特開 2022-182779 情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022182779

(43)【公開日】2022-12-08

(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム

(51)【国際特許分類】

   G06Q 10/00 20120101AFI20221201BHJP

   G06Q 40/00 20120101ALI20221201BHJP

【ＦＩ】

G06Q10/00

G06Q40/00 400

【審査請求】未請求

【請求項の数】5

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021090506

(22)【出願日】2021-05-28

(71)【出願人】

【識別番号】398040527

【氏名又は名称】株式会社オービック

(74)【代理人】

【識別番号】110002147

【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】飯田 雄教

(72)【発明者】

【氏名】藤井 愼

(72)【発明者】

【氏名】上野 剛光

【テーマコード（参考）】

5L049

5L055

【Ｆターム（参考）】

5L049AA00

5L055BB63

(57)【要約】

【課題】契約金額の増減を加味して進行売上を算出することができるようにする。
【解決手段】本実施形態では、受注契約の契約金額の変動見込時期と変動見込金額を登録する登録手段と、変動見込時期以降の予算時期別に、契約金額に変動見込金額を加味した加味後金額と予算時期に応じた進捗率との積を、累計進行売上金額として算出し、算出した累計進行売上金額と直前の予算時期の累計進行売上金額との差を、単期進行売上金額として算出する見込情報基準算出手段と、契約金額が更新されると、更新が行われた時期以降の予算時期別に、更新後の契約金額と進捗率との積を、累計進行売上金額として算出し、算出した累計進行売上金額と直前の予算時期の累計進行売上金額との差を、単期進行売上金額として算出する確定情報基準算出手段と、契約金額が更新されると、変動見込情報データ内の情報を削除する削除手段と、を備える。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

制御部を備える情報処理装置であって、
一定の期間にわたる受注契約に関する情報を管理するための契約情報データと、
前記受注契約の契約金額の変動に関する見込み情報を管理するための変動見込情報データと、
にアクセス可能であり、
前記制御部は、
前記受注契約の契約金額の変動見込時期と変動見込金額を、前記変動見込情報データに登録する登録手段と、
前記変動見込情報データ内の変動見込時期以降の予算時期別に、前記契約情報データ内の契約金額に前記変動見込情報データ内の変動見込金額を加味した加味後金額と予算時期に応じた進捗率との積を、累計進行売上金額として算出し、当該変動見込時期以降の予算時期別に、当該算出した累計進行売上金額と直前の予算時期の累計進行売上金額との差を、単期進行売上金額として算出する見込情報基準算出手段と、
前記契約情報データ内の契約金額が更新されると、当該更新が行われた時期以降の予算時期別に、当該更新後の契約金額と前記進捗率との積を、累計進行売上金額として算出し、当該更新が行われた時期以降の予算時期別に、当該算出した累計進行売上金額と直前の予算時期の累計進行売上金額との差を、単期進行売上金額として算出する確定情報基準算出手段と、
前記契約情報データ内の契約金額が更新されると、前記変動見込情報データ内の情報を削除する削除手段と、
を備えること、
を特徴とする情報処理装置。

【請求項2】

前記予算時期別に、前記予算時期までの前記予算金額の累計と、前記予算時期に応じた予算金額とに基づいて前記進捗率を算出する
請求項１に記載の情報処理装置。

【請求項3】

前記単期進行売上金額を出力する
請求項１または請求項２に記載の情報処理装置。

【請求項4】

一定の期間にわたる受注契約に関する情報を管理するための契約情報データと、前記受注契約の契約金額の変動に関する見込み情報を管理するための変動見込情報データと、にアクセス可能な、制御部を備える情報処理装置の前記制御部が、
前記受注契約の契約金額の変動見込時期と変動見込金額を、前記変動見込情報データに登録し、前記変動見込情報データ内の変動見込時期以降の予算時期別に、前記契約情報データ内の契約金額に前記変動見込情報データ内の変動見込金額を加味した加味後金額と予算時期に応じた進捗率との積を、累計進行売上金額として算出し、当該変動見込時期以降の予算時期別に、当該算出した累計進行売上金額と直前の予算時期の累計進行売上金額との差を、単期進行売上金額として算出し、
前記契約情報データ内の契約金額が更新されると、当該更新が行われた時期以降の予算時期別に、当該更新後の契約金額と前記進捗率との積を、累計進行売上金額として算出し、当該更新が行われた時期以降の予算時期別に、当該算出した累計進行売上金額と直前の予算時期の累計進行売上金額との差を、単期進行売上金額として算出し、
前記契約情報データ内の契約金額が更新されると、前記変動見込情報データ内の情報を削除する、
ことを特徴とする情報処理方法。

【請求項5】

コンピュータに、
一定の期間にわたる受注契約に関する情報を管理するための契約情報データと、前記受注契約の契約金額の変動に関する見込み情報を管理するための変動見込情報データと、にアクセスする処理と、
前記受注契約の契約金額の変動見込時期と変動見込金額を、前記変動見込情報データに登録し、前記変動見込情報データ内の変動見込時期以降の予算時期別に、前記契約情報データ内の契約金額に前記変動見込情報データ内の変動見込金額を加味した加味後金額と予算時期に応じた進捗率との積を、累計進行売上金額として算出し、当該変動見込時期以降の予算時期別に、当該算出した累計進行売上金額と直前の予算時期の累計進行売上金額との差を、単期進行売上金額として算出する処理と、
前記契約情報データ内の契約金額が更新されると、当該更新が行われた時期以降の予算時期別に、当該更新後の契約金額と前記進捗率との積を、累計進行売上金額として算出し、当該更新が行われた時期以降の予算時期別に、当該算出した累計進行売上金額と直前の予算時期の累計進行売上金額との差を、単期進行売上金額として算出する処理と、
前記契約情報データ内の契約金額が更新されると、前記変動見込情報データ内の情報を削除する処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。

【背景技術】

【0002】

工事や情報システムの受託開発等のプロジェクトの売上計上については、工事売上基準を適用して売上高を計上することが行われている。

【0003】

工事進行基準で売上を算出する発明としては、例えば、特許文献１に開示された工事進行基準計上装置がある。特許文献１に開示された工事進行基準計上装置は、工事売上基準で原価比例法を採用し、工事の進捗率である原価進捗率を用いて売上計上を行う。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２０１９－４６１６８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

売上をプロジェクトの毎月の進捗に応じて計上していく企業においては、各月の売上金額を予測し、予測した売上金額を経営判断に利用したいとの需要がある。

【0006】

しかしながら、プロジェクトの契約においては、契約金額の変動が予め見込まれる場合がある。この場合、契約金額が変動すると、各月の売上金額も変動するため、契約金額の変動を加味して変動後の各月の売上を予測できる情報処理手段が望まれるが、この要望を満たす情報処理手段は、これまで存在しなかった。

【0007】

本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、契約金額の増減を加味して進行売上を算出する情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0008】

上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、一定の期間にわたる受注契約に関する情報を管理するための契約情報データと、前記受注契約の契約金額の変動に関する見込み情報を管理するための変動見込情報データと、にアクセス可能であり、前記制御部は、前記受注契約の契約金額の変動見込時期と変動見込金額を、前記変動見込情報データに登録する登録手段と、前記変動見込情報データ内の変動見込時期以降の予算時期別に、前記契約情報データ内の契約金額に前記変動見込情報データ内の変動見込金額を加味した加味後金額と予算時期に応じた進捗率との積を、累計進行売上金額として算出し、当該変動見込時期以降の予算時期別に、当該算出した累計進行売上金額と直前の予算時期の累計進行売上金額との差を、単期進行売上金額として算出する見込情報基準算出手段と、前記契約情報データ内の契約金額が更新されると、当該更新が行われた時期以降の予算時期別に、当該更新後の契約金額と前記進捗率との積を、累計進行売上金額として算出し、当該更新が行われた時期以降の予算時期別に、当該算出した累計進行売上金額と直前の予算時期の累計進行売上金額との差を、単期進行売上金額として算出する確定情報基準算出手段と、前記契約情報データ内の契約金額が更新されると、前記変動見込情報データ内の情報を削除する削除手段と、を備えること、を特徴とする。

【0009】

また、本発明に係る情報処理装置は、前記予算時期別に、前記予算時期までの前記予算金額の累計と、前記予算時期に応じた予算金額とに基づいて前記進捗率を算出する。

【0010】

また、本発明に係る情報処理装置は、前記単期進行売上金額を出力する。

【0011】

また、本発明に係る情報処理方法は、一定の期間にわたる受注契約に関する情報を管理するための契約情報データと、前記受注契約の契約金額の変動に関する見込み情報を管理するための変動見込情報データと、にアクセス可能な、制御部を備える情報処理装置の前記制御部が、前記受注契約の契約金額の変動見込時期と変動見込金額を、前記変動見込情報データに登録し、前記変動見込情報データ内の変動見込時期以降の予算時期別に、前記契約情報データ内の契約金額に前記変動見込情報データ内の変動見込金額を加味した加味後金額と予算時期に応じた進捗率との積を、累計進行売上金額として算出し、当該変動見込時期以降の予算時期別に、当該算出した累計進行売上金額と直前の予算時期の累計進行売上金額との差を、単期進行売上金額として算出し、前記契約情報データ内の契約金額が更新されると、当該更新が行われた時期以降の予算時期別に、当該更新後の契約金額と前記進捗率との積を、累計進行売上金額として算出し、当該更新が行われた時期以降の予算時期別に、当該算出した累計進行売上金額と直前の予算時期の累計進行売上金額との差を、単期進行売上金額として算出し、前記契約情報データ内の契約金額が更新されると、前記変動見込情報データ内の情報を削除する、ことを特徴とする。

【0012】

また、本発明に係るプログラムは、コンピュータに、一定の期間にわたる受注契約に関する情報を管理するための契約情報データと、前記受注契約の契約金額の変動に関する見込み情報を管理するための変動見込情報データと、にアクセスする処理と、前記受注契約の契約金額の変動見込時期と変動見込金額を、前記変動見込情報データに登録し、前記変動見込情報データ内の変動見込時期以降の予算時期別に、前記契約情報データ内の契約金額に前記変動見込情報データ内の変動見込金額を加味した加味後金額と予算時期に応じた進捗率との積を、累計進行売上金額として算出し、当該変動見込時期以降の予算時期別に、当該算出した累計進行売上金額と直前の予算時期の累計進行売上金額との差を、単期進行売上金額として算出する処理と、前記契約情報データ内の契約金額が更新されると、当該更新が行われた時期以降の予算時期別に、当該更新後の契約金額と前記進捗率との積を、累計進行売上金額として算出し、当該更新が行われた時期以降の予算時期別に、当該算出した累計進行売上金額と直前の予算時期の累計進行売上金額との差を、単期進行売上金額として算出する処理と、前記契約情報データ内の契約金額が更新されると、前記変動見込情報データ内の情報を削除する処理と、を実行させることを特徴とする。

【発明の効果】

【0013】

本発明によれば、契約金額の増減を加味して進行売上を算出することができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【0014】

【図1】図１は、実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。

【図2】図２は、実施形態に係る情報処理装置が管理する契約情報データ、変動見込情報データ及び実行予算情報データの一例を示す図である。

【図3】図３は、実施形態に係る情報処理装置が管理する契約情報データ、変動見込情報データ及び実行予算情報データの一例を示す図である。

【図4】図４は、実施形態に係る情報処理装置が管理する契約情報データ、変動見込情報データ及び実行予算情報データの一例を示す図である。

【図5】図５は、実施形態に係る情報処理装置で実行される計算処理の手順の一例を示すフロー図である。

【図6】図６は、実施形態に係る情報処理装置で実行される計算処理の手順の一例を示すフロー図である。

【図7】図７は、実施形態の構成を採用しない場合のデータの一例を示す図である。

【図8】図８は、実施形態の構成を採用しない場合のデータの一例を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0015】

以下に、本発明に係る情報処理装置、情報処理方法およびプログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。

【0016】

［１．構成］
本実施形態にかかる情報処理装置１００の構成の一例について、図１を参照して説明する。図１は、実施形態にかかる情報処理装置１００の構成の一例を示すブロック図である。

【0017】

情報処理装置１００は、工事や情報システムの受託開発等のプロジェクトにおいて、工事進行基準を採用して原価比例法で売上を毎月の進捗に応じて計算し、契約金額の変更が見込まれる場合、契約金額の増減額を加味して進行売上を計算する装置である。情報処理装置１００は、例えば工事や情報システムの受託開発等のプロジェクトを請け負う事業所に設置される。

【0018】

情報処理装置１００は、例えば、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。ただし、情報処理装置１００は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、ＰＤＡ（Ｐｅｒｓｏｎａｌ Ｄｉｇｉｔａｌ Ａｓｓｉｓｔａｎｔｓ）、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。

【0019】

情報処理装置１００は、制御部１０２と通信インターフェース部１０４と記憶部１０６と入出力インターフェース部１０８と、を備えている。情報処理装置１００が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。

【0020】

通信インターフェース部１０４は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、情報処理装置１００をネットワーク３００に通信可能に接続する。通信インターフェース部１０４は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク３００は、情報処理装置１００とサーバ２００とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやＬＡＮ（Ｌｏｃａｌ Ａｒｅａ Ｎｅｔｗｏｒｋ）等である。なお、記憶部１０６に格納されるデータは、例えばサーバ２００に格納されてもよい。

【0021】

入出力インターフェース部１０８には、入力装置１１２および出力装置１１４が接続されている。出力装置１１４には、モニタ（家庭用テレビを含む）の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置１１２には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置１１４をモニタ１１４とし、入力装置１１２をキーボード１１２またはマウス１１２として記載する場合がある。

【0022】

記憶部１０６には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部１０６には、ＯＳ（Ｏｐｅｒａｔｉｎｇ Ｓｙｓｔｅｍ）と協働してＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部１０６として、例えば、ＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）・ＲＯＭ（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部１０６には、例えば、契約情報データ１０６ａ、変動見込情報データ１０６ｂ、及び実行予算情報データ１０６ｃが格納されている。

【0023】

契約情報データ１０６ａは、一定の期間にわたるプロジェクトの受注契約を一意に識別する契約番号、当該プロジェクトの契約金額、及び当該プロジェクトの予算金額を含むデータである。

【0024】

変動見込情報データ１０６ｂは、契約番号、契約番号で識別されるプロジェクトにおいて契約金額の変動が見込まれる時期としての年月である変動見込時期、及び契約金額の増減の見込金額である変動見込金額を含むデータである。

【0025】

実行予算情報データ１０６ｃは、契約番号と、当該契約番号で識別されるプロジェクトの進行売上金額を含むデータである。実行予算情報データ１０６ｃの詳細については後述する。

【0026】

制御部１０２は、情報処理装置１００を統括的に制御するＣＰＵ等である。制御部１０２は、ＯＳ等の制御プログラムや各種の処理手順等を規定したプログラム、所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部１０２は、機能概念的に、登録部１０２ａ、見込情報基準算出部１０２ｂ、確定情報基準算出部１０２ｃ及び削除部１０２ｄを備えている。

【0027】

登録手段としての登録部１０２ａは、入力装置１１２で入力された変動見込時期と変動見込金額を変動見込情報データ１０６ｂに登録する。

【0028】

見込情報基準算出手段としての見込情報基準算出部１０２ｂは、変動見込情報データ１０６ｂが含む変動見込時期以降の予算時期別に、契約情報データ１０６ａが含む契約金額に変動見込情報データ１０６ｂが含む変動見込金額を加味した加味後金額としての増減加味後契約金額と、予算時期に応じた進捗率との積を、累計進行売上金額として算出し、変動見込時期以降の予算時期別に、算出した累計進行売上金額と直前の予算時期の累計進行売上金額との差を、単期進行売上金額として算出する。

【0029】

確定情報基準算出手段としての確定情報基準算出部１０２ｃは、契約情報データ１０６ａが含む契約金額が更新されると、更新が行われた時期以降の予算時期別に、更新後の契約金額と進捗率との積を、累計進行売上金額として算出し、更新が行われた時期以降の予算時期別に、算出した累計進行売上金額と直前の予算時期の累計進行売上金額との差を、単期進行売上金額として算出する。

【0030】

削除手段としての削除部１０２ｄは、契約情報データ１０６ａが含む契約金額が更新されると、変動見込情報データ１０６ｂが含む変動見込時期と変動見込金額を削除する。

【0031】

［２．処理の具体例］
ここでは、情報処理装置１００で実行される処理の具体例について、図２から図４を参照して説明する。

【0032】

図２は、例えば２０２１年の４月から７月の期間に行われる契約番号がＫ００１のプロジェクトについて、４月度の時点における契約情報データ１０６ａ、変動見込情報データ１０６ｂ、及び実行予算情報データ１０６ｃの一例を示す図である。４月度の時点において、変動見込時期と、変動見込金額とが未確定である場合、変動見込情報データ１０６ｂは、図２に示すように、変動見込時期と、変動見込金額を含まないデータとなっている。

【0033】

図２に示すように、実行予算情報データ１０６ｃは、契約番号、予算時期、単期予算金額、累計予算金額、原価進捗率、増減加味後契約金額、累計進行売上金額、単期進行売上金額を含む。実行予算情報データ１０６ｃにおいては、契約番号、予算時期、及び単期予算金額は、例えば予め入力装置１１２で入力されて登録される。

【0034】

予算時期は、プロジェクトの期間に係る年及び月である。

【0035】

単期予算金額は、同じレコードの予算時期におけるプロジェクトの予算金額である。例えば、図２に示す実行予算情報データ１０６ｃの場合、２０２１年４月度の予算時期においては、単期予算金額が、６００，０００とされている。

【0036】

累計予算金額は、同じレコードの予算時期までの単期予算金額の累計である。例えば、図２に示す実行予算情報データ１０６ｃの場合、２０２１年４月度の単期予算金額が６００，０００であり、２０２１年５月度の単期予算金額が１００，０００であるため、２０２１年５月度の累計予算金額は、６００，０００＋１００，０００＝７００，０００となっている。

【0037】

原価進捗率は、単期予算金額÷予算金額×１００で算出される。原価進捗率の計算に用いられる予算金額は、実行予算情報データ１０６ｃに含まれている契約番号と同じ契約番号を含む契約情報データ１０６ａに含まれている予算金額である。例えば、図２に示す実行予算情報データ１０６ｃの場合、２０２１年４月度の原価進捗率は、６００，０００÷１，０００，０００×１００＝６０％となっている。

【0038】

増減加味後契約金額は、変動見込情報データ１０６ｂの変動見込時期より前の月については、契約情報データ１０６ａの契約金額が反映され、変動見込時期以降の月については、契約情報データ１０６ａの契約金額＋変動見込情報データ１０６ｂの変動見込金額で算出される。なお、図２に示すように、変動見込情報データ１０６ｂに変動見込時期及び変動見込金額が含まれていない場合、増減加味後契約金額は、契約情報データ１０６ａの契約金額となる。

【0039】

累計進行売上金額は、予算時期毎に増減加味後契約金額×原価進捗率÷１００で算出される。例えば、図２に示す実行予算情報データ１０６ｃの場合、２０２１年４月度の累計進行売上金額は、１，５００，０００×６０÷１００＝９００，０００となっている。

【0040】

単期進行売上金額は、予算時期毎に累計進行売上金額－前月の累計進行売上金額で算出される。例えば、図２に示す実行予算情報データ１０６ｃの場合、２０２１年５月度の単期進行売上金額は、５月度の累計進行売上金額－４月度の累計進行売上金額で算出され、１，０５０，０００－９００，０００＝１５０，０００となっている。

【0041】

見込情報基準算出部１０２ｂは、契約番号がＫ００１、契約金額が１，５００，０００、予算金額が１，０００，０００であるプロジェクトについて、４月度の時点では変動見込時期及び変動見込金額が未確定であるため、図２に示すように契約金額の１，５００，０００に基づいて４月度から７月度までのそれぞれの単期進行売上金額を算出する。

【0042】

次に図３は、５月度の時点において契約金額の増減が見込まれ、変動見込時期が６月となり、変動見込金額が－２８０，０００となった場合の契約情報データ１０６ａ、変動見込情報データ１０６ｂ、及び実行予算情報データ１０６ｃを示す図である。登録部１０２ａは、入力装置１１２で入力された変動見込時期と変動見込金額を変動見込情報データ１０６ｂに登録する。

【0043】

確定情報基準算出部１０２ｃは、変動見込時期と変動見込金額が登録されると、増減加味後契約金額を再計算する。図３に示すように、変動見込時期が２０２１年６月度である場合、確定情報基準算出部１０２ｃは、契約金額の変動が見込まれる６月度以降について、増減加味後契約金額を契約情報データ１０６ａの契約金額＋変動見込情報データ１０６ｂの変動見込金額で再計算する。この結果、２０２１年６月度以降の増減加味後契約金額は、図３に示すように、１，５００，０００－２８０，０００＝１，２２０，０００となる。

【0044】

また、確定情報基準算出部１０２ｃは、実行予算情報データ１０６ｃの累計進行売上金額及び単期進行売上金額について、再計算後の増減加味後契約金額に基づいて再計算する。この再計算の結果、変動見込時期以降の２０２１年６月度については、累計進行売上金額が１，０９８，０００となり、単期進行売上金額が４８，０００となる。また、変動見込時期以降の２０２１年７月度については、再計算の結果、累計進行売上金額が１，２２２，０００となり、単期進行売上金額が１２２，０００となる。

【0045】

次に図４は、２０２１年６月度の時点において、契約金額の減額が発生し、契約金額が１，２００，０００に減額された場合の契約情報データ１０６ａ、変動見込情報データ１０６ｂ、及び実行予算情報データ１０６ｃを示す図である。６月度の時点において、契約金額について－３００，０００の減額が確定した場合、減額後の契約金額は、例えば入力装置１１２で入力される。登録部１０２ａは、入力された変動後の契約金額である１，２００，０００を契約情報データ１０６ａに登録する。削除部１０２ｄは、契約情報データ１０６ａが含む契約金額が更新されると、変動見込情報データ１０６ｂが含む変動見込時期と変動見込金額を削除する。

【0046】

また、確定情報基準算出部１０２ｃは、契約金額の減額が行われた２０２１年６月度以降の予算時期毎に、実行予算情報データ１０６ｃの増減加味後契約金額を契約情報データ１０６ａの契約金額で更新して１，２００，０００とする。

【0047】

また、確定情報基準算出部１０２ｃは、契約金額の減額が行われた２０２１年６月度以降の予算時期毎に、累計進行売上金額及び単期進行売上金額について、更新後の増減加味後契約金額に基づいて再計算する。この再計算の結果、契約金額の減額が行われた２０２１年６月度については、累計進行売上金額が１，０８０，０００となり、単期進行売上金額が３０，０００となる。また、再計算の結果、契約金額の減額が行われた２０２１年６月度以降の２０２１年７月度については、累計進行売上金額が１，２００，０００となり、単期進行売上金額が１２０，０００となる。

【0048】

［３．処理］
上述した構成の情報処理装置１００で実行される計算処理の一例について、図５及び図６を参照して説明する。図５は、実施形態にかかる情報処理装置１００で実行される計算処理の手順の一例を示すフロー図である。具体的には、図５は、変動見込時期と変動見込金額が登録されたときに情報処理装置１００で実行される計算処理の手順の一例を示すフロー図である。

【0049】

見込情報基準算出部１０２ｂは、変動見込時期と変動見込金額が登録されると、実行予算情報データ１０６ｃが含む単期予算金額に基づいて累計予算金額を算出する（ステップＳ１０１）。

【0050】

見込情報基準算出部１０２ｂは、同じ契約番号を含む契約情報データ１０６ａと実行予算情報データ１０６ｃに基づいて、単期予算金額÷予算金額×１００の式で原価進捗率を算出する（ステップＳ１０２）。

【0051】

見込情報基準算出部１０２ｂは、同じ契約番号を含む契約情報データ１０６ａと変動見込情報データ１０６ｂに基づいて、増減加味後契約金額を算出する（ステップＳ１０３）。増減加味後契約金額の計算は、ステップＳ１０１とステップＳ１０２の間、又はステップＳ１０１より前で行ってもよい。

【0052】

見込情報基準算出部１０２ｂは、実行予算情報データ１０６ｃに含まれている増減加味後契約金額と原価進捗率とに基づいて累計進行売上金額を算出する（ステップＳ１０４）。

【0053】

見込情報基準算出部１０２ｂは、実行予算情報データ１０６ｃに含まれている累計進行売上金額に基づいて単期進行売上金額を算出する（ステップＳ１０５）。

【0054】

実行予算情報データ１０６ｃの内容は、例えば、入力装置１１２で行われた操作に応じて出力装置１１４で出力される。

【0055】

図６は、契約情報データ１０６ａの契約金額が更新されたときに情報処理装置１００で実行される計算処理の手順の一例を示すフロー図である。

【0056】

削除部１０２ｄは、契約情報データ１０６ａの契約金額が更新されると、変動見込情報データ１０６ｂの変動見込時期と変動見込金額を削除する（ステップＳ２０１）。

【0057】

確定情報基準算出部１０２ｃは、実行予算情報データ１０６ｃが含む増減加味後契約金額を、契約情報データ１０６ａの更新された契約金額に基づいて更新する（ステップＳ２０２）。ここで確定情報基準算出部１０２ｃは、契約金額の減額が行われた月度以降の予算時期毎に、実行予算情報データ１０６ｃの増減加味後契約金額を契約情報データ１０６ａの契約金額で更新する。

【0058】

確定情報基準算出部１０２ｃは、実行予算情報データ１０６ｃに含まれている原価進捗率と更新された増減加味後契約金額とに基づいて累計進行売上金額を算出する（ステップＳ２０３）。

【0059】

確定情報基準算出部１０２ｃは、実行予算情報データ１０６ｃに含まれている更新された累計進行売上金額に基づいて単期進行売上金額を算出する（ステップＳ２０４）。

【0060】

更新された実行予算情報データ１０６ｃの内容は、例えば、入力装置１１２で行われた操作に応じて出力装置１１４で出力される。

【0061】

［４．実施形態の効果］
図７及び図８は、本実施形態の構成を採用せず、変動見込情報データ１０６ｂを備えず、契約金額の増減を加味せずに進行売上金額を計算する場合のデータの一例を示す図である。実行予算情報データ１０６ｃａは、増減加味後契約金額を含まない点で実行予算情報データ１０６ｃと相違する。この構成の場合、累計進行売上金額は、予算時期毎に契約情報データ１０６ａの契約金額×原価進捗率÷１００で算出される。

【0062】

この構成の場合、５月度の時点で６月度での契約金額の増減が見込まれており、変動見込金額が既知であっても、正式に契約金額の変更には至っていない場合、契約情報データ１０６ａの契約金額は更新されない。このため、５月度の時点において６月度以降の累計進行売上金額は、増減前の契約金額に基づいて算出され、図７に示すように当初の契約金額を反映したものとなり、契約金額の増減後の単期進行売上金額を把握することができない。

【0063】

そして、この構成の場合、６月度の時点で契約金額の減額が発生し、図８に示すように契約情報データ１０６ａの契約金額が更新されると、図８に示すように更新後の契約金額に基づいて累計進行売上金額と単期進行売上金額が再計算され、６月度以降の進行売上金額は、更新後の契約金額を反映したものとなる。このように、契約金額の増減を加味しない構成の場合、契約金額の増減が予め見込まれていても、契約金額が更新されてからでないと増減後の進行売上金額を把握することができない。また、本実施形態の構成を採用しない構成の場合、契約金額の変動前に計算していた進行売上金額と契約金額の変動後に計上される進行売上金額に大きな差が発生し、予想と実績との乖離が大きくなるという問題がある。

【0064】

一方、実施形態の情報処理装置１００によれば、契約金額の増減が見込まれる場合、増減が発生する未来の月度以降について、前述したように増減額を加味して進行売上金額が算出される為、契約金額が変更される前に早期に精度良く未来の月度の進行売上金額を把握することができる。

【0065】

また、前述したように契約金額の増減を加味しない構成の場合、契約金額の変更前の６月度の単期進行売上金額の３００，０００と契約金額の変更が確定した後の６月度の単期進行売上金額の３０，０００との差は、２７０，０００である。一方、本実施形態の情報処理装置１００の場合、例えば、増減額を加味した６月度の単期進行売上金額の４８，０００と契約金額の増減が確定した後の６月度の単期進行売上金額の３０，０００との差は、契約金額の増減を加味しない構成より少ない１８，０００である。このように、本実施形態の情報処理装置１００によれば、事前に登録した変動見込金額と実際の契約金額の増減額に差額があったとしても、契約金額の増減を加味しない構成と比較すると、増減が確定した月度における進行売上金額の変動を少なくし、予想と実績の差を小さくすることができる。

【0066】

なお、情報処理装置１００は、変動見込金額を加味した場合の進行売上金額と、変動見込金額を加味しない場合の進行売上金額とを計算し、両方の計算結果を表示してもよい。

【0067】

［５．国連が主導する持続可能な開発目標（ＳＤＧｓ）への貢献］
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、ＳＤＧｓの目標８及び９に貢献することが可能となる。

【0068】

また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、ＳＤＧｓの目標１２、１３及び１５に貢献することが可能となる。

【0069】

また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、ＳＤＧｓの目標１６に貢献することが可能となる。

【0070】

［６．他の実施形態］
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。

【0071】

例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。

【0072】

また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。

【0073】

また、情報処理装置１００に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。

【0074】

例えば、情報処理装置１００が備える処理機能、特に制御部１０２にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、ＣＰＵおよび当該ＣＰＵにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて情報処理装置１００に機械的に読み取られる。すなわち、ＲＯＭまたはＨＤＤ（Ｈａｒｄ Ｄｉｓｋ Ｄｒｉｖｅ）などの記憶部などには、ＯＳと協働してＣＰＵに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、ＲＡＭにロードされることによって実行され、ＣＰＵと協働して制御部１０２を構成する。

【0075】

また、このコンピュータプログラムは、情報処理装置１００に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。

【0076】

また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、ＵＳＢ（Ｕｎｉｖｅｒｓａｌ Ｓｅｒｉａｌ Ｂｕｓ）メモリ、ＳＤ（Ｓｅｃｕｒｅ Ｄｉｇｉｔａｌ）カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ＲＯＭ、ＥＰＲＯＭ（Ｅｒａｓａｂｌｅ Ｐｒｏｇｒａｍｍａｂｌｅ Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）、ＥＥＰＲＯＭ（登録商標）（Ｅｌｅｃｔｒｉｃａｌｌｙ Ｅｒａｓａｂｌｅ ａｎｄ Ｐｒｏｇｒａｍｍａｂｌｅ Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）、ＣＤ－ＲＯＭ（Ｃｏｍｐａｃｔ Ｄｉｓｋ Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）、ＭＯ（Ｍａｇｎｅｔｏ－Ｏｐｔｉｃａｌ ｄｉｓｋ）、ＤＶＤ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｖｅｒｓａｔｉｌｅ Ｄｉｓｋ）、および、Ｂｌｕ－ｒａｙ（登録商標） Ｄｉｓｃ等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。

【0077】

また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、ＯＳに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。

【0078】

記憶部１０６に格納される各種のデータベース等は、ＲＡＭ、ＲＯＭ等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。

【0079】

また、情報処理装置１００は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、情報処理装置１００は、当該情報処理装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア（プログラムまたはデータ等を含む）を実装することにより実現してもよい。

【0080】

さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能付加に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。

【産業上の利用可能性】

【0081】

本発明は、工事進行基準を用いて売上を計上する工事業界やＩＴ業界等の事業等において有用である。

【符号の説明】

【0082】

１００ 情報処理装置
１０２ 制御部
１０２ａ 登録部
１０２ｂ 見込情報基準算出部
１０２ｃ 確定情報基準算出部
１０２ｄ 削除部
１０４ 通信インターフェース部
１０６ 記憶部
１０６ａ 契約情報データ
１０６ｂ 変動見込情報データ
１０６ｃ 実行予算情報データ
１０６ｃａ 実行予算情報データ
１０８ 入出力インターフェース部
１１２ 入力装置（キーボード）
１１４ 出力装置（モニタ）
２００ サーバ
３００ ネットワーク

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】