(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183089
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】電気化学反応器のための改良されたバイポーラセパレータ
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0267 20160101AFI20221201BHJP
H01M 8/0258 20160101ALI20221201BHJP
H01M 8/0271 20160101ALI20221201BHJP
H01M 8/026 20160101ALI20221201BHJP
H01M 8/2483 20160101ALI20221201BHJP
H01M 8/0213 20160101ALI20221201BHJP
【FI】
H01M8/0267
H01M8/0258
H01M8/0271
H01M8/026
H01M8/2483
H01M8/0213
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022085218
(22)【出願日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】2105452
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】522087084
【氏名又は名称】アルストム・イドロジェーヌ・エスアエス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ・ゲノ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ・ラコトンドレイニブ
(72)【発明者】
【氏名】ブリュノ・ジャンティス
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA08
5H126AA11
5H126AA12
5H126AA13
5H126BB06
5H126DD02
5H126EE03
5H126EE11
5H126EE23
5H126GG06
5H126HH06
5H126JJ03
(57)【要約】
【課題】電気化学反応器のための改良されたバイポーラセパレータを提供すること。
【解決手段】バイポーラセパレータは、2つの分配プレート(14)および2つの冷却プレート(16)を重畳することにより形成される。2つの冷却プレート(16)は、2つの分配プレート(14)の間に配置され、各分配プレート(14)は、外方面(14A)および内方面(14B)を有し、各分配プレート(14)の外方面(14A)は、反応性流体を流すための分配チャネル(20)を備え、冷却プレート(16)は、冷却流体を循環させるための内部導管(22)を画定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学反応器のためのバイポーラセパレータであって、前記バイポーラセパレータは、2つの分配プレート(14)および2つの冷却プレート(16)を重畳することにより形成され、2つの前記冷却プレート(16)は、2つの前記分配プレート(14)の間に配置され、各分配プレート(14)は、外方面(14A)および内方面(14B)を有し、各分配プレート(14)の前記外方面(14A)は、反応性流体を流すための分配チャネル(20)を備え、前記冷却プレート(16)は、冷却流体を循環させるための内部導管(22)を画定する、バイポーラセパレータ。
【請求項2】
前記外方面(14A)の前記分配チャネル(20)の対向側に位置するチャネルプレートのうちの1つまたはそれぞれの前記内方面の領域が、略平坦である、請求項1に記載のバイポーラセパレータ。
【請求項3】
前記分配プレート(14)のうちの1つまたはそれぞれの前記内方面(14B)は、略平面状である、請求項1に記載のバイポーラセパレータ。
【請求項4】
前記内部導管(22)は、2つの前記冷却プレート(16)間に画定される、請求項1に記載のバイポーラセパレータ。
【請求項5】
各冷却プレート(16)が、隣接する前記分配プレート(14)に面する第1の面(16A)と、他方の冷却プレート(16)に面する第2の面(16B)とを有する、請求項1に記載のバイポーラセパレータ。
【請求項6】
前記冷却プレート(16)のうちの1つまたはそれぞれが、前記冷却プレート(16)と、隣接する前記分配プレート(14)との間に挿入されたシールを受けるための少なくとも1つの封止溝((44)を前記冷却プレート(16)の第1の面上に有する、請求項5に記載のバイポーラセパレータ。
【請求項7】
前記冷却プレート(16)に面する前記分配プレート(14)の前記内方面(14B)は、封止溝を有さない、請求項6に記載のバイポーラセパレータ。
【請求項8】
前記冷却プレート(16)のうちの1つまたはそれぞれが、前記内部導管(22)を画定する冷却チャネル(26)を前記冷却プレート(16)の第2の面(16B)上に有する、請求項5に記載のバイポーラセパレータ。
【請求項9】
前記冷却チャネル(26)の対向側に位置する前記冷却プレート(16)のうちの1つまたはそれぞれの前記第1の面(16A)の領域が、略平坦である、請求項8に記載のバイポーラセパレータ。
【請求項10】
前記冷却チャネル(26)は、0.20mm~0.35mmの間の深さを有し、特に0.30mmの深さを有する、請求項8に記載のバイポーラセパレータ。
【請求項11】
前記冷却プレート(16)のそれぞれが、冷却チャネル(26)を前記第2の面(16B)上に有し、前記冷却プレート(16)のうちの1つの各冷却チャネル(26)が、他方の前記冷却プレート(16)の冷却チャネル(26)の対向側に配置され、他方の前記冷却プレート(16)の前記冷却チャネル(26)と共に内部導管(22)を形成する、請求項8に記載のバイポーラセパレータ。
【請求項12】
反応性流体を通過させるために前記バイポーラセパレータ(4)を貫通して設けられた分配ポート(28)を備え、各分配ポート(28)が、流体連通状態にある前記分配プレート(14)のうちの1つの前記分配チャネル(20)に関連付けられ、前記分配プレート(14)のうちの1つまたはそれぞれの前記分配チャネル(20)は、前記分配プレート(14)を貫通して形成された連結ポート(36)を経由して前記分配ポート(28)のうちの1つまたはそれぞれと流体連通状態にあり、前記連結ポート(36)は、前記分配プレート(14)と、隣接する前記冷却プレート(16)との間に画定され前記分配ポート(28)内へと開口する連結導管(38)内に開口する、請求項1に記載のバイポーラセパレータ。
【請求項13】
前記分配プレート(14)および前記冷却プレート(16)のうちの1つまたはそれぞれが、黒鉛ベース材料から作製され、好ましくは可撓性の膨張黒鉛または炭素から作製される、請求項1に記載のバイポーラセパレータ。
【請求項14】
前記分配プレート(14)および前記冷却プレート(16)のうちの1つまたはそれぞれが、0.4~0.6mmの間の厚さを有し、特に0.5mmの厚さを有する、請求項1に記載のバイポーラセパレータ。
【請求項15】
請求項1に記載のバイポーラセパレータ(4)と膜/電極接合体(6)との交互配置物を含むスタックを備える、燃料電池または電解槽などの電気化学反応器。
【請求項16】
請求項1に記載のバイポーラセパレータ(4)を製造する方法であって、4個の材料ストリップ(50)を平行に成形するステップであって、各材料ストリップ(50)が、少なくとも1対の成形ローラ間を通過することにより成形され、前記材料ストリップ(50)のうちの2個が、分配プレート(14)を形成するように成形され、前記材料ストリップ(50)のうちの2個が、冷却プレート(16)を形成するように成形される、ステップと、2つの分配プレート(14)間に挿入された2つの冷却プレート(16)からそれぞれが形成される一連のバイポーラセパレータ(4)により形成されたセパレータストリップ(60)を形成するために、前記4個の成形された材料ストリップ(50)を重畳するステップと、次いでバイポーラセパレータ(4)を取得するために前記セパレータストリップ(60)を切断するステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学セルを画定するセパレータおよび膜/電極接合体のスタックを備える電気化学反応器の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる電気化学反応器は、例えば酸化剤と燃料との間における電気化学反応により電気を生成するための燃料電池、または電気を利用して流体から化学元素を分離するための、例えば水から二水素および二酸素を生成するための電解槽などがある。
【0003】
かかる電気化学反応器では、各膜/電極接合体は、2つの電極間に挿入されたイオン交換膜を備えるラミネートの形態をとる。
【0004】
各セパレータは、プレートの形態をとり、このセパレータの2つの面のうちの少なくとも一方が、膜/電極接合体の面に当接されて膜/電極接合体の前記面に沿って流れるように流体を通すために構成された分配面となる。
【0005】
各電気化学セルは、2つのセパレータ間に位置する膜/電極接合体によって画定され、各セパレータは、セパレータが当接する膜/電極接合体の面と共に流体チャンバを画定する。電気化学反応は、膜/電極接合体を通過する流体間におけるイオン交換によって実現される。
【0006】
バイポーラセパレータが設けられる場合があり、各バイポーラセパレータは、2つの膜/電極接合体の間に挿入され、各バイポーラセパレータは、2つの分配面を有し、これら2つの分配面のそれぞれが、それぞれの膜/電極接合体の面に当接されるように構成される。
【0007】
電気化学反応器は、例えばバイポーラセパレータおよび膜/電極接合体の交互スタックを備える。2つの端部セパレータが、このスタックの端部にて2つの電気化学セルを補足するためにスタックの端部に追加される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、十分な性能を実現しつつ製造が容易かつ経済的である電気化学反応器バイポーラセパレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明は、電気化学反応器のためのバイポーラセパレータを提案する。このバイポーラセパレータは、2つの分配プレートおよび2つの冷却プレートを重畳することにより形成され、2つの冷却プレートは、2つの分配プレートの間に配置され、各分配プレートは、外方面および内方面を有し、各分配プレートの外方面は、反応性流体を流すための分配チャネルを備え、冷却プレートは、冷却流体を循環させるための内部導管を画定する。
【0010】
特定の実施形態によれば、この製造方法は、以下の特徴のうちの1つを個別に、または以下の特徴のうちの複数を技術的に可能である任意の組合せにおいて有する。
外方面の分配チャネルの対向側に位置するチャネルプレートのうちの1つまたはそれぞれの内方面の領域が、実質的に平坦である。
分配プレートのうちの1つまたはそれぞれの内方面が、実質的に平坦である。
内部導管は、2つの冷却プレート間に画定される。
各冷却プレートが、隣接する分配プレートに面する第1の面と、他方の冷却プレートに面する第2の面とを有する。
冷却プレートのうちの1つまたはそれぞれが、この冷却プレートと、隣接する分配プレートとの間に挿入されたシールを受けるための少なくとも1つの封止溝を冷却プレートの第1の面上に有する。
冷却プレートに面する分配プレートの内方面は、封止溝を有さない。
冷却プレートのうちの1つまたはそれぞれが、前記内部導管を画定する冷却チャネルを冷却プレートの第2の面上に有する。
冷却チャネルの対向側に位置する冷却プレートのうちの1つまたはそれぞれの第1の面の領域が、実質的に平坦である。
冷却チャネルは、0.20mm~0.35mmの間の深さを有し、特に0.30mmの深さを有する。
冷却プレートのそれぞれが、冷却チャネルを第2の面上に有し、冷却プレートのうちの1つの各冷却チャネルが、他方の冷却プレートの冷却チャネルの対向側に配置され、他方の冷却プレートの冷却チャネルと共に内部導管を形成する。
バイポーラセパレータは、反応性流体を通過させるためにバイポーラセパレータを貫通して設けられた分配ポートを備え、各分配ポートが、流体連通状態にある分配プレートのうちの1つの分配チャネルに関連付けられ、分配プレートのうちの1つまたはそれぞれの分配チャネルは、分配プレートを貫通して設けられた連結ポートを経由して分配ポートのうちの1つまたはそれぞれと流体連通状態にあり、これらの連結ポートは、分配プレートと、隣接する冷却プレートとの間に画定され分配ポート内へと開口する連結導管内に開口する。
分配プレートおよび冷却プレートのうちの1つまたはそれぞれが、黒鉛ベース材料から作製され、好ましくは可撓性の膨張黒鉛または炭素から作製される。
分配プレートおよび冷却プレートのうちの1つまたはそれぞれが、0.4~0.6mmの間の厚さを有し、特に0.5mmの厚さを有する。
【0011】
また、本発明は、上記に定義したようなバイポーラセパレータと膜/電極接合体との交互配置物を含むスタックを備える、例えば燃料電池または電解槽などの電気化学反応器に関する。
【0012】
また、本発明は、上記に定義したようなバイポーラセパレータを製造する方法に関する。この方法は、4個の材料ストリップを平行に成形するステップであって、各材料ストリップが、少なくとも1対の成形ローラ間を通過することにより成形され、材料ストリップのうちの2個が、分配プレートを形成するように成形され、材料ストリップのうちの2個が、冷却プレートを形成するように成形される、ステップと、2つの分配プレート間に挿入された2つの冷却プレートによってそれぞれが形成される一連のバイポーラセパレータにより形成されたセパレータストリップを形成するために、4個の成形された材料ストリップを重畳するステップと、次いでバイポーラセパレータを取得するためにセパレータストリップを切断するステップとを含む。
【0013】
添付の図面を参照しつつ、もっぱら非限定的な例として提示される以下の説明を読むことにより、本発明およびその利点が明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】2つのバイポーラセパレータ間に挿入された膜/電極接合体を特に示す、電気化学反応器スタックの断面図である。
【
図2】ラミネート構造体を有するバイポーラセパレータの組立斜視図である。
【
図3】2つの分配プレートおよび2つの冷却プレートを含むバイポーラセパレータの層構造を示す、
図2のバイポーラセパレータの分解斜視図である。
【
図4】バイポーラセパレータを製造する方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示す電気化学反応器2は、膜/電極接合体6と交互に配置されたバイポーラセパレータ4を備えるスタックを有する。これらの膜/電極接合体6と交互に配置された、バイポーラセパレータ4は、重畳された電気化学セル8を画定する。
【0016】
具体的には、このスタックは、スタックの端部に配置された2つの端部セパレータ(図示せず)をさらに備える。
【0017】
各電気化学セル8は、2つのセパレータの間に、すなわち2つのバイポーラセパレータ4の間に、またはこの電気化学セル8が、スタックの端部に位置する2つの電気化学セル8のいずれか一方である場合には、1つのバイポーラセパレータ4と1つの端部セパレータとの間に挿入された、膜/電極接合体6によって形成される。
【0018】
具体的には、電気化学反応器2は、数十個または数百個の重畳された電気化学セル8を備え得る。
【0019】
図の明瞭化のために、
図1では、2つのバイポーラセパレータ4間に配置された膜/電極接合体6からなる1つの電気化学セル8のみを図示する。
【0020】
各膜/電極接合体6は、2つの電極12に挟まれたイオン交換膜10からなるラミネートの形態である。このイオン交換膜10は、例えばプロトン交換膜(PEM)である。
【0021】
各電気化学セル8において、各セパレータは、膜/電極接合体6のそれぞれの面に当接される。
【0022】
各電気化学セル8の膜/電極接合体6の各面上に位置する2つのセパレータのそれぞれ(
図1の電気化学セル8の場合には2つのバイポーラセパレータ4のそれぞれ)は、セパレータが当接される膜/電極接合体6の面に沿って反応性流体を通すように、イオンが膜/電極接合体6を通過して、膜/電極接合体6の各面上に位置する2つのセパレータを経由して通される反応性流体間におけるイオン交換を伴う電気化学反応をもたらすために構成される。
【0023】
電気化学反応器2が燃料電池である場合には、2つのセパレータの一方が、そのセパレータが当接される膜/電極接合体6の面に沿って燃料流体を通すように構成され、他方のセパレータは、そのセパレータが当接される膜/電極接合体6の他方の面に沿って酸化性流体を通すように構成される。
【0024】
各バイポーラセパレータ4は、2つの膜/電極接合体6の間に挿入されることによりスタック内に配置される。
【0025】
各バイポーラセパレータ4は、プレートの形態であり、2つの対向する分配面4Aを有する。これらの2つの分配面4Aのそれぞれは、それぞれの分配面4Aが当接される膜/電極接合体6の面に沿って流体を通すように構成される。
【0026】
バイポーラセパレータ4同士は、同様であり、
図2および
図3を参照として、単一のバイポーラセパレータ4をさらに詳細に説明する。
【0027】
図2および
図3に示すように、バイポーラセパレータ4は、ラミネート構造を有するプレートの形態である。
【0028】
バイポーラセパレータ4は、2つの分配プレート14および2つの冷却プレート16の重畳により形成され、2つの冷却プレート16は、2つの分配プレート14の間に配置される。
【0029】
各分配プレート14は、外方面14Aおよび内方面14Bを有し、これらの面は相互に対向側に位置する。
【0030】
各分配プレート14の外方面14Aは、バイポーラセパレータ4の外側に面する。この外方面14Aは、膜/電極接合体6に対接されるように意図される。各分配プレート14の外方面14Aは、バイポーラセパレータ4の分配面4Aを画定する。
【0031】
内方面14Bは、バイポーラセパレータ4の内側に面する。内方面14Bは、バイポーラセパレータ4の他方の分配プレート14に面する。
【0032】
各冷却プレート16は、2つの分配プレート14の一方と他方の冷却プレート16との間に配置される。
【0033】
各冷却プレート16は、それぞれの冷却プレート16が当接される分配プレート14に面する第1の面16Aと、他方の冷却プレート16に面する第2の面16Bとを有する。
【0034】
各分配プレート14の外方面14Aは、分配領域18を有し、この分配領域18内には、分配チャネル20が反応性流体を流すために設けられる。分配チャネル20は、この外方面14Aが当接される膜/電極接合体6の面に沿って流体を通すように構成される。
【0035】
好ましくは、外方面14Aの分配領域の裏側に、すなわち外方面14Aの分配領域18の対向側に位置する内方面14Bの領域が、実質的に平坦である。
【0036】
具体的には、分配チャネル20は、外方面14A内において凹状をなし、好ましくは内方面14B側には凹状部を有さない。
【0037】
2つの冷却プレート16は、冷却流体を循環させるための内部導管22(
図1)を画定する。これらの内部導管22は、バイポーラセパレータ4の厚さの範囲内においてバイポーラセパレータ4の内部に延在する。
【0038】
好ましくは、これらの冷却プレート16は、間に内部導管22を画定する。各内部導管22は、2つの冷却プレート16間に画定される。
【0039】
各冷却プレート16の第2の面16Bが、例えば、2つの冷却プレート16間に冷却流体を循環させるための冷却チャネル26を有する冷却ゾーン24を有する。
【0040】
一実施形態では、各冷却プレート16の各冷却チャネル26が、他方の冷却プレート16の冷却チャネル26の対向側に位置し、これにより内部導管22が画定される。各内部導管22は、2つの冷却プレート16のうちの一方の冷却チャネル26が、2つの冷却プレート16のうちの他方の冷却チャネル26の対向側に位置することによって画定される。
【0041】
分配ゾーン18および冷却ゾーン24は、好ましくは分配プレート14および冷却プレート16のスタック方向に沿って整列される。
【0042】
有利には、この冷却プレート16の第2の面16Bの冷却ゾーン24の裏側に、すなわちこの冷却プレート16の第2の面16Bの冷却ゾーン24の対向側に位置する、各冷却プレート16の第1の面16Aの領域は、実質的に平坦である。
【0043】
具体的には、冷却チャネル26は、第2の面16B上において凹状をなし、好ましくは第1の面16A上には凹状部を有さない。
【0044】
好ましくは、各分配プレート14は、0.4mm~0.6mmの間の厚さを有し、例えば約0.5mmの厚さを有する。
【0045】
好ましくは、各分配チャネル20は、0.15mm~0.35mmの間の深さを有し、例えば約0.30mmの深さを有する。
【0046】
好ましくは、各冷却プレート16は、0.4mm~0.6mmの間の厚さを有し、例えば約0.5mmの厚さを有する。
【0047】
好ましくは、各冷却チャネル26は、0.20mm~0.35mmの間の深さを有し、例えば約0.30mmの深さを有する。
【0048】
バイポーラセパレータ4は、バイポーラセパレータ4が膜/電極接合体6とスタックされた場合にこのスタックを貫通するマニホルドを形成するように、バイポーラセパレータ4を貫通する穴を備える。
【0049】
電気化学セル8に供給される反応性流体および冷却流体はそれぞれ、それぞれの流体用の入口ポートを画定するポートのうちの1つを経由して入来し、それぞれの流体用の出口ポートを画定するポートのうちの他の1つを経由して退出する。
【0050】
具体的には、バイポーラセパレータ4は、反応性流体を通過させるためにバイポーラセパレータ4を貫通して設けられた分配ポート28を備え、各分配ポート28は、この分配ポート28と流体連通状態にある分配プレート14のうちの1つの分配チャネル20に関連付けられる。
【0051】
バイポーラセパレータ4は、例えば、一方の分配プレート14の分配チャネル20と流体連通状態にある2つの分配ポート28と、他方の分配プレート14の分配チャネル20と流体連通状態にある2つのさらなる分配ポート28とを備える。
【0052】
各分配プレート14に関連付けられた分配ポート28の一方は、この分配プレート14の分配チャネル20に反応性流体を供給する役割を果たし、他方の分配ポート28は、この分配プレート14の分配チャネル20内で循環した後の反応性流体を排出する役割を果たす。
【0053】
各分配ポート28は、バイポーラセパレータ4のプレート内に、すなわち2つの分配プレート14および2つの冷却プレート16内に形成された分配開口30同士を整列させることによって形成される。
【0054】
バイポーラセパレータ4は、2つの冷却ポート32を備え、各冷却ポート32は、内部導管22と流体連通状態にある。
【0055】
冷却ポート32の一方は、内部導管22に冷却流体を供給するために使用され、他方の冷却ポート32は、内部導管22を通過した後の冷却流体を排出するために使用される。
【0056】
各冷却穴32は、バイポーラセパレータ4のプレート内に形成された冷却開口34同士を整列させることによって形成される。
【0057】
一例の実施形態では、分配プレート14のうちの一方またはそれぞれの分配チャネル20が、分配プレート14を貫通して形成された連結ポート36を経由して関連する分配ポート28の一方またはそれぞれと連通状態にある。この連結ポート36は、分配プレート14と、隣接する冷却プレート16との間に画定され分配ポート28内へと開口する連結導管38内に開口する。
【0058】
図2の左側において、分配ポート28の2つに開口する連結導管38の端部のみを見ることができる。
【0059】
各連結導管38は、例えば、分配プレート14の内方面14B上に形成された連結チャネル40、および/または隣接する冷却プレート16の第1の面16A上に形成された連結チャネル42により形成される(
図3)。
【0060】
具体的には、各連結導管38が、例えば、分配プレート14の内方面14B上に形成された連結チャネル40と、隣接する冷却プレート16の第1の面16A上に形成された連結チャネル42とにより形成され、これら2つの連結チャネル40、42は、相互に対向側に配置される。
【0061】
分配プレート14または各分配プレート14の外方面14A上において、分配チャネル20は、それらの分配チャネル20に関連付けられた分配ポート28を画定する分配開口30または各分配開口30から隔離される。
【0062】
分配プレート14または各分配プレート14の分配チャネル20を、関連付けられた分配ポート28または各関連付けられた分配ポート28に連結するこのタイプの連結は、外方面14Aと、隣接する膜/電極接合体6との間において分配ポート28の周囲にシールを設ける必要性を解消し、分配領域18の周囲のシールは十分なものとなる。
【0063】
図示する例では、各分配プレート14の分配チャネル20は、分配プレート14を貫通して設けられた連結ポート36および、分配プレート14と、隣接する冷却プレート16との間に画定された連結導管38とを介して、それらの分配チャネル20に関連付けられた各分配ポート28と流体連通状態にある。
【0064】
各連結導管38は、分配プレート14の内方面14B上に形成された連結チャネル40と、隣接する冷却プレート16の第1の面16A上に形成された連結チャネル42とによって形成され、これら2つの連結チャネル40、42は、相互に対向側に配置される。
【0065】
図3では、分配プレート14の連結チャネル40および冷却プレート16の連結チャネル42のみを見ることができる。
【0066】
有利には、各分配プレート14の内方面14Bは、具体的には分配領域18の裏面にて、実質的に平坦である。
【0067】
各分配プレート14の内方面14Bは、任意の連結チャネル40を除いて平坦であり、各連結チャネル40は、分配ポート28に対して少なくとも1つの連結ポート36を連結する。
【0068】
代替的には、各分配プレート14の内方面14Bは、完全に平坦である。
【0069】
かかる例では、任意の連結チャネル38が、例えば隣接する冷却プレート16の第1の面16A上に形成された連結チャネル42により画定される。
【0070】
内部導管22は、バイポーラセパレータ4の2つの冷却ポート32に対して流体連結される。
【0071】
一実施形態では、これは、各冷却プレート16の冷却チャネル26がその冷却プレート16の冷却開口34のそれぞれに接合することによって実現される。
【0072】
バイポーラセパレータ4は、バイポーラセパレータ4を形成する重畳されたプレート間にシールを設けるように構成される。
【0073】
具体的には、バイポーラセパレータ4は、各分配プレート14と、隣接する冷却プレート16との間におよび/または2つの冷却プレート16間にシールを設けるように構成される。
【0074】
封止は、例えばバイポーラセパレータ4を形成する重畳されたプレート上に形成された封止溝内のシール(図示せず)によって確保される。
【0075】
好ましくは、分配プレート14の内方面14Bは、封止溝を有さない。
【0076】
この例において、封止溝は、冷却プレート16内にのみ形成され、より厳密には冷却プレート16の第1の面16Aおよび/または第2の面16B上にのみ形成される。
【0077】
これらの封止溝は、各分配プレート14と、隣接する冷却プレート16との間の各分配ポート28の周囲を個別に封止するように構成される。
【0078】
各冷却プレート16は、例えば、第1の面16A上に第1の封止溝44を備え、この第1の封止溝44は、分配開口30を個別に囲む閉ライン内の冷却プレート16の各分配開口30の周囲に延在する。
【0079】
任意には、各冷却プレート16上において、第1の封止溝44は、冷却プレート16の第1の面16Aと、隣接する分配プレート14の内方面14Bとの間にこれらのプレートの全周縁部にシールを設けるために、冷却プレート16の第1の面16Aの周縁部に延在するように構成される。
【0080】
これらの封止溝は、2つの冷却プレート16間における反応性流体の通過を防止するために、2つの冷却プレート16間において各分配ポート28の周囲を個別に封止するように構成される。
【0081】
各冷却プレート16は、例えば、その第2の面16B上に第2の封止溝46を有し、この第2の封止溝46は、分配開口30を個別に囲む閉ライン内の冷却プレート16の各分配開口30の周囲に延在する。
【0082】
これらの封止溝は、冷却ゾーン24内に位置する内部導管22を経由して一方の冷却ポート32から他方の冷却ポート32へ冷却流体を通すために、各冷却ポート32および冷却プレート16間の冷却ゾーン24の周囲を封止するように構成される。
【0083】
第2の封止溝46は、冷却ゾーン24の周囲に延在する閉ライン内に延在して、各冷却ポート32をさらに囲む。
【0084】
第2の封止溝46は、冷却ゾーン24と各分配ポート28との間、および分配ポート28間に封止隔離部を設けるように構成される。
【0085】
一実施形態では、2つの分配プレート14が同一ではない。
【0086】
例えば、
図2および
図3に示すように、2つの分配プレート14の一方の分配チャネル20内に流体を循環させるための分配ポート28が、2つの分配プレート14の他方の分配チャネル20内に流体を循環させるための分配ポート28よりも大きい。
【0087】
より大きな分配ポート28に対して流体的に連結された分配チャネル20を有する分配プレート14は、各分配ポート28に対して分配チャネル20を連結する5個の連結開口36を備え、最小の分配ポート28に対して流体的に連結された分配チャネル20を有する分配プレート14は、各分配ポート28に対して分配チャネル20を連結する3個の連結ポート36を備える。
【0088】
分配ポート28のサイズがそれぞれ異なることにより、電気化学反応の化学量論を考慮したものであり、他の反応性流体の場合よりも、ある反応性流体の場合に電気化学セル8内における反応性流体流を高くする。
【0089】
一例では、2つの冷却プレート16が同一ではない。
【0090】
図3に示す実施形態では、各冷却プレート16は、2つのより大きな分配ポート28のそれぞれに対して連結するための5個の連結チャネル42と、2つのより小さな分配ポート28のそれぞれに対して連結するための3個の連結チャネル42とを備える。
【0091】
別の実施形態では、2個の分配プレート14が同一である、および/または2個の冷却プレート16が同一である。
【0092】
一例では、各分配プレート14および/または各冷却プレート16が、黒鉛ベース材料シートから、好ましくは可撓性の膨張黒鉛または純炭素から、具体的にはGrafCell社から市販のGraphtech(登録商標)、Graphoil、Entegris社から市販のPoco Graphite、またはSGL Carbon社から市販のSigra Therm(登録商標)から作製される。
【0093】
好ましくは、分配プレート14および冷却プレート16が、同一の材料から作製される。
【0094】
一実施形態では、各分配プレート14および/または各冷却プレート16が、シートまたはストリップをカレンダリング加工、プレス加工、および/またはエンボス加工することによって、具体的には、2つのローラ間を通過するシートまたはストリップにチャネル、封止溝、および/または開口を形成するように構成された1対の成形ローラ間にシートまたはストリップを通すことにより、プレス加工、プレス加工、および/またはエンボス加工することによって作製される。
【0095】
一実施形態では、ストリップが、これらの成形ローラ間に通されることによりストリップ内にチャネル、封止溝、および/または開口が形成されて、ストリップに沿って複数のプレートが形成され、その後にこのストリップが個別のプレートへと切断される。各プレートは、分配プレート14または冷却プレート16を適宜形成する。
【0096】
有利な一製造方法によれば、各ストリップ上にプレートを形成するように4個のストリップが平行に形成される。2個のストリップが、分配プレート14を形成するために形成され、2個のストリップが、冷却プレート16を形成するために形成される。次いで、これらのストリップは、重畳されることにより、セパレータストリップに沿って分配された複数のバイポーラセパレータ4を備えるセパレータストリップを形成する。次いで、各バイポーラセパレータ4へと切り分けるために、かように形成されたセパレータストリップが切断される。
【0097】
任意には、この製造方法は、プレートストリップ間の封止溝および/または接着層に封止ガスケットを適用することを含み、その後に、ストリップが好ましくは加圧下において重畳され、それによりセパレータストリップが形成される。
【0098】
任意には、この製造方法は、例えばストリップの重畳前にこれらのストリップ間に配置されたシールおよび/または1つもしくは複数の接着層を固化するために、ストリップの組立ての結果として得られるセパレータストリップを加熱することを含む。
【0099】
図4に示す例では、バイポーラセパレータ4は、同一の材料から作製されたおよび好ましくはローラ52としてパッケージングされた、4個の材料ストリップ50から作製される。
【0100】
材料ストリップ50同士は、平行に成形され、共に接合され、次いで切断されることによりバイポーラセパレータ4が得られる。
【0101】
各材料ストリップ50は、少なくとも1対の成形ローラ54の2つのローラ間を通過することにより成形されて、チャネル(分配チャネル、冷却チャネル、連結チャネル等)、封止溝、および/または開口(分配開口、冷却開口)がカレンダリング加工、プレス加工、および/またはエンボス加工によって形成される。
【0102】
任意には、次いで、各材料ストリップ50は、少なくとも1対のアプリケータローラ56の2つのローラ間を通過することにより材料ストリップ50に対して施される接着層および/またはシーラントを受ける。
【0103】
図示する例では、各材料ストリップ50は、1対のアプリケータローラ56の2つのローラ間を通過する。
【0104】
代替的には、材料ストリップ50のうちの少なくとも1つが、2つのアプリケータローラ56間を通過しない、および/または少なくとも1つの材料ストリップ50が、少なくとも2対のアプリケータローラ56のうちの2つのアプリケータローラ間を通過する。
【0105】
材料ストリップ50が、例えば、2対のアプリケータローラ56のローラ間を通過されてもよい。一方の対のアプリケータローラ56は接着層を施し、他方の対のアプリケータローラ56はシールを施す。
【0106】
各対のアプリケータローラ56は、例えば、材料ストリップ50の2つの対向側に位置する面の一方のみに対して接着層もしくはシールを施してもよく、または材料ストリップ50の対向側に位置する面の両面に対して同時に接着層もしくはシールを施してもよく、または材料ストリップ50の一方の面に対して接着層をおよび材料ストリップ50の他方の面に対してシールを同時に施してもよい。
【0107】
場合によってはシールおよび/または接着層を備える材料ストリップ50同士は、一方が他方の上に配置され、好ましくは例えば材料ストリップ50同士を相互に対して圧迫する1対の接合ローラ58の2つのローラ間を通過することによって相互に圧迫される。
【0108】
重畳された材料ストリップ50は、セパレータストリップ60を形成し、このセパレータストリップ60は、セパレータストリップ60に沿って分配された一連のバイポーラセパレータ4からなる。
【0109】
任意には、この(これらの)対の整合ローラ58の下流において、セパレータストリップ60が加熱ステーション62を通過する。この加熱ステーション62は、例えば材料ストリップ50間において接着層および/またはシールを固化するために使用される。
【0110】
セパレータストリップ60は、切断デバイス64により個別のバイポーラセパレータ4へと切断される。
【0111】
本発明により、十分な品質のバイポーラセパレータ4を容易にかつ大量に製造することが可能となる。
【0112】
2つの分配プレート14および2つの冷却プレート16を重畳することにより、バイポーラセパレータ4の動作およびその製造にとって有利な特徴を有する薄い材料シートまたは材料ストリップからこれらのプレートを製造することが可能となる。
【0113】
有利には、分配プレートに反応性流体を通し、冷却プレートに冷却流体を通すチャネリング機能が、これらのプレート間に分配される。
【0114】
これらのプレートは薄く、例えば成形ローラ間でのカレンダリング加工またはプレス加工による成形が容易なシートまたはストリップから作製され得る。
【0115】
薄いプレートの使用により、分配プレートおよび冷却プレートが材料ストリップ50として作製され、共に接合されてセパレータストリップ60を形成し、このセパレータストリップ60がバイポーラセパレータ4へと切断される、連続製造方法の実施が可能となる。
【符号の説明】
【0116】
2 電気化学反応器
4 バイポーラセパレータ
4A 分配面
6 膜/電極接合体
8 電気化学セル
10 イオン交換膜
12 電極
14 分配プレート
14A 外方面
14B 内方面
16 冷却プレート
16A 第1の面
16B 第2の面
18 分配領域、分配ゾーン
20 分配チャネル
22 内部導管
24 冷却ゾーン
26 冷却チャネル
28 分配ポート
30 分配開口
32 冷却ポート、冷却穴
34 冷却開口
36 連結ポート、連結開口
38 連結導管、連結チャネル
40 連結チャネル
42 連結チャネル
44 第1の封止溝
46 第2の封止溝
50 材料ストリップ
52 ローラ
54 成形ローラ
56 アプリケータローラ
58 接合ローラ、整合ローラ
60 セパレータストリップ
62 加熱ステーション
64 切断デバイス
【外国語明細書】