(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183042
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】食物の逆流を減らすことができる二部分式経鼻胃管
(51)【国際特許分類】
A61J 15/00 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
A61J15/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081205
(22)【出願日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】110119282
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522036510
【氏名又は名称】蘇建忠
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】蘇建忠
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047CC27
4C047NN15
(57)【要約】
【課題】食物の逆流を減らすことができる二部分式経鼻胃管を提供する。
【解決手段】食物の逆流を減らすことができる二部分式経鼻胃管は第一管体10、第二管体20を有し、第一管体10一端に第一コネクター11を設置し、第一定位部111に近い第一コネクター11外側位置に係合フランジ112を設置し、第一コネクター11に軸方向の貫通孔113を設置し、第一定位部111に近い貫通孔113の位置に封鎖部114を設置し、封鎖部114に十字スリット1141を設置し、貫通孔113内縁の封鎖部114と第一定位部111の間に圧迫凸部1131を設置し、第二管体20一端に第二コネクター22を設置し、第二コネクター22に挿入接続管222を延伸して設置し、第二コネクター22外側に2個の弾性アーム223を設置し、2個の弾性アーム223末端に嵌合フック2231をそれぞれ設置し、第二管体20と第一管体10の間の連接と抜き取りの利便性と迅速性を達成し、患者の不快感と食物の逆流を減らすことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食物の逆流を減らすことができる二部分式経鼻胃管であって、
第一管体、第二管体、固定装置を有し、
前記第一管体の一端には、第一コネクターを設置し、反対端には、伸入部を設置し、前記第一管体から離れた前記第一コネクターの一端には、第一定位部を設置し、前記第一定位部に近い前記第一コネクター外側の位置には、係合フランジを設置し、前記第一コネクターには、軸方向の貫通孔を設置し、前記貫通孔と前記第一管体とは連通し、前記第一定位部に近い前記貫通孔の位置には、弾性を備えた封鎖部を設置し、前記封鎖部には、常態下で封鎖状態を呈する十字スリットを設置し、前記貫通孔の内縁には、前記封鎖部と前記第一定位部の間に、圧迫凸部を設置し、
前記第二管体の一端には、注入部を設置し、反対端には、第二コネクターを設置し、前記第二管体から離れた前記第二コネクターの一端には、第二定位部を設置し、及び挿入接続管を延伸して設置し、前記挿入接続管と前記第二管体とは連通し、前記第二コネクターの外側には、前記挿入接続管の方向へと延伸する対応形状の2個の弾性アームを設置し、前記2個の弾性アーム末端には、嵌合フックをそれぞれ設置し、
使用時には、前記挿入接続管を利用し、前記第二コネクターを前記第一コネクターの貫通孔に挿入し、前記挿入接続管により、前記十字スリットを押し開き、同時に前記挿入接続管の外縁と前記圧迫凸部とは接触して圧迫され、前記第二定位部に対応し、前記第一定位部と接触して定位され、及び前記2個の弾性アームの嵌合フックと前記係合フランジは係合し、これにより前記第二コネクターと前記第一コネクターは連接され、前記第二管体と前記第一管体は相互に連通することを特徴とする、
食物の逆流を減らすことができる二部分式経鼻胃管。
【請求項2】
前記第二コネクターに近い前記2個の弾性アームの位置には、前記第二管体方向へと延伸するプレス部をそれぞれ設置し、前記2個のプレス部を押すことで、前記2個の弾性アームを連動し開けられることを特徴とする、請求項1に記載の食物の逆流を減らすことができる二部分式経鼻胃管。
【請求項3】
固定装置をさらに有し、前記固定装置は、固定部材、接着部材、連接部材を有し、前記固定部材には、嵌合リングを設置し、前記嵌合リングは取り外し自在に、前記第一管体の、前記第一コネクターに近い位置に嵌合して設置され、或いは前記第一コネクターに固定され、前記接着部材は、患者の鼻の上に接着して固定され、前記連接部材は、旋回して調整可能なように、前記固定部材と前記接着部材との間に接続して設置され、これにより患者の体内に留置する第一管体の固定効果を高めることを特徴とする、請求項1に記載の食物の逆流を減らすことができる二部分式経鼻胃管。
【請求項4】
前記係合フランジは、環状であることを特徴とする、請求項1に記載の食物の逆流を減らすことができる二部分式経鼻胃管。
【請求項5】
前記圧迫凸部は、環状であることを特徴とする、請求項1に記載の食物の逆流を減らすことができる二部分式経鼻胃管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は経鼻胃管構造に関し、特に食物の逆流を減らすことができる二部分式経鼻胃管に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発達と医療技術の進歩に従い、病気や傷害を負った人の生存率は上がっている。
怪我や病気或いは老化などで、患者が自ら食事がとれない時には、看護人員により経鼻胃管を通して食物注入を行い、または挿管の方法で、流動質状態とした食物を、鼻腔を経由して胃へと導入する。
こうして、患者に必要なカロリーと栄養を与える。
【0003】
しかし、経鼻胃管は、取り付けの過程で、患者にかなりの不快を強いる。
さらに取り付け後、通常は、経鼻胃管の露出部分は使用者の顔に粘着して固定される。
これでは、不安定であるばかりでなく患者は不快を感じ、しかも長い経鼻胃管が露出していれば、外観上も影響が大きい。
また、経鼻胃管の露出部分は接着されているが、不注意で引っ張られてしまう状況の発生は避けがたい。
【0004】
そのため、二部分式経鼻胃管が開発されている。
それは、第一管体及び第一管体と連接される第二管体を有する。
第一管体は、患者の鼻腔から食道を通過して胃まで挿入される。
第二管体は、患者の鼻腔外側に露出し、状況に応じて第二管体を取り外し、上記した欠点を解決する。
また、第一管体が環境に汚染されることを防止するため、及び第一管体内に残留する食物の逆流を防止するため、第二管体と第一管体を分解した後、第一管体の開口部を蓋で覆う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記先行技術には、取り付け過程が患者に不快を与え、取り付け後は経鼻胃管の露出部分を患者の顔に粘着して固定するが、それは不安定で、患者に不快を与え、外観上の影響が大きく、不注意で引っ張ってしまう状況の発生は避けがたいという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は従来の二部分式経鼻胃管の上記した欠点を解決できる、食物の逆流を減らすことができる二部分式経鼻胃管に関する。
【0007】
本発明による食物の逆流を減らすことができる二部分式経鼻胃管は、第一管体、第二管体、固定装置を有する。
第一管体の一端には、第一コネクターを設置し、反対端には、伸入部を設置し、第一管体から離れた第一コネクターの一端には、第一定位部を設置する。
第一定位部に近い第一コネクター外側の位置には、係合フランジを設置し、第一コネクターには、軸方向の貫通孔を設置し、貫通孔と第一管体とは連通し、第一定位部に近い貫通孔の位置には、弾性を備えた封鎖部を設置し、封鎖部には、常態下で封鎖状態を呈する十字スリットを設置し、貫通孔内縁には、封鎖部と第一定位部の間に、圧迫凸部を設置する。
第二管体一端には、注入部を設置し、反対端には、第二コネクターを設置し、第二管体から離れた第二コネクターの一端には、第二定位部を設置し、及び挿入接続管を延伸して設置し、挿入接続管と第二管体とは連通し、第二コネクター外側には、挿入接続管の方向へと延伸する対応形状の2個の弾性アームを設置し、2個の弾性アーム末端には、嵌合フックをそれぞれ設置する。
使用時には、挿入接続管を利用し、第二コネクターを該第一コネクターの貫通孔に挿入し、挿入接続管により、十字スリットを押し開き、同時に挿入接続管外縁と圧迫凸部とは接触して圧迫され、第二定位部に対応し、第一定位部と接触して定位され、及び2個の弾性アームの嵌合フックと係合フランジは係合し、これにより第二コネクターと第一コネクターとは連接され、第二管体と第一管体とは相互に連通する。
【0008】
本発明による食物の逆流を減らすことができる二部分式経鼻胃管において、第二管体を第一管体から抜くと、第一コネクターの十字スリットが自動的に封鎖されるため、使用の利便性が大幅に向上し、患者の不快感と食物の逆流を減らすことができ、しかも蓋が脱落したり、蓋を閉め忘れるなどの状況が発生するおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】本発明の第二管体を第一管体から抜く際の動作模式図一である。
【
図6】本発明の第二管体を第一管体から抜く際の動作模式図二である。
【
図7】本発明の第二管体を第一管体から抜く際の動作模式図三である。
【
図8】本発明の第二管体を第一管体から抜いた後の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(一実施形態)
上述の発明内容において開示した中心的な思想について説明するため、以下では具体的な実施形態を用いる。
実施形態中の各種の物件は、説明に適した比率、大きさ、変形量或いは移動量で表示し、実際の部品の比率に基づいた表示でないことを、ここに明記する。
【0011】
先ず、
図1~
図3に示す通り、本発明による食物の逆流を減らすことができる二部分式経鼻胃管は、第一管体10、第二管体20、固定装置30を有する。
【0012】
第一管体10の一端には、第一コネクター11を設置し、反対端には、伸入部12を設置する。
第一コネクター11の、第一管体10から離れた一端には、第一定位部111を設置する。
第一コネクター11外側の、第一定位部111に近い位置には、環状の係合フランジ112を設置する。
第一コネクター11には、軸方向の貫通孔113を設置する。
貫通孔113と第一管体10とは連通し、貫通孔113の、第一定位部111に近い位置には、弾性を備えた封鎖部114を設置する。
封鎖部114には、常態下で封鎖状態を呈する十字スリット1141を設置する。
貫通孔113内縁には、封鎖部114と第一定位部111の間に、環状の圧迫凸部1131を設置する。
【0013】
第二管体20一端には、注入部21を設置し、反対端には、第二コネクター22を設置する。
第二管体20から離れた第二コネクター22の一端には、第二定位部221を設置し、及び挿入接続管222を延伸して設置する。
挿入接続管222と第二管体20とは連通し、第二コネクター22外側には、挿入接続管222の方向へと延伸する対応形状の2個の弾性アーム223を設置し、2個の弾性アーム223末端には、嵌合フック2231をそれぞれ設置する。
2個の弾性アーム223の、第二コネクター22に近い位置には、第二管体20方向へと延伸するプレス部2232をそれぞれ設置する。
2個のプレス部2232を押すことで、2個の弾性アーム223を連動し開けられる。
【0014】
固定装置30は、固定部材31、接着部材32、連接部材33を有する。
固定部材31には、嵌合リング311を設置し、嵌合リング311は取り外し自在に、第一管体10の、第一コネクター11に近い位置に嵌合して設置され、或いは第一コネクター11に固定され、接着部材32は、患者の鼻の上に接着して固定される。
連接部材33は、旋回して調整可能なように、固定部材31と接着部材32との間に接続して設置され、これにより患者体内に留置する第一管体10の固定効果を高める。
【0015】
食物の注入に使用する時には、
図4に示す通り、挿入接続管222を利用し、第二コネクター22を第一コネクター11の貫通孔113内に挿入する。
これにより、挿入接続管222は十字スリット1141を押し開き、同時に挿入接続管222の外縁と圧迫凸部1131は接触して圧迫され密着状態を形成し、しかも第二定位部221に対応し、第一定位部111と接触して定位され、及び2個の弾性アーム223の嵌合フック2231と係合フランジ112は係合して結合される。これにより第二コネクター22と第一コネクター11とは連接され、第二管体20と第一管体10とは相互に連通する。第一管体10の伸入部12を患者の鼻腔から食道を通過して胃まで挿入し、流動食を、シリンジにより注入部21中に注入することで、第一管体10と第二管体20を経由し、流動食が患者の胃に導人され、必要な栄養を補給する。
【0016】
食物注入動作の完成後は、
図5~
図8に示す通り、2個のプレス部2232を押し、2個の弾性アーム223を連動して開かせる。
これにより、2個の弾性アーム223の嵌合フック2231は、係合フランジ112を離脱し、第二管体20の第二コネクター22を第一管体10の第一コネクター11から抜き去る。
また、第二管体20の第二コネクター22が抜かれると、第一コネクター11の十字スリット1141は、封鎖部114の弾性自動回復により封鎖状態となり、第一管体10内に外物が進入し汚染が起きることを回避でき、及び第一管体10内に残留している食物の逆流を防止できる。
さらに、第一管体10だけを患者体内に留置することで、患者に経鼻胃管を取り付けた後の美観と快適性を増進でき、経鼻胃管が不注意で引っ張られる事故の発生を大幅に減らすことができる。
【0017】
上述の具体的な実施形態の構造により、以下の効果が得られる。
本発明による食物の逆流を減らすことができる二部分式経鼻胃管において、第二コネクター22の挿入接続管222を第一コネクター11の貫通孔113内に挿入して連接する時、挿入接続管222を利用し十字スリット1141を押し開き、同時に挿入接続管222の外縁と圧迫凸部1131が接触して圧迫される。第二管体20が第一管体10から抜かれると、第一コネクター11の十字スリット1141は自動的に封鎖されるため、使用の利便性が大幅に向上し、しかも患者の不快感と食物の逆流を減らすことができ、蓋が脱落したり、蓋を閉め忘れる状況が発生するおそれがない。
【0018】
前述した本発明の実施形態は本発明を限定するものではなく、よって、本発明により保護される範囲は後述される特許請求の範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0019】
10 第一管体
11 第一コネクター
111 第一定位部
112 係合フランジ
113 貫通孔
1131 圧迫凸部
114 封鎖部
1141 十字スリット
12 伸入部
20 第二管体
21 注入部
22 第二コネクター
221 第二定位部
222 挿入接続管
223 弾性アーム
2231 嵌合フック
2232 プレス部
30 固定装置
31 固定部材
311 嵌合リング
32 接着部材
33 連接部材