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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182866
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】壁体構造及び建物
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
E04H1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090621
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】工藤 智勇
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025AA13
(57)【要約】
【課題】建物の意匠性の更なる向上を可能にする壁体構造及び建物を提供する。
【解決手段】本発明に係る壁体構造は、壁体構造の幅方向に延在する横化粧溝が形成された、第1壁部と、幅方向において第1壁部に隣接し、壁体構造の高さ方向において第1壁部の上端及び下端の間に上端及び下端の少なくとも一方の端が位置する、第2壁部と、第2壁部の少なくとも一方の端に沿って設けられ、第2壁部の少なくとも一方の端の端面を覆う、カバー材と、第2壁部の端面とカバー材との間にシール材を充填して溝底が形成された、溝部と、を備え、溝部は、第1壁部の横化粧溝と直線状になるように配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁体構造であって、
前記壁体構造の幅方向に延在する横化粧溝が形成された、第1壁部と、
前記幅方向において前記第1壁部に隣接し、前記壁体構造の高さ方向において前記第1壁部の上端及び下端の間に上端及び下端の少なくとも一方の端が位置する、第2壁部と、
前記第2壁部の前記少なくとも一方の端に沿って設けられ、前記第2壁部の前記少なくとも一方の端の端面を覆う、カバー材と、
前記第2壁部の前記端面と前記カバー材との間にシール材を充填して溝底が形成された、溝部と、
を備え、
前記溝部は、前記第1壁部の前記横化粧溝と直線状になるように配置されている、壁体構造。
【請求項2】
前記溝部の延在方向に直交する幅は、前記第1壁部の前記横化粧溝の延在方向に直交する幅と略等しい、請求項1に記載の壁体構造。
【請求項3】
前記溝部の深さは、前記第1壁部の前記横化粧溝の深さと略等しい、請求項1又は2に記載の壁体構造。
【請求項4】
前記溝部に露出する前記シール材の露出面には、前記第1壁部の前記横化粧溝と略同一の仕上げがなされている、請求項1から3のいずれか一項に記載の壁体構造。
【請求項5】
前記第2壁部には、前記高さ方向に延在する縦化粧溝が形成されており、
前記溝部の深さは、前記縦化粧溝の深さと略等しい、請求項1から4のいずれか一項に記載の壁体構造。
【請求項6】
前記溝部に露出する前記シール材の露出面には、前記縦化粧溝と略同一の仕上げがなされている、請求項5に記載の壁体構造。
【請求項7】
前記第1壁部と前記第2壁部との間にシール材を充填して形成された、縦シール部を更に備え、
前記溝部の深さは、前記縦シール部の深さと略等しい、請求項1から6のいずれか一項に記載の壁体構造。
【請求項8】
前記溝部に露出する前記シール材の露出面には、前記縦シール部と略同一の仕上げがなされている、請求項7に記載の壁体構造。
【請求項9】
前記第1壁部及び前記第2壁部には、階高の略整数分の1の間隔で複数の横化粧溝が形成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の壁体構造。
【請求項10】
前記壁体構造の厚さ方向において、前記第1壁部の前記横化粧溝が形成されている表面が面する側の前記カバー材の端縁は、前記第1壁部の前記横化粧溝が形成されている表面が面する側の前記第2壁部の表面と略等しい位置に配置されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の壁体構造。
【請求項11】
壁体構造を備える建物であって、
前記壁体構造は、
前記壁体構造の幅方向に延在する横化粧溝が形成された、第1壁部と、
前記幅方向において前記第1壁部に隣接し、前記壁体構造の高さ方向において前記第1壁部の上端及び下端の間に上端及び下端の少なくとも一方の端が位置する、第2壁部と、
前記第2壁部の前記少なくとも一方の端に沿って設けられ、前記第2壁部の前記少なくとも一方の端の端面を覆う、カバー材と、
前記第2壁部の前記端面と前記カバー材との間にシール材を充填して溝底が形成された、溝部と、
を備え、
前記溝部は、前記第1壁部の前記横化粧溝と直線状になるように配置されている、建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁体構造及び建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の外壁の化粧溝の連続性を保ち、建物の意匠性を向上させる技術が知られている。例えば、特許文献1には、サッシ枠の上下両端縁を外壁の化粧溝に沿って配置し、化粧溝の連続性を保つことで外壁の意匠性を向上させた住宅が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-145169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、建物の意匠性の更なる向上が求められている。例えば、腰壁手摺、パラペット、又は垂れ壁等の壁体構造には、建物の意匠性向上の観点から、壁体構造の上端面又は下端面を覆う笠木等のカバー材が設けられるが、カバー材が目立ってしまい、建物の意匠性を損なうことが懸念される。したがって、カバー材が設けられた外壁においても、化粧溝の連続性を保つことで、建物の意匠性を向上させることが望まれている。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、建物の意匠性の更なる向上を可能にする壁体構造及び建物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る壁体構造は、前記壁体構造の幅方向に延在する横化粧溝が形成された、第1壁部と、前記幅方向において前記第1壁部に隣接し、前記壁体構造の高さ方向において前記第1壁部の上端及び下端の間に上端及び下端の少なくとも一方の端が位置する、第2壁部と、前記第2壁部の前記少なくとも一方の端に沿って設けられ、前記第2壁部の前記少なくとも一方の端の端面を覆う、カバー材と、前記第2壁部の前記端面と前記カバー材との間にシール材を充填して溝底が形成された、溝部と、を備え、前記溝部は、前記第1壁部の前記横化粧溝と直線状になるように配置されている。
【0007】
本発明に係る壁体構造では、前記溝部の延在方向に直交する幅は、前記第1壁部の前記横化粧溝の延在方向に直交する幅と略等しいことが好ましい。
【0008】
本発明に係る壁体構造では、前記溝部の深さは、前記第1壁部の前記横化粧溝の深さと略等しいことが好ましい。
【0009】
本発明に係る壁体構造では、前記溝部に露出する前記シール材の露出面には、前記第1壁部の前記横化粧溝と略同一の仕上げがなされていることが好ましい。
【0010】
本発明に係る壁体構造では、前記第2壁部には、前記高さ方向に延在する縦化粧溝が形成されており、前記溝部の深さは、前記縦化粧溝の深さと略等しいことが好ましい。
【0011】
本発明に係る壁体構造では、前記溝部に露出する前記シール材の露出面には、前記縦化粧溝と略同一の仕上げがなされていることが好ましい。
【0012】
本発明に係る壁体構造は、前記第1壁部と前記第2壁部との間にシール材を充填して形成された、縦シール部を更に備え、前記溝部の深さは、前記縦シール部の深さと略等しいことが好ましい。
【0013】
本発明に係る壁体構造では、前記溝部に露出する前記シール材の露出面には、前記縦シール部と略同一の仕上げがなされていることが好ましい。
【0014】
本発明に係る壁体構造では、前記第1壁部及び前記第2壁部には、階高の略整数分の1の間隔で複数の横化粧溝が形成されていることが好ましい。
【0015】
本発明に係る壁体構造では、前記壁体構造の厚さ方向において、前記第1壁部の前記横化粧溝が形成されている表面が面する側の前記カバー材の端縁は、前記第1壁部の前記横化粧溝が形成されている表面が面する側の前記第2壁部の表面と略等しい位置に配置されていることが好ましい。
【0016】
本発明に係る建物は、壁体構造を備える建物であって、前記壁体構造は、前記壁体構造の幅方向に延在する横化粧溝が形成された、第1壁部と、前記幅方向において前記第1壁部に隣接し、前記壁体構造の高さ方向において前記第1壁部の上端及び下端の間に上端及び下端の少なくとも一方の端が位置する、第2壁部と、前記第2壁部の前記少なくとも一方の端に沿って設けられ、前記第2壁部の前記少なくとも一方の端の端面を覆う、カバー材と、前記第2壁部の前記端面と前記カバー材との間にシール材を充填して溝底が形成された、溝部と、を備え、前記溝部は、前記第1壁部の前記横化粧溝と直線状になるように配置されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、建物の意匠性の更なる向上を可能にする壁体構造及び建物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る壁体構造を備える建物の一部を示す、斜視図である。
図2】第1の実施形態に係る壁体構造の一部を屋外側から示す、正面図である。
図3図2に示される壁体構造の厚さ方向断面図である。
図4】第2の実施形態に係る壁体構造の一部を屋外側から示す、正面図である。
図5図4に示される壁体構造の厚さ方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る壁体構造及び建物について、図面を参照して説明する。各図面の記載において、同一又は類似の部品又は部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0020】
はじめに、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る壁体構造10について概略を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る壁体構造10を備える建物1の一部を示す、斜視図である。
【0021】
図1に示されるように、建物1は、壁体構造10を有している。建物1は、例えば、鉄骨造の軸組みを有する工業化住宅であってもよい。工業化住宅は、例えば、鉄筋コンクリート造の基礎などの下部構造体と、柱又は梁などの軸組部材で構成される軸組架構を有し、下部構造体の上方に設けられた上部構造体と、で構成されている。下部構造体は、地盤上に設置され、上部構造体を支持する。軸組架構を構成する軸組部材は、予め規格化(標準化)されたものとすることができ、その場合、予め工場にて製造された後、建築現場に搬入されて組み立てられる。
【0022】
壁体構造10は、複数の壁部20で構成されている。壁部20は、例えば、軽量気泡コンクリート(ALC)等、鉄筋コンクリート製の壁パネルである。しかしながら、壁部20は、ALCに限られず、木製の壁パネル等、任意の材料で構成された壁パネルであってもよい。
【0023】
壁体構造10は、屋根又はバルコニー等の外部床面を区画する部分壁体構造を含む。外部床面を区画する部分壁体構造は、例えば、腰壁手摺11、パラペット12、又は垂れ壁13等である。これらの部分壁体構造を構成する壁部20には、建物1の意匠性向上の観点から、壁部20の上端及び下端の少なくとも一方の端に沿って笠木又は下笠木等のカバー材30が設けられている。壁部20の少なくとも一方の端の端面とカバー材30との間の空間を、隣接する他の壁部20に形成された横化粧溝21と直線状になるように配置することで、建物1の意匠性が向上する。
【0024】
本明細書では、壁体構造10を含む建物1において、建物1の高さ方向と平行な方向を「高さ方向」と称し、壁体構造10に用いられる壁部20の表面において、高さ方向と直交する方向を「幅方向」と称し、壁部20の表面に垂直な方向を「厚さ方向」と称する。さらに、壁体構造10の厚さ方向において、平面視で建物の屋外側を「屋外側」と称し、反対に平面視で建物の屋内側を「屋内側」と称する。また、壁部20の高さ方向上端の端面を「上端面」と称し、壁部20の高さ方向下端の端面を「下端面」と称する。なお、本明細書において、「平行」、「直交」、又は「垂直」という記載は、それぞれ実質的に平行、直交、又は垂直である状態をも含むものとする。
【0025】
(壁体構造の第1の実施形態)
図2及び図3を参照して、本発明に係る壁体構造10の第1の実施形態である、壁体構造10Aの構成について詳細に説明する。図2は、壁体構造10Aの一部を屋外側から示した、正面図である。図3は、図2に示される壁体構造10Aの厚さ方向断面図である。
【0026】
図2に示されるように、壁体構造10Aは、複数の壁部20、カバー材30、横シール部40、及び縦シール部50を備えている。壁体構造10Aにおいて、複数の壁部20は、壁体構造10Aの幅方向又は高さ方向に並べて配置されている。図2において、複数の壁部20の境界線が破線で示されている。壁部20の形状は、例えば、略矩形板状であるが、これに限られない。図2において斜線の網掛けで示されるように、幅方向または高さ方向に並べられた壁部20の間には、意匠性、強度、又は止水性等の観点から、モルタル等のシール材が充填され、横シール部40又は縦シール部50が形成されている。
【0027】
図2には、壁体構造10Aを構成する壁部20として、第1壁部20A、第2壁部20B及び第3壁部20Cが示されている。第1壁部20Aは、建物1の下階の基礎又は梁から上階の梁に至る長尺な壁パネルで構成されている。第2壁部20Bは、幅方向において第1壁部20Aに隣接し、壁体構造10Aの高さ方向において第1壁部20Aの上端及び下端の間に上端面が位置している。本実施形態では、第2壁部20Bは、第1壁部20Aよりも短尺の壁パネルで、第1壁部20Aと下端位置が一致するように配置されている。第2壁部20Bの少なくとも一部は、第2壁部20Bの屋内側に設けられたバルコニー等の外部床面の屋外側を区画する、腰壁手摺11の役割を果たしている。第3壁部20Cは、第2壁部20Bの高さ方向上側から接し、幅方向において第2壁部20Bと同一方向から第1壁部20Aに隣接するように配置されている。第3壁部20Cは、高さ方向に直交する断面がL字型とされていてもよい。これによって、第3壁部20Cは、第1壁部20Aから建物1のバルコニーに続く出隅を覆い、建物の意匠性を向上させる。第2壁部20Bと第3壁部20Cとの間には、横シール部40が形成されている。第1壁部20Aと第2壁部20B及び第3壁部20Cとの間には、縦シール部50が形成されている。しかしながら、壁体構造10Aを構成する壁部20の数及び配置等は、図示例に限られず、任意に定められてもよい。また、以降において、第1壁部20A、第2壁部20B及び第3壁部20Cを特に区別しない場合、単に、壁部20と総称する。
【0028】
壁部20には、壁体構造10Aの幅方向に延在する横化粧溝21が形成されている。本実施形態では、壁部20には、屋外側の表面に、所定の幅W1且つ所定の間隔D1で複数の横化粧溝21が高さ方向に並んで形成されている。すなわち、壁部20の横化粧溝21の延在方向に直交する幅がW1とされており、壁部20の高さ方向に隣り合う2つの横化粧溝21の間の間隔がD1とされている。なお、本明細書では、横化粧溝21の延在方向に直交する幅を、単に横化粧溝21の幅ともいう。所定の間隔D1は、建物1の1階分の階層の高さ(階高)の略整数分の1とされている。かかる構成を有することによって、複数の壁部20を幅方向又は高さ方向に並べて配置した場合における、建物1の意匠性が向上する。
【0029】
さらに、壁部20には、壁体構造10Aの高さ方向に延在する縦化粧溝22が形成されている。本実施形態では、壁部20には、屋外側の表面に、所定の幅W2且つ所定の間隔D2で複数の縦化粧溝22が幅方向に並んで形成されている。すなわち、壁部20の縦化粧溝22の延在方向に直交する幅がW2とされており、壁部20の幅方向に隣り合う2つの縦化粧溝22の間の間隔がD2とされている。なお、本明細書では、縦化粧溝22の延在方向に直交する幅を、単に縦化粧溝22の幅ともいう。所定の幅W2は、所定の幅W1と等しくされていてもよい。かかる構成を有することによって、複数の壁部20を幅方向または高さ方向に並べて配置した場合における、建物1の意匠性が向上する。
【0030】
なお、本実施形態では、壁部20の屋外側の表面に横化粧溝21及び縦化粧溝22が形成されているものとして説明する。すなわち、壁部20の幅方向において、壁部20の横化粧溝21及び縦化粧溝22が形成されている表面が面する側が屋外側であり、壁部20の横化粧溝21及び縦化粧溝22が形成されている表面とは反対側の表面が面する側が屋内側であるものとして説明する。しかしながら、横化粧溝21及び縦化粧溝22は、壁部20の屋内側の表面に形成されていてもよい。さらに、横化粧溝21及び縦化粧溝22は、壁部20の屋外側、屋内側の両側に形成されていてもよい。横化粧溝21及び縦化粧溝22が壁部20の屋内側の表面に形成されている場合、以下の説明において、「屋外側」及び「屋内側」を互いに入れ替えて読むものとする。
【0031】
第2壁部20Bには、第2壁部20Bの上端に沿って設けられ、第2壁部20Bの上端面(本実施形態では、上端面の腰壁手摺11を構成する部分)を覆う、カバー材30が取り付けられている。
【0032】
図3に示されるように、カバー材30は、第2壁部20Bの上端面と第2壁部20Bの上端面に設けられた下地部材31、防水部材32、及びシール材33を覆うように、第2壁部20Bに取り付けられている。ただし、下地部材31及び防水部材32は、省略されてもよい。
【0033】
下地部材31は、カバー材30を第2壁部20Bに固定するための下地である。本実施形態では、下地部材31は、第2壁部20Bの上端面を覆う上片と屋内側の表面を覆う側片とを有している、壁体構造10Aの厚さ方向断面がL字型の長尺な部材である。下地部材31は、例えば、ボルトでの締結等により、第2壁部20Bに固定されている。
【0034】
防水部材32は、下地部材31を覆うように構成されている。防水部材32は、例えば、防水塗料を施された鋼板などの、防水性を有する板状の部材である。防水部材32は、下地部材31の上端面を覆う上片と屋内側を覆う側片とを有する、壁体構造10Aの厚さ方向断面がL字型の長尺な部材である。防水部材32は、上片の屋外側の端部から第2壁部20Bの上端面に向かって折り返された、屋外側折り返し片32Aと、側片の高さ方向下側の端部から壁部20の屋内側の表面に向かって折り返された、屋内側折り返し片32Bとを有している。詳細は後述するが、屋外側折り返し片32A及び屋内側折り返し片32Bのそれぞれと壁部20との間には、シール材33が充填されている。
【0035】
さらに、防水部材32の屋外側折り返し片32Aは、下地部材31の上片の屋外側の端部に屋外側から接していてもよい。同様に、防水部材32の屋内側折り返し片32Bは、下地部材31の側片の高さ方向下側の端部に高さ方向下側から接していてもよい。これによって、シール材33が充填される際に、下地部材31が屋外側折り返し片32A又は屋内側折り返し片32Bから防水部材32を支えるため、シール材33の充填圧により防水部材32が移動しにくい。これによって、シール材33の充填作業が容易になる。
【0036】
シール材33は、例えば、モルタルなどの、湿式シール材であるが、止水可能な任意の材料とされてもよい。シール材33は、防水部材32の屋外側折り返し片32Aと壁部20の表面との間の隙間に充填されたシール材33Aと、防水部材32の屋内側折り返し片32Bと壁部20の表面との間の隙間に充填されたシール材33Bとを含む。これによって、シール材33Aは、防水部材32と第2壁部20Bの上端面との間を壁体構造10Aの屋外側から止水する。シール材33Bは、防水部材32と壁部20の屋内側の表面との間を壁体構造10Aの高さ方向下側から止水する。
【0037】
防水部材32及びシール材33Aの屋外側の端部は、第2壁部20Bの上端面の屋外側の端部よりも屋内側に位置している。即ち、防水部材32及びシール材33Aは、第2壁部20Bの上端面の屋外側の表面部分が露出するように第2壁部20Bに取り付けられている。かかる構成を有することによって、防水部材32及びシール材33Aを覆って化粧するカバー材30をより屋内側に配置することが可能となる。これにより、カバー材30の壁体構造10Aにおける屋外側への突出が軽減可能となり、壁体構造10Aの意匠性が向上し、建物1の意匠性が向上する。
【0038】
カバー材30は、第2壁部20Bの上端面、下地部材31、防水部材32、及びシール材33を覆って化粧する。カバー材30は、任意の方法によって、第2壁部20Bに取り付けられてもよい。例えば、カバー材30は、内側にブラケットを有していてもよい。かかる場合、ブラケットが、防水部材32を貫通するネジ等により下地部材31に締結されて、下地部材31に固定されていてもよい。ただし、下地部材31及び防水部材32が省略される場合には、カバー材30は、第2壁部20Bに直接取り付けられてもよい。
【0039】
カバー材30は、第2壁部20Bの上端面を防水部材32よりも上方から覆う略矩形板状の上片30Aと、上片30Aの屋内側の端部から垂下して防水部材32を屋内側から覆う略矩形板状の第1側片30Bとを含む、壁体構造10Aの厚さ方向断面がL字型の部材である。かかる構成を有することによって、カバー材30は、第2壁部20Bの上端面、下地部材31、防水部材32、及びシール材33等の外部からの視認性を低下させ、壁体構造10Aの意匠性を向上させる。ただし、カバー材30は、例えば、第2壁部20Bの上端面のみを覆う形状等、建物1の意匠を考慮して、任意の形状及び寸法とされてもよい。
【0040】
さらに、カバー材30は、上片30Aの屋外側の端部から垂下した第2側片30C、及び第2側片30Cの下端から屈曲して屋内側に延びる下片30Dを有している。カバー材30の屋外側の端縁(本実施形態では第2側片30C)は、壁体構造10Aの厚さ方向において、第2壁部20Bの屋外側の表面と略等しい位置に配置されている。すなわち、壁体構造10の厚さ方向において、第1壁部20Aの横化粧溝21が形成されている表面が面する側のカバー材30の端縁は、第1壁部20Aの横化粧溝21が形成されている表面が面する側の第2壁部20Bの表面と略等しい位置に配置されている。これにより、カバー材30が、第1壁部20Aの横化粧溝21が形成されている表面が面する側(本実施形態では屋外側)に突出せず目立ちにくくなり、建物1の意匠性が向上する。なお、上述の「第1壁部20Aの横化粧溝21が形成されている表面が面する側」は、本実施形態では屋外側であるが、屋内側であってもよい。さらに、「第1壁部20Aの横化粧溝21が形成されている表面が面する側」は、屋外側、屋内側の両側であってもよい。
【0041】
カバー材30の下片30Dは、第2壁部20Bの上端面よりも上方に位置している。そして、カバー材30の下片30Dの少なくとも一部は、第2壁部20Bの上端面と対向する位置に配置されている。これにより、第2壁部20Bの上端面とカバー材30との間に溝部60が形成されている。溝部60において、シール材33Aの屋外側の表面の少なくとも一部が、溝部60に露出して溝部60の溝底を形成している。シール材33Aの屋外側の表面のうち溝部60に露出して溝部60の溝底を形成している部分を、シール材33Aの露出面33Sともいう。本実施形態では、溝部60は、カバー材30の下片30D、シール材33Aの露出面33S、及び第2壁部20Bの上端面に囲まれている。本実施形態では、壁体構造10Aの厚さ方向において、シール材33Aの屋外側の表面とカバー材30の下片30Dの屋内側の端部とが接するように、第2壁部20Bの上端面とカバー材30との間にシール材33Aが充填されている。しかしながら、シール材33Aの屋外側の表面は、カバー材30の下片30Dの屋内側の端部と接していなくてもよい。また、カバー材30が第2側片30C及び下片30Dを有さない場合、溝部60は、カバー材30の上片30A、シール材33Aの露出面33S、及び第2壁部20Bの上端面に囲まれた部分とされてもよい。
【0042】
再び図2を参照して、溝部60は、第1壁部20Aの横化粧溝21と直線状になるように配置されている。本実施形態では、溝部60は、第2壁部20B及び第3壁部2Cの間の横シール部40を間に挟んで、第1壁部20Aに形成された複数の横化粧溝21のうち横化粧溝21Aと幅方向に直線状に配置されている。かかる構成を有することによって、溝部60と、第1壁部20Aの横化粧溝21との調和性が向上する。したがって、壁体構造10Aは、建物1の意匠性を向上させることができる。
【0043】
溝部60の延在方向に直交する幅W1’は、第1壁部20Aの横化粧溝21の延在方向に直交する幅W1と略等しい。本明細書では、溝部60の延在方向に直交する幅を、単に溝部60の幅ともいう。溝部60の深さは、壁体構造1Aの幅方向における、溝部60の屋外側の端部から屋内側の端部までの距離とされてもよい。また、横化粧溝21の深さは、壁体構造1Aの幅方向における、横化粧溝21の屋外側の端部から屋内側の端部までの距離とされてもよい。溝部60の深さは、第1壁部20Aの横化粧溝21の深さと略等しい。これにより、溝部60と、第1壁部20Aの横化粧溝21との調和性が向上する。
【0044】
第2壁部20Bの上端と最上段の横化粧溝21との間の間隔D1’は、隣り合う2つの横化粧溝21の間隔D1と略等しい。これにより、溝部60と、第2壁部20Bの横化粧溝21との調和性が向上する。
【0045】
溝部60の溝底、即ち、溝部60に露出するシール材33Aの露出面33Sには、第1壁部2Aの横化粧溝21と略同一の仕上げがなされている。本明細書では、略同一は、好ましくは同一であることを意味する。しかしながら、略同一には、建物の意匠性を損なわない程度に類似していることが含まれてもよい。例えば、シール材33Aの露出面33Sには、第1壁部20Aの横化粧溝21と同一又は類似する塗料による吹き付け塗装が行われていてもよい。これにより、溝部60と、第1壁部20Aの横化粧溝21との調和性が向上する。
【0046】
溝部60の深さは、第2壁部20Bに形成された縦化粧溝22の深さと略等しい。縦化粧溝22の深さは、壁体構造1Aの幅方向における、縦化粧溝22の屋外側の端部から屋内側の端部までの距離とされてもよい。これにより、壁体構造1Aの厚さ方向において、溝部60にシール材33を充填する位置が縦化粧溝22の底に揃うため、シール材33の収まりが良くなり、シール材33の充填作業及び充填量管理が容易になる。また、溝部60と、第2壁部20Bの縦化粧溝22との調和性が向上する。
【0047】
縦化粧溝22は、第2壁部20Bの上端面に開口を有している。かかる構成を有することによって、第2壁部20Bは、縦化粧溝22を介して、溝部60に落ちた雨水を下方向に流すことができる。このため、第2壁部20Bは、第2壁部20Bの屋外側の表面に第2壁部20Bの上端面に付着した塵埃を含む雨水が流れにくくなり、表面が汚れにくくなる。
【0048】
溝部60に露出するシール材33Aの露出面33Sには、第2壁部20Bの縦化粧溝22と略同一の仕上げがなされている。例えば、シール材33Aの露出面33Sには、第2壁部20Bの縦化粧溝22と同一又は類似する塗料による吹き付け塗装が行われてもよい。これにより、溝部60と、第2壁部20Bの縦化粧溝22との調和性が向上する。
【0049】
溝部60の深さは、縦シール部50の深さと略等しい。縦シール部50の深さは、壁体構造1Aの幅方向における、縦シール部50の屋外側の端部から屋内側の端部までの距離であってもよい。これにより、壁体構造1Aの厚さ方向において、溝部60と縦シール部50とのシール材を充填する位置が揃うため、シール材の充填作業及び充填量管理が容易になる。また、溝部60と、縦シール部50との調和性が向上する。
【0050】
溝部60に露出するシール材33Aの露出面33Sには、縦シール部50のシール材の屋外側の表面と略同一の仕上げがなされている。例えば、溝部60に露出するシール材33Aと縦シール部50のシール材とが同一又は類似する材料で構成されていてもよい。或いは、溝部60に露出するシール材33Aの露出面33Sに、縦シール部50のシール材と同一又は類似する塗料による吹き付け塗装が行われてもよい。これにより、溝部60と、縦シール部50との調和性が向上する。
【0051】
溝部60の深さは、横シール部40の深さと略等しい。横シール部40の深さは、壁体構造1Aの幅方向における、横シール部40の屋外側の端部から屋内側の端部までの距離であってもよい。これにより、壁体構造1Aの厚さ方向において、溝部60と横シール部40とのシール材を充填する位置が揃うため、シール材の充填作業及び充填量管理が容易になる。また、溝部60と、横シール部40との調和性が向上する。
【0052】
溝部60に露出するシール材33Aの露出面33Sには、横シール部40のシール材の屋外側の表面と略同一の仕上げがなされている。例えば、溝部60に露出するシール材33Aと横シール部40のシール材とが同一又は類似する材料で構成されていてもよい。或いは、溝部60に露出するシール材33Aの露出面33Sに、横シール部40のシール材と同一又は類似する塗料による吹き付け塗装が行われてもよい。これにより、溝部60と、横シール部40との調和性が向上する。
【0053】
(壁体構造の第2の実施形態)
図4及び図5を参照して、本発明に係る壁体構造10の第2の実施形態である、壁体構造10Bの構成について詳細に説明する。図4は、壁体構造10Bの一部を屋外側から示した、正面図である。図5は、図4に示される壁体構造10Bの厚さ方向断面図である。
【0054】
第2の実施形態に係る壁体構造10Bは、第2壁部20Bの少なくとも一部が垂れ壁13である点で、第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0055】
図4に示されるように、壁体構造10Bは、複数の壁部20、カバー材30、横シール部40、及び縦シール部50を備えている。壁体構造10Bにおいて、複数の壁部20は、壁体構造10Bの幅方向又は高さ方向に並べて配置されている。図4において斜線の網掛けで示されているように、幅方向又は高さ方向に並べられた壁部20の間には、モルタル等のシール材が充填され、横シール部40又は縦シール部50が形成されている。
【0056】
図4には、壁体構造10Bを構成する壁部20として、第1壁部20A、第2壁部20B及び第3壁部20Cが示されている。第1壁部20Aは、建物1の下階の基礎又は梁から上階の梁に至る長尺な壁パネルで構成されている。第2壁部20Bは、幅方向において第1壁部20Aに隣接し、壁体構造10Bの高さ方向において第1壁部20Aの上端及び下端の間に下端面が位置している。本実施形態では、第2壁部20Bは、第1壁部20Aよりも短尺の壁パネルで、第1壁部20Aと上端位置が一致するように配置されている。第2壁部20Bの少なくとも一部は、第2壁部20Bの屋内側に設けられたバルコニー等の外部床面の屋外側を区画する、垂れ壁13の役割を果たしている。第3壁部20Cは、第2壁部20Bの高さ方向下側から接し、幅方向において第2壁部20Bと同一方向から第1壁部20Aに隣接するように配置されている。第2壁部20Bと第3壁部20Cとの間には、横シール部40が形成されている。第1壁部20Aと第2壁部20B及び第3壁部20Cとの間には、縦シール部50が形成されている。
【0057】
壁部20には、壁体構造10Bの幅方向に延在する複数の横化粧溝21が形成されている。さらに、壁部20には、壁体構造10Bの高さ方向に延在する複数の縦化粧溝22が形成されている。
【0058】
第2壁部20Bには、第2壁部20Bの下端に沿って設けられ、第2壁部20Bの下端面(本実施形態では、下端面の垂れ壁13を構成する部分)を覆う、カバー材30が取り付けられている。
【0059】
図5に示されるように、カバー材30は、第2壁部20Bの下端面と第2壁部20Bの下端面に設けられた下地部材31及びシール材33を覆うように、第2壁部20Bに取り付けられている。ただし、下地部材31は、省略されてもよい。
【0060】
下地部材31は、第2壁部20Bの下端面を覆う下片と屋内側の表面を覆う側片とを有している、壁体構造10Bの厚さ方向断面がL字型の長尺な部材である。下地部材31は、例えば、ボルトでの締結等により、第2壁部20Bに固定されている。
【0061】
カバー材30は、第2壁部20Bの下端面、下地部材31、及びシール材33を覆って化粧する。カバー材30は、任意の方法によって、第2壁部20Bに取り付けられてもよい。カバー材30は、例えば、ネジ等により下地部材31に締結されて、下地部材31に固定されていてもよい。ただし、下地部材31が省略される場合には、カバー材30は、第2壁部20Bに直接取り付けられてもよい。
【0062】
カバー材30は、第2壁部20Bの下端面を下方から覆う略矩形板状の下片30Eと、下片30Eの屋外側の端部から起立した起立片30F、及び起立片30Fの上端から屈曲して屋内側に延びる上片30Gを有している。カバー材30の屋外側の端縁(本実施形態では起立片30F)は、壁体構造10Bの厚さ方向において、第2壁部20Bの屋外側の表面と略等しい位置に配置されている。すなわち、壁体構造10の厚さ方向において、第1壁部20Aの横化粧溝21が形成されている表面が面する側のカバー材30の端縁は、第1壁部20Aの横化粧溝21が形成されている表面が面する側の第2壁部20Bの表面と略等しい位置に配置されている。これにより、カバー材30が、第1壁部20Aの横化粧溝21が形成されている表面が面する側(本実施形態では屋外側)に突出せずに目立ちにくくなり、建物1の意匠性が向上する。なお、上述の「第1壁部20Aの横化粧溝21が形成されている表面が面する側」は、本実施形態では屋外側であるが、屋内側であってもよい。さらに、「第1壁部20Aの横化粧溝21が形成されている表面が面する側」は、屋外側、屋内側の両側であってもよい。
【0063】
カバー材30の上片30Gは、第2壁部20Bの下端面よりも下方に位置している。そして、カバー材30の上片30Gの少なくとも一部は、第2壁部20Bの下端面と対向するように配置されている。
【0064】
シール材33は、カバー材30の上片30Gと第2壁部20Bの下端面との間に充填されている。これによって、シール材33は、カバー材30と第2壁部20Bの下端面との間を壁体構造10Bの屋外側から止水する。
【0065】
シール材33の屋外側の端部は、第2壁部20Bの下端面の屋外側の端部よりも屋内側に位置している。即ち、シール材33は、第2壁部20Bの下端面の屋外側の表面部分が露出するように第2壁部20Bに取り付けられている。これにより、第2壁部20Bの下端面とカバー材30との間に溝部60が形成されている。溝部60において、シール材33の屋外側の表面の少なくとも一部が、溝部60に露出して溝部60の溝底を形成している。本実施形態では、溝部60は、カバー材30の上片30G、シール材33Aの厚さ方向外側の表面、及び第2壁部20Bの上端面に囲まれている。
【0066】
再び図4を参照して、溝部60は、第1壁部20Aの横化粧溝21と直線状になるように配置されている。本実施形態では、溝部60は、第2壁部20B及び第3壁部2Cの間の横シール部40を間に挟んで、第1壁部20Aに形成された複数の横化粧溝21のうち横化粧溝21Aと幅方向に直線状に配置されている。かかる構成を有することによって、溝部60と、第1壁部20Aの横化粧溝21との調和性が向上する。したがって、壁体構造10Bは、建物1の意匠性を向上させることができる。
【0067】
以上述べたように、上述の実施形態に係る壁体構造10は、壁体構造10の幅方向に延在する横化粧溝21が形成された、第1壁部20Aと、幅方向において第1壁部20Aに隣接し、壁体構造10の高さ方向において第1壁部20Aの上端及び下端の間に上端及び下端の少なくとも一方の端が位置する、第2壁部20Bと、第2壁部20Bの少なくとも一方の端に沿って設けられ、第2壁部20Bの少なくとも一方の端の端面を覆う、カバー材30と、第2壁部20Bの端面とカバー材30との間にシール材を充填して溝底が形成された、溝部60と、を備え、溝部60は、第1壁部20Aの横化粧溝21と直線状になるように配置されている。かかる構成によれば、壁体構造10において、溝部60と、第1壁部20Aの横化粧溝21との調和性が向上する。したがって、壁体構造10は、建物1の意匠性を向上させることができる。
【0068】
上述の実施形態に係る壁体構造10では、溝部60の延在方向に直交する幅W1’は、第1壁部20Aの横化粧溝21の延在方向に直交する幅W1と略等しいことが好ましい。かかる構成によれば、壁体構造10において、溝部60と、第1壁部20Aの横化粧溝21との調和性が向上する。
【0069】
上述の実施形態に係る壁体構造10では、溝部60の深さは、第1壁部20Aの横化粧溝21の深さと略等しいことが好ましい。かかる構成によれば、壁体構造10において、溝部60と、第1壁部20Aの横化粧溝21との調和性が向上する。
【0070】
上述の実施形態に係る壁体構造10では、溝部60に露出するシール材の露出面33Sには、第1壁部20Aの横化粧溝21と略同一の仕上げがなされていることが好ましい。かかる構成によれば、壁体構造10において、溝部60と、第1壁部20Aの横化粧溝21との調和性が向上する。
【0071】
上述の実施形態に係る壁体構造10では、第2壁部20Bには、高さ方向に延在する縦化粧溝22が形成されており、溝部60の深さは、縦化粧溝22の深さと略等しいことが好ましい。かかる構成によれば、壁体構造10において、溝部60と、第2壁部20Bの縦化粧溝22との調和性が向上する。また、壁体構造10の厚さ方向において、溝部60にシール材を充填する位置が縦化粧溝22の底に揃うため、シール材33の収まりが良くなり、シール材33の充填作業及び充填量管理を容易にすることができる。
【0072】
上述の実施形態に係る壁体構造10では、溝部60に露出するシール材の露出面33Sには、縦化粧溝22と略同一の仕上げがなされていることが好ましい。かかる構成によれば、壁体構造10において、溝部60と、第2壁部20Bの縦化粧溝22との調和性が向上する。
【0073】
上述の実施形態に係る壁体構造10は、第1壁部20Aと第2壁部20Bとの間にシール材を充填して形成された、縦シール部50を更に備え、溝部60の深さは、縦シール部50の深さと略等しいことが好ましい。かかる構成によれば、壁体構造10において、溝部60と、縦シール部50との調和性が向上する。また、壁体構造1Aの厚さ方向において、溝部60と縦シール部50とのシール材を充填する位置が揃うため、シール材の充填作業及び充填量管理が容易になる。
【0074】
上述の実施形態に係る壁体構造10では、溝部60に露出するシール材の露出面33Sには、縦シール部50と略同一の仕上げがなされていることが好ましい。かかる構成によれば、壁体構造10において、溝部60と、縦シール部50との調和性が向上する。
【0075】
上述の実施形態に係る壁体構造10では、第1壁部20A及び第2壁部20Bには、階高の略整数分の1の間隔D1で複数の横化粧溝21が形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、壁体構造10は、複数の壁部20を幅方向または高さ方向に並べて配置した場合における、建物1の意匠性を向上させる。
【0076】
上述の実施形態に係る壁体構造10では、壁体構造10の厚さ方向において、第1壁部20Aの横化粧溝21が形成されている表面が面する側のカバー材30の端縁(上述の実施形態ではカバー材30の屋外側の端縁)は、第1壁部20Aの横化粧溝21が形成されている表面が面する側の第2壁部20Bの表面(上述の実施形態では第2壁部20Bの屋外側の端縁)と略等しい位置に配置されていることが好ましい。かかる構成によれば、カバー材30が、第1壁部20Aの横化粧溝21が形成されている表面が面する側(上述の実施形態では屋外側)に突出せず目立ちにくくなり、建物1の意匠性が向上する。
【0077】
上述の実施形態に係る建物1は、壁体構造10を備える。壁体構造10は、壁体構造10の幅方向に延在する横化粧溝21が形成された、第1壁部20Aと、幅方向において第1壁部20Aに隣接し、壁体構造10の高さ方向において第1壁部20Aの上端及び下端の間に上端及び下端の少なくとも一方の端が位置する、第2壁部20Bと、第2壁部20Bの少なくとも一方の端に沿って設けられ、第2壁部20Bの少なくとも一方の端の端面を覆う、カバー材30と、第2壁部20Bの端面とカバー材30との間にシール材を充填して溝底が形成された、溝部60と、を備え、溝部60は、第1壁部20Aの横化粧溝21と直線状になるように配置されている。かかる構成によれば、壁体構造10において、溝部60と、第1壁部20Aの横化粧溝21との調和性が向上する。したがって、建物1が壁体構造10を備えることで、建物1の意匠性を向上させることができる。
【0078】
本発明は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲で記載された内容を逸脱しない範囲で、様々な構成により実現することが可能である。
【0079】
例えば、上記の各実施形態では、壁部20には、横化粧溝21及び縦化粧溝22がそれぞれ所定の幅且つ所定の間隔で並んで形成されているものとして説明した。しかしながら、横化粧溝21及び縦化粧溝22は、それぞれ1本以上の任意の数とされてもよい。また、横化粧溝21及び縦化粧溝22の形成される間隔は、どちらも一定でなくてもよい。さらに、壁体構造10を構成する複数の壁部20に、横化粧溝21及び縦化粧溝22の少なくとも一方が形成されていない壁部20が含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 建物
10(10A、10B) 壁体構造
11 腰壁手摺
12 パラペット
13 垂れ壁
20 壁部
21(21A) 横化粧溝
22 縦化粧溝
20A 第1壁部
20B 第2壁部
20C 第3壁部
30 カバー材
30A 上片
30B 第1側片
30C 第2側片
30D 下片
30E 下片
30F 起立片
30G 上片
31 下地部材
32 防水部材
32A 屋外側折り返し片
32B 屋内側折り返し片
33(33A、33B) シール材
33S 露出面
40 横シール部
50 縦シール部
60 溝部
W1、W2、W1’ 幅
D1、D2、D1’ 間隔
図1
図2
図3
図4
図5