(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182880
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】雨水貯留浸透施設および雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板
(51)【国際特許分類】
E03F 1/00 20060101AFI20221201BHJP
E03B 3/02 20060101ALI20221201BHJP
E03B 3/03 20060101ALI20221201BHJP
E03B 11/14 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
E03F1/00 A
E03F1/00 Z
E03B3/02 Z
E03B3/03 B
E03B11/14
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090653
(22)【出願日】2021-05-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】304001453
【氏名又は名称】天昇電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003122
【氏名又は名称】弁理士法人タナベ・パートナーズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】結城 和久
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 知正
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063AA01
2D063AA11
(57)【要約】
【課題】槽内の堆砂物の堆積状態を施設の上部から容易に確認でき、槽全体として清掃が容易となる雨水貯留浸透施設およびこの雨水貯留浸透施設に適用される堆砂滞留板を提供することを目的とする。
【解決手段】この堆砂滞留板120は、上下面板の隅部同士が脚柱で連結され枠状ブロックユニット115が複数個地中112に敷き詰められ、脚柱の側面に密着する側縁部を有し、隣接した脚柱の間に嵌合され、枠状ブロックユニット115の側部が閉塞されるようになっている。雨水貯留浸透施設105は枠状ブロックユニットに囲包された堆砂滞留空域部118と、堆砂滞留空域部の上方に形成された点検開口部(122)と、堆砂滞留空域部に連通する雨水流入部と、施設他端に設けられた貯水流出部とを有し、堆砂滞留空域部を囲包する枠状ブロックユニットの側部が堆砂滞留板で閉塞されている。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下面板の隅部同士が脚柱で連結され、かつ前記脚柱が上下に2体に分割された枠状ブロックユニットが複数個地中に敷き詰められて成る雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板であって、
前記脚柱の側面に密着する側縁部を有し、隣接した前記脚柱の間に嵌合されることを特徴とする雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板。
【請求項2】
前記側縁部には前記脚柱の側面に密着する縦長広巾部が形成され、前記縦長広巾部に前記脚柱の側面に密着する鍔部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板。
【請求項3】
前記枠状ブロックユニットの前記脚柱はその横断面が円形形状を成し、かつ、その長さ方向中央部に向けて縮径形状となっており、滞留板側縁部が全長にわたって前記枠状ブロックユニットの前記脚柱の側面に密着する形状となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板。
【請求項4】
前記枠状ブロックユニットの隣接した前記脚柱の各側面に密着する側縁部と、前記枠状ブロックユニットの上下面板に密着して該上下面板に挟持される上下端部とを有し、前記上下端部に前記上下面板の係止凹部と嵌合する係止凸部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板。
【請求項5】
前記雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板はプラスチック板体で形成されてなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板。
【請求項6】
前記雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板はプラスチック板体で形成されてなり、前記プラスチック板体には孔部が開口されてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板。
【請求項7】
矩形状上下面板の隅部同士が脚柱で連結され、かつ前記脚柱が上下に2体に分割された枠状ブロックユニットが複数個地中にX,Y方向に敷き詰められて成る雨水貯留浸透施設において、
前記X,Y方向に敷き詰められた前記枠状ブロックユニットが部分的に除去されてその周囲が前記枠状ブロックユニットに囲包された堆砂滞留空域部と、前記堆砂滞留空域部の上方に形成された点検開口部と、前記堆砂滞留空域部に連通する雨水流入部と、施設他端に設けられた貯水流出部とを有し、
前記堆砂滞留空域部を囲包する前記枠状ブロックユニットの側部が堆砂滞留板で閉塞されており、
前記堆砂滞留板は、前記脚柱の側面に密着する側縁部を有し、隣接した前記脚柱の間に嵌合され、これによって前記枠状ブロックユニットの側部が閉塞されるようになっていることを特徴とする雨水貯留浸透施設。
【請求項8】
前記堆砂滞留板は、前記側縁部には前記脚柱の側面に密着する縦長広巾部が形成され、前記縦長広巾部に前記脚柱の側面に密着する鍔部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の雨水貯留浸透施設。
【請求項9】
前記枠状ブロックユニットの前記脚柱はその横断面が円形形状を成し、かつ、その長さ方向中央部に向けて縮径形状となっており、前記堆砂滞留板はその側縁部が全長にわたって前記枠状ブロックユニットの前記脚柱の側面に密着する形状となっていることを特徴とする請求項7または8に記載の雨水貯留浸透施設。
【請求項10】
前記堆砂滞留板は、前記枠状ブロックユニットの隣接した前記脚柱の各側面に密着する側縁部と、前記枠状ブロックユニットの上下面板に密着して該上下面板に挟持される上下端部とを有し、前記上下端部に前記上下面板の係止凹部と嵌合する係止凸部が形成されていることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の雨水貯留浸透施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は雨水貯留浸透施設および雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板に関する。本発明は特に、施設内の雨水流入口の近傍に形成された堆砂滞留空域部に雨水とともに流入、堆積する土砂、ゴミ等の汚泥を閉じ込めるようにした雨水貯留浸透施設および雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の雨水貯留浸透施設は、道路、公園、駐車場等の公共施設の地下に設置され、プラスチック材で成形された多数の単位部材を、水平方向、鉛直方向に多数組み付けて構成される。従来から、雨水貯留浸透施設の構成体の周囲を透水性および遮水性のシートで覆い、雨水貯留浸透施設の内部の空隙に雨水を貯留するとともに、鉛直方向の荷重を支える構造部材として種々の構造のものが開発されている。このような雨水貯留浸透施設は、雨水貯留空間の空隙率が大きいものが、貯留する雨水の容量が大きくなるため好ましい。また、使用期間が長くなると、雨水貯留浸透施設の内部に土砂等が蓄積するため、雨水貯留浸透施設の内部の点検が容易で、かつ、溜まった土砂の除去も容易であることが望まれる。
【0003】
このような雨水貯留浸透施設として従来から、施設の構成体となる単位部材が水平方向および鉛直方向に密に接触して配置され、前記単位部材の間を継手部材で接続した構成のものが知られている(例えば特許文献1、2)。また、特許文献3のように、単位部材を互いに一定の間隔を空けて配置し、各々隣接する4個の単位部材の角部を継手部材で連結し、さらに前記4個の単位部材の天井部分を天板部材で覆うことで、単位体積当りの重量を低減するとともに、鉛直方向に貫通する点検口を形成して、雨水貯留浸透施設の点検作業を容易にしたものも開示されている。その他、雨水貯留空間の空隙率の向上を図り、かつ鉛直方向に貫通する点検口を多数形成して、雨水貯留浸透施設の点検作業を容易にしたものも既に開示されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-252108号公開公報
【特許文献2】特開2002-309658号公開公報
【特許文献3】特開2010-48010号公開公報
【特許文献4】特開2019-73855号公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2の雨水貯留浸透施設は構成単位部材が密に配置され、しかもこれらの間を継手部材で連結する構造のため、単位体積当りの重量が増加し、雨水貯留空間の空隙率が低下し、かつ材料費などコストの点でも問題が生じている。また、特許文献3についても、隣接する単位部材を連結するのに継手部材が必要なため、部品点数が増加し、天板部材の上にさらに単位部材を追加するのが難しいため、雨水貯留空間の体積を大きくするのが困難であった。特許文献4の雨水貯留浸透施設は構成体を構築する部材の個数が少なく、雨水貯留空間の空隙率が向上し、施設の点検作業の容易化を図っている点で効果はあるものの、構成体の組み付け、特に構成体を2段以上に積み上げる際の各構成体の位置合せ等、構成部材の連結作業に手数がかかるという問題がある。
【0006】
また、雨水貯留浸透施設においては、雨水の流入に伴なって土砂や塵芥が槽内に入り込み、これが槽内全体に拡散、沈積するため、定期に、あるいは随時必要に応じて広い槽内全体を清掃し、槽底部全域に拡がる堆積物を除去する必要があり、その清掃作業に多くの労力を要していた。
【0007】
従来のこの種の雨水貯留浸透システムにおいても、堆砂抑制機能をもつ付加装置を槽外に必要に応じて設置するようにしたものが存在しているが、そのための設置領域を別途確保しなければならず、また、堆砂抑制効果も未だ充分とはいえなかった。
【0008】
本発明は、雨水の槽内への流入に伴って浸入する砂や塵芥が槽内の一箇所に集積され、かつ槽内の堆砂物の堆積状態も施設の上部から容易に確認でき、槽全体として清掃が容易となる雨水貯留浸透施設およびこの雨水貯留浸透施設に適用される堆砂滞留板を提供することを目的とする。
【0009】
本発明はまた、施設内に砂、塵芥等の堆積物の収納空域を自由に配置できる雨水貯留浸透施設、および槽内の水圧にも耐え得る強度をもつ雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、上下面板の隅部同士が脚柱で連結され、かつ前記脚柱が上下に2体に分割された枠状ブロックユニットが複数個地中に敷き詰められて成る雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板であって、
前記脚柱の側面に密着する側縁部を有し、隣接した前記脚柱の間に嵌合されることを特徴とする雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板が提供される。
【0011】
本発明の1つの形態によれば、前記側縁部には前記脚柱の側面に密着する縦長広巾部が形成され、前記縦長広巾部に前記脚柱の側面に密着する鍔部が形成されている。
【0012】
また本発明の他の形態によれば、前記枠状ブロックユニットの前記脚柱はその横断面が円形形状を成し、かつ、その長さ方向中央部に向けて縮径形状となっており、堆砂滞留板側縁部が全長にわたって前記枠状ブロックユニットの前記脚柱の側面に密着する形状となっている。
【0013】
さらに本発明の他の形態によれば、前記枠状ブロックユニットの隣接した前記脚柱の各側面に密着する側縁部と、前記枠状ブロックユニットの上下面板に密着して該上下面板に挟持される上下端部とを有し、前記上下端部に前記上下面板の係止凹部と嵌合する係止凸部が形成されている雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板が提供される。
【0014】
さらに本発明の他の形態によれば、前記雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板はプラスチック板体で形成されてなることを特徴とする雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板が提供される。
【0015】
さらに本発明の他の形態によれば、前記雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板はプラスチック板体で形成されてなり、前記プラスチック板体には孔部が開口されてなることを特徴とする雨水貯留浸透施設の堆砂滞留板が提供される。
【0016】
本発明に係る雨水貯留浸透施設は、矩形状上下面板の隅部同士が脚柱で連結され、かつ前記脚柱が上下に2体に分割された枠状ブロックユニットが複数個地中にX,Y方向に敷き詰められて成る雨水貯留浸透施設において、前記X,Y方向に敷き詰められた前記枠状ブロックユニットが部分的に除去されてその周囲が前記枠状ブロックユニットに囲包された堆砂滞留空域部と、前記堆砂滞留空域部の上方に形成された点検開口部と、前記堆砂滞留空域部に連通する雨水流入部と、施設他端に設けられた貯水流出部とを有し、前記堆砂滞留空域部を囲包する前記枠状ブロックユニットの側部が堆砂滞留板で閉塞されており、前記堆砂滞留板は、前記脚柱の側面に密着する側縁部を有し、隣接した前記脚柱の間に嵌合され、これによって前記枠状ブロックユニットの側部が閉塞されるようになっていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る雨水貯留浸透施設の1つの形態によれば、前記堆砂滞留板は、前記側縁部には前記脚柱の側面に密着する縦長広巾部が形成され、前記縦長広巾部に前記脚柱の側面に密着する鍔部が形成されている。
【0018】
また、本発明に係る雨水貯留浸透施設の他の形態によれば、前記枠状ブロックユニットの前記脚柱はその横断面が円形形状を成し、かつ、その長さ方向中央部に向けて縮径形状となっており、前記堆砂滞留板はその側縁部が全長にわたって前記枠状ブロックユニットの前記脚柱の側面に密着する形状となっている。
【0019】
本発明に係る雨水貯留浸透施設のさらに他の形態によれば、前記堆砂滞留板は、前記枠状ブロックユニットの隣接した前記脚柱の各側面に密着する側縁部と、前記枠状ブロックユニットの上下面板に密着して該上下面板に挟持される上下端部とを有し、前記上下端部に前記上下面板の係止凹部と嵌合する係止凸部が形成されている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、雨水の槽内への流入に伴なって浸入する砂や塵芥が槽内の一箇所に集積され、かつ槽内の堆砂物の堆積状態も施設の上部から容易に確認でき、施設内に砂、塵芥等の堆積物の収納空間を自由に配置でき、槽全体として清掃が容易となる。
【0021】
また本発明によれば、雨水貯留浸透施設における枠状ブロックユニットの脚柱の間を堆砂滞留板によって緊密に、かつ充分な強度を有して封鎖でき、多量の雨水による水圧にも対処でき、また堆砂滞留板の設置も容易であり、長期に雨水の貯留施設機能を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施例に係る4脚形態の単位ブロック部材の斜視図である。
【
図2】本発明の実施例に係る2脚形態の単位ブロック部材の斜視図である。
【
図3】本発明の実施例に係る単脚形態の単位ブロック部材の斜視図であって、同図(a)は脚部先端に凹嵌合部が形成された形態の1脚単位ブロック部材、同図(b)は脚部先端に凸嵌合部が形成された形態の1脚単位ブロック部材を示した図である。
【
図4】
図1に示す4脚単位ブロック部材を一対上下に向き合せて結合した本発明の実施例に係る4脚柱形態の枠状ブロックユニットの斜視図である。
【
図5】
図2に示す2脚単位ブロック部材を一対上下に向き合せて結合した本発明の実施例に係る2脚柱形態の枠状ブロックユニットの斜視図である。
【
図6】
図3に示す一対の1脚単位ブロック部材を上下に向き合せて結合した本発明の実施例に係る1脚柱形態のブロックユニットの斜視図である。
【
図7】本発明に係るブロックユニットを複数個X、Y方向に並べて1段形態の構成体とした実施例の斜視図である。
【
図8】
図7に示す1段形態の構成体の下側で基礎床上に配置されるベースユニット構成体の斜視図である。
【
図9】2段形態に積み上げて2段ブロックユニット構成体とした実施例の斜視図である。
【
図10】3段形態に積み上げて3段ブロックユニット構成体とした実施例の斜視図である。
【
図11】枠状ブロックユニットをX、Y方向に並べたブロックユニット構成体の最上面を覆う蓋体部材を示す斜視図である。
【
図12】複数段に重ねられたブロックユニット構成体の下側のユニットと上側のユニットの配置関係を示した平面図である。
【
図13】本発明の実施例に係る堆砂滞留型雨水貯留浸透施設の全体側部断面図である。
【
図14】本発明の他の実施例に係る堆砂滞留型雨水貯留浸透施設の全体側部断面図である。
【
図16】本発明の実施例に係る堆砂滞留空域部の底部の単位ブロック部材の配列状態を示した斜視図である。
【
図17】
図16に示す堆砂滞留空域部の底部の単位ブロック部材に本発明に係る堆砂滞留板を設置した状態の斜視図である。
【
図18】本発明の実施例に係る堆砂滞留板を設置した雨水貯留浸透施設を示す斜視図である。
【
図19】本発明の実施例に係る堆砂滞留板の斜視図である。
【
図20】単位ブロック部材の脚部間に堆砂滞留板が挟持された状態の斜視図である。
【
図21】4脚枠状ブロックユニットの隣接した脚柱の間に堆砂滞留板が挟持された状態の斜視図である。
【
図22】貯留槽の側板に流入管の挿入開口が形成された堆砂滞留空域部の斜視図である。
【
図23】本発明の実施例に係る堆砂滞留板のオーバーフロー孔を有する堆砂滞留板の斜視図である。
【
図24】本発明の他の実施例に係る堆砂滞留板の斜視図である。
【
図25】堆砂滞留空域部の底部の単位ブロック部材に
図24に示す堆砂滞留板を設置した状態の斜視図である。
【
図26】単位ブロック部材の脚部間に
図24に示す堆砂滞留板が挟持された状態の斜視図である。
【
図27】
図24に示す堆砂滞留板を設置した雨水貯留浸透施設を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明を、各種の実施例について、図面を参照して説明する。
本発明に係る雨水貯留浸透施設は複数個の枠状ブロックユニットの配列構成体で構成され、前記枠状ブロックユニットは一対の単位ブロック部材から構成されている。まず、単位ブロック部材の実施例を説明する。
図1に示す単位ブロック部材101は4脚ブロック形態として構成されたものであり、一方の片面に十字形面板部12が形成された方形板11と、この方形板11の十字形面板部12の4つの腕部13に各々隣接して方形板11の片面四隅部に形成され、かつその底面に貫通孔14をもつ矩形凹部15と、矩形凹部15の貫通孔14と整合して方形板11の他方の片面(図示の状態でみた場合に方形板の裏面)から伸長する4本の中空筒状脚部16とを有している。この裏面の図示はここでは省略する。
【0024】
矩形凹部15は方形板11の十字形面板部12に対して該凹部15を画成する各々2つの凹部区画壁18を有し、矩形凹部15の前記底面は方形板11の隅部の外側部11aに連接している。そして、矩形凹部15の底面と方形板11の外側部11aとの連接部(連接稜部)、および矩形凹部15の底面と凹部区画壁18との連接部(区画壁18と矩形底面との連接縁部)にそれぞれ傾斜面19、20が形成されている。なお、方形板裏面から延びる4本の脚部16のうち、対角線方向にある2本の脚部先端には凸状の嵌合部83が形成され、他の2本の脚部先端には凹状の嵌合部(図示せず)が形成されている。この凹凸嵌合部については枠状ブロックユニットに関連して後述する。十字形面板部12の各腕部は同じ巾寸法dを有しているが、これについては枠状ブロックユニットの配列、積み上げに関してさらに後述する。面板部12には裏面へ通じる多数の通水孔73が形成され、また矩形凹部15にもその裏面へのびる多数の小径通水孔74が形成されている。
【0025】
図2に示す実施例の単位ブロック部材211は2脚ブロック形態として構成されたものであり、ここでは、その使用箇所からみて、側部2脚単位ブロック部材211と称される。図示のように長方形板の一方の片面中央に矩形面板部22が形成され、その面板部22に隣接してその両側に、この矩形面板部22よりも高さの低い矩形低面部23が形成されている。また、各矩形低面部23には貫通孔24が形成され、さらに、他方の片面(長方形板の裏面、裏面は図示省略)には各矩形低面部23の貫通孔24と整合する一対の中空筒状脚部25が形成されている。一対の中空筒状脚部25のうち、一方の脚部25の先端には凸状の嵌合部83が形成され、他方の脚部25の先端には凹状の嵌合部(図示せず)が形成されている。これらの凸状、凹状嵌合部の機能は
図1の4脚単位ブロック部材101の場合と同様であり、一対の単位ブロック部材を脚部材先端同士が向き合うように接合して枠状ブロックユニット(後述)を構成する場合に、凸状、凹状嵌合部同士が嵌合するようになっている。この2脚ブロック形態の2脚単位ブロック部材211においても、矩形低面部23を画成する区画壁26と矩形低面部23の底面27との連接部、および矩形低面部23の底面27と部材側部28(長方形板の側部)との連接部に、それぞれ傾斜面29、30が形成されている。なお、この2脚ブロック形態の2脚単位ブロック部材211においても、面板部22は
図1の4脚単位ブロック部材101と同じ巾寸法dを有している。
図2の2脚単位ブロック部材211においても、その矩形面板部22には裏面に通じる多数の通水孔78が形成され、また矩形底面部23の底面27および傾斜面29にはそれぞれ裏面へのびる多数の小径通水孔79が形成されている。
【0026】
図3(a),(b)に示す実施例の単位ブロック部材311(a),311(b)は、脚部が1本の単脚ブロック形態の構成とした例である。中心に貫通孔32をもつ矩形板33と、矩形板33の面板部34の2側縁に形成された区画壁35と、貫通孔32と整合して矩形板33の他方の片面に形成された1本の中空筒状脚部39とを有している。この単脚の単位ブロック部材311(a),311(b)は主として施設構成体の角部分に配置される場合が多いことから角部単位ブロック部材と称される。この単脚形態の単位ブロック部材311(a),311(b)においても、矩形板33の面板部34と区画壁35との連接部、および矩形板33の面板部34と矩形板側部36との連接部に、それぞれ傾斜面37、38が形成されている。一方の単脚の単位ブロック部材311(b)の中空筒状脚部39の先端には凸状の嵌合部95が形成され、他方の単脚単位ブロック部材311(a)の中空筒状脚部39の先端には前記凸状の嵌合部95と嵌合する凹状の嵌合部(図示せず)が形成されている。後述するように、一対の単脚の単位ブロック部材311(a),311(b)をその脚部の先端同士を上下に向き合せて結合し、1脚柱形態のブロックユニットを形成する場合に各脚部39の先端の凸状嵌合部95と凹状の前記嵌合部が嵌合される。また、
図1,
図2の4脚単位ブロック部材101、2脚単位ブロック部材211と同様に、この単脚単位ブロック部材311(a),311(b)においても、矩形板33の面板部34には貫通した多数の通水孔84および小径通水孔85が形成されている。これらの通水孔は
図1,
図2の場合と同様に傾斜面37,38にも形成されている。
【0027】
図4は本発明の実施例に係る枠状ブロックユニット40を示した斜視図である。実施例の枠状ブロックユニット40は、
図1に示した4本脚の単位ブロック部材10を上下に向き合せて連結した構成となっている。一対の同形状の4脚単位ブロック部材101がその各々の中空筒状脚部16を軸線方向に向き合うように配置され、両者の中空筒状脚部16の先端面に形成された凹凸部が嵌合、連結されて本発明に係る枠状ブロックユニット40が構成される。つまり、一対の4脚単位ブロック部材101の方形板11の裏面11b同士が向き合せられ、その間が脚部16を接合した4本の脚柱で連結された構造となっている。
図4の4脚柱形態の枠状ブロックユニット40においては、
図1に示した構成部材と同様の部分には同じ符号を付し、その重複した説明は可能な範囲で省略する。また、
図4における枠状ブロックユニット40の面板部12の表面およびその裏面11bは作図上明瞭化のために白抜きの形態で示してあるが、実際には
図1で説明したように貫通した通水孔73(
図1)が形成されており、また、矩形凹部15にも裏面へ貫通する多数の小径通水孔74(
図1)が形成されている。
【0028】
本発明に係る雨水貯留浸透施設を構成する部材要素として、4脚柱形態の枠状ブロックユニット40のほかに、
図5に示された2脚柱形態の枠状ブロックユニット41が用いられる。この2脚柱形の枠状ブロックユニット41は、
図2に示された2脚形態の一対の単位ブロック部材(側部2脚単位ブロック部材)211がそれらの中空筒状脚部25同士を向き合せて連結された構成となっている。
図5の2脚柱形態の枠状ブロックユニット41の場合も、実際には矩形面板部22には貫通した多数の通水孔78(
図2)が形成され、矩形底面部23および傾斜面29,30には貫通した多数の通水孔79(
図2)が形成されているが、
図5では明瞭化のためこれらの通水孔は図示省略されている。
図5の枠状ブロックユニット41で
図2の2脚単位ブロック部材211と同様の構成部分には同じ符号を付してある。
【0029】
そのほか本発明に係る雨水貯留浸透施設を構成する部材要素として、
図3(a),(b)に示した一対の単脚形態の単位ブロック部材(角部単位ブロック部材)311(a),311(b)がそれらの中空筒状脚部39同士を向き合せて連結された1脚柱形態のブロックユニット(角部ブロックユニット)42が用いられる(
図6)。
図6に示す1脚柱形態のブロックユニット42の場合も矩形板の面板部34には貫通した多数の通水孔および小径通水孔が形成され、また傾斜面37,38にも小径通水孔が形成されているが、
図6に作図上明瞭化のため図示省略してある。
図6において
図3(a),(b)の部材と同様の部分には同じ符号を付してある。
【0030】
本発明の実施例に係る雨水貯留浸透施設は、4脚ブロック形態構成の一対の前記単位ブロック部材から成る複数の前記枠状ブロックユニットが互いに所定の間隔を有してX、Y方向に並べられて地中に設置された形態を基本的な槽構成とし、状況により槽の側部に2脚柱形態の枠状ブロックユニットが、また槽の角部に1脚柱形態の単位ブロック部材から成るブロックユニットが設置された構成としている。このようなブロックユニットで構成された槽の上面全体が多数の通孔をもつ蓋板および浸水可能な遮蔽体で遮蔽された構造となっている。
【0031】
図7は4脚柱形態の枠状ブロックユニット40を複数個互いに所定の間隔を有してX、Y方向に配置して覆土中に埋設し、この構成体全体の2側部に2脚柱形態の側部枠状ブロックユニット41を配置し、また、構成体の角部に単脚柱形態の角部ブロックユニット42を配置した構成としている。図示の例はX、Y方向に並べた枠状ブロックユニットによる構成体を1段構成とした例であるが、後述するように上下に複数段積み重ねた構成とすることで、より多くの雨水貯留空間を確保することができる。浸透タイプとして構成する場合は、構成体の上面に浸水可能な蓋体を敷き詰め、さらに透水シートで覆い、また構成体の底部および側部にも適当な透水シートで覆うことで、土砂の流入を防ぎながら雨水を枠状ブロックユニットの構成体内に浸透させることができる。また雨水の貯留タイプとする場合は構成体の側部および底部を保護シートや遮水シートで覆った構成とされる。
図8は
図7に示す1段形態の構成体の下側で基礎床上に配置されるベースブロック構成体47を示したものである。これらのベースブロック構成体47の上面は
図1乃至
図3の単位ブロック部材101、211、311(a)、311(b)の形状と同等であるが、下面から延びる脚柱は存在しない。
【0032】
次に、
図9に示すように、X、Y方向に配置した枠状ブロックユニットによる構成体を上下に複数段積み重ねた構成の雨水貯留浸透施設について説明する。図示の例は2段構成の雨水貯留浸透施設50であり、複数の4脚柱形の枠状ブロックユニット40をX、Y方向に配置したものを上下2段に積み上げて貯留槽を形成し、その側部に2脚柱形態の枠状ブロックユニット41を、また角部に1脚柱のブロックユニット42を配置した構成としている。
図10は上下に3段構成とした雨水貯留浸透施設58の斜視図である。
図9、
図10とも4脚柱形枠状ブロックユニット40、2脚柱形枠状ブロックユニット41および1脚柱形ブロックユニット42はそれらの面板部に形成される通水孔は図示省略してあるが、実際には既に記載のように貫通した多数の通水孔や小径通水孔が形成されている。
図11に示すように、最上段の4脚柱および2脚柱枠状ブロックユニット、および角部ブロックユニットには通水孔(図示省略)をもつ蓋部材55、56、57が設けられている。
【0033】
次にX、Y方向に配置した枠状ブロックユニットを2段以上に積み上げる場合の積み上げ形態について
図12を参照して説明する。
図12は下側の枠状ブロックユニット51とその上側に設置される枠状ブロックユニット52との配置関係を概略的に示した部分的な平面図である。なお、明瞭化のために下側(1段目)の枠状ブロックユニット51を実線で示し、その上側(2段目)の枠状ブロックユニット52は仮想線で示してある。まず、4脚ブロック形態構成による前記単位ブロック部材の前記十字形平面部の前記腕部の巾寸法dに相当する間隔dを有してX、Y方向に並べられた下側の前記枠状ブロックユニット51の上側に、対角線方向にずれた位置で、かつ下側のそれぞれ4つの前記枠状ブロックユニット51の対角線方向に隣接した4隅部の矩形凹部に跨がるように上側の前記枠状ブロックユニット52がX、Y方向に複数個並んで配置され、下側と上側の前記枠状ブロックユニット51、52の前記矩形凹部同士が接合されている。なお、仮想線で示す2段目の枠状ブロックユニットの上に配置される3段目の枠状ブロックユニット(図示せず)は実線の1段目の枠状ブロックユニット51に対応した1段目と同じ位置に配置される。また、このように対角線方向にずれた位置関係で上下の枠状ブロックユニットが配置されることによる構成体の側部間隙および角部の間隙を埋めるように、構成体の側部に2脚柱構成の側部枠状ブロックユニット41(
図5)および1脚柱構成の角部ブロックユニット42(
図6)が配置されている。
【0034】
図13は本発明の実施例に係る雨水浸透型雨水貯留浸透施設の概略的な全体側部断面図であり、
図14は貯留タイプとして構成した実施例の雨水貯留型雨水貯留浸透施設の概略的な全体側部断面図である。また
図15は
図13の部分的な拡大側部断面図である。この実施例では枠状ブロックユニット115(
図15)が上下3段に積み上げられた貯留槽の形態に構成されて地中に埋設され、その片方の外側の地中直下に雨水の流入溜めが、また他方の片側に貯留水の流出溜めが配置されている。なお、
図13の実施例では槽の底面および側面全体が透水シートで覆われた浸透タイプとして構成されている。槽外の雨水流入溜め102には地面からの雨水の導入管103が連通され、この流入溜め102の雨水が雨水流入管104を介して雨水貯留浸透施設105の最上段の、実施例では3段目の枠状ブロックユニットに流入されるようになっている。また、
図13に示す雨水貯留浸透施設は浸透タイプの施設として構成されたものであって、貯留浸透槽全体の外側面106、槽上面107および槽底面108の全面が透水シートで覆われている。地上面110から施設上部の土盛り111に浸入した雨水は槽上面107の透水シートから槽内に浸入するとともに、槽内の雨水の一部は槽の側部および槽底部の透水シートを通して地中112へ浸透する。雨水貯留浸透施設105に溜められた雨水は施設他端側の槽上部の流出管113から槽外の流出溜め114に排出される。図示の実施例では、流出溜めはタンデムに2体設けられ、その間が流出管で連結されている。これらの槽外の流入溜め102および流出溜め114には雨水と一緒に流れ込む土砂やゴミ等の汚泥が溜まるため、定期的に、あるいは随時に清掃される。
【0035】
図14に示す雨水貯留浸透施設は貯留タイプの施設として構成されている。枠状ブロックユニットを多段に積み重ねた貯留浸透槽自体は
図13の浸透タイプのものと変わりないが、貯留タイプでは、土盛りされた槽の上面107、外側面106全域および槽底面108の全域が非浸透性のシートで覆われた構成となっている。なお、槽の側面、底面および上面は3層のシート構成となっており、内側と外側に保護シートが、その中側に遮水シートが設置された形態となっている。貯留タイプでは、槽内の雨水が底部から地中へ浸透することがなく、槽内に雨水が多量に溜まるので、浸透タイプに比べて流出溜め114も大きな容量のものが使用される。図示のように流出溜め114が槽底部で流出管116によって連結され、槽上部と流出溜め114がオーバーフロー管117で連結されている。この雨水貯留浸透施設は、プラスチック材により形成されている。
【0036】
図15に基づき説明すれば、槽外の流入溜め102に溜まった雨水は流入管104を介して雨水貯留浸透施設105の枠状ブロックユニット115で構成された槽内に流入するが、この流入管104に隣接して雨水貯留浸透施設105の槽内に所要広さの堆砂滞留空域部118が設けられている。堆砂滞留空域部118には後述するように堆砂滞留板120によってその周囲が閉塞されている。槽外の流入溜め102と堆砂滞留空域部118とをつなぐ流入管104にはゴミ取りフィルター121が設けられているものの、長期の使用継続により、流入する雨水と共に土砂やゴミ等の汚泥がこの堆砂滞留空域部118の堆砂滞留板120で囲まれた底部に溜まり、貯留浸透施設105の槽全域には拡散しない。滞留空域部118の上部には管理用点検口122が設けられている。点検口122は地上面110に開口するが、通常時は蓋閉されている。点検口122から滞留空域部118の内部の状況、堆砂の堆積状態等を点検し、また点検口122から滞留空域部118内の堆砂やゴミの除去、清掃が行われる。
図13の実施例では3段積みの枠状ブロックユニット115の1段目と2段目のブロックユニットに対して堆砂滞留空域部118を囲むように堆砂滞留板120が設けられている。他の実施例として3段全域に、あるいは1段目のみ堆砂滞留板が設けられる形態も可能である。
【0037】
図16は堆砂滞留空域部における底部の単位ブロック部材123の配列状態の一例を示した斜視図、
図17は
図16に示す堆砂滞留空域部118の底部の単位ブロック部材123に本発明に係る堆砂滞留板120を設置した状態の斜視図である。また、
図18は本発明の実施例に係る雨水貯留浸透施設の堆砂滞留空域部118を示す斜視図である。なお、この実施例では枠状ブロックユニット115を上下2段に積み上げた形態の例を示している。この2段構成の実施例では、最下段の枠状ブロックユニット115における隣接した脚柱124の間が堆砂滞留板120によって閉塞されており、これによって堆砂滞留空域部118の下部周囲が閉塞された形態となり、流入管から堆砂滞留空域部118に流れ込んだ雨水に含まれる土砂やゴミ等の汚泥は雨水貯留浸透施設全体に拡がることなく堆砂滞留空域部118に集められる。
【0038】
図19は本発明の実施例に係る堆砂滞留板の斜視図である。
図20は4脚柱形の枠状ブロックユニットに挟持された状態の堆砂滞留板の斜視図である。また、
図21は単位ブロック部材の脚部間に堆砂滞留板120が装着された状態の斜視図であり、
図22は4脚枠状ブロックユニットの隣接した脚柱の間に堆砂滞留板120が挟持された状態の斜視図である。枠状ブロックユニット115の脚柱は、
図4~
図5にも示すように、中央部130がやや縮径となったテーパ状(円錐状)の円形横断面の柱体であり、堆砂滞留板120はこの脚柱体の周側部に緊密に接合する側部形状を有している。
図19に明示されるように、堆砂滞留板120の両側部120aは、前記枠状ブロックユニットの円錐状脚柱の形状に対応して中途部が若干外側へ屈曲した形状を成し、かつ枠状ブロックユニットの円錐状脚柱の円周に密着するように湾曲した巾広の側部形状となっている。側部の上下にのびる縦長広巾部は脚柱の周面に密着するように上下方向に対して横方向に湾曲しており、この縦長広巾部に連接して脚柱の周面を抱え込むように湾曲した鍔部120cが形成されている。このような側部形状により、脚柱の側部と堆砂滞留板120の側部120aとの接触面積は広くなり、堆砂滞留空域部118に堆積した汚泥の外部への漏れ出しが防止される。堆砂滞留板120の上下端部には係止突部120bが形成され、また、堆砂滞留板120の上下端部を挟む枠状ブロックユニット115の面板には堆砂滞留板120の係止突部120bと嵌合する係止凹部(図示省略)が形成され、堆砂滞留板120は堆砂滞留空域部118内に溜まる雨水の水圧にも確実に耐え得るようになっている。尚、堆砂滞留板120はプラスチック材による一体成型により形成されており、これにより、プラスチック材からなる雨水貯留浸透施設の各ブロックユニットにプラスチック素材特有の弾性を以て篏合されるのである。
【0039】
雨水の流入管に隣接する堆砂滞留空域部118の側部は多数の通水孔のある側板131で覆れるが、
図22に示されるように、この側板131には雨水流入管が挿入される開口132が形成されている。3段積み形態の貯留槽で堆砂滞留空域部118の2段目まで滞留板を設置した場合、堆砂滞留空域部118に流入した雨水の流入量が多くなった場合は、堆砂滞留板120の上縁から雨水が隣の槽へオーバーフローし、排水側の流出管から槽外の流出溜め114(
図13、
図14)に排出される。3段積みの施設貯留槽で3段目の枠状ブロックユニット115まで堆砂滞留板120を設置することも可能であるが、このような場合には3段目の堆砂滞留板には
図23に示すように雨水のオーバーフロー孔133を設けてこの孔から雨水をオーバーフローさせるようにすることができる。流入管側の堆砂滞留板には流入管と連通する雨水の流入孔が設けられる。
【0040】
以上説明したように本発明によれば、雨水貯留浸透施設の管理用点検口およびその下側の雨水滞留空域部を雨水の流入口に隣接して設け、その周囲を堆砂滞留板の壁で囲むことにより、雨水と一緒に流入した砂やゴミを前記滞留空域内に集積させることができ、槽内の堆積土砂、汚泥の除去、清掃が容易となり、長期に雨水の貯留施設機能を維持できる。
【0041】
次に、
図24に基づき本発明の他の実施例に係る堆砂滞留板220について説明する。この堆砂滞留板220は、プラスチック材による一体成型により形成されており、前記
図19に示す本発明の第1の実施例に係る堆砂滞留板120と基本的構造は同じである。すなわち、堆砂滞留板220の両側部220aは、前記枠状ブロックユニットの円錐状脚柱の形状に対応して中途部が若干外側へ屈曲した形状を成し、かつ枠状ブロックユニットの円錐状脚柱の円周に密着するように湾曲した巾広の側部形状となっている。側部の上下にのびる縦長広巾部は脚柱の周面に密着するように上下方向に対して横方向に湾曲しており、この縦長広巾部に連接して脚柱の周面を抱え込むように湾曲した鍔部220cが形成されている。また、堆砂滞留板220の上下端部には係止突部220bが形成され、堆砂滞留板220の上下端部を挟む枠状ブロックユニット115に形成された係止凹部(図示省略)と篏合するようになっている。
【0042】
このような堆砂滞留板220のプラスチック板体の板面には、雨水排出口として機能する孔部230ab及び240abが開口されている。この孔部について詳述すれば、堆砂滞留板220の板面の長手方向中央線を挟んで一対の孔部240abが、その上下に一対の孔部230abが開口されている。
【0043】
堆砂滞留板220は、
図25に示すように堆砂滞留空域部118の底部の単位ブロック部材123に本発明に係る堆砂滞留板220が篏合され、更に、
図26に示すように、堆砂滞留板220の上下端部を挟む枠状ブロックユニット115に形成された係止凹部(図示省略)と篏合するようになっている。このようなユニットが連接されて、
図27に示す如く雨水貯留浸透施設205を構成する。
【0044】
この孔部230ab及び240abが開口されてなる堆砂滞留板220は、雨水貯留浸透施設205の最側面部に設置することを想定しており、雨水貯留浸透施設205内に貯留した雨水を雨水貯留浸透施設205外に浸透させながら徐々に放出する機能を有する。尚、この場合、雨水の浸透量を制御すべく雨水貯留浸透施設205を不織布で覆ってもよい。
【符号の説明】
【0045】
102 流入溜め
104 流入管
105 雨水貯留浸透施設
110 地上面
115 枠状ブロックユニット
111 土盛り
112 地中
113、116 流出管
114 流出溜め
115 枠状ブロックユニット
117 オーバーフロー管
118 堆砂滞留空域部
120 堆砂滞留板
120a 堆砂滞留板の側部
120b 堆砂滞留板の上下端部の係止突部
120c 堆砂滞留板の側部の鍔部
122 点検口
205 雨水貯留浸透施設
220 堆砂滞留板
220a 堆砂滞留板の側部
220b 堆砂滞留板の上下端部の係止突部
220c 堆砂滞留板の側部の鍔部