(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182798
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】抗ウイルス組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 25/30 20060101AFI20221201BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20221201BHJP
A01N 25/00 20060101ALI20221201BHJP
A01N 25/02 20060101ALI20221201BHJP
A01N 33/04 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
A01N25/30
A01P1/00
A01N25/00 101
A01N25/02
A01N33/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090531
(22)【出願日】2021-05-28
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 恵太
(72)【発明者】
【氏名】青山 丈
(72)【発明者】
【氏名】野口 博章
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA04
4H011BA06
4H011BB04
4H011BB06
4H011DA13
(57)【要約】
【課題】 優れた抗ウイルス効果を示す抗ウイルス組成物を提供する。
【解決手段】 少なくとも2種の界面活性剤を含み、該界面活性剤の少なくとも1種は、カチオン界面活性剤であることを特徴とする抗ウイルス組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種の界面活性剤を含み、
該界面活性剤の少なくとも1種は、カチオン界面活性剤である
ことを特徴とする抗ウイルス組成物。
【請求項2】
前記界面活性剤の少なくとも1種は、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及び、両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載の抗ウイルス組成物。
【請求項3】
前記カチオン界面活性剤は、テトラアルキルアンモニウム塩、ジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、セチルピリジニウム塩、ベンゼトニウム塩、及び、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載の抗ウイルス組成物。
【請求項4】
pHが3.0~11.0である請求項1~3のいずれかに記載の抗ウイルス組成物。
【請求項5】
抗ウイルス組成物中、低級アルコールの濃度が40質量%未満である請求項1~4のいずれかに記載の抗ウイルス組成物。
【請求項6】
硬質表面に用いられる請求項1~5のいずれかに記載の抗ウイルス組成物。
【請求項7】
プラスチックの表面に用いられる請求項1~6のいずれかに記載の抗ウイルス組成物。
【請求項8】
繊維の表面に用いられる請求項1~7のいずれかに記載の抗ウイルス組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の抗ウイルス組成物を含むことを特徴とする抗ウイルスコーティング剤。
【請求項10】
請求項1~8のいずれかに記載の抗ウイルス組成物を含むことを特徴とする衛生資材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスの中にはヒトに感染するものもあり、感染予防のために従来からウイルス不活性化剤が用いられていた。
【0003】
2020年に新型コロナウイルス感染症が発生し、ウイルス不活性化剤の需要が増大したことから、ウイルス不活化用途に好適に用いられる組成物のバリエーションを増やすための種々の研究がおこなわれている。
例えば、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が、経済産業省の要請を受け、新型コロナウイルスの感染拡大に対応し、家庭や職場においてアルコール以外の消毒方法の選択肢を増やすため、各種界面活性剤の有効性評価をおこなっている(非特許文献1参照)。
【0004】
また新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、飛沫感染防止のため、例えばスーパーや百貨店、飲食店等の店舗、宿泊施設、医療施設、オフィス等において、レジカウンター、受付カウンター、面談カウンター、窓口等にアクリル板やビニルカーテンを設置したり、飲食店のカウンター席等のテーブル上、オフィス等のデスク上にアクリル製のパーティションを設置したりすることが増えている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“インフルエンザウイルスを用いた代替消毒候補物資の有効性評価にかかる検証試験の結果について 令和2年4月30日 独立行政法人製品評価技術基盤機構”、[online]、令和2年5月1日発表、独立行政法人製品評価技術基盤機構、インターネット<URL:https://www.nite.go.jp/data/000108456.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような状況下において、物品の表面において、抗ウイルス性を付与できる組成物が求められている。
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされた発明であり、本発明の目的は、優れた抗ウイルス効果を示す抗ウイルス組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の抗ウイルス組成物は、少なくとも2種の界面活性剤を含み、該界面活性剤の少なくとも1種は、カチオン界面活性剤であることを特徴とする。
【0009】
なお、本明細書中、「抗ウイルス」とは、後述する実施例に示すように、組成物をプラスチック板等の物品の表面や繊維上に塗布、乾燥したうえで、ウイルス液を滴下し、作用させ、当該表面や繊維からウイルスを抽出し、そのウイルス感染価を測定する試験方法で確認される効果をいう。標準の試験方法として、ISO21702やJIS1922:2016に規定されている。本発明の抗ウイルス組成物は、物品の表面に対して使用した場合に、優れた抗ウイルス性を予め付与できるものであり、「抗ウイルス剤」又は「抗ウイルスコーティング剤」と言い換えることができる。
一方、「ウイルス不活性化」とは、次に示すような懸濁試験で確認される効果をいう。液状の組成物にウイルス液を添加し、一定時間作用後のウイルス感染価を測定する試験方法である。なお、上記非特許文献1は、実質的に、「抗ウイルス」の効果ではなく「ウイルス不活性化」の効果を評価するものであった。標準の試験方法として、ASTM1052に規定されている。
本発明の抗ウイルス組成物は、少なくとも1種のウイルスについて、上述した抗ウイルス性を物品表面に付与できる組成物をいう。なお、本発明の抗ウイルス組成物がウイルス不活性化のために使用されても構わない。
【0010】
本発明の抗ウイルス組成物は、少なくとも2種の界面活性剤を含み、該界面活性剤の少なくとも1種は、カチオン界面活性剤である。カチオン界面活性剤と各種界面活性剤とが組み合わされることにより、相乗的に優れた抗ウイルス効果を発揮できる。
優れた抗ウイルス効果を発揮できる理由は、以下のように考えられる。
カチオン界面活性剤は一般的に表面が負に帯電したウイルスと電気的な作用で両者が引き付けあい、接近したカチオン界面活性剤の疎水基がインフルエンザウイルス等のエンベロープウイルスが持つエンベロープ膜を変性、破壊することでウイルスを不活性化すると考えられる。
プラスチック表面や繊維表面等の硬質・軟質表面上のカチオン界面活性剤のウイルス不活性化メカニズムについても前述の通りと考えられるが、ウイルスとカチオン界面活性剤の接触効率が不活性化効果発揮においてより重要となると考えられる。カチオン界面活性剤と更なる界面活性剤を組み合わせることで、硬質・軟質表面上のカチオン界面活性剤の吸着状態が変わり、硬質・軟質表面にカチオン界面活性剤が効率よく配向し(並び)、カチオン界面活性剤単独の場合よりもウイルスとカチオン界面活性剤の接触効率が高まり、より抗ウイルス効果が発揮されやすくなると考えられる。
【0011】
本発明の抗ウイルス組成物では、上記界面活性剤の少なくとも1種は、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及び、両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
このような特定の界面活性剤を用いることにより、本発明の抗ウイルス組成物の抗ウイルス効果をより優れたものとすることができる。
【0012】
本発明の抗ウイルス組成物では、上記カチオン界面活性剤は、テトラアルキルアンモニウム塩、ジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、セチルピリジニウム塩、ベンゼトニウム塩、及び、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
このようなカチオン界面活性剤を用いることで、本発明の抗ウイルス組成物の抗ウイルス効果をより優れたものとすることができる。
【0013】
本発明の抗ウイルス組成物は、pHが3.0~11.0であることが好ましい。
このようなpHであると、手荒れを充分に防止したり、使用対象物への影響をより低減しながら、抗ウイルス効果を発揮できる。
本明細書中、pHは、pHメータ F-53(株式会社堀場製作所製)を用い、25℃で、JIS Z-8802:2011「pH測定方法」に準じた方法で測定される値である。
【0014】
本発明の抗ウイルス組成物中、低級アルコールの濃度が40質量%未満であることが好ましい。
低級アルコールの濃度が40質量%未満であることで、使用対象が劣化し、その外観等の特性を損なうことを充分に防止できる。
本明細書中、低級アルコールは、炭素数5以下のアルコールをいう。なお、アルコールの価数は特に限定されない。
低級アルコールの濃度は、低級アルコールを複数種用いる場合は、複数種の低級アルコールの合計の濃度である。
なお、低級アルコールの濃度が40質量%未満であるとは、本発明の抗ウイルス組成物が低級アルコールを含まず、低級アルコールの濃度が0質量%であってもよいものである。
【0015】
本発明の抗ウイルス組成物は、硬質表面に用いられることが好ましい。
また本発明の抗ウイルス組成物は、プラスチックの表面に用いられることが好ましい。
更に、本発明の抗ウイルス組成物は、繊維の表面に用いられることが好ましい。
本発明の抗ウイルス組成物が硬質表面やプラスチックの表面、繊維の表面に用いられるとは、本発明の抗ウイルス組成物を当該表面に噴霧したり、塗布したりすることで、当該表面に抗ウイルス性を付与することをいう。
【0016】
本発明は、本発明の抗ウイルス組成物を含むことを特徴とする抗ウイルスコーティング剤でもある。
本発明の抗ウイルスコーティング剤は、物品の表面をコーティングすることで、物品の表面に抗ウイルス性を付与することができる。
コーティングとは、被膜を形成できるものであればよいが、塗布によるものであることが好ましい。
【0017】
本発明はそして、本発明の抗ウイルス組成物を含むことを特徴とする衛生資材でもある。
本発明の衛生資材は、本発明の抗ウイルス組成物を含むため、本発明の衛生資材を用いることにより、物品の表面に抗ウイルス性を付与することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の抗ウイルス組成物は、優れた抗ウイルス効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の抗ウイルス組成物について具体的な実施形態を示しながら説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0020】
本発明の抗ウイルス組成物は、少なくとも2種の界面活性剤を含み、該界面活性剤の少なくとも1種は、カチオン界面活性剤であることを特徴とする。
本発明の抗ウイルス組成物の各構成について以下に説明する。
【0021】
(カチオン界面活性剤)
本発明の抗ウイルス組成物は、カチオン界面活性剤を含む。
カチオン界面活性剤は、第四級アンモニウムカチオンを有する化合物(第四級アンモニウム化合物)であることが好ましく、例えば、下記一般式(1)で表されるカチオンを有することがより好ましい。
【化1】
【0022】
[式(1)中、R1~R4は、有機基を表す。ただし、窒素原子がR1~R3のいずれかと二重結合で結合している場合は、R4は存在しなくてもよい。R1~R4は、いずれか2つが互いに結合して環(例えば、芳香環)を形成していてもよい。]
上記R1~R4は、同一又は異なって、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アラルキル基、(ポリ)アルキレンオキシド基、又は、これらの基のいずれか2つ以上が結合してなる基を表すことが好ましい。
上記アルキル基の炭素数は、特に限定されないが、1~36であることが好ましく、1~24であることがより好ましく、1~18であることが更に好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、オクチル基、デシル基、ヘキサデシル基等が好ましいものとして挙げられる。
上記ヒドロキシアルキル基としては、アルキル基部分が上述したアルキル基の好ましいものに該当するものが好ましい。
上記アリール基の炭素数は、特に限定されないが、6~14であることが好ましく、6~10であることがより好ましく、6であることが更に好ましい。アリール基としては、フェニル基が特に好ましい。
上記アラルキル基は、アルキル基の水素原子の1つがフェニル基等のアリール基で置換されている基をいう。アラルキル基の炭素数は、特に限定されないが、例えば7~15であることが好ましく、7~11であることがより好ましく、7であることが更に好ましい。アラルキル基としては、ベンジル基が特に好ましい。
上記(ポリ)アルキレンオキシド基は、アルキレンオキシド基又はポリアルキレンオキシド基をいう。(ポリ)アルキレンオキシド基は、例えば、(ポリ)エチレンオキシド基であることが好ましい。
【0023】
第四級アンモニウム化合物は、どのような塩であってもよいが、例えば、塩化物、臭化物、セチルリン酸塩、プロピオン酸塩、メチル硫酸塩、アジピン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩等が好適なものとして挙げられる。
【0024】
第四級アンモニウム化合物は、例えば、下記一般式(2):
【化2】
【0025】
で表されることが好ましい。
[式(2)中、R1は、炭素数8~18のアルキル基であり、R2~R4は、それぞれ、メチル基又は(ポリ)オキシアルキレン基であり、X-は、ハロゲン化物イオンである。]
【0026】
上記(ポリ)オキシアルキレン基は、オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基をいう。上記(ポリ)オキシアルキレン基は、例えば、(ポリ)オキシエチレン基であることが好ましい。
上記一般式(2)で示される化合物としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム(5EO)塩であることが望ましい。
上記一般式(2)においてX-は、塩化物イオン又は臭化物イオンであることが望ましい。
【0027】
また、例えば本発明の抗ウイルス組成物において、第四級アンモニウム化合物が、例えば、下記一般式(3):
【化3】
【0028】
で表されることもまた好ましい。
[式(3)中、R1及びR2は、それぞれ炭素数1~18のアルキル基であり、R3は、炭素数1~5のアルキル基であり、R4及びR5は、それぞれ炭素数1~5のアルキレン基であり、Aは、水素原子又はヒドロキシル基であり、X-は、ハロゲン化物イオン、メトサルフェート、プロピオネート、アジペート、バイカーボネート又はカーボネートであり、nは平均付加モル数を表し、0~5の数である。]
【0029】
更に、例えば、本発明の抗ウイルス組成物において、第四級アンモニウム化合物が、例えば、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩(アルキル鎖長は炭素数8以下)、及び、トリアルキル型四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることもまた好ましい。
【0030】
カチオン界面活性剤をウイルスに接触させることにより、抗ウイルス効果を発揮できる。
なお、カチオン界面活性剤は少量で殺菌効果を示すものでもあり、本発明の抗ウイルス組成物により優れた殺菌効果も発揮できると考えられる。
【0031】
本発明の抗ウイルス組成物では、上記カチオン界面活性剤は、第四級アンモニウム化合物であることが好ましく、テトラアルキルアンモニウム塩、ジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、セチルピリジニウム塩、ベンゼトニウム塩、及び、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
中でも、上記第四級アンモニウム化合物は、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウムプロピオネート、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、テトラアルキルアンモニウムアジビン酸塩、及び、ジデシルジメチルアンモニウムカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド、及び、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライドからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが更に好ましい。
本発明の抗ウイルス組成物では、これらの第四級アンモニウム化合物が単独で含まれていてもよく、複数が含まれていてもよい。
【0032】
本発明の抗ウイルス組成物では、カチオン界面活性剤の濃度は、2質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましく、1.2質量%以下であることが更に好ましく、1.0質量%以下であることが特に好ましい。カチオン界面活性剤の濃度がこのように低いものであることによって、使用対象物に拭き跡が残りにくく、かつ、優れた抗ウイルス効果を発揮する。上記カチオン界面活性剤の濃度は、0.005質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。
カチオン界面活性剤の濃度がこのように高いものであると、カチオン界面活性剤による抗ウイルス効果をより優れたものとすることができる。
なお、本発明の抗ウイルス組成物が、カチオン界面活性剤を2種以上含む場合、カチオン界面活性剤の濃度は、本発明の抗ウイルス組成物に含まれるカチオン界面活性剤の合計濃度である。
【0033】
(カチオン界面活性剤以外の界面活性剤)
本発明の抗ウイルス組成物では、上述したカチオン界面活性剤に加えて、更に任意の界面活性剤を含む。
上記界面活性剤としては、特に限定されず、例えばアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
例えば、本発明の抗ウイルス組成物は、あるカチオン界面活性剤を含むとともに、上記界面活性剤として、別のカチオン界面活性剤を含むものであってもよい。中でも、本発明の抗ウイルス組成物は、カチオン界面活性剤を含むとともに、カチオン界面活性剤以外の界面活性剤を含むものであることが好ましい。
【0034】
本発明の抗ウイルス組成物において、上記界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤等が好適なものとして挙げられる。
なお、ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、プルロニック型ブロックポリマー、リバースプルロニック型ブロックポリマー、テトロニック型ブロックポリマー、リバーステトロニック型ブロックポリマー、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリコシド、ポリオキシアルキレンメチルエーテル脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、脂肪酸ジエタノールアミド、キラヤサポニン等が挙げられる。
これらの中では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキル(ポリ)グリコシドが好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられる。また、オキシアルキレン基の繰り返し数は2~20であることが望ましく、5~10であることがより望ましい。アルキル基の種類は特に限定されないが、炭素数6~20の直鎖又は分岐のアルキル基であることが望ましく、炭素数8~16の直鎖又は分岐のアルキル基であることがより望ましく、炭素数10~13の直鎖又は分岐のアルキル基であることが更に望ましい。アルキル(ポリ)グリコシドとは、アルキルグリコシド及び/又はアルキルポリグリコシドをいう。
【0035】
アニオン界面活性剤としては、脂肪酸(塩)、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルコハク酸塩、アルキル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル鎖の炭素数が8~18である脂肪酸及び/又はその塩が好ましい。脂肪酸及び/又はその塩としては、カプリル酸、オクチル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、牛脂脂肪酸、オレイン酸及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0036】
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミノベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミンオキシド、アルキルアミドアミンオキシド、アルキルアミノ脂肪酸塩、イミダゾリニウム基含有酢酸ベタイン等が挙げられる。これらの中では、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド、イミダゾリニウム基含有酢酸ベタインが好ましい。
【0037】
本発明の抗ウイルス組成物では、抗ウイルス効果をより優れたものとする観点から、上記界面活性剤は、炭素数4以上の疎水基(より好適には、炭化水素基)を有するものであることが好ましく、炭素数6以上の疎水基を有するものであることがより好ましく、炭素数8以上の疎水基を有するものであることが更に好ましく、炭素数10以上の疎水基を有するものであることが一層好ましく、炭素数12以上の疎水基を有するものであることが特に好ましい。
上記疎水基における炭素数は、その上限は特に限定されないが、通常は36以下であり、24以下であることが好ましい。
【0038】
本発明の抗ウイルス組成物では、上記界面活性剤は、アルキルアミノジプロピオン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキル(ポリ)グリコシド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタンモノアルキレート、アルキルヒドロキシスルホベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミノプロピオン酸塩、第二級アルカンスルホン酸塩、アルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミンオキシド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル基の炭素数が12~16の高級脂肪酸塩、及び、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、アルキルアミノジプロピオン酸塩、アルキル(ポリ)グルコシド、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルヒドロキシスルホベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルアミドアルキルベタイン、アルキルジメチルアミンオキシド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、及び、アルキル基の炭素数が12~16の高級脂肪酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
【0039】
より具体的には、上記界面活性剤としては、アルキルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキル(ポリ)グルコシド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタンモノアルキレート、アルキルヒドロキシスルホベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミノプロピオン酸ナトリウム、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、第二級アルカンスルホン酸ナトリウム、アルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、塩化ジメチルジアルキルアンモニウム、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキル基の炭素数が12~16の高級脂肪酸カリウム、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸ナトリウムがより好ましく、アルキルアミノジプロピオン酸ナトリウム、アルキルグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルヒドロキシスルホベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミノプロピオン酸ナトリウム、アルキルアミドアルキルベタイン、アルキルジメチルアミンオキシド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルキル基の炭素数が12~16の高級脂肪酸カリウムが更に好ましい。
【0040】
本発明の抗ウイルス組成物中、界面活性剤の合計濃度は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、2質量%以下であることが一層好ましく、1.5質量%以下であることがより一層好ましく、1.0質量%以下であることが特に好ましい。
界面活性剤は、全界面活性剤をいい、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。すなわち、上記界面活性剤の合計濃度は、本発明の抗ウイルス組成物が含む、カチオン界面活性剤も含めた界面活性剤の合計濃度である。
なお、上記界面活性剤の合計濃度は、例えば本発明の抗ウイルス組成物が界面活性剤としてカチオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤のみを含む場合は、これらのカチオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤の合計濃度である。
界面活性剤の合計濃度がこのように低いものであることによって、使用対象物に拭き跡が残りにくく、かつ、優れた抗ウイルス効果を発揮する。
また界面活性剤の合計濃度は、0.005質量%以上であることが好ましく、0.018質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが更に好ましい。
界面活性剤の合計濃度がこのように高いものであると、界面活性剤による抗ウイルス効果をより優れたものとすることができる。
【0041】
また本発明の抗ウイルス組成物中、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及び、両性イオン界面活性剤の合計濃度は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.013質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが更に好ましい。
上記特定の界面活性剤の濃度がこのように高いものであると、上記特定の界面活性剤による抗ウイルス効果をより優れたものとすることができる。
またアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及び、両性イオン界面活性剤の合計濃度は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることが更に好ましく、1.2質量%以下であることが一層好ましく、1質量%以下であることがより一層好ましく、0.6質量%以下であることが特に好ましい。
上記特定の界面活性剤の濃度がこのように低いものであると、抗ウイルス効果が飽和せず、経済的なものとなる。
【0042】
抗ウイルス組成物の更なる3つの好ましい実施形態について以下に説明する。
第一の好ましい実施形態において、抗ウイルス組成物は、例えば、水と、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、オクチル硫酸塩、トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩及びクメンスルホン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種のアニオン界面活性剤と、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジオクチルジメチルアンモニウム塩、ジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウム塩及び上記一般式(2)で示される第四級アンモニウム化合物からなる群から選択される少なくとも1種のカチオン界面活性剤とを含む。
【0043】
上記アニオン界面活性剤における上記脂肪酸塩は、カプリル酸、オクチル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸からなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸の塩であることが好ましい。また、脂肪酸塩は、これらの混合物であってもよい。脂肪酸塩の混合物としては、例えば、ヤシ油脂肪酸塩が挙げられる。
脂肪酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、2-アミノエタノール塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩又はアンモニウム塩であることが望ましい。
【0044】
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩は、下記一般式(4)で示される化合物であることが好ましい。
RO(CH2CH2O)nCH2COOY (4)
[一般式(4)中、Rは、炭素数8~18のアルキル基であり、nは、オキシエチレン基の平均付加モル数を表し、0.5~20の数であり、Yは対イオンである。]
一般式(4)において、nは、1~10の数であることが望ましい。
一般式(4)において、Yで示される対イオンは、Na+であることが望ましい。
【0045】
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩は、下記一般式(5)で示される化合物であることが好ましい。
RO(CH2CH2O)nSO3Y (5)
[一般式(5)中、Rは、炭素数8~18のアルキル基であり、nは、オキシエチレン基の平均付加モル数を表し、0.5~20の数であり、Yは対イオンである。]
一般式(5)において、nは、1~10の数であることが望ましい。
一般式(5)において、Yで示される対イオンは、Na+、NH4
+又はHN(CH4OH)3
+であることが望ましい。
上記カチオン界面活性剤における上記アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジオクチルジメチルアンモニウム塩及びジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウム塩は、塩化物又は臭化物であることが望ましい。上記アニオン界面活性剤と上記カチオン界面活性剤とのモル比は、アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤=10/1~1/20であることが好ましい。当該モル比は、アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤=8/1~1/15であることがより好ましい。
【0046】
また第二の好ましい実施形態において、抗ウイルス組成物は、例えば、上記式(3)で表される第四級アンモニウム化合物、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、塩酸アルキルジ(アミノエチル)グリシン、ナトリウムアルキルジアミノエチルグリシン、ポリヘキサメチレンビグアナイド、及び、オクタデシルジメチル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライドから選択される少なくとも1種の消毒剤(A)と、アルキル鎖の炭素数が8~18である脂肪酸及び/又はその塩(B)とを含む。
上記消毒剤(A)は、上記式(3)で表される第四級アンモニウム化合物であることが望ましく、上記式(3)で表される第四級アンモニウム化合物は、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、ジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウムプロピオネート、ジデシルジメチルアンモニウムバイカーボネート、ジデシルジメチルアンモニウムカーボネート、及び、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェートからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
本発明の抗ウイルス組成物が消毒剤(A)を含む場合、抗ウイルス組成物中、消毒剤(A)の含有量は、除菌力をも優れたものとするとともに、沈殿の発生を充分に防止する観点からは、例えば0.2~10.0質量%であることが好ましい。
【0047】
上記脂肪酸及び/又はその塩(B)は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、牛脂脂肪酸、オレイン酸及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの中では、ラウリン酸(塩)、ミリスチン酸(塩)又はヤシ脂肪酸(塩)であることがより望ましく、ラウリン酸(塩)又はミリスチン酸(塩)であることが更に望ましい。
抗ウイルス組成物が脂肪酸及び/又はその塩(B)を含む場合、抗ウイルス組成物中、脂肪酸及び/又はその塩(B)の含有量は、組成物の白濁を充分に防止する観点からは、例えば0.05~10.0質量%であることが好ましい。
【0048】
上記消毒剤(A)のモル数と、上記脂肪酸及び/又はその塩(B)のモル数との割合([上記消毒剤のモル数]/[脂肪酸及び/又はその塩(B)のモル数])は、0.3以上であることが好ましい。この割合は、0.5~7.0であることがより好ましく、0.8~4.0であることが更に好ましい。
これにより、配合バランスがよくなり、沈殿がより一層生じにくくなる。
【0049】
抗ウイルス組成物は、アミン化合物、ケイ酸塩及び炭酸塩からなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ剤(C)を更に含んでいてもよい。例えば、抗ウイルス組成物が、アミン化合物を更に含むことが本発明における好ましい形態の1つである。これにより、抗ウイルス組成物のpHを好適に調整することができる。
上記アルカリ剤(C)における上記アミン化合物は、モノエタノールアミン、プロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノエタノール、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、ジエチレングリコールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、及び、モルホリンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記アルカリ剤(C)におけるケイ酸塩としては、メタケイ酸ナトリウム、セスキケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、オルソケイ酸カリウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
上記アルカリ剤(C)における炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
抗ウイルス組成物が、アルカリ剤(C)を更に含む場合、抗ウイルス組成物中のアルカリ剤(C)の含有量は、組成物の低温安定性を良好にする観点からは、例えば1.0~25.0質量%であることが好ましい。
【0050】
抗ウイルス組成物は、上述したように、ノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤(D)を更に含んでいてもよい。
界面活性剤(D)におけるノニオン界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤として上述したものが挙げられる。
抗ウイルス組成物が、ノニオン界面活性剤を更に含む場合、抗ウイルス組成物中のノニオン界面活性剤の含有量は、組成物の白濁を充分に防止する観点からは、例えば0.01~30.0質量%であることが好ましい。
両性界面活性剤としては、両性界面活性剤として上述したものが挙げられる。
抗ウイルス組成物が、両性界面活性剤を更に含む場合、抗ウイルス組成物中の両性界面活性剤の含有量は、組成物の低温安定性を良好にする観点からは、例えば0.05~30.0質量%であることが好ましい。
【0051】
第三の好ましい実施形態において、抗ウイルス組成物は、例えば、アニオン界面活性剤と、カチオン界面活性剤とを含む抗ウイルス組成物であって、上記アニオン界面活性剤は、カルボン酸型アニオン界面活性剤、スルホン酸型アニオン界面活性剤及び硫酸エステル型アニオン界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種であり、該カチオン界面活性剤は、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩(アルキル鎖長は炭素数8以下)及びトリアルキル型四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0052】
上記アニオン界面活性剤におけるカルボン酸型アニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、脂肪酸塩等が挙げられる。
このうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩であっても良い。
特に、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウムであることが望ましい。
脂肪酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩であっても良い。
特に、エタノールアミン塩であることが望ましい。
【0053】
上記アニオン界面活性剤におけるスルホン酸型アニオン界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸メチルエステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。
このうち、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩であっても良い。
特に、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンであることが望ましい。
またα-オレフィンスルホン酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩であっても良く、ナトリウム塩であることが望ましい。
更に、アルカンスルホン酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩であっても良い。
特に、第二級アルカンスルホン酸ナトリウムであることが望ましい。
そして、α-スルホ脂肪酸メチルエステル塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩であっても良い。
特に、α-スルホ牛脂脂肪酸エステルナトリウムであることが望ましい。
【0054】
上記アニオン界面活性剤における硫酸エステル型アニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル硫酸塩等が挙げられる。
このうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩であっても良い。
特に、ポリオキシエチレンラウリル硫酸エステルナトリウム又はポリオキシエチレントリデシル硫酸エステルナトリウムであることが望ましい。
またアルキル硫酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩であっても良い。
特に、ドデシル硫酸ナトリウムであることが望ましい。
【0055】
中でも、上記アニオン界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、脂肪酸塩、α-スルホ脂肪酸メチルエステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩及びアルキル硫酸塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0056】
上記カチオン界面活性剤における、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩としては、アルキルジメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロライドであることが望ましい。
上記カチオン界面活性剤におけるジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライドであることが望ましい。
上記カチオン界面活性剤におけるトリアルキル型四級アンモニウム塩としては、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、トリポリオキシエチレンステアリルアンモニウムクロライドであることが望ましい。
【0057】
抗ウイルス組成物において、アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とのモル比は、アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤=0.01~99.0であることが望ましく、0.10~50.0であることがより望ましい。
【0058】
抗ウイルス組成物は、更に、ノニオン界面活性剤、半極性界面活性剤、両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも一種の界面活性剤を含むことが望ましい。
これらの界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグルコシド等が好適なものとして挙げられる。
【0059】
なお、抗ウイルス組成物は、更にグリコール系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤及びグリセリンからなる群から選択される少なくとも1種の溶剤と、非イオン界面活性剤、半極性界面活性剤、両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも一種の界面活性剤とを含んでいてもよい。
【0060】
抗ウイルス組成物は、更にアルカリ金属水酸化物、ケイ酸塩、アミン化合物及び炭酸塩からなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ剤と、グリコール系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤及びグリセリンからなる群から選択される少なくとも1種の溶剤とを含んでいてもよい。
【0061】
抗ウイルス組成物は、更にアミン化合物及び炭酸塩からなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ剤と、グリコール系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤及びグリセリンからなる群から選択される少なくとも1種の溶剤とを含んでいてもよい。
【0062】
抗ウイルス組成物は、更にアルカリ剤としてアミン化合物と、グリコール系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤及びグリセリンからなる群から選択される少なくとも一種の溶剤とを含んでいてもよい。
【0063】
抗ウイルス組成物は、更にグリコール系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤及びグリセリンからなる群から選択される少なくとも1種の溶剤と、アミノカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、リン酸系キレート剤及びエーテルカルボン酸塩系キレート剤からなる群から選択される少なくとも1種のキレート剤と、からなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ剤とを含んでいてもよい。
【0064】
抗ウイルス組成物は、更にアミノカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、リン酸系キレート剤及びエーテルカルボン酸塩系キレート剤からなる群から選択される少なくとも1種のキレート剤を含んでいてもよい。
【0065】
(その他の成分)
本発明の抗ウイルス組成物には、上述した界面活性剤,アルカリ剤、溶剤、キレート剤以外に、酸剤;可溶化剤;粘度調整剤;腐食防止剤;分散剤;消泡剤;蛍光増白剤;香料;色粉;安定化剤;酵素等が含まれていてもよい。
【0066】
本発明の抗ウイルス組成物は、上述したように、アミノカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、リン酸系キレート剤、エーテルカルボン酸塩系キレート剤等のキレート剤を含んでいてもよい。
アミノカルボン酸系キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、1,3-プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン六酢酸(DPTA-OH)、アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)又はこれらの塩等が挙げられる。
ホスホン酸系キレート剤としては、ヒドロキシエチリデンホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリメチレンホスホン酸(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)等が挙げられる。
リン酸系キレート剤としては、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸塩等が挙げられる。
なお、本発明の抗ウイルス組成物がキレート剤を含む場合、本発明の抗ウイルス組成物は、これらキレート剤を1種類だけ含んでいてもよく、複数種類含んでいてもよい。
本発明の抗ウイルス組成物中のキレート剤の質量濃度(合計質量濃度)は、0~10質量%であることが好ましく、0~6質量%であることがより好ましく、0~2質量%であることが更に好ましい。
【0067】
本発明の抗ウイルス組成物は、低級アルコールを含んでいてもよいが、使用対象物への影響をより低減する観点からは、上述したように、本発明の抗ウイルス組成物中、低級アルコールの濃度が40質量%未満であることが好ましい。
上記低級アルコールの濃度は、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが一層好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、0質量%であることが最も好ましい。
本発明の抗ウイルス組成物は、低級アルコールを低濃度としたり配合しないものとした場合であっても、優れた抗ウイルス効果を示すことができるものである。
【0068】
また本発明の抗ウイルス組成物中、低級アルコール、高級アルコールを含むアルコールの濃度が40質量%未満であることが好ましい。
上記アルコールの濃度は、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが一層好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、0質量%であることが最も好ましい。
アルコールの濃度がこのように低いことで、使用対象物が劣化してしまい、その外観等の特性を損なうことをより充分に防止できる。
本明細書中、アルコールは、炭素数が限定されないアルコールをいう。なお、アルコールの価数も特に限定されない。
アルコールの濃度は、アルコールを複数種用いる場合は、複数種のアルコールの合計の濃度である。
なお、アルコールの濃度が40質量%未満であるとは、本発明の抗ウイルス組成物がアルコールを含まず、アルコールの濃度が0質量%であってもよいものである。
【0069】
更に、本発明の抗ウイルス組成物中、溶剤(有機溶剤)の濃度が40質量%未満であることが好ましい。
上記溶剤の濃度は、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが一層好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、0質量%であることが最も好ましい。
溶剤の濃度がこのように低いことで、プラスチックからなる使用対象物が劣化してしまい、その外観等の特性を損なうことをより充分に防止できる。
本明細書中、溶剤は、有機溶剤をいう。
溶剤の濃度は、溶剤を複数種用いる場合は、複数種の溶剤の合計の濃度である。
なお、溶剤の濃度が40質量%未満であるとは、本発明の抗ウイルス組成物が溶剤を含まず、溶剤の濃度が0質量%であってもよいものである。
【0070】
本発明の抗ウイルス組成物は、更に、水を含有することが好ましい。
水は、他の成分以外の残部として配合され、その含有量は特に限定されるものではない。水としては、特に限定されないが、例えば水道水、蒸留水、精製水、純水、イオン交換水等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
本発明のウイルス不活性化剤中、水の質量濃度は、10.00~99.90質量%であることが好ましく、40.00~99.80質量%であることがより好ましく、70.00~99.60質量%であることが更に好ましく、90.00~99.50質量%であることが特に好ましい。
【0071】
本発明の抗ウイルス組成物は、pHが3.0~11.0であることが好ましい。
なお、pHは、例えば硫酸、塩酸、スルファミン酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、グルコン酸等の酸剤や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミン化合物、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩等のアルカリ剤の量を制御することにより調整することができる。
pHは、上述した方法により測定されるものである。
【0072】
次に、本発明の抗ウイルス組成物の用途を説明する。
本発明の抗ウイルス組成物は、硬質材料、軟質材料の表面に用いることが可能である。硬質材料としては、例えば、金属、セラミック、プラスチック、ガラス、表面処理した木材等が挙げられる。軟質材料としては、例えば、繊維等が挙げられる。
【0073】
本発明の抗ウイルス組成物は、上述したように、例えば、硬質材料の表面に用いられることが好ましい。
また本発明の抗ウイルス組成物は、例えば、金属の表面、プラスチックの表面、又は、繊維の表面に用いられることが好ましい。
【0074】
また本発明の抗ウイルス組成物を、抗ウイルスコーティング剤に用いてもよい。
本発明の抗ウイルスコーティング剤は、物品の表面をコーティングすることで、物品の表面に抗ウイルス性を付与することができる。
このような抗ウイルスコーティング剤を用いることにより、ウイルス感染を充分に防ぐことができる。
【0075】
また本発明の抗ウイルス組成物を、衛生資材に用いてもよい。
本発明の抗ウイルス組成物は、優れた抗ウイルス効果を発揮するので、このような抗ウイルス組成物を含む衛生資材を用いることにより、ウイルス感染を充分に防ぐことができる。
【0076】
衛生資材としては、特に限定されるものではないが、例えば、マスク、使い捨て手袋、使い捨て布巾、ティッシュペーパー、ウエットティッシュ等があげられる。
【0077】
なお、本発明の抗ウイルス組成物は、手洗い液、中性洗剤、消臭剤に加えてもよい。
本発明の抗ウイルス組成物や、本発明の抗ウイルス組成物を含む手洗い液、中性洗剤、消臭剤等は、ポンプボトルやスプレーボトルに詰められていてもよい。
【0078】
本発明の抗ウイルス組成物は、優れた抗ウイルス効果を示す。
また本発明の抗ウイルス組成物は、低級アルコール濃度を低いもの(例えば、40質量%未満)とした場合は、使用対象物がプラスチック等である場合に、使用対象物が劣化しにくい。なお、当然ながら、使用対象物が金属や繊維である場合も、使用対象物が劣化しにくい。また、人の皮膚に付着したとしても人の皮膚を傷つけにくい。
【0079】
本発明は、本発明の抗ウイルス組成物の使用方法でもある。
本発明の使用方法は、本発明の抗ウイルス組成物を水等で希釈して使用するものであってもよい。例えば、本発明の抗ウイルス組成物の使用時の界面活性剤濃度は、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、0.2質量%以下が特に好ましい。
【実施例0080】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、特に断らない限り「%」は「質量%」を意味する。
【0081】
(実施例1~38)及び(比較例1~13)
表1~表4に記載の配合により実施例1~38及び比較例1~13に係る抗ウイルス組成物を作製した。
なお、表1~表4中、化合物の製造元等は以下の通りである。
【0082】
<カチオン界面活性剤(第四級アンモニウム化合物)>
塩化ベンザルコニウム:ロンザジャパン(株)製 ハイアミン3500J
塩化アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム:クラリアントジャパン(株)製 PREPAGEN HY
ジデシルジメチルアンモニウム・メトサルフェート:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製 リポカード210-80MSPG
塩化ジメチルジオクチルアンモニウム:ロンザジャパン(株)製 Bardac LF80
塩化セチルピリジニウム:東京化成工業(株)製 Hexadecylpyridinium Chloride Monohydrate
塩化ベンゼトニウム:東京化成工業(株)製 CPC Monohydrate
【0083】
<アニオン界面活性剤>
ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸エステルNa:第一工業製薬(株)製 ハイテノール330T ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸エステルナトリウム
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルNa:テイカ製 テイカポールNE1230(アルキル基の炭素数12~16、エチレンオキシドの平均付加モル数3)
第二級アルカンスルホン酸ナトリウム:クラリアントジャパン(株)製 Hostapur SAS 30(アルキル基の炭素数12~16)
ラウリル硫酸ナトリウム:日光ケミカルズ(株)製 SLS
ラウリン酸カリウム:関東化学(株)製 ラウリン酸カリウム
ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム:三洋化成工業(株)製 ビューライトLCA
【0084】
<両性界面活性剤>
ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム:泰光油脂化学工業(株)製 タイポールソフト LDP-30
ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム:泰光油脂化学工業(株)製 タイポールソフト LAP-10
ヤシ油アルキルベタイン:クラリアントジャパン(株)製 GENAGEN B1566
ラウリン酸アミドプロピルベタイン液:クラリアントジャパン(株)製 GENAGEN DAB-J
デシルジメチルアミンオキシド:クラリアントジャパン(株)製 GENAMINOX K10
オクチルジメチルアミンオキシド:クラリアントジャパン(株)製 GENAMINOX OC
ラウリルヒドロキシスルホベタイン:花王(株)製 アンヒトール 20HD
2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン:三洋化成工業(株)製 レボン105
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン:新日本理化(株)製 リカビオン A-100
ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン:新日本理化(株)製 リカビオン A-200
【0085】
<ノニオン界面活性剤>
ブチルグルコシド:SEPPIC社製 SIMULSOLSL4
ショ糖脂肪酸エステル:三菱化学フーズ(株)製 リョートーシュガーエステルLWA1570
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート:日油(株)製 ウィルサーフTF-20
ポリオキシエチレンデシルエーテル:青木油脂工業(株)製 ファインサーフD-1307
【0086】
(低級アルコール)
エチルアルコール:富士フイルム和光純薬(株)製 エタノール(99.5)
n-プロピルアルコール:富士フイルム和光純薬(株)製 1-プロパノール
【0087】
(キレート剤)
メチルグリシン二酢酸三ナトリウム:BASF(株)製 トリロンM
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム:アクゾノーベル製 ディゾルビンNA-2
クエン酸ナトリウム:林純薬工業(株)製 クエン酸三ナトリウム・2水和物
【0088】
(酸剤)
クエン酸:林純薬工業(株)製 クエン酸(結晶)
乳酸:武蔵野化学研究所(株)製 ムサシノ乳酸F(50%)
DL-リンゴ酸:扶桑化学工業(株)製 DL-リンゴ酸
【0089】
(アルカリ剤)
炭酸水素ナトリウム:東ソー(株)製 重炭酸ナトリウム(食添)
炭酸カリウム:旭硝子(株)製 炭酸カリウム(食品添加物)
N-メチルエタノールアミン:BASF(株)製 NMEOA
2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール:東京化成工業(株)製 2-Amino-2-methyl-1-propanol
モルホリン:東京化成工業(株)製 Morpholine
モノイソプロパノールアミン:東京化成工業(株)製 DL-1-Amino-2-propanol
モノエタノールアミン:東京化成工業(株)製 2-Aminoethanol
N,N-ジメチルアミノエタノール:東京化成工業(株)製 2-(Dimethylamino)ethanol
なお、表1~表4における組成の数値は、抗ウイルス組成物中の各成分の純分の割合となる。
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
(性能評価)
(硬質表面のインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス効果)
(1)インフルエンザウイルスを、イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来株化細胞であるMDCK細胞に感染させて細胞を培養した。
(2)次に、インフルエンザウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認した。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕した。
(3)培養細胞破砕液を遠心分離し、上清を回収してウイルス溶液とした。
(4)各実施例及び各比較例に係る抗ウイルス組成物500μLを5cm×5cmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂板又はステンレス板(SUS)上に塗り広げて、25℃、168時間シャーレ内で静置した。これを抗ウイルス加工板とした。
(5)ウイルス溶液100μLを抗ウイルス加工板に滴下し、4cm×4cmのフィルムを置き、25℃、90%RH以上の環境下で1時間静置した。
(6)滅菌SCDLP培地10mLを加えて、ウイルスと抗ウイルス組成物の作用を停止し、数回ピペッティングを行ってインフルエンザウイルスを抗ウイルス加工板から洗い出した。この工程により得られた溶液を抗ウイルス組成物60分抗ウイルス作用ウイルス溶液とした。
(7)ウイルス加工未処理のPET樹脂板又はSUS板を、25℃、168時間シャーレ内で静置した。これを抗ウイルス未加工板とした。
(8)ウイルス溶液100μLを抗ウイルス未加工板に滴下し、4cm×4cmのフィルムを置き、25℃、90%RH以上の環境下で60分間静置した。
(9)滅菌SCDLP培地10mLを加えて、数回ピペッティングを行ってインフルエンザウイルスを抗ウイルス未加工板から洗い出した。この工程により得られた溶液を抗ウイルス作用未処理ウイルス溶液とした。
(10)抗ウイルス組成物60分抗ウイルス作用ウイルス溶液と抗ウイルス作用未処理ウイルス溶液を、それぞれ、2μg/mLトリプシン(牛脾臓由来結晶)を含むEMEM培地(以下、トリプシン含有EMEM培地)により10倍段階希釈した。MDCK細胞を培養した96ウェルマイクロプレートの培地を捨て、段階希釈液を1ウェルあたり100μLずつ加えた。
(11)加えられたMDCK細胞を37℃、5%CO2の条件で、1時間培養した。
(12)培養後、段階希釈液を廃棄し、トリプシン含有EMEM培地を1ウェルあたり100μLずつ加えた。
(13)加えられたMDCK細胞を37℃、5%CO2の条件で、4日間培養した。
(14)培養したMDCK細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量した。
(15)上記(1)~(14)の工程を3回独立に行い、抗ウイルス作用未処理ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、抗ウイルス作用未処理ウイルス感染力価とし、抗ウイルス組成物60分抗ウイルス作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間60分におけるウイルス感染力価の値とした。
感染力価の減少は抗ウイルス作用未処理ウイルス感染力価から作用時間60分におけるウイルス感染力価を減算し、算出した。なお、表中の感染力価の減少値は常用対数で表している。
評価基準は以下の通りである。
◎:4.0以上の感染力価の減少
〇:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少
×:2.0未満の感染力価の減少
なお、感染力価の減少が2.0以上(評価が〇以上)であれば、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス効果は良好である。
【0095】
(硬質表面のヒトコロナウイルスに対する抗ウイルス効果)
(1)ヒトコロナウイルスを、ヒト正常二倍体線維芽細胞であるMRC-5細胞に感染させて細胞を培養した。
(2)次に、ヒトコロナウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認した。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕した。
(3)培養細胞破砕液を遠心分離し、上清を回収してウイルス溶液とした。
(4)各実施例及び各比較例に係る抗ウイルス組成物500μLを5cm×5cmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂板上に塗り広げて、25℃、168時間シャーレ内で静置した。これを抗ウイルス加工板とした。
(5)ウイルス溶液100μLを抗ウイルス加工板に滴下し、4cm×4cmのフィルムを置き、25℃、90%RH以上の環境下で60分間静置した。
(6)滅菌SCDLP培地10mLを加えて、ウイルスと抗ウイルス組成物の作用を停止し、数回ピペッティングを行ってヒトコロナウイルスを抗ウイルス加工板から洗い出した。この工程により得られた溶液を抗ウイルス組成物60分抗ウイルス作用ウイルス溶液とした。
(7)ウイルス加工未処理のPET樹脂板を、25℃、168時間シャーレ内で静置した。これを抗ウイルス未加工板とした。
(8)ウイルス溶液100μLを抗ウイルス未加工板に滴下し、4cm×4cmのフィルムを置き、25℃、90%RH以上の環境下で60分間静置した。
(9)滅菌SCDLP培地10mLを加えて、数回ピペッティングを行ってヒトコロナウイルスを抗ウイルス未加工板から洗い出した。この工程により得られた溶液を抗ウイルス作用未処理ウイルス溶液とした。
(10)抗ウイルス組成物60分抗ウイルス作用ウイルス溶液と抗ウイルス作用未処理ウイルス溶液を、それぞれ、5%FBS(ウシ胎児血清)を含むMEM培地(以下、FBS含有MEM培地)により10倍段階希釈した。MRC-5細胞を培養した96ウェルマイクロプレートの培地を捨て、段階希釈液を1ウェルあたり100μLずつ加えた。
(11)段階希釈液を加えられたMRC-5細胞を37℃、5%CO2の条件で、1時間培養した。
(12)培養後、段階希釈液を廃棄し、FBS含有MEM培地を1ウェルあたり100μLずつ加えた。
(13)加えられたMRC-5細胞を37℃、5%CO2の条件で、4日間培養した。
(14)培養したMRC-5細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量した。
(15)上記(1)~(14)の工程を3回独立に行い、抗ウイルス作用未処理ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、抗ウイルス作用未処理ウイルス感染力価とし、抗ウイルス組成物60分抗ウイルス作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間60分におけるウイルス感染力価の値とした。
感染力価の減少は抗ウイルス作用未処理ウイルス感染力価から作用時間60分におけるウイルス感染力価を減算し、算出した。なお、表中の感染力価の減少値は常用対数で表している。
評価基準は以下の通りである。
◎:4.0以上の感染力価の減少
〇:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少
×:2.0未満の感染力価の減少
なお、感染力価の減少が2.0以上(評価が〇以上)であれば、コロナウイルスに対する抗ウイルス効果は良好である。
【0096】
(繊維上のインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス効果)
(1)インフルエンザウイルスを、イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来株化細胞であるMDCK細胞に感染させて細胞を培養した。
(2)次に、インフルエンザウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認した。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕した。
(3)培養細胞破砕液を遠心分離し、上清を回収してウイルス溶液とした。
(4)各実施例及び各比較例に係る抗ウイルス組成物500μLを2cm×2cmの滅菌綿0.4gに滴下し、25℃、168時間シャーレ内で静置した。これを抗ウイルス加工布とした。
(5)ウイルス溶液100μLを抗ウイルス加工布に滴下し、蓋つき滅菌バイアルにいれて、25℃の環境下で60分間静置した。
(6)滅菌SCDLP培地20mLを加えて、ウイルスと抗ウイルス組成物の作用を停止し、ボルテックスミキサーで攪拌し、インフルエンザウイルスを抗ウイルス加工布から洗い出した。この工程により得られた溶液を抗ウイルス組成物60分抗ウイルス作用ウイルス溶液とした。
(7)ウイルス加工未処理の滅菌綿を、25℃、168時間シャーレ内で静置した。これを抗ウイルス未加工布とした。
(8)ウイルス溶液100μLを抗ウイルス未加工布に滴下し、蓋つき滅菌バイアルにいれて、25℃の環境下で60分間静置した。
(9)滅菌SCDLP培地20mLを加えて、ボルテックスミキサーで攪拌し、インフルエンザウイルスを抗ウイルス未加工板から洗い出した。この工程により得られた溶液を抗ウイルス作用未処理ウイルス溶液とした。
(10)抗ウイルス組成物60分抗ウイルス作用ウイルス溶液と抗ウイルス作用未処理ウイルス溶液を、それぞれ、2μg/mLトリプシン(牛脾臓由来結晶)を含むEMEM培地(以下、トリプシン含有EMEM培地)により10倍段階希釈した。MDCK細胞を培養した96ウェルマイクロプレートの培地を捨て、段階希釈液を1ウェルあたり100μLずつ加えた。
(11)加えられたMDCK細胞を37℃、5%CO2の条件で、1時間培養した。
(12)培養後、段階希釈液を廃棄し、トリプシン含有EMEM培地を1ウェルあたり100μLずつ加えた。
(13)加えられたMDCK細胞を37℃、5%CO2の条件で、4日間培養した。
(14)培養したMDCK細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量した。
(15)上記(1)~(14)の工程を3回独立に行い、抗ウイルス作用未処理ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、抗ウイルス作用未処理ウイルス感染力価とし、抗ウイルス組成物60分抗ウイルス作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間60分におけるウイルス感染力価の値とした。
感染力価の減少は抗ウイルス作用未処理ウイルス感染力価から作用時間60分におけるウイルス感染力価を減算し、算出した。なお、表中の感染力価の減少値は常用対数で表している。
評価基準は以下の通りである。
◎:4.0以上の感染力価の減少
〇:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少
×:2.0未満の感染力価の減少
なお、感染力価の減少が2.0以上(評価が〇以上)であれば、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス効果は良好である。
【0097】
<ウイルス不活化効果>
(1)インフルエンザウイルスを、イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来株化細胞であるMDCK細胞に感染させて細胞を培養した。
(2)次に、インフルエンザウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認した。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕した。
(3)培養細胞破砕液の遠心分離し、上清を回収してウイルス溶液とした。
(4)各実施例及び各比較例に係る抗ウイルス組成物と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合し、室温で60分間経過後、2μg/mLトリプシン(牛脾臓由来結晶)を含むEMEM培地(以下、トリプシン含有EMEM培地)で100倍希釈することにより、各抗ウイルス組成物のウイルスに対する作用を停止させた。
この工程により得られた溶液を抗ウイルス組成物60分不活化作用ウイルス溶液とした。
(5)トリプシン含有EMEM培地と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合した直後、トリプシン含有EMEM培地で100倍希釈することにより、得られた溶液を抗ウイルス組成物0分不活性化作用ウイルス溶液とした。
(6)抗ウイルス組成物0分不活性化作用ウイルス溶液、抗ウイルス組成物60分不活性化作用ウイルス溶液を、それぞれ、トリプシン含有EMEM培地により10倍段階希釈した。MDCK細胞を培養した96ウェルマイクロプレートの培地を捨て、段階希釈液を1ウェルあたり100μLずつ加えた。
(7)抗ウイルス組成物0分不活性化作用ウイルス溶液及び抗ウイルス組成物60分不活性化作用ウイルス溶液の段階希釈液が加えられたMDCK細胞を37℃、5%CO2の条件で、4日間培養した。
(8)培養したMDCK細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量した。
(9)上記(1)~(8)の工程を3回独立に行い、抗ウイルス組成物0分不活性化作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間0分におけるウイルス感染力価とし、抗ウイルス組成物60分不活性化作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間60分におけるウイルス感染力価の値とした。
評価基準は以下の通りである。結果を表1~表4に示す。
◎:4.0以上の感染力価の減少
〇:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少
×:2.0未満の感染力価の減少
なお、感染力価の減少が2.0以上(評価が〇以上)であれば、インフルエンザウイルス不活性化効果は良好である。
【0098】
(拭き跡試験)
イオン交換水で洗浄し、乾燥させたアクリル板(縦×横=22cm×22cm)を用意した。
新品のカウンタークロス(縦×横=30cm×17cm)を3回折り、所定回数、各洗浄剤をカウンタークロスに散布後、10往復拭いた。
乾燥後、拭き跡を目視で評価した。
<評価基準>
〇:拭き跡がない
×:拭き跡が残る
【0099】
(樹脂への影響試験)
1/4楕円法(一般社団法人プラスチック成形加工学会発行 成形加工26巻(2014)10号482頁に記載されている)により評価した。楕円治具(長軸127mm、短軸38.1mm)の円周上に沿うようにABS樹脂又はアクリル樹脂からなる試験片(127mm×10mm×厚み1.6mm(日本テストパネル(株)製)を固定した。その上に四つ折りしたプロワイプソフトマイクロワイパー(大王製紙(株)製)を2枚重ね、各実施例及び各比較例の抗ウイルス組成物を5mL滴下し、室温20℃湿度50%の環境下で84時間静置した。試験片のクラック発生の有無を目視観察し、1/4楕円治具の短軸側の試験片端部からクラック発生位置までの距離を測り、臨界歪みを算出した。
○:クラック発生なし
△:クラックが発生し臨界歪みが0.6%以上
×:クラックが発生し臨界歪みが0.6%未満
なお、評価が△以上であれば、樹脂への影響は充分に小さく、良好である。
【0100】
表1~表4より、実施例に係る抗ウイルス組成物は優れた抗ウイルス効果を奏することが判明した。
また実施例1~15、19、20、22~27、30~38に係る抗ウイルス組成物は、低級アルコール(アルコール)を配合しなくても、上述した優れた抗ウイルス効果を奏する。更に、実施例1~27、30~38に係る抗ウイルス組成物は、低級アルコール(アルコール)の濃度が40質量%未満であり、中でも、実施例1~15、18~27、30~38に係る抗ウイルス組成物は、低級アルコール(アルコール)の濃度が10質量%以下であることから、例えばABS樹脂やアクリル樹脂等の材質からなる使用対象物に使用しても、使用対象物が劣化することを充分に防止できるものである。実施例に係る抗ウイルス組成物は、当然、その他の使用対象物に対しても使用できる。
そして、実施例に係る抗ウイルス組成物は、界面活性剤の合計濃度が低くても(例えば、実施例14に示すように0.018質量%でも)、優れた抗ウイルス効果を奏する。また、実施例1~25、28~37に係る抗ウイルス組成物は、界面活性剤の合計濃度が2質量%以下であることから、使用対象物に拭き後が残ることを充分に防止できるものである。
なお、このような実施例に係る抗ウイルス組成物を含む抗ウイルスコーティング剤や衛生資材は、優れた抗ウイルス効果を発揮することができ、各種物品に抗ウイルス性を付与することができ、ウイルスによる感染症を充分に防ぐことができるものである。