(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182831
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】システムおよび火災報知器
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20221201BHJP
G01R 19/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G05F1/56 320C
G01R19/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090577
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 智貴
(72)【発明者】
【氏名】野口 貴弘
【テーマコード(参考)】
2G035
5H430
【Fターム(参考)】
2G035AB02
2G035AC16
2G035AD03
2G035AD10
2G035AD11
2G035AD20
2G035AD23
2G035AD24
2G035AD56
5H430BB09
5H430BB12
5H430EE04
5H430FF08
5H430FF12
5H430HH03
5H430HH07
5H430JJ01
5H430LA06
5H430LA19
5H430LA24
5H430LB06
(57)【要約】
【課題】既存のトランジスタの動作を利用し、火災報知器等のシステムに搭載される半導体集積回路内に形成した抵抗を使用して、低コストかつ高い精度で電流を判定する。
【解決手段】システムに含まれる子機に搭載される半導体集積回路の電流駆動回路は、制御信号に応じて電圧線から電流を引き抜く第1トランジスタを有し、電圧線の電圧の変化としてデータを出力する。半導体集積回路の電流検出回路は、電圧線に接続される抵抗値が互いに同じ第1および第2抵抗素子と、第1抵抗素子に接続され、第1トランジスタのサイズのN分の1であり、ゲートで制御信号を受ける第2トランジスタと、第2抵抗素子に接続され、電圧線に供給される電流のN分の1の基準電流を流す電流源と、第1抵抗素子の電圧と第2抵抗素子の電圧を比較することで、前記電圧線に所望の電流が供給されているか否かを判定するコンパレータと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体集積回路を有する子機と、電圧線を介して前記子機に電圧を供給する親機とを有するシステムであって、
前記半導体集積回路は、ゲートで受ける制御信号に応じて、前記電圧線から電流を引き抜く第1トランジスタを有し、前記電圧線の電圧の変化としてデータを前記親機に出力する電流駆動回路と、前記電圧線に供給される電流を検出する電流検出回路とを有し、
前記電流検出回路は、
一端が前記電圧線にそれぞれ接続され、抵抗値が互いに同じ第1抵抗素子および第2抵抗素子と、
前記第1抵抗素子の他端に接続され、トランジスタサイズが前記第1トランジスタのサイズのN分の1であり、ゲートで前記制御信号を受ける第2トランジスタと、
前記第2抵抗素子の他端に接続され、前記電圧線に供給される所望の電流のN分の1の基準電流を流す電流源と、
第1入力で受ける前記第1抵抗素子の他端の電圧と、第2入力で受ける前記第2抵抗素子の他端の電圧とを比較することで、前記電圧線に前記所望の電流が供給されているか否かを判定するコンパレータと、
を有することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記電流駆動回路は、前記電圧線の電圧を分圧して分圧電圧を生成する分圧回路と、
前記電圧線がロウレベル値の前記データに対応する電圧のときに前記分圧回路が生成する分圧電圧と同じ値を基準電圧として生成する基準電圧生成回路と、
前記分圧電圧と前記基準電圧とを差動増幅し、前記第1トランジスタのゲートに供給する前記制御信号を生成するアンプと、をさらに有すること
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電圧線にロウレベル値の前記データを出力しないとき、前記分圧回路、前記アンプおよび前記電流源の動作を停止する動作制御回路を有すること
を特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電圧線から供給される前記電圧に基づいて生成される電源電圧により動作する制御部を有し、
前記コンパレータは、前記第1トランジスタが引き抜く電流が前記基準電流より小さいか否かを示す比較結果信号を前記制御部に出力し、
前記制御部は、前記第1トランジスタが引き抜く電流が前記基準電流より小さいことを前記比較結果信号が示す場合、前記制御部内の一部の回路または機能部の動作を停止すること
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記子機は、火災を検知する火災感知器であり、
前記親機は、前記火災感知器を動作させる電圧を供給する火災受信器であること
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
半導体集積回路と電圧線から供給される電圧に基づいて生成される電源電圧により動作する制御部とを有する子機と、電圧線を介して前記子機に電圧を供給する親機とを有する火災報知器であって、
前記半導体集積回路は、ゲートで受ける制御信号に応じて、前記電圧線から電流を引き抜く第1トランジスタを有し、前記電圧線の電圧の変化としてデータを前記親機に出力する電流駆動回路と、前記電圧線に供給される電流を検出する電流検出回路とを有し、
前記電流検出回路が所定の電流を検出した場合に、前記制御部の少なくとも一部の回路の機能を停止すること
を特徴とする火災報知器。
【請求項7】
前記電流検出回路は、
一端が前記電圧線にそれぞれ接続され、抵抗値が互いに同じ第1抵抗素子および第2抵抗素子と、
前記第1抵抗素子の他端に接続され、トランジスタサイズが前記第1トランジスタのサイズのN分の1であり、ゲートで前記制御信号を受ける第2トランジスタと、
前記第2抵抗素子の他端に接続され、前記電圧線に供給される所望の電流のN分の1の基準電流を流す電流源と、
第1入力で受ける前記第1抵抗素子の他端の電圧と、第2入力で受ける前記第2抵抗素子の他端の電圧とを比較することで、前記電圧線に前記所望の電流が供給されているか否かを判定するコンパレータと、
を有することを特徴とする請求項6に記載の火災報知器。
【請求項8】
前記電流駆動回路は、前記電圧線の電圧を分圧して分圧電圧を生成する分圧回路と、
前記電圧線がロウレベル値の前記データに対応する電圧のときに前記分圧回路が生成する分圧電圧と同じ値を基準電圧として生成する基準電圧生成回路と、
前記分圧電圧と前記基準電圧とを差動増幅し、前記第1トランジスタのゲートに供給する前記制御信号を生成するアンプと、をさらに有すること
を特徴とする請求項7に記載の火災報知器。
【請求項9】
前記電圧線にロウレベル値の前記データを出力しないとき、前記分圧回路、前記アンプおよび前記電流源の動作を停止する動作制御回路を有すること
を特徴とする請求項8に記載の火災報知器。
【請求項10】
前記コンパレータは、前記第1トランジスタが引き抜く電流が前記基準電流より小さいか否かを示す比較結果信号を前記制御部に出力し、
前記制御部は、前記第1トランジスタが引き抜く電流が前記基準電流より小さいことを前記比較結果信号が示す場合、前記制御部の少なくとも一部の回路の機能を停止すること
を特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか1項に記載の火災報知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムおよび火災報知器に関する。
【背景技術】
【0002】
基準電圧回路により生成される基準電圧を、基準電流回路により生成される基準電流に基づいて生成した閾値電圧と比較することで、基準電圧が正常であるか否かを監視する異常監視回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、火災感知器などの子機と受信機などの親機とを接続する電源供給線を利用して、子機からの伝送電流を親機で検出する手法が知られている。例えば、親機は、伝送電流が流れない空きタイミングに流れる負荷電流に基づいて基準電圧を生成し、生成した基準電圧と伝送電流に基づいて生成される電圧とをコンパレータにより比較することで、伝送電流を検出する(例えば、特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-207201号公報
【特許文献2】国際公開第2010/038480号
【特許文献3】国際公開第2010/038476号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、負荷回路に供給される電源電流等の電流が十分であるか否かは、例えば、抵抗を利用して電流を電圧に変換し、変換した電圧を基準電圧と比較することで判定される。電圧変換用の抵抗を火災感知器に搭載される半導体集積回路内に形成する場合、半導体製造プロセスの変動により抵抗値がばらつくため、基準電圧との比較の精度は低下する。シャント抵抗等の外付け部品を使用する場合、抵抗のばらつきは少なくなり、基準電圧との比較の精度は向上する。しかしながら、外付け部品を使用する場合、コストが増加し、信頼性が低下する。
【0006】
開示の技術は、火災報知器等のシステムに搭載される半導体集積回路内の既存のトランジスタの動作を利用し、半導体集積回路内に形成した抵抗を使用して、低コストかつ高い精度で電流を判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一形態のシステムは、半導体集積回路を有する子機と、電圧線を介して前記子機に電圧を供給する親機とを有するシステムであって、前記半導体集積回路は、ゲートで受ける制御信号に応じて、前記電圧線から電流を引き抜く第1トランジスタを有し、前記電圧線の電圧の変化としてデータを前記親機に出力する電流駆動回路と、前記電圧線に供給される電流を検出する電流検出回路とを有し、前記電流検出回路は、一端が前記電圧線にそれぞれ接続され、抵抗値が互いに同じ第1抵抗素子および第2抵抗素子と、前記第1抵抗素子の他端に接続され、トランジスタサイズが前記第1トランジスタのサイズのN分の1であり、ゲートで前記制御信号を受ける第2トランジスタと、前記第2抵抗素子の他端に接続され、前記電圧線に供給される所望の電流のN分の1の基準電流を流す電流源と、第1入力で受ける前記第1抵抗素子の他端の電圧と、第2入力で受ける前記第2抵抗素子の他端の電圧とを比較することで、前記電圧線に前記所望の電流が供給されているか否かを判定するコンパレータと、を有することを特徴とする。
【0008】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一形態の火災報知器は、半導体集積回路と前記電圧線から供給される前記電圧に基づいて生成される電源電圧により動作する制御部とを有する子機と、電圧線を介して前記子機に電圧を供給する親機とを有する火災報知器であって、前記半導体集積回路は、ゲートで受ける制御信号に応じて、前記電圧線から電流を引き抜く第1トランジスタを有し、前記電圧線の電圧の変化としてデータを前記親機に出力する電流駆動回路と、前記電圧線に供給される電流を検出する電流検出回路とを有し、前記電流検出回路が所定の電流を検出した場合に、前記制御部の少なくとも一部の回路の機能を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
火災報知器等のシステムに搭載される半導体集積回路内の既存のトランジスタの動作を利用し、半導体集積回路内に形成した抵抗を使用して、低コストかつ高い精度で電流を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の火災感知器に搭載される半導体集積回路の第1の実施形態を示す回路図である。
【
図2】
図1の半導体集積回路の動作の一例を示す波形図である。
【
図3】本発明の火災感知器に搭載される半導体集積回路の第2の実施形態を示す回路図である。
【
図4】本発明の火災報知システムの第1の実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施の形態の説明を行う。以下では、電圧が伝達される電圧線、端子およびノードには、電圧名または電流名と同じ符号を使用し、信号が伝達される信号線、端子およびノードには、信号名と同じ符号を使用する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0012】
(火災感知器に搭載される半導体集積回路の第1の実施形態)
図1は、本発明の火災感知器に搭載される半導体集積回路の第1の実施形態を示す回路図である。
図1に示す半導体集積回路100は、送信回路110および制御部120を有する。例えば、半導体集積回路100は、後述する
図4に示す火災感知器1200に搭載される。送信回路110は、電流駆動回路10および電流検出回路20を有する。例えば、半導体集積回路100は、電源線VCCを介して図示しない親機から供給される電源電圧VCCにより動作し、電源線VCCの電圧の変化を利用して親機にデータDATA等の情報を送信する機能を有する。データDATA等の情報は、電源線VCCから電流を引き抜くことで低下する電源電圧VCCと、電源線VCCから電流を引き抜かないときの電源電圧VCCとの電位差を利用して親機に送信される。すなわち、半導体集積回路100は、電源線VCCの電圧の変化としてデータを出力する。電源線VCCは、電圧線の一例である。
【0013】
電流駆動回路10は、抵抗素子R11、R12、インバータIV11、IV12、nチャネルトランジスタNM11、NM12、NM13、基準電圧生成回路12およびアンプAMP1を有する。電流検出回路20は、抵抗素子R13、R14、nチャネルトランジスタNM14、電流源CS1およびコンパレータCMP1を有する。nチャネルトランジスタNM13は、第1トランジスタの一例であり、nチャネルトランジスタNM14は、第2トランジスタの一例である。抵抗素子R13は、第1抵抗素子の一例であり、抵抗素子R14は、第2抵抗素子の一例である。以下では、nチャネルトランジスタは、単にトランジスタとも称される。なお、nチャネルトランジスタNM11、NM12は、スイッチの一例である。nチャネルトランジスタNM11、NM12の代わりに、制御端子でハイレベルを受けたときにオン(導通)するスイッチがそれぞれ設けられてもよい。また、nチャネルトランジスタNM11、NM12の代わりに、制御端子で受ける電圧に応じて抵抗値が変化する可変抵抗素子が設けられてもよい。
【0014】
電流駆動回路10において、インバータIV11は、データDATAの論理を反転したアクティブ信号ACTHを出力する。インバータIV12は、アクティブ信号ACTHの論理を反転したアクティブ信号ACTLを出力する。アクティブ信号ACTHは、アンプAMP1に出力され、アクティブ信号ACTLは、トランジスタNM12のゲートに供給される。
【0015】
アクティブ信号ACTH、ACTLは、電流駆動回路10により電源線VCCから電流を引き込むときに、データDATAのロウレベルに対応して、それぞれハイレベル、ロウレベルに設定される。アクティブ信号ACTH、ACTLは、電源線VCCから電流を引き込まないときに、データDATAのハイレベルに対応して、それぞれロウレベル、ハイレベルに設定される。
【0016】
抵抗素子R11、R12およびトランジスタNM11は、電源線VCCと接地線GNDとの間に直列に接続される。トランジスタNM11は、アクティブ信号ACTHがハイレベルの期間にオンする。トランジスタNM11がオンしているとき、抵抗素子R11、R12の接続ノードDIV1には、電源電圧VCCを分圧した分圧電圧DIV1が生成される。すなわち、抵抗素子R11、R12は、分圧回路として動作する。トランジスタNM11がオフしているとき、分圧電圧DIV1は、電源電圧VCCに設定される。
【0017】
基準電圧生成回路12は、電源電圧VCCから電流を引き抜いたときの電源電圧VCCのロウレベル値である基準電圧VREFを生成する。基準電圧VREFは、親機から供給される電源電圧VCCのロウレベル値に対して式(1)で示す値に設定される。式(1)において、符号R11、R13は、それぞれ抵抗素子R11、R12の抵抗値を示す。
VREF=(電源電圧VCCのロウレベル値)×R12/(R11+R12)‥(1)
【0018】
アンプAMP1は、ハイレベルのアクティブ信号ACTHを受けているときに動作し、ロウレベルのアクティブ信号ACTHを受けているときに動作を停止する。アンプAMP1は、-入力で受ける基準電圧VREFと、+入力で受ける分圧電圧DIV1とを差動増幅する。アンプAMP1は、分圧電圧DIV1が基準電圧VREFより高いほど、制御電圧AOUT1を高くし、分圧電圧DIV1が基準電圧VREFより低いほど、制御電圧AOUT1を低くする。制御電圧AOUT1は、トランジスタNM13、NM14のゲートに供給される。
【0019】
トランジスタNM12は、制御線AOUT1と接地線GNDとの間に接続される。トランジスタNM12は、ハイレベルのアクティブ信号ACTLを受けているときにオンし、ロウレベルのアクティブ信号ACTLを受けているときにオフする。
【0020】
トランジスタNM13は、ドレインがシリアル入出力端子SIOに接続され、ソースが接地線GNDに接続され、ゲートで制御信号AOUT1を受ける。シリアル入出力端子SIOは、半導体集積回路100の外部に配置される抵抗素子R15を介して電源線VCCに接続される。シリアル入出力端子SIOは、データDATAがロウレベルのとき電流駆動回路10により電源線VCCから電流を引き抜くための端子である。
【0021】
次に、電流駆動回路10の動作を説明する。データDATAがハイレベルのとき、ロウレベルのアクティブ信号ACTHによりトランジスタNM11はオフし、アンプAMP1は動作を停止する。また、データDATAがハイレベルのとき、ハイレベルのアクティブ信号ACTLによりトランジスタNM12がオンし、トランジスタNM13のゲートはロウレベルに設定され、トランジスタNM13はオフする。これにより、電流駆動回路10は、動作を停止する。
【0022】
一方、データDATAがロウレベルのとき、ハイレベルのアクティブ信号ACTHによりトランジスタNM11はオンし、分圧電圧DIV1が生成され、アンプAMP1は動作する。また、データDATAがロウレベルのとき、ロウレベルのアクティブ信号ACTLによりトランジスタNM12がオフする。これにより、トランジスタNM13は、ゲートで受けるアンプAMP1からの制御信号AOUT1に応じて、シリアル入出力端子SIOを介して電源線VCCから電流を引き抜く。そして、電源線VCCは、ロウレベル値に設定される。
【0023】
これにより、電源電圧VCCを半導体集積回路100に供給する親機は、電源電圧VCCの低下を検出することで、半導体集積回路100からデータDATAを受信することができる。
【0024】
電流検出回路20において、抵抗素子R13およびトランジスタNM14は、電源線VCCと接地線GNDとの間に直列に接続される。トランジスタNM14は、制御信号AOUT1に応じて動作する。例えば、トランジスタNM14のゲート幅は、トランジスタNM13のゲート幅のN分の1に設定される。すなわち、符号Nは、トランジスタNM13のゲート幅W13とトランジスタNM14のゲート幅W14との比W13/W14を示す。例えば、"N"は、200であるが、100または50でもよい。トランジスタNM14の素子サイズおよび素子構造は、ゲート幅を除いて、トランジスタNM13の素子サイズおよび素子構造と同じである。ゲート幅は、トランジスタサイズの一例である。
【0025】
このため、アンプAMP1からの制御信号AOUT1に応じて、トランジスタNM14のソース、ドレイン間に流れる電流を、トランジスタNM13のソース、ドレイン間に流れる電流のN分の1にすることができる。
【0026】
なお、トランジスタNM13、NM14は、半導体集積回路100が形成される半導体基板上において、互いに隣接する位置に形成される。したがって、半導体集積回路100を製造する半導体製造プロセスが変動した場合にも、トランジスタNM13、NM14のサイズ比を一定にすることができる。また、同一の半導体基板上に形成されるトランジスタNM13、NM14の電気的特性は、半導体基板の温度変化に応じて同様の傾向で変化する。この結果、トランジスタNM13、NM14の電流比を高い精度で設定することができる。
【0027】
抵抗素子R14および電流源CS1は、電源線VCCと接地線GNDとの間に直列に接続される。抵抗素子R14の抵抗値は、抵抗素子R13の抵抗値と同じ値に設定される。例えば、抵抗素子R13、R14は、半導体基板に形成される拡散層を利用して拡散層抵抗として形成される。この際、抵抗素子R13、R14は、半導体基板において互いに隣接する位置に形成される。したがって、半導体集積回路100を製造する半導体製造プロセスが変動した場合にも、抵抗素子R13、R14の形状(長さ、幅、厚さ)を同じにすることができ、抵抗素子R13、R14の抵抗値を互いに同じにすることができる。
【0028】
電流源CS1は、アクティブ信号ACTHがハイレベルのときに動作し、抵抗素子R14を介して電源線VCCから基準電流IREFを引き込む。電流源CS1は、アクティブ信号ACTHがロウレベルのときに動作を停止し、抵抗素子R14を介した電源線VCCからの基準電流IREFの引き込みを停止する。アクティブ信号ACTH、ACTLを生成するインバータIV11、IV12と、トランジスタNM11、NM12は、電源線VCCにロウレベル値のデータを出力しないとき、電流駆動回路10および電流源CS1の動作を停止する動作制御回路の一例である。
【0029】
電流源CS1は、電源線VCCに供給される所望の電流のN分の1の基準電流IREFを流すように設計される。なお、電流源CS1は、ロウレベルのデータDATAに応じてトランジスタNM13が電源線VCCから引き抜く電流I1の設計値のN分の1の基準電流IREFを流すように設計されてもよい。ここで、電流I1の設計値は、電源線VCCを介して電源電圧VCCの供給元からの電流の供給が標準状態(typical)のときに、トランジスタNM13が電源線VCCから引き抜く電流I1である。
【0030】
この実施形態では、トランジスタNM14のソース、ドレイン間に流れる電流および電流源CS1に流れる電流を小さくできるため、送信回路110に電流検出回路20を追加する場合の消費電流の増加を最小限にすることができる。
【0031】
コンパレータCMP1の-入力は、抵抗素子R13とトランジスタNM14との接続ノードVaに接続される。コンパレータCMP1の+入力は、抵抗素子R14と電流源CS1との接続ノードVbに接続される。接続ノードVaの電圧Vaは、式(2)により示され、接続ノードVbの電圧は、式(3)により示される。
Va=VCC-(R13×I2)=VCC-(R13×I1/N) ‥(2)
Vb=VCC-(R14×IREF) ‥(3)
式(2)、(3)において、符号R13、R14は、それぞれ抵抗素子R13、R14の抵抗値を示す。
【0032】
コンパレータCMP1は、-入力で受ける電圧Vaと、+入力で受ける電圧Vbとを比較することで、電源線VCCに供給される電流の大きさを判定する。例えば、コンパレータCMP1は、電圧Vaが電圧Vbより大きいとき、すなわち、電流I2が基準電流IREFより小さいとき、ロウレベルの比較結果信号CMPを出力する。コンパレータCMP1は、電圧Vaが電圧Vb以下のとき、すなわち、電流I2が基準電流IREF以上のとき、ハイレベルの比較結果信号CMPを出力する。なお、電流源CS1が動作を停止しているとき、電圧Va、Vbはハイレベルに設定されるため、コンパレータCMP1は、ハイレベルの比較結果信号CMPを出力する。
【0033】
電流源CS1は、例えば、制御部120を正常に動作させるために必要な電源電流の最小値である最小電源電流のN分の1の基準電流IREFを流すように設計される。親機から電源端子VCCを介して供給される電源電流が最小電源電流より小さいとき、電流I2<基準電流IREFになり、電圧Va>Vbになる。一方、親機から電源端子VCCへの電源電流の供給が最小電源電流以上のとき、電流I2≧基準電流IREFになり、電圧Va≦Vbになる。
【0034】
このように、電流検出回路20は、子機としての電流駆動回路10のトランジスタNM13の動作を利用して、親機からの電源電流が最小電源電流より小さいか否かを検出する。この際、電流を検出する高精度のシャント抵抗を半導体集積回路100に外付けすることなく、高い精度で電流I1に対応する電流I2を検出することができる。半導体集積回路100に外付けされる部品を削減できるため、半導体集積回路100を含むシステム(例えば、子機)のコストを削減することができ、半導体集積回路100を含むシステムの信頼性を向上することができる。
【0035】
制御部120は、半導体集積回路100の子機としての機能を実現する各種回路と、図示しないLED(Light Emitting Diode)等の部品を駆動するLEDドライバ等の機能部とを含む。例えば、制御部120は、比較結果信号CMPがハイレベルの場合、親機からの電源電流の供給が十分であると判定し、制御部120内の全ての回路と機能部とを動作させる。
【0036】
一方、制御部120は、比較結果信号CMPがロウレベルの場合、親機からの電源電流の供給が十分でないと判定し、制御部120内の機能部の少なくとも一部(例えば、LEDドライバ)の動作を停止する。制御部120は、比較結果信号CMPがロウレベルの場合、機能部だけでなく制御部120内の回路の少なくとも一部の回路の機能を停止してもよい。機能部または回路の一部の動作を停止することで、制御部120の消費電力を削減することができる。この結果、親機からの電源電流の供給が十分でない場合にも、子機としての機能の実現に必要な回路を動作させることができる。
【0037】
図2は、
図1の半導体集積回路100の動作の一例を示す波形図である。半導体集積回路100は、例えば、制御部120を動作させないスタンバイ期間に、電源線VCCを使用して親機にデータDATAを送信する。例えば、半導体集積回路100は、スタンバイ期間と、制御部120が動作する動作期間とを、所定の周期で交互に送信する。なお、半導体集積回路100は、スタンバイ期間以外の期間に、データDATAを送信してもよい。
【0038】
半導体集積回路100は、親機にデータDATAを伝送する場合、データDATAの論理レベルをハイレベルとロウレベルに交互に変化させる。データDATAのハイレベルからロウレベルへの変化により、電流駆動回路10が動作を開始し、上述したように、トランジスタNM13が動作する。そして、トランジスタNM13が電源線VCCから電流を引き込むことで、電源電圧VCCがハイレベル(例えば、24V)からロウレベル(例えば、6V)に変化する。親機は、電源電圧VCCの変化に応じて、子機である半導体集積回路100から送信されたデータDATAを受信する。
【0039】
例えば、親機からの電源電流の供給が十分でない場合、トランジスタNM13に流れる電流I1(引き込み電流)に対応してトランジスタNM14に流れる電流I2は、基準電流IREFより小さくなる。これにより、コンパレータCMP1の-入力に供給される電圧Vaは、コンパレータCMP1の+入力に供給される電圧Vbより高くなり、コンパレータCMP1は、ロウレベルの比較結果信号CMPを出力する。
【0040】
一方、親機からの電源電流の供給が十分な場合、トランジスタNM14に流れる電流I2は、基準電流IREFより大きくなり、電圧Vaは電圧Vbより低く、コンパレータCMP1は、ハイレベルの比較結果信号CMPを出力する。
【0041】
以上、この実施形態では、トランジスタNM13、NM14は、半導体基板上の互いに隣接する位置に形成されるため、半導体製造プロセスが変動した場合にも、トランジスタNM13、NM14のサイズ比を一定にすることができる。また、トランジスタNM13、NM14の電気的特性を半導体基板の温度変化に応じて同様の傾向で変化させることができる。このため、トランジスタNM13、NM14の電流比を高い精度で設定することができる。また、同じ抵抗値に設定される抵抗素子R13、R14は、半導体基板の互いに隣接する位置に形成されるため、半導体製造プロセスが変動した場合にも、抵抗素子R13、R14の抵抗値を互いに同じにすることができる。
【0042】
したがって、高精度のシャント抵抗を半導体集積回路100に外付けすることなく、高い精度で電流I1のN分の1の電流I2を検出し、電圧VaとしてコンパレータCMP1に供給することができ、基準電流IREFに対応する電圧Vbを生成することができる。この結果、半導体集積回路100に外付けされる部品を削減でき、半導体集積回路100を含むシステム(例えば、子機)のコストを削減することができる。また、部品点数を削減できるため、半導体集積回路100を含むシステムの信頼性を向上することができる。
【0043】
電源線VCCの電圧の変化を利用して親機にデータDATA等の情報を送信する電流駆動回路10のトランジスタNM13を利用して、電源端子VCCに供給される電源電流の大きさを判定できる。これにより、電流検出回路20の回路規模を小さくすることができる。
【0044】
電源電流が十分でないと判定した場合、制御部120内の少なくとも一部の回路の機能を停止することで、制御部120の消費電力を削減することができる。この結果、親機からの電源電流の供給が十分でない場合にも、子機としての機能の実現に必要な回路を動作させることができる。
【0045】
データDATAを親機に送信する期間のみ電流源CS1を動作させ、電源電流が十分であるか否かを判定することで、電流検出回路20を設ける場合にも、半導体集積回路100の消費電力の増加を最小限にすることができる。
【0046】
(火災感知器に搭載される半導体集積回路の第2の実施形態)
図3は、火災感知器に搭載される半導体集積回路の別の実施形態を示す回路図である。
図1に示した半導体集積回路100と同様の要素については、詳細な説明は省略する。
図3に示す半導体集積回路102は、電流検出回路30およびレギュレータ40を有する。半導体集積回路102は、入力電圧VINから出力電圧VOUTを生成し、生成した出力電圧VOUTを、電源電圧として出力端子VOUTを介して電流負荷回路200に出力する。また、半導体集積回路102は、出力電圧VOUTによる電流供給能力を示す比較結果信号CMPを電流負荷回路200に出力する。特に限定されないが、例えば、出力電圧VOUTは、電流負荷回路200を動作させる電源電圧である。そして、電圧端子VOUTを介して電流負荷回路200に電源電流が供給される。
【0047】
電流検出回路30は、pチャネルトランジスタPM21、電流源CS2、抵抗素子R21、R22、コンパレータCMP2およびバッファBUFを有する。レギュレータ40は、基準電圧生成回路42、アンプAMP2、pチャネルトランジスタPM22および抵抗素子R23、R24を有する。pチャネルトランジスタPM22は、第1トランジスタの一例であり、pチャネルトランジスタPM21は、第2トランジスタの一例である。抵抗素子R21は、第1抵抗素子の一例であり、抵抗素子R22は、第2抵抗素子の一例である。以下では、pチャネルトランジスタは、単にトランジスタとも称される。
【0048】
レギュレータ40において、抵抗素子R23、R24は、出力電圧線VOUTと接地線GNDとの間に直列に接続され、出力電圧VOUTを分圧した分圧電圧DIV2を、抵抗素子R23、R24の接続ノードに生成する。基準電圧生成回路42は、出力電圧VOUTの期待値であるときの分圧電圧DIV2と同じ値の基準電圧VREFを生成する。接地線GNDは、入力電圧VINより低い電圧に設定される低電圧線の一例である。
【0049】
アンプAMP2は、-入力で基準電圧VREFを受け、+入力で分圧電圧DIV2を受ける。アンプAMP2は、分圧電圧DIV2が基準電圧VREFより高いほど、制御電圧AOUT2を高くし、分圧電圧DIV1が基準電圧VREFより低いほど、制御電圧AOUT2を低くする。
【0050】
制御電圧AOUT2は、トランジスタPM21、PM22のゲートに供給される。トランジスタPM22は、入力電圧線VINと出力電圧線VOUTとの間に接続される。これにより、トランジスタPM22は、ゲートで受けるアンプAMP2からの制御信号AOUT2に応じて、電流I1を流すことで出力電圧VOUTを生成し、出力端子VOUTを介して電源電流として電流負荷回路200に供給する。
【0051】
電流検出回路30において、トランジスタPM21および抵抗素子R21は、入力電圧線VINと接地線GNDとの間に直列に接続される。トランジスタPM21は、制御信号AOUT2に応じて動作する。例えば、トランジスタPM21は、トランジスタPM22のゲート幅のN分の1に設定される。例えば、"N"は、200であるが、100または50でもよい。トランジスタPM21の素子サイズおよび素子構造は、ゲート幅を除いて、トランジスタPM22の素子サイズおよび素子構造と同じである。
【0052】
このため、アンプAMP2からの制御信号AOUT2に応じて、トランジスタPM21のソース、ドレイン間に流れる電流を、トランジスタPM22のソース、ドレイン間に流れる電流のN分の1にすることができる。
【0053】
なお、トランジスタPM21、PM22は、半導体集積回路100が形成される半導体基板上において、互いに隣接する位置に形成される。したがって、半導体集積回路100を製造する半導体製造プロセスが変動した場合にも、トランジスタPM21、PM22のサイズ比を一定にすることができる。また、同一の半導体基板上に形成されるトランジスタPM21、PM22の電気的特性は、半導体基板の温度変化に応じて同様の傾向で変化する。この結果、トランジスタPM21、PM22の電流比を高い精度で設定することができる。
【0054】
電流源CS2および抵抗素子R22は、入力電圧線VINと接地線GNDとの間に直列に接続される。抵抗素子R22の抵抗値は、抵抗素子R21の抵抗値と同じ値に設定される。例えば、抵抗素子R21、R22は、半導体基板に形成される拡散層を利用して形成される。抵抗素子R21、R21は、半導体基板において互いに隣接する位置に形成されるため、半導体製造プロセスが変動した場合にも、抵抗素子R21、R22の抵抗値を互いに同じにすることができる。
【0055】
電流源CS2は、入力電圧VINの供給元から入力電圧VINが供給される入力電圧線VINから基準電流IREFを引き込む。電流源CS2は、例えば、入力電圧線VINに供給される所望の電流のN分の1の基準電流IREFを流すように設計される。
【0056】
この実施形態では、トランジスタPM21のソース、ドレイン間に流れる電流および電流源CS2に流れる電流を小さくできるため、半導体集積回路102に電流検出回路30を追加する場合の消費電流の増加を最小限にすることができる。
【0057】
コンパレータCMP2の+入力は、トランジスタPM21と抵抗素子R21との接続ノードVaに接続される。コンパレータCMP2の-入力は、電流源CS2と抵抗素子R22との接続ノードVbに接続される。接続ノードVaの電圧Vaは、式(4)により示され、接続ノードVbの電圧は、式(5)により示される。
Va=R21×I2=R21×I1/N ‥(4)
Vb=R22×IREF ‥(5)
式(4)、(5)において、符号R21、R22は、それぞれ抵抗素子R21、R22の抵抗値を示す。
【0058】
コンパレータCMP2は、+入力で受ける電圧Vaと、-入力で受ける電圧Vbとを比較することで、入力電圧線VINに供給される電流の大きさを判定する。コンパレータCMP2は、電圧Vaが電圧Vbより大きいとき、すなわち、電流I2が基準電流IREFより大きいとき、ハイレベルの比較結果信号CMPを出力する。コンパレータCMP2は、電圧Vaが電圧Vb以下のとき、すなわち、電流I2が基準電流IREFより小さいとき、ロウレベルの比較結果信号CMPを出力する。
【0059】
上述したように、電流源CS2は、例えば、入力電圧線VINに供給される所望の電流のN分の1の基準電流IREFを流すように設計される。このため、電流I1が所望の電流より小さいとき、電流I2<基準電流IREFになり、電圧Va<Vbになる。一方、電流I1が所望の電流以上のとき、電流I2≧基準電流IREFになり、電圧Va≧Vbになる。
【0060】
このように、電流検出回路30は、レギュレータ40のトランジスタPM22の動作を利用して、電流負荷回路200に供給する電流I1が所望の電流より小さいか否かを検出する。この際、第1の実施形態と同様に、電流を検出する高精度のシャント抵抗を半導体集積回路102に外付けすることなく、高い精度で電流I1に対応する電流I2を検出することができる。半導体集積回路102に外付けされる部品を削減できるため、半導体集積回路102を含むシステムのコストを削減することができ、半導体集積回路102を含むシステムの信頼性を向上することができる。
【0061】
電流負荷回路200は、比較結果信号CMPがハイレベルの場合、レギュレータ40から供給される電源電流が十分であると判定し、電流負荷回路200内の全ての回路を動作させる。一方、電流負荷回路200は、比較結果信号CMPがロウレベルの場合、レギュレータ40から供給される電源電流が十分でないと判定し、電流負荷回路200の少なくとも一部の回路の機能を停止する。この結果、レギュレータ40から供給される電源電流が十分でない場合にも、電流負荷回路200としての機能の実現に必要な最小限の回路を動作させることができる。
【0062】
以上、この実施形態では、トランジスタPM21、PM22は、半導体基板上の互いに隣接する位置に形成されるため、半導体製造プロセスが変動した場合にも、トランジスタPM21、PM22のサイズ比を一定にすることができる。また、トランジスタPM21、PM22の電気的特性を半導体基板の温度変化に応じて同様の傾向で変化させることができる。このため、トランジスタPM21、PM22の電流比を高い精度で設定することができる。また、同じ抵抗値に設定される抵抗素子R21、R22は、半導体基板の互いに隣接する位置に形成されるため、半導体製造プロセスが変動した場合にも、抵抗素子R21、R22の抵抗値を互いに同じにすることができる。
【0063】
したがって、高精度のシャント抵抗を半導体集積回路102に外付けすることなく、高い精度で電流I1のN分の1の電流I2を検出し、電圧VaとしてコンパレータCMP2に供給することができ、基準電流IREFに対応する電圧Vbを生成することができる。この結果、半導体集積回路102に外付けされる部品を削減でき、半導体集積回路102を含むシステムのコストを削減することができる。また、部品点数を削減できるため、半導体集積回路102を含むシステムの信頼性を向上することができる。
【0064】
また、出力電圧VOUTを電流負荷回路200に供給するレギュレータ40のトランジスタPM22を利用して、電流負荷回路200に供給する電源電流の大きさを判定できる。これにより、電流検出回路30の回路規模を小さくすることができる。
【0065】
電源電流が十分でないと判定した場合、電流負荷回路200内の回路の少なくとも一部の回路の機能を停止することで、電流負荷回路200の消費電力を削減することができる。この結果、レギュレータ40からの電源電流の供給が十分でない場合にも、必要最小限の回路を動作させることができる。
【0066】
(火災報知システムの第1の実施形態)
図4は、火災報知システムの第1の実施形態を示すブロック図である。
図4に示す火災報知システム1000は、火災受信器1100および火災感知器1200を有する。火災感知器1200は、ダイオードブリッジDB、サージアブソーバSAおよび半導体集積回路100を有する。半導体集積回路100は、電流駆動回路10および電流検出回路20を含む送信回路110、制御部120および受信回路130を有する。
【0067】
火災受信器1100は、電源線を介して火災感知器1200に電源電圧を供給し、電源線を介して火災感知器1200にデータを送信し、電源線を介して火災感知器1200からデータを受信する。例えば、火災感知器1200は、火災を検知したときに、火災受信器1100に、火災の発生を示すデータを送信する。火災受信器1100は、火災報知システム1000の親機として動作し、火災感知器1200は、火災報知システム1000の子機として動作する。そして、火災報知システム1000は、親機と子機とを有する火災報知器として機能する。
【0068】
火災感知器1200は、ダイオードブリッジDBを介して火災受信器1100から電源電圧を受ける。サージアブソーバは、半導体集積回路100の電源端子VCCに接続される。送信回路110は、
図1に示した送信回路110と同様であり、制御部120は、
図1に示した制御部120と同様である。すなわち、送信回路110は、
図1に示した電流駆動回路10および電流検出回路20を有する。
【0069】
制御部120は、半導体集積回路100による火災感知器1200としての機能を実現する各種回路と、図示しないLED等の部品を駆動するLEDドライバ等の機能部とを含む。制御部120は、比較結果信号CMPがハイレベルの場合、親機からの電源電流の供給が十分であると判定し、制御部120内の全ての回路と機能部とを動作させる。一方、制御部120は、比較結果信号CMPがロウレベルの場合、親機からの電源電流の供給が十分でないと判定し、制御部120内の少なくとも一部の回路の機能(例えば、LEDドライバの動作)を停止する。制御部120は、比較結果信号CMPがロウレベルの場合、制御部120内の回路の一部の動作を停止してもよい。少なくとも一部の回路の動作を停止することで、制御部120の消費電力を削減することができる。この結果、親機からの電源電流の供給が十分でない場合にも、子機としての機能の実現に必要な回路を動作させることができる。
【0070】
以上、この実施形態では、火災感知器1200から火災受信器1100にデータを送信する期間を利用して、火災受信器1100から供給される電源電流が十分であるか否かを判定することができる。このため、電源電流の供給量に応じて、制御部120を適切な状態で動作させることができる。例えば、比較結果信号CMPが、電源電流の供給量が少ないことを示す場合、制御部120の少なくとも一部の回路の機能を停止することで、消費電力を削減することができる。
【0071】
図1に示したトランジスタNM13、NM14は、半導体基板上の互いに隣接する位置に形成されるため、半導体製造プロセスが変動した場合にも、トランジスタNM13、NM14のサイズ比を一定にすることができる。また、トランジスタNM13、NM14の電気的特性を半導体基板の温度変化に応じて同様の傾向で変化させることができる。このため、トランジスタNM13、NM14の電流比を高い精度で設定することができる。また、同じ抵抗値に設定される抵抗素子R13、R14は、半導体基板の互いに隣接する位置に形成されるため、半導体製造プロセスが変動した場合にも、抵抗素子R13、R14の抵抗値を互いに同じにすることができる。
【0072】
したがって、高精度のシャント抵抗を半導体集積回路100に外付けすることなく、高い精度で電流I1に対応する電流I2を検出し、電圧VaとしてコンパレータCMP1に供給することができ、基準電流IREFに対応する電圧Vbを生成することができる。この結果、半導体集積回路100に外付けされる部品を削減でき、半導体集積回路100を含む火災感知器1200のコストを削減することができる。また、部品点数を削減できるため、半導体集積回路100を含む火災感知器1200の信頼性を向上することができる。
【0073】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0074】
10 電流駆動回路
12 基準電圧生成回路
20、30 電流検出回路
40 レギュレータ
42 基準電圧生成回路
100、102 半導体集積回路
110 送信回路
120 制御部
130 受信回路
200 電流負荷回路
1000 火災報知システム
1100 火災受信器
1200 火災感知器
ACTH、ACTL アクティブ信号
AMP1、AMP2 アンプ
AOUT1、AOUT2 制御信号
BUF バッファ
CMP 比較結果信号
CMP1、CMP2 コンパレータ
CS1、CS2 電流源
DATA データ
DB ダイオードブリッジ
DIV1、DIV2 分圧電圧
IREF 基準電流
IV11、IV12 インバータ
NM11、NM12、NM13、NM14 nチャネルトランジスタ
PM21、PM22 pチャネルトランジスタ
R11、R12、R13、R14、R15 抵抗素子
R21、R22、R23、R24 抵抗素子
SA サージアブソーバ
SIO シリアル入出力端子
Va、Vb 電圧
VIN 入力電圧線
VOUT 出力電圧線
VREF 基準電圧