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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018311
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】リベッター及びリベット保持部
(51)【国際特許分類】
   B21J 15/10 20060101AFI20220120BHJP
   B21J 15/00 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
B21J15/10 A
B21J15/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020121342
(22)【出願日】2020-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000232830
【氏名又は名称】株式会社ロブテックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】林 宗一
(57)【要約】
【課題】マンドレルの軸長を従来よりも短縮したブラインドリベットを使用可能なリベッター及びリベッターに対して交換可能に設けられるリベット保持部を提供する。
【解決手段】リベット保持部5は、ジョー6と、ジョーケース7と、外装ケース8と、を備え、交換可能に構成された複数のリベット保持部5の各々が備える外装ケース8は、貫通孔を除く他の部分が同一形状に構成され、リベット保持部5にブラインドリベットを保持させるまで、付勢手段9の付勢力によりリベット保持部5の先端側内面にジョー6が当接され、交換可能な複数のリベット保持部5の各々は、ジョーケース7における先端開口部の径寸法が、使用するブラインドリベットが有するマンドレルの軸径に対応している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、該本体の先端に交換可能に設けられ、ブラインドリベットを保持するリベット保持部と、を備え、
前記リベット保持部は、ジョーと、ジョーケースと、外装ケースと、を備え、
前記ジョーは、前記ブラインドリベットが有するマンドレルを挿入して挟持可能に構成され、かつ、前記外装ケース内に設けられた付勢手段の付勢力により先端側へ付勢され、
前記ジョーケースは、前記ジョーが先端部に内装可能で、かつ、先端部の内周面が先端側ほど先細りしたテーパー状に構成され、
前記外装ケースは、前記ジョーケースを外装するように構成された筒状体であって、前記ブラインドリベットのマンドレルの軸径に対応した径寸法の貫通孔を先端部に備え、
交換可能な複数のリベット保持部の各々が備える外装ケースは、前記貫通孔を除く他の部分が同一形状に構成され、
前記リベット保持部に前記ブラインドリベットを保持させるまで、前記付勢手段からの付勢力により該リベット保持部の先端側内面に前記ジョーが当接され、
前記交換可能な複数のリベット保持部の各々は、前記ジョーケースにおける先端開口部の径寸法が、使用するブラインドリベットが有するマンドレルの軸径に対応している、又は、前記ジョーの径方向の厚み寸法が、使用するブラインドリベットが有するマンドレルの軸径に対応していることを特徴とするリベッター。
【請求項2】
前記外装ケースは、単一材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリベッター。
【請求項3】
前記外装ケースは、貫通孔周りの硬度が他の部分の硬度よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載のリベッター。
【請求項4】
前記交換可能な複数のリベット保持部の各々が備える、ジョーの軸方向寸法が同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリベッター。
【請求項5】
リベッターにおける本体の先端に交換可能に設けられ、前記本体への装着状態でブラインドリベットを保持すべく、ジョーと、ジョーケースと、外装ケースと、を備えるリベット保持部であって、
前記ジョーは、前記ブラインドリベットが有するマンドレルを挿入して挟持可能に構成され、かつ、前記外装ケース内に設けられた付勢手段の付勢力により先端側へ付勢され、
前記ジョーケースは、前記ジョーが先端部に内装可能で、かつ、先端部の内周面が先端側ほど先細りしたテーパー状に構成され、
前記外装ケースは、前記ジョーケースを外装するように構成された筒状体であって、前記ブラインドリベットのマンドレルの軸径に対応した径寸法の貫通孔を先端部に備え、
交換可能な複数のリベット保持部の各々が備える外装ケースは、前記貫通孔を除く他の部分が同一形状に構成され、
前記リベット保持部に前記ブラインドリベットを保持させるまで、前記付勢手段からの付勢力により該リベット保持部の先端側内面に前記ジョーが当接され、
前記交換可能な複数のリベット保持部の各々は、前記ジョーケースにおける先端開口部の径寸法が、使用するブラインドリベットが有するマンドレルの軸径に対応している、又は、前記ジョーの径方向の厚み寸法が、使用するブラインドリベットが有するマンドレルの軸径に対応していることを特徴とするリベット保持部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リベッター及びリベッターに対して交換可能に設けられるリベット保持部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリベッターでは、本体の先端に交換可能に設けられ、ブラインドリベットを保持するリベット保持部を備えている。このリベット保持部は、ジョーと、ジョーケースと、ジョーケースを覆うケーシングと、ケーシングの先端に着脱自在に取り付けられるノーズピースと、を備えている。特に、軸径の大きなマンドレルを有するブラインドリベットをリベット保持部で保持するためには、マンドレルの軸径に一致したノーズピース(特許文献1ではノズル)をケーシングの先端に取り付けることになる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4834418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のリベッターでは、ノーズピースでジョーを後方へ押し込むことによりジョーの内径を大きくすることで、軸径の大きなマンドレルをジョーで保持することができるようにしている。しかし、このような構成のリベッターでは、ジョーが後方へ移動するため、マンドレルの軸長が長いブラインドリベットでないと使用できない。
【0005】
本発明は、マンドレルの軸長を従来よりも短縮したブラインドリベットを使用可能なリベッター及びリベッターに対して交換可能に設けられるリベット保持部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のリベッターは、本体と、該本体の先端に交換可能に設けられ、ブラインドリベットを保持するリベット保持部と、を備え、前記リベット保持部は、ジョーと、ジョーケースと、外装ケースと、を備え、前記ジョーは、前記ブラインドリベットが有するマンドレルを挿入して挟持可能に構成され、かつ、前記外装ケース内に設けられた付勢手段の付勢力により先端側へ付勢され、前記ジョーケースは、前記ジョーが先端部に内装可能で、かつ、先端部の内周面が先端側ほど先細りしたテーパー状に構成され、前記外装ケースは、前記ジョーケースを外装するように構成された筒状体であって、前記ブラインドリベットのマンドレルの軸径に対応した径寸法の貫通孔を先端部に備え、交換可能な複数のリベット保持部の各々が備える外装ケースは、前記貫通孔を除く他の部分が同一形状に構成され、前記リベット保持部に前記ブラインドリベットを保持させるまで、前記付勢手段からの付勢力により該リベット保持部の先端側内面に前記ジョーが当接され、前記交換可能な複数のリベット保持部の各々は、前記ジョーケースにおける先端開口部の径寸法が、使用するブラインドリベットが有するマンドレルの軸径に対応している、又は、前記ジョーの径方向の厚み寸法が、使用するブラインドリベットが有するマンドレルの軸径に対応していることを特徴としている。
【0007】
かかる構成によれば、ジョーケースにおける先端開口部の径寸法が、使用するブラインドリベットが有するマンドレルの軸径に対応していることで、ジョーケースに収容されるジョーの内径がマンドレルの軸径に対応する。これにより、リベット保持部にブラインドリベットを保持させるまで、外装ケース内に設けられた付勢手段の付勢力によりリベット保持部の先端側内面にジョーが当接されているので、従来のノーズピースを取り付けた場合のように、軸径の大きなマンドレルに対応させるために、ジョーが後方へ移動することがない。よって、マンドレルの軸長を従来よりも短縮しても、大径のマンドレルをジョーで挟持することができる。又、ジョーの径方向の厚み寸法が、使用するブラインドリベットが有するマンドレルの軸径に対応していることで、ジョーケースに収容されるジョーの内径がマンドレルの軸径に対応する。これにより、リベット保持部にブラインドリベットを保持させるまで、付勢手段からの付勢力によりリベット保持部の先端側内面にジョーが当接されているので、従来のノーズピースを取り付けた場合のように、軸径の大きなマンドレルに対応させるために、ジョーが後方へ移動することがない。よって、マンドレルの軸長を従来よりも短縮しても、大径のマンドレルをジョーで挟持することができる。
【0008】
また、本発明のリベッターは、前記外装ケースが、単一材料で形成されていてもよい。
【0009】
上記のように、外装ケースが、単一材料で形成されていれば、製造工程において有利になる。
【0010】
また、本発明のリベッターは、外装ケースが、貫通孔周りの硬度が他の部分の硬度よりも大きくてもよい。
【0011】
上記のように、外装ケースが、貫通孔周りの硬度が他の部分の硬度よりも大きくなっていれば、外装ケース内に設けられた付勢手段の付勢力によりリベット保持部の先端側内面にジョーが当接されても、早期に貫通孔周りが破損することを抑制できる。
【0012】
また、本発明のリベッターは、前記交換可能な複数のリベット保持部の各々が備える、ジョーの軸方向寸法が同一であってもよい。
【0013】
上記のように、交換可能な複数のリベット保持部の各々が備える、ジョーの軸方向寸法が同一であれば、貫通孔を除いて外装ケースの形状を同一にできる。また、径の異なるマンドレルの軸長を同一の長さにすることができる。
【0014】
また、本発明のリベット保持部は、リベッターにおける本体の先端に交換可能に設けられ、前記本体への装着状態でブラインドリベットを保持すべく、ジョーと、ジョーケースと、外装ケースと、を備えるリベット保持部であって、前記ジョーは、前記ブラインドリベットが有するマンドレルを挿入して挟持可能に構成され、かつ、前記外装ケース内に設けられた付勢手段の付勢力により先端側へ付勢され、前記ジョーケースは、前記ジョーが先端部に内装可能で、かつ、先端部の内周面が先端側ほど先細りしたテーパー状に構成され、前記外装ケースは、前記ジョーケースを外装するように構成された筒状体であって、前記ブラインドリベットのマンドレルの軸径に対応した径寸法の貫通孔を先端部に備え、交換可能な複数のリベット保持部の各々が備える外装ケースは、前記貫通孔を除く他の部分が同一形状に構成され、前記リベット保持部に前記ブラインドリベットを保持させるまで、前記付勢手段からの付勢力により該リベット保持部の先端側内面に前記ジョーが当接され、前記交換可能な複数のリベット保持部の各々は、前記ジョーケースにおける先端開口部の径寸法が、使用するブラインドリベットが有するマンドレルの軸径に対応している、又は、前記ジョーの径方向の厚み寸法が、使用するブラインドリベットが有するマンドレルの軸径に対応していることを特徴としている。
【0015】
かかる構成によれば、ジョーケースにおける先端開口部の径寸法が、使用するブラインドリベットが有するマンドレルの軸径に対応していることで、ジョーケースに収容されるジョーの内径がマンドレルの軸径に対応する。これにより、リベット保持部にブラインドリベットを保持させるまで、外装ケース内に設けられた付勢手段の付勢力によりリベット保持部の先端側内面にジョーが当接されているので、従来のノーズピースを取り付けた場合のように、軸径の大きなマンドレルに対応させるために、ジョーが後方へ移動することがない。よって、マンドレルの軸長を従来よりも短縮しても、大径のマンドレルをジョーで挟持することができる。又、ジョーの径方向の厚み寸法が、使用するブラインドリベットが有するマンドレルの軸径に対応していることで、ジョーケースに収容されるジョーの内径がマンドレルの軸径に対応する。これにより、リベット保持部にブラインドリベットを保持させるまで、付勢手段からの付勢力によりリベット保持部の先端側内面にジョーが当接されているので、従来のノーズピースを取り付けた場合のように、軸径の大きなマンドレルに対応させるために、ジョーが後方へ移動することがない。よって、マンドレルの軸長を従来よりも短縮しても、大径のマンドレルをジョーで挟持することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上により、ジョーケースにおける先端開口部の径寸法が、使用するブラインドリベットが有するマンドレルの軸径に対応している、又は、ジョーの径方向の厚み寸法が、使用するブラインドリベットが有するマンドレルの軸径に対応していることで、マンドレルの軸長を従来よりも短縮したブラインドリベットを使用可能なリベッター及びリベッターに対して交換可能に設けられるリベット保持部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係るリベッターの縦断側面図である。
図2図1の要部の拡大図である。
図3】径の大きなマンドレルを保持するリベット保持部を示し、(a)は従来例、(b)は本願発明を示している。
図4】径の小さなマンドレルを保持するリベット保持部を示し、(a)は従来例、(b)は本願発明を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
本実施形態に係るリベッターは、図1及び図2に示すように、作業者がハンドル部1を手に持って作業を行うエアーリベッターであり、ハンドル部1の上端に前後方向に延びるように取り付けられた本体2と、ハンドル部1の下端に下方に延びるように取り付けられた作動油供給手段3と、本体2の先端に交換可能に設けられ、ブラインドリベット4を保持するリベット保持部5と、を備えている。ブラインドリベット4は、図3に示すように鋼板などの被締結材を締結するためのリベット本体4Aと、リベット本体4Aに挿通されたマンドレル(シャフト)4Bと、を備えている。ブラインドリベット4としては、図に示すもの以外の種々のタイプのものが使用できる。
【0020】
リベット保持部5は、本体2への装着状態でブラインドリベット4のマンドレル4Bを保持すべく、ジョー6と、ジョーケース7と、外装ケース8と、を備えている。また、リベット保持部5は、異径の(マンドレルを有する)ブラインドリベットに対応して複数が用意されており、それら複数の中から選択された一つが本体2に装着されている。この実施形態では、リベット保持部5の外装ケース8の後端部及び本体2の前端部の一方に雌螺子部8Nが形成され、他方に雌螺子部8Nに螺合及び螺合解除可能な雄螺子部2Aを備えているが、一方に備えた被係止部に対して係止及び係止解除可能な係止部を他方に備えていてもよく、リベット保持部5と本体2との着脱構造は、これら以外の他の構造であってもよい。
【0021】
ジョー6は、ブラインドリベット4が有するマンドレル4Bの径より僅かに大きい内径を有し、かつ、内周面に滑り止めが施された貫通孔が軸線上に形成された截頭円錐体を軸線に沿って二分割した一対の分割体6A,6Aで構成されている。そして、一対の分割体6A,6Aは、マンドレル4Bを挿入して挟持可能に構成され、かつ、外装ケース8内に備える付勢手段であるコイルバネ9の付勢力がジョープッシャー10を介して伝達されることで、先端側へ付勢されている。前記コイルバネ9は、後述するピストンロッド20Bに内装されている。
【0022】
ジョーケース7は、ジョー6が略同心で先端部に内装可能で、かつ、先端部の内周面が先端側ほど先細りしたテーパー状に構成された筒状体に構成されている。このテーパー状の内周面にジョー6のテーパー状の外周面が摺動できるように、ジョーケース7にジョー6が内装されている。
【0023】
外装ケース8は、ジョーケース7を外装するように構成された筒状体であって、ブラインドリベット4のマンドレル4Bの軸径に対応した径寸法の貫通孔8Aを先端部に備えている。複数のリベット保持部5においても、外装ケース8は、貫通孔を除いて同一形状である。なお、貫通孔を加工するまでは、全く同一形状にできるので、製造工程において有利になる。
【0024】
前記した交換可能な複数のリベット保持部5の各々は、ジョーケース7における先端開口部7Aの径寸法が、使用するブラインドリベット4が有するマンドレル4Bの軸径に対応して形成されている。具体的には、図3(b)に示すジョーケース7における先端開口部7Aの径寸法P1を、図4(b)に示すジョーケース7における先端開口部7Aの径寸法P2よりも大きくすることによって、図3(b)に示すジョー6に挟持されるブラインドリベット4のマンドレル4Bの軸径S1を、図4(b)に示すジョー6に挟持されるブラインドリベット4のマンドレル4Bの軸径S2よりも大きくすることができる。ジョーケース7における先端開口部7Aの径寸法P2を変更する構成に代えて、ジョー6の径方向の厚み寸法(図3(b)、図4(b)に示す上下寸法)を、使用するブラインドリベット4が有するマンドレル4Bの軸径に対応して設定してもよい。
【0025】
ジョーケース7における先端開口部7Aの径寸法P2が、使用するブラインドリベット4が有するマンドレル4Bの軸径S2に対応していることで、ジョーケース7に収容されるジョー6の内径6aがマンドレル4Bの軸径S2に対応する。これにより、リベット保持部5にブラインドリベット4のマンドレル4Bを保持させるまで、外装ケース8に備える付勢手段であるコイルバネ9の付勢力によりリベット保持部5の先端側内面にジョー6の先端が当接されているので、従来のノーズピースを取り付けた場合のように、軸径の大きなマンドレルに対応させるために、ジョー6が後方へ移動することがない。よって、マンドレル4Bの軸長を従来よりも短縮しても、大径のマンドレル4Bをジョー6で挟持することができる。又、ジョー6の径方向の厚み寸法が、使用するブラインドリベット4のマンドレル4Bの軸径に対応していることで、ジョーケース7に収容されるジョー6の内径がマンドレル4Bの軸径に対応する。これにより、リベット保持部5にブラインドリベット4のマンドレル4Bを保持させるまで、コイルバネ9からの付勢力によりリベット保持部5の外装ケース8の先端側内面8Bにジョー6が当接されているので、従来のノーズピースを取り付けた場合のように、軸径の大きなマンドレルに対応させるために、ジョー6が後方へ移動することがない。よって、マンドレル4Bの軸長を従来よりも短縮しても、大径のマンドレル4Bをジョー6で挟持することができる。
【0026】
具体的に、従来のリベット保持部50と本願発明のリベット保持部5とを、図に基づいて説明する。尚、ブラインドリベット4のマンドレル4Bの直径が4.8mmの場合である。図3(a)に示す従来のリベット保持部5は、ジョー6と、ジョーケース7と、ジョーケース7を覆うケーシング80と、ケーシング80の先端に着脱自在に取り付けられるノーズピース81と、を備えている。図3(a)では、軸径の大きなマンドレル4Bであるため、ノーズピース81でジョー6を後方へ押し込むことによりジョー6の内径を大きくして、軸径の大きなマンドレル4Bをジョー6で保持することができるようにしている。ジョー6がノーズピース81で移動されることと、ノーズピース81がケーシング80から先端側へ突出していることとから、ノーズピース81の先端からジョー6の後端までの寸法L1よりも長いマンドレル4Bの軸長L3が必要になる。これに対して、本願発明では、ノーズピース81が不要であるとともに、ジョーケース7における先端開口部7Aの径寸法を、使用するブラインドリベット4のマンドレル4Bの軸径に対応させることにより、ジョーケース7に収容されるジョー6の内径6aがマンドレル4Bの軸径S1に対応する。これによりジョー6を後方へ移動させることなく、マンドレル4Bをジョー6で挟持することができるため、外装ケース8の先端からジョー6の後端までの寸法L2を従来の寸法L1よりも短くすることができる。したがって、マンドレル4Bの軸長L4を従来のマンドレル4Bの軸長L3よりも短縮しても、大径のマンドレル4Bをジョー6で挟持することができる。また、ノーズピース81を不要にできるだけでなく、マンドレル4Bの軸長を短くできる。マンドレルの大部分は、施工時に切断されて廃棄されてしまう、つまり締結に寄与しないから、軸長を短縮することでブラインドリベットのコストダウンに貢献できる。また、リベット保持部5の製造コストも下げることができる。
【0027】
また、図4(a),(b)では、ブラインドリベット4のマンドレル4Bの直径が前記4.8mmよりも細い直径を有するマンドレル4Bを挟持する場合を示している。図4(a)は、従来のリベット保持部50を示し、このリベット保持部50は、ジョー6と、ジョーケース7と、ジョーケース7を覆うケーシング80と、ケーシング80の先端に着脱自在に取り付けられるノーズピース81と、を備えている。これに対して、本願発明では、ノーズピース81が不要であるため、ノーズピース81がケーシング80から突出した寸法Mだけ、外装ケース8の先端からジョー6の後端までの寸法L2(図3(b)と同じ寸法)を従来の寸法L5よりも短くすることができる。
【0028】
また、外装ケース8が、各種金属の単一材料で形成されている。外装ケースが、単一材料で形成されていれば、一体形成することで組立工程を不要にでき、製造工程において有利になる。
【0029】
また、外装ケース8が、貫通孔8A周りを焼き入れ等の硬化処理を行うことで、貫通孔8A周りの硬度が他の部分の硬度よりも大きくなっている。このように、外装ケース8が、貫通孔8A周りの硬度が他の部分の硬度よりも大きくなっていれば、コイルバネ9の付勢力によりリベット保持部5の先端側内面8Bにジョー6が当接されても、早期に貫通孔8A周りが破損することを抑制できる。この実施形態では、外装ケース8を一体形成しているが、外装ケースを複数の部材から構成してもよい。例えば、貫通孔8A周りを硬度の大きな別部材から構成し、この別部材を外装ケース本体に螺合や嵌合等により取り付けて、外装ケースを構成してもよい。
【0030】
また、交換可能な複数のリベット保持部5がそれぞれ備える、ジョー6の軸方向寸法が同一になっている。このように、交換可能な複数のリベット保持部5が各々備える、ジョー6の軸方向寸法が同一であれば、図3(b)及び図4(b)に示すように、径の異なるマンドレル4Bの軸長を同一の長さにすることができる。
【0031】
本体2は、作動油供給手段3から供給される作動油により作動する油圧機構部11と、油圧機構部11の後端に連結されたマンドレル回収部12と、を備える。マンドレル回収部12は、ブラインドリベット4から引き抜かれたマンドレル4Bを回収する。
【0032】
作動油供給手段3は、作動油を貯留するオイルタンク13と、エアシリンダ14と、を備えている。
【0033】
オイルタンク13は、油圧機構部11の下端に連結されており、オイルタンク13の作動油がハンドル部1に形成の油路1Hを介して後述の第1空間A1へ供給可能に構成されている。
【0034】
エアシリンダ14は、内部空間Aを形成したエアシリンダ本体15と、エアシリンダ本体15に内装されたピストン16と、を備えている。ピストン16は、ピストン本体17と、ピストン本体17に一端(図1では下端)が軸支されたピストンロッド18と、を備えている。
【0035】
油圧機構部11は、筒状のシリンダ本体19と、シリンダ本体19に対して軸心方向に移動可能に内装されたオイルピストン20と、を備えている。
【0036】
シリンダ本体19は、円柱状の内部空間を形成し、一端部(先端部)に後述のピストンロッド20Bを挿通するためのロッド挿通孔19Aが形成され、他端部(後端部)に、
【0037】
オイルピストン20は、シリンダ本体19の内部空間を軸心方向で一端(先端)側の第1空間A1と他端(後端)側の第2空間A2とに区切るピストン部20Aと、ピストン部20Aに連接されてシリンダ本体19の一端(先端)から延びる先端側にジョーケース7が補助筒状体21を介して連結されたピストンロッド20Bと、を備えている。ピストンロッド20Bは、基端部がピストン部20Aに貫通した状態で連結されている。
【0038】
油圧機構部11は、外径が異なる2個のコイルバネ22,23がピストン部20Aとシリンダ本体19の他端部(後端部)に連結される筒状体24の後壁部24Aとの間に配置され、第1空間A1に作動油供給手段3からの作動油が供給されることにより。2個のコイルバネ22,23の付勢力に抗してオイルピストン20がシリンダ本体19の他端(後端)側へ移動する。
【0039】
前記リベッターは、ハンドル部1に備えるトリガースイッチ25をON又はOFFに切り替えることにより、ピストン16に対して圧縮空気の供給と停止とを切り替える切替弁26を備えている。したがって、トリガースイッチ25をONすることにより、エア供給源(図示せず)からの圧縮空気をエアシリンダ本体15の底部側へ供給し、トリガースイッチ25をOFFすることにより、エア供給源(図示せず)からの圧縮空気の供給を断ってエアシリンダ本体15の底部側の圧縮空気を放出する。
【0040】
前記リベッターの作動について説明すれば、まずブラインドリベット4のマンドレル4Bを外装ケース8の貫通孔8Aに挿入する。この挿入により、マンドレル4Bがジョー6内に位置する状態になる。この状態でトリガースイッチ25をONすると、エアシリンダ14に圧縮空気が供給され、ピストン16が上方へ移動して、オイルタンク13内の作動油を第1空間A1に押し出す。そうすると、第1空間A1の作動油の圧力がコイルバネ22,23の付勢力に抗してオイルピストン20がシリンダ本体19の他端(後端)側へ移動する。
【0041】
オイルピストン20がシリンダ本体19の他端(後端)側へ移動することにより、オイルピストン20のピストンロッド20Bに連結されているジョーケース7が他端(後端)側へ移動する。ジョーケース7が所定量移動すると、コイルバネ9で付勢されているジョー6がマンドレル4Bと接して、挟み込まれ、その挟み込まれた(挟持した)状態を維持したまま、コイルバネ9の付勢力に抗してジョーケース7と一緒に他端(後端)側へ移動する。
【0042】
そして、マンドレル4Bを挟持したジョー6を引っ張り操作し始めてから、リベット本体4Aがカシメられてマンドレル4Bがリベット本体4Aから引き抜かれることで、負荷が無くなったオイルピストン20の移動速度が急激に速くなり、シリンダ本体19の他端の限界位置まで到達する。
【0043】
リベット本体4Aがカシメられて、作業者がトリガースイッチ25をOFFすることにより、エアシリンダ14内の圧縮空気が排気され、油圧機構部11のコイルバネ22,23の付勢力でオイルピストン20がシリンダ本体19の先端側へ押し戻され、ジョー6が外装ケース8の一端部(先端部)まで戻される。これにより、ジョー6がマンドレル4Bの挟持を解除し、流路開閉スイッチ27がONになっていると、圧縮空気がシリンダ本体19の第2空間A2を介してピン移送経路28内に供給されることで、マンドレル4Bが後方へ移動してマンドレル回収部12に回収される。
【0044】
前記カシメ作業が終了して次のカシメ作業で径寸法の異なるブラインドリベットを用いる場合には、径寸法の異なるブラインドリベットの径寸法に対応するリベット保持部を、前回使用したリベット保持部5を本体2から取り外して(螺合解除して)から本体2に取り付ける(螺合する)ことになる。なお、異径のマンドレルに対応した複数のリベット保持部を備えたリベッターとして販売してもよいし、複数のリベット保持部を単独で販売してもよい。
【0045】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0046】
上記実施形態では、圧縮空気の供給で作動する作動油供給手段3を備えたリベッターについて説明したが、例えば、作動油供給手段としての油圧ユニットから油圧機構部11に対して作動油を供給するように構成されたリベッターであってもよい。また、作動油供給手段3を別置きのものとし、別置きの作動油供給手段によって作動油を供給する構成であってもよいし、電動式のリベッターであってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…ハンドル部、1H…油路、2…本体、2A…雄螺子部、3…作動油供給手段、4…ブラインドリベット、4A…リベット本体、4B…マンドレル(シャフト)、5…リベット保持部、6…ジョー、6A…分割体、6a…内径、7…ジョーケース、7A…先端開口部、8…外装ケース、8A…貫通孔、8B…先端側内面、8N…雌螺子部、9…コイルバネ、10…ジョープッシャー、11…油圧機構部、12…マンドレル回収部、13…オイルタンク、14…エアシリンダ、15…エアシリンダ本体、16…ピストン、17…ピストン本体、18…ピストンロッド、19…シリンダ本体、19A…ロッド挿通孔、20…オイルピストン、20A…ピストン部、20B…ピストンロッド、21…補助筒状体、22,23…コイルバネ、24…筒状体、24A…後壁部、25…トリガースイッチ、26…切替弁、27…流路開閉スイッチ、28…ピン移送経路、50…リベット保持部、80…ケーシング、81…ノーズピース、A…内部空間、A1…第1空間、A2…第2空間、L1,L2,L5…寸法、L3,L4…軸長、M…寸法、P1,P2…径寸法、S1,S2…軸径
図1
図2
図3
図4