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特開2022-182873情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182873
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20221201BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20221201BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20221201BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20221201BHJP
   G06Q 10/04 20120101ALI20221201BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G08G1/005
G08G1/0969
G06Q50/10
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090646
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 英明
(72)【発明者】
【氏名】平林 知己
(72)【発明者】
【氏名】三浦 雅博
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129CC06
2F129CC15
2F129CC16
2F129DD20
2F129EE02
2F129EE22
2F129EE52
2F129FF02
2F129FF32
2F129HH12
2F129HH24
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB15
5H181FF03
5H181FF22
5H181FF24
5H181FF32
5L049AA04
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】ユーザが利用している移動手段を適切に推定する。
【解決手段】サーバ100は、移動履歴DB200と経路案内DB300とを用いて対象ユーザが利用している移動手段を推定する。選択部141は、対象ユーザの周囲に存在する他のユーザの移動履歴情報を移動履歴DB200から取得し、その移動履歴情報に基づいて、他のユーザのうちから比較対象ユーザを選択する。経路案内情報抽出部142は、比較対象ユーザに提供されている経路案内情報を経路案内DB300から抽出する。推定部143は、その抽出された経路案内情報に含まれる移動手段のうち、所定時刻に対応する比較対象ユーザ毎の移動手段に基づいて、対象ユーザが所定時刻に利用している移動手段を推定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザの移動履歴情報をユーザ毎に管理する移動履歴データベースと、出発地から目的地までの経路と当該経路を進行する際に利用する1または複数の移動手段と当該移動手段を利用する時間帯とを含む経路探索結果であって当該複数のユーザに提供された経路案内情報をユーザ毎に管理する経路案内データベースとを用いて対象ユーザが利用している移動手段を推定する情報処理装置であって、
前記対象ユーザの周囲に存在する他のユーザの移動履歴情報を前記移動履歴データベースから取得し、当該移動履歴情報に基づいて、前記他のユーザのうちから、比較対象となるユーザを比較対象ユーザとして選択する選択部と、
前記比較対象ユーザに提供されている経路案内情報を前記経路案内データベースから抽出する経路案内情報抽出部と、
抽出された前記経路案内情報に含まれる移動手段のうち、所定時刻に対応する前記比較対象ユーザ毎の移動手段に基づいて、前記対象ユーザが前記所定時刻に利用している移動手段を推定する推定部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記推定部は、前記比較対象ユーザの数と、前記所定時刻に対応する前記比較対象ユーザ毎の移動手段のうちの共通する移動手段の数とに基づいて、前記対象ユーザが前記所定時刻に利用している移動手段を推定する、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記推定部は、前記比較対象ユーザの数と前記共通する移動手段の数との割合が閾値以上となる移動手段が存在する場合には、当該割合が最も高い移動手段を前記対象ユーザが前記所定時刻に利用している移動手段と推定し、当該割合が閾値以上となる移動手段が存在しない場合には、前記対象ユーザの移動履歴と、交通機関の運行情報に基づいて特定される各移動手段の移動履歴との類似度に基づいて、前記対象ユーザが前記所定時刻に利用している移動手段を推定する、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記推定部は、前記経路案内情報に含まれる前記出発地及び前記目的地のうちの少なくとも1つが前記対象ユーザと共通する前記比較対象ユーザの前記所定時刻に対応する移動手段についての重み付けを高くする評価値に基づいて、前記対象ユーザが前記所定時刻に利用している移動手段を推定する、
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載の情報処理装置であって、
前記推定部は、前記比較対象ユーザの数が所定値未満である場合には、前記対象ユーザの移動履歴と、交通機関の運行情報に基づいて特定される各移動手段の移動履歴との類似度に基づいて、前記対象ユーザが前記所定時刻に利用している移動手段を推定する、
情報処理装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載の情報処理装置であって、
前記選択部は、前記対象ユーザの移動履歴情報と前記他のユーザの移動履歴情報とに基づいて、前記他のユーザのうちから、所定時間内に前記対象ユーザと略同じ経路を略同じ速度で移動するユーザを前記比較対象ユーザとして選択する、
情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れかに記載の情報処理装置であって、
前記対象ユーザに提供された経路案内情報に含まれる移動手段と、前記推定部により推定された前記移動手段とが、前記所定時刻を基準として異なる場合には、前記対象ユーザに提供する経路案内情報を再探索する経路探索部と、
前記推定部により推定された前記移動手段と、前記経路探索部による再探索により求められた経路案内情報とを出力部から出力させる出力制御を行う出力制御部と、をさらに備える、
情報処理装置。
【請求項8】
請求項1から6の何れかに記載の情報処理装置であって、
前記対象ユーザに提供された経路案内情報に含まれる移動手段と、前記推定部により推定された前記移動手段とが、前記所定時刻を基準として異なる場合には、その旨を出力部から出力させる出力制御を行う出力制御部をさらに備える、
情報処理装置。
【請求項9】
請求項1から6の何れかに記載の情報処理装置であって、
前記推定部により推定された前記移動手段とともに、前記所定時刻よりも前の前記比較対象ユーザの再探索状況を出力部から出力させる出力制御を行う出力制御部をさらに備える、
情報処理装置。
【請求項10】
複数のユーザの移動履歴情報をユーザ毎に管理する移動履歴データベースと、出発地から目的地までの経路と当該経路を進行する際に利用する1または複数の移動手段と当該移動手段を利用する時間帯とを含む経路探索結果であって当該複数のユーザに提供された経路案内情報をユーザ毎に管理する経路案内データベースとを用いて対象ユーザが利用している移動手段を推定する情報処理方法であって、
前記対象ユーザの周囲に存在する他のユーザの移動履歴情報を前記移動履歴データベースから取得し、当該移動履歴情報に基づいて、前記他のユーザのうちから、比較対象となるユーザを比較対象ユーザとして選択する選択ステップと、
前記比較対象ユーザに提供されている経路案内情報を前記経路案内データベースから抽出する抽出ステップと、
抽出された前記経路案内情報に含まれる移動手段のうち、所定時刻に対応する前記比較対象ユーザ毎の移動手段に基づいて、前記対象ユーザが前記所定時刻に利用している移動手段を推定する推定ステップと、を備える、
情報処理方法。
【請求項11】
複数のユーザの移動履歴情報をユーザ毎に管理する移動履歴データベースと、出発地から目的地までの経路と当該経路を進行する際に利用する1または複数の移動手段と当該移動手段を利用する時間帯とを含む経路探索結果であって当該複数のユーザに提供された経路案内情報をユーザ毎に管理する経路案内データベースとを用いて対象ユーザが利用している移動手段を推定する移動手段推定機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
前記対象ユーザの周囲に存在する他のユーザの移動履歴情報を前記移動履歴データベースから取得し、当該移動履歴情報に基づいて、前記他のユーザのうちから、比較対象となるユーザを比較対象ユーザとして選択する選択ステップと、
前記比較対象ユーザに提供されている経路案内情報を前記経路案内データベースから抽出する抽出ステップと、
抽出された前記経路案内情報に含まれる移動手段のうち、所定時刻に対応する前記比較対象ユーザ毎の移動手段に基づいて、前記対象ユーザが前記所定時刻に利用している移動手段を推定する推定ステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項12】
無線通信を利用して出発地から目的地までの経路案内を要求する第1装置と、前記要求に応じて、前記出発地から前記目的地までの経路と当該経路を進行する際に利用する1または複数の移動手段と当該移動手段を利用する時間帯とを含む経路探索結果を経路案内情報として前記第1装置に送信し、前記第1装置を所持する対象ユーザを含む複数のユーザの移動履歴情報をユーザ毎に管理する移動履歴データベースと、前記複数のユーザに提供された経路案内情報をユーザ毎に管理する経路案内データベースとを用いて前記対象ユーザが利用している移動手段を推定する第2装置とを備える情報処理システムであって、
前記第1装置は、
前記第2装置から送信された前記経路案内情報を表示する表示部を備え、
前記第2装置は、
前記対象ユーザの周囲に存在する他のユーザの移動履歴情報を前記移動履歴データベースから取得し、当該移動履歴情報と前記第1装置の移動履歴情報とに基づいて、前記他のユーザのうちから、比較対象となるユーザを比較対象ユーザとして選択する選択部と、
前記比較対象ユーザに提供されている経路案内情報を前記経路案内データベースから抽出する経路案内情報抽出部と、
抽出された前記経路案内情報に含まれる移動手段のうち、所定時刻に対応する前記比較対象ユーザ毎の移動手段に基づいて、前記対象ユーザが前記所定時刻に利用している移動手段を推定する推定部と、
前記推定部により推定された前記移動手段に関する情報を前記第1装置に送信する通信部と、を備え、
前記第1装置は、
前記第2装置から送信された前記移動手段に関する情報を前記表示部に表示させ、前記第2装置から送信された前記経路案内情報に含まれる移動手段と、前記推定部により推定された移動手段とが、前記所定時刻を基準として異なる場合には、その旨を前記表示部に表示させる、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの移動手段を推定する情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの端末により測位された位置及びその測位時刻を含む移動軌跡と、その移動軌跡から算出される移動速度とを用いて、ユーザの移動手段を推定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-55461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術では、電車、バス等の移動手段を推定することができる。しかし、それらの移動手段は、事故や渋滞などによって移動速度が時々刻々と変動することがある。このように、移動手段の移動速度が変動した場合には、それらの移動手段を適切に推定することが困難となる。
【0005】
本発明は、ユーザが利用している移動手段を適切に推定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、複数のユーザの移動履歴情報をユーザ毎に管理する移動履歴データベースと、出発地から目的地までの経路と当該経路を進行する際に利用する1または複数の移動手段と当該移動手段を利用する時間帯とを含む経路探索結果であって当該複数のユーザに提供された経路案内情報をユーザ毎に管理する経路案内データベースとを用いて対象ユーザが利用している移動手段を推定する情報処理装置である。この情報処理装置は、対象ユーザの周囲に存在する他のユーザの移動履歴情報を移動履歴データベースから取得し、当該移動履歴情報に基づいて、他のユーザのうちから、比較対象となるユーザを比較対象ユーザとして選択する選択部と、比較対象ユーザに提供されている経路案内情報を経路案内データベースから抽出する経路案内情報抽出部と、抽出された経路案内情報に含まれる移動手段のうち、所定時刻に対応する比較対象ユーザ毎の移動手段に基づいて、対象ユーザが所定時刻に利用している移動手段を推定する推定部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザが利用している移動手段を適切に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、情報処理システムのシステム構成例を簡略化して示すブロック図である。
図2図2は、電子機器及びサーバの機能構成例を示すブロック図である。
図3図3は、記憶部に記憶されている移動履歴DBの格納内容を簡略化して示す図である。
図4図4は、記憶部に記憶されている経路案内DBの格納内容を簡略化して示す図である。
図5図5は、ユーザと同じ移動手段で移動していると推定される他のユーザを選択する際の選択例を示す図である。
図6図6は、ユーザと同じ移動手段で移動していると推定される他のユーザを選択する際の選択例を示す図である。
図7図7は、推定部によりユーザの移動手段を推定する場合の推定処理の一例を示す図である。
図8図8は、移動手段の推定結果を含む経路案内画面の表示例を示す図である。
図9図9は、移動手段の推定結果を含む経路案内画面の表示例を示す図である。
図10図10は、移動手段の推定結果を含む経路案内画面の表示例を示す図である。
図11図11は、サーバにおける移動手段推定処理の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、移動手段の推定結果を含む経路案内画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[情報処理システムの構成例]
図1は、情報処理システム1のシステム構成例を簡略化して示すブロック図である。
【0011】
情報処理システム1は、ユーザの移動経路に関する経路案内情報を提供する通信システムであり、ネットワーク10と、電子機器20、41乃至44と、サーバ100とを備える。なお、図1では、5つの電子機器20、41乃至44が存在する例を示すが、電子機器の数はこれに限定されない。また、図1では、移動手段として、電車31、バス32、タクシー33を例示するが、移動手段(例えば交通機関)の種類や数は、これらに限定されない。情報処理システム1において、複数の電車、バス、タクシーが含まれてもよく、他の種類の移動手段(例えば定期船)が含まれてもよい。なお、情報処理システム1は、経路案内システム、移動手段推定システム、移動状況推定システム、経路探索システムとも称することができる。また、サーバ100は、経路案内装置、移動手段推定装置、移動状況推定装置、経路探索装置とも称することができる。
【0012】
また、本実施形態で示す移動手段は、ユーザが移動する際に利用される各種の交通機関などを意味する。なお、本実施形態で示す移動手段には、ユーザが利用する乗り物としてユーザが駆動させる乗り物(例えば自転車)も含むものとする。また、本実施形態で示す移動手段には、ユーザ自体が移動する徒歩等も含むものとする。なお、移動手段は、交通手段、交通機関などと称することもできる。
【0013】
また、本実施形態で示す経路案内には、出発地から目的地までの経路と、その経路を進行する際に利用する1または複数の移動手段と、その移動手段を利用する時間帯とを含む。なお、経路案内には、想定されるユーザの移動履歴を含めてもよい。また、本実施形態で示す経路案内には、駅等の乗り換えを案内する乗換案内も含むものとする。すなわち、経路案内は、出発地から目的地までの交通手段を含む乗り換え計画、移動計画、経路計画、経路設計とも称することができる。
【0014】
情報処理システム1は、例えば、MaaS(Mobility as a Service)を利用して実現可能である。なお、MaaSは、各種の交通機関や各種の移動手段を1つのサービス上で利用可能とし、各ユーザの移動をさらに容易とするための仕組みを意味する。MaaSを実現する仕組みとして、例えば、各種の交通機関や各種の移動手段に関する各情報(例えば運行情報、遅延情報、予約情報)、ユーザの移動に関する各情報(例えば移動履歴、予約情報)を集約して蓄積し、許可された各ユーザがその蓄積された各情報を使用することが可能な仕組みが想定される。例えば、サーバ100の記憶部110にそれらの各情報を集約して蓄積することにより実現される。また、ネットワーク上の他の記憶装置にそれらの各情報を集約して蓄積し、その記憶装置から必要となる情報を取得することにより実現される。このように、MaaSでは、各種の交通機関や各種の移動手段の利用に関する各情報を共通化して蓄積して用いることができる。
【0015】
例えば、Maasを利用することにより、各ユーザの位置情報や、同じ経路案内アプリで経路案内されている他のユーザなど、自分以外のユーザがどのような移動をしているかを把握できる。そこで、本実施形態では、Maasを利用することにより、サーバ100から提供された経路案内に従って移動している場合に、その経路案内通りの移動手段を本当に利用しているのかを容易に確認する例を示す。
【0016】
ネットワーク10は、公衆回線網、インターネット等のネットワークである。また、情報処理システム1を構成する各機器は、無線通信を利用した通信方式または有線通信を利用した通信方式の何れかの方式、または双方の方式によってネットワーク10に接続される。
【0017】
電子機器20は、ユーザU0が携帯可能な持ち運べる機器であり、無線通信または有線通信を利用して他の機器との間で通信が可能である。電子機器20として、例えば、スマートフォン、携帯電話、持ち運び可能なパーソナルコンピュータ、タブレット端末、ウェアラブル端末などの各種の電子機器や情報処理装置を用いることができる。なお、ウェアラブル端末は、ユーザU0の服や身体に装着した状態で使用可能な機器であり、例えば、腕時計型の機器やヘッドホン型の機器などが存在する。なお、電子機器41乃至44についても、電子機器20と同様であるため、以下では、主に電子機器20について説明し、電子機器41乃至44の説明の一部を省略する。
【0018】
なお、電子機器20には、ユーザU0により指定された出発地から目的地までの経路を案内する経路案内を利用する経路案内アプリケーション(経路案内アプリ)がインストールされている。そして、ユーザU0は、その経路案内アプリを用いて、目的地(出発地も指定可能)を指定し、ユーザU0の現在地(または出発地)から目的地までの経路案内を電子機器20に表示させることが可能である。
【0019】
サーバ100は、ユーザU0が利用している移動手段を推定する際に用いられる情報処理装置であり、経路案内に関する各種処理を実行する。また、サーバ100は、ネットワーク10を介して電子機器20、41乃至44との間で通信を行う。なお、サーバ100の設置場所は特に限定されないが、例えばサーバ100は、経路案内サービスを提供する事業者の管理センタに設置される。
【0020】
例えば、サーバ100は、ユーザU0が電子機器20の経路案内アプリを用いて目的地の指定操作(または出発地及び目的地の指定操作)をした場合には、その指定操作に係る情報(目的地及びユーザU0の現在地、または出発地及び目的地)を受け付ける。そして、サーバ100は、その指定操作に関する経路案内提供処理を実行する。また、サーバ100は、所定タイミング(例えば図7に示す推定タイミングL1)で移動手段の推定処理を実行する。
【0021】
[電子機器及びサーバの機能構成例]
図2は、電子機器20及びサーバ100の機能構成例を示すブロック図である。
【0022】
サーバ100は、記憶部110と、通信部120と、制御部130とを備える。サーバ100において、これらの構成要素がバス(図示省略)などを介して電気的に接続されている。なお、サーバ100として、汎用のコンピュータや専用のコンピュータを用いることができる。
【0023】
記憶部110は、各種情報を記憶する記憶媒体である。例えば、記憶部110には、制御部130が各種処理を行うために必要となる各種情報(例えば、制御プログラム、地図DB(Database)、顧客DB、移動履歴DB200(図3参照)、経路案内DB300(図4参照)、運行状況DB400、乗継DB500)が記憶される。また、記憶部110には、通信部120を介して取得された各種情報が記憶される。記憶部110として、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの各種記憶媒体を用いることができる。
【0024】
図DBには、道路情報、施設情報など経路案内に必要となる地図情報が格納されている。その地図情報には、道路の勾配、道路の交差点、道路の車線数、道幅情報、道路の起伏情報が含まれる。また、地図情報には、速度制限、一方通行などを示す道路標識、横断歩道、区画線などを示す道路標示も含まれる。また、地図情報には、道路構造物(例えば信号機、電信柱)、建物などの設備情報を含めてもよい。
【0025】
顧客DBには、情報処理システム1の経路案内サービスを利用するユーザのアカウント情報、各ユーザの経路案内サービスの利用履歴、各ユーザの属性等が格納されている。なお、アカウント情報は、例えばユーザIDである。
【0026】
移動履歴DB200には、情報処理システム1の経路案内サービスを利用する各ユーザの移動履歴情報が格納されている。なお、移動履歴DB200については、図3を参照して詳細に説明する。
【0027】
経路案内DB300には、情報処理システム1の経路案内サービスを利用するユーザにより指定された出発地から目的地までの経路と、その経路を進行する際に利用する1または複数の移動手段と、その移動手段を利用する時間帯とを含む情報が格納される。なお、経路案内DB300については、図4を参照して詳細に説明する。
【0028】
運行状況DB400には、各種の交通機関に関する運行情報が格納されている。例えば、各種の交通機関からサーバ100に運行情報が順次提供され、その運行情報が運行状況DB400に順次格納されて更新される。すなわち、運行状況DB400によりリアルタイムな運行情報を提供することが可能となる。例えば、電車やバスに遅れが発生している場合には、その遅れが生じた電車やバスの遅れ時間等の情報をリアルタイムに取得可能となる。なお、運行状況DBは、交通DBと称することもできる。
【0029】
乗継DB500には、各種の交通機関の乗り継ぎに関する情報等が格納されている。
【0030】
なお、移動履歴DB200、経路案内DB300、運行状況DB400、乗継DB500のうちの少なくとも1つは、例えば、MaaSを利用して実現可能である。また、移動履歴DB200、経路案内DB300、運行状況DB400、乗継DB500のうちの少なくとも1つを外部装置に設け、その外部装置から各情報を順次取得して用いてもよい。
【0031】
通信部120は、制御部130の制御に基づいて、有線通信または無線通信の少なくとも1つを利用して、他の機器との間で各種情報のやりとりを行うものである。このように、通信部120は、データを送受信するための入力部及び出力部として機能する。なお、通信部120以外の入力部及び出力部の少なくとも1つをサーバ100に設け、サーバ100において各種情報の入力や出力(例えば表示、音声出力)を実行してもよい。通信部120として、ネットワークアダプタなどのハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせを用いることができる。
【0032】
制御部130は、記憶部110に記憶されている各種プログラムに基づいて各部を制御するものである。制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置により実現される。
【0033】
制御部130は、経路案内処理に関する機能構成として、経路案内処理部131と、移動履歴情報取得部132と、経路探索部133と、移動手段推定部140とを備える。
【0034】
経路案内処理部131は、ユーザU0の経路案内の要求操作に応じて電子機器20から送信された経路案内要求を受け付けると、その経路案内要求に応じた各種の経路案内処理を実行する。この経路案内要求には、ユーザU0の現在地または出発地を特定するための位置情報と、目的地を特定するための位置情報と、ユーザIDとが含まれる。なお、各位置情報には、例えば緯度、経度、高度が含まれる。
【0035】
また、経路案内処理部131は、その経路案内要求に含まれる各位置情報(ユーザU0の現在地を特定するための位置情報、目的地を特定するための位置情報)を経路探索部133に出力する。また、経路案内処理部131は、経路探索部133による経路探索の結果(経路案内情報)を、通信部120を介して電子機器20に送信する。
【0036】
また、経路案内処理部131は、情報処理システム1の経路案内サービスを利用する各ユーザのうちから、移動手段を推定する対象となる対象ユーザを選択し、対象ユーザに関する情報(ユーザID)を移動履歴情報取得部132に出力する。例えば、図7に示す推定タイミングL1で対象ユーザが選択される。
【0037】
移動履歴情報取得部132は、経路案内処理部131から出力されたユーザIDに基づいて、対象ユーザの移動履歴情報と、対象ユーザの周囲に存在する他のユーザの移動履歴情報とを移動履歴DB200から取得する。そして、移動履歴情報取得部132は、その取得された各移動履歴情報を移動手段推定部140の選択部141に出力する。なお、対象ユーザの周囲については、図5図6を参照して詳細に説明する。
【0038】
経路探索部133は、経路案内要求に含まれる各位置情報に基づいて、ユーザU0の経路案内要求に応じた経路探索処理を実行するものであり、その経路探索の結果を経路案内情報として、経路案内処理部131に出力する。また、経路探索部133は、電子機器20において目的地、到着時刻等の変更操作、再探索(リルート)の要求操作が行われた場合には、その各操作に応じて、再探索を実行する。また、経路探索部133は、再探索によりタクシー33の降車地が変更されるような場合には、降車地要求を経路案内処理部131に出力する。このように、経路探索部133による再探索により各種の変更が生じた場合には、経路案内処理部131は、その変更に応じた経路案内処理を実行する。また、経路探索部133は、移動手段推定部140による移動手段の推定結果に基づいて、再探索を実行する。なお、経路探索は、経路検索と称することもできる。
【0039】
移動手段推定部140は、情報処理システム1の経路案内サービスを利用する各ユーザが利用している移動手段を推定するものであり、選択部141と、経路案内情報抽出部142と、推定部143とを備える。なお、移動手段推定部140による移動手段の推定処理については、図5乃至図7を参照して詳細に説明する。
【0040】
選択部141は、移動履歴情報取得部132から出力された各移動履歴情報に基づいて、対象ユーザの周囲に存在する他のユーザのうちから、所定時間内に対象ユーザと略同じ移動経路を移動するユーザ(比較対象ユーザ)を選択するものである。そして、選択部141は、その選択された比較対象ユーザ及び対象ユーザに関する情報(ユーザID)を経路案内情報抽出部142に出力する。なお、比較対象ユーザの選択方法については、図5図6を参照して詳細に説明する。
【0041】
経路案内情報抽出部142は、選択部141から出力されたユーザIDに基づいて、対象ユーザの経路案内情報と、比較対象ユーザの経路案内情報とを経路案内DB300から取得するものである。そして、経路案内情報抽出部142は、その取得された各経路案内情報を推定部143に出力する。
【0042】
推定部143は、経路案内情報抽出部142から出力された経路案内情報に含まれる移動手段のうち、推定タイミングに対応する比較対象ユーザ毎の移動手段に基づいて、対象ユーザが推定タイミングで利用している移動手段を推定するものである。そして、推定部143は、その推定結果を経路探索部133に出力する。
【0043】
電子機器20は、記憶部21と、通信部22と、位置情報取得部23と、入力部24と、制御部25と、出力部26とを備える。なお、記憶部21、通信部22、位置情報取得部23、入力部24、出力部26のそれぞれについては、電子機器20に内蔵してもよく、電子機器20から取り外し可能な別体の構成としてもよい。
【0044】
記憶部21は、各種情報を記憶する記憶媒体である。例えば、記憶部21には、制御部25が各種処理を行うために必要となる各種情報(例えば、制御プログラム、経路案内アプリ)が記憶される。また、記憶部21には、通信部22を介して取得された各種情報が記憶される。記憶部21として、例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなどの各種記憶媒体を用いることができる。
【0045】
通信部22は、制御部25の制御に基づいて、有線通信または無線通信の少なくとも1つを利用して、他の機器との間で各種情報のやりとりを行うものである。図1に示す例では、通信部22は、ネットワーク10を介してサーバ100との間で通信を行う。なお、通信部22の構成については、サーバ100の通信部120と同様とすることができる。
【0046】
位置情報取得部23は、電子機器20が存在する位置に関する位置情報を取得するものであり、取得した位置情報を制御部25に出力する。位置情報取得部23は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)を利用して位置情報を取得するGNSS受信機により実現できる。また、その位置情報には、GNSS信号の受信時における緯度、経度、高度等の位置に関する各データが含まれる。また、他の位置情報の取得方法により位置情報を取得してもよい。例えば、周囲に存在するアクセスポイントや基地局からの情報を用いて位置情報を導き出してもよい。また、例えば、ナビゲーション装置による位置推定技術を用いて位置情報を導き出してもよい。なお、位置情報取得部23により取得された電子機器20の位置情報は、任意のタイミングでサーバ100に送信してもよく、サーバ100に経路案内要求を送信する際にその経路案内要求に含めて送信してもよい。
【0047】
入力部24は、電子機器20を操作するための操作入力を受け付けるものである。例えば、入力部24は、各種の操作部材(例えば、スイッチ、ボタン)やタッチパネル等のユーザインタフェースとすることができる。
【0048】
制御部25は、記憶部21に記憶されている各種プログラムに基づいて各部を制御するものである。制御部25は、例えば、CPU等の処理装置により実現される。
【0049】
出力部26は、制御部25の制御に基づいて各種情報を出力するものである。出力部26として、例えば、有機EL(Electro Luminescence)パネル、LCD(Liquid Crystal Display)パネル等の表示パネルや、各種音声を出力する音声出力部(例えば、スピーカ)を用いることができる。なお、入力部24及び出力部26については、使用者がその指を表示面に接触または近接することにより操作入力を行うことが可能な入出力パネル等のユーザインタフェースを用いて一体で構成することができる。図8乃至図10図12では、入力部24及び出力部26を入出力部27として一体で構成する例を示す。
【0050】
[移動履歴DBの格納内容例]
図3は、記憶部110に記憶されている移動履歴DB200の格納内容を簡略化して示す図である。
【0051】
移動履歴DB200は、経路案内サービスを利用することが可能なユーザの移動履歴に関する移動履歴情報を管理するデータベースである。具体的には、ユーザID201と、移動履歴情報202とが関連付けて移動履歴DB200に格納される。なお、ユーザID201の「U0」乃至「U4」は、ユーザU0乃至U4(図1参照)に対応するものとする。
【0052】
移動履歴情報202は、各ユーザの所持する電子機器により取得された位置情報(緯度及び経度を含む)とその取得時刻(測位時刻)とが関連付けられている情報である。この移動履歴情報に基づいて、各ユーザの現在地、移動速度、移動軌跡を取得することが可能である。なお、図3では、説明を容易にするため、ユーザU1乃至U4の所持する電子機器20、41乃至44により取得された位置情報とその取得時刻とが関連付けられている情報の一部のみを示す。また、図3では、説明を容易にするため、電子機器20、41乃至44により定期的(例えば1分間隔)に位置情報が取得され、その位置情報がサーバ100に順次送信される場合の例を示す。
【0053】
例えば、ユーザU1が所持する電子機器20の制御部25は、位置情報取得部23により取得された位置情報とその取得時刻とユーザIDとを関連付けてサーバ100に所定タイミングで送信する。その位置情報を受信すると、サーバ100の経路案内処理部131は、受信した位置情報及び取得時刻をユーザID201の「U1」に関連付けて移動履歴DB200に格納する。また、電子機器41乃至44により取得された位置情報及び取得時刻についても同様に、移動履歴DB200に順次格納される。このように、サーバ100は、各ユーザが所持する電子機器から送信された位置情報及び取得時刻を定期的または不定期に取得する。そして、サーバ100は、取得された位置情報及び取得時刻を記憶部110の移動履歴DB200にユーザIDに関連付けて順次記録する。
【0054】
[経路案内DBの格納内容例]
図4は、記憶部110に記憶されている経路案内DB300の格納内容を簡略化して示す図である。
【0055】
経路案内DB300は、経路案内要求を送信したユーザに提供された経路案内に関する経路案内情報を管理するデータベースである。具体的には、ユーザID301と、経路案内情報302とが関連付けて経路案内DB300に格納される。なお、ユーザID301の「U0」乃至「U4」は、ユーザU0乃至U4(図1図3参照)に対応するものとする。なお、経路案内DB300は、現時刻での各ユーザへの経路案内状況を提供することが可能であるため、オンタイム案内状況DBとも称することができる。
【0056】
経路案内情報302は、ユーザからの経路案内要求に応じて提供された経路案内に関する情報である。この経路案内情報は、ユーザの現在地(出発地)と、ユーザにより指定された目的地とに基づいて、その出発地から目的地に向かう経路と、その経路における移動手段と、乗り継ぎ時刻とを含む情報である。なお、図4では、左右方向を時間軸として、ユーザU0乃至U4の経路案内情報の内容を矩形内に簡略化して示す。また、帯状の矩形の上側には、左端に出発地の出発時刻を示し、右端に目的地の到着予定時刻を示す。また、各矩形の上側には、対応する移動手段を利用する開始時刻と、その終了時刻とを示す。
【0057】
例えば、ユーザU0には、経路探索を要求した位置から目的地までの経路案内として、徒歩→電車A→徒歩で向かうことを示す経路案内情報が提供されたものとする。この経路案内情報では、出発地の出発時刻が10:15であり、目的地の到着時刻が10:55であることが示されている。また、その経路案内情報では、出発地から10:25まで徒歩で移動し、10:25に電車Aに乗車して10:40まで電車Aで移動し、10:40に電車Aを降車して10:55まで徒歩で移動することが示されている。なお、図4では、説明を容易にするため、乗り継ぎ駅に関する情報等を省略して示す。
【0058】
[対象ユーザと同じ移動手段で移動している他のユーザの選択例]
図5及び図6は、ユーザU0と同じ移動手段で移動していると推定される他のユーザを選択する際の選択例を示す図である。図5では、ユーザU0がバス32に乗車している場合の例を示し、図6では、ユーザU0が電車31に乗車している場合の例を示す。なお、以下では、ユーザU0の現在地と称する場合には、電子機器20の現在地も意味するものとする。また、電子機器20の現在地と称する場合には、ユーザU0の現在地も意味するものとする。また、本実施形態では、移動手段を推定する対象となるユーザを対象ユーザと称して説明する。
【0059】
図5には、矢印RT1方向に進行していたバス32が交差点において信号待ちで停車している状態を簡略化して示す。バス32には、ユーザU0、U11、U12が乗車しているものとする。また、交差点の付近には、ユーザU13乃至U18が存在するものとする。例えば、ユーザU13乃至U16は、横断歩道を移動するため、信号待ちしているユーザである。
【0060】
最初に、経路案内処理部131は、経路案内サービスを利用している各ユーザの移動手段を推定するための処理を推定タイミングで実行する。この推定タイミングは、例えば、定期的なタイミング(例えば30分間隔)、ユーザからの新たな経路案内要求があったタイミグ、ユーザからの移動手段推定要求があったタイミグとすることができる。経路案内処理部131は、その推定タイミングになった場合には、移動手段を推定する対象となるユーザ(対象ユーザ)のユーザIDを移動履歴情報取得部132に出力する。図5及び図6では、ユーザU0が対象ユーザである場合を想定して説明する。
【0061】
移動履歴情報取得部132は、経路案内処理部131からユーザIDが出力された対象ユーザについて、対象ユーザの移動履歴情報と対象ユーザの周囲に存在する他のユーザの移動履歴情報とを取得する。具体的には、移動履歴情報取得部132は、経路案内処理部131から出力されたユーザIDに対応する移動履歴情報を移動履歴DB200(図3参照)から取得する。また、移動履歴情報取得部132は、そのユーザIDに対応する移動履歴情報に含まれる位置情報に基づいて、対象ユーザの周囲に存在する他のユーザの移動履歴情報を取得する。なお、本実施形態では、対象ユーザの移動履歴情報と対象ユーザの周囲に存在する他のユーザの移動履歴情報とのうち、所定時間前から現時刻までの移動履歴情報のみが抽出される。また、移動履歴情報取得部132は、対象ユーザが利用する経路案内サービスと同じ経路案内サービスを利用する他のユーザのみを移動履歴情報の取得対象としてもよい。
【0062】
図5に示す例では、対象ユーザがユーザU0であるため、移動履歴情報取得部132は、ユーザU0の移動履歴情報とユーザU0の周囲に存在する他のユーザの移動履歴情報とを移動履歴DB200から取得する。
【0063】
ここで、ユーザU0の周囲は、ユーザU0の現在地を基準として、ユーザU0の現在地を含む所定範囲を意味する。この所定範囲は、例えば、ユーザU0の現在地を中心とする円形の範囲とすることができる。図5では、ユーザU0の現在地を中心とする半径R1の円形を所定範囲R11とする例を示す。また、移動履歴情報取得部132は、移動履歴DB200に格納されている位置情報のうちの最新の位置情報に基づいて、ユーザU0の周囲に存在する他のユーザを抽出し、その抽出されたユーザの移動履歴情報を取得する。
【0064】
図5に示す例では、ユーザU11乃至U16は、所定範囲R11内に含まれるため、ユーザU0の周囲に存在する他のユーザとして抽出される。一方、ユーザU17、U18は、所定範囲R11の外側に存在するため、ユーザU0の周囲に存在する他のユーザとして抽出されない。
【0065】
そして、移動履歴情報取得部132は、抽出されたユーザU11乃至U16の移動履歴情報及びユーザIDを選択部141に出力する。
【0066】
次に、選択部141は、移動履歴情報取得部132により抽出されたユーザのうちから、ユーザU0と同じ移動手段を利用していると推定されるユーザを選択する。言い換えると、選択部141は、ユーザU0と同じ経路(略同じ経路を含む)を同じ速度(略同じ速度を含む)で移動していると推定されるユーザを比較対象ユーザとして選択する。このように、選択部141は、ユーザU0の周囲に存在する他のユーザのうちから、移動履歴情報に基づいて、同速度で移動中のユーザをさらに選択する。
【0067】
具体的には、選択部141は、所定時間前から現時刻までの移動履歴情報に含まれる各位置情報に基づいて、比較対象ユーザを選択する。なお、所定時間は、数秒乃至数十秒とすることができる。また、所定時間は、ユーザにより設定可能としてもよく、サーバ100側で設定してもよい。なお、所定時間を長く設定すると、選択精度を高めることができるが、演算処理が多くなる。一方、所定時間を短く設定すると、選択精度が低下するが、演算処理の負荷を低減することができる。
【0068】
例えば、選択部141は、所定時間前の位置情報から現在の位置情報までの各位置情報が、所定範囲R11に含まれるユーザを比較対象ユーザとして選択する。例えば、バス32に乗車しているユーザU11、U12は、所定時間前から現在までの間、バス32に乗車しているユーザU0の現在地を基準とする所定範囲R11に含まれると想定される。この場合には、比較対象ユーザとしてユーザU11、U12が選択される。一方、バス32に乗車していないユーザU13乃至U16は、現時刻においては、所定範囲R11に含まれるが、バス32が移動していた所定時間前には、所定範囲R11に含まれないと想定される。この場合には、比較対象ユーザとしてユーザU13乃至U16が選択されない。
【0069】
また、例えば、選択部141は、所定時間前の位置情報から現在の位置情報までの各位置情報により特定される移動履歴が、ユーザU0の移動履歴に一致または近似(類似、略一致を含む)するユーザを比較対象ユーザとして選択する。例えば、図3に示すように、各ユーザが所持する電子機器により所定タイミング(例えば1分間隔)で位置情報が取得され、その位置情報が移動履歴DB200に格納される場合には、その位置情報の差分値を用いて、比較対象ユーザを選択することができる。具体的には、選択部141は、同じ時刻に取得されたユーザU0の位置情報と、他のユーザの位置情報との差分値を、所定時間前から現在まで順次算出する。そして、選択部141は、その算出された各差分値の合計値が所定範囲内である場合には、そのユーザを比較対象ユーザとして選択する。一方、選択部141は、その算出された各差分値の合計値が所定範囲内でない場合には、そのユーザを比較対象ユーザとして選択しない。
【0070】
また、例えば、選択部141は、同じ間隔で取得されたユーザU0の位置情報と、他のユーザの位置情報とに基づいて、各ユーザの移動速度を推定し、その移動速度が一致または近似(類似、略一致を含む)するか否かに基づいて比較対象ユーザを選択してもよい。また、例えば、選択部141は、ユーザU0の位置情報と、他のユーザの位置情報とに基づいて、各ユーザの移動軌跡を作成し、その移動軌跡が一致または近似(類似、略一致を含む)するか否かに基づいて比較対象ユーザを選択してもよい。
【0071】
このように、ユーザU0と同じ移動手段を利用していると推定されるユーザU11、U12を選択することにより、交差点で信号待ちのバス32に乗車しているユーザU11、U12と、交差点で信号待ちをしているユーザU13乃至U16を区別することができる。
【0072】
そして、選択部141は、比較対象ユーザとして選択されたユーザU11、U12とユーザU0に関するユーザIDを経路案内情報抽出部142に出力する。
【0073】
図6には、矢印RT2方向に進行している電車31を簡略化して示す。電車31には、ユーザU0乃至U4が乗車しているものとする。また、電車31の付近には、ユーザU21乃至U25が存在するものとする。
【0074】
この場合には、図5に示す例と同様に、ユーザU0と同じ移動手段を利用していると推定されるユーザU0乃至U4が選択部141により選択される。すなわち、図6に示す例では、ユーザU1乃至U4、U21、U22は、所定範囲R12内に含まれるため、ユーザU0の周囲に存在する他のユーザとして抽出される。一方、ユーザU23乃至U25は、所定範囲R12の外側に存在するため、ユーザU0の周囲に存在する他のユーザとして抽出されない。また、選択部141は、その抽出されたユーザU1乃至U4、U21、U22のうちから、ユーザU0と同じ移動手段を利用していると推定されるユーザU1乃至U4を比較対象ユーザとして選択する。このように、選択部141により比較対象ユーザとしてユーザU1乃至U4が選択された場合のユーザU0の移動手段の推定例を図7に示す。
【0075】
[移動手段の推定例]
図7は、推定部143によりユーザU0の移動手段を推定する場合の推定処理の一例を示す図である。
【0076】
図7では、経路案内DB300(図4参照)の経路案内情報302に記憶されているユーザU0乃至U4の経路案内情報DT0乃至DT4を上下方向にユーザU0乃至U4の順序で並べて示す。なお、図7では、説明を容易にするため、図4に示すユーザU0乃至U4の経路案内情報と同じ形態で経路案内情報DT0乃至DT4を示す。
【0077】
なお、図7に示す経路案内情報DT0乃至DT4は、サーバ100からユーザU0乃至U4に提供された情報である。このため、提供された経路案内情報に従って移動するユーザも存在するが、提供された経路案内情報に従って移動しないユーザも存在することが想定される。
【0078】
また、図7では、ユーザU0の移動手段を推定する推定タイミングL1を直線で示す。推定タイミングL1は、ユーザU0の移動手段を推定する時刻(例えば現時点)を意味する。このように、サーバ100は、推定タイミング(例えば定期的なタイミング)で、経路案内サービスにユーザIDが登録されている1または複数のユーザについて移動手段を推定する。なお、サーバ100は、経路案内サービスにユーザIDが登録されている各ユーザからの要求に応じて、その要求をしたユーザの移動手段を推定してもよい。
【0079】
図7で示すように、経路案内情報抽出部142は、選択部141により比較対象ユーザとして選択されたユーザU1乃至U4に関する経路案内情報DT1乃至DT4を経路案内DB300から抽出する。なお、図7では、経路案内情報抽出部142により抽出された経路案内情報DT1乃至DT4を点線の矩形DT10で囲んで示す。また、経路案内情報抽出部142は、ユーザU0に関する経路案内情報DT0も経路案内DB300から抽出する。具体的には、経路案内情報抽出部142は、選択部141から出力されたユーザIDに基づいて経路案内情報DT0乃至DT4を抽出する。
【0080】
なお、図7では、説明を容易にするため、図4に示す経路案内情報と同じ形態で経路案内情報DT1乃至DT4を示すが、経路案内情報抽出部142は、推定タイミングL1に対応する経路案内情報のみを抽出してもよい。すなわち、ユーザU1については経路案内情報DT1のうちの「電車A」に関する情報を取得し、ユーザU2については経路案内情報DT2のうちの「電車A」に関する情報を取得する。また、ユーザU3については経路案内情報DT3のうちの「電車A」に関する情報を取得し、ユーザU4については経路案内情報DT4のうちの「電車B」に関する情報を取得する。
【0081】
そして、経路案内情報抽出部142は、経路案内情報DT0乃至DT4のうちの推定タイミングL1に対応する各経路案内情報を推定部143に出力する。この場合に、経路案内情報抽出部142は、経路案内情報DT0乃至DT4に関する他の情報(例えば出発地、目的地)を推定部143に出力してもよい。
【0082】
ここで、例えば、サーバ100から提供された経路案内情報DT0に従ってユーザU0が移動している場合には、推定タイミングL1では、ユーザU0は移動手段として電車Aを利用していると想定される。しかし、何らかの理由により電車Aが遅延していることも想定される。この場合には、ユーザU0は、電車Aに乗っていないことも想定される。また、ユーザU0は、サーバ100から提供された経路案内情報DT0に従わずに、異なる経路において、電車A以外の移動手段を利用していることも想定される。
【0083】
そこで、本実施形態では、ユーザU0の周囲に存在し、かつ、ユーザU0と同じ速度で移動するユーザU1乃至U4の経路案内情報DT1乃至DT4を用いて、ユーザU0の移動手段を推定する。すなわち、推定タイミングL1に対応するユーザU1乃至U4の経路案内情報DT1乃至DT4を比較し、その比較結果に基づいて、ユーザU0が利用している移動手段を推定する。
【0084】
具体的には、推定部143は、経路案内情報抽出部142により抽出された推定タイミングL1に対応する経路案内情報DT1乃至DT4を比較する。そして、推定タイミングL1に対応する経路案内情報DT1乃至DT4の移動手段のうち、共通する移動手段の割合に基づいて、ユーザU0が利用している移動手段を推定する。例えば、推定タイミングL1に対応する移動手段のうち、共通する移動手段が所定割合以上である場合には、その所定割合以上である移動手段を、ユーザU0が利用している移動手段として推定する。すなわち、ユーザU0が利用している移動手段を多数決に基づいて推定することができる。言い換えると、他のユーザの経路案内情報における推定タイミングL1に対応する移動手段のうち、共通する移動手段の割合がどの程度かを比較し、その割合が所定値以上である場合には、その共通する移動手段を対象ユーザが利用していると推定する。なお、所定割合は、移動手段の推定精度を高めるために設定される値であり、例えば、5割乃至8割程度とすることができる。この所定割合は、ユーザ設定としてもよく、サーバ100側で設定してもよい。
【0085】
ここで、所定割合を60%に設定する場合を想定する。例えば、図7に示す例では、推定タイミングL1に対応する経路案内情報DT1乃至DT3の移動手段は「電車A」であり、経路案内情報DT4の移動手段は「電車B」である。このため、推定タイミングL1に対応するユーザU1乃至U4の4つの移動手段のうち、共通する「電車A」が75%(=3/4)の割合を占めるため、50%以上である。この場合には、「電車A」が、ユーザU0が利用している移動手段として推定される。
【0086】
なお、図7に示す例では、推定タイミングL1に対応するユーザU1乃至U3の移動手段は「電車A」であるため、ユーザU1乃至U3は、サーバ100から提供された経路案内情報に従って電車Aを利用して目的地まで移動していると推定される。一方、推定タイミングL1に対応するユーザU4の移動手段は「電車B」であるため、ユーザU4は、サーバ100から提供された経路案内情報(電車B)に従わずに、電車Aを利用して目的地まで移動していると推定される。
【0087】
なお、以上では、移動手段として公共機関の乗り物を推定する例を示した。ただし、本実施形態は、これに限定されない。例えば、推定タイミングに対応する比較対象ユーザの移動手段のうち、共通する移動手段として「徒歩」が所定割合以上である場合には、ユーザU0が利用している移動手段として「徒歩」が推定される。また、例えば、推定タイミングに対応する比較対象ユーザの移動手段のうち、共通する移動手段として「高速道での自動車」が所定割合以上である場合には、ユーザU0が利用している移動手段として「高速道での自動車」が推定される。
【0088】
なお、以上では、多数決に基づいてユーザU0が利用している移動手段を推定する例を示したが、他の推定方法を用いるようにしてもよい。例えば、推定タイミングL1に対応するユーザU0の経路案内情報DT0を考慮して推定してもよい。例えば、推定タイミングL1に対応する移動手段のうち、共通する移動手段が所定割合以上であり、かつ、その共通する所定割合以上の移動手段がユーザU0と同じ移動手段であることを条件に、その共通する所定割合以上の移動手段を、ユーザU0が利用している移動手段であると推定することができる。この場合には、ユーザU0が存在する位置を含む周辺の交通機関の運行情報を運行状況DB400から取得し、そのユーザU0の周辺の交通機関に遅れが生じていないことを条件としてもよい。
【0089】
また、ユーザU0の経路案内情報と比較対象ユーザの経路案内情報との類似度に基づいて、ユーザU0が利用している移動手段を推定してもよい。例えば、対象ユーザと同じ出発地または目的地の経路案内情報が提供されている比較対象ユーザについては、その経路案内情報の信頼性が高いと考えることができる。すなわち、対象ユーザと同じまたは似ている経路案内が提供された比較対象ユーザについての経路案内情報の信頼性が高いと考えることができる。そこで、対象ユーザと同じ出発地または目的地の経路案内情報については、高い重み付けをして、評価値を算出するようにする。すなわち、比較対象ユーザ毎に異なる重み付けをする。なお、出発地及び目的地については、経路案内情報に基づいて特定可能である。
【0090】
例えば、ユーザU0の経路案内情報の出発地及び目的地のうちの少なくとも1つと同じ出発地または目的地である経路案内情報については、高い重み付けをする演算により各径路案内情報の評価値を求める。そして、比較対象ユーザ毎の評価値を比較して、ユーザU0が利用している移動手段を推定してもよい。すなわち、比較対象ユーザの経路案内情報のうち、出発地及び目的地のうちの少なくとも1つが共通する経路案内情報については、優先度を高くして推定する。
【0091】
例えば、ユーザU0の経路案内情報の出発地及び目的地の双方と異なる出発地及び目的地である経路案内情報については、重み付けの値を1とする。また、ユーザU0の経路案内情報の出発地及び目的地のうちの一方と同じ出発地または目的地である経路案内情報については、重み付けの値を1.2とする。また、ユーザU0の経路案内情報の出発地及び目的地の双方と同じ出発地及び目的地である経路案内情報については、重み付けの値を1.5とする。そして、上述した割合に、上述した重み付けの値を乗算した値を、共通する移動手段毎の評価値として求め、その評価値の比較結果に基づいて、ユーザU0が利用している移動手段を推定することができる。
【0092】
仮に、図7に示す比較対象ユーザU2の経路案内情報DT2が、対象ユーザU0の経路案内情報DT0の出発地及び目的地の双方と同じ出発地及び目的地であると仮定する。また、他の比較対象ユーザU1、U3、U4の経路案内情報DT1、DT3、DT4は、ユーザU0の経路案内情報の出発地及び目的地の双方と異なると仮定する。この場合には、経路案内情報DT2についての重み付けの値を1.5とし、経路案内情報DT1、DT3、DT4についての重み付けの値を1とする。また、上述したように、推定タイミングL1に対応する経路案内情報DT1乃至DT4のうち、共通する移動手段「電車A」の割合は0.75(=3/4)であり、移動手段「電車B」の割合は0.25(=1/4)である。このため、共通する移動手段「電車A」の割合0.75に、経路案内情報DT2の重み付けの値1.5を乗算して、評価値として1.125を求める。なお、経路案内情報DT4の重み付けの値は1であるため、移動手段「電車B」の評価値は、移動手段「電車B」の割合の値0.25となる。この場合には、共通する移動手段「電車A」の評価値1.125と、移動手段「電車B」の評価値0.25とを比較して、高い評価値の「電車A」が、ユーザU0が利用している移動手段として推定される。
【0093】
このように、経路案内情報に含まれる出発地及び目的地のうちの少なくとも1つがユーザU0と共通する比較対象ユーザの推定タイミングに対応する移動手段についての重み付けを高くする評価値に基づいて、ユーザU0が利用している移動手段を推定することができる。なお、経路案内情報に含まれる各情報(例えば移動手段、移動経路)のうちの少なくとも1つがユーザU0と共通する比較対象ユーザの推定タイミングに対応する移動手段についての重み付けを高くする評価値に基づいて、ユーザU0が利用している移動手段を推定してもよい。
【0094】
例えば、対象ユーザと同じ1または複数の移動手段を含む経路案内情報が提供されている比較対象ユーザについては、その経路案内情報の信頼性が高いと考えることができる。すなわち、対象ユーザと同じまたは似ている経路案内が提供された比較対象ユーザについての経路案内情報の信頼性が高いと考えることができる。そこで、この場合についても、対象ユーザと同じ1または複数の移動手段を含む経路案内情報については、高い重み付けをして評価値を算出してもよい。すなわち、比較対象ユーザのうち、経路案内情報において設定されている移動手段が一致または類似するユーザの移動手段を優先的に推定結果に用いることができる。
【0095】
なお、運行状況DB400から取得可能な交通機関の運行情報に基づいて、推定タイミングに対応する各交通機関の遅れを判定し、各交通機関の遅れを考慮して、推定タイミングに対応する対象ユーザの移動手段を推定してもよい。例えば、対象ユーザの周囲の各交通機関に遅れが生じていない場合には、推定タイミングに対応する対象ユーザの経路案内情報の移動手段の信頼性が高いと考えることができる。そこで、この場合には、推定タイミングに対応する対象ユーザの経路案内情報の移動手段について、高い重み付けをして評価値を算出してもよい。例えば、図7に示す例では、推定タイミングL1に対応する対象ユーザU0の経路案内情報DT0の移動手段は「電車A」であるため、「電車A」に高い重み付けをして評価値を算出して用いるようにする。
【0096】
以上では、推定タイミングに対応する比較対象ユーザの移動手段が推定条件を満たす場合の例を示した。なお、推定条件を満たす場合は、推定タイミングに対応する比較対象ユーザの移動手段のうち、共通する移動手段の割合が閾値以上となる移動手段が存在する場合を意味する。しかし、推定タイミングに対応する比較対象ユーザの移動手段が推定条件を満たさないことも想定される。例えば、電車やバスが大幅に遅延しているような場合には、対象ユーザ及び比較対象ユーザの双方の経路案内における各予定時刻が大幅に遅延することも想定される。この場合には、対象ユーザ及び比較対象ユーザの双方が、経路案内とは異なる行動をしていることも想定される。このため、推定タイミングに対応する比較対象ユーザの移動手段のうち、共通する移動手段の割合が閾値以上となる移動手段が存在しない場合も想定される。例えば、電車の大幅な遅延が発生したような場合には、比較対象ユーザの各移動手段のうち、共通する移動手段の割合が1割乃至3割となることも想定される。この場合には、対象ユーザの移動手段を適切に推定することが困難となることも想定される。
【0097】
そこで、このような場合には、推定部143は、記憶部110の移動履歴DB200から対象ユーザの移動履歴情報を取得するとともに、記憶部110の地図DBから対象ユーザの周囲の地図情報を取得し、その対象ユーザの移動履歴と地図情報とに基づいて、推定タイミングに対応する対象ユーザの移動手段を推定する。すなわち、推定タイミングに対応する比較対象ユーザの移動手段のうち、共通する移動手段の割合が閾値以上となる移動手段が存在しない場合には、各交通機関のダイヤが大幅に乱れていると判断し、比較対象ユーザの経路案内情報を用いた推定を行わないようにする。そして、対象ユーザの移動履歴と地図情報とに基づいて、対象ユーザが移動していると想定される路線を推定し、リアルタイムな運行情報に基づいて、対象ユーザの移動手段を推定する。
【0098】
例えば、推定部143は、対象ユーザの移動履歴と地図情報とに基づいて、対象ユーザが移動している経路を特定し、その経路における対象ユーザの移動速度に基づいてその経路上の移動手段を利用しているか否かを判定する。例えば、対象ユーザが電車の路線上を移動している場合において、対象ユーザの移動速度がその電車の移動速度と一致または近似する場合には、対象ユーザが電車を利用していると推定できる。また、例えば、対象ユーザがバスの路線上を移動している場合において、対象ユーザの移動速度がそのバスの移動速度と一致または近似する場合には、対象ユーザがバスを利用していると推定できる。このように、対象ユーザの位置情報に基づいて、探索する路線や時間帯を絞り込むことにより、演算量を低減させることができる。なお、対象ユーザが何れの交通機関の路線上も移動していないと判定された場合、または、対象ユーザが何れかの交通機関の路線上を移動していると判定されたが、対象ユーザの移動速度がその交通機関の移動速度と大きく異なる場合には、対象ユーザが徒歩で移動していると推定できる。
【0099】
なお、運行状況DB400から取得可能な交通機関の運行情報に基づいて、各移動手段の移動履歴を特定し、その各移動手段の移動履歴を用いて、推定タイミングに対応する対象ユーザの移動手段を推定してもよい。例えば、推定部143は、推定タイミングよりも所定時間前の対象ユーザの移動履歴と、交通機関の運行情報に基づいて特定される各移動手段の移動履歴(推定タイミングよりも所定時間前の移動履歴)との類似度を算出する。例えば、推定タイミングの所定時間前から現在までの対象ユーザの移動軌跡と、推定タイミングの所定時間前から現在までの各移動手段の移動軌跡とを求め、その双方の移動軌跡が一致または近似する場合には、その双方の類似度が高いと判定できる。一方、対象ユーザの移動軌跡と一致または近似する移動手段の移動軌跡が存在しない場合には、その双方の類似度が低いと判定できる。そして、対象ユーザの移動履歴との類似度が最も高いと判定された移動手段を、推定タイミングに対応する対象ユーザの移動手段と推定することができる。
【0100】
また、比較対象ユーザの数が比較的多い場合には、比較対象ユーザの経路案内情報を用いた移動手段の推定の信頼度が高いと考えられる。一方、比較対象ユーザの数が比較的少ない場合には、比較対象ユーザの経路案内情報を用いた移動手段の推定の信頼度が低くなると考えられる。そこで、比較対象ユーザの数が所定値未満である場合には、推定部143は、上述した対象ユーザの移動履歴、地図情報、運行状況DB400から取得可能な交通機関の運行情報等に基づいて、推定タイミングに対応する対象ユーザの移動手段を推定してもよい。なお、所定値は、適切な移動手段の推定が可能な値であり、実験データ等により適切な値を設定することが好ましい。
【0101】
[移動手段の推定結果の表示例]
図8及び図9は、移動手段の推定結果を含む経路案内画面60、70の表示例を示す図である。経路案内画面60、70は、サーバ100からの経路案内情報に基づいて、電子機器20の入出力部27に表示される。また、経路案内画面60、70は、ユーザU0が電子機器20において経路案内サービスを利用して経路探索を行い、その探索結果を含む経路案内画面が入出力部27に表示された後に、所定時間経過後に(すなわち、推定タイミングで)入出力部27に表示される。なお、図8図9では、経路案内に関する各種表示(例えば乗り換え時刻、乗り継ぎ駅、電車の出発時刻、電車の到着時刻)の一部を省略して示す。また、図8乃至図10図12では、移動手段の推定結果等を電子機器20の入出力部27に表示する例を示すが、移動手段の推定結果等を音声出力でユーザに通知してもよい。また、他の通知手段(例えばランプの点滅、電子機器20の振動等)を用いて移動手段の推定結果等をユーザに通知してもよい。
【0102】
経路案内画面60、70は、電車Aが走行する線路TL1、電車Bの線路TL2、電車Cが走行する線路TL3、電車Dの線路TL4を含む地図を表示するとともに、移動手段の推定結果表示領域61、71と、現在地標識62とを表示する画面である。
【0103】
図8に示す例では、ユーザU0が経路案内サービスを利用して案内された探索結果(経路案内)に従って、出発地から目的地までの経路において徒歩→電車Aの移動手段で移動している場合の例を示す。図8では、ユーザU0が電車Aに乗車しているタイミングで移動手段の推定処理が実行され、その推定結果が表示された例を示す。
【0104】
図9に示す例では、ユーザU0が経路案内サービスを利用して案内された探索結果(経路案内)に従わずに、出発地から目的地までの経路において徒歩→電車Bの移動手段で移動している場合の例を示す。図9では、ユーザU0が電車Bに乗車しているタイミングで移動手段の推定処理が実行され、その推定結果が表示された例を示す。
【0105】
図9に示すように、ユーザU0が経路案内と異なる移動手段を利用していることが推定された場合には、経路探索部133は、その推定された移動手段と、ユーザU0の現在地とに基づいて、ユーザU0により既に指定されている目的地までの経路探索を実行する。そして、経路案内処理部131は、新たに探索された経路案内を電子機器20の入出力部27に表示させる。例えば、電車Bに乗車しているユーザU0が、指定された目的地まで移動するために必要となる経路変更を促すためのメッセージを移動手段の推定結果表示領域71に表示する。また、指定された目的地まで移動するための経路を示す矢印72や、乗り換え駅、その間の徒歩等を通知する標識73乃至75などが適宜表示される。
【0106】
図9では、ユーザU0が経路案内と異なる移動手段を利用していることが推定された場合に、サーバ100が新たな経路探索を自動で実行する例を示した。ただし、ユーザによっては、経路探索を行った当初の目的地を変更していることも想定される。また、経路案内とは異なる遠回りの経路で目的地まで移動するユーザも想定される。そこで、図10では、ユーザU0が経路案内と異なる移動手段を利用していることが推定された場合に、ユーザU0の承認を得たことを条件にサーバ100が新たな経路探索を実行する例を示す。
【0107】
[ユーザによる手動操作により再探索を実行する場合の表示例]
図10は、移動手段の推定結果を含む経路案内画面80の表示例を示す図である。経路案内画面80は、サーバ100からの経路案内情報に基づいて、電子機器20の入出力部27に表示される。
【0108】
経路案内画面80は、図9に示す例と同様に、ユーザU0が経路案内と異なる移動手段を利用していることが推定された場合に表示される。具体的には、経路案内画面80には、移動手段の推定結果表示領域81と、現在地標識62とが表示される。また、移動手段の推定結果表示領域81には、電車Bに乗車しているユーザU0が、指定された目的地まで移動するために、再探索を促すためのメッセージとともに、実行ボタン82と、非実行ボタン83とが表示される。実行ボタン82は、再探索を実行する場合に押下されるボタンである。また、非実行ボタン83は、再探索を実行しない場合に押下されるボタンである。
【0109】
実行ボタン82が押下された場合には、経路探索部133によりユーザU0の再探索が実行される。この場合に、経路探索部133は、推定部143により推定された移動手段をユーザU0が利用していることを考慮して、ユーザU0の現在地(電子機器20の現在地)に基づいて、ユーザU0により指定された目的地までの経路を探索する。そして、その探索結果が電子機器20に送信され、電子機器20の入出力部27に表示される。一方、非実行ボタン83が押下された場合には、経路探索部133による再探索が実行されない。
【0110】
[サーバの動作例]
図11は、サーバ100における移動手段推定処理の一例を示すフローチャートである。この処理例では、サーバ100が電子機器20に経路案内情報を提供した後に推定タイミングとなった場合の例を示す。また、この処理例は、記憶部110に記憶されているプログラムに基づいて制御部130により実行される。図11では、図1乃至図10に示す例を適宜参照して説明する。
【0111】
ステップS601において、移動履歴情報取得部132は、経路案内処理部131から出力されたユーザIDに基づいて、対象ユーザの移動履歴情報を移動履歴DB200(図3参照)から取得する。この場合に、対象ユーザの移動履歴情報のうち、所定時間以内の移動履歴情報が取得される。
【0112】
ステップS602において、移動履歴情報取得部132は、対象ユーザの移動履歴情報に含まれる現在地の位置情報に基づいて、対象ユーザの周囲に存在する他のユーザの移動履歴情報を移動履歴DB200(図3参照)から取得する。この場合に、他のユーザの移動履歴情報のうち、所定時間以内の移動履歴情報が取得される。
【0113】
例えば、図6では、ユーザU0(対象ユーザ)の現在地を基準とする所定範囲R12内に存在するユーザU1乃至U4、U21、U22が、対象ユーザの周囲に存在する他のユーザとする例を示す。この場合には、移動履歴情報取得部132は、ユーザU1乃至U4、U21、U22の移動履歴情報を移動履歴DB200(図3参照)から取得する。
【0114】
ステップS603において、選択部141は、対象ユーザの周囲に存在する他のユーザのうちから、所定時間内に対象ユーザと略同じ移動経路を移動するユーザを比較対象ユーザとして選択する。所定時間内に対象ユーザと略同じ移動経路を移動するユーザは、例えば、同じ速度で同じ経路を移動するユーザである。図6に示す例では、所定範囲R12内に存在するユーザU1乃至U4、U21、U22のうちから、比較対象ユーザとしてユーザU1乃至U4が選択される。
【0115】
ステップS604において、選択部141は、ステップS603で選択された比較対象ユーザの人数が所定値以上であるか否かを判定する。例えば、比較対象ユーザの人数が極端に少ない場合(例えば1人、2人)には、移動手段の推定精度が低いことも想定される。そこで、図11に示す例では、一定数以上の比較対象ユーザが存在する場合にのみ、経路案内情報を用いた推定処理を行うようにする。ただし、比較対象ユーザの人数が所定値未満の場合であっても移動手段の推定処理を実行するようにしてもよい。比較対象ユーザの人数が所定値以上である場合には、ステップS605に進む。一方、比較対象ユーザの人数が所定値未満である場合には、選択部141は、経路案内情報抽出部142を経由して推定部143にその旨を通知し、ステップS609に進む。
【0116】
ステップS605において、経路案内情報抽出部142は、ステップS603で選択された比較対象ユーザの経路案内情報を経路案内DB300(図4参照)から抽出する。この場合に、対象ユーザの経路案内情報も抽出される。例えば、図6に示すように、比較対象ユーザとしてユーザU1乃至U4が選択された場合には、図7に示すように、ユーザU0乃至U4の経路案内情報DT0乃至DT4が経路案内DB300から抽出される。なお、ユーザU0乃至U4の経路案内情報DT0乃至DT4のうちから、推定タイミングL1に対応する情報のみを抽出してもよい。図7に示す例では、推定タイミングL1に対応する情報(4つの「電車A」と「電車B」)のみを抽出してもよい。
【0117】
ステップS606において、推定部143は、ステップS605で抽出された経路案内情報に基づいて、推定タイミングに対応する比較対象ユーザの移動手段を比較する。図7に示す例では、推定タイミングL1に対応する比較対象ユーザU1乃至U3の移動手段が「電車A」であり、推定タイミングL1に対応する比較対象ユーザU4の移動手段が「電車B」である。
【0118】
ステップS607において、推定部143は、推定タイミングで所定割合以上の共通する移動手段が存在するか否かを判定する。図7に示す例では、推定タイミングL1に対応する4つの移動手段のうち、「電車A」が3であるため、「電車A」の割合が75%である。推定タイミングで所定割合以上の共通する移動手段が存在する場合には、ステップS608に進む。一方、推定タイミングで所定割合以上の共通する移動手段が存在しない場合には、ステップS609に進む。
【0119】
ステップS608において、推定部143は、推定タイミングに対応する比較対象ユーザの移動手段のうち、所定割合以上の共通する移動手段を対象ユーザが利用している移動手段であると推定する。図7に示す例では、上述したように、「電車A」の割合が75%であるため、「電車A」を対象ユーザが利用している移動手段と推定する。
【0120】
ステップS609において、推定部143は、対象ユーザが利用している移動手段を他の推定方法で推定する。例えば、上述したように、対象ユーザの移動履歴、地図情報、運行状況DB400から取得可能な交通機関の運行情報等に基づいて、対象ユーザが利用している移動手段を推定することができる。
【0121】
ステップS610において、推定部143は、対象ユーザが利用していると推定された移動手段に関する情報を経路探索部133に出力する。
【0122】
ステップS611において、経路探索部133は、対象ユーザの案内経路の変更が必要か否かを判定する。具体的には、経路探索部133は、対象ユーザの経路案内情報を経路案内DB300(図4参照)から抽出し、対象ユーザの経路案内情報と、推定部143により推定された移動手段とに基づいて、対象ユーザの案内経路の変更が必要か否かを判定する。すなわち、推定タイミングに対応する対象ユーザの経路案内情報の移動手段と、推定された移動手段とを比較し、これらが異なる場合には、対象ユーザの案内経路の変更が必要であると判定する。一方、それらの移動手段が同じである場合には、対象ユーザの案内経路の変更が不要と判定する。対象ユーザの案内経路の変更が必要である場合には、ステップS613に進む。一方、対象ユーザの案内経路の変更が不要である場合には、経路探索部133は、その旨とステップS610で出力された移動手段に関する情報とを経路案内処理部131に出力して、ステップS612に進む。
【0123】
ステップS612において、経路案内処理部131は、ステップS610で出力された移動手段に関する情報を通信部120を介して電子機器20に送信する。また、電子機器20の制御部25は、その情報を受信した場合には、その情報に基づいて、移動手段の推定結果を入出力部27に表示させる。例えば、図8に示すように、移動手段の推定結果を含む経路案内画面60が入出力部27に表示される。
【0124】
ステップS613において、経路探索部133は、対象ユーザの案内経路を再探索する。この場合に、経路探索部133は、対象ユーザが利用している移動手段を把握しているため、推定された移動手段で対象ユーザが移動していることを考慮して、対象ユーザの現在地からの移動経路を再探索することができる。そして、経路探索部133は、その再探索結果とステップS610で出力された移動手段に関する情報とを経路案内処理部131に出力する。
【0125】
ステップS614において、経路案内処理部131は、ステップS610で出力された移動手段に関する情報と、ステップS613で再探索された経路案内に関する情報(経路案内情報)とを通信部120を介して電子機器20に送信する。また、電子機器20の制御部25は、それらの情報を受信した場合には、それらの情報に基づいて、移動手段の推定結果と再探索結果とを入出力部27に表示させる。例えば、図9に示すように、移動手段の推定結果を含む経路案内画面70が入出力部27に表示される。
【0126】
[比較対象ユーザに関する情報を表示する例]
以上では、推定部143による移動手段の推定結果を対象ユーザに提供する例を示した。ここで、推定部143による移動手段の推定処理において、対象ユーザと同じ移動手段で移動していると推定される他のユーザ(比較対象ユーザ)を抽出し、その比較対象ユーザの経路案内情報を用いて推定処理が実行される。すなわち、対象ユーザの移動と相関の高い移動をしている比較対象ユーザの経路案内情報を用いて推定処理が実行される。そこで、対象ユーザの移動と相関の高い移動をしている比較対象ユーザに関する各情報のうち、比較対象ユーザの個人情報を考慮して、対象ユーザに有益となる情報を対象ユーザに提供することが考えられる。そこで、以下では、比較対象ユーザに関する各情報のうち、対象ユーザに有益となる情報を対象ユーザに提供する例を示す。
【0127】
図12は、移動手段の推定結果を含む経路案内画面90の表示例を示す図である。経路案内画面90は、サーバ100からの経路案内情報に基づいて、電子機器20の入出力部27に表示される。なお、図12では、何らかの原因により、ユーザU0の移動手段の推定処理に用いられた比較対象ユーザによる再探索の割合が所定値を超えた場合の表示例を示す。
【0128】
経路案内画面90は、図8に示す例と同様に、ユーザU0が経路案内と同じ移動手段を利用していることが推定された場合に表示される。具体的には、経路案内画面90には、移動手段の推定結果表示領域91と、現在地標識62とが表示される。また、上述したように、何らかの原因により、ユーザU0の移動手段の推定処理に用いられた比較対象ユーザによる再探索の割合が所定値を超えた場合には、その旨が移動手段の推定結果表示領域91に表示される。また、移動手段の推定結果表示領域91には、比較対象ユーザによる再探索の割合が所定値を超えたため、再探索を実行するか否かを確認するためのメッセージとともに、実行ボタン92と、非実行ボタン93とが表示される。なお、実行ボタン92は、図10に示す実行ボタン82に対応し、非実行ボタン93は、図10に示す非実行ボタン83に対応する。
【0129】
なお、経路探索部133により各ユーザの再探索が実行されるため、再探索が実行される毎に、その再探索の実行タイミングを各ユーザに関連付けて経路案内DB300に記録しておき、上述した表示処理に用いることができる。なお、以上では、ユーザU0の移動手段の推定処理に用いられた比較対象ユーザによる再探索の割合が所定値を超えた場合にその旨を表示する例を示したが、再探索の割合が所定値を超えていない場合でも、その旨を表示してもよい。
【0130】
なお、比較対象ユーザに関する各情報のうち、対象ユーザに有益となる情報として、他の情報を対象ユーザに提供してもよい。例えば、経路探索部133による再探索を受け付けるか否かを対象ユーザが判断する際において参考となる情報を提供することができる。例えば、経路探索部133による再探索を受け付けた比較対象ユーザに関する情報(例えば再探索を受け付けた比較対象ユーザの割合)を提供することができる。
【0131】
なお、本実施形態では、対象ユーザの周囲に存在する他のユーザの経路案内情報を使用して対象ユーザの移動手段を推定するが、サーバ100内で完結する処理において、他のユーザの経路案内情報が使用される。すなわち、他のユーザの経路案内情報は、比較対象や統計情報としてのみ使用され、他のユーザの経路案内情報が対象ユーザに提供されることはない。図6図7に示す例では、対象ユーザU0は、自分が「電車A」に乗っていることを認識できるが、他のユーザU1乃至U4が「電車A」に乗っていることまでは認識できない。このため、対象ユーザの周囲に存在する他のユーザの個人的な情報を適切に扱うことが可能である。
【0132】
ここで、電車に乗っているユーザが目的地を変更したい場合や、乗っている電車が遅延しているため、別の経路で移動したいとユーザが考える場合には、そのユーザにより再探索が要求されることがある。このような再探索では、そのユーザがどの位置に存在し、かつ、どのような移動手段に乗っているかを判定することが重要となる。
【0133】
ここで、比較例として、電車に乗っている状態のユーザが、既に提供されている経路案内に対して再探索を実行する場合を想定する。この場合において、ユーザが電車に乗っていることを判定できない経路探索装置では、ユーザが電車で移動中であっても、その再探索の操作地点から徒歩で最寄りの駅に向かい、その駅の到着予想時間をベースにした経路の再探索が行われてしまう可能性がある。また、最寄りの駅が遠い場合には、その再探索の操作地点から最寄りのバス停まで徒歩で移動し、そのバス停からバスで移動することが探索結果として提供される可能性がある。このように、ユーザが電車に乗っていることを判定できない経路探索装置では、ユーザの現在地から目的地までの点と点とを結ぶ経路の再探索が実行される。このような場合には、適切な経路探索を実行することが困難であることが想定される。
【0134】
これに対して、本実施形態では、再探索を実行するユーザが乗っている乗り物を推定することができるため、その乗り物にユーザが乗っていることを考慮して、再探索を実行することができる。例えば、ユーザU0が電車Aに乗っていることが推定されている場合には、その電車Aに乗っている状態に基づいて、その電車Aからの移動経路が探索される。すなわち、本実施形態では、ユーザU0が電車Aに乗っていることを判定できるため、ユーザU0の現在地から目的地までの点と点とを結ぶ経路の探索ではなく、ユーザU0が乗っている電車Aから目的地までの適切な経路の探索を実行することができる。これにより、適切な経路探索を実行することができる。
【0135】
また、本実施形態では、サーバ100から提供された経路案内に従って移動しているが、予定通りに移動していない場合でも、対象ユーザの移動手段をサーバ100が適切に把握することができる。これにより、対象ユーザについて再探索が必要となった場合でも、その再探索時の対象ユーザの移動手段を適切に把握できた状態で経路探索を実行できるため、適切な経路案内情報を対象ユーザに提供することができる。
【0136】
なお、本実施形態では、電子機器20に提供する移動手段の推定処理をサーバ100において実行する例を示したが、その移動手段の推定処理の全部または一部を他の機器において実行してもよい。この場合には、その移動手段の推定処理の一部を実行する各機器により情報処理システムが構成される。また、本実施形態では、電子機器20に提供する移動手段の推定処理を実行する際に用いられる各DB(地図DB、移動履歴DB200、経路案内DB300、運行状況DB400、乗継DB500)をサーバ100において管理する例を示す。ただし、それらの全部または一部のDBを、サーバ100以外の1または複数の他の機器により管理し、サーバ100は、他の機器により管理されているDBから必要となる情報を取得して用いてもよい。
【0137】
また、サーバ100の機能を含む情報処理システム1の一部(または全部)については、ネットワーク10を介して提供可能なアプリケーションにより提供されてもよい。このアプリケーションは、例えばSaaS(Software as a Service)である。
【0138】
また、その移動手段の推定処理の全部または一部を電子機器20において実行してもよい。この場合には、電子機器20の制御部25は、サーバ100の制御部130が備える経路案内処理部131と移動履歴情報取得部132と経路探索部133と移動手段推定部140とのうちの全部または一部の処理を実行する。また、電子機器20の記憶部110には、上述した各DB(地図DB、移動履歴DB200、経路案内DB300、運行状況DB400、乗継DB500)のうちの一部を記憶させてもよい。なお、電子機器20は、それらの各DBを用いる場合には、外部装置から取得して用いてもよい。
【0139】
例えば、ユーザU0の個人的な情報は、サーバ100で管理せずに電子機器20において管理し、電子機器20において移動手段の推定処理を実行してよい。このようにサーバ100の各処理の全部または一部を電子機器20において実行する場合には、電子機器20は、情報処理装置として機能する。
【0140】
また、例えば、電子機器20が、経路案内アプリの機能を提供するサーバ100にアクセスして機能提供を受け、サーバ100から送信される機能の実行結果をブラウザに表示してもよい。
【0141】
なお、本実施形態で示した各処理は、各処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムに基づいて実行されるものである。このため、本実施形態は、それらの各処理を実行する機能を実現するプログラム、そのプログラムを記憶する記録媒体の実施形態としても把握することができる。例えば、情報処理装置に新機能を追加するためのアップデート処理により、そのプログラムを情報処理装置の記憶装置に記憶させることができる。これにより、そのアップデートされた情報処理装置に本実施形態で示した各処理を実施させることが可能となる。
【0142】
[本実施形態の構成及び効果]
本実施形態に係るサーバ100(情報処理装置の一例)は、複数のユーザの移動履歴情報をユーザ毎に管理する移動履歴DB200(移動履歴データベースの一例)と、出発地から目的地までの経路と当該経路を進行する際に利用する1または複数の移動手段と当該移動手段を利用する時間帯とを含む経路探索結果であって当該複数のユーザに提供された経路案内情報をユーザ毎に管理する経路案内DB300(経路案内データベースの一例)とを用いて対象ユーザが利用している移動手段を推定する情報処理装置である。サーバ100は、対象ユーザU0の周囲に存在する他のユーザの移動履歴情報を移動履歴DB200から取得し、その移動履歴情報に基づいて、他のユーザのうちから、比較対象となるユーザとして比較対象ユーザU1乃至U4を選択する選択部141と、比較対象ユーザU1乃至U4に提供されている経路案内情報DT1乃至DT4を経路案内DB300から抽出する経路案内情報抽出部142と、抽出された経路案内情報DT1乃至DT4に含まれる移動手段のうち、推定タイミングL1(所定時刻の一例)に対応する比較対象ユーザU1乃至U4毎の移動手段に基づいて、対象ユーザU0が推定タイミングL1に利用している移動手段を推定する推定部143と、を備える。なお、本実施形態に係る情報処理装置は、電子機器20により実現してもよく、情報処理システム1を構成する各機器により実現してもよい。
【0143】
このようなサーバ100によれば、比較対象ユーザU1乃至U4に提供されている経路案内情報DT1乃至DT4を用いて、対象ユーザU0の移動手段を適切に推定することができる。
【0144】
また、本実施形態に係るサーバ100では、推定部143は、比較対象ユーザU1乃至U4の数と、推定タイミングL1(所定時刻の一例)に対応する比較対象ユーザU1乃至U4毎の移動手段のうちの共通する移動手段の数とに基づいて、対象ユーザU0が推定タイミングL1に利用している移動手段を推定する。
【0145】
このようなサーバ100によれば、比較対象ユーザU1乃至U4の数と、共通する移動手段の数とに基づく演算処理の結果に基づいて、移動手段を推定することができる。これにより、移動手段の推定精度を高めることができる。
【0146】
また、本実施形態に係るサーバ100では、推定部143は、比較対象ユーザU1乃至U4の数と、上述した共通する移動手段の数との割合が閾値以上となる移動手段が存在する場合には、その割合が最も高い移動手段を対象ユーザU0が推定タイミングL1(所定時刻の一例)に利用している移動手段と推定し、その割合が閾値以上となる移動手段が存在しない場合には、対象ユーザU0の移動履歴と、交通機関の運行情報に基づいて特定される各移動手段の移動履歴との類似度に基づいて、対象ユーザU0が推定タイミングL1に利用している移動手段を推定する。
【0147】
このようなサーバ100によれば、上述した割合が閾値以上となる移動手段が存在する場合には、その割合が最も高い移動手段を、信頼度が最も高い移動手段と推定して対象ユーザU0の移動手段を推定することができる。一方、上述した割合が閾値以上となる移動手段が存在しない場合でも、対象ユーザU0の移動履歴、交通機関の運行情報等に基づいて、対象ユーザU0の移動手段を推定することができる。
【0148】
また、本実施形態に係るサーバ100では、推定部143は、経路案内情報に含まれる出発地及び目的地のうちの少なくとも1つが対象ユーザU0と共通する比較対象ユーザの推定タイミングL1(所定時刻の一例)に対応する移動手段についての重み付けを高い値とする評価値に基づいて、対象ユーザU0が推定タイミングL1に利用している移動手段を推定する。
【0149】
このようなサーバ100によれば、比較対象ユーザの経路案内情報のうちから、信頼度が高いと推定される経路案内情報の移動手段についての重み付けを高くする評価値に基づいて、対象ユーザU0の移動手段を推定することができる。これにより、移動手段の推定精度を高めることができる。
【0150】
また、本実施形態に係るサーバ100では、推定部143は、比較対象ユーザの数が所定値未満である場合には、対象ユーザU0の移動履歴と、交通機関の運行情報に基づいて特定される各移動手段の移動履歴との類似度に基づいて、対象ユーザU0が推定タイミングL1(所定時刻の一例)に利用している移動手段を推定する。
【0151】
このようなサーバ100によれば、比較対象ユーザの数が所定値未満である場合には、比較対象ユーザの信頼度が低いと想定し、その比較対象ユーザを用いずに、対象ユーザU0の移動履歴、交通機関の運行情報等に基づいて、対象ユーザU0の移動手段を推定する。これにより、移動手段の推定精度を高めることができる。
【0152】
また、本実施形態に係るサーバ100では、選択部141は、対象ユーザU0の移動履歴情報と、他のユーザの移動履歴情報とに基づいて、他のユーザのうちから、所定時間内に対象ユーザU0と略同じ経路を略同じ速度で移動するユーザを比較対象ユーザU1乃至U4として選択する。
【0153】
このようなサーバ100によれば、移動手段の推定に用いる最適なユーザを選択することができる。
【0154】
また、本実施形態に係るサーバ100では、対象ユーザU0に提供された経路案内情報DT0に含まれる移動手段と、推定部143により推定された移動手段とが、推定タイミングL1(所定時刻の一例)を基準として異なる場合には、対象ユーザU0に提供する経路案内情報を再探索する経路探索部133と、推定部143により推定された移動手段と、経路探索部133による再探索により求められた経路案内情報とを電子機器20の入出力部27(出力部の一例)から出力させる出力制御を行う経路案内処理部131(出力制御部の一例)と、をさらに備える。
【0155】
このようなサーバ100によれば、対象ユーザU0に提供された経路案内情報DT0に含まれる移動手段と、推定された移動手段とが異なる場合には、自動で経路案内情報を再探索し、その再探索結果を対象ユーザU0に提供できる。これにより、対象ユーザU0は、目的地までの経路を適切なタイミングで把握することができる。
【0156】
また、本実施形態に係るサーバ100では、対象ユーザU0に提供された経路案内情報に含まれる移動手段と、推定部143により推定された移動手段とが、推定タイミングL1(所定時刻の一例)を基準として異なる場合には、その旨を電子機器20の入出力部27(出力部の一例)から出力させる出力制御を行う経路案内処理部131(出力制御部の一例)をさらに備える。
【0157】
このようなサーバ100によれば、対象ユーザU0に提供された経路案内情報DT0に含まれる移動手段と、推定された移動手段とが異なる場合には、その旨を対象ユーザU0に通知できる。これにより、対象ユーザU0は、目的地までの経路を再探索するか否かを適切に判断することができる。
【0158】
また、本実施形態に係るサーバ100では、推定部143により推定された移動手段とともに、推定タイミングL1(所定時刻の一例)よりも前の比較対象ユーザの再探索状況を電子機器20の入出力部27(出力部の一例)から出力させる出力制御を行う経路案内処理部131(出力制御部の一例)をさらに備える。
【0159】
このようなサーバ100によれば、比較対象ユーザの再探索状況を対象ユーザU0が容易に把握することができるため、目的地までの経路を再探索するか否かを適切に判断することができる。
【0160】
また、本実施形態に係る情報処理方法は、複数のユーザの移動履歴情報をユーザ毎に管理する移動履歴DB200(移動履歴データベースの一例)と、出発地から目的地までの経路と当該経路を進行する際に利用する1または複数の移動手段と当該移動手段を利用する時間帯とを含む経路探索結果であって当該複数のユーザに提供された経路案内情報をユーザ毎に管理する経路案内DB300(経路案内データベースの一例)とを用いて対象ユーザU0が利用している移動手段を推定する情報処理方法である。この情報処理方法では、対象ユーザU0の周囲に存在する他のユーザの移動履歴情報を移動履歴DB200から取得し、その移動履歴情報に基づいて、他のユーザのうちから、比較対象となるユーザとして比較対象ユーザU1乃至U4を選択する選択ステップ(ステップS603)と、比較対象ユーザU1乃至U4に提供されている経路案内情報を経路案内DB300から抽出する抽出ステップ(ステップS605)と、抽出された経路案内情報に含まれる移動手段のうち、推定タイミングL1(所定時刻の一例)に対応する比較対象ユーザU1乃至U4毎の移動手段に基づいて、対象ユーザU0が推定タイミングL1(所定時刻の一例)に利用している移動手段を推定する推定ステップ(ステップS607、S608)と、を備える。また、本実施形態に係るプログラムは、そのような情報処理方法を実現するための移動手段推定機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであり、それらの各処理手順(ステップS603、S605、S607、S608)をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0161】
このような情報処理方法及びプログラムによれば、比較対象ユーザU1乃至U4に提供されている経路案内情報DT1乃至DT4を用いて、対象ユーザU0の移動手段を適切に推定することができる。
【0162】
また、本実施形態に係る情報処理システム1は、無線通信を利用して出発地から目的地までの経路案内を要求する電子機器20(第1装置の一例)と、その要求に応じて、出発地から目的地までの経路と当該経路を進行する際に利用する1または複数の移動手段と当該移動手段を利用する時間帯とを含む経路探索結果を経路案内情報として電子機器20に送信し、電子機器20を所持する対象ユーザU0を含む複数のユーザの移動履歴情報をユーザ毎に管理する移動履歴DB200(移動履歴データベースの一例)と、複数のユーザに提供された経路案内情報をユーザ毎に管理する経路案内DB300(経路案内データベースの一例)とを用いて対象ユーザU0が利用している移動手段を推定するサーバ100(第2装置の一例)とを備える情報処理システムである。電子機器20は、サーバ100から送信された経路案内情報を表示する入出力部27(表示部の一例)を備える。サーバ100は、対象ユーザU0の周囲に存在する他のユーザの移動履歴情報を移動履歴DB200から取得し、その移動履歴情報と電子機器20の移動履歴情報とに基づいて、他のユーザのうちから、比較対象となるユーザとして比較対象ユーザU1乃至U4を選択する選択部141と、比較対象ユーザU1乃至U4に提供されている経路案内情報を経路案内DB300から抽出する経路案内情報抽出部142と、抽出された経路案内情報に含まれる移動手段のうち、推定タイミングL1(所定時刻の一例)に対応する比較対象ユーザU1乃至U4毎の移動手段に基づいて、対象ユーザU0が推定タイミングL1(所定時刻の一例)に利用している移動手段を推定する推定部143と、推定部143により推定された移動手段に関する情報を電子機器20に送信する通信部120と、を備える。また、電子機器20は、サーバ100から送信された移動手段に関する情報を入出力部27に表示させ、サーバ100から送信された経路案内情報に含まれる移動手段と、推定部143により推定された移動手段とが、推定タイミングL1を基準として異なる場合には、その旨を入出力部27に表示させる。
【0163】
このような情報処理システム1によれば、比較対象ユーザU1乃至U4に提供されている経路案内情報DT1乃至DT4を用いて、対象ユーザU0の移動手段を適切に推定することができる。また、対象ユーザU0に提供された経路案内情報DT0に含まれる移動手段と、推定された移動手段とが異なる場合には、その旨を対象ユーザU0に通知できる。これにより、対象ユーザU0は、目的地までの経路を再探索するか否かを適切に判断することができる。
【0164】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0165】
1 情報処理システム 10 ネットワーク 、20、41~44 電子機器 、21 記憶部 、22 通信部 、23 位置情報取得部 、24 入力部 、25 制御部 、26 出力部 、27 入出力部 、100 サーバ 、110 記憶部 、120 通信部 、130 制御部 、131 経路案内処理部 、132 移動履歴情報取得部 、133 経路探索部 、140 移動手段推定部 、141 選択部 、142 経路案内情報抽出部 、143 推定部 、200 移動履歴DB 、300 経路案内DB 、400 運行状況DB 、500 乗継DB
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