(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182865
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
G01D 11/24 20060101AFI20221201BHJP
H01M 50/202 20210101ALI20221201BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20221201BHJP
G01H 17/00 20060101ALI20221201BHJP
G01K 1/16 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G01D11/24 K
H01M50/202 401D
H01M50/284
G01H17/00 Z
G01K1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090620
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 駿
(72)【発明者】
【氏名】小梁川 博道
【テーマコード(参考)】
2F056
2G064
5H040
【Fターム(参考)】
2F056DA09
2G064AB02
2G064AB13
2G064BA02
2G064BD02
5H040AA06
5H040AS22
5H040AT01
5H040AY03
5H040DD26
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】製作コストの低減を実現する。
【解決手段】検出装置は、ケース部材と、覆部材と、ケース部材と覆部材とで囲まれた空間内に設置される、物理量を測定するセンサと無線通信回路とが実装された基板と、空間内に収容されるバッテリと、空間内のうち、ケース部材側に配置される金属製の台座部と、を有し、台座部は、空間内において、センサと対向する端部を有し、バッテリは、空間内において、基板より台座部側に収容される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース部材と、
覆部材と、
前記ケース部材と前記覆部材とで囲まれた空間内に設置される、物理量を測定するセンサと無線通信回路とが実装された基板と、
前記空間内に収容されるバッテリと、
前記空間内のうち、前記ケース部材側に配置される金属製の台座部と、を有し、
前記台座部は、前記空間内において、前記センサと対向する端部を有し、
前記バッテリは、前記空間内において、前記基板より前記台座部側に収容される、
検出装置。
【請求項2】
前記センサは、前記検出装置を取り付け対象である被測定対象物の振動を測定する振動センサ、及び当該被測定対象物の温度を測定する温度センサのうちいずれか一つ以上である、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記ケース部材と、前記台座部とが、一体で形成されている、
請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記台座部における、前記ケース部材の被測定対象物側の外面から前記端部までの距離は、同一方向における前記バッテリの距離より長い、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の検出装置。
【請求項5】
前記台座部は、前記ケース部材を介して、前記検出装置を外部に固定するための、ネジ止め用の貫通孔が設けられている、
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の検出装置。
【請求項6】
前記基板は、前記台座部の前記端部に接触するよう設けられ、
前記センサは、前記基板を介して前記端部に対向するように設けられている、
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の検出装置。
【請求項7】
前記ケース部材から、前記空間において、前記覆部材側の方向に、当該方向の前記台座部の長さと略一致する長さだけ延伸した、ネジを嵌め込むための孔部を有する複数のネジ受け部を、さらに備え、
前記基板は、複数の前記ネジと、前記ネジが嵌め込まれた前記複数のネジ受け部と、の間に固定される、
請求項1乃至6のいずれか一つに記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、大型ポンプやモータなどの被測定対象物の状況を把握するために、被測定対象物に取り付け、被測定対象物から情報を取得するセンサ装置に関する技術が提案されている。
【0003】
近年、被測定対象物の診断を遠隔地でも可能にするために、センサ装置に通信モジュールを格納する傾向にある。このため、センサ装置を形成するケースには、振動センサや温度センサに加えて、通信モジュールとバッテリが格納される。
【0004】
当該ケース内には、被測定対象物の状態を高精度に計測できる位置に振動センサや温度センサを設けると共に、通信モジュールを、通信可能な位置に設けるのが好ましい。このため、従来技術においては、リジッドフレキシブル基板を用いてケース内を複数階層化して、被測定対象物近傍の階層にセンサを設け、被測定対象物近傍の階層の反対側にあるケースの外側近傍の階層に通信モジュールを設け、これらの階層の間にある階層に、バッテリを設ける構造が提案されている。
【0005】
一方、下記特許文献1に開示された構成では、無線回路、振動センサを、一枚の基板上に配置した上で、振動センサと被測定対象物との間には、スペーサや電池が層状に配置されている。特許文献1に開示された構成を適用することで、リジッドフレキシブル基板を用いないため、製作コストの低減を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術では、被測定対象物の状態を計測しようとした場合に、被測定対象物と振動センサとの間に、スペーサや電池が層状に存在するため、計測の精度が低下する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係る検出装置は、ケース部材と、覆部材と、ケース部材と覆部材とで囲まれた空間内に設置される、物理量を測定するセンサと無線通信回路とが実装された基板と、空間内に収容されるバッテリと、空間内のうち、ケース部材側に配置される金属製の台座部と、を有し、台座部は、空間内において、センサと対向する端部を有し、バッテリは、空間内において、基板より台座部側に収容される。
【発明の効果】
【0009】
一実施形態によれば、検出装置において、センサと無線通信回路とを基板に実装することで簡素化を実現すると共に、センサと被測定対象物との間の構成を簡素化しているので、計測の精度の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るセンサ装置の外観斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るセンサ装置の内部構成を示した分解斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る、被測定対象物に取り付けられた状態におけるセンサ装置10の
図1のA矢視断面図である。
【
図4】
図4は、第2の実施形態に係る、被測定対象物に取り付けられた状態におけるセンサ装置10の断面図である。
【
図5】
図5は、第3の実施形態に係る、被測定対象物に取り付けられた状態におけるセンサ装置110の断面図である。
【
図6】
図6は、第4の実施形態に係る、被測定対象物に取り付けられた状態におけるセンサ装置210の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。以下に示す実施形態においては、検出装置の一例として、振動センサや温度センサ等を格納したセンサ装置(検出装置の一例)について説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るセンサ装置の外観斜視図である。
図1に示されるように、センサ装置10の各方向の定義として、センサ装置10の高さ方向(Z軸方向)と、縦方向(X軸方向)と、横方向(Y軸方向)とする。
【0013】
図1に示されるように、センサ装置10の外観は、ケース本体12(ケース部材の一例)と、蓋体11(覆部材の一例)とを組み合わせて形成されている。
図1に示されるように、センサ装置10は、蓋体11及びケース本体12を貫くネジ止め用の貫通孔15が設けられている。被測定対象物がネジ切りされている場合には、センサ装置10が被測定対象物にネジ止めすることが可能となる。
【0014】
被測定対象物は、どのような対象物でもよいが、例えば、大型ポンプやモータなどの振動する対象物が考えられる。
【0015】
図2は、本実施形態に係るセンサ装置10の内部構成を示した分解斜視図である。
図2に示されるように、センサ装置10は、蓋体11と、ネジ21A~21Dと、基板22と、バッテリ31と、ネジ51と、ケース本体12と、を備えている。
【0016】
蓋体11は、プラスチック等の合成樹脂材料を用いて、角部に丸みを帯びた略長方形状の上面を有する箱型に形成される。本実施形態に係る蓋体11に合成樹脂材料を用いたため、後述する無線通信モジュール(無線通信回路の一例)26が、蓋体11を介して外部装置との間で無線通信が可能となる。本実施形態の蓋体11は、樹脂材料の一例としてプラスチック等の合成樹脂材料を用いる場合について説明するが、樹脂材料に制限するものではなく、無線通信モジュール26による無線通信を阻害しない材料であればよい。
【0017】
基板22には、貫通孔15に対応する開口部22Eが設けられている。さらに、基板22には、無線通信モジュール26と、加速度センサ23と、温度センサ24と、ピエゾセンサ25と、が実装されている。さらに、基板22には、バッテリ31に接続するための電極27A、27Bが設けられている。
図2に示されるように、基板22は、蓋体11と、ケース本体12とで囲まれた空間内に設置される。
【0018】
電極27A、27Bは、バッテリ31の端子31A、31Bに接続することで、基板22に設けられた、無線通信モジュール26、及び各種センサ類(例えば、加速度センサ23、温度センサ24、及びピエゾセンサ25)に対して電力を供給することが可能となる。
【0019】
無線通信モジュール26は、外部装置との間で無線通信を行うためのモジュールである。本実施形態に係る無線通信モジュール26の無線通信の手法としては、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)や、Sigfox(登録商標)等の無線通信方式を用いることが考えられる。なお、無線通信モジュール26が通信を行う外部装置は、作業員が利用する通信端末でもよいし、公衆ネットワークを介して接続されている監視センターの管理サーバ等でもよい。
【0020】
加速度センサ23、及びピエゾセンサ25は、被測定対象物の振動を検出するための振動センサとして用いられる。本実施形態は、加速度センサ23、及びピエゾセンサ25を設ける例について説明するが、加速度センサ23、及びピエゾセンサ25のうち、いずれか一方を設けるようにしてもよい。温度センサ24は、被測定対象物の温度を検出する。
【0021】
加速度センサ23、温度センサ24、及びピエゾセンサ25の各々による検出結果を示した信号は、無線通信モジュール26を介して、外部装置に送信される。
【0022】
また、本実施形態のセンサ装置10に設けるセンサは、上述した加速度センサ23、温度センサ24、及びピエゾセンサ25に制限されるものではなく、被測定対象物に関する物理量を測定可能なセンサであればよい。
【0023】
バッテリ31は、基板22に電力を供給し、ケース本体12の収納領域12Eに格納される。
【0024】
ケース本体12は、蓋体11と組み合わせられるように、角部に丸みを帯びた略長方形状の底面を有する箱型に形成される。ケース本体12のZ軸負方向側の底面は、被測定対象物と接触する。
【0025】
また、ケース本体12は、台座部41を備えている。本実施形態に係る台座部41は、ケース本体12と一体成型されている。ケース本体12及び台座部41は、例えば、亜鉛ダイカスト製品、アルミダイカスト製品、又はSUS(Steel Use Stainless)などの金属である。
【0026】
台座部41は、ケース本体12のZ軸正方向側(ケース本体12の内側)の面(ケース本体12の内底面)から、蓋体11及び基板22が存在する方向に突出している。
【0027】
ケース本体12の台座部41のZ軸方向(ケース本体12の被測定対象物側の外面から端面41Bまでの方向)の高さ(距離)は、バッテリ31のZ軸方向(ケース本体12の被測定対象物側の外面から端面41Bまでの方向と同一方向)の高さ(距離)よりも高くなるように形成されている。より具体的には、ケース本体12の被測定対象物側の外面から台座部41の端面41Bまでの距離は、バッテリ31のZ軸方向の高さ(距離)に、バッテリ31近傍のケース本体12のZ軸方向の厚さを加算した距離より長くなる。
【0028】
本実施形態では、台座部41のZ軸方向の高さを、バッテリ31より高くすることで、基板22より台座部41側にバッテリ31を収容することを可能としている。これにより、センサ装置10においては、無線通信モジュール26による無線通信をバッテリ31が阻害することを抑制している。
【0029】
台座部41は、ネジ51を受け入れるための貫通孔41Aが設けられている。この貫通孔41Aは、センサ装置10を貫く貫通孔15の一部を形成している。
【0030】
バッテリ31は、収納領域12Eに格納されることで、基板22より、ケース本体12及び台座部41側に配置される。当該配置によって、バッテリ31が、無線通信モジュール26と、蓋体11と、の間に設けられることを抑制できる。
【0031】
基板22の四隅には、貫通孔22A~22Dが形成されている。
【0032】
ケース本体12は、被測定対象物と接触する底面を有する。ケース本体12は、基板22に形成されている貫通孔22A~22Dに対応する四隅に、ネジ受け部12A~12Dが設けられている。ネジ受け部12A~12Dの各々には、4個のネジ21A~21Dを嵌め込むためのネジ孔(孔部)が形成されている。
【0033】
ネジ受け部12A~12Dは、ケース本体12の底面から、ケース本体12及び蓋体11の内部の空間において、蓋体11が存在するZ軸方向に、Z軸方向の台座部41の長さと略一致する長さだけ延伸している。これにより、本実施形態に係るセンサ装置10では、基板22が台座部41に接触した状態を安定的に保持できる。
【0034】
さらに、本実施形態に係るセンサ装置10では、基板22からX軸方向側及びY軸方向側に存在する、ケース本体12及び蓋体11の壁面に、基板22が接触しないように保持できる。このため、本実施形態では、基板22に実装された各種センサに対して、ケース本体12及び蓋体11を介した(被測定対象物と異なる)外部環境からの振動などのノイズを抑制できる。
【0035】
ネジ21A~21Dは、基板22を、ケース本体12のネジ受け部12A~12Dにネジ止めする。また、ネジ51は、センサ装置10を、被測定対象物にネジ止めする。
【0036】
台座部41における、蓋体11及び基板22に対向している端面(端部の一例)41Bは、ネジ止めされた基板22の底面に接するように形成されている。
【0037】
そして、加速度センサ23、温度センサ24、及びピエゾセンサ25は、基板22を介して、台座部41の端面41Bに対向する位置に設けられている。基板22を介して台座部41の端面41Bに対向する位置は、例えば、基板22を挟んで端面41Bに対向する位置、具体的には、端面41Bの真上にある位置である。すなわち、加速度センサ23、温度センサ24、及びピエゾセンサ25は、Z軸正方向から見た上面視で台座部41の端面41Bと重なる位置に設けられている。これにより、加速度センサ23、温度センサ24、及びピエゾセンサ25には、台座部41及び基板22を介して、被測定対象物の物理量が伝達される。
【0038】
図3は、本実施形態に係る、被測定対象物に取り付けられた状態におけるセンサ装置10の
図1のA矢視断面図である。
図3に示されるように、センサ装置10の蓋体11及びケース本体12を組み合わせることで内部に形成される空間に、基板22と、バッテリ32とが配置される。
【0039】
また、センサ装置10は、ネジ51によって、被測定対象物301に取り付けられている。
【0040】
図3に示されるように、各種センサ(例えば、加速度センサ23、及びピエゾセンサ25)は、基板22を介して(基板22を挟んで)、台座部41の端面41Bに対向する位置に設けられている。台座部41は、上述したように金属で形成されている。金属で形成された台座部41は、被測定対象物301で生じた物理現象(例えば、振動等)に関する物理量を伝達可能な程度の剛性を有している。これにより、台座部41は、被測定対象物301で生じた、振動などの物理量を高い精度で各種センサ(例えば、加速度センサ23、及びピエゾセンサ25)まで伝達できる。各種センサで検出する物理量は、振動に制限するものではなく、台座部41を介して伝達されるものであればよい。各種センサで検出する物理量としては、例えば音などが考えられる。この場合、各種センサとして、台座部41を介して伝達された音を検出するマイクロフォンを備える。
【0041】
さらに、本実施形態では、台座部41を形成している金属から、台座部41の熱伝導率も特定できる。このため、温度センサ24は、台座部41を介して伝達される被測定対象物301の温度も特定できる。
【0042】
ところで、各種センサは、被測定対象物近傍に設けるのが好ましい。しかしながら、各種センサを被測定対象物近傍に設けると、通信モジュールやバッテリを好適な位置に配置するために、従来から利用されているリジッドフレキシブル基板等でケース内の複数階層化を実現する必要があった。
【0043】
これに対して、本実施形態においては、基板22を挟んで台座部41の端面41Bに対向する位置に各種センサを設けた。これにより、被測定対象物301で生じた物理現象に関する物理量は、金属で形成された台座部41を介することで、矢印311、312で示される方向に沿って、各種センサまで高い精度(伝達率)で伝達される。
【0044】
そして、台座部41のZ軸方向の高さは、バッテリ32より高くなるように形成されている。このため、本実施形態のセンサ装置10では、基板22より下側(Z軸方向負側)に、バッテリ32が配置される。
【0045】
このようにバッテリ32が基板22よりも下側(Z軸方向負側)に配置されたので、基板22の上側(Z軸方向正側)に設けられた無線通信モジュール26は、バッテリ32に阻害されることなく、蓋体11を介して、外部の通信装置と無線通信することができる。なお、蓋体11は、合成樹脂材料で形成されているため、無線通信を阻害することはない。
【0046】
本実施形態に係るセンサ装置10では、台座部41の上側(Z軸方向正側)に基板22を設けたため、リジッドフレキシブル基板を用いることなく、当該1枚の基板22の上に各種センサと無線通信モジュール26を配置できる。そのうえで、各種センサは、基板22のうち、台座部41の端面41Bに対向する位置に設けられているので、被測定対象物301で生じた振動などの物理量を高い精度で検出できる。
【0047】
上述したように、本実施形態においては、リジッドフレキシブル基板を用いることなく、当該1枚の基板22の上に各種センサと無線通信モジュール26を配置できるので、センサ装置10の製作コストを低減できる。或いは、複数の基板(各種センサが実装される第1の基板と無線通信モジュールが実装される第2の基板)を用いることなく、当該1枚の基板22の上に各種センサと無線通信モジュール26を配置できるので、センサ装置10の製作コストを低減できる。また、本実施形態のセンサ装置10を製作する際、ケース本体12にバッテリ32を収納した後、基板22を、台座部41の上に配置した上で四隅の貫通孔22A~22Dをネジ止めすればよいので、従来の多層化されていたセンサ装置と比べて、製作負担が軽減される。
【0048】
なお、本実施形態では、台座部41とケース本体12とを一体形成した例について説明した。しかしながら、本実施形態は、台座部41とケース本体12とを一体形成する例に制限するものではなく、台座部41とケース本体12とが別体として設けられてもよい。また、別体の場合、台座部41は、典型的には金属で形成されるが、ケース本体12は金属でなくともよい。さらに、台座部41は、被測定対象物301の物理量を基板22まで伝達可能な程度に剛性を有していれば、金属でなくともよい。被測定対象物301の物理量を基板22まで伝達可能な程度は、例えば、被測定対象物301の振動を振動センサが正確に検出できる程度、又は、被測定対象物301の温度を温度センサ24が正確に検出できる程度等である。
【0049】
本実施形態に係るセンサ装置10においては、台座部41の貫通孔41Aを含むように、貫通孔15が設けられている。これにより、センサ装置10を被測定対象物301にネジ止めできるので、取付け、及び取外しが容易になる。
【0050】
本実施形態に係るセンサ装置10においては、台座部41に基板22が直接接触しているため、被測定対象物301で生じた振動などの物理量を、台座部41を介して基板上の各種センサ類(例えば、加速度センサ23、温度センサ24、及びピエゾセンサ25)に伝達する効率を向上させることができる。
【0051】
(第2の実施形態)
上述した実施形態においては、センサ装置10を、被測定対象物301にネジ止めする場合について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、センサ装置10を、被測定対象物301に取り付ける際にネジ止めする手法に制限するものではない。そこで、第2の実施形態では、磁力によって、センサ装置を被測定対象物に取り付ける例について説明する。
【0052】
図4は、本実施形態に係る、被測定対象物に取り付けられた状態におけるセンサ装置10の断面図である。なお、本実施形態に係るセンサ装置10は、第1の実施形態と同様の構成のため、説明を省略する。
【0053】
図4に示される例では、本実施形態の被測定対象物301Aには、ネジ孔は設けられていない。
【0054】
一方、センサ装置10のケース本体12は、上述したように、金属で形成されている。このため、センサ装置10は、磁力を有する物体に対して取り付け可能である。
【0055】
そこで、本実施形態は、被測定対象物301Aに対して、例えば、薄い磁石シート401を貼り付ける。
図4に示される磁石シート401は、磁力を有することでセンサ装置10を引き付けることが可能である。また、磁石シート401は、センサ装置10の物理量の計測に影響を及ぼさない程度の厚さで形成される。なお、実際の厚さは、実施の態様に応じて異なる。なお、本実施形態は、磁石シート401を用いる例について説明するが、磁石であれば、どのような媒体であってもよい。
【0056】
これにより、センサ装置10は、磁石シート401によって、ネジ等を用いることなく、被測定対象物301Aに取り付けることができる。
【0057】
また、磁力による取り付け手法を上述した手法に制限するものでではない。例えば、被測定対象物301Aが磁力を有する物体の場合、センサ装置10を、被測定対象物301Aに直接取り付けてもよい。また、被測定対象物301Aが磁性体である場合、磁石シート401は、ケース本体12に固定されていてもよい。
【0058】
さらに、センサ装置10を被測定対象物301Aに取り付ける手法としては、例えば、接着剤等を用いるなど、他の手法を用いてもよい。
【0059】
このように、磁力による取り付けや、接着などの、ネジ止め以外の取り付け手法であっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
(第3の実施形態)
センサ装置を被測定対象物に取り付ける手法としては、上述した実施形態以外にも、様々な手法が考えられる。そこで、第3の実施形態では、センサ装置のケース本体に雄ネジ部が設けられた例について説明する。
【0061】
図5は、本実施形態に係る、被測定対象物に取り付けられた状態におけるセンサ装置110の断面図である。なお、本実施形態に係るセンサ装置110は、上述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を割り当て、説明を省略する。
【0062】
図5に示される例では、センサ装置110は、蓋体111と、ケース本体112と、を組み合わせている。そして、蓋体111と、ケース本体112と、の間の空間には、バッテリ32と、基板122とが設けられている。
【0063】
図5に示されるように、蓋体111及びケース本体112は、第1の実施形態のような貫通孔は設けられていない。同様に台座部141も貫通孔が設けられていない。
【0064】
バッテリ32及び無線通信モジュール26の配置は、第1の実施形態と同様とする。また、各種センサ(加速度センサ23、温度センサ24、及びピエゾセンサ25)は、第1の実施形態と同様とするが、第1の実施形態の配置に制限するものではなく、基板122を介して、台座部141の端面141Bと対向する位置に配置されていればよい。
【0065】
図5に示される例では、第1の実施形態のように貫通孔15がセンサ装置10に設けられていない代わりに、センサ装置110のケース本体112に雄ネジ部142を形成した例とする。そして、被測定対象物301Bには、雄ネジ部142に対応する雌ネジ部が切られている。
【0066】
これにより、作業員は、センサ装置110の雄ネジ部142を、被測定対象物301Bの雌ネジ部にねじ込むよう回転させることで、別体のネジ等を用いることなく、センサ装置110を、被測定対象物301Bにネジ止めできる。
【0067】
本実施形態のセンサ装置110は、上述した構成を備えることで、作業員は、センサ装置110を、被測定対象物301Bに容易に取り付けることができる。さらに、本実施形態に係るセンサ装置110は、上述した実施形態と同様に、被測定対象物301Bで生じた、振動や温度などの物理量を高い精度で測定できる。
【0068】
(第4の実施形態)
上述した実施形態で示したセンサ装置の内部の構成は、例として示したものであって、センサ装置の内部の構成としては様々な態様が考えられる。そこで、第4の実施形態ではセンサ装置内にバッテリを複数備えた例について説明する。
【0069】
図6は、本実施形態に係る、被測定対象物に取り付けられた状態におけるセンサ装置210の断面図である。なお、本実施形態に係るセンサ装置210は、上述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を割り当て、説明を省略する。
【0070】
図6に示される例では、センサ装置210は、蓋体211と、ケース本体212と、を組み合わせている。そして、蓋体211と、ケース本体212と、の間の空間には、2個のバッテリ232A、232Bと、基板222と、が設けられている。なお、本実施形態では2個のバッテリ232A、232Bを設ける例について説明するが、センサ装置210に格納するバッテリの数を制限するものではなく、3個以上のバッテリを設けてもよい。
【0071】
図6に示されるように、本実施形態に係る蓋体211及びケース本体212は、第1の実施形態と同様に貫通孔215が設けられている。これに伴い、台座部241も貫通孔241Aが設けられている。
【0072】
また、基板222も貫通孔215に対応する開口部が設けられている。本実施形態の基板222は、第1の実施形態の基板22と同様に、ネジ21A~21Dによって四隅がネジ止めされている。
【0073】
無線通信モジュール26の配置は、第1の実施形態と同様とする。また、各種センサ(加速度センサ23、温度センサ24、及びピエゾセンサ25)は、基板222を介して、台座部241の端面241Bと対向する位置に配置されている。これにより第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0074】
一方のバッテリ232Aは、ケース本体212のY軸正方向の壁部近傍に設けられ、他方のバッテリ232Bは、ケース本体212のY軸負方向の壁部近傍に設けられている。バッテリ232A、232Bは、基板222と比べて、台座部241側(Z軸負方向側)に設けられている。
【0075】
これによって、本実施形態のセンサ装置210は、第1の実施形態のセンサ装置10と同様の効果を奏すると共に、複数のバッテリによって、第1の実施形態のセンサ装置10と比べて長時間情報を送信できる。これによりセンサ装置210のバッテリの交換等を行わずとも、長時間被測定対象物を監視することができる。
【0076】
上述した実施形態においては、センサ装置210のケース本体に組み合わせるために、合成樹脂材料の蓋体を設けた例について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、ケース本体に蓋体を設ける例に制限するものではなく、基板を搭載したケース本体に、基板を覆うように樹脂封止(覆部材の一例)を行ってもよい。
【0077】
上述した実施形態は、センサ装置の態様を例示したものであって、他の態様であってもよい。例えば、センサ装置に複数の台座部を備え、当該複数の台座部の各々に、当該台座部の端面に対向するように、基板上に各種センサを設けてもよい。
【0078】
上述した実施形態では、各種センサは、(加速度センサ23、温度センサ24、及びピエゾセンサ25)は、基板22の上面に実装されているが、基板22の下面に実装されていてもよい。この場合、各種センサは、台座部41の端面41Bと接触するように配置されていてもよい。
【0079】
上述した実施形態に係るセンサ装置においては、基板を1枚に構成するなどの、内部構成の簡素化を実現したので、製作コストを低減できる。また、実施形態に係るセンサ装置においては、基板より台座部側にバッテリを収納することで、収納するための構造が簡素化できるので、部品点数を低減して、組み立ての容易性を実現できる。上述した実施形態に係るセンサ装置においては、部品点数を低減させると共に、基板を1枚にすることで、製品の小型化を実現できる。
【0080】
本実施形態にかかるセンサ装置においては、被測定対象物で生じた物理現象に関する物理量を外部装置で収集できる。そして、管理者は、収集した物理量などの情報を、外部装置上で動作するアプリケーションで解析することで、被測定対象物の劣化や被測定対象物を構成する部品の交換時期を把握し、メンテナンス費及び作業員の労働負担を改善できる。
【0081】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0082】
10、110、210 センサ装置(検出装置)
11、111、211 蓋体(覆部材)
12、112、212 ケース本体(ケース部材)
12A~12D ネジ受け部
12E 収納領域
15、215 貫通孔
21A~21D ネジ
22、122、222 基板
22A~22D 貫通孔
23 加速度センサ
24 温度センサ
25 ピエゾセンサ
26 無線通信モジュール(無線通信回路)
27A、27B 電極
31、232A、232B バッテリ
31A、31B 端子
41、141 台座部
41A、141A 貫通孔
41B、141B 端面(端部)
142 雄ネジ部
301、301A、301B 被測定対象物
401 磁石シート