(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182958
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】再生端末、再生方法、プログラム、記録媒体、および楽曲再生システム
(51)【国際特許分類】
G10K 15/02 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
G10K15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185463
(22)【出願日】2021-11-15
(62)【分割の表示】P 2021089095の分割
【原出願日】2021-05-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)2021年4月15日、2021年4月24日掲載のウェブサイトのアドレス株式会社ドワンゴが、坂本将樹および永見朋也が発明した「NicoBox」について公開した。 (2)2021年4月15日から2021年4月27日掲載ウェブサイトのアドレス株式会社ドワンゴが、坂本将樹および永見朋也が発明した「NicoBox」の体験版を配布した。
(71)【出願人】
【識別番号】598138327
【氏名又は名称】株式会社ドワンゴ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】坂本 将樹
(72)【発明者】
【氏名】永見 朋也
【テーマコード(参考)】
5D208
【Fターム(参考)】
5D208BA09
5D208BB11
5D208DA05
5D208DD01
(57)【要約】
【課題】より自然なサビメドレーを編成する。
【解決手段】再生端末10は、プレイリストに登録された楽曲のサビ区間をつなげて再生する。再生端末10は、プレイリストに登録された楽曲のサビ区間を取得する取得部11と、楽曲のサビ区間が取得できなかった場合に、楽曲の全長に対する割合として相対的に決定される特定位置から特定区間を当該楽曲のサビ区間として定める再生指示部12と、楽曲のサビ区間をつなげて再生する再生部13を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲再生順リストに登録された楽曲のサビ区間をつなげて再生する再生端末であって、
楽曲再生順リストに登録された楽曲のサビ区間を取得する取得部と、
前記楽曲のサビ区間をつなげて再生する再生部を有し、
前記取得部は、楽曲のサビ区間が取得できなかった場合に、前記楽曲の全長に対する割合として相対的に決定される特定位置から特定区間を当該楽曲のサビ区間として定める
再生端末。
【請求項2】
請求項1に記載の再生端末であって、
前記取得部は、前記楽曲の全長に対して開始から5分の1から3分の1の間のいずれかの位置をサビ区間の開始位置とし、15秒から35秒の間のいずれかの長さをサビ区間の長さとする再生端末。
【請求項3】
請求項1または2に記載の再生端末であって、
前記再生部は、前記サビ区間よりも前の位置から前記サビ区間の先頭にかけて再生音量を上げ、前記サビ区間を再生後に再生音量を下げ始めるとともに、前記サビ区間を再生後に次の楽曲の再生を開始する再生端末。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の再生端末であって、
再生中の楽曲の全長と再生位置を表示するとともに、前記全長のうち前記再生部が再生する区間を表示する表示部を備える
再生端末。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の再生端末であって、
前記再生部は、前記楽曲の先頭から前記サビ区間の終端までの区間をつなげて再生する
再生端末。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の再生端末であって、
前記再生部は、ユーザの操作に応じて、サビ区間を再生中の楽曲の先頭から当該楽曲を再生する
再生端末。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の再生端末であって、
前記再生部は、ユーザの操作に応じて、サビ区間を再生中の楽曲を当該楽曲の最後まで再生する
再生端末。
【請求項8】
楽曲再生順リストに登録された楽曲のサビ区間をつなげて再生する再生方法であって、
コンピュータによる、
楽曲再生順リストに登録された楽曲のサビ区間を取得するステップと、
楽曲のサビ区間が取得できなかった場合に、前記楽曲の全長に対する割合として相対的に決定される特定位置から特定区間を当該楽曲のサビ区間として定めるステップと、
前記楽曲のサビ区間に基づいて前記楽曲のサビ区間をつなげて再生するステップを有する
再生方法。
【請求項9】
楽曲再生順リストに登録された楽曲のサビ区間を取得する処理と、
楽曲のサビ区間が取得できなかった場合に、前記楽曲の全長に対する割合として相対的に決定される特定位置から特定区間を当該楽曲のサビ区間として定める処理と、
前記楽曲のサビ区間に基づいて前記楽曲のサビ区間をつなげて再生する処理を
コンピュータに実行させるプログラム。
【請求項10】
楽曲再生順リストに登録された楽曲のサビ区間を取得する処理と、
楽曲のサビ区間が取得できなかった場合に、前記楽曲の全長に対する割合として相対的に決定される特定位置から特定区間を当該楽曲のサビ区間として定める処理と、
前記楽曲のサビ区間に基づいて前記楽曲のサビ区間をつなげて再生する処理を
コンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体。
【請求項11】
楽曲再生順リストに登録された楽曲のサビ区間をつなげて再生する楽曲再生システムであって、
管理サーバと再生端末を備え、
前記管理サーバは、前記再生端末が再生する楽曲の楽曲データを管理し、前記楽曲のサビ区間を取得し、前記サビ区間が取得できなかった場合に、前記楽曲の全長に対する割合として相対的に決定される特定位置から特定区間を当該楽曲のサビ区間として定め、
前記再生端末は、楽曲再生順リストに登録された楽曲の楽曲データと当該楽曲データのサビ区間を受信してサビ区間をつなげて再生する
楽曲再生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生端末、再生方法、プログラム、記録媒体、および楽曲再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、定額で音楽を聴き放題の音楽配信サービスが普及している。また、プロのミュージシャンだけでなく、セミプロまたはアマチュアのミュージシャンが音楽を投稿できる音楽配信サービスも知られている。動画配信サービスにも、ユーザ自身が歌ったり、演奏したり、ボーカロイドに歌わせたりした音楽、および自作の音楽が多数投稿されている。以下では、ユーザが投稿した音楽および動画を配信するサービスも含めて音楽配信サービスと称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“songrium”、独立行政法人産業技術総合研究所、インターネット〈 URL:https://songrium.jp/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
音楽配信サービスでは、人気のある楽曲のプレイリスト、新着曲のプレイリスト、ジャンルごとのプレイリスト、あるいはユーザの嗜好に沿ったプレイリストなど多種多様なプレイリストが提供される。プレイリストとは、1つ以上の楽曲を含むリストである。ユーザは、プレイリストに登録された順に楽曲を再生したり、プレイリストに登録された楽曲をシャッフルして再生したりできる。プレイリストは、ユーザ自身が作成することもできるが、事業者が提供したり、他のユーザの作成したプレイリストを利用したりできる。事業者または他のユーザの作成したプレイリストを再生することで、ユーザは新たなアーチストや新たな楽曲を知ることができる。
【0006】
プレイリストに登録された楽曲のサビ区間のみをメドレーで再生すると、ユーザはプレイリストに登録された楽曲を手早くチェックして自分の好みの楽曲を発見できる。
【0007】
特許文献1の技術を利用することで、楽曲の構造を解析して楽曲からサビ区間を抽出することができる。
【0008】
非特許文献1の超歴史プレーヤは、年代順に、楽曲のサビ区間の先頭から所定の時間をメドレーで再生している。
【0009】
ユーザが楽曲を投稿できるサービスの場合、楽曲のアップロード時点ではサビ区間の抽出が行われておらず、不自然さのないサビメドレーを編成しにくいという問題があった。非特許文献1の超歴史プレーヤでは、未解析の楽曲は、未解析と表示し、指定した秒数から再生している。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、より自然なサビメドレーを編成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様の再生端末は、楽曲再生順リストに登録された楽曲のサビ区間をつなげて再生する再生端末であって、楽曲再生順リストに登録された楽曲のサビ区間を取得する取得部と、前記楽曲のサビ区間をつなげて再生する再生部を有し、前記取得部は、楽曲のサビ区間が取得できなかった場合に、前記楽曲の全長に対する割合として相対的に決定される特定位置から特定区間を当該楽曲のサビ区間として定める。
【0012】
本発明の一態様の楽曲再生システムは、楽曲再生順リストに登録された楽曲のサビ区間をつなげて再生する楽曲再生システムであって、管理サーバと再生端末を備え、前記管理サーバは、前記再生端末が再生する楽曲の楽曲データを管理し、前記楽曲のサビ区間を取得し、前記サビ区間が取得できなかった場合に、前記楽曲の全長に対する割合として相対的に決定される特定位置から特定区間を当該楽曲のサビ区間として定め、前記再生端末は、楽曲再生順リストに登録された楽曲の楽曲データと当該楽曲データのサビ区間を受信してサビ区間をつなげて再生する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、より自然なサビメドレーを編成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施形態の楽曲再生システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の再生端末の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、楽曲再生システムの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、サビ区間のクロスフェード処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、クロスフェード処理の一例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、再生端末の表示画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態の楽曲再生システムの別の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0016】
[システム構成]
図1は、本実施形態の楽曲再生システムの全体構成の一例を示す図である。同図に示す楽曲再生システムは、再生端末10と管理サーバ30を備えて、プレイリストに登録された楽曲のサビ区間を順につなげて再生するシステムである。
【0017】
配信サーバ50は、楽曲データを保持し、求めに応じて楽曲データを配信する。配信サーバ50は、ユーザから音楽(楽曲)および動画の投稿を受け付けて、楽曲データおよび動画データを保持し、配信してもよい。配信サーバ50は、動画に付随する音データのみを配信してもよい。以下、楽曲には動画に付随する音を含み、楽曲データには動画に付随する音のデータを含むものとする。
【0018】
解析サーバ70は、配信サーバ50の保持する楽曲データの楽曲構造を解析し、楽曲構造データを保持する。楽曲構造データとは、楽曲のサビ区間を解析したデータである。解析サーバ70は、配信サーバ50の保持する楽曲データを定期的にクロールし、新しく解析対象と判断した楽曲データがあれば、その楽曲データを解析し、楽曲構造データを作成する。解析サーバ70が解析対象と判断しなかった楽曲データについて、解析サーバ70は、ユーザからの解析依頼に応じて解析してもよい。あるいは、配信サーバ50に楽曲が投稿されると、配信サーバ50が所定のタイミングで解析サーバ70に楽曲の解析を依頼し、解析サーバ70は、依頼に応じて楽曲を解析し、楽曲構造データを作成してもよい。
【0019】
管理サーバ30は、楽曲に関する楽曲情報を管理する。例えば、管理サーバ30は、コンテンツIDに、楽曲名、アーチスト名(投稿者名)、楽曲の長さ、楽曲のジャケット画像、および楽曲データ取得先情報を関連付けて管理する。コンテンツIDは、配信サーバ50の保持する楽曲を識別する識別子である。例えば、管理サーバ30は、再生端末10からコンテンツIDを受信すると、コンテンツIDに関連付けた楽曲名などの情報を楽曲情報として返却する。管理サーバ30は、コンテンツIDを解析サーバ70へ送信してコンテンツIDの示す楽曲の楽曲構造データを得る。楽曲データ取得先情報は、配信サーバ50から楽曲データの配信を受けるときに利用する情報である。配信サーバ50に、楽曲データ取得先情報を含む楽曲データ要求を送信することで、配信サーバ50から楽曲データが配信される。
【0020】
管理サーバ30は、プレイリストを管理して、ユーザに提供してもよい。例えば、管理サーバ30が作成するプレイリストとしては、所定の期間で多く再生された楽曲を登録した人気曲プレイリスト、直近の所定期間内に新たに投稿された楽曲を登録した新着曲プレイリスト、あるいはユーザの好みまたは状況に応じた楽曲を登録したプレイリストなどがある。ユーザ自身でプレイリストを作成してもよい。プレイリストは、プレイリストIDで識別され、プレイリストに含まれる楽曲のコンテンツIDを曲順に並べて管理される。
【0021】
再生端末10は、楽曲データを受信して楽曲を再生する。再生端末10は、楽曲データをストリーミング再生してもよいし、楽曲データを再生端末10の備える記憶装置にダウンロードしてからダウンロード再生してもよい。ユーザからプレイリストが指定されると、再生端末10は、プレイリストに登録された楽曲を連続再生する。再生端末10は、プレイリストに登録された順番で楽曲を連続再生してもよいし、順番をシャッフルしてプレイリストの楽曲を連続再生してもよい。
【0022】
再生端末10は、サビメドレー機能を備える。サビメドレーとは、プレイリストの楽曲のサビ区間のみをつなげて連続再生する機能である。サビ区間は、解析サーバ70の保持する楽曲構造データから取得する。サビ区間が取得できない場合、再生端末10は、楽曲の全長に対する割合として相対的に決定される特定位置から特定区間をサビ区間として定める。
【0023】
再生端末10、管理サーバ30、配信サーバ50、および解析サーバ70はネットワークを介して通信可能に接続されている。
図1では、再生端末10を1台のみ図示しているが、実際には多数の再生端末10が存在している。また、
図1では、管理サーバ30、配信サーバ50、および解析サーバ70を別々の装置として図示したが、1台の装置が各サーバの機能を有してもよい。各サーバを複数の装置で構成してもよいし、各サーバをクラウド上の仮想サーバで構成してもよい。
【0024】
[再生端末]
次に、
図2を参照し、再生端末10の構成の一例について説明する。
図2に示す再生端末10は、取得部11、再生指示部12、再生部13、表示部14、および蓄積部15を備える。再生端末10が備える各部は、演算処理装置、記憶装置等を備えたコンピュータにより構成して、各部の処理がプログラムによって実行されるものとしてもよい。このプログラムは再生端末10が備える記憶装置に記憶されており、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどの記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0025】
取得部11は、各種データを取得する。例えば、取得部11は、プレイリストIDを管理サーバ30へ送信してプレイリストに登録された楽曲のコンテンツIDのリストを取得する。取得部11は、コンテンツIDを管理サーバ30へ送信して楽曲情報を取得する。取得部11は、楽曲データの配信を配信サーバ50へ要求し、配信サーバ50から楽曲データを取得する。
【0026】
また、プレイリストに対するサビメドレーの指示を受けると、取得部11は、プレイリストの楽曲それぞれのサビ区間データを管理サーバ30へ要求するとともに、再生する楽曲の楽曲データの配信を配信サーバ50へ要求する。サビ区間データは、サビの先頭のタイムスタンプとサビの終端のタイムスタンプを含む。1つの楽曲には複数のサビ区間が存在する場合があるが、サビ区間データは、複数のサビ区間のうちのいずれか1つのみ(例えば最初のサビ区間のみ)の情報を含む。
【0027】
再生指示部12は、ユーザの指示またはプレイリストに従って、再生する楽曲を再生部13に指示する。
【0028】
サビメドレーのとき、再生指示部12は、サビ区間に対応する区間を再生区間として指定する。サビ区間が取得できなかった場合、再生指示部12は、楽曲の全長に対する割合として相対的に決定される特定位置から特定区間をサビ区間とみなす。例えば、再生指示部12は、楽曲の全長に対して開始から5分の1から3分の1の間のいずれかの位置をサビ区間の開始位置とし、15秒から35秒のいずれかの長さをサビ区間の長さとする。特に、楽曲の全長に対して開始から4分の1の位置をサビ区間の開始位置とし、25秒をサビ区間の長さとするとよい。サビ区間が取得できないとき、再生端末10が、サビ区間の先頭を楽曲の全長に対する割合として相対的に決定することにより、サビ区間の先頭のタイムスタンプが楽曲ごとに異なるものとなるので、不自然さのないサビメドレーを編成できる。特に、新着曲のプレイリストでサビ区間が取得できない楽曲が続く場合であっても、再生開始時のタイムスタンプがばらついた、より自然なサビメドレーを編成できる。
【0029】
再生部13は、楽曲データをデコードして楽曲を再生する。再生部13は、配信サーバ50からストリーミング配信される楽曲データを再生してもよいし、蓄積部15に格納された楽曲データを再生してもよい。
【0030】
再生部13は、再生区間が指定されているとき、再生部13は指定の再生区間のみを再生する。つまり、サビメドレーのとき、再生部13は楽曲のサビ区間のみを再生し、サビ区間の再生後、次の楽曲のサビ区間の再生に移る。
【0031】
サビメドレーのとき、再生部13は、前後の楽曲でサビ区間の再生タイミングが重ならないようにクロスフェードさせてもよい。具体的には、再生部13は、サビ区間の前の位置からサビ区間の先頭にかけて再生音量を上げ、サビ区間を再生後に再生音量を下げ始めるとともに、サビ区間を再生後に次の楽曲の再生を開始する。
【0032】
なお、サビメドレーのとき、プレイリストの各楽曲について、楽曲の最初からサビ区間の終端までを再生区間としてもよい。プレイリストの各楽曲の再生時間はサビ区間のみを再生するときよりも長くなるが、楽曲の最初からサビまでを再生することで、サビ区間のみを再生する場合とは異なる印象でプレイリストを再生できる。
【0033】
表示部14は、ユーザインタフェースを提供する。例えば、表示部14は、現在再生中の楽曲の楽曲名、アーチスト名、およびジャケット画像を表示する。表示部14は、再生の一時停止と再開、巻き戻し、先送りなど、現在再生中の楽曲に対する操作を受け付ける。
【0034】
表示部14は、プレイリストの一覧を表示してプレイリストの選択を受け付けてもよい。例えば、再生端末10は、管理サーバ30から、人気曲プレイリスト、新着曲プレイリスト、およびジャンルごとのプレイリストなどの多数のプレイリストの情報を受信する。表示部14は、受信したプレイリストの一覧を表示して、通常再生、シャッフル再生、またはサビメドレーでの再生指示を受け付ける。再生端末10は、ユーザからの再生指示に応じた形式で、プレイリストの楽曲を再生する。
【0035】
蓄積部15は、プレイリストの情報、楽曲情報、およびサビ区間データを蓄積する。オフラインで楽曲を聞けるようにするために、蓄積部15は、楽曲データを格納してもよい。
【0036】
[動作]
次に、
図3を参照し、楽曲再生システムの処理の流れの一例について説明する。ユーザは、プレイリストを選択し、プレイリストをサビメドレーで再生する指示を再生端末10に入力したものとする。再生端末10は、プレイリストに含まれる楽曲のコンテンツIDのリストを取得済みである。
【0037】
ステップS101にて、再生端末10は、プレイリストから次に再生する楽曲を選択する。プレイリストを順番に再生する場合はプレイリストの先頭の楽曲から順に選択する。プレイリストの楽曲をシャッフルして再生する場合はまだ再生していない楽曲の中からランダムで選択する。サビメドレーの場合は、プレイリストの順で楽曲を選択してよい。
【0038】
ステップS102にて、再生端末10は、選択した楽曲のコンテンツIDを含む楽曲情報要求を管理サーバ30へ送信する。
【0039】
ステップS103にて、再生端末10は、管理サーバ30から楽曲情報を受信する。楽曲情報は、再生中の楽曲として画面に表示される情報および配信サーバ30から配信を受けるための情報を含む。
【0040】
ステップS104にて、再生端末10は、選択した楽曲のコンテンツIDを含むサビ区間データ要求を管理サーバ30へ送信する。
【0041】
ステップS105にて、管理サーバ30は、コンテンツIDを含む楽曲構造データ要求を解析サーバ70へ送信する。
【0042】
ステップS106にて、管理サーバ30は、楽曲構造データを解析サーバ70から受信する。
【0043】
ステップS107にて、管理サーバ30は、楽曲構造データから再生端末10に返却するサビ区間データを作成する。サビ区間データは、サビ区間の先頭タイムスタンプと終端のタイムスタンプを含む。
【0044】
ステップS108にて、管理サーバ30は、サビ区間データを再生端末10に返却する。楽曲構造データからサビ区間データを作成できなかった場合、管理サーバ30は、サビ区間データがないメッセージを再生端末10に返却する。
【0045】
ステップS109にて、再生端末10は、サビ区間データが取得できたか否か判定する。
【0046】
サビ区間データが取得できなかった場合、ステップS110にて、再生端末10は、楽曲の全長に対する割合として相対的に決定される特定位置から特定区間をサビ区間として決める。
【0047】
ステップS111にて、再生端末10は、楽曲データの配信を配信サーバ50に要求する。再生端末10が楽曲データを保持している場合は、再生端末10の保持する楽曲データを利用してもよい。
【0048】
ステップS112にて、配信サーバ50は、楽曲データの再生端末10への配信を開始する。
【0049】
ステップS113にて、再生端末10は、サビ区間データに従って楽曲のサビ区間のみを再生する。
【0050】
再生位置がサビ区間の終端に達すると、再生端末10は、次の楽曲について、ステップS101からの処理を繰り返す。再生端末10は、プレイリストの楽曲のそれぞれについてステップS101からステップS113までの処理を繰り返し、プレイリストをサビメドレーで再生する。
【0051】
次に、
図4および
図5を参照し、サビ区間のクロスフェード処理の一例について説明する。
【0052】
ステップS201にて、再生端末10は、サビ区間の前の再生位置から、音量を最小にして楽曲の再生を開始する。
図5に、曲Aから曲Bにクロスフェードする一例を示す。
図5は、横軸に時間を取り、縦軸に音量を取っている。
図5の例では、曲Aのサビ区間より前のt0から、音量を最小にした状態で曲Aの再生を開始している。t0は、曲Aの先頭ではなく、曲Aのサビ区間(t1からt2)より前の再生位置である。
【0053】
ステップS202にて、再生端末10は、サビ区間までに、音量を規定音量まで上げる。
図5の例では、t0から曲Aのサビ区間の先頭のt1までに、音量を規定音量まで上げている。t1よりも前で規定音量に達してもよい。規定音量はユーザが指定した音量である。
【0054】
ステップS203にて、再生端末10は、サビ区間を規定音量で再生する。
図5の例では、t1からt2までが曲Aのサビ区間である。
【0055】
ステップS204にて、再生端末10は、再生位置がサビ区間の終端を超えた後、音量を下げ始める。再生端末10は、次の楽曲の再生位置がサビ区間に入る前までに今の楽曲の音量が最小になるように音量を下げていく。
図5の例では、曲Aのサビ区間の終端t2から曲Aの音量を下げ始めている。
【0056】
ステップS205にて、再生端末10は、今の楽曲の再生位置がサビ区間の終端を超えた後、次の楽曲のサビ区間の再生を開始する。次の楽曲についても、ステップS201から順に処理し、サビ区間の前の再生位置から徐々に音量を上げて再生する。
図5の例では、曲Aのサビ区間の終端t2の後のt3から曲Bの再生を開始している。曲Bも曲Aと同様に、曲Bのサビ区間(t5からt6)より前のt3から、音量を最小にした状態で曲Bの再生を開始している。
【0057】
ステップS206にて、再生端末10は、次の楽曲の再生位置がサビ区間に入る前までに今の楽曲の再生を停止する。
図5の例では、曲Bのサビ区間の先頭t5より前のt4で曲Aの再生を停止している。
【0058】
再生端末10は、曲と曲のサビ区間の間隔(
図5ではt2からt5までの間隔)を決めておき、その間隔内で各曲をフェードイン、フェードアウトさせる。これにより、曲と曲との間を自然につなぐとともに、各曲のサビ区間をより明瞭に聞くことができる。
【0059】
[インターフェース]
次に、
図6を参照し、再生端末10の表示画面の一例について説明する。
【0060】
図6に示す表示画面100は、再生中の楽曲の情報を示す領域として、ジャケット画像表示領域110、アーチスト名表示欄111、および楽曲名表示欄112を備える。ジャケット画像表示領域110には、楽曲のジャケット画像を表示する。楽曲が動画に付随する音の場合、動画のサムネイル画像を表示してもよい。アーチスト名表示欄111には、楽曲を演奏しているアーチスト名が表示される。アーチスト名表示欄111に、楽曲の投稿者名などを表示してもよい。楽曲名表示欄112には、楽曲の名称が表示される。楽曲名表示欄112に、動画のタイトルを表示してもよい。
【0061】
また、表示画面100は、楽曲の全長に対応し、再生位置122を示す再生位置表示バー120を備える。再生位置表示バー120の左側には現在の再生位置を示す再生時間が表示され、右側には曲の長さを示す時間が表示される。
【0062】
サビメドレーのときは、再生するサビ区間に対応した再生範囲121を再生位置表示バー120に重ねて表示する。これにより、今聞いているサビ区間は楽曲のどのあたりにあるのか、あとどのくらいで次の楽曲に移るのかを知ることができる。
【0063】
表示画面100は、ユーザの操作を受け付けるボタンとして、一時停止ボタン130、戻りボタン131、送りボタン132、および追加ボタン133を備える。もちろん、上記以外の他の機能のボタンを備えてもよい。
【0064】
一時停止ボタン130は、楽曲の再生を一時停止するボタンである。一時停止ボタン130が押下されると、楽曲の再生を一時停止する。一時停止中は、一時停止ボタン130の代わりに再生ボタン(図示せず)が同じ位置に表示される。再生ボタンが押下されると、一時停止が解除されて、楽曲の再生が再開される。
【0065】
戻りボタン131は、再生位置を現在の楽曲の先頭に戻すボタンである。戻りボタン131が押下されたときの楽曲の再生位置が楽曲の先頭近く(例えば先頭から2~3秒以内)のときは、一つ前の楽曲に戻して再生する。
【0066】
サビメドレー時に戻りボタン131が押下されたときは、現在の楽曲のサビ区間の先頭から再生してもよい。あるいは、サビメドレー時に戻りボタン131が押下されたときは、その楽曲の先頭から再生してもよい。例えば、ユーザがサビを聞いて気になる楽曲があったとき、戻りボタン131をタッチ(押下)すると、その楽曲が先頭から再生される。
【0067】
送りボタン132は、次の楽曲に移動するボタンである。
【0068】
サビメドレー時に、表示画面100内に楽曲をフルで聞くボタン(図示せず)を配置し、そのボタンが押下されると、サビを再生中の楽曲を楽曲の先頭から最後まで再生し直してもよい。あるいは、サビを再生中に当該ボタンが押下されると、再生位置がサビ区間の終端に達しても次の楽曲に移らず、サビ区間以降から楽曲の最後まで続けて楽曲を再生してもよい。
【0069】
追加ボタン133は、現在の楽曲を自身のライブラリまたはプレイリストに追加するボタンである。サビメドレーで気になる楽曲を発見したときに追加ボタン133を押下すると、楽曲がライブラリに追加されて後で改めて聞くことができる。
【0070】
サビ区間データが取得できなかった楽曲の再生中は、再生位置表示バー120または再生範囲121の色を変えて表示し、サビ区間データの取得の有無をユーザに伝えてもよい。また、サビ区間データが取得できなかった楽曲の再生中、表示画面100内に解析依頼送信フォームへのリンク(ボタン)を設置してもよい。ユーザがこのリンクを操作することで、容易に、楽曲データの解析依頼を解析サーバ70へ送信できる。
【0071】
[別のシステム構成]
次に、
図7を参照し、本実施形態の楽曲再生システムの別の構成の一例について説明する。
図7の楽曲再生システムは、管理サーバ30がプレイリストからサビメドレーを編成し、サビ区間をつなげて再生するためのサビメドレー情報を再生端末10へ送信する。
【0072】
図7に示す管理サーバ30は、取得部31、送信部32、および蓄積部33を備える。
【0073】
取得部31は、プレイリストを蓄積部33から取得するとともに、プレイリストに登録された楽曲の楽曲構造データを解析サーバ70から取得してサビ区間データを抽出し、プレイリストに含まれる楽曲のサビメドレーを編成する。サビ区間が取得できない場合、取得部31は、楽曲の全長に対する割合として相対的に決定される特定位置から特定区間をサビ区間として定める。
【0074】
送信部32は、サビメドレー情報を再生端末10へ送信する。サビメドレー情報は、例えば、サビメドレーの楽曲それぞれの楽曲情報(コンテンツIDでもよい)とサビ区間データの組みのリストである。
【0075】
蓄積部33は、プレイリストと楽曲情報を格納する。蓄積部33は、楽曲情報に、解析サーバ70から取得したサビ区間データを含めて格納してもよい。取得部31は、蓄積部33にサビ区間データが格納されていない場合に、解析サーバ70から楽曲構造データを取得してもよい。
【0076】
なお、管理サーバ30が解析サーバ70の機能を備えて、管理サーバ30自身で楽曲を解析してサビ区間データを抽出してもよい。
【0077】
図7の再生端末10は、再生部13、表示部14、および受信部16を備える。
【0078】
再生部13と表示部14は、
図2で示した再生端末10と同じである。
【0079】
受信部16は、管理サーバ30から受信したサビメドレー情報に基づいて、再生する楽曲および再生区間を再生部13に指示する。
【0080】
以上説明したように、本実施形態の再生端末10は、プレイリストに登録された楽曲のサビ区間をつなげて再生する。再生端末10は、プレイリストに登録された楽曲のサビ区間を取得する取得部11と、楽曲のサビ区間が取得できなかった場合に、楽曲の全長に対する割合として相対的に決定される特定位置から特定区間を当該楽曲のサビ区間として定める再生指示部12と、楽曲のサビ区間をつなげて再生する再生部13を有する。これにより、プレイリストの楽曲のサビ区間が取得できない場合であっても、より自然なサビメドレーを編成できる。
【0081】
本実施形態の再生端末10は、サビ区間の前の位置からサビ区間の先頭にかけて再生音量を上げ、サビ区間を再生後に再生音量を下げ始めるとともに、サビ区間を再生後に次の楽曲の再生を開始する。これにより、楽曲のサビ区間をつなげて再生する際に、前後の楽曲でサビ区間が重ならないので、楽曲のサビ区間を自然につなげて再生できる。
【符号の説明】
【0082】
10…再生端末
11…取得部
12…再生指示部
13…再生部
14…表示部
15…蓄積部
16…受信部
30…管理サーバ
31…取得部
32…送信部
33…蓄積部
50…配信サーバ
70…解析サーバ