び軸である。
【0024】
分岐管23の開口端24は、図示しない内燃機関の吸気ポートに接続される。そのため、インテークマニホールド本体20が内燃機関に取り付けられると、各分岐管23を流れる吸気は、4つの気筒にそれぞれ流れ込む。
【0025】
図1に示すように、4つの分岐管23のうち、第1方向D1の端に位置している分岐管23を、第1分岐管23Aとする。第1分岐管23Aの第2方向D2側に隣り合って並んでいる分岐管23を、第2分岐管23Bとする。第2分岐管23Bの第2方向D2側に隣り合って並んでいる分岐管23を、第3分岐管23Cとする。第3分岐管23Cの第2方向D2側に隣り合って並んでいる分岐管23を、第4分岐管23Dとする。
【0026】
図1に示すように、集合管21は、第2分岐管23Bと第3分岐管23Cとの間に位置している。すなわち、集合管21は、分岐管23の並び軸である第2軸AX2に沿う方向において隣り合う分岐管23の間の位置に接続している。そして、第2軸AX2に沿う方向から集合管21を視たとき、集合管21は、分岐管23の湾曲している外側から内側へと延びている。そして、集合管21の上方向DUの端は、分岐管23から視て、上方向DU側に位置している。
【0027】
第1分岐管23Aは、後述する上側カバー40を固定するためのボス26を1つ有している。ボス26は、第1分岐管23Aの他の部分に対して外側に隆起している。また、図示は省略するが、ボス26は、ボルトを挿通するためのボルト穴を有している。第4分岐管23Dは、後述する上側カバー40を固定するためのボス27を1つ有している。ボス27は、第4分岐管23Dの他の部分に対して外側に隆起している。また、図示は省略するが、ボス27は、ボルトを挿通するためのボルト穴を有している。
図1では、上側カバー40上におけるボス27に対応する箇所に、疑似的に符号を付している。なお、第2分岐管23B及び第3分岐管23Cは、上側カバー40と固定するためのボスなどを有していない。
【0028】
(カバーについて)
図1に示すように、カバー30は、上側カバー40と、下側カバー90と、を備えている。上側カバー40は、4つの分岐管23の外面のうち、上面を含む略上側半分を覆っている。下側カバー90は、4つの分岐管23の外面のうち、下面を含む略下側半分を覆っている。下側カバー90は、上側カバー40とは接続していない。つまり、下側カバー90は、上側カバー40とは別の部品として構成されている。
【0029】
上側カバー40は、第1被覆部分50と、第2被覆部分60と、を有する。第1被覆部分50は、第1分岐管23Aの外面及び第2分岐管23Bの外面を覆っている。そのため、第1被覆部分50は、集合管21から視て、第1方向D1側に位置する2つの分岐管23を覆っている。
【0030】
図3に示すように、第1被覆部分50は、第1発泡層51と、第1表層52と、の2層構造となっている。第1発泡層51は、第1分岐管23Aの外面及び第2分岐管23Bの外面の一部分を直接覆っている。第1発泡層51の材質は、発泡樹脂である。発泡樹脂としては、例えば、発泡ポリウレタンが挙げられる。
【0031】
第1表層52は、第1発泡層51における分岐管23と接する面とは反対側の面に位置している。第1表層52は、第1発泡層51の外面の一部を覆っている。第1表層52の材質は、未発泡の樹脂である。例えば、第1表層52の材質は、発泡していないポリプロピレンである。
【0032】
第1被覆部分50は、第1分岐管23Aの上面との固定箇所53を1点のみ有している。この実施形態では、固定箇所53は、ボルトが挿通される孔である。ボルトが、固定箇所53及び第1分岐管23Aのボス26に挿通されることにより、第1被覆部分50が第1分岐管23Aに固定されている。なお、第1被覆部分50は、他の箇所ではインテークマニホールド本体20とは固定されていない。そのため、第1被覆部分50は、固定箇所53のみでインテークマニホールド本体20と固定されている。
【0033】
図1に示すように、第2被覆部分60は、第3分岐管23Cの外面及び第4分岐管23Dの外面を覆っている。そのため、第2被覆部分60は、集合管21から視て、第2方向D2側に位置する2つの分岐管23を覆っている。また、本実施形態では、第1被覆部分50が第2分岐管23Bの外面を覆っており、第2被覆部分60が第3分岐管23Cの外面を覆っている。したがって、第2分岐管23Bを特定分岐管としたとき、第2被覆部分60は、特定分岐管に隣り合う分岐管である第3分岐管23Cの外面を覆っている。
【0034】
図3に示すように、第2被覆部分60は、第2発泡層61と、第2表層62と、の2層構造となっている。第2発泡層61は、第3分岐管23Cの外面及び第4分岐管23Dの外面の一部分を直接覆っている。第2発泡層61の材質は、第1発泡層51の材質と同じである。
【0035】
第2表層62は、第2発泡層61における分岐管23と接する面とは反対側の面に位置している。第2表層62は、第2発泡層61の外面の一部を覆っている。第2表層62の材質は、未発泡の樹脂である。本実施形態では、第2表層62の材質は、第1表層52の材質と同じである。
【0036】
第2被覆部分60は、第4分岐管23Dの上面との固定箇所63を1点のみ有している。この実施形態では、固定箇所63は、ボルトが挿通される孔である。ボルトが、固定箇所63及び第4分岐管23Dのボス27に挿通されることにより、第2被覆部分60が第4分岐管23Dに固定されている。なお、第2被覆部分60は、他の箇所ではインテークマニホールド本体20とは固定されていない。そのため、第2被覆部分60は、固定箇所63のみでインテークマニホールド本体20と固定されている。
【0037】
図1に示すように、上側カバー40は、接続部分70を有している。接続部分70は、第1被覆部分50と、第2被覆部分60を繋いでいる。接続部分70は、全体として第2軸AX2に沿う方向に延びている。
【0038】
接続部分70は、第3発泡層のみからなる1層構造である。接続部分70の材質は、第1発泡層51及び第2発泡層61の材質と同じである。本実施形態では、接続部分70は、第1発泡層51及び第2発泡層61との一体成形物である。そのため、接続部分70は、第1被覆部分50の第1発泡層51及び第2被覆部分60の第2発泡層61を繋いでいる。
【0039】
下側カバー90は、第1被覆部分50と同様に、発泡層と表層との2層構造となっている。下側カバー90の発泡層の材質は、第1発泡層51と同じである。下側カバー90の表層の材質は、第1表層52と同じである。
【0040】
(補強材について)
図1に示すように、上側カバー40は、補強材80を備えている。補強材80は、全体として第2軸AX2に沿う方向に延びている。補強材80は、接続部分70に取り付けられている。補強材80の材質は、金属である。例えば、補強材80の材質は、ステンレスである。補強材80の剛性は、接続部分70の剛性よりも大きくなっている。本実施形態における剛性とは、曲げ剛性である。曲げ剛性を比較するにあたっては、補強材80を構成する材質と接続部分70を構成する材質との双方で、同一寸法の試験片を用意する。そして、各試験片において曲げ剛性を比較することで、補強材80の剛性と接続部分70の剛性とを比較できる。
【0041】
図4に示すように、補強材80は、第1部分81と、第2部分82と、第1部分81及び第2部分82を繋ぐ中央部分83と、を有している。
第1部分81は、板状であり、第1軸AX1に略直交する面に沿って広がっている。
図5に示すように、第1部分81は、第1被覆部分50の第1発泡層51の内部にすべて埋まっている。つまり、第1部分81は、第1発泡層51の外部に露出していない。そのため、
図3に示すように、補強材80の第1方向D1側の端である第1端80Aは、第1被覆部分50の内部に位置している。より詳細には、補強材80の第1端80Aは、第1発泡層51の内部に位置しているため、第1部分81は第1表層52に接触していない。
【0042】
図4に示すように、第2部分82は、板状であり、第1軸AX1に略直交する面に沿って広がっている。第2部分82は、第2被覆部分60の第2発泡層61の内部にすべて埋まっている。つまり、第2部分82は、第2発泡層61の外部に露出していない。そのため、
図3に示すように、補強材80の第2方向D2側の端である第2端80Bは、第2被覆部分60の内部に位置している。より詳細には、補強材80の第2端80Bは、第2発泡層61の内部に位置しているため、第2部分82は第2表層62に接触していない。
【0043】
図4に示すように、中央部分83は、板状であり、全体として第3軸AX3に略直交する面に沿って広がっている。そして、中央部分83の第1方向D1の端は、第1部分81に接続している。また、中央部分83の第2方向D2の端は、第2部分82に接続している。
【0044】
図3に示すように、中央部分83の大部分は、接続部分70の内部に埋まっている。そして、中央部分83は、接続部分70の表面のうち、インテークマニホールド本体20と対向する側の面から露出していない。そのため、
図6に示すように、中央部分83は、集合管21と接触していない。一方で、接続部分70は、集合管21と接している。
【0045】
一方で、
図3に示すように、中央部分83の一部分は、接続部分70から露出している。
図6に示すように、接続部分70から露出している箇所は、接続部分70の第3方向D3を向く面の一部である。そのため、中央部分83は、接続部分70のうち、インテークマニホールド本体20と対向する側の面とは反対側の面から露出している。
【0046】
(実施形態の作用について)
上記実施形態では、インテークマニホールド本体20において、集合管21は、分岐管23の並び軸である第2軸AX2に沿う方向において隣り合う第2分岐管23Bと第3分岐管23Cとの間に位置している。そのため、4つの分岐管23の外面のうち、上面を含む範囲を覆う上側カバー40を設計するうえで、集合管21と干渉しないように設計する必要がある。仮に、上側カバー40を、集合管21から視て第1方向D1側の部分を覆う第1被覆部分50と、集合管21から視て第2方向D2側の部分を覆う第2被覆部分60と、の2部品に分けるとする。この場合、上側カバー40としての部品点数が増加するため、製造工程の煩雑化の原因となる。
【0047】
また、上述したように、上側カバー40を、第1被覆部分50と、第2被覆部分60と、の2部品に分けたとする。この場合、第1被覆部分50が、インテークマニホールド本体20と1点のみで固定されているとすると、インテークマニホールド本体20の振動によって、第1被覆部分50が振動してしまう。そのため、インテークマニホールド本体20の振動を、第1被覆部分50で防ぐことができなくなる虞がある。この点、第2被覆部分60についても同様である。
【0048】
(実施形態の効果について)
(1)上記実施形態では、上側カバー40において、接続部分70が、第1被覆部分50と第2被覆部分60とを繋いでいる。そのため、上側カバー40を第1被覆部分50及び第2被覆部分60に分けることに伴う部品点数の増加が生じない。
【0049】
ところで、上側カバー40と集合管21との干渉を避けるために、接続部分70の寸法を小さくせざるを得ない場合がある。上記実施形態によれば、接続部分70には、補強材80が取り付けられている。よって、接続部分70の寸法が小さくなることで接続部分70の剛性が低下したとしても、補強材80により、接続部分70の剛性を補うことができる。そのため、接続部分70において割れなどの破損が生じることも抑制できる。
【0050】
(2)上記実施形態によれば、補強材80の第1端80Aは、第1被覆部分50の内部に位置している。また、補強材80の第2端80Bは、第2被覆部分60の内部に位置している。すなわち、補強材80は、第1被覆部分50から第2被覆部分60まで延びている。このように補強材80は、接続部分70よりも第2軸AX2に沿う方向に長い範囲で延びている。よって、補強材80は、接続部分70の全体に亘って、接続部分70を補強できる。
【0051】
(3)上記実施形態によれば、補強材80の第1端80Aは、第1発泡層51の内部に位置している。また、補強材80の第2端80Bは、第2発泡層61の内部に位置している。そのため、インテークマニホールド本体20の振動が、補強材80に伝わって、補強材80が振動しても、補強材80の振動は、発泡樹脂である第1発泡層51、第2発泡層61及び接続部分70によって緩和できる。
【0052】
(4)上記実施形態によれば、補強材80は、接続部分70の表面のうち、インテークマニホールド本体20と対向する側の面から露出していない。これにより、補強材80とインテークマニホールド本体20とが接することを防げる。そのため、補強材80が振動しても、補強材80とインテークマニホールド本体20とが衝突することに伴う、異音の発生及び摩耗などを防止できる。
【0053】
(5)上記実施形態によれば、接続部分70が第1被覆部分50と第2被覆部分60とを繋いでいる。そのうえで、第1被覆部分50は、インテークマニホールド本体20と固定する固定箇所53を1点のみ有している。また、第2被覆部分60は、インテークマニホールド本体20と固定する固定箇所63を1点のみ有している。よって、上側カバー40は、全体として2点の固定箇所を有することとなり、上側カバー40の振動を抑制できる。また、3点以上の固定箇所が必要となることで、取り付けに必要な作業が増えることを抑制できる。
【0054】
さらに、接続部分70の剛性が不足すると、上側カバー40の固定箇所が2点のみでは、上側カバー40の振動を抑制できなくなる虞がある。上記実施形態によれば、補強材80が接続部分70に取り付けられている。そのため、第1被覆部分50と第2被覆部分60とがそれぞれ振動することを抑制できる。よって、上側カバー40の固定箇所が2点のみの構成を実現できる。
【0055】
(6)上記実施形態によれば、接続部分70は、発泡樹脂からなる発泡層からなっている。そして、接続部分70は、集合管21と接している。そのため、発泡層の接続部分70は、集合管21からの振動を吸収できる。
【0056】
<その他の実施形態>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0057】
・インテークマニホールド本体20の形状は、上記実施形態の例に限られない。インテークマニホールド本体20は、複数の分岐管23を有していればよい。そのため、例えば、直列3気筒の内燃機関に取り付けられるインテークマニホールド本体20であってもよいし、V型配列、水平対向配列の内燃機関に取り付けられるインテークマニホールド本体20であってもよい。
【0058】
・分岐管23の数は、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。インテークマニホールド本体20が取り付けられる内燃機関の気筒の数に併せて適宜変更されればよい。
【0059】
・上記実施形態においては、上側カバー40において、接続部分70及び補強材80を適用する例を示したが、下側カバー90が、接続部分70及び補強材80を有していてもよい。
【0060】
・上記実施形態において、カバー30のうち、下側カバー90を省いてもよい。また、インテークマニホールド10の振動等にあわせて、下側カバー90の形状等は、適宜変更されてもよい。
【0061】
・上記実施形態において、第1被覆部分50は、2層構造に限られない。例えば、第1被覆部分50は、第1発泡層51のみで構成されていてもよいし、第1表層52のみで構成されていてもよい。また、第1被覆部分50は、第1発泡層51及び第1表層52に加えて、他の層を有していてもよい。第1被覆部分50が、発泡樹脂の層を有していると、インテークマニホールド本体20からの振動や音を吸収しやすい。この点、第2被覆部分60も同様である。
【0062】
・上記実施形態において、第1表層52の材質は、未発泡の樹脂に限られない。第1表層52の材質は、第1発泡層51とは発泡率の異なる発泡樹脂であってもよい。第1表層52と第1発泡層51とで発泡率を異ならせることで、広い周波数域での吸音効果が期待できる。この点、第2発泡層61及び第2表層62についても同様である。
【0063】
・上記実施形態において、第1被覆部分50は、少なくとも第2分岐管23Bの外面を覆っていればよい。そのため、第1被覆部分50は、第1分岐管23Aを覆っていなくてもよい。この点、第2被覆部分60についても同様に、第2被覆部分60は、少なくとも第3分岐管23Cを覆っていればよい。そのため、第2被覆部分60は、第4分岐管23Dを覆っていなくてもよい。
【0064】
・第1被覆部分50は、インテークマニホールド本体20と固定する固定箇所を、複数点有していてもよい。この点、同様に、第2被覆部分60は、インテークマニホールド本体20と固定する固定箇所を、複数有していてもよい。
【0065】
・固定箇所53又は固定箇所63を省いてもよい。すなわち、上側カバー40が、固定箇所53又は固定箇所63の1点のみで、インテークマニホールド本体20に固定されていてもよい。
【0066】
・接続部分70の第3発泡層は、集合管21と接していなくてもよい。
・接続部分70は、発泡樹脂からなる第3発泡層に加えて、他の層を有していてもよい。例えば、接続部分70は、第3発泡層と、第3表層と、の2層構造となっていてもよい。この場合、例えば第3発泡層の材質は、第1発泡層51の材質と同様であってもよいし、第3表層の材質は、第1表層52の材質と同様であってもよい。また例えば、接続部分70は、非発泡性の樹脂のみからなっていてもよい。
【0067】
・補強材80の材質は、金属に限られない。例えば、補強材80の材質は、接続部分70の剛性よりも大きければよく、炭素繊維強化樹脂であってもよいし、ガラス繊維強化樹脂であってもよい。少なくとも、補強材80の剛性が、接続部分70の剛性よりも大きければよい。この点、補強材80の材質が、接続部分70の材質よりも、強度の大きい材質であると、体積の制限がある場合であっても、補強材80が接続部分70を補強しやすい。
【0068】
・補強材80の第1方向D1の端に位置する第1端80Aは、第1表層52の内部に位置していてもよい。すなわち、補強材80の第1端80Aは、第1発泡層51の内部に位置していなくてもよい。この場合であっても、補強材80の第1端80Aは、第1被覆部分50の内部に位置していると、補強材80とインテークマニホールド本体20が接触することを防止できる。この点、補強材80の第2端80Bについても同様である。
【0069】
・補強材80の第1方向D1の端に位置する第1端80Aは、第1被覆部分50の外部に位置していてもよい。例えば、補強材80は、第1表層52の上面に張り付けられていてもよい。この場合であっても、補強材80が、接続部分70の延びる範囲より長く延びていれば、接続部分70を全体に亘って補強できる。この点、補強材80の第2端80Bについても同様である。
【0070】
・補強材80の第1端80Aは、第2軸AX2に沿う方向において、第1被覆部分50まで延びていなくてもよい。すなわち、補強材80の延びる範囲は、接続部分70の延びる範囲よりも短くてもよい。この場合であっても、補強材80は、接続部分70を補強できる。この点、補強材80の第2端80Bについても同様である。
【0071】
・補強材80は、接続部分70の外部に取り付けられていてもよい。この場合であっても、補強材80は、接続部分70を補強できる。
・補強材80の形状は、上記実施形態の例に限られない。接続部分70の形状や、インテークマニホールド本体20の形状に併せて、適宜変更されてもよい。少なくとも、接続部分70に取り付けられていればよい。
【0072】
・カバー30を適用するインテークマニホールド10のインテークマニホールド本体20において、集合管21が、複数の分岐管23の間に位置していれば、接続部分70及び補強材80による効果を得ることができる。この点、上側カバー40が適用されるインテークマニホールド本体20において、集合管21が複数の分岐管23の間に位置していることは必須ではない。上側カバー40を適用するインテークマニホールド10に接続する各種の管、及びインテークマニホールド10の近傍に存在する各種の部品との干渉を避ける必要がある場合にも、接続部分70及び補強材80による効果を得ることができる。
【0073】
例えば、インテークマニホールド20本体から負圧を得るために、インテークマニホールド本体20には、バキュームホースが取り付けられることがある。このとき、バキュームホースが、隣り合う分岐管23の間を通るように取り付けられる場合がある。このような場合にも、上側カバー40を複数に分ける必要性が発生する。
【0074】
また例えば、インテークマニホールド本体20に排ガスを導入するための管が取り付けられることがある。この場合にも、管が、隣り合う分岐管23の間を通るように位置すると、上側カバー40を複数に分ける必要性が発生する。
【0075】
このようなインテークマニホールド10に上側カバー40を適用する場合であっても、接続部分70によって、第1被覆部分50と第2被覆部分60とが繋がれている。そのため、上側カバー40を複数に分けることで部品点数が増えることを抑制できる。また、接続部分70に取り付けられている補強材80により、接続部分70を補強できる。すなわち、カバー30は、複数の分岐管23を有するインテークマニホールド10用の部品として適用されればよい。このとき、複数の分岐管23のうちの1つを特定分岐管としたとき、カバー30において、第1被覆部分50が特定分岐管の外面を覆い、第2被覆部分60が特定分岐管に隣り合う分岐管23の外面を覆っていればよい。そのため、インテークマニホールド本体20の形状は、上記実施形態の例に限られない。
【符号の説明】
【0076】
10…インテークマニホールド
20…インテークマニホールド本体
21…集合管
22…サージタンク
23…分岐管
23A…第1分岐管
23B…第2分岐管
23C…第3分岐管
23D…第4分岐管
30…カバー
40…上側カバー
50…第1被覆部分
51…第1発泡層
52…第1表層
53…固定箇所
60…第2被覆部分
61…第2発泡層
62…第2表層
63…固定箇所
70…接続部分
80…補強材
80A…第1端
80B…第2端
90…下側カバー