(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183134
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置用の静電チャックアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
H05H1/46 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022086891
(22)【出願日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】202110589056.5
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】17/717,652
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502278714
【氏名又は名称】マトソン テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Mattson Technology, Inc.
【住所又は居所原語表記】47131 Bayside Parkway, Fremont, CA 94538, USA
(71)【出願人】
【識別番号】520111187
【氏名又は名称】ベイジン イータウン セミコンダクター テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing E-Town Semiconductor Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Building, No. 28 Jinghai Er Rd., Economic and Technical Development Zone, 100176 Beijing, China
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マオリン ロン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイミン ツェン
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA04
2G084AA05
2G084BB14
2G084CC13
2G084CC33
2G084DD03
2G084DD38
2G084DD55
2G084FF06
2G084FF31
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ワークピース処理の均一性を調整するためのDCオフセット調整を提供する静電チャック。
【解決手段】第1のクランプ電極および第2のクランプ電極を有するクランプ層を含む静電チャック。第1のクランプ領域と第2のクランプ領域とを画定する第1のクランプ電極が設けられている。第1のクランプ領域と第2のクランプ領域とは第1のギャップによって分離されており、第1のギャップを横切って延びる電気接続部によって電気的に接続されている。第2のクランプ電極が、第1のクランプ電極から半径方向外側に配置されている。第2のクランプ電極は、第2のギャップによって分離された、第3のクランプ領域および第4のクランプ領域を画定する。第3のクランプ領域と第4のクランプ領域とは、第2のギャップを横切って延びる電気接続部によって電気的に接続されている。静電チャックを組み込んだプラズマ処理装置およびシステムも提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電チャックであって、
処理中、ワークピースを支持するように構成されたワークピース支持面と、
1つもしくは複数のクランプ電極を含むクランプ層と
を備え、前記クランプ層は、
第1のクランプ領域および第2のクランプ領域を画定する第1のクランプ電極であって、前記第1のクランプ領域と前記第2のクランプ領域とは第1のギャップによって分離されており、前記第1のクランプ領域と前記第2のクランプ領域とは、前記第1のギャップを横切って延びる少なくとも1つの電気接続部によって電気的に接続されている、第1のクランプ電極と、
前記第1のクランプ電極から半径方向外側に配置されており、かつ第3のクランプ領域および第4のクランプ領域を画定する第2のクランプ電極であって、前記第3のクランプ領域と前記第4のクランプ領域とは第2のギャップによって分離されており、前記第3のクランプ領域と前記第4のクランプ領域とは、前記第2のギャップを横切って延びる少なくとも1つの電気接続部によって電気的に接続されている、第2のクランプ電極と
を含む、静電チャック。
【請求項2】
前記第1のギャップは前記第1のクランプ領域と前記第2のクランプ領域との間の熱伝導を低減し、前記第2のギャップは前記第3のクランプ領域と前記第4のクランプ領域との間の熱伝導を低減する、請求項1記載の静電チャック。
【請求項3】
前記第1のギャップおよび/または前記第2のギャップがセラミック材料を含む、請求項1記載の静電チャック。
【請求項4】
前記第1の電極および前記第2の電極は電圧源に結合されており、前記電圧源は、クランプ力を平衡化するためのまたはワークピース処理の均一性を調整するためのDCオフセット調整を提供するように構成されている、請求項1記載の静電チャック。
【請求項5】
前記第1のクランプ電極および前記第2のクランプ電極は、DC電源、AC電源および/またはRF電源に接続されている、請求項1記載の静電チャック。
【請求項6】
前記第1のクランプ電極と前記第2のクランプ電極とは、同じRF電源に接続されている、請求項5記載の静電チャック。
【請求項7】
前記第1のクランプ電極は負のDC電圧に結合されており、前記第2のクランプ電極は正のDC電圧に結合されている、請求項1記載の静電チャック。
【請求項8】
前記第1のクランプ領域は、半径方向で最も内側に配置されており、前記第2のクランプ領域は、前記第1のクランプ領域から半径方向外側かつ前記第3のクランプ領域から半径方向内側に配置されており、前記第3のクランプ領域は、前記第2のクランプ領域から半径方向外側かつ前記第4のクランプ領域から半径方向内側に配置されている、請求項1記載の静電チャック。
【請求項9】
前記ワークピースの均一性を調整するために、異なる量のDC電圧、異なる量のRF電力出力、および/または異なる電源を、前記第1のクランプ領域、前記第2のクランプ領域、前記第3のクランプ領域、および/または前記第4のクランプ領域に印加することができる、請求項1記載の静電チャック。
【請求項10】
前記静電チャックは、加熱層を画定する複数の加熱電極をさらに備え、
前記加熱電極は、半径方向で配置されて、第1の加熱領域、第2の加熱領域、第3の加熱領域、および第4の加熱領域を形成している、
請求項1記載の静電チャック。
【請求項11】
前記加熱層は、z方向で前記クランプ層の下方に配置されており、
さらに、前記第1の加熱領域は、z方向で前記第1のクランプ領域の下方に配置されており、前記第2の加熱領域は、z方向で前記第2のクランプ領域の下方に配置されており、前記第3の加熱領域は、z方向で前記第3のクランプ領域の下方に配置されており、前記第4の加熱領域は、z方向で前記第4のクランプ領域の下方に配置されている、
請求項10記載のワークピース支持部。
【請求項12】
ワークピース処理装置であって、
処理チャンバと、
前記処理チャンバ内に配置されたワークピース支持部と
を備え、前記ワークピース支持部は、
処理中、ワークピースを支持するように構成されたワークピース支持面と、1つもしくは複数のクランプ電極を含むクランプ層とを含む静電チャックを含み、前記クランプ層は、
第1のクランプ領域および第2のクランプ領域を画定する第1のクランプ電極であって、前記第1のクランプ領域と前記第2のクランプ領域とは第1のギャップによって分離されており、前記第1のクランプ領域と前記第2のクランプ領域とは、前記第1のギャップを横切って延びる少なくとも1つの電気接続部によって電気的に接続されている、第1のクランプ電極と、
前記第1のクランプ電極から半径方向外側に配置されており、かつ第3のクランプ領域および第4のクランプ領域を画定する第2のクランプ電極であって、前記第3のクランプ領域と前記第4のクランプ領域とは第2のギャップによって分離されており、前記第3のクランプ領域と前記第4のクランプ領域とは、前記第2のギャップを横切って延びる少なくとも1つの電気接続部によって電気的に接続されている、第2のクランプ電極と
を含み、
前記第1のギャップは前記第1のクランプ領域と前記第2のクランプ領域との間の熱伝導を低減し、前記第2のギャップは前記第3のクランプ領域と前記第4のクランプ領域との間の熱伝導を低減する、
ワークピース処理装置。
【請求項13】
前記ワークピース処理装置は、1つもしくは複数の処理ガスから前記処理チャンバ内にプラズマを生成することができる誘導結合プラズマ源を含む、請求項12記載のワークピース処理装置。
【請求項14】
前記ワークピース処理装置は、前記ワークピースに対して熱処理を行うことができる1つもしくは複数の熱源を含む、請求項12記載のワークピース処理装置。
【請求項15】
前記第1のクランプ電極に負のDC電圧が印加され、前記第2のクランプ電極に正のDC電圧が印加される、請求項12記載のワークピース処理装置。
【請求項16】
前記第1のクランプ領域は、半径方向で最も内側に配置されており、前記第2のクランプ領域は、前記第1のクランプ領域から半径方向外側かつ前記第3のクランプ領域から半径方向内側に配置されており、前記第3のクランプ領域は、前記第2のクランプ領域から半径方向外側かつ前記第4のクランプ領域から半径方向内側に配置されている、請求項12記載のワークピース処理装置。
【請求項17】
前記ワークピースの均一性を調整するために、異なる量のDC電圧、RF電力出力、および/または異なる電源を、前記第1のクランプ領域、前記第2のクランプ領域、前記第3のクランプ領域、および/または前記第4のクランプ領域に印加することができる、請求項12記載のワークピース処理装置。
【請求項18】
前記ワークピース処理装置は、z方向で前記クランプ層の下方に配置された、加熱層を形成する複数の加熱電極をさらに備え、
前記加熱電極は、半径方向で配置されて、第1の加熱領域、第2の加熱領域、第3の加熱領域、および第4の加熱領域を形成している、
請求項12記載のワークピース処理装置。
【請求項19】
前記第1の加熱領域は、z方向で前記第1のクランプ領域の下方に配置されており、前記第2の加熱領域は、z方向で前記第2のクランプ領域の下方に配置されており、前記第3の加熱領域は、z方向で前記第3のクランプ領域の下方に配置されており、前記第4の加熱領域は、z方向で前記第4のクランプ領域の下方に配置されている、請求項18記載のワークピース処理装置。
【請求項20】
ワークピースを処理するためのシステムであって、
ワークピースに対して少なくとも1つの処理プロセスを実行するように構成された処理チャンバと、
前記処理チャンバ内に配置されておりかつ静電チャックを含むワークピース支持部と
を備え、前記静電チャックは、
処理中、ワークピースを支持するように構成されたワークピース支持面と、
1つもしくは複数のクランプ電極を含むクランプ層であって、
第1のクランプ領域および第2のクランプ領域を画定する第1のクランプ電極であって、前記第1のクランプ領域と前記第2のクランプ領域とは第1のギャップによって分離されており、前記第1のクランプ領域と前記第2のクランプ領域とは、前記第1のギャップを横切って延びる少なくとも1つの電気接続部によって電気的に接続されている、第1のクランプ電極と、
前記第1のクランプ電極から半径方向外側に配置されており、かつ第3のクランプ領域および第4のクランプ領域を画定する第2のクランプ電極であって、前記第3のクランプ領域と前記第4のクランプ領域とは第2のギャップによって分離されており、前記第3のクランプ領域と前記第4のクランプ領域とは、前記第2のギャップを横切って延びる少なくとも1つの電気接続部によって電気的に接続されている、第2のクランプ電極と
を含み、
前記第1のギャップは前記第1のクランプ領域と前記第2のクランプ領域との間の熱伝導を低減し、前記第2のギャップは前記第3のクランプ領域と前記第4のクランプ領域との間の熱伝導を低減する、
クランプ層と、
前記1つもしくは複数のクランプ電極に結合された1つもしくは複数の電圧源であって、クランプ力を平衡化するためのまたはワークピース処理の均一性を調整するためのDCオフセット調整を提供するように構成された電圧源と、
前記1つもしくは複数の電圧源から前記1つもしくは複数のクランプ電極への電力出力または電圧源を調整するように構成されたコントローラと
を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本願は、2021年5月28日付にて出願された、“Electrostatic Chuck Assembly For Plasma Processing Apparatus”なるタイトルの中国特許出願第202110589056.5号の優先権の利益を主張し、この出願はあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
分野
本開示は、全体としては、ワークピースをプラズマ処理するためのプラズマ処理装置に関する。より具体的には、本開示は、プラズマ処理装置用の静電チャックアセンブリに関する。
【0003】
背景
様々なタイプのワークピースを処理するために、様々なタイプの処理チャンバが利用可能である。ワークピースは、例えば、ガラスプレート、フィルム、リボン、ソーラーパネル、ミラー、液晶ディスプレイ、半導体ウェハなどを含むことができる。例えば、集積回路チップの製造中に半導体ウェハを処理するために、多くの異なるタイプの処理チャンバが利用されうる。処理チャンバは、ウェハのアニーリング、化学蒸着、物理蒸着、プラズマエッチングプロセスおよび化学エッチングプロセス、熱処理、表面加工プロセスならびに他のプロセスを実行するために使用されうる。これらのタイプの処理チャンバは、典型的には、ワークピースをチャンバ内に保持するためのワークピース支持部を含む。
【0004】
多くのプロセスでは、処理中の均一性を制御するために、処理中のワークピースの特定のパラメータを制御することが望ましい。温度の不均一性を制御することのできるワークピース支持部を設計するために様々な試みがなされてきたが、様々な欠陥および欠点が残っている。したがって、改善されたワークピース支持部、プラズマ処理装置、およびシステムが必要とされている。
【0005】
当業者に向けた実施形態の詳細な説明を、添付の図を参照しつつ、本明細書に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の例示的な実施形態による例示的な処理装置を示す図である。
【
図2】本開示の例示的な実施形態による例示的なワークピース支持部を示す図である。
【
図3】本開示の例示的な実施形態による例示的なワークピース支持部を示す図である。
【
図4】本開示の例示的な実施形態による2つのクランプ電極を有するクランプ層の上面図である。
【
図5】本開示の例示的な実施形態による1つもしくは複数の加熱電極を有する加熱層を示す上面図である。
【
図6】本開示の例示的な実施形態によるクランプ層およびトレース接続部を示す下面図である。
【
図7】本開示の例示的な実施形態によるクランプ層およびトレース接続部を示す下面図である。
【
図8】本開示の例示的な実施形態によるクランプ層およびトレース接続部を示す下面図である。
【
図9】本開示の例示的な実施形態による熱制御システムを示す上面図である。
【
図10】本開示の例示的な実施形態によるワークピース支持部の一部を示す図である。
【0007】
詳細な説明
以下では、複数の実施形態を、そのうちの1つもしくは複数の例を図面に示しつつ、詳細に参照する。各例は、実施形態を説明するために提供されたものであり、本開示を限定するものではない。実際に、当業者には、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、実施形態に対して様々な修正および変更を行えることが明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明される特徴を別の実施形態と共に使用して、さらに別の実施形態を創出することができる。したがって、本開示の態様は、このような修正および変更をカバーすることを意図している。
【0008】
本開示の態様は、例示および説明の目的で、「ワークピース」、「ウェハ」もしくは半導体ウェハに関して説明される。当業者は、本明細書において提供される開示を使用して、本開示の例示的な態様が任意の半導体ワークピースまたは他の適切なワークピースに関連して使用可能であることを理解するであろう。さらに、数値と併せて「約」なる用語が使用される場合、記載された数値の10パーセント(10%)以内を指すことが意図されている。「ペデスタル」とは、ワークピースの支持に使用可能な任意の構造体を指す。「遠隔プラズマ」とは、ワークピースから離れて生成されるプラズマ、例えば分離グリッドによってワークピースから分離されたプラズマチャンバ内で生成されるプラズマを指す。「直接プラズマ」とは、ワークピースに直接に曝露されるプラズマ、例えばワークピースを支持するように動作可能なペデスタルを有する処理チャンバ内で生成されるプラズマを指す。
【0009】
本明細書で使用される「約」なる用語は、記載された数値と併せて使用することによって、記載された数値の10%以内の値の範囲を含むことができる。
【0010】
従来のプラズマ処理装置は、静電チャックを含むことができるワークピース支持部を有する。一般的に、静電チャックは、セラミックパック内に埋め込まれた1つもしくは複数の電極を含む。電極に電気が帯電されると、電極とワークピースとの間の静電荷の差により、ワークピース支持部上にワークピースが保持される。既存の静電チャックには、モノポーラ(例えば、単一電極)またはダイポーラ(例えば、2電極)設計が含まれる。しかし、本発明者らは、電極によって発生する静電力がワークピース上にプロセスの不均一性を生じさせうることを発見した。例えば、既存のバイポーラ静電チャックは、その電極が1つもしくは複数のそれぞれの電源に接続されることにより電界分布に鮮明なサイドツーサイドパターンを有するので、こうした電極のレイアウトに起因してサイドツーサイドのエッチング速度の不均一パターンを引き起こす可能性がある。
【0011】
したがって、本開示の例示的な態様は、チャック(例えばクランプ)電極のための専用の半径方向レイアウトを提供する。チャック電極は、熱的に絶縁されて、チャック電極に全部で4つの絶縁領域が生じるように電気的に接続することができる。概して、本開示の例示的な態様は、1つもしくは複数のクランプ電極を有するクランプ層を含む静電チャックに関する。クランプ電極は、第1のクランプ領域および第2のクランプ領域を画定する第1のクランプ電極を含む。クランプ電極は、第3のクランプ領域および第4のクランプ領域を画定する第2のクランプ電極を含む。第1のクランプ領域と第2のクランプ領域とは第1のギャップによって分離されている。第1のクランプ領域と第2のクランプ領域とは、第1のギャップを横切って延びる少なくとも1つの電気接続部によって電気的に接続されている。第3のクランプ領域と第4のクランプ領域とは第2のギャップによって分離されている。第3のクランプ領域と第4のクランプ領域とは、第2のギャップを横切って延びる少なくとも1つの電気接続部によって電気的に接続されている。
【0012】
第1のクランプ電極および第2のクランプ電極は、第1のクランプ領域が半径方向で最も内側にあり、第2のクランプ領域が第3のクランプ領域から半径方向内側かつ第1のクランプ領域から半径方向外側にあり、第3のクランプ領域が第4のクランプ領域から半径方向内側かつ第2のクランプ領域から半径方向外側にあるように、半径方向で配置されている。これらのクランプ領域は、加熱電極を備える加熱層内に画定される1つもしくは複数の加熱領域の配置に対応させることができる。
【0013】
さらに、静電チャックは熱制御システムを含むことができる。熱制御システムは、熱交換流体または熱交換ガス(例えばヘリウム)を分配するためにチャック内に配置された層を含むことができる。熱制御システムは、特定の放出領域に配置された1つもしくは複数の放出開口に相互接続された1つもしくは複数の流路を含むことができる。例えば、実施形態では、開口の放出領域は、クランプ領域および/または加熱領域に対応する半径方向パターンで配置することができる。例えば、放出開口の第1の領域は半径方向の最も内側に配置可能であり、放出開口の第2の領域は放出開口の第1の領域から半径方向外側に配置可能である。放出開口の第3の領域は、放出開口の第2の領域から半径方向外側かつ放出開口の第4の領域から半径方向内側に配置可能である。
【0014】
特定の実施形態では、静電チャックはシーリングバンドを含むこともできる。シーリングバンドは、概して静電チャックのワークピース支持面の少なくとも一部の上に着座し、より具体的にはシーリングバンドは静電チャックの外周を包囲する。シーリングバンドは、約3ミリメートル(mm)超から約10mmまでの幅W1を有するように構成されている。本開示の例示的な態様によるシーリングバンドの寸法設定では、熱交換ガスの漏れが生じやすくなる損傷を受けることなく、処理条件およびクリーニング条件に良好に耐えうる、より頑強なシーリングバンドが提供される。
【0015】
本開示の例示的な実施形態による静電チャックは、多数の利点および技術的効果を提供することができる。例えば、少なくとも2つのクランプ電極は、半径方向に配置されかつ接続されて、少なくとも4つの熱絶縁領域を生じさせることができる。プロセスの均一性を向上させるために、各熱絶縁領域を制御することができる。さらに、静電チャックバイアス補償(例えば、チャック電圧オフセット)を使用して、処理中のワークピースでのエッチング速度の均一性および/または化学的堆積を能動的に制御することができる。さらに、特定の加熱領域および/または放出開口の領域を提供されるように配置することにより、ワークピースを横切る半径方向および方位方向における温度制御をさらに高めることができる。さらに、本明細書で提供されるシーリングバンドの寸法設定は、シーリングバンドがより耐久性を有しかつプラズマ曝露による侵食を受けにくくなり、これによりワークピースの周縁部の周囲に熱交換ガスが漏れにくくなることを保証する。
【0016】
図1~
図2を参照すると、例えば、本開示に従って形成されたワークピース処理システム100の一実施形態が示されている。
図1に示されている実施形態では、システムは処理チャンバ9を含む。処理チャンバ9はワークピース処理ステーション13を含む。処理ステーション13は、本開示に従って作製されたワークピース支持部12を含む。
図1に示された処理チャンバは、1つのワークピース、例えば半導体ウェハを処理するための1つの処理ステーション13を含む。ただし、処理チャンバ9が他の実施形態において2つ以上の処理ステーションを含んでもよいことを理解されたい。図示されているように、処理ステーション13は処理領域14を含んでいる。処理領域14は、分離弁17に連通している。分離弁17は、ワークピースが交換可能となるように開閉する。分離弁17は、処理チャンバ壁10をシールしている。
【0017】
図示の実施形態では、ワークピース支持部12、またはワークピース支持部の少なくとも一部は、静電チャック24を含む。静電チャック24は、ワークピース16をワークピース支持部12の上面に保持する静電力を発生させるように構成されている。より具体的には、静電チャックは、自身とワークピースとの間に、モノポーラの場合1つの、またはバイポーラの場合2つの、高DC電圧を印加することによって機能する。例えば、バイポーラの場合の2つのDC電圧により、第1の誘電体層28の一方側に正電荷および負電荷の双方が発生される。これらの電荷により、ワークピース支持部12の上面とワークピース16との間に引き合うクーロン力が生じる。以下でより詳細に説明するように、ワークピース支持部12は、静電チャック機能を可能にする1つもしくは複数のクランプ電極を含むクランプ層を有する。なお、本開示の教説および基本方式は、必ずしも静電チャックを含まない他のワークピース支持部にも適用可能であることを理解されたい。
【0018】
処理ステーション13は、ワークピース支持部12上のワークピース16を収容するように構成されている。半導体ウェハなどのワークピース16が処理チャンバ内にロードされると、ワークピース16はエネルギ源の作用を受け、これによりワークピース16が所望の物理的変化および/または化学的変化を被る。ワークピースの処理に使用することのできるエネルギ源は、例えば、イオン源、反応性化学源、熱源、プラズマ源、またはこれらの混合装置を含むことができる。ワークピースにエネルギを供給するために使用されうる熱源には、光エネルギ源、例えばプラズマアークランプ、タングステンハロゲンランプ、マイクロ波、誘導性ヒータ、抵抗性ヒータ、またはこれらの混合装置が含まれる。
【0019】
特定の実施形態では、処理チャンバ9は、ワークピースをプラズマに曝露するためのプラズマ源を含む。プラズマは、RFインピーダンス適合化装置(図示せず)ならびにRF電源(図示せず)と通信する1つもしくは複数の誘導コイル39によって供給される。1つの誘導コイル39が示されているのみであるが、開示はこの形態に限定されない。実際には、処理チャンバ9内にプラズマを生成するために、任意の数の誘導コイルを設けることができる。
【0020】
図1のワークピース処理システム100は、例示および説明の目的で提示されている。当業者は、本明細書において提供する開示を使用して、本開示の例示的な態様による静電チャックが任意の適切な処理システム(例えば任意の適切なプラズマ処理システム)において使用可能であることを理解するであろう。
【0021】
図2を参照すると、図示されているように、ワークピース支持部12は、誘電体部分20によって画定されたワークピース受容面18を含む。誘電体部分20はベースの上面に位置しており、このベースは、この実施形態では、第1のベース部分22およびその下方に位置する第2のベース部分15を含む。実施形態では、誘電体部分20と第1のベース部分22と第2のベース部分15との組み合わせを静電チャック24と称することがある。静電チャック24およびそれぞれの層は、任意の適切な金属材料またはセラミック材料から形成されている。例えば、一実施形態において、ベース部分22および15は、アルミニウムから形成可能である。静電チャック24はまた、アルミナ、アルミニウム窒化物、イットリア、ジルコニアおよび/または他の任意の耐化学性セラミック材料またはプラスチック材料を含むこともできる。静電チャック24は、ワークピース支持ペデスタル57に取り付けられている。ペデスタル57の目的は、静電チャック24に対する剛性的な機械的支持を提供し、処理チャンバ9からの熱的絶縁および電気的絶縁の双方を提供することである。
【0022】
上述したように、誘電体部分20は、第1のベース部分22の上側に配置されており、ワークピース受容面18を定めている。誘電体部分20は、任意の適切な誘電体材料、例えばセラミック材料から形成することができる。誘電体部分は、誘電体材料の複数の層を含むことができ、または単一の層を含むことができる。実施形態では、誘電体部分20は、第1の誘電体層28と、その下方に配置されたより厚い第2の誘電体層30とを含む。第1の誘電体層28は例えば約0.4mm~約1mmの厚さを有することができ、一方、第2の誘電体層30は約2mm~約5mmの厚さを有することができる。
【0023】
図2に示されているように、ワークピース支持部12はさらに、RFインピーダンス適合化装置(図示せず)と通信するRF導管36と通信することができ、このRFインピーダンス適合化装置は、ワークピースにRFバイアス電力を供給するためのRF電源38と通信する。
【0024】
代替的な実施形態では、RF源電力は、RF導管36と通信するRFインピーダンス適合化装置(図示せず)を介してワークピース支持部12に結合可能である。この実施形態では、処理ステーション13に供給される付加的なRF電力は存在しない。代替的な実施形態では、RF源電力はワークピース支持部12に結合されない。ワークピースの処理中、RF電源にエネルギを供給して、ワークピース16の上面との所望の化学反応のためのイオンおよび電子をプラズマとして生成することができる。他の実施形態では、RF電源は、イオンがワークピースの上面に衝突したときに有するエネルギの独立した制御を提供する。RF電源およびDC電源は、双方とも、任意の適切な技術を使用して接地することができる。一実施形態では、例えば、RF電源およびDC電源の双方が、処理チャンバと通信する電極に対して接地されていてよい。図示の実施形態では、処理チャンバは、誘導結合RF電力を使用して、ワークピースの処理に必要なプラズマを生成および維持する。RFバイアス電力は、ワークピース支持部12を介してプラズマに容量結合される。
【0025】
ワークピースをワークピース受容面18にロードおよびアンロードするために、ワークピース支持部12は、任意の適切なマウント装置を含むことができる。例えば、一実施形態では、ワークピース支持部12は、ワークピース16をワークピース受容面18上に適切に配置するため、かつワークピース16をワークピース受容面に対して昇降させるために使用可能な複数のリフトピン(図示せず)を備えることができる。このことに関して、ワークピース支持部12は、リフトピンアセンブリのための複数のピンチャネルを有することができる。一実施形態では、例えば、ワークピース支持部12は、3つのピンを収容するための3つのピンチャネルを有していてよい。
【0026】
実施形態では、ワークピース処理システム100は、コントローラ175を含むことができる。コントローラ175は、処理チャンバ9内の種々のコンポーネントを制御して、ワークピース16の処理を指示する。例えば、コントローラ175は、クランプ層40および/または加熱層50内の電極に接続された電源(例えばDC電源、AC電源、および/またはRF電源)を制御するために使用可能である。付加的にかつ/または代替的に、コントローラ175は、所望のワークピース温度を制御または維持するための熱管理システム70の制御に使用可能である。コントローラ175は、1つもしくは複数のプロセスパラメータ、例えばワークピース16の処理中の処理チャンバ9のガス流量コントローラの制御および/または条件の変更を実現することもできる。コントローラ175は、例えば、1つもしくは複数のプロセッサおよび/または1つもしくは複数のメモリデバイスを含むことができる。1つもしくは複数のメモリデバイスは、1つもしくは複数のプロセッサによって実行される際に、1つもしくは複数のプロセッサに、動作、例えば本明細書に記載の制御動作のうちのいずれかの動作を実行させるためのコンピュータ可読命令を記憶することができる。
【0027】
ここで
図3を参照すると、ワークピース支持部12の静電チャック24の部分が示されている。図示されているように、ワークピース16は、ワークピース受容面18上に配置されている。シーリングバンド80が静電チャック24の周囲に配置されており、ワークピース受容面18の少なくとも一部上に配置されている。シーリングバンド80については本明細書の以下で説明する。クランプ層40は、第1の誘電体層28と第2の誘電体層30との間に配置されている。クランプ層40は1つもしくは複数のクランプ領域42,44,46,48を含んでいてよく、これについては本明細書の以下で説明する。加熱層50は、z方向でクランプ層40の下方に配置されている。加熱層50は、第2の誘電体層30内に、または第2の誘電体層30と第1のベース部分22との間に配置可能である。加熱層は、1つもしくは複数の加熱領域52,54,56,58を含み、これについては本明細書の以下で説明する。静電チャック24内には、熱制御システム70が配置されている。熱制御システム70は、第2の誘電体層30内または第1のベース部分22内に配置することができる。熱制御システム70は、クランプ層40および加熱層50と同様に、ワークピース16の温度を制御するために熱交換流体または熱交換ガスを放出させるための放出開口73の1つもしくは複数の領域72,74,76,78を含む。熱制御システム70については、本明細書の以下で説明する。
【0028】
図3および
図4に示されているように、一実施形態では、静電チャック24を形成するために、1つもしくは複数のクランプ電極を含むクランプ層40を静電チャック24内に配置することができる。例えば実施形態では、クランプ層40は、第1の誘電体層28と第2の誘電体層30との間に配置可能である。クランプ層40内に存在する1つもしくは複数のクランプ電極は、
図2に示されているDC電源34と通信するように配置可能である。2つの異なるDC電圧を、単一のDC電源または2つの独立した電源によって供給することができる。DC電源34は、ワークピース受容面18とその表面に保持されたワークピース16との間に静電引力を形成する電界の形成に必要な電圧を供給する。DC電源によって形成される電圧の量は、静電引力の量を調整するために使用することができる。さらに、ワークピース支持部12からワークピース16を取り外す必要がある場合、電圧が形成されないように、または開始電位から逆極性電圧が形成可能となるように、DC電源をオフにすることができる。DC電圧は、典型的には約500V~2000Vで変化する。
【0029】
図4に示されているように、クランプ層40は、1つもしくは複数の電極、例えば半径方向に配置された少なくとも2つの電極41,43を有していてよい。第1のクランプ電極41は負の電荷源に結合可能であり、一方、第2のクランプ電極43は正の電荷源に結合可能である。ただし、他の実施形態では、第1のクランプ電極41または第2のクランプ電極43のいずれかを正の電荷源または負の電荷源に結合することも可能である。例えば、実施形態では、第1のクランプ電極41は負のDC電圧に結合されており、第2のクランプ電極43は正のDC電圧に結合されている。さらに、第1のクランプ電極41および第2のクランプ電極43は、DC電源、AC電源および/またはRF電源に結合可能である。実施形態では、第1のクランプ電極41および第2のクランプ電極43の双方を、同じRF電源に結合することができる。
【0030】
さらに、
図4に示されているように、クランプ層40は、半径方向に配置された第1のクランプ電極41および第2のクランプ電極43を含む。すなわち、第1のクランプ電極41は、第2のクランプ電極43よりも半径方向内側に配置されている。第1のクランプ電極41は、第1のクランプ領域48および第2のクランプ領域46を画定している。第2のクランプ電極43は、第3のクランプ領域44および第4のクランプ領域42を画定している。図示されているように、第1のクランプ領域48は、半径方向で最も内側に配置されている。第2のクランプ領域46は、第1のクランプ領域48から半径方向外側かつ第3のクランプ領域44から半径方向内側に配置されている。第4のクランプ領域42は、半径方向で最も外側に配置されている。
【0031】
各クランプ領域42,44,46,48は、互いに熱的に絶縁されていてよい。例えば、第1のクランプ領域48と第2のクランプ領域46とをギャップ45aによって分離することができる。第3のクランプ領域44と第4のクランプ領域42とをギャップ45bによって分離することもできる。さらに、ギャップ45aは第1のクランプ領域48と第2のクランプ領域46との間の熱伝導を低減し、第2のギャップ45bは第3のクランプ領域44と第4のクランプ領域42との間の熱伝導を低減する。ギャップ45a,45bは、エアギャップを含んでいてよく、または任意の適切な材料を含んでいてもよい。例えば、特定の実施形態では、ギャップ45a,45bは、誘電体材料(例えば、セラミック材料)を含む。
【0032】
第1のクランプ領域48を第2のクランプ領域46に結合するために、1つもしくは複数の電気接続部47を使用することができる。例えば、複数の電気接続部47、例えば少なくとも5つの電気接続部47を使用することができる。同様に、第3のクランプ領域44を第4のクランプ領域42に結合するために、1つもしくは複数の電気接続部49を使用することができる。電気接続部49の数は、1個より多くてよく、例えば5個より多くてよく、例えば10個より多くてよい。特定の実施形態では、第1のクランプ領域48と第2のクランプ領域46とを接続する電気接続部47の数は、第3のクランプ領域44と第4のクランプ領域42とを接続する電気接続部49の数よりも少なくてよい。
【0033】
2つのクランプ電極41,43のそれぞれは2つの各領域へと熱的に絶縁されているが、ほぼ同じ電位での維持のために、これら2つのクランプ電極41,43は電気接続部47または49を介して接続されている。例えば、実施形態では、第1のクランプ領域48および第2のクランプ領域46が正極に対して同じチャック電圧を有し、一方、第3のクランプ領域44および第4のクランプ領域42が負極に対して同じチャック電圧を有する。一般的には、正のチャック電圧と負のチャック電圧との間のオフセットは、ワークピースに対する自己DCバイアスを補償するためにクランプ力を平衡化することを目標とすることができ、または均一性を調整する目的で意図的に非平衡モードで動作させることができる。例えば、ワークピースを処理してワークピースの均一性を評価することができる。均一性が問題となっていると評価された場合、静電チャックバイアスを調整して、将来処理されるワークピースのために、ワークピースの均一性を調整することができる。例えば、第1のクランプ電極41または第2のクランプ電極43のいずれかのクランプ電圧を、ワークピースの均一性の調整のために調整することができる。
【0034】
さらに、上記したように、クランプ電極41および43は、任意の適切な電源または電圧源(例えばDC電源またはRF電源)に接続することができる。特定の実施形態では、クランプ電極41,43は、電圧源(例えば高DC電圧源)に結合されており、この電圧源は、1つもしくは複数のクランプ力を平衡化しまたはワークピースの処理の均一性を調整するDCオフセット調整を提供するように構成されている。特定の構成では、クランプ電極はバイポーラ高電圧源(例えばバイポーラ高DC電圧源)に結合される。特定の構成では、ワークピースの均一性を調整するために、クランプ領域42,44,46および/または48のそれぞれを相互に独立して動作させることができる。例えば、実施形態では、異なる電力出力量および/または異なる電源そのものをクランプ領域42,44,46および48のいずれかに印加して、ワークピースの均一性を調整することができる。例えば、異なる量のDC電圧、RF電力出力および/または異なる電源をクランプ領域42,44,46,48のいずれかに印加して、ワークピースの均一性を調整することができる。例えば、特定の実施形態では、クランプ領域42,44,46,48に横断的に異なる量のDC電圧および/またはRF電力を印加することにより、3極または4極の静電チャックが形成されるように、クランプ電極41,43を修正することができる。さらに、クランプ電極は、DC電圧がRF送給に干渉するまたは介入することを阻止するために、RF経路に沿って配置された1つもしくは複数のキャパシタを備えたDC電源またはRF電源に接続可能である。付加的にもしくは代替的に、RF電圧がDC電圧源に達することを阻止するために、直列のインダクタおよび/または抵抗をDC経路内に配置することができる。
【0035】
付加的に、1つもしくは複数のトレースを利用して、任意のタイプの電気的構成でクランプ領域42,44,46,48を配置することができる。例えば、第1のクランプ領域48および第3のクランプ領域44は、第1のクランプ電極41を形成する静電チャック24の層に埋め込まれた1つもしくは複数のトレースに電気的に結合可能であり、第2のクランプ領域46および第4のクランプ領域42は、第2のクランプ電極43を形成する静電チャック24の層に埋め込まれた1つもしくは複数のトレースに電気的に結合可能である。さらに、実施形態では、第1のクランプ領域48および第4のクランプ領域42は、第1のクランプ電極41を形成する静電チャック24の層に埋め込まれた1つもしくは複数のトレースに電気的に結合可能であり、第2のクランプ領域46および第3のクランプ領域44は、第2のクランプ電極43を形成する静電チャック24の層に埋め込まれた1つもしくは複数のトレースに電気的に結合可能である。こうした実施形態では、異なるクランプ領域42,44,46,48の接続のために用いられるトレースを、全体として、クランプ層40の下方の静電チャックの層内に配置することができる。選択されたクランプ領域がトレースを介して結合されると、このトレースは、本明細書において説明しているように、任意の適切な電源に接続可能となる。
【0036】
1つもしくは複数の実施形態では、加熱層50は、ワークピース支持部12内に配置可能である。例えば、
図5は、加熱層50の異なる領域を示している。例えば、加熱層50は、1つもしくは複数の電極51、例えば半径方向パターンで配置された複数の電極51a,51b,51c,51dを含むことができる。例えば、特定の実施形態では、加熱層50は、少なくとも4つの電極51a,51b,51c,51dを含む。電極51a,51b,51c,51dのそれぞれは、適切なAC電源またはDC電源に接続可能である。特定の実施形態では、複数の加熱電極51a,51b,51c,51dは、
図5に示されているように、第1の加熱領域58、第2の加熱領域56、第3の加熱領域54、および第4の加熱領域52を形成するために半径方向で配置されている。加熱領域52,54,56,58は、静電チャック24内の加熱層50上または加熱層50内に任意の形式で配置することができる。
【0037】
特定の実施形態では、加熱領域52,54,56,58は、クランプ層40内に存在するクランプ領域42,44,46,48に対応する。例えば
図3に示されているように、第1の加熱領域58は、z方向で第1のクランプ領域48の下方に配置されている。第2の加熱領域56は、z方向で第2のクランプ領域46の下方に配置されている。第3の加熱領域54は、z方向で第3のクランプ領域44の下方に配置されている。第4の加熱領域52は、z方向で第4のクランプ領域42の下方に配置されている。さらに、加熱領域52,54,56,58の幅は、クランプ領域42,44,46,48の幅と実質的に同じである。例えば、第1の加熱領域58の幅は、第1のクランプ領域48の幅と実質的に同じである。第2の加熱領域56の幅は、第2のクランプ領域46の幅と実質的に同じである。第3の加熱領域54の幅は、第3のクランプ領域44の幅と実質的に同じである。第4の加熱領域52の幅は、第4のクランプ領域42の幅と実質的に同じである。加熱領域52,54,56,58をクランプ領域42,44,46,48に対して相対的に配置することにより、半径方向での領域ごとの熱絶縁を補助することができる。さらに、各加熱領域52,54,56,58は、半径方向での領域ごとの熱遷移を補助するために、対応するクランプ領域42,44,46,48と重なり合う。
【0038】
処理中にワークピースの異なる半径方向領域にわたる加熱を調整するために、加熱領域52,54,56,58のそれぞれを独立して制御することができる。例えば、各加熱領域52,54,56,58は少なくとも1つの電極から形成することができ、個別の加熱領域52,54,56,58の形成に使用される各個々の電極(例えば51a,51b,51c,51d)は独立して電源に接続することができる。したがって、加熱領域52,54,56,58のそれぞれに対する温度を調整するために、各電極に異なる量の電力および/または異なる種類の電力を供給することができる。
【0039】
静電チャックに存在する電極(例えばクランプ電極および/または加熱電極)のそれぞれを適切な電源または所望の電源に接続するために、電極を電源に接続する1つもしくは複数のトレースおよび/またはビアを使用することができる。
図6~
図8を参照すると、例えば特定の実施形態において、第2のクランプ電極43を適切な電源に接続するために、トレース60が用いられている。例えば、トレース60は、第2の電極43からクランプ層40の中心に向かって延在しうる。特定の実施形態では、トレース60は、第2のクランプ電極43を適切な電源に結合するために、クランプ電極41,43の下方に配置された層内で、中央に配置されたデリバリソケット位置に向かって延在している。さらに、実施形態では、トレース60を第2の電極43およびデリバリソケット位置に接続する1つもしくは複数のビア61を使用することができる。ビア61はクランプ層40の下方の層にトレース60を延在させるために使用可能であり、すなわち、トレース60はz方向で直交するクランプ層40と同じ平面には位置しない。同様に、加熱電極を適切な電源に結合するために、加熱電極(例えば51a,51b,51c,51d)のそれぞれから中央に配置されたデリバリソケット位置に向かって1つもしくは複数のトレース60を延在させることができる。クランプ電極の配置と同様に、1つもしくは複数のビアを使用して、加熱層50の下のトレース60を延在させることができ、すなわち、加熱電極を電源に接続するために使用されるトレース60(またはトレース)は、z方向で直交する加熱層50と同じ平面には位置しない。
【0040】
特定の実施形態では、ワークピース支持部12は、熱制御システム70をさらに含むことができる。熱制御システム70は、熱交換流体または熱交換ガス(例えばヘリウム)を循環させるための1つもしくは複数のチャネル71を含むことができる。熱制御システム70は、静電チャック内に配置される層として含まれうる。例えば、特定の実施形態では、熱制御システム70の層は、ワークピースがワークピース支持部12上に配置される場合、ワークピース16の下方に位置しうる。例えば、特定の実施形態では、熱制御システム70は、ワークピース16とクランプ層40との間に配置することができる。しかし、特定の他の実施形態では、熱制御システム70がクランプ層40と加熱層50との間にまたは加熱層50の下方に配置可能となることが企図される。熱制御システム70は、処理チャンバにおけるワークピース16の処理に適した任意の形式で静電チャック内に配置することができる。再び
図3を参照すると、熱制御システム70は、z方向でクランプ層40および加熱層50の双方の下方に配置されている。
【0041】
図9に示されているように、熱制御システム70は、1つもしくは複数のチャネル71を含むとともに、1つもしくは複数の放出開口73も含む。1つもしくは複数のチャネル71は、各放出開口73へのパターンによって相互接続されている。放出開口73は、放出開口73の領域72,74,76,78に従って編成されている。単一の熱交換流体入口または熱交換ガス入口75のみが示されている。例えば、実施形態では、熱制御システム70は、放出開口73の第1の領域78、放出開口73の第2の領域76、放出開口73の第3の領域74、および放出開口73の第4の領域72を含む。放出開口73の第1の領域78は、半径方向で最も内側に配置されている。放出開口73の第2の領域76は、放出開口73の第1の領域78の半径方向外側かつ放出開口73の第3の領域74の半径方向内側に配置されている。放出開口73の第3の領域74は、放出開口73の第4の領域72の半径方向内側かつ放出開口73の第2の領域76の半径方向外側に配置されている。放出開口73の少なくとも4つの領域(例えば72,74,76,78)が示されているが、本開示はこの形態に限定されない。実際には、本明細書に開示されている熱制御システム70には、放出開口の任意の数の領域を構成することができる。さらに、放出開口73の第1の領域78は、他の領域72,74,76に比べて最も少ない数の放出開口73を有する。放出開口73の第2の領域76は、放出開口73の第1の領域78よりも多くの放出開口73を含むが、放出開口73の第3の領域74よりも少ない放出開口73を含む。放出開口73の第3の領域74は、放出開口73の第2の領域76よりも多くの放出開口73を含むが、放出開口73の第4の領域72よりも少ない放出開口73を含む。放出開口73の第4の領域72は、他の領域74,76,78と比べて最も多くの放出開口73を含む。
【0042】
実施形態では、放出開口73の領域72,74,76,78のそれぞれは、概して1つもしくは複数の加熱領域52,54,56,58および/またはクランプ領域42,44,46,48にそれぞれ対応する。すなわち、放出開口73の領域72,74,76,78は、クランプ層40および加熱層50の対応する領域の下方または上方に配置することができる。このような配置が
図3に示されている。特定の実施形態では、放出開口の領域72,74,76,78は、クランプ層40および加熱層50の双方の下方に位置する層に配置することができる。したがって、1つもしくは複数の熱交換導管は、ワークピース受容面18、クランプ層40および加熱層50を通って貫通可能であり、これにより領域72,74,76,78のそれぞれに配置された放出開口73から放出された熱交換流体または熱交換ガスをワークピース16の裏面に接触させて、ワークピース16の温度を調整することができる。ただし、別の実施形態では、熱制御システム70は、ワークピース支持部12に保持されたときに、ワークピース16の真下に位置してもよい。例えば、放出開口73の領域72,74,76,78は、第1の誘電体層28内またはその直下に位置することができる。実施形態では、領域72,74,76,78のそれぞれに配置された放出開口73から放出された熱交換ガスまたは熱交換流体がワークピース16の裏面に接触してワークピース16の温度を調整できるように、1つもしくは複数の導管を第1の誘電体層28のみに貫通させることができる。
【0043】
ここで
図10を参照すると、特定の実施形態(例えば、ヘリウム分布が可能な熱制御システムを含む実施形態)では、静電チャック24はシーリングバンド80を含むことができる。シーリングバンド80は、通常は、ワークピース受容面18の少なくとも一部を含む静電チャック24の外周を取り囲んでいる。シーリングバンド80は、約3ミリメートル(mm)超から約10mmまで、例えば4mm超から約9mmまで、例えば5mm超から約8mmまで、例えば5mm超から約7mmまでの幅W1を有するように構成されている。シーリングバンド80は、ワークピース16が静電チャック24にチャックされる際に、ワークピース16の下方の熱交換流体および/または熱交換ガス(例えばヘリウム)をシールするために、通常は静電チャック24上に着座している。さらに、静電チャックは、しばしば、インサイチュでのドライクリーニング(ISD)、さらにメンテナンス中のオフサイチュでのクリーニングにかけられることがある。所定の使用時間後またはクリーニング中にシーリングバンドが損傷しまたは摩耗した場合、こうした損傷は熱交換ガス(例えば、ヘリウム)の漏れを引き起こすことがあり、これによりワークピース温度が本来のように維持されなくなる。さらに、熱交換ガス(例えばヘリウム)がプロセス中にワークピースの上部に達してシールバンドの周囲から漏出しうるならば、このことはワークピースの処理中にさらなる均一性の問題を生じさせる可能性がある。したがって、本明細書において提供されるシーリングバンド80の幅W1は、シーリングバンド80がよりロバストとなり、熱交換ガスの漏れが生じにくくなり、損傷なく処理条件およびクリーニング条件に対してより良好に耐えうるものとなるように定められる。
【0044】
本主題をその特定の例示的な実施形態に関して詳細に説明してきたが、当業者であれば、前述した事柄を理解したうえで、こうした実施形態に対する代替形態、変形形態、および等価形態を容易になしうることが理解されるであろう。したがって、本開示の範囲は限定ではなく例としてのものであり、本主題の開示は、当業者には容易に明らかであるように、本主題に対するこうした修正形態、変形形態、および/または追加形態を包含することを排除するものではない。
【外国語明細書】