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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183125
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】表示装置および表示装置の作製方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20221201BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20221201BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20221201BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221201BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20221201BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20221201BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20221201BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
H05B33/02
G09F9/30 365
G09F9/30 310
G09F9/00 313
G09F9/30 308A
G09F9/00 342
H05B33/14 A
H05B33/14 Z
H01L27/32
H05B33/10
G02B5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086533
(22)【出願日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2021089418
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】安達 広樹
(72)【発明者】
【氏名】井戸尻 悟
【テーマコード(参考)】
2H149
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H149AA18
2H149AB00
2H149AB23
2H149AB26
2H149BA02
2H149DA04
2H149DA12
2H149EA03
3K107AA01
3K107AA05
3K107BB01
3K107CC21
3K107CC41
3K107DD17
3K107EE26
3K107EE61
3K107FF15
3K107GG26
3K107GG28
3K107GG53
5C094AA31
5C094BA03
5C094BA23
5C094BA27
5C094DA05
5C094DA11
5C094ED14
5C094FA02
5C094JA20
5G435AA14
5G435BB04
5G435BB05
5G435CC09
5G435FF05
5G435KK05
5G435KK10
(57)【要約】
【課題】利便性又は信頼性に優れた新規な表示装置を提供する。又は、利便性又は信頼性に優れた新規な入出力装置を提供する。
【解決手段】複数の表示パネルの端面周辺をレーザー加工して、それぞれをつなぎ合わせ、隣り合う表示パネルの境界で凹凸が生じず、表示装置の最表面が平坦になるような表示装置の構成とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の素子層と、前記第1の素子層上に第1の発光素子層を有し、
第2の素子層と、前記第2の素子層上に第2の発光素子層を有し、
前記第1の素子層の端部に駆動回路部を有し、
前記第1の素子層と前記第2の素子層の境界面は、深さ方向の第1の境界面を有し、前記第1の素子層と前記第2の発光素子層の境界面は、幅方向の第2の境界面を有し、前記第1の境界面と前記第2の境界面が接する形状を有し、
前記駆動回路部上に前記第2の発光素子層が重なっている表示装置。
【請求項2】
請求項1において、前記第1の素子層、前記第2の素子層、前記第1の発光素子層、及び前記第2の発光素子層は、一対の透光性を有するフィルムによって挟持されている表示装置。
【請求項3】
請求項1において、さらに、前記第1の発光素子層、及び前記第2の発光素子層と重なる偏光フィルムを有する表示装置。
【請求項4】
請求項1において、前記第1の素子層及び前記第2の素子層は曲面を有する部材に固定されている表示装置。
【請求項5】
第1の基板上に第1の素子層を形成し、前記第1の素子層上に第1の発光素子層を形成し、
第1のレーザー光の照射により前記第1の基板、前記第1の素子層、または前記第1の発光素子層を加工して第1の端面を形成し、
第2の基板上に第2の素子層を形成し、前記第2の素子層上に第2の発光素子層を形成し、
第2のレーザー光の照射により前記第2の基板、前記第2の素子層、または前記第2の発光素子層を加工して第2の端面を形成し、
前記第1の端面と前記第2の端面を合わせる表示装置の作製方法。
【請求項6】
請求項5において、前記第1の端面は、階段形状である表示装置の作製方法。
【請求項7】
請求項5において、さらに、第3の基板を前記第1の基板または前記第1の発光素子層に貼り付けた後、0.1MPa以上の高圧雰囲気内での加熱を行う表示装置の作製方法。
【請求項8】
請求項7において、前記第3の基板は、偏光フィルムを有する表示装置の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置、電子機器又は半導体装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、又は、製造方法に関するものである。又は、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、又は、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、それらの駆動方法、又は、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【0003】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0004】
自動車などの車内の計器表示の一部を液晶表示装置に置き換える方向で開発が進められている。又は、計器表示の一部に有機発光表示装置を用いる開発も進められている。又は、より多くの情報(車の周囲の状況情報、交通情報、地理情報など)を活用するため、車内の表示を利用し、自動車などの車両の運転者を支援する取り組みがなされている。
【0005】
又は、今後、自動車の車内外に対してカメラまたはセンサを多数設置し、表示する画面が多く必要となる可能性がある。
【0006】
なお、自動車の運転席周辺に表示部を設ける構成、及び自動車に曲面を有する表示パネルを設ける構成について、特許文献1に開示されている。
【0007】
また、複数の発光パネルを用いて、湾曲部を有する表示パネルを設ける構成が特許文献2に開示されている。
【0008】
また、特許文献3には車両に搭載する両面射出型表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003-229548号公報
【特許文献2】特開2015-207556号公報
【特許文献3】特開2005-67367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一態様は、利便性又は信頼性に優れた新規な発光装置を提供することを課題の一とする。又は、利便性又は信頼性に優れた新規な表示装置を提供することを課題の一とする。又は、利便性又は信頼性に優れた新規な入出力装置を提供することを課題の一とする。又は、新規な発光装置、新規な表示装置、新規な入出力装置又は新規な半導体装置を提供することを課題の一とする。
【0011】
なお、有機発光表示装置で用いられるエレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、以下ELと記す)現象を利用した発光デバイス(ELデバイス、EL素子ともいう)は、薄型軽量化が容易である、入力信号に対し高速に応答可能である、直流定電圧電源を用いて駆動可能である等の特徴を有している。
【0012】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
大面積の表示領域を構成するために、複数の表示パネルの端面周辺をレーザー加工して、それぞれをつなぎ合わせ、隣り合う表示パネルの境界で凹凸が生じず、表示装置の最表面が平坦になるような表示装置の構成とする。
【0014】
物理的な刃を用いて表示パネルの端部を切断し、重ね合わせると、重ね合わせた境界が目立つ結果が得られた。そこで、レーザー加工により表示パネルの端部を切断し、重ね合わせると、重ね合わせた境界が目立たなくすることができる。このように表示パネルの外形加工にレーザー光を用いた分断を用いると、表示パネルのつなぎ目(境界線を含む領域)による表示品質の低下を招くことなく高精細な表示装置が得られる。レーザー加工により端部を加工した表示パネルを複数用意して、それぞれをタイル状に並べることで一つの表示面を有する表示装置を作製することができる。
【0015】
さらに、レーザー光の照射位置の深さを制御することで一部を切除して端部に凸部を形成し、凸部と重ね合わせる部分を形成し、互いに重ね合わせる。また、重ね合わせた部分も表示領域の一部である。
【0016】
レーザー光としては、連続発振レーザー光、またはパルス発振レーザー光などの強光を用いることができる。特に、パルス発振レーザー光は、瞬間的に高エネルギーのパルスレーザー光を発振することができるため好ましい。パルス発振レーザー光として、例えばArレーザー、Krレーザー、エキシマレーザー、COレーザー、YAGレーザー、Yレーザー、YVOレーザー、YLFレーザー、YAlOレーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Ti:サファイアレーザー、銅蒸気レーザーまたは金蒸気レーザーを用いることができる。レーザー光の波長は、200nm以上20μm以下であることが好ましい。たとえば、レーザー光として10.6μmの波長を持つCOレーザーを用いることができる。COレーザーは、有機材料、無機材料からなるフィルム、またはガラス基板を加工できる。また、レーザー光としてパルスレーザー光を用いる場合、パルス幅は10ps(ピコ秒)以上10μs(マイクロ秒)以下が好ましく、10ps以上1μs以下がより好ましく、10ps以上1ns(ナノ秒)以下がさらに好ましい。例えば、波長532nm、パルス幅1ns以下のパルスレーザー光を用いればよい。
【0017】
表示パネルをレーザー加工して重ね合わせた表示装置の断面の一例を図1に示す。
【0018】
図1では、第1のフィルム21a上に駆動回路部20bと、その上に発光素子層(OLED、μLED)22aが設けられた第1の表示パネルの端面周縁を示しており、第2の表示パネルにも駆動回路部20cと、その上に発光素子層(OLED、μLED)22bが設けられている。第1の表示パネルの端面は、一部突出した凸部が設けられ、その部分には駆動回路部20aが設けられている。駆動回路部20a上には発光素子層22bの発光デバイスに接続するFETなどが設けられている。なお、駆動回路部20a、駆動回路部20bを含む層を素子層と呼ぶ。この素子層及び発光素子層22a、22bを第1のフィルム21aと第2のフィルム21b(透光性を有するフィルム)で貼り合わせた構成を一例として示している。
【0019】
本明細書で開示する発明の構成は、第1の素子層と、第1の素子層上に第1の発光素子層を有し、第2の素子層と、第2の素子層上に第2の発光素子層を有し、第1の素子層の端部に駆動回路部を有し、第1の素子層と第2の素子層の境界面は、深さ方向の第1の境界面を有し、第1の素子層と第2の発光素子層の境界面は、幅方向の第2の境界面を有し、第1の境界面と第2の境界面が接する形状を有し、駆動回路部上に第2の発光素子層が重なっている表示装置である。
【0020】
上記構成において第1の発光素子層と第2の発光素子層の境界面は深さ方向の第3の境界面を有し、第1の境界面と第2の境界面が接し、第2の境界面と第3の境界面が接する形状は階段形状となる。なお、上面からみた場合、第1の境界面と第3の境界面は位置がずれて概略平行である。
【0021】
上記構成において、第1の素子層、第2の素子層、第1の発光素子層、及び第2の発光素子層は、一対の透光性を有するフィルムによって挟持されている。
【0022】
さらに、第1の発光素子層、及び第2の発光素子層と重なる偏光フィルム(または偏光板または円偏光板)を有する表示装置とすることで、画素領域に表示させた場合に、境界面が目立たなくなる。
【0023】
上記構成において、表示装置を曲面を有する部材に固定することができる。
【0024】
また、素子層及び発光素子層の合計厚さを薄くすることが好ましく、各層を薄く形成する、研磨またはエッチングを行うことで可能な限り薄くする。
【0025】
また、複数の表示パネルをタイル状に並べた、または重ね合わせて並べた後は、フィルムを貼る。フィルムを貼った後はオートクレーブを用いて0.1MPa以上の高圧で加熱することで、フィルムとの貼り合わせ面に気泡を生じることなく表示装置を作製することができる。
【0026】
また、フィルムの屈折率と、貼り合わせる接着層の屈折率は同程度とすることが好ましく、より境界を目立たなくすることができる。
【0027】
また、上記構成を得るための作製方法も本発明の一態様であり、その構成は、第1の基板上に第1の素子層を形成し、第1の素子層上に第1の発光素子層を形成し、第1のレーザー光の照射により第1の基板、第1の素子層、または第1の発光素子層を加工して第1の端面を形成し、第2の基板上に第2の素子層を形成し、第2の素子層上に第2の発光素子層を形成し、第2のレーザー光の照射により第2の基板、第2の素子層、または第2の発光素子層を加工して第2の端面を形成し、第1の端面と第2の端面を合わせる表示装置の作製方法である。
【0028】
上記構成において、第1の端面は、階段形状とすることもできる。レーザー加工により、あるパネルの端面に突出した凸部を設け、他のパネルの端面に設けた凸部と重ねることでつなぎ目を目立たなくすることができる。また、レーザー加工した部分同士を重ねることで、パネル最表面を滑らかにすることができる。パネル最表面を滑らかにすると、その上に光学フィルムを貼る場合に凹凸が生じず好ましい。
【0029】
また、光学フィルムとして偏光フィルム(または偏光板または円偏光板)を用いることでも、より境界を目立たなくすることができる。
【0030】
また、さらに、第3の基板を第1の基板または第1の発光素子層に貼り付けた後、高圧雰囲気内での加熱を行うと、第3の基板との界面に気泡が生じないため好ましい。
【0031】
なお、図1において、発光素子層は、有機EL素子(OLEDとも呼ぶ)またはマイクロLED(μLEDとも呼ぶ)を含む。
【0032】
なお、本発明の一態様である表示装置の作製方法に用いることができるLEDチップの発光色は特に限定されない。例えば、白色の光を発するLEDチップにも適用できる。また、例えば、赤色、緑色、青色等の可視光線の波長領域の光を発するLEDチップにも適用できる。また、例えば、近赤外線、赤外線の波長領域の光を発するLEDチップにも適用できる。
【0033】
本実施の形態では、特に、発光ダイオードとして、マイクロLEDを用いる場合の例について説明する。なお、本実施の形態では、ダブルヘテロ接合を有するマイクロLEDについて説明する。ただし、発光ダイオードに特に限定はなく、例えば、量子井戸接合を有するマイクロLED、ナノコラムを用いたLEDなどを用いてもよい。
【0034】
発光ダイオードの光を射出する領域の面積は、1mm以下が好ましく、10000μm以下がより好ましく、3000μm以下がより好ましく、700μm以下がさらに好ましい。また、当該領域の面積は、1μm以上が好ましく、10μm以上が好ましく、100μm以上がさらに好ましい。なお、本明細書等において、光を射出する領域の面積が10000μm以下の発光ダイオードをマイクロLEDと記す場合がある。
【0035】
なお、本発明の一態様における表示装置に用いることのできるLEDについては、上記のマイクロLEDに限定されない。例えば、光を射出する領域の面積が10000μmより大きい発光ダイオード(ミニLEDともいう)を用いてもよい。
【0036】
本発明の一態様の表示装置は、金属酸化物層にチャネル形成領域を有するトランジスタを有することが好ましい。金属酸化物を用いたトランジスタは、消費電力を低くすることができる。そのため、マイクロLEDと組み合わせることで、極めて消費電力の低減された表示装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0037】
複数の表示パネルを組み合わせて、大面積の表示領域を有する表示装置を実現することができ、それぞれの表示パネルの境界を目立たなくすることができる。又は、本発明の一態様は、曲面を有する表示面を有し、且つ、比較的大面積の表示装置を実現できる。
【0038】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は本発明の一態様を示す断面構造図の一例である。
図2図2(A)乃至図2(D)は、本発明の一態様を示す表示装置の作製工程の断面図の一例である。
図3図3(A)乃至図3(D)は、本発明の一態様を示す表示装置の作製工程の断面図の一例である。
図4図4(A)乃至図4(E)は、本発明の一態様を示す表示装置の作製工程の断面図の一例である。
図5図5(A)及び図5(B)は、作製工程のフローを示す図である。
図6図6(A)は、表示領域100の一例を示す上面図であり、図6(B)は、表示領域100の一例を示す断面図である。
図7図7(A)乃至図7(E)は、画素の一例を示す上面図である。
図8図8(A)乃至図8(E)は、画素の一例を示す上面図である。
図9図9(A)及び図9(B)は、表示装置の構成例を示す図である。
図10図10(A)乃至図10(C)は、表示装置の構成例を示す図である。
図11図11(A)、図11(B)及び図11(D)は、表示装置の例を示す断面図である。図11(C)、図11(E)は、画像の例を示す図である。図11(F)乃至図11(H)は、画素の例を示す上面図である。
図12図12(A)は、表示装置の構成例を示す断面図である。図12(B)乃至図12(D)は、画素の例を示す上面図である。
図13図13(A)は、表示装置の構成例を示す断面図である。図13(B)乃至図13(I)は、画素の一例を示す上面図である。
図14図14(A)乃至図14(F)は、発光デバイスの構成例を示す図である。
図15図15(A)及び図15(B)は、発光デバイスおよび受光デバイスの構成例を示す図である。
図16図16(A)及び図16(B)は、表示装置の構成例を示す図である。
図17図17(A)乃至図17(D)は、表示装置の構成例を示す図である。
図18図18(A)乃至図18(C)は、表示装置の構成例を示す図である。
図19図19(A)乃至図19(D)は、表示装置の構成例を示す図である。
図20図20(A)乃至図20(F)は、表示装置の構成例を示す図である。
図21図21(A)乃至図21(F)は、表示装置の構成例を示す図である。
図22図22は、表示装置の構成例を示す図である。
図23図23(A)は、表示装置の一例を示す断面図である。図23(B)は、トランジスタの一例を示す断面図である。
図24図24(A)乃至図24(D)は、画素の例を示す図である。図24(E)及び図24(F)は、画素の回路図の例を示す図である。
図25図25は、車両内部の構成例を示す図である。
図26図26(A)乃至図26(D)は、実施例1の作製工程の断面図の一例である。
図27図27(A)は実施例1の表示パネル境界付近を上面から観察した顕微鏡写真図であり、図27(B)は、比較例を示す写真図である。
図28図28(A)は円偏光板を重ねた実施例1の表示パネル境界付近を上面から観察した顕微鏡写真図であり、図28(B)は、比較例を示す写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書等において、XとYとが接続されていると記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図又は文章に示された接続関係に限定されず、図又は文章に示された接続関係以外のものも、図又は文章に開示されているものとする。X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層など)であるとする。
【0041】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示デバイス、発光デバイス、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、導通状態(オン状態)、又は、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。
【0042】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(デジタルアナログ変換回路、アナログデジタル変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅又は電流量などを大きくできる回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。
【0043】
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載する場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)とを含むものとする。
【0044】
また、本明細書等において、トランジスタは、ゲート、ソース、及びドレインと呼ばれる3つの端子を有する。ゲートは、トランジスタの導通状態を制御する制御端子である。ソース又はドレインとして機能する2つの端子は、トランジスタの入出力端子である。2つの入出力端子は、トランジスタの導電型(nチャネル型、pチャネル型)及びトランジスタの3つの端子に与えられる電位の高低によって、一方がソースとなり他方がドレインとなる。このため、本明細書等においては、ソース又はドレインの用語は、言い換えることができる場合がある。また、本明細書等では、トランジスタの接続関係を説明する際、「ソース又はドレインの一方」(又は第1電極、又は第1端子)、「ソース又はドレインの他方」(又は第2電極、又は第2端子)という表記を用いる。なお、トランジスタの構造によっては、上述した3つの端子に加えて、バックゲートを有する場合がある。この場合、本明細書等において、トランジスタのゲート又はバックゲートの一方を第1ゲートと呼称し、トランジスタのゲート又はバックゲートの他方を第2ゲートと呼称することがある。更に、同じトランジスタにおいて、「ゲート」と「バックゲート」の用語は互いに入れ換えることができる場合がある。また、トランジスタが、3以上のゲートを有する場合は、本明細書等においては、それぞれのゲートを第1ゲート、第2ゲート、第3ゲートなどと呼称することがある。
【0045】
本明細書等において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い(pチャネル型トランジスタでは、Vthよりも高い)状態をいう。
【0046】
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductor又は単にOSともいう)等に分類される。例えば、トランジスタの活性層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OSトランジスタと記載する場合においては、金属酸化物又は酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
【0047】
また、本明細書等において、「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものである。従って、構成要素の数を限定するものではない。また、構成要素の順序を限定するものではない。例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素が、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において「第2」に言及された構成要素とすることもありうる。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素を、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において省略することもありうる。
【0048】
また、本明細書等において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている場合がある。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書等で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。例えば、「導電体の上面に位置する絶縁体」の表現では、示している図面の向きを180度回転することによって、「導電体の下面に位置する絶縁体」と言い換えることができる。
【0049】
また、「上」又は「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上又は直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0050】
また、本明細書等において、「膜」、「層」などの語句は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、場合によっては、又は、状況に応じて、「膜」、「層」などの語句を使わずに、別の用語に入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」又は「導電膜」という用語を、「導電体」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、例えば、「絶縁層」、「絶縁膜」という用語を、「絶縁体」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0051】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。又は、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0052】
(実施の形態1)
本実施の形態では、複数の可撓性を有する基板を用い、可撓性を有する基板上に形成された画素領域を有し、曲面を有する表示面を備えた表示装置の作製例について以下に説明する。
【0053】
図3(A)は、第2の素子層616a上に発光素子層が形成され、ブラックマトリクス602bが配置された第2の表示パネル600bを示している。また、図3(A)ではレーザー光604が照射されてレーザー加工が行われている途中の断面図を示している。
【0054】
図3(B)は、レーザー加工後の断面の状態を示しており、ブラックマトリクス602bが配置されている側の溝と、第2の素子層616aに設けられた溝の位置が異なるようにレーザー光を深さ方向に制御する。なお、ブラックマトリクス602bは発光素子の封止のためのフィルムまたは発光素子層に設けられている。
【0055】
図3(C)は、第2の表示パネル600bの一部を切除した状態を示しており、第2の表示パネル600bの端面には、第2の素子層616aが突出した凸部を有している。
【0056】
また、第1の表示パネル600aを予め用意しておき、第2の素子層616aの突出した凸部と、第1の表示パネル600aの突出した凸部とが重なるように配置する。図3(D)は、ブラックマトリクス602bとブラックマトリクス602aが等間隔となるように第1の表示パネル600aの端部と第2の表示パネル600bの端部とを合わせて表示装置を作製する様子を示している。従って、図3(D)に示すように第1の素子層616bと第2の素子層616aとの境界(上面からの境界線)と、ブラックマトリクス602bとブラックマトリクス602aの境界(上面からの境界線)とは位置がずれている。また、第1の素子層616bと第2の素子層616aとの第1の境界面は、深さ方向に延びており、また、第2の素子層616aと第1の発光素子層との第2の境界面は幅方向に延びており、第2の発光素子層と第1の発光素子層との第3の境界面は、深さ方向に延びている。
【0057】
なお、第1の表示パネル600aの端部もレーザー加工によって第1の表示パネル600aの端面に凸部を有している。また、端面の凸部同士を重ね合わせることで、ブラックマトリクス602bとブラックマトリクス602aがほぼ同一平面上に配置できる。
【0058】
図3では、第1の表示パネル600aと第2の表示パネル600bを合わせる例を示したが、図2では曲面を有する支持体10に配線層12を設け、その上に、表示パネルを順に重ねていく工程図を示す。
【0059】
まず、可撓性を有する基板上にマトリクス状に配置された複数の画素及び駆動回路部を作製する。可撓性を有する基板をフレキシブル基板とも呼ぶ。なお、可撓性を有する基板上に直接トランジスタ又は発光素子を形成する方法を用いてもよいし、ガラス基板などにトランジスタ又は発光素子を形成した後、ガラス基板から剥離を行って可撓性を有する基板に接着層を用いて接着させる方法を用いてもよい。剥離法又は転置法は様々な種類があるが特に限定されず、公知の技術を適宜用いればよい。
【0060】
ガラス基板を用いる場合は、第3世代(550mm×650mm)、第3.5世代(600mm×720mm、又は620mm×750mm)、第4世代(680mm×880mm、又は730mm×920mm)、第5世代(1100mm×1300mm)、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm、2450mm×3050mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等のガラス基板、又はこれよりも大型のガラス基板を用いることができる。ガラス基板を用いる場合には、可撓性を有する基板に直接、トランジスタなどを形成するよりも高い熱処理温度をかけられるため、トランジスタの作製プロセス温度が高い場合に適している。
【0061】
可撓性を有する基板の材料としては、例えば、PET、PEN等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、PC樹脂、PES樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、ポリシロキサン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリプロピレン樹脂、PTFE樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。特に、線膨張係数の低い材料を用いることが好ましく、例えば、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、PET等を好適に用いることができる。また、繊維体に樹脂を含浸した基板、及び、無機フィラーを樹脂に混ぜて線膨張係数を下げた基板等を使用することもできる。
【0062】
又は可撓性を有する基板として金属フィルムを用いることもできる。金属フィルムとしてはステンレス、アルミニウムなどを用いることができる。ただし、金属フィルムは遮光性であるため、用いる発光素子の発光方向を考慮して用いる。
【0063】
可撓性を有する基板としては、上記材料を用いた層が、装置の表面を傷などから保護するハードコート層(例えば、窒化シリコン層など)、押圧を分散可能な材質の層(例えば、アラミド樹脂層など)等の少なくとも一と積層されて構成されていてもよい。
【0064】
接着層には、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。また、接着テープ、または接着シート等を用いてもよい。
【0065】
そして、公知の技術を用いて、可撓性を有する基板上に第1の発光デバイス16aの画素領域と駆動回路部20aを形成する。そして、可撓性を有する基板に開口を開けて電極18aを作製し、図2(A)に示すように、曲面を有する支持体10に可撓性を有する基板を固定する際に、支持体10上の配線層12と電極18aとを電気的に接続する。なお、電極18aは、可撓性を有する基板に設けられた開口を介して駆動回路部20aの配線と電気的に接続するため、貫通電極と呼ぶ場合もある。
【0066】
次いで、図2(B)に示すように、第2の発光デバイス16bの端部が駆動回路部20aと重なるように固定する。駆動回路部20aは画素領域ではなく表示できないため、その上に第2の発光デバイス16bの画素領域を重ねることで第1の発光デバイス16a及び第2の発光デバイス16bの境界付近に生じる恐れのある縦しま又は横しまを目立たなくすることができる。
【0067】
次いで、図2(C)に示すように、第3の発光デバイス16cの端部が駆動回路部20bと重なるように固定する。駆動回路部20bは画素領域ではなく表示できないため、その上に第3の発光デバイス16cの画素領域を重ねることで第2の発光デバイス16b及び第3の発光デバイス16cの境界付近に生じる恐れのある縦しま又は横しまを目立たなくすることができる。
【0068】
次いで、図2(D)に示すように、カバー材13で発光デバイスを覆い、樹脂を用いて固定する。カバー材13で発光デバイスを覆うことによって、駆動回路部20aと重なっている第2の発光デバイス16bの端部の段差を小さくすることができる。また、縦しま又は横しまを目立たなくするため、カバー材13及び樹脂の屈折率を適宜選択する。樹脂に用いる材料としては、透光性の高い樹脂が好ましく、例えば、エポキシ樹脂、アラミド樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の有機樹脂膜を用いることができる。
【0069】
図2(D)中の矢印は、第2の発光デバイス16bの発光方向14aを示しており、カバー材13及び樹脂は透光性を有している。樹脂又はカバー材13の屈折率を調節して、異なる基板に設けられた画素領域の境界付近に生じる恐れのある縦しま又は横しまを目立たなくすることができる。
【0070】
カバー材13と樹脂との屈折率の差が20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下であることが好ましい。なお、屈折率とは可視光、具体的には波長400nm以上750nm以下の光における値を指しており、上記範囲の波長を有する光における平均屈折率を指す。平均屈折率は、上記範囲の波長を有する各光に対する屈折率の測定値の総和を測定点の数で割った値とする。なお、空気の屈折率は1とする。
【0071】
上記工程により、複数の発光デバイス(複数の発光パネル、複数の表示パネルとも呼ぶ)を適宜、一部重ねて配置することで、曲面上につなぎ目(継ぎ目)なく配置された領域を一つの表示領域とする表示装置を作製することが可能となる。また、レーザー加工した部分のみが重なり部となるため、従来よりも重なり部分を小さくすることができる。
【0072】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0073】
(実施の形態2)
実施の形態1ではレーザー加工によって凸部を形成する例を示したが、本実施の形態では、レーザー加工によって端面を形成し、それぞれの表示パネルの端面を合わせてタイル方式で複数の表示パネルをつなぎ目なく配置し、一つの表示領域とする表示装置の作製例を示す。
【0074】
まず、図4(A)に示すように、第1の表示パネル616dを作製した後、端部をレーザー光604によって切断する。本実施の形態では、波長266nmのYAGレーザーを用いる。レーザー光604を照射する条件は、切断する材料にもよるが、低パワーで10回以上往復させて走査を行うことが好ましい。
【0075】
次いで、図4(B)に示すように、曲面を有する支持体10上に端部を切断した第1の表示パネル616dを固定する。
【0076】
次いで、図4(C)に示すように、第2の表示パネル616eを作製した後、端部をレーザー光604によって切断する。
【0077】
次いで、図4(D)に示すように、曲面を有する支持体10上の第1の表示パネル616dの端部と接するように第2の表示パネル616eの端部を固定する。このような固定方法をタイル方式と呼ぶ。
【0078】
そして、図4(E)に示すように、表示パネルの上面にカバー材13を貼る。端面が一致しているため、第1の表示パネルの最表面と第2の表示パネルの最表面はほぼ一致しており、第1の表示パネル及び第2の表示パネルを覆ってカバー材13を貼ることができる。
【0079】
本実施の形態では、第1の表示パネルの端部の切断をレーザー光を用いて行うことで、物理的な刃(カッターなど)で切断するよりもパネル間の境界を目立たなくすることができる。また、カバー材13の屈折率を調節して、パネル間の境界付近に生じる恐れのある縦しま又は横しまを目立たなくすることができる。
【0080】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0081】
(実施の形態3)
本実施の形態では、複数の表示パネルをつなぎ合わせた後、カバー材(本実施の形態ではフィルム)を貼る際に樹脂中または樹脂界面に気泡が生じないようにする手順について、図5(A)を用いて説明する。
【0082】
予め、第1の表示パネル及び第2の表示パネルを用意しておき、さらに貼るためのフィルムを2枚用意する。図5(A)は作製プロセスのフロー図の一例である。
【0083】
ステップS000として、貼り合わせを開始する。
【0084】
ステップS001として1つの表示パネルの一方の面にフィルムを貼り付けた後、オートクレーブ装置を用いて高圧で加熱する。
【0085】
オートクレーブ装置での加熱は、50℃以上110℃以下、20分以上2時間以下、0.1MPa以上1MPa以下の条件とする。
【0086】
次に、ステップS002として1つ目の表示パネルの一辺と、もう一枚の表示パネルの一辺とが重なるように並べて貼り付けた後、オートクレーブ装置を用いて高圧で加熱する。
【0087】
次に、ステップS003として、もう一方の面にフィルムを貼り付けた後、オートクレーブ装置を用いて高圧で加熱する。
【0088】
そして、ステップS999として、終了する。以上の工程で2枚のフィルムの間に複数のパネルを挟むことができる。
【0089】
なお、上記プロセスは2枚のパネルを貼り付ける例を示したが、n枚のパネルを貼りつける場合にはステップS002を(n-1)回繰り返せばよい。
【0090】
また、上記工程とは異なる工程として、図5(B)のフロー図も示す。図5(A)に比べてオートクレーブでの加熱回数を減らすため、まず、ステップS005としてパネルの一辺にもう一枚のパネルを貼り合わせる。次いで、ステップS006として一対のフィルムの間に繋ぎ合わせたパネルを挟んだ後、オートクレーブ装置を用いて高圧で加熱する。そして、ステップS999として、終了する。
【0091】
図5(B)においてもn枚のパネルを貼りつける場合にはS005を(n-1)回繰り返せばよい。
【0092】
比較例として、減圧での加熱とした場合、加熱後の気泡の大きさ、数ともに大きく、接着面にムラが生じる結果となった。従って、減圧での加熱よりも高圧の加熱処理とすると、フィルムをきれいに貼ることができるといえる。
【0093】
(実施の形態4)
本実施の形態においては、実施の形態1乃至3のいずれか一の表示領域の詳細な構成を以下に示す。
【0094】
図6(A)に表示領域100の上面図を示す。表示領域100は、複数の画素110がマトリクス状に配置された画素部と、画素部の外側の接続部140と、を有する。画素の間の領域及び接続部140は発光する領域ではないが、表示領域100に含むものとする。
【0095】
図6(A)に示す画素110には、ストライプ配列が適用されている。図6(A)に示す画素110は、副画素110a、110b、110cの、3つの副画素から構成される。副画素110a、110b、110cは、それぞれ異なる色の光を発する発光デバイスを有する。副画素110a、110b、110cとしては、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の副画素、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色の副画素などが挙げられる。
【0096】
図6(A)では、異なる色の副画素がX方向に並べて配置されており、同じ色の副画素が、Y方向に並べて配置されている例を示す。なお、異なる色の副画素がY方向に並べて配置され、同じ色の副画素が、X方向に並べて配置されていてもよい。
【0097】
図6(A)では、上面視で、接続部140が画素部の下側に位置する例を示すが、特に限定されない。接続部140は、上面視で、画素部の上側、右側、左側、下側の少なくとも一箇所に設けられていればよい。また、接続部140は、単数であっても複数であってもよい。
【0098】
図6(B)に、図6(A)における一点鎖線X1-X2間の断面図を示す。
【0099】
図6(B)に示すように、表示領域100は、トランジスタ(図示しない)を含む層101上に、発光デバイス130a、130b、130cが設けられ、これらの発光デバイスを覆うように絶縁層131、132が設けられている。絶縁層132上には、樹脂層122によって基板120が貼り合わされている。また、隣り合う発光デバイスの間の領域には、絶縁層125と、絶縁層125上の絶縁層127と、が設けられている。
【0100】
本発明の一態様の表示領域は、発光デバイスが形成されている基板とは反対方向に光を射出する上面射出型(トップエミッション型)、発光デバイスが形成されている基板側に光を射出する下面射出型(ボトムエミッション型)、両面に光を射出する両面射出型(デュアルエミッション型)のいずれであってもよい。
【0101】
トランジスタを含む層101には、例えば、基板に複数のトランジスタ(図示しない)が設けられ、これらのトランジスタを覆うように絶縁層が設けられた積層構造を適用することができる。トランジスタを含む層101は、隣り合う発光デバイスの間に凹部を有していてもよい。例えば、トランジスタを含む層101の最表面に位置する絶縁層に凹部が設けられていてもよい。トランジスタを含む層101の構成例は、後述する。
【0102】
発光デバイス130a、130b、130cは、それぞれ、異なる色の光を発する。発光デバイス130a、130b、130cは、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の光を発する組み合わせであることが好ましい。
【0103】
発光デバイス130a、130b、130cとしては、OLED(Organic Light Emitting Diode)、又はQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)などのELデバイスを用いることが好ましい。ELデバイスが有する発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、無機化合物(量子ドット材料など)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)などが挙げられる。なお、TADF材料としては、一重項励起状態と三重項励起状態間が熱平衡状態にある材料を用いてもよい。このようなTADF材料は発光寿命(励起寿命)が短くなるため、発光デバイスにおける高輝度領域での効率低下を抑制することができる。
【0104】
発光デバイスは、一対の電極間にEL層を有する。本明細書等では、一対の電極の一方を画素電極と記し、他方を共通電極と記すことがある。
【0105】
発光デバイスが有する一対の電極のうち、一方の電極は陽極として機能し、他方の電極は陰極として機能する。以下では、画素電極が陽極として機能し、共通電極が陰極として機能する場合を例に挙げて説明する。
【0106】
発光デバイス130aは、トランジスタを含む層101上の画素電極111aと、画素電極111a上の島状の第1の有機層113aと、島状の第1の有機層113a上の第4の有機層114と、第4の有機層114上の共通電極115と、を有する。発光デバイス130aにおいて、第1の有機層113a、及び、第4の有機層114をまとめてEL層と呼ぶことができる。
【0107】
本実施の形態の発光デバイスの構成に、特に限定はなく、シングル構造であってもタンデム構造であってもよい。なお、発光デバイスの構成例については、実施の形態7で後述する。
【0108】
発光デバイス130bは、トランジスタを含む層101上の画素電極111bと、画素電極111b上の島状の第2の有機層113bと、島状の第2の有機層113b上の第4の有機層114と、第4の有機層114上の共通電極115と、を有する。発光デバイス130bにおいて、第2の有機層113b、及び、第4の有機層114をまとめてEL層と呼ぶことができる。
【0109】
発光デバイス130cは、トランジスタを含む層101上の画素電極111cと、画素電極111c上の島状の第3の有機層113cと、島状の第3の有機層113c上の第4の有機層114と、第4の有機層114上の共通電極115と、を有する。発光デバイス130cにおいて、第3の有機層113c、及び、第4の有機層114をまとめてEL層と呼ぶことができる。
【0110】
各色の発光デバイスは、共通電極として、同一の膜を共有している。各色の発光デバイスが共通して有する共通電極は、接続部140に設けられた導電層と電気的に接続される。
【0111】
画素電極と共通電極のうち、光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0112】
発光デバイスの一対の電極(画素電極と共通電極)を形成する材料としては、金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを適宜用いることができる。具体的には、インジウムスズ酸化物(In-Sn酸化物、ITOともいう)、In-Si-Sn酸化物(ITSOともいう)、インジウム亜鉛酸化物(In-Zn酸化物)、In-W-Zn酸化物、アルミニウム、ニッケル、及びランタンの合金(Al-Ni-La)等のアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)、及び、銀とパラジウムと銅の合金(Ag-Pd-Cu、APCとも記す)が挙げられる。その他、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)などの金属、及びこれらを適宜組み合わせて含む合金を用いることもできる。その他、上記例示のない元素周期表の第1族又は第2族に属する元素(例えば、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr))、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)などの希土類金属及びこれらを適宜組み合わせて含む合金、グラフェン等を用いることができる。
【0113】
発光デバイスには、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造が適用されていることが好ましい。したがって、発光デバイスが有する一対の電極の一方は、可視光に対する透過性及び反射性を有する電極(半透過・半反射電極)を有することが好ましく、他方は、可視光に対する反射性を有する電極(反射電極)を有することが好ましい。発光デバイスがマイクロキャビティ構造を有することで、発光層から得られる発光を両電極間で共振させ、発光デバイスから射出される光を強めることができる。
【0114】
なお、半透過・半反射電極は、反射電極と可視光に対する透過性を有する電極(透明電極ともいう)との積層構造とすることができる。
【0115】
透明電極の光の透過率は、40%以上とする。例えば、発光デバイスには、可視光(波長400nm以上750nm未満の光)の透過率が40%以上である電極を用いることが好ましい。半透過・半反射電極の可視光の反射率は、10%以上95%以下、好ましくは30%以上80%以下とする。反射電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、これらの電極の抵抗率は、1×10-2Ωcm以下が好ましい。
【0116】
第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cは、それぞれ、島状に設けられる。第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cは、それぞれ、発光層を有する。第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cは、それぞれ、異なる色の光を発する発光層を有することが好ましい。
【0117】
発光層は、発光物質を含む層である。発光層は、1種又は複数種の発光物質を有することができる。発光物質としては、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色などの発光色を呈する物質を適宜用いる。また、発光物質として、近赤外光を発する物質を用いることもできる。
【0118】
発光物質としては、蛍光材料、燐光材料、TADF材料、量子ドット材料などが挙げられる。
【0119】
蛍光材料としては、例えば、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタレン誘導体などが挙げられる。
【0120】
燐光材料としては、例えば、4H-トリアゾール骨格、1H-トリアゾール骨格、イミダゾール骨格、ピリミジン骨格、ピラジン骨格、又はピリジン骨格を有する有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、白金錯体、希土類金属錯体等が挙げられる。
【0121】
発光層は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種又は複数種の有機化合物(ホスト材料、アシスト材料等)を有していてもよい。1種又は複数種の有機化合物としては、正孔輸送性材料及び電子輸送性材料の一方又は双方を用いることができる。また、1種又は複数種の有機化合物として、バイポーラ性材料、又はTADF材料を用いてもよい。
【0122】
発光層は、例えば、燐光材料と、励起錯体を形成しやすい組み合わせである正孔輸送性材料及び電子輸送性材料と、を有することが好ましい。このような構成とすることにより、励起錯体から発光物質(燐光材料)へのエネルギー移動であるExTET(Exciplex-Triplet Energy Transfer)を用いた発光を効率よく得ることができる。発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるような発光を呈する励起錯体を形成するような組み合わせを選択することで、エネルギー移動がスムーズとなり、効率よく発光を得ることができる。この構成により、発光デバイスの高効率、低電圧駆動、長寿命を同時に実現できる。
【0123】
第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cは、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、電子ブロック材料、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
【0124】
発光デバイスには低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。発光デバイスを構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0125】
例えば、第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cは、それぞれ、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子輸送層、及び電子注入層のうち一つ以上を有していてもよい。正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子輸送層、及び電子注入層を機能層と呼ぶ場合がある。
【0126】
EL層のうち、各色の発光デバイスに共通して形成される層としては、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子輸送層、及び電子注入層のうち一つ以上を適用することができる。例えば、第4の有機層114として、キャリア注入層(正孔注入層又は電子注入層)を形成してもよい。なお、EL層の全ての層を色ごとに作り分けてもよい。つまり、EL層は、各色の発光デバイスに共通して形成される層を有していなくてもよい。
【0127】
第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cは、それぞれ、発光層と、発光層上のキャリア輸送層を有することが好ましい。これにより、表示領域100の作製工程中に、発光層が最表面に露出することを抑制し、発光層が受けるダメージを低減することができる。これにより、発光デバイスの信頼性を高めることができる。
【0128】
正孔注入層は、陽極から正孔輸送層に正孔を注入する機能層であり、正孔注入性の高い材料を含む層である。正孔注入性の高い材料としては、芳香族アミン化合物、及び、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)とを含む複合材料などが挙げられる。
【0129】
正孔輸送層は、正孔注入層によって陽極から注入された正孔を、発光層に輸送する機能層である。正孔輸送層は、正孔輸送性材料を含む層である。正孔輸送性材料としては、1×10-6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質が好ましい。なお、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものも用いることができる。正孔輸送性材料としては、π電子過剰型複素芳香族化合物(例えばカルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体など)、芳香族アミン(芳香族アミン骨格を有する化合物)等の正孔輸送性の高い材料が好ましい。
【0130】
電子輸送層は、電子注入層によって陰極から注入された電子を、発光層に輸送する機能層である。電子輸送層は、電子輸送性材料を含む層である。電子輸送性材料としては、1×10-6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質が好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものも用いることができる。電子輸送性材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体等の他、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン配位子を有するキノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、その他、含窒素複素芳香族化合物を含むπ電子不足型複素芳香族化合物等の電子輸送性の高い材料を用いることができる。
【0131】
電子注入層は、陰極から電子輸送層に電子を注入する機能層であり、電子注入性の高い材料を含む層である。電子注入性の高い材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。電子注入性の高い材料としては、電子輸送性材料とドナー性材料(電子供与性材料)とを含む複合材料を用いることもできる。
【0132】
電子注入層としては、例えば、リチウム、セシウム、イッテルビウム、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF、xは任意数)、8-(キノリノラト)リチウム(略称:Liq)、2-(2-ピリジル)フェノラトリチウム(略称:LiPP)、2-(2-ピリジル)-3-ピリジノラトリチウム(略称:LiPPy)、4-フェニル-2-(2-ピリジル)フェノラトリチウム(略称:LiPPP)、リチウム酸化物(LiO)、炭酸セシウム等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はこれらの化合物を用いることができる。また、電子注入層としては、2以上の積層構造としてもよい。当該積層構造としては、例えば、1層目にフッ化リチウムを用い、2層目にイッテルビウムを設ける構成とすることができる。
【0133】
又は、電子注入層としては、電子輸送性材料を用いてもよい。例えば、非共有電子対を備え、電子不足型複素芳香環を有する化合物を、電子輸送性材料に用いることができる。具体的には、ピリジン環、ジアジン環(ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環)、トリアジン環の少なくとも一つを有する化合物を用いることができる。
【0134】
なお、非共有電子対を備える有機化合物の最低空軌道(LUMO:Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が、-3.6eV以上-2.3eV以下であると好ましい。また、一般にCV(サイクリックボルタンメトリ)、光電子分光法、光吸収分光法、逆光電子分光法等により、有機化合物の最高被占有軌道(HOMO:Highest Occupied Molecular Orbital)準位及びLUMO準位を見積もることができる。
【0135】
例えば、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:BPhen)、2,9-ジ(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBPhen)、ジキノキサリノ[2,3-a:2’,3’-c]フェナジン(略称:HATNA)、2,4,6-トリス[3’-(ピリジン-3-イル)ビフェニル-3-イル]-1,3,5-トリアジン(略称:TmPPPyTz)等を、非共有電子対を備える有機化合物に用いることができる。なお、NBPhenはBPhenと比較して、高いガラス転移温度(Tg)を備え、耐熱性に優れる。
【0136】
また、タンデム構造の発光デバイスを作製する場合、2つの発光ユニットの間に、中間層を設ける。中間層は、一対の電極間に電圧を印加したときに、2つの発光ユニットの一方に電子を注入し、他方に正孔を注入する機能を有する。
【0137】
中間層としては、例えば、リチウムなどの電子注入層に適用可能な材料を好適に用いることができる。また、中間層としては、例えば、正孔注入層に適用可能な材料を好適に用いることができる。また、中間層には、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)とを含む層を用いることができる。また、中間層には、電子輸送性材料とドナー性材料とを含む層を用いることができる。このような層を有する中間層を形成することにより、発光ユニットが積層された場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0138】
画素電極111a、111b、111c、第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cのそれぞれの側面は、絶縁層125及び絶縁層127によって覆われている。これにより、第4の有機層114(又は共通電極115)が、画素電極111a、111b、111c、第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cのいずれかの側面と接することを抑制し、発光デバイスのショートを抑制することができる。
【0139】
絶縁層125は、少なくとも画素電極111a、111b、111cの側面を覆うことが好ましい。さらに、絶縁層125は、第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cの側面を覆うことが好ましい。絶縁層125は、画素電極111a、111b、111c、第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cのそれぞれの側面と接する構成とすることができる。
【0140】
絶縁層127は、絶縁層125に形成された凹部を充填するように、絶縁層125上に設けられる。絶縁層127は、絶縁層125を介して、画素電極111a、111b、111c、第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cのそれぞれの側面と重なる構成とすることができる。
【0141】
なお、絶縁層125及び絶縁層127のいずれか一方を設けなくてもよい。例えば、絶縁層125を設けない場合、絶縁層127は、第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cのそれぞれの側面と接する構成とすることができる。絶縁層127は、各発光デバイスが有するEL層の間を充填するように設けることができる。
【0142】
第4の有機層114及び共通電極115は、第1の有機層113a、第2の有機層113b、第3の有機層113c、絶縁層125、及び絶縁層127上に設けられる。絶縁層125及び絶縁層127を設ける前の段階では、画素電極及びEL層が設けられる領域と、画素電極及びEL層が設けられない領域(発光デバイス間の領域)と、に起因する段差が生じている。本発明の一態様の表示領域は、絶縁層125及び絶縁層127を有することで当該段差を平坦化させることができ、第4の有機層114及び共通電極115の被覆性を向上させることができる。したがって、段切れによる接続不良を抑制することができる。又は、段差によって共通電極115が局所的に薄膜化して電気抵抗が上昇することを抑制することができる。
【0143】
第4の有機層114及び共通電極115の形成面の平坦性を向上させるために、絶縁層125の上面及び絶縁層127の上面の高さは、それぞれ、第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cの少なくとも一つの上面の高さと一致又は概略一致することが好ましい。また、絶縁層127の上面は平坦な形状を有することが好ましく、凸部又は凹部を有していてもよい。
【0144】
絶縁層125は、第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cの側面と接する領域を有し、第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cの保護絶縁層として機能する。絶縁層125を設けることで、第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cの側面から内部へ不純物(酸素、水分等)が侵入することを抑制でき、信頼性の高い表示領域とすることができる。
【0145】
断面視において第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cの側面と接する領域における絶縁層125の幅(厚さ)が大きいと、第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cの間隔が大きくなり、開口率が低くなってしまう場合がある。また、絶縁層125の幅(厚さ)が小さいと、第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cの側面から内部へ不純物が侵入することを抑制する効果が小さくなってしまう場合がある。第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cの側面と接する領域における絶縁層125の幅(厚さ)は、3nm以上200nm以下が好ましく、さらには3nm以上150nm以下が好ましく、さらには5nm以上150nm以下が好ましく、さらには5nm以上100nm以下が好ましく、さらには10nm以上100nm以下が好ましく、さらには10nm以上50nm以下が好ましい。絶縁層125の幅(厚さ)を前述の範囲とすることで、高い開口率を有し、かつ信頼性の高い表示領域とすることができる。
【0146】
絶縁層125は、無機材料を有する絶縁層とすることができる。絶縁層125には、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸化絶縁膜などの無機絶縁膜を用いることができる。絶縁層125は単層構造であってもよく積層構造であってもよい。酸化絶縁膜としては、酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化マグネシウム膜、インジウムガリウム亜鉛酸化物膜、酸化ガリウム膜、酸化ゲルマニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ランタン膜、酸化ネオジム膜、酸化ハフニウム膜、及び酸化タンタル膜などが挙げられる。窒化絶縁膜としては、窒化シリコン膜及び窒化アルミニウム膜などが挙げられる。酸化窒化絶縁膜としては、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜などが挙げられる。窒化酸化絶縁膜としては、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜などが挙げられる。特に、酸化アルミニウムは、エッチングにおいて、EL層との選択比が高く、後述する絶縁層127の形成において、EL層を保護する機能を有するため、好ましい。特に原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法により形成した酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化シリコン膜などの無機絶縁膜を絶縁層125に適用することで、ピンホールが少なく、EL層を保護する機能に優れた絶縁層125を形成することができる。
【0147】
なお、本明細書などにおいて、酸化窒化物とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化物とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。例えば、酸化窒化シリコンと記載した場合は、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化シリコンと記載した場合は、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。
【0148】
絶縁層125の形成は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、パルスレーザー堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、ALD法などを用いることができる。絶縁層125は、被覆性が良好なALD法を用いて形成することが好ましい。
【0149】
絶縁層125上に設けられる絶縁層127は、隣接する発光デバイス間に形成された絶縁層125の凹部を平坦化する機能を有する。換言すると、絶縁層127を有することで共通電極115の形成面の平坦性を向上させる効果を奏する。絶縁層127としては、有機材料を有する絶縁層を好適に用いることができる。例えば、絶縁層127として、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シリコーン樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等を適用することができる。また、絶縁層127として、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、プルラン、水溶性のセルロース、又はアルコール可溶性のポリアミド樹脂などの有機材料を用いてもよい。また、絶縁層127として、感光性の樹脂を用いることができる。感光性の樹脂としてはフォトレジストを用いてもよい。感光性の樹脂は、ポジ型の材料、又はネガ型の材料を用いることができる。
【0150】
絶縁層127の上面の高さと、第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cのいずれかの上面の高さとの差が、例えば、絶縁層127の厚さの0.5倍以下が好ましく、0.3倍以下がより好ましい。また例えば、第1の有機層113a、第2の有機層113b、及び、第3の有機層113cのいずれかの上面が絶縁層127の上面よりも高くなるように、絶縁層127を設けてもよい。また、例えば、絶縁層127の上面が、第1の有機層113a、第2の有機層113b、又は、第3の有機層113cが有する発光層の上面よりも高くなるように、絶縁層127を設けてもよい。
【0151】
発光デバイス130a、130b、130c上に絶縁層131、132を有することが好ましい。絶縁層131、132を設けることで、発光デバイスの信頼性を高めることができる。
【0152】
絶縁層131、132の導電性は問わない。絶縁層131、132としては、絶縁膜、半導体膜、及び、導電膜の少なくとも一種を用いることができる。
【0153】
絶縁層131、132が無機膜を有することで、共通電極115の酸化を防止する、発光デバイス130a、130b、130cに不純物(水分、酸素など)が入り込むことを抑制する、など、発光デバイスの劣化を抑制し、表示領域の信頼性を高めることができる。
【0154】
絶縁層131、132には、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸化絶縁膜などの無機絶縁膜を用いることができる。酸化絶縁膜としては、酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化ゲルマニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ランタン膜、酸化ネオジム膜、酸化ハフニウム膜、及び酸化タンタル膜などが挙げられる。窒化絶縁膜としては、窒化シリコン膜及び窒化アルミニウム膜などが挙げられる。酸化窒化絶縁膜としては、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜などが挙げられる。窒化酸化絶縁膜としては、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜などが挙げられる。
【0155】
絶縁層131、132は、それぞれ、窒化絶縁膜又は窒化酸化絶縁膜を有することが好ましく、窒化絶縁膜を有することがより好ましい。
【0156】
また、絶縁層131、132には、In-Sn酸化物(ITOともいう)、In-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、Al-Zn酸化物、又はインジウムガリウム亜鉛酸化物(In-Ga-Zn酸化物、IGZOともいう)などを含む無機膜を用いることもできる。当該無機膜は、高抵抗であることが好ましく、具体的には、共通電極115よりも高抵抗であることが好ましい。当該無機膜は、さらに窒素を含んでいてもよい。
【0157】
発光デバイスの発光を、絶縁層131、132を介して取り出す場合、絶縁層131、132は、可視光に対する透過性が高いことが好ましい。例えば、ITO、IGZO、及び、酸化アルミニウムは、それぞれ、可視光に対する透過性が高い無機材料であるため、好ましい。
【0158】
絶縁層131、132としては、例えば、酸化アルミニウム膜と、酸化アルミニウム膜上の窒化シリコン膜と、の積層構造、又は、酸化アルミニウム膜と、酸化アルミニウム膜上のIGZO膜と、の積層構造などを用いることができる。当該積層構造を用いることで、EL層側に入り込む不純物(水、酸素など)を抑制することができる。
【0159】
さらに、絶縁層131、132は、有機膜を有していてもよい。例えば、絶縁層132は、有機膜と無機膜の双方を有していてもよい。
【0160】
絶縁層131と絶縁層132とで異なる成膜方法を用いてもよい。具体的には、ALD法を用いて絶縁層131を形成し、スパッタリング法を用いて絶縁層132を形成してもよい。
【0161】
画素電極111a、111b、111cのそれぞれの上面端部は、絶縁層によって覆われていない。そのため、隣り合う発光デバイスの間隔を極めて狭くすることができる。したがって、高精細、又は、高解像度の表示領域とすることができる。
【0162】
本実施の形態の表示領域100は、発光デバイス間の距離を狭くすることができる。具体的には、発光デバイス間の距離、EL層間の距離、又は画素電極間の距離を、10μm未満、5μm以下、3μm以下、2μm以下、1μm以下、500nm以下、200nm以下、100nm以下、90nm以下、70nm以下、50nm以下、30nm以下、20nm以下、15nm以下、又は10nm以下とすることができる。別言すると、第1の有機層113aの側面と第2の有機層113bの側面との間隔、又は第2の有機層113bの側面と第3の有機層113cの側面との間隔が1μm以下の領域を有し、好ましくは0.5μm(500nm)以下の領域を有し、さらに好ましくは100nm以下の領域を有する。
【0163】
基板120の樹脂層122側の面には、遮光層を設けてもよい。また、基板120の外側には各種光学部材を配置することができる。光学部材としては、偏光板、位相差板、光拡散層(拡散フィルムなど)、反射防止層、及び集光フィルム等が挙げられる。また、基板120の外側には、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜、衝撃吸収層等を配置してもよい。
【0164】
基板120としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、ポリシロキサン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ABS樹脂、セルロースナノファイバー等を用いることができる。基板120に、可撓性を有する程度の厚さのガラスを用いてもよい。
【0165】
なお、表示領域に円偏光板を重ねる場合、表示装置が有する基板には、光学等方性の高い基板を用いることが好ましい。光学等方性が高い基板は、複屈折が小さい(複屈折量が小さい、ともいえる)。
【0166】
光学等方性が高い基板のリタデーション(位相差)値の絶対値は、30nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、10nm以下がさらに好ましい。
【0167】
光学等方性が高いフィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC、セルローストリアセテートともいう)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、シクロオレフィンコポリマー(COC)フィルム、及びアクリル樹脂フィルム等が挙げられる。
【0168】
また、基板としてフィルムを用いる場合、フィルムが吸水することで、表示パネルにしわが発生するなどの形状変化が生じる恐れがある。そのため、基板には、吸水率の低いフィルムを用いることが好ましい。例えば、吸水率が1%以下のフィルムを用いることが好ましく、0.1%以下のフィルムを用いることがより好ましく、0.01%以下のフィルムを用いることがさらに好ましい。
【0169】
樹脂層122としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0170】
トランジスタのゲート、ソース及びドレインのほか、表示パネルを構成する各種配線及び電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、及びタングステンなどの金属、並びに、当該金属を主成分とする合金などが挙げられる。これらの材料を含む膜を単層で、又は積層構造として用いることができる。
【0171】
また、透光性を有する導電材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛などの導電性酸化物又はグラフェンを用いることができる。又は、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、及びチタンなどの金属材料、又は、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。又は、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、又は、合金材料(又はそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすることが好ましい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。これらは、表示パネルを構成する各種配線及び電極などの導電層、及び、発光デバイスが有する導電層(画素電極又は共通電極として機能する導電層)にも用いることができる。
【0172】
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料が挙げられる。
【0173】
[画素のレイアウト]
次に、図6(A)とは異なる画素レイアウトについて説明する。副画素の配列に特に限定はなく、様々な方法を適用することができる。副画素の配列としては、例えば、ストライプ配列、Sストライプ配列、マトリクス配列、デルタ配列、ベイヤー配列、ペンタイル配列などが挙げられる。
【0174】
また、副画素の上面形状としては、例えば、三角形、四角形(長方形、正方形を含む)、五角形などの多角形、これら多角形の角が丸い形状、楕円形、又は円形などが挙げられる。ここで、副画素の上面形状は、発光デバイスの発光領域の上面形状に相当する。
【0175】
図7(A)に示す画素110には、Sストライプ配列が適用されている。図7(A)に示す画素110は、副画素110a、110b、110cの、3つの副画素から構成される。例えば、図8(A)に示すように、副画素110aを青色の副画素Bとし、副画素110bを赤色の副画素Rとし、副画素110cを緑色の副画素Gとしてもよい。
【0176】
図7(B)に示す画素110は、角が丸い略台形の上面形状を有する副画素110aと、角が丸い略三角形の上面形状を有する副画素110bと、角が丸い略四角形又は略六角形の上面形状を有する副画素110cと、を有する。また、副画素110aは、副画素110bよりも発光面積が広い。このように、各副画素の形状及びサイズはそれぞれ独立に決定することができる。例えば、信頼性の高い発光デバイスを有する副画素ほど、サイズを小さくすることができる。例えば、図8(B)に示すように、副画素110aを緑色の副画素Gとし、副画素110bを赤色の副画素Rとし、副画素110cを青色の副画素Bとしてもよい。
【0177】
図7(C)に示す画素124a、124bには、ペンタイル配列が適用されている。図7(C)では、副画素110a及び副画素110bを有する画素124aと、副画素110b及び副画素110cを有する画素124bと、が交互に配置されている例を示す。例えば、図8(C)に示すように、副画素110aを赤色の副画素Rとし、副画素110bを緑色の副画素Gとし、副画素110cを青色の副画素Bとしてもよい。
【0178】
図7(D)及び図7(E)に示す画素124a、124bは、デルタ配列が適用されている。画素124aは上の行(1行目)に、2つの副画素(副画素110a、110b)を有し、下の行(2行目)に、1つの副画素(副画素110c)を有する。画素124bは上の行(1行目)に、1つの副画素(副画素110c)を有し、下の行(2行目)に、2つの副画素(副画素110a、110b)を有する。例えば、図8(D)に示すように、副画素110aを赤色の副画素Rとし、副画素110bを緑色の副画素Gとし、副画素110cを青色の副画素Bとしてもよい。
【0179】
図7(D)は、各副画素が、角が丸い略四角形の上面形状を有する例であり、図7(E)は、各副画素が、円形の上面形状を有する例である。
【0180】
フォトリソグラフィ法では、加工するパターンが微細になるほど、光の回折の影響を無視できなくなるため、露光によりフォトマスクのパターンを転写する際に忠実性が損なわれ、レジストマスクを所望の形状に加工することが困難になる。そのため、フォトマスクのパターンが矩形であっても、角が丸まったパターンが形成されやすい。したがって、副画素の上面形状が、多角形の角が丸い形状、楕円形、又は円形などになることがある。
【0181】
さらに、本発明の一態様の表示パネルの作製方法では、レジストマスクを用いてEL層を島状に加工する。EL層上に形成したレジスト膜は、EL層の耐熱温度よりも低い温度で硬化する必要がある。そのため、EL層の材料の耐熱温度及びレジスト材料の硬化温度によっては、レジスト膜の硬化が不十分になる場合がある。硬化が不十分なレジスト膜は、加工時に所望の形状から離れた形状をとることがある。その結果、EL層の上面形状が、多角形の角が丸い形状、楕円形、又は円形などになることがある。例えば、上面形状が正方形のレジストマスクを形成しようとした場合に、円形の上面形状のレジストマスクが形成され、EL層の上面形状が円形になることがある。
【0182】
なお、EL層の上面形状を所望の形状とするために、設計パターンと、転写パターンとが、一致するように、あらかじめマスクパターンを補正する技術(OPC(Optical Proximity Correction:光近接効果補正)技術)を用いてもよい。具体的には、OPC技術では、マスクパターン上の図形コーナー部などに補正用のパターンを追加する。
【0183】
なお、図6(A)に示すストライプ配列が適用された画素110においても、例えば、図8(E)に示すように、副画素110aを赤色の副画素Rとし、副画素110bを緑色の副画素Gとし、副画素110cを青色の副画素Bとすることができる。
【0184】
本発明の一態様では、発光デバイスとして有機ELデバイスを用いる。
【0185】
本発明の一態様の表示領域100は、画素部に、発光デバイスがマトリクス状に配置されており、当該画素部で画像を表示することができる。
【0186】
また、本発明の一態様の表示領域100は、リフレッシュレートを可変にすることができる。例えば、表示領域100に表示されるコンテンツに応じてリフレッシュレートを調整(例えば、0.01Hz以上240Hz以下の範囲で調整)して消費電力を低減させることができる。
【0187】
(実施の形態5)
本実施の形態では、大型化が容易な表示パネルの一態様であるパネルの構成例と、その応用例について、図面を参照して説明する。
【0188】
本発明の一態様は、複数の表示パネルを一部が重なるように配置することにより大型化が可能な表示パネルである。また、重ねた2つの表示パネルのうち、少なくとも表示面側(上側)に位置する表示パネルは、表示部と隣接して可視光を透過する部分を備える。下側に配置される表示パネルの画素と、上側に配置される表示パネルの可視光を透過する部分とを重ねて設ける。これにより、2つの表示パネルを表示面側から見たときに(平面視において)、これらに表示される画像を、つなぎ目なく連続して表示することが可能となる。
【0189】
例えば、本発明の一態様は、第1の表示パネルと、第2の表示パネルと、を有するパネルである。
【0190】
上記第1の表示パネル及び第2の表示パネルの一方、又は双方には、上記で例示した、発光素子と受光素子とを備える表示装置を用いることができる。言い換えると、上記第1の画素、第2の画素、及び第3の画素の少なくとも一は、発光素子と受光素子とを有する、ともいうことができる。
【0191】
より具体的には、例えば以下のような構成とすることができる。
【0192】
[構成例1]
〔表示パネル〕
図9(A)は、本発明の一態様の表示装置に含まれる表示パネル500の上面概略図である。なお、表示パネル500はわかりやすくするために矩形状の例を示しているが、特に限定されない。
【0193】
表示パネル500は、表示領域501と、表示領域501に隣接して、可視光を透過する領域510と、を備える。
【0194】
ここで、表示パネル500は単体であっても表示領域501に画像を表示することができる。さらに、表示パネル500は単体であっても、表示領域501により画像を撮像することができる。
【0195】
領域510には、例えば表示パネル500を構成する一対の基板、及び当該一対の基板に挟持された表示素子を封止するための封止材などが設けられていてもよい。このとき、領域510に設けられる部材には、可視光に対して透光性を有する材料を用いる。領域510の幅Wは、できるだけ狭い方が好ましく、本実施の形態ではレーザー加工を行って領域510の一部を除去することが好ましい。なお、幅方向とは幅Wを含む面における方向を指しており、深さ方向とは、膜厚方向を指すことと本明細書では定義する。つなぎ目部分は、実施の形態1または実施の形態2と同様の構成とすればよい。
【0196】
外部端子または配線層と電気的に接続する端子(接続端子ともいう)又は、当該端子と電気的に接続する配線等は、裏面側に設けるため、ここでは図示しない。また、駆動回路においても裏面側に設ければよい。
【0197】
表示パネルの断面構成例等の詳細な説明については、他の実施の形態を援用できる。
【0198】
〔パネル〕
本発明の一態様のパネル550は、上述した表示パネル500を複数備える。図9(B)では、3つの表示パネルを備えるパネル550の上面概略図を示す。
【0199】
なお、以降では各々の表示パネル同士、各々の表示パネルに含まれる構成要素同士、又は各々の表示パネルに関連する構成要素同士を区別して説明する場合、これらの符号の後にアルファベットを付記する。また特に説明のない場合には、一部が互いに重ねて設けられた複数の表示パネルのうち、最も下側(表示面とは反対側)に配置される表示パネル及びその構成要素等に対して「a」の符号を付記し、その上側に順に配置される一以上の表示パネル及びその構成要素等に対しては、符号の後にアルファベットをアルファベット順に付記することとする。また、特に説明のない限り、複数の表示パネルを備える構成を説明する場合であっても、各々の表示パネル又は構成要素等に共通する事項を説明する場合には、アルファベットを省略して説明する。
【0200】
図9(B)に示すパネル550は、表示パネル500a、表示パネル500b、及び表示パネル500cを備える。表示パネル500b、及び表示パネル500cにおいては端部に対してレーザー光処理を行って除去する。
【0201】
表示パネル500bは、その一部が表示パネル500aの端部と重ねて配置されている。具体的には、表示パネル500aの表示領域501aと表示パネル500bの可視光を透過する領域510bとが重畳するように配置されている。
【0202】
また、表示パネル500cは、その一部が表示パネル500bの上側(表示面側)に重ねて配置されている。具体的には、表示パネル500bの表示領域501bと表示パネル500cの可視光を透過する領域510cとが重畳するように配置されている。
【0203】
表示領域501a上には可視光を透過する領域510bが重畳するため、表示領域501aの全体を表示面側から視認することが可能となる。同様に、表示領域501bも領域510cが重畳することでその全体を表示面側から視認することができる。したがって、表示領域501a、表示領域501bおよび表示領域501cがつなぎ目なく配置された領域をパネル550の表示領域551とすることが可能となる。また、可視光を透過する領域510bを全てレーザー光で除去して、表示パネル500a、表示パネル500b、及び表示パネル500cをタイル方式で並べてもよい。
【0204】
パネル550は、表示パネル500の数だけ、表示領域551を拡大することができる。このとき、全ての表示パネル500に、撮像機能を有する表示パネル(すなわち、発光素子と受光素子とを有する画素を有する表示パネル)を用いることで、表示領域551の全域を撮像領域とすることができる。
【0205】
なお、これに限られず、撮像機能を有する表示パネルと、撮像機能を有さない(例えば受光素子を有さない)表示パネルとを組み合わせてもよい。例えば、必要な部分にのみ撮像機能を有する表示パネルを適用し、それ以外には撮像機能を有さない表示パネルを適用することもできる。
【0206】
[構成例2]
図9(B)では一方向に複数の表示パネル500を並べて配置する構成を示したが、縦方向および横方向の二方向に複数の表示パネル500を並べて配置してもよい。
【0207】
図10(A)は、図9(A)とは領域510の形状が異なる表示パネル500の例を示している。図10(A)に示す表示パネル500は、表示領域501の2辺に沿って可視光を透過する領域510が配置されている。
【0208】
図10(B)に図10(A)に示した表示パネル500を縦2つ、横2つ並べて配置したパネル550の斜視概略図を示している。また図10(C)は、パネル550の表示面側とは反対側から見たときの斜視概略図である。また、図示しないが、外部端子との接続は表示面側とは反対側に電極または端子を設ければよく、配線層を有する支持体と接続を行えばよい。
【0209】
図10(B)、(C)において、表示パネル500aの表示領域501aの短辺に沿った領域と、表示パネル500bの領域510bの一部が重畳して設けられている。また表示パネル500aの表示領域501aの長辺に沿った領域と、表示パネル500cの領域510cの一部が重畳して設けられている。また表示パネル500dの領域510dは、表示パネル500bの表示領域501bの長辺に沿った領域、及び表示パネル500cの表示領域501cの短辺に沿った領域に重畳して設けられている。
【0210】
したがって、図10(B)に示すように、表示領域501a、表示領域501b、表示領域501cおよび表示領域501dがつなぎ目なく配置された領域をパネル550の表示領域551とすることが可能となる。
【0211】
ここで、表示パネル500に用いる一対の基板に可撓性を有する材料を用い、表示パネル500が可撓性を有していることが好ましい。表示パネル500の端部をレーザー光加工を行った後、複数の表示パネルを組み合わせている。境界面には接着層の他、配線または電極同士の接続のため異方性導電ペーストを設けてもよい。
【0212】
各表示領域の高さを揃えることが可能で、パネル550の表示領域551に表示する画像の表示品位を高めることができる。
【0213】
また、隣接する2つの表示パネル500間の段差を軽減するため、表示パネル500の厚さは薄いほうが好ましい。例えば表示パネル500の厚さを1mm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは100μm以下とすることが好ましい。
【0214】
また、パネル550の表示領域551を保護するための基板を設けてもよい。このとき、当該基板は、表示パネルごとに設けられてもよいが、複数の表示パネルに亘って一つの基板が設けられていてもよい。
【0215】
なお、ここでは矩形状の表示パネル500を4つ並べる構成を示したが、表示パネル500の数を増やすことにより、極めて大型のパネルとすることが可能となる。また、複数の表示パネル500の配置方法を変えることで、パネルの表示領域の輪郭形状を非矩形状、例えば、円、楕円、又は多角形など、様々な形状にすることができる。また、表示パネル500を立体的に配置することで、3次元の立体形状、例えば円柱状、球形、半球形などを有する表示領域を備えるパネルを実現できる。
【0216】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0217】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の受発光装置について説明する。
【0218】
本発明の一態様の受発光装置の受発光部は、受光素子(受光デバイスともいう)と発光素子(発光デバイスともいう)を有する。受発光部は、発光素子を用いて画像を表示する機能を有する。さらに、当該受発光部は、受光素子を用いて撮像する機能及びセンシングする機能の一方又は双方を有する。そのため、本発明の一態様の受発光装置は、表示装置とも表現することができ、受発光部は表示部とも表現することができる。
【0219】
又は、本発明の一態様の受発光装置は、受発光素子(受発光デバイスともいう)と発光素子とを有する構成としてもよい。
【0220】
まず、受光素子と発光素子とを有する受発光装置について説明する。
【0221】
本発明の一態様の受発光装置は、受発光部に、受光素子と発光素子とを有する。本発明の一態様の受発光装置は、受発光部に、発光素子がマトリクス状に配置されており、当該受発光部で画像を表示することができる。また、当該受発光部には、受光素子がマトリクス状に配置されており、受発光部は、撮像機能及びセンシング機能の一方又は双方も有する。受発光部は、イメージセンサ、タッチセンサなどに用いることができる。つまり、受発光部で光を検出することで、画像を撮像すること、対象物(指、ペンなど)のタッチ操作を検出することができる。さらに、本発明の一態様の受発光装置は、発光素子をセンサの光源として利用することができる。したがって、受発光装置と別に受光部及び光源を設けなくてよく、電子機器の部品点数を削減することができる。
【0222】
別言すると、本発明の一態様の電子機器は、発光デバイスと、センサデバイスとの双方を有する構成であるため、電子機器に設けられる指紋認証装置、またはスクロールなどを行うための静電容量方式のタッチパネル装置などを別途設ける必要がない。したがって、本発明の一態様により、製造コストが低減された電子機器を提供することができる。
【0223】
本発明の一態様の受発光装置では、受発光部が有する発光素子が発した光を対象物が反射(又は散乱)した際、受光素子がその反射光(又は散乱光)を検出できるため、暗い場所でも、撮像、タッチ操作の検出などが可能である。
【0224】
本発明の一態様の受発光装置が有する発光素子は、表示素子(表示デバイスともいう)として機能する。
【0225】
発光素子としては、OLED、QLEDなどのEL素子(ELデバイスともいう)を用いることが好ましい。EL素子が有する発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、無機化合物(量子ドット材料など)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(TADF)材料)などが挙げられる。また、発光素子として、マイクロLED(μLEDとも表記する場合がある)などのLEDを用いることもできる。
【0226】
本発明の一態様の受発光装置は、受光素子を用いて、光を検出する機能を有する。
【0227】
受光素子をイメージセンサに用いる場合、受発光装置は、受光素子を用いて、画像を撮像することができる。例えば、受発光装置は、スキャナとして用いることができる。
【0228】
本発明の一態様の受発光装置が適用された電子機器は、イメージセンサとしての機能を用いて、指紋、掌紋などの生体情報に係るデータを取得することができる。つまり、受発光装置に、生体認証用センサを内蔵させることができる。受発光装置が生体認証用センサを内蔵することで、受発光装置とは別に生体認証用センサを設ける場合に比べて、電子機器の部品点数を少なくでき、電子機器の小型化及び軽量化が可能である。
【0229】
また、受光素子をタッチセンサに用いる場合、受発光装置は、受光素子を用いて、対象物のタッチ操作を検出することができる。
【0230】
受光素子としては、例えば、pn型又はpin型のフォトダイオードを用いることができる。受光素子は、受光素子に入射する光を検出し電荷を発生させる光電変換素子(光電変換デバイスともいう)として機能する。受光素子に入射する光量に基づき、受光素子から発生する電荷量が決まる。
【0231】
特に、受光素子として、有機化合物を含む層を有する有機フォトダイオードを用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化、及び大面積化が容易であり、また、形状及びデザインの自由度が高いため、様々な装置に適用できる。
【0232】
本発明の一態様では、発光素子として有機EL素子(有機ELデバイスともいう)を用い、受光素子として有機フォトダイオードを用いる。有機EL素子及び有機フォトダイオードは、同一基板上に形成することができる。したがって、有機EL素子を用いた表示装置に有機フォトダイオードを内蔵することができる。
【0233】
有機EL素子及び有機フォトダイオードを構成する全ての層を作り分ける場合、成膜工程数が膨大になってしまう。しかしながら有機フォトダイオードは、有機EL素子と共通の構成にできる層が多いため、共通の構成にできる層は一括で成膜することで、成膜工程数の増加を抑制することができる。
【0234】
例えば、一対の電極のうち一方(共通電極)を、受光素子及び発光素子で共通の層とすることができる。また、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層の少なくとも1つを、受光素子及び発光素子で共通の層としてもよい。このように、受光素子及び発光素子が共通の層を有することで、成膜回数及びマスクの数を減らすことができ、受発光装置の作製工程数及び作製コストを削減することができる。また、表示装置の既存の製造装置及び製造方法を用いて、受光素子を有する受発光装置を作製することができる。
【0235】
次に、受発光素子と発光素子を有する受発光装置について説明する。なお、上記と同様の機能、作用、効果等については、説明を省略することがある。
【0236】
本発明の一態様の受発光装置において、いずれかの色を呈する副画素は、発光素子の代わりに受発光素子を有し、その他の色を呈する副画素は、発光素子を有する。受発光素子は、光を発する機能(発光機能)と、受光する機能(受光機能)と、の双方を有する。例えば、画素が、赤色の副画素、緑色の副画素、青色の副画素の3つの副画素を有する場合、少なくとも1つの副画素が受発光素子を有し、他の副画素は発光素子を有する構成とする。したがって、本発明の一態様の受発光装置の受発光部は、受発光素子と発光素子との双方を用いて画像を表示する機能を有する。
【0237】
受発光素子が、発光素子と受光素子を兼ねることで、画素に含まれる副画素の数を増やさずに、画素に受光機能を付与することができる。これにより、画素の開口率(各副画素の開口率)、及び、受発光装置の精細度を維持したまま、受発光装置の受発光部に、撮像機能及びセンシング機能の一方又は双方を付加することができる。したがって、本発明の一態様の受発光装置は、発光素子を有する副画素とは別に、受光素子を有する副画素を設ける場合に比べ、画素の開口率を高くでき、また、高精細化が容易である。
【0238】
本発明の一態様の受発光装置は、受発光部に、受発光素子と発光素子がマトリクス状に配置されており、当該受発光部で画像を表示することができる。また、受発光部は、イメージセンサ、タッチセンサなどに用いることができる。本発明の一態様の受発光装置は、発光素子をセンサの光源として利用することができる。そのため暗い場所でも、撮像、タッチ操作の検出などが可能である。
【0239】
受発光素子は、有機EL素子と有機フォトダイオードを組み合わせて作製することができる。例えば、有機EL素子の積層構造に、有機フォトダイオードの活性層を追加することで、受発光素子を作製することができる。さらに、有機EL素子と有機フォトダイオードを組み合わせて作製する受発光素子は、有機EL素子と共通の構成にできる層を一括で成膜することで、成膜工程数の増加を抑制することができる。
【0240】
例えば、一対の電極のうち一方(共通電極)を、受発光素子及び発光素子で共通の層とすることができる。また、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層の少なくとも1つを、受発光素子及び発光素子で共通の層としてもよい。
【0241】
なお、受発光素子が有する層は、受発光素子が、受光素子として機能する場合と、発光素子として機能する場合と、で、機能が異なることがある。本明細書中では、受発光素子が発光素子として機能する場合における機能に基づいて構成要素を呼称する。
【0242】
本実施の形態の受発光装置は、発光素子及び受発光素子を用いて、画像を表示する機能を有する。つまり、発光素子及び受発光素子は、表示素子として機能する。
【0243】
本実施の形態の受発光装置は、受発光素子を用いて、光を検出する機能を有する。受発光素子は、受発光素子自身が発する光よりも短波長の光を検出することができる。
【0244】
受発光素子をイメージセンサに用いる場合、本実施の形態の受発光装置は、受発光素子を用いて、画像を撮像することができる。また、受発光素子をタッチセンサに用いる場合、本実施の形態の受発光装置は、受発光素子を用いて、対象物のタッチ操作を検出することができる。
【0245】
受発光素子は、光電変換素子として機能する。受発光素子は、上記発光素子の構成に、受光素子の活性層を追加することで作製することができる。受発光素子には、例えば、pn型又はpin型のフォトダイオードの活性層を用いることができる。
【0246】
特に、受発光素子には、有機化合物を含む層を有する有機フォトダイオードの活性層を用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化、及び大面積化が容易であり、また、形状及びデザインの自由度が高いため、様々な装置に適用できる。
【0247】
以下では、本発明の一態様の受発光装置の一例である表示装置について、図面を用いてより具体的に説明する。
【0248】
[表示装置の構成例1]
〔構成例1-1〕
図11(A)に、表示パネル200の模式図を示す。表示パネル200は、基板201、基板202、受光素子212、発光デバイス211R、発光デバイス211G、発光デバイス211B、機能層203等を有する。
【0249】
発光デバイス211R、発光デバイス211G、発光デバイス211B、及び受光素子212は、基板201と基板202の間に設けられている。発光デバイス211R、発光デバイス211G、発光デバイス211Bは、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、又は青色(B)の光を発する。なお以下では、発光デバイス211R、発光デバイス211G及び発光デバイス211Bを区別しない場合に、発光デバイス211と表記する場合がある。
【0250】
表示パネル200は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。1つの画素は、1つ以上の副画素を有する。1つの副画素は、1つの発光素子を有する。例えば、画素には、副画素を3つ有する構成(R、G、Bの3色、又は、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色など)、又は、副画素を4つ有する構成(R、G、B、白色(W)の4色、又は、R、G、B、Yの4色など)を適用できる。さらに、画素は、受光素子212を有する。受光素子212は、全ての画素に設けられていてもよく、一部の画素に設けられていてもよい。また、1つの画素が複数の受光素子212を有していてもよい。
【0251】
図11(A)には、基板202の表面に指220が触れる様子を示している。発光デバイス211Gが発する光の一部は、基板202と指220との接触部で反射される。そして、反射光の一部が、受光素子212に入射されることにより、指220が基板202に接触したことを検出することができる。すなわち、表示パネル200はタッチパネルとして機能することができる。
【0252】
機能層203は、発光デバイス211R、発光デバイス211G、発光デバイス211Bを駆動する回路、及び、受光素子212を駆動する回路を有する。機能層203には、スイッチ、トランジスタ、容量、配線などが設けられる。なお、発光デバイス211R、発光デバイス211G、発光デバイス211B、及び受光素子212をパッシブマトリクス方式で駆動させる場合には、スイッチ、トランジスタなどを設けない構成としてもよい。
【0253】
表示パネル200は、指220の指紋を検出する機能を有することが好ましい。図11(B)には、基板202に指220が触れている状態における接触部の拡大図を模式的に示している。また、図11(B)には、交互に配列した発光デバイス211と受光素子212を示している。
【0254】
指220は凹部及び凸部により指紋が形成されている。そのため、図11(B)に示すように指紋の凸部が基板202に触れている。
【0255】
ある表面、界面などから反射される光には、正反射と拡散反射とがある。正反射光は入射角と反射角が一致する、指向性の高い光であり、拡散反射光は、強度の角度依存性が低い、指向性の低い光である。指220の表面から反射される光は、正反射と拡散反射のうち拡散反射の成分が支配的となる。一方、基板202と大気との界面から反射される光は、正反射の成分が支配的となる。
【0256】
指220と基板202との接触面又は非接触面で反射され、これらの直下に位置する受光素子212に入射される光の強度は、正反射光と拡散反射光とを足し合わせたものとなる。上述のように指220の凹部では基板202と指220が接触しないため、正反射光(実線矢印で示す)が支配的となり、凸部ではこれらが接触するため、指220からの拡散反射光(破線矢印で示す)が支配的となる。したがって、凹部の直下に位置する受光素子212で受光する光の強度は、凸部の直下に位置する受光素子212で受光する光の強度よりも高くなる。これにより、指220の指紋を撮像することができる。
【0257】
受光素子212の配列間隔は、指紋の2つの凸部間の距離、好ましくは隣接する凹部と凸部間の距離よりも小さい間隔とすることで、鮮明な指紋の画像を取得することができる。人の指紋の凹部と凸部の間隔は概ね200μmであることから、例えば受光素子212の配列間隔は、400μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下であって、1μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上とする。
【0258】
表示パネル200で撮像した指紋の画像の例を図11(C)に示す。図11(C)には、撮像範囲223内に、指220の輪郭を破線で、接触部221の輪郭を一点鎖線で示している。接触部221内において、受光素子212に入射する光量の違いによって、コントラストの高い指紋222を撮像することができる。
【0259】
表示パネル200は、タッチパネル、ペンタブレットとしても機能させることができる。図11(D)には、スタイラス225の先端を基板202に接触させた状態で、破線矢印の方向に滑らせている様子を示している。
【0260】
図11(D)に示すように、スタイラス225の先端と、基板202の接触面で拡散される拡散反射光が、当該接触面と重なる部分に位置する受光素子212に入射することで、スタイラス225の先端の位置を高精度に検出することができる。
【0261】
図11(E)には、表示パネル200で検出したスタイラス225の軌跡226の例を示している。表示パネル200は、高い位置精度でスタイラス225等の被検出体の位置検出が可能であるため、描画アプリケーション等において、高精細な描画を行うことも可能である。また、静電容量式のタッチセンサ、電磁誘導型のタッチペン等を用いた場合とは異なり、絶縁性の高い被検出体であっても位置検出が可能であるため、スタイラス225の先端部の材料は問われず、様々な筆記用具(例えば筆、ガラスペン、羽ペンなど)を用いることもできる。
【0262】
ここで、図11(F)乃至図11(H)に、表示パネル200に適用可能な画素の一例を示す。
【0263】
図11(F)、及び図11(G)に示す画素は、それぞれ赤色(R)の発光デバイス211R、緑色(G)の発光デバイス211G、青色(B)の発光デバイス211Bと、受光素子212を有する。画素は、それぞれ発光デバイス211R、発光デバイス211G、発光デバイス211B、及び受光素子212を駆動するための画素回路を有する。
【0264】
図11(F)は、2×2のマトリクス状に、3つの発光素子と1つの受光素子が配置されている例である。図11(G)は、3つの発光素子が一列に配列し、その下側に、横長の1つの受光素子212が配置されている例である。
【0265】
図11(H)に示す画素は、白色(W)の発光デバイス211Wを有する例である。ここでは、4つの発光素子が一列に配置され、その下側に受光素子212が配置されている。
【0266】
なお、画素の構成は上記に限られず、様々な配置方法を採用することができる。
【0267】
〔構成例1-2〕
以下では、可視光を呈する発光素子と、赤外光を呈する発光素子と、受光素子と、を備える構成の例について説明する。
【0268】
図12(A)に示す表示パネル200Aは、図11(A)で例示した構成に加えて、発光デバイス211IRを有する。発光デバイス211IRは、赤外光IRを発する発光素子である。またこのとき、受光素子212には、少なくとも発光デバイス211IRが発する赤外光IRを受光することのできる素子を用いることが好ましい。また、受光素子212として、可視光と赤外光の両方を受光することのできる素子を用いることがより好ましい。
【0269】
図12(A)に示すように、基板202に指220が触れると、発光デバイス211IRから発せられた赤外光IRが指220により反射され、当該反射光の一部が受光素子212に入射されることにより、指220の位置情報を取得することができる。
【0270】
図12(B)乃至図12(D)に、表示パネル200Aに適用可能な画素の一例を示す。
【0271】
図12(B)は、3つの発光素子が一列に配列し、その下側に、発光デバイス211IRと、受光素子212とが横に並んで配置されている例である。本発明の一態様の表示装置では、画素が受光機能を有するため、画像を表示しながら、対象物の接触または近接を検出することができる。また、本発明の一態様の表示装置は、赤外光を呈する副画素を有するため、表示装置が有する副画素を用いて、光源として赤外光を呈しながら、画像を表示することもできる。別言すると、本発明の一態様の表示装置は、表示機能以外の機能(ここでは受光機能)との親和性が高い構成である。受光素子212を、タッチセンサ、または非接触センサなどに用いてもよい。
【0272】
また、図12(C)は、発光デバイス211IRを含む4つの発光素子が一列に配列し、その下側に、受光素子212が配置されている例である。
【0273】
また、図12(D)は、発光デバイス211IRを中心にして、四方に3つの発光素子と、受光素子212が配置されている例である。
【0274】
なお、図12(B)乃至図12(D)に示す画素において、発光素子同士、及び発光素子と受光素子とは、それぞれの位置を交換可能である。
【0275】
〔構成例1-3〕
以下では、可視光を呈する発光素子と、可視光を呈し、且つ可視光を受光する受発光素子と、を備える構成の例について説明する。
【0276】
図13(A)に示す表示パネル200Bは、発光デバイス211B、発光デバイス211G、及び受発光デバイス213Rを有する。受発光デバイス213Rは、赤色(R)の光を発する発光素子としての機能と、可視光を受光する光電変換素子としての機能と、を有する。図13(A)では、受発光デバイス213Rが、発光デバイス211Gが発する緑色(G)の光を受光する例を示している。なお、受発光デバイス213Rは、発光デバイス211Bが発する青色(B)の光を受光してもよい。また、受発光デバイス213Rは、緑色の光と青色の光の両方を受光してもよい。
【0277】
例えば、受発光デバイス213Rは、自身が発する光よりも短波長の光を受光することが好ましい。又は、受発光デバイス213Rは、自身が発する光よりも長波長の光(例えば赤外光)を受光する構成としてもよい。受発光デバイス213Rは、自身が発する光と同程度の波長の光を受光する構成としてもよいが、その場合は自身が発する光をも受光してしまい、発光効率が低下してしまう恐れがある。そのため、受発光デバイス213Rは、発光スペクトルのピークと、吸収スペクトルのピークとができるだけ重ならないように構成されることが好ましい。
【0278】
また、ここでは受発光素子が発する光は、赤色の光に限られない。また、発光素子が発する光も、緑色の光と青色の光の組み合わせに限定されない。例えば受発光素子として、緑色又は青色の光を発し、且つ、自身が発する光とは異なる波長の光を受光する素子とすることができる。
【0279】
このように、受発光デバイス213Rが、発光素子と受光素子とを兼ねることにより、一画素に配置する素子の数を減らすことができる。そのため、高精細化、高開口率化、高解像度化などが容易となる。
【0280】
図13(B)乃至図13(I)に、表示パネル200Bに適用可能な画素の一例を示す。
【0281】
図13(B)は、受発光デバイス213R、発光デバイス211G、及び発光デバイス211Bが一列に配列されている例である。図13(C)は、発光デバイス211Gと発光デバイス211Bが縦方向に配列し、これらの横に受発光デバイス213Rが配置されている例である。
【0282】
図13(D)は、2×2のマトリクス状に、3つの発光素子(発光デバイス211G、発光デバイス211B、及び発光デバイス211X)と一つの受発光素子が配置されている例である。発光デバイス211Xは、R、G、B以外の光を呈する素子である。R、G、B以外の光としては、白色(W)、黄色(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、赤外光(IR)、紫外光(UV)等の光が挙げられる。発光デバイス211Xが赤外光を呈する場合、受発光素子は、赤外光を検出する機能、又は、可視光及び赤外光の双方を検出する機能を有することが好ましい。センサの用途に応じて、受発光素子が検出する光の波長を決定することができる。
【0283】
図13(E)には、2つ分の画素を示している。点線で囲まれた3つの素子を含む領域が1つの画素に相当する。画素はそれぞれ発光デバイス211G、発光デバイス211B、及び受発光デバイス213Rを有する。図13(E)に示す左の画素では、受発光デバイス213Rと同じ行に発光デバイス211Gが配置され、受発光デバイス213Rと同じ列に発光デバイス211Bが配置されている。図13(E)に示す右の画素では、受発光デバイス213Rと同じ行に発光デバイス211Gが配置され、発光デバイス211Gと同じ列に発光デバイス211Bが配置されている。図13(E)に示す画素レイアウトでは、奇数行と偶数行のいずれにおいても、受発光デバイス213R、発光デバイス211G、及び発光デバイス211Bが繰り返し配置されており、かつ、各列において、奇数行と偶数行では互いに発光色の異なる発光素子又は受発光素子が配置される。
【0284】
図13(F)には、ペンタイル配列が適用された4つの画素を示しており、隣接する2つの画素は組み合わせの異なる2色の光を呈する発光素子又は受発光素子を有する。なお、図13(F)では、発光素子又は受発光素子の上面形状を示している。
【0285】
図13(F)に示す左上の画素と右下の画素は、受発光デバイス213Rと発光デバイス211Gを有する。また右上の画素と左下の画素は、発光デバイス211Gと発光デバイス211Bを有する。すなわち、図13(F)に示す例では、各画素に発光デバイス211Gが設けられている。
【0286】
発光素子及び受発光素子の上面形状は特に限定されず、円、楕円、多角形、角の丸い多角形等とすることができる。図13(F)等では、発光素子及び受発光素子の上面形状として、略45度傾いた正方形(ひし形)である例を示している。なお、各色の発光素子及び受発光素子の上面形状は、互いに異なっていてもよく、一部又は全ての色で同じであってもよい。
【0287】
また、各色の発光素子及び受発光素子の発光領域(又は受発光領域)のサイズは、互いに異なっていてもよく、一部又は全ての色で同じであってもよい。例えば図13(F)において、各画素に設けられる発光デバイス211Gの発光領域の面積を他の素子の発光領域(又は受発光領域)よりも小さくしてもよい。
【0288】
図13(G)は、図13(F)に示す画素配列の変形例である。具体的には、図13(G)の構成は、図13(F)の構成を45度回転させることで得られる。図13(F)では、1つの画素に2つの素子を有するとして説明したが、図13(G)に示すように、4つの素子により1つの画素が構成されていると捉えることもできる。
【0289】
図13(H)は、図13(F)に示す画素配列の変形例である。図13(H)に示す左上の画素と右下の画素は、受発光デバイス213Rと発光デバイス211Gを有する。また右上の画素と左下の画素は、受発光デバイス213Rと発光デバイス211Bを有する。すなわち、図13(H)に示す例では、各画素に受発光デバイス213Rが設けられている。各画素に受発光デバイス213Rが設けられているため、図13(H)に示す構成は、図13(F)に示す構成に比べて、高い精細度で撮像を行うことができる。これにより、例えば、生体認証の精度を高めることができる。
【0290】
図13(I)は、図13(H)で示す画素配列の変形例であり、当該画素配列を45度回転させることで得られる構成である。
【0291】
図13(I)では、4つの素子(2つの発光素子と2つの受発光素子)により1つの画素が構成されることとして説明を行う。このように、1つの画素が、受光機能を有する受発光素子を複数有することで、高い精細度で撮像を行うことができる。したがって、生体認証の精度を高めることができる。例えば、撮像の精細度を、表示の精細度のルート2倍とすることができる。
【0292】
図13(H)又は図13(I)に示す構成が適用された表示装置は、p個(pは2以上の整数)の第1の発光素子と、q個(qは2以上の整数)の第2の発光素子と、r個(rはpより大きく、qより大きい整数)の受発光素子と、を有する。pとrはr=2pを満たす。また、p、q、rはr=p+qを満たす。第1の発光素子と第2の発光素子のうち一方が緑色の光を発し、他方が青色の光を発する。受発光素子は、赤色の光を発し、かつ、受光機能を有する。
【0293】
例えば、受発光素子を用いて、タッチ操作の検出を行う場合、光源からの発光がユーザーに視認されにくいことが好ましい。青色の光は、緑色の光よりも視認性が低いため、青色の光を発する発光素子を光源とすることが好ましい。したがって、受発光素子は、青色の光を受光する機能を有することが好ましい。なお、これに限られず、受発光素子の感度に応じて、光源とする発光素子を適宜選択することができる。
【0294】
以上のように、本実施の形態の表示装置には、様々な配列の画素を適用することができる。
【0295】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0296】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様である受発光装置に用いることができる発光素子(発光デバイスともいう)、及び受光素子(受光デバイスともいう)について説明する。
【0297】

また、発光デバイスは、シングル構造と、タンデム構造とに大別することができる。シングル構造のデバイスは、一対の電極間に1つの発光ユニットを有し、当該発光ユニットは、1以上の発光層を含む構成とすることが好ましい。シングル構造で白色発光を得るには、2以上の発光層の各々の発光が補色の関係となるような発光層を選択すればよい。例えば、第1の発光層の発光色と第2の発光層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光デバイス全体として白色発光する構成を得ることができる。また、発光層を3つ以上有する発光デバイスの場合も同様である。
【0298】
タンデム構造のデバイスは、一対の電極間に2以上の複数の発光ユニットを有し、各発光ユニットは、1以上の発光層を含む構成とすることが好ましい。各発光ユニットにおいて、同じ色の光を発する発光層を用いることで、所定の電流当たりの輝度が高められ、且つ、シングル構造と比較して信頼性の高い発光デバイスとすることができる。タンデム構造で白色発光を得るには、複数の発光ユニットの発光層からの光を合わせて白色発光が得られる構成とすればよい。なお、白色発光が得られる発光色の組み合わせについては、シングル構造の構成と同様である。なお、タンデム構造のデバイスにおいて、複数の発光ユニットの間には、電荷発生層などの中間層を設けると好適である。
【0299】
また、上述の白色発光デバイス(シングル構造又はタンデム構造)と、SBS構造の発光デバイスと、を比較した場合、SBS構造の発光デバイスは、白色発光デバイスよりも消費電力を低くすることができる。消費電力を低く抑えたい場合は、SBS構造の発光デバイスを用いると好適である。一方で、白色発光デバイスは、製造プロセスがSBS構造の発光デバイスよりも簡単であるため、製造コストを低くすることができる、又は製造歩留まりを高くすることができるため、好適である。
【0300】
<発光デバイスの構成例>
図14(A)に示すように、発光デバイスは、一対の電極(下部電極791、上部電極792)の間に、EL層790を有する。EL層790は、層720、発光層711、層730などの複数の層で構成することができる。層720は、例えば電子注入性の高い物質を含む層(電子注入層)および電子輸送性の高い物質を含む層(電子輸送層)などを有することができる。発光層711は、例えば発光性の化合物を有する。層730は、例えば正孔注入性の高い物質を含む層(正孔注入層)および正孔輸送性の高い物質を含む層(正孔輸送層)を有することができる。
【0301】
一対の電極間に設けられた層720、発光層711および層730を有する構成は単一の発光ユニットとして機能することができ、本明細書では図14(A)の構成をシングル構造と呼ぶ。
【0302】
また、図14(B)は、図14(A)に示す発光デバイスが有するEL層790の変形例である。具体的には、図14(B)に示す発光デバイスは、下部電極791上の層730-1と、層730-1上の層730-2と、層730-2上の発光層711と、発光層711上の層720-1と、層720-1上の層720-2と、層720-2上の上部電極792と、を有する。例えば、下部電極791を陽極とし、上部電極792を陰極とした場合、層730-1が正孔注入層として機能し、層730-2が正孔輸送層として機能し、層720-1が電子輸送層として機能し、層720-2が電子注入層として機能する。又は、下部電極791を陰極とし、上部電極792を陽極とした場合、層730-1が電子注入層として機能し、層730-2が電子輸送層として機能し、層720-1が正孔輸送層として機能し、層720-2が正孔注入層として機能する。このような層構造とすることで、発光層711に効率よくキャリアを注入し、発光層711内におけるキャリアの再結合の効率を高めることが可能となる。
【0303】
なお、図14(C)、図14(D)に示すように層720と層730との間に複数の発光層(発光層711、712、713)が設けられる構成もシングル構造のバリエーションである。
【0304】
また、図14(E)、図14(F)に示すように、複数の発光ユニット(EL層790a、EL層790b)が中間層(電荷発生層)740を介して直列に接続された構成を本明細書ではタンデム構造と呼ぶ。なお、本明細書等においては、図14(E)、図14(F)に示すような構成をタンデム構造として呼称するが、これに限定されず、例えば、タンデム構造をスタック構造と呼んでもよい。なお、タンデム構造とすることで、高輝度発光が可能な発光デバイスとすることができる。
【0305】
図14(C)において、発光層711、発光層712、及び発光層713に、同じ発光材料を用いてもよい。
【0306】
また、発光層711、発光層712、及び発光層713に、異なる発光材料を用いてもよい。発光層711、発光層712、及び発光層713がそれぞれ発する光が補色の関係である場合、白色発光が得られる。図14(D)では、カラーフィルターとして機能する着色層795を設ける例を示している。白色光がカラーフィルターを透過することで、所望の色の光を得ることができる。
【0307】
また、図14(E)において、発光層711と、発光層712とに、同じ発光材料を用いてもよい。又は、発光層711と、発光層712とに、異なる発光材料を用いてもよい。発光層711が発する光と、発光層712が発する光が補色の関係である場合、白色発光が得られる。図14(F)には、さらに着色層795を設ける例を示している。
【0308】
なお、図14(C)、図14(D)、図14(E)、図14(F)においても、図14(B)に示すように、層720と、層730とは、2層以上の層からなる積層構造としてもよい。
【0309】
また、図14(D)において、発光層711、発光層712、及び発光層713に同じ発光材料を用いてもよい。同様に、図14(F)において、発光層711と、発光層712とに、同じ発光材料を用いてもよい。このとき、着色層795に代えて色変換層を適用することで、発光材料の発光色とは異なる色の所望の色の光を得ることができる。例えば、各発光層に青色の発光材料を用い、青色光が色変換層を透過することで、青色よりも波長の長い光(例えば赤色、緑色など)の光を得ることができる。色変換層としては、蛍光材料、燐光材料、又は量子ドットなどを用いることができる。
【0310】
発光デバイスごとに、発光色(ここでは青(B)、緑(G)、および赤(R))を作り分ける構造をSBS(Side By Side)構造と呼ぶ場合がある。
【0311】
発光デバイスの発光色は、EL層790を構成する材料によって、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄又は白などとすることができる。また、発光デバイスにマイクロキャビティ構造を付与することにより色純度をさらに高めることができる。
【0312】
白色の光を発する発光デバイスは、発光層に2種類以上の発光物質を含む構成とすることが好ましい。白色発光を得るには、2以上の発光物質の各々の発光が補色の関係となるような発光物質を選択すればよい。例えば、第1の発光層の発光色と第2の発光層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光デバイス全体として白色発光する発光デバイスを得ることができる。また、発光層を3つ以上有する発光デバイスの場合も同様である。
【0313】
発光層には、R(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、O(橙)等の発光を示す発光物質を2以上含むことが好ましい。又は、発光物質を2以上有し、それぞれの発光物質の発光は、R、G、Bのうち2以上の色のスペクトル成分を含むことが好ましい。
【0314】
[受光デバイス]
図15(A)に、発光デバイス750R、発光デバイス750G、発光デバイス750B、及び受光素子760の断面概略図を示す。発光デバイス750R、発光デバイス750G、発光デバイス750B、及び受光素子760は、共通の層として上部電極792を有する。
【0315】
発光デバイス750Rは、画素電極791R、層751、層752、発光層753R、層754、層755、及び上部電極792を有する。発光デバイス750Gは、画素電極791G、発光層753Gを有する。発光デバイス750Bは、画素電極791B、発光層753Bを有する。
【0316】
層751は、例えば正孔注入性の高い物質を含む層(正孔注入層)等を有する。層752は、例えば正孔輸送性の高い物質を含む層(正孔輸送層)等を有する。層754は、例えば電子輸送性の高い物質を含む層(電子輸送層)等を有する。層755は、例えば電子注入性の高い物質を含む層(電子注入層)等を有する。
【0317】
又は、層751が電子注入層を有し、層752が電子輸送層を有し、層754が正孔輸送層を有し、層755が正孔注入層を有する構成としてもよい。
【0318】
なお、図15(A)においては、層751と、層752と、を分けて明示したがこれに限定されない。例えば、層751が正孔注入層と、正孔輸送層との双方の機能を有する構成とする場合、あるいは層751が電子注入層と、電子輸送層との双方の機能を有する構成とする場合においては、層752を省略してもよい。
【0319】
なお、発光デバイス750Rが有する発光層753Rは、赤色の発光を示す発光物質を有し、発光デバイス750Gが有する発光層753Gは緑色の発光を示す発光物質を有し、発光デバイス750Bが有する発光層753Bは、青色の発光を示す発光物質を有する。なお、発光デバイス750G、発光デバイス750Bは、それぞれ、発光デバイス750Rが有する発光層753Rを、発光層753G、発光層753Bに置き換えた構成を有し、そのほかの構成は、発光デバイス750Rと同様である。
【0320】
なお、層751、層752、層754、層755は、各色の発光デバイスで同一の構成(材料、膜厚等)を有していてもよく、互いに異なる構成を有していてもよい。
【0321】
受光素子760は、画素電極791PD、層761、層762、層763、及び上部電極792を有する。受光素子760は、正孔注入層、及び電子注入層を有さない構成とすることができる。
【0322】
層762は、活性層(光電変換層とも呼ぶ)を有する。層762は、特定の波長帯域の光を吸収し、キャリア(電子とホール)を生成する機能を有する。
【0323】
層761と層763は、例えばそれぞれ正孔輸送層又は電子輸送層のいずれか一方を有する。層761が正孔輸送層を有する場合、層763は電子輸送層を有する。一方、層761が電子輸送層を有する場合、層763は正孔輸送層を有する。
【0324】
また受光素子760は、画素電極791PDがアノード、上部電極792がカソードであってもよいし、画素電極791PDがカソード、上部電極792がアノードであってもよい。
【0325】
図15(B)は、図15(A)の変形例である。図15(B)では、層755を、上部電極792と同様に、各発光素子及び受光素子間で共通に設けた場合の例である。このとき、層755を共通層と呼ぶことができる。このように、各発光素子及び受光素子間に1以上の共通層を設けることで、作製工程を簡略化できるため、製造コストを低減することができる。
【0326】
ここで、層755は、発光デバイス750R、750G、750Bにとっては、電子注入層又は正孔注入層として機能する。このとき、受光素子760にとっては、電子輸送層又は正孔輸送層として機能する。そのため、図15(B)に示す受光素子760には、電子輸送層又は正孔輸送層として機能する層763を設けなくてもよい。
【0327】
[発光デバイス]
ここで、発光デバイスの具体的な構成例について説明する。
【0328】
発光デバイスは少なくとも発光層を有する。また、発光デバイスは、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子ブロック材料、電子注入性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
【0329】
発光デバイスには低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。発光デバイスを構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0330】
例えば、発光デバイスは、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子輸送層、及び電子注入層のうち1層以上を有する構成とすることができる。
【0331】
[受光デバイス]
受光デバイスが有する活性層は、半導体を含む。当該半導体としては、シリコンなどの無機半導体、及び、有機化合物を含む有機半導体が挙げられる。本実施の形態では、活性層が有する半導体として、有機半導体を用いる例を示す。有機半導体を用いることで、発光層と、活性層と、を同じ方法(例えば、真空蒸着法)で形成することができ、製造装置を共通化できるため好ましい。
【0332】
活性層が有するn型半導体の材料としては、フラーレン(例えばC60、C70等)、フラーレン誘導体等の電子受容性の有機半導体材料が挙げられる。フラーレンは、サッカーボールのような形状を有し、当該形状はエネルギー的に安定である。フラーレンは、HOMO準位及びLUMO準位の双方が深い(低い)。フラーレンは、LUMO準位が深いため、電子受容性(アクセプター性)が極めて高い。通常、ベンゼンのように、平面にπ電子共役(共鳴)が広がると、電子供与性(ドナー性)が高くなるが、フラーレンは球体形状であるため、π電子共役が大きく広がっているにも関わらず、電子受容性が高くなる。電子受容性が高いと、電荷分離を高速に効率よく起こすため、受光デバイスとして有益である。C60、C70ともに可視光領域に広い吸収帯を有しており、特にC70はC60に比べてπ電子共役系が大きく、長波長領域にも広い吸収帯を有するため好ましい。そのほか、フラーレン誘導体としては、[6,6]-Phenyl-C71-butyric acid methyl ester(略称:PC70BM)、[6,6]-Phenyl-C61-butyric acid methyl ester(略称:PC60BM)、1’,1’’,4’,4’’-Tetrahydro-di[1,4]methanonaphthaleno[1,2:2’,3’,56,60:2’’,3’’][5,6]fullerene-C60(略称:ICBA)などが挙げられる。
【0333】
また、n型半導体の材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クマリン誘導体、ローダミン誘導体、トリアジン誘導体、キノン誘導体等が挙げられる。
【0334】
活性層が有するp型半導体の材料としては、銅(II)フタロシアニン(Copper(II) phthalocyanine;CuPc)、テトラフェニルジベンゾペリフランテン(Tetraphenyldibenzoperiflanthene;DBP)、亜鉛フタロシアニン(Zinc Phthalocyanine;ZnPc)、スズフタロシアニン(SnPc)、キナクリドン等の電子供与性の有機半導体材料が挙げられる。
【0335】
また、p型半導体の材料としては、カルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体、芳香族アミン骨格を有する化合物等が挙げられる。さらに、p型半導体の材料としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ピロール誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、インドール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
【0336】
電子供与性の有機半導体材料のHOMO準位は、電子受容性の有機半導体材料のHOMO準位よりも浅い(高い)ことが好ましい。電子供与性の有機半導体材料のLUMO準位は、電子受容性の有機半導体材料のLUMO準位よりも浅い(高い)ことが好ましい。
【0337】
電子受容性の有機半導体材料として、球状のフラーレンを用い、電子供与性の有機半導体材料として、平面に近い形状の有機半導体材料を用いることが好ましい。似た形状の分子同士は集まりやすい傾向にあり、同種の分子が凝集すると、分子軌道のエネルギー準位が近いため、キャリア輸送性を高めることができる。
【0338】
例えば、活性層は、n型半導体とp型半導体と共蒸着して形成することが好ましい。又は、活性層は、n型半導体とp型半導体とを積層して形成してもよい。
【0339】
受光デバイスは、活性層以外の層として、正孔輸送性の高い物質、電子輸送性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。また、上記に限られず、正孔注入性の高い物質、正孔ブロック材料、電子注入性の高い材料、電子ブロック材料などを含む層をさらに有していてもよい。
【0340】
受光デバイスには低分子化合物及び高分子化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。受光デバイスを構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0341】
例えば、正孔輸送性材料又は電子ブロック材料として、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)などの高分子化合物、及び、モリブデン酸化物、ヨウ化銅(CuI)などの無機化合物を用いることができる。また、電子輸送性材料又は正孔ブロック材料として、酸化亜鉛(ZnO)などの無機化合物、ポリエチレンイミンエトキシレート(PEIE)などの有機化合物を用いることができる。受光デバイスは、例えば、PEIEとZnOとの混合膜を有していてもよい。
【0342】
また、活性層に、ドナーとして機能するPoly[[4,8-bis[5-(2-ethylhexyl)-2-thienyl]benzo[1,2-b:4,5-b’]dithiophene-2,6-diyl]-2,5-thiophenediyl[5,7-bis(2-ethylhexyl)-4,8-dioxo-4H,8H-benzo[1,2-c:4,5-c’]dithiophene-1,3-diyl]]polymer(略称:PBDB-T)、又は、PBDB-T誘導体などの高分子化合物を用いることができる。例えば、PBDB-T又はPBDB-T誘導体にアクセプター材料を分散させる方法などが使用できる。
【0343】
また、活性層には3種類以上の材料を混合させてもよい。例えば、吸収波長域を拡大する目的で、n型半導体の材料と、p型半導体の材料と、に加えて、第3の材料を混合してもよい。このとき、第3の材料は、低分子化合物でも高分子化合物でもよい。
【0344】
以上が受光デバイスの説明である。
【0345】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0346】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様の受発光装置として用いることのできる発光装置、又は表示装置の構成例について説明する。
【0347】
本発明の一態様は、発光素子(発光デバイスともいう)と受光素子(受光デバイスともいう)を有する表示装置である。例えば、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、又は青色(B)の光を発する3種類の発光素子を有することで、フルカラーの表示装置を実現できる。
【0348】
本発明の一態様は、EL層同士、及びEL層と活性層とをメタルマスクなどのシャドーマスクを用いることなく、フォトリソグラフィ法により微細なパターンに加工する。これにより、これまで実現が困難であった高い精細度と、大きな開口率を有する表示装置を実現できる。さらに、EL層を作り分けることができるため、極めて鮮やかで、コントラストが高く、表示品位の高い表示装置を実現できる。
【0349】
異なる色のEL層、又はEL層と活性層との間隔について、例えばメタルマスクを用いた形成方法では10μm未満にすることは困難であるが、上記方法によれば、3μm以下、2μm以下、又は、1μm以下にまで狭めることができる。例えばLSI向けの露光装置を用いることで、500nm以下、200nm以下、100nm以下、さらには50nm以下にまで間隔を狭めることもできる。これにより、2つの発光素子間又は発光素子と受光素子との間に存在しうる非発光領域の面積を大幅に縮小することができ、開口率を100%に近づけることが可能となる。例えば、開口率は、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、さらには90%以上であって、100%未満を実現することもできる。
【0350】
さらに、EL層及び活性層自体のパターン(加工サイズともいえる)についても、メタルマスクを用いた場合に比べて極めて小さくすることができる。また、例えばEL層の作り分けにメタルマスクを用いた場合では、EL層の中央と端で厚さのばらつきが生じるため、EL層の面積に対して、発光領域として使用できる有効な面積は小さくなる。一方、上記作製方法では、均一な厚さに成膜した膜を加工することでEL層を形成するため、EL層内で厚さを均一にでき、微細なパターンであっても、そのほぼ全域を発光領域として用いることができる。そのため、上記作製方法によれば、高い精細度と高い開口率を兼ね備えることができる。
【0351】
FMM(Fine Metal Mask)を用いて形成された有機膜は、端部に近いほど厚さが薄くなるような、極めてテーパー角の小さな(例えば0度より大きく30度未満)膜となる場合が多い。そのため、FMMを用いて形成された有機膜は、その側面と上面が連続的につながるため、側面を明確に確認することは困難である。一方、本発明の一態様においては、FMMを用いることなく加工されたEL層を有するため、明確な側面を有する。特に、本発明の一態様は、EL層のテーパー角が、30度以上120度以下である部分を有することが好ましく、60度以上120度以下である部分を有することがさらに好ましい。
【0352】
なお、本明細書等において、対象物の端部がテーパー形状であるとは、その端部の領域において側面と被形成面(底面)との成す角度が0度より大きく90度未満であり、端部から連続的に厚さが増加するような断面形状を有することをいう。また、テーパー角とは、対象物の端部における、底面(被形成面)と側面との成す角度をいう。
【0353】
以下では、より具体的な例について説明する。
【0354】
図16(A)に、表示領域100の上面概略図を示す。表示領域100は、赤色を呈する発光画素90R、緑色を呈する発光画素90G、及び青色を呈する発光画素90B、及び受光画素90Sを、それぞれ複数有する。図16(A)では、各発光画素および受光画素の区別を簡単にするため、各発光画素又は受光画素の発光領域又は受光領域内にR、G、B、Sの符号を付している。
【0355】
発光画素90R、発光画素90G、発光画素90B、及び受光画素90Sは、それぞれマトリクス状に配列している。図16(A)は、一方向に2つの画素が交互に配列する構成を示している。なお、画素の配列方法はこれに限られず、ストライプ配列、Sストライプ配列、デルタ配列、ベイヤー配列、ジグザグ配列などの配列方法を適用してもよいし、ペンタイル配列、ダイヤモンド配列などを用いることもできる。
【0356】
また、図16(A)には、共通電極113と電気的に接続する接続電極111Cを示している。接続電極111Cは、共通電極113に供給するための電位(例えばアノード電位、又はカソード電位)が与えられる。接続電極111Cは、発光画素90Rなどが配列する表示領域の外に設けられる。また図16(A)には、共通電極113を破線で示している。
【0357】
接続電極111Cは、表示領域の外周に沿って設けることができる。例えば、表示領域の外周の一辺に沿って設けられていてもよいし、表示領域の外周の2辺以上にわたって設けられていてもよい。すなわち、表示領域の上面形状が長方形である場合には、接続電極111Cの上面形状は、帯状、L字状、コの字状(角括弧状)、又は四角形などとすることができる。
【0358】
図16(B)は、図16(A)中の一点鎖線A1-A2、及び一点鎖線C1-C2に対応する断面概略図である。図16(B)には、発光画素90B、発光画素90R、受光画素90S、及び接続電極111Cの断面概略図を示している。
【0359】
なお、断面概略図に示されない発光画素90Gについては、発光画素90B又は発光画素90Rと同様の構成とすることができ、以降においては、これらの説明を援用することができる。
【0360】
発光画素90Bは、画素電極111、有機層112B、有機層114C、及び共通電極113を有する。発光画素90Rは、画素電極111、有機層112R、有機層114C、及び共通電極113を有する。受光画素90Sは、画素電極111、有機層112S、有機層114C、及び共通電極113を有する。有機層114Cと共通電極113は、発光画素90B、発光画素90R、及び受光画素90Sに共通に設けられる。有機層114Cと共通電極113は、それぞれ共通層ともいうことができる。
【0361】
有機層112Rは、少なくとも赤色の波長域に強度を有する光を発する発光性の有機化合物を有する。有機層112Bは、少なくとも青色の波長域に強度を有する光を発する発光性の有機化合物を有する。有機層112Sは、可視光又は赤外光の波長域に感度を有する光電変換材料を有する。有機層112R、及び有機層112Bは、それぞれEL層とも呼ぶことができる。
【0362】
有機層112R、有機層112B、及び有機層112Sは、それぞれ電子注入層、電子輸送層、正孔注入層、及び正孔輸送層のうち、一以上を有していてもよい。有機層114Cは、発光層を有さない構成とすることができる。例えば、有機層114Cは、電子注入層、電子輸送層、正孔注入層、及び正孔輸送層のうち、一以上を有する。
【0363】
ここで、有機層112R、有機層112B、及び有機層112Sの積層構造のうち、最も上側に位置する層、すなわち有機層114Cと接する層は、発光層以外の層とすることが好ましい。例えば、発光層を覆って、電子注入層、電子輸送層、正孔注入層、正孔輸送層、又はこれら以外の層を設け、当該層と、有機層114Cとが接する構成とすることが好ましい。このように、各発光素子を作製する際に、発光層の上面を他の層で保護した状態とすることで、発光素子の信頼性を向上させることができる。
【0364】
画素電極111は、それぞれ素子毎に設けられている。また、共通電極113及び有機層114Cは、各発光素子に共通な一続きの層として設けられている。各画素電極と共通電極113のいずれか一方に可視光に対して透光性を有する導電膜を用い、他方に反射性を有する導電膜を用いる。各画素電極を透光性、共通電極113を反射性とすることで、下面射出型(ボトムエミッション型)の表示装置とすることができ、反対に各画素電極を反射性、共通電極113を透光性とすることで、上面射出型(トップエミッション型)の表示装置とすることができる。なお、各画素電極と共通電極113の双方を透光性とすることで、両面射出型(デュアルエミッション型)の表示装置とすることもできる。
【0365】
画素電極111の端部を覆って、絶縁層131が設けられている。絶縁層131の端部は、テーパー形状であることが好ましい。なお、本明細書等において、対象物の端部がテーパー形状であるとは、その端部の領域において表面と被形成面との成す角度が0度より大きく90度未満であり、端部から連続的に厚さが増加するような断面形状を有することをいう。
【0366】
また、絶縁層131に有機樹脂を用いることで、その表面を緩やかな曲面とすることができる。そのため、絶縁層131の上に形成される膜の被覆性を高めることができる。
【0367】
絶縁層131に用いることのできる材料としては、例えばアクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。
【0368】
又は、絶縁層131として、無機絶縁材料を用いてもよい。絶縁層131に用いることのできる無機絶縁材料としては、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、又は酸化ハフニウムなどの、酸化物又は窒化物を用いることができる。また、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化ランタン、酸化セリウム、及び酸化ネオジム等を用いてもよい。
【0369】
図16(B)に示すように、発光色の異なる発光素子間、及び発光素子と受光素子との間において、2つの有機層の間に隙間が設けられている。このように、有機層112R、有機層112B、及び有機層112Sが、互いに接しないように設けられていることが好ましい。これにより、隣接する2つの有機層を介して電流が流れ、意図しない発光が生じることを好適に防ぐことができる。そのため、コントラストを高めることができ、表示品位の高い表示装置を実現できる。
【0370】
有機層112R、有機層112B、及び有機層112Sは、テーパー角が30度以上であることが好ましい。有機層112R、有機層112G、及び有機層112Bは、端部における側面と底面(被形成面)との角度が、30度以上120度以下、好ましくは45度以上120度以下、より好ましくは60度以上120度であることが好ましい。又は、有機層112R、有機層112G、及び有機層112Bは、テーパー角がそれぞれ90度又はその近傍(例えば80度以上100度以下)であることが好ましい。
【0371】
共通電極113上には、保護層121が設けられている。保護層121は、上方から各発光素子に水などの不純物が拡散することを防ぐ機能を有する。
【0372】
保護層121としては、例えば、少なくとも無機絶縁膜を含む単層構造又は積層構造とすることができる。無機絶縁膜としては、例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜などの酸化物膜又は窒化物膜が挙げられる。又は、保護層121としてインジウムガリウム酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物などの半導体材料を用いてもよい。
【0373】
また、保護層121として、無機絶縁膜と、有機絶縁膜の積層膜を用いることもできる。例えば、一対の無機絶縁膜の間に、有機絶縁膜を挟んだ構成とすることが好ましい。さらに有機絶縁膜が平坦化膜として機能することが好ましい。これにより、有機絶縁膜の上面を平坦なものとすることができるため、その上の無機絶縁膜の被覆性が向上し、バリア性を高めることができる。また、保護層121の上面が平坦となるため、保護層121の上方に構造物(例えばカラーフィルター、タッチセンサの電極、又はレンズアレイなど)を設ける場合に、下方の構造に起因する凹凸形状の影響を軽減できるため好ましい。
【0374】
接続部130では、接続電極111C上に共通電極113が接して設けられ、共通電極113を覆って保護層121が設けられている。また、接続電極111Cの端部を覆って絶縁層131が設けられている。
【0375】
以下では、図16(B)とは一部の構成が異なる表示装置の構成例について説明する。具体的には、絶縁層131を設けない場合の例を示す。
【0376】
図17(A)乃至図17(C)では、画素電極111の側面を含む端面と、有機層112Rの側面を含む端面が、概略一致し、画素電極111の側面を含む端面と、有機層112B、の側面を含む端面が、概略一致し、又は画素電極111の側面を含む端面と、有機層112Sの側面の側面を含む端面とが概略一致している場合の例を示している。
【0377】
図17(A)では、有機層114Cが、有機層112R、有機層112B、及び有機層112Sの上面及び側面を覆って設けられている。有機層114Cにより、画素電極111と共通電極113とが接し、電気的にショートしてしまうことを防ぐことができる。
【0378】
図17(B)では、有機層112R、有機層112G、及び有機層112B、並びに画素電極111の側面に接して設けられる絶縁層125を有する例を示している。絶縁層125により、画素電極111と共通電極113との電気的なショート、及びこれらの間のリーク電流を効果的に抑制することができる。
【0379】
絶縁層125としては、無機材料を有する絶縁層とすることができる。絶縁層125には、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸化絶縁膜などの無機絶縁膜を用いることができる。絶縁層125は単層構造であってもよく積層構造であってもよい。酸化絶縁膜としては、酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化マグネシウム膜、インジウムガリウム亜鉛酸化物膜、酸化ガリウム膜、酸化ゲルマニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ランタン膜、酸化ネオジム膜、酸化ハフニウム膜、及び酸化タンタル膜などが挙げられる。窒化絶縁膜としては、窒化シリコン膜及び窒化アルミニウム膜などが挙げられる。酸化窒化絶縁膜としては、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜などが挙げられる。窒化酸化絶縁膜としては、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜などが挙げられる。特にALD法により形成した酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化シリコン膜などの無機絶縁膜を絶縁層125に適用することで、ピンホールが少なく、有機層を保護する機能に優れた絶縁層125を形成することができる。
【0380】
なお、本明細書などにおいて、酸化窒化物とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化物とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。例えば、酸化窒化シリコンと記載した場合は、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化シリコンと記載した場合は、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。
【0381】
絶縁層125の形成は、スパッタリング法、CVD法、PLD法、ALD法などを用いることができる。絶縁層125は、被覆性が良好なALD法を用いて形成することが好ましい。
【0382】
図17(C)では、隣接する2つの発光素子間又は発光素子と受光素子との間において、対向する2つの画素電極の隙間、及び対向する2つの有機層の隙間を埋めるように、樹脂層126が設けられている。樹脂層126により、有機層114C、共通電極113等の被形成面を平坦化することができるため、隣接する発光素子間の段差の被覆不良により、共通電極113が断線してしまうことを防ぐことができる。
【0383】
樹脂層126としては、有機材料を有する絶縁層を好適に用いることができる。例えば、樹脂層126として、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シリコーン樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等を適用することができる。また、樹脂層126として、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、プルラン、水溶性のセルロース、又はアルコール可溶性のポリアミド樹脂などの有機材料を用いてもよい。また、樹脂層126として、感光性の樹脂を用いることができる。感光性の樹脂としてはフォトレジストを用いてもよい。感光性の樹脂は、ポジ型の材料、又はネガ型の材料を用いることができる。
【0384】
また、樹脂層126として、着色された材料(例えば、黒色の顔料を含む材料など)を用いることで、隣接する画素からの迷光を遮断し、混色を抑制する機能を付与してもよい。
【0385】
図17(D)では、絶縁層125と、絶縁層125上に樹脂層126が設けられている。絶縁層125により、有機層112R等と樹脂層126とが接しないため、樹脂層126に含まれる水分などの不純物が、有機層112R等に拡散することを防ぐことができ、信頼性の高い表示装置とすることができる。
【0386】
また、絶縁層125と、樹脂層126との間に、反射膜(例えば、銀、パラジウム、銅、チタン、及びアルミニウムなどの中から選ばれる一又は複数を含む金属膜)を設け、発光層から射出される光を当該反射膜で反射させることで、光取り出し効率を向上させる機構を設けてもよい。
【0387】
図18(A)乃至図18(C)は、画素電極111の幅が、有機層112R、有機層112B、又は有機層112Sの幅よりも大きい場合の例を示している。有機層112R等は、画素電極111の端部よりも内側に設けられている。
【0388】
図18(A)は、絶縁層125を有する場合の例を示している。絶縁層125は、発光素子又は受光素子が有する有機層の側面と、画素電極111の上面の一部及び側面を覆って設けられている。
【0389】
図18(B)は、樹脂層126を有する場合の例を示している。樹脂層126は、隣接する2つの発光素子間又は発光素子と受光素子との間に位置し、有機層の側面、及び画素電極111の上面及び側面を覆って設けられている。
【0390】
図18(C)は、絶縁層125と樹脂層126の両方を有する場合の例を示している。有機層112R等と樹脂層126との間には、絶縁層125が設けられている。
【0391】
図19(A)乃至図19(E)は、画素電極111の幅が、有機層112R、有機層112B、又は有機層112Sの幅よりも小さい場合の例を示している。有機層112Rなどは、画素電極111の端部を超えて外側に延在している。
【0392】
図19(B)は、絶縁層125を有する例を示している。絶縁層125は、隣接する2つの発光素子の有機層の側面に接して設けられている。なお、絶縁層125は、有機層112R等の側面だけでなく、上面の一部を覆って設けられていてもよい。
【0393】
図19(C)は、樹脂層126を有する例を示している。樹脂層126は、隣接する2つの発光素子の間に位置し、有機層112R等の側面及び上面の一部を覆って設けられている。なお、樹脂層126は、有機層112R等の側面に接し、上面を覆わない構成としてもよい。
【0394】
図19(D)は、絶縁層125と樹脂層126の両方を有する場合の例を示している。有機層112R等と樹脂層126との間には、絶縁層125が設けられている。
【0395】
ここで、上記樹脂層126の構成例について説明する。
【0396】
樹脂層126の上面は、平坦であるほど好ましいが、樹脂層126の被形成面の凹凸形状、樹脂層126の形成条件などによって、樹脂層126の上面が凹状又は凸状の形状になる場合がある。
【0397】
図20(A)乃至図20(F)には、発光画素90Rが有する画素電極111Rの端部、発光画素90Gが有する画素電極111Gの端部、及びこれらの近傍の拡大図を示している。画素電極111G上には、有機層112Gが設けられている。
【0398】
図20(A)、図20(B)、図20(C)では、樹脂層126の上面が平坦である場合の、樹脂層126及びその近傍の拡大図を示している。図20(A)は、画素電極111よりも有機層112R等の幅が大きい場合の例である。図20(B)は、画素電極111Rと有機層112Rの幅、または画素電極111Gと有機層112Gの幅が概略一致している場合の例である。図20(C)は、画素電極111よりも有機層112R等の幅が小さい場合の例である。
【0399】
図20(A)に示すように、有機層112Rが、画素電極111の端部を覆って設けられるため、画素電極111の端部は、テーパー形状であることが好ましい。これにより、有機層112Rの段差被覆性が向上し、信頼性の高い表示装置とすることができる。
【0400】
図20(D)、図20(E)、図20(F)には、樹脂層126の上面が凹状である場合の例を示している。このとき、有機層114C、共通電極113、及び保護層121の上面には、樹脂層126の凹状の上面を反映した凹状の部分が形成される。
【0401】
図21(A)、図21(B)、図21(C)には、樹脂層126の上面が凸である場合の例を示している。このとき、有機層114C、共通電極113、及び保護層121の上面には、樹脂層126の凸状の上面を反映した凸状の部分が形成される。
【0402】
図21(D)、図21(E)、図21(F)には、樹脂層126の一部が、有機層112Rの上端部及び上面の一部、及び有機層112Gの上端部及び上面の一部を覆っている場合の例を示している。このとき、樹脂層126と、有機層112R又は有機層112Gの上面との間には絶縁層125が設けられる。
【0403】
また図21(D)、図21(E)、図21(F)では、樹脂層126の上面の一部が凹状である場合の例を示している。このとき、有機層114C、共通電極113、及び保護層121の上面には、樹脂層126の形状を反映した凹凸形状が形成される。
【0404】
以上が、樹脂層の構成例についての説明である。
【0405】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0406】
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様の受発光装置に用いることのできる表示装置の構成例について説明する。ここでは画像を表示可能な表示装置として説明するが、発光素子を光源として用いることで、受発光装置として使用することができる。
【0407】
また、本実施の形態の表示装置は、高解像度の表示装置又は大型な表示装置とすることができる。したがって、本実施の形態の表示装置は、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、スマートフォン、腕時計型端末、タブレット端末、携帯情報端末、音響再生装置の表示部に用いることもできる。
【0408】
[表示装置400]
図22に、表示装置400の斜視図を示し、図23(A)に、表示装置400の断面図を示す。表示装置400は、実施の形態1または実施の形態2における組み合わせる前の表示パネルに相当する。
【0409】
表示装置400は、基板454と基板453とが貼り合わされた構成を有する。図22では、基板454を破線で明示している。また、実施の形態2に示すタイル方式で並べる場合には、基板453及び基板454の端部または周縁部をレーザー光で加工して除去し、額縁のないパネルとすることが好ましい。
【0410】
表示装置400は、表示部462、回路464、配線465等を有する。図22では表示装置400に電極473が設けられている例を示している。なお、電極473は、基板453に形成された開口を介して、支持体上の配線層に接続するための貫通電極とも呼べる。また、電極473に駆動回路などのIC(集積回路)を接続してもよい。
【0411】
回路464としては、例えば走査線駆動回路を用いることができる。
【0412】
表示部462及び回路464に信号及び電力を供給する場合は、実施の形態1に示した支持体に形成される配線層または電極を介して外部から各種配線に入力される。
【0413】
図23(A)に、表示装置400の回路464の一部、表示部462の一部、及び、接続部を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。図23(A)では、表示部462のうち、特に、緑色の光(G)を発する発光画素430bと、反射光(L)を受光する受光素子440を含む領域を切断したときの断面の一例を示す。
【0414】
図23(A)に示す表示装置400は、基板453と基板454の間に、トランジスタ252、トランジスタ260、トランジスタ258、発光画素430b、及び受光素子440等を有する。
【0415】
発光画素430b、及び受光素子440には、上記で例示した発光素子又は受光素子を適用することができる。
【0416】
ここで、表示装置の画素が、互いに異なる色の光を発する発光素子を有する副画素を3種類有する場合、当該3つの副画素としては、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の副画素、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色の副画素などが挙げられる。当該副画素を4つ有する場合、当該4つの副画素としては、R、G、B、白色(W)の4色の副画素、R、G、B、Yの4色の副画素などが挙げられる。又は、副画素が赤外光を発する発光素子を備えていてもよい。
【0417】
また、受光素子440としては、赤色、緑色、又は青色の波長域の光に感度を有する光電変換素子、又は、赤外の波長域の光に感度を有する光電変換素子を用いることができる。
【0418】
基板454と保護層416とは接着層442を介して接着されている。接着層442は、発光画素430b及び受光素子440それぞれと重ねて設けられており、表示装置400には、固体封止構造が適用されている。基板454には、遮光層417が設けられている。
【0419】
発光画素430b、受光素子440は、画素電極として、導電層411a、導電層411b、及び導電層411cを有する。導電層411bは、可視光に対して反射性を有し、反射電極として機能する。導電層411cは、可視光に対して透過性を有し、光学調整層として機能する。
【0420】
発光画素430bが有する導電層411aは、絶縁層264に設けられた開口を介して、トランジスタ260が有する導電層272bと接続されている。トランジスタ260は、発光素子の駆動を制御する機能を有する。一方、受光素子440が有する導電層411aは、トランジスタ258が有する導電層272bと電気的に接続されている。トランジスタ258は、受光素子440を用いた露光のタイミングなどを制御する機能を有する。
【0421】
画素電極を覆って、EL層412G又は光電変換層412Sが設けられている。EL層412Gの側面、及び光電変換層412Sの側面に接して、絶縁層421が設けられ、絶縁層421の凹部を埋めるように、樹脂層422が設けられている。EL層412G及び光電変換層412Sを覆って、有機層414、共通電極413、及び保護層416が設けられている。発光素子を覆う保護層416を設けることで、発光素子に水などの不純物が入り込むことを抑制し、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0422】
発光画素430bが発する光Gは、基板454側に射出される。受光素子440は、基板454を介して入射した光Lを受光し、電気信号に変換する。基板454には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。
【0423】
トランジスタ252、トランジスタ260、及びトランジスタ258は、いずれも基板453上に形成されている。これらのトランジスタは、同一の材料及び同一の工程により作製することができる。
【0424】
なお、トランジスタ252、トランジスタ260、及びトランジスタ258は、異なる構成を有するように、作り分けられていてもよい。例えば、バックゲートの有無が異なるトランジスタを作り分けてもよいし、半導体、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極及びドレイン電極について、材料又は厚さの一方又は双方が異なるトランジスタを作り分けてもよい。
【0425】
基板453と絶縁層262とは接着層455によって貼り合わされている。
【0426】
表示装置400の作製方法としては、まず、絶縁層262、各トランジスタ、各発光素子、受光素子等が設けられた作製基板と、遮光層417が設けられた基板454と、を接着層442によって貼り合わせる。そして、作製基板を剥離し露出した面に基板453を貼ることで、作製基板上に形成した各構成要素を、基板453に転置する。基板453及び基板454は、それぞれ、可撓性を有することが好ましい。これにより、表示装置400の可撓性を高めることができる。
【0427】
トランジスタ252、トランジスタ260及びトランジスタ258は、ゲートとして機能する導電層271、ゲート絶縁層として機能する絶縁層261、チャネル形成領域281i及び一対の低抵抗領域281nを有する半導体層281、一対の低抵抗領域281nの一方と接続する導電層272a、一対の低抵抗領域281nの他方と接続する導電層272b、ゲート絶縁層として機能する絶縁層275、ゲートとして機能する導電層273、並びに、導電層273を覆う絶縁層265を有する。絶縁層261は、導電層271とチャネル形成領域281iとの間に位置する。絶縁層275は、導電層273とチャネル形成領域281iとの間に位置する。
【0428】
導電層272a及び導電層272bは、それぞれ、絶縁層275及び絶縁層265に設けられた開口を介して低抵抗領域281nと接続される。導電層272a及び導電層272bのうち、一方はソースとして機能し、他方はドレインとして機能する。
【0429】
図23(A)では、絶縁層275が半導体層の上面及び側面を覆う例を示す。導電層272a及び導電層272bは、それぞれ、絶縁層275及び絶縁層265に設けられた開口を介して低抵抗領域281nと接続される。
【0430】
一方、図23(B)に示すトランジスタ259では、絶縁層275は、半導体層281のチャネル形成領域281iと重なり、低抵抗領域281nとは重ならない。例えば、導電層273をマスクとして絶縁層275を加工することで、図23(B)に示す構造を作製できる。図23(B)では、絶縁層275及び導電層273を覆って絶縁層265が設けられ、絶縁層265の開口を介して、導電層272a及び導電層272bがそれぞれ低抵抗領域281nと接続されている。さらに、トランジスタを覆う絶縁層268を設けてもよい。
【0431】
本実施の形態の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、逆スタガ型のトランジスタ等を用いることができる。また、トップゲート型又はボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。又は、チャネルが形成される半導体層の上下にゲートが設けられていてもよい。
【0432】
トランジスタ252、トランジスタ260、及びトランジスタ258には、チャネルが形成される半導体層を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。又は、2つのゲートのうち、一方に閾値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタの閾値電圧を制御してもよい。
【0433】
トランジスタの半導体層に用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、単結晶半導体、又は単結晶以外の結晶性を有する半導体、(微結晶半導体、多結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。単結晶半導体又は結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0434】
トランジスタの半導体層は、金属酸化物(酸化物半導体ともいう)を有することが好ましい。つまり、本実施の形態の表示装置は、金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタ)を用いることが好ましい。
【0435】
トランジスタの半導体層に用いる金属酸化物のバンドギャップは、2eV以上が好ましく、2.5eV以上がより好ましい。バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、OSトランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0436】
又は、トランジスタの半導体層は、シリコンを有していてもよい。シリコンとしては、アモルファスシリコン、結晶性のシリコン(低温ポリシリコン、単結晶シリコンなど)などが挙げられる。
【0437】
特に低温ポリシリコンは比較的移動度が高く、ガラス基板上に形成可能であるため、表示装置に好適に用いることができる。例えば、駆動回路が有するトランジスタ252などに低温ポリシリコンを半導体層に用いたトランジスタを適用し、画素に設けられるトランジスタ260、トランジスタ258などに、酸化物半導体を半導体層に用いたトランジスタを適用することができる。
【0438】
又は、トランジスタの半導体層は、半導体として機能する層状物質を有してもよい。層状物質とは、層状の結晶構造を有する材料群の総称である。層状の結晶構造は、共有結合又はイオン結合によって形成される層が、ファンデルワールス力のような、共有結合又はイオン結合よりも弱い結合を介して積層している構造である。層状物質は、単位層内における電気伝導性が高く、つまり、2次元電気伝導性が高い。半導体として機能し、かつ、2次元電気伝導性の高い材料をチャネル形成領域に用いることで、オン電流の大きいトランジスタを提供することができる。
【0439】
上記層状物質として、例えば、グラフェン、シリセン、カルコゲン化物などが挙げられる。カルコゲン化物は、カルコゲン(第16族に属する元素)を含む化合物である。また、カルコゲン化物として、遷移金属カルコゲナイド、13族カルコゲナイドなどが挙げられる。トランジスタの半導体層として適用可能な遷移金属カルコゲナイドとして、具体的には、硫化モリブデン(代表的にはMoS)、セレン化モリブデン(代表的にはMoSe)、モリブデンテルル(代表的にはMoTe)、硫化タングステン(代表的にはWS)、セレン化タングステン(代表的にはWSe)、タングステンテルル(代表的にはWTe)、硫化ハフニウム(代表的にはHfS)、セレン化ハフニウム(代表的にはHfSe)、硫化ジルコニウム(代表的にはZrS)、セレン化ジルコニウム(代表的にはZrSe)などが挙げられる。
【0440】
回路464が有するトランジスタと、表示部462が有するトランジスタは、同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。回路464が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。同様に、表示部462が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。
【0441】
トランジスタを覆う絶縁層の少なくとも一層に、水及び水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、当該絶縁層をバリア層として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに外部から不純物が拡散することを効果的に抑制でき、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0442】
絶縁層261、絶縁層262、絶縁層265、絶縁層268、及び絶縁層275としては、それぞれ、無機絶縁膜を用いることが好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜などを用いることができる。また、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、及び酸化ネオジム膜等を用いてもよい。また、上述の無機絶縁膜を2以上積層して用いてもよい。
【0443】
ここで、有機絶縁膜は、無機絶縁膜に比べてバリア性が低いことが多い。そのため、有機絶縁膜は、表示装置400の端部近傍に開口を有することが好ましい。これにより、表示装置400の端部から有機絶縁膜を介して不純物が入り込むことを抑制することができる。又は、有機絶縁膜の端部が表示装置400の端部よりも内側にくるように有機絶縁膜を形成し、表示装置400の端部に有機絶縁膜が露出しないようにしてもよい。
【0444】
平坦化層として機能する絶縁層264には、有機絶縁膜が好適である。有機絶縁膜に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。
【0445】
基板454の基板453側の面には、遮光層417を設けることが好ましい。また、基板454の外側には各種光学部材を配置することができる。光学部材としては、偏光板、位相差板、光拡散層(拡散フィルムなど)、反射防止層、及び集光フィルム等が挙げられる。また、基板454の外側には、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜、衝撃吸収層等を配置してもよい。
【0446】
図23(A)には、接続部278を示している。接続部278において、共通電極413と配線とが電気的に接続する。図23(A)では、当該配線として、画素電極と同一の積層構造を適用した場合の例を示している。
【0447】
基板453及び基板454には、それぞれ、ガラス、石英、セラミック、サファイア、樹脂、金属、合金、半導体などを用いることができる。発光素子からの光を取り出す側の基板には、該光を透過する材料を用いる。基板453及び基板454に可撓性を有する材料を用いると、表示装置の可撓性を高めることができる。また、基板453又は基板454として偏光板を用いてもよい。
【0448】
基板453及び基板454としては、それぞれ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、ポリシロキサン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ABS樹脂、セルロースナノファイバー等を用いることができる。基板453及び基板454の一方又は双方に、可撓性を有する程度の厚さのガラスを用いてもよい。
【0449】
なお、表示装置に円偏光板を重ねる場合、表示装置が有する基板には、光学等方性の高い基板を用いることが好ましい。光学等方性が高い基板は、複屈折が小さい(複屈折量が小さい、ともいえる)。
【0450】
光学等方性が高い基板のリタデーション(位相差)値の絶対値は、30nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、10nm以下がさらに好ましい。
【0451】
光学等方性が高いフィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC、セルローストリアセテートともいう)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、シクロオレフィンコポリマー(COC)フィルム、及びアクリル樹脂フィルム等が挙げられる。
【0452】
また、基板としてフィルムを用いる場合、フィルムが吸水することで、表示パネルにしわが発生するなどの形状変化が生じる恐れがある。そのため、基板には、吸水率の低いフィルムを用いることが好ましい。例えば、吸水率が1%以下のフィルムを用いることが好ましく、0.1%以下のフィルムを用いることがより好ましく、0.01%以下のフィルムを用いることがさらに好ましい。
【0453】
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0454】
接着層としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0455】
トランジスタのゲート、ソース及びドレインのほか、表示装置を構成する各種配線及び電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、及びタングステンなどの金属、並びに、当該金属を主成分とする合金などが挙げられる。これらの材料を含む膜を単層で、又は積層構造として用いることができる。
【0456】
また、透光性を有する導電材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛などの導電性酸化物又はグラフェンを用いることができる。又は、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、及びチタンなどの金属材料、又は、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。又は、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、又は、合金材料(又はそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすることが好ましい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。
【0457】
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料が挙げられる。
【0458】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、又は図面等と適宜組み合わせることができる。
【0459】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0460】
(実施の形態10)
本実施の形態では、本発明の一態様の受光デバイス等を有する表示装置の例について説明する。
【0461】
本実施の形態の表示装置において、画素は、互いに異なる色の光を発する発光デバイスを有する副画素を、複数種有する構成とすることができる。例えば、画素は、副画素を3種類有する構成とすることができる。当該3つの副画素としては、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の副画素、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色の副画素などが挙げられる。又は、画素は副画素を4種類有する構成とすることができる。当該4つの副画素としては、R、G、B、白色(W)の4色の副画素、R、G、B、Yの4色の副画素などが挙げられる。
【0462】
副画素の配列に特に限定はなく、様々な方法を適用することができる。副画素の配列としては、例えば、ストライプ配列、Sストライプ配列、マトリクス配列、デルタ配列、ベイヤー配列、ペンタイル配列などが挙げられる。
【0463】
また、副画素の上面形状としては、例えば、三角形、四角形(長方形、正方形を含む)、五角形などの多角形、これら多角形の角が丸い形状、楕円形、又は円形などが挙げられる。ここでいう副画素の上面形状は、発光デバイスの発光領域の上面形状に相当する。
【0464】
画素に、発光デバイス及び受光デバイスを有する表示装置では、画素が受光機能を有するため、画像を表示しながら、対象物の接触又は近接を検出することができる。例えば、表示装置が有する副画素全てで画像を表示するだけでなく、一部の副画素は、光源としての光を呈し、残りの副画素で画像を表示することもできる。
【0465】
図24(A)、図24(B)、図24(C)に示す画素は、副画素G、副画素B、副画素R、及び、副画素PSを有する。
【0466】
図24(A)に示す画素には、ストライプ配列が適用されている。図24(B)に示す画素には、マトリクス配列が適用されている。
【0467】
図24(C)に示す画素の配列は、1つの副画素(副画素B)の隣に、3つの副画素(副画素R、副画素G、副画素PS)が縦に3つ並んだ構成を有する。
【0468】
図24(D)に示す画素は、副画素G、副画素B、副画素R、副画素IR、及び副画素PSを有する。
【0469】
図24(D)では、1つの画素が、2行にわたって設けられている例を示す。上の行(1行目)には、3つの副画素(副画素G、副画素B、副画素R)が設けられ、下の行(2行目)には2つの副画素(副画素PSと、副画素IR)が設けられている。
【0470】
なお、副画素のレイアウトは図24(A)乃至図24(D)の構成に限られない。
【0471】
副画素Rは、赤色の光を発する発光デバイスを有する。副画素Gは、緑色の光を発する発光デバイスを有する。副画素Bは、青色の光を発する発光デバイスを有する。副画素IRは、赤外光を発する発光デバイスを有する。副画素PSは、受光デバイスを有する。副画素PSが検出する光の波長は特に限定されないが、副画素PSが有する受光デバイスは、副画素R、副画素G、副画素B、又は副画素IRが有する発光デバイスが発する光に感度を有することが好ましい。例えば、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色などの波長域の光、及び、赤外の波長域の光のうち、一つ又は複数を検出することが好ましい。
【0472】
副画素PSの受光面積は、他の副画素の発光面積よりも小さい。受光面積が小さいほど、撮像範囲が狭くなり、撮像結果のボケの抑制、及び、解像度の向上が可能となる。そのため、副画素PSを用いることで、高精細又は高解像度の撮像を行うことができる。例えば、副画素PSを用いて、指紋、掌紋、虹彩、脈形状(静脈形状、動脈形状を含む)、又は顔などを用いた個人認証のための撮像を行うことができる。
【0473】
また、副画素PSは、タッチセンサ(ダイレクトタッチセンサともいう)又はニアタッチセンサ(ホバーセンサ、ホバータッチセンサ、非接触センサ、タッチレスセンサともいう)などに用いることができる。例えば、副画素PSは、赤外光を検出することが好ましい。これにより、暗い場所でも、タッチ検出が可能となる。
【0474】
ここで、タッチセンサ又はニアタッチセンサは、対象物(指、手、又はペンなど)の近接もしくは接触を検出することができる。タッチセンサは、表示装置と、対象物とが、直接接することで、対象物を検出できる。また、ニアタッチセンサは、対象物が表示装置に接触しなくても、当該対象物を検出することができる。例えば、表示装置と、対象物との間の距離が0.1mm以上300mm以下、好ましくは3mm以上50mm以下の範囲で表示装置が当該対象物を検出できる構成であると好ましい。当該構成とすることで、表示装置に対象物が直接触れずに操作することが可能となる、別言すると非接触(タッチレス)で表示装置を操作することが可能となる。上記構成とすることで、表示装置に汚れ、又は傷がつくリスクを低減することができる、又は対象物が表示装置に付着した汚れ(例えば、ゴミ、又はウィルスなど)に直接触れずに、表示装置を操作することが可能となる。
【0475】
なお、非接触センサ機能は、ホバーセンサ機能、ホバータッチセンサ機能、ニアタッチセンサ機能、タッチレスセンサ機能などということもできる。また、タッチセンサ機能は、ダイレクトタッチセンサ機能などということもできる。
【0476】
また、本発明の一態様の表示装置は、リフレッシュレートを可変にすることができる。例えば、表示装置に表示されるコンテンツに応じてリフレッシュレートを調整(例えば、0.01Hz以上240Hz以下の範囲で調整)して消費電力を低減させることができる。また、リフレッシュレートを低下させた駆動により、表示装置の消費電力を低減する駆動をアイドリングストップ(IDS)駆動と呼称してもよい。
【0477】
また、上記のリフレッシュレートに応じて、タッチセンサ、またはニアタッチセンサの駆動周波数を変化させてもよい。例えば、表示装置のリフレッシュレートが120Hzの場合、タッチセンサ、またはニアタッチセンサの駆動周波数を120Hzよりも高い周波数(代表的には240Hz)とする構成とすることができる。当該構成とすることで、低消費電力が実現でき、且つタッチセンサ、またはニアタッチセンサの応答速度を高めることが可能となる。
【0478】
なお、高精細な撮像を行うため、副画素PSは、表示装置が有する全ての画素に設けられていることが好ましい。一方で、副画素PSは、タッチセンサ又はニアタッチセンサなどに用いる場合は、指紋などを撮像する場合と比較して高い精度が求められないため、表示装置が有する一部の画素に設けられていればよい。表示装置が有する副画素PSの数を、副画素R等の数よりも少なくすることで、検出速度を高めることができる。
【0479】
図24(E)に、受光デバイスを有する副画素の画素回路の一例を示し、図24(F)に、発光デバイスを有する副画素の画素回路の一例を示す。
【0480】
図24(E)に示す画素回路PIX1は、受光デバイスPD、トランジスタM11、トランジスタM12、トランジスタM13、トランジスタM14、及び容量素子C2を有する。ここでは、受光デバイスPDとして、フォトダイオードを用いた例を示している。
【0481】
受光デバイスPDは、アノードが配線V1と電気的に接続し、カソードがトランジスタM11のソース又はドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM11は、ゲートが配線TXと電気的に接続し、ソース又はドレインの他方が容量素子C2の一方の電極、トランジスタM12のソース又はドレインの一方、及びトランジスタM13のゲートと電気的に接続する。トランジスタM12は、ゲートが配線RESと電気的に接続し、ソース又はドレインの他方が配線V2と電気的に接続する。トランジスタM13は、ソース又はドレインの一方が配線V3と電気的に接続し、ソース又はドレインの他方がトランジスタM14のソース又はドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM14は、ゲートが配線SEと電気的に接続し、ソース又はドレインの他方が配線OUT1と電気的に接続する。
【0482】
配線V1、配線V2、及び配線V3には、それぞれ定電位が供給される。受光デバイスPDを逆バイアスで駆動させる場合には、配線V2に、配線V1の電位よりも高い電位を供給する。トランジスタM12は、配線RESに供給される信号により制御され、トランジスタM13のゲートに接続するノードの電位を、配線V2に供給される電位にリセットする機能を有する。トランジスタM11は、配線TXに供給される信号により制御され、受光デバイスPDに流れる電流に応じて上記ノードの電位が変化するタイミングを制御する機能を有する。トランジスタM13は、上記ノードの電位に応じた出力を行う増幅トランジスタとして機能する。トランジスタM14は、配線SEに供給される信号により制御され、上記ノードの電位に応じた出力を配線OUT1に接続する外部回路で読み出すための選択トランジスタとして機能する。
【0483】
図24(F)に示す画素回路PIX2は、発光デバイスEL、トランジスタM15、トランジスタM16、トランジスタM17、及び容量素子C3を有する。ここでは、発光デバイスELとして、発光ダイオードを用いた例を示している。特に、発光デバイスELとして、有機EL素子を用いることが好ましい。
【0484】
トランジスタM15は、ゲートが配線VGと電気的に接続し、ソース又はドレインの一方が配線VSと電気的に接続し、ソース又はドレインの他方が、容量素子C3の一方の電極、及びトランジスタM16のゲートと電気的に接続する。トランジスタM16のソース又はドレインの一方は配線V4と電気的に接続し、他方は、発光デバイスELのアノード、及びトランジスタM17のソース又はドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM17は、ゲートが配線MSと電気的に接続し、ソース又はドレインの他方が配線OUT2と電気的に接続する。発光デバイスELのカソードは、配線V5と電気的に接続する。
【0485】
配線V4及び配線V5には、それぞれ定電位が供給される。発光デバイスELのアノード側を高電位に、カソード側をアノード側よりも低電位にすることができる。トランジスタM15は、配線VGに供給される信号により制御され、画素回路PIX2の選択状態を制御するための選択トランジスタとして機能する。また、トランジスタM16は、ゲートに供給される電位に応じて発光デバイスELに流れる電流を制御する駆動トランジスタとして機能する。トランジスタM15が導通状態のとき、配線VSに供給される電位がトランジスタM16のゲートに供給され、その電位に応じて発光デバイスELの発光輝度を制御することができる。トランジスタM17は配線MSに供給される信号により制御され、トランジスタM16と発光デバイスELとの間の電位を、配線OUT2を介して外部に出力する機能を有する。
【0486】
ここで、画素回路PIX1が有するトランジスタM11、トランジスタM12、トランジスタM13、及びトランジスタM14、並びに、画素回路PIX2が有するトランジスタM15、トランジスタM16、及びトランジスタM17には、それぞれチャネルが形成される半導体層に金属酸化物(酸化物半導体)を用いたトランジスタを適用することが好ましい。
【0487】
シリコンよりもバンドギャップが広く、かつキャリア密度の小さい金属酸化物を用いたトランジスタは、極めて小さいオフ電流を実現することができる。そのため、その小さいオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。そのため、特に容量素子C2又は容量素子C3に直列に接続されるトランジスタM11、トランジスタM12、及びトランジスタM15には、酸化物半導体が適用されたトランジスタを用いることが好ましい。また、これ以外のトランジスタも同様に酸化物半導体を適用したトランジスタを用いることで、作製コストを低減することができる。ただし、本発明の一態様はこれに限定されない。半導体層にシリコンを用いたトランジスタ(以下、Siトランジスタともいう)を用いてもよい。
【0488】
なお、室温下における、チャネル幅1μmあたりのOSトランジスタのオフ電流値は、1aA(1×10-18A)以下、1zA(1×10-21A)以下、又は1yA(1×10-24A)以下とすることができる。なお、室温下における、チャネル幅1μmあたりのSiトランジスタのオフ電流値は、1fA(1×10-15A)以上1pA(1×10-12A)以下である。したがって、OSトランジスタのオフ電流は、Siトランジスタのオフ電流よりも10桁程度低いともいえる。
【0489】
なお、本発明の一態様の表示装置は、OSトランジスタを有し、且つMML(メタルマスクレス)構造の発光素子を有する構成である。当該構成とすることで、トランジスタに流れうるリーク電流、及び隣接する発光素子間に流れうるリーク電流(横リーク電流、サイドリーク電流などともいう)を、極めて低くすることができる。また、上記構成とすることで、表示装置に画像を表示した場合に、観察者が画像のきれ、画像のするどさ、及び高いコントラスト比のいずれか一又は複数を観測できる。なお、トランジスタに流れうるリーク電流、及び発光素子間の横リーク電流が極めて低い構成とすることで、黒表示時に生じうる光漏れなどが限りなく少ない表示(真黒表示ともいう)とすることができる。本明細書等において、メタルマスク、またはFMM(ファインメタルマスク、高精細なメタルマスク)を用いて製造するデバイスをMM(メタルマスク)構造のデバイスと呼称する場合がある。また、本明細書等において、メタルマスク、またはFMMを用いずに製造するデバイスをMML(メタルマスクレス)構造のデバイスと呼称する場合がある。
【0490】
また、画素回路に含まれる発光デバイスの発光輝度を高くする場合、発光デバイスに流す電流量を大きくする必要がある。また、そのためには、画素回路に含まれている駆動トランジスタのソース-ドレイン間電圧を高くする必要がある。OSトランジスタは、Siトランジスタと比較して、ソース-ドレイン間において耐圧性が高いため、OSトランジスタのソース-ドレイン間には高い電圧を印加することができる。これにより、画素回路に含まれる駆動トランジスタをOSトランジスタとすることで、OSトランジスタのソース-ドレイン間に高い電圧を印加することができるため、発光デバイスに流れる電流量を大きくし、発光デバイスの発光輝度を高くすることができる。
【0491】
また、トランジスタが飽和領域で動作する場合において、OSトランジスタは、Siトランジスタよりも、ゲート-ソース間電圧の変化に対して、ソース-ドレイン間電流の変化を小さくすることができる。このため、画素回路に含まれる駆動トランジスタとしてOSトランジスタを適用することによって、ゲート-ソース間電圧の変化によって、ソース-ドレイン間に流れる電流量を細かく定めることができるため、発光デバイスに流れる電流量を細かく制御することができる。このため、発光デバイスによる発光輝度を細かく制御することができる(画素回路における階調を大きくすることができる)。
【0492】
また、トランジスタが飽和領域で動作するときに流れる電流の飽和特性において、OSトランジスタは、ソース-ドレイン間電圧が徐々に高くなっても、Siトランジスタよりも安定した定電流(飽和電流)を流すことができる。そのため、OSトランジスタを駆動トランジスタとして用いることで、例えば、EL材料が含まれる発光デバイスの電流-電圧特性にばらつきが生じても、発光デバイスに安定した定電流を流すことができる。つまり、OSトランジスタは、飽和領域で動作する場合において、ソース-ドレイン間電圧を高くしても、ソース-ドレイン間電流がほぼ変化しないため、発光デバイスの発光輝度を安定させることができる。
【0493】
上記のとおり、画素回路に含まれる駆動トランジスタにOSトランジスタを用いることで、「黒浮きの抑制」、「発光輝度の上昇」、「多階調化」、「発光デバイスのばらつきの抑制」などを図ることができる。このため、画素回路を含む表示装置には、鮮明な、かつ滑らかな画像を表示することができ、結果として、画像のきれ、画像の鋭さ、及び高いコントラスト比のいずれか一又は複数を観測することができる。また、画素回路に含まれる駆動トランジスタに流れうるオフ電流が極めて低い構成とすることで、表示装置で行う黒表示を、光漏れなどが限りなく少ない表示(真黒表示)とすることができる。
【0494】
また、トランジスタM11乃至トランジスタM17に、チャネルが形成される半導体にシリコンを適用したトランジスタを用いることもできる。特に単結晶シリコンまたは多結晶シリコンなどの結晶性の高いシリコンを用いることで、高い電界効果移動度を実現することができ、より高速な動作が可能となるため好ましい。
【0495】
また、トランジスタM11乃至トランジスタM17のうち、一以上に酸化物半導体を適用したトランジスタ(OSトランジスタ)を用い、それ以外にシリコンを適用したトランジスタ(Siトランジスタ)を用いる構成としてもよい。なお、当該Siトランジスタには、低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Poly Silicon)を有するトランジスタ(以下、LTPSトランジスタと記す)を用いることができる。また、OSトランジスタと、LTPSトランジスタと、を組み合わせて用いる構成をLTPOと呼称する場合がある。LTPOとすることで、移動度の高いLTPSトランジスタと、オフ電流の低いOSトランジスタとを用いることができるため、表示品位の高い表示パネルを提供することができる。
【0496】
なお、図24(E)、図24(F)において、トランジスタをnチャネル型のトランジスタとして表記しているが、pチャネル型のトランジスタを用いることもできる。
【0497】
画素回路PIX1が有するトランジスタと画素回路PIX2が有するトランジスタは、同一基板上に並べて形成されることが好ましい。特に、画素回路PIX1が有するトランジスタと画素回路PIX2が有するトランジスタとを1つの領域内に混在させて周期的に配列する構成とすることが好ましい。
【0498】
また、受光デバイスPD又は発光デバイスELと重なる位置に、トランジスタ及び容量素子の一方又は双方を有する層を1つ又は複数設けることが好ましい。これにより、各画素回路の実効的な占有面積を小さくでき、高精細な受光部又は表示部を実現できる。
【0499】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0500】
(実施の形態11)
本実施の形態では、上記の実施の形態で説明したOSトランジスタに用いることができる金属酸化物(酸化物半導体ともいう)について説明する。
【0501】
OSトランジスタに用いる金属酸化物は、少なくともインジウム又は亜鉛を有することが好ましく、インジウム及び亜鉛を有することがより好ましい。例えば、金属酸化物は、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、イットリウム、スズ、シリコン、ホウ素、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム、及びコバルトから選ばれた一種又は複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。特に、Mは、ガリウム、アルミニウム、イットリウム、及びスズから選ばれた一種又は複数種であることが好ましく、ガリウムがより好ましい。
【0502】
特に、トランジスタの半導体層として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IGZOとも記す)を用いることが好ましい。又は、トランジスタの半導体層としては、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IAZOとも記す)を用いてもよい。又は、トランジスタの半導体層としては、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IAGZOとも記す)を用いてもよい。
【0503】
また、金属酸化物は、スパッタリング法、有機金属化学気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法などのCVD法、又は、ALD法などにより形成することができる。
【0504】
以降では、金属酸化物の一例として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物について説明する。なお、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物を、In-Ga-Zn酸化物と呼ぶ場合がある。
【0505】
<結晶構造の分類>
酸化物半導体の結晶構造としては、アモルファス(completely amorphousを含む)、CAAC(c-axis-aligned crystalline)、nc(nanocrystalline)、CAC(cloud-aligned composite)、単結晶(single crystal)、及び多結晶(poly crystal)等が挙げられる。
【0506】
なお、膜又は基板の結晶構造は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)スペクトルを用いて評価することができる。例えば、GIXD(Grazing-Incidence XRD)測定で得られるXRDスペクトルを用いて評価することができる。なお、GIXD法は、薄膜法又はSeemann-Bohlin法ともいう。また、以下では、GIXD測定で得られるXRDスペクトルを、単に、XRDスペクトルと記す場合がある。
【0507】
例えば、石英ガラス基板では、XRDスペクトルのピークの形状がほぼ左右対称である。一方で、結晶構造を有するIn-Ga-Zn酸化物膜では、XRDスペクトルのピークの形状が左右非対称である。XRDスペクトルのピークの形状が左右非対称であることは、膜中又は基板中の結晶の存在を明示している。別言すると、XRDスペクトルのピークの形状で左右対称でないと、膜又は基板は非晶質状態であるとは言えない。
【0508】
また、膜又は基板の結晶構造は、極微電子線回折法(NBED:Nano Beam Electron Diffraction)によって観察される回折パターン(極微電子線回折パターンともいう)にて評価することができる。例えば、石英ガラス基板の回折パターンでは、ハローが観察され、石英ガラスは、非晶質状態であることが確認できる。また、室温成膜したIn-Ga-Zn酸化物膜の回折パターンでは、ハローではなく、スポット状のパターンが観察される。このため、室温成膜したIn-Ga-Zn酸化物は、単結晶又は多結晶でもなく、非晶質状態でもない、中間状態であり、非晶質状態であると結論することはできないと推定される。
【0509】
<<酸化物半導体の構造>>
なお、酸化物半導体は、構造に着目した場合、上記とは異なる分類となる場合がある。例えば、酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、上述のCAAC-OS、及びnc-OSがある。また、非単結晶酸化物半導体には、多結晶酸化物半導体、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、非晶質酸化物半導体、などが含まれる。
【0510】
ここで、上述のCAAC-OS、nc-OS、及びa-like OSの詳細について、説明を行う。
【0511】
[CAAC-OS]
CAAC-OSは、複数の結晶領域を有し、当該複数の結晶領域はc軸が特定の方向に配向している酸化物半導体である。なお、特定の方向とは、CAAC-OS膜の厚さ方向、CAAC-OS膜の被形成面の法線方向、又はCAAC-OS膜の表面の法線方向である。また、結晶領域とは、原子配列に周期性を有する領域である。なお、原子配列を格子配列とみなすと、結晶領域とは、格子配列の揃った領域でもある。さらに、CAAC-OSは、a-b面方向において複数の結晶領域が連結する領域を有し、当該領域は歪みを有する場合がある。なお、歪みとは、複数の結晶領域が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。つまり、CAAC-OSは、c軸配向し、a-b面方向には明らかな配向をしていない酸化物半導体である。
【0512】
なお、上記複数の結晶領域のそれぞれは、1つ又は複数の微小な結晶(最大径が10nm未満である結晶)で構成される。結晶領域が1つの微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の最大径は10nm未満となる。また、結晶領域が多数の微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の大きさは、数十nm程度となる場合がある。
【0513】
また、In-Ga-Zn酸化物において、CAAC-OSは、インジウム(In)、及び酸素を有する層(以下、In層)と、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、及び酸素を有する層(以下、(Ga,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムとガリウムは、互いに置換可能である。よって、(Ga,Zn)層にはインジウムが含まれる場合がある。また、In層にはガリウムが含まれる場合がある。なお、In層には亜鉛が含まれる場合もある。当該層状構造は、例えば、高分解能TEM(Transmission Electron Microscope)像において、格子像として観察される。
【0514】
CAAC-OS膜に対し、例えば、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、c軸配向を示すピークが2θ=31°又はその近傍に検出される。なお、c軸配向を示すピークの位置(2θの値)は、CAAC-OSを構成する金属元素の種類、組成などにより変動する場合がある。
【0515】
また、例えば、CAAC-OS膜の電子線回折パターンにおいて、複数の輝点(スポット)が観測される。なお、あるスポットと別のスポットとは、試料を透過した入射電子線のスポット(ダイレクトスポットともいう)を対称中心として、点対称の位置に観測される。
【0516】
上記特定の方向から結晶領域を観察した場合、当該結晶領域内の格子配列は、六方格子を基本とするが、単位格子は正六角形とは限らず、非正六角形である場合がある。また、上記歪みにおいて、五角形、七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリー)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないこと、金属原子が置換することで原子間の結合距離が変化すること、などによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0517】
なお、明確な結晶粒界が確認される結晶構造は、いわゆる多結晶(polycrystal)と呼ばれる。結晶粒界は、再結合中心となり、キャリアが捕獲されトランジスタのオン電流の低下、電界効果移動度の低下などを引き起こす可能性が高い。よって、明確な結晶粒界が確認されないCAAC-OSは、トランジスタの半導体層に好適な結晶構造を有する結晶性の酸化物の一つである。なお、CAAC-OSを構成するには、Znを有する構成が好ましい。例えば、In-Zn酸化物、及びIn-Ga-Zn酸化物は、In酸化物よりも結晶粒界の発生を抑制できるため好適である。
【0518】
CAAC-OSは、結晶性が高く、明確な結晶粒界が確認されない酸化物半導体である。よって、CAAC-OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入、欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物及び欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。また、CAAC-OSは、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対しても安定である。従って、OSトランジスタにCAAC-OSを用いると、製造工程の自由度を広げることが可能となる。
【0519】
[nc-OS]
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。別言すると、nc-OSは、微小な結晶を有する。なお、当該微小な結晶の大きさは、例えば、1nm以上10nm以下、特に1nm以上3nm以下であることから、当該微小な結晶をナノ結晶ともいう。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。従って、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OS、又は非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc-OS膜に対し、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、結晶性を示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、ナノ結晶よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し、ナノ結晶の大きさと近いかナノ結晶より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、ダイレクトスポットを中心とするリング状の領域内に複数のスポットが観測される電子線回折パターンが取得される場合がある。
【0520】
[a-like OS]
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆又は低密度領域を有する。即ち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。また、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、膜中の水素濃度が高い。
【0521】
<<酸化物半導体の構成>>
次に、上述のCAC-OSの詳細について、説明を行う。なお、CAC-OSは材料構成に関する。
【0522】
[CAC-OS]
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、又はその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つ又は複数の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、又はその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、又はパッチ状ともいう。
【0523】
さらに、CAC-OSとは、第1の領域と、第2の領域と、に材料が分離することでモザイク状となり、当該第1の領域が、膜中に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。つまり、CAC-OSは、当該第1の領域と、当該第2の領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。
【0524】
ここで、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSを構成する金属元素に対するIn、Ga、及びZnの原子数比のそれぞれを、[In]、[Ga]、及び[Zn]と表記する。例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSにおいて、第1の領域は、[In]が、CAC-OS膜の組成における[In]よりも大きい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、CAC-OS膜の組成における[Ga]よりも大きい領域である。又は、例えば、第1の領域は、[In]が、第2の領域における[In]よりも大きく、且つ、[Ga]が、第2の領域における[Ga]よりも小さい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、第1の領域における[Ga]よりも大きく、且つ、[In]が、第1の領域における[In]よりも小さい領域である。
【0525】
具体的には、上記第1の領域は、インジウム酸化物、インジウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。また、上記第2の領域は、ガリウム酸化物、ガリウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。つまり、上記第1の領域を、Inを主成分とする領域と言い換えることができる。また、上記第2の領域を、Gaを主成分とする領域と言い換えることができる。
【0526】
なお、上記第1の領域と、上記第2の領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0527】
また、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSとは、In、Ga、Zn、及びOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とする領域と、一部にInを主成分とする領域とが、それぞれモザイク状であり、これらの領域がランダムに存在している構成をいう。よって、CAC-OSは、金属元素が不均一に分布した構造を有していると推測される。
【0528】
CAC-OSは、例えば基板を意図的に加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC-OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、及び窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つ又は複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましい。例えば、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とする。
【0529】
また、例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、Inを主成分とする領域(第1の領域)と、Gaを主成分とする領域(第2の領域)とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0530】
ここで、第1の領域は、第2の領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、第1の領域を、キャリアが流れることにより、金属酸化物としての導電性が発現する。従って、第1の領域が、金属酸化物中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
【0531】
一方、第2の領域は、第1の領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、第2の領域が、金属酸化物中に分布することで、リーク電流を抑制することができる。
【0532】
従って、CAC-OSをトランジスタに用いる場合、第1の領域に起因する導電性と、第2の領域に起因する絶縁性とが、相補的に作用することにより、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSに付与することができる。つまり、CAC-OSとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。導電性の機能と絶縁性の機能とを分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。よって、CAC-OSをトランジスタに用いることで、高いオン電流(Ion)、高い電界効果移動度(μ)、及び良好なスイッチング動作を実現することができる。
【0533】
また、CAC-OSを用いたトランジスタは、信頼性が高い。従って、CAC-OSは、表示装置をはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
【0534】
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、CAC-OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0535】
<酸化物半導体を有するトランジスタ>
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0536】
上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0537】
トランジスタには、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体のキャリア濃度は1×1017cm-3以下、好ましくは1×1015cm-3以下、さらに好ましくは1×1013cm-3以下、より好ましくは1×1011cm-3以下、さらに好ましくは1×1010cm-3未満であり、1×10-9cm-3以上である。なお、酸化物半導体膜のキャリア濃度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性又は実質的に高純度真性と言う。なお、キャリア濃度の低い酸化物半導体を、高純度真性又は実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ場合がある。
【0538】
また、高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0539】
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0540】
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。なお、酸化物半導体中の不純物とは、例えば、酸化物半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物と言える。
【0541】
<不純物>
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
【0542】
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコン又は炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコン又は炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコン又は炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1017atoms/cm以下とする。
【0543】
また、酸化物半導体にアルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1016atoms/cm以下にする。
【0544】
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア濃度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。又は、酸化物半導体において、窒素が含まれると、トラップ準位が形成される場合がある。この結果、トランジスタの電気特性が不安定となる場合がある。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中の窒素濃度を、5×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm以下にする。
【0545】
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる酸化物半導体中の水素濃度を、1×1020atoms/cm未満、好ましくは1×1019atoms/cm未満、より好ましくは5×1018atoms/cm未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満にする。
【0546】
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0547】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0548】
(実施の形態12)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置を用いる電子機器について、図25を用いて説明する。
【0549】
本実施の形態では、実施の形態1乃至3のいずれか一に示した表示装置を車両に設置する例を示す。
【0550】
図25は、車両の構成例を説明する図である。図25には、運転席の周辺に配置されるダッシュボード151、運転席前方に固定された表示装置154、カメラ155、送風口156、運転席左側のドア158a、運転席右側のドア158bなどを示している。表示装置154は、運転席前方にわたって設けられている。
【0551】
運転席前方に固定された表示装置154は、実施の形態1乃至3のいずれか一の表示装置を用いることができる。図25では一つの表示面として図示し、3行9列の合計27の発光デバイスを組み合わせて構成する例を示している。なお、図25では点線で画素領域の境界を示したが、実際の表示画像には点線は表示されず、つなぎ目がない、または目立たない構成とする。また、表示装置154は、透光性を有する領域を設けて外を見ることのできるシースルー構造としてもよい。
【0552】
表示装置154は、タッチセンサ、又は非接触の近接センサが設けられていることが好ましい。又は、別途設けられたカメラなどを用いたジェスチャー操作が可能であることが好ましい。
【0553】
図25は、ハンドル(ステアリングホイールとも呼ぶ)を設けない自動運転の車両を示しているが、特に限定されず、ハンドルを設けてもよく、そのハンドルに、曲面を有する表示装置を設けてもよく、実施の形態1または実施の形態2に示す構成を用いることができる。
【0554】
また、後側方の状況を撮影するカメラ155を車外に複数設けてもよい。図25においてはサイドミラーの代わりにカメラ155を設置する例を示しているが、サイドミラーとカメラの両方を設置してもよい。カメラ155としては、CCDカメラ、CMOSカメラなどを用いることができる。また、これらのカメラに加えて、赤外線カメラを組み合わせて用いてもよい。赤外線カメラは、被写体の温度が高いほど出力レベルが高くなるため、人、動物等の生体を検知又は抽出することができる。
【0555】
カメラ155で撮像された画像は、表示装置154に出力することができる。この表示装置154を用いて主に車両の運転を支援する。カメラ155によって後側方の状況を幅広い画角で撮影し、その画像を表示装置154に表示することで、ドライバーの死角領域の視認が可能となり、事故の発生を防止することができる。
【0556】
また、車のルーフ上などに距離画像センサを設け、距離画像センサによって得られた画像を表示装置154に表示してもよい。距離画像センサとしては、イメージセンサ、ライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging)などを用いることができる。イメージセンサによって得られた画像と、距離画像センサによって得られた画像とを表示装置154に表示することにより、より多くの情報をドライバーに提供し、運転を支援することができる。
【0557】
また、車のルーフ内部、即ち天井部分などに曲面を有する表示装置152を設けることもできる。天井部分などに曲面を有する表示装置152を設ける場合には、実施の形態1または実施の形態2に示す表示装置を適用することができる。
【0558】
また、表示装置152及び表示装置154は、地図情報、交通情報、テレビ映像、DVD映像などを表示する機能を有していてもよい。
【0559】
表示装置154に表示される映像は、ドライバーの好みによって自由に設定することができる。例えば、テレビ映像、DVD映像、ウェブ動画などを左側の画像領域に表示し、地図情報を中央部の画像領域などに表示し、速度計、回転計などの計測類を右側の画像領域に表示することができる。
【0560】
また、図25には、左側のドア158a、右側のドア158bの表面に沿って、それぞれ表示装置159a、表示装置159bが設けられている。表示装置159a及び表示装置159bは、それぞれ一つ又は複数の発光デバイスを用いて形成することができる。例えば、1行3列の発光デバイスを用いて一つの表示面とする。
【0561】
表示装置159aと表示装置159bとは、向かい合うように配置される。
【0562】
また、表示装置152、154、159a、159bの少なくとも一つに、撮像機能を有する表示装置が適用されることが好ましい。
【0563】
例えば、ドライバーが表示装置152、154、159a、159bの少なくとも一つの画像領域に触れることで、車両は指紋認証又は掌紋認証などの生体認証を行うことができる。車両は、生体認証によってドライバーが認証された場合に、個人の好みの環境を整える機能を有していてもよい。例えば、シート位置の調整、ハンドル位置の調整、カメラ155の向きの調整、明るさの設定、エアコンの設定、ワイパーの速度(頻度)の設定、オーディオの音量の設定、オーディオの再生リストの読出しなどの一以上を、認証後に実行することが好ましい。
【0564】
また、生体認証によってドライバーが認証された場合に、自動車を運転可能な状態、例えばエンジンがかかった状態、又は電気自動車で始動可能な状態とすることもでき、従来必要であった鍵が不要となるため好ましい。
【0565】
なお、ここでは運転席を囲う表示装置について説明したが、後部座席においても、搭乗者を囲うように表示装置を設けることができる。
【0566】
以上のように、本発明の一態様の構成とすることで、表示装置の設計の自由度が高くなり、表示装置のデザイン性を向上することができる。また、本発明の一態様の表示装置は、車両などに搭載する際に好適に用いることができる。
【0567】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【実施例0568】
本実施例では、レーザー光を照射して表示パネルの端部を切断し、2枚の表示パネルを重ねて上面から観察する実験を行った。
【0569】
まず、図26(A)に、ブラックマトリクス602bを設けた第2の表示パネル600bを示している。また、図26(A)ではレーザー加工が行われている途中の断面図を示している。本実施例では、YAGレーザーを用い、波長266nmのレーザー光を使用した。
【0570】
図26(B)はレーザー加工により端部が切断された様子を示している。
【0571】
また、ここでは図示しないが、ブラックマトリクス602aを設けた第1の表示パネル600aの端部にレーザー加工を行った。
【0572】
次いで、図26(C)に示すように接着用の樹脂618で固定し、第1の表示パネル600aと第2の表示パネル600bを重ねる。表示パネルを重ねた部分がつなぎ目となる。つなぎ目は表示パネルが重なっている領域、即ち、幅を有している領域と言える。なお、第1の表示パネル600aのブラックマトリクス602aと、第2の表示パネル600bのブラックマトリクス602bが上側から見て重なるように固定する。
【0573】
図26(D)に示すように、アクリル樹脂基板601aと第2の表示パネル600bの間の空間、およびアクリル樹脂基板601bと第1の表示パネル600aの間の空間を充填用の樹脂619で充填した。接着用の樹脂618、及び充填用の樹脂619の樹脂は屈折率が1.55であるエポキシ樹脂を用いた。
【0574】
こうして得られたサンプルのうち、第1の表示パネル600aと第2の表示パネル600bを重ねた部分を上面から観察した顕微鏡写真が図27(A)である。
【0575】
比較例としてレーザー光ではなく、物理的な刃(スーパーカッター)を用いてサンプルを作製した。表示パネルの端部を切断する方法以外は上述した手順でサンプルを作製した。比較例の顕微鏡写真が図27(B)である。
【0576】
図27(A)の顕微鏡写真は、図27(B)の比較例よりもつなぎ目が見えにくい結果となった。
【0577】
さらに、サンプルのアクリル樹脂基板601b上に円偏光板603を重ね、上面から顕微鏡写真を撮影した結果が図28(A)である。また、比較例のアクリル樹脂基板601b上に円偏光板603を重ね、上面から顕微鏡写真を撮影した結果が図28(B)である。
【0578】
図28(A)の顕微鏡写真は、図28(B)と比べ、ほとんどつなぎ目が見えない結果となった。
【符号の説明】
【0579】
10 支持体
12 配線層
13 カバー材
14a 発光方向
16a 発光デバイス
16b 発光デバイス
16c 発光デバイス
18a 電極

20a 駆動回路部
20b 駆動回路部
20c 駆動回路部

90B 発光画素
90G 発光画素
90R 発光画素
90S 受光画素
100 表示領域
101 層
110 画素
110a 副画素
110b 副画素
110c 副画素
111 画素電極
111a 画素電極
111b 画素電極
111c 画素電極
111C 接続電極
111G 画素電極
111R 画素電極
112B 有機層
112G 有機層
112R 有機層
112S 有機層
113 共通電極
113a 第1の有機層
113b 第2の有機層
113c 第3の有機層
114 第4の有機層
114C 有機層
115 共通電極
120 基板
121 保護層
122 樹脂層
124a 画素
124b 画素
125 絶縁層
126 樹脂層
127 絶縁層
130 接続部
130a 発光デバイス
130b 発光デバイス
130c 発光デバイス
131 絶縁層
132 絶縁層
140 接続部
151 ダッシュボード
152 表示装置
154 表示装置
155 カメラ
156 送風口
158a ドア
158b ドア
159a 表示装置
159b 表示装置
200 表示パネル
200A 表示パネル
200B 表示パネル
201 基板
202 基板
203 機能層
211 発光デバイス
211B 発光デバイス
211G 発光デバイス
211IR 発光デバイス
211R 発光デバイス
211W 発光デバイス
211X 発光デバイス
212 受光素子
213R 受発光デバイス
220 指
221 接触部
222 指紋
223 撮像範囲
225 スタイラス
226 軌跡
252 トランジスタ
258 トランジスタ
259 トランジスタ
260 トランジスタ
261 絶縁層
262 絶縁層
264 絶縁層
265 絶縁層
268 絶縁層
271 導電層
272a 導電層
272b 導電層
273 導電層
275 絶縁層
278 接続部
281 半導体層
281i チャネル形成領域
281n 低抵抗領域
400 表示装置
411a 導電層
411b 導電層
411c 導電層
412G EL層
412S 光電変換層
413 共通電極
414 有機層
416 保護層
417 遮光層
421 絶縁層
422 樹脂層
430b 発光画素
440 受光素子
442 接着層
453 基板
454 基板
455 接着層
462 表示部
464 回路
465 配線
473 電極
500 表示パネル
500a 表示パネル
500b 表示パネル
500c 表示パネル
500d 表示パネル
501 表示領域
501a 表示領域
501b 表示領域
501c 表示領域
501d 表示領域
510 領域
510b 領域
510c 領域
510d 領域
550 パネル
551 表示領域
600a 表示パネル
600b 表示パネル
601a アクリル樹脂基板
601b アクリル樹脂基板
602a ブラックマトリクス
602b ブラックマトリクス
603 円偏光板
604 レーザー光
616a 素子層
616b 素子層
618 樹脂
619 樹脂
711 発光層
712 発光層
713 発光層
720 層
720-1 層
720-2 層
730 層
730-1 層
730-2 層
750B 発光デバイス
750G 発光デバイス
750R 発光デバイス
751 層
752 層
753B 発光層
753G 発光層
753R 発光層
754 層
755 層
760 受光素子
761 層
762 層
763 層
790 EL層
790a EL層
790b EL層
791 下部電極
791B 画素電極
791G 画素電極
791PD 画素電極
791R 画素電極
792 上部電極
795 着色層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28