(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182983
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】複合容器および複合容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 1/48 20060101AFI20221201BHJP
B65D 1/26 20060101ALI20221201BHJP
B29C 51/08 20060101ALI20221201BHJP
B29C 51/16 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B65D1/48
B65D1/26 110
B29C51/08
B29C51/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023269
(22)【出願日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2021088703
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】相澤 恒
(72)【発明者】
【氏名】亀田 克巳
(72)【発明者】
【氏名】丸尾 亮介
【テーマコード(参考)】
3E033
4F208
【Fターム(参考)】
3E033AA08
3E033BA10
3E033BA16
3E033BA18
3E033BA22
3E033BB08
3E033CA02
3E033DA08
3E033DD03
3E033FA04
4F208AA24
4F208AA50
4F208AC03
4F208AD09
4F208MA06
4F208MB01
4F208MB19
4F208MC01
4F208MC04
4F208MH06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】落下強度を向上させることが可能な、複合容器および複合容器の製造方法を提供する。
【解決手段】複合容器10Aは、胴部11と、胴部11の下方に設けられた底部20とを有する樹脂製容器10と、樹脂製容器10の外側に設けられ、胴部11の少なくとも一部を覆うラベル部材40とを備えており、ラベル部材40の下縁42は、樹脂製容器10に覆われており、底部20は、胴部11に連結された第1底部21と、第1底部21よりも径方向内方かつ下方に設けられた第2底部22とを含んでいる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部と、前記胴部の下方に設けられた底部とを有する樹脂製容器と、
前記樹脂製容器の外側に設けられ、前記胴部の少なくとも一部を覆うラベル部材とを備え、
前記ラベル部材の下縁は、前記樹脂製容器に覆われており、
前記底部は、
前記胴部に連結された第1底部と、
前記第1底部よりも径方向内方かつ下方に設けられた第2底部とを含む、複合容器。
【請求項2】
前記樹脂製容器は、前記胴部の上方に設けられたフランジ部を更に有する、請求項1に記載の複合容器。
【請求項3】
前記底部は、前記第1底部と前記第2底部との間に設けられ、上方に向けて凹む凹部を更に含む、請求項1または2に記載の複合容器。
【請求項4】
前記樹脂製容器は、バイオマス由来成分を含むポリエチレンテレフタレート、またはリサイクルポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の複合容器。
【請求項5】
前記ラベル部材は、紙を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の複合容器。
【請求項6】
前記ラベル部材は、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の複合容器。
【請求項7】
前記ラベル部材に、前記ラベル部材を前記樹脂製容器から剥離除去するための切断線が設けられている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の複合容器。
【請求項8】
前記ラベル部材の下部に、周方向に沿って連続的または断続的に形成された罫線が設けられている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の複合容器。
【請求項9】
前記ラベル部材に、前記ラベル部材を厚み方向に貫通する複数の貫通孔が形成されている、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の複合容器。
【請求項10】
前記樹脂製容器は、シート成形体である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の複合容器。
【請求項11】
胴部と、前記胴部の下方に設けられた底部とを有する樹脂製容器と、前記樹脂製容器の外側に設けられ、前記胴部の少なくとも一部を覆うラベル部材とを備える複合容器の製造方法において、
キャビティ型とシート押し込み治具とを準備する工程と、
前記キャビティ型の内面に前記ラベル部材を装着する工程と、
前記ラベル部材が装着された前記キャビティ型と、前記シート押し込み治具とによって、シート材料に対してシート成形を施すことにより、前記シート材料から前記樹脂製容器を作製する工程とを備え、
前記ラベル部材の下縁は、前記樹脂製容器に覆われており、
前記底部は、
前記胴部に連結された第1底部と、
前記第1底部よりも径方向内方かつ下方に設けられた第2底部とを含む、複合容器の製造方法。
【請求項12】
前記キャビティ型の内面に前記ラベル部材を装着する工程において、前記ラベル部材を筒状にするとともに、前記ラベル部材の下縁と前記キャビティ型の内面との間に隙間が形成されるように、前記キャビティ型の内面に前記ラベル部材を装着する、請求項11に記載の複合容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合容器および複合容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、食品等の内容物を収容する容器として、合成樹脂を使用した容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、合成樹脂シートから熱成形された容器本体の胴部に、剛性の大きい筒状の厚紙ラベルを、脚部を形成する形態で、インモールド法により貼着して外装組付けし、厚紙ラベルの剛性を容器の剛性として効果的に作用させたインモールドラベル付き容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す容器では、厚紙ラベルが脚部を形成しているため、容器を搬送する際に厚紙ラベルが搬送コンベアに引っ掛かってしまう可能性がある。また、厚紙ラベルが搬送コンベアに引っ掛かってしまった場合、搬送コンベア上で容器が転倒してしまうおそれがある。そして、容器が搬送コンベア上で転送した場合、作業効率が悪化してしまうという問題がある。このため、簡便な構造により、落下強度を向上できる容器が求められている。
【0005】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、落下強度を向上させることが可能な、複合容器および複合容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態による複合容器は、胴部と、前記胴部の下方に設けられた底部とを有する樹脂製容器と、前記樹脂製容器の外側に設けられ、前記胴部の少なくとも一部を覆うラベル部材とを備え、前記ラベル部材の下縁は、前記樹脂製容器に覆われており、前記底部は、前記胴部に連結された第1底部と、前記第1底部よりも径方向内方かつ下方に設けられた第2底部とを含む、複合容器である。
【0007】
一実施の形態による複合容器において、前記樹脂製容器は、前記胴部の上方に設けられたフランジ部を更に有してもよい。
【0008】
一実施の形態による複合容器において、前記底部は、前記第1底部と前記第2底部との間に設けられ、上方に向けて凹む凹部を更に含んでもよい。
【0009】
一実施の形態による複合容器において、前記樹脂製容器は、バイオマス由来成分を含むポリエチレンテレフタレート、またはリサイクルポリエチレンテレフタレートを含んでもよい。
【0010】
一実施の形態による複合容器において、前記ラベル部材は、紙を含んでもよい。
【0011】
一実施の形態による複合容器において、前記ラベル部材は、ポリエチレンテレフタレートを含んでもよい。
【0012】
一実施の形態による複合容器において、前記ラベル部材に、前記ラベル部材を前記樹脂製容器から剥離除去するための切断線が設けられてもよい。
【0013】
一実施の形態による複合容器において、前記ラベル部材の下部に、周方向に沿って連続的または断続的に形成された罫線が設けられてもよい。
【0014】
一実施の形態による複合容器において、前記ラベル部材に、前記ラベル部材を厚み方向に貫通する複数の貫通孔が形成されてもよい。
【0015】
一実施の形態による複合容器において、前記樹脂製容器は、シート成形体であってもよい。
【0016】
一実施の形態による複合容器の製造方法は、胴部と、前記胴部の下方に設けられた底部とを有する樹脂製容器と、前記樹脂製容器の外側に設けられ、前記胴部の少なくとも一部を覆うラベル部材とを備える複合容器の製造方法において、キャビティ型とシート押し込み治具とを準備する工程と、前記キャビティ型の内面に前記ラベル部材を装着する工程と、前記ラベル部材が装着された前記キャビティ型と、前記シート押し込み治具とによって、シート材料に対してシート成形を施すことにより、前記シート材料から前記樹脂製容器を作製する工程とを備え、前記ラベル部材の下縁は、前記樹脂製容器に覆われており、前記底部は、前記胴部に連結された第1底部と、前記第1底部よりも径方向内方かつ下方に設けられた第2底部とを含む、複合容器の製造方法である。
【0017】
一実施の形態による複合容器の製造方法において、前記キャビティ型の内面に前記ラベル部材を装着する工程において、前記ラベル部材を筒状にするとともに、前記ラベル部材の下縁と前記キャビティ型の内面との間に隙間が形成されるように、前記キャビティ型の内面に前記ラベル部材を装着してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、複合容器の落下強度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、一実施の形態による蓋材付き複合容器を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態による複合容器を示す垂直断面図である。
【
図3】
図3は、一実施の形態による複合容器を示す平面図である。
【
図4】
図4は、一実施の形態による複合容器を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、一実施の形態による複合容器を示す拡大図(
図2のV部に対応する拡大図)である。
【
図6】
図6は、一実施の形態による複合容器のラベル部材を示す展開図である。
【
図7】
図7は、一実施の形態による複合容器の製造方法を示す図である。
【
図8】
図8は、一実施の形態による複合容器の製造方法を示す図である。
【
図9】
図9は、一実施の形態による複合容器の製造方法を示す図である。
【
図10】
図10は、一実施の形態による複合容器の作用を説明する断面図である。
【
図11】
図11は、一実施の形態による複合容器の変形例を示す部分垂直断面図である。
【
図12】
図12は、一実施の形態による複合容器の変形例を示す拡大図(
図11のXII部に対応する拡大図)である。
【
図13】
図13は、一実施の形態による複合容器の他の変形例を示す平面図である。
【
図14】
図14は、一実施の形態による複合容器のラベル部材の変形例を示す展開図である。
【
図15】
図15は、一実施の形態による複合容器のラベル部材の変形例の他の例を示す展開図である。
【
図16】
図16は、一実施の形態による複合容器のラベル部材の変形例の他の例を示す展開図である。
【
図17】
図17は、一実施の形態による複合容器の変形例を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、一実施の形態による複合容器のラベル部材の変形例の他の例を示す展開図である。
【
図19】
図19は、実施例において、比較例の複合容器を示す部分垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本実施の形態について説明する。
図1乃至
図10は本実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ複合容器10Aを正立させた状態(
図1)における上方および下方のことをいう。
【0021】
また、本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、製造方法などの方法に関して複数の工程を開示する場合に、開示されている工程の間に、開示されていないその他の工程が実施されてもよい。また、開示されている工程の順序は、矛盾の生じない範囲で任意である。
【0022】
蓋材付き複合容器
図1に示すように、蓋材付き複合容器1は、複合容器10Aと、複合容器10Aを密閉する蓋材50とを備えている。ここでは、まず、複合容器10Aについて説明する。
【0023】
複合容器
図1乃至
図3に示すように、複合容器10Aは、カップ状の樹脂製容器10と、樹脂製容器10の外側に設けられたラベル部材40とを備えている。本実施の形態では、樹脂製容器10は、シート成形により作製されたシート成形体である。樹脂製容器10の内部に収容される内容物は特に限定されるものではなく、飲料やデザート等であってもよい。
【0024】
(樹脂製容器)
次に、
図1乃至
図5により、樹脂製容器について詳細に説明する。
図1乃至
図3に示すように、樹脂製容器10は、胴部11と、胴部11の下方に設けられた底部20とを有している。また、樹脂製容器10は、胴部11の上方に設けられたフランジ部15を更に有していてもよい。このような樹脂製容器10には、開口部12が形成されており、開口部12から複合容器10Aに内容物が充填されるとともに、複合容器10Aに充填された内容物が開口部12から取り出されるようになっている。
【0025】
樹脂製容器10の胴部11は、上方(フランジ部15側)から下方(底部20側)に向けて徐々に縮径する円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部11が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していてもよい。
【0026】
図3に示すように、底部20は、平面視略円形状を有している。この底部20の直径は、例えば30mm以上80mm以下であってもよい。
【0027】
図3に示すように、フランジ部15は、平面視略円環形状を有している。このフランジ部15の幅(径方向距離)は、例えば2mm以上5mm以下であってもよい。
図2に示すように、このフランジ部15は、胴部11の上端から側方に向けて水平に突出しており、フランジ部15の上面は平坦面になっている。また、フランジ部15の内部に上述した開口部12が形成されている。
【0028】
フランジ部15の厚みT(
図2参照)は、0.5mm以上2.0mm以下であってもよい。フランジ部15の厚みTが0.5mm以上であることにより、樹脂製容器10の成形性が低下することを抑制できるとともに、フランジ部15の剛性が低下することを抑制ができる。このため、フランジ部15に蓋材50をシールする際に、シール不良が発生することを抑制できる。また、フランジ部15から蓋材50を取り外すことにより、蓋材付き複合容器1を開封する際に、蓋材付き複合容器1の開封性が低下することを抑制できる。なお、本明細書中、フランジ部15の厚みTとは、フランジ部15の先端部に位置する点であって、周方向に沿って互いに離間した5つの点においてそれぞれ測定された厚みの平均値をいう。ここで、フランジ部15の先端部とは、平面視において、径方向距離がフランジ部15の外縁から1.5mm以内の領域をいう。また、フランジ部15の厚みTは、マイクロメータ(例えば、ミツトヨ社製、BMD-25MX395-271)を用いて測定することができる。
【0029】
ここで、
図4および
図5に示すように、底部20は、胴部11に連結された第1底部21と、第1底部21よりも径方向内方かつ下方に設けられた第2底部22とを含んでいる。
【0030】
このうち第1底部21は、落下時の衝撃を吸収する役割を果たす。第1底部21は、平面視略円環形状を有している。
図5に示すように、この第1底部21は、胴部11の下端から径方向内方に向けて水平に突出している。また、第1底部21の下面は平坦面になっている。平坦面の幅W1(径方向距離)は、例えば1mm以上10mm以下であってもよく、一例として5mmであってもよい。
【0031】
第2底部22は、接地部23と、接地部23の径方向内方に設けられた陥没部24とを含んでいる。このうち接地部23は、テーブル等の基準面Sに当接する部分である。この接地部23は、周方向において、底部20の全域にわたって形成されている。
【0032】
接地部23の外周には、環状の外壁面25が形成されている。外壁面25は、垂直断面において、第1底部21に至るように延びている。また、外壁面25は、垂直断面において、下方に向かって凸となるように湾曲している。この場合、外壁面25は、垂直断面において円弧形状をもっていてもよい。外壁面25の曲率半径Rは、例えば0.5mm以上10mm以下であってもよく、一例として5mmであってもよい。また、外壁面25の高さH1(基準面Sから第1底部21の下面までの上下方向距離)は、例えば1mm以上10mm以下であってもよく、一例として5mmであってもよい。
【0033】
陥没部24は、接地部23の内周に形成された傾斜面24aと、傾斜面24aに連結する天面24bとを含んでいる。このうち傾斜面24aは、垂直断面において、径方向内方に向かうにつれて上方へ傾斜している。基準面Sに対する傾斜面24aの傾斜角度θ1は、例えば5°以上60°以下であってもよく、一例として20°であってもよい。また、傾斜面24aの高さH2(基準面Sから天面24bまでの上下方向距離)は、例えば1mm以上10mm以下であってもよく、一例として2mmであってもよい。なお、天面24bは、垂直断面において、水平方向に延びている。
【0034】
このような底部20の底面20aには、ゲート痕が存在しない。すなわち、本実施の形態による樹脂製容器10は、上述したようにシート成形により作製されている。このため、樹脂製容器10の底部20の底面20aには、例えば射出成形やインジェクションブロー成形によって作製された樹脂製品に形成されるゲート痕が形成されていない。これにより、樹脂製容器10を落下させた際に、ゲート痕に起因して樹脂製容器10の底部20が破損する、いわゆるゲート割れが生じることを回避できる。このため、樹脂製容器10の底部20における落下強度を向上できる。また、底部20の底面20aにゲート痕が存在しないことにより、底部20へ文字等を印刷する際の印刷位置に対する制約もない。さらに、底部20の底面20aにゲート痕が存在しないことにより、複合容器10Aを搬送する際に、樹脂製容器10が搬送コンベアに引っ掛かってしまうことを抑制できる。なお、本明細書中、「ゲート痕」とは、雄型と雌型とを用いて射出成形により樹脂製品を作製した際に、雄型と雌型との間の空間に樹脂材料を射出するためのゲートに起因して、樹脂製品に形成された凹凸等の痕跡を意味する。
【0035】
樹脂製容器10のシート材料としては熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等を使用することができる。樹脂製容器10は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていてもよいが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、無色透明であることが好ましい。なお、リサイクルの観点からは、樹脂製容器10の材料として、無色透明なポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。また、樹脂製容器10は、バイオマス由来成分を含むポリエチレンテレフタレート、またはリサイクルポリエチレンテレフタレートを含んでいてもよい。これにより、環境負荷を低減できる。シート厚みは0.5mm以上3mm以下であってもよく、一例として1.2mmであってもよい。
【0036】
このような樹脂製容器10は、例えば満注容量が50ml以上1000ml以下の容器であってもよい。また、樹脂製容器10の高さH(基準面Sからフランジ部15の上面までの上下方向距離、
図2参照)は、50mm以上200mm以下であってもよい。
【0037】
(ラベル部材)
次に、
図1乃至
図6により、ラベル部材40について説明する。ここで、
図6は、ラベル部材40を示す展開図である。このラベル部材40は、薄肉化された胴部11を補強することにより、樹脂製容器10を備える複合容器10Aの剛性を高める役割を果たす。
【0038】
図1乃至
図5に示すように、ラベル部材40は、樹脂製容器10の胴部11を覆っている。ラベル部材40が胴部11を覆っていることにより、複合容器10Aを把持した際に、薄肉化された胴部11が潰されないようになっている。また、ラベル部材40が胴部11を覆っていることにより、ユーザーが複合容器10Aを持った際に、複合容器10A内の内容物の熱がユーザーの手に伝わりにくくなっている。本実施の形態では、ラベル部材40は、胴部11の一部分のみを覆っている。なお、ラベル部材40が、胴部11の全域を覆っていてもよい。このように、ラベル部材40が胴部11の全域を覆っていることにより、複合容器10Aの剛性をより効果的に高めることができる。
【0039】
図示された例では、ラベル部材40の上縁41および下縁42は、それぞれ樹脂製容器10に覆われている。このように、ラベル部材40の上縁41および下縁42が樹脂製容器10に覆われていることにより、ラベル部材40の上縁41および下縁42からラベル部材40内に水分が浸透してしまうことを抑制できる。このため、ラベル部材40が、内部に浸透した水分によって湿潤してしまうこと、あるいは、膨潤してしまうことを抑制できる。また、ラベル部材40が紙を含んでいる場合には、ラベル部材40の紙が剥離してしまうことを抑制できる。上述したように、ラベル部材40は、樹脂製容器10の胴部11の一部分のみを覆っている。このため、図示された例では、ラベル部材40の上縁41および下縁42は、それぞれ樹脂製容器10の胴部11に覆われている。
【0040】
また、ラベル部材40に、ラベル部材40を樹脂製容器10から剥離除去するための切断線45(
図1参照)が設けられている。これにより、ラベル部材40や樹脂製容器10をリサイクルする際に、ラベル部材40と樹脂製容器10とを容易に分離でき、リサイクル性を向上できる。また、ラベル部材40や樹脂製容器10を廃棄する場合であっても、ラベル部材40と樹脂製容器10とを分別して廃棄することができる。この切断線45は、例えば、ミシン目状に形成されていてもよい。すなわち、切断線45は、ラベル部材40を貫通する貫通部分と、ラベル部材40を貫通しない非貫通部分とが線状に交互に並ぶように形成されていてもよい。また例えばジッパー様形状でも、ラベル部材40を切断可能であればそれでもよい。
【0041】
図6に示すように、ラベル部材40は、ラベル部材40を展開させた状態において扇形状をもっている。
【0042】
ラベル部材40の周方向の長さは、後述するキャビティ型60に両側縁43同士を突き合わせて装着した際に、突き合わされた両側縁43同士の間に、幅が0.5mm以上2.0mm以下程度の隙間が生じる程度の長さであることが好ましい。このようなラベル部材40を形成することにより、ラベル部材40がキャビティ型60に無理なく挿入され、シート材料に対してシート成形を施した場合に、ラベル部材40に重なり部や、めくれ、しわなどの不良が発生することを抑制できる。
【0043】
このようなラベル部材40は、紙を含んでいてもよい。また、ラベル部材40は、ポリエチレンテレフタレートを含んでいてもよい。ラベル部材40が紙を含んでいる場合、紙としては、コートボール、カード紙、アイボリー紙、カップ原紙、ミルクカートン用紙等の板紙や画用紙、ケント紙、段ボール等を含み、いわゆる合成紙や各種プラスチックを積層した積層紙・複合紙でもよく、耐水や耐油等の機能を付与した機能紙でもよい。また石灰石とプラスチックを混ぜたもの等、原材料にパルプ以外を用いた特殊紙でもよい。使用する紙の坪量は適宣設計する事が出来る。例えば、使用する紙は、坪量が50g/m2以上500g/m2以下のものを用いることができ、好ましくは55g/m2以上215g/m2以下の範囲のものを用いることができ、一例として、坪量が80g/m2であるものを用いることができる。
【0044】
また、意匠性を高めるためにラベル部材40に予め絵柄、文字などの印刷が施されていてもよい。このように、ラベル部材40に予め絵柄等の印刷が施されていることにより、シート成形後の印刷工程を省略できる。これにより、複合容器10Aの製造時間を短縮できる。また、シート成形後の印刷工程を省略できるため、印刷不良を抑制するために樹脂製容器10の厚みを厚くしなくてもよい。このため、樹脂製容器10の薄肉化を図ることができ、樹脂製容器10に使用する樹脂量を低減できる。
【0045】
なお、ラベル部材40は、所望の層構成を有する樹脂製のラミネートフィルムであってもよく、プラスチックと無機物が混生された所謂合成紙であっても良い。
【0046】
具体的には、ラベル部材40として、例えば以下の層構成を有するフィルムを用いることができる。
【0047】
(1)(内側)ヒートシール性を有する延伸ポリプロピレン層(HSOPP)25μm/アルミ箔7μm/延伸ポリプロピレン層(OPP)25μm(外側)
(2)(内側)ヒートシール性を有する延伸ポリプロピレン層(HSOPP)25μm/VM-PET12/延伸ポリプロピレン層(OPP)25μm(外側)
(3)(内側)ヒートシール剤コーティング/延伸ポリプロピレン層(OPP)25μm/アルミ箔7μm/延伸ポリプロピレン層(OPP)25μm(外側)
【0048】
蓋材
次に、蓋材50について説明する。
【0049】
蓋材50は、樹脂製のフィルムによって構成されている。
図1に示すように、蓋材50は、平面視略円形状を有しており、樹脂製容器10のフランジ部15の平坦な上面に全周にわたってシールされている。蓋材50としては、例えば以下の層構成の積層体を用いることができる。
【0050】
(外側)ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)12μm/ナイロンフィルム(Ny)15μm/ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)30μm以上60μm以下(内側)
【0051】
なお、蓋材50の材料としては、いわゆるイージーピール性を発現させることができる樹脂材料を用いることが好ましい。また、上記各層は常法に従い、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、押出コーティング法その他のコーティング法によって形成される。
【0052】
複合容器の製造方法および蓋材付き複合容器の製造方法
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、複合容器10Aの製造方法および蓋材付き複合容器1の製造方法について、
図7乃至
図9を用いて説明する。
【0053】
まず、ラベル部材40を準備する。この際、まず、例えば、コートボール、カード紙やアイボリー紙等を所定の形状に打ち抜く。これにより、展開された状態のラベル部材40が作製される(
図6参照)。
【0054】
また、キャビティ型60とシート押し込み治具61とを準備する。
【0055】
次に、
図7に示すように、キャビティ型60の内面にラベル部材40を装着する。この際、ラベル部材40を筒状にするとともに、ラベル部材40の下縁42とキャビティ型60の内面との間に隙間gが形成されるように、キャビティ型60の内面にラベル部材40を装着する。この場合、まず、ラベル部材40の両側縁43が向かい合わせになるように、ラベル部材40を筒状にする。次に、筒状にしたラベル部材40をキャビティ型60の内面に装着する。このキャビティ型60には、吸引孔62が形成されており、吸引孔62から空気を吸引することによって、ラベル部材40がキャビティ型60に装着される。このとき、ラベル部材40の下縁42とキャビティ型60の内面との間に隙間gが形成される。このように、隙間gが形成されることにより、ラベル部材40をキャビティ型60に無理なく挿入することができ、後述するシート材料10aに対してシート成形を施した場合に、ラベル部材40にしわなどの不良が発生することを抑制できる。
【0056】
次いで、
図8および
図9に示すように、ラベル部材40が装着されたキャビティ型60と、シート押し込み治具61とによって、シート材料10aに対してシート成形を施すことにより、シート材料10aから樹脂製容器10を作製する。
【0057】
この際、まず、シート材料10aをシート成形出来る柔軟な状態になるまでシート成形用ヒーター(図示せず)で十分に加熱する。
【0058】
次いで、ラベル部材40上にシート材料10aを積層する。この際、まず、
図8に示すように、十分に加熱されたシート材料10aが、ラベル部材40の上方に配置される。次に、シート材料10aが、シート押し込み治具61によってキャビティ型60に押し込まれる。
【0059】
そして、シート材料10aがシート押し込み治具61によってキャビティ型60内に押し込まれ、
図9に示すように、シート材料10aはラベル部材40に押しつける。このようにして、シート材料10aに対してシート成形が施され、シート材料10aから樹脂製容器10が得られる。また、この際、シート材料10aから得られた樹脂製容器10が、ラベル部材40に密着する。なお、この際、吸引孔62から空気が吸引されてもよく、シート材料10aが、ラベル部材40に吸い付けられてもよい。この後トムソン刃等によりフランジを所定の形状に打ち抜くことにより、複合容器10Aが得られる。
【0060】
また、複合容器10Aを作製することと並行して、蓋材50を準備する。この際、所定の積層体をドライラミネート法等によって作製する。その後、当該積層体を刃物等により所定の形状に打ち抜くことにより、蓋材50を作製する。
【0061】
次に、複合容器10Aに内容物を充填し、蓋材50によって複合容器10Aを密閉する。蓋材50によって複合容器10Aを密閉する際、まず、樹脂製容器10のフランジ部15上に蓋材50を載置する。次いで、図示しないシール熱板等によって、蓋材50をフランジ部15にシールする。この際、例えば窒素ガス等により、樹脂製容器10内の空気を置換してもよい。
【0062】
このようにして、複合容器10Aと、複合容器10Aを密閉する蓋材50とを備える、蓋材付き複合容器1が得られる。
【0063】
ここで、本実施の形態による複合容器10Aでは、ラベル部材40の下縁42が、樹脂製容器10に覆われている。言い換えれば、樹脂製容器10が、ラベル部材40の下縁42を覆っている。このため、樹脂製容器10のうち、ラベル部材40の下縁42を覆う部分の近傍では、樹脂製容器10が弾性変形し難くなっている部分が存在し得る。このため、樹脂製容器10のうち、ラベル部材40の下縁42を覆う部分の近傍に大きな力が作用した場合、当該力を逃がすことができず、樹脂製容器10が損傷を受けてしまうおそれがある。
【0064】
これに対して本実施の形態では、樹脂製容器10の底部20が、胴部11に連結された第1底部21と、第1底部21よりも径方向内方かつ下方に設けられた第2底部22とを含んでいる。これにより、第1底部21が落下時の衝撃を吸収することができる。例えば、
図10に示すように、複合容器10Aが地面Gに落下した場合、第2底部22が地面Gに衝突し得る。このように、第2底部22が地面Gに衝突した場合、地面Gから第2底部22に衝撃が加えられる。
【0065】
ここで、第2底部22に加えられた衝撃が第1底部21に伝わると、第1底部21が、径方向内方に向かうにつれて上方へ傾斜するように、弾性変形する。この結果、衝撃が第1底部21に吸収される。このため、樹脂製容器10のうち、ラベル部材40の下縁42を覆う部分の近傍に、衝撃が及ばないようにすることができる。すなわち、地面Gから第2底部22に衝撃が加えられた場合であっても、ラベル部材40の下縁42を覆う部分の近傍に、局所的に大きな力が作用してしまうことを抑制できる。このため、樹脂製容器10が、ラベル部材40の下縁42を覆う部分の近傍において、損傷を受けてしまうことを抑制できる。
【0066】
以上のように本実施の形態によれば、複合容器10Aが、胴部11と、胴部11の下方に設けられた底部20とを有する樹脂製容器10と、樹脂製容器10の外側に設けられ、胴部11の少なくとも一部を覆うラベル部材40とを備えている。また、ラベル部材40の下縁42が、樹脂製容器10に覆われている。そして、底部20が、胴部11に連結された第1底部21と、第1底部21よりも径方向内方かつ下方に設けられた第2底部22とを含んでいる。これにより、第1底部21が落下時の衝撃を吸収することができる。このため、樹脂製容器10のうち、ラベル部材40の下縁42を覆う部分の近傍に、衝撃が及ばないようにすることができる。この結果、樹脂製容器10が、ラベル部材40の下縁42を覆う部分の近傍において、損傷を受けてしまうことを抑制できる。
【0067】
また、ラベル部材40の下縁42が、樹脂製容器10に覆われている。これにより、ラベル部材40の下縁42からラベル部材40内に水分が浸透してしまうことを抑制できる。このため、ラベル部材40が、内部に浸透した水分によって湿潤してしまうこと、あるいは、膨潤してしまうことを抑制できる。また、ラベル部材40が紙を含んでいる場合には、ラベル部材40の紙が剥離してしまうことを抑制できる。このため、複合容器10Aに外観不良が生じてしまうことを抑制できる。
【0068】
さらに、ラベル部材40の下縁42が樹脂製容器10に覆われていることにより、複合容器10Aを搬送する際に、搬送コンベアにラベル部材40が引っ掛かってしまうこともない。このため、複合容器10Aの搬送性が低下することもない。
【0069】
また、本実施の形態によれば、樹脂製容器10が、胴部11の上方に設けられたフランジ部15を更に有している。これにより、蓋材50を樹脂製容器10にシールしやすくすることができる。このため、蓋材付き複合容器1の密封性を向上できる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、樹脂製容器10が、バイオマス由来成分を含むポリエチレンテレフタレート、またはリサイクルポリエチレンテレフタレートを含んでいる。これにより、環境負荷を低減できる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、ラベル部材40が、紙を含んでいる。これにより、紙が容器剛性を補完することができるため、樹脂製容器10に使用する樹脂量を低減した場合であっても、複合容器10Aの剛性が低下することを抑制できる。このため、複合容器10Aに使用する樹脂量を低減できる。このため、環境負荷を低減できる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、ラベル部材40に、ラベル部材40を樹脂製容器10から剥離除去するための切断線45が設けられている。これにより、ラベル部材40や樹脂製容器10をリサイクルする際に、ラベル部材40と樹脂製容器10とを容易に分離でき、リサイクル性を向上できる。また、ラベル部材40や樹脂製容器10を廃棄する場合であっても、ラベル部材40と樹脂製容器10とを分別して廃棄することができる。
【0073】
さらに、本実施の形態によれば、樹脂製容器10が、シート成形体である。これにより、軽量で生産性に優れた複合容器10Aを容易に得ることができる。
【0074】
なお、上述した本実施の形態において、樹脂製容器10が、シート成形体である例を示したが、これに限られない。例えば、樹脂製容器10は、射出成形法等の他の成形方法によって作製されてもよい。
【0075】
また、上述した本実施の形態において、底部20が、胴部11に連結された第1底部21と、第1底部21よりも径方向内方かつ下方に設けられた第2底部22とを含んでいる例を示した。この場合、
図11および
図12に示すように、底部20が、第1底部21と第2底部22との間に設けられ、上方に向けて凹む凹部26を更に含んでいてもよい。
【0076】
図12に示すように、凹部26は、第1底部21から延びる第1傾斜面26aと、第1傾斜面26aに連結する天面26bと、天面26bに連結する第2傾斜面26cとを含んでいる。このうち第1傾斜面26aは、垂直断面において、径方向内方に向かうにつれて上方へ傾斜している。基準面Sに対する第1傾斜面26aの傾斜角度θ2は、例えば45°以上80°以下であってもよく、一例として70°であってもよい。また、第1傾斜面26aの高さH3(第1底部21の下面から天面26bまでの上下方向距離)は、例えば2mm以上8mm以下であってもよく、一例として3mmであってもよい。
【0077】
天面26bは、垂直断面において、水平方向に延びている。この天面26bの幅W2(径方向距離)は、例えば1mm以上5mm以下であってもよく、一例として2mmであってもよい。
【0078】
第2傾斜面26cは、垂直断面において、径方向内方に向かうにつれて下方へ傾斜している。基準面Sに対する第2傾斜面26cの傾斜角度θ3は、例えば45°以上80°以下であってもよく、一例として70°であってもよい。この第2傾斜面26cは、接地部23の外周に設けられた外壁面25に連結されている。
【0079】
本変形例では、第1底部21の下面(平坦面)の幅W1は、例えば1mm以上5mm以下であってもよく、一例として2mmであってもよい。また、外壁面25の高さH1は、例えば1mm以上10mm以下であってもよく、一例として2mmであってもよい。
【0080】
本変形例によれば、底部20が、第1底部21と第2底部22との間に設けられ、上方に向けて凹む凹部26を更に含んでいる。これにより、凹部26および第1底部21が落下時の衝撃を吸収する。すなわち、落下時の衝撃が、凹部26および第1底部21によって吸収される。例えば、図示はしないが、複合容器10Aが地面Gに落下した場合、第2底部22が地面Gに衝突し得る。このように、第2底部22が地面Gに衝突した場合、地面Gから第2底部22に衝撃が加えられる。
【0081】
ここで、第1底部21と第2底部22との間に、上方に向けて凹む凹部26が設けられていることにより、第2底部22に加えられた衝撃が凹部26に伝わると、凹部26が、例えば凹部26の天面26bが径方向内方に向かうにつれて上方へ傾斜するように、弾性変形する。この結果、衝撃が凹部26に吸収される。また、凹部26が衝撃を吸収しきれなかった場合には、凹部26に加えられた衝撃が第1底部21に伝わり、第1底部21が上述したように弾性変形する。この結果、衝撃が第1底部21に吸収される。
【0082】
このため、本変形例によれば、地面Gから第2底部22に衝撃が加えられた場合であっても、ラベル部材40の下縁42を覆う部分の近傍に、局所的に大きな力が作用してしまうことをより効果的に抑制できる。このため、樹脂製容器10が、ラベル部材40の下縁42を覆う部分の近傍において、損傷を受けてしまうことをより効果的に抑制できる。
【0083】
また、上述した本実施の形態において、ラベル部材40が、樹脂製容器10の胴部11を覆っている例を示した。この場合、
図13及び
図14に示すように、ラベル部材40の下部に、周方向に沿って連続的に形成された罫線46が設けられていてもよい。図示された例においては、ラベル部材40の下部に、2本の罫線46が設けられている。これらの罫線46は、周方向に沿って延びており、全周にわたって設けられている。
【0084】
罫線46が設けられる位置は、ラベル部材40の下縁42から上方へ10mm以内の領域であることが好ましい。これにより、複合容器10Aが地面Gに落下した場合に、ラベル部材40の罫線46近傍の領域によって、落下時の衝撃を吸収できるようになり得る。このような罫線46は、例えば、エンボス加工によって形成されていてもよい。
【0085】
本変形例によれば、ラベル部材40の下部に、周方向に沿って連続的に形成された罫線46が設けられている。これにより、複合容器10Aが地面Gに落下した場合に、ラベル部材40の罫線46近傍の領域が変形し得る。このため、落下時の衝撃が罫線46近傍の領域に吸収され得る。このため、樹脂製容器10のうち、ラベル部材40の下縁42を覆う部分の近傍に、衝撃が及ばないようにすることができる。この結果、樹脂製容器10が、ラベル部材40の下縁42を覆う部分の近傍において、損傷を受けてしまうことを抑制できる。なお、このように、ラベル部材40の下部に、周方向に沿って連続的に(または断続的に)形成された罫線46が設けられていることにより、樹脂製容器10が損傷を受けてしまうことを抑制できることは、後述する実施例によって説明する。
【0086】
なお、罫線46が周方向に沿って延びている例を示したが、これに限られない。例えば、
図15に示すように、罫線46が、ラベル部材40が樹脂製容器10の外側に設けられた際に、上下方向に沿って延びるように形成されていてもよい。この場合、罫線46は、周方向に沿って断続的に複数形成されていてもよい。これらの各々の罫線46は、周方向に沿って等間隔に形成されていることが好ましい。罫線46のピッチは、例えば、2mm以上10mm以下であってもよい。また、
図16に示すように、罫線46が、ラベル部材40が樹脂製容器10の外側に設けられた際に、上下方向に対して傾斜する方向に沿って延びるように形成されていてもよい。図示された例においては、各々の罫線46は、ラベル部材40が樹脂製容器10の外側に設けられた際に、互いに平行に延びるように形成されている。さらに、各々の罫線46は、同一方向に沿って延びていなくてもよい。例えば、各々の罫線46は、ラベル部材40が樹脂製容器10の外側に設けられた際に、上下方向に対する傾斜角度が互いに異なるように形成されていてもよい。また、図示はしないが、ラベル部材40が樹脂製容器10の外側に設けられた際に、周方向に沿って延びる罫線、上下方向に沿って延びる罫線、および上下方向に対して傾斜する方向に沿って延びる罫線のうちの少なくとも2種類の罫線が、ラベル部材40に形成されていてもよい。これらの場合においても、落下時の衝撃が罫線46近傍の領域に吸収され得る。このため、樹脂製容器10が、ラベル部材40の下縁42を覆う部分の近傍において、損傷を受けてしまうことを抑制できる。
【0087】
また、上述した本実施の形態において、ラベル部材40が、樹脂製容器10の胴部11を覆っている例を示した。この場合、
図17及び
図18に示すように、ラベル部材40に、ラベル部材40を厚み方向に貫通する複数の貫通孔47が形成されていてもよい。各々の貫通孔47は、それぞれ、ラベル部材40上にシート材料10aを積層する際に、ラベル部材40とシート材料10aとの間の空気を抜く空気抜き部としての役割を果たす。各々の貫通孔47は、正面視略円形状であってもよく、各々の貫通孔47の直径は、例えば、それぞれ0.1mm以上1mm以下であってもよい。貫通孔47が設けられる位置は、ラベル部材40の上縁41、下縁42および側縁43から、それぞれ2mm以上離れている事が好ましい。貫通孔47のピッチは、例えば、上下方向および周方向において、それぞれ2mm以上10mm以下であっても良い。
【0088】
本変形例によれば、ラベル部材40に、ラベル部材40を厚み方向に貫通する複数の貫通孔47が形成されていている。これにより、ラベル部材40上にシート材料10aを積層する際に、ラベル部材40とシート材料10aとの間の空気を抜くことができる。これにより、シート材料10aをラベル部材40に効果的に押しつけることができる。このため、シート材料10aから得られた樹脂製容器10と、ラベル部材40との間の密着性を向上できる。
【実施例0089】
次に、上記実施の形態における具体的実施例について述べる。
【0090】
(実施例1)
まず、
図2に示す複合容器10Aを作製した。このとき、樹脂製容器10のシート材質はポリエチレンテレフタレートであり、シート厚みは、1.2mmであった。
【0091】
また、ラベル部材40として、坪量が80g/m2であるカード紙を使用した。
【0092】
(落下試験)
次に、落下試験を行った。この際、まず、複合容器10Aの樹脂製容器10内に水をフランジから下方へ10mmの位置まで充填した。その後、複合容器10Aを蓋材50により密閉し、蓋材付き複合容器1を作製した。
【0093】
次いで、蓋材付き複合容器1を、低温に設定した恒温槽で24時間以上保管したのち、蓋材付き複合容器1を正立させた状態で、コンクリートの地面上に落下させた。このとき、地面から50cmの高さから、蓋材付き複合容器1を落下させた。また、落下は、恒温槽から蓋材付き複合容器1を取り出してから5分以内に実施した。そして、樹脂製容器10が損傷を受けるまで、繰り返し蓋材付き複合容器1を地面上に落下させた。
【0094】
(実施例2)
図14に示す罫線46(以下、横罫線とも記す)が形成されたラベル部材40を使用したこと、以外は実施例1と同様にして、落下試験を行った。
【0095】
(実施例3)
図15に示す罫線46(以下、縦罫線とも記す)が形成されたラベル部材40を使用したこと、以外は実施例1と同様にして、落下試験を行った。
【0096】
(実施例4)
図16に示す罫線46(以下、斜め罫線とも記す)が形成されたラベル部材40を使用したこと、以外は実施例1と同様にして、落下試験を行った。
【0097】
(比較例)
図19に示す複合容器10Bを作製したこと、以外は実施例1と同様にして、落下試験を行った。すなわち、第1底部21および第2底部22を含まない、平坦な底部20bを有する樹脂製容器10bを作製したこと、以外は実施例1と同様にして、落下試験を行った。このとき、樹脂製容器10bのシート材質はポリエチレンテレフタレートであり、シート厚みが1.2mmであった。
【0098】
以上の結果を表1に示す。
【0099】
【0100】
この結果、比較例による蓋材付き複合容器では、1回目の落下時に、樹脂製容器10bのうち、主にラベル部材40の下縁42を覆う部分の近傍が破壊され、蓋材付き複合容器において、破壊に起因する水漏れが発生していた。
【0101】
これに対して、実施例1乃至実施例4による蓋材付き複合容器1では、1回目の落下では、樹脂製容器10から水漏れが確認できなかった。すなわち、蓋材付き複合容器1を1回落下させた場合であっても、樹脂製容器10が破壊されなかった。とりわけ、実施例2による蓋材付き複合容器1では、蓋材付き複合容器1を2回落下させた場合であっても、樹脂製容器10が破壊されず、実施例3および実施例4による蓋材付き複合容器1では、蓋材付き複合容器1を4回落下させた場合であっても、樹脂製容器10が破壊されなかった。このように、本実施の形態による蓋材付き複合容器1では、落下強度を向上できることがわかった。
【0102】
本開示は上記実施の形態および各変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態および各変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態および各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。