(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182868
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】管理装置、管理システム及び特典提供方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221201BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20221201BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/02 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090624
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盛林 敏之
(72)【発明者】
【氏名】田中 真一
(72)【発明者】
【氏名】西山 奈津美
(72)【発明者】
【氏名】松井 涼
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】イベント会場からの退場時における混雑を十分に緩和すること。
【解決手段】実施形態に係る実施形態に係る管理装置は、記憶部と、特典内容決定部と、特典提供部と、を有する。記憶部は、イベント会場の座席ごとに、イベント終了後の設定待機時間を記憶する。特典内容決定部は、記憶部に記憶された設定待機時間と、座席を利用したユーザがイベント会場からの退出の際に待機した実待機時間とに基づき、特典内容を決定する。特典提供部は、特典内容決定部によって決定された内容の特典をユーザに提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベント会場の座席ごとに、イベント終了後の設定待機時間を記憶する設定待機時間記憶部と、
前記設定待機時間記憶部に記憶された設定待機時間と、前記座席を利用したユーザが前記イベント会場からの退出の際に待機した実待機時間とに基づき、特典内容を決定する特典内容決定部と、
前記特典内容決定部によって決定された内容の特典を前記ユーザに提供する特典提供部と、
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記設定待機時間と、前記実待機時間と、の差分が所定値未満であるユーザを特典の提供対象のユーザとする提供対象ユーザ検知部を、有することを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記特典内容決定部は、前記設定待機時間と、前記実待機時間と、の差分に応じた量の特典を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記特典内容決定部は、前記イベント会場におけるイベントの終了時における、前記イベント会場の状況に応じて設定待機時間を補正することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項5】
イベント会場の座席ごとに、各座席の出口からの距離に応じて、イベント終了後の設定待機時間を記憶する設定待機時間記憶部と、
前記イベント会場の座席の位置を示す図に、前記設定待機時間記憶部に記憶された設定待機時間を示す情報が付加された図を提供する座席図提供部と、
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項6】
イベント会場の座席ごとに、各座席の品質に応じて、イベント終了後の設定待機時間を記憶する設定待機時間記憶部と、
前記イベント会場の座席の位置を示す図に、前記設定待機時間記憶部に記憶された設定待機時間を示す情報が付加された図を提供する座席図提供部と、
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項7】
管理装置と、端末と、を有する管理システムであって、
前記管理装置は、
イベント会場の座席ごとに、イベント終了後の設定待機時間を記憶する設定待機時間記憶部と、
前記設定待機時間記憶部に記憶された設定待機時間と、前記座席を利用したユーザが前記イベント会場からの退出の際に待機した実待機時間とに基づき、特典内容を決定する特典内容決定部と、
前記特典内容決定部によって決定された内容の特典を前記ユーザに提供する特典提供部と、
を有し、
前記端末は、
前記特典提供部によって提供された特典の情報を出力する出力部を有する
ことを特徴とする管理システム。
【請求項8】
管理装置によって実行される特典提供方法であって、
イベント会場の座席ごとに、イベント終了後の設定待機時間を設定し、
前記設定された設定待機時間、及び、前記座席を利用したユーザが前記イベント会場から退出するまでに待機した実待機時間に基づいて、前記ユーザに対する特典内容を決定し、
前記座席を利用したユーザに対して前記決定された内容の特典を提供する、
ことを特徴とする特典提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、管理システム及び特典提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、大人数が1つの場所に集まるイベント等においては、感染予防のために混雑緩和のための措置がとられることがある。
【0003】
混雑緩和措置に関する技術として、例えば交通機関に障害が発生した場合の混雑を避けるために、利用者に待機場所を提示しつつ障害に関する情報を提供する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、イベント会場からの退場時における混雑を十分に緩和できない場合がある。
【0006】
例えば、イベントの主催者は、入場制限や座席間隔の確保、マスクの徹底や歓声の禁止等によってイベント会場への入場時及びイベント実施中における混雑緩和を図る場合がある。
【0007】
一方で、イベント会場からの退出時においても、例えば出口付近で混雑が発生することがある。これは、イベント終了後には少しでも早く移動(帰宅)したいというモチベーションがユーザに生じるためである。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、イベント会場からの退場時における混雑を十分に緩和することができる管理装置、管理システム及び特典提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る管理装置は、記憶部と、特典内容決定部と、特典提供部と、を有する。記憶部は、イベント会場の座席ごとに、イベント終了後の設定待機時間を記憶する。特典内容決定部は、記憶部に記憶された設定待機時間と、座席を利用したユーザがイベント会場からの退出の際に待機した実待機時間とに基づき、特典内容を決定する。特典提供部は、特典内容決定部によって決定された内容の特典をユーザに提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、イベント会場からの退場時における混雑を十分に緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る管理システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る管理装置の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、管理装置の事前処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、管理装置の事後処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する管理装置、管理システム及び特典提供方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
まず、
図1を用いて、実施形態に係る管理システムについて説明する。管理システムは、イベントに参加するユーザのイベント会場からの退出時間を調整することで、混雑を緩和することを1つの目的としている。
【0014】
なお、本実施形態におけるイベントは、スポーツの試合、音楽のコンサート、演劇、講演会等であり、多数のユーザが集まるイベント会場で実施されるものとする。
【0015】
管理システムは、イベントの終了後に指定された時間だけ座席で待機することをユーザに促す。そして、管理システムは、指定された時間に従って待機したユーザに対して特典を提供する。
【0016】
特典は、現実の店舗、ECサイト及びその他のWebサービス等における代金の支払いに利用できるポイントであってよい。
【0017】
このように、管理システムは、イベント終了後にユーザに座席で待機することを促すことで、混雑緩和を図っている。さらに、管理システムは、座席で待機することで混雑緩和に協力したユーザには特典を与え、混雑緩和への協力のモチベーションを向上させる。
【0018】
図1は、実施形態に係る管理システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、管理システム1は、管理装置10、端末20、端末30、端末40を有する。
【0019】
管理装置10と各端末は、例えばインターネットで接続されている。管理装置10はクラウドサーバとして機能し、Webサイト及びWebを介した所定のアプリケーションを提供するものであってもよい。
【0020】
端末20は、ユーザが使用する端末である。端末20は、スマートフォンのような携帯型端末であってもよいし、自宅に置かれたパーソナルコンピュータ等の据え置き型端末であってもよい。
【0021】
端末30は、イベント会場に設置され、イベント会場の運営のために利用される端末である。
【0022】
端末40は、スマートフォンのような携帯型端末である。端末40は、例えばイベント会場内でユーザによって持ち歩かれる。
【0023】
なお、端末30と端末40は、ローカル5G等を利用してイベント会場内で通信を行うことができる。
【0024】
まず、ユーザは、端末20を使って、イベント会場で開催されるイベントのチケットの予約及び座席の指定を行う。
【0025】
このとき、端末20は、
図2に示すような座席図を表示する。
図2は、座席図の例を示す図である。座席図は、管理装置10から端末20に提供される。ユーザは、座席図を見ながら座席を指定してもよい。
【0026】
図2に示すように、座席図には、座席ごとに管理装置10によってあらかじめ計算された待機時間が配置されている。座席図は、座席に対応するテーブル化されたデータ(例えば、後述する座席情報122)から作成される。以降、当該あらかじめ計算された待機時間を設定待機時間と呼ぶ場合がある。
【0027】
例えば、A列の第1エリアにある座席には、「5分」という待機時間が配置されている。
【0028】
チケットの予約及び座席の指定が完了すると、管理装置10は端末20に予約結果を通知する。このとき、
図1に示すように、端末20の表示部21には、通知画面が表示される。
【0029】
図1に示すように、通知画面には、イベントの終了予定日時、指定された座席、待機時間、特典として付与される予定のポイントが表示される。
【0030】
図1の例では、表示部21は、イベントの終了予定日時「2021/4/15 20:00」、座席「C列 第1エリア 座席番号5番」、待機時間「25分」、付与される予定のポイント「250pt」を表示している。
【0031】
そして、イベント当日のイベントの開始前に、ユーザは端末40を使ってイベント会場への入場処理を行う。
【0032】
端末40は、入場処理を行うために、所定の無線通信規格(5G、Bluetooth(登録商標)、Wifi)を使って端末30に情報を送信してもよい。例えば、端末30は、端末40から送信された位置情報と、既知のゲートの位置情報とのマッチングを行うことによりユーザの入退場を検知する。また、端末40は、ゲート等に接触又は非接触(例えば短距離無線通信)で読み取らせるようにしてもよい。イベント会場へのユーザの入退場に関する情報は、上記の入退場検知に基づき端末30によって管理される。
【0033】
さらに、イベント当日のイベント終了後、管理装置10は、イベントが終了したことを端末40に通知する。管理装置10は、端末30からイベント終了の通知を受けてもよい。また、端末30が管理装置10に代わって端末40への通知を行ってもよい。
【0034】
また、端末40は、計算済みの待機時間を表示し、カウントダウンを行う。
【0035】
ユーザは、端末40を使ってイベント会場の退場処理を行う。端末40は、入場処理と同様の方法で端末30に情報を送信し、退場処理を行うことができる。
【0036】
管理装置10は、イベントの終了時刻と、端末40によって退場処理が行われた時刻とから、端末40のユーザの実際の待機時間を計算することができる。
【0037】
管理装置10は、端末40のユーザの実際の待機時間に応じて、当該ユーザに特典を付与する。
【0038】
このとき、端末40は、表示部41に、特典として付与されたポイントを表示することができる。
図1の例では、表示部41は、「120pt」が特典として付与された旨のメッセージを表示している。
【0039】
また、端末30は、イベント終了後、一定時間が経過しても退場処理を行っていない端末に対し、アラートを送信してもよい。また、端末30は、イベント終了時刻から、設定された待機時間が経過し、さらに一定時間が経過しても退場処理を行っていない端末に対し、アラートを送信してもよい。
【0040】
図3は、実施形態に係る管理装置の構成例を示す図である。
図3に示すように、管理装置10は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。
【0041】
通信部11は、他の装置とデータの通信を行うためのインタフェースである。管理装置10は、通信部11を介して端末20及び端末30との間で通信を行う。
【0042】
管理装置10の制御部13及び記憶部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、入出力ポート等を有するコンピュータや各種の回路により実現される。
【0043】
記憶部12は、RAMやフラッシュメモリに対応する。RAMやフラッシュメモリは、ユーザ情報121、座席情報122及び特典情報123を記憶する。
【0044】
ユーザ情報121は、ユーザに関するデータやユーザごとの提供済みの特典に関する情報である。
図4は、ユーザ情報の例を示す図である。
【0045】
図4を用いてユーザ情報121の各項目を説明する。ユーザ情報121の「ユーザ」は、ユーザを識別するためのIDである。また、ユーザ情報121の「ポイント」は、特典として提供されたポイントの残高である。
【0046】
管理装置10は、ユーザ情報121の「ポイント」を増加させることにより、特典を提供することができる。
【0047】
図4の例には、ユーザ「U01」のポイントの残高が950ptであることが示されている。
【0048】
また、ユーザ情報121の「連絡先」は、例えばユーザのメールアドレスである。管理装置10は、ユーザのメールアドレスを利用してユーザへの通知を行うことができる。また、ユーザ情報121の「パスワード」は、管理システム1によるサービスを受ける際に、Webサイト又はアプリケーションに接続する際の認証(ログイン)に使用されるパスワードである。
【0049】
また、ログイン(認証)の際のログインIDは、ユーザ情報の「ユーザID」(例えば「U01」)であってもよいし、別途ユーザ情報121に設定されたログイン用のID(文字列)であってもよい。
【0050】
座席情報122は、イベント会場の座席ごとの設定待機時間等の情報である。例えば、
図2の座席図は、座席情報122を基に作成される。
【0051】
図5を用いて座席情報122の各項目を説明する。座席情報122の「列」、「エリア」及び「番号」は座席を識別するための情報である。座席情報122の「設定待機時間」は、初期設定される待機時間である。
【0052】
座席情報122の「出口からの距離」、「品質」は、待機時間の設定又は再計算等の際に参照される情報である。座席情報122の「再計算条件」は、待機時間の再計算が行われる条件である。
【0053】
「設定待機時間」は「出口からの距離」に応じて設定されてもよい。この場合、記憶部12は、イベント会場の座席ごとに、各座席の出口からの距離に応じて、イベント終了後の設定待機時間を座席情報122として記憶するということができる。出口付近の座席のユーザから順に退場することを促すことで、混雑緩和を図ることができる。
【0054】
「設定待機時間」は「品質」に応じて設定されてもよい。この場合、記憶部12は、イベント会場の座席ごとに、各座席の品質に応じて、イベント終了後の設定待機時間を座席情報122として記憶するということができる。
【0055】
座席の品質は、例えばイベントのコンテンツ(ステージ、スクリーン等)の見えやすさによる人気度合いであってもよい。仮に品質が異なる座席でチケットの価格が同じである場合、ユーザに不公平感が生じる。
【0056】
このため、例えば品質が低い席ほど設定待機時間を短くすることで、不公平感を解消できる。
【0057】
ここで説明した座席情報122の「設定待機時間」は、例えばイベントの主催者が参照するパラメータ及び条件を指定することで計算されるものであってよい。さらに、座席情報122の「設定待機時間」は、イベントの状況等において再計算され変動する場合もある。
【0058】
特典情報123は、特典の提供に関する情報である。
図6は、特典情報の例を示す図である。
【0059】
図6を用いて特典情報123の各項目を説明する。特典情報123の「イベント会場」は、イベント会場を特定するための情報である。特典情報123の「イベント内容」は、イベント会場で行われるイベントの内容を示す情報である。特典情報123の「ユーザ」は、ユーザを識別するためのIDである。
【0060】
特典情報123の「座席」は、予約時に指定された座席を特定する情報である。特典情報123の「設定待機時間」は、座席に対して計算された設定待機時間である。特典情報123の「予定付与ポイント」は、付与される予定のポイントである。
【0061】
特典情報123の「実績待機時間」は、実際にユーザが待機した時間である。特典情報123の「実績付与ポイント」は、予定付与ポイント、設定待機時間、及び実際の待機時間から計算された、実際に付与されるポイントである。
【0062】
例えば、実際の待機時間が設定待機時間と等しい場合は予定付与ポイントがそのまま付与される。
【0063】
コンピュータのCPUは、例えばROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部13の特典内容決定部131、座席図提供部132、提供対象ユーザ検知部133、特典提供部134及び通知部135として機能する。
【0064】
なお、管理装置10は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0065】
特典内容決定部131は、座席情報122に記憶された設定待機時間と、座席を利用したユーザがイベント会場からの退出の際に待機した実待機時間とに基づき、特典内容を決定する。
【0066】
前述の通り、記憶部12は、イベント会場の座席ごとに、イベント終了後の設定待機時間を座席情報122として記憶する。
【0067】
さらに、特典内容決定部131は、端末30からユーザの退場に関する情報を取得し、ユーザごとの実際の待機時間を記録する。例えば、特典内容決定部131は、特典情報123に実績待機時間を登録する。
【0068】
なお、管理装置10は、ユーザがイベント会場を退出した時刻、及びユーザが座席から移動を開始した時刻等から実待機時間を推定することができる。例えば、ユーザが座席から移動を開始した時刻は、端末40の位置の検知、及び座席に備えられた感圧センサ等により実現される。
【0069】
座席図提供部132は、イベント会場の座席の位置を示す図に、座席情報122として記憶部12に記憶された設定待機時間を示す情報が付加された図を提供する。すなわち、座席図提供部132は、
図2に示すような座席図を提供する。
【0070】
提供対象ユーザ検知部133は、設定待機時間、及び、座席を利用したユーザがイベント会場から退出するまでに待機した時間を基に、特典の提供対象のユーザを検知する。
【0071】
例えば、提供対象ユーザ検知部133は、設定待機時間と、実待機時間と、の差分が所定値未満であるユーザを特典の提供対象のユーザとする。これにより、イベント当日のユーザの行動に応じて特典を提供するか否かを判断することができる。
【0072】
提供対象ユーザ検知部133は、実際の待機時間が、設定待機時間と近いユーザを特典の提供対象とする。例えば、提供対象ユーザ検知部133は、実際の待機時間が設定待機時間よりも一定時間以上短いユーザ、又は実際の待機時間が設定待機時間よりも一定時間以上長いユーザは、特典の提供対象外とする。
【0073】
ここで、特典内容決定部131は、設定待機時間と、実待機時間と、の差分に応じた量の特典を決定する。また、このとき、特典内容決定部131は、イベント会場におけるイベントの終了時における、イベント会場の状況に応じて設定待機時間を補正してもよい。
【0074】
特典提供部134は、特典内容決定部131によって決定された内容の特典をユーザに提供する。例えば、特典提供部134は、提供対象ユーザ検知部133によって検知されたユーザに対して特典を提供する。例えば、特典提供部134は、設定待機時間と、イベント会場から退出するまでに待機した時間と、の差分に応じた量の特典を提供する。このように、ユーザの都合に合わせて特典の量を調整することができる。
【0075】
例えば、特典提供部134は、実際の待機時間が設定待機時間との差に応じて特典の量を減少させる。また、特典提供部134は、実際の待機時間が設定待機時間より長い場合、その長さが一定時間未満であれば特典の量を減らさないようにしてもよい。
【0076】
図6の例では、ユーザ「U01」の設定待機時間及び実績待機時間はいずれも25分である。この場合、設定待機時間と実績待機時間の差は0分なので、特典提供部134は、ユーザ「U01」の実績付与ポイントを予定付与ポイントと等しくする。
【0077】
また、ユーザ「U02」の設定待機時間は30分であり、実績待機時間は31分である。ここで、特典提供部134は、実際の待機時間が設定待機時間より長く、かつその長さが3分未満であれば特典の量を減らさないようにするものとする。この場合、設定待機時間と実績待機時間の差は1分なので、特典提供部134は、ユーザ「U02」の実績付与ポイントを予定付与ポイントと等しくする。
【0078】
また、ユーザ「U03」の設定待機時間は10分であり、実績待機時間は0分である。この場合、ユーザ「U03」は提供対象ユーザ検知部133によって特典の提供対象として検知されない。
【0079】
また、ユーザ「U04」の設定待機時間は10分であり、実績待機時間は13分である。この場合、設定待機時間と実績待機時間の差は3分なので、特典提供部134は、ユーザ「U04」の実績付与ポイントを予定付与ポイントから3×10pt減少させ、70ptとする。
【0080】
また、ユーザ「U05」の設定待機時間は10分であり、実績待機時間は6分である。この場合、設定待機時間と実績待機時間の差は4分なので、特典提供部134は、ユーザ「U05」の実績付与ポイントを予定付与ポイントから4×10pt減少させ、60ptとする。
【0081】
また、特典内容決定部131は、イベント会場におけるイベントの終了時に、イベントの状況に応じて待機時間を計算する。これにより、特典内容決定部131は、設定待機時間を状況に合わせて動的に変化させることができる。
【0082】
ここで、
図5に示すように、座席情報122に「再計算条件」が設定されている場合がある。例えば、「遅延10分」という条件は、イベントの終了予定時刻より実際の終了時刻が10分以上遅延した場合に設定待機時間を再計算することを意味する。このように、特典内容決定部131は、座席情報122を参照して再計算の要否を判定することができる。
【0083】
例えば、特典内容決定部131は、スポーツの試合における勝敗に基づいて座席ごとの設定待機時間を増減させてもよい。例えば、特典内容決定部131は、負けた方のチーム側の座席について設定待機時間を短くすることで、ユーザの不満を抑止する。
【0084】
また、特典内容決定部131は、イベントの終了後には、ユーザの不満を抑えるため、設定待機時間を増加させることはせず、減少のみを行うようにしてもよい。例えば、特典内容決定部131は、あらかじめ設定待機時間に余分な時間を足しておき、イベント終了後に当該余分な時間を削減する。
【0085】
なお、設定待機時間に変更があった場合、通知部135がユーザの端末40に変更があった旨の情報及び変更後の設定待機時間等を通知する。
【0086】
また、特典内容決定部131は、イベント会場周辺の天候、及び交通機関の混雑状況といった外部要因を考慮して設定待機時間を計算してもよい。
【0087】
図7は、管理装置の事前処理の流れを示すフローチャートである。事前処理は、チケットの予約時に行われる処理である。
【0088】
図7に示すように、まず、管理装置10は、イベント会場の座席ごとの設定待機時間及び提供される特典を計算する(ステップS101)。これら計算は、記憶部12に記憶された関係する各種データに基づき行われる。
【0089】
次に、管理装置10は、計算した設定待機時間を座席図に配置する(ステップS102)。つまり、管理装置10は、各座席に紐づけられて、指定待機時間及び提供される特典等のデータを記憶部12に記憶する。そして、管理装置10は、これら座席のデータ、座席図や提供される予定の特典の情報をユーザに通知する(ステップS103)。
【0090】
図8は、管理装置の事後処理の流れを示すフローチャートである。事後処理は、イベント終了後に行われる処理である。
【0091】
まず、
図8に示すように、管理装置10は、ユーザの実績待機実績を記録する(ステップS201)。このとき、管理装置10は、ユーザの退場時刻等の情報をイベント会場の端末30から取得する。
【0092】
ここで、管理装置10は、特典の提供対象のユーザを検知する(ステップS202)。つまり、特典の提供対象条件を満たすユーザを実績待機実績に基づき検知する。そして、管理装置10は、特典の提供対象のユーザに、実績待機時間に応じた特典を提供する(ステップS203)。つまり、管理装置10は、例えばユーザ情報121の「ポイント」への特典内容に応じた加算処理を行う。
【0093】
なお、ユーザごとの保有ポイントの記憶、及びポイント使用時の処理等のポイント管理については、既存のポイント管理システムと同様に行われてもよい。また、例えば、管理装置10は、ポイントの管理機能を持たずに、提携先等のポイント管理機能を持ったシステム等にポイントの管理を要請するようにしてもよい。
【0094】
さらに、管理装置10は、提供された特典の情報をユーザに通知する(ステップS204)。
【0095】
上述してきたように、実施形態に係る管理装置10は、記憶部12と、特典内容決定部131と、特典提供部134と、を有する。記憶部12は、イベント会場の座席ごとに、イベント終了後の設定待機時間を記憶する。特典内容決定部131は、記憶部12に記憶された設定待機時間と、座席を利用したユーザがイベント会場からの退出の際に待機した実待機時間とに基づき、特典内容を決定する。特典提供部134は、特典内容決定部131によって決定された内容の特典をユーザに提供する。
【0096】
このように、管理装置10は、特典によりユーザの混雑緩和への協力のモチベーションを向上させ、イベント会場からの退場時における混雑を十分に緩和することができる。
【0097】
さらに、特典はポイントの付与といったプラスアルファのものであり、また、事前に待機時間及び特典が通知されユーザの了解を得ることになるため、強制することなくユーザの心情を考慮した上で協力を促すことができる。
【0098】
また、指定された待機時間通りに待機ができない場合も考えられる。本実施形態では、実際の協力状況に応じて特典の量を調整することができる。また、特典の量が削減されることを事前に通知しておくことで、ユーザに不満が生じないようにすることができる。
【0099】
また、管理装置10は、待機時間の実績に応じて実際に提供される特典の量を調整することができるため、イベント当日のユーザの都合に合わせることができる。なお、これらの特典の調整は各データテーブル(例えば、座席情報122及び特典情報123)の値の変更により実現できる。
【0100】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 管理システム
10 管理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
20、30、40 端末
21、41 表示部
121 ユーザ情報
122 座席情報
123 特典情報
131 特典内容決定部
132 座席図提供部
133 提供対象ユーザ検知部
134 特典提供部
135 通知部