(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183090
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】電気化学反応器の複数の電気化学セルの電圧を測定するための電圧測定デバイス
(51)【国際特許分類】
H01M 8/2465 20160101AFI20221201BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20221201BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20221201BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20221201BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20221201BHJP
C25B 9/23 20210101ALI20221201BHJP
C25B 15/023 20210101ALI20221201BHJP
C25B 9/77 20210101ALI20221201BHJP
【FI】
H01M8/2465
H01M8/04 Z
H01M8/04537
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B9/23
C25B15/023
C25B9/77
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022085219
(22)【出願日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】2105461
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】522087084
【氏名又は名称】アルストム・イドロジェーヌ・エスアエス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ピエリック・グラン
【テーマコード(参考)】
4K021
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021DB53
5H126AA28
5H126BB06
5H126DD02
5H126DD04
5H126DD05
5H127AA05
5H127DB55
(57)【要約】
【課題】本発明は、実装するのが簡単で早い、電気化学セルの電圧を測定するための測定デバイスに関する。
【解決手段】電圧測定デバイスが、分離器(6)と膜電極組立体(8)のスタックによって形成される電気化学反応器の複数の電気化学セル(10)の電圧を測定するために構成され、各電気化学セル(10)が2つの分離器(6)間に挿置される膜電極組立体(8)で形成され、電圧測定デバイスが、ベース(24)及び共通の延長方向(D)にベース(24)から延びる複数の歯(26)を有する支持体(22)を備え、各歯(26)が、ベース(24)に接続される近位端(26A)及び分離器を係合するように適合される電気的接点(28)を担持する自由遠位端(26B)を有し、支持体が、その遠位端が延長方向(D)に互いからオフセットされる歯(26)を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離器(6)及び膜電極組立体(8)のスタックから形成される電気化学反応器の複数の電気化学セル(10)の電圧を測定するための電圧測定デバイスであって、
前記電気化学セル(10)それぞれが、2つの前記分離器(6)の間に挿置された膜電極組立体(8)から形成されており、
前記電圧測定デバイスが、ベース(24)と複数の歯(26)とを有する支持体(22)を備えており、複数の前記歯(26)が、前記ベース(24)から共通の延長方向(D)に沿って延在しており、
前記歯(26)それぞれが、前記ベース(24)に接続された近位端(26A)と、前記分離器(6)と接触可能な電気的接点(28)を担持する自由な遠位端(26B)とを有しており、
前記支持体(22)が、前記歯(26)を備えており、前記歯(26)の前記遠位端(26B)が、前記延長方向(D)に沿って互いに対してオフセットされている、電圧測定デバイス。
【請求項2】
前記歯(26)が、前記歯(26)の前記遠位端(26B)が第1の位置合わせ軸線(A1)に沿って位置合わせされている前記歯(26)と、前記歯(26)の前記遠位端(26B)が前記第1の位置合わせ軸線(A1)に対してオフセットされている前記歯(26)とを含んでいる、請求項1に記載の電圧測定デバイス。
【請求項3】
前記第1の位置合わせ軸線(A1)が、前記延長方向(D)に対して垂直とされる、請求項2に記載の電圧測定デバイス。
【請求項4】
前記支持体(22)が、前記歯(26)から成る列(30)を備えており、
前記歯(26)の前記遠位端(26B)が前記第1の位置合わせ軸線(A1)に沿って位置合わせされている歯(26)と、前記歯(26)の前記遠位端(26B)が前記第1の位置合わせ軸線(A1)に対してオフセットされている歯(26)とが、交互に配置されている、請求項2に記載の電圧測定デバイス。
【請求項5】
前記歯(26)の前記遠位端が前記第1の位置合わせ軸線(A1)に対してオフセットされている前記歯(26)が、前記第1の位置合わせ軸線(A1)とは異なる第2の位置合わせ軸線(A2)に沿って位置合わせされている前記歯(26)の遠位端を有している、請求項2に記載の電圧測定デバイス。
【請求項6】
前記第2の位置合わせ軸線(A2)が、前記延長方向(D)に対して垂直とされ、及び/又は前記第1の位置合わせ軸線(A1)に対して平行とされる、請求項5に記載の電圧測定デバイス。
【請求項7】
前記歯(26)が、異なる長さの前記歯(26)を含んでいる、請求項1に記載の電圧測定デバイス。
【請求項8】
前記電圧測定デバイスが、第1の長さ(L1)を有する前記歯(26)と、第2の長さ(L2)を有する前記歯(26)とを備えており、
前記第1の長さ(L1)が、前記第2の長さ(L2)より絶対に長い、請求項7に記載の電圧測定デバイス。
【請求項9】
前記支持体(22)が、前記歯(26)から成る列(30)を備えており、
前記第1の長さ(L1)を有する歯(26)と、前記第2の長さ(L2)を有する歯(26)とが、交互に配置されている、請求項8に記載の電圧測定デバイス。
【請求項10】
前記歯(26)が、前記ベース(24)の側面それぞれに配置された前記歯(26)から成る第1の列(50)と前記歯(26)から成る第2の列(52)との間に分散配置されている、請求項1に記載の電圧測定デバイス。
【請求項11】
少なくとも1つの前記歯(26)又は前記歯(26)それぞれの幅が、前記歯(26)の前記近位端(26A)から前記歯(26)の前記遠位端に至るまでの間に、漸進的に減少した後に増加する、請求項1に記載の電圧測定デバイス。
【請求項12】
前記支持体(22)が、第1の歯(26)によって担持される前記電気的接点(28)が接触する分離器に隣接する分離器と接触するように構成されている追加の電気的接点(40)を担持する前記第1の歯を有する歯(26)の列(30)を備えており、請求項1に記載の電圧測定デバイス。
【請求項13】
前記電圧測定デバイスが、電子測定ユニット(44)を備えており、
前記電気的接点(28)それぞれが、前記電子測定ユニット(44)に接続されており、
前記電子測定ユニット(44)が、前記電気化学セル(10)それぞれのための電圧測定信号を生成するように構成されており、
前記電気化学セル(10)の電圧が、前記電圧測定デバイスによって、前記電気的接点(28)によって供給される電気信号を調整するために、前記電気的接点(28)が供給する前記電気信号から取り込まれ、及び/又は、電子装置に伝送するために、前記電子測定ユニット(44)が生成する前記電圧測定信号から取り込まれる、請求項1に記載の電圧測定デバイス。
【請求項14】
前記電圧測定デバイスが、前記電圧測定デバイスを電子装置に接続するためのコネクタ(46)を備えている、請求項1に記載の電圧測定デバイス。
【請求項15】
分離器(6)と膜電極組立体(8)のスタック(4)から形成された電気化学反応器(2)を備えている電気化学システムであって、前記分離器(6)と前記膜電極組立体(8)の前記スタック(4)とが、電気化学セル(10)を形成している、前記電気化学システムにおいて、
前記電気化学セル(10)それぞれが、2つの前記分離器(6)の間に挿置された膜電極組立体(8)と少なくとも1つの請求項1に記載の電圧測定デバイス(20)とによって形成されている、電気化学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学セルを規定する、分離器と膜電極組立体のスタックを備える電気化学反応器の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような電気化学反応器は、例えば酸化剤と燃料の間の電気化学反応による電力の生成のための燃料電池、又は、例えば水から二水素及び二酸素を生成するための、電力を使用して流体から化学元素を分離するための電解槽である。
【0003】
そのような電気化学反応器では、各膜電極組立体は、2つの電極間に挿入したイオン交換膜を備える積層の形を有する。
【0004】
各分離器は板状の形状を有しており、分離器の2つの面の一方又は各々は、膜電極組立体のその面で、膜電極組立体の前記面に沿った流体を循環するための流体チャンバを規定する膜電極組立体の面に対して保持されるように構成される。
【0005】
各電気化学セルは、2つの分離器間に囲繞される膜電極組立体によって規定され、分離器の各々が、それが保持される膜電極組立体の面を有する流体チャンバを規定し、電気化学反応は、流体チャンバ内の膜電極組立体を通って循環する流体間のイオンの交換によって実現される。
【0006】
両極性分離器を設けることができ、各両極性分離器が2つの膜電極組立体間に挿置され、各両極性分離器の2つの面の各々は、それぞれの膜電極組立体の面に対して保持されるように構成されて、それと共に流体チャンバを規定する。
【0007】
電気化学反応器は、例えば、両極性分離器と膜電極組立体とが交互に配置されたスタックを備えており、2つの端部分離器がスタックの端部に加えられて、スタックの端部における2つの電気化学セルを完成する。
【0008】
電気化学反応器の動作期間に、例えば、その電気化学セル又はそれらの電気化学セルの電圧が好適な電圧範囲内にとどまり、それによって、電気化学反応器の故障又は劣化の防止を確認するため、1つ又は複数の電気化学セルの電圧を監視することが望ましい。
【0009】
実際には、分離器と膜電極組立体のスタックから形成される電気化学反応器は、数十又は数百の電気化学セルを備えることができる。加えて、分離器と膜電極組立体は、薄い厚さを有する。したがって、各電気化学セルを測定デバイスに接続するのは、冗長なものとなる場合がある。
【0010】
加えて、そのようなスタック内の電気化学セルは、それらの間隔、厚さ、及び配置に多様性を有する場合があり、このことが、電気化学セルを電気的測定デバイスに接続するためのコネクタの設計を複雑にする。
【0011】
特許文献1は、分離器を電気的測定デバイスに電気的に接続するための接続デバイスを開示しており、接続デバイスは、各々が電気的接点を担持する歯を有するくし形支持体を備え、支持体は、各電気的接点が分離器の接触区域と電気的接触を行うことができるように設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的の1つは、電気化学セルの電圧を測定するための測定デバイスを提供することであって、測定デバイスは、実装するのが簡単で早いものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そのために、本発明は、分離器と膜電極組立体のスタックによって形成される電気化学反応器の複数の電気化学セルの電圧を測定するための電圧測定デバイスを提案し、各電気化学セルが、2つの分離器間に挿置される膜電極組立体によって形成され、電圧測定デバイスは、ベースと、共通の延長方向に沿ってベースから延びる複数の歯とを有する支持体を備え、各歯は、ベースに接続される近位端と、分離器と接触をすることが可能な電気的接点を担持する自由遠位端とを有し、支持体は、その遠位端が延長方向に沿って互いからオフセットされる歯を備える。
【0015】
歯の延長方向に沿ってオフセットされるそれらの遠位端を有する支持体の歯によって担持される電気的接点によって、スタックの側面上に電圧測定デバイスを取り付けるのが容易になり、各歯によって担持される電気的接点が、隣接する1つ又は複数の歯によって妨げられる又は干渉されることなく、確実にそれぞれの分離器と接触することができるようになる。
【0016】
このことが、組立期間の分離器の間隔、厚さ、及び/又は配置の多様性、ならびに、電気化学反応器の動作期間のスタックの熱膨張又は熱収縮に対応するために、これらのうちの後者を曲げることによる、歯の相対的な動きをやはり容易にする。
【0017】
特定の実施形態によれば、電圧測定デバイスは、以下の任意選択の特徴のうちの1つ又は複数を、個別に又は任意の技術的に実行可能な組合せで備える。
- 歯が、その遠位端が第1の位置合わせ軸線に沿って位置合わせされる歯、及び、その遠位端が第1の位置合わせ軸線からオフセットされる歯を含む。
- 第1の位置合わせ軸線が延長方向に垂直である。
- 支持体が歯の列を備え、その歯では、その遠位端が第1の位置合わせ軸線に沿って歯と交互に位置合わせされ、その遠位端が第1の位置合わせ軸線に対してオフセットされる。
- その遠位端が第1の位置合わせ軸線からオフセットされる歯が、第1の位置合わせ軸線とは別個の第2の位置合わせ軸線に沿って位置合わせされるそれらの遠位端を有する。
- 第2の位置合わせ軸線が、延長方向に垂直であり、及び/又は、第1の位置合わせ軸線に平行である。
- 歯が異なる長さの歯を含む。
- 歯が、第1の長さを有する歯及び第2の長さを有する歯を備え、第1の長さが第2の長さよりも絶対に長い。
- 支持体は、歯の列を備え、そこでは、交互に、歯が第1の長さを有し、歯が第2の長さを有する。
- 歯は、ベースの側面それぞれに配置された第1の列の歯と第2の列の歯との間に分散配置される。
- 少なくとも1つ又は各歯は、歯の近位端から歯の遠位端に向かって、漸進的に減少し、次いで増加する幅を有する。
- 支持体が、第1の歯によって担持される電気的接点が接触するものと隣接する分離器と接触するように構成される追加の電気的接点を担持する第1の歯を有する歯の列を備える。
- 電圧測定デバイスが電子測定ユニットを備え、各電気的接点が電子測定ユニットに接続され、電子装置に伝送するために、電子測定ユニットが、電気的接点によって提供される電気信号から、その電圧が電圧測定デバイスによって得られた各電気化学セルについてそれぞれの電圧測定信号を生成し、ならびに/又は、電気的接点によって提供される電気信号及び/もしくは電子測定ユニットによって生成される電圧測定信号を調整するように構成される。
- 電圧測定デバイスが、電子装置に電圧測定デバイスを接続するためのコネクタを備える。
【0018】
本発明は、電気化学セルを規定する、分離器と膜電極組立体のスタックによって形成される電気化学反応器を備える電気化学システムにやはり関し、各電気化学セルは、2つの分離器間に挿置される膜電極組立体、及び上に定義されたような少なくとも1つの電圧測定デバイスによって形成される。
【0019】
本発明及びその利点は、例としてのみ与えられ、決して限定するためではない以下の記載を読み、添付図面への参照を行えば、より良好に理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】電圧測定デバイスを装備する、分離器と膜電極組立体のスタックによって形成される電気化学反応器の側面図である。
【
図2】2つの両極性分離器間に挿置された膜電極組立体によって形成される電気化学セルを図示する、電気化学反応器の断面図である。
【
図4】分離器と接触する電圧測定デバイスの電気的接点の断面図である。
【
図5】電気化学反応器上に並んで配される2つの電圧測定デバイスを示す、
図1の領域Vの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1及び
図2に図示される電気化学反応器2は、複数のスタックした電気化学セル10を規定する、分離器6と膜電極組立体8のスタック4を有する(
図2)。
【0022】
分離器6と膜電極組立体8は、スタック方向Eに沿ってスタックされる。電気化学セル10は、スタック方向Eに沿って重ね合わされる。
【0023】
実際には、電気化学反応器2は、互いの上にスタックされる数十又は数百の電気化学セル10を備える場合がある。
【0024】
図2に図示されるように、スタック4において、各電気化学セル10は、2つの分離器6の間に挿置された膜電極組立体8によって形成される。
【0025】
膜電極組立体8は、2つの電極14間に挿置されたイオン交換膜12によって形成される積層の形である。イオン交換膜12は、例えば、プロトン交換膜(又は、PEM)である。
【0026】
各分離器6は、板の形を有する。
【0027】
各電気化学セル10では、各分離器6は、膜電極組立体8のそれぞれの面に対して保持される。
【0028】
電気化学セル10内の2つの分離器6の各々は、その面を膜電極組立体8に対して保持し、膜電極組立体8は、分離器6が保持される膜電極組立体8の面に沿って流体を導くように構成される。
【0029】
膜電極組立体8に対して保持される分離器6の面は、それを用いて、流体の循環のための流体チャンバを規定する。例えば、流体チャンバは、流体の循環のための流通チャネル16を備える。流通チャネル16は、一緒に、流体チャンバを規定する。
【0030】
動作において、各電気化学セル10では、膜電極組立体8の2つの対向する側面に沿って循環する流体によって、膜電極組立体8の側面それぞれに配置される2つの分離器6によって導かれる流体間のイオン交換で電気化学反応が起こることが可能になり、イオンは、膜電極組立体8を通過する。
【0031】
電気化学反応器2が燃料電池である場合、2つの分離器6のうちの1つは、分離器6が保持される膜電極組立体8の側面に沿って燃料流体を導くように構成され、他方の分離器6は、分離器6が取り付けられる膜電極組立体8の他方の側面に沿って酸化剤流体を導くように構成される。
【0032】
スタック4は、例えば、両極性分離器6を備え、各両極性分離器6が2つの膜電極組立体8間に挿置され、分離器6の2つの面の各々は、分離器6のその面が保持される膜電極組立体8の面に沿って流体を導くように構成される。各両極性分離器6は、2つの隣接する電気化学セル10に共通である。
【0033】
スタック4は、例えば、単極性分離器6を備え、各単極性分離器6は、膜電極組立体8の面に対してその2つの面のうちのただ1つを保持し、分離器6のこの面は、膜電極組立体8の前記面に沿って流体を導くように構成される。各単極性分離器6は、単一の電気化学セル10に属する。
【0034】
スタック4は、例えば、膜電極組立体8と交互にスタックされる両極性分離器6から形成され、2つの単極性分離器6がスタック4の端部に配され、スタック4の端部に配置される2つの電気化学セル10を規定する。
【0035】
各分離器6は、導電性材料でできている。例えば、各分離器6は、金属材料、グラファイトベース材料、又はグラファイトポリマ複合物から形成される。
【0036】
電気化学反応器2のスタック4では、電気化学セル10は電気的に直列に接続される。各電気化学セル10は、次の電気化学セル10に電気的に接続される。
【0037】
動作において、各電気化学セル10は、その電気化学セル10の2つの分離器6間の電位差に対応する電圧を有する。
【0038】
電気化学反応器2は、少なくとも1つの電圧測定デバイス20を装備し、各電圧測定デバイス20は、スタック4内の複数の隣接する電気化学セル10の電圧を測定するように構成される。
【0039】
図1に図示されるように、電気化学反応器2は、2つの同様の電圧測定デバイス20を装備する。
図3を参照して、ただ1つの電圧測定デバイス20が、より詳細に記載される。
【0040】
この
図3に図示されるように、電圧測定デバイス20は、ベース24及び延長方向Dに沿ってベース24から延びる複数の歯26を有する支持体22を備える。歯26は互いに平行に延びる。
【0041】
各歯26は、ベース24に接続される近位端26A及び電気的接点28を担持する遠位端26Bを有する。各歯26は、それぞれの電気的接点28を担持する。
【0042】
各歯26によって担持される電気的接点28は、好ましくは、その歯26の遠位端26Bに配置される。
【0043】
各歯26は、好ましくは、歯26上、特にその遠位端26B上に配される単一の電気的接点28を備え、各電気的接点28は、スタック4のそれぞれの分離器6と接触するように意図される。
【0044】
支持体22は、歯26の列30を形成する、並んで配される歯26を備える。列30を形成する歯26は、ベース24の端部24Aから延長方向Dに沿って延びる。
【0045】
支持体22は、電圧測定デバイス20を使用してその電圧が測定される電気化学セル10の分離器6と電気的接点28が接触することができるように構成される。
【0046】
電気的接点28を担持する歯26の遠位端26Bを表す
図4に図示されるように、支持体22は、各電気的接点28が電気化学セル10の分離器6の中からそれぞれの分離器6の接触区域32と接触するように構成され、その電圧は電圧測定デバイス20を使用して測定される。
【0047】
例えば、各分離器6の接触区域32は、スタック4の側面4A上に配置される。
【0048】
特に、有利なことに、各分離器6の接触区域32は、分離器6の周辺端部上に配置され、接触区域32がスタック4の側面4A上に露出される。
【0049】
こうして、電圧測定デバイス20は、その電圧が電圧測定デバイス20を使用して測定される電気化学セル10の分離器6と電気的接点28が接触するように、スタック4の側面4A上に取り付けることができる。
【0050】
有利なことに、各電気的接点28は、接触ピンの形態とされ、各分離器6の接触区域32は、電気的接点28を受け入れるように構成される開口34を有し、この電気的接点28が開口34の中に挿入される。電圧測定デバイス20がスタック4上に取り付けられると、各電気的接点28がそれぞれの分離器6の開口34の中に挿入される。
【0051】
図3に戻って、好ましくは、歯26は、共通の延長面P(
図3の平面)に延びる。延長面Pは、延長方向D及び延長方向Dに垂直な横方向Tを含む。
【0052】
好ましくは、電圧測定デバイス20は、歯26の延長方向Dがスタック方向Eに垂直であるように、スタック4の側面4A上に取り付けられるように構成される。横方向Tはスタック方向Eに平行である。
【0053】
各歯26は、それぞれの分離器6の端部に平行に、より具体的には、その歯26によって担持される電気的接点28が接触する分離器6の端部に沿って延びる。
【0054】
歯26は、電圧測定デバイス20がスタック4上に取り付けられて、各歯26がそれぞれの分離器6に面することができるように、互いから横方向に離間される。
【0055】
本実施形態の一例では、歯26の列30の2つの連続した歯26の間の横方向間隔は、スタック4の2つの連続した分離器6の間の間隔に対応する。
【0056】
有利なことに、各歯26は、弾性の様態で横方向に曲がるように構成される。歯26の横方向の曲がりは、延長面Pで起こる。各歯26の横方向の曲がりは、その歯26によって担持される電気的接点28の、横方向Tに沿った変位をもたらす。
【0057】
歯26の横方向の曲がりによって、分離器6及び/又は分離器6の接触区域32の開口34の位置決めの多様性、ならびに、例えば、特に電気化学反応器2の動作期間の、スタック4の熱膨張又は熱収縮に起因した、接触区域32の可能性がある相対的変位を補償することが可能になる。
【0058】
本実施形態の一例では、各歯26が、歯26の近位端26Aから歯26の遠位端26Bに向かって、徐々に減少し次いで徐々に増加する幅を有する。各歯26は、その近位端26A及びその遠位端26Bにおけるよりも、歯26の中間領域において、幅が細い。各歯26の幅は、横方向Tに沿って採られる。
【0059】
このことによって、ベース24への信頼性の高い接続及び歯26の遠位端26Bによって担持される電気的接点28への信頼性の高い接続を確実にする一方で、歯26への横方向の柔軟性が実現される。
【0060】
支持体22は、歯26を備え、その遠位端26Bは、延長方向Dに沿って、互いからオフセットされる。
【0061】
これが、各歯26によって担持される電気的接点28を、隣接する歯26からの干渉が少なく位置決めすることを可能にすることによって、スタック4上に電圧測定デバイス20を取り付けることを容易にする。
【0062】
図3に図示されるような実施形態の一例では、並んで配される歯26の列30は、延長方向Dに沿って互いからオフセットされるそれらの遠位端26Bを有する歯26を含む。
【0063】
有利なことに、列30内の各歯26は、列30内の各隣接する歯26の遠位端26Bに対して延長方向Dに沿ってオフセットされた、各歯26の遠位端26Bを有する。
【0064】
具体的には、列30内の2つの他の隣接する歯26の間に配置される列30内の各歯26は、列30内の他の2つの隣接する歯26の遠位端32Bに対して延長方向Dに沿ってオフセットされた、各歯26の遠位端26Bを有する。
【0065】
本実施形態の一例では、支持体22は、その遠位端26Bが第1の位置合わせ軸線A1に沿って位置合わせされる歯26、及び、その遠位端26Bが第1の位置合わせ軸線A1に対してオフセットされる他の歯26を備える。
【0066】
具体的には、支持体22は、第1のグループを形成し、その遠位端26Bが第1の位置合わせ軸線A1に沿って位置合わせされる歯26、及び、第2のグループを形成し、その遠位端26Bが第1の位置合わせ軸線A1に対してオフセットされる歯26を含む、並んで配される歯26の列30を備える。
【0067】
第1のグループの歯26及び第2のグループの歯26は、例えば、列30内に交互に配される。
【0068】
したがって、各歯26は、列30内の各隣接する歯26の遠位端26Bに対して延長方向Dに沿ってオフセットされた、各歯26の遠位端26Bを有する。
【0069】
第1の位置合わせ軸線A1は、例えば、延長方向Dに垂直である。第1の位置合わせ軸線A1は、次いで、横方向Tに平行である。
【0070】
本実施形態の一例では、第2のグループの歯26は、第1の位置合わせ軸線A1とは別個の第2の位置合わせ軸線A2に沿って位置合わせされた、歯26の遠位端26Bを有する。
【0071】
具体的には、支持体22は、その遠位端26Bが第1の位置合わせ軸線A1に沿って位置合わせされる歯26、及び、その遠位端26Bが第1の位置合わせ軸線A1とは別個の第2の位置合わせ軸線A2に沿って位置合わせされる歯26を含む並んで配される歯26の列30を備える。
【0072】
この場合、支持体22は、その遠位端26Bが第1の位置合わせ軸線A1に沿って位置合わせされる第1のグループの歯26、及びその遠位端26Bが第1の位置合わせ軸線A1とは別個の第2の位置合わせ軸線に沿って位置合わせされる第2のグループの歯26を備える歯26の列30を備える。
【0073】
特定の例示の実施形態では、第2の位置合わせ軸線A2は、延長方向Dに垂直であり、及び/又は第1の位置合わせ軸線A1に平行である。
【0074】
したがって、
図3に示される実施形態の特定の例では、支持体22は、その遠位端26Bが第1の位置合わせ軸線A1に沿って位置合わせされる第1のグループの歯26、及びその遠位端26Bが第1の位置合わせ軸線A1とは別個の第2の位置合わせ軸線A2に沿って位置合わせされる第2のグループの歯26から形成される列30を備え、第1の位置合わせ軸線A1と第2の位置合わせ軸線A2の両方が延長方向Dに垂直である。
【0075】
本実施形態の一例では、支持体22の歯26が異なる長さの歯26を含む。
【0076】
このことによって、歯26の列30が延長方向Dにほぼ垂直なベース24の同じ端部24Aから延び、歯26が延長方向Dに沿って遠位端26Bをオフセットさせることが可能になる。
【0077】
本実施形態の一例では、支持体22は、第1の長さL1を有する歯26及び第2の長さL2を有する歯26を含み、第1の長さL1は、第2の長さL2よりも絶対に長い。
【0078】
本実施形態の特定の例では、支持体22は、第1の長さL1を有する第1のグループの歯26及び第2の長さL2を有する第2のグループの歯26を含む、並んで配される歯26の列30を備え、第1の長さL1は、第2の長さL2よりも絶対に長い。
【0079】
好ましくは、第1のグループの歯26と第2のグループの歯26は、列30に交互に配される。
【0080】
図3に図示される実施形態の例では、ホルダ22は、第1の長さL1より絶対に短い第2の長さL2を有する歯26と交互に配置された、第1の長さL1を有する歯26から形成されている列30を備えている。歯26は、ベース24の端部24Aから延び、この端部24Aは、延長方向Dにほぼ垂直である。第1の長さL1を有する歯26の遠位端26Bは、延長方向Dに垂直な第1の位置合わせ軸線A1に沿って位置合わせされ、第2の長さL2を有する歯26は、延長方向Dに垂直な第2の位置合わせ軸線A2に沿って位置合わせされる。
【0081】
並んで配される歯26の列30は、列30の一方の端部から列30の他方の端部に向けて進む、第1の歯26及び最後の歯26を備える。
【0082】
任意選択で、支持体22が歯26の列30を備え、その第1の歯26は、前記第1の歯26によって担持される電気的接点28と接触する分離器6に隣接する分離器6と接触するように構成される追加の電気的接点40を担持する。
【0083】
例えば、追加の電気的接点40は、第1の歯26に隣接する列30の第2の歯26と反対の側に、歯26から横方向に延びる延長部42に取り付けられる。
【0084】
延長部42は、第1の歯26の近位端から離れて第1の歯26に加わる。
【0085】
図3に示されるように、列30内の第1の歯26が列30内の最も左の歯26であり、列30内の最後の歯26が列30内の最も右の歯26である。もちろん、本構成は反転することができる。
【0086】
有利なことに、2つの電圧測定デバイス20が、2つの電圧測定デバイス20間の機械的な干渉なしで、具体的には、2つの電圧測定デバイス20のうちの1つの延長部42の他の電圧測定デバイス20との機械的な干渉なしで、2つの隣接する電気化学セルグループ10の電圧を測定するように、電圧測定デバイス20が別の電圧測定デバイス20に隣接して配されるように構成される。
【0087】
本実施形態の一例では、第1の歯26の遠位端26Bは、最後の歯26の遠位端26Bよりも延長方向Dに沿って進められる。具体的には、延長部42は、最後の歯26の遠位端26Bよりも延長方向Dに沿って進められる。
【0088】
図3に示される実施形態の例では、列30の第1の歯26が第1の長さL1を有し、列30の最後の歯26(列30の右端に配置される)が第1の長さL1より絶対に短い第2の長さL2を有する。延長部42は、第2の長さL2より絶対に長い前記第1の歯26の近位端26Aからある距離で第1の歯26に加わる。
【0089】
図5に図示されるように、電圧測定デバイス20を別の電圧測定デバイス20の隣に配し、他の電圧測定デバイス20の第1の歯26によって担持される追加の電気的接点40と電圧測定デバイス20の最後の歯26の電気的接点28の両方が、互いに干渉することなく同じ分離器6と接触することが可能である。
【0090】
両極性分離器6を備えるスタック4では、そのように並んで配された2つの電圧測定デバイス20が、2つの隣接する電気化学セルグループ10のうちの電気化学セル10の電圧を測定し、追加の電気的接点40が、2つの隣接する電気化学セルグループ10間の界面に配置される電気化学セル10の電圧を測定することができる。
【0091】
そのような電圧測定デバイス20は、したがって、モジュール方式でスタック4に沿って並んで配し、所望の数の隣接する電気化学セル10の電圧を測定するのに必要なだけ多くの電圧測定デバイス20を配することができる。
【0092】
実際には、スタック4内のすべての電気化学セル10の電圧を測定する必要はない。
【0093】
例えば、第1のセクションと第2のセクションの間に配置される中間セクションに配置される電気化学セル10のうちの1つで電圧を測定することなく、電圧測定デバイス20又は並んで配される複数の電圧測定デバイス20を使用してスタック4の第1のセクション内の電気化学セル10の電圧を測定すること、並んで配される1つ又は複数の電圧測定デバイス20によってスタック4の第2のセクション内の電気化学セル10の電圧を測定することが可能である。
【0094】
任意選択で、電圧測定デバイス20は、ベース24によって担持される電子測定ユニット44、及びベース24によって担持される電気的コネクタ46を備える。
【0095】
各電気的接点28、及び適用可能な場合、追加の電気的接点40は、電子測定ユニット44に電気的に接続される。
【0096】
各電気的接点(電気的接点28又は追加の電気的接点40)と電子測定ユニット44との間の電気的接続は、例えば、この電気的接点を担持する歯26に沿って延びる導電性トラック48(
図4)を介して行われる。
【0097】
電子測定ユニット44は、例えば、電気的接点28によって取り出された電気信号を処理し、対応する測定信号を生成するように構成される。
【0098】
電子測定ユニット44は、例えば、測定信号を電気的コネクタ46を介して電子デバイスに送信するように構成される。
【0099】
電気信号は、各電気的接点28の電位を表すアナログ信号である。
【0100】
測定信号は、アナログ信号、又は、好ましくはデジタル信号である。
【0101】
例えば、電子測定ユニット44は、検討中の各電気化学セル10の電圧、言い換えると、各電気化学セル10の2つの分離器6間の電位差を表す測定信号を生成するように構成される。
【0102】
この場合、電子測定ユニット44は、電気信号から各電気化学セル10の電圧を決定し、対応する電圧測定信号を生成する処理を実施する。
【0103】
あるいは、電子測定ユニット44は、電気的コネクタ46を介して電子デバイスに送信するために、電気的接点28によって復元された電気信号をデジタル測定信号へと変えるように構成される。
【0104】
この場合、電子測定ユニット44は、電圧測定信号を生成するために電気信号を処理せず、しかし単に、送信するため電気信号をデジタル信号に変える。例えば、検討中の各電気化学セル10の電圧は、受け取ったデジタル信号から電子デバイスによって決定される。
【0105】
電子測定ユニット44が、(電圧測定値を決定するため電子測定ユニット44内で処理を実施して、又は実施することなく)デジタル測定信号を生成し、それらを電気的コネクタ46を介して電子デバイスに送信するように構成される場合、電子測定ユニット44は、好ましくは、電子デバイスを電子測定ユニット44から電気的に絶縁するように構成されるデジタル電気絶縁回路47を組み込む。
【0106】
デジタル電気絶縁回路47は、例えば、電子測定ユニット44と電子デバイスとの間で、光信号(光学的絶縁)又は磁気パルス(パルス変換器絶縁)又は任意の他の絶縁方法の形で情報を送信するように構成される。
【0107】
電気的コネクタ46は、次いで、電圧測定デバイス20の残りから電気的に絶縁される。
【0108】
これは、電気化学反応器の電気化学セル10の接地電圧が数百ボルトであってよく、一方で、電圧測定値を活用する電子デバイスはほんの数ボルトの接地電圧で働くために、有利である。電気化学反応器に対して可能な限り近い電気絶縁は、ユーザをも保護する。
【0109】
さらに、アナログ信号が先にデジタル化することなく電子デバイスに送信されることになる場合と比較して、電気化学反応器2に可能な限り近いアナログ信号のデジタル信号への変換によって、環境の電磁汚染によるアナログ信号の劣化を回避する。
【0110】
有利なことに、電子測定ユニット44は、デジタル通信バスとインターフェースするように設計される。具体的には、電気的コネクタ46が、デジタル通信バスとインターフェースするように設計される。
【0111】
この方式では、複数の電圧測定デバイス20が単一のデジタル通信バスに接続され、各電圧測定デバイス20は、その電気的コネクタ46を介してデジタル通信バスに接続される。デジタル通信バスは、電圧測定値を取り出す及び/又は評価する役目を果たす電子デバイスに接続される。これは、配線を簡単にするという利点を有する。
【0112】
電気測定ユニット44は、例えば、専用集積回路(又は、「特定用途向け集積回路」を意味するASIC)を備える。追加又は代替として、電気測定ユニット44は、プログラム可能論理回路又はメモリ及びプロセッサを含む電子データ処理ユニットを備える。
【0113】
有利なことに、電圧測定デバイス20の支持体22は、プリント回路板である。したがって、支持体22は、例えば、プリント回路板を切断してベース24及び歯26を形成することによって簡単に形成することができる。あるいは、付加製造(又は「3Dプリント」)によって形成することができる。
【0114】
支持体22がプリント回路板の形で提供されるとき、電気測定ユニット44は、例えば、電気測定ユニット44の電子構成要素を取り付けることによって、支持体22上に容易に取り付けること、及び、例えば、電気的トラックによってそれらを互いに接続することができる。
【0115】
図6の電圧測定デバイス20は、歯26が、ベース24の側面それぞれに配置される歯26の2つの列へと分割されるという点で
図3のものと異なる。
【0116】
歯26の2つの列は、以降で、第1の列50及び第2の列52と呼ばれる。
【0117】
第1の列50及び第2の列52の歯26は、ベース24から同じ延長方向Dに延びる。
【0118】
第1の列50の歯26は、ベース24の一方の端部24A(又は、「第1の端部24A」)から延び、第2の列52の歯26は、前記第1の端部24Aと反対の、ベース24の別の端部24B(又は、「第2の端部24B」)から延びる。
【0119】
第1の列50の歯26及び第2の列52の歯26は、ベース24から反対方向に延びる。
【0120】
ベース24の片側に配置される第1の列50の歯26の遠位端は、第2の列52の歯26の遠位端26Bに対して延長方向Dに沿ってオフセットされる。
【0121】
図6に図示されるように、第1の列50の歯26は、例えば、位置合わせ軸線A1に沿って位置合わせされるそれらの遠位端26Bを有する。
【0122】
本実施形態の特定の例では、第1の列50の歯26の遠位端26Bの位置合わせ軸線A1は、延長方向Dに対して垂直である。
【0123】
例えば、第2の列52の歯26は、位置合わせ軸線A2に沿って位置合わせされるそれらの遠位端26Bを有する。
【0124】
本実施形態の特定の例では、第2の列52の歯26の遠位端26Bの位置合わせ軸線A2は、延長方向Dに対して垂直である。
【0125】
本実施形態の一例では、第1の列50の歯26が同じ第1の長さL1を有し、及び/又は、第2の列52の歯26が同じ第2の長さL2を有する。
【0126】
例えば、第1の列50の歯26が同じ第1の長さL1を有し、第2の列52の歯26が同じ第2の長さL2を有するとき、第1の長さL1と第2の長さL2は等しい。
【0127】
あるいは、第1の長さL1と第2の長さL2のうちの一方が、他方より絶対に短い、又は絶対に長い。
【0128】
好ましくは、歯26がベース24の反対側に配置される第1の列50及び第2の列52を形成する実施形態では、第1の列50と第2の列52の各々において、列の2つの連続した歯26の間の間隔は、スタック4内の2つの連続した分離器6間の間隔の2倍である。
【0129】
好ましくは、歯26がベース24の反対側に配置される第1の列50及び第2の列52を形成する一実施形態では、第1の列50の歯26と第2の列52の歯26は横方向にオフセットされる。そのため、第1の列50と第2の列52のうちの1つの、2つの歯26間の各間隙は、延長方向Dに沿って、第1の列50と第2の列のいずれかからの歯26と位置合わせされる。
【0130】
したがって、スタック4では、その電圧が電圧測定デバイス20によって測定される電気化学セル10の連続した分離器6は、第1の列50の歯26の電気的接点28及び第2の列52の歯26の電気的接点28と交互に接続される。
【0131】
図6に表されるような電圧測定デバイス20は、他の電圧測定デバイス20との追加接点20を担持する延長部42からの干渉なしに、別の同様の電圧測定デバイス20に隣接して置くことができる。
【0132】
本発明によって、スタック4の複数の電気化学セル10の電圧を測定するための電圧測定デバイス20を得ることができ、電圧測定デバイス20は、スタック4上に簡単な様式で設置することができる。
【0133】
具体的には、電気的接点28を担持する歯26によって、各電気的接点28がスタック4の分離器6と接触することが可能になる。横方向に曲がる歯26によって、寸法的な変形体が可能になる。
【0134】
電気的接点28を担持する遠位端26Bは、歯26の延長方向に沿ってオフセットされ、そのため、電気的接点28を担持する遠位端26Bは、並んでいない。
【0135】
このことが、歯26の間の干渉を回避すること、及び/又は、電気化学反応器の組立もしくは動作期間に、各歯26のより大きい横方向の曲げ運動を可能にすることによって組立を容易にする。
【0136】
近接した歯26を有して、その分離器6が非常に薄い電気化学反応器2で電圧測定デバイス20を使用するのを可能にすることができる。
【0137】
具体的には、ベース24の2つの対向する端部24Aと24Bに沿って歯26を分布させることによって、歯26の列の、2つの隣接する電気的接点28間の間隔を増やすことが可能になる。
【0138】
この配置構成は、歯26の列の2つの隣接する電気的接点28間の可能な間隔を制限する、電気化学セル10が薄い場合に、有利である。
【0139】
さらに、歯26が、ベース24の2つの対向する端部24Aと24B上に分布されるということによって、デバイス20により強い機械的な強度がもたらされる。
【0140】
単一の列の歯26を有するデバイス20(
図4)は、たわんで、電気化学セル10のスタック4に向けて引っ張る傾向を有する一方で、ベース24の2つの対向する端部24A及び24B上に歯26が存在することによって、このたわみ効果が低減される。
【0141】
本発明は、上で記載した例の実施形態及び変更形態に限定されない。本実施形態の他の例及び他の変更形態が考えられる。
【0142】
例えば、歯26は、歯26の端部を、延長方向Dに対して斜めの位置合わせ軸線(言い換えると、延長方向Dと平行でなく、延長方向Dと垂直でない位置合わせ軸線)に沿って位置合わせさせることができる。
【0143】
具体的には、歯26の同じ列に、その遠位端26Bが第1の位置合わせ軸線に沿って位置合わせされる第1のグループの歯26、及びその遠位端26Bが第1の位置合わせ軸線と別個の第2の位置合わせ軸線に沿って位置合わせされる第2のグループの歯26を設け、第1の位置合わせ軸線が延長方向Dに対して垂直又は斜めであり、第2の位置合わせ軸線が延長方向に対して垂直又は斜めであり、第1の延長軸と第2の延長軸が互いに平行である、又はそれらの間にゼロでない角度をなすことが可能である。
【0144】
さらに、歯26が第1の列30と第2の列50の間に分布されると、各列30、50の歯26は、必ずしも、延長方向Dに垂直な位置合わせ軸線に沿って位置合わせされない。
【0145】
具体的には、上の段落は、第1の列30及び第2の列50の各々の歯に適用される。
【0146】
したがって、第1の列30及び第2の列50の各々において、その遠位端26Bが第1の位置合わせ軸線に沿って位置合わせされる第1のグループの歯26、及びその遠位端26Bが第1の位置合わせ軸線と別個の第2の位置合わせ軸線に沿って位置合わせされる第2のグループの歯26を設け、第1の位置合わせ軸線が延長方向Dに対して垂直又は斜めであり、第2の位置合わせ軸線が延長方向に対して垂直又は斜めであり、第1の延長軸と第2の延長軸が互いに平行である、又は互いにゼロでない角度をなすことが可能である。
【0147】
加えて、支持体22は、その遠位端26Bが位置合わせ軸線に沿って位置合わせされない歯26を含むことができる。
【0148】
具体的には、支持体22の歯26の列は、その遠位端26Bが位置合わせ軸線に沿って位置合わせされるグループの歯26、及びその遠位端26Bが位置合わせされないグループの歯26を備えることができる。
【符号の説明】
【0149】
2 電気化学反応器
4 スタック
4A 側面
6 分離器、単極性分離器、両極性分離器
8 膜電極組立体
10 電気化学セル
12 イオン交換膜
14 電極
16 流通チャネル
20 電圧測定デバイス
22 支持体、ホルダ
24 ベース
24A 端部
24B 端部
26 歯
26A 近位端
26B 遠位端
28 電気的接点
30 列、第1の列
32 接触区域
34 開口
40 電気的接点
42 延長部
44 電子測定ユニット
46 電気的コネクタ
47 デジタル電気絶縁回路
48 導電性トラック
50 第1の列、第2の列
52 第2の列
【外国語明細書】