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2022-183022テクスチャを伴う文書を印刷するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183022
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】テクスチャを伴う文書を印刷するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
B41J2/01 129
B41J2/01 125
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070810
(22)【出願日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】17/331,262
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・エフ.・ケイシー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ディー.・アトウッド
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・エム.・フェラーラ ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ビー.・タマレス・ゴメス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ・マッカーシー
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EA13
2C056EC14
2C056FA13
2C056HA29
2C056HA44
2C056HA47
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】水性インクジェットプリンタはまた、水性インク画像上にUV材料の液滴を排出し、水性インク画像及びUV材料を熱乾燥機に通過させる前に、水性インク画像及びUV材料をUV放射に曝露させる。UV放射線への曝露は、UV材料を水性インク画像及び下地基材にピン留めし、熱乾燥機は、UV材料からフリーラジカルを放出しながら、水性インク画像を基材に固定する。
【効果】プリンタは、皮膚を刺激するか、又は有害な臭気を生成し得るフリーラジカルを有しないテクスチャ印刷を生成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタであって、
前記プリンタを通って媒体を移動させるように構成された媒体搬送装置と、
前記媒体搬送装置に動作可能に接続された少なくとも1つのアクチュエータであって、前記媒体搬送装置を動作させて、前記プリンタを通って前記媒体を移動させるように構成されている、少なくとも1つのアクチュエータと、
少なくとも2つの印刷ヘッドであって、複数のエジェクタ及び少なくとも1つの印刷ヘッドを有する各印刷ヘッドが、前記プリンタを通って移動する前記媒体に向かって水性インクの液滴を排出するように構成されており、少なくとも1つの他の印刷ヘッドが、前記水性インクの液滴が前記媒体上に付着した後に、UV硬化性材料の液滴を前記媒体に向かって排出するように構成されている、少なくとも2つの印刷ヘッドと、
前記媒体が前記少なくとも2つの印刷ヘッドを通過した後に、前記プリンタを通過する前記媒体に向かってUV放射を方向付けるように構成されたUV硬化デバイスと、
前記媒体が前記UV硬化デバイスを通過した後に、前記プリンタを通過する前記媒体に向かってエネルギーを方向付けるように構成された熱乾燥機と、を備える、プリンタ。
【請求項2】
前記少なくとも2つの印刷ヘッドと、前記少なくとも1つのアクチュエータと、前記UV硬化デバイスと、前記熱乾燥機と、に動作可能に接続されたコントローラを更に備え、前記コントローラが、
前記少なくとも1つのアクチュエータを動作させて、前記プリンタを通って媒体を移動させるように前記媒体搬送装置を動作することと、
画像データを使用して、前記少なくとも2つの印刷ヘッド内の前記エジェクタを動作させて、前記プリンタを通過する前記媒体に向かって水性インクの液滴及びUV材料の滴を排出することと、
前記UV硬化デバイスを動作させて、前記プリンタを通過する前記媒体上の水性インクに前記UV材料をピン留めすることと、
前記熱乾燥機を動作させて、前記プリンタを通過する前記媒体上の前記水性インクから液体を蒸発させ、前記UV材料からフリーラジカルを放出することと、を行うように構成されている、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記熱乾燥機が、
開口部を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記開口部に接続されて、蒸発した液体及びフリーラジカルを前記熱乾燥機から引き出す負圧源と、を更に備える、請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記コントローラが、前記負圧源に動作可能に接続されており、前記コントローラが、
前記負圧源を動作させて、前記ハウジングの前記開口部を通して前記蒸発した液体及び前記フリーラジカルを引き出すように更に構成されている、請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記熱乾燥機が、
前記ハウジングにわたって延在する複数の部材と、
前記ハウジングにわたって延在する前記複数の部材に取り付けられた複数の乾燥要素であって、各乾燥要素が、前記熱乾燥機の前記ハウジングを通過する前記媒体に向かってエネルギーを方向付けるように構成されている、複数の乾燥要素と、を更に備える、請求項4に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記複数の部材が、前記ハウジング内でプロセス方向に延在する、請求項5に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記複数の部材が、前記ハウジング内でクロスプロセス方向に延在する、請求項5に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記乾燥要素が、マイクロ波放射体である、請求項7に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記乾燥要素が、赤外線放射体である、請求項7に記載のプリンタ。
【請求項10】
前記乾燥要素が、対流ヒータである、請求項7に記載のプリンタ。
【請求項11】
前記UV硬化デバイスが、
ハウジングと、
前記ハウジングにわたって延在する複数の部材と、
前記ハウジングにわたって延在する前記複数の部材に取り付けられた複数のUV放射体であって、各UV放射体が、前記UV硬化デバイスの前記ハウジングを通過する前記媒体に向かってUV放射を方向付けるように構成されている、複数のUV放射体と、を更に備える、請求項2に記載のプリンタ。
【請求項12】
前記複数の部材が、前記ハウジング内でプロセス方向に延在する、請求項11に記載のプリンタ。
【請求項13】
前記複数の部材が、前記ハウジング内でクロスプロセス方向に延在する、請求項11に記載のプリンタ。
【請求項14】
前記コントローラが、
前記画像データを使用して前記UV放射体を選択的に動作させるように更に構成されている、請求項11に記載のプリンタ。
【請求項15】
前記コントローラが、
前記媒体搬送装置の前記少なくとも1つのアクチュエータを動作させて、前記UV硬化デバイスへの前記媒体の進入を遅くするように更に構成されている、請求項14に記載のプリンタ。
【請求項16】
前記コントローラが、
前記媒体搬送装置の前記少なくとも1つのアクチュエータを動作させて、前記UV硬化デバイスを通る前記媒体の通過を遅くするように更に構成されている、請求項15に記載のプリンタ。
【請求項17】
前記コントローラが、
前記画像データ、及び前記媒体搬送装置によって移動されている前記媒体のタイプに対応するデータを使用して、前記媒体搬送装置の前記少なくとも1つのアクチュエータを動作させるように更に構成されている、請求項16に記載のプリンタ。
【請求項18】
プリンタを動作させる方法であって、
媒体搬送装置に動作可能に接続された少なくとも1つのアクチュエータを動作させて、前記プリンタを通して媒体を移動させることと、
前記プリンタを通って移動する前記媒体に向かって水性インクの液滴を排出するための複数のエジェクタを有する少なくとも1つの印刷ヘッドを動作させることと、
前記水性インクの前記液滴が前記媒体に付着した後に、前記媒体に向かってUV硬化性材料の液滴を排出するための複数のエジェクタを有する少なくとも1つの他の印刷ヘッドを動作させることと、
前記媒体が前記印刷ヘッドを通過した後に、前記プリンタを通過する前記媒体に向かってUV放射を方向付けるためにUV硬化デバイスを動作させることと、
前記媒体が前記UV硬化デバイスを通過した後に、前記プリンタを通過する前記媒体に向かってエネルギーを方向付けるために、熱乾燥機を動作させることと、を含む、方法。
【請求項19】
前記プリンタを通って前記媒体を移動させるように前記媒体搬送装置を動作させるために、コントローラで前記少なくとも1つのアクチュエータを動作させることと、
前記プリンタを通過する前記媒体に向かって水性インクの液滴及びUV材料の液滴を排出するために画像データを使用して、前記コントローラを用いて前記印刷ヘッド内の前記エジェクタを動作させることと、
前記UV硬化デバイスを前記コントローラで動作させて、前記プリンタを通過する前記媒体上の水性インクに前記UV材料をピン留めすることと、
前記熱乾燥機を前記コントローラで動作させて、前記プリンタを通過する前記媒体上の前記水性インクから液体を蒸発させ、前記UV材料からフリーラジカルを放出することと、を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
開口部を有するハウジングと、
前記熱乾燥機のハウジングの開口部に接続された負圧源を動作させて、蒸発した液体及びフリーラジカルを前記熱乾燥機から引き出すことと、を更に含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インクジェットプリンタ、より具体的には、そのようなプリンタを用いて文書上にテクスチャを印刷することに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタなどのインクジェット画像化デバイスは周知である。これらのプリンタは、印刷ヘッドから液体インクを排出して、画像を画像受容表面上に形成する。印刷ヘッドは、何らかのタイプのアレイ内に配置される複数のインクジェットを含む。各インクジェットは、印刷ヘッドコントローラに結合される熱又は圧電アクチュエータを有する。印刷ヘッドコントローラは、画像に関するデジタルデータに対応する発射信号を生成する。印刷ヘッドにおけるアクチュエータは、インク液滴を画像受容部材上に排出することによって発射信号に応答し、発射信号を生成するために使用されるデジタル画像に対応するインク画像を形成する。
【0003】
テクスチャ印刷は、いくつかの形態の文書に対して好ましい。例えば、ビジネスカード、プラカード、及び招待状は、通常、隆起又はコーティングされた文字又はグラフィックで印刷される。隆起した文字及びグラフィック、並びにテクスチャ印刷によって可能にされる光沢及び可変反射は、非テクスチャ印刷よりも審美的に心地良いものとして頻繁に認識される。
【0004】
水性インクジェットプリンタは、顔料若しくは他の着色剤が懸濁されるか、又は溶液中にある、水性又は溶媒系インクを使用する。これらのインクは、非毒性であるという利点を有し、一般に臭気を伴わない。また、水性インクによって生成される色の鮮やかさは、それらを美術印刷に有用にする。水性インクが印刷ヘッドによって画像受容表面上に排出されると、水又は溶媒が蒸発して、画像受容表面上にインク画像を安定させる。水性インクが媒体上に直接排出されるとき、水性インクは、媒体に浸漬する傾向があり、媒体が紙などの多孔性である場合、インク中の水は、媒体の物理的特性を変化させる。媒体に衝突するインク液滴の広がりは、媒体表面の特性及び多孔性の関数であるため、印刷品質は、一貫しない可能性がある。更に、水性インクはいくつかの媒体によって吸収される傾向があるため、それらは、テクスチャ印刷に有用である層を構築するのに伝導性ではない。テクスチャ印刷において水性インクを使用することができることが有益であろう。
【発明の概要】
【0005】
新しいインクジェットプリンタは、水性インクとUV硬化性インクとを組み合わせて、テクスチャ印刷を生成する。プリンタは、プリンタを通って媒体を移動させるように構成された媒体搬送装置と、媒体搬送装置に動作可能に接続された少なくとも1つのアクチュエータであって、媒体搬送装置を動作させてプリンタを通って媒体を移動させるように構成されている、少なくとも1つのアクチュエータと、少なくとも2つの印刷ヘッドであって、複数のエジェクタ及び少なくとも1つの印刷ヘッドを有する各印刷ヘッドが、プリンタを通って移動する媒体に向かって水性インクの液滴を排出するように構成されており、少なくとも1つの他の印刷ヘッドが、水性インクの液滴が媒体上に付着した後に、UV硬化性材料の液滴を媒体に向かって排出するように構成されている、少なくとも2つの印刷ヘッドと、媒体が少なくとも2つの印刷ヘッドを通過した後に、プリンタを通過する媒体に向かってUV放射を方向付けるように構成されたUV硬化デバイスと、媒体がUV硬化デバイスを通過した後に、プリンタを通過する媒体に向かってエネルギーを方向付けるように構成された熱乾燥機と、を備える。
【0006】
新しいインクジェットプリンタを動作させる方法は、水性インクを使用してテクスチャ印刷を生成する。この方法は、媒体搬送装置に動作可能に接続された少なくとも1つのアクチュエータを動作させて、プリンタを通して媒体を移動させることと、プリンタを通って移動する媒体に向かって水性インクの液滴を排出するための複数のエジェクタを有する少なくとも1つの印刷ヘッドを動作させることと、水性インクの液滴が媒体に付着した後に、媒体に向かってUV硬化性材料の液滴を排出するための複数のエジェクタを有する少なくとも1つの他の印刷ヘッドを動作させることと、媒体が印刷ヘッドを通過した後に、プリンタを通過する媒体に向かってUV放射を方向付けるためにUV硬化デバイスを動作させることと、媒体がUV硬化デバイスを通過した後に、プリンタを通過する媒体に向かってエネルギーを方向付けるために、熱乾燥機を動作させることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
水性及びUV硬化性インクを使用してテクスチャ印刷を生成するインクジェットプリンタ、並びにその動作方法の前述の態様及び他の特徴は、添付の図面に関連して以下の説明において説明される。
【0008】
図1】水性及びUV硬化性インクを使用してテクスチャ印刷を生成するように構成されたインクジェットプリンタを示す。
【0009】
図2図1のプリンタにおいて使用されるUV硬化デバイス又は熱乾燥機の構成の側面図である。
【0010】
図3図1のシステムを動作させるためのプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示されるインクジェットプリンタ及びその使用、並びにプリンタ及びその使用の詳細の一般的な理解のために、図面を参照する。図面では、同様の参照番号は、同様の要素を表す。
【0012】
本明細書において使用される場合、「プリンタ」、「印刷デバイス」、又は「画像化デバイス」という用語は、一般に、インクなどのマーキング材料によって印刷媒体上に画像を生成するデバイスを指し、デジタルコピー機、製本機、ファクシミリ機械、多機能機などの任意のそのような装置を包含し得る。画像データは、一般に、インクジェットエジェクタを動作させて印刷媒体上にインク画像を形成するためにレンダリングされかつ使用される電子形態の情報を含む。これらのデータには、テキスト、グラフィック、写真などが含まれ得る。例えば、グラフィック、テキスト、写真などの、画像を、着色剤を用いて印刷媒体上に生成する動作は、一般に、本明細書では印刷又はマーキングと称される。「テクスチャ印刷」という用語は、基礎となる画像を増強する隆起した特徴又はコーティングを有する印刷画像を意味する。「水性インク」という用語は、インク中の液体中に溶解又は懸濁された着色剤の量に対して高いパーセンテージの水又は溶媒を有するマーキング材料を意味する。
【0013】
図1は、水性インク及びUV硬化性インクを使用してテクスチャ印刷を生成するように構成された水性インクジェットプリンタ100のブロック図を示す。プリンタ100は、印刷ヘッドの少なくとも2つのアレイ104を含むが、図示されたプリンタは、4つのそのようなアレイ、UV硬化デバイス108、熱ヒータ110、媒体搬送装置112、媒体搬送装置112によって運ばれる媒体124にわたってクロスプロセス方向に延在する部材120の周囲に取り付けられた一対のニップローラ116、媒体搬送装置112を駆動するための1つ以上のアクチュエータ、及びプリンタ100の構成要素を動作させるように構成されたコントローラ128を有する。図1に示すシステム100は、単一の熱乾燥機を使用しているが、複数の熱乾燥機及び搬送ベルトの延長を提供することができる。本文書において使用される場合、「熱乾燥機」という用語は、印刷された画像から水又は他の溶媒を蒸発させるために、印刷された基材を熱で処理するように動作させることができる乾燥構成要素の構成を指す。本文書において使用される「乾燥」及び「乾燥する」という語は、所定の経路に沿って方向付けることができる液体又は溶媒を蒸発させるためのエネルギーの形態を使用することを意味する。
【0014】
図1では、媒体搬送装置112は、2つ以上のローラの周りに巻き付けられたエンドレスベルトで実装され、そのうちの少なくとも1つは、アクチュエータ132のうちの1つによって駆動されて、ローラの周りでベルトを回転させる。他の実施形態は、アクチュエータ132のうちの1つ以上によって駆動される一連の回転ニップローラなどの媒体搬送装置112に使用することができる。いくつかの実施形態では、媒体の供給ロールの先端は、プリンタを通ってプリンタの端部における巻き取りロールに供給される。供給ロール、巻き取りロール、又はそれら両方がその上で駆動される支持部材は、既知の方法で供給ロールから巻き取りロールまで媒体を移動させるように駆動される。本文書において使用される場合、「媒体」という用語は、画像受容表面の個々の基材及び画像受容表面の連続的な基材を意味する。本文書において使用される場合、「クロスプロセス方向」という用語は、印刷ヘッド、硬化デバイス、及びやはり基材の平面に位置する熱乾燥機を通過する基材移動方向に対して垂直な方向を指す。本文書において使用するときの「プロセス方向」という用語は、印刷ヘッド、硬化デバイス、及びやはり基材の平面に位置する熱乾燥機を通過する基材移動方向を指す。
【0015】
印刷ヘッドアレイ104は、そのそばを通過する基材上に水性インクの液滴を排出して、基材上にインク画像を形成するように既知の方法で構成及び動作させられる。UV硬化デバイス108は、UV硬化性インクを含む画像を、UV硬化性インクを少なくとも部分的に硬化させる周波数範囲内の電磁放射に曝露させるように構成されている。いくつかの実施形態では、UV硬化デバイスは、プリンタによって印刷される最も広い媒体と同じクロスプロセス方向における幅で放射線パターンを放出する単一の放射体である。他の実施形態では、UV硬化デバイスは、プリンタによって印刷される最も広い媒体と等しいクロスプロセス方向における幅を有するアレイで配置された複数のUV光放射器から構成される。これらの実施形態では、コントローラ128は、UV硬化デバイス108のアレイ内の放射体を選択的に作動させて、非UVインク領域を照明するためのエネルギーを使用せずに、UVインクで印刷された領域を放射線に曝露させることができる。熱乾燥機110は、水性インクが媒体に付着した印刷画像内の水性インクから十分な水を除去するのに十分な、部分的に硬化したUVインク中のフリーラジカルを除去する温度まで、均一に媒体を加熱する。
【0016】
テクスチャ印刷に使用される以前に既知の水性インクジェットプリンタでは、水性インク画像は、まず熱処理されて、画像を基材に付着させる。熱処理後、水性インク画像は、印刷ヘッドを通過し、印刷ヘッドは、固定された水性インク画像の上にUV硬化性インク又はコーティング材料を排出する。次いで、UV硬化性インク又はコーティング材料を硬化放射線に曝露させる。しかしながら、このプロセスは、硬化プロセスの酸素阻害を受ける。この酸素阻害は、UV材料の部分的な硬化のみをもたらすことができる。UV材料はフリーラジカルを含有するため、部分的に硬化した画像は、印刷された媒体を取り出す人々の皮膚を刺激することができ、不快な臭気は、プリンタを取り囲む環境に浸透することができる。
【0017】
これらの問題に対処するために、印刷ヘッドアレイ104は、排出のための異なる材料源とともに構成されている。例えば、一実施形態では、4つの印刷ヘッドアレイは、シアン、イエロー、マゼンタ、及びブラックなどの異なる色の水性インクで構成することができ、第5の印刷ヘッドアレイは、UV硬化性材料を排出するように構成されている。水性インクで構成された印刷ヘッドアレイは、UV硬化性材料で構成された印刷ヘッドアレイが媒体上の水性画像上にUV硬化性材料の滴を排出する前に、媒体上に水性インクを排出するように位置付けられている。コントローラ128は、印刷ジョブのための画像データを使用して、印刷ヘッドアレイ104内の印刷ヘッドを動作させ、それにより、UV硬化性インク又はコーティング材料の滴が水性画像上に排出される前に、水性インクの滴が媒体上に排出されて、印刷画像にテクスチャを提供する。次いで、組み合わされた水性インク/UV硬化性材料画像をまずUV硬化放射線に曝露して、UV硬化性材料を水性インク画像及び基材にピン留めする。本文書において使用される場合、「ピン留め」という用語は、UV硬化性材料を、UV材料を部分的にのみ硬化させるのに十分なUV放射の量に曝露させることを意味する。部分的に硬化したUV材料は、印刷画像におけるテクスチャ効果を維持するために所定の位置に留まる。結合された水性インク/UV硬化性材料画像のその後の熱乾燥は、水性インクを基材上に固定するとともに、UV硬化性材料からフリーラジカルを除去する。結果は、UV硬化性材料を使用した以前に既知のテクスチャ印刷よりも安全であり、かつより悪臭の少ないテクスチャ印刷である。
【0018】
一実施形態では、熱乾燥機110は、通過する媒体の全領域に向かって赤外線放射を方向付ける赤外線放射体で構成されている。別の実施形態では、マイクロ波放射体は、マイクロ波放射を媒体に方向付けるように構成されている。赤外線又はマイクロ波放射体を使用するこれらの実施形態では、放射体は、UV硬化デバイスに関連して上述したようなアレイで乾燥機110内に配置することができ、それにより、コントローラ128は、放射体を選択的に動作させ、複合体印刷画像の異なる領域を照明する放射線の量を変化させることができる。強度の変動は、印刷ヘッドを動作させるために使用される画像データ及び印刷ジョブで使用される媒体タイプから導出された画像内のカバレッジ領域を使用して、コントローラによって行われる。媒体のタイプはインクの吸収速度に影響を与えるため、より少ない放射線を受容する領域は、より強く放射される領域よりも多くのインクを吸収することができる。他の実施形態では、1つ以上の対流ヒータ又は加熱ランプを使用することができ、ヒータによって生成された加熱空気は、通過媒体に向かって、送風機、ファン、又は正の空気流の他の供給源によって方向付けられる。これらの実施形態は、選択的に作動させることができる放射体のアレイを有する実施形態ほど、複合画像に適用される熱の量を変更する際には容易ではない。プリンタの全ての実施形態において、コントローラ128は、コントローラに動作可能に接続されたメモリに格納されたプログラムされた命令で構成されており、プログラムされた命令は、実行されると、コントローラにアクチュエータ132を動作させ、媒体が硬化デバイス108及び乾燥機110を通って移動する速度を変化させる。媒体を遅くすることによって、UV放射線への曝露を遅延させることができ、それにより、媒体へのインクの吸収のためにより多くの時間が提供される。この吸収は、媒体上のインクの高さ及び媒体上で生成された対応するテクスチャを変化させる。更に、UV硬化デバイス及び乾燥機を通る媒体速度を遅くすることは、それぞれ放射線及び熱への曝露を増加させて、培地からフリーラジカルを除去する。
【0019】
図1のプリンタにおいて使用することができる熱乾燥機110の一実施形態の側面図を図2に示す。熱乾燥機110は、ハウジング204、複数の部材208、及び部材208に取り付けられた乾燥要素212を含む。ハウジング204は、ある体積の空気を囲んでおり、媒体がハウジング204を通過するときに、媒体に隣接する空間と連通する開口部を有する。図に示される部材208は、クロスプロセス方向にハウジング204にわたって延在しているが、部材は、部材が、乾燥要素212の各々によって加熱される領域の幅よりも大きい距離だけ互いに分離されていない場合、プロセス方向に延在することができる。このタイプの部材/加熱要素構成は、通過媒体の表面積全体の全体又はほとんどが加熱されることを確実にする。この同じタイプの構成は、前述のように、UV硬化デバイスにおいてアレイで配置されたUV放射体に使用することができる。上記のように、乾燥要素は、赤外線放射体、マイクロ波放射体、熱ランプ、対流ヒータ、空気送風機などとすることができる。熱ランプ又は対流ヒータで実装される乾燥要素の実施形態について、乾燥要素によって生成された熱を媒体に方向付けるために、加圧空気源を含むことができる。ハウジング204はまた、ベント開口部216を含むことができ、負圧205の供給源は、ベント開口部に接続されて、蒸発水、溶媒、及びフリーラジカルをハウジング204の体積内の空気から引き出すことができる。ハウジング204は、乾燥要素によって生成された加熱された又は乾燥した空気を保持してインク画像を乾燥させ、UV硬化性インクからフリーラジカルを放出するのに役立つ。
【0020】
プリンタ100の様々なサブシステム、構成要素、及び機能の動作並びに制御は、コントローラ128の支援を用いて実行される。コントローラ128は、印刷ヘッドモジュール104の構成要素(したがって、印刷ヘッド)、UV硬化デバイス108、熱乾燥機110、並びに媒体搬送装置112及びニップローラ116を回転させるアクチュエータ132に動作可能に接続されている。コントローラ128は、例えば、電子データ記憶装置を備えた中央処理装置(CPU)、及びディスプレイ又はユーザインターフェース(UI)50を有する内蔵型の専用ミニコンピュータである。コントローラ128は、例えば、センサ入力及び制御回路、並びに画素配置及び制御回路を含む。加えて、CPUは、走査システム又はオンライン又はワークステーション接続などの画像入力源と、印刷ヘッドモジュール34A~34Dとの間の画像データの流れを読み出し、捕捉し、準備し、かつ管理する。このように、コントローラ128は、印刷システム100における他の機械サブシステム及び機能の全てを動作させかつ制御するための主マルチタスキングプロセッサである。これらの動作を実行するために、コントローラ128は、印刷ヘッドによって実行される印刷を動作させるために使用される画像データとともに、媒体タイプ、インクタイプなどの印刷ジョブデータを使用する。
【0021】
コントローラ128は、プログラムされた命令を実行する汎用又は専用のプログラマブルプロセッサを用いて実装することができる。プログラムされた機能を実施するために必要とされる命令及びデータは、プロセッサ又はコントローラに動作可能に接続されたメモリ内に記憶されている。プロセッサ、それらのメモリ、及びインターフェース回路は、以下に記載される動作を実行するようにコントローラを構成する。これらの構成要素は、印刷回路カード上に提供されてもよいか、又は特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)内の回路として提供されてもよい。回路の各々は、別個のプロセッサで実装され得るか、又は複数の回路は、同じプロセッサ上に実装され得る。代替的に、回路は、超大規模集積回路(very large scale integrated、VLSI)内で提供される個別の構成要素又は回路で実装することができる。また、本明細書に記載される回路は、プロセッサ、ASIC、個別の構成要素、又はVLSI回路の組み合わせで実装することができる。
【0022】
システム100を動作させて、テクスチャ印刷された画像を媒体上に印刷するためのプロセスを図3に示す。プロセスは、1つ又は複数のコントローラに動作可能に接続されたメモリに記憶されたプログラム命令を実行するコントローラ128によって実施され、1つ又は複数のコントローラは、命令を実行すると、データを処理し、コントローラに動作可能に接続された構成要素を動作させて、プロセスの流れ図に記載されたタスクを実施する。
【0023】
プロセス300は、画像データに対応するパターンで水性インクの液滴及びUV硬化性材料の液滴を排出するように印刷ヘッドを動作させるために使用される、媒体タイプ、インクタイプ、及び画像データなどの印刷ジョブ情報を受信することによって始まる(ブロック304)。媒体搬送装置は、プリンタに媒体を通過させ始め(ブロック308)、印刷ヘッドは、媒体上に水性インク画像を形成し、次いで、印刷ジョブデータにおいて受信されたテクスチャパターンのための画像データに対応するパターンで水性画像上にUV硬化性材料の液滴を排出するように動作させられる(ブロック312)。UV硬化デバイスは、UV材料パターンを水性画像及び媒体にピン留めするように動作させられる(ブロック316)。熱乾燥機及び媒体搬送装置のアクチュエータは、水性画像を媒体に固定し、水性インク画像及び媒体上のUV材料からフリーラジカルを除去するように動作させられる(ブロック320)。熱乾燥機の動作は、蒸発水、溶媒、及び放出されたフリーラジカルを熱乾燥機から引き出し、それによってそれらをプリンタの環境外に安全に通気することができるように、負圧源を動作させることを含む。加えて、熱乾燥機の動作は、水性インク画像及びUV硬化性材料パターンの画像データを使用して、UV硬化デバイスにおける放射体及び熱乾燥機における乾燥要素を選択的に作動及び作動停止させることを含む。印刷ジョブが完了すると(ブロック324)、プロセスは停止する。
【0024】
上記に開示された及び他の特徴及び機能の変形、又はそれらの代替が、望ましくは、多くの他の異なるシステム、アプリケーション、又は方法に組み合わされ得ることが理解されるであろう。以下の特許請求の範囲によって包含されることも意図される、様々な現在予見又は予期されていない代替、修正、変形、又は改善が、その後、当業者によって行われ得る。
図1
図2
図3