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  • 特開-制御装置 図1
  • 特開-制御装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182780
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/30 20060101AFI20221201BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G06F1/30 305
H02M3/00 B
H02M3/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090507
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】横田 真樹
(72)【発明者】
【氏名】三宅 基史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 宏彰
【テーマコード(参考)】
5B011
5H730
【Fターム(参考)】
5B011DB05
5B011GG03
5B011JA08
5B011KK02
5H730AS05
5H730FD11
5H730XC19
5H730XC20
(57)【要約】
【課題】安価な構成で電源部の制御を行うことが可能な制御装置を提供する。
【解決手段】第1信号をトリガとして起動する電源部2から電力供給が行われる制御IC10を備え、当該制御IC10により電源部2の駆動を制御する制御装置1は、制御IC10に備えられ、第1信号を取得する第1信号取得部11と、制御IC10に備えられ、第1信号の立上り及び立下りを検出する検出部12と、制御IC10に備えられ、検出部12により第1信号の立下りが検出された場合に、第2信号を出力する第2信号出力部13と、第2信号出力部13から出力された第2信号に応じて、予め設定された所定時間に亘って、電源部2における第1信号が入力される端子Tの電圧値を所定値以下に降下させる降下部20と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1信号をトリガとして起動する電源部から電力供給が行われる制御ICを備え、前記制御ICにより前記電源部の駆動を制御する制御装置であって、
前記制御ICに備えられ、前記第1信号を取得する第1信号取得部と、
前記制御ICに備えられ、前記第1信号の立上り及び立下りを検出する検出部と、
前記制御ICに備えられ、前記検出部により前記第1信号の立下りが検出された場合に、第2信号を出力する第2信号出力部と、
前記第2信号出力部から出力された前記第2信号に応じて、予め設定された所定時間に亘って、前記電源部における前記第1信号が入力される端子の電圧値を所定値以下に降下させる降下部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記第2信号出力部は、前記所定時間の間において、前記検出部により前記第1信号の立上りが検出されたときは、前記第2信号の出力を停止する請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御ICに備えられ、前記電源部と予め設定された時間毎に通信する通信部と、
前記制御ICに備えられ、前記検出部により前記第1信号の立下りが検出され、且つ、前記通信部が前記電源部から前記端子の電圧値が前記所定値以下になったことを示す端子情報を取得した場合に、前記通信部を介して前記電源部に対して前記電力供給を停止させる駆動停止指示を出力する停止指示出力部と、
前記制御ICに備えられ、前記電源部が前記駆動停止指示を取得した場合に出力する第3信号を、前記通信部を介して取得する第3信号取得部と、を更に備え、
前記所定時間は、前記検出部により前記第1信号の立下りが検出されてから、前記第3信号取得部が前記第3信号を取得するまでの時間よりも長く設定されている請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第2信号出力部は、前記制御ICに対する前記電源部からの前記電力供給が停止された場合に前記第2信号の出力を停止するように構成され、
前記第2信号出力部が前記第2信号の出力を停止した場合に、前記降下部に対して前記所定時間に亘って前記端子の電圧値を前記所定値以下に維持させる維持部を更に備える請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1信号をトリガとして起動する電源部から電力供給が行われる制御ICを備え、制御ICにより電源部の駆動を制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制御部と、当該制御部に対して電源供給を行う電源供給部とを備えた電子制御装置が利用されてきた。このような電子制御装置として、例えば下記に出典を示す特許文献1に記載のものがある。
【0003】
特許文献1には、電子制御装置が開示されている。この電子制御装置は、制御部と電源供給部と監視部とを備えて構成される。電源供給部は制御部への電源供給及び電源供給の停止を行い、監視部は制御部の動作を監視すると共に、制御部からクリア信号が出力された場合に時間の計測を開始し、計測した時間が予め設定された値に達すると制御部をリセットする。制御部は、電源供給部からの電源供給の停止条件が成立していない場合にクリア信号を監視部に出力し、電源供給部からの電源供給の停止条件が成立した場合は停止信号を監視部に出力する。監視部は、クリア信号が出力された場合は計測した時間をクリアして新たに時間の計測を開始し、停止信号が出力された場合は電源供給部による電源供給を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2014/203501号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、制御部から出力される信号(クリア信号及び停止信号)に基づき、計測している時間をクリアして電源供給部による電源供給が停止されるまでの時間を遅延させる。このような時間の計測や電源供給部による電源供給が停止されるまでの時間の遅延を行うにあたり、電子制御装置に機能部を設ける必要があるので、機能部を設けない場合に比べて電子制御装置の性能を向上させる必要がある。このため、コストアップの要因となる。
【0006】
そこで、安価な構成で電源部(上記「電源供給部」に相当)の制御を行うことが可能な制御装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る制御装置の特徴構成は、第1信号をトリガとして起動する電源部から電力供給が行われる制御ICを備え、前記制御ICにより前記電源部の駆動を制御する制御装置であって、前記制御ICに備えられ、前記第1信号を取得する第1信号取得部と、前記制御ICに備えられ、前記第1信号の立上り及び立下りを検出する検出部と、前記制御ICに備えられ、前記検出部により前記第1信号の立下りが検出された場合に、第2信号を出力する第2信号出力部と、前記第2信号出力部から出力された前記第2信号に応じて、予め設定された所定時間に亘って、前記電源部における前記第1信号が入力される端子の電圧値を所定値以下に降下させる降下部と、を備えている点にある。
【0008】
このような特徴構成とすれば、第1信号の立下りに応じて、第1信号が入力される電源部の端子の電圧値を所定値以下に降下させることにより、次の第1信号の入力に応じて確実に電源部を再起動させることが可能となる。また、制御ICは、第1信号の立下りに応じて降下部に対して第2信号を出力するように構成するだけで良いので、高性能な演算処理能力を必要としない。したがって、本制御装置によれば、安価な構成で電源部の確実な再起動を実現できる。
【0009】
また、前記第2信号出力部は、前記所定時間の間において、前記検出部により前記第1信号の立上りが検出されたときは、前記第2信号の出力を停止すると好適である。
【0010】
このような構成とすれば、第1信号の立下りにより、降下部が、第1信号が入力される電源部の端子の電圧値を所定値以下に降下させている状態において、第1信号の立上りが検出された場合に、降下部による、第1信号が入力される電源部の端子の電圧値を所定値以下に降下させる機能を停止させることができる。したがって、第1信号を電源部の端子に入力することが可能となる。
【0011】
また、前記制御ICに備えられ、前記電源部と予め設定された時間毎に通信する通信部と、前記制御ICに備えられ、前記検出部により前記第1信号の立下りが検出され、且つ、前記通信部が前記電源部から前記端子の電圧値が前記所定値以下になったことを示す端子情報を取得した場合に、前記通信部を介して前記電源部に対して前記電力供給を停止させる駆動停止指示を出力する停止指示出力部と、前記制御ICに備えられ、前記電源部が前記駆動停止指示を取得した場合に出力する第3信号を、前記通信部を介して取得する第3信号取得部と、を更に備え、前記所定時間は、前記検出部により前記第1信号の立下りが検出されてから、前記第3信号取得部が前記第3信号を取得するまでの時間よりも長く設定されていると好適である。
【0012】
このような構成とすれば、第1信号の立下りが検出されてから、少なくとも、第3信号が取得されるまでは、第1信号が入力される電源部の端子の電圧値を所定値以下に降下させている状態を維持できる。したがって、次の第1信号の入力に応じて確実に電源部を再起動させることが可能となる。
【0013】
また、前記第2信号出力部は、前記制御ICに対する前記電源部からの前記電力供給が停止された場合に前記第2信号の出力を停止するように構成され、前記第2信号出力部が前記第2信号の出力を停止した場合に、前記降下部に対して前記所定時間に亘って前記端子の電圧値を前記所定値以下に維持させる維持部を更に備えると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、制御ICが電源部との通信により電源部の駆動を停止させた後、第1信号が入力される電源部の端子の電圧値を所定値以下に降下させている状態をしばらくの間、継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】制御装置の構成を示すブロック図である。
図2】制御装置の処理を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る制御装置は制御ICを備え、この制御ICにより電源部の駆動を制御するように構成される。以下、本実施形態の制御装置1について説明する。
【0017】
図1は、制御装置1の構成を模式的に示したブロック図である。図2は、制御装置1の処理を示すタイミングチャートである。図1に示されるように、制御装置1は、制御IC10と維持部17と降下部20とを備えて構成される。制御IC10は、第1信号取得部11、検出部12、第2信号出力部13、通信部14、停止指示出力部15、第3信号取得部16を備えている。各機能部は、電源部2の駆動の制御に係る処理を行うために、CPUを中核部材としてハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。
【0018】
制御IC10は、第1信号をトリガとして起動する電源部2から電力供給が行われる。図1では図示を省略しているが、電源部2は入力電圧を所定の電圧値の電圧に降圧するDC/DCコンバータから構成される。制御IC10には、この電源部2により生成された電圧が印加される。一方、電源部2は、図2に示されるように、例えば上位システムからの第1信号が端子Tに入力されると起動し(#1)、上述した電圧を生成して出力するように構成されている(#2)。電源部2はこのように第1信号をトリガとして起動するが、特に起動後、制御IC10により駆動が制御される。なお、電源部2は入力電圧を所定の電圧値の電圧に昇圧するDC/DCコンバータであっても良い。
【0019】
第1信号取得部11は、第1信号を取得する。第1信号は、逆流防止のダイオードD1を介し、抵抗器R1と抵抗器R2との夫々の抵抗値に基づき分圧される。分圧された第1信号は、抵抗器R3及びコンデンサC1からなるフィルタを介して第1信号取得部11に入力される。この第1信号は、ダイオードD2及び抵抗器R4を介して上述した電源部2の端子Tにも入力される。第1信号取得部11により取得された第1信号は、後述する検出部12に伝達される。
【0020】
検出部12は、第1信号の立上り及び立下りを検出する。検出部12は、第1信号の電圧の変化(例えば勾配)に基づき第1信号の立上り及び立下りを検出しても良いし、第1信号の電圧値に基づき第1信号の立上り及び立下りを検出しても良い。検出部12による検出結果は、後述する第2信号出力部13に伝達される。
【0021】
第2信号出力部13は、検出部12により第1信号の立下りが検出された場合に、第2信号を出力する。上述したように第1信号の立上り及び立下りは検出部12により検出され、検出結果が第2信号出力部13に伝達される。第2信号出力部13は、検出部12からの検出結果が第1信号の立下りを示すものである場合に(#3)、第2信号を出力する(#4)。本実施形態では、第2信号は後述する維持部17を介して降下部20に伝達される。
【0022】
降下部20は、第2信号出力部13から出力された第2信号に応じて、予め設定された所定時間に亘って、電源部2における第1信号が入力される端子Tの電圧値を所定値以下に降下させる。予め設定された時間とは、詳細は後述するが、第1信号の立下りが検出されてから電源部2が出力を停止した後、少なくとも再始動が可能となるまでの時間である。本実施形態では、降下部20は、トランジスタQ、抵抗器R5、抵抗器R6、上述した抵抗器R4を含んで構成される。本実施形態ではトランジスタQは、npn型バイポーラトランジスタが用いられる。抵抗器R5はトランジスタQのベース端子と第2信号出力部13との間に設けられ、ベース抵抗として機能する。抵抗器R6はトランジスタQのベース端子とエミッタ端子との間に設けられる。トランジスタQのエミッタ端子は接地され、コレクタ端子は端子Tに接続される。抵抗器R4はダイオードD2に過電流が流れることを防止する。したがって、降下部20は、第2信号出力部13からの第2信号に応じて動作し(#5)、端子Tの電圧値を所定値以下(図1の例では、理想的には接地電位)に降下させる(#6)、すなわち、降下部20は、第2信号出力部13からの第2信号に応じて、端子TをLow電位にラッチする(Lowラッチする)。
【0023】
通信部14は、電源部2と予め設定された時間毎に通信する。予め設定された時間毎に通信するとは、所定の周波数で発振するクロック信号に同期して通信することをいう。このような通信方法として、例えばSPI(Serial Peripheral Interface)通信を利用される。したがって、通信部14は、所定の周波数で発振するクロック信号に同期して電源部2と通信を行う。もちろん、通信部14は、他の通信方法で通信しても良い。
【0024】
このような通信は、制御IC10から電源部2に対して情報を伝達するだけでなく、電源部2から制御IC10に対しても情報を伝達することが可能である。上述したように、端子Tの電圧値が所定値以下になると、本実施形態では電源部2から端子Tの電圧値が所定値以下になったことを示す端子情報が制御IC10に伝達される(#7)。
【0025】
停止指示出力部15は、検出部12により第1信号の立下りが検出され、且つ、通信部14が電源部2から端子情報を取得した場合に、通信部14を介して電源部2に対して電力供給を停止させる駆動停止指示を出力する。停止指示出力部15は検出部12の検出結果に基づき第1信号が立ち下がったことを検出することが可能である。電源部2からの端子情報は通信部14から伝達される。停止指示出力部15は、検出部12から第1信号が立ち下がったことを示す検出結果と、電源部2からの端子情報とを取得すると、通信部14を介して電源部2に対して電力供給を停止させる駆動停止指示を出力する(#8)。
【0026】
本実施形態では、電源部2は、制御IC10から駆動停止指示を取得した場合に、第3信号を制御IC10に出力する(#9)。第3信号取得部16は、このような第3信号を、通信部14を介して取得する。また、電源部2は、第3信号を出力すると、生成した電圧の出力を停止するように構成されている(#10)。これにより、制御IC10に対する電力供給が停止される。したがって、第2信号出力部13からの第2信号の出力が停止される(#11)。
【0027】
ここで、降下部20は、予め設定された所定時間に亘って端子Tの電圧値を所定値以下に降下させるとして説明した。この所定期間は、検出部12により第1信号の立下りが検出されてから、第3信号取得部16が第3信号を取得するまでの時間よりも長く設定されていると好適である。すなわち、図2の例では、#3で示される、検出部12により第1信号の立下りが検出された時点から、#9で示される、第3信号取得部16が第3信号を取得する時点までの間の時間Lよりも長い、#4~#11までの時間Mに亘って第2信号出力部13が第2信号を出力すると良い。これにより、降下部20が、時間Lよりも長い時間Mに亘って端子Tの電圧値を所定の電圧値以下に降下させることが可能となる(#5~#11)。
【0028】
また、第2信号出力部13は、制御IC10に対する電源部2からの電力供給が停止された場合に(#10)、第2信号の出力を停止する(#11)。維持部17は、第2信号出力部13が第2信号の出力を停止した場合に、降下部20に対して所定時間に亘って端子Tの電圧値を所定値以下に維持させる。本実施形態では、維持部17は、第2信号出力部13と降下部20との間に設けられ、第2信号出力部13からの第2信号の立下りを遅延させるように構成されている。具体的には、維持部17は、第2信号出力部13と抵抗器R5との間に設けられた抵抗器R7と、抵抗器R7及び抵抗器R5のノードと接地電位との間に設けられたコンデンサC2とを含んで構成される。これにより、第2信号でコンデンサC2が充電され、第2信号が立ち下がった後、コンデンサC2に充電された電荷を利用して降下部20を動作させることが可能となる(#12,#13)。したがって、第2信号が立ち下がった後(#11)、所定時間の間、端子Tの電圧値を所定値以下に維持することが可能となる(#14)。
【0029】
以上のように構成することで、制御装置1が備える制御IC10が電源部2の駆動を適切に制御することが可能となる。
【0030】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、制御装置1が、通信部14と停止指示出力部15と第3信号取得部16とを備えているとして説明したが、通信部14と停止指示出力部15と第3信号取得部16とを備えずに構成することも可能である。
【0031】
上記実施形態では、制御装置1が維持部17を備えているとして説明したが、維持部17を備えずに構成することも可能である。
【0032】
上記実施形態では、第2信号出力部13が検出部12により第1信号の立下りが検出された場合に第2信号を出力するとして説明したが、第2信号出力部13は所定時間の間において、検出部12により第1信号の立上りが検出されたときは、第2信号の出力を停止するように構成することも可能である。これにより改めて第1信号が電源部2に入力された場合に、当該第1信号の入力によって電源部2が再起動することが可能となる。
【0033】
本発明は、第1信号をトリガとして起動する電源部から電力供給が行われる制御ICを備え、制御ICにより電源部の駆動を制御する制御装置に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1:制御装置
2:電源部
10:制御IC
11:第1信号取得部
12:検出部
13:第2信号出力部
14:通信部
15:停止指示出力部
16:第3信号取得部
17:維持部
20:降下部
T:端子
図1
図2