(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182911
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】表現技法アート
(51)【国際特許分類】
B32B 37/14 20060101AFI20221201BHJP
B32B 29/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B32B37/14 Z
B32B29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021111112
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】521292009
【氏名又は名称】濱窪 奈津子
(72)【発明者】
【氏名】濱窪 奈津子
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB01B
4F100AK01B
4F100AP00B
4F100AT00B
4F100BA02
4F100BA07
4F100DD03
4F100DD03A
4F100DG10
4F100DG10A
4F100EJ82
4F100EJ82A
4F100GB08
4F100HB00
4F100HB00A
4F100JL10
4F100JL10A
(57)【要約】
【課題】 着色部のある紙に透明な樹脂の溶剤を浸透させて固めることで、着色部を浮かび上がらせて視認できると共に、装飾用部材ならびに固定部材を利用することによって幻想的な作品を提供する。
【解決手段】 着色部のある紙と、透明な樹脂の溶剤と、板材と、
を備え、前記透明な樹脂の溶剤を前記着諸部のある紙(たとえば、着色部としてレジンや漆など)に浸透させ、前記透明な樹脂の溶剤と共に硬化させ、前記板材に固定し、前記着色部のある紙の着色部を前記透明な樹脂の溶剤に浮かび上がらせて視認できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色部のある紙と、
透明な樹脂の溶剤と、板材と、を備え、前記透明な樹脂の溶剤を前記着色部のある紙に浸透させ、前記板材に固定し、前記着色部のある紙の着色部を前記透明な樹脂の溶剤に浮かび上がらせることを特徴とする表現技法アート。
【請求項2】
請求項1に記載の表現技法アートにおいて、
アクセサリーなどに使用する装飾用部材として、金物、プラスチック、樹脂、木材等であることを特徴とする表現技法アート。
【請求項3】
請求項1、および請求項2に記載の表現技法アートに置いて、
光源機器と固定部材を組み合わせて表現することができることを特徴とする表現技法アート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色部のある紙を透明な樹脂の溶剤に浸し硬化させることで、着諸部のない部分を透過させ、着色部のある部分のみを残し、透明な樹脂の溶剤の中に、着色部のある紙の着色部のみを浮かび上がる表現技法アートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙に着色部として墨や絵の具などの塗料で作品を描く美術表現、例えば掛軸、巻物などでは、下地となる紙に塗料を定着させることで表現を成立させていることから、塗料の無い部分では下地の紙が必ず視認される表現技法であった。
【0003】
また、特開昭58-209599によると、紙の美術作品を長期にわたり保存、掲出するためには、
図5で示すように「裏打ち」(裏から別の紙や布をでんぷん粉などで貼る)などで固定、強化する技法が用いられてきた。
【先行特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
和紙や画仙紙、洋紙などを使用した作品には前述の裏打ちを使用した技法が用いられてきたが、従来の技法では平面的に表現が制限されてしまい、奥行きのある表現は難しいとされてきた。
また、紙を着色した際の発色が、水分の乾燥と共に抑えられてしまい、着色した際の色味と異なることが問題点であった。
【0006】
また、作品の固定、強化の観点でも、裏から紙を支えているため表面は無防備であり、下地の紙が経年劣化や、摩擦などにより損傷する危険性があった。この対策として、裏から紙を当てる方法が存在するが、この際に使用する糊が経年とともに作品側ににじみ出し、シミとなって作品を汚す危険性があった。
【0007】
そこで、着色部のある紙を板材に固定させ、着色部のある紙に透明な樹脂の溶剤(たとえば、レジンや漆など)を浸透させて固めることで、着色部を浮かび上がらせて視認できると共に、装飾用部材ならびに固定部材を利用することによって幻想的な作品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明では、
着色部のある紙と、透明な樹脂の溶剤と、板材と、を備え、前記透明な樹脂の溶剤を前記着色部のある紙に浸透させ、前記溶剤と共に硬化させ、前記板材に固定し、前記着色部のある紙の着色部を前記透明な樹脂の溶剤に浮かび上がらせて視認できることを特徴とする表現技法アートとした。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の表現技法アートにおいて、アクセサリーなどに使用する装飾用部材として、金物、プラスチック、樹脂、木材等を装着し壁面や身体を装飾することができることを特徴とした。
【0010】
また、請求項3に係る発明品は、
請求項1および請求項2に記載の表現技法アートにおいて、固定部材に光源機器を取り付けることによって、着色部分の影が発生し、幻想的な視覚を生み出すことができる。
【発明の効果】
【00011】
本発明により、表現的に作品の下地である紙が樹脂の溶剤に透過したまま硬化するため、紙の着色部のみが鮮やかな発色のまま残るため、透明な中空に紙の着色部(たとえば、書画や墨象)のみが浮かび上がっているような、奥行のある視覚効果が実現できる。
【0012】
また、作品の固定、強化についても、硬化した樹脂の溶剤の中に作品を閉じ込めるため、作品の表面が保護され、紙の経年劣化や摩擦による損傷の危険性を解消でき、シミの発生も阻止できるために長期保存が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明の実施形態におけるA-A’断面図である。
【
図3】本発明の実施形態における装飾用部材を接続した図である。
【
図4】本発明の実施形態における照明器具を取り付けた図である。
【
図5】背景技術の「裏打ち」(裏から別の紙や布をでんぷん糊などで貼る)をして作品を強化している図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係わる表現技法アート10を示しており、着色部のある紙を透明な樹脂の溶剤を硬化させ、着色部のみを浮かび上がらせたものである。
【0015】
図2は、
図1で示した構造の断面図を示したものである。板材10cに着色部のある紙10bを固定し、その上から透明な樹脂の溶剤10aを流し固めた状態を示している。これにより、紙の着色部のみが浮かび上がって視認できるようになる。
【0016】
図3は、
図1で示した表現技法アート10を飾るために、装飾部材20を取り付けたものである。
図3で示している装飾部材20はチェーンであり、ネックレスや壁面用装飾品として使用することができる。なお、チェーンのほかにフックなど、装飾に可能な部材を用いても良い。
【0017】
図4は、
図1で示した表現技法アートに対して、固定部材100を使用し、光源装置を取り付けた図である。たとえば、光源装置として照明器具を用いても良い。
【符号の説明】
【0018】
10 表現技法アート
10a 樹脂の溶剤
10b 紙
10c 板材
20 装飾用部材
50 光源機器
100 固定部材
200 裏打ち用紙