(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182979
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/30 20060101AFI20221201BHJP
B60N 2/20 20060101ALI20221201BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20221201BHJP
【FI】
B60N2/30
B60N2/20
B60N2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015781
(22)【出願日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】63/193,148
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 航平
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BD01
3B087CA09
3B087CA16
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】複数の着座可能な形態を有する乗物用シートを提供する。
【解決手段】乗物用シート1は、水平方向に延びる第1軸A1回りに回動可能にフロア4に接続された支持脚6と、第1軸と平行な第2軸A2回りに回動可能に支持脚に接続されたシートクッション2と、支持脚に設けられ、フロアに設けられた第1結合部34に着脱可能に結合する第1結合装置35と、シートクッションに設けられ、フロアに設けられた第2結合部37に着脱可能に結合する第2結合装置38とを有する。シートクッションは、最も低い位置にある収納位置と、第1結合装置が第1結合部に結合した第1使用位置と、第2結合装置が第2結合部に結合した第2使用位置との間で移動可能である。シートクッションは、支持脚に接続されたベースメンバ10と、ベースメンバにスライド装置11を介して前後方向に移動可能に支持されたアッパメンバ12とを有する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用シートであって、
水平方向に延びる第1軸回りに回動可能に車体に接続された支持脚と、
前記第1軸と平行な第2軸回りに回動可能に前記支持脚に接続されたシートクッションと、
前記支持脚に設けられ、前記車体に設けられた第1結合部に着脱可能に結合する第1結合装置と、
前記シートクッションに設けられ、前記車体に設けられた第2結合部に着脱可能に結合する第2結合装置とを有し、
前記シートクッションは、最も低い位置にある収納位置と、前記第1結合装置が前記第1結合部に結合した第1使用位置と、前記第2結合装置が前記第2結合部に結合した第2使用位置との間で移動可能であり、
前記シートクッションは、前記支持脚に接続されたベースメンバと、前記ベースメンバにスライド装置を介して前後方向に移動可能に支持されたアッパメンバとを有する乗物用シート。
【請求項2】
前記第2使用位置にある前記シートクッションは、前記収納位置にある前記シートクッションよりも上方に配置され、
前記第1使用位置にある前記シートクッションは、前記第2使用位置にある前記シートクッションよりも上方に配置されている請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記車体はフロアを有し、
前記フロアは、フロア前部と、前記フロア前部の後端から下方に延びるフロア中間部と、前記フロア中間部の下端から後方に延び、前記フロア前部より下方に配置されたフロア後部とを有し、
前記支持脚の下端は前記フロア後部に左右に延びる前記第1軸回りに回動可能に接続され、
前記第1結合部は前記フロア中間部に設けられ、
前記シートクッションが前記第2使用位置にあるときに、前記ベースメンバは前記フロア前部と同じ高さに配置される請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記シートクッションの大部分は、前記収納位置において前記フロア後部の上方に配置され、前記第1使用位置において前記フロア前部の上方に配置されている請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記第2結合部は前記フロア前部の後端部又は前記フロア中間部の上端部に設けられている請求項3又は4に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記第2結合装置は前記ベースメンバに対して前後方向に移動可能である請求項3~5のいずれか1つの項に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記第2結合装置は、前記アッパメンバに設けられている請求項6に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記第2結合装置が前記ベースメンバに対して所定の結合位置にあり、かつ前記シートクッションが前記第2使用位置にあるときに、前記第2結合装置が前記第2結合部に結合し、
前記第2結合装置が前記結合位置になく、かつ前記シートクッションが前記第2使用位置にあるときに、前記第2結合装置は前記第2結合部に結合しない請求項6又は7に記載の乗物用シート。
【請求項9】
前記シートクッションが前記収納位置にあるときに、前記シートクッションの上面は前記フロア前部の上面よりも下方に位置し、
前記シートクッションが前記第2使用位置にあるときに、前記シートクッションの上面は前記フロア前部の上面よりも上方に位置する請求項3~8のいずれか1つの項に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、フロアに対して後方かつ下方に移動し、フロアに形成された収納凹部に収納される乗物用シートを開示している。乗物用シートは、フロアに回動可能に接続された支持脚と、支持脚に回動可能に支持されたシートクッションと、フロアに設けられたストライカと着脱可能に結合する結合装置とを有する。支持脚が回動することによって、乗物用シートは使用位置と収納位置との間で移動する。結合装置がストライカに結合することによって、乗物用シートが使用位置に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る乗物用シートは使用位置にあるときのみ、乗員が乗物用シートに着座可能になる。乗物用シートが複数の着座可能な形態を有すると、乗物用シートの商品価値が向上する。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、複数の着座可能な形態を有する乗物用シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、乗物用シート(1)であって、水平方向に延びる第1軸(A1)回りに回動可能に車体に接続された支持脚(6)と、前記第1軸と平行な第2軸(A2)回りに回動可能に前記支持脚に接続されたシートクッション(2)と、前記支持脚に設けられ、前記車体に設けられた第1結合部(34)に着脱可能に結合する第1結合装置(35)と、前記シートクッションに設けられ、前記車体に設けられた第2結合部(37)に着脱可能に結合する第2結合装置(38)とを有し、前記シートクッションは、最も低い位置にある収納位置と、前記第1結合装置が前記第1結合部に結合した第1使用位置と、前記第2結合装置が前記第2結合部に結合した第2使用位置との間で移動可能であり、前記シートクッションは、前記支持脚に接続されたベースメンバ(10)と、前記ベースメンバにスライド装置(11)を介して前後方向に移動可能に支持されたアッパメンバ(12)とを有する。
【0007】
この態様によれば、複数の着座可能な形態を有する乗物用シートを提供することができる。シートクッションは、収納位置に加えて、第1使用位置と第2使用位置とに配置されるため、使用者が選択可能なシートアレンジが増加する。また、スライド装置によって、第1使用位置及び第2使用位置において着座位置を前後に移動させることができる。
【0008】
上記の態様において、前記第2使用位置にある前記シートクッションは、前記収納位置にある前記シートクッションよりも上方に配置され、前記第1使用位置にある前記シートクッションは、前記第2使用位置にある前記シートクッションよりも上方に配置されてもよい。
【0009】
この態様によれば、シートクッションが第1使用位置から第2使用位置に移動することによって、乗物用シートの高さ及び前後位置が変化する。
【0010】
上記の態様において、前記車体はフロア(4)を有し、前記フロアは、フロア前部(4A)と、前記フロア前部の後端から下方に延びるフロア中間部(4B)と、前記フロア中間部の下端から後方に延び、前記フロア前部より下方に配置されたフロア後部(4C)とを有し、前記支持脚の下端は前記フロア後部に左右に延びる前記第1軸回りに回動可能に接続され、前記第1結合部は前記フロア中間部に設けられ、前記シートクッションが前記第2使用位置にあるときに、前記ベースメンバは前記フロア前部と同じ高さに配置されてもよい。
【0011】
この態様によれば、第2使用位置において、シートクッションをフロア前部に近づけて配置することができる。
【0012】
上記の態様において、前記シートクッションの大部分は、前記収納位置において前記フロア後部の上方に配置され、前記第1使用位置において前記フロア前部の上方に配置されてもよい。
【0013】
この態様によれば、収納位置において、フロア前部に対して下方に凹んだフロア後部にシートクッションを配置することができる。
【0014】
上記の態様において、前記第2結合部は前記フロア前部の後端部又は前記フロア中間部の上端部に設けられてもよい。
【0015】
この態様によれば、シートクッションと第2結合部との距離が近くなるため、シートクッションの安定性が向上する。
【0016】
上記の態様において、前記第2結合装置は前記ベースメンバに対して前後方向に移動可能であってもよい。
【0017】
この態様によれば、第1使用位置及び第2使用位置において着座位置を前後に移動させることができる。
【0018】
上記の態様において、前記第2結合装置は、前記アッパメンバに設けられてもよい。
【0019】
この態様によれば、シートクッションと共に第2結合部を前後に移動させることができる。
【0020】
上記の態様において前記第2結合装置が前記ベースメンバに対して所定の結合位置にあり、かつ前記シートクッションが前記第2使用位置にあるときに、前記第2結合装置が前記第2結合部に結合し、前記第2結合装置が前記結合位置になく、かつ前記シートクッションが前記第2使用位置にあるときに、前記第2結合装置は前記第2結合部に結合しなくてもよい。
【0021】
この態様によれば、シートクッションを前後に移動させることによってシートクッションを第2使用位置に固定するか否かを選択することができる。
【0022】
上記の態様において、前記シートクッションが前記収納位置にあるときに、前記シートクッションの上面は前記フロア前部の上面よりも下方に位置し、前記シートクッションが前記第2使用位置にあるときに、前記シートクッションの上面は前記フロア前部の上面よりも上方に位置してもよい。
【0023】
この態様によれば、収納位置において、シートクッションをフロア前部よりも下方に配置することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、乗物用シート(1)であって、水平方向に延びる第1軸(A1)回りに回動可能に車体に接続された支持脚(6)と、前記第1軸と平行な第2軸(A2)回りに回動可能に前記支持脚に接続されたシートクッション(2)と、前記支持脚に設けられ、前記車体に設けられた第1結合部(34)に着脱可能に結合する第1結合装置(35)と、前記シートクッションに設けられ、前記車体に設けられた第2結合部(37)に着脱可能に結合する第2結合装置(38)とを有し、前記シートクッションは、最も低い位置にある収納位置と、前記第1結合装置が前記第1結合部に結合した第1使用位置と、前記第2結合装置が前記第2結合部に結合した第2使用位置との間で移動可能であり、前記シートクッションは、前記支持脚に接続されたベースメンバ(10)と、前記ベースメンバにスライド装置(11)を介して前後方向に移動可能に支持されたアッパメンバ(12)とを有する。
【0025】
この態様によれば、複数の着座可能な形態を有する乗物用シートを提供することができる。シートクッションは、収納位置に加えて、第1使用位置と第2使用位置とに配置されるため、使用者が選択可能なシートアレンジが増加する。また、スライド装置によって、第1使用位置及び第2使用位置において着座位置を前後に移動させることができる。
【0026】
上記の態様において、前記第2使用位置にある前記シートクッションは、前記収納位置にある前記シートクッションよりも上方に配置され、前記第1使用位置にある前記シートクッションは、前記第2使用位置にある前記シートクッションよりも上方に配置されてもよい。
【0027】
この態様によれば、シートクッションが第1使用位置から第2使用位置に移動することによって、乗物用シートの高さ及び前後位置が変化する。
【0028】
上記の態様において、前記車体はフロア(4)を有し、前記フロアは、フロア前部(4A)と、前記フロア前部の後端から下方に延びるフロア中間部(4B)と、前記フロア中間部の下端から後方に延び、前記フロア前部より下方に配置されたフロア後部(4C)とを有し、前記支持脚の下端は前記フロア後部に左右に延びる前記第1軸回りに回動可能に接続され、前記第1結合部は前記フロア中間部に設けられ、前記シートクッションが前記第2使用位置にあるときに、前記ベースメンバは前記フロア前部と同じ高さに配置されてもよい。
【0029】
この態様によれば、第2使用位置において、シートクッションをフロア前部に近づけて配置することができる。
【0030】
上記の態様において、前記シートクッションの大部分は、前記収納位置において前記フロア後部の上方に配置され、前記第1使用位置において前記フロア前部の上方に配置されてもよい。
【0031】
この態様によれば、収納位置において、フロア前部に対して下方に凹んだフロア後部にシートクッションを配置することができる。
【0032】
上記の態様において、前記第2結合部は前記フロア前部の後端部又は前記フロア中間部の上端部に設けられてもよい。
【0033】
この態様によれば、シートクッションと第2結合部との距離が近くなるため、シートクッションの安定性が向上する。
【0034】
上記の態様において、前記第2結合装置は前記ベースメンバに対して前後方向に移動可能であってもよい。
【0035】
この態様によれば、第1使用位置及び第2使用位置において着座位置を前後に移動させることができる。
【0036】
上記の態様において、前記第2結合装置は、前記アッパメンバに設けられてもよい。
【0037】
この態様によれば、シートクッションと共に第2結合部を前後に移動させることができる。
【0038】
上記の態様において前記第2結合装置が前記ベースメンバに対して所定の結合位置にあり、かつ前記シートクッションが前記第2使用位置にあるときに、前記第2結合装置が前記第2結合部に結合し、前記第2結合装置が前記結合位置になく、かつ前記シートクッションが前記第2使用位置にあるときに、前記第2結合装置は前記第2結合部に結合しなくてもよい。
【0039】
この態様によれば、シートクッションを前後に移動させることによってシートクッションを第2使用位置に固定するか否かを選択することができる。
【0040】
上記の態様において、前記シートクッションが前記収納位置にあるときに、前記シートクッションの上面は前記フロア前部の上面よりも下方に位置し、前記シートクッションが前記第2使用位置にあるときに、前記シートクッションの上面は前記フロア前部の上面よりも上方に位置してもよい。
【0041】
この態様によれば、収納位置において、シートクッションをフロア前部よりも下方に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】実施形態に係るシートの第1使用形態を示す説明図
【
図8】第2結合装置が結合位置にあるシートの第1使用形態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照して、本発明に係る乗物用シートを自動車のシートに適用した実施形態について説明する。実施形態に係るシートは、ミニバン車両の3列目シートに適している。
【0044】
図1に示すように、シート1は、シートクッション2と、シートバック3と、シートクッション2を自動車の車体を構成するフロア4に接続する第1支持脚6及び第2支持脚7とを有する。フロア4は、フロア前部4Aと、フロア前部4Aの後端から下方に延びるフロア中間部4Bと、フロア中間部4Bの下端から後方に延び、フロア前部4Aより下方に配置されたフロア後部4Cとを有する。フロア前部4A及びフロア後部4Cは、互いに平行に配置され、水平に延びている。フロア中間部4B及びフロア後部4Cは、フロア前部4Aに対して下方に凹んだ凹部の一部を構成してもよい。
【0045】
図1及び
図2に示すように、シートクッション2は、ベースメンバ10と、スライド装置11を介してベースメンバ10に前後方向に移動可能に支持されたアッパメンバ12とを有する。ベースメンバ10は、前後方向に延びる左右のサイドメンバ14と、左右方向に延びて左右のサイドメンバ14の前端に接続したフロントメンバ15と、左右方向に延びて左右のサイドメンバ14の後端に接続したリヤメンバ16とを有する。
【0046】
スライド装置11は、左右のロアレール11Aと、各ロアレール11Aにスライド移動可能に支持された左右のアッパレール11Bとを有する。左右のロアレール11Aは前後に延び、左右のサイドメンバ14の内側に配置されている。各ロアレール11Aは、左右において対応するサイドメンバ14と左右方向に間隔をおいて配置されている。各ロアレール11Aの前部は、フロントメンバ15に結合されている。各ロアレール11Aの中間部及び後部は、左右に延びるステー18を介して左右において対応するサイドメンバ14に結合されている。左右のアッパレール11Bは、対応するロアレール11Aに対して前後にスライド移動する。ロアレール11Aとアッパレール11Bとの間には、ロアレール11Aに対するアッパレール11Bの移動を規制するスライドロック装置11Cが設けられている。スライドロック装置11Cは、左右のロアレール11Aから前方に突出した操作レバーを含む。
【0047】
アッパメンバ12は、面が上下を向く板形状に形成されている。他の実施形態では、アッパメンバ12は、略四角形の枠形に形成されてもよい。アッパメンバ12は左右のアッパレール11Bに結合されている。左右のアッパレール11Bは、アッパメンバ12の下面に結合されている。アッパメンバ12の上面にはシートクッションパッド21が載置されている。シートクッションパッド21及びアッパメンバ12の縁部には表皮材22が被せられている。アッパメンバ12の後端部の左右両端には、左右のシートバック支持部23が設けられている。各シートバック支持部23は、アッパメンバ12から上方に延びている。
【0048】
左右のシートバック支持部23には、シートバック3の骨格をなすシートバックフレーム25がリクライニング装置26を介して回動可能に支持されている。シートバック3は、左右に延びる回転軸線を中心としてシートクッション2に対して回動する。リクライニング装置26は、初期状態においてシートクッション2に対するシートバック3の回動を規制し、操作状態においてシートクッション2に対するシートバック3の回動を可能にする。シートバックフレーム25にはシートバックパッド28が支持されている。シートバックパッド28及びシートバックフレーム25には表皮材29が被せられている。
【0049】
第1支持脚6は、水平方向に延びる第1軸A1回りに回動可能にフロア4に接続されている。第1軸A1は左右方向に延びているとよい。本実施形態では、第1支持脚6は、左右の柱部6Aと、左右に延びて左右の柱部6Aを連結する連結部6Bとを有する。左右の柱部6Aの下端は、フロア4下部に設けられた左右の第1ヒンジブラケット31に第1軸A1回りに回転可能に接続されている。シートクッション2は、第1軸A1と平行な第2軸A2回りに回動可能に第1支持脚6に接続されている。リヤメンバ16には、左右の第2ヒンジブラケット32が設けられている。左右の柱部6Aの上端は、左右において対応する第2ヒンジブラケット32に第2軸A2回りに回動可能に接続されている。
【0050】
図1及び
図3に示すように、第1支持脚6には、フロア4に設けられた第1結合部34に着脱可能に結合する第1結合装置35が設けられている。シートクッション2には、フロア4に設けられた第2結合部37に着脱可能に結合する第2結合装置38が設けられている。第1結合部34及び第2結合部37のそれぞれはストライカである。これにより、第1結合部34及び第2結合部37を簡素な構造にすることができる。第1結合部34はフロア中間部4Bに設けられている。第2結合部37は、フロア前部4Aの後端部又はフロア中間部4Bの上端部に設けられている。同様に、第2結合部37は、フロア前部4Aの後端部又はフロア中間部4Bの上端部に設けられてもよい。第1結合部34及び第2結合部37は、フロア前部4Aとフロア中間部4Bとの境界部に設けられてもよい。
【0051】
本実施形態では、第1結合部34及び第2結合部37は、互いに隣り合って設けられている。具体的には、第1結合部34と第2結合部37とは左右方向に並んで配置され、互いに結合されている。第1結合部34は、第2結合部37よりもシート1の左右方向における中央側に配置されている。
【0052】
フロア前部4A及びフロア中間部4Bの境界部には第1補強板41が結合されている。第1補強板41はボルト等の締結部材や溶接によってフロア前部4A及びフロア中間部4Bに結合されているとよい。第1補強板41は、フロア前部4Aの後端部に結合された横板部41Aと、横板部41Aに接続し、かつフロア中間部4Bの上端部に結合された縦板部41Bとを有する。第1補強板41の縁部は曲げ起こされているとよい。横板部41Aには、後方に延びる補強部材42が結合されている。補強部材42は横板部41Aに溶接されているとよい。補強部材42は、金属棒を折曲して形成されている。補強部材42は、左右に延びる第1部分42Aと、中間部の左右両端からそれぞれ前方に延びる左右の第2部分42Bとを有する。補強部材42の左右の第2部分42Bは横板部41Aに結合され、補強部材42の中間部は横板部41Aよりも後方に配置されている。
【0053】
第1結合部34は、金属棒を折曲して形成されている。第1結合部34は、左右に延びる第1部分34Aと、第1部分34Aの左右両端から前方に延びる左右の第2部分34Bと、左右の第2部分34Bの前端から下方に延びる左右の第3部分34Cとを有する。第1結合部34の左右の第3部分34Cは、第1補強板41の縦板部41Bに結合されている。また、第1結合部34の左右の第2部分34Bは、補強部材42の左右の第2部分42Bに結合されている。第1結合部34は、第1補強板41及び補強部材42に溶接されているとよい。
【0054】
第2結合部37は、金属棒を折曲して形成されている。第2結合部37は、左右に延びる第1部分37Aと、第1部分37Aの左右両端から前方かつ下方に傾斜して延びる左右の第2部分37Bと、左右の第2部分37Bの一方の前端から前方に延びる第3部分37Cと、左右の第2部分37Bの他方の前端から下方に延びる第4部分37Dとを有する。第2結合部37の第3部分37Cは、補強部材42の第2部分42Bに結合されている。更に、第2結合部37の第3部分37Cは、第1結合部34の第2部分34Bに結合されてもよい。第2結合部37の第4部分37Dは、フロア中間部4Bに結合されている。第2結合部37は、第1結合部34及び補強部材42に溶接されているとよい。
【0055】
第1結合部34は、縦板部41B及び補強部材42に結合され、補強部材42より後方に突出している。また、第1結合部34は、フロア前部4A及びフロア中間部4Bの境界部から後方に延びている。第2結合部37は、フロア中間部4B及び補強部材42に結合され、後方かつ上方に延びている。また、第2結合部37は、フロア前部4A及びフロア中間部4Bの境界部から後方かつ上方に延びている。
【0056】
フロア中間部4Bには、第2補強板44が更に設けられている。第2補強板44は、左右方向に延び、第1補強板41の縦板部41B、第1結合部34の第3部分34C、フロア中間部4B、第2結合部37の第4部分37Dに結合している。第2補強板44と縦板部41Bとは、第1結合部34の第3部分34Cを前後から挟持しているとよい。また、第2補強板44とフロア中間部4Bとは、第2結合部37の第4部分37Dを前後から挟持しているとよい。第2補強板44は、ボルト等の締結部材によって、第1補強板41の縦板部41B及びフロア中間部4Bに締結されているとよい。
【0057】
第2結合部37には第3補強板45が結合されている。第3補強板45は、第2補強板44に直交し、第2補強板44に結合されている。第3補強板45と第2補強板44とは互いに溶接されているとよい。第3補強板45は、第2結合部37の第2部分37B及び第4部分37Dに結合されている。第3補強板45は、第2結合部37の第2部分37B及び第4部分37Dに溶接されているとよい。
【0058】
シートクッション2の前部には、第2支持脚7が設けられている。フロントメンバ15には、第3ヒンジブラケット(不図示)が設けられている。第2支持脚7の上端部は、第1軸A1と平行な第3軸A3回りに回動可能に第3ヒンジブラケットに支持されている。第2支持脚7は、シート1の左右方向における中央に配置されている。前方から見て、第2支持脚7は第1支持脚6の左右の柱部6Aの間に配置されている。
【0059】
フロア前部4Aには第3結合部52が設けられ、第2支持脚7の下端には第3結合部52に着脱可能に結合する第3結合装置53が設けられている。第3結合部52は、ストライカである。第3結合部52は、金属棒を折曲して形成されている。第3結合部52は、フロア前部4Aから上方に延びる前後の縦部52Aと、前後に延び、前後の縦部52Aの上端に接続した横部52Bとを有する。
【0060】
第2支持脚7は、伝達装置を介して第1支持脚6に接続されている。第1支持脚6がシートクッション2に対して回動すると、伝達装置(不図示)によって第2支持脚7がシートクッション2に対して回動する。具体的には、第1支持脚6が第2軸A2を中心としてシートクッション2に対して前方に回動すると、伝達装置によって第2支持脚7が第3軸A3を中心としてシートクッション2に対して後方に回動する。伝達装置は、第1支持脚6と第2支持脚7とを接続するリンクであるとよい。リンクの後端は、第1支持脚6の第2軸A2よりも下側の部分に左右に延びる回転軸を中心として回動可能に連結されている。リンクの前端は、第2支持脚7の第3軸A3よりも上側の部分に左右に延びる回転軸を中心として回動可能に連結されている。
【0061】
図4に示すように、第1結合装置35、第2結合装置38、及び第3結合装置53は、ストライカを受容可能なスロット57Aが形成されたケース57Bと、ケース57B内に回動可能に設けられたラッチ57Cとを有する。ラッチ57Cは、スロット57A内に突出した結合位置と、スロット57Aから退避した解除位置との間で回動する。ラッチ57Cは、付勢部材57Dによって結合位置に付勢されている。ラッチ57Cは、使用者の操作を受けているときに、付勢力に抗して結合位置から解除位置に移動する。ラッチ57Cが結合位置にあるときに、ラッチ57Cはストライカと結合し、ストライカがスロット57Aから離脱することを阻止する。ラッチ57Cの外側面には傾斜面が形成されている。ラッチ57Cは傾斜面を押されることによって結合位置から解除位置に移動する。これにより、ラッチ57Cが結合位置にあるときに、ストライカはラッチ57Cを押し退けて外部からスロット57Aの内部に進入することができる。
【0062】
図2に示すように、第1結合装置35は上下に延びる柱部6Aの一方の前部に結合されている。第1結合装置35のスロット57Aは、前方に向けて開口し、第1結合装置35のケース57Bを左右方向に貫通している。
【0063】
第2結合装置38は、ベースメンバ10に対して前後方向に移動可能となっている。本実施形態では、第2結合装置38はシートクッション2のアッパメンバ12に設けられている。アッパメンバ12の下面には、下方に延びる支持壁61が設けられている。支持壁61は、左右において互いに対応するサイドメンバ14とロアレール11Aとの間を通過して下方に延びている。第2結合装置38は支持壁61に結合されている。第2結合装置38のスロット57Aは下方に向けて開口し、第2結合装置38のケース57Bを左右方向に貫通している。第2結合装置38のスロット57Aは、ロアレール11A及びサイドメンバ14よりも下方に配置されている。
【0064】
第3結合装置53は、上下に延びる第2支持脚7の下端に結合されている。第3結合装置53のスロット57Aは下方に向けて開口し、第2結合装置38のケース57Bを前後方向に貫通している。
【0065】
リクライニング装置26、第1結合装置35、第2結合装置38、及び第3結合装置53のそれぞれは、コントロールケーブル64を介してコントロールレバー65に接続されている。コントロールレバー65は、初期位置と操作位置との間で回動可能になっている。コントロールレバー65はシートバックフレーム25に設けられているとよい。コントロールレバー65は、初期位置に向けて付勢されている。コントロールレバー65には、ストラップ66が接続されている。ストラップ66の端部は、シートバック3の上端部から外部に延びている。使用者はストラップ66を引っ張ることによって、コントロールレバー65を初期位置から操作位置に回動させることができる。
【0066】
コントロールレバー65が初期位置にあるとき、リクライニング装置26、第1結合装置35、第2結合装置38、及び第3結合装置53のそれぞれはロック状態になる。使用者がストラップ66を引っ張っている間、コントロールレバー65は操作位置に位置する。このとき、リクライニング装置26、第1結合装置35、第2結合装置38、及び第3結合装置53のそれぞれの操作部はコントロールケーブル64によって引っ張られ、リクライニング装置26、第1結合装置35、第2結合装置38、及び第3結合装置53のそれぞれは解除状態になる。
【0067】
図1に示すように、シート1の第1使用形態では、第1支持脚6及び第2支持脚7は上下に延び、第1結合装置35が第1結合部34に結合し、かつ第3結合装置53が第3結合部52に結合している。第1結合装置35が第1結合部34に結合し、かつ第3結合装置53が第3結合部52に結合することによって、フロア4に対する第1支持脚6、第2支持脚7、及びベースメンバ10の位置が固定される。このとき、シートクッション2は第1使用位置にある。
【0068】
シート1の第1使用形態において、使用者はスライドロック装置11Cを操作することによってベースメンバ10に対してアッパメンバ12を前後に移動させることができる。ベースメンバ10に対してアッパメンバ12が前後に移動することによって、アッパメンバ12に設けられた第2結合装置38も前後に移動する。これにより、第2結合装置38は、ベースメンバ10に対して所定の結合位置に位置することができる。結合位置は、第2結合装置38の前後方向への移動範囲において最も前側に設定されるとよい。シートクッション2の大部分は、第1使用位置においてフロア前部4Aの上方に配置されている。
【0069】
また、シート1の第1使用形態において、使用者はリクライニング装置26を直接に操作することによってベースメンバ10に対してシートバック3を前後に回動させることができる。なお、使用者がリクライニング装置26を直接に操作する場合、第1結合装置35、第2結合装置38、及び第3結合装置53はロック状態に維持される。
【0070】
シート1の第1使用形態において、使用者がリクライニング装置26を直接に操作してリクライニング装置26を解除状態にし、かつシートバック3を前方に回動させることによって、
図5に示すようにシート1は折り畳み形態になる。
図5では、第2結合装置38は結合位置に対して後方に配置されている。
【0071】
シート1の折り畳み形態において、使用者がストラップ66を引っ張ると、リクライニング装置26、第1結合装置35、第2結合装置38、及び第3結合装置53が解除状態になる。これにより、第1結合装置35が第1結合部34から離脱可能になると共に、第3結合装置53が第3結合部52から離脱可能になる。その結果、
図6に示すように、シートクッション2及びシートバック3は、後方かつ下方に移動することができる。このとき、第1支持脚6は第1軸A1を中心として回動し、ベースメンバ10は第2軸A2を中心として第1支持脚6に対して回動する。これにより、伝達装置によって第2支持脚7が駆動され、第2支持脚7の下部が第3軸A3を中心として後方に回動する。
【0072】
図6に示すように、第2結合装置38が結合位置にないとき、第2結合装置38は第2結合部37から後方に離れた位置を通過して後方かつ下方に移動する。これにより、第2結合装置38と第2結合部37とが干渉せず、シートクッション2の後方かつ下方への移動が可能になる。シートクッション2の後方かつ下方への移動によって、
図7に示すようにシート1は収容形態になる。このとき、シートクッション2は収納位置にある。シート1の収納形態では、第1支持脚6及び第2支持脚7が前後方向に延びている。シート1の収納形態では、第1支持脚6がフロア後部4Cの上面に載置され、ベースメンバ10が第1支持脚6の上面に載置されているとよい。シートクッション2の大部分は、収納位置においてフロア後部4Cの上方に配置されているとよい。本実施形態では、シートクッション2が収納位置にあるとき、上方から見てシートクッション2の全てがフロア後部4C上に位置する。シートクッション2が収納位置にあるときに、シートクッション2の上面はフロア前部4Aの上面よりも下方に位置する。シートクッション2が収納位置にあるとき、シートクッション2に対して折り畳まれたシートバック3の背面は、フロア前部4Aと同じ高さに位置する。
【0073】
図8に示すように、第1使用形態において、使用者はアッパメンバ12をベースメンバ10に対してスライド移動させることによって、第2結合装置38を結合位置に配置することができる。この状態で、使用者がストラップ66を操作し、かつシートクッション2及びシートバック3を後方かつ下方に移動させると、
図9に示すように第2結合装置38が第2結合部37側に向けて移動する。
図10に示すように第2結合装置38が第2結合部37に結合することによって、第1支持脚6及びベースメンバ10の位置が固定され、シート1は第2使用形態になる。シート1の第2使用形態におけるシートクッション2の位置を第2使用位置とする。シートクッション2が第2使用位置にあるときに、シートクッション2の上面はフロア前部4Aの上面よりも上方に位置する。シートクッション2が第2使用位置にあるときに、ベースフレームはフロア前部4Aと同じ高さに配置される。これにより、シート1に着座した使用者は、フロア前部4Aに沿って下肢を前方に延ばすことができる。
【0074】
シートクッション2は、最も低い位置にある収納位置と、第1結合装置35が第1結合部34に結合した第1使用位置と、第2結合装置38が第2結合部37に結合した第2使用位置との間で移動可能である。第2使用位置にあるシートクッション2は、収納位置にあるシートクッション2よりも上方に配置され、第1使用位置にあるシートクッション2は、第2使用位置にあるシートクッション2よりも上方に配置されている。
【0075】
実施形態に係るシート1は、複数の着座可能な形態を有する。シートクッション2は、収納位置に加えて、第1使用位置と第2使用位置とに配置されるため、使用者が選択可能なシート1アレンジが増加する。シートクッション2が第1使用位置から第2使用位置に移動することによって、シートクッション2の高さ及び前後位置が変化する。シートクッション2が第2使用位置にあるとき、シートクッション2が第1使用位置にあるときよりも、使用者の視線が低くなると共に、使用者の前方及び上方の空間が広くなる。これにより、使用者は車室を広く感じることができる。また、使用者が車両のサイドウインドウに対して低くなるため、プライバシー性が向上する。
【0076】
シート1が第2使用形態であるときのベースメンバ10に対するアッパメンバ12の前後位置は、シート1が第1使用形態であるときのベースメンバ10に対するアッパメンバ12の前後位置よりも前側にある。これにより、シート1の後方にテールゲートが存在する場合に、テールゲートとシートバック3との干渉を避けることができる。また、シートバック3がテールゲートから離れるため、シートバック3のリクライニング角を大きくすることができる。
【0077】
シート1が収納形態であるとき、シート1はフロア前部4Aに対して下方に凹んだフロア後部4Cに配置されるため、車室を広くすることができる。
【0078】
第2結合部37がフロア前部4Aの後端部又はフロア中間部4Bの上端部に設けられているため、シート1の第2使用形態において、シートクッション2と第2結合部37との距離が近くなる。これにより、シートクッション2の安定性が向上する。第1結合部34及び第2結合部37とフロア4との結合部には、第1補強板41及び第2補強板44が設けられているため、第1結合部34及び第2結合部37の剛性が増加する。また、第1補強板41と第2補強板44とが互いに結合されているため、第1結合部34及び第2結合部37の剛性が更に増加する。また、第3補強板45によって第2結合部37の剛性が増加する。
【0079】
第1結合部34と第2結合部37とが左右方向に並んで配置され、互いに結合されているため、第1結合装置35と第2結合部37との干渉を避けることができる。また、第2結合装置38と第1結合部34との干渉を避けることができる。
【0080】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、第2結合装置38はベースメンバ10に他のスライド装置91を介して前後方向に移動可能に設けられてもよい。スライド装置91は例えばサイドメンバ14に結合されるとよい。この構成によれば、第2使用位置において、ベースメンバ10に対してアッパメンバ12を前後にスライド移動させることができる。
【0081】
第1支持脚6、第2支持脚7、第1結合部34、及び第2結合部37は、フロア4に代えて、車体を構成する側壁部に設けられてもよい。第1支持脚6、第2支持脚7、第1結合部34、及び第2結合部37は、フロア4又は車体を構成する側壁部に設けられた他の構造体に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 :シート
2 :シートクッション
3 :シートバック
4 :フロア
4A :フロア前部
4B :フロア中間部
4C :フロア後部
6 :第1支持脚
10 :ベースメンバ
11 :スライド装置
34 :第1結合部
35 :第1結合装置
37 :第2結合部
38 :第2結合装置
41 :第1補強板
41A :横板部
41B :縦板部
42 :補強部材
42A :第1部分
42B :第2部分
44 :第2補強板
45 :第3補強板
52 :第3結合部
53 :第3結合装置
61 :支持壁
A1 :第1軸
A2 :第2軸
A3 :第3軸