(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182962
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】便座装置
(51)【国際特許分類】
A47K 13/30 20060101AFI20221201BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20221201BHJP
E03D 9/08 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
A47K13/30 Z
E03D9/00 C
E03D9/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196417
(22)【出願日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】P 2021088965
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本並 洋二
(72)【発明者】
【氏名】福田 達則
(72)【発明者】
【氏名】梶野 真一
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AB06
2D037AB07
2D037AB10
2D037AD13
2D037AD14
2D037AD16
2D037AD18
2D038AA01
2D038JC11
2D038JH06
2D038JH11
2D038JH13
2D038KA01
2D038KA03
2D038KA14
2D038KA22
2D038KA26
(57)【要約】
【課題】便座装置の大型化とコストの増加を抑えた簡易な構成で便座を適切に除菌する。
【解決手段】便座装置は、便座と、閉状態で便座の着座面との間に所定空間を形成するように便座を覆う便蓋と、所定空間に露出するように設けられた吹出口に連通し、除菌水ミストを生成するミスト生成装置と、ミスト生成装置を制御する制御装置と、を備える。便蓋は、閉状態で便座の外周縁の少なくとも一部を囲むように延在する周壁部が外周縁に設けられており、制御装置は、便蓋が閉状態で、除菌水ミストが生成されて吹出口から吹き出されるようにミスト生成装置を作動させる除菌処理を行う。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座と、
閉状態で前記便座の着座面との間に所定空間を形成するように前記便座を覆う便蓋と、
前記所定空間に露出するように設けられた吹出口に連通し、除菌水ミストを生成するミスト生成装置と、
前記ミスト生成装置を制御する制御装置と、
を備える便座装置であって、
前記便蓋は、閉状態で前記便座の外周縁の少なくとも一部を囲むように延在する周壁部が外周縁に設けられており、
前記制御装置は、前記便蓋が閉状態で、前記除菌水ミストが生成されて前記吹出口から吹き出されるように前記ミスト生成装置を作動させる除菌処理を行う
便座装置。
【請求項2】
請求項1に記載の便座装置であって、
前記吹出口に連通し、該吹出口から前記便座の左右の幅方向のうち一方側に向けて送風することで前記所定空間内を前記着座面に沿って旋回する旋回流を形成可能な送風装置を備え、
前記制御装置は、前記除菌処理では、前記吹出口から前記除菌水ミストが送風と共に吹き出されるように前記ミスト生成装置と前記送風装置とを作動させる
便座装置。
【請求項3】
請求項2に記載の便座装置であって、
前記制御装置は、前記除菌水ミストの吹き出しを終了した後に、前記ミスト生成装置が作動していない状態で前記吹出口から前記所定空間内に送風するように前記送風装置を作動させることで前記着座面の乾燥処理を行う
便座装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の便座装置であって、
前記便蓋を自動で開閉させる開閉装置を備え、
前記制御装置は、前記除菌水ミストの吹き出しを終了した後に、前記開閉装置を制御して前記便蓋を開状態とすることで前記着座面の乾燥処理を行う
便座装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の便座装置であって、
前記制御装置は、前記除菌水ミストの吹き出しを終了してから所定の除菌時間が経過した後に、前記乾燥処理を行う
便座装置。
【請求項6】
請求項2に係る請求項3ないし5のいずれか1項に記載の便座装置であって、
前記制御装置は、前記ミスト生成装置を作動させる前に前記所定空間内に前記旋回流を形成するように前記送風装置を作動させてから、前記除菌処理を開始する
便座装置。
【請求項7】
請求項1に記載の便座装置であって、
前記吹出口に連通し、該吹出口から前記所定空間内に送風する送風装置を備え、
前記制御装置は、前記除菌処理では、前記吹出口から前記除菌水ミストが送風と共に吹き出されて前記除菌水ミストの吹き出しを終了する前または終了する際に送風を停止するように、前記ミスト生成装置と前記送風装置とを作動させ、前記除菌水ミストの吹き出しを終了した後に所定時間に亘り待機させてから該除菌処理を終了する
便座装置。
【請求項8】
請求項7に記載の便座装置であって、
前記制御装置は、前記ミスト生成装置を作動させる前に前記所定空間内に送風するように前記送風装置を作動させてから、前記除菌処理を開始する
便座装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の便座装置であって、
使用者に対する報知を行う報知部を備え、
前記制御装置は、前記除菌処理中である旨の報知を行うように前記報知部を制御する
便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の便座装置としては、除菌水を生成して、除菌水のミストを便座や便器などに噴霧して除菌するものが提案されている。例えば、特許文献1には、除菌後の便座のべたつきを抑えるために、ヒータで加熱された空気をファンで送風する温風乾燥を行うものが記載されている。また、特許文献2には、除菌後の便座のべたつきを抑えるため、噴霧するミストの粒径の大小が変化するように噴霧装置を制御するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-138605号
【特許文献2】特開2019-170526号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1では、便座のべたつきを抑えるためにヒータを備える必要があり、装置の大型化やコストの増加を招いてしまう。また、上述した特許文献2では、ミストの粒径が変化するように噴霧装置を制御する必要があり、除菌処理が複雑なものとなってしまう。また、粒径が小さなミストは除菌性能が低下しやすいから、除菌性能を維持するために除菌水の付着量を確保することを考慮すると、べたつきを抑えるための対策が不十分となるおそれがある。
【0005】
本発明は、便座装置の大型化とコストの増加を抑えた簡易な構成で、便座を適切に除菌することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の便座装置は、
便座と、
閉状態で前記便座の着座面との間に所定空間を形成するように前記便座を覆う便蓋と、
前記所定空間に露出するように設けられた吹出口に連通し、除菌水ミストを生成するミスト生成装置と、
前記ミスト生成装置を制御する制御装置と、
を備える便座装置であって、
前記便蓋は、閉状態で前記便座の外周縁の少なくとも一部を囲むように延在する周壁部が外周縁に設けられており、
前記制御装置は、前記便蓋が閉状態で、前記除菌水ミストが生成されて前記吹出口から吹き出されるように前記ミスト生成装置を作動させる除菌処理を行う
ことを要旨とする。
【0008】
本発明の便座装置では、便蓋が閉状態で、除菌水ミストが生成されて吹出口から吹き出されるようにミスト生成装置を作動させる除菌処理を行う。便蓋は、便座の外周縁の少なくとも一部を囲む周壁部が外周縁に設けられているため、除菌水ミストが所定空間外に漏れるのを抑制して除菌水ミストを必要以上に吹き出すのを防止することができる。このため、着座面のべたつきを抑えて除菌水ミストの乾燥時間を短くすることができるから、乾燥用のヒータなどの別の装置を設ける必要がない。したがって、コストの増加を抑えた簡易な構成で、便座を適切に除菌することができる。
【0009】
本発明の便座装置において、前記吹出口に連通し、該吹出口から前記便座の左右の幅方向のうち一方側に向けて送風することで前記所定空間内を前記着座面に沿って旋回する旋回流を形成可能な送風装置を備え、前記制御装置は、前記除菌処理では、前記吹出口から前記除菌水ミストが送風と共に吹き出されるように前記ミスト生成装置と前記送風装置とを作動させるものとしてもよい。こうすれば、送風装置の送風により所定空間内に旋回流を形成するため、吹き出した除菌水ミストを便座の着座面の全体に行き渡らせて均一に付着させることができるから、着座面の全体をより適切に除菌することができる。
【0010】
本発明の便座装置において、前記制御装置は、前記除菌水ミストの吹き出しを終了した後に、前記ミスト生成装置が作動していない状態で前記吹出口から前記所定空間内に送風するように前記送風装置を作動させることで前記着座面の乾燥処理を行うものとしてもよい。こうすれば、旋回流の送風による乾燥を行うから、乾燥用のヒータなどを設けなくても着座面の全体を速やかに乾燥させることができる。
【0011】
本発明の便座装置において、前記便蓋を自動で開閉させる開閉装置を備え、前記制御装置は、前記除菌水ミストの吹き出しを終了した後に、前記開閉装置を制御して前記便蓋を開状態とすることで前記着座面の乾燥処理を行うものとしてもよい。こうすれば、着座面を露出させて自然乾燥させることができる。なお、上述したように、着座面のべたつきを抑えるから、便蓋を開状態とした乾燥処理であっても適切に乾燥させることができる。
【0012】
本発明の便座装置において、前記制御装置は、前記除菌水ミストの吹き出しを終了してから所定の除菌時間が経過した後に、前記乾燥処理を行うものとしてもよい。こうすれば、便座の除菌を促してから乾燥させることができる。
【0013】
本発明の便座装置において、前記ミスト生成装置を作動させる前に前記所定空間内に前記旋回流を形成するように前記送風装置を作動させてから、前記除菌処理を開始するものとしてもよい。こうすれば、除菌処理の開始時から除菌水ミストの旋回性を高めることができるから、便座の着座面の全体に除菌水ミストをさらに均一に付着させて除菌をより一層適切に行うことができる。
【0014】
本発明の便座装置において、前記吹出口に連通し、該吹出口から前記所定空間内に送風する送風装置を備え、前記制御装置は、前記除菌処理では、前記吹出口から前記除菌水ミストが送風と共に吹き出されて前記除菌水ミストの吹き出しを終了する前または終了する際に送風を停止するように、前記ミスト生成装置と前記送風装置とを作動させ、前記除菌水ミストの吹き出しを終了した後に所定時間に亘り待機させてから該除菌処理を終了するものとしてもよい。こうすれば、送風によって除菌水ミストが所定空間内に浮遊し続けるのを防止して、除菌水ミストの吹き出しを終了した後の待機中に、除菌水ミストを速やかに着座面に付着させて適切に除菌することができる。
【0015】
本発明の便座装置において、前記制御装置は、前記ミスト生成装置を作動させる前に前記所定空間内に送風するように前記送風装置を作動させてから、前記除菌処理を開始するものとしてもよい。こうすれば、所定空間内に空気の流れを形成した状態で除菌水ミストを吹き出すことができるから、吹出口から離れた箇所にも除菌水ミストを速やかに行き渡らせることができる。このため、除菌水ミストの吹き出しを短時間で行って着座面をより適切に除菌することができる。
【0016】
本発明の便座装置において、使用者に対する報知を行う報知部を備え、前記制御装置は、前記除菌処理中である旨の報知を行うように前記報知部を制御するものとしてもよい。こうすれば、除菌処理中であることを使用者に把握させることができるから、除菌水ミストが所定空間外に漏れたとしても、不具合でないことを認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】便座装置10が取り付けられた便器1の外観斜視図である。
【
図2】便座装置10の便蓋14を閉じた状態の外観斜視図である。
【
図3】便座装置10の構成を示すブロック図である。
【
図4】便座13と便蓋14の構成の一部を示す断面図である。
【
図5】便座除菌処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図6】除菌処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】除菌処理を行う際の一例を示すタイムチャートである。
【
図8】除菌水ミストが吹き出される様子の一例を示す説明図である。
【
図9】除菌水ミストが吹き出される様子の一例を示す説明図である。
【
図10】第1変形例の除菌処理を示すフローチャートである。
【
図11】第1変形例の除菌処理を行う際のタイムチャートである。
【
図12】第2変形例の除菌処理を示すフローチャートである。
【
図13】第2変形例の除菌処理を行う際のタイムチャートである。
【
図14】変形例の便座装置10Bの構成を示すブロック図である。
【
図15】第3変形例の除菌処理を示すフローチャートである。
【
図16】第3変形例の除菌処理を行う際のタイムチャートである。
【
図17】待機時間と除菌水ミストの付着量の関係の一例を示す説明図である。
【
図18】第4変形例の除菌処理を示すフローチャートである。
【
図19】第4変形例の除菌処理を行う際のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための形態について説明する。
【0019】
図1は、便座装置10が取り付けられた便器1の外観斜視図であり、
図2は、便座装置10の便蓋14を閉じた状態の外観斜視図であり、
図3は、便座装置10の構成を示すブロック図である。便座装置10は、
図1に示すように、便器1の上面に取り付けられ、便座装置本体12と、便座装置本体12に対して開閉可能に支持された便座13および便蓋14と、使用者による各種操作が可能な操作パネル18と、装置全体を制御する制御装置20とを備える。なお、本実施形態において、左右方向、前後方向および上下方向は、
図1に示した通りとする。
【0020】
便座装置本体12は、便蓋14を自動で開閉する便蓋開閉装置16と、便座13を除菌するための除菌水ミストを生成して噴霧するためのミスト生成装置31および送風ファン33とを備える。なお、図示は省略するが、便座装置本体12は、給水管(水道配管)に接続された給水路から供給された水(洗浄水)を加温する熱交換ユニットや、洗浄水の流量や供給先を切り替える切替バルブ、切替バルブを介して供給された洗浄水を人体局部に吐出する洗浄ノズル、洗浄ノズルを進退移動させる移動機構などを備える。
【0021】
便蓋開閉装置16は、開閉モータ16aと、回転角度センサ16bとを備え、図示しない伝達ギヤや出力シャフトなどを介して開閉モータ16aの駆動力を伝達して便蓋14を自動で開閉する。回転角度センサ16bは、例えば出力シャフトに設けられた図示しない検出用ギヤの回転角度を検出するロータリポテンショメータである。便蓋14は、便蓋開閉装置16の開閉モータ16aの駆動による自動開閉に加えて、使用者の手動操作による手動開閉が可能である。なお、便座13が便蓋14と同様に自動開閉可能に構成されていてもよい。
【0022】
ミスト生成装置31は、例えば給水路から供給された水を電気分解して次亜塩素酸などを含む除菌水(電解水)を生成する電解装置や、その除菌水を超音波振動によりミスト状にした除菌水ミストを放出路32に放出する霧化装置などを備える。なお、次亜塩素酸を含む除菌水を生成するものに限られず、銀イオンなどを含むイオン水やオゾンなどを含むオゾン水などを生成してもよい。また、超音波振動により除菌水ミストを生成するものに限られず、加圧などにより除菌水ミストを生成してもよい。
【0023】
送風ファン33は、図示しないモータの駆動により送風路34内に送風するように構成されている。送風路34は、開口端としての吹出口(噴出口)35が形成されると共に、吹出口35よりも上流側で放出路32が接続されている。このため、ミスト生成装置31から放出路32に放出された除菌水ミストは、送風路34に流入し、送風ファン33の送風により吹出口35から吹き出される。なお、送風ファン33は、ミスト生成装置31とは独立して作動可能となっている。
【0024】
ここで、
図4は、便座13と便蓋14の構成の一部を示す断面図である。なお、
図4では、幅方向(左右方向)の右端部側の断面を示す。図示するように、閉状態で便座13を覆う便蓋14は、便座13の着座面(上面)との間に空間Sを形成するように構成されている。また、便蓋14は、便座13(着座面)の外周縁のうち前方および左右両側を囲うように、外周縁から便座13側(下側)に延在する周壁部14aが設けられている。また、周壁部14aの内面には、ゴムなどの弾性を有する部材で形成された封止部材15が取り付けられている。この封止部材15は、便蓋14が閉状態で、便座13の側面と周壁部14aの内面との隙間を封止する。
【0025】
また、
図1に示すように、便座装置本体12の前面には、幅方向(左右方向)の中央位置に便座13への使用者の着座を検知する着座検知センサ24が設けられている。便座13は、便座装置本体12の幅方向の両端部にヒンジ軸を介して開閉可能に支持されている。送風路34の吹出口35は、空間Sに露出するように、便座装置本体12の前面に開口して設けられている。具体的には、吹出口35は、幅方向の位置が、着座検知センサ24が設けられた中央位置と、便座装置本体12の幅方向の一端部(
図1では右端部)との間であって、一端部側となる位置に設けられている。また、吹出口35は、高さ方向の位置が、便座13の着座面と便蓋14の下面との間の位置となるように設けられている。
【0026】
操作パネル18には、便蓋14の開閉を指示する開閉スイッチ18aや、便座13の除菌を使用者が指示する除菌スイッチ18b、除菌などの動作の停止を指示する停止スイッチ18cが設けられている。なお、操作パネル18には、この他に、局部洗浄を指示する洗浄スイッチや、洗浄強さや洗浄位置を調整する各調整スイッチなどが設けられている。
【0027】
制御装置20は、図示しないCPUやROM,RAM,入出力ポートなどを備える。制御装置20には、便座装置10が配置された便房内(室内)の人体(使用者)を検知する人体検知センサ22からの検知信号や便座13への使用者の着座を検知する着座検知センサ24からの検知信号、操作パネル18に設けられた各操作スイッチからの操作信号、回転角度センサ16bからの検出角度などが入力ポートを介して入力される。なお、制御装置20は、回転角度センサ16bから入力した回転角度に基づいて、便蓋14の角度(開度)を算出し、便蓋14が開状態か閉状態かを検出する。また、制御装置20からは、便蓋開閉装置16への開閉信号やミスト生成装置31への作動信号、送風ファン33への作動信号、便座装置本体12の上面などに設けられた報知ランプ26への点灯信号などが出力ポートを介して出力される。
【0028】
次に、こうして構成された便座装置10の動作、特に、便座13の着座面を除菌する際の動作を説明する。
図5は、便座除菌処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【0029】
図5の便座除菌処理ルーチンでは、制御装置20は、着座検知センサ24がオフであるか否か(S100)、人体検知センサ22がオフであるか否か(S110)、をそれぞれ判定する。着座検知センサ24がオンであるか、人体検知センサ22がオンであると判定すると、そのまま便座除菌処理ルーチンを終了する。一方、制御装置20は、着座検知センサ24がオフで且つ人体検知センサ22がオフである、即ち便座13に使用者が着座しておらず便房内に使用者が存在しない不在状態中と判定すると、その不在状態中に除菌処理を実行済みであるか否かを判定する(S120)。制御装置20は、後述するS150で除菌処理を実行した後の不在状態中は、S120で除菌処理を実行済みであると判定し、そのまま便座除菌処理ルーチンを終了する。なお、制御装置20は、S150で除菌処理を実行しても、着座検知センサが再びオンとなって便座13が使用された場合に除菌処理の実行履歴をクリアする。そのため、便座13を使用した使用者が便房から退出した場合に、S120で除菌処理を実行済みでないと判定することになる。
【0030】
制御装置20は、S120で除菌処理を実行済みでないと判定すると、便蓋14が開状態であるか否かを判定する(S130)。制御装置20は、便蓋14が開状態であると判定すると、便蓋開閉装置16により便蓋14を閉動作して閉状態としてから(S140)、除菌処理を実行して(S150)、便座除菌処理ルーチンを終了する。また、制御装置20は、便蓋14が閉状態であると判定すると、S140をスキップし、除菌処理を実行して(S150)、便座除菌処理ルーチンを終了する。
【0031】
図6は、除菌処理の一例を示すフローチャートであり、
図7は、除菌処理を行う際の一例を示すタイムチャートである。
図6(S150)の除菌処理では、制御装置20は、まず、ミスト生成装置31を作動させると共に(S200)、送風ファン33を作動させる(S210)。これにより、除菌水ミストの生成が開始され、生成された除菌水ミストが吹出口35から吹き出される(
図7の時刻t0)。また、制御装置20は、除菌処理中であることを報知するために報知ランプ26を点灯させる(S220)。
【0032】
図8,
図9は、除菌水ミストが吹き出される様子の一例を示す説明図であり、閉状態の便蓋14を点線で示し、除菌水ミストの流れを矢印で示す。本実施形態では、吹出口35が便座装置本体12の右端部側に設けられているため、吹出口35から吹き出された除菌水ミストが便座13の中央の開口から便器1内に落ちるのを抑制して、便座13の着座面の右側に沿うように流すことができる(
図8参照)。なお、吹出方向が斜め方向(右前方向)となるように吹出口35(送風路34)を構成しておき、除菌水ミストが便座13の着座面の右側に流れるのを促してもよい。また、
図4に示したように、空間Sは、便座13の外周縁側で封止部材15により封止されているから、着座面の外周側から空間S外に除菌水ミストが漏れるのを抑制することができる。これにより、除菌水ミストを着座面に沿って旋回流を描くように流すことができるから(
図9参照)、便座13の着座面の全体に除菌水ミストを満遍なく行き渡らせて均一に付着させることができる。また、報知ランプ26を点灯させるから、便房に入室した使用者に除菌処理中であることを知らせることができる。これにより、除菌水ミストが空間S外に漏れた場合でも、何らかの不具合により煙が発生しているなどと使用者が勘違いするのを抑制することができる。
【0033】
こうして除菌水ミストの吹き出しを開始すると、制御装置20は、所定のミスト吹出時間が経過するのを待つ(S230)。ミスト吹出時間は、単位時間当たりの除菌水ミストの吹出量(生成量)や除菌に必要なミスト量などに基づいて適宜定められるものであり、例えば数分程度の時間が定められている。S230でミスト吹出時間が経過すると、制御装置20は、ミスト生成装置31の作動を停止する(S240,時刻t1)。S240では、送風ファン33は停止せずに作動させたままとする。このため、吹出口35からの送風は維持されるから、便座13の着座面に付着した除菌水ミストを送風により乾燥させることになる。即ち、S240(時刻t1)では、除菌水ミストの吹き出しを終了し、送風ファン33を用いた送風乾燥を開始する。なお、S240で、一旦送風ファン33の作動を停止させてから、再び作動を開始させてもよい。また、除菌水ミストを吹き出す場合と、送風乾燥する場合とで、送風ファン33の送風量を変えてもよい。
【0034】
そして、制御装置20は、所定の送風乾燥時間が経過するのを待つ(S250)。送風乾燥時間は、除菌水ミストの吹出量(生成量、付着量)や単位時間当たりの送風量などに基づいて適宜定められるものであり、例えば数分程度の時間が定められている。S250で送風乾燥時間が経過すると、制御装置20は、送風ファン33の作動を停止することで送風乾燥を終了し(S260,時刻t2)、報知ランプ26を消灯して(S270)、除菌処理を終了する。なお、図示は省略するが、
図6(S150)の除菌処理中に、便蓋14が開状態とされたり、停止スイッチ18cが操作されたりすると、ミスト生成装置31や送風ファン33の作動を停止し、報知ランプ26を消灯して除菌処理を終了する。
【0035】
以上説明した便座装置10では、送風ファン33の送風により空間S内に旋回流を形成するため、吹き出した除菌水ミストを便座13の着座面の全体に均一に付着させて着座面の全体を適切に除菌することができる。また、便蓋14は、便座13の外周縁を覆う周壁部14aが設けられているため、除菌水ミストが空間S外に漏れるのを抑制することができる。これにより、除菌水ミストを必要以上に吹き出すのを防止することができるから、便座13の着座面のべたつきを抑えて、除菌水ミストの乾燥時間を短くすることができる。このため、乾燥用のヒータなどの別の装置を設ける必要がない。したがって、コストの増加を抑えた簡易な構成で、便座13を適切に除菌することができる。
【0036】
また、除菌水ミストを吹き出した後に送風乾燥を行うことで、旋回流により着座面の全体を速やかに乾燥させることができるから、次の使用者が便座13に着座した際に、便座13(着座面)のべたつきにより不快に感じるのを防止することができる。
【0037】
また、便座13との隙間を封止する封止部材15が周壁部14aの内面に設けられているから、除菌水ミストが空間S外に漏れるのをより確実に抑制することができる。
【0038】
上述した実施形態の除菌処理に限られず、除菌処理を以下のように行ってもよい。
図10は、第1変形例の除菌処理を示すフローチャートであり、
図11は、第1変形例の除菌処理を行う際のタイムチャートである。なお、変形例では、実施形態と同じ処理には同じステップ番号を付して説明を省略する。
【0039】
第1変形例の除菌処理では、S230でミスト吹出時間が経過すると、制御装置20は、ミスト生成装置31と送風ファン33の作動を停止して、除菌水ミストの吹き出しを終了する(S240b,
図11の時刻t11)。そして、所定の除菌時間(吹き出し後除菌時間)が経過するのを待ち(S242)、除菌時間が経過すると(
図11の時刻t12)、送風ファン33を作動して送風乾燥を開始する(S244)。なお、所定の除菌時間は、例えば数分から十数分程度の時間に定められている。また、送風乾燥は、実施形態と同様に、送風乾燥時間が経過するまで行われる(S250,S260,
図11の時刻t13)。
【0040】
このように、第1変形例では、送風ファン33の作動を停止させて吹出口35からの送風を停止し、便座13の着座面に除菌水ミストが付着した状態で所定の除菌時間が経過するのを待つ。このため、より長い除菌時間を確保して除菌を促すことができるから、除菌効果を高めることができる。
【0041】
また、
図12は、第2変形例の除菌処理を示すフローチャートであり、
図13は、第2変形例の除菌処理を行う際のタイムチャートである。第2変形例の除菌処理では、制御装置20は、ミスト生成装置31の作動を停止したまま、即ちミスト生成装置31の作動を開始させる前に送風ファン33を作動させて(S202,
図12の時刻t20)、報知ランプ26を点灯させる(S204)。次に、制御装置20は、旋回流の形成に必要な時間として定められた所定の旋回流形成時間が経過するのを待つ(S206)。これにより、除菌水ミストを吹き出す前に、空間S内に旋回流(除菌前旋回流)を形成することができる。制御装置20は、S206で旋回流形成時間が経過すると、ミスト生成装置31の作動を開始して除菌水ミストを吹き出させる(S200b,
図12の時刻t21)。
【0042】
そして、S230でミスト吹出時間が経過すると、制御装置20は、ミスト生成装置31と送風ファン33の作動を停止する共に(S240b)、便蓋開閉装置16により便蓋14を開動作して開状態とし(S262,
図12の時刻t22)、所定の自然乾燥時間が経過するのを待つ(S264)。自然乾燥時間は、送風乾燥時間よりも長い時間として、例えば数分から十数分程度の時間に定められている。S264で自然乾燥時間が経過すると、制御装置20は、便蓋開閉装置16により便蓋14を閉動作して閉状態としてから(S266)、S270で報知ランプ26を消灯させて、除菌処理を終了する。
【0043】
このように、第2変形例では、予め旋回流を形成してから除菌水ミストを吹き出すことで、空間S内での除菌水ミストの旋回性を高めることができ、除菌水をより均一に便座13の着座面に付着させることができる。特に、吹出口35の近傍で除菌水の付着量が多くなるのを抑制することができる。このため、便座13の着座面全体の除菌効果をさらに高めることができる。また、除菌水ミストの吹き出しが終了すると、便蓋14を開状態として除菌しながら自然乾燥させるから、除菌効果を高めつつ便座13の着座面のべたつきを抑制することができる。
【0044】
この第2変形例では、除菌水ミストの吹き出しが終了すると便蓋14を開状態として自然乾燥させたが、これに限られず、実施形態と同様に送風乾燥させてもよい。あるいは、第1変形例と同様に、除菌水ミストの吹き出しが終了してから所定の除菌時間が経過した後に自然乾燥させたり送風乾燥させたりしてもよい。また、実施形態や第1変形例で自然乾燥を行ってもよい。さらに、自然乾燥と送風乾燥との両方を行って便座13を乾燥させてもよい。
【0045】
また、
図14は、変形例の便座装置10Bの構成を示すブロック図である。便座装置10Bは、実施形態の便座装置10で説明したように、便座装置本体12内に、給水管に接続された給水路12aから供給された洗浄水を加温する熱交換ユニット12bや、洗浄水の流量や供給先を切り替える切替バルブ12c、切替バルブ12cを介して供給された洗浄水を人体局部に吐出する洗浄ノズル(おしり洗浄ノズル12dやビデ洗浄ノズル12e)、各洗浄ノズル12d,12eをそれぞれ進退移動させる移動機構(図示略)などを備える。また、便座装置10Bは、熱交換ユニット12bから出力された洗浄水の温度を検出する水温センサ12fを備える他、洗浄水の流量を検出する流量センサや、洗浄の強さを調整する脈動ポンプなどを備えてもよい。熱交換ユニット12bは、例えば1200W程度の定格出力を有するセラミックヒータ等を内蔵し、流通している洗浄水を瞬間的に加温可能な瞬間式の熱交換ユニットとして構成されている。また、熱交換ユニット12bは、局部洗浄に用いられる温水の温度(例えば30~40℃程度)よりも高い温度まで加温する能力を有する。なお、瞬間式の熱交換ユニットに限られず、洗浄水を貯留するタンクと、タンク内に貯留している洗浄水を加温するヒータとを備える貯湯式の熱交換ユニットとして構成してもよい。
【0046】
また、切替バルブ12cは、洗浄水の供給先を、おしり洗浄ノズル12dと、ビデ洗浄ノズル12eと、ミスト生成装置31の電解装置31aとのいずれかに切り替え可能となっている。電解装置31aは、供給された洗浄水(塩素イオンを含む水)を電気分解して次亜塩素酸を含む除菌水を生成する。電解装置31aにより生成された次亜塩素酸水(除菌水)は、霧化装置31bの超音波振動によりミスト状にされ、除菌水ミストとして放出路32に放出される。電解装置31aには熱交換ユニット12bにより加温された温水が切替バルブ12cを経て供給されるから、電解装置31aは温水から次亜塩素酸水を生成することができる。ここで、次亜塩素酸水の除菌効果は、水温が高いほど高くなる傾向にある。このため、電解装置31aに供給される温水を、局部洗浄に用いられる温水のうち比較的高い温度(例えば40℃など)としたり、局部洗浄に用いられる温水よりも高い温度(例えば60℃や70℃など)とすることで、除菌効果の高い次亜塩素酸水を生成することができる。また、電解装置31aに供給される温水の水温を、熱交換ユニット12bにより一定温度に加温されたものとすることで、季節や環境温度の変化などによる水温の変動の影響を抑えて、次亜塩素酸水を安定して生成することができる。これらのことから、除菌水ミストによる除菌効果を安定的に発揮させて除菌ムラを防止することができる。なお、電解装置31aに温水の供給を開始する前に、切替バルブ12cから電解装置31aへの供給経路内に残存している洗浄水を排出できるように構成してもよい。また、電解装置31aに次亜塩素酸水が残存しても、2~3日などの数日程度であれば濃度が急激に減少しないため、除菌効果が大きく低下することはない。
【0047】
また、便座装置10Bは、実施形態の便座装置10と同様に、吹出口35からの送風により旋回流を形成してもよいが、これに限られない。即ち、上述した実施形態では、吹出方向が斜め方向となるように吹出口35(送風路34)を構成することにより旋回流の形成を促してもよいものとしたが、空間S内に送風するものであればよく、吹出口35の位置や吹出方向を旋回流に適したものに限定しなくてもよい。
【0048】
変形例の便座装置10Bの構成は、上述した実施形態や第1,第2変形例に適用することができる。即ち、上述した実施形態や第1,第2変形例において、熱交換ユニット12bにより加温された温水から電解装置31aにより次亜塩素酸水が生成され、その次亜塩素酸水をミスト化した除菌水ミストを用いて便座13の着座面の除菌を行えばよい。また、下記の第3変形例、第4変形例に便座装置10Bを適用することもできる。
【0049】
図15は、第3変形例の除菌処理を示すフローチャートであり、
図16は、第3変形例の除菌処理を行う際のタイムチャートである。
図15の除菌処理では、
図6の除菌処理と同様にS200~S230の処理を行う。このため、除菌水ミストが送風と共に吹き出される(
図16の時刻t30)。ただし、上述したように、S210では旋回流を形成するものに限られない。S230でミスト吹出時間が経過すると、制御装置20は、ミスト生成装置31の作動を停止すると共に送風ファン33の作動を停止して(S240b,
図16の時刻t31)、便蓋14を閉状態としたまま所定の待機時間が経過するのを待つ(S242b)。所定の待機時間は、例えば数十秒から数分程度の時間である。制御装置20は、所定の待機時間が経過すると(
図16の時刻t32)、S270で報知ランプ26を消灯させて、除菌処理を終了する。
【0050】
ここで、
図17は、待機時間と除菌水ミストの付着量の関係の一例を示す説明図である。横軸は、ミスト生成装置31の作動を停止してからの待機時間(経過時間)を示し、縦軸は、便座13の着座面に付着した除菌水ミストの付着量の測定値を示す。付着量は、閉空間である空間S中に円形板を配置し、その円形板に付着した除菌水ミストの重さを測定した値である。また、ミスト生成装置31の作動停止と共に送風ファン33の作動を停止する第3変形例の推移を実線で示し、比較例として送風ファン33を停止せずに運転(作動)し続けた場合の推移を点線で示す。図示するように、送風ファン33を運転し続ける比較例では、時間が経っても除菌水ミストが空間S内に浮遊し続けて着座面に付着しにくいため、
図17に示す時間では付着量が殆ど変化していない。一方、送風ファン33を停止して待機する第3変形例では、除菌水ミストが浮遊し続けるのを防止して、除菌水ミストの落下(着座面への付着)を促すことができるから、時間の経過と共に付着量が大きく増加している。これにより、第3変形例では、除菌水ミストの噴霧量や噴霧時間を抑えても、短時間で必要な付着量を確保して、着座面を適切に除菌することが可能となる。
【0051】
図18は、第4変形例の除菌処理を示すフローチャートであり、
図19は、第4変形例の除菌処理を行う際のタイムチャートである。
図18の除菌処理では、
図12の除菌処理と同様に、ミスト生成装置31の作動を開始させる前に送風ファン33を作動させ(S202b,
図19の時刻t40)、S204で報知ランプ26を点灯させて、空間S内に空気の流れを形成するのに必要な時間として定められた所定の空気流形成時間が経過するのを待つ(S206b)。なお、上述したように、S202bでは旋回流を形成するものに限られない。即ち、第4変形例のS202b,S206bでは、吹出口35から空間S内を前方へ向かう空気の流れが形成されればよく、空気流形成時間を
図12のS206の旋回流形成時間よりも短い時間としてもよい。
【0052】
制御装置20は、S206bで空気流形成時間が経過すると、S200bでミスト生成装置31の作動を開始して除菌水ミストを吹き出させる(
図19の時刻t41)。以降は、
図15のS230~S270と同様の処理が行われる。即ち、制御装置20は、S230でミスト吹出時間が経過すると、S240bでミスト生成装置31と送風ファン33の作動を停止し(
図19の時刻t42)、S242bで所定の待機時間が経過すると(
図19の時刻t43)、S270で報知ランプ26を消灯させて、除菌処理を終了する。
【0053】
このように第4変形例では、空間S内に空気の流れを予め形成してから除菌水ミストを吹き出すことで、吹出口35から遠い箇所にも除菌水ミストを速やかに到達させることができるから、短時間で除菌水を便座13の着座面に付着させることができる。特に、吹出口35の近傍で除菌水の付着量が多くなるのを抑制して、着座面に均一に付着させることができる。このため、便座13の着座面全体の除菌効果をさらに高めることができる。また、第4変形例でも、第3変形例と同様に、除菌水ミストの吹き出しを終了する際に、送風ファン33の作動を停止させて待機させるから、除菌水ミストの着座面への付着を促すことができる。したがって、短時間で必要な付着量を確保して、着座面の全体を適切に除菌することが可能となる。
【0054】
第3,第4変形例では、熱交換ユニット12bにより加温された温水から電解装置31aにより次亜塩素酸水が生成され、その次亜塩素酸水をミスト化した除菌水ミストを用いるから、除菌効果を高めることができる。なお、便座装置10Bは、電解装置31aに供給される温水(洗浄水)を熱交換ユニット12bが加温する構成としたが、これに限られず、切替バルブ12cから電解装置31aへの供給経路に専用の熱交換ユニットを設けて加温する構成としてもよい。あるいは、電解装置31aが温水から次亜塩素酸水を生成するものに限られず、常温の洗浄水から次亜塩素酸水を生成してもよい。
【0055】
第3,第4変形例では、S240bでミスト生成装置31の作動を停止すると共に送風ファン33の作動を停止するもの、即ち除菌水ミストの吹き出しを終了する際に同時に送風を停止するものとしたが、これに限られない。除菌水ミストの吹き出しを終了する前に送風を停止するように、ミスト生成装置31の作動を停止する前に、送風ファン33の作動を停止させてもよい。
【0056】
実施形態や変形例では、除菌処理を開始する際に報知ランプ26を点灯させ、除菌処理を終了する際に報知ランプ26を消灯させたが、これに限られるものではない。例えば、除菌水ミストを煙などと誤認識するのを防止するため、少なくとも除菌水ミストを吹き出している間は報知ランプ26を点灯させ、除菌水ミストの吹き出しが終了すると報知ランプ26を消灯させてもよい。また、送風ファン33の作動中は報知ランプ26を点灯させ、送風ファン33が作動を停止すると報知ランプ26を消灯させてもよい。また、報知ランプ26に代えてあるいは加えてスピーカを設けておき、除菌中である旨を音(音声メッセージや報知音など)により報知してもよい。あるいは、報知ランプ26やスピーカなどの報知部を備えず、除菌処理中であることを報知しなくてもよい。なお、除菌が完了したことを報知する報知ランプを設け、便座13が除菌済みの状態か否かを使用者に容易に認識させてもよい。この報知ランプは、報知ランプ26とは別の報知ランプ(第2報知ランプ)でもよいし、報知ランプ26を除菌処理中とは異なる態様で点灯させてもよい。
【0057】
実施形態では、便蓋14の周壁部14aが、便座13の外周縁の前方および左右両側を囲うように設けられたが、これに限られず、便座13の外周縁の少なくとも一部を囲うものであればよい。
【0058】
実施形態では、便座装置本体12の中央よりも右側に吹出口35が配置され、便座13の右側に向けて送風することで時計回りに空気が流れる旋回流を形成したが、これに限られるものではない。便座13の左右の幅方向のうち一方側に向けて送風するものであれば、便座装置本体12の中央よりも左側に吹出口35が配置されてもよいし、便座装置本体12の中央に吹出口35が配置されてもよい。また、便座13の左側に向けて送風することで反時計回りに空気が流れる旋回流を形成してもよい。また、便座装置10Bの構成で説明したように、旋回流を形成するものに限られず、送風ファン33の作動により吹出口35から空気を送風するものであればよい。
【0059】
実施形態では、送風装置としての送風ファン33を備えたが、これに限られず、送風ファン33を備えなくてもよい。送風ファン33を備えなくても、除菌水ミストの生成により、吹出口35から除菌水ミストを吹き出して(放出して)、除菌処理を行うことが可能である。これにより、さらに簡易な構成で便座13を除菌することができる。
【0060】
実施形態では、便蓋開閉装置16を備える便座装置10を例示したが、これに限られず、便蓋開閉装置16を備えない便座装置に適用してもよい。そのようにする場合、便座除菌処理ルーチンのS130で便蓋14が開状態であると判定すると、そのまま便座除菌処理ルーチンを終了すればよい。
【0061】
実施形態では、制御装置20が自動で便座13の除菌処理を行ったが、これに限られず、除菌スイッチ18bの操作に基づいて、即ち使用者からの除菌の指示を受けて制御装置20が便座13の除菌処理を行ってもよい。
【0062】
本実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。本実施形態では、便座13が「便座」に相当し、便蓋14が「便蓋」に相当し、ミスト生成装置31が「ミスト生成装置」に相当し、制御装置20が「制御装置」に相当する。便蓋開閉装置16が「開閉装置」に相当する。送風ファン33が「送風装置」に相当する。報知ランプ26が「報知部」に相当する。
【0063】
なお、本実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、本実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、本実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0064】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、便座装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 便器、10 便座装置、12 便座装置本体、12a 給水路、12b 熱交換ユニット、12c 切替バルブ、12d おしり洗浄ノズル、12e ビデ洗浄ノズル、12f 水温センサ、13 便座、14 便蓋、14a 周壁部、15 封止部材、16 便蓋開閉装置、16a 開閉モータ、16b 回転角度センサ、18 操作パネル、18a 洗浄スイッチ、18b 開閉スイッチ、18c 除菌スイッチ、18d 停止スイッチ、20 制御装置、22 人体検知センサ、24 着座検知センサ、26 報知ランプ、31 ミスト生成装置、31a 電解装置、31b 霧化装置、32 放出路、33 送風ファン、34 送風路、35 吹出口、S 空間。