(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183010
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】有機官能基で変性されたポリブタジエンをベースとする消泡剤組成物
(51)【国際特許分類】
B01D 19/04 20060101AFI20221201BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20221201BHJP
C08L 47/00 20060101ALI20221201BHJP
C08F 36/06 20060101ALI20221201BHJP
C08F 8/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B01D19/04 B
C08L101/00
C08L47/00
C08F36/06
C08F8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022063712
(22)【出願日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】21176163.0
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ファブレッセ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー シュルツ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル フィーデル
(72)【発明者】
【氏名】サラ オットー
(72)【発明者】
【氏名】フランク シューベルト
(72)【発明者】
【氏名】トルシュテン シールレ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイケ セムラー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス シュトゥットゲン
【テーマコード(参考)】
4D011
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4D011CB06
4D011CB08
4D011CC04
4D011CC07
4J002AA00X
4J002AE00X
4J002BL011
4J002BL01W
4J002CP03X
4J002FD201
4J002FD20W
4J100AS02P
4J100BA02H
4J100BA03H
4J100BC54H
4J100CA31
4J100HA01
4J100HA19
4J100HA37
4J100HA61
4J100HB34
4J100HC39
4J100HC71
4J100HD01
4J100HD16
4J100HE12
4J100HE14
4J100JA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】消泡剤の性能および相溶性を幅広く調整し得る、シリコーンを含まない消泡剤組成物を提供する。
【解決手段】下記の二価基(U)、(V)及び(W)からなる群から選択される少なくとも1つの繰り返し単位を有するポリブタジエンをベースとする化合物を含む消泡剤組成物とする。
(‐Aは一価の有機基又は水素基であり、‐Bは末端が水酸基化又はエーテル化されたポリブタジエン構造を有する有機基である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二価基(U)、(V)及び(W)からなる群から選択される少なくとも1つの繰り返し単位を有するポリブタジエンをベースとする化合物を含む消泡剤組成物。
【化1】
(式中、
‐Aは、いずれの場合も独立して、一価の有機基または水素基であり、好ましくは、いずれの場合も独立して、1~6個の炭素原子を有する一価の炭化水素基からなる群から選択され、より好ましくは、いずれの場合も独立して、1~4個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択され、
‐Bは、いずれの場合も独立して、式(4a):
【化2】
の基からなる群から選択され、好ましくは、いずれの場合も独立して、式(4b):
【化3】
の基からなる群から選択され、より好ましくは、いずれの場合も独立して、式(4c):
【化4】
の基からなる群から選択され、
式(4a)、式(4b)、式(4c)中、
R
1は、いずれの場合も独立して、1~16個の炭素原子を有する一価の炭化水素基からなる群から選択され、好ましくは、いずれの場合も独立して、1~16個の炭素原子を有するアルキル基、またはフェニル基であり、より好ましくは、いずれの場合も独立して、メチル基、エチル基またはフェニル基であり、
R
2は、式-CH
2-O-R
3の基であり、
R
3は、いずれの場合も独立して、3~18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基からなる群から選択され、好ましくは、アリル基、ブチル基、8~15個の炭素原子を有するアルキル基、またはフェニル基であり、これらは、それぞれ独立して、1~4個の炭素原子を有する炭化水素基から選択される一価の基によって置換されていてもよく、より好ましくは、tert-ブチルフェニル基またはo-クレジル基であり、
R
4は、それぞれ独立して、1~18個の炭素原子を有する一価の有機基、または水素、好ましくは水素であり、
m、n、o、pおよびqは、それぞれ独立して、0~300、好ましくは0~200、より好ましくは0~100であり、m、n、o、pおよびqの合計は、1より大きく、好ましくは5より大きく、より好ましくは10より大きく、
‐前記B基は、以下:
【化5】
による少なくとも1つの繰り返し単位を有し、前記繰り返し単位のすべての配列を有する。)
【請求項2】
m、n、o、pおよびqは、それぞれ独立して、0~300、好ましくは0~200、より好ましくは0~100であり、m、n、o、pおよびqの合計は、1より大きく、好ましくは5より大きく、より好ましくは10より大きい、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリブタジエン部分の数平均モル質量Mnは、200g/モル~20,000g/モル、好ましくは500g/モル~10,000g/モル、より好ましくは700g/モル~5,000g/モルである、請求項1または請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリブタジエン部分は、0%~80%、好ましくは0%~30%、より好ましくは0%~10%、特に好ましくは0%~5%の1,2ビニル二重結合として存在する二重結合と、20%~100%、好ましくは70%~100%、より好ましくは90%~100%、特に好ましくは95%~100%の1,4二重結合として存在する二重結合と、を有する請求項1~請求項3のいずれか一項記載の組成物。
【請求項5】
前記化合物は、直鎖状ポリブタジエンを基に調製されている、請求項1~請求項4のいずれか一項記載の組成物。
【請求項6】
前記化合物は、(櫛歯位置に)ポリブタジエンを持たない、請求項1~請求項5のいずれか一項記載の組成物。
【請求項7】
前記化合物は、(櫛歯位置に)もっぱらペンダント繰り返し単位(U)、(V)および/または(W)を有する、請求項1~請求項6のいずれか一項記載の組成物。
【請求項8】
前記B基の平均モル質量は、40g/モル~20,000g/モル、好ましくは100g/モル~15,000g/モル、より好ましくは200g/モル~10,000g/モルである、請求項1~請求項7のいずれか一項記載の組成物。
【請求項9】
全体組成に対し、2~100重量%、好ましくは5~70重量%、より好ましくは5~30重量%の前記化合物を使用する、請求項1~請求項8のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの乳化剤、好ましくは、アニオン性、カチオン性もしくは非イオン性の乳化剤、またはそれらの混合物の群から選択されるものを含む、請求項1~請求項9のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
DIN53015に準拠して20℃で5%水溶液中で測定した粘度が50~5000mPa・s、好ましくは100~2000mPa・s、より好ましくは100~1000mPa・sである、請求項1~請求項10のいずれか一項記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの増粘剤、好ましくは、疎水変性ポリアクリレート(HASE)、疎水変性セルロースエーテル(HMHEC)、疎水変性ポリアクリルアミド(HMPAM)、疎水変性ポリエーテル(HMPE)などの会合性増粘剤、および会合性ポリウレタン増粘剤;変性セルロース;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ならびにポリエチレングリコールなどの有機ポリマー;デンプン、ゼラチン、カゼインまたはこんにゃく粉、ならびにそれらの化学変性型などの天然増粘剤;および、金属石鹸、硬化ヒマシ油およびそのアルコキシレート、ならびに化学変性脂肪誘導体などの有機増粘剤;または、変性していてもよい、層状ケイ酸塩(ベントナイト、ヘクトライト)または(水和)SiO2粒子などの無機化合物からなる群から選択されるものを含む、請求項1~請求項11のいずれか一項記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの固体、好ましくは、変性もしくは非変性形態で存在してよいシリカ、またはステアリン酸カルシウムなどの(アルカリ土類)アルカリ金属石鹸、またはその他、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものを含む、請求項1~請求項12のいずれか一項記載の組成物。
【請求項14】
消泡添加剤、フロー制御添加剤、および/または基材湿潤添加剤としての請求項1~請求項13のいずれか一項記載の組成物の使用。
【請求項15】
分散液、ミルベース、塗料、被覆用もしくは印刷用インク、インクジェット、グラインド樹脂、顔料濃縮物、着色剤調製物、顔料調製物、充填材調製物、または被覆用組成物を調製するための、請求項1~請求項14のいずれか一項記載の組成物の使用。
【請求項16】
消泡剤組成物を調製するための、請求項1~請求項8のいずれか一項記載のポリブタジエンをベースとする化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリブタジエンをベースとする化合物を含む消泡剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書における用語「消泡剤」は、泡を防止する製品および配合物と、泡を破壊して脱気を可能にする製品および配合物と、の両方を包含している。実際には、これらの製品特性間の境界は曖昧であるため、ここでは一般的な総称である消泡剤を使用する。
【0003】
多くの工業プロセスでは、特に作業が水性媒体中で行われている場合、製造中または加工操作中の不要な泡の形成を抑制または完全に防止する必要がある。なぜなら、混合タンクからの配合物の氾濫を回避できず、適用時に変色してしまうという点で、攪拌および分散操作中に形成されたり、充填操作中に容器内に形成されたりする泡または泡ヘッドが、製造時間を長くしたり、プラントの有効容積を減らしたり、プラントの正しい操作を妨げたりするためである。
【0004】
これは、約0.001重量%~の非常に低い適用濃度でも不要な泡を回避または破壊することができ、同時に、その系の適用後に表面欠陥を引き起こさず、塗料に空気が混入するのを抑制する消泡剤を添加することによって、達成できる。実際には、これらの側面は、少なくとも、良好な消泡性と同じくらい考慮されなければならない。。
【0005】
表面欠陥とは、例えば、ピンホール、クレーター、光沢の損失、みかんはだ、しわ、被覆系の接着力の損失などのユーザーにとって望ましくない特徴と理解されるべきである。しかし、塗料などの製品はすぐには使い切られず、比較的長期間保管した後しか使い切られないことが多いため、配合物中の消泡剤の適切な長期安定性もユーザーにとって非常に重要である。極端な気候条件(熱および太陽の照射)で保管した場合、消泡剤配合物の効果は短時間で失われることがある。
【0006】
消泡剤を配合するための典型的な有効成分は、ポリシロキサン、鉱油および植物油、またはポリマーである。有効成分を相互に組み合わせるだけでなく、微細な疎水性固体(例:シリカ)を添加することで、特定の用途に合わせた特に効果的な消泡剤を配合できることが知られている。
【0007】
水性および非水性媒体を消泡するための消泡剤であり、消泡性に重大な影響を与える活性剤としてポリオキシアルキレンポリシロキサンポリマーを含む消泡剤は、特定の有効性および貯蔵安定性を示す。これには、泡抑性、消泡性、非常に優れた長期安定性、および水性および非水性媒体への優れた相溶性が含まれる。これらの特性はすべて、現代の塗料用途にとって非常に重要である。
【0008】
したがって、ポリエーテル変性シロキサンが非常に有効な消泡活性成分であることは当業者に知られている。これらは、純粋物質の形で、または配合形態で使用されてよい。ポリエーテルシロキサンは、その製造に関連する微量の環状シロキサンの存在が原因で、規制の圧力が高まっている。これは、最近、欧州において、環状シロキサンが、その難分解性、生物蓄積性および有毒性(PBT)、ならびに高難分解性および高生物蓄積性(vPvB)のために、ECHAにより「高懸念物質」(SVHC)として認定されたためである。したがって、0.1重量%以上の濃度の環状シロキサンが存在すると、適切なラベル表示がなされ、欧州での販売機会が大幅に制限される。経験上、他の国際的な規制も欧州の見解と一致することが予想され、市場範囲はさらに制限される。
【0009】
シロキサン系消泡剤の盛況は、(物理)化学的特性に関する幅広い調整可能性に基づいている。これは、シロキサンのトポロジー効果による幅広い材料多様性をもたらすが、有機ポリマー変性の選択と、シロキサン主鎖上のその官能基の密度にも起因している。消泡剤作用の最も単純なモデル表現では、消泡剤は、周囲のマトリックスと相容性のないものでなければならない。その界面活性ポテンシャルにより、消泡剤は、最も近い「液体ガス泡」界面に移動し、これに浸透し、界面に沿って広がると、ガス泡を強制的に破裂させることができる。したがって、このモデル表現では、周囲の媒体に対する消泡剤の(不)溶解性が重要な役割を果たす。(ポリエーテルによる)親水性の特定の調製能力と、(シロキサン構造による)疎水性の特定の調整能力により、それぞれのマトリックス系の消泡剤容量を個別に調整することができる。さらに、その用途に存在する他の物質と消泡剤との相溶性が不可欠である。例えば、消泡剤は、着色および塗装用途の範囲内において、適用画像に悪影響を与える塗装欠陥を引き起こすほど不相溶性であってはならず、むしろ、適用技術の点で満足のいく最終結果をもたらすものでなければならない。
【0010】
シリコーンを含まない消泡剤、例えばポリブタジエンも従来技術から知られている。これらの欠点は、相溶性の調整に制限がある点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、消泡剤の性能および相溶性を幅広く調整し、かつ少なくとも1つの先行技術の欠点を克服することができる、シリコーンを含まない消泡剤組成物を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、この目的を達成するために、二価基(U)、(V)及び(W)からなる群から選択される少なくとも1つの繰り返し単位を有するポリブタジエンをベースとする化合物を含む消泡剤組成物を提案する。
【0013】
【0014】
(式中、
‐Aは、いずれの場合も独立して、一価の有機基または水素基であり、好ましくは、いずれの場合も独立して、1~6個の炭素原子を有する一価の炭化水素基からなる群から選択され、より好ましくは、いずれの場合も独立して、1~4個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択され、
‐Bは、いずれの場合も独立して、式(4a):
【0015】
【0016】
の基からなる群から選択され、好ましくは、いずれの場合も独立して、式(4b):
【0017】
【0018】
の基からなる群から選択され、より好ましくは、いずれの場合も独立して、式(4c):
【0019】
【0020】
の基からなる群から選択され、
式(4a)、式(4b)、式(4c)中、
R1は、いずれの場合も独立して、1~16個の炭素原子を有する一価の炭化水素基からなる群から選択され、好ましくは、いずれの場合も独立して、1~16個の炭素原子を有するアルキル基、またはフェニル基であり、より好ましくは、いずれの場合も独立して、メチル基、エチル基またはフェニル基であり、
R2は、式-CH2-O-R3の基であり、
R3は、いずれの場合も独立して、3~18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基からなる群から選択され、好ましくは、アリル基、ブチル基、8~15個の炭素原子を有するアルキル基、またはフェニル基であり、これらは、それぞれ独立して、1~4個の炭素原子を有する炭化水素基から選択される一価の基によって置換されていてもよく、より好ましくは、tert-ブチルフェニル基またはo-クレジル基であり、
R4は、それぞれ独立して、1~18個の炭素原子を有する一価の有機基、または水素、好ましくは水素であり、
m、n、o、pおよびqは、それぞれ独立して、0~300、好ましくは0~200、より好ましくは0~100であり、m、n、o、pおよびqの合計は、1より大きく、好ましくは5より大きく、より好ましくは10より大きく、
‐B基は、以下:
【0021】
【0022】
による少なくとも1つの繰り返し単位を有し、その繰り返し単位のすべての配列を有する。)
【0023】
本発明の文脈において、用語「媒体」、「被覆系」、「被覆または塗料配合物」、「被覆レシピ」および「被覆用組成物」は、同義であると理解されるべきである。これらは、消泡されるべき系である。
本発明の主題を以下に例を用いて説明するが、本発明をこれらの例示的な実施形態に限定することを意図するものではない。範囲、一般式、または化合物群が以下に指定されている場合、これらは、明示的に言及されている対応する範囲または化合物群だけでなく、個々の値(範囲)または化合物を除くことによって得られるすべての部分範囲および部分化合物群も包含することを意図している。本明細書の文脈において文献が引用される場合、その全内容は、本発明の開示内容の一部であることを意図している。
【0024】
以下に平均値が記載されている場合、特に明記しない限り、これらの値は数値平均である。以下に測定により求められた測定値、パラメータ、または材料特性が記載されている場合、特に明記しない限り、これらは、25℃で、好ましくは101 325Paの圧力(標準圧力)で測定された測定値、パラメータ、または材料特性である。
【0025】
「X~Y」の形で数値範囲が以下に記載され、XとYが数値範囲の境界を表す場合、特に明記しない限り、これは、「X以上Y以下」という記述と同義である。したがって、記載された範囲には、特に明記しない限り、範囲の境界であるXとYが含まれる。
【0026】
分子/分子フラグメントが1つまたは複数の立体中心を有するか、または対称性のために異性体に分化できるか、または他の効果、例えば回転が制限されているために異性体に分化できる場合はいつでも、異性体となりうるものはすべて本発明に含まれる。
【0027】
すべての式は、繰り返し単位(例:繰り返しフラグメント)、ブロック、またはモノマー単位から構成され、かつモル質量分布を持つことができる化合物または基を表す。繰り返し単位の頻度は、指数の形で記載される。式で使用される指数は、統計平均(数値平均)と見なされなければならない。したがって、使用される指数と、報告された指数の値の範囲とは、実際に存在する構造および/またはそれらの混合物の可能性のある統計的分布の平均と見なされなければならない。式に記載された化合物の様々なフラグメントまたは繰り返し単位は、統計的に分布していてよい。統計分布は、任意の数のブロックと任意の順番を持つブロック構造を有しているか、またはランダム分布となっている。それらはまた、交互構造を有するか、または鎖に沿って勾配を形成していてもよい。特に、それらは、異なる分布を持つ群が任意に互いに続いていてもよい任意の混合形態を生じさせることもできる。以下の式は、繰り返し単位のすべての順列を含んでいる。異なる単位の複数のインスタンスを持つことができる化合物(例:エンドキャップされたポリエーテル基を含むポリブタジエン(A)、エポキシ官能性ポリブタジエン(C)、ヒドロキシ官能性ポリブタジエン(E)、ポリエーテル変性ポリブタジエン(G)またはポリエーテル変性ポリブタジエン(K))が本明細書の文脈で記載されている場合、異なる単位の複数のインスタンスは、これらの化合物において無秩序な方法(例:統計的分布)で、または規則正しい方法で生じてよい。そのような化合物中の単位の数または相対頻度の数値は、対応する化合物すべての平均(数値平均)と見なされなければならない。特定の実施形態は、その実施形態の結果として統計的分布に制限をもたらす場合がある。このような制限の影響を受けないすべての領域では、統計分布は変わらない。
【0028】
消泡剤と消泡剤有効成分は同義であると理解される。
【0029】
驚くべきことに、本発明に係る消泡剤組成物は、有利にはシリコーンをベースとしない化合物を含み、かつ消泡効果と相溶性を調整し得ることもわかった。まず、ポリブタジエンの多様性を利用することができた。第二に、特定のトポロジー的に異なるポリエーテルと、ポリブタジエン骨格上のその官能基密度とを組み合わせることにより、相溶性を向上することができた。
【0030】
驚くべきことに、本発明に係る組成物の十分な消泡効果と十分な相溶性との両方を達成するために、少なくとも1つのB基が、以下:
【0031】
【0032】
による少なくとも1つの繰り返し単位を有することも証明された。
【0033】
用語「消泡」は、被覆物からガス泡を除去することを表すために使用されることが多い。ただし、場合によっては、「消泡(defoaming)」と「脱気(deaerating)」を区別する必要がある。ガス泡は、必ず最初に表面に到達する。次いで表面で起こる泡の除去は、消泡と呼ばれる。消泡剤は、存在する気泡を除去する表面でのみ有効である。対照的に、脱気剤は塗膜全体で活性でなければならない。表面の泡。消泡剤は、泡を不安定にする。塗膜への空気混入。脱気剤は、泡の表面への移動を促進する。
【0034】
本発明に係る組成物は、好ましくは、m、n、o、pおよびqがそれぞれ独立して0~300、好ましくは0~200、より好ましくは0~100であり、m、n、o、pおよびqの合計が1より大きく、好ましくは5より大きく、より好ましくは10より大きい化合物を含む。
【0035】
本発明に係る組成物は、特に好ましくは、m、n、o、pおよびqがそれぞれ独立して0~200、好ましくは0~100、より好ましくは0~50であり、m、n、o、pおよびqの合計が1より大きく、好ましくは5より大きく、より好ましくは10より大きい化合物を含む。
【0036】
本発明に係る組成物用の化合物は、好ましくは、ポリブタジエン部分の数平均モル質量Mnが200g/モル~20,000g/モル、好ましくは500g/モル~10,000g/モル、より好ましくは700g/モル~5,000g/モルである。
【0037】
本発明に係る組成物の場合、化合物のポリブタジエン部分は、0%~80%、好ましくは0%~30%、より好ましくは0%~10%、特に好ましくは0%~5%の1,2ビニル二重結合として存在する二重結合と、20%~100%、好ましくは70%~100%、より好ましくは90%~100%、特に好ましくは95%~100%の1,4二重結合として存在する二重結合と、を有する。
【0038】
本発明に係る組成物の場合、化合物は、好ましくは、直鎖状ポリブタジエンをベースとして調製されている。
【0039】
本発明に係る組成物の番号、化合物は、好ましくは、(櫛歯位置に)ペンダントポリブタジエンを持たない。
【0040】
化合物は、好ましくは、(櫛歯位置に)もっぱらペンダント繰り返し単位(U)、(V)および/または(W)を有する。
【0041】
化合物のB基の平均モル質量は、好ましくは、40g/モル~20,000g/モル、好ましくは100g/モル~15,000g/モル、より好ましくは200g/モル~10,000g/モルである。
【0042】
基R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、直鎖状または分枝鎖状でもよく、飽和していてもしていなくてもよく、脂肪族または芳香族でもよく、かつ、置換されていてもされていなくてもよい。
【0043】
式(4a)ではR=R1もしくはR2であり、または式(4b)および式(4c)ではR=CH3である一般表記:
【0044】
【0045】
は、式:
【0046】
【0047】
の単位、または式:
【0048】
【0049】
の単位を表しているが、好ましくは、式:
【0050】
【0051】
の単位である。
【0052】
式(4a)の一般表記:
【0053】
【0054】
は、式:
【0055】
【0056】
の単位、または式:
【0057】
【0058】
の単位を表しているが、好ましくは、式:
【0059】
【0060】
の単位である。
【0061】
さらに好ましくは、R4基は、いずれの場合も独立して、1~18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基、アシル基-C(=O)R5、ウレタン基-C(=O)NH-R6、炭酸基-C(=O)O-R7および水素からなる群から選択される。R4は、さらに好ましくは、いずれの場合も独立して、1~18個を炭素原子有するアルキル基、1~18個の炭素原子を有するアルキレン基、アシル基-C(=O)R5、ウレタン基-C(=O)NH-R6、炭酸基-C(=O)O-R7および水素からなる群から選択される。より好ましくは、R4は水素である。
【0062】
R5は、いずれの場合も独立して、1~18個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を有するアルキル基またはアルケニル基であり、より好ましくはメチル基である。
【0063】
R6は、いずれの場合も独立して、1~18個の炭素原子、好ましくは6~18個の炭素原子を有するアルキル基またはアリール基である。
【0064】
R7は、それぞれ独立して、1~18個の炭素原子、好ましくは1個または2個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0065】
化合物は、好ましくは、以下:
【0066】
【0067】
による繰り返し単位(Y)および(Z)も含んでいる。
【0068】
好ましくは、少なくとも1つのポリエーテル変性ポリブタジエン(G)または(K)において、全繰り返し単位(U)、(V)および(W)の合計を、全繰り返し単位(U)、(V)、(W)、(X)、(Y)および(Z)の合計で割った値は、0%を超え70%以下、好ましくは1%~50%、より好ましくは2%~40%、よりいっそう好ましくは3%~30%、特に好ましくは4%~20%である。
【0069】
これは、繰り返し単位(U)、(V)、(W)、(X)、(Y)および(Z)全体の0%を超え70%以下、好ましくは1%~50%、より好ましくは2%~40%、よりいっそう好ましくは3%~30%、特に好ましくは4%~20%がポリエーテル変性されていることを意味する。
【0070】
ポリエーテル変性ポリブタジエン(G)または(K)のポリブタジエン部分の数平均モル質量Mn、重量平均モル質量Mw、および多分散度は、自由に変更可能である。ポリブタジエン部分は、この方法で使用されるポリブタジエン(A)に由来するポリエーテル変性ポリブタジエン(G)または(K)の成分を意味すると理解される。
【0071】
好ましくは、ポリエーテル変性ポリブタジエン(G)または(K)のポリブタジエン部分の数平均モル質量Mnは、200g/モル~20,000g/モル、好ましくは500g/mモル~10,000g/モル、より好ましくは700g/モル~5,000g/モルである。
【0072】
あるいは、好ましくは、ポリエーテル変性ポリブタジエン(G)または(K)のポリブタジエン部分の数平均モル質量Mnは、2,100g/モル~20,000g/モル、より好ましくは2,200g/モル~10,000g/モル、最も好ましくは2,300g/モル~5,000g/モルである。
【0073】
ポリブタジエン部分の数平均モル質量Mnは、下のポリブタジエン(A)の数平均モル質量Mnとして定義される。
【0074】
さらに好ましくは、ポリエーテル変性ポリブタジエン(G)または(K)は、5~360個、より好ましくは10~180個、最も好ましくは15~90個の繰り返し単位を有しており、その繰り返し単位は、(U)、(V)、(W)、(X)、(Y)および(Z)からなる群から選択される。
【0075】
あるいは、好ましくは、ポリエーテル変性ポリブタジエン(G)または(K)は、35~360個、より好ましくは40~180個、最も好ましくは45~90個の繰り返し単位を有しており、その繰り返し単位は(U)、(V)、(W)、(X)、(Y)および(Z)からなる群から選択される。
【0076】
さらに好ましくは、ポリエーテル変性ポリブタジエン(G)または(K)は、存在する二重結合の0%~80%、好ましくは0%~30%、より好ましくは0%~10%、特に好ましくは0%~5%の存在が1,2ビニル二重結合であり、存在する二重結合の20%~100%、好ましくは70%~100%、より好ましくは90%~100%、特に好ましくは95%~100%が1,4ビニル二重結合であることを特徴とする。
【0077】
特に好ましいのは、上記のEvonik Industries AG社/Evonik Operations GmbH社製のポリブタジエンPolyvest(登録商標)110およびPolyvest(登録商標)130、ならびにSynthomer PLC社製のLithene ultra ALおよびLithene ActiV 50に由来するポリエーテル変性ポリブタジエン(G)または(K)である。
【0078】
B基のモル質量と多分散度は自由に変更可能である。しかし、好ましくは、B基の平均モル質量は、100g/モル~20,000g/モル、好ましくは200g/モル~15,000g/モル、より好ましくは400g/モル~10,000g/モルである。B基の平均モル質量は、使用するヒドロキシ官能性ポリブタジエン(E)のOH基数に対する、使用するモノマーの出発重量から計算されてよい。したがって、例えば、エチレンオキシド40gを使用し、使用するヒドロキシ官能性ポリブタジエン(E)の量が0.05モルのOH基である場合、B基の平均モル質量は800g/モルである。
【0079】
ポリエーテル変性ポリブタジエン(G)または(K)は、組成およびモル質量に応じて、液体、ペースト状、または固体である。
【0080】
ポリエーテル変性ポリブタジエン(G)または(K)の数平均モル質量Mnは、好ましくは1,000g/モル~6,000g/モル、さらに好ましくは1,500g/モル~5,000g/モル、特に好ましくは2,000g/モル~4,000g/モルである。
【0081】
それらの多分散度は、広い範囲内で変化する。PPG基準に対するGPC法による、少なくとも1つのポリエーテル変性ポリブタジエン(G)または(K)の多分散度は、好ましくはMw/Mn=1.5~10、さらに好ましくは2~9、より好ましくは3~8である。
【0082】
上記のように、二価基(U)、(V)および/または(W)からなる群から選択される少なくとも1つの繰り返し単位を有するポリブタジエンをベースとする化合物へのアプローチは、未公開の欧州出願番号第19212066.5または国際出願番号第PCT/EP2020/083013から得ることができる。
【0083】
未公開の欧州出願番号第19212066.5または国際出願番号第PCT/EP2020/083013は、本発明に係る消泡剤組成物に適したポリブタジエンをベースとする化合物の調製に関するものである。以下の工程を含む方法が記載されている。
a)少なくとも1つのポリブタジエン(A)を少なくとも1つのエポキシ化試薬(B)と反応させて、少なくとも1つのエポキシ官能性ポリブタジエン(C)を得る工程;
b)少なくとも1つのエポキシ官能性ポリブタジエン(C)を少なくとも1つのヒドロキシ官能性化合物(D)と反応させて、少なくとも1つのヒドロキシ官能性ポリブタジエン(E)を得る工程;
c)少なくとも1つのヒドロキシ官能性ポリブタジエン(E)を少なくとも1つのエポキシ官能性化合物(F)と反応させて、少なくとも1つのポリエーテル変性ポリブタジエン(G)を得る工程。
【0084】
驚くべきことに、1,4単位の割合が高く、ビニル1,2単位の含有量が少ないポリブタジエンは、過酸化水素によるエポキシ化の後、酸触媒による開環下で、OH-官能性化合物と容易に反応して、ペンダントOH-官能性ポリブタジエン(ポリブタジエノール)を生成することができ、次いでアルキレンオキシドでアルコキシル化できることが開示されている。
【0085】
好ましくは、この方法は、以下の任意工程のうちの少なくとも1つをさらに含んでいる。
d)少なくとも1つのポリエーテル変性ポリブタジエン(G)を少なくとも1つのエンドキャッピング試薬(H)と反応させて、エンドキャップされたポリエーテル基を含む少なくとも1つのポリエーテル変性ポリブタジエン(K)を得る工程;
e)少なくとも1つのポリエーテル変性ポリブタジエン(G)または(K)の色を明るくする工程。
【0086】
この方法は、好ましくは、以下の点でさらに特徴づけられる。
‐工程a)において、少なくとも1つのポリブタジエン(A)の二重結合の0%を超え70%以下、好ましくは1%~50%、より好ましくは2%~40%、よりいっそう好ましくは3%~30%、特に好ましくは4%~20%が、ギ酸とH2O2からin situで生成される過ギ酸によって、エポキシ化される。
‐工程b)において、1~6個の炭素原子を有する1つまたは複数の短鎖アルコール、特にイソブタノールを、開環下で、好ましくは1つまたは複数の酸性触媒、特にトリフルオロメタンスルホン酸を使用して、少なくとも1つのエポキシ官能性ポリブタジエン(C)のエポキシ基に付加する。
‐工程c)において、アルコキシル化反応において、好ましくはZn/Co二重金属シアン化物触媒または塩基性触媒(例:アミン、グアニジン、アミジン、アルカリ金属水酸化物、またはアルカリ金属アルコキシド)を追加的に使用して、アルキレンオキシドから選択される1つまたは複数のエポキシ官能性化合物(F)と、必要に応じてさらなるエポキシ官能性モノマーと、を少なくとも1つのヒドロキシ官能性ポリブタジエン(E)の得られたペンダントOH基に付加する。
‐工程d)において、必要に応じて、少なくとも1つのポリエーテル変性ポリブタジエン(G)を、カルボン酸、カルボン酸無水物、ハロゲン化炭化水素、イソシアネート、およびカーボネートの群から選択される少なくとも1つのエンドキャッピング試薬(H)と反応させて、エンドキャップされたポリエーテル基を含む少なくとも1つのポリエーテル変性ポリブタジエン(K)を得る。
‐工程e)において、必要に応じて、活性炭および/または過酸化水素を使用して、少なくとも1つのポリエーテル変性ポリブタジエン(G)または(K)の明色化を行う。
【0087】
開示の方法により、櫛歯位置のポリエーテル基によるペンダントOH基の単純な直接アルコキシル化によって、直鎖状ポリブタジエンを変性することが初めて可能となる。ポリエーテル基の鎖長とモノマー配列は、広い範囲内で変更されてよい。ポリブタジエンに結合したポリエーテル基の平均数は、エポキシ化とヒドロキシ官能化の程度を介して制御された方法で調整可能であり、ヒドロキシ官能性ポリブタジエン(E)に重大な構造上の多様性をもたらす。
【0088】
本発明に従って得られる、櫛歯位置にポリエーテル基を有するポリブタジエンは、好ましくは、残留エポキシ基を本質的に含んでいない。本発明に係るプロセス生成物は、好ましくは、遊離ポリエーテル成分を本質的に含んでいない。好ましくは、本質的にすべてのポリエーテルが、エーテル結合を介してポリブタジエンに化学的に結合している。したがって、本発明に係るプロセス生成物は、それらの高い純度につき、先行技術から今日知られている化合物とは明らかに異なる。
【0089】
未公開の欧州出願番号第19212066.5または国際出願番号第PCT/EP2020/083013の調製方法の好ましい構成の反復となることを避けるために、以下の個々の工程の見出しに特化した記載について述べる。
本発明に係る方法の工程a)の好ましい構成
本発明に係る方法の工程b)の好ましい構成
本発明に係る方法の工程c)の好ましい構成
DMC触媒作用
塩基触媒
スターターとしての製品
任意工程d)
任意工程e)
反応器
【0090】
本発明に係る組成物の場合、詳細に記載されることが好ましいのは、上記化合物を調製するための工程c)である。
【0091】
本発明に係る方法の工程c)では、少なくとも1つのヒドロキシ官能性ポリブタジエン(E)を少なくとも1つのエポキシ官能性化合物(F)と反応させて、少なくとも1つのポリエーテル変性ポリブタジエン(G)を得る。
【0092】
工程b)の少なくとも1つのヒドロキシ官能性ポリブタジエン(E)は、工程c)において、少なくとも1つのエポキシ官能性化合物(F)との反応のための開始化合物として機能する。開環下、そして好ましくは適切な触媒の存在下で、少なくとも1つのエポキシ官能性化合物(F)(以下、単に「モノマー」または「エポキシモノマー」または「エポキシド」とも呼ばれる)を、重付加反応において、少なくとも1つのヒドロキシ官能性ポリブタジエン(E)のOH基に付加する。これにより、櫛歯位置(ペンダント位置)にポリエーテル鎖を有する本発明に係るポリブタジエンが形成される。すなわち、少なくとも1つのポリエーテル変性ポリブタジエン(G)が形成される。ポリエーテル変性ポリブタジエン(G)は、好ましくは、櫛歯位置(ペンダント位置)のポリエーテル基で変性された直鎖状ポリブタジエンである。したがって、好ましくは、ポリエーテル変性ポリブタジエン(G)は、直鎖状ポリブタジエン主鎖およびペンダントポリエーテル基を有している。
【0093】
工程c)の反応は、好ましくは、アルコキシル化反応、すなわち、少なくとも1つのヒドロキシ官能性ポリブタジエン(E)へのアルキレンオキシドの重付加である。ただし、工程c)の反応は、アルキレンオキシドの代わりにまたはそれに加えて、グリシジル化合物を用いて行われてもよい。
【0094】
したがって、好ましくは、工程c)で使用される少なくとも1つのエポキシ官能性化合物は、アルキレンオキシドの群から選択され、好ましくは2~18個の炭素原子を有するアルキレンオキシドの群から選択され、さらに好ましくは、2~8個の炭素原子を有するアルキレンオキシドの群から選択され、特に好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1-ブチレンオキシド、シス-2-ブチレンオキシド、トランス-2-ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、およびスチレンオキシドからなる群から選択される。および/または、工程c)で使用される少なくとも1つのエポキシ官能性化合物は、グリシジル化合物の群から選択され、好ましくは単官能性グリシジル化合物の群から選択され、より好ましくはフェニルグリシジルエーテル、o-クレジルグリシジルエーテル、tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、C12/C14脂肪アルコールグリシジルエーテル、およびC13/C15脂肪アルコールグリシジルエーテルからなる群から選択される。
【0095】
上記のアルキレンオキシドまたはグリシジル化合物に代えて、あるいはそれに加えて、環状無水物、ラクトン、ジラクチド、または環式カーボネートを、モノマーまたは上述のアルキレンオキシドまたはグリシジル化合物とのコモノマーとして、使用することもできる。
【0096】
当業者に知られているすべての環状無水物は、純粋形で、または任意の混合物として、一般的に使用されてよい。飽和、不飽和または芳香族の環状ジカルボン酸無水物は、好ましくは無水コハク酸、オクテニル-、デセニル-、およびドデセニルコハク酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、グルタル酸無水物、アジピン酸無水物、シトラコン酸無水物、トリメリット酸無水物、フタル酸無水物、ヘキサヒドロ-、テトラヒドロ-、ジヒドロ-、メチルヘキサヒドロ-、およびメチルテトラヒドロフタル酸無水物である。コハク酸無水物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、およびヘキサヒドロフタル酸無水物が好ましく、マレイン酸無水物およびフタル酸無水物が特に好ましい。
【0097】
当業者に知られているすべてのラクトンは、純粋形で、または任意の混合物として、ラクトンとして一般的に使用されてよい。バレロラクトン、カプロラクトン、およびブチロラクトンを使用することが好ましく、これらはすべて、有機基、好ましくはメチル基で、置換されていてもされていなくてもよい。ε-カプロラクトンまたはδ-バレロラクトンが好ましく、ε-カプロラクトンが特に好ましい。
【0098】
環状カーボネートとして、エポキシドへのCO2の挿入を介して入手可能な、当業者に知られているすべての環状カーボネートを、純粋形で、または任意の混合物として使用することが一般に可能である。グリシジルエーテルに由来するカーボネートを使用するのが好ましく、プロピレンカーボネートおよびエチレンカーボネートが特に好ましい。
【0099】
モノマーについては、純粋形で個別に、任意の計量順序で交互に連続して、または混合形で同時に、添加されてよい。したがって、得られるポリエーテル鎖中のモノマー単位の配列は、最終生成物においてブロック分布、または統計的分布、または勾配分布となる。
【0100】
本発明に係る方法により、ペンダントポリエーテル鎖がポリブタジエン上に形成される。これは、構造およびモル質量に関して、制御された再現可能な方法で、ペンダントポリエーテル鎖を調製できるという点において例示されている。
【0101】
モノマー単位の配列は、広い範囲内で添加の順序によって変えることができる。
【0102】
ペンダントポリエーテル基のモル質量は、本発明に係る方法により広い範囲内で変更されてよく、かつ、工程b)の最初に充填された少なくとも1つのヒドロキシ官能性ポリブタジエン(E)のOH基に対する添加モノマーのモル比により特異的かつ再現可能に制御されてよい。
【0103】
本発明に従って調製されるポリエーテル変性ポリブタジエン(G)は、好ましくは、式(3a)、(3b)および(3c)によるエーテル基を介してポリブタジエン骨格に結合したB基を含むことを特徴とする。
【0104】
【0105】
工程B)について上述したように、式(3a)、(3b)および(3c)中のA基は、化合物A-OH、すなわち工程b)で使用されるヒドロキシ官能性化合物(D)に由来する。上でも述べたように、工程b)では、2つの場合、すなわちA≠HまたはA=Hが区別されなければならない。第1の場合、すなわちA≠Hである場合、式(3a)、(3b)および(3c)中のA基は、式(2a)、(2b)および(2c)中のA基と同一である。第2の場合、すなわちA=Hである場合、式(3a)、(3b)および(3c)中のA基は、いずれの場合も独立して、HまたはB基である。例えば、1~6個の炭素原子を有する単官能性脂肪族アルコールを、ヒドロキシ官能性化合物(D)として使用する場合、Aは1~6個の炭素原子を有するアルキル基である。例えば、カルボン酸をヒドロキシ官能性化合物(D)として使用する場合、Aはアシル基である。しかし、水をヒドロキシ官能性化合物(D)として使用する場合、式(3a)、(3b)および(3c)中のAは、1つまたは複数のエポキシ官能性化合物(F)との反応については、B基である。反応がない場合、Aは水素のままである。したがって、転化された各ペンダントヒドロキシル基は、正確に1つのペンダント-O-B基となる。B基は、同様にして、使用する少なくとも1つのエポキシ官能性化合物(F)の1つまたは複数のモノマー、好ましくは2つ以上のモノマーから構成される。
【0106】
本明細書の文脈では、原則として、当業者に知られているすべてのアルコキシル化触媒、例えば、塩基性触媒(例:アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アミン、グアニジン、アミジン、トリフェニルホスフィンなどのリン化合物)、さらに酸性およびルイス酸性触媒(例:SnCl4、SnCl2、SnF2、BF3、およびBF3錯体)、そして二重金属シアン化物(DMC)触媒を使用することが可能である。
【0107】
エポキシドを供給する前、すなわち、使用する少なくとも1つのエポキシ官能性化合物(F)を添加する前に、スターターおよび触媒で部分的に満たされた反応器を、例えば窒素で不活性化する。これは、例えば、窒素の排気と供給を交互に繰り返すことによって達成される。最後の窒素注入後、反応器を200ミリバール未満に排気することが有利である。これは、エポキシモノマーの第一量の添加を排気済みの反応器内で行うことが好ましいことを意味する。放出された反応熱を取り除き、事前に設定した反応温度を維持するために、撹拌しながら、かつ必要に応じて冷却しながらモノマーを投入する。使用するスターターは、少なくとも1つのヒドロキシ官能性ポリブタジエン(E)である。あるいは、以下でさらに説明するように、本発明の方法によって調整されたポリエーテル変性ポリブタジエン(G)をスターターとして使用することも可能である。
【0108】
本発明に係る組成物に、さらなる添加剤、例えば、ポリエーテル、天然および合成由来の油、有機ポリマー、有機変性シリコーンポリマー、および固体を添加することが可能である。そのような適切な微粉化固体の例は、AerosilまたはSipernatとして市販され、かつ有機ケイ素化合物で処理することにより疎水化されてよい高分散性の熱分解法または湿式化学由来のシリカである。さらに適切な固体は、マグネシウム、アルミニウムおよびカルシウム石鹸などの金属石鹸、ならびにポリエチレンおよびアミドワックスまたは尿素である。
【0109】
全組成に対し、2~100重量%、好ましくは5~70重量%、より好ましくは5~30重量%の化合物を使用することが好ましい。
【0110】
同様に、別の固体、例えばシリカ、ワックスおよび固体を添加して、消泡活性をさらに高めることも考えられる。このような添加剤は、当業者に知られている。少なくとも1つの固体、好ましくは、変性された形もしくは変性されていない形で存在してよいシリカ、または(アルカリ土類)/アルカリ金属石鹸(例:ステアリン酸カルシウム)およびそれらの混合物からなる群から選択されるものが好ましくは使用されてよい。
【0111】
本発明に係る組成物から出発して消泡剤エマルションを調製するために乳化剤を添加することも、好ましくは可能である。市販の乳化剤、好ましくはアニオン性、カチオン性もしくは非イオン性乳化剤またはそれらの混合物を使用することが好ましい。また、使用してもよい特定の乳化剤系も知られている。
【0112】
好ましくは、DIN53015に準拠して5%水溶液中で測定した粘度が50~5000mPa・s、好ましくは100~2000mPa・s、より好ましくは100~1000mPa・sである乳化剤系が、本発明に係る消泡剤エマルションの調製に適している。
【0113】
好ましくは、組成物は、少なくとも1つの増粘剤、好ましくは、変性ポリアクリレート、変性セルロースエーテル、変性ポリアクリルアミド、変性ポリエーテルなどの会合性増粘剤、および会合性ポリウレタン増粘剤;変性セルロース;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸、およびそれらのコポリマー、(変性)ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ならびにポリエチレングリコールなどの有機ポリマー;デンプン、ゼラチン、カゼインまたはこんにゃく粉、ならびにそれらの化学変性型などの天然増粘剤;および、金属石鹸、硬化ヒマシ油およびそのアルコキシレート、ならびに化学変性脂肪誘導体などの有機増粘剤;または、変性していてもよい、層状ケイ酸塩(ベントナイト、ヘクトライト)または(水和)SiO2粒子などの無機化合物からなる群から選択されるものを含んでいる。
【0114】
ASE(アルカリ膨潤性エマルション)型のアクリレート増粘剤の代表は、例えばACRYSOL(商標)TTのブランド名でDOW社から、例えばTAFIGEL(登録商標)APのブランド名でMunzing社から、例えばRheovis(登録商標)AS型のブランド名でBASF社から入手可能であある。
【0115】
公知の陰イオン変性アクリルアミドは、Solenis社、Yixing Bluwat社またはBASF社製である。。
【0116】
本発明の追加態様は、消泡添加剤、フロー制御添加剤、および/または基材湿潤添加剤としての組成物の使用である。
【0117】
本発明のさらなる態様は、分散液、ミルベース、塗料、被覆用もしくは印刷用インク、インクジェット、グラインド樹脂、顔料濃縮物、着色剤調製物、顔料調製物、充填材調製物、または被覆用組成物を調製するための組成物の使用である。
【0118】
被覆用組成物は、溶媒ベース、無溶媒、または水ベースの被覆物または印刷インクであってい。。
【0119】
本発明はさらに、消泡剤組成物を調製するためのポリブタジエンをベースとする化合物の使用を提供する。ポリエーテル変性ポリブタジエンのための特定の選択条件に関しては、上記を参照されたい。
【0120】
以下の実施例は、単に当業者に本発明を説明するために提供されるものであり、特許を請求する主題事項または特許を請求する方法を何ら限定するものではない。
【実施例0121】
I.調製例
一般的な方法
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
多分散度(Mw/Mn)、重量平均モル質量(Mw)、および数平均モル質量(Mn)を測定するためのGPC測定を次の測定条件で実施した:SDV1000/10000Åカラムコンビネーション(長さ65cm)、温度30℃、移動相としてのTHF、流量1mL/分、試料濃度10g/L、RI検出器、ポリプロピレングリコール基準に対する評価。
【0122】
ポリブタジエン中のエポキシ基含有量の測定(エポキシ含有量、エポキシ化レベル)
エポキシ基の含有量を13C-NMR法を利用して測定した。Bruker Avance400NMRスペクトロメーターを使用した。この目的のために、試料を重クロロホルムに溶解した。エポキシ含有量は、試料中に存在するすべての繰り返し単位全体に対する、モル%でのエポキシ化ブタジエン単位の割合として定義される。これは、エポキシ化ポリブタジエンのエポキシ基数を、使用するポリブタジエンの二重結合数で割った値に相当する。
【0123】
酸価の測定
酸価をDIN EN ISO2114に準拠した滴定法により測定した。
【0124】
本発明の消泡剤組成物の調製
未公開の欧州出願番号第19212066.5または国際出願番号第PCT/EP2020/083013 1.1に基づいて、工程a)~c)を実施した。例として、各場合の第一例は、成分の重量に関して記載されている。中間製品と最終製品の使用重量とパラメータは、各表からわかる。
【0125】
工程a)エポキシ化ポリブタジエンの調製
エポキシ化ポリブタジエンを使用して、x=1%、y=24%、およびz=75%の構造を有する商品名Polyvest(登録商標)110(Evonik社)のポリブタジエンを調製した。
【0126】
実験例A1の一般的な説明
2L四口ガラスフラスコに、最初にPolyvest(登録商標)110(725g)と、クロロホルム1500g中の濃縮ギ酸39.2gと、を室温で窒素雰囲気下で投入した。続いて、30%H2O2溶液(水溶液の全質量に対して30重量%のH2O2)145gをゆっくりと滴下し、次いでその溶液を50℃に10時間加熱した。反応が終了した後、混合物を室温まで冷却し、有機相を取り出し、蒸留水(dist H2O)で4回洗浄した。過剰のクロロホルムと残留水を留去した。689gの生成物が得られ、これを1000ppmのIrganox(登録商標)1135と混合し、窒素下で保管した。
13C NMRによる評価は、二重結合の約8.8%のエポキシ化レベルを示した。
Mw=4596g/モル;Mn=1972g/モル;Mw/Mn=2.3
他の実験例については、重量、反応条件、および評価を表1に示す。読みやすくするために、実験A1~A3の名称を表2に留めておく。
【0127】
【0128】
工程b)ヒドロキシ官能性ポリブタジエンの調製
工程a)のエポキシ化ポリブタジエンA1を使用して、ヒドロキシル化ポリブタジエンを調製した。ヒドロキシル化度は、ヒドロキシ官能性ポリブタジエンのOH基数を、工程a)で使用したポリブタジエンの二重結合数で割った値である。調製のために、2L四口フラスコに、窒素雰囲気下、最初にイソブタノール684g中のエポキシ化ポリブタジエン684gと、(エポキシ化ポリブタジエンの質量に対し)80ppmwのトリフルオロメタンスルホン酸と、を攪拌しながら投入した。続いて、70℃に加熱し、その温度で混合物を3時間撹拌した。反応中に反応混合物が透明になった。反応終了後、混合物を室温まで冷却し、飽和NaHCO3溶液10.4gを加えることにより、溶液を中和した。混合物を115℃に加熱し、過剰の水と過剰のアルコールとを減圧留去した。蒸留によって回収され、必要に応じて乾燥されたアルコールは、その後の合成で再利用されてもよい。留去したイソブタノールを、例えば、蒸留により、またはモレキュラーシーブスなどの乾燥剤を添加することにより、乾燥させてもよい。724gの褐色がかった生成物が得られ、これを1000ppmのIrganox(登録商標)1135と混合し、窒素下で保管した。
13C-NMRによる評価は、すべてのエポキシ基が完全に転化されていることを示し、ヒドロキシル化度は、約8.8%であった。
Mw=9257g/モル;Mn=2469g/モル;Mw/Mn=3.7
他の実験例についても、この工程を同様に実施した;表2を参照。
【0129】
【0130】
工程c)ヒドロキシ官能性ポリブタジエンのアルコキシル化による本発明に係る消泡剤の調製
3Lオートクレーブに、最初に、工程b)のヒドロキシ官能性ポリブタジエンA1(196.0g)と、30%ナトリウムメトキシド溶液(溶液の総質量に対し、メタノール中30重量%のナトリウムメトキシド)11.1gと、を窒素下で投入し、混合物を50℃で1時間攪拌した。続いて、混合物を撹拌しながら115℃に加熱し、反応器を内圧が30ミリバールになるまで排気して、存在する過剰のメタノールと他の揮発性成分とを留去した。115℃、最大反応器内圧3.5バール(絶対)で15時間以内に冷却しながら、プロピレンオキシド(PO)540gを連続的に計量供給した。115℃で30分間反応を続けた後、脱気した。残留プロピレンオキサイドなどの揮発成分を減圧留去した。生成物を95℃に冷却し、30%H3PO4で0.1mgKOH/gの酸価まで中和し、1000ppmのIrganox(登録商標)1135と混合した。水を減圧蒸留により除去し、沈殿した塩を濾別した。中程度の粘稠度でオレンジ色の透明なアルコキシル化ポリブタジエン706gを単離し、窒素下で保管した。
乳酸で中和するために、生成物を80℃未満に冷却した後、真空蒸留して揮発分を除去し、乳酸で酸価0.1mgKOH/gまで中和し、1000ppm のIrganox(R)1135と混合し、窒素下で保管した。
Mw=22850g/モル;Mn=3160g/モル;Mw/Mn=7.2
本発明に係る別の消泡剤と比較例とを、表3に従って列挙された重量および反応条件で同様に実施した。アルコキシル化変性は、「供給プロファイル」欄から明らかである。
【0131】
【0132】
II.相溶性と消泡剤活性の試験
方法
粘度(mPa・s)
16秒の印刷粘度(DIN4カップ)をDIN EN ISO2431に準拠して23℃に設定する。
相溶性
フィルム(Putz Folien社のMelinex401CW)上で試験されるべき配合物の塗膜(スパイラルフィルムアプリケータ(Erichsen K-Stab No.2)を使用して適用)を使用して、相溶性を視覚的に測定する。
(10×10cmの領域に対し)以下の等級で評価を行う。
1=欠陥で完全に覆われた表面
2=欠陥でほぼ完全に覆われた表面
3=欠陥が非常に多い表面
4=多数の欠陥がある表面
5=分離した欠陥のある表面(最大50個)
6=分離した欠陥のある表面(最大30個)
7=分離した欠陥がほとんどない表面(最大20個)
8=分離した欠陥がほとんどない表面(最大10個)
9=分離した欠陥がほとんどない表面(1~5個)
10=欠陥のない表面
【0133】
消泡剤活性
消泡剤活性を撹拌試験によって測定する。この目的のために、配合物50gと、試験量の消泡剤(例えば、0.2g)と、をプラスチックビーカーに秤量する。歯付き溶解ディスク(直径3cm、VMA Getzmann GmbH社)を備えたスターラー(VMA Getzmann GmbH社製のDispermat型60/2-457)を使用して、1500rpmで1分間、消泡剤を組み込む。続いて、配合物を5000rpmで2分間発泡させる。次いで、配合物45gを秤量して、100mLの目盛付きガラスメスシリンダーに入れ、容量を読み取る。容量が多いほど、消泡剤活性が低い。
【0134】
適用
各被覆用組成物を、スパイラルフィルムアプリケータ(Erichsen K-Stab No.2)でフィルム(Putz Folien社製のMelinex401CW)に適用する。乾燥は室温で行う。
【0135】
その他の条件
本明細書の文脈において値が%で表される場合、特に明記しない限り、これらは重量%である。組成物の場合、%で報告される値は、特に明記しない限り組成物全体に対する値である。以下で平均について言及する場合、特に明記しない限り、これらは数平均である。以下で測定値について言及する場合、これらの測定値は、特に明記しない限り、圧力:101325Pa、温度:23℃、周囲相対湿度:約40%で測定されている。
【0136】
材料および設備
‐ディスパーマット型60/2-457、VMA Getzmann GmbH社
‐溶解ディスク(直径3cm)、VMA Getzmann GmbH社
‐スパイラルフィルムアプリケータ(K-Stab No.2)、Erichsen社
‐フィルム(Melinex401CW)、Putz Folien社
‐K100静的表面張力測定器、Kruss社
‐BP50動的表面張力測定器、Kruss社
‐スピードミキサDAC150FVZ、Hauschild GmbH & Co.KG社
【0137】
比較例
‐ブランク・フレキソインキK1 ブランク基準、調製については以下を参照
‐Polyvest130 ポリブタジエン、Evonik社
【0138】
フレキソインキの調製
相溶性および消泡剤活性を試験するために、最初にフレキソインキK1を調製し、これをブランク基準として設定した。練り顔料(ミルベース)をレットダウン(let-down)と混合し、溶解機を使用して均質化する。蒸留水を加えることにより、ブランク基準を印刷粘度16秒に設定する(DIN4カップ、23℃、DIN EN ISO2431)。
【0139】
フレキソインキK1のミルベースを調製するために、最初に液体結合剤を表4に従って粉砕容器に投入した。別の液体成分を組み込み、O12.5cmの溶解ディスクを使用して、2.6m/秒(400回転/分)で5分間均質化し、次いで顔料を加えた。次いで、 O12.5cmの溶解ディスクを使用して、18~23m/秒(3520回転/分)で10分間、最高50℃でこの混合物を予備分散させた。最後に、予備分散後、液体結合剤の最終部分を秤量し、これを1800回転/分で5分間組み込んだ。O13cmのダブルグラインディングディスクと直径2.5mmのガラスビーズを使用して、混合物を10m/秒(1470回転/分)で粒子の細かさが10μm未満になるまで分散させた。粒子の細かさについては、DIN EN ISO 1524に準拠してグラインドメーターを使用して試験した。粒子が細かくなった後、蒸留水を秤量し、均質化した。その後、金属篩を用いてふるい分けを行った。
【0140】
【0141】
【0142】
最初にミルベースを表2に従って投入し、さらにレットダウンの結合剤を加え、溶解機内で、O10cmの溶解ディスクを使用して、1500回転/分の速度で20分間均質化した。
均質化後、蒸留水を加えて粘度を調整した。印刷粘度は、DIN EN ISO 2431に準拠して23℃のDIN 4カップで16秒に調整した。
フレキソインキK1をさらなる試験に使用した。
【0143】
本発明に係る消泡剤エマルションの調製
性能試験のために、80.0重量%の本発明に係る消泡剤EA1.1、EA1.2、EA2、EA3、比較例VGA2、およびPolyvest(登録商標)130を、非イオン性乳化剤(13の混合HLBを有する、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテルとポリオキシエチレントリグリセリドとの混合物)を用いて、20%水性消泡剤エマルションに転化した。
いずれの場合も、本発明に係る消泡剤エマルションに増粘剤を添加したので、消泡剤エマルション中の増粘剤濃度は、
系1:市販のアクリレート増粘剤型ASE(アルカリ膨潤性エマルション)、例えばDow社製、ACRYSOL(商標)ASE-60、0.8重量%
系2:BASF社製のアニオン変性アクリルアミドMagnafloc、0.25重量%
であった。
【0144】
相溶性試験
フレキソインキK1(50g)と、適切な消泡剤エマルション1(系1)または2(系2)0.2gと、をプラスチックビーカーに量り入れ、上記のように発泡させた。泡の崩壊を90分間観察し、次いで上記のようにフィルムに適用し、視覚的に評価した。
【0145】
消泡剤活性
フレキソインキK1(50g)と、適切な消泡剤エマルション1または2(0.2g)と、をプラスチックビーカーに量り入れ、上記のように発泡させた。それに応じて消泡効果を試験した。
結果を下の表に示す。
【0146】
【0147】
本発明に係る消泡剤エマルションは、比較例よりも優れた消泡効果を示した。
【0148】
【0149】
消泡剤エマルションは、それらの消泡効果と相溶性の両方に関して、比較例よりもはるかに優れている。