IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アモーレパシフィックの特許一覧

特開2022-183016美白用組成物およびそれを用いた皮膚美白方法
<>
  • 特開-美白用組成物およびそれを用いた皮膚美白方法 図1
  • 特開-美白用組成物およびそれを用いた皮膚美白方法 図2
  • 特開-美白用組成物およびそれを用いた皮膚美白方法 図3
  • 特開-美白用組成物およびそれを用いた皮膚美白方法 図4
  • 特開-美白用組成物およびそれを用いた皮膚美白方法 図5
  • 特開-美白用組成物およびそれを用いた皮膚美白方法 図6
  • 特開-美白用組成物およびそれを用いた皮膚美白方法 図7
  • 特開-美白用組成物およびそれを用いた皮膚美白方法 図8
  • 特開-美白用組成物およびそれを用いた皮膚美白方法 図9
  • 特開-美白用組成物およびそれを用いた皮膚美白方法 図10
  • 特開-美白用組成物およびそれを用いた皮膚美白方法 図11
  • 特開-美白用組成物およびそれを用いた皮膚美白方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183016
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】美白用組成物およびそれを用いた皮膚美白方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/365 20060101AFI20221201BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20221201BHJP
   A23L 33/115 20160101ALI20221201BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20221201BHJP
   A61P 31/04 20060101ALN20221201BHJP
   A61P 17/00 20060101ALN20221201BHJP
   A61K 31/202 20060101ALN20221201BHJP
【FI】
A61K8/365
A61Q19/02
A23L33/115
A61P43/00 111
A61P31/04
A61P17/00
A61K31/202
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066443
(22)【出願日】2022-04-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0067754
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】100, Hangang-daero, Yongsan-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ウン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】カン, ヨン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ヒョンジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヒョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ウンソク
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB03
4B018LB04
4B018LB05
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB09
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018MD10
4B018ME14
4C083AC301
4C083AC302
4C083CC02
4C083EE12
4C083EE16
4C206AA10
4C206DA07
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZB35
4C206ZC20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】皮膚における色素の過沈着を改善する皮膚美白用組成物を提供する。
【解決手段】下記化学式1-1に代表されるヒドロキシ置換長鎖不飽和脂肪酸系化合物を有効成分として含有する美白用組成物である。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式Aで表される構造単位を含み、一つ以上のヒドロキシ基および一つ以上のカルボキシル基を含む化合物を有効成分として含む、美白用組成物。
【化1】
【請求項2】
前記化合物は下記化学式1で表される化合物を含む、請求項1に記載の美白用組成物:
【化2】
前記化学式1において、
~Rはそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基またはカルボキシル基であり、前記R~Rの少なくとも一つはヒドロキシ基であり、前記R~Rの少なくとも一つはカルボキシル基である。
【請求項3】
前記RおよびRはそれぞれ独立してヒドロキシ基であり、
前記Rはカルボキシル基である、請求項2に記載の美白用組成物。
【請求項4】
前記化学式1で表される化合物は前記組成物総量に対して0.001nM~1μMの濃度で含まれる、請求項2に記載の美白用組成物。
【請求項5】
前記化学式1で表される化合物は前記組成物総量に対して0.01nM~100nMの濃度で含まれる、請求項4に記載の美白用組成物。
【請求項6】
前記化合物は下記化学式2で表される化合物を含む、請求項1に記載の美白用組成物:
【化3】
前記化学式2において、
~Rはそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基またはカルボキシル基であり、前記R~Rの少なくとも一つはヒドロキシ基であり、前記R~Rの少なくとも一つはカルボキシル基である。
【請求項7】
前記化合物は下記化学式3で表される化合物を含む、請求項1に記載の美白用組成物:
【化4】
前記化学式3において、
およびRはそれぞれ独立してヒドロキシ基またはカルボキシル基であり、前記RおよびRの少なくとも一つはヒドロキシ基であり、前記RおよびRの少なくとも一つはカルボキシル基である。
【請求項8】
前記美白用組成物は化粧料組成物である、請求項1に記載の美白用組成物。
【請求項9】
下記化学式Aで表される構造単位を含み、一つ以上のヒドロキシ基および一つ以上のカルボキシル基を含む化合物を有効成分として含む化粧料組成物を個体に投与する段階を含む、個体の皮膚美白方法。
【化5】
【請求項10】
前記化合物は下記化学式1で表される化合物を含む、請求項9に記載の個体の皮膚美白方法:
【化6】
前記化学式1において、
~Rはそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基またはカルボキシル基であり、前記R~Rの少なくとも一つはヒドロキシ基であり、前記R~Rの少なくとも一つはカルボキシル基である。
【請求項11】
前記RおよびRはそれぞれ独立してヒドロキシ基であり、
前記Rはカルボキシル基である、請求項10に記載の個体の皮膚美白方法。
【請求項12】
前記化学式1で表される化合物は前記組成物総量に対して0.001nM~1μMの濃度で含まれる、請求項10に記載の個体の皮膚美白方法。
【請求項13】
前記化学式1で表される化合物は前記組成物総量に対して0.01nM~100nMの濃度で含まれる、請求項12に記載の個体の皮膚美白方法。
【請求項14】
前記化合物は下記化学式2で表される化合物を含む、請求項10に記載の個体の皮膚美白方法:
【化7】
前記化学式2において、
~Rはそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基またはカルボキシル基であり、前記R~Rの少なくとも一つはヒドロキシ基であり、前記R~Rの少なくとも一つはカルボキシル基である。
【請求項15】
前記化合物は下記化学式3で表される化合物を含む、請求項10に記載の個体の皮膚美白方法:
【化8】
前記化学式3において、
およびRはそれぞれ独立してヒドロキシ基またはカルボキシル基であり、前記RおよびRの少なくとも一つはヒドロキシ基であり、前記RおよびRの少なくとも一つはカルボキシル基である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、美白用組成物およびそれを用いた皮膚美白方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は人体が生存するに当たり、必須の多様な機能を遂行している。環境変化に応じて人体内部の恒常性を維持するための障壁機能、外部変化を認知するための感覚機能、体温調節機能などが最も代表的な皮膚の機能に属する。前記多様な皮膚の機能の中で、特に皮膚の障壁機能は、主に皮膚の最も外側に位置する角質層によって現れる。角質層は単なる障壁機能だけでなく、内部の生きている細胞層、すなわち表皮層や真皮層の機能および役割、構造などにも影響を及ぼすことが報告されており、その重要性が持続的に増加しつつある。このような角質層は、死んだ角質細胞と細胞間脂質で構成されており、外部刺激から皮膚を保護し、内部から水分が蒸発することを防ぐ皮膚保護膜として、核心的な機能を担当する。また、角質層の角質形成細胞は分化および角質化過程により皮膚障壁を作る。
【0003】
ヒトの皮膚に老化を起こす要因は多様であるが、特に紫外線によって皮膚のシワ生成、弾力低下、色素沈着および皮膚障壁損傷による皮膚の水分量減少が現れる。紫外線による皮膚損傷により皮膚表面の水分量が減少すると、皮膚表面角質層の柔軟性を失い皮膚が乾燥し、結果として皮膚が障壁としての機能を発揮できなくなる。したがって、皮膚障壁を強化するためには皮膚の保湿力を維持することが最も重要である。
【0004】
表皮に存在するwater homeostasisと関連する二種類のporesがあるが、これはアクアポリン(Aquaporins,AQP)とタイトジャンクション(Tight Junction,TJ)である。そして、フィラグリン(filagrin)は皮膚保湿を担当する天然保湿因子(NMF)の前駆体タンパク質として、フィラグリン生産促進能が保湿作用において重要な役割をすると知られている(非特許文献1)。
【0005】
一方、多様な炎症性皮膚炎はIgE関連免疫機構によって発生するが、この場合T細胞異常による遅延性免疫反応が関与するという報告が多い。特に、アトピー性皮膚炎が発生した部位には大食細胞、Thリンパ球、肥満細胞など免疫関連細胞の浸潤が大きく増加する。アトピー性皮膚炎の皮膚は、アトピー性皮膚炎患者の場合、血中IgEの濃度が高いが、これはTh2細胞の数が増加してこの細胞が分泌したIL-4,13などTh2サイトカインのBリンパ球刺激によりIgE分泌を促進するからである。特に初期アトピー性皮膚炎の場合IL-4、IL-13が重要に作用する(非特許文献2)。
【0006】
前記アトピー性皮膚炎のような炎症は、炎症解消因子が能動的に関与するようにすることが治療および予防において非常に重要である。前記炎症解消因子は、炎症の解消段階(inflammation resolution)に能動的に関与する因子であって、炎症反応後期に組織内の免疫細胞(neutrophil,macrophage)から自然に生成および分泌される。前記炎症解消因子は、脂質、タンパク質、気体分子など多様な形態があるが、中でも特に炎症解消脂質因子(specialized pro-resolving lipid mediator,SPMs)に対する研究が最近活発に進められている。前記炎症解消脂質因子は、omega-3 polyunsaturated fatty acid(PUFA)のeicosapentaenoic acid(EPA)またはdocosahexaenoic acid(DHA)が細胞内で代謝されて生成されるmetaboliteである。現在に前記炎症解消脂質因子による炎症反応緩和は多数報告されているが、前記炎症解消脂質因子がメラニン生成細胞(melanocyte)のメラニン生成に及ぼす影響および皮膚美白効能強化のための用途は知られていない。そこで、本発明者らは人体に安全な天然皮膚美白剤を開発する中、前記炎症解消脂質因子が色素沈着因子がない環境では皮膚美白効能を有するだけでなく、色素沈着因子による色素沈着現象を抑制することを確認し、さらにニキビの原因菌(Cutibacterium acnes, C. acnes)によるメラニン生成誘導を阻害して美白効能があることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0007】
一方、本発明に関連する先行技術文献としては、特許文献1などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2020-0042285号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J Tabachnich and J H LaBadie, J. Invest. Dermatol. 54, 24-31, 1970
【非特許文献2】Donald Y.M. Leung et al., J Clin Invest. 2004, 113, 651-657
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一実施形態は、皮膚の過沈着現象を改善させ得る化粧料組成物を提供する。
【0011】
他の一実施形態は、前記化粧料組成物を個体に投与する段階を含む、個体の皮膚美白方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態によれば、下記化学式Aで表される構造単位を含み、一つ以上のヒドロキシ基および一つ以上のカルボキシル基を含む化合物を有効成分として含む美白用組成物を提供する。
【0013】
【化1】
【0014】
前記有効成分として含まれる化合物は、下記化学式1で表される化合物を含み得る。
【0015】
【化2】
【0016】
前記化学式1において、
~Rはそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基またはカルボキシル基であり、前記R~Rの少なくとも一つはヒドロキシ基であり、前記R~Rの少なくとも一つはカルボキシル基である。
【0017】
前記RおよびRはそれぞれ独立してヒドロキシ基であり、前記Rはカルボキシル基であり得る。
【0018】
前記化学式1で表される化合物は、前記組成物総量に対して0.001nM~1μMの濃度で含まれ得る。
【0019】
前記化学式1で表される化合物は、前記組成物総量に対して0.01nM~100nMの濃度で含まれ得る。
【0020】
前記有効成分として含まれる化合物は、下記化学式2で表される化合物を含み得る。
【0021】
前記有効成分として含まれる化合物は、下記化学式3で表される化合物を含み得る。
【0022】
【化3】
【0023】
【化4】
【0024】
前記化学式2において、
~Rはそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基またはカルボキシル基であり、前記R~Rの少なくとも一つはヒドロキシ基であり、前記R~Rの少なくとも一つはカルボキシル基であり、
前記化学式3において、
およびRはそれぞれ独立してヒドロキシ基またはカルボキシル基であり、前記RおよびRの少なくとも一つはヒドロキシ基であり、前記RおよびRの少なくとも一つはカルボキシル基である。
【0025】
前記美白用組成物は、化粧料組成物であり得る。
【0026】
他の一実施形態によれば、前記化学式Aで表される構造単位を含み、一つ以上のヒドロキシ基および一つ以上のカルボキシル基を含む化合物を有効成分として含む化粧料組成物を個体に投与する段階を含む、個体の皮膚美白方法を提供する。
【0027】
また他の一実施形態によれば、美白用組成物の製造のための一つ以上のヒドロキシ基および一つ以上のカルボキシル基を含み、前記化学式Aで表される化合物の用途を提供する。
【0028】
また他の一実施形態によれば、有効量の前記化学式Aで表される化合物(一つ以上のヒドロキシ基および一つ以上のカルボキシル基を含む)を含む組成物を皮膚に塗布し、皮膚を美白させる方法を提供する。
【0029】
一つ以上のヒドロキシ基および一つ以上のカルボキシル基を含み、前記化学式Aで表される化合物および濃度については前述したとおりであり、前記組成物が前記化学式1~化学式3で表される化合物を含み得ることについても前述したとおりである。
【発明の効果】
【0030】
一実施形態による組成物はニキビの原因菌(C.acnes)によるメラニン生成細胞(melanocyte)内のメラニン生成酵素(TRP1,TRP2,tyrosinase)のタンパク質発現増加を阻害するだけでなく、ニキビの原因菌と関係がなく皮膚色素沈着が起きた場合にもメラニン生成細胞(melanocyte)内のメラニン生成酵素(TRP2,tyrosinase)のタンパク質発現増加を阻害することによって、前記組成物が塗布された皮膚に優れた美白効果を付与することができる。すなわち、一実施形態による組成物は、色素沈着因子がない環境で皮膚美白効能を有するだけでなく、色素沈着因子による色素沈着現象を抑制することを確認し、さらにニキビの原因菌(Cutibacterium acnes,C.acnes)によるメラニン生成誘導を阻害することによって、前記組成物が塗布された皮膚に優れた美白効果を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】一実施形態による組成物が人間正常メラニン生成細胞(melanocyte)でメラニン生成酵素(TRP2,tyrosinase)のタンパク質発現増加を阻害することを示す写真である。
図2】一実施形態による組成物が人間正常メラニン生成細胞(melanocyte)でメラニン生成酵素(tyrosinase)のタンパク質発現増加を阻害することを示すグラフである。
図3】一実施形態による組成物が人間正常メラニン生成細胞(melanocyte)でメラニン生成酵素(TRP2)のタンパク質発現増加を阻害することを示すグラフである。
図4】一実施形態による組成物がニキビの原因菌(C. acnes)でない色素沈着因子(α-MSH)によるメラニン生成酵素(TRP2,tyrosinase)のタンパク質発現増加を阻害することを示す写真である。
図5】一実施形態による組成物がニキビの原因菌(C. acnes)でない色素沈着因子(α-MSH)によるメラニン生成酵素(tyrosinase)のタンパク質発現増加を阻害することを示すグラフである。
図6】一実施形態による組成物がニキビの原因菌(C. acnes)でない色素沈着因子(α-MSH)によるメラニン生成酵素(TRP2)のタンパク質発現増加を阻害することを示すグラフである。
図7】一実施形態による組成物がニキビの原因菌(C. acnes)でない色素沈着因子(IBMX)によるメラニン生成酵素(TRP2,tyrosinase)のタンパク質発現増加を阻害することを示す写真である。
図8】一実施形態による組成物がニキビの原因菌(C. acnes)でない色素沈着因子(IBMX)によるメラニン生成酵素(tyrosinase)のタンパク質発現増加を阻害することを示すグラフである。
図9】一実施形態による組成物がニキビの原因菌(C. acnes)でない色素沈着因子(IBMX)によるメラニン生成酵素(TRP2)のタンパク質発現増加を阻害することを示すグラフである。
図10】ニキビの原因菌(C. acnes)がメラニン生成酵素(TRP1,TRP2)のタンパク質発現を増加させることを示す写真である。
図11】一実施形態による組成物がニキビの原因菌(C. acnes)によるメラニン生成酵素(TRP1,TRP2)のタンパク質発現増加を阻害することを示す写真である。
図12】一実施形態による組成物がニキビの原因菌(C. acnes)によるメラニン生成酵素(TRP1,TRP2)のタンパク質発現増加を阻害することを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0033】
本明細書における皮膚美白機能改善とは、皮膚の外側に位置する角質層の色が明るくて白く変化することを意味する。皮膚の1次防御膜である角質層は外部環境によって損傷しやすい。このような皮膚に美白力を付与するために、一般に皮膚外用剤を塗る処方によっては一時的な問題を解決することはできるが根本的な問題まで解決することは難しく、さらには皮膚外用剤の多くは問題を解決するものでない。皮膚内の黒い跡を単に隠す程度の効果を有するものに過ぎないので、単に皮膚外用剤を塗る処方だけで皮膚の色素沈着問題を根本的に改善することはできなかった。そこで、本発明者らは、一実施形態による組成物を構成する特定化学式で表される化合物が、前記のような根本的な問題を解決して皮膚美白効能を根本的に改善できることを確認して本発明を完成するに至った。
【0034】
より具体的には、一実施形態による組成物は、メラニン合成に関与するメラニン生成酵素(TRP1,TRP2,tyrosinase)の発現と関連してシグナルトランスダクションを調節することによって皮膚美白効果を期待できるようにする。
【0035】
これと関連してc-AMPの細胞内濃度が増加する場合、メラニン生成が増加し、細胞外シグナル制御キナーゼ(extracellular signal regulated kinase,ERK)経路が活性化する場合、メラニン生成が減少する事実は明らかである。しかし、前記細胞外シグナル制御キナーゼ経路を活性化させる方法としては、細胞外シグナル制御キナーゼをリン酸化させるシグナル伝達経路を刺激する方法が良く知られている。最近では、細胞外シグナル制御キナーゼを脱リン酸化させる酵素のタンパク質リン酸分解酵素2A(protein phosphatase 2A、PP2A)を抑制する場合、細胞外シグナル制御キナーゼを活性化させることになるため、結果としてMicrophthalmia-associated transcription factor(MITF)の分解による皮膚美白効果が得られると期待されるが、前記タンパク質リン酸分解酵素2Aを抑制する効果的な方法が明らかにされていない。
【0036】
これと関連して、本発明者らはメラニン細胞に特定化合物を有効成分として含む組成物(より具体的には特定濃度範囲で前記特定化合物を有効成分として含む組成物)を処理する場合、メラニン生成酵素(TRP1,TRP2,tyrosinase)合成阻害効果があることを確認して本発明を完成した。
【0037】
なお、従来の方法のようにメラニン生成酵素(TRP1,TRP2,tyrosinase)を直接抑制する物質は高濃度で使用しなければならないので、皮膚刺激などの副作用を示し得るだけでなく、コウジ酸(kojic acid)は皮膚癌を誘発し得る可能性のために使用が禁止されている状態である。しかし、一実施形態例による組成物はメラニン生成酵素(TRP1,TRP2,tyrosinase)を直接抑制する物質ではないので、皮膚を刺激しないため副作用が殆どなく、かつメラニン生成酵素(TRP1,TRP2,tyrosinase)の生成抑制によりはるかに強力な美白効果を奏することができる。
【0038】
本明細書で層、膜、領域、板などの部分が他の部分「上に」あるという時、これは他の部分の「すぐ上に」ある場合だけでなくその中間にまた他の部分がある場合も含む。逆にある部分が他の部分の「すぐ上に」あるという時には中間に他の部分が存在しないことを意味する。
【0039】
本明細書で別段の定義がない限り、「組み合わせ」とは混合または共重合を意味する。また「共重合」とはブロック共重合ないしランダム共重合を意味し、「共重合体」とはブロック共重合体ないしランダム共重合体を意味する。
【0040】
以下、一実施形態による皮膚美白用組成物について説明する。
【0041】
一実施形態による皮膚美白用組成物は、下記化学式Aで表される構造単位を含み、一つ以上のヒドロキシ基および一つ以上のカルボキシル基を含む化合物を有効成分として含む。
【0042】
【化5】
【0043】
例えば、前記有効成分として含まれる化合物は下記化学式1で表される化合物を含み得る。
【0044】
【化6】
【0045】
前記化学式1において、
~Rはそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基またはカルボキシル基であり、前記R~Rの少なくとも一つはヒドロキシ基であり、前記R~Rの少なくとも一つはカルボキシル基である。
【0046】
例えば、前記化学式1において、RおよびRはそれぞれ独立してヒドロキシ基であり、Rはカルボキシル基であり得る。
【0047】
前記化学式1で表される化合物は、炎症解消脂質因子(specialized pro-resolving lipid mediator,SPMs)の一つとして、ニキビの原因菌(C. acnes)がメラニン生成細胞(melanocyte)でメラニン生成酵素(TRP1,TRP2)のタンパク質発現を増加させることを阻害するだけでなく、前記ニキビの原因菌以外の皮膚色素沈着因子(α-MSH,IBMXなど)により色素沈着された皮膚でも、メラニン生成酵素(TRP2,tyrosinase)のタンパク質発現増加を抑制することによって皮膚に美白効果を付与することができる。
【0048】
皮膚への過色素沈着は、皮膚の炎症反応以後の体内ホルモン異常、遺伝疾患、および紫外線照射などの多様な要因によって発生し得、主な要因としてはメラニン色素合成異常および分布異常などがその原因として挙げられる。
【0049】
メラニンの主要な機能は、酸素ラジカルを除去してそれによる損傷から皮膚を保護することである。したがって、メラニンが多いということは物理的、化学的毒性物質から皮膚を保護するための効果的な対応体系を有していることを意味する。このようなメラニンの生成はメラニン細胞でチロシン(Tyrosine)がメラニン生成酵素(TRP1,TRP2,tyrosinase)によってドパキノン(Dopaquinone)に転換された後、酵素の作用および自発的な酸化反応によって行われる。
【0050】
現在まで知られているメラニン生成の抑制方法は、大きく次のとおりである。
【0051】
まず、紫外線を遮断してメラニン生成の主原因を除去する方法がある。この方法は、化粧料組成物に光散乱剤または光遮断剤を含有させて良い結果を期待することができる。
【0052】
次に、メラニン生成酵素(TRP1,TRP2,tyrosinase)の活性に必要なコア炭水化物、例えばグルコサミン(Glucosamine)の合成を阻害してメラニン生成を抑制することができる。
【0053】
また、コウジ酸(Kojic acid)またはアルブチンでメラニン生成に関与する酵素のメラニン生成酵素(TRP1)の機能を妨げることができる。
【0054】
さらに、ヒドロキノン(hydroquinone)のようにメラニンを生成するメラニン細胞に対して特異的毒性を有する物質を用いてメラニン細胞の分裂を妨げることもできる。
【0055】
その他に、生成されたメラニンを還元させて脱色させる方法も紹介されている。
【0056】
現在の美白組成物を発見するための研究の多くは、メラニン合成に関与するメラニン生成酵素(TRP1,TRP2,tyrosinase)を直接抑制する物質に集中している。しかし、メラニン生成酵素(TRP1,TRP2,tyrosinase)の直接抑制の他にも、メラニン生成酵素(TRP1,TRP2,tyrosinase)の発現に関与するシグナルトランスダクション(signal transduction)を調節することによって美白効果を期待できることが提示されている(Briganti S, Camera E, Picardo M. Pigment Cell Res, 2003, 16(2):101-10)。
【0057】
また、メラニン生成酵素(TRP1,TRP2,tyrosinase)は外部の刺激またはホルモンなどの影響を受ける時転写因子のMITF(microphthalmia-associated transcription factor)の調節によって生産されると知られているが(DS Kim, ES Whang, JE Lee, SY Kim, SB Kwon, and KC Park. J Cell Sci.2003;116:1699-706)、前記MITFの発現を抑制することによってメラニン生成を減少させる方法についはまだ紹介されていない。
【0058】
一実施形態による組成物は、前記メラニン生成酵素(TRP1,TRP2,tyrosinase)の生成抑制によりメラニン生成を減少させるが、具体的にはメラニン生成細胞(melanocyte)でニキビの原因菌(C. acnes)などによるメラニン生成酵素(TRP1,TRP2,tyrosinase)のタンパク質発現増加を阻害する効果が卓越し、そのためニキビの原因菌(C. acnes)や他の皮膚色素沈着誘発因子によって色素過沈着が誘発された皮膚に使用時、皮膚美白効果が非常に優れる。例えば、ニキビ周辺の皮膚に一実施形態による組成物を塗布すると、非常に優れた皮膚美白効果を期待することができる。
【0059】
一実施形態は、前記化学式1で表される化合物を有効成分として含む皮膚美白用組成物を提供し、薬学的に有効な量の前記化学式1で表される化合物を単独で含むか、または一つ以上の薬学的に許容する担体、賦形剤または希釈剤を含み得る。
【0060】
前記組成物内の前記化学式1で表される化合物は、組成物総量に対して0.001nM~1μMの濃度、例えば0.01nM~100nMの濃度、例えば1nM~100nMの濃度で含まれ得る。例えば、前記組成物内の前記化学式1で表される化合物は、組成物総量に対して0.001nM以上、0.01nM以上、0.1nM以上、1nM以上の濃度で含まれ得、1μM以下、100nM以下の濃度で含まれ得る。前記化学式1で表される化合物を0.001nM未満の濃度で使用する場合には、ニキビの原因菌(C. acnes)や皮膚色素沈着誘発因子がメラニン生成細胞(melanocyte)でメラニン生成酵素(TRP1,TRP2,tyrosinase)のタンパク質発現を増加させる現象を抑制する程度がわずかで、皮膚美白機能改善効果を有することはできない。また、前記化学式1で表される化合物を1μM超過の濃度で使用する場合には、細胞毒性が現れて人体に害を及ぼすことができるため好ましくなく、100nM超過の濃度で使用する場合には細胞毒性の恐れは相対的に低いが、前記化学式1で表される化合物が1nM~100nMの濃度で含まれる場合と比較して皮膚美白効果上の大きな差はなく、かえって不必要に前記化学式1で表される化合物が過量含まれることによって、組成物内の他の機能性成分の役割などを制限し得るため、好ましくない。
【0061】
例えば、前記美白用組成物は下記化学式2で表される化合物を有効成分として含み得る。
【0062】
【化7】
【0063】
前記化学式2において、
~Rはそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基またはカルボキシル基であり、前記R~Rの少なくとも一つはヒドロキシ基であり、前記R~Rの少なくとも一つはカルボキシル基である。
【0064】
例えば、前記化学式2は下記化学式2-1で表されるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0065】
【化8】
【0066】
例えば、前記美白用組成物は下記化学式3で表される化合物を含み得る。
【0067】
【化9】
【0068】
前記化学式3において、
およびRはそれぞれ独立してヒドロキシ基またはカルボキシル基であり、前記RおよびRの少なくとも一つはヒドロキシ基であり、前記RおよびRの少なくとも一つはカルボキシル基である。
【0069】
例えば、前記化学式3は下記化学式3-1で表されるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0070】
【化10】
【0071】
前記で「薬学的に有効な量」とは、前記生理活性成分が動物またはヒトに投与されて目的とする生理学的または薬理学的活性を示すのに十分な量をいう。しかし、前記薬学的に有効な量は、症状の程度、患者の年齢、体重、健康状態、性別、投与経路および治療期間などに応じて適宜変化し得る。
【0072】
また、前記で「薬学的に許容される」とは、生理学的に許容され、人間に投与される時、通常胃腸障害、めまいのようなアレルギー反応またはこれと類似の反応を起こさないことをいう。前記担体、賦形剤および希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレートおよび鉱物油が挙げられる。また、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤および防腐剤などをさらに含み得る。
【0073】
例えば、前記組成物は、化粧料組成物であり得る。
【0074】
本明細書で「化粧料」とは、美容機能だけでなく、美容機能の他に追加的に医学的な機能を有するすべての物質を意味する。
【0075】
前記化粧料組成物の剤形は特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。
【0076】
例えば、前記化粧料組成物は溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤-含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーションおよびスプレーなどとして剤形化されるが、これに限定されるものではない。より詳細には、洗浄剤、トニック、整髪剤、栄養化粧水、エッセンス、セラム、トリートメント、コンディショナー、シャンプー、ローション、養毛剤または染毛剤などの化粧料組成物、水中油(O/W)型、油中水(O/W)型などの基礎化粧料として剤形化されることができる。例えば、前記組成物は、スキンローション、スキントーナー、アストリンゼント、ローション、乳液、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、軟膏、ファンデーション、エッセンス、栄養エッセンス、パック、石鹸、クレンジングフォーム、クレンジングローション、クレンジングクリーム、ボディローション、ボディ洗浄料、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、パッチおよび噴霧剤で構成された群より選ばれた一つの剤形を有することができる。また、前記組成物は、それぞれの剤形において上記した必須成分以外に、外用剤の種類または使用目的などに応じて当業者が困難性なく他の任意成分を適宜選定して配合することができる。例えば、紫外線遮断剤、ヘアコンディショニング剤、香料などをさらに含み得る。
【0077】
前記化粧料組成物は、化粧品学的に許容可能な媒質または基剤を含有することができる。これは局所適用に適したすべての剤形として、例えば溶液、ゲル、固体または練り状無水生成物、水状物に油状物を分散させて得たエマルジョン、懸濁液、マイクロエマルジョン、マイクロカプセル、微細顆粒球またはイオン型(リポソーム)および/または非イオン型の小嚢分散剤の形態で、またはクリーム、スキン、ローション、パウダー、軟膏、スプレーまたはコンシーラースティックの形態で提供できる。これらの組成物は、当該分野の通常の方法により製造することができる。
【0078】
本発明の剤形が溶液または乳濁液の場合は、担体成分として溶媒、溶解化剤または乳濁化剤が用いられ、例えば水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルがある。
【0079】
本発明の剤形が懸濁液の場合は、担体成分として水、エタノールまたはプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガーまたはトラガカントなどが用いられる。
【0080】
本発明の剤形がペースト、クリームまたはゲルの場合は、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカンド、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛などが用いられる。
【0081】
本発明の剤形がパウダーまたはスプレーの場合は、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケートまたはポリアミドパウダーが用いられ、特にスプレーの場合はさらにクロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルのような推進剤を含み得る。
【0082】
本発明の一実施態様で、前記化粧料組成物にさらに粘増剤を含有することができる。本発明の化粧料組成物に含まれる粘増剤は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシグアニン、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリクォータニウム、セテアリルアルコール、ステアリン酸、カラギーナンなどを使用し得、好ましくはカルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリクォータニウムより1種以上を使用し得、最も好ましくはカルボキシビニルポリマーを使用し得る。
【0083】
本発明の一実施態様における前記化粧料組成物は、必要に応じて適切な各種の基剤と添加剤を含有し得、これら成分の種類と量は発明者によって適宜選定されるものとする。必要に応じて許容可能な添加剤を含有し得、例えば、当業界に通常の防腐剤、色素、添加剤などの成分をさらに含んでもよい。
【0084】
防腐剤は具体的にフェノキシエタノール(Phenoxyethanol)または1,2-ヘキサンジオール(1,2-Hexanediol)などが挙げられ、香料は人工香料などが挙げられる。
【0085】
また、本願発明の一実施態様で化粧料組成物は水溶性ビタミン、油溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、スフィンゴ脂質および海草エキスからなる群より選ばれた組成物を含み得る。この他に添加してもよい配合成分としては油脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機および無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、精製水などが挙げられる。
【0086】
また、その他添加してもよい配合成分はこれに限定されるものではなく、また、前記いずれの成分も本発明の目的および効果を損なわない範囲内で配合可能である。
【0087】
さらに一実施形態による化粧料組成物は、上述したとおり薬学的組成物として使用できるだけでなく、健康機能食品としても使用できる。例えば、食品の主原料、副原料、食品添加剤、機能性食品または飲料として容易に活用することができる。
【0088】
前記「食品」とは、栄養素を一つまたはそれ以上含有している天然物または加工品を意味し、好ましくはある程度の加工工程を経て直接食べることができる状態になったものを意味し、通常の意味として、食品、食品添加剤、機能性食品および飲料をすべて含むものをいう。
【0089】
前記食品用組成物を添加できる食品としては例えば、各種食品類、飲料、ガム、茶、ビタミン複合体、機能性食品などがある。さらに、特殊栄養食品(例、調製乳類、嬰幼児食など)、食肉加工品、魚肉製品、豆腐類、ゼリー類(starch gel)、麺類(例、ラーメン類、うどん類など)、パン類、健康補助食品、調味食品(例、醤油、味噌、コチュジャン、混合醤など)、ソース類、菓子類(例、スナック類)、キャンディ類、チョコレート類、ガム類、アイスクリーム類、乳加工品(例、醗酵乳、チーズなど)、その他加工食品、キムチ、漬物食品(各種キムチ類、野菜の漬けものなど)、飲料(例、果実飲料、野菜類飲料、豆乳類、発酵飲料類など)、天然調味料(例、ラーメンスープなど)を含むが、これに限定されない。前記食品、飲料または食品添加剤は通常の製造方法で製造することができる。
【0090】
また、前記「機能性食品」または「健康機能性食品」とは、食品に物理的、生化学的、生物工学的手法などを用いて、該当食品の機能を特定の目的に作用、発現するように付加価値を付与した食品群や食品組成が有する生体防御リズム調節、疾病防止と回復などに関する体内調節機能を生体に対して十分に発現するように設計して加工した食品を意味し、具体的には健康機能性食品であり得る。前記機能性食品には食品学的に許容可能な食品補助添加剤を含み得、機能性食品の製造に通常用いられる適切な担体、賦形剤および希釈剤をさらに含むことができる。
【0091】
前記健康補助食品の種類は、これに制限されないが、粉末、顆粒、錠剤、カプセルまたは飲料形態であり得る。
【0092】
他の一実施形態は、前記組成物を個体に投与する段階を含む個体の皮膚美白方法を提供する。前記組成物については上述した内容と同様である。
【0093】
前記投与は、当業界に知られている方法によって投与される。前記投与は、例えば、静脈内、筋肉内、経口、経皮(transdermal)、粘膜、鼻腔内(intranasal)、気管内(intratracheal)または皮下投与のような経路にて、任意の手段によって個体に直接投与される。前記投与は、全身的にまたは局部的に投与される。前記投与は、皮膚老化が存在する部位に局所的に投与することもできる。前記投与は、例えば塗布によるものであり得る。前記塗布は、適切な方法で個体の皮膚に前記組成物を接触させるすべての方法を意味し、これにより前記組成物を皮膚内部に吸収させる。
【0094】
前記個体は、哺乳動物、例えば、ヒト、牛、馬、豚、犬、羊、ヤギ、または猫であり得る。前記個体は、皮膚色素過沈着を改善、遅延、または抑制させることを必要とする個体であり得る。前記個体は、細胞死滅を抑制させること、メラニン生成酵素(Tyrosinase)のタンパク質発現を抑制させることまたは抗酸化活性を増加させることを必要とする個体であり得る。
【0095】
前記投与は、一実施形態による組成物を個体当たり一日当たり0.01mg~10,000mg、0.1mg~1,000mg、例えば、0.1mg~500mg、0.1mg~100mg、0.1mg~50mg、0.1mg~25mg、1mg~1,000mg、1mg~500mg、1mg~100mg、1mg~50mg、1mg~25mg、5mg~1,000mg、5mg~500mg、5mg~100mg、5mg~50mg、5mg~25mg、10mg~1,000mg、10mg~500mg、10mg~100mg、10mg~50mg,または10mg~25mgを投与するものであり得る。または前記投与は、一実施形態による組成物を0.01~25μM、0.05~5μM、0.075~3.75μM、0.1~2.5μM、0.15~2μM、0.25~1.5μM、0.4~1.25μM、0.5~1.2μM、または0.75~1.15μMの濃度(working concentration)で作用するように投与するものであり得る。
【0096】
本願発明の利点および特徴、並びにこれらを達成する方法は詳細に後述されている実施例を参照すると明確になる。以下、本願発明を実施例によって詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明を具体的に説明するためのものとして、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0097】
(実施例)
試験例1:人間正常メラニン生成細胞でのメラニン生成酵素(チロシナーゼ、TRP2)のタンパク質発現増加阻害の確認
6-well plateに人間正常メラニン生成細胞(melanocyte)を敷いて、次の日にPMA(phorbol 12-myristate-13-acetate)を含有しないメラニン生成細胞培地に替える。この時、下記化学式1-1で表される化合物(Cayman chemical)がそれぞれ(組成物総量基準)0nM、0.001nM、0.01nM、0.1nM、1nM、10nMおよび100nMで含まれた組成物を処理する。4日培養後、各wellにlysis bufferを用いて細胞を溶解した後タンパク質を分離する。分離したタンパク質からメラニン生成酵素のチロシナーゼ(tyrosinase)、TRP2(tyrosinase related protein 2)に特異的な抗体を活用して相対的なタンパク質発現量を測定する。対照群としてGAPDHの発現量を確認し、その結果を図1図3に示した。
【0098】
【化11】
【0099】
図1図3から、前記化学式1-1で表される化合物が含まれる場合、C. acnesと関係なく、人間正常メラニン生成細胞でメラニン生成酵素(チロシナーゼ、TRP2)のタンパク質発現増加を有効に阻害することを確認することができる。特に前記化学式1-1で表される化合物に濃度依存的にチロシナーゼのタンパク質発現増加が有効に阻害されることを確認することができる。
【0100】
試験例2:Pigmentation inducer(α-MSH)によるメラニン生成酵素(チロシナーゼ、TRP2)のタンパク質発現増加阻害の確認
6-well plateに人間正常メラニン生成細胞(melanocyte)を敷いて、次の日にPMAを含有しないメラニン生成細胞培地に替える。この時、500nMのPigmentation inducer(α-MSH)と共に化学式1-1で表される化合物(Cayman chemical)がそれぞれ(組成物総量基準)0nM、0.001nM、0.01nM、0.1nM、1nM、10nMおよび100nMで含まれた組成物を処理する。4日培養後、各wellにlysis bufferを用いて細胞を溶解した後タンパク質を分離する。分離したタンパク質からメラニン生成酵素のチロシナーゼ(tyrosinase)、TRP2(tyrosinase related protein 2)に特異的な抗体を活用して相対的なタンパク質発現量を測定する。対照群としてGAPDHの発現量を確認し、その結果を図4図6に示した。
【0101】
【化12】
【0102】
図4図6から、前記化学式1-1で表される化合物が含まれる場合、Pigmentation inducer(α-MSH)によるメラニン生成酵素(チロシナーゼ、TRP2)のタンパク質発現増加を有効に阻害することを確認することができる。
【0103】
試験例3:Pigmentation inducer(IBMX)によるメラニン生成酵素(チロシナーゼ、TRP2)のタンパク質発現増加阻害の確認
6-well plateに人間正常メラニン生成細胞(melanocyte)を敷いて、次の日にPMAを含有しないメラニン生成細胞培地に替える。この時、100μMのPigmentation inducer(IBMX)と共に化学式1-1で表される化合物(Cayman chemical)がそれぞれ(組成物総量基準)0nM、0.001nM、0.01nM、0.1nM、1nM、10nMおよび100nMで含まれた組成物を処理する。4日培養後、各wellにlysis bufferを用いて細胞を溶解した後タンパク質を分離する。分離したタンパク質からメラニン生成酵素のチロシナーゼ(tyrosinase)、TRP2(tyrosinase related protein 2)に特異的な抗体を活用して相対的なタンパク質発現量を測定する。対照群としてGAPDHの発現量を確認し、その結果を図7図9に示した。
【0104】
【化13】
【0105】
図7図9から、前記化学式1-1で表される化合物が含まれる場合、Pigmentation inducer(IBMX)によるメラニン生成酵素(チロシナーゼ、TRP2)のタンパク質発現増加を有効に阻害することを確認することができる。
【0106】
試験例4:C.acnesがメラニン生成酵素(TRP1,TRP2)のタンパク質発現を増加させるかどうかの確認
Cutibacterium acnes(C.acnes,ATCC 6919)をBHI培地に接種した後、37℃嫌気状態で72~96時間の間培養して培養液を収集する。収集した培養液を遠心分離(4℃, 5,000 xgで10分)して菌を沈殿させる。沈殿した菌をphosphate-buffered saline(PBS)で二回洗浄した後、最終濃度1010CFU/mlになるようにC. acnes生菌stockを作って-80℃に凍結保存する。6-well plateに人間正常メラニン生成細胞(melanocyte)を敷いて、次の日にPMAを含有しないメラニン生成細胞培地に替える。この時、10、10、10、10CFU/mlのC.acnes生菌を処理する。2日培養後、各wellにlysis bufferを用いて細胞を溶解した後タンパク質を分離する。分離したタンパク質からメラニン生成酵素のTRP1(tyrosinase related protein 1)、TRP2(tyrosinase related protein 2)に特異的な抗体を活用して相対的なタンパク質発現量を測定する。対照群としてGAPDHの発現量を確認し、その結果を図10に示した。
【0107】
図10から、ニキビの原因菌(C.acnes)がメラニン生成細胞(melanocyte)でメラニン生成酵素(TRP1,TRP2)のタンパク質発現を増加させることを確認することができる。
【0108】
試験例5:C.acnesによるメラニン生成酵素(TRP1,TRP2)のタンパク質発現増加阻害の確認
6-well plateに人間正常メラニン生成細胞(melanocyte)を敷いて、次の日にPMAを含有しないメラニン生成細胞培地に替える。この時、10CFU/mlのC.acnes生菌と共に化学式1-1で表される化合物(Cayman chemical)がそれぞれ(組成物総量基準)1nM、10nMおよび100nMで含まれた組成物を処理する。2日培養後、各wellにlysis bufferを用いて細胞を溶解した後タンパク質を分離する。分離したタンパク質からメラニン生成酵素のTRP1(tyrosinase related protein 1)、TRP2(tyrosinase related protein 2)に特異的な抗体を活用して相対的なタンパク質発現量を測定する。対照群としてGAPDHの発現量を確認し、その結果を図11および図12に示した。
【0109】
【化14】
【0110】
図11および図12から、前記化学式1-1で表される化合物が1nM~100nM濃度範囲で含まれる場合、C. acnesによるメラニン生成酵素(TRP1,TRP2)のタンパク質発現増加を有効に阻害することを確認することができる。
【0111】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12