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特開2022-182989紅参加水分解濃縮液の特定成分強化生産工程
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182989
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】紅参加水分解濃縮液の特定成分強化生産工程
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/258 20060101AFI20221201BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20221201BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20221201BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20221201BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20221201BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20221201BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
A61K36/258
A61K31/704
A61P27/02
A61P25/04
A61P37/04
A61P9/00
A61P35/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039079
(22)【出願日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0067696
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522101852
【氏名又は名称】デドン・コリア・ジンセン・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スン-クン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】チャン-スン・イ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ス・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ビョン-ソン・チョン
(72)【発明者】
【氏名】クン・ヒ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・チョン・チョン
(72)【発明者】
【氏名】ダ・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・ウォン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ハン-ミン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ビョン・マン・コン
【テーマコード(参考)】
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086EA19
4C086GA17
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZB09
4C086ZB26
4C088AB18
4C088AC13
4C088BA08
4C088CA05
4C088CA08
4C088CA12
4C088CA25
4C088CA30
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZA08
4C088ZA33
4C088ZA36
4C088ZB09
4C088ZB26
(57)【要約】
【課題】紅参加水分解濃縮液の製造方法及び該方法によって製造された紅参加水分解濃縮液を提供する。
【解決手段】本発明は、紅参濃縮液に酵素液を添加して酵素反応させた後、酒精を添加して紅参酒精混合液を製造する段階;及び前記製造した紅参酒精混合液を遠心分離し、分離した上澄み液を減圧濃縮する段階;を含んで製造することを特徴とする紅参加水分解濃縮液の製造方法及び前記方法によって製造された紅参加水分解濃縮液に関するものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)タケノコ、センボンヤリの葉、コノテガシワの実、及び旱蓮草を混合した混合物に水または酒精を添加して抽出した後、ろ過して抽出液を製造する段階と、
(2)甘苔に水または酒精を添加した後、抽出して甘苔抽出液を製造する段階と、
(3)紅参に前記(1)段階で製造した抽出液を添加した後、抽出し、ろ過して紅参抽出液を製造する段階と、
(4)前記(3)段階で製造した紅参抽出液から分離した紅参に前記(2)段階で製造した甘苔抽出液を添加した後、抽出し、ろ過して紅参抽出液を製造する段階と、
(5)前記(3)段階で製造した紅参抽出液と、前記(4)段階で製造した紅参抽出液とを混合し、濃縮して紅参濃縮液を製造する段階と、
(6)前記(5)段階で製造した紅参濃縮液に酵素液を添加して酵素反応させた後、酒精を添加して紅参酒精混合液を製造する段階と、
(7)前記(6)段階で製造した紅参酒精混合液を遠心分離し、分離した上澄み液を減圧濃縮する段階と、を含んで製造することを特徴とする紅参加水分解濃縮液の製造方法。
【請求項2】
前記(1)段階の混合物は、混合物の総重量を基準に、タケノコ36~40重量%、センボンヤリの葉14~18重量%、コノテガシワの実28~32重量%、及び旱蓮草14~18重量%を混合した混合物であることを特徴とする請求項1に記載の紅参加水分解濃縮液の製造方法。
【請求項3】
(1)混合物の総重量を基準に、タケノコ36~40重量%、センボンヤリの葉14~18重量%、コノテガシワの実28~32重量%、及び旱蓮草14~18重量%を混合した混合物に、水または酒精を添加した後、90~100℃で6~10時間抽出した後、ろ過して抽出液を製造する段階と、
(2)甘苔に水または酒精を添加した後、90~100℃で7~9時間抽出して甘苔抽出液を製造する段階と、
(3)紅参に前記(1)段階で製造した抽出液を添加した後、抽出し、ろ過して紅参抽出液を製造する段階と、
(4)前記(3)段階で製造した紅参抽出液から分離した紅参に、前記(2)段階で製造した甘苔抽出液を添加した後、抽出し、ろ過して紅参抽出液を製造する段階と、
(5)前記(3)段階で製造した紅参抽出液と前記(4)段階で製造した紅参抽出液とを混合し、濃縮して紅参濃縮液を製造する段階と、
(6)前記(5)段階で製造した紅参濃縮液に酵素液を添加して45~65℃で3~6日間酵素反応させた後、酒精を添加して紅参酒精混合液を製造する段階と、
(7)前記(6)段階で製造した紅参酒精混合液を遠心分離し、分離した上澄み液を減圧濃縮する段階と、を含んで製造することを特徴とする請求項2に記載の紅参加水分解濃縮液の製造方法。
【請求項4】
(1)混合物の総重量を基準に、タケノコ36~40重量%、センボンヤリの葉14~18重量%、コノテガシワの実28~32重量%、及び旱蓮草14~18重量%を混合した混合物に、水または酒精を7~9倍(v/w)添加した後、90~100℃で6~10時間抽出した後、ろ過して抽出液を製造する段階と、
(2)甘苔に、甘苔対比で水または酒精を7~9倍(v/w)添加して90~100℃で7~9時間抽出して甘苔抽出液を製造する段階と、
(3)紅参に前記(1)段階で製造した抽出液を添加した後、80~90℃で抽出し、ろ過して紅参抽出液を製造する段階と、
(4)前記(3)段階で製造した紅参抽出液から分離した紅参に、前記(2)段階で製造した甘苔抽出液を添加した後、80~90℃で抽出し、ろ過して紅参抽出液を製造する段階と、
(5)前記(3)段階で製造した紅参抽出液と前記(4)段階で製造した紅参抽出液とを混合し、濃縮して紅参濃縮液を製造する段階と、
(6)前記(5)段階で製造した紅参濃縮液に酵素液を添加した後、45~65℃で3~6日間酵素反応させた後、65~95%(v/v)酒精を添加して紅参酒精混合液を製造する段階と、
(7)前記(6)段階で製造した紅参酒精混合液を遠心分離し、分離した上澄み液を減圧濃縮する段階と、を含んで製造することを特徴とする請求項3に記載の紅参加水分解濃縮液の製造方法。
【請求項5】
請求項1~4のうち、いずれか1項に記載の方法によって製造された紅参加水分解濃縮液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紅参濃縮液に酵素液を添加して酵素反応させた後、酒精を添加して紅参酒精混合液を製造する段階;及び前記製造した紅参酒精混合液を遠心分離し、分離した上澄み液を減圧濃縮する段階;を含んで製造することを特徴とする紅参加水分解濃縮液の製造方法及び前記方法によって製造された紅参加水分解濃縮液に係り、紅参濃縮液の品質は、保持しながら、コンパウンドKを多量含有する紅参加水分解濃縮液を提供することができる。
【背景技術】
【0002】
高麗人参の属名であるPanaxは、ギリシャ語のPan(全)とAkok(治療する)の複合語であって、「全ての病を治療する」という意味で従来から食用・薬用として最も広く用いられている薬用作物である。高麗人参は、約60%の炭水化物、8~15%の粗タンパク質、1~3%の粗脂肪、4~6%の灰分、3~7%の粗サポニン、その他の微量成分で構成されている。人参の機能性としては、免疫力改善、疲労回復、記憶力改善、血行改善、抗酸化効果及び更年期女性の健康などがあり、その他中枢神経抑制及び興奮作用、タンパク質及び核酸生合成促進作用、造血作用、動脈硬化予防、血糖降下作用、抗疲労及び抗ストレス作用などの薬理作用も報告されており、そのような作用は、サポニンから糖が分離されつつ生成されたジンセノサイドの作用に起因するものと知られている。
【0003】
現在まで30種余りのジンセノサイドが人参サポニンから分離同定され、プロトパナキサジオール系サポニンに属するジンセノサイドRb1、Rb2、Rc、Rdとプロトパナキサトリオール系サポニンに属するジンセノサイドReとRg1とがほとんどを占めている。
【0004】
ジンセノサイドコンパウンドK(20-O-beta-D-glucopyranosyl-20(S)- protopanaxadiol)は、ジンセノサイド代謝体であって、特に体内吸収率が卓越であり、薬理学的活性も優れると知られており、最近には、黄斑変性症治療、神経障害性疼痛治療も報告されている。また、現在までは、免疫増強、腫瘍の血管新生抑制、癌細胞浸潤抑制及び癌細胞増殖抑制など様々な優秀な効能を有していると知られている。
【0005】
しかし、ジンセノサイドコンパウンドKは、人参自体にはほとんど含有されておらず、それを解決するために、酵素や放射線照射を用いて人参に含まれたジンセノサイドをコンパウンドKに切り替える技術が開発されているが、依然として、ジンセノサイドコンパウンドKが増進した新たな製造方法の開発が要求されている実情である。
【0006】
韓国登録特許第0377546号には、酵素的方法によるジンセノサイドコンパウンドKの製造方法が開示されており、韓国公開特許第2020-0136648号には、アスペルギルス・オリゼー酵素液を用いたジンセノサイドコンパウンドK製造用組成物の製造方法が開示されているが、本発明の紅参加水分解濃縮液の特定成分強化生産工程とは互いに異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第0377546号
【特許文献2】韓国公開特許第2020-0136648号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記のような要求によって導出されたものであって、紅参濃縮液内のコンパウンドK含量を増進させるために、副材料選定、紅参前処理、濃縮液製造などの製造条件を最適化し、品質に優れつつ、コンパウンドKを多量含有する紅参加水分解濃縮液の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は、(1)タケノコ、センボンヤリの葉、コノテガシワの実、及び旱蓮草を混合した混合物に水または酒精を添加して抽出した後、ろ過して抽出液を製造する段階;(2)甘苔に水または酒精を添加した後、抽出して甘苔抽出液を製造する段階;(3)紅参に前記(1)段階で製造した抽出液を添加した後、抽出し、ろ過して紅参抽出液を製造する段階;(4)前記(3)段階で製造した紅参抽出液から分離した紅参に前記(2)段階で製造した甘苔抽出液を添加した後、抽出し、ろ過して紅参抽出液を製造する段階;(5)前記(3)段階で製造した紅参抽出液と前記(4)段階で製造した紅参抽出液を混合し、濃縮して紅参濃縮液を製造する段階;(6)前記(5)段階で製造した紅参濃縮液に酵素液を添加して酵素反応させた後、酒精を添加して紅参酒精混合液を製造する段階;及び(7)前記(6)段階で製造した紅参酒精混合液を遠心分離し、分離した上澄み液を減圧濃縮する段階;を含んで製造することを特徴とする紅参加水分解濃縮液の製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、前記方法によって製造された紅参加水分解濃縮液を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、酵素反応後に濃縮液を分離するとき、ジンセノサイド損失を最小化しながら、薬理効果に優れたコンパウンドKに効果的に転換させてコンパウンドKを高濃度に含む紅参濃縮液を提供することができる。また、紅参特有の苦味は除去され、まろやかな味によって攝取しやすい紅参濃縮液を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的を達成するために、本発明は、
(1)タケノコ、センボンヤリの葉、コノテガシワの実、及び旱蓮草を混合した混合物に水または酒精を添加して抽出した後、ろ過して抽出液を製造する段階と、
(2)甘苔に水または酒精を添加した後、抽出して甘苔抽出液を製造する段階と、
(3)紅参に前記(1)段階で製造した抽出液を添加した後、抽出し、ろ過して紅参抽出液を製造する段階と、
(4)前記(3)段階で製造した紅参抽出液から分離した紅参に、前記(2)段階で製造した甘苔抽出液を添加した後、抽出し、ろ過して紅参抽出液を製造する段階と、
(5)前記(3)段階で製造した紅参抽出液と前記(4)段階で製造した紅参抽出液とを混合し、濃縮して紅参濃縮液を製造する段階と、
(6)前記(5)段階で製造した紅参濃縮液に酵素液を添加して酵素反応させた後、酒精を添加して紅参酒精混合液を製造する段階と、
(7)前記(6)段階で製造した紅参酒精混合液を遠心分離し、分離した上澄み液を減圧濃縮する段階と、を含んで製造することを特徴とする紅参加水分解濃縮液の製造方法を提供する。
【0013】
本発明の紅参加水分解濃縮液の製造方法において、前記(1)段階の抽出液は、望ましくは、混合物の総重量を基準に、タケノコ36~40重量%、センボンヤリの葉14~18重量%、コノテガシワの実28~32重量%、及び旱蓮草14~18重量%を混合した混合物に、水または酒精を7~9倍(v/w)添加した後、90~100℃において6~10時間抽出した後、ろ過して製造し、さらに望ましくは、混合物の総重量を基準に、タケノコ38重量%、センボンヤリの葉16重量%、コノテガシワの実30重量%、及び旱蓮草16重量%を混合した混合物に、水または酒精を8倍(v/w)添加した後、95℃で8時間抽出した後、ろ過して製造することができる。
【0014】
また、本発明の紅参加水分解濃縮液の製造方法において、前記(2)段階の甘苔濃縮液は、望ましくは、甘苔に、甘苔対比で水または酒精を7~9倍(v/w)添加し、90~100℃で7~9時間抽出して製造し、さらに望ましくは、甘苔に、甘苔対比で水または酒精を8倍(v/w)添加し、95℃で8時間抽出して製造することができる。
【0015】
また、本発明の紅参加水分解濃縮液の製造方法において、前記(3)段階の紅参抽出液は、望ましくは、紅参に抽出液を添加した後、80~90℃で抽出し、ろ過して製造し、さらに望ましくは、紅参に抽出液を添加した後、85℃で抽出してろ過して製造することができる。
【0016】
また、本発明の紅参加水分解濃縮液の製造方法において、前記(4)段階の紅参抽出液は、望ましくは、紅参抽出液から分離した紅参に甘苔抽出液を添加した後、80~90℃で抽出し、ろ過して製造し、さらに望ましくは、紅参抽出液から分離した紅参に甘苔抽出液を添加した後、85℃で抽出し、ろ過して製造することができる。
【0017】
前記(1)~(4)段階のような条件によって紅参濃縮液を製造することが紅参特有の苦味は減少させつつ、まろやかな味と深味が増進し、酵素反応時、コンパウンドKに効率的に変換させうる紅参濃縮液で製造することができた。
【0018】
また、本発明の紅参加水分解濃縮液の製造方法において、前記(6)段階の紅参酒精混合液は、望ましくは、紅参濃縮液に酵素液を添加した後、45~65℃において3~6日間酵素反応させた後、65~95%(v/v)酒精を添加して製造し、さらに望ましくは、紅参濃縮液に、酵素液を添加した後、50℃で4日間酵素反応させた後、70~80%(v/v)酒精を添加して製造することができる。
【0019】
前記のような条件で紅参濃縮液を酵素反応させて紅参濃縮液内に含まれたジンセノサイドをコンパウンドKに高濃度で転換させることができた。また、酵素反応終了後、紅参濃縮液内には、酵素が残っており、酵素濃縮液の品質低下の恐れがあるので、酵素を除去することが望ましい。したがって、酒精を添加した後、遠心分離して濃縮液から酵素を効果的に分離してジンセノサイド損失を最小化することができた。
【0020】
前記酵素液に使用された酵素は、viscozyme, promozyme, cellulaclast, termamyl, AMG, dextrozyme, BAN, novamyl, sumizyme L, sumizyme AC及びSumizyme TP5のような糖分解酵素、flavourzyme, protamex, alcalase, neutrase, pepsin, collupulin MG、及びsumizyme LPのような蛋白質分解酵素、pectinexのようなペクチン分解酵素、Plantase C150P及びPluszymeのようなセルラーゼ分解酵素からなる群から選択される1つ以上の酵素を使用することができるが、それらに制限されない。
【0021】
本発明の紅参加水分解濃縮液の製造方法は、さらに具体的には、
(1)混合物の総重量を基準に、タケノコ36~40重量%、センボンヤリの葉14~18重量%、コノテガシワの実28~32重量%、及び旱蓮草14~18重量%を混合した混合物に、水または酒精を7~9倍(v/w)添加した後、90~100℃で6~10時間抽出した後、ろ過して抽出液を製造する段階と、
(2)甘苔に、甘苔対比で水または酒精を7~9倍(v/w)添加して90~100℃で7~9時間抽出して甘苔抽出液を製造する段階と、
(3)紅参に前記(1)段階で製造した抽出液を添加した後、80~90℃で抽出し、ろ過して紅参抽出液を製造する段階と、
(4)前記(3)段階で製造した紅参抽出液から分離した紅参に、前記(2)段階で製造した甘苔抽出液を添加した後、80~90℃で抽出し、ろ過して紅参抽出液を製造する段階と、
(5)前記(3)段階で製造した紅参抽出液と前記(4)段階で製造した紅参抽出液とを混合し、濃縮して紅参濃縮液を製造する段階と、
(6)前記(5)段階で製造した紅参濃縮液に酵素液を添加した後、45~65℃で3~6日間酵素反応させた後、65~95%(v/v)酒精を添加して紅参酒精混合液を製造する段階と、
(7)前記(6)段階で製造した紅参酒精混合液を遠心分離し、分離した上澄み液を減圧濃縮する段階と、を含み、
さらに具体的には、
(1)混合物の総重量を基準に、タケノコ38重量%、センボンヤリの葉16重量%、コノテガシワの実30重量%、及び旱蓮草16重量%を混合した混合物に、水を8倍(v/w)添加した後、95℃で8時間抽出した後、ろ過して抽出液を製造する段階と、
(2)甘苔に、甘苔対比で水または酒精を8倍(v/w)添加し、95℃で8時間抽出して甘苔抽出液を製造する段階と、
(3)紅参に、前記(1)段階で製造した抽出液を添加した後、85℃で抽出し、ろ過して紅参抽出液を製造する段階と、
(4)前記(3)段階で製造した紅参抽出液から分離した紅参に、前記(2)段階で製造した甘苔抽出液を添加した後、85℃で抽出し、ろ過して紅参抽出液を製造する段階と、
(5)前記(3)段階で製造した紅参抽出液と前記(4)段階で製造した紅参抽出液とを混合し、濃縮して紅参濃縮液を製造する段階と、
(6)前記(5)段階で製造した紅参濃縮液に酵素液を添加した後、50℃で4日間酵素反応させた後、70~80%(v/v)酒精を添加して紅参酒精混合液を製造する段階と、
(7)前記(6)段階で製造した紅参酒精混合液を遠心分離し、分離した上澄み液を減圧濃縮する段階と、を含んでもよい。
【0022】
本発明はまた、前記方法によって製造された紅参加水分解濃縮液を提供する。
【0023】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。但し、下記実施例は、本発明の例示に過ぎず、本発明の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例0024】
製造例1.紅参加水分解濃縮液
(1)タケノコ38重量%、センボンヤリの葉16重量%、コノテガシワの実30重量%及び旱蓮草16重量%を混合した混合物に、精製水8倍(v/w)を添加した後、95℃で8時間抽出した後、ろ過して抽出液を製造した。
(2)甘苔に、甘苔対比で水を8倍(v/w)添加し、95℃で8時間抽出して甘苔抽出液を製造した。
(3)6年根紅参に、紅参対比で前記(1)段階で製造した抽出液10倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間、1次抽出し、ろ過して、1次紅参抽出液を準備した。前記準備した1次紅参抽出液から分離した紅参に、紅参対比で前記(1)段階で製造した抽出液5倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間、2次抽出し、ろ過して2次紅参抽出液を準備した。前記準備した2次紅参抽出液から分離した紅参に、紅参対比で前記(1)段階で製造した抽出液5倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間、3次抽出し、ろ過して3次紅参抽出液を準備した。
(4)前記(3)段階で準備した3次紅参抽出液から分離した紅参に、紅参対比で前記(2)段階で製造した甘苔抽出液5倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間、4次抽出し、ろ過して4次紅参抽出液を準備した。前記準備した4次紅参抽出液から分離した紅参に、紅参対比で前記(2)段階で製造した甘苔抽出液5倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間、5次抽出し、ろ過して5次紅参抽出液を準備した。
(5)前記(3)段階で準備した1次紅参抽出液、2次紅参抽出液、及び3次紅参抽出液と、前記(4)段階で準備した4次紅参抽出液及び5次紅参抽出液とを混合し、10℃以下で遠心分離し、減圧濃縮して紅参濃縮液(水分含量36%以下)を製造した。
(6)90℃で30分間殺菌処理された精製水に、酵素(β-グルコシダーゼ及びペクチナーゼを混合)を混合した酵素液に、前記(5)段階で製造した紅参濃縮液を添加して5~10Brixの紅参希釈液を製造した。
(7)前記(6)段階で製造した紅参希釈液を50℃で4日間酵素反応させた紅参反応液に、70~80%(v/v)酒精を添加して紅参酒精混合液を製造した。
(8)前記(7)段階で製造した紅参酒精混合液を5,000~80,000rpmで遠心分離し、分離した上澄み液を60~75Brixになるまで減圧濃縮した。
【0025】
比較例1.紅参加水分解濃縮液
(1)6年根紅参に、紅参対比で精製水10倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間、1次抽出し、ろ過して、1次紅参抽出液を準備した。前記準備した1次紅参抽出液から分離した紅参に、紅参対比で精製水5倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間、2次抽出し、ろ過して2次紅参抽出液を準備した。前記準備した2次紅参抽出液から分離した紅参に、紅参対比で精製水5倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間、3次抽出し、ろ過して3次紅参抽出液を準備した。前記準備した3次紅参抽出液から分離した紅参に、紅参対比で精製水5倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間、4次抽出し、ろ過して4次紅参抽出液を準備した。前記準備した4次紅参抽出液から分離した紅参に、紅参対比で精製水5倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間5次抽出し、ろ過して5次紅参抽出液を準備した。
(2)前記(1)段階で準備した1次紅参抽出液、2次紅参抽出液、3次紅参抽出液、4次紅参抽出液及び5次紅参抽出液を混合し、10℃以下で遠心分離して減圧濃縮して紅参濃縮液(水分含量36%以下)を製造した。
(3)90℃で30分間殺菌処理された精製水に酵素(β-グルコシダーゼ及びペクチナーゼを混合)を混合した酵素液に、前記(2)段階で製造した紅参濃縮液を添加して5~10Brixの紅参希釈液を製造した。
(4)前記(3)段階で製造した紅参希釈液を50℃で4日間酵素反応させた紅参反応液に、70~80%(v/v)酒精を添加して紅参酒精混合液を製造した。
(5)前記(4)段階で製造した紅参酒精混合液を5,000~80,000rpmで遠心分離し、分離した上澄み液を60~75Brixになるまで減圧濃縮した。
【0026】
比較例2.紅参加水分解濃縮液
(1)タケノコ38重量%、センボンヤリの葉16重量%、コノテガシワの実30重量%、及び旱蓮草16重量%を混合した混合物に精製水8倍(v/w)を添加した後、95℃で8時間抽出した後、ろ過して抽出液を製造した。
(2)6年根紅参に、紅参対比で前記(1)段階で製造した抽出液10倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間、1次抽出し、ろ過して、1次紅参抽出液を準備した。前記準備した1次紅参抽出液から分離した紅参に、紅参対比で前記(1)段階で製造した抽出液5倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間、2次抽出し、ろ過して2次紅参抽出液を準備した。前記準備した2次紅参抽出液から分離した紅参に、紅参対比で前記(1)段階で製造した抽出液5倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間、3次抽出し、ろ過して3次紅参抽出液を準備した。前記準備した3次紅参抽出液から分離した紅参に、紅参対比で前記(1)段階で製造した抽出液5倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間、4次抽出し、ろ過して4次紅参抽出液を準備した。前記準備した4次紅参抽出液から分離した紅参に、紅参対比で前記(1)段階で製造した抽出液5倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間5次抽出し、ろ過して5次紅参抽出液を準備した。
(3)前記(2)段階で準備した1次紅参抽出液、2次紅参抽出液、3次紅参抽出液、4次紅参抽出液、及び5次紅参抽出液を混合し、10℃以下で遠心分離し、減圧濃縮して紅参濃縮液(水分含量36%以下)を製造した。
(4)90℃で30分間殺菌処理された精製水に酵素(β-グルコシダーゼ及びペクチナーゼを混合)を混合した酵素液に、前記(3)段階で製造した紅参濃縮液を添加して5~10Brixの紅参希釈液を製造した。
(5)前記(4)段階で製造した紅参希釈液を50℃で4日間酵素反応させた紅参反応液に70~80%(v/v)酒精を添加して紅参酒精混合液を製造した。
(6)前記(5)段階で製造した紅参酒精混合液を5,000~80,000rpmで遠心分離し、分離した上澄み液を60~75Brixになるまで減圧濃縮した。
【0027】
比較例3.紅参加水分解濃縮液
(1)甘苔に、甘苔対比で水を8倍(v/w)添加し、95℃で8時間抽出して甘苔抽出液を製造した。
(2)6年根紅参に、紅参対比で前記(1)段階で製造した甘苔抽出液10倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間、1次抽出し、ろ過して、1次紅参抽出液を準備した。前記準備した1次紅参抽出液から分離した紅参に、紅参対比で前記(1)段階で製造した甘苔抽出液5倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間、2次抽出し、ろ過して2次紅参抽出液を準備した。前記準備した2次紅参抽出液から分離した紅参に、紅参対比で前記(1)段階で製造した甘苔抽出液5倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間、3次抽出し、ろ過して3次紅参抽出液を準備した。前記準備した3次紅参抽出液から分離した紅参に、紅参対比で前記(1)段階で製造した甘苔抽出液5倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間、4次抽出し、ろ過して4次紅参抽出液を準備した。前記準備した4次紅参抽出液から分離した紅参に、紅参対比で前記(1)段階で製造した甘苔抽出液5倍(v/w)を添加した後、85℃で8時間5次抽出し、ろ過して5次紅参抽出液を準備した。
(3)前記(2)段階で準備した1次紅参抽出液、2次紅参抽出液、3次紅参抽出液、4次紅参抽出液、及び5次紅参抽出液を混合し、10℃以下で遠心分離し、減圧濃縮して紅参濃縮液(水分含量36%以下)を製造した。
(4)90℃で30分間殺菌処理された精製水に酵素(β-グルコシダーゼ及びペクチナーゼを混合)を混合した酵素液に、前記(3)段階で製造した紅参濃縮液を添加して5~10Brixの紅参希釈液を製造した。
(5)前記(4)段階で製造した紅参希釈液を50℃で4日間酵素反応させた紅参反応液に、70~80%(v/v)酒精を添加して紅参酒精混合液を製造した。
(6)前記(5)段階で製造した紅参酒精混合液を5,000~80,000rpmで遠心分離し、分離した上澄み液を60~75Brixになるまで減圧濃縮した。
【0028】
1.ジンセノサイド含量測定方法
ジンセノサイドの含量分析は、UVD(Ultra Visible Detector)が装着されたHPLC(High Performance Liquid Chromatography)で分析し、分析条件は、下記表1に示されており、含量計算式は、下記式で表される。
ジンセノサイド含量(mg/g)=S×(a×b)/試料採取量(g)
S:試験溶液のうち、個別ジンセノサイド濃度(mg/ml)
a:試験溶液の全量(ml)
b:希釈倍数
【0029】
【表1】
【0030】
実施例1.紅参加水分解濃縮液のコンパウンドK含量分析結果
紅参濃縮液と紅参加水分解濃縮液のコンパウンドK(C-K)含量を分析した結果は、下記表2及び表3の通りである。
【0031】
【表2】
【0032】
その結果、紅参濃縮液には、コンパウンドKが含まれていないが、紅参加水分解濃縮液では、コンパウンドKが含まれていた。その中、製造例1の紅参加水分解濃縮液が70%酒精で酵素分離時、10.19mg/g、95%酒精で酵素分離時、10.20mg/gが含まれており、最も高い含量を示し、酒精濃度によっては、特に差を示していない。
【0033】
また、遠心分離し、分離した上澄み液を除去した沈殿物には、0.13~0.32mg/gのコンパウンドKが含まれており、約3%の損失率を示した。
【0034】
【表3】
【0035】
実施例2.ジンセノサイド含量分析結果
製造例1の紅参濃縮液と紅参加水分解濃縮液の15種ジンセノサイド含量変化は、下記表4及び表5の通りである。
【0036】
【表4】
【0037】
その結果、紅参濃縮液を酵素処理するとき、ほとんどのジンセノサイドが減少することを確認することができた。一方、ジンセノサイドのうち、Rg2は、酵素処理時、やや増加した。また、紅参濃縮液では、検出されていないF2、C-K、Rh2の場合、紅参濃縮液の酵素処理によって新たに生成されることを確認した。
【0038】
【表5】
【0039】
実施例3.紅参濃縮液及び紅参加水分解濃縮液の官能検査
製造例1の紅参濃縮液と紅参加水分解濃縮液の好み評価は、味、苦味、外観及び全体としての好みを5段階尺度法で評価した後、それを平均して示した。苦味に係わる好みは、苦味が少ないほど高い点数を与えるようにした。
【0040】
【表6】
【0041】
その結果、紅参濃縮液に比べて、紅参加水分解濃縮液で苦味は減少し、味と全体としての好みにおいては、さらに高い点数を示すことを確認した。