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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183117
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】データ管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20221201BHJP
   G16H 80/00 20180101ALI20221201BHJP
   G06Q 10/10 20120101ALI20221201BHJP
【FI】
G06Q30/06
G16H80/00
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086171
(22)【出願日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2021089362
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390011143
【氏名又は名称】株式会社松風
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】庄 浩司
(72)【発明者】
【氏名】近藤 良平
(72)【発明者】
【氏名】坪井 太郎
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049BB21
5L099AA21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】歯科医院と歯科技工所とのデータ共有を簡便にし、データ管理の手間を軽減できる新たなデータ管理システムを提供する。
【解決手段】データ管理システムは、指示文書データにより製作を委託する委託元端末20と、委託及び/又は再委託を請ける委託先端末30と、サーバ装置10と、を備える。サーバ装置10は、データ格納部に格納されたデータの所有権限管理を行うデータ管理部と、委託元端末20及び/又は委託先端末30の注文作成部で作成される一つの注文毎にデータ格納部に格納されているデータを対応付けが可能な注文コンテナを格納する注文コンテナ格納部と、委託元端末20及び/又は委託先端末30の注文コンテナ共有権限管理部からの指示をもとに注文コンテナの共有管理を行う注文コンテナ管理部と、を備え、格納されている任意の形式のデータ要素を、注文を一つの単位として注文コンテナに対応付けし、管理する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指示文書データにより製作を委託する委託元端末と、委託および/または再委託を請ける委託先端末と、サーバ装置と、を備えたデータ管理システムであって、
前記委託元端末、前記委託先端末および前記サーバ装置は、ネットワークを介して接続され、相互にデータを共有可能であり、
前記委託元端末は、
前記委託元端末内のデータをサーバ装置のデータ格納部に格納するために送信する送信部と、
一つの注文ごとに前記データ格納部に格納されているデータを対応付けが可能な注文コンテナをサーバ装置の注文コンテナ格納部に作成する注文作成部と、
前記注文コンテナに前記データ格納部に格納されたデータの対応付けを行う注文管理部と、
前記注文コンテナを委託先へ共有する注文コンテナ共有権限管理部と、
前記サーバに保存されている情報を表示する表示部と、を備え、
前記サーバ装置は、
データを格納するデータ格納部と、
前記データ格納部に格納されたデータの所有権限管理を行うデータ管理部と、
前記委託元端末および/または前記委託先端末の注文作成部で作成される一つの注文ごとに前記データ格納部に格納されているデータを対応付けが可能な注文コンテナを格納する注文コンテナ格納部と、
前記委託元端末および/または前記委託先端末の注文コンテナ共有権限管理部からの指示をもとに前記注文コンテナの共有管理を行う注文コンテナ管理部と、
前記注文コンテナ共有権限管理部で共有した注文コンテナに変更および/またはデータの追加があった場合に該当する委託元および/または委託先に通知を行う通知部と、を備え、
前記委託先端末は、
前記委託先端末内のデータをサーバ装置のデータ格納部に格納するために送信する送信部と、
一つの注文ごとに前記データ格納部に格納されているデータを対応付けが可能な注文コンテナをサーバ装置の注文コンテナ格納部に作成する注文作成部と、
前記注文コンテナに前記データ格納部に格納されたデータの対応付けを行う注文管理部と、
前記注文コンテナを委託先へ共有する注文コンテナ共有権限管理部と、
前記サーバに保存されている情報を表示する表示部と、を備え、
サーバ装置は、格納されている任意の形式のデータ要素を、注文を一つの単位として注文コンテナに対応付けし、管理する、データ管理システム。
【請求項2】
前記委託元端末および/または前記委託先端末は、
前記委託元端末および/または前記委託先端末と業務委託を開始するための委託開始申請部と、
前記委託開始申請部から申請された申請を承認する委託開始承認部と、を備え、
前記サーバ装置は、前記委託元端末および/または前記委託先端末での業務委託情報の管理を行う業務委託管理部を備え、
前記業務委託開始の申請および承認、および、前記業務委託情報の登録が相互に可能である、請求項1に記載のデータ管理システム
【請求項3】
前記サーバ装置は、通常チャット機能を備え、
前記委託元端末および/または前記委託先端末は、前記通常チャット機能にチャットを入力するための入力部を備え
前記委託元端末および前記委託先端末の間で前記通常チャット機能が利用可能である、請求項1または2に記載のデータ管理システム。
【請求項4】
前記通常チャット機能を利用して委託元から委託先に注文コンテナが共有されたことを委託先に通知可能である、請求項3に記載のデータ管理システム。
【請求項5】
前記注文コンテナは、
委託元のみが使用可能な注文データ格納部と、
委託先のみが使用可能な注文データ格納部と、
委託先および委託元が共有使用可能な注文データ格納部と、を備え、
前記委託元端末および前記委託先端末は、
注文コンテナに対応付けられたデータを委託先および/または委託元に共有する/しないの設定を管理することが出来るデータ共有権限管理部を備え、
注文コンテナ内に委託元および/または委託先独自の領域および共有領域を持ち、前記委託元端末および前記委託先端末は、注文に対応付けられたデータの共有する/しないの選択を受け付け可能である
請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項6】
前記サーバ装置は、注文コンテナに対応付けられる注文チャット機能を備え、
前記委託元端末および/または前記委託先端末は、前記注文チャット機能にチャットを入力する入力部を備え、
前記サーバ装置は、注文コンテナごとにそれぞれ独立した注文チャット機能を備えることにより、注文ごとにチャットのやり取りを独立して管理する、
請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項7】
前記通常チャット機能および/または前記注文チャット機能は、動画像、静止画像、3次元形状データ、テキスト、文書、音声データ、イラストを送信でき、送信されたデータはデータ格納部に保存され、注文チャット機能でデータを送信した場合は当該する注文コンテナにデータが対応付けられる、請求項3に記載のデータ管理システム。
【請求項8】
前記注文チャット機能は、一つの注文コンテナ内で、
委託元用の注文チャット機能と、
委託先用の注文チャット機能と、
委託元および委託先で共有される注文チャット機能と、を有し、
前記サーバ装置は、一つの注文に対して複数の注文チャット機能を管理する、
請求項6に記載のデータ管理システム。
【請求項9】
前記サーバ装置は、前記通常チャット機能および/または注文チャット機能において、各々のチャットの発言を他のチャットへ引用可能に保持する、請求項3に記載のデータ管理システム。
【請求項10】
前記委託先端末は、
前記委託元端末で作成された指示文書に基づき加工工程の情報を入力する加工工程入力部と、
前記加工工程の情報をサーバ装置に送信する送信部と、を備え、
前記サーバ装置は、前記注文コンテナごとに加工工程の進捗状況の情報を格納する加工工程情報格納部を備え、
前記委託元端末および前記委託先端末は、前記サーバ装置の加工工程情報格納部に格納されている、前記加工工程の進捗状況の情報を表示する表示部を備え、
入力された前記加工工程の情報を他の端末と共有できることを特徴とする
請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項11】
前記加工工程情報格納部に入力された情報をもとに前記注文チャット機能を用いて注文ごとの作業の進捗状況を委託元に報告可能である、請求項10に記載のデータ管理システム。
【請求項12】
前記サーバ装置は、製作物の加工工程の情報を格納する前記加工工程情報格納部分に格納された加工工程情報から加工の記録を作成する加工工程記録作成部を備え、
前記サーバ装置は、加工工程記録文書を加工工程情報に基づいて作成し、対応した注文コンテナ領域に格納する、請求項10に記載のデータ管理システム。
【請求項13】
前記加工工程記録文書が注文コンテナに格納された場合に、前記通常チャット機能および/または前記注文チャット機能で前記加工工程記録文書が格納されたことを通知する、請求項11に記載のデータ管理システム。
【請求項14】
前記委託元端末および/または前記委託先端末は、前記指示文書を作成および/または編集を行い、改定または/および新たに作成することが可能な指示文書作成編集部を備え、前記指示文書作成編集部は、前記指示文書を編集し、および/または新たに作成する、請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項15】
前記委託元端末および/または前記委託先端末は、
共有している指示文書や契約書など文章に関して改定および/または新たに作成をする場合に委託先および/または委託元に承認を求めることができる承認申請部と、
委託先および/または委託元から承認申請を受けた際に承認をする承認部と、
を備え、
前記指示文書や前記契約書などの文章の改定および/または新たに作成された際に委託元および/または委託先が相互に承認可能である、請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項16】
前記委託先端末は、自らが対応できない注文が委託された場合、再委託先に委託を行うための再委託依頼部を備え、
前記再委託依頼部で再委託を依頼する場合は、前記指示文書編集部で前記指示文書に再委託先の名称および住所が記載され、前記委託先端末の前記承認申請部で前記委託元端末に承認申請が行われ、前記委託元端末の前記承認部で承認が行われることにより、前記委託元端末から前記再委託先端末に前記当該注文コンテナが共有され再委託先に委託が行われる、請求項15に記載のデータ管理システム。
【請求項17】
前記注文コンテナは、前記委託先端末および前記委託元端末の間で共有されるチャット機能を有しており
前記承認申請部が共有される前記チャット機能を利用して承認申請を行い、承認を得ることが可能な請求項15に記載のデータ管理システム。
【請求項18】
再委託を依頼した場合に前記注文コンテナは、
再委託先の領域と、
委託先と再委託先が共有可能な領域と、
委託元と委託先と再委託先が共有可能な領域と、
を備える、請求項16に記載のデータ管理システム。
【請求項19】
前記注文チャット機能は、
再委託先組織内の注文チャット機能と、
委託先と再委託先の共有の注文チャット機能と、
委託元と委託先と再委託先の共有の注文チャット機能と、
を有する、請求項14に記載のデータ管理システム。
【請求項20】
前記通常チャット機能および/または前記注文チャット機能、注文コンテナの共有、注文コンテナ内の共有データの新規追加や変更があった場合に、メッセージを通信可能な通信手段で通知する、請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項21】
前記通常チャット機能および/または前記注文チャット機能は承認が不要な発言と承認が必要な発言を区別して発出することができ、承認が不要な発言と承認が必要な発言、承認済みの発言を互いに識別可能に表示する、請求項3に記載のデータ管理システム。
【請求項22】
前記委託元端末は、新たな注文コンテナに過去に業務委託で使用した過去の注文コンテナを対応付けており、
委託元端末および/または委託先端末は、当該注文コンテナ内の注文チャット機能の会話履歴、および/または、対応付けられているデータの閲覧が可能である、請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項23】
前記委託元端末は、技工物を受領したことをサーバ装置に送信する受領確認部を備え、
前記受領確認部が送信した情報は、当該注文コンテナの加工工程の進捗情報の情報を格納する加工工程情報格納部に記録され、
委託元が技工物を受領したことを委託先および/または再委託先に通知することが可能な請求項8に記載のデータ管理システム。
【請求項24】
前記委託元端末は、過去の注文から再製作を行いたい注文を選択し再製作の依頼を行う再製作依頼部を備え、
前記再製作依頼部を介して再製作が依頼された場合、前記通常チャット機能を利用して委託先に再製作依頼が行われたことを通知し、チャットには該当注文コンテナ領域へのリンクが表示される、請求項3に記載のデータ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歯科医院及び歯科技工所における歯科技工指示書やその他情報を管理するデータ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科治療において歯科技工物の製作を歯科技工所に依頼することが一般的に行われている。歯科医院と歯科技工所の間には業務委託契約が結ばれるが、従来、紙媒体または/および口頭での契約が結ばれていた。業務委託契約には報酬金額、報酬支払時期、再製作時の技工料および契約解除項目などが記載されており、各歯科医院および/または各歯科技工所は複数の施設と協議し、業務委託契約をそれぞれの契約内容で締結を行っていた。技工物が破損した場合など再製作の依頼が発生する場面において業務委託契約の参照が必要になることが度々ある。紙媒体で管理している場合、これを探し、参照する必要があった。また、口頭で契約を行っている場合、双方の認識の確認を行い、歯科医院および歯科技工所は必要に応じて協議し、各々の合意をもって問題を解決する必要があった。このように従来煩雑な管理および/または協議が必要になっていた。
【0003】
また、歯科医院が歯科技工物の製作を依頼する場合、歯科医院または/および歯科技工所は、歯科技工指示書を作成および管理することが法律で義務付けられている。一方、歯科技工所は行った歯科技工に対する歯科技工録を作成および管理し、歯科医院の要請に応じて提出することが法律で義務付けられている。従来これらの文書は紙面で管理されており紙の歯科技工指示書および技工録を大量に作成および保管し、管理する手間がかかっていた。
【0004】
また、歯科技工物は、それぞれ患者に合うように調整しながら製作する必要がある為、歯科医院と歯科技工所との間で確認や修正が繰り返し行われることも多い。歯科医院と歯科技工所とのやりとりには、従来は電話や電子メール、SMS、FAX等が利用されていたが、歯科技工指示書との対応付けができないため、歯科医院や歯科技工所ではその都度対応する歯科技工指示書を探し、参照するという手間がかかっていた。このように、歯科技工物を製作するにあたって歯科医院と歯科技工所間での確認や修正が電話や電子メール、SMS、FAXだったため、問い合わせや改定などを歯科技工指示書に対応付けるためには煩雑な管理をする必要があった。
【0005】
また、歯科技工物は歯科医院から歯科技工所に発注が行われるが、受注した歯科技工所の設備により、製作できない技工物が依頼される場合がある。歯科医院または歯科技工所は加工できる歯科技工所または加工拠点を探し、歯科医師の歯科技工指示書をもとに二次委託先に業務の一部または全部を委託する必要がある。このとき、歯科技工指示書に歯科医師または歯科医師の指示のもとで代筆を行う者が二次委託先の歯科技工所名や住所を記載することが法律で義務付けられている。また、代筆を行った場合は歯科医師が確認および承認をする必要がある。そのため従来は、電話や電子メール、SMS、FAXを使用して歯科医院に歯科技工指示書の再発行を依頼し、歯科技工指示書の改定を行うなど、二次委託先に依頼する場合、煩雑な手続きが必要であった。
【0006】
また、従来は患者の口腔内の印象採得をし、石膏模型を作成し、石膏模型をもとに補綴物や、義歯の作成を行っていたが、近年は、3Dスキャナで3次元形状データを取得し、CADで設計を行い、CAD/CAM装置で加工を行うなどデジタル化が進み技工所の業務形態が変わりつつある。しかしながら、デジタル化が進んだことにより従来よりも扱うデータの種類および量が増え、委託された業務と、データの対応付けが煩雑になっている。
【0007】
また、歯科技工所は複数の技工士が一つの技工物を作る際に分業を行っている場合がある。例えば、歯科技工物の設計を行う者、設計された歯科技工物の加工を行う者、加工された歯科技工物の仕上げを行う者など、同じ歯科技工所内で複数の担当者により役割分担をしている場合である。こういった場合、複数の歯科技工物に関して各工程で出力されるデータや進捗状況を引き継ぐ場合のデータ管理に手間がかかっていた。
【0008】
このような問題に対して、特許文献1では、歯科医院や歯科技工所から加工拠点に対して歯科技工物の発注を電子的に行うことができるシステムが記載されている。しかしながら特許文献1はユーザ端末から一方的に加工拠点への発注を行うシステムであり、歯科医院と歯科技工所間でのやり取りについて考慮されていなかった。
【0009】
特許文献2、特許文献3では歯科技工指示書を電子的に管理し、歯科技工指示書上で確認や修正ができるシステムが記載されている。しかしながら特許文献2、特許文献3は歯科技工指示書の管理を容易にしたものであり、歯科技工指示書以外のデータや文書、歯科技工指示書に対応付けできないデータ、相手施設に共有したくないデータに関しては考慮されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許6441419号明細書
【特許文献2】特許6732354号明細書
【特許文献3】特許6697200号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
歯科技工物はそれぞれ患者に合うように調整しながら製作する必要があるため、歯科医院と歯科技工所との間では様々なデータのやり取りが行われる。そのデータは近年歯科医療のデジタル化が進んだこともあり、業務委託開始時においても技工作業時においても増大しており、管理が煩雑となっている。
【0012】
以上のような課題に鑑みて、本発明は歯科医院と歯科技工所とのデータ共有を簡便にし、データ管理の手間を軽減できる新たなシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するために委託元端末と、委託先端末と、サーバ装置とを備えた下記データ管理システムである。本発明は以下のとおりである。
【0014】
項1
指示文書データにより製作を委託する委託元端末と委託および/または再委託を請ける委託先端末とサーバ装置とを備えた、ネットワークを介して接続される、相互にデータを共有可能なデータ管理システムであって、
前記委託元端末は、
前記委託元端末内のデータをサーバ装置のデータ格納部に格納するために送信する送信部と、
一つの注文ごとに前記データ格納部に格納されているデータを対応付けが可能な注文コンテナをサーバ装置の注文コンテナ格納部に作成する注文作成部と、
前記注文コンテナに前記データ格納部に格納されたデータの対応付けを行う注文管理部と、
前記注文コンテナを委託先へ共有する注文コンテナ共有権限管理部と、
前記サーバに保存されている情報を表示する表示部と、を備え、
前記サーバ装置は、
データを格納するデータ格納部と、
前記データ格納部に格納されたデータの所有権限管理を行うデータ管理部と、
前記委託元端末および/または前記委託先端末の注文作成部で作成される一つの注文ごとに前記データ格納部に格納されているデータを対応付けが可能な注文コンテナを格納する注文コンテナ格納部と、
前記委託元端末および/または前記委託先端末の注文コンテナ共有権限管理部からの指示をもとに前記注文コンテナの共有管理を行う注文コンテナ管理部と、
前記注文コンテナ共有権限管理部で共有した注文コンテナに変更および/またはデータの追加があった場合に該当する委託元および/または委託先に通知を行う通知部と、を備え、
前記委託先端末は、
前記委託先端末内のデータをサーバ装置のデータ格納部に格納するために送信する送信部と、
一つの注文ごとに前記データ格納部に格納されているデータを対応付けが可能な注文コンテナをサーバ装置の注文コンテナ格納部に作成する注文作成部と、
前記注文コンテナに前記データ格納部に格納されたデータの対応付けを行う注文管理部と、
前記注文コンテナを委託先へ共有する注文コンテナ共有権限管理部と、
前記サーバに保存されている情報を表示する表示部と、を備え、
サーバ装置に格納されているあらゆる形式のデータ要素を、注文を一つの単位として注文コンテナに対応付けし、管理することを特徴とするデータ管理システム。
【0015】
項2
前記委託元端末および/または前記委託先端末は、
前記委託元端末および/または前記委託先端末と業務委託を開始するための委託開始申請部と、
前記委託開始申請部から申請された申請を承認する委託開始承認部と、を備え、
前記サーバ装置は、前記委託元端末および/または前記委託先端末での業務委託情報の管理を行う業務委託管理部、を備え、
業務委託開始の申請および承認、登録が相互にできる項1に記載のデータ管理システム。
【0016】
項3
前記サーバ装置は、チャット機能を備え、
前記委託元端末および/または前記委託先端末は、前記チャット機能にチャットを入力するための入力部を備え、
前記委託元端末および前記委託先端末の間でチャット機能を利用できる項1または2に記載のデータ管理システム。
【0017】
項4
前記チャット機能を利用して委託元から委託先に注文コンテナが共有されたことを委託先に通知できる項3に記載のデータ管理システム。
【0018】
項5
前記注文コンテナは、
委託元のみが使用可能なデータ格納領域と、
委託先のみが使用可能なデータ格納領域と、
委託先および委託元が共有使用可能なデータ格納領域と、を備え、
前記委託元端末および前記委託先端末は、注文コンテナに対応付けられたデータを委託先および/または委託元に共有する/しないの設定を管理することが出来るデータ共有権限管理部を備え、
注文コンテナ内に委託元および/または委託先独自の領域および共有領域を持ち、注文に対応付けられたデータの共有する/しないを選択ができることを特徴とする項1から4のいずれかに記載のデータ管理システム。
【0019】
項6
前記サーバ装置は、注文コンテナに対応付けられる注文チャット機能を備え、
前記委託元端末および/または前記委託先端末は、前記注文チャット機能にチャットを入力する入力部を備え、
注文コンテナごとにそれぞれ独立した注文チャット機能が備わっていることにより、注文ごとにチャットのやり取りが独立していることを特徴とする項1から5のいずれかに記載のデータ管理システム。
【0020】
項7
前記チャット機能および/または前記注文チャット機能は、動画像、静止画像、3次元形状データ、テキスト、文章、音声、を送信でき、送信されたデータはデータ格納部に保存され、注文チャット機能でデータを送信した場合は当該する注文コンテナにデータが対応付けられることを特徴とする項3および6に記載のデータ管理システム。
【0021】
項8
前記注文チャット機能は、一つの注文コンテナ内で、
委託元のみの注文チャット機能と、
委託先のみの注文チャット機能と、
委託元および委託先共有の注文チャット機能と、を有し、
一つの注文に対して複数の注文チャット機能が存在することを特徴とした項6および7に記載のデータ管理システム。
【0022】
項9
前記チャット機能および/または注文チャット機能が、各々のチャットの発言を他のチャットへ引用が可能なことを特徴とした項3から8のいずれかに記載のデータ管理システム。
【0023】
項10
前記委託先端末は、
前記委託元端末で作成された指示文書に基づき加工工程の情報を入力する加工工程入力部と、
前記加工工程をサーバ装置に送信する送信部と、を備え、
前記サーバ装置は、前記注文コンテナごとに加工工程の進捗状況を格納する加工工程情報格納部を備え、
前記委託元端末および前記委託先端末は、サーバ装置の加工工程情報格納部に格納されている情報を表示する表示部を備え、
入力された加工工程情報を他の端末と共有できることを特徴とする項1から9のいずれかに記載のデータ管理システム。
【0024】
項11
前記加工工程情報格納部に入力された情報をもとに前記注文チャット機能を用いて注文ごとの作業の進捗状況を委託元に報告可能な項10に記載のデータ管理システム。
【0025】
項12
前記サーバ装置は、製作物の加工工程の情報を格納する前記加工工程情報格納部分に格納された加工工程情報から加工の記録を作成する加工工程記録作成部を備え、
加工工程記録文書が加工工程情報から自動的に作成され、対応した注文コンテナ領域に格納される、項10または11に記載のデータ管理システム。
【0026】
項13
前記加工工程記録文書が注文コンテナに格納された場合に、前記チャット機能および/または前記注文チャット機能で前記加工工程記録文書が格納されたことを通知する、項11に記載のデータ管理システム。
【0027】
項14
前記委託元端末および/または前記委託先端末は、前記指示文書を作成および/または編集を行い、改定または/および新たに作成することが出来る指示文書作成編集部を備え、
指示文書を編集および/または新たに作成することができる項1から13のいずれかに記載のデータ管理システム。
【0028】
項15
前記委託元端末および/または前記委託元端末は、
共有している指示文書や契約書など文章に関して改定および/または新たに作成をする場合に委託先および/または委託元に承認を求めることができる承認申請部と、
委託先および/または委託元から承認申請を受けた際に承認をする承認部と、
を備え、
前記指示文書や前記契約書などの文章の改定および/または新たに作成された際に委託元および/または委託先が相互に承認することができる項1から14のいずれかに記載のデータ管理システム。
【0029】
項16
前記委託先端末は、自らが対応できない注文が委託された場合、再委託先に委託を行うことが出来る再委託依頼部を備え、
前記再委託依頼部で再委託を依頼する場合は、前記指示文書編集部で前記指示文書に再委託先の名称および住所が記載され、前記委託先端末の前記承認申請部で前記委託元端末に承認申請が行われ、前記委託元端末の前記承認部で承認が行われることにより、前記委託元端末から前記再委託先端末に前記当該注文コンテナが共有され再委託先に委託が行われる、項15に記載のデータ管理システム。
【0030】
項17
前記承認申請部が前記チャット機能を利用して承認申請を行い、チャット機能で承認を得ることが出来る項15または16に記載のデータ管理システム。
【0031】
項18
再委託を依頼した場合に前記注文コンテナは、
再委託先の領域と、
委託先と再委託先が共有可能な領域と、
委託元と委託先と再委託先が共有可能な領域と、
を備える、項16または17に記載のデータ管理システム。
【0032】
項19
前記注文チャット機能は、
再委託先組織内の注文チャット機能と、
委託先と再委託先の共有の注文チャット機能と、
委託元と委託先と再委託先の共有の注文チャット機能と、
を有する、項14から18のいずれかに記載のデータ管理システム。
【0033】
項20
前記チャット機能および/または前記注文チャット機能、注文コンテナの共有データに新規追加や変更があった場合に、電子メールやSMSなどの手段で通知することができる項1から19のいずれかに記載のデータ管理システム。
【0034】
項21
前記チャット機能および/または前記注文チャット機能は承認が不要な発言と承認が必要な発言を区別して発出することができ、承認が不要な発言と承認が必要な発言、承認済みの発言について、印が付くまたは/および色が異なることで判別が容易になっていることを特徴とした項3から20のいずれかに記載のデータ管理システム。
【0035】
項22
前記委託元端末は、新たな注文コンテナに過去に業務委託で使用した過去の注文コンテナを対応付けることができ、当該注文コンテナ内の注文チャット機能の会話履歴や、対応付けられているデータの閲覧が委託元端末および/または委託先端末で可能となる項1から21のいずれかに記載のデータ管理システム。
【0036】
項23
前記委託元端末は、技工物を受領したことをサーバ装置に送信する受領確認部を備え、
受領確認部が送信した情報は、当該注文コンテナの加工工程情報部に記録され、委託元が技工物を受領したことを委託先および/または再委託先に通知することができる項8から22のいずれかに記載のデータ管理システム。
【0037】
項24
前記委託元端末は、過去の注文から再製作を行いたい注文を選択し再製作の依頼を行うことが出来る再製作依頼部を備え、再製作が依頼された場合、チャット機能を利用して委託先に再製作依頼が行われたことを通知し、チャットには該当注文コンテナ領域へのリンクが表示される、項3から23のいずれかに記載のデータ管理システム。
【発明の効果】
【0038】
本発明の例示的な実施形態によれば、あらゆる形式のデータを注文単位で管理することができ、技工指示書およびその他データ管理の手間が軽減される。
【0039】
本発明の例示的な実施形態によれば、従来、紙媒体、電話、メール、SMS、FAXで行っていた委託元と委託先の会話をシステムを通して行うことができ、作業の効率化、働き方の改善に効果的なシステムを提供することができる。
【0040】
本発明の例示的な実施形態によれば、法律で定められている歯科技工指示書及び歯科技工録の作成及び保管への対応が可能となる。
【0041】
本発明の例示的な実施形態によれば、歯科技工指示書だけでなくその他契約書の管理ができ、歯科医院、歯科技工所の委託契約などの従来煩雑であった契約の管理が簡便となる。
【0042】
本発明の例示的な実施形態によれば、技工指示を二次委託先の歯科技工所に出す際に歯科医師の指示および/または承認を簡便な手法で得ることが出来る。
【0043】
本発明の例示的な実施形態によれば施設ごとに契約書が対応付けられており、契約書の取違などを防止できる。
【0044】
本発明の例示的な実施形態によれば歯科技工指示書の編集、承認が簡便にできる。
【0045】
本発明の例示的な実施形態によれば歯科技工指示書や契約書の編集の履歴が保存され、いつでも参照することが出来る。
【0046】
本発明の例示的な実施形態によれば二次委託先への発注が簡便に行え、歯科技工所の業務効率が上がる。
【0047】
本発明の例示的な実施形態では再製作が発生した場合に再製作を行いたい注文を選択し委託を行うことでき、通知に注文が紐づいており、技工指示書やデータを簡便に閲覧することが出来る。
【0048】
本発明の例示的な実施形態によれば共有権限を管理することにより、各施設内のみの閲覧や共有が行うことができ、データおよび進捗管理が行えるため、施設内での分業の際に従来の管理方法より効率の改善が見込める。
【0049】
本発明の例示的な実施形態によれば加工工程情報を入力することで委託元に現在の進捗を適宜報告することが出来る。
【0050】
本発明の例示的な実施形態によれば法律で定められている技工録を加工工程情報を利用して簡便に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の一実施形態に係るデータ管理システムの一構成例を示すブロック図
図2A】本発明の一実施形態に係るデータ管理システムの構成例を示すブロック図
図2B】本発明の一実施形態にかかるデータ管理システムのより具体的な構成例を示すブロック図
図2C】本発明の一実施形態にかかるデータ管理システムに実装される注文コンテナの具体的な構成例および注文コンテナ内におけるデータの遷移を示すブロック図
図3】一般的な歯科技工物作成の手順を示すフローチャート
図4】本発明の一実施形態にかかる歯科技工物作成の手順を示すフローチャート
図5A】委託先端末での受注管理画面の一例を示す図
図5B】医院ごとに注文一覧表示をした際の管理画面の一例を示す図
図6】委託先が注文に対応できない場合の歯科技工指示書のフロー図
図7】委託元端末での注文表示画面の一例を示す図
図8】チャット画面の一例を示す図
図9】患者データ管理画面の一例を示す図
図10】患者データ送信確認画面の一例を示す図
図11】チャットグループのパターンの一例を示す図
図12】注文発注部の画面の一例を示す図
図13】1注文で複数の技工指示書が発行される場合の例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図面を用いて、本発明のデータ管理システムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0053】
図1は本実施形態におけるデータ管理システム100のブロック図である。本実施形態のデータ管理システム100は複数または1つのサーバ装置10と、1または複数の委託元端末20a~20m(m:1以上の整数)と、1または複数の委託先端末30a~30n(n:1以上の整数)と、が通信ネットワークNWを介して通信可能に構成される。以下では包括的に、委託元端末20a~20mを「委託元端末20」と、委託先端末30a~30nを「委託先端末30」と記述することがある。また、サーバ装置10を設けることは必須ではなく、委託元端末20または委託先端末30のいずれかがサーバ装置を兼ねて動作してもよい。また「通信ネットワークNW」を「ネットワークNW」と記述する。
【0054】
委託元端末20および委託先端末30に用いられる端末装置の種類としては、特に限定はない。そのような端末装置は、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)やタブレット、スマートフォン、携帯電話機等の通信機能を有する種々の電子機器を採用することができる。端末装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)である演算装置、RAM(Random Access Memory)である主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどの補助記憶装置を有していればよい。端末装置はさらに、ネットワークインタフェースカードなどの、ネットワークNWへ接続する通信回路、ディスプレイなどの表示装置、キーボードやマウス等のデバイスなどの、種々の入出力装置を備えた端末であればよい。本実施形態では委託元端末20、委託先端末30共にPCを利用する場合を想定する。
【0055】
サーバ装置10としては、CPUやGPU(Graphics Processing Unit)等の演算装置、RAM等の主記憶装置、HDDやSSD、フラッシュメモリ等の補助記憶装置を有していればよい。サーバ装置10はさらに、ネットワークNWへ接続する通信回路などの、種々の入出力装置を備えていてもよい。サーバ装置10として、一般的なコンピュータ装置を利用することができる。
【0056】
本発明に使用されるネットワークNWとしては、サーバ装置10にアクセス可能な通信ネットワークであれば特に限定はない。そのようなネットワークNWとして、通常、インターネットを用いることができる、インターネットを用いることによって、本発明の受発注システムのコストを低くすることができる。
【0057】
また、ネットワークNWは、インターネット内に構築された本発明のデータ管理システム専用の仮想プライベートネットワーク(Virtual Private Network:以下、「VPN」と言うことがある。)を用いることもできる。これにより、データ管理システムの安全性を高めつつ、コストを低くすることができる。なお、ネットワークNWは、インターネットに代えて、専用回線で構成することもでき、専用回線とインターネットとを組み合わせて構成することもできる。
【0058】
また、ネットワークNWは、有線ネットワーク、無線ネットワーク、又はこれらを組み合わせて用いることができる。また、このネットワークNWは、専用回線の使用、伝送データの暗号化、各クライアント装置等を使用するユーザの認証等様々な方法によるセキュリティの強化を行うことが好ましい。
【0059】
図2Aは本実施形態の一例である。図2Aを参考に本実施形態の詳細を説明する。
委託元端末20は、送信部と、委託開始申請部と、委託開始承認部と、指示文書作成編集部と、注文作成部と、注文管理部と、注文コンテナ共有権限管理部と、データ共有権限管理部と、入力部と、承認申請部と、承認部と、表示部と、受領確認部と、再製作依頼部とを有している。
【0060】
送信部は、各種情報をサーバ装置10へ送りデータ格納部に格納するために送信する。委託開始申請部は、業務委託を開始するために委託先に業務委託を開始することを申請する。委託開始承認部は、委託先から委託開始申請が届いた場合に申請を承認する。指示文書作成編集部は、ユーザの操作に基づいて指示文書を作成および編集する。注文作成部は、一つの注文ごとにデータ格納部に格納されているデータを対応付け可能な注文コンテナをサーバ装置10の注文コンテナ格納部に作成する。注文管理部は、注文コンテナにデータ格納部に格納されたデータの対応付けを行う。注文コンテナ共有権限管理部は、注文コンテナを委託先へ共有する。データ共有権限管理部は、注文コンテナに対応付けられたデータを委託先に共有する/しないの設定を管理する。
【0061】
入力部は、ユーザの操作に基づいてチャット機能および注文チャット機能に入力を行う。
【0062】
承認申請部は、指示文書や契約書に変更および/または新たに作成された場合に委託先に承認を求める。承認部は、委託先から承認申請を求められた際に承認を行う。
【0063】
表示部は、サーバ装置10に格納されている情報を表示する。
受領確認部は、指示文書をもとに作成された技工物を受領したことを委託先に通知する。再製作依頼部は、歯科技工物に不具合などがあった際に、ユーザの操作により委託先端末30に歯科技工物の再製作の依頼をする。
【0064】
これらのうち、送信部及び受領確認部は、例えば通信回路である。表示部は、例えばディスプレイである。送信部、受領確認部及び表示部を除く他の構成要素は、CPU等の演算回路が、RAMに格納されたコンピュータプログラムを実行したCPU等の演算回路によって実現される。
【0065】
送信部はサーバ装置10にデータを送信する。送信できるデータとしては指示文書や契約書などの文書データ、3次元形状データ、動画像、静止画像、イラスト、音声データ、テキストデータなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
委託開始申請部は委託先端末30と業務委託を開始するために申請を行うことが出来る。本実施形態では委託申請を行い、業務委託の開始の申請を行い委託先の委託開始承認部で承認を得ることにより業務委託を開始できる。ただし、これらの動作は一例である。例えば、業務委託申請部で業務委託の申請をする際に業務委託契約書を添付し、業務委託契約書の申請および承認が同様にできてもよい。
【0067】
委託開始承認部は委託先端末30から委託開始申請部を使用して委託開始申請があった場合に承認をすることが出来る。
【0068】
指示文書作成編集部は委託する製作物を製作するための情報の入力を受け付け、歯科技工指示書を作成する。また、ユーザがサーバ装置10に格納されている歯科技工指示書を編集する場合、サーバ装置10に格納されている情報がダウンロードされ、編集時にサーバ装置10に格納している歯科技工指示書に記載されている情報が入力されている状態で編集が始められる。本実施形態では歯科技工指示書作成編集部に入力される情報は、患者氏名、設計、作成の方法、使用材料、発行の年月日、発行した歯科医師の氏名および当該歯科医師の勤務する病院又は診療所の所在地、当該歯科技工指示書による歯科技工が行われる場所が歯科技工所であるときその名称及び所在地、等の技工士法に則った歯科技工指示書の作成に必要な情報が入力される。その他の例として、発注日時、患者情報、技工物の発注番号、歯科医院を特定するユニークIDなどが入力されてもよい。
【0069】
注文作成部はサーバ装置10の注文コンテナ格納部に注文コンテナを作成することが出来る。注文コンテナとは、一つの注文ごとに設けられるデータの管理単位であって、注文ごとにデータ格納部に格納されている一群のデータが互いに対応付けられている。本実施形態では、データの選択に応答してサーバ装置10が注文コンテナを作成するが、これは一例であって限定的ではない。例えば歯科技工指示書がサーバ装置10に格納された場合や3次元形状データがサーバ装置10のデータ格納部に格納された場合など、ファイルの格納をトリガーとしてサーバ装置10が注文コンテナを作成してもよい。または、サーバ装置10は、注文に関する情報の入力に応答してデータが対応付けられていない注文コンテナを作成してもよい。
【0070】
注文管理部は注文作成部で作成された注文コンテナにサーバ装置10のデータ格納部に格納されているデータの対応付けを行うことが出来る。
【0071】
注文コンテナ共有権限管理部は注文作成部で作成した注文コンテナを任意の委託先へ共有する/しないの選択をすることが出来る。
【0072】
データ共有権限管理部は注文管理部で注文に対応付けられたデータに関して注文コンテナを共有している委託先に共有する/共有しない、の選択を行うことができる。共有することが選択された場合は、データ共有権限管理部はデータを委託元・委託先共有領域に格納する。共有しないことが選択された場合は、データ共有権限管理部はデータを委託元領域に格納する。本実施形態では共有する/しないの選択ができる構成としているが、これに限定するものではなく、必ず共有されるようにしてもよいし、データの種類やファイル名などを使用した共有ルールを設けることにより共有する/しないを自動的に振り分けてもよい。
【0073】
入力部は、ユーザの入力を受けて、チャット機能および/または注文チャット機能に情報を入力することができる。入力するデータ形式は典型的にはテキスト情報である。ただし、テキスト情報だけでなく、例えば静止画像、動画像、3次元形状データ、イラスト、音声データなどが含められてもよい。更に他の種類のデータが含められてもよい。本実施形態では入力された情報がテキスト以外の場合、データ格納部に保存される。注文チャット機能でデータを送信した場合は当該注文コンテナにデータが対応付けられる。
【0074】
承認申請部は歯科技工指示書や契約書などを改定および/または新規作成した際に承認権限を持つ相手に承認申請を行って、承認を依頼することが出来る。この時、承認申請を行う相手は一人とは限らず複数の相手に承認申請を行う場合もある。承認申請部は、相手が承認権限を持つかどうかを、共有権限に基づいて判断することができる。
【0075】
承認部は、委託先端末30で歯科技工指示書や契約書の改定作業が行われて委託元端末20の承認申請部によって承認依頼が発出された場合に、承認を行うことが出来る。
【0076】
表示部はサーバ装置10に格納されているデータを表示することが出来る。
受領確認部は歯科技工物を受領したことを委託先に通知することが出来る。本実施形態では技工物の受領が確認できた場合に受領確認部でサーバ装置10に受領確認の情報を送信し、サーバ装置10は当該注文コンテナの加工工程情報格納部に受領情報を格納する。
【0077】
再製作依頼部は、何らかの不備があった場合、患者に歯科技工物が装着できなかった場合、歯科技工物の保証期間内に破損してしまった場合などに再製作依頼を簡便に行うことが出来る。「簡便」とは、簡単な手順で再製作依頼が可能であることを意味している。より具体的には、ある歯科技工物の再製作を依頼したい場合、ユーザが該当する歯科技工物を指定すると、当該歯科技工物を作成した際の注文コンテナ領域を特定する情報がチャット機能にリンクとして記載される。そして再製作の依頼が担当委託先に通知される。再製作を依頼する側は対象となる歯科技工物を指定するだけで、担当委託先に容易に再製作の依頼を行うことができる。また、そのリンクを利用すれば注文コンテナに容易にアクセスすることができるため、再製作を依頼された担当委託先にとっても再製作に必要な情報を容易に取得できる。
【0078】
委託先端末30は、送信部と、委託開始申請部と、委託開始承認部と、指示文書作成編集部と、注文作成部と、注文管理部と、注文コンテナ共有権限管理部と、データ共有権限管理部と、入力部と、承認申請部と、承認部と、加工工程入力部と、表示部と、再委託依頼部とを有している。
送信部は、各種情報をサーバ装置10へ送りデータ格納部に格納するために送信する。
委託開始申請部は、業務委託を開始するために委託元に業務委託を開始することを申請する。委託開始承認部は、委託元から委託開始申請が届いた場合に申請を承認する。指示文書作成編集部は、指示文書を作成および編集する。注文作成部は、一つの注文ごとにデータ格納部に格納されているデータを対応付け可能な注文コンテナをサーバ装置10の注文コンテナ格納部に作成する。注文管理部は、注文コンテナにデータ格納部に格納されたデータの対応付けを行う。注文コンテナ共有権限管理部は、注文コンテナを委託元と共有する。データ共有権限管理部は、注文コンテナに対応付けられたデータを委託元に共有する/しないの設定を管理する。
【0079】
入力部は、チャット機能および注文チャット機能に入力を行う。
承認申請部は、指示文書や契約書に変更および/または新たに作成された場合に委託元に承認を求める。承認部は、委託元から承認申請を求められた際に承認を行う。加工工程入力部は、当該注文の加工工程情報を入力しサーバ装置10の当該注文コンテナ内の加工工程情報格納部に加工工程情報を格納する為に加工工程情報を入力し送信する。
【0080】
表示部は、サーバ装置10に格納されている情報を表示する。
再委託依頼部は、注文に対応できない場合に再委託先に依頼を行う。
これらのうち、送信部及び加工工程入力部は、例えば通信回路である。表示部は、例えばディスプレイである。送信部、及び表示部を除く他の構成要素は、CPU等の演算回路が、RAMに格納されたコンピュータプログラムを実行したCPU等の演算回路によって実現される。
【0081】
送信部はサーバ装置10にデータを送信する。送信できるデータとしては指示文書や契約書などの文書データ、3次元形状データ、動画像、静止画像、イラスト、音声データ、テキストデータなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
委託開始申請部は委託元端末20と業務委託を開始するために申請を行うことが出来る。本実施形態では委託申請を行い、業務委託の開始の申請を行い委託元の委託開始承認部で承認を得ることにより業務委託を開始できる。ただし、これらの動作は一例である。例えば、業務委託申請部で業務委託の申請をする際に業務委託契約書を添付し、業務委託契約書の申請および承認が同様にできてもよい。
【0083】
委託開始承認部は委託先端末30から委託開始申請部を使用して委託開始申請があった場合に承認をすることが出来る。
【0084】
指示文書作成編集部は歯科技工物を編集および/または作成するための情報の入力を受け付け、歯科技工指示書を編集および/または作成する。サーバ装置10に格納されている歯科技工指示書を編集する場合、サーバ装置10に格納されている情報がダウンロードされ、編集時にサーバ装置10に格納している歯科技工指示書に記載されている情報が入力されている状態で編集が始められる。本実施形態では歯科技工指示書編集部で編集される情報は、設計、作成の方法、使用材料、当該歯科技工指示書による歯科技工が行われる場所が歯科技工所であるときその名称及び所在地、設計の詳細パラメータなどが挙げられる。ただしこれらは一例である。本実施形態では委託先も指示文書を作成可能であるとしているが、編集のみが可能であるよう限定してもよい。
【0085】
注文作成部はサーバ装置10の注文コンテナ格納部に注文コンテナを作成することが出来る。本実施形態では、一例としてデータを選択し注文コンテナを作成している。他には、例えば歯科技工指示書がサーバ装置10に格納された場合や3次元形状データがサーバ装置10のデータ格納部に格納された場合など、ファイルの格納をトリガーとして注文コンテナの作成をしてもよい。または、注文に関する情報の入力に応答してデータが対応付けられていない注文コンテナを作成してもよい。
【0086】
委託先が本実施形態のシステムを導入していない場合、従来の方法で業務委託される可能性がある。その場合委託先端末30でも注文コンテナを作成できることにより、委託先端末30では本実施形態のシステムでのデータ管理を行うことが出来る。
【0087】
注文管理部は注文作成部で作成された注文コンテナにサーバ装置10のデータ格納部に格納されているデータの対応付けを行うことが出来る。
【0088】
注文コンテナ共有権限管理部は注文作成部で作成した注文コンテナを任意の委託元へ共有する/しないの選択をすることが出来る。
【0089】
データ共有権限管理部は注文管理部で注文に対応付けられたデータに関して注文コンテナを共有している委託元に共有する/共有しない、の選択が行える。共有する場合は委託元・委託先共有領域に格納され共有しない場合は委託先領域に格納される。本実施形態では共有する/しないの選択ができる構成としているが、これに限定するものではなく、必ず共有される構成やデータの種類やファイル名などを使用した共有ルールを設けることにより共有する/しないを自動的に振り分ける構成としてもよい。
【0090】
入力部は通常チャット機能および/または注文チャット機能に情報を入力することができる。入力できるデータ形式としてはテキスト情報だけでなく静止画像、動画像、3次元形状データ、イラスト、音声データなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。本実施形態では入力された情報がテキスト以外の場合、データ格納部に保存される。注文チャット機能でデータを送信した場合は当該注文コンテナにデータが対応付けられる。
【0091】
承認申請部は歯科技工指示書や契約書などを改定および/または新規作成した際に承認権限を持つ相手に承認依頼を行うことが出来る。この時、承認申請を行う相手は一人とは限らず複数の相手に承認申請を行うことが出来る。
【0092】
承認部は委託先端末30で歯科技工指示書や契約書が改定作業が行われ、委託元端末20の承認申請部で承認依頼が発出された場合に承認を行うことが出来る。
【0093】
加工工程入力部は、当該注文の加工工程情報を入力しサーバ装置10の当該注文コンテナ内の加工工程情報格納部に加工工程情報を格納する為に加工工程情報を入力出来る。
【0094】
表示部はサーバ装置10に格納されているデータを表示することが出来る。
再委託依頼部は、委託された注文に対応できない場合に再委託先に依頼を行うことができる。再委託依頼部は再委託先の情報が入力されると指示文書作成編集部を使用し、歯科技工指示書に再委託先に関する情報が入力され、委託元に承認申請部を使用して承認依頼が通知される。委託元で承認が行われると委託先および/または再委託先に通知が行われ再委託先にデータが共有される。本実施形態では二次委託先までの委託をする構成としているが、これに限定をするものでなく同様の手順で委託先を増やすことが出来る。
【0095】
サーバ装置10は、
委託元端末20および/または委託先端末30から送信される歯科技工指示書、契約書、技工録、3次元形状データ、静止画像、動画像、イラスト、文書、音声データなどのデータを格納するデータ格納部と、データが誰の所有物であるか管理するためのデータ管理部と、委託元端末20および/または委託先端末30の委託申請部と委託承認部で承認された業務委託関係の管理を行う業務委託管理部と、委託元端末20および/または委託先端末30の注文コンテナ権限管理部からの指示をもとに注文コンテナの共有管理を行う注文コンテナ管理部と、委託元端末20および/または委託先端末30の注文作成部で作成される注文コンテナを格納する注文コンテナ格納部と、注文作成部で作成される注文コンテナと、注文コンテナ内の加工工程情報格納部の情報を利用し加工工程の記録を作成する加工工程記録作成部と、端末間でチャットを行うためのチャット機能と、チャットに更新があった場合、データの共有があった場合、承認申請や承認が受理された場合などに通知を行う通知部と、を備える。
【0096】
データ格納部は、委託元端末20および/または委託先端末30から送信されるデータを格納する機能である。データとしては、例えば、歯科技工指示書、契約書、技工録、3次元形状データ、静止画像、動画像、イラスト、文書、音声データなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0097】
データ管理部は、データ格納部に格納されたデータが誰の所有するデータか管理している。
業務委託管理部は、委託元および委託先で開始された業務委託に関して管理を行っている。
注文コンテナ管理部は、委託元端末20および/または委託先端末30の注文コンテナ権限管理部からの指示をもとに注文コンテナの共有管理を行うことが出来る。
注文コンテナ格納部は、委託元端末20および/または委託先端末30の注文作成部で作成される注文コンテナを格納することが出来る。
【0098】
注文コンテナは、委託元端末20の注文作成部で作成される。本実施形態の注文コンテナ領域は委託元領域と、委託先領域と、委託元・委託先共有領域と、加工工程情報格納部とを備え、
委託元領域は、注文の委託を行った委託元のみが閲覧/編集できる領域であり、注文データ格納部と、注文チャット機能と、を備える、
委託先領域は、注文の委託を請けた委託先のみが閲覧/編集できる領域であり、注文データ格納部と、注文チャット機能と、を備える、
委託元・委託先共有領域は、委託元および委託先で閲覧/編集できる領域であり、注文データ格納部と、注文チャット機能と、を備える。
【0099】
注文チャット機能は、各端末の入力部で入力を受け付け注文チャット機能に入力されたデータは当該注文チャットが存在する領域の当該注文データ格納部に格納され、注文チャット機能にはリンク情報が表示される。入力されるデータとしては例えば、歯科技工指示書、技工録、3次元形状データ、テキスト、静止画像、動画像、イラスト、文書、音声データなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。本実施形態の注文チャット機能は委託元領域、委託先領域、委託元・委託先共有領域それぞれに対応付けをされる構成としているがこれに限定されるものでなく、例えば、各注文コンテナに各一つの注文チャット機能を有する構成としてもよい。
【0100】
加工工程情報格納部は、委託先端末30の加工工程入力部から送信された当該注文に対応づく加工工程が入力された場合に加工工程情報が格納される。
このような構成とすることにより、委託元および/または委託先の内部のみで共有するデータに関しても注文に対応付け管理が可能となる。ここでいうデータとは例えば、歯科技工物の設計途中のデータやCAD/CAM装置で使用される加工パス、3Dプリンタで使用されるスライスデータ、文書などが挙げられるがこれに限定するものではない。
【0101】
注文チャット機能および/またはチャット機能は施設間および/または施設内でのチャットが行える。また、チャット機能での発言は当該チャット機能から他のチャットにコピーによる引用を行うことが出来る。この機能を使用することにより、契約に関する相談や問い合わせ、技工作業を行う上で必要となる相談や問い合わせ、委託業務を行う上で必要となるデータの授受、注文コンテナが共有されたことの通知、加工工程情報を用いた作業の進捗の報告、加工工程記録作成部が加工工程記録を作成した通知、承認依頼の通知、承認依頼が承認および/または否認された場合の通知、などが行える。
【0102】
通知部は、チャットに更新および/または注文コンテナの共有、注文コンテナ内の共有データに新規加工や変更があった場合、承認申請や承認が受理された場合などに通知を行う。通知の方法は本システムのチャット機能および/または注文チャット機能に表示する、SMSに通知を送信する、電子メールに通知を送信する、などが挙げられるがこれに限定されない。
【0103】
図2Bは、例示的な実施形態にかかるデータ管理システムのより具体的な構成例を示すブロック図である。図2Aの委託元端末20および委託先端末30が、それぞれ歯科医院端末および歯科技工所端末として具体的に記載されている。図2B等における「技工指示書」は、図2Aに関連して言及した「指示文書」の一例である。
【0104】
図2Cは、例示的な実施形態にかかるデータ管理システムに実装される注文コンテナの具体的な構成例および注文コンテナ内におけるデータの遷移を示すブロック図である。一つの注文ごとに、図2Cに示す注文コンテナが構成され、委託元専用のデータ領域、委託先専用のデータ領域、再委託先専用のデータ領域が用意される。そして、委託元、委託先および再委託先の各々がデータを共有等する目的で利用し得る共有領域も用意される。各施設は、各施設のデータ領域に保存されたデータを共有するか否かを選択できる。共有されるデータは共有領域へと移動され、そのデータのリンクが貼り付けられ、および/または、そのデータがコピーされる。
【0105】
図3は、一般的な歯科技工物作成の手順を示すフローチャートである。これに対し、本実施形態においては、異なる手順で歯科技工物が作成される。図4は本実施形態にかかる歯科技工物作成の手順を示すフローチャートである。以下では理解の便宜のため、一般的な手順と本実施形態における歯科技工物製作の手順の流れの概要を対比しながら説明する。
【0106】
図3及び図4のステップS1において、歯科医院または歯科医師が技工指示書を作成する。一般的には紙の技工指示書が作成され患者の歯の模型と共に歯科技工所に受け渡される(図3)。
一方、本実施形態(図4)では、紙の技工指示書の代わりに、歯科医師などが委託元端末20を使用し、指示文書作成編集部で歯科技工指示書を発行し、データ格納部に格納し、注文コンテナに対応付ける。患者の歯の模型に関しては、患者の口腔内の3次元データを取得し、データ格納部に格納し、注文コンテナに対応付けを行う。または、従来通り歯の模型を運送してもよい。
【0107】
次に、図3及び図4のステップS2において、委託先の歯科技工所が指示書を確認する。一般的には歯科技工士などが紙の技工指示書を確認する(図3)。
一方、本実施形態(図4)では、委託先端末30は技工指示書を表示する。
次に、図3及び図4のステップS3において、委託先である歯科技工所は技工指示書に基づいて歯科技工物の製作に対応可能であることを確認する。
【0108】
次に、図3及び図4のステップS4において、歯科技工所が歯科技工物の製作を行う。技工指示書をもとに製作を行うが、確認事項が発生する場合がある。従来、歯科技工士は電話や電子メール、FAX、SMSなどを使用して問い合わせを行っていた(図3)。この時、歯科技工所および歯科医院では技工指示書を参照しながら協議をすることとなる。しかし、歯科医院および歯科技工所では大量の技工指示書が保存されており、技工指示書を手元に用意するのに手間がかかっていた。また、問い合わせを行った内容に関しての管理に関して手間がかかっていた。
【0109】
一方、本実施形態(図4)では、サーバ装置10上の注文コンテナに技工指示書、技工を行う上で必要となるデータ、注文チャット機能、などが対応付けられており、委託元端末20および委託先端末30で情報の共有が可能である。そのため従来の方法で問い合わせる際よりも簡便に問い合わせを行うことが出来る。また、委託元端末20および/または委託先端末30のユーザは、注文コンテナに対応付けられた注文チャットを使用することで問い合わせの内容および回答が注文に対応付けられ、管理が容易となる。また、技工指示書に記載漏れがあった場合や、歯科医院と歯科技工所の協議の上で変更があった場合については、技工指示書作成編集部を用いて技工指示書を改定し、承認申請を行い承認されれば技工指示書を簡便に改定することが出来る。
【0110】
次に、図3及び図4のステップS5においては、技工物が完成すると、歯科医院に技工物が納品される。納品は運送や手渡しなどの手段、3Dデータや加工パスなどのデータを納品する手段が想定される。
【0111】
次に、図3及び図4のステップS6において、委託先は技工録を作成する。従来、技工録は紙で作成され保管されていた(図3)。
一方、本実施形態(図4)では、委託先端末30は、技工物製作時に入力する加工工程情報を使用して歯科技工録を自動作成する。歯科技工所のユーザが確認し操作した後、保存され委託元に共有される。この時、委託先端末30のユーザは、加工工程情報で不足している情報などを入力部に入力し追記できる。
【0112】
次に、図3及び図4のステップS7において、委託元で、納品された技工物の検品が行われ、問題がなければ患者口腔内に装着される。問題があった場合、再製作依頼が行われる。従来、委託元は、図3のステップS8に示すように紙の技工指示書を確認し、図3のステップS9に示すように再作成依頼を委託先に電話や、メール、SMSなどを使用して行っていた。この時、委託元および委託先では技工指示書を探す手間や当時使用した加工データ、患者の歯の模型を探す手間が発生する。本実施形態では歯科医院が本システムから再製作を依頼することができる。
【0113】
一方、本システムで再製作依頼がされる場合(図4のステップS7においてYes)、再製作が行われる技工に必要な情報が対応付けられた状態で依頼が行われる。そのため、技工所は過去のデータを探す手間がなくなる。
【0114】
図5Aは本実施形態の委託先端末30での注文管理画面の一例である。本実施形態では医院の加工工程情報、2次請けでの加工工程情報、受注日、2次請けへの依頼日、発注元、患者名、納期が表示されるとしているが、これに限定されるものではない。これらのパラメータで並べ替えおよび抽出を行うことができる。また、「検索」ボタンで検索を行うことができる。例えば、医院からの「受注」の加工工程情報となっているものの抽出や発注元での検索などを行える。また、医院ごとに注文一覧表示をすることができ、医院名で抽出した注文一覧表示をしている際、対応する医院の通常チャットが表示される。図5Bは医院ごとに注文一覧表示をした際の管理画面の一例である。
【0115】
加工工程情報は「発注」、「受注」、「設計」、「加工」、「仕上げ」、「発送準備中」、「輸送中」、「受領」、「修正」、「キャンセル」、がありそれぞれ作業の進捗ごとに変化する。加工工程情報の内容を上記に挙げているがこれに限定するものでなく例えば医院ごと、技工所ごとに自身の加工工程情報を自由入力できる構成としてもよい。
【0116】
「書き出し」ボタンは受注管理画面に表示されている受発注情報一覧を書き出すことができる。書き出し形式は特に制限はなくテキスト、表、画像などの一般的な形式で書き出すことができる。
通常チャット機能は注文に対応付かないデータの送信や、対応、協議を行うことが出来る。
【0117】
「2次発注する」ボタンは選択中の注文を歯科医師の指示のもと他の歯科技工所に2次発注を行うことができる。この時、歯科技工指示書編集部で歯科技工指示書に二次請けの名称、住所が記載され、委託先端末30の承認申請部で委託元に承認申請が行われ、委託元端末20の承認部で承認が行われることにより、二次委託先に当該注文コンテナ領域が共有され二次委託が行われる、
「注文を開く」ボタンは選択中の注文を表示することができる。
【0118】
図6は技工所が自らが対応できない注文が委託された際に技工指示書に詳細な設計パラメータを記載し、加工拠点などの2次委託先などに委託を行う本実施形態の一例のフロー図である。図6の一部のステップ(ステップS1、S2、S4~S7)は、図4の同名のステップと同じである。以下では簡単に言及するにとどめる。
【0119】
ステップS1において歯科医院が委託元端末20を用いて、技工物に関する技工指示書を作成し、委託先である委託先端末30とデータの共有を行う。ステップS2において委託先は技工指示書を確認し、ステップS10において委託先が技工物の製作に対応可能か否かを判定する。対応可能であれば処理はステップS4に進み、対応できない場合には処理はステップS11に進む。
【0120】
ステップS11では、委託先自らが対応できない注文に関しては、委託先は委託先端末30から、技工作業の一部または全部を再委託先となる技工所および/または加工拠点に依頼することになる。日本国の法律では、再委託に関しても歯科医師の歯科技工指示書の元、技工作業を行う必要がある。そこで委託先端末30は、編集部を使用し技工指示書に必要な情報の加筆修正を行う。
【0121】
ステップS12において、委託先端末30の承認申請部は、加筆修正した技工指示書を歯科医師に確認してもらうと共に承認申請する。ステップS13において、歯科医師が委託元端末20を介して承認すると、改定された技工指示書が歯科医院より発行される。技工指示書が改定されると再委託先に技工指示書と共に技工作業に必要なデータが共有される。
【0122】
ステップS15において、再委託先は、技工物を製作し、技工指示書の内容の更新等を行う。この処理はステップS4の処理と同等である。
【0123】
再委託先での技工作業終了後、ステップS16において、再委託先は、委託元または一次委託先に技工物を納品し、ステップS17において、再委託先は自らが担当した作業の技工録を作成する。一次委託先および/または委託元の歯科医院に技工録が閲覧できる形で保管する。一次委託先に技工物が納品される場合、多くが技工作業の一部のみ委託している。一次委託先は再委託先より納品された技工物に対し、残りの作業を実施し、委託元の歯科医院に納品し、技工録を作成する。納品後、委託元の歯科医院が閲覧できる形で技工録を保管する。
【0124】
図7は委託元端末20での注文表示画面の例である。ログインしているユーザ、患者情報、依頼日、依頼先、が表示されており、歯科技工指示書、技工録、契約書、チャット、メモデータ格納部のボタンが配置されている。「歯科技工指示書」ボタンは選択している注文の歯科技工指示書を表示する。「契約書」ボタンは選択中の注文の依頼先との契約一覧を表示する。契約一覧の中から表示したい契約を選択すると、契約書が表示される。「技工録」ボタンは技工録が登録されている場合のみボタンが表示され、クリック時は注文に対応した、技工録を表示する。チャットボタンは全共有、歯科医院・歯科技工所間、歯科医院・再委託先歯科技工所間、歯科技工所・再委託先歯科技工所間のチャットが用意されており、各々チャットが表示される。歯科医院・歯科技工所間、歯科医院・再委託先技工所間、歯科技工所・再委託先歯科技工所間のチャットボタンは再委託を行っていない場合表示されない。
【0125】
また、メモチャット機能があり、他の歯科医院および歯科技工所と共有されていないチャット領域がある。注文に対して記録しておかなければならないことや、注文に関して各々の施設内で共有したい情報など自由に記述できる。医院または歯科技工所に複数のユーザアカウントがある場合に各々の組織内部でのみ共有される。データ格納部ボタンはデータ格納領域に保存されているログインユーザが閲覧する権限を与えられているデータの一覧を表示するボタンである。委託元端末20および委託先端末30より送信されたデータはデータ格納部に格納され、それぞれのデータに対して共有する・しないの共有権限管理をデータ格納部に格納したログインユーザが指定することができる。本実施形態ではログインユーザが指定できるとしているが、共有権限の付与方法はこれに限定するものではなく、同施設内のユーザが共有権限管理をできるようにしてもよい。また、命名ルールによる自動権限付与を行うことや、データの格納時に使用したアップローダの種類に応じて共有権限を付与する形式としてもよい。例えば、チャットでデータをアップロードする場合、チャットの相手に自動的に共有権限を付与することができる。
【0126】
図11はチャットのグループのパターン例である。本実施形態では再委託先までの例としているが、3次請け4次請けと再委託先が増えた場合には、チャット機能が追加される。
【0127】
図8はチャット画面の例である。ここでは全共有のチャット画面を例示する。チャット画面は図のようにメッセージ、データを送信することができる。メッセージには送信者、送信時間が付随し、送信される。データはデータ格納領域に保存され注文チャット機能で発信されたデータは当該注文コンテナに対応付けられ、チャット機能にはリンク形式で共有される。
【0128】
また、チャット機能で送信するデータの形式は特に限定するものはなく、静止画、動画、文書、テキスト、3次元形状データ、音声データなどあらゆる形式のものが添付できる。添付されたデータは共有ファイル一覧として一覧表示される。
チャット機能は承認が不要な発言と承認が必要な発言を区別して発出することができ、承認が必要な発言、承認済みの発言について印が付くまたは/および色が異なることで判別が容易になっている。
【0129】
図9は委託元端末20での患者データの管理画面の例である。表示させている患者情報、最近追加された患者データ、患者データのマトリックスが表示される。図9のマトリックスは送信されたデータを日付・種別毎にマトリックス表示をしているがこれに限定されない。
【0130】
この画面上で患者に関わるデータをパソコンでドラック&ドロップすることにより患者に対応付けた状態でサーバ装置10に送信することが可能である。
【0131】
この時、送信できるデータは特に規定はなくどのようなファイル形式でも送信できる。また、複数のデータをまとめて送信することもでき、複数のデータをまとめて送信する場合、シリーズとしてまとめて登録される。
【0132】
図10図9の画面にドラック&ドロップした際の送信確認画面である。送信されるデータは患者情報が対応付けされる他、データの種類に応じて種別タグを追加することが出来る。追加されたタグは図9の種類で分類されそれぞれの格納領域に保存される。選択できる種別タグは「歯科技工指示書」、「3次元形状データ」、「デジカメ画像」、「CT」、「手術記録」、「イラスト」、「動画」「その他書類」、「その他データ」などが挙げられるが、これに限定するものではない。また、複数のデータが送信される場合に、送信確認画面で一部のデータのみ選択・送信ができる構成にしてもよい。
【0133】
図12は、注文発注部の画面の一例を示す図である。また、図13は一つの症例において複数の技工指示書が発行される例のフローチャートである。図に示す通り歯科医療では同一の症例に関して複数枚注文が発生し、複数の技工指示書が発行される場合がある。特に最終技工物を作成する前に暫間被覆冠が製作される場合、最終技工物と形態および色は同一で材質のみを変更した技工物を製作し、最終技工物を製作する前に形状の確認や色調の確認が行われる。この場合、歯科技工所は暫間被覆冠を製作したデータを利用し、最終技工物の作製が行われるが、注文にデータや技工指示書が対応付いていなければデータや技工指示書の管理が煩雑となる場合があった。
【0134】
本実施形態では、新たな注文コンテナを作成する際に関連症例として過去の注文コンテナを対応付けることができ、当該注文コンテナ内の注文チャット機能の会話履歴や対応付けられているデータの閲覧および/またはダウンロードができる。これにより暫間被覆冠などデータの引継ぎをする場合や、過去の注文のチャット機能での会話情報などをいつでも閲覧および/または使用できるようになり技工作業の効率が上がる。
【0135】
以上、本発明に係る好ましい実施形態について例示したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意のものとすることができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明にかかるデータ管理システムは、歯科医院と歯科技工所との間のデータ共有を簡便にし、データ管理の手間を軽減する場合に有用である。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13