(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182959
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】燃料電池セルおよび燃料電池スタック
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0276 20160101AFI20221201BHJP
H01M 8/0286 20160101ALI20221201BHJP
H01M 8/0258 20160101ALI20221201BHJP
【FI】
H01M8/0276
H01M8/0286
H01M8/0258
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185742
(22)【出願日】2021-11-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0068513
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】507098483
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒュン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム バエ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム アァ リュム
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ヒュン キュ
(72)【発明者】
【氏名】バク ズゥ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム スン フィ
(72)【発明者】
【氏名】キム チャン ギ
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA12
5H126AA13
5H126BB06
5H126DD05
5H126EE11
(57)【要約】
【課題】本発明は、燃料電池セルに関する。
【解決手段】本発明は、膜電極接合体(MEA)と、膜電極接合体の一面に積層される分離板と、膜電極接合体に対向する分離板の一面に突出して設けられるビーディング部(beading portion)と、膜電極接合体とビーディング部との間に設けられ、膜電極接合体と分離板との間を密閉するシーリング部材とを含むことにより、剛性を確保し、安全性および信頼性を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜電極接合体(MEA)と、
前記膜電極接合体の一面に積層される分離板と、
前記膜電極接合体に対向する前記分離板の一面に突出して設けられるビーディング部(beading portion)と、
前記膜電極接合体と前記ビーディング部との間に設けられ、前記膜電極接合体と前記分離板との間を密閉するシーリング部材とを含む、燃料電池セル。
【請求項2】
前記ビーディング部は、前記分離板の一部を部分的に加工して前記分離板に一体に形成される、請求項1に記載の燃料電池セル。
【請求項3】
前記分離板の最外側の縁に沿って形成される縁ビーディング部を含む、請求項1に記載の燃料電池セル。
【請求項4】
前記縁ビーディング部は、前記分離板の一部を部分的に加工して前記分離板に一体に形成される、請求項3に記載の燃料電池セル。
【請求項5】
前記ビーディング部には平坦面が形成され、
前記シーリング部材は、前記平坦面に設けられる、請求項1に記載の燃料電池セル。
【請求項6】
前記分離板は、
前記分離板の前記一面に設けられ、反応ガスが反応する反応領域を定義する流路部と、
前記流路部から離隔して前記分離板に設けられるマニホールド部と、
前記流路部と前記マニホールド部との間に設けられる合流チャンネルと、
前記マニホールド部と前記合流チャンネルを連結するように前記分離板の他の一面に設けられ、前記マニホールド部に流入された前記反応ガスを分配して前記合流チャンネルに供給する複数個の第1分配チャンネルと、
前記合流チャンネルと前記流路部を連結するように前記分離板の前記一面に設けられ、前記合流チャンネルに流入された前記反応ガスを分配して前記流路部に供給する複数個の第2分配チャンネルとを含む、請求項1に記載の燃料電池セル。
【請求項7】
前記ビーディング部に対応して、前記分離板の前記他の一面に設けられるガスケットを含み、
前記第1分配チャンネルは、前記ガスケットに形成される、請求項6に記載の燃料電池セル。
【請求項8】
前記分離板の前記一面に突出して設けられる複数個のビーディング突起を含み、
前記第2分配チャンネルは、互いに隣接した前記ビーディング突起の間に定義される、請求項6に記載の燃料電池セル。
【請求項9】
前記ビーディング突起は、前記分離板の一部を部分的に加工して前記分離板に一体に形成される、請求項8に記載の燃料電池セル。
【請求項10】
前記ビーディング突起に設けられ、前記ビーディング突起と前記膜電極接合体との間を密閉するチャンネルシーリング部材を含む、請求項8に記載の燃料電池セル。
【請求項11】
膜電極接合体(MEA)と、
前記膜電極接合体の一面に積層される分離板と、
前記膜電極接合体に対向する前記分離板の一面に突出して設けられ、平坦面が形成されたビーディング部(beading portion)と、
前記平坦面に設けられ、前記膜電極接合体と前記分離板との間を密閉するシーリング部材と、
前記分離板の最外側の縁に沿って形成される縁ビーディング部とを含む、燃料電池セル。
【請求項12】
前記ビーディング部および前記縁ビーディング部は、前記分離板の一部を部分的に加工して前記分離板に一体に形成される、請求項11に記載の燃料電池セル。
【請求項13】
前記分離板は、
前記分離板の前記一面に設けられ、反応ガスが反応する反応領域を定義する流路部と、
前記流路部から離隔して前記分離板に設けられるマニホールド部と、
前記流路部と前記マニホールド部との間に設けられる合流チャンネルと、
前記マニホールド部と前記合流チャンネルを連結するように前記分離板の他の一面に設けられ、前記マニホールド部に流入された前記反応ガスを分配して前記合流チャンネルに供給する複数個の第1分配チャンネルと、
前記合流チャンネルと前記流路部を連結するように前記分離板の前記一面に設けられ、前記合流チャンネルに流入された前記反応ガスを分配して前記流路部に供給する複数個の第2分配チャンネルとを含む、請求項11に記載の燃料電池セル。
【請求項14】
前記ビーディング部に対応して、前記分離板の前記他の一面に設けられるガスケットを含み、
前記第1分配チャンネルは、前記ガスケットに形成される、請求項13に記載の燃料電池セル。
【請求項15】
前記分離板の前記一面に突出して設けられる複数個のビーディング突起を含み、
前記第2分配チャンネルは、互いに隣接した前記ビーディング突起の間に定義される、請求項13に記載の燃料電池セル。
【請求項16】
前記ビーディング突起は、前記分離板の一部を部分的に加工して前記分離板に一体に形成される、請求項15に記載の燃料電池セル。
【請求項17】
前記ビーディング突起に設けられ、前記ビーディング突起と前記膜電極接合体との間を密閉するチャンネルシーリング部材を含む、請求項15に記載の燃料電池セル。
【請求項18】
膜電極接合体(MEA)と、
前記膜電極接合体の一面に積層される分離板と、
前記膜電極接合体に対向する前記分離板の一面に突出して設けられるビーディング部(beading portion)と、
前記膜電極接合体と前記ビーディング部との間に設けられ、前記膜電極接合体と前記分離板との間を密閉するシーリング部材と、
前記分離板の最外側の縁に沿って形成される縁ビーディング部とを含み、
前記分離板は、
前記分離板の前記一面に設けられ、反応ガスが反応する反応領域を定義する流路部と、前記流路部から離隔して前記分離板に設けられるマニホールド部と、前記流路部と前記マニホールド部との間に設けられる合流チャンネルと、前記マニホールド部と前記合流チャンネルを連結するように前記分離板の他の一面に設けられ、前記マニホールド部に流入された前記反応ガスを分配して前記合流チャンネルに供給する複数個の第1分配チャンネルと、前記合流チャンネルと前記流路部を連結するように前記分離板の前記一面に設けられ、前記合流チャンネルに流入された前記反応ガスを分配して前記流路部に供給する複数個の第2分配チャンネルとを含む、燃料電池スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、燃料電池セルおよび燃料電池スタックに関し、より具体的には、分離板の構造的剛性を確保し、安全性および信頼性を向上させることができる燃料電池セルおよび燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池スタックは、燃料(例えば、水素)の化学的な反応によって電気エネルギーを生成する一種の発電装置であり、数十または数百個の燃料電池セル(単位セル)を直列に積層して構成されることができる。
【0003】
燃料電池セルは、水素陽イオンを移動させることができる電解質膜と、水素と酸素が反応可能であるように電解質膜の両面に設けられた電極(触媒電極層)とが結合した膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)、膜電極接合体の両面に密着して反応ガスを均一に分布させ、発生した電気エネルギーを伝達するガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)、およびガス拡散層に密着して流路を形成する分離板(Bipolar plate)を含むことができる。
【0004】
分離板は、燃料である水素を供給するアノード分離板と、酸化剤である空気を供給するカソード分離板とに分けられ、燃料または酸化剤が流動するチャンネル(channel)を含む。
【0005】
また、燃料電池セルを積層して燃料電池スタックを構成するためには、膜電極接合体と分離板の反応面の間、および分離板の冷却面の間に気密が維持されなければならない。
【0006】
このために、膜電極接合体と分離板の反応面の間および分離板の冷却面の間にはガスケットが設けられる。すなわち、ガスケットは、分離板の反応面に流動する反応ガス(例えば、水素および空気)、分離板の冷却面に流動する冷却水が燃料電池スタックの外部に漏れることを防止するために設けられる。
【0007】
ガスケットは、分離板の両面縁部および反応ガスと冷却水を流出入させるマニホールドの両面縁部に一体に射出成形されることができ、ガスケットによって反応ガスおよび冷却水の流動経路が定義されることができる。
【0008】
一方、燃料電池セルの安定的な性能を保障し、安全性および信頼性を確保するためには、分離板の平坦度およびガスケットによる密封状態が強固に維持されなければならない。
【0009】
しかし、従来、燃料電池セルに締結圧(加圧力)が印加される時に、分離板が簡単に変形または損傷する問題があり、分離板の変形による平坦度の低下によって燃料電池セルの性能が低下し、ガスケットの耐久性および気密性が低下する問題がある。
【0010】
また、ガスケットの圧縮率偏差および面圧偏差を最小化するためには、ガスケット(例えば、反応面ガスケット)の厚さを最小化する必要があるが、ガスケットの厚さを所定以上減少させると、安定的なシーリング性能を確保し難いため、ガスケットの厚さを所定以上減少させ難い問題がある。
【0011】
そのため、最近、分離板の変形および損傷を最小化し、ガスケットの耐久性および気密性を確保するための様々な研究がなされているが、まだ十分ではなく、これに関する開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の実施形態は、分離板の構造的剛性を確保し、安全性および信頼性を向上させることができる燃料電池セルおよび燃料電池スタックを提供することを目的とする。
【0013】
特に、本発明の実施形態は、分離板の平坦度を安定的に維持し、分離板の変形および損傷を最小化できるようにすることを目的とする。
【0014】
また、本発明の実施形態は、反応ガスおよび冷却水の漏れを最小化し、安全性および信頼性を向上させるようにすることを目的とする。
【0015】
また、本発明の実施形態は、シーリング部材の厚さを最小化し、シーリング部材の圧縮率偏差および面圧偏差を最小化できるようにすることを目的とする。
【0016】
また、本発明の実施形態は、反応ガスの分配偏差(流量偏差)を最小化し、安定的な出力性能を確保できるようにすることを目的とする。
【0017】
実施形態で解決しようとする課題は、これに限定されるものではなく、以下で説明する課題を解決するための手段や実施形態から把握できる目的や効果も含まれると言える。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述の本発明の目的を達成するための本発明の好ましい実施形態によると、燃料電池セルは、膜電極接合体(MEA)と、膜電極接合体の一面に積層される分離板と、膜電極接合体に対向する分離板の一面に突出して設けられるビーディング部(beading portion)と、膜電極接合体とビーディング部との間に設けられ、膜電極接合体と分離板との間を密閉するシーリング部材とを含む。
【0019】
これは、分離板の構造的剛性を確保し、安全性および信頼性を向上させるためである。
【0020】
すなわち、従来、燃料電池セルに締結圧(加圧力)が印加される時に、分離板が簡単に変形または損傷する問題があり、分離板の変形による平坦度の低下によって燃料電池セルの性能が低下し、ガスケットの耐久性および気密性が低下する問題がある。
【0021】
また、ガスケットの圧縮率偏差および面圧偏差を最小化するためには、ガスケット(例えば、反応面ガスケット)の厚さを最小化する必要があるが、ガスケットの厚さを所定以上減少させると、安定的なシーリング性能を確保し難いため、ガスケットの厚さを所定以上減少させ難い問題がある。
【0022】
しかし、本発明の実施形態は、分離板にビーディング部を形成し、ビーディング部上にシーリング部材を設けることによって、分離板の構造的剛性を確保し、且つシーリング部材の耐久性および気密性能を保障するという有利な効果を得ることができる。
【0023】
さらに、本発明の実施形態は、分離板に突出したビーディング部上にシーリング部材を設けることによって、シーリング部材の厚さをより薄く減少させることができるため、シーリング部材の圧縮率偏差および面圧偏差を最小化することができ、ガスケットの耐久性および気密性を安定的に保障するという有利な効果を得ることができる。
【0024】
本発明の好ましい実施形態によると、ビーディング部は、分離板の一部を部分的に加工して分離板に一体に形成されることができる。
【0025】
このように、分離板の一部を加工して分離板に一体にビーディング部を形成することによって、分離板の剛性を向上させることができるため、分離板に締結圧(加圧力)が印加される時に、分離板の変形および損傷を最小化することができ、分離板の変形による平坦度の低下を最小化するという有利な効果を得ることができる。
【0026】
また、分離板の剛性を高めることができるため、分離板の積層および締結の容易性を提供することができ、安全性および信頼性を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0027】
本発明の好ましい実施形態によると、燃料電池セルは、分離板の最外側の縁に沿って形成される縁ビーディング部を含むことができる。
【0028】
これは、分離板の締結時に分離板の最外側部位で接触および締結力などによる変形がより頻繁に発生するという点に起因したことであり、分離板の最外側の縁に沿って縁ビーディング部を形成することによって、分離板の最外側部位の剛性を高めることができるため、分離板の変形および損傷をより効果的に抑制するという有利な効果を得ることができる。
【0029】
本発明の好ましい実施形態によると、ビーディング部には、平坦面が形成されることができ、シーリング部材は、平坦面上に設けられることができる。
【0030】
このように、ビーディング部に平坦面を形成し、シーリング部材が平坦面に配置されるようにすることで、シーリング部材の圧縮率偏差および面圧偏差を最小化するという有利な効果を得ることができる。
【0031】
本発明の好ましい実施形態によると、分離板は、分離板の一面に設けられ、反応ガスが反応する反応領域を定義する流路部と、流路部から離隔して分離板に設けられるマニホールド部と、流路部とマニホールド部との間に設けられる合流チャンネルと、マニホールド部と合流チャンネルを連結するように分離板の他の一面に設けられ、マニホールド部に流入された反応ガスを分配して合流チャンネルに供給する複数個の第1分配チャンネルと、合流チャンネルと流路部を連結するように分離板の一面に設けられ、合流チャンネルに流入された反応ガスを分配して流路部に供給する複数個の第2分配チャンネルとを含むことができる。
【0032】
これは、流路部の各流路に供給される反応ガスの流量偏差を最小化し、反応ガスが流路部の各流路に、より均一に分配されるようにするためである。
【0033】
すなわち、マニホールド部に供給された反応ガスは、第1分配チャンネル、合流チャンネル、および第2分配チャンネルを順に通過して流路部に供給されることができる。このように、マニホールド部に供給された反応ガスが第1分配チャンネルによって1次的に分配され、合流チャンネルに供給された反応ガスがまた第2分配チャンネルによって2次的に分配されるようにすることで、流路部の各流路に供給される反応ガスの流量偏差を最小化し、流路部の各流路に反応ガスをより均一に分配するという有利な効果を得ることができる。
【0034】
換言すると、マニホールド部に流入された反応ガスが、第1分配チャンネルを経て合流チャンネルの全区間(合流チャンネルの長さ方向に沿った全区間)にわたり均一に供給(分配)され、合流チャンネルに流入された反応ガスがまた第2分配チャンネルを経て流路部に分配(供給)されるようにすることで、流路部の各流路に供給される反応ガスの流量偏差を最小化することができるため、燃料電池セルの出力性能を安定的且つ均一に保障するという有利な効果を得ることができる。
【0035】
第1分配チャンネルは、求められる条件および設計仕様に応じて様々な方式で設けられることができる。
【0036】
本発明の好ましい実施形態によると、燃料電池セルは、ビーディング部に対応して分離板の他の一面に設けられるガスケットを含むことができ、第1分配チャンネルは、ガスケットに形成されることができる。
【0037】
第2分配チャンネルは、求められる条件および設計仕様に応じて様々な方式で設けられることができる。
【0038】
本発明の好ましい実施形態によると、燃料電池セルは、分離板の一面に突出して設けられる複数個のビーディング突起を含むことができ、第2分配チャンネルは、互いに隣接したビーディング突起の間に定義されることができる。
【0039】
一例として、ビーディング突起は、分離板の一部を部分的に加工して分離板に一体に形成されることができる。
【0040】
好ましくは、燃料電池セルは、ビーディング突起と膜電極接合体との間を密閉するようにビーディング突起に設けられるチャンネルシーリング部材を含むことができる。
【0041】
本発明の好ましい他の実施形態によると、燃料電池セルは、膜電極接合体(MEA)と、膜電極接合体の一面に積層される分離板と、膜電極接合体に対向する分離板の一面に突出して設けられ、平坦面が形成されたビーディング部(beading portion)と、平坦面に設けられ、膜電極接合体と分離板との間を密閉するシーリング部材と、分離板の最外側の縁に沿って形成される縁ビーディング部とを含む。
【0042】
本発明の好ましい他の実施形態によると、ビーディング部および縁ビーディング部は、分離板の一部を部分的に加工して分離板に一体に形成されることができる。
【0043】
本発明の好ましい他の実施形態によると、分離板は、分離板の一面に設けられ、反応ガスが反応する反応領域を定義する流路部と、流路部から離隔して分離板に設けられるマニホールド部と、流路部とマニホールド部との間に設けられる合流チャンネルと、マニホールド部と合流チャンネルを連結するように分離板の他の一面に設けられ、マニホールド部に流入された反応ガスを分配して合流チャンネルに供給する複数個の第1分配チャンネルと、合流チャンネルと流路部を連結するように分離板の一面に設けられ、合流チャンネルに流入された反応ガスを分配して流路部に供給する複数個の第2分配チャンネルとを含むことができる。
【0044】
本発明の好ましい他の実施形態によると、燃料電池セルは、ビーディング部に対応して分離板の他の一面に設けられるガスケットを含み、第1分配チャンネルは、ガスケットに形成されることができる。
【0045】
本発明の好ましい他の実施形態によると、燃料電池セルは、分離板の一面に突出して設けられる複数個のビーディング突起を含み、第2分配チャンネルは、互いに隣接したビーディング突起の間に定義されることができる。
【0046】
本発明の好ましい他の実施形態によると、ビーディング突起は、分離板の一部を部分的に加工して分離板に一体に形成されることができる。
【0047】
本発明の好ましい他の実施形態によると、燃料電池セルは、ビーディング突起に設けられ、ビーディング突起と膜電極接合体との間を密閉するチャンネルシーリング部材を含むことができる。
【0048】
本発明の好ましい他の分野によると、燃料電池スタックは、膜電極接合体(MEA)と、膜電極接合体の一面に積層される分離板と、膜電極接合体に対向する分離板の一面に突出して設けられるビーディング部(beading portion)と、膜電極接合体とビーディング部との間に設けられ、膜電極接合体と分離板との間を密閉するシーリング部材と、分離板の最外側の縁に沿って形成される縁ビーディング部とを含み、分離板は、分離板の一面に設けられ、反応ガスが反応する反応領域を定義する流路部と、流路部から離隔して分離板に設けられるマニホールド部と、流路部とマニホールド部との間に設けられる合流チャンネルと、マニホールド部と合流チャンネルを連結するように分離板の他の一面に設けられ、マニホールド部に流入された反応ガスを分配して合流チャンネルに供給する複数個の第1分配チャンネルと、合流チャンネルと流路部を連結するように分離板の一面に設けられ、合流チャンネルに流入された反応ガスを分配して流路部に供給する複数個の第2分配チャンネルとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明の実施形態による燃料電池セルを説明するための分離斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態による燃料電池セルを説明するための断面図である。
【
図3】本発明の実施形態による燃料電池セルとして、分離板を説明するための図である。
【
図4】本発明の実施形態による燃料電池セルとして、ビーディング部を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施形態による燃料電池セルとして、ガスケットを説明するための図である。
【
図6】本発明の実施形態による燃料電池セルとして、第1分配チャンネルおよび第2分配チャンネルを説明するための図である。
【
図7】本発明の実施形態による燃料電池セルとして、第1分配チャンネルおよび第2分配チャンネルを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0051】
ただし、本発明の技術思想は、説明している一部の実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態に実現されてもよく、本発明の技術思想の範囲内であれば、実施形態の間にその構成要素のうち一つ以上を選択的に結合、置換して使用することができる。
【0052】
また、本発明の実施形態で使用している用語(技術および科学的用語を含む)は、明らかに特別に定義して述べない限り、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に一般的に理解される意味に解釈されることができ、辞書に定義されている用語のように一般的に使用される用語は、関連技術の文脈上の意味を考慮してその意味を解釈することができる。
【0053】
また、本発明の実施形態で使用している用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限するためのものではない。
【0054】
本明細書において、単数型は、文章で特別に言及しない限り、複数型も含むことができ、「Aおよび(と)B、Cのうち少なくとも一つ(または一つ以上)」と記載する場合、A、B、Cで組み合わせることができるすべての組み合わせのうち一つ以上を含むことができる。
【0055】
また、本発明の実施形態の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。
【0056】
かかる用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであって、その用語によって当該構成要素の本質や順番または順序などに限定されない。
【0057】
また、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載する場合、その構成要素は、他の構成要素に、直接連結、結合または接続される場合だけでなく、その構成要素と他の構成要素との間にあるさらに他の構成要素によって「連結」、「結合」または「接続」される場合も含むことができる。
【0058】
また、各構成要素の「上(の上)または下(の下)」に形成または配置されるものと記載する場合、上(の上)または下(の下)は、二つの構成要素が互いに直接接触する場合だけでなく、一つ以上のさらに他の構成要素が二つの構成要素の間に形成または配置される場合も含む。また、「上(の上)または下(の下)」と表現される場合、一つの構成要素を基準に、上方だけでなく、下方の意味も含むことができる。
【0059】
図1~
図7を参照すると、燃料電池セル10は、膜電極接合体(MEA)100と、膜電極接合体100の一面に積層される分離板200と、膜電極接合体100に対向する分離板200の一面に突出して設けられるビーディング部(beading portion)210と、膜電極接合体100とビーディング部210との間に設けられ、膜電極接合体100と分離板200との間を密閉するシーリング部材220とを含む。
【0060】
参考までに、本発明の実施形態において、分離板200とは、燃料である水素の流路を形成する第1分離板200a(例えば、アノード分離板)と、酸化剤である空気の流路を形成する第2分離板200b(例えば、カソード分離板)との両方を含むものと定義されることができる。
【0061】
なお、本発明の実施形態において、第1分離板200aおよび第2分離板200bは、薄膜金属(例えば、ステンレス、インコネル(登録商標)、アルミニウム)で形成されることができる。第1分離板200aおよび第2分離板200bは、膜電極接合体100とともに一つの燃料電池セル(単位セル)10をなし、互いに独立して、水素、空気、冷却水の流路を形成することができる。
【0062】
すなわち、燃料電池セル(単位セル)10は、膜電極接合体100と、膜電極接合体100の一面に積層される第1分離板200aと、膜電極接合体100の他の一面に積層される第2分離板200bとを含むことができ、複数個の燃料電池セル10を基準方向(例えば、上下方向)に積層した後、その両端にエンドプレート(図示せず)を組み立てることで、燃料電池スタック1を構成することができる。
【0063】
図1および
図2を参照すると、膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)100は、第1反応ガスである燃料(例えば、水素)と第2反応ガスである酸化剤(例えば、空気)の酸化還元反応により電気を生成するように設けられる。
【0064】
膜電極接合体100の構造および材質は、求められる条件および設計仕様に応じて様々に変更されることができ、膜電極接合体100の構造および材質によって本発明が制限または限定されるものではない。
【0065】
一例として、膜電極接合体100は、水素イオンが移動する電解質膜を中心として膜の両側に電気化学反応が起こる触媒電極層が付着され構成されることができる。また、膜電極接合体100の両側には、反応ガスを均一に分布させ、発生した電気エネルギーを伝達する役割を果たすガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)(図示せず)が設けられることができる。
【0066】
燃料である水素と酸化剤である空気が、第1分離板200aおよび第2分離板200bの流路(図示せず)を介して膜電極接合体100のアノード(図示せず)とカソード(図示せず)にそれぞれ供給され、この際、水素はアノードに供給され、空気はカソードに供給される。
【0067】
アノードに供給された水素は、電解質膜の両側に備えられた電極層の触媒によって水素イオン(proton)と電子(electron)とに分解され、このうち、水素イオンのみが選択的に陽イオン交換膜である電解質膜を通過してカソードに伝達され、同時に、電子は、導体であるガス拡散層と分離板200を介してカソードに伝達される。
【0068】
カソードでは、電解質膜を介して供給された水素イオンと分離板200を介して伝達された電子が空気供給装置によってカソードに供給された空気中の酸素と接して水を生成する反応を起こす。このときに起こる水素イオンの移動に起因して外部導線を介する電子の流れが発生し、このような電子の流れによって電流が生成される。
【0069】
分離板200は、反応ガス(例えば、水素および空気)を膜電極接合体100に供給するように設けられ、燃料電池セル10の積層方向を基準に膜電極接合体100の一側および他側に密着して配置される。
【0070】
一例として、
図1を基準に、膜電極接合体100の底面および上面には、それぞれ、分離板200(第1分離板および第2分離板)が積層されることができる。
【0071】
より具体的には、分離板200は、膜電極接合体100の一面に密着し、この際、膜電極接合体100に対向する第1分離板200aの一面(
図1を基準に上面)には、反応ガス(水素または空気)が流動する流路部20が形成され、分離板200の他の一面(
図1を基準に底面)には、冷却水が流動する冷却チャンネル(図示せず)が形成される。
【0072】
図3を参照すると、分離板200の略中央部には、膜電極接合体100の一面に対向して設けられ、反応領域を定義する流路部20が形成される。流路部20は、互いに離隔して配置される複数個の流路(図示せず)を含むことができ、流路の個数および配置構造によって本発明が制限または限定されるものではない。
【0073】
流路部20を挟んで分離板200の両端部には、それぞれ、水素、空気、および冷却水を流動(供給および排出)させるためのマニホールド部30(例えば、水素マニホールド、冷却水マニホールド、空気マニホールド)が貫通形成される。
【0074】
一例として、分離板200の一端(
図3を基準に左側端)には、流路部20の一端に離隔して第1マニホールド30aが形成され、分離板200の他の一端(
図3を基準に右側端)には、流路部20の他の一端に離隔して第2マニホールド30bが形成されることができる。
【0075】
好ましくは、第1マニホールド30aおよび第2マニホールド30bのいずれか一つには、ガス(反応ガス)が流入され、第1マニホールド30aおよび第2マニホールド30bの他の一つには、ガスが排出されることができる。
【0076】
一例として、第1マニホールド30aは、水素が供給される水素インレットマニホールド32aと、冷却水が供給される冷却水インレットマニホールド36aと、空気が排出される空気アウトレットマニホールド34bとを含むことができる。また、第2マニホールド30bは、水素が排出される水素アウトレットマニホールド32bと、冷却水が排出される冷却水アウトレットマニホールド36bと、空気が供給される空気インレットマニホールド34aとを含むことができる。
【0077】
マニホールド部30の構造および形態は、求められる条件および設計仕様に応じて様々に変更されることができ、マニホールド部30の構造および形態によって本発明が制限または限定されるものではない。
【0078】
一例として、水素インレットマニホールド32a、冷却水インレットマニホールド36a、および空気アウトレットマニホールド34bは、略四角形ホール形態で分離板200の一端に貫通形成されることができる。同様に、水素アウトレットマニホールド32b、冷却水アウトレットマニホールド36b、空気インレットマニホールド34aは、略四角形ホール形態で分離板200の他の一端に貫通形成されることができる。
【0079】
ビーディング部(beading portion)210は、膜電極接合体100に対向する分離板200の一面(例えば、
図1を基準に第1分離板の上面または第2分離板の底面)に突出して設けられる。
【0080】
ビーディング部210は、求められる条件および設計仕様に応じて様々な構造に形成されることができ、ビーディング部210の構造および形態によって本発明が制限または限定されるものではない。
【0081】
一例として、ビーディング部210は、分離板200の縁に沿って形成される第1ビーディング部(図示せず)と、マニホールド部30の周縁を包むように形成される第2ビーディング部(図示せず)とを含むことができる。
【0082】
例えば、ビーディング部210は、多角形の断面形態を有するように形成されることができる。以下では、ビーディング部210が略台形の断面形態を有するように形成された例を挙げて説明する。
【0083】
好ましくは、膜電極接合体100に対向するビーディング部210の最上端(
図4基準)には、膜電極接合体100に平行な平坦面210aが形成されることができ、シーリング部材220は、平坦面210a上に設けられることができる。
【0084】
このように、ビーディング部210に平坦面210aを形成し、シーリング部材220が平坦面210aに配置されるようにすることで、シーリング部材220の圧縮率偏差および面圧偏差を最小化するという有利な効果を得ることができる。
【0085】
本発明の他の実施形態によると、ビーディング部でシーリング部材が載置される載置部位(載置面)を平面ではなく、曲面またはその他の形態に形成することも可能である。
【0086】
好ましくは、ビーディング部210は分離板200の一部を部分的に加工(例えば、プレス加工)して分離板200に一体に形成される。
【0087】
より好ましくは、ビーディング部210は、分離板200の一部を部分的に加工してランドおよび流路を形成するときに、ランドおよび流路とともに形成(単一工程で形成)されることができる。
【0088】
一例として、ビーディング部210は、全体的に均一な幅(
図4を基準に左右方向に沿った幅)を有するように形成されることができる。
【0089】
このように、分離板200の一部を加工して分離板200に一体にビーディング部210を形成することによって、分離板200の剛性を向上させることができるため、分離板200に締結圧(加圧力)が印加される時に、分離板200の変形および損傷を最小化することができ、分離板200の変形による平坦度の低下を最小化するという有利な効果を得ることができる。
【0090】
また、分離板200の剛性を高めることができるため、分離板200の積層および締結の容易性を提供することができ、安全性および信頼性を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0091】
本発明の他の実施形態によると、ビーディング部を別に製作した後、分離板に付着(例えば、溶接)することも可能である。他には、ビーディング部の幅を位置別に異なるように形成することも可能である。
【0092】
本発明の好ましい実施形態によると、燃料電池セル10は、分離板200の最外側の縁に沿って形成される縁ビーディング部212を含むことができる。
【0093】
これは、分離板200の締結時に分離板200の最外側部位で接触および締結力などによる変形がより頻繁に発生するという点に起因したことであり、分離板200の最外側の縁に沿って縁ビーディング部212を形成することによって、分離板200の最外側部位の剛性を高めることができるため、分離板200の変形および損傷をより効果的に抑制するという有利な効果を得ることができる。
【0094】
縁ビーディング部212は、求められる条件および設計仕様に応じて様々な構造に形成されることができ、縁ビーディング部212の構造によって本発明が制限または限定されるものではない。
【0095】
一例として、縁ビーディング部212は、分離板200の最外側の端部に階段式に段差状に折り曲げられることができる。
【0096】
参考までに、上述および図示している本発明の実施形態では、分離板200の最外側の縁に沿って縁ビーディング部212が連続して形成された例を挙げて説明しているが、本発明の他の実施形態によると、分離板の最外側の縁に沿って縁ビーディング部を所定の間隔を置いて離隔して形成することも可能である。
【0097】
シーリング部材220は、膜電極接合体100と分離板200との間を密閉(シーリング)するために、膜電極接合体100とビーディング部210との間に設けられる。
【0098】
参考までに、本発明の実施形態において、シーリング部材220が膜電極接合体100と分離板200との間を密閉するとは、シーリング部材220が膜電極接合体100と第1分離板200aとの間、および膜電極接合体100と第2分離板200bとの間をそれぞれ密閉することと定義される。
【0099】
一例として、シーリング部材220は、第1ビーディング部に沿って形成される第1シーリング部(図示せず)と、第1シーリング部に連結され、第2ビーディング部に沿って形成される第2シーリング部(図示せず)とを含むことができる。
【0100】
ここで、第2シーリング部が第2ビーディング部に沿って形成されるとは、水素インレットマニホールド32a、冷却水インレットマニホールド36a、空気アウトレットマニホールド34b、水素アウトレットマニホールド32b、冷却水アウトレットマニホールド36b、空気インレットマニホールド34aが第2シーリング部によってそれぞれ個別に密閉されることと定義されることができる。
【0101】
シーリング部材220は、求められる条件および設計仕様に応じて様々な方式に形成されることができ、シーリング部材220の製作方式によって本発明が制限または限定されるものではない。
【0102】
一例として、シーリング部材220は、ビーディング部210の平坦面210aに、ゴム、シリコンまたはウレタンなどの弾性素材のシーラント(sealant)を塗布、転写または印刷して形成されることができる。
【0103】
好ましくは、シーリング部材220は、接着性を有することができ、シーリング部材220の粘着性によって、シーリング部材220と膜電極接合体100が接触状態が維持(固定)されることができる。
【0104】
本発明の他の実施形態によると、シーリング部材を分離板に射出成形することも可能である。他には、分離板とは個別に製作(例えば、射出成形)されたシーリング部材を分離板に付着(接着)することも可能である。
【0105】
このように、本発明の実施形態は、分離板200から突出したビーディング部210にシーリング部材220を設けることによって、ビーディング部210の高さ(分離板200からビーディング部210が突出した高さ)だけシーリング部材220の厚さをより薄く減少させることができるため、シーリング部材220の圧縮率偏差および面圧偏差を最小化することができ、ガスケット230の耐久性および気密性を安定的に保障するという有利な効果を得ることができる。
【0106】
もっとも、本発明の実施形態は、ビーディング部210に設けられた平坦部にシーリング部材220を薄くて均一な厚さで形成することによって、燃料電池セル10に締結圧(加圧力)が印加される時に、シーリング部材220に全体的に均一な面圧を形成することができるため、シーリング部材220の過圧縮および変形(例えば、歪み)を最小化し、耐久性および気密性を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0107】
上述および図示しているように、分離板200は、分離板200の一面に設けられ、反応ガスが反応する反応領域を定義する流路部20と、流路部20から離隔して分離板200に設けられるマニホールド部30とを含み、反応ガス(例えば、水素および空気)は、マニホールド部30を経て流路部20に供給されることができる。
【0108】
図5~
図7を参照すると、本発明の好ましい実施形態によると、分離板200は、流路部20とマニホールド部30との間に設けられる合流チャンネル40と、マニホールド部30と合流チャンネル40を連結するように分離板200の他の一面に設けられ、マニホールド部30に流入された反応ガスを分配して合流チャンネル40に供給する複数個の第1分配チャンネル232と、合流チャンネル40と流路部20を連結するように分離板200の一面に設けられ、合流チャンネル40に流入された反応ガスを分配して流路部20に供給する複数個の第2分配チャンネル216とを含むことができる。
【0109】
これは、流路部20の各流路に供給される反応ガスの流量偏差を最小化し、反応ガスが流路部20の各流路に、より均一に分配されるようにするためである。
【0110】
すなわち、マニホールド部30に供給された反応ガスは、第1分配チャンネル232、合流チャンネル40、および第2分配チャンネル216を順に通過して流路部20に供給されることができる。このように、マニホールド部30に供給された反応ガスが第1分配チャンネル232によって1次的に分配され、合流チャンネル40に供給された反応ガスがまた第2分配チャンネル216によって2次的に分配されるようにすることで、流路部20の各流路に供給される反応ガスの流量偏差を最小化し、流路部20の各流路に反応ガスをより均一に分配するという有利な効果を得ることができる。
【0111】
換言すると、マニホールド部30に流入された反応ガスが、第1分配チャンネル232を経て合流チャンネル40の全区間(合流チャンネル40の長さ方向に沿った全区間)にわたり均一に供給(分配)され、合流チャンネル40に流入された反応ガスがまた第2分配チャンネル216を経て流路部20に分配(供給)されるようにすることで、流路部20の各流路に供給される反応ガスの流量偏差を最小化することができるため、燃料電池セル10の出力性能を安定的且つ均一に保障するという有利な効果を得ることができる。
【0112】
より具体的には、合流チャンネル40は、マニホールド部30と流路部20との間に離隔して形成され、第1分配チャンネル232は、マニホールド部30と合流チャンネル40を連結するように設けられ、第2分配チャンネル216は、合流チャンネル40と流路部20を連結するように設けられる。
【0113】
合流チャンネル40は、求められる条件および設計仕様に応じて様々な構造に形成されることができる。一例として、合流チャンネル40は、マニホールド部30に対応する長さ(
図6を基準に上下方向に沿った長さ)を有する略四角ホール形態に形成されることができる。
【0114】
第1分配チャンネル232は、合流チャンネル40の長さ方向に沿って所定の間隔を置いて離隔して複数個が設けられ、この際、各第1分配チャンネル232の一端はマニホールド部30に連通され、各第1分配チャンネル232の他の一端は合流チャンネル40に連通する。
【0115】
この際、第1分配チャンネル232の個数、幅および離隔間隔は、求められる条件および設計仕様に応じて様々に変更されることができ、第1分配チャンネル232の個数、幅および離隔間隔によって本発明が制限または限定されるものではない。
【0116】
第1分配チャンネル232は、求められる条件および設計仕様に応じて様々な方式で設けられることができる。
【0117】
本発明の好ましい実施形態によると、燃料電池セル10は、ビーディング部210に対応して分離板200の他の一面(
図5を基準に上面または
図7を基準に底面)に設けられるガスケット230を含むことができ、第1分配チャンネル232は、ガスケット230に形成されることができる。
【0118】
ガスケット230は、分離板200に重なる他の分離板200との間隔を維持しながら、分離板200の他の一面に設けられる冷却チャンネル(図示せず)を密閉するように設けられ、ゴム、シリコンまたはウレタンなどの弾性素材で形成されることができる。
【0119】
好ましくは、ガスケット230は、ビーディング部210によって定義される内部空間(陰刻空間)に充填されることで、冷却チャンネルに沿って流動する冷却水の流出を抑制することができる。
【0120】
一例として、ガスケット230は、分離板200に一体に射出成形されることができ、ガスケット230の成形時に、ガスケット230には、第1分配チャンネル232がともに設けられることができる。
【0121】
本発明の他の実施形態によると、分離板とは個別に製作(例えば、射出成形)されたガスケットを分離板に付着(接着)することも可能である。
【0122】
上述および図示している本発明の実施形態では、第1分配チャンネル232がガスケット230に形成された例を挙げて説明しているが、本発明の他の実施形態によると、分離板の他の一面に直接第1分配チャンネルを形成するか、分離板の他の一面に設けられる他の部材に第1分配チャンネルを形成することも可能である。
【0123】
第2分配チャンネル216は、合流チャンネル40の長さ方向に沿って所定の間隔を置いて離隔して複数個が設けられ、この際、各第2分配チャンネル216の一端は合流チャンネル40に連通され、各第2分配チャンネル216の他の一端は流路部20に連通される。
【0124】
この際、第2分配チャンネル216の個数、幅および離隔間隔は、求められる条件および設計仕様に応じて様々に変更されることができ、第2分配チャンネル216の個数、幅および離隔間隔によって本発明が制限または限定されるものではない。
【0125】
第2分配チャンネル216は、求められる条件および設計仕様に応じて様々な方式で設けられることができる。
【0126】
本発明の好ましい実施形態によると、燃料電池セル10は、分離板200の一面(
図3を基準に上面)に突出して設けられる複数個のビーディング突起214を含むことができ、第2分配チャンネル216は、互いに隣接したビーディング突起214の間に定義されることができる。
【0127】
一例として、ビーディング突起214は、分離板200の一部を部分的に加工(例えば、プレス加工)して分離板200に一体に形成されることができる。
【0128】
好ましくは、ビーディング突起214は、分離板200の一部を部分的に加工してビーディング部210を形成するときに、ビーディング部210とともに形成(単一工程で形成)されることができる。このように、分離板200の成形時に、ビーディング部210およびビーディング突起214がともに成形されるようにすることで、構造および製造工程を簡素化し、コストダウンを図るという有利な効果を得ることができる。
【0129】
本発明の他の実施形態によると、ビーディング突起を別に製作した後、分離板に付着(例えば、溶接)することも可能である。
【0130】
より好ましくは、燃料電池セル10は、ビーディング突起214と膜電極接合体100との間を密閉するようにビーディング突起214に設けられるチャンネルシーリング部材222を含むことができる。
【0131】
チャンネルシーリング部材222は、互いに隣接した第2分配チャンネル216の間を密閉(シーリング)するために、ビーディング突起214と膜電極接合体100との間に設けられる。
【0132】
チャンネルシーリング部材222は、求められる条件および設計仕様に応じて様々な方式で形成されることができ、チャンネルシーリング部材222の製作方式によって本発明が制限または限定されるものではない。
【0133】
一例として、チャンネルシーリング部材222は、ビーディング突起214の最上端(
図7基準)に、ゴム、シリコンまたはウレタンなどの弾性素材のシーラント(sealant)を塗布、転写または印刷して形成されることができる。好ましくは、チャンネルシーリング部材222は、シーリング部材220と同じ厚さを有するようにビーディング部210の平坦面210aにシーリング部材220を形成するときにともに形成されることができる。
【0134】
本発明の他の実施形態によると、チャンネルシーリング部材を分離板に射出成形することも可能である。他には、分離板とは個別に製作(例えば、射出成形)されたチャンネルシーリング部材を分離板に付着(接着)することも可能である。
【0135】
上述のように、本発明によると、分離板の構造的剛性を確保し、安全性および信頼性を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0136】
特に、本発明によると、分離板の平坦度を安定的に維持し、分離板の変形および損傷を最小化するという有利な効果を得ることができる。
【0137】
また、本発明によると、反応ガスおよび冷却水の漏れを最小化し、安全性および信頼性を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0138】
また、本発明によると、シーリング部材の厚さを最小化し、シーリング部材の圧縮率偏差および面圧偏差を最小化するという有利な効果を得ることができる。
【0139】
また、本発明によると、反応ガスの分配偏差(流量偏差)を最小化し、安定的な出力性能を確保するという有利な効果を得ることができる。
【0140】
以上、実施形態を中心に説明しているが、これは単に例示であって、本発明を限定するものではなく、本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、本実施形態の本質的な特性から逸脱しない範囲で、以上に例示されていない様々な変形と応用が可能であることを知ることができる。例えば、実施形態に具体的に示されている各構成要素は変形して実施することができる。また、このような変形と応用に関する相違点は、添付の請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0141】
1 燃料電池スタック
10 燃料電池セル
20 流路部
30 マニホールド部
30a 第1マニホールド
30b 第2マニホールド
32a 水素インレットマニホールド
32b 水素アウトレットマニホールド
34a 空気インレットマニホールド
34b 空気アウトレットマニホールド
36a 冷却水インレットマニホールド
36b 冷却水アウトレットマニホールド
40 合流チャンネル
100 膜電極接合体
200 分離板
200a 第1分離板
200b 第2分離板
210 ビーディング部
210a 平坦面
212 縁ビーディング部
214 ビーディング突起
216 第2分配チャンネル
220 シーリング部材
222 チャンネルシーリング部材
230 ガスケット
232 第1分配チャンネル