IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱マテリアル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-金属化合物膜の製造方法 図1
  • 特開-金属化合物膜の製造方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183110
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】金属化合物膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 7/24 20060101AFI20221201BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20221201BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20221201BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B05D7/24 302A
B05D7/00 H
B05D7/00 N
B05D1/36 Z
H01L21/302 105A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086014
(22)【出願日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2021089729
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】辻内 直人
(72)【発明者】
【氏名】曽山 信幸
【テーマコード(参考)】
4D075
5F004
【Fターム(参考)】
4D075AC64
4D075AE03
4D075BB28Z
4D075CA35
4D075CA44
4D075DA07
4D075DB14
4D075DC22
4D075EA07
4D075EA41
4D075EB01
4D075EB42
4D075EC02
5F004AA04
5F004EA03
5F004EA05
(57)【要約】
【課題】表面に開口部を有する基板上に金属化合物膜を成膜する際に、前記開口部の中に金属化合物を充填でき、ボイドの少ない金属化合物膜を効率良く成膜することが可能な金属化合物膜の製造方法を提供する。
【解決手段】表面に開口部を有する基板上に、溶質成分として金属化合物を生成する物質を含有する化合物生成液を塗布して焼成することにより、金属化合物膜を形成する金属化合物膜の製造方法であって、基板の表面に、前記化合物生成液よりも基板との濡れ性が良いプレウェット液を塗布し、開口部にプレウェット液を充填するプレウェット液塗布工程S01と、基板上のプレウェット液に積層するように前記化合物生成液を塗布し、前記化合物生成液の前記溶質成分をプレウェット液中に拡散させる化合物生成液塗布工程S02と、塗布した前記化合物生成液を焼成して金属化合物膜を形成する焼成工程S04と、を備えていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に開口部を有する基板上に、溶質成分として金属化合物を生成する物質を含有する化合物生成液を塗布して焼成することにより、金属化合物膜を形成する金属化合物膜の製造方法であって、
前記基板の表面に、前記化合物生成液よりも前記基板との濡れ性が良いプレウェット液を塗布し、前記開口部に前記プレウェット液を充填するプレウェット液塗布工程と、
前記基板上の前記プレウェット液に積層するように前記化合物生成液を塗布し、前記化合物生成液の前記溶質成分を前記プレウェット液中に拡散させる化合物生成液塗布工程と、
塗布した前記化合物生成液を焼成して、金属化合物膜を形成する焼成工程と、
を備えていることを特徴とする金属化合物膜の製造方法。
【請求項2】
前記化合物生成液がゾルゲル液とされており
塗布した前記化合物生成液を乾燥させ、金属化合物ゲル膜を形成する乾燥工程と、
前記金属化合物ゲル膜を焼成して、金属化合物膜を形成する焼成工程と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の金属化合物膜の製造方法。
【請求項3】
前記プレウェット液塗布工程では、スピンコート法によって前記プレウェット液を塗布することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属化合物膜の製造方法。
【請求項4】
前記プレウェット液塗布工程では、前記プレウェット液を超臨界流体とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属化合物膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング時のハードマスクとして利用される金属化合物膜の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば半導体プロセスにおいて、シリコン等の基板の表面にパターンを形成するためにエッチング処理を行う際には、エッチマスクとして、ポリマーや有機レジスト剤が広く使用されている。
しかしながら、ポリマーは、酸素、フッ素、塩素等の反応性ガスによって容易にエッチングされるおそれがあった。また、有機レジスト剤は、プラズマエッチングした際に、劣化しやすいといった問題があった。
【0003】
そこで、特にプラズマエッチング時のエッチマスクとして、例えば特許文献1-3に示すように、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物等の金属化合物からなる金属化合物膜を用いたハードマスクが提供されている。金属化合物膜は、プラズマエッチングに対して耐性があり、かつ、強酸性の液によって比較的容易に剥離できるため、ハードマスクとして特に適している。
上述の金属化合物膜を基板表面に成膜する方法としては、ゾルゲル液を用いたゾルゲル法が挙げられる。金属化合物のゾルゲル液を基板表面に塗布し、これを焼成することによって、比較的簡易な製造プロセスで、金属化合物膜を成膜することができる。
【0004】
ここで、基板の表面には、予めトレンチ(溝)やホール等の各種形態の開口部が形成されていることがある。
金属化合物膜をハードマスクとして使用する場合には、上述の開口部の中にも金属化合物が充填されるように金属化合物膜を成膜する必要がある。
【0005】
最近では、半導体分野において小型化および高集積化が進み、基板の表面に形成されるトレンチ(溝)やホール等の開口部の開口面積が狭くなる傾向にある。
開口面積が狭い開口部が形成された基板上にゾルゲル液を塗布した場合には、ゾルゲル液の表面張力によって開口部にゾルゲル液が十分に充填されず、焼成後に形成される金属化合物膜において多くのボイドが存在するおそれがあった。
【0006】
このような開口部の中に金属化合物を充填して金属化合物膜を成膜する方法としては、CVD法の一種である、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)が挙げられる。
また、特許文献1には、開口部の側面および底面の界面エネルギーを低下させることにより、開口部の中に液体形状の充填材料(ゾルゲル液)の充填を促進し、金属化合物膜を形成する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2019-510366号公報
【特許文献2】特開平10-194873号公報
【特許文献3】特開2014-077082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述の原子層堆積法においては、製造コストが非常に高く、工業的に広く使用することは困難であった。
また、特許文献1においては、開口部の側面および底面の界面エネルギーを低下させるためのプロセスが必要となるため、製造プロセスが非常に複雑となり、効率良く金属化合物膜を成膜することができないといった問題があった。
【0009】
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、表面に開口部を有する基板上に金属化合物膜を成膜する際に、前記開口部の中に金属化合物を充填でき、ボイドの少ない金属化合物膜を効率良く成膜することが可能な金属化合物膜の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の態様1の金属化合物膜の製造方法は、表面に開口部を有する基板上に、溶質成分として金属化合物を生成する物質を含有する化合物生成液を塗布して焼成することにより、金属化合物膜を形成する金属化合物膜の製造方法であって、前記基板の表面に、前記化合物生成液よりも前記基板との濡れ性が良いプレウェット液を塗布し、前記開口部に前記プレウェット液を充填するプレウェット液塗布工程と、前記基板上の前記プレウェット液に積層するように前記化合物生成液を塗布し、前記化合物生成液の前記溶質成分を前記プレウェット液中に拡散させる化合物生成液塗布工程と、塗布した前記化合物生成液を焼成して、金属化合物膜を形成する焼成工程と、を備えていることを特徴としている。
【0011】
本発明の態様1の金属化合物膜の製造方法によれば、前記基板の表面に、溶質成分として金属化合物を生成する物質を含有する化合物生成液よりも前記基板との濡れ性が良いプレウェット液を塗布しているので、基板表面の開口部の中に前記プレウェット液を十分に充填することが可能となる。
そして、基板表面の開口部に前記プレウェット液を充填した状態で、化合物生成液を塗布しているので、化合物生成液の溶質成分がプレウェット液中に拡散され、基板表面の開口部の中に化合物生成液の溶質成分が充填されることになる。
この状態で焼成工程を実施することにより、基板表面の開口部の中に金属化合物が充填されたボイドの少ない金属化合物膜を成膜することができる。また、比較的簡易な製造プロセスで、効率良く、ボイドの少ない金属化合物膜を成膜することができる。
【0012】
本発明の態様2は、態様1の金属化合物膜の製造方法において、前記化合物生成液がゾルゲル液とされており、塗布した前記ゾルゲル液を乾燥させ、金属化合物ゲル膜を形成する乾燥工程と、前記金属化合物ゲル膜を焼成して、金属化合物膜を形成する焼成工程と、を備えていることを特徴としている。
本発明の態様2の金属化合物膜の製造方法によれば、前記化合物生成液がゾルゲル液とされ、塗布した前記ゾルゲル液を乾燥させ、金属化合物ゲル膜を形成する乾燥工程と、前記金属化合物ゲル膜を焼成して、金属化合物膜を形成する焼成工程と、を備えており、ゾルゲル液を用いて、基板表面の開口部の中に金属化合物が充填されたボイドの少ない金属化合物膜を成膜することができる。
【0013】
本発明の態様3は、態様1または態様2の金属化合物膜の製造方法において、前記プレウェット液塗布工程では、スピンコート法によって前記プレウェット液を塗布することを特徴としている。
本発明の態様3の金属化合物膜の製造方法によれば、スピンコート法によって前記プレウェット液を塗布する構成としているので、基板表面の開口部の中に、十分にプレウェット液を充填することができる。
【0014】
本発明の態様4は、態様1から態様3のいずれか一つの金属化合物膜の製造方法において、前記プレウェット液塗布工程では、前記プレウェット液を超臨界流体とすることを特徴としている。
本発明の態様4の金属化合物膜の製造方法によれば、前記プレウェット液を超臨界流体としているので、基板との濡れ性が向上し、基板表面の開口部の中に、十分にプレウェット液を充填することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、表面に開口部を有する基板上に金属化合物膜を成膜する際に、前記開口部の中に金属化合物を充填でき、ボイドの少ない金属化合物膜を効率良く成膜することが可能な金属化合物膜の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る金属化合物膜の製造方法を示すフロー図である。
図2】本発明の一実施形態に係る金属化合物膜の製造方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態である金属化合物膜の製造方法について説明する。
本実施形態である金属化合物膜の製造方法においては、例えば、半導体ウエハ等の基板の表面に成膜され、エッチング処理時におけるハードマスクとして使用される金属化合物膜を対象としている。
なお、本実施形態では、金属化合物膜の一種である金属酸化物膜を成膜するものとして説明する。また 、本実施形態では化合物生成液として、金属酸化物を含むゾルゲル液を用いるものとして説明する。
【0018】
本実施形態である金属化合物膜の製造方法においては、図2に示すように、表面にトレンチやホール等の開口部12が形成された基板11に対して、金属酸化物膜15を成膜するものである。
ここで、本実施形態においては、開口部12は、開口幅が10nm以上3μm以下、深さが5nm以上500nm以下のトレンチ(溝)とされている。
基板11としては、例えば、シリコン基板、サファイア基板、GaN基板等が挙げられる。本実施形態では、シリコン基板としている。
【0019】
また、金属酸化物膜15を構成する金属酸化物としては、特に限定はなく、各種金属酸化物を適用することができるが、本実施形態では、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化チタンのいずれか一種または二種以上を含むものとされている。
この金属酸化物膜15は、金属酸化物を含むゾルゲル液22を焼成することによって成膜されるものである。
【0020】
そして、本実施形態である金属化合物膜の製造方法においては、図1および図2に示すように、基板11の表面に、ゾルゲル液22よりも基板11との濡れ性が良いプレウェット液21を塗布し、開口部12にプレウェット液21を充填するプレウェット液塗布工程S01と、基板11上のプレウェット液21に積層するようにゾルゲル液22を塗布し、ゾルゲル液22の溶質成分をプレウェット液21中に拡散させるゾルゲル液塗布工程S02と、塗布したゾルゲル液22を乾燥させ、金属酸化物ゲル膜24を形成する乾燥工程S03と、金属酸化物ゲル膜24を焼成し、金属酸化物膜15を形成する焼成工程S04と、を備えている。プレウェット液21の基板11に対する接触角は、ゾルゲル液22の基板11に対する接触角よりも小さい。プレウェット液21の基板11に対する接触角は50°以下であることが好ましく、ゾルゲル液22の基板11に対する接触角は80°以下であることが好ましい。
【0021】
プレウェット液塗布工程S01においては、上述のように、ゾルゲル液22よりも基板11との濡れ性が良いプレウェット液21を塗布していることから、基板11の表面に形成された開口部12の中に、プレウェット液21が充填されることになる。なお、図2に示すように、開口部12の全体にプレウェット液21が充填されていなくてもよく、少なくとも開口部12の底部領域が十分にプレウェット液21で濡れていればよい。
プレウェット液21としては、純水、エタノール等の炭素数が4以下のアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)等のエーテル結合を持つアルコール、等を用いることが好ましい。
【0022】
また、プレウェット液塗布工程S01においては、プレウェット液21をスピンコート法によって塗布することが好ましい。スピンコート法を適用することにより、開口部12の中に十分にプレウェット液21を充填することが可能となる。
さらに、プレウェット液21を、臨界温度以上および臨界圧力以上とした超臨界流体として塗布することが好ましい。超臨界流体は濡れ性に特に優れていることから、開口部12の中に十分にプレウェット液21を充填することが可能となる。
【0023】
ゾルゲル液塗布工程S02においては、上述のように、基板11上のプレウェット液21に積層するようにゾルゲル液22を塗布し、ゾルゲル液22の溶質成分をプレウェット液21中に拡散させている。ゾルゲル液22もスピンコート法で塗布することができる。これにより、開口部12の中にもゾルゲル液22の溶質成分が十分に充填されることになる。なお、ゾルゲル液22の溶質成分は、例えば5秒から10秒間静置することで、プレウェット液21中に拡散することになる。
なお、本実施形態では、ゾルゲル液22としては、溶質成分として、例えば、アルミニウムアルコキシド、ハフニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、タングステンアルコキシド、シリコンアルコキシドから選択される一種又は二種以上を含むものとされている。また、ゾルゲル液22の溶媒としては、例えば、エタノール、1-ブタノール、PGME等が挙げられる。
【0024】
乾燥工程S03においては、プレウェット液21およびゾルゲル液22が塗布された基板11を加熱して乾燥させることにより、金属酸化物ゲル膜24を形成する。上述のように、開口部12の中にゾルゲル液22の溶質成分が充填されていることから、開口部12の中に金属酸化物ゲルが充填されることになる。
この乾燥工程S03における加熱条件は、大気雰囲気、加熱温度を50℃以上300℃以下の範囲内、加熱温度での保持時間を1分以上10分以下の範囲内、とすることが好ましい。
【0025】
ここで、ゾルゲル液塗布工程S02と乾燥工程S03とを繰り返し実施することで、所定の厚さの金属酸化物ゲル膜24を形成する。
なお、乾燥工程S03の後に、開口部12が埋まってない場合には、プレウェット液塗布工程S01とゾルゲル液塗布工程S02と乾燥工程S03とを繰り返し、実施してもよい。繰り返す場合には、2回目以降はプレウェット液塗布工程S01を実施しなくともよい。
【0026】
焼成工程S04においては、前記金属酸化物ゲル膜24を加熱して焼成することにより、金属酸化物膜15を形成する。上述のように、開口部12の中に金属酸化物ゲルが充填されていることから、開口部12の中に金属酸化物が充填されることになる。
この焼成工程S04における加熱条件は、大気雰囲気又は酸素雰囲気、加熱温度を400℃以上800℃以下の範囲内、加熱温度での保持時間を3分以上10分以下の範囲内、とすることが好ましい。
なお、ゾルゲル液塗布工程S02と乾燥工程S03とを繰り返す場合、毎回の乾燥工程S03後に焼成工程S04を行ってもよい。
【0027】
以上の工程により、本実施形態である金属酸化物膜15が製造されることになる。
【0028】
以上のような構成とされた本実施形態である金属化合物膜の製造方法によれば、プレウェット液塗布工程S01において、基板11の表面に、ゾルゲル液22よりも基板11との濡れ性が良いプレウェット液21を塗布しているので、基板11の表面の開口部12の中にプレウェット液21を十分に充填することが可能となる。
【0029】
そして、ゾルゲル液塗布工程S02において、基板11の開口部12にプレウェット液21を充填した状態でゾルゲル液22を塗布しているので、ゾルゲル液22の溶質成分がプレウェット液21中に拡散され、基板11の開口部12の中にゾルゲルの溶質成分が充填されることになる。
この状態で乾燥工程S03および焼成工程S04を実施することにより、基板11の開口部12の中に金属酸化物が充填されたボイドの少ない金属酸化物膜15を成膜することができる。
【0030】
本実施形態において、プレウェット液塗布工程S01で、スピンコート法によってプレウェット液21を塗布する構成とした場合には、基板11の開口部12の中に、十分にプレウェット液21を充填することが可能となる。よって、基板11の開口部12の中に金属酸化物を確実に充填することができ、ボイドの少ない金属酸化物膜15を成膜することが可能となる。
【0031】
本実施形態において、プレウェット液塗布工程S01で、プレウェット液21を臨界温度以上および臨界圧力以上とした超臨界流体として塗布した場合には、プレウェット液21と基板11との濡れ性がさらに向上し、基板11の開口部12の中に、十分にプレウェット液21を充填することが可能となる。よって、基板11の開口部12の中に金属酸化物を確実に充填することができ、ボイドの少ない金属酸化物膜15を成膜することが可能となる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本実施形態では、化合物形成液として金属酸化物を含むゾルゲル液を用い、金属化合物膜の一種である金属酸化物膜を成膜するものとして説明したが、これに限定されることはなく、金属化合物膜は、金属窒化物膜、金属酸窒化物膜であってもよい。なお、例えば、金属窒化物膜の一種であるシリコン窒化物膜や、金属酸窒化物膜の一種であるシリコン酸窒化物膜を成膜する場合には、溶質成分としてポリシラザン等を含む化合物形成液を用いることになる。
【符号の説明】
【0033】
11 基板
12 開口部
15 金属酸化物膜(金属化合物膜)
21 プレウェット液
22 ゾルゲル液(化合物形成液)
24 金属酸化物ゲル膜
S01 プレウェット液塗布工程
S02 ゾルゲル液塗布工程(化合物生成液塗布工程)
S03 乾燥工程
S04 焼成工程
図1
図2