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特開2022-182936ラテックス溶液を製造するためのラテックス添加剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182936
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】ラテックス溶液を製造するためのラテックス添加剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C08K 3/011 20180101AFI20221201BHJP
   C08K 3/16 20060101ALI20221201BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20221201BHJP
   C08L 33/08 20060101ALI20221201BHJP
   C08L 21/02 20060101ALI20221201BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20221201BHJP
   C08J 3/02 20060101ALI20221201BHJP
   C08J 3/03 20060101ALI20221201BHJP
   C08J 5/02 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
C08K3/011
C08K3/16
C08K5/00
C08L33/08
C08L21/02
C08K3/22
C08J3/02 B CEQ
C08J3/03
C08J5/02
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135262
(22)【出願日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】110119079
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】521371463
【氏名又は名称】プレシャス マウンテン エンタープライズ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Precious Mountain Ent.Corp.
【住所又は居所原語表記】Vistra Corporate Services Centre, Wickhams Cay II, Road Town, Tortola, VG1110, British Virgin Islands
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 隆志
(72)【発明者】
【氏名】林▲黄▼▲薫▼慧
【テーマコード(参考)】
4F070
4F071
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA07
4F070AC12
4F070AC14
4F070AC15
4F070AC18
4F070AC36
4F070AC40
4F070AC43
4F070AC83
4F070AE08
4F070AE14
4F070CA02
4F070CA18
4F070CB01
4F070CB13
4F071AA13
4F071AA33
4F071AB15
4F071AB18
4F071AC05
4F071AC09
4F071AC10
4F071AF15
4F071AF28
4F071AF34
4F071AF53
4F071AH19
4F071BA05
4F071BB02
4F071BB13
4F071BC04
4F071BC07
4J002AC071
4J002AC111
4J002BG042
4J002DD066
4J002DE076
4J002DE096
4J002DE146
4J002EC057
4J002EG017
4J002EH037
4J002FD017
4J002FD146
(57)【要約】
【課題】ラテックス溶液を製造するためのラテックス添加剤組成物を提供する。
【解決手段】ラテックス溶液を製造するためのラテックス添加剤組成物は、無硫黄架橋剤及びバイオマスフィラーを含む。前記無硫黄架橋剤は、酸化アルミニウム、塩化カルシウム、酸化マグネシウム、二酸化ジルコニウム、又はそれらの組み合わせを含む。前記バイオマスフィラーは、ソルビトール、ポリアクリレート、ラウリン酸塩、1,2-ジアセチン、1,3-ジアセチン、又はそれらの組み合わせを含む。前記ラテックス溶液に前記無硫黄架橋剤及びバイオマスフィラーを添加する時に、ラテックス100部を基準として、前記無硫黄架橋剤の添加量が0.1~5.0部であり、前記バイオマスフィラーの添加量が0.1~20.0部である。無硫黄架橋剤及びバイオマスフィラーの重量比は、1:200~50:1の範囲にある。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無硫黄架橋剤及びバイオマスフィラーを含み、
前記無硫黄架橋剤は、酸化アルミニウム、塩化カルシウム、酸化マグネシウム、及び二酸化ジルコニウムを含み、
前記バイオマスフィラーは、ソルビトール、ポリアクリレート、ラウリン酸塩、1,2-ジアセチン、及び1,3-ジアセチンを含み、
前記無硫黄架橋剤及び前記バイオマスフィラーの重量比は1:200~50:1の範囲にあり、
前記ポリアクリレートは、アニオン性官能基、非イオン性官能基、又はそれらの組み合わせを有することを特徴とする、ラテックス溶液を製造するためのラテックス添加剤組成物。
【請求項2】
前記無硫黄架橋剤及び前記バイオマスフィラーの重量比は、1:2又は2:3であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アニオン性官能基は、スルホン酸塩官能基、炭酸塩官能基、カルボン酸塩官能基、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記非イオン性官能基は、エーテル類官能基、フェノール類官能基、アミド類官能基、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラテックス溶液を製造するためのラテックス添加剤組成物、特に添加剤として無硫黄架橋剤及びバイオマスフィラーを添加して製造した環境保護手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の市場では、NBR(ニトリルゴム)の加工及び応用は、ゴム製品及び非ゴム製品に大別される。XNBR(カルボキシル化ニトリルゴム)は、主に含浸手袋、紙加工、耐油性スポンジ等に使われている。19世紀の終わりにNR(天然ゴム)から手袋を製造する技術が開発されたが、手袋の需要の増加に伴い、現在、含浸加工製品の中、含浸手袋の割合が60%を超えている。しかしながら、NRに含まれるタンパク質成分で特殊な体質の使用者のアレルギー反応を起こすため、近年では、NRの代わりにXNBRを利用して含浸手袋を作るのは主流になっている。XNBRが優れた化学耐性及び引張強さを有するため、大半の含浸手袋メーカーは、XNBRを好ましい材料として利用される。
【0003】
含浸手袋は、用途に応じて電子グレード、医療グレード、食品グレード、工業グレードの4種類に大別され、その製造工程も種類によって異なる。含浸手袋の用途において、XNBRは、凝集含浸法によって製作され、その製作工程として、ラテックスの調製、凝固剤の付着、ラテックスの付着、乾式加硫、及び手袋製品の後処理の5つの段階に大きく分けられる。手袋製品の物理的特性を決める要因としては、ラテックス自体の性質だけではなく、ラテックスの調製段階で使用した添加剤も重要である。
【0004】
各メーカーが生産した手袋の種類及びその応用性が異なるため、開発したラテックスの調製レシピも異なるが、使用される添加剤の種類が類似している。表1に典型的な含浸手袋用の添加剤を示す。
【表1】
【0005】
表1から分かるように、添加剤の中、硫黄、酸化亜鉛、二酸化チタン及び促進剤等は、いずれも非水溶性且つ分散しにくい無機塩又は金属塩であるため、それらの水性分散体が長期間経つと吸着、凝集しやすくなる。そのため、手袋生産メーカーは、前記水性分散体を使用する時に慎重に撹拌、ひいては研磨等の工程を行う必要がある。前記工程が十分に行われなかった場合、添加剤がラテックスに十分に分散できず、手袋製品の引張強さ、ピンホール率、及び外観等の性質に大きな影響を及ばす。また、硫黄触媒の人体への影響に関する研究報告が次々に提出されているため、市場の需要に応じ、硫黄架橋剤に取って代わる新型の架橋剤も開発、市販されている。前記新型の架橋剤は、硫黄架橋剤を添加しなくても優れた膜形成引張強度を有するため、硬化時間による生産コストの浪費を減らすことができる。また、低分散性の硫黄を添加していないため、配合したエマルジョンは、高安定性、長期保存性、沈殿を生じにくい等の特徴を有する。また、健康への影響がある硫黄促進剤を使用しないように、これまで、多くのメーカーは、XNBRに適用する無硫黄架橋剤を提供している。このような特殊な金属錯体を含む水性分散液から製造した手袋製品は、その応用性が既に従来の硫黄含有手袋を超えている。また、無機成分及び金属成分を含む硫黄架橋添加剤を使用しないため、適切な生産パラメータを設定すれば、複雑且つエコではないオフライン洗浄工程を行われなくても、高清浄度を要求する電子グレードの手袋を生産できる。
【0006】
また、高分子複合材料(polymer composites)は、1つの材料又は複数の異なる性質を持つ材料をポリマーで結合する複合材料である。このような多相材料は、元の材料の性質を有する上、最適な性能を有するように製品の要求に応じて設計できる。それに鑑みて、NBRとPVC(ポリ塩化ビニル)を混合する概念が開発されている。このようなブレンドゴムの主な利点は、PVCの耐オゾン性及びNBRの耐油性及び架橋性を備える。この概念を使い捨て手袋の開発に利用すると、XNBR及びPVCを主体とし、両方の欠点を解決し、さらに両方の利点を組み合わせる斬新なブレンド手袋の開発が期待されている。
【0007】
環境保護の意識の高揚につれて、バイオマス等の環境保護材料を手袋製品に利用すると、手袋の生産メーカー及び使用者の期待を満足し、手袋の高汚染性及び低環境保護性の印象を改善できると考えられる。
【0008】
上記内容は、あくまで背景技術を説明するものである。本発明は、上記内容に開示される当業者に知られていた従来技術に限定されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それを鑑みて、本発明は、そのままXNBR溶液に添加できる修飾架橋剤及び環境に優しいバイオマス添加剤を提供する。前記修飾架橋剤は、無硫黄架橋剤である。前記バイオマス添加剤は、バイオマスフィラーである。このような特殊なラテックス添加剤は、ラテックス含浸液において、高い分散性及び安定性を有し、生産能力を向上させ、且つ環境に優しいバイオマス手袋を生産できる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のラテックス溶液を製造するためのラテックス添加剤組成物は、無硫黄架橋剤及びバイオマスフィラーを含む。前記無硫黄架橋剤は、酸化アルミニウム、塩化カルシウム、酸化マグネシウム、二酸化ジルコニウム、又はそれらの組み合わせを含む。前記バイオマスフィラーは、ソルビトール、ポリアクリレート、ラウリン酸塩、1,2-ジアセチン、1,3-ジアセチン、又はそれらの組み合わせを含む。前記ラテックス溶液に前記無硫黄架橋剤及び前記バイオマスフィラーを添加する時に、ラテックス100部を基準として、前記無硫黄架橋剤の添加量は0.1~5.0部であり、前記バイオマスフィラーの添加量は0.1~20.0部である。言い換えれば、無硫黄架橋剤及びバイオマスフィラーの重量比は、1:200~50:1の範囲にある。
【0011】
本発明の1つの実施例において、前記無硫黄架橋剤の分子サイズは、10nm~5000nmである。
【0012】
本発明の1つの実施例において、前記ラテックスの総重量を基準として、前記無硫黄架橋剤は0.1wt%~50wt%であり、好ましくは0.1wt%~30wt%である。
【0013】
本発明の1つの実施例において、前記ラテックスの総重量を基準として、前記バイオマスフィラーは0.1wt%~50wt%であり、好ましくは0.1wt%~30wt%である。
【0014】
本発明の1つの実施例において、前記ポリアクリレートは、アニオン性官能基、非イオン性官能基、又はそれらの組み合わせを有する。
【0015】
本発明の1つの実施例において、前記アニオン性官能基は、スルホン酸塩官能基、炭酸塩官能基、カルボン酸塩官能基、又はそれらの組み合わせである。
【0016】
本発明の1つの実施例において、前記非イオン性官能基は、エーテル類官能基、フェノール類官能基、アミド類官能基、又はそれらの組み合わせである。
【0017】
本発明の1つの実施例において、前記ラテックスは、カルボキシル化ニトリルラテックスである。
【0018】
本発明は、ラテックス溶液に上記ラテックス添加剤組成物を添加してなるラテックス組成物を提供する。ラテックス100部を基準として、前記無硫黄架橋剤の添加量は0.1~5.0部であり、前記バイオマスフィラーの添加量は0.1~20.0部である。言い換えれば、無硫黄架橋剤及びバイオマスフィラーの重量比は、1:200~50:1の範囲にある。
【0019】
本発明は、適切な可塑剤、安定剤、粘度低下剤、マスキング剤、NBR等を選択して機能性添加剤を調製し、さらにPVC及びバイオマスフィラーと共にバイオマス手袋(NITRO-V手袋)含浸液を製造できる。その製造方法は、後述実施例で説明する。
【0020】
機能性添加剤において、可塑剤は、フタル酸エステル(Phthalate)、テレフタレート(Terephthalates)、及びポリエステル(Polyesters)が挙げられる。安定剤は、金属石鹸安定剤が挙げられる。粘度低下剤は、アルカン異性体、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールイソ酪酸エステルが挙げられる。NBRは、液体NBRが挙げられる。
【0021】
本発明の手袋含浸液は、PVC、機能性添加剤、及びバイオマスフィラーを含む。手袋含浸液に機能性添加剤及びバイオマスフィラーを添加する時に、PVC100部を基準として、機能性添加剤の添加量は30~200.0部であり、バイオマスフィラーの添加量は0.1~90.0部である。
【0022】
好ましくは、前記機能性添加剤は、可塑剤、安定剤、粘度低下剤、マスキング剤、液体NBR、及びバイオマスフィラーを含む。
【0023】
好ましくは、可塑剤は、フタル酸エステル、テレフタレート、ポリエステル、又はそれらの誘導体である。
【0024】
好ましくは、安定剤は、金属石鹸安定剤である。
【0025】
好ましくは、前記金属石鹸安定剤は、カルシウム金属石鹸及び亜鉛金属石鹸を含む。
【0026】
好ましくは、前記金属石鹸安定剤は、ビスフェノールA、ノニルフェノール、及びフェノールを含まない。
【0027】
好ましくは、粘度低下剤は、アルカン異性体、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールイソ酪酸エステル、又はそれらの誘導体を含む。
【0028】
好ましくは、マスキング剤は、二酸化チタン顔料である。
【0029】
好ましくは、前記二酸化チタン顔料における二酸化チタンの含有量は、93%を超える。
【0030】
好ましくは、液体NBRは、ブタジエンとアクリロニトリルとの重合物。
【0031】
好ましくは、前記ブタジエンとアクリロニトリルとの重合物におけるアクリロニトリルの含有量は、26~35%である。
【0032】
好ましくは、バイオマスフィラーは、ラウリン酸塩、1,2-ジアセチン、又は1,3-ジアセチンである。
【0033】
好ましくは、バイオマスフィラーは、ラウリン酸塩と1,2-ジアセチンと1,3-ジアセチンとの混合物である。
【0034】
好ましくは、手袋含浸液の総重量を基準として、バイオマスフィラーの総含有量は、0.1wt% ~40wt%である。
【発明の効果】
【0035】
本発明の利点としては、環境保護の他に、工業グレード、医療グレード、食品グレード、電子グレード、及びその他の汎用手袋とすることができる。
【0036】
以下、好ましい実施例を開示しながら本発明の目的、技術的な特徴、及び効果を詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、実施例を開示しながら本発明の目的、技術的な特徴、及び効果を詳しく説明する。しかしながら、下記具体的な実施例は、あくまで本発明を解釈するために開示される。本発明は、それらに限定されない。
【0038】
下記実施例を参照しながら本発明の効果、特徴、実施形態を説明する。しかしながら、本発明は、それらに限定されず、様々な形で実現できる。下記実施例は、あくまで当業者が本発明を理解できるように開示されるものに過ぎない。本発明の範囲は、請求の範囲によって示される。説明の便宜上。また、本明細書において、異なる素子の符号は、同じ素子を表する場合がある。なお、用語「及び/又は」は、挙がられるものの1つ又は複数の任意の組み合わせである。
【0039】
特に定義されていない場合、全ての専門用語(科学的な専門用語を含む)は、辞書に定義され、且つ当業者が理解する意味として使われる。
【0040】
以下、実験データを開示しながら実施例を説明するが、本発明の請求の範囲は、それらに限定されない。実施例は、あくまで当業者がそれに基づいて本発明を実施できるように開示されるに過ぎない。
【0041】
以下、具体的な実施例を開示しながら本発明の技術的な特徴を説明する。
【0042】
本発明の目的は、そのままXNBR溶液に添加できる修飾架橋剤及び環境に優しいバイオマス添加剤を提供する。前記修飾架橋剤は、無硫黄架橋剤である。前記バイオマス添加剤は、バイオマスフィラーである。このような特殊なラテックス添加剤は、ラテックス含浸液において、高い分散性及び安定性を有し、生産能力を向上させ、且つ環境に優しいバイオマス手袋を生産できる。
【0043】
そのため、本発明のラテックス添加剤組成物は、無硫黄架橋剤及びバイオマスフィラーを含む。ラテックス溶液に無硫黄架橋剤及びバイオマスフィラーを添加する時に、ラテックス100部を基準として、無硫黄架橋剤の添加量は0.1~5.0部であり、バイオマスフィラーの添加量は0.1~20.0部である。言い換えれば、無硫黄架橋剤及びバイオマスフィラーの重量比は、1:200~50:1の範囲にある。
【0044】
本発明は、そのままXNBRに添加して素早く分散できるラテックス添加剤を提供する。以下、実施形態を説明する。
【0045】
[1]本発明ラテックス添加剤組成物は、無硫黄架橋剤及びバイオマスフィラーを含む。、無硫黄架橋剤は、酸化アルミニウム、塩化カルシウム、酸化マグネシウム、又は二酸化ジルコニウムを含む。バイオマスフィラーは、ソルビトール、ラウリン酸塩、1,2-ジアセチン、1,3-ジアセチン、又はポリアクリレートを含む。ポリアクリレートは、アニオン性官能基、非イオン性官能基、又はそれらの組み合わせを有する。アニオン性官能基は、スルホン酸塩官能基、炭酸塩官能基、カルボン酸塩官能基、又はそれらの組み合わせである。非イオン性官能基は、エーテル類官能基、フェノール類官能基、アミド類官能基、又はそれらの組み合わせである。
【0046】
[2]ラテックス100部を基準として、無硫黄架橋剤の添加量は0.1~5.0部であり、バイオマスフィラーの添加量は0.1~20.0部である。
【0047】
[3]製造工程
反応槽に脱イオン水を加えた後、必要な比率に応じて無硫黄架橋剤及びバイオマスフィラーを添加して撹拌し、更に無硫黄架橋剤及びバイオマスフィラー溶液をXNBRに添加して均一に攪拌する。又は、必要な量の無硫黄架橋剤及びバイオマスフィラーを秤量し、そのまま攪拌しているXNBRに添加してもよい。
【0048】
下記実施例の定義は、本明細書全体に適用できる。すべての重合物、ラテックス、及びその他の材料のwt%は、乾燥重量を基準とする。wt%は、重量パーセント濃度であり、重合物100部に含む重量部、又は組成物又は材料100部に含む重量部を示す。また、実施例において、各成分に記載される部又は%は、あくまで例示である。本発明は、それらに限定されない。
【実施例0049】
以下、いくつの実施例を開示しながら本発明を説明するが、本発明は、それらに限定されない。
【0050】
実施例1:医療グレードのバイオマスXNBR手袋の製造
原料を秤量し、XNBR100.0部(Kumho KNL830)及び水酸化カリウム溶液1.3を混合して30分攪拌する。そして、ラテックス槽に順に無硫黄架橋剤(酸化アルミニウム、塩化カルシウム、酸化マグネシウム、及び二酸化ジルコニウム)1.5部、酸化亜鉛分散液(Sokachem Bostex 422A、60wt%)1.5部、ラテックス分散液0.7部(たるみ防止剤0.3部(JINTEX KBS S-41)及び分散剤0.4部(JINTEX YOD129S-2)を含む)、二酸化チタン分散液(Sokachem Bostex 997A、70wt%)1.5部、及びバイオマスフィラー(ソルビトール、ポリアクリレート、ラウリン酸塩、1,2-ジアセチン、及び1,3-ジアセチン)3.0部等を添加し、混合して攪拌する。すなわち、実施例1では、無硫黄架橋剤及びバイオマスフィラーの重量比は1:2である。そして、脱イオン水を加えて必要なラテックス固形分に調整し、室温で12時間撹拌することで、予備加硫工程を行う。予備加硫したラテックスを200メッシュのフィルターで濾過し、そのまま凝固剤が付着される乾燥の手袋型に含浸させ、120℃、22分間の加熱処理条件で加硫を行う。その後、後冷却、塩素洗浄、及び二次材料含浸等の処理を行うことで、バイオマスXNBR手袋を製造する。また、ラテックス含浸液槽に本発明の無硫黄架橋剤、酸化亜鉛分散液、ラテックス分散液、二酸化チタン分散液、及びバイオマスフィラー等を一緒に添加して撹拌することで、バイオマスXNBR手袋を製造できる。留意すべきことは、本実施で使用した材料は、今まで市販されている材料であり、当業者が容易に購入できると考えられる。
【0051】
本発明の無硫黄架橋剤及びバイオマスフィラーが高い分散性を有するため、調製したラテックス含浸液は、沈澱を生じにくく、優れた安定性を有する。また、製造した手袋は、業界の要求より高い引張強度及び明るい白色の外観を有する。本発明によれば、手袋の製造における生産性及び貯蔵安定性は、従来の添加剤から調製したラテックス含浸液より優れる。また、無硫黄架橋剤、バイオマスフィラー、及びXNBRを利用することで、分散性が悪い硫黄及び促進剤を利用しないため、硬化時間を節約し、製作した手袋の清浄度を大幅に向上できる。そのため、複雑な洗浄工程を数回行わなくても、食品グレート、医療グレート、ひいては電子グレードの手袋の基準を満足できる。また、本発明のバイオマスフィラーは、生体適合性が高いため、環境保護の利点を有する。本発明の添加剤から調製したXNBR含浸液の安定性、及び製作した手袋の物理的特性をそれぞれ表2、3に示す。また、表4、5、6から分かるように、本発明は、従来の架橋剤を添加した市販のXNBRより優れた効果を有する。
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
実施例2:電子グレード及び食品グレードのバイオマスXNBR手袋の製造
無硫黄架橋剤の添加量を2.0部、酸化亜鉛分散液(60wt%)の添加量を1.0部に変える以外、実施例1と同様な添加量及び製造条件でラテックス含浸液を調製する。前記ラテックス含浸液の物理的特性及び応用性をそれぞれ表6、7に示す。
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
実施例3:脱着しやすいバイオマスXNBR手袋の製造
二次材料に1.0%のバイオマスフィラーを追加する以外、実施例1と同様な添加量及び製造条件でバイオマスXNBR手袋を製作する。前記バイオマスXNBR手袋の物理的特性及び応用性を表8に示す。
【0060】
【表8】
【0061】
実施例4:バイオマスXNBR手袋のライン生産
それぞれ実施例1、2、3のレシピ及びプロセスパラメータに基づいて、自動離型機を利用してライン生産を行う。ライン生産の速度は、150本/分である。生産したバイオマスXNBR手袋の物理的特性及び応用性をそれぞれ表9、10、11に示す。
【0062】
【表9】
【0063】
【表10】
【0064】
【表11】
【0065】
実施例5:バイオマスNITRO-V手袋の製造
本実施例において、適切な可塑剤、安定剤、粘度低下剤、マスキング剤、NBR等を選択して機能性添加剤を調製し、さらにPVC及びバイオマスフィラーと共に手袋を製作する。その工程は、以下の通りである。原料を秤量し、液体NBR2.5部(Duocheng)と可塑剤75部(Riken Vitamin BIOCIZER 50部、NANYA DOTP 15部、及びBASF DINCH 10部)とを混合し、30分撹拌した後、さらにPVC粉100部(Formosa Plastics PRF)を添加して撹拌する。PVC粉を添加した後、安定剤3.25部(Golden Chemical)、粘度低下剤50部(EASTMAN)、及びマスキング剤として二酸化チタン2部(TITANTEC COMPANY LIMITED)を添加、混合して、4~5時間撹拌する。そして、24時間以上真空脱気した後、粘度低下剤10部(TXIB、EASTMAN)を添加して粘度を調整する。三層の180メッシュのフィルターで濾過した後、ペーストを専用パイプラインを介して原料槽に輸送する。手袋型を生産ラインに沿って原料槽に送って含浸させ、その後、原料槽から取り上げる。生産過程において、原料槽の液面の安定を保て、原料槽内のペーストの温度を48~60°Cに制御する。交換する前に手袋型を65°C~85°Cに予熱する。手袋型を延長、液滴した後、オーブンで加熱処理を行う。加熱処理の温度は160°C~230°Cであり、加熱処理の時間は4~9分である。二次材料を含浸処理することで、NITRO-V手袋を製造する。
【0066】
実施例6:バイオマスPVC手袋の製造
実施例5を比べて、実施例6において、原料としてNBRを使用しない。その工程は、以下の通りである。原料を秤量し、可塑剤75部(Riken Vitamin BIOCIZER 50部、NANYA DOTP 15部、及びBASF DINCH 10部)を混合し、30分撹拌した後、さらにPVC粉100部(Formosa Plastics PRF)を添加して撹拌する。PVC粉を添加した後、安定剤3.25部(Golden Chemical)、粘度低下剤40部(EASTMAN)、マスキング剤として二酸化チタン2部(TITANTEC COMPANY LIMITED)を順に添加、混合して、4~5時間撹拌する。そして、24時間以上真空脱気した後、粘度低下剤5部(TXIB、EASTMAN)を添加して粘度を調整する。三層の180メッシュのフィルターで濾過した後、ペーストを専用パイプラインを介して原料槽に輸送する。手袋型を生産ラインに沿って原料槽に送って含浸させ、その後、原料槽から取り上げる。生産過程において、原料槽の液面の安定を保て、原料槽内のペーストの温度を48~60°Cに制御する。交換する前に手袋型を65°C~85°Cに予熱する。手袋型を延長、液滴した後、オーブンで加熱処理を行う。加熱処理の温度は160°C~230°Cであり、加熱処理の時間は4~9分である。二次材料を含浸処理することで、NITRO-V手袋を製造する。
【0067】
上記実施例の手袋は、優れた物理的特性(例えば、引張強度、延伸率等)を有する。その原因としては、本発明において、無硫黄架橋剤として酸化アルミニウム、塩化カルシウム、酸化マグネシウム、二酸化ジルコニウム、又はそれらの組み合わせを添加することにある。従来の酸化亜鉛と比べると、本発明の無硫黄架橋剤及びラテックスは、より強い凝集力を有する。そのため、本発明の環境保護手袋は、より優れた物理的特性を有する。また、本発明の無硫黄架橋剤及びバイオマス充填物は、環境保護性があり、環境に優しいだけでなく、製造の良品率を向上できる。また、本発明のバイオマスフィラーは、水性分散液であるため、従来の固体組成物であるフィラーと実質的な違いがある。
【0068】
上記をまとめると、本発明は、従来技術より優れた効果を有し、当業者が容易に完成できるものではないと考えられる。よって、本発明は、新規性、進歩性、及び産業上の利用可能性を有すると考えられる。
【0069】
本発明のすべでの技術的な特徴を任意に組み合わせることができる。また、本発明の技術的な特徴を同様、均等、又は類似の特徴に置換できる。本明細書において、特別に強調した技術的な特徴以外、あくまで1つの実施例に過ぎない。
【0070】
さらに、当業者は、本明細書を参照した上で変更、改良を行うことができる。本発明の精神を逸脱しない範囲でなされた変更、改良は、いずれも本発明に含む。