(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183174
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】嫌気性血液貯蔵および病原体不活性化方法
(51)【国際特許分類】
A61K 35/14 20150101AFI20221201BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20221201BHJP
A61K 31/473 20060101ALI20221201BHJP
A61K 38/06 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
A61K35/14 Z
A61P7/00
A61K31/473
A61K38/06
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022151317
(22)【出願日】2022-09-22
(62)【分割の表示】P 2019514187の分割
【原出願日】2017-05-25
(31)【優先権主張番号】62/342,756
(32)【優先日】2016-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/445,081
(32)【優先日】2017-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507318956
【氏名又は名称】ヘマネクスト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ソウェミモ-コーカー サミュエル オー
(72)【発明者】
【氏名】サットン ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】吉田 達郎
(57)【要約】
【課題】新規な酸素低減化血液製品の提供。
【解決手段】最終濃度約0.2ミリモル濃度(mM)のアムスタリン(S-303)、25%未満の酸素飽和度(SO2)、及び37℃で90ミリメートル水銀柱(mmHg)以下の二酸化炭素分圧(pCO2)を有する、酸素低減化血液製品。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶血を低減化した血液病原体を低減化するための方法であって、
血液製剤から酸素を除去して、酸素低減化血液製剤を調製することと、
前記血液製剤から血液病原体を低減化することと、
を含み、前記血液病原体の低減化が、
リボフラビンを最終濃度40~60μMまで添加することと、
前記リボフラビン含有血液製剤を265~400nmのUV光で照射することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記酸素低減化病原体低減化血液製剤を嫌気性条件下で貯蔵することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記血液製剤から二酸化炭素を低減化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
溶血が、14日で0.2%未満であり、21日で0.4%未満であり、28日で0.5%未満であり、35日で0.8%未満であり、または42日で1.2%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記血液製剤が全血または白血球低減化全血である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記リボフラビン含有血液製剤が、酸素低減化血液製剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記血液製剤が、クエン酸リン酸デキストロース(CPD)、クエン酸リン酸ダブルデキストロース(CP2D)、またはクエン酸リン酸デキストロースアデニン(CPDA1)の抗凝固溶液中で収集される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酸素低減化病原体低減化血液製剤が、全血、白血球低減化全血、または濃厚赤血球である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
微小粒子形成を低減化した血液病原体低減化のための方法であって、
血液製剤から酸素を除去して、酸素低減化血液製剤を調製することと、
前記血液製剤から血液病原体を低減化することと、
を含み、前記血液病原体の低減化が、
リボフラビンを40~60μMの濃度まで添加することと、
前記リボフラビン含有血液製剤を265~400nmのUV光で照射することと、を含む、前記方法。
【請求項10】
前記酸素低減化病原体低減化血液製剤を嫌気性条件下で貯蔵することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記血液製剤から二酸化炭素を低減化することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記酸素低減化病原体低減化血液製剤を嫌気性および二酸化炭素低減化条件下で貯蔵することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記微小粒子の数が、酸素存在下で処理された試料に対して、14日で少なくとも2倍まで低減化され、21日で少なくとも2倍まで低減化され、または42日で少なくとも2倍まで低減化される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記微小粒子の数が、酸素存在下で処理された試料に対して、14日で少なくとも5倍まで低減化され、21日で少なくとも5倍まで低減化され、または42日で少なくとも5倍まで低減化される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記リボフラビン濃度が約50μMである、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記血液製剤が、クエン酸リン酸デキストロース(CPD)、クエン酸リン酸ダブルデキストロース(CP2D)、およびクエン酸リン酸デキストロースアデニン(CPDA1)中で収集される、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記血液製剤が全血または白血球低減化全血である、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記酸素低減化病原体低減化血液製剤が、全血、白血球低減化全血、または濃厚赤血球である、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
CPD中で収集された全血を含み、400~60μMのリボフラビンを有し、25%未満の酸素飽和度(SO2)を有し、37℃で90mmHg以下のpCO2を有する、酸素低減化全血であって、265~400nmのUV光で照射された、酸素低減化全血。
【請求項20】
前記pCO2が、37℃で5~90mmHgである、請求項19に記載の酸素低減化全血。
【請求項21】
前記pCO2が、37℃で70mmHgである、請求項19に記載の酸素低減化全血。
【請求項22】
CPD中で収集された全血を含み、400~60μMのリボフラビンを有し、25%未満の酸素飽和度(SO2)を有し、37℃で20mmHg以下のpCO2を有する、酸素および二酸化炭素低減化全血であって、前記酸素低減化全血が265~400nmのUV光で照射された、酸素および二酸化炭素低減化全血。
【請求項23】
前記pCO2が、37℃で5~20mmHgである、請求項19に記載の酸素および二酸化炭素低減化全血。
【請求項24】
前記pCO2が、37℃で5mmHgである、請求項19に記載の酸素低減化全血。
【請求項25】
前記照射が、3.2~7.0J/cm2のUV線量を含む、請求項19に記載の酸素低減化全血。
【請求項26】
溶血を低減化した血液病原体を低減化するための方法であって、
血液製剤から酸素を除去して、酸素低減化血液製剤を調製することと、
前記酸素低減化血液製剤から血液病原体を低減化することと、
を含み、前記血液病原体の低減化が、
S-303を最終濃度0.2mMまで添加することと、
GSHを最終濃度2~20mMまで添加することと、を含む、前記方法。
【請求項27】
前記酸素低減化病原体低減化血液製剤を嫌気性条件下で貯蔵することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記血液製剤から二酸化炭素を低減化することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記血液製剤が、全血、白血球低減化全血、または濃厚赤血球である、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記S-303の添加後に、前記血液製剤を遠心分離することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記遠心分離の後に、酸性pHを有する添加剤溶液中で混合することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
微小粒子形成を低減化した血液病原体低減化のための方法であって、
血液製剤から酸素を除去して、酸素低減化血液製剤を調製することと、
前記血液製剤から血液病原体を低減化することと、
を含み、前記血液病原体の低減化が、
S-303を最終濃度0.2mMまで添加することと、
GSHを最終濃度2~20mMまで添加することと、を含む、前記方法。
【請求項33】
前記酸素低減化病原体低減化血液製剤を嫌気性条件下で貯蔵することをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記血液製剤から二酸化炭素を低減化することをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記血液製剤が、全血、白血球低減化全血、または濃厚赤血球である、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記S-303の添加後に、前記血液製剤を遠心分離することをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記遠心分離の後に、酸性pHを有する添加剤溶液中で混合することをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
最終濃度約0.2mMのS-303を有し、25%未満の酸素飽和度(SO2)を有し、37℃で90mmHg以下のpCO2を有する、酸素低減化赤血球。
【請求項39】
最終濃度約2~20mMのGSHをさらに含む、請求項38に記載の酸素低減化赤血球。
【請求項40】
全血球数(CBC)、残存する病原体の濃度、溶血パーセント、ATP、2,3-DPG、変形能、微小粒子形成、SO2%、およびS-303の分解反応速度を含む群から選択される少なくとも2つのパラメータの改善をさらに含む、請求項38に記載の酸素低減化赤血球。
【請求項41】
前記溶血パーセントが0.8%より低い、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記変形能が、病原体不活性化酸素化血液と比較して、10%超増大される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記ATPが、病原体不活性化酸素化血液と比較して、10%超増大される、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
2,3-DPGが、病原体不活性化酸素化血液と比較して、少なくとも1週間の貯蔵後に、10%超増大される、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記微小粒子の形成が、病原体不活性化酸素化血液と比較して、少なくとも1週間の貯蔵後に、4倍を超えて低減化される、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
赤血球におけるS-303の病原体不活性化の効力を改善するための方法であって、
赤血球から酸素を除去して、酸素低減化血液製剤を調製することと、
S-303を最終濃度0.2mMまで添加することと、
GSHを最終濃度2~20mMまで添加することと、を含む、前記方法。
【請求項47】
前記血液製剤から二酸化炭素を低減化することをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輸血医薬における使用のための血液および血液製剤の品質および安全性を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
輸血のための血液および血液成分の使用は、現在の医薬品における一般的な慣行であるが、免疫原性および病原性汚染物質へ曝される可能性があるため、患者に対して危険性を示す。収集された血液および血液成分を最大数週間にわたって貯蔵するという慣行は、この危険性を悪化させる。全血は典型的に濾過によって処理され、白血球を除去され(白血球低減化)、次いで遠心分離し、3つの主要な血液成分である血漿、血小板、および赤血球に分離される。次いで、白血球低減化濃厚(packed)赤血球(LRpRBC)は、典型的には、米国でのAS-1(Adsol(登録商標))、AS-3(Nutricel(登録商標))、AS-5(Optisol(登録商標))、およびAS-7(SOLX(登録商標))、EUでのSAGGMまたはPAGGSMなどの添加剤溶液(additive solution)中で懸濁され、最大42日間の冷蔵貯蔵前に貯蔵寿命が延長される。血漿は、典型的には、瀉血および分離の24時間以内に凍結される(「新鮮凍結血漿」-FFPまたはFP24)。FFPは、使用前に解凍され、解凍の5日以内に使用されなければならない。血小板(PLT)は、アフェレーシスによって、または全血の複数ユニットから分離されたPLT分画をプールすることによって回収される。アフェレーシスによって収集されたPLTは、典型的には、EUの(USではまだない)PAS-C(Intersol(登録商標))またはPAS-F(Isoplate(登録商標))などの添加剤溶液中に懸濁される。PLTは、PLT活性化を阻害するために室温で絶えず振とうされ、また、収集の5~7日以内に使用されなければならない。貯蔵条件に起因して、全ての血液成分は、ドナーのウイルスおよび細菌汚染に影響を受けやすいが、PLTは、他の血液成分よりも、バクテリア汚染および増殖の影響を受けやすい。
【0003】
当該技術分野における近年の進歩により、貯蔵前に光増感剤を用いて(例えば、ソラレンに基づくINTERCEPT(登録商標)システム、リボフラビンに基づくMIRASOL(登録商標)システムを参照のこと)、および光増感剤を用いることなく(THERAFLEX(登録商標)UV-Plateletシステム)、血液成分を照射するためにUV光を利用することによる、細菌性およびウイルス性病原体の不活性化が提供された。これらのシステムは、病原性種においてDNAを架橋および不活性化し、それによって、患者にもたらす危険性を低減する。INTERCEPT(登録商標)システムは、アモトサレンHCl(合成ソラレン)、ならびに病原体DNAに架橋するために3J/cm2の放射露光量で送達されるUV-A光を使用し、処理後、残存するアモトサレンおよび光生成物を除去または低減する。Mirasol(登録商標)システムは、リボフラビン、ならびに、リボフラビン-ヌクレオチド錯体による吸収を標的とするために313nm付近を中心とするUV光を使用する。光増感剤を用いないシステムは、典型的には、254nmのUV-C光を使用する。これらのシステムにおけるいくつかの光増感剤および光生成物の長期的な効果は依然として確立中である。
【0004】
当該技術分野における他の進歩としては、S-303(Cerus Corporation、Concord、CA)、核酸を架橋し、感染性細菌および他の病原体を不活性化するための、脆弱アンカー基を含むキナクリンマスタードに基づくアルキル化剤の使用が挙げられる(Henschler et al.“Development of the S-303 pathogen inactivation technology for red blood cell concentrates,” Transfus Med Hemother 38:33-42(2011)(“Henschler 2011”)を参照のこと)。理論に限定されないが、S-303病原体不活性化プロセスの基礎を形成する2つの反応が存在すると考えられる。第1の反応は、S-303分子との反応による、共有結合性DNAおよびRNA付加体の形成である。この第1の反応は、約30分以内に完了する。第2の反応は、過剰なS-303の、低毒性副産物、S300への分解である。この分解は、付加的反応と同時に起こり、16~18時間内に完了する。
【0005】
任意の特定の理論に限定されないが、S-303との、共有結合性DNAおよびRNA付加体の形成は、核酸ポリマー(例えば、DNAまたはRNA)と分子のインターカレーションに基づくものと考えられる。現在理解されるように、S-303がRBCに添加されるとき、それは、その両親媒性特性に起因して、細胞およびウイルスエンベロープの膜を含む膜を急速に(数秒~数分以内)通過し、核酸のらせん領域にもぐり込む。分子上の脆弱アンカーの存在が、分子上の正電荷アミン基をDNAまたはRNAの核酸の負電荷に引き付けることにより、インターカレーションプロセスを助長すると、仮定される。S-303分子の近接により、S-303分子をDNAまたはRNAへ急速に共有結合させる、熱性環状付加反応が可能となる。共有結合が、複製または翻訳プロセスの発生を阻害し、さらなる病原体の産生を停止させると、考えられる。共有結合性付加体を形成するプロセス中、脆弱アンカーは、加水分解によって除去され、低毒性化合物S300をもたらす。
【0006】
S-303の、低毒性S300への自然分解は、病原体不活性化プロセスにおける第2の反応である。試料中のDNAおよびRNAの全てと完全に反応させるために十分な試薬を提供するために、通常、過剰なS-303(約0.2mM)がRBCに添加される。しかしながら、S-303は、毒性化合物であるので、得られた生成物を安全に輸血するためには、残存するS-303は除去されなければならない。Cerus病原体不活性化プロセスにおいて、これは、主に、S-303を有意に低毒性であるS-300化合物に分解することにより、達成される。分解プロセスは、加水分解によって生じ、S-303試薬が最初にRBCと混合されるとき、低~高のpH変化により、S-303の加水分解が誘起される。残存するS-303の分解反応速度は、約20分間の半減期を伴う、10nm/Lを上回る濃度で、迅速である。
【0007】
現在理解されるように、S-303は、RBCユニットにおいて、ホスフェートなどの小分子、水、たんぱく質などの高分子を含む、他の求核剤と反応する可能性も有する。任意の特定の理論に限定されないが、タンパク質とのこれらの非特異的相互作用を低減するために、病原体不活性化プロセス中、20mMのグルタチオン(GSH)がRBCへ同時に添加される。(Henschler 2011を参照のこと)。グルタチオン(GSH)は、約5mMの細胞内濃度でほとんどの細胞に存在する、天然に存在する抗酸化剤である。現在理解されるように、GSHは、細胞外形質空間内にのみ分配され、一方でS-303は、膜を横切って拡散し、細胞内外で平衡化する。これにより、GSHは、病原体不活性化に有意な影響を与えることなくS-303の細胞外反応を抑制することができる(Olcina et al.Hypoxia and the DNA damage response.Hypoxia and Cancer in Cancer Drug Discovery and Development 2014、Chapter 2:21-30、Melillo G(ed)を参照のこと)。
【0008】
当該技術分野における近年の進歩としては、より古い血液の使用に一般的に関連する貯蔵損傷量を低減するために、添加剤溶液中で嫌気的に貯蔵された濃厚赤血球を使用することも、挙げられる(Bitensky,et al.米国特許第5,789,152号、Bitensky,et al.米国特許第6,162,396号、およびBitensky,et al.米国特許第8,071,282号を参照のこと)。これらの貯蔵損傷は、循環系の正常な生理学的環境ではないところで血液を貯蔵することに起因する代謝プロセスおよび副生成物に由来すると考えられ、また、貯蔵血液中の利用可能な酸素の除去または低減が、貯蔵中の赤血球内で酸化種の損害を作り出すと、考えられる。
【0009】
溶血は、血液の品質および安全性の重要な指標として認識される。貯蔵中、溶血レベルは経時的に増加し、その遊離ヘモグロビンの存在は、血液がその貯蔵寿命を超えたという指標となる。このため、輸血に使用することができる血液製剤ユニットについて、許容可能な貯蔵期間を制限する規制およびガイドラインが開発されてきた。血液安全性のための溶血の重要性により、ヨーロッパでは、血液が廃棄されなければならない前に0.8%の上限が設定された。FDAは、溶血のレベルが1.0%を超えないことを推奨している。したがって、溶血を低減する方法は、血液の安全な貯蔵寿命を延長させ、費用を軽減し、血液利用率を増加させる。
【0010】
血液の健康度および安全性の別の指標は、微小粒子である。Cognasse et al.、“The role of microparticles in inflammation and transfusion: A concise review、”Transfus.Apher.Sci.53(2):159-167(2015)を参照のこと。微小粒子(Mp)は、赤血球、白血球、血小板、および内皮細胞によって産生される。微小粒子は、正常な生理学、アポトーシス、または細胞損傷の結果として産生されると考えられる。一般に、それらは、1000nm未満の粒子として記載される。より低い範囲が50nmにて示されることもあるが、下限に関しての明確な定義または規約はない。通常、蛍光表面抗体と併せてフローサイトメーターが定量化のために使用されるが、MP測定のために一般に認められた方法はなく、測定は使用される器具に依存し得る。Poncelet et al.、“Tips and tricks for flow cytometry-based analysis and counting of microparticles,”Transfus.Apher.Sci.53(2):110-126(2015)を参照のこと。MPの組成は、それらが由来する親細胞を反映しているが、選択された分子のみが、結果として生じるMPの表面に含まれるか、または暴露される。MPsのいくつかは、高度に血栓形成性であると見なされる(特に、血小板由来のMP)。一般に、貯蔵RBC成分中のMpは、免疫調節、凝固亢進、一酸化窒素捕獲(乏しい血液潅流)、または同種免疫の発症のための源として、受容者に有害である。したがって、低減化レベルの微小粒子をもたらす方法は、改善された血液健康度および安全性をもたらす。
【0011】
ここで、本発明者らは、疾患原因ウイルス、細菌、および多細胞寄生虫を低減するため、ならびに白血球を低減化するために血液製剤を処理する際に、全血中の低減化酸素が、予想外にも、溶血および微小粒子形成の量においても低減化をもたらすことを、実証した。本明細書で提供される方法は、溶血を低減化することにより、病原体低減化血液製剤の使用可能な寿命の延長を提供する。
【0012】
血液および血液製剤の病原体不活性化は、それらの安全性を改善するために開発されてきた。様々な細菌、ウイルス、および寄生虫が、不活性化されることができるが、調査研究は、血液成分に対して負の影響を実証している。現在、血漿および血小板濃縮物は、病原体不活性化システムを用いて処理されることができるが、赤血球の処理は依然として開発中である。献血後の全血の病原体不活性化は、残存する白血球の破壊に加えて、由来する全ての生成物が病原体不活性化される、という利点を提供し得る。しかしながら、最近の研究は、リボフラビン/UV光技術(Mirasol、TerumoBCT)を使用する全血照射に由来する赤血球の品質が、未処理研究群と比較して、標準的な貯蔵条件下での貯蔵寿命を短縮せざるを得ない程度まで、有意に低減されることを実証した。これらの分析の特徴は、血液バンク貯蔵の約30日目に現在容認されているレベルの0.8%に達する、溶血の促進である。UV照射中の反応性酸素種(ROS)の生成は、溶血の一因である。
【0013】
ここで、本発明者らは、Mirasolシステムを使用する病原体処理の前に全血から酸素を低減化することが、血液品質を改善する、ということを実証する。病原体低減化と組み合わせた、全血および赤血球濃縮物から酸素を除去するように設計された、Hemanext(商標)システム(New Health Sciences)は、非酸素低減化条件下での病原体低減化と比較して、改善された赤血球品質をもたらす。Mirasol病原体低減化処理と組み合わされたHemanext(商標)処理は、酸素低減化条件下で、42日後の血液溶血が0.8%未満である血液をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示は、血液製剤から酸素を除去すること、40~60μMの最終濃度までリボフラビンを添加すること、および265~400nmのUV光でリボフラビン含有血液製剤を照射すること、による、貯蔵中の血液病原体の不活性化および溶血の低減化のための方法を提供する。
【0015】
本開示は、血液製剤から酸素を除去すること、40~60μMの濃度までリボフラビンを添加すること、および265~400nmのUV光でリボフラビン含有血液製剤を照射すること、による、微小粒子形成の低減化および血液病原体の不活性化の方法を提供する。
【0016】
本開示は、CPD中で収集された全血を含み、40~60μMのリボフラビンを有し、25%未満の酸素飽和度(SO2)を有し、37℃で90mmHg以下のpCO2を有し、265~400nmのUV光で照射された、酸素低減化全血を提供する。
【0017】
本開示は、CPD中で収集された全血を含み、400~60μMのリボフラビンを有し、25%未満の酸素飽和度(SO2)を有し、37℃で20mmHg以下のpCO2を有する、酸素および二酸化炭素低減化全血であって、酸素低減化全血が265~400nmのUV光で照射されたものである、酸素および二酸化炭素低減化全血を提供する。
【0018】
本開示は、血液製剤から酸素を除去すること、0.2mMの最終濃度までS-303を添加すること、および2~20mMの最終濃度までGSHを添加すること、による、血液病原体の不活性化および溶血の低減化のための方法を提供する。
【0019】
本開示は、血液製剤から酸素および二酸化炭素を除去すること、0.2mMの最終濃度までS-303を添加すること、および2~20mMの最終濃度までGSHを添加すること、による、血液病原体の不活性化および微小粒子形成の低減化のための方法を提供する。
【0020】
本開示は、約0.2mMの最終濃度のS-303を有し、25%未満の酸素飽和度(SO2)を有し、かつ37℃で90mmHg以下のpCO2を有する、酸素低減化赤血球を提供する。
【0021】
本開示は、添付の図面を参照して開示される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本明細書の一態様に従う、血液バッグ収集および貯蔵システムを示すダイアグラムである。
【
図2】
図2は、本明細書の一態様に従う、不連続アフェレーシスシステムを示すダイアグラムである。
【
図3】
図3は、本明細書の一態様に従う、不連続アフェレーシスシステムを示す図ダイアグラムである。
【
図4】
図4は、本開示に従った実験の結果を示すグラフであり、無菌食塩水を伴う対照全血(1平均)、リボフラビンを伴う対照全血(2平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化濃厚RBC(3平均)、リボフラビンを伴う酸素低減化pRBC(4平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化全血(5平均)、およびリボフラビンを伴う酸素低減化全血(6平均)の平均溶血を比較している。
【
図5】
図5は、本開示に従った実験の結果を示すグラフであり、無菌食塩水を伴う対照全血(1平均)、リボフラビンを伴う対照全血(2平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化濃厚RBC(3平均)、リボフラビンを伴う酸素低減化pRBC(4平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化全血(5平均)、およびリボフラビンを伴う酸素低減化全血(6平均)の微小粒子の平均量を比較している。
【
図6A】
図6A~6Gは、本開示に従った実験の結果を示すグラフであり、無菌食塩水を伴う対照全血(1平均)、リボフラビンを伴う対照全血(2平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化濃厚RBC(3平均)、リボフラビンを伴う酸素低減化pRBC(4平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化全血(5平均)、およびリボフラビンを伴う酸素低減化全血(6平均)の、浸透圧脆弱性(6A)を比較している。
【
図6B】
図6A~6Gは、本開示に従った実験の結果を示すグラフであり、無菌食塩水を伴う対照全血(1平均)、リボフラビンを伴う対照全血(2平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化濃厚RBC(3平均)、リボフラビンを伴う酸素低減化pRBC(4平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化全血(5平均)、およびリボフラビンを伴う酸素低減化全血(6平均)の、カリウム(6B)を比較している。
【
図6C】
図6A~6Gは、本開示に従った実験の結果を示すグラフであり、無菌食塩水を伴う対照全血(1平均)、リボフラビンを伴う対照全血(2平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化濃厚RBC(3平均)、リボフラビンを伴う酸素低減化pRBC(4平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化全血(5平均)、およびリボフラビンを伴う酸素低減化全血(6平均)の、総ヘモグロビン(6C)を比較している。
【
図6D】
図6A~6Gは、本開示に従った実験の結果を示すグラフであり、無菌食塩水を伴う対照全血(1平均)、リボフラビンを伴う対照全血(2平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化濃厚RBC(3平均)、リボフラビンを伴う酸素低減化pRBC(4平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化全血(5平均)、およびリボフラビンを伴う酸素低減化全血(6平均)の、酸素飽和度(6D)を比較している。
【
図6E】
図6A~6Gは、本開示に従った実験の結果を示すグラフであり、無菌食塩水を伴う対照全血(1平均)、リボフラビンを伴う対照全血(2平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化濃厚RBC(3平均)、リボフラビンを伴う酸素低減化pRBC(4平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化全血(5平均)、およびリボフラビンを伴う酸素低減化全血(6平均)の、グルコース(6E)を比較している。
【
図6F】
図6A~6Gは、本開示に従った実験の結果を示すグラフであり、無菌食塩水を伴う対照全血(1平均)、リボフラビンを伴う対照全血(2平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化濃厚RBC(3平均)、リボフラビンを伴う酸素低減化pRBC(4平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化全血(5平均)、およびリボフラビンを伴う酸素低減化全血(6平均)の、ラクテート(6F)を比較している。
【
図6G】
図6A~6Gは、本開示に従った実験の結果を示すグラフであり、無菌食塩水を伴う対照全血(1平均)、リボフラビンを伴う対照全血(2平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化濃厚RBC(3平均)、リボフラビンを伴う酸素低減化pRBC(4平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化全血(5平均)、およびリボフラビンを伴う酸素低減化全血(6平均)の、pH(6G)を比較している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
複数の図面を通して、対応する参照符号は対応する部分を示す。本明細書に記載の実施例は、本明細書の態様を例示するが、本明細書の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0024】
ここで、本発明者らは、UV光で血液試料を照射することの有害な副作用が、試料中に存在する酸素の量を低減することによって軽減され得ることを示す。理論に限定されるものではないが、酸素の低減が反応性酸素種(ROS)の生成を減少させると考えられる。ROSの低減は、血液試料が全血あるいは任意の血液成分、例えば、血漿、血小板、または赤血球であっても、その血液試料中の病原体不活性化のためのUV光照射の有益な側面を増大させると考えられる。
【0025】
本明細書の態様に従うと、血液処理および貯蔵システムは、貯蔵前の、血液成分の収集、分離、脱酸素化、およびUV光照射であってもよい。血液処理システムは、一般に全血白血球低減化において用いられているような重力駆動バッグシステムであってもよい。いくつかの態様では、血液処理システムは、当該技術分野において一般に知られているように、連続または不連続フロータイプのいずれかのアフェレーシスシステムであってもよく、ここで、血液は、貯蔵前に、本明細書に従って、収集され、所望の成分に分離され、その後、脱酸素化され、照射される。いくつかの態様では、血液は、貯蔵前の所望の血液成分の分離およびUV照射前に、収集および脱酸素化される。いくつかの態様では、血液は、貯蔵前の所望の血液成分の脱酸素化およびUV照射前に、収集および分離される。いくつかの態様では、血液は、所望の血液成分の分離および貯蔵前に、収集、脱酸素化、およびUV照射される。
【0026】
当業者は、以下の実施例および図面が例示のみを意図し、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。本明細書および記載の目的のために、以下の定義および用語は、それらの一般的な意味を有するものと理解される。「UV」という用語は、約220nm~約400nmの波長を有し、一般に、405nmの水銀アークランプからのピークを含む紫外線を意味する。「血液試料」という用語は、動物またはヒトからの血液の試料を意味し、全血、ならびに赤血球(RBC)、血小板(PLT)、血漿、白血球、血液中で一般に見出されるタンパク質、例えば、アルブミン、酵素、凝固因子を含む全血の成分を含み、また、血液中で一般に見出されるかかる成分の組み合わせ、例えば、全血の部分的に分離されたフラクション、予め分離された組み換え成分も含み、収集されたばかりの新鮮血液試料または貯蔵された血液試料を含む。「アフェレーシス」という用語は、当該技術分野におけるその一般的な意味を有することを意味し、当該技術分野において一般に知られているように、連続および不連続方法の両方による血液の収集および分離を含む。「アフェレーシスシステム」という用語は、当該技術分野におけるその一般的な意味を有することを意味し、当該技術分野において一般に知られているように、連続および不連続方法の両方による血液の収集および分離のためのデバイスおよびシステムを含む。「血液容器」という用語は、貯蔵期間にかかわらず、血液を貯蔵する目的のためのポリマー材料から作製される任意の容器を指すことを意味し、当該技術分野で一般に用いられているような「血液バッグ」という一般的用語を含む。「PVC」という用語は、ポリ塩化ビニルに含まれるポリマーを指すことを意味し、任意の添加材料、例えば、可塑剤、安定剤、阻害剤、および当該技術分野において既知であり、PVCの製造において使用される他の添加材料を伴った、PVCを含む。
【0027】
図1は、血液収集バッグ1、血液処理バッグ4、UV照射チャンバ10、および血液貯蔵バッグ13を含む、本明細書の一態様を示す。血液収集バッグ1は、当該技術分野で一般に知られており、典型的には、ポリ塩化ビニル(PVC)などの可撓性プラスチックから作製されるが、ウレタン、シリコン、または他の生体適合性材料などの他のポリマー材料から作製されることもできる。血液収集バッグ1は、血液輸送ライン3を有する。血液輸送ライン3も、当該技術分野において一般に知られているように、可撓性プラスチックから作製され、典型的には、PVCから作製されるが、他の生体適合性ポリマー材料から作製されることもできる。血液輸送ライン3は、ピンチクランプ、ラチェットクランプ、または脆弱シールなどの流量制御デバイス2を装着しており、血液が収集バッグ1から輸送ライン3を通って処理バッグ4へ流れるのを、かかる血液の流れおよび輸送が所望されるまで、防止する。いくつかの態様では、流量制御デバイスは、流速を制御するように設計される。
【0028】
処理バッグ4は、外部バリアバッグ5および内部血液バッグ6で構成され、外部バリアバッグ5は、実質的に酸素不透過性である。バリアバッグ5の構築に好適な材料は、当該技術分野で一般に知られており、金属箔、例えば、アルミホイル、好適なバリア特性を有するポリマーフィルム、例えば、エチルビニルアルコール(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリロニトリル(Barex(登録商標))、環状ポリオレフィン、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFEまたはAclar(登録商標))、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウムのコーティングでポリエチレンまたはナイロンフィルムをコーティングすることによる、好適なバリア特性を与えるためのコーティングを有するポリマーフィルム、あるいはポリマーフィルムおよび/または好適なバリア特性を与えるためのコーティングの組み合わせを含む多層フィルム、を含む。複数の態様では、バリアバッグは、RollPrint ClearFoil(登録商標)ZフィルムまたはRenolit Solmed Wrapflex(登録商標)フィルムから作製される。処理バッグの作製のための例示的な方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2016年3月10日出願の国際特許出願第PCT/US2016/021794号にて提供される。
【0029】
内部血液バッグ6は、当該技術分野で一般に知られている高い酸素輸送特性を有する可撓性ポリマー材料から作製され、PVC、ウレタン、シリコン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む。一態様では、内部血液バッグ6は、シリコン、例えば、Wacker Silpuran(登録商標)30um厚のシリコンフィルムから作製される。別の態様では、内部血液バッグ6は、Millipore GVHP29325 PVDFメンブレンから作製される。酸素吸収吸着材料7は、外部バリアバッグ5と内部血液バッグ6との間に配置される。酸素吸収吸着材料7は、当該技術分野で一般に知られており、典型的には、酸素吸収剤のMitsubishi Ageless(登録商標)シリーズなどの鉄に基づく吸着材料から構成され、あるいは他の酸素吸収材料またはシステム、例えば、アスコルビン酸塩/金属塩システム、プラチナなどの金属触媒、またはナイロンMXD6などの酸素吸収ポリマーから構成される。いくつかの態様では、外部バリアバッグ5および内部血液バッグ6は、Mitsubishi Ageless(登録商標)OMAC(登録商標)フィルムなどの積層構造内に配置された酸素吸収材料7と一緒に積層加工されることができる。
【0030】
酸素吸収吸着材料7は、典型的には通気性サシェ中に配置され、外部バリアバッグ5と内部血液バッグ6との間のガスヘッドスペースの酸素を吸収するように適合される。いくつかの態様では、酸素吸収吸着材料7は、内部バッグと外部バッグとの間に間隔を生じるように、プラスチックメッシュ構造(図示せず)に取り付けられ、このため、ガスヘッドスペースにおいてガス輸送の増大をもたらす。いくつかの態様では、複数の酸素吸収サシェは、ガスヘッドスペース中に配置される。複数の態様では、酸素吸収吸着材料7は、迅速に作用し、高レベルの酸素をすばやく吸収するように、血液のフルユニットの全酸素量を吸収する容量で、配合される。複数の態様では、酸素吸収吸着材料7の酸素吸収容量は、少なくとも100ccの酸素であり、より好ましくは、少なくとも200ccである。いくつかの態様では、酸素インジケータタブ(図示せず)は、例えば、吸着システムTell-Tab(登録商標)などの、特定のレベルで酸素の存在または不在を色によって示すために、ガスヘッドスペース中に配置される。本明細書に好適な処理バッグ4および内部血液バッグ6のさらなる詳細は、2016年3月10日出願の国際特許出願第PCT/US2016/021794号に提供される。
【0031】
内部血液バッグ6の流体経路は、ピンチクランプ、ラチェットクランプ、または脆弱シールなどの流量制御デバイス8を有する血液輸送ライン9によりUV照射チャンバ10に連結され、血液が内部血液バッグ6から輸送ライン9を通ってUV照射チャンバ10へ流れるのを、かかる血液の流れおよび輸送が所望されるまで、防止する。いくつかの態様では、流量制御デバイスは、流速を制御するように設計される。UV照射チャンバ10は、ピンチクランプ、ラチェットクランプ、または脆弱シールなどの流量制御デバイス11を有する血液輸送ライン12により血液貯蔵バッグ13にさらに流体連結され、血液がUV照射チャンバ10から輸送ライン12を通って血液貯蔵バッグ13へ流れるのを、かかる血液の流れおよび輸送が所望されるまで、防止する。いくつかの態様では、流量制御デバイス11は、流速を制御するように設計され、いくつかの態様では、流量制御デバイスは、UV照射チャンバ内に収容された血液試料の制御された照射露光を提供するために、UVランプと通信する。
【0032】
UV照射チャンバ10は、電力源(図示せず)に動作可能に接続されたUVランプ(図示せず)をさらに含み、チャンバ内に収容された血液またはチャンバ内部を通過する血液のUV照射を提供する(図示せず)。いくつかの態様では、UV照射チャンバは、血液輸送管9の一区分を受容し、その管を通してUV光を照射するように、適合される。大部分のプラスチックは、より低い波長でUV光を吸収し、それらは、254nmでのUV-C光などのように、より低い波長の処理用UV光の使用には適さないであろうが、UV-B(約290~320nm)またはUV-A(約320~400nm)などのように、より高い波長で吸収する特定の光増感剤のためには、プラスチックの薄片が好適であってもよい、ということが、当業者には理解されるだろう。したがって、いくつかの態様では、血液輸送管9の一部は、プラスチック管を通過する血液試料への光透過を高めるように、UV照射チャンバ10に適合されるべき壁厚を非常に薄いものとするように、適合される。いくつかの態様では、UV照射チャンバ内の輸送管部分の壁厚は、約0.1~約1.0mmであり、複数の態様では、輸送管の壁厚は、約0.2~約0.5mm厚である。
【0033】
いくつかの態様では、UV照射チャンバ10は、血液輸送管9および血液輸送管12と流体連通する、石英(SiO2)またはサファイア(Al2O3)材料の断片などのUV-C透過部分を有するように適合される。いくつかの態様では、血液輸送ライン9は、UV-C透過部分が容易にUV照射チャンバ10へ挿入されることができるように、血液輸送管9と血液輸送管12との間に配置された、石英(SiO2)またはサファイア(Al2O3)管の断片などのUV-C透過部分を有するように適合される。いくつかの態様では、UV照射チャンバ10は、石英(SiO2)またはサファイア(Al2O3)などのUV-C透過材料から組み立てられ、血液輸送管9および血液輸送管12と内外で流体連通するように、連結的に適合される。いくつかの態様では、UV照射チャンバ10は、UV-Cに対しては不透過性であるが、UV-AおよびまたはUV-B波長に対しては透過性である材料、例えば、ガラスまたはポリマー、例えば、ポリカーボネート、アクリル、PVC、ウレタンなどから組み立てられ、血液輸送管9および血液輸送管12と内外で流体連通している。いくつかの態様では、UV照射チャンバ10は、UV光を照射チャンバの内腔に送達するのに有効であるように、UV-C、UV-A、およびUV-B波長に対して十分に透過性である、シリコンなどのポリマー材料から組み立てられる。
【0034】
血液貯蔵バッグ13は、外部バリアバッグ14および内部血液バッグ15で構成され、外部バリアバッグ14は、実質的に酸素不透過性である。好適な血液貯蔵バッグ13は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2016年4月22日出願の国際特許出願第PCT/US2016/029069号にて提供される。簡潔にいうと、外部バリアバッグ14の構築に好適な材料が提供され、外部バリアバッグ14は、外部バリアバッグ5と実質的に同等である。内部血液バッグ15は、それがスパイクポート17をさらに含むことを除いて、上記の血液収集バッグ1と実質的に同等であり、このスパイクポート17は、輸血医薬の技術分野で一般に知られているものであり、患者使用時に内部血液バッグ15内に収容された血液を受け取るように、注入スパイクの無菌連結のために適合される。血液貯蔵バッグ13は、外部バリアバッグ14と内部血液バッグ15との間に配置された酸素吸収材料16をさらに含む。複数の態様では、酸素吸収材料16は、長期間にわたって冷蔵温度で機能し、低レベルの酸素を吸収するように、配合される。
【0035】
図2は、不連続3ラインアフェレーシスシステムを示し、全血は、対象の腕に挿入されてもよい静脈アクセスデバイス110を通して対象から取り出される。血液引き込みライン120は、血液成分の分離のために、静脈アクセスデバイス110を血液成分分離デバイス150に流体連結する。引き込みライン120上に位置する引き込みポンプ122は、引き込みライン120を通る流れの方向、速度、および持続時間を制御する。
【0036】
全血が対象から取り出されているときに、抗凝固剤を全血に添加して、ライン内または血液成分分離デバイス150内で血液が凝固するのを防止することができる。そのために、システムは、一方の末端に、抗凝固剤ソース134(例えば、抗凝固剤のバッグ)に流体連結された抗凝固剤ライン130を含み、他方の末端に、静脈アクセスデバイス110(または引き込みライン120)を含む。抗凝固剤ライン130が内部を通過する抗凝固剤ポンプ132は、抗凝固剤ライン130を通過する流量および全血中に導入される抗凝固剤の量を制御する。抗凝固剤ポンプ132は、引き込みポンプ122に比例して動作して、適切な量の抗凝固剤が全血に添加されることを確実にする。抗凝固剤は、典型的には、静脈アクセスデバイス110に可能な限り近接して、全血中に導入される。ライン/導管は、典型的には、ライン内の流れを停止するためのクランプ弁164を含む。
【0037】
所望の量の抗凝固化された全血が対象から取り出され、血液成分分離デバイス150内に収容されると、血液成分分離デバイスは、全血をいくつかの血液成分、典型的には、血漿、血小板、赤血球、および任意に白血球へと分離する。
【0038】
血液処理システム100のいくつかの態様は、輸送ポンプ210と、血漿バッグ158に連結された希釈/抽出ライン160と、を含む。輸送ポンプ210および希釈/抽出ライン160は、血液成分分離デバイスに導入された抗凝固化引き込み血液の希釈を含む、様々な目的のために使用されることができる。例えば、使用者がより高い血漿含有量を有する引き込み血液を望んだ場合、システムは、輸送ポンプのスイッチをオンとし、引き抜きライン120内の取り出された血液へ血漿バッグ158から血漿を導入することによって、引き込み血液を希釈することができる。追加的または代替的には、輸送ポンプは、血漿バッグ158からの血漿を血液成分分離デバイス150へ導入し、血小板(または他の血液成分)を抽出するために、サージ洗浄(surge elutriation)の間に用いられてもよい。
【0039】
血液試料が血液成分分離デバイス150内で分離され、所望の成分が取り出され、適切な貯蔵容器156または158内で貯蔵された後、システムは、専用ラインを経由して、未抽出および/または不要な成分を対象に再び戻す。
【0040】
図3は、不連続3ラインアフェレーシスシステムと共に使用するための、本明細書の一態様を示し、改善された部分は破線内に示される。具体的には、アフェレーシス血液処理システム100は、流体輸送ポンプ172、脱酸素化デバイス173、処理リザーバ174、およびUV照射チャンバ177をさらに含み、それらは、輸送ライン170および再循環ライン175により流体連結される。輸送ライン170および再循環ライン175における流体流量の制御は、流体を所望のデバイスに導くように連携して作用する、流量制御弁171、176、178、および179での制御によって、維持される。
【0041】
血液分離デバイス150内の血液成分の分離が完了すると、所望の血液成分の流れは、本明細書の流量制御弁179を閉鎖し、流量制御弁171を開放することによって、本明細書の輸送ライン170に導かれる。したがって、所望の血液成分は、輸送ライン152および最終的な血漿バッグ158または血小板バッグ156ではなく、本明細書の輸送ポンプ172に導かれる。輸送ライン170中の流体流量は、輸送ポンプ122または輸送ポンプ210からの流体流量によってか、あるいは本明細書の輸送ポンプ172によってか、あるいはこれらの組み合わせにより、導かれることができる。
【0042】
輸送ライン170中の流体流量は、流量制御弁171によって制御され、輸送ポンプ172へと流入し、図中の矢印で示されるように、引き続き脱酸素化デバイス173および処理リザーバ174へと流入する。脱酸素化プロセスの間、流量制御弁178は、閉鎖されることもあり、再循環ライン175上に配置された流体制御弁176は、開放されることもあり、それによって、流体中に所望のレベルの酸素が達成されるまで、脱酸素化デバイス173、処理リザーバ174、および再循環ライン175を通じる輸送ポンプ172により、流体を再循環させることを可能にする。いくつかの態様では、脱酸素化デバイス173は、Membrana Liqui-Cel(登録商標)およびMiniModule(登録商標)デバイスなどの、流体脱気のために用いられる、ならびに、Medtronic Affinity(登録商標)シリーズ人工肺およびSorin Inspire(登録商標)シリーズ人工肺などの、心肺バイパス灌流における血液酸素化のために用いられる、当該技術分野で一般に知られている中空多孔繊維から構成される。いくつかの態様では、脱酸素化デバイス173は、窒素ガス供給源(図示せず)へ動作可能に連結されて、中空多孔性繊維へ窒素ガスを提供して、血液から酸素を除去する。いくつかの態様では、脱酸素化デバイス173は、その中に収容される流体の酸素含有量を測定する手段(図示せず)に動作可能に連結されて、流体試料が、約25%以下の酸素、複数の態様では、約10%以下の酸素まで脱酸素化されたかどうかを測定するための手段を提供する。いくつかの態様では、輸送ポンプは、処理される流体容量について効果的であると実験的に示されている所定時間の後にポンプをオフにするための制御手段に動作可能に連結される。
【0043】
流体試料が十分に脱酸素化された後、血液試料は、流量制御弁178を開放することにより、ポンプ172により、UV照射チャンバ177を通じて、ポンプで吸い上げられる。血液試料は、好適なUV光源(図示せず)からのUV光で照射される。UV光源は、UV照射チャンバ177内に収容されることができ、電源(図示せず)に動作可能に連結されることができ、あるいはUV光源は、光パイプまたはミラー(図示せず)などにより、UV照射チャンバに動作可能に連結されることができる。UV光源は、当該技術分野で既知であり、所望のスペクトル出力、および血液成分の処理に関与する化学に基づいて選択され、水銀アークランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ、重水素ランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、蛍光ランプ、およびUV発光LEDを含む群から選択されることができる。
【0044】
好ましくは、UV照射チャンバ内の流体流量は、UV照射チャンバ177内に収容された静的試料の経時UV照射によってか、またはUV照射チャンバ177内部を通過する動的試料の流量制御のいずれかおよび流量弁178による制御によって、流体中でUV光の標的放射露光量が達成されるように、制御される。いくつかの態様では、UV光の放射露光量は、約1~8J/cm2であり、複数の態様では、約3J/cm2である。次いで、脱酸素化およびUV照射された血液成分は、収集および貯蔵のために、輸送ライン180を通過して、輸送ライン152へと流れる。本明細書に従って、病原体を低減化するよう処置し、および約25%未満の酸素レベルまで脱酸素化されると、血液成分は、血液貯蔵バッグへと輸送される。いくつかの態様では、輸送ライン180は、過剰な光増感剤および光生成物の低減化をもたらすように、成分吸収デバイス(図示せず)を含み、これは、例えば、ソラレン光増感剤と共に使用され、当該技術分野で一般に知られている。
【0045】
本開示は、血液製剤から酸素を除去して、酸素低減化血液製剤を調製すること、血液製剤から血液病原体を低減化することを含み、リボフラビンを40~60μMの最終濃度まで添加すること、そのリボフラビン含有血液製剤を265~400nmのUV光で照射することを含む、溶血低減化を有する病原体低減化のための方法を提供する、およびその方法を含む。特定の態様では、本方法は、嫌気性条件下で、前述した酸素低減化病原体低減化血液製剤を貯蔵することをさらに含む。また、本明細書では、血液製剤から酸素および二酸化炭素を除去して、酸素低減化二酸化炭素低減化血液製剤を調製すること、血液製剤から血液病原体を低減化することを含み、リボフラビンを40~60μMの最終濃度まで添加すること、そのリボフラビン含有血液製剤を265~400nmのUV光で照射することを含む、溶血低減化を有する病原体低減化のための方法が含まれる、およびその方法が提供される。本明細書で使用される場合、「嫌気性条件」は、二酸化炭素が枯渇した条件および二酸化炭素を含有する条件の両方を含む。ほとんどの態様では、嫌気性条件は、酸素および二酸化炭素が両方とも枯渇した貯蔵条件を意味する。
【0046】
本開示は、血液製剤から酸素を除去して、酸素低減化血液製剤を調製すること、血液製剤から血液病原体を低減化することを含み、S-303を約0.1~0.5mMの最終濃度まで添加すること、グルタチオン(GSH)を2~20mMの最終濃度まで添加することを含む、溶血低減化を有する病原体低減化のための方法を提供する、およびその方法を含む。ある特定の態様では、溶血低減化を有する病原体低減化のための方法は、血液病原体を低減化する前に、血液製剤から酸素を除去して、酸素低減化血液製剤を調製することを含む。他の態様では、溶血低減化を有する病原体低減化のための方法は、血液病原体を低減化した後に、血液製剤から酸素を除去して、酸素低減化血液製剤を調製することを含む。他の態様では、溶血低減化を有する病原体低減化のための方法は、血液病原体の低減化と同時に、血液製剤から酸素を除去して、酸素低減化血液製剤を調製することを含む。また、本明細書では、血液製剤から酸素および二酸化炭素を除去して、酸素低減化二酸化炭素低減化血液製剤を調製すること、血液製剤から血液病原体を低減化することを含み、S-303を約0.2mMの最終濃度まで添加すること、グルタチオン(GSH)を5~20mMの最終濃度まで添加することを含む、溶血低減化を有する病原体低減化のための方法が含まれる、およびその方法が提供される。他の態様では、溶血低減化を有する病原体低減化のための方法は、血液製剤から酸素および二酸化炭素を除去して、酸素低減化二酸化炭素低減化血液製剤を調製すること、血液製剤から血液病原体を低減化することを含み、S-303を約0.1~0.5mMの最終濃度まで添加すること、グルタチオン(GSH)を2~20mMの最終濃度まで添加すること、を含む。別の態様では、溶血低減化を有する病原体低減化のための方法は、血液製剤から酸素および二酸化炭素を除去して、酸素低減化二酸化炭素低減化血液製剤を調製すること、血液製剤から血液病原体を低減化することを含み、S-303を約0.1~0.4mMの最終濃度まで添加すること、グルタチオン(GSH)を5~20mMの最終濃度まで添加すること、を含む。さらなる別の態様では、溶血低減化を有する病原体低減化のための方法は、血液製剤から酸素および二酸化炭素を除去して、酸素および二酸化炭素低減化血液製剤を調製すること、および血液製剤から血液病原体を低減化することを含み、S-303を約0.1~0.3mMの最終濃度まで添加すること、グルタチオン(GSH)を5~10mMの最終濃度まで添加すること、を含む。さらなる一態様では、溶血低減化を有する病原体低減化のための方法は、血液製剤から酸素および二酸化炭素を除去して、酸素および二酸化炭素低減化血液製剤を調製すること、血液製剤から血液病原体を低減化することを含み、S-303を約0.1~0.3mMの最終濃度まで添加すること、グルタチオン(GSH)を2~10mMの最終濃度まで添加すること、を含む。
【0047】
本明細書で使用される場合、病原体は、ウイルス、寄生虫、および細菌を含む。また、本明細書で使用される場合、白血球低減化後に残存する低レベルの白血球もまた、病原体と見なされる。したがって、病原体低減化の方法は、白血球低減化後に残存し得る白血球の低減化をさらに提供してもよい。
【0048】
本明細書で使用される場合、「低減化する」、「低減化」、または「低減化された」という用語は、最終量が初期量よりも少ないこと、または対照試料に対してより少ないことを意味する。低減化されたレベルの病原体とは、病原体レベルが、同様の未処理試料と比較して、少なくとも1桁分の大きさだけ、低減化されることを意味する。一般に、輸血医薬の目的のために、病原体のレベルは、少なくとも1.8ログだけ低減化される。本開示の一態様では、病原体のレベルは、少なくとも3ログだけ低減化される。別の態様では、病原体のレベルは、少なくとも4ログだけ低減化される。別の態様では、病原体のレベルは、3~10ログだけ低減化される。別の態様では、病原体のレベルは、少なくとも7ログだけ低減化される。
【0049】
本明細書で使用される場合、「酸素を低減化する」または「酸素飽和度を低減化する」とは、赤血球の酸素飽和度を25%以下まで低減化することを意味する。本明細書で使用される場合、「二酸化炭素を低減化する」とは、37℃で測定された場合に、二酸化炭素を90mmHg以下まで低減化することを意味する。酸素枯渇化血液製剤は、25%未満、一般的には、10%未満の酸素飽和度を有し、約5%のSO2であり得る。二酸化炭素枯渇化血液製剤とは、37℃で測定された場合に、20mmHgを下回るレベルの二酸化炭素を有する血液製剤である。
【0050】
本明細書で使用される場合、「血液製剤」は、全血、または赤血球、血小板、血小板、血漿、および白血球を含む全血に由来する任意の成分を含む。
【0051】
本明細書で使用される場合、「全血」は、血漿中に懸濁された白血球(WBC)、血小板を含み、電解物、ホルモン、ビタミン、抗体等を含む。全血中、白血球は、通常、4.5~11.0×109細胞/Lの範囲内で存在し、海面レベルでの通常のRBC範囲は、男性については4.6~6.2×1012/L、女性については4.2~5.4×1012/Lである。正常なヘマトクリット、または血中血球容積パーセントは、男性については約40~54%、女性については約38~47%である。血小板数は、男性および女性のいずれについても、通常、150~450×109/Lである。全血は、血液ドナーから収集され、通常は抗凝固剤と組み合わされる。収集される場合、全血は、はじめ約37℃であり、収集中および収集直後に約30℃まで急速に冷えるが、約6時間にわたって周囲温度まで徐々に冷える。全血は、本開示の方法に従って、収集時に、30~37℃で開始するか、または室温(典型的に約25℃)にて、処理されてもよい。
【0052】
本明細書で使用される場合、「赤血球」(RBC)、貯蔵赤血球、酸素低減化赤血球、ならびに酸素および二酸化炭素低減化赤血球は、全血、白血球低減化RBC、血小板低減化RBC、白血球および血小板低減化RBC、および濃厚赤血球(pRBC)中に存在するRBCを含む。インビボでのヒト赤血球は、動的状態にある。赤血球は、ヘモグロビン、すなわち、体中に酸素を運搬し、赤血球にその色を与える鉄含有たんぱく質を含有する。赤血球から構成される血球容積のパーセンテージは、ヘマトクリットと呼ばれる。本明細書で使用される場合、別途限定されない限り、RBCは、濃厚赤血球(pRBC)も含む。濃厚赤血球は、当該技術分野において一般に知られている遠心分離技法を使用して、全血から調製される。本明細書で使用される場合、別記されない限り、pRBCのヘマトクリットは約70%である。本明細書で使用される場合、酸素低減化RBC(OR-RBC)は、酸素および二酸化炭素低減化(OCR-)RBC(OCR-RBC)を含み得る。
【0053】
本明細書で使用される場合、「白血球低減化全血」(LRWB)は、通常、濾過または遠心分離により、白血球および血小板を除去するように処理された、抗凝固剤を有する全血を含む。白血球低減化全血は、少なくとも5ログまで低減化された白血球レベルを有する。
【0054】
本明細書で使用される場合、「酸素低減化白血球低減化全血」(OR-LRWB)は、酸素および二酸化炭素低減化白血球低減化全血(OCR-LRWB)を含み得る。
【0055】
本明細書で使用される場合、「白血球低減化濃厚赤血球」(LRpRBC)は、白血球を除去するように処理された酸素低減化(OR-)全血を有する、濃厚赤血球を含む。本明細書で使用される場合、酸素低減化白血球低減化濃厚赤血球(OR-LRpRBC)は、酸素および二酸化炭素低減化白血球低減化濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)を含み得る。
【0056】
本明細書の態様によれば、ウイルスは、列挙された方法によって低減化されたエンベロープウイルスを含む。他の態様では、本方法は、非エンベロープウイルスの低減化を提供する。本明細書の複数の態様では、低減化されたウイルス病原体は、以下、HIV-1、HIV-2、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒトTリンパ球向性ウイルスIおよびII(HTLV-1および-II)、細胞関連サイトメガロウイルス(CMV)、ウシウイルス下痢ウイルス(BVDV)、アヒルB型肝炎ウイルス(DHBV)、偽性狂犬病ウイルス(PRV)、ウェストナイルウイルス、ヒトコロナウイルス、チクングニアウイルス、インフルエンザウイルス、ブタヘルペスウイルス(SuHV-1)、水泡性口内炎ウイルス(VSV)、シンドビスウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ブタ偽性狂犬病ウイルス(PPRV)、偽性狂犬病(PRV)、またはセムリキフォレストウイルス(SLFV)の1つまたは複数を含む。いくつかの態様では、不活性化ウイルスとしては、ブルータングウイルス、カリシウイルス、ヒトアデノウイルス-5、ブタパルボウイルス(PPV)、脳心筋炎ウイルス(EMCV)、A型肝炎ウイルス(HAV)、コクサッキーウイルス、およびポリオウイルスを含む非エンベロープウイルスが挙げられる。ウイルス寄生虫低減化の方法は、全てのウイルスを含み、上記に列挙されたものに限定されないことが、理解されるであろう。当業者であれば、不活性化方法が、様々な病原体の遺伝子材料を対象とすること、一方で、酸素低減化が、例えば、血液製剤の赤血球成分の溶血を低減化すること、そうでなければ、血液の質を改善すること、を認識するであろう。
【0057】
本明細書に従う複数の態様では、本方法は、溶血低減化および寄生虫の不活性化を提供する。本明細書のいくつかの態様では、寄生虫は、プラスモジウム・ファルシパラム(Plasmodium falciparum)(マラリア)、トリパノソーマ・クルージ(Trypanosoma cruzi)(シャガス病)、レイシュマニア・メキシカニア(Leishmania mexicana)、リーシュマニア・メジャー(Leishmania major)、リーシュマニア・インファンタム(leishmania infantum)(リーシュマニア症)、バベシア・ミクロティ(Babesia microti)、およびバベシア・ディバジェンズ(Babesia divergens)(バベシア症)を含む。いくつかの態様では、不活性化病原性細菌は、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、大腸菌(Escherichia coli)、エンテロバクター・クロアエ(Enterobacter cloacae)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、セラチア・マルセッシンズ(Serratia marcescens)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・エピダーミディス(Staphylococcus epidermidis)、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、リステリア・モノサイトジェネス(Listeria monocytogenes)、ストレプトコッカス・ピオジーンズ(Streptococcus pyogenes)、およびアシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)を含み得る。
【0058】
本開示の方法は、病原体処理後の赤血球の溶血低減化を提供および包含する。酸素低減化血液または酸素および二酸化炭素低減化血液に適用される病原体低減化法は、有意に低減化したレベルの溶血をもたらす。酸素低減化血液または酸素および二酸化炭素低減化血液に適用される病原体低減化法は、有意に低減化したレベルの微小粒子をもたらす。病原体低減化法にさらなる酸素低減化工程を組み込むことにより、貯蔵寿命の改善に至る、貯蔵血液の質に改善をもたらす。重要なことに、病原体低減化の既存方法へ血液酸素低減化法を適用することは、有意な改善をもたらす。したがって、本明細書の方法は、当該技術分野で既知の病原体低減化方法に適用され得る。低減化酸素病原体不活性化と両立できる病原体除去のために好適な方法としては、Wagner et al.、“Developing pathogen reduction technologies for RBC suspensions” in Vox Sanguinis,100:112-121(2011)、Pidcoke et al.、“Primary hemostatic capacity of whole blood: a comprehensive analysis of pathogen reduction and refrigeration effects over time” in Transfusion,53:137-149(2013)、Henschler et al.、“Development of the S-303 pathogen inactivation technology for red blood cell concentrates” in Transfusion Medicine and Hemotherapy、38:33-42(2011)、Guignard et al.、“The clinical and biological impact of new pathogen inactivation technologies on platelet concentrates” in Blood Reviews、28: 235-241(2014)、Picker et al.、“Current methods for the reduction of blood-borne pathogens: a comprehensive literature review” in Blood Transfusion、11:343-348(2014)、Irsch et al.、“Pathogen inactivation of platelet and plasma blood components for transfusion using the INTERCEPT Blood System(商標)” in Transfusion Medicine and Hemotherapy、38:19-31(2010)、およびKing,et alへの1992年6月9日発行の米国特許第5,120,659号 において議論されている方法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
この方法は、0.8%未満の、または特定の態様では、1.0%未満の、溶血レベルを維持することによって、病原体不活性化後の許容可能な貯蔵時間の延長をもたらす、溶血低減化を提供する。一態様では、溶血は、嫌気性条件下で14日間の貯蔵後、0.2%以下である。一態様では、溶血は、嫌気性条件下で21日間の貯蔵後、0.4%以下である。別の態様では、溶血は、嫌気性条件下で28日間の貯蔵後、0.5%以下である。さらなる一態様では、溶血は、嫌気性条件下で35日間の貯蔵後、0.8%以下である。他の態様では、溶血は、嫌気性条件下で42日間の貯蔵後、0.8%以下である。他の態様では、溶血は、嫌気性条件下で49日間の貯蔵後、0.8%以下である。いくつかの態様では、溶血は、嫌気性条件下で35日間の貯蔵後、1.0%以下である。他の態様では、溶血は、嫌気性条件下で42日間の貯蔵後、1.0%以下である。他の態様では、溶血は、嫌気性条件下で49日間の貯蔵後、1.0%以下である。別の態様では、溶血は、嫌気性条件下で14日間の貯蔵後、0.1%以下である。別の態様では、溶血は、嫌気性条件下で14日間の貯蔵後、0.01~0.2%である。一態様では、溶血は、嫌気性条件下で21日間の貯蔵後、0.2~0.4%である。一態様では、溶血は、嫌気性条件下で21日間の貯蔵後、0.05~0.4%である。別の態様では、溶血は、嫌気性条件下で28日間の貯蔵後、0.6%以下である。別の態様では、溶血は、嫌気性条件下で28日間の貯蔵後、0.1~0.4%である。別の態様では、溶血は、嫌気性条件下で28日間の貯蔵後、0.1~0.5%である。別の態様では、溶血は、嫌気性条件下で35日間の貯蔵後、0.4%以下である。別の態様では、溶血は、嫌気性条件下で35日間の貯蔵後、0.1~0.8%である。別の態様では、溶血は、嫌気性条件下で35日間の貯蔵後、0.2~1.0%である。別の態様では、溶血は、嫌気性条件下で42日間の貯蔵後、0.2~0.8%である。別の態様では、溶血は、嫌気性条件下で42日間の貯蔵後、0.2~1.0%である。別の態様では、溶血は、嫌気性条件下で49日間の貯蔵後、0.2~0.8%である。別の態様では、溶血は、嫌気性条件下で49日間の貯蔵後、0.2~1.0%である。酸素および二酸化炭素低減化血液製剤を用いる病原体の低減化方法は、上記に提供されるような溶血の低減化を提供する。
【0060】
本明細書で提供されるように、本方法は、非酸素低減化赤血球と比較した場合に、病原体処理した酸素低減化赤血球における溶血レベルの低減化を提供する。一態様では、酸素低減条件下での病原体低減化は、非酸素低減化調製物中の病原体低減化において観察される溶血レベルの約30%をもたらす。一態様では、少なくとも約30%の低減化が、21日間の嫌気性貯蔵後に観察される。一態様では、約30%の溶血低減化が、嫌気性貯蔵の35日目に観察される。さらなる一態様では、約30%の低減化が、嫌気性貯蔵の42日目に観察される。
【0061】
本明細書で提供されるように、本方法は、非酸素低減化白血球低減化全血(LRWB)と比較した場合に、病原体処理した酸素低減化白血球低減化全血(OR-LRWB)における溶血レベルの低減化を提供する。一態様では、酸素低減条件下での病原体低減化は、非酸素低減化調製物中の病原体低減化において観察される溶血レベルの約30%をもたらす。一態様では、少なくとも約30%の低減化が、21日間の嫌気性貯蔵後に観察される。一態様では、約30%の溶血低減化が、嫌気性貯蔵の35日目に観察される。さらなる一態様では、約30%の低減化が、嫌気性貯蔵の42日目に観察される。
【0062】
いくつかの態様では、従来の病原体低減化法と比較した場合の溶血低減化は、少なくとも20%である。一態様では、少なくとも約20%の低減化が、21日間の嫌気性貯蔵後に観察される。一態様では、少なくとも20%の溶血低減化が、嫌気性貯蔵の35日目に観察される。さらなる一態様では、少なくとも20%の低減化が、嫌気性貯蔵の42日目に観察される。いくつかの態様では、従来の病原体低減化法と比較した場合の溶血低減化は、少なくとも25%である。一態様では、少なくとも25%の低減化が、21日間の嫌気性貯蔵後に観察される。別の態様では、少なくとも25%の低減化が、35日間の嫌気性貯蔵後に観察される。さらなる一態様では、少なくとも25%の低減化が、42日間の嫌気性貯蔵後に観察される。いくつかの態様では、従来の病原体低減化法と比較した場合の溶血低減化は、少なくとも35%である。一態様では、少なくとも35%の低減化が、21日間の嫌気性貯蔵後に観察される。別の態様では、少なくとも35%の低減化が、35日間の嫌気性貯蔵後に観察される。さらなる一態様では、少なくとも35%の低減化が、42日間の嫌気性貯蔵後に観察される。いくつかの態様では、従来の病原体低減化法と比較した場合の溶血低減化は、少なくとも40%である。一態様では、少なくとも40%の低減化が、21日間の嫌気性貯蔵後に観察される。別の態様では、少なくとも40%の低減化が、35日間の嫌気性貯蔵後に観察される。さらなる一態様では、少なくとも40%の低減化が、42日間の嫌気性貯蔵後に観察される。
【0063】
いくつかの態様では、従来の病原体低減化法と比較した場合の溶血低減化は、少なくとも45%である。一態様では、少なくとも45%の低減化が、21日間の嫌気性貯蔵後に観察される。別の態様では、少なくとも45%の低減化が、35日間の嫌気性貯蔵後に観察される。さらなる一態様では、少なくとも45%の低減化が、42日間の嫌気性貯蔵後に観察される。いくつかの態様では、従来の病原体低減化法と比較した場合の溶血低減化は、少なくとも50%である。一態様では、少なくとも50%の低減化が、21日間の嫌気性貯蔵後に観察される。別の態様では、少なくとも50%の低減化が、35日間の嫌気性貯蔵後に観察される。さらなる一態様では、少なくとも50%の低減化が、42日間の嫌気性貯蔵後に観察される。
【0064】
本明細書で提供されるように、本方法は、非酸素低減化赤血球と比較した場合に、病原体処理した酸素および二酸化炭素低減化赤血球における溶血レベルの低減化を提供する。一態様では、酸素および二酸化炭素低減化条件下での病原体低減化は、非酸素および二酸化炭素低減化調製物中の病原体低減化において観察される溶血レベルの約30%をもたらす。一態様では、少なくとも約30%の低減化が、21日間の嫌気性貯蔵後に観察される。一態様では、約30%の溶血低減化が、嫌気性貯蔵の35日目に観察される。さらなる一態様では、約30%の低減化が、嫌気性貯蔵の42日目に観察される。
【0065】
本明細書で提供されるように、本方法は、非酸素低減化白血球低減化全血(LRWB)と比較した場合に、病原体処理した酸素および二酸化炭素低減化白血球低減化全血(OR-LRWB)における溶血レベルの低減化を提供する。一態様では、酸素および二酸化炭素低減化条件下での病原体低減化は、非酸素低減化調製物中の病原体低減化において観察される溶血レベルの約30%をもたらす。一態様では、少なくとも約30%の低減化が、21日間の嫌気性貯蔵後に観察される。一態様では、約30%の溶血低減化が、嫌気性貯蔵の35日目に観察される。さらなる一態様では、約30%の低減化が、嫌気性貯蔵の42日目に観察される。
【0066】
いくつかの態様では、従来の病原体低減化法と比較した場合の、酸素および二酸化炭素枯渇化血液製剤における溶血低減化は、少なくとも20%である。一態様では、少なくとも20%の低減化が、21日間の嫌気性貯蔵後に観察される。一態様では、少なくとも20%の溶血低減化が、嫌気性貯蔵の35日目に観察される。さらなる一態様では、少なくとも20%の低減化が、嫌気性貯蔵の42日目に観察される。いくつかの態様では、従来の病原体低減化法と比較した場合の溶血低減化は、少なくとも25%である。一態様では、少なくとも25%の低減化が、21日間の嫌気性貯蔵後に観察される。別の態様では、少なくとも25%の低減化が、35日間の嫌気性貯蔵後に観察される。さらなる一態様では、少なくとも25%の低減化が、42日間の嫌気性貯蔵後に観察される。いくつかの態様では、従来の病原体低減化法と比較した場合の溶血低減化は、少なくとも35%である。一態様では、少なくとも35%の低減化が、21日間の嫌気性貯蔵後に観察される。別の態様では、少なくとも35%の低減化が、35日間の嫌気性貯蔵後に観察される。さらなる一態様では、少なくとも35%の低減化が、42日間の嫌気性貯蔵後に観察される。いくつかの態様では、従来の病原体低減化法と比較した場合の溶血低減化は、少なくとも40%である。一態様では、少なくとも40%の低減化が、21日間の嫌気性貯蔵後に観察される。別の態様では、少なくとも40%の低減化が、35日間の嫌気性貯蔵後に観察される。さらなる一態様では、少なくとも40%の低減化が、42日間の嫌気性貯蔵後に観察される。
【0067】
いくつかの態様では、従来の病原体低減化法と比較した場合の、酸素および二酸化炭素枯渇化血液製剤における溶血低減化は、少なくとも45%である。一態様では、少なくとも45%の低減化が、21日間の嫌気性貯蔵後に観察される。別の態様では、少なくとも45%の低減化が、35日間の嫌気性貯蔵後に観察される。さらなる一態様では、少なくとも45%の低減化が、42日間の嫌気性貯蔵後に観察される。いくつかの態様では、従来の病原体低減化法と比較した場合の溶血低減化は、少なくとも50%である。一態様では、少なくとも50%の低減化が、21日間の嫌気性貯蔵後に観察される。別の態様では、少なくとも50%の低減化が、35日間の嫌気性貯蔵後に観察される。さらなる一態様では、少なくとも50%の低減化が、42日間の嫌気性貯蔵後に観察される。
【0068】
溶血低減化によって示される赤血球の改善された健康度に起因して、病原体不活性化の前に血液中の酸素レベルを低減化することによって、病原体低減化血液製剤の安全な貯蔵期間(例えば、貯蔵寿命)を延長することができる。理論に限定されるものではないが、貯蔵血液製剤の安全性および有用性は、多数の測定可能なパラメータに反映されると考えられる。そのパラメータの中には、全体の溶血レベルおよび微小粒子レベルがある。したがって、本明細書の方法を使用して観察される溶血低減化および微小粒子形成の低減化は、特徴付けられていないかまたは未知の血液生理学に対して根本的な改善を反映してもよい。
【0069】
病原体処理の前に血液中の酸素を低減化することによって提供される赤血球の改善された初期健康度に起因して、本明細書は、病原体低減化血液製剤の安全な貯蔵期間(例えば、貯蔵寿命)の延長を提供および包含する。本明細書に提供されるように、病原体低減化血液製剤の貯蔵寿命は、1週間以上増大されることができる。一態様では、貯蔵寿命は、2週間まで増大されることができる。他の態様では、貯蔵寿命は、血液が0.8%未満の溶血レベルを保持したままで、3週間まで増大されることができる。
【0070】
上記で提供されるように、様々な病原体低減化法は、1つまたは複数の波長の光で照射する前に血液製剤に添加されるべきより多くの光増感剤の1つを提供する。表1は、多数の好適な光増感剤を示す。本明細書で使用される場合、光増感剤は、反応性生成物、ならびにそれ自体が反応性である光増感剤(例えば、ソラレン関連光増感剤)を含む。
【0071】
【0072】
【0073】
本明細書に従う複数の態様では、病原体低減化法は、1つまたは複数の光増感剤を含んでもよい。一態様では、光増感剤は、リボフラビンである。本開示の一態様では、リボフラビンの最終濃度は、40~60μMである。別の態様では、リボフラビンの最終濃度は、少なくとも40μMである。別の態様では、リボフラビンの最終濃度は、多くても60μMである。別の態様では、リボフラビンの最終濃度は、40~55μMである。別の態様では、リボフラビンの最終濃度は、45~55μMである。さらなる一態様では、リボフラビンの最終濃度は、50~60μMである。一態様では、リボフラビンの最終濃度は、50μMである。
【0074】
本開示は、病原体レベルを低減化させるために添加された光増感剤を有する、酸素低減化血液製剤の照射を提供、および包含する。本明細書で使用される場合、「照射」という用語は、可視および紫外線波長の両方を使用して血液を照らすことを意味する。
【0075】
本開示の一態様では、リボフラビンを有する酸素低減化血液製剤は、265~400nmで照射される。別の態様では、血液製剤は、300~400nmで照射される。別の態様では、血液製剤は、265~350nmで照射される。酸素低減化血液製剤の照射のために好適な波長は、例えば、表1に提供されるような光増感剤に基づいて、決定される。本明細書によって提供されるように、酸素レベルの低減化は、通常病原体低減化プロセスに起因し、病原体不活性化血液製剤中の赤血球の改善された健康度を反映する、溶血の減少および微小粒子形成の減少をもたらす。
【0076】
本明細書は、3.2~7.0J/cm2のUV放射露光量を用いて、リボフラビンを有する酸素低減化血液製剤を照射することを提供、および包含する。別の態様では、リボフラビンを含有する酸素低減化全血は、5~7.0J/cm2のUV放射露光量で照射される。別の態様では、リボフラビンを含有する酸素低減化全血は、5~6.0J/cm2のUV放射露光量で照射される。別の態様では、リボフラビンを含有する酸素低減化全血は、4~7.0J/cm2のUV放射露光量で照射される。別の態様では、リボフラビンを含有する酸素低減化全血は、少なくとも3.2J/cm2のUV放射露光量で照射される。別の態様では、リボフラビンを含有する酸素低減化全血は、少なくとも5J/cm2のUV放射露光量で照射される。さらなる一態様では、リボフラビンを含有する酸素低減化全血は、多くても7.0J/cm2のUV放射露光量で照射される。
本開示は、最大100J/mLの総放射線量を提供し、および包含した。一態様では、放射線量は、10~100J/mLである。別の態様では、放射線量は、50~100J/mLである。別の態様では、放射線量は、50~80J/mLである。他の態様では、放射線量は、150J/mL未満である。一態様では、放射線量は、少なくとも25J/mLである。他の好適な放射線量は、決定されることができる。
【0077】
本明細書は、貯蔵血液中の微小粒子レベルを低減化させる病原体不活性化方法を提供、および包含する。本明細書に従う態様では、本方法は、酸素低減化血液製剤を得ることと、光増感剤を添加することと、その光増感剤含有酸素低減化血液製剤を照射することと、を含む。特定の態様では、本方法は、照射された光増感剤含有酸素低減化血液製剤をある貯蔵期間にわたって貯蔵することをさらに含む。他の態様では、照射された光増感剤含有酸素低減化血液製剤は、ある貯蔵期間にわたり嫌気性条件下で貯蔵される。
【0078】
本明細書に提供されるように、貯蔵期間は、好気性または嫌気性のいずれかの条件下で最大9週間であってもよく、微小粒子形成の低減化をもたらす。一態様では、好気性または嫌気性のいずれかの条件下での貯蔵期間は、2週間である。別の態様では、好気性または嫌気性のいずれかの条件下での貯蔵期間は、3週間である。さらなる一態様では、好気性または嫌気性のいずれかの条件下での貯蔵期間は、3週間である。本方法は、好気性または嫌気性のいずれかの条件下で4週間の貯蔵期間をさらに提供する。他の態様では、病原体不活性化後の貯蔵期間は、5週間であってもよい。さらに他の態様では、好気性または嫌気性での貯蔵期間は、6週間である。さらなる一態様では、好気性または嫌気性での貯蔵期間は、6週間である。特に、貯蔵期間が延長されるにつれて、血液細胞品質における観察された改善が増大する。理論に限定されるものではないが、微小粒子形成の低減化は、即時に赤血球品質が改善された結果であると考えられる。すなわち、赤血球の品質は、貯蔵前に改善され、微小粒子形成の減少は、その改善の証拠である。赤血球における他の特徴付けられていない変化が、観察された微小粒子低減化の根底にあるかもしれないと、考えられる。
【0079】
本明細書に従う態様では、微小粒子形成の低減化を提供する病原体低減化法は、1つまたは複数の光増感剤を含んでもよい。一態様では、光増感剤は、リボフラビンである。本開示の一態様では、リボフラビンの最終濃度は、40~60μMである。別の態様では、リボフラビンの最終濃度は、少なくとも40μMである。別の態様では、リボフラビンの最終濃度は、多くても60μMである。別の態様では、リボフラビンの最終濃度は、40~55μMである。別の態様では、リボフラビンの最終濃度は、45~55μMである。さらなる一態様では、リボフラビンの最終濃度は、50~60μMである。一態様では、リボフラビンの最終濃度は、50μMである。
【0080】
本開示は、病原体レベルを低減化させ、かつ微小粒子形成を低減化させるために添加された光増感剤を有する、酸素低減化血液製剤の照射を提供、および包含する。本明細書で使用される場合、「照射」という用語は、可視および紫外線波長の両方を使用して血液を照らすことを意味する。
【0081】
本開示の一態様では、リボフラビンを有する酸素低減化血液製剤は、265~400nmで照射され、微小粒子形成の低減化をもたらす。別の態様では、血液製剤は、300~400nmで照射される。別の態様では、血液製剤は、265~350nmで照射される。酸素低減化血液製剤の照射のために好適な波長は、例えば、表1に提供されるような光増感剤に基づいて、決定される。本明細書によって提供されるように、酸素レベルの低減化は、通常病原体低減化プロセスに起因し、病原体不活性化血液製剤中の赤血球の改善された健康度を反映する、微小粒子形成の減少をもたらす。
【0082】
微小粒子形成における低減化は、当該技術分野で既知の方法によって測定され得る。微小粒子形成のための好適な方法としては、Schubert et al.(Schubert,et al.、“Whole blood treated with riboflavin and ultraviolet light: Quality assessment of all blood components produced by the buffy coat method,” Transfusion 55(4):815-823(2015))が挙げられる。微小粒子の数の絶対値が決定され得るが、一般に、微小粒子の低減化は対照試料に対して決定される。本明細書において、対照は、非酸素低減化血液製剤を含む。絶対値は、標準値のセットを準備することにより、決定されてもよい。
【0083】
本明細書の方法は、貯蔵血液中の微小粒子形成の低減化を提供する。いくつかの態様では、貯蔵血液は、嫌気性条件下で貯蔵され、このようにして、病原体不活性化プロセスのために得られた酸素低減化状態を維持する。他の態様では、貯蔵血液は、従来の貯蔵条件下で維持される。従来の貯蔵条件では、経時的に酸素の進入が可能であり、ATPおよび2,3-DPGへの改善を減少させるが、例えば、従来の貯蔵は、費用を削減し、既存の血液バンク施設の途絶を減少させるかもしれない。しかしながら、ほとんどの態様では、貯蔵は、二酸化炭素を伴うかまたは伴わないかのいずれかの嫌気性条件下で行われ得ることが、望まれる。
【0084】
本明細書に提供されるように、微小粒子形成は、病原体不活性化法を完了する前に、酸素を25%以下のSO2に低減化することによって減少する。一態様では、微小粒子は、2日後に、同等に処理された好気性試料と比較して、酸素低減化試料において約2倍まで低減化される。本方法は、1週間後に、微小粒子の少なくとも2倍の低減化をさらに提供する。一態様では、微小粒子のレベルは、2週間の貯蔵後に、5倍超まで低減化される。一態様では、微小粒子は、3週間後に9倍まで低減化される。さらなる一態様では、微小粒子の数は、6週間の貯蔵後に、9倍まで低減化される。本方法は、嫌気性条件下での9週間の貯蔵後に、微小粒子形成の少なくとも2倍の低減化を提供する。他の態様では、本方法は、好気性条件下での9週間の貯蔵後に、微小粒子形成の少なくとも2倍の低減化を提供する。
【0085】
また、本方法により、酸素の存在下で実施される病原体低減化方法と比較して、少なくとも3倍の微小粒子形成の低減化も提供される。2~6週間で測定された場合に、微小粒子のレベルは、同様に処理された酸素含有試料と比較して、少なくとも3倍少ないままである。他の態様では、低減化された微小粒子形成は、2週間の貯蔵後に少なくとも5倍の低減化をもたらす。
【0086】
本明細書の態様では、微小粒子形成のレベルは、非病原体処理試料のレベルまで低減化される。したがって、本明細書の方法を使用して、病原体不活性化に起因する微小粒子形成の増加が逆転する。
【0087】
本明細書は、延長された貯蔵寿命を有する、改善された血液組成物を提供、および包含する。一態様では、本開示は、CPD中で収集された全血を含み、40~60μMのリボフラビンを有し、1~25%未満の酸素飽和度(SO2)を有し、37℃で90mmHg以下のpCO2を有し、265~400nmのUV光で照射された、酸素低減化全血を提供、および包含する。
【0088】
本明細書に従う複数の態様では、25%未満の酸素飽和度(SO2)を有する全血を含む酸素低減化全血は、20%未満のSO2を有してもよい。他の態様では、リボフラビン含有病原体低減化血液は、15%未満のSO2を有してもよい。一態様では、リボフラビン含有酸素低減化血液製剤中のSO2レベルは、10%未満のSO2を有してもよい。特定の態様では、リボフラビン含有病原体低減化血液は、5%のSO2を有してもよい。本明細書は、5~20%のSO2を有する酸素低減化全血をさらに提供する。別の態様では、SO2は、5~25%であってもよい。別の態様では、SO2は、5~15%であってもよい。さらなる一態様では、SO2は、5~10%に低減化される。
【0089】
本明細書に従う複数の態様では、リボフラビンを含有する酸素低減化全血は、3.2~7.0J/cm2のUV放射線量で照射される。別の態様では、リボフラビンを含有する酸素低減化全血は、5~7.0J/cm2のUV放射線量で照射される。別の態様では、リボフラビンを含有する酸素低減化全血は、5~6.0J/cm2のUV放射線量で照射される。別の態様では、リボフラビンを含有する酸素低減化全血は、4~7.0J/cm2のUV放射線量で照射される。別の態様では、リボフラビンを含有する酸素低減化全血は、少なくとも3.2J/cm2のUV放射線量で照射される。別の態様では、リボフラビンを含有する酸素低減化全血は、少なくとも5J/cm2のUV放射線量で照射される。さらなる一態様では、リボフラビンを含有する酸素低減化全血は、多くても7.0J/cm2のUV放射線量で照射される。
【0090】
本明細書は、延長された貯蔵寿命を有する、改善された血液組成物を提供、および包含する。一態様では、本開示は、CPD中で収集された全血を含み、40~60μMのリボフラビンを有し、1~25%の酸素飽和度(SO2)を有し、37℃で20mmHg以下のpCO2を有する酸素および二酸化炭素低減化全血であって、その酸素低減化全血が265~400nmのUV光で照射されたものである、酸素および二酸化炭素低減化全血を提供、および包含する。別の態様では、CPD中で収集された全血を含み、40~60μMのリボフラビンを有し、1~25%の酸素飽和度(SO2)を有し、37℃で20~40mmHgのpCO2を有する、酸素および二酸化炭素低減化全血であり、ここで、その酸素低減化全血は、265~400nmのUV光で照射されている。別の態様では、CPD中で収集された全血を含み、40~60μMのリボフラビンを有し、1~25%の酸素飽和度(SO2)を有し、37℃で40~70mmHgのpCO2を有する、酸素および二酸化炭素低減化全血であり、ここで、その酸素低減化全血は、265~400nmのUV光で照射されている。一態様では、CPD中で収集された全血を含み、40~60μMのリボフラビンを有し、1~25%未満の酸素飽和度(SO2)を有し、37℃で10~20mmHgのpCO2を有する、酸素および二酸化炭素低減化全血であり、ここで、その酸素低減化全血は、265~400nmのUV光で照射されている。別の態様では、CPD中で収集された全血を含み、40~60μMのリボフラビンを有し、1~25%の酸素飽和度(SO2)を有し、37℃で15mmHg未満のpCO2を有する、酸素および二酸化炭素低減化全血であり、ここで、その酸素低減化全血は、265~400nmのUV光で照射されている。
【0091】
本明細書の方法は、酸素存在下で行われる病原体低減化方法と比較して、貯蔵血液中の、全血球数(CBC)、残存する病原体の濃度、溶血パーセント、ATP、2,3-DPG、変形能、微小粒子形成、細胞膜表面上のホスファチジルセリン暴露、%SO2、およびS-303の分解反応速度、ならびにそれらの組み合わせを含む群から選択されるパラメータの改善を提供、および包含する。いくつかの態様では、貯蔵血液は、嫌気性条件下で貯蔵され、このようにして、病原体不活性化プロセスのために得られた酸素低減化状態を維持する。他の態様では、貯蔵血液は、従来の貯蔵条件下で維持される。従来の貯蔵条件では、経時的に酸素の進入が可能であり、ATPおよび2,3-DPGへの改善を減少させるが、例えば、従来の貯蔵は、費用を削減し、既存の血液バンク施設の途絶を減少させるかもしれない。しかしながら、ほとんどの態様では、貯蔵は、二酸化炭素を伴うかまたは伴わないかのいずれかの嫌気性条件下で行われ得ることが、望まれる。
【0092】
本明細書の方法は、血液製剤から酸素を除去すること、0.2mMの最終濃度までS-303を添加すること、および2~20mMの最終濃度までGSHを添加すること、を含む、血液製剤の溶血低減化のための方法を提供する。別の態様では、溶血低減化は、血液製剤から酸素を除去すること、0.2mMの最終濃度までS-303を添加すること、および5~10mMの最終濃度までGSHを添加すること、を含む。他の態様では、溶血低減化は、血液製剤から酸素および二酸化炭素を除去すること、0.2mMの最終濃度までS-303を添加すること、および2~20mMの最終濃度までGSHを添加すること、を含む。さらなる一態様では、溶血低減化は、血液製剤から酸素を除去すること、0.2mMの最終濃度までS-303を添加すること、2~20mMの最終濃度までGSHを添加すること、および嫌気性条件下で貯蔵すること、を含む。さらなる別の態様では、血液製剤の溶血低減化は、添加剤溶液を血液製剤に混合すること、血液製剤から酸素を除去すること、0.2mMの最終濃度までS-303を添加すること、2~20mMの最終濃度までGSHを添加すること、および嫌気性条件下で貯蔵すること、を含む。本明細書の方法はまた、1.0%未満の溶血レベルを維持することによって、S-303病原体不活性化および酸素低減血液製剤において溶血の低減化も提供する。一態様では、溶血は、0.8%未満である。別の態様では、溶血は、0.2%以下である。さらなる一態様では、溶血は、0.4%以下である。さらなる別の態様では、溶血は、0.6%以下である。別の態様では、溶血は、0.01~0.2%である。特定の態様では、溶血は、0.2~0.8%である。別の態様では、溶血は、0.2~0.6%である。別の態様では、溶血は、0.5~1.0%である。
【0093】
本明細書の方法は、血液製剤から酸素を除去すること、S-303を0.2mMの最終濃度まで添加すること、およびGSHを2~20mMの最終濃度まで添加すること、を含む、血液製剤の微小粒子形成の低減化を提供する。別の態様では、微小粒子形成の低減化は、血液製剤から酸素を除去すること、0.2mMの最終濃度までS-303を添加すること、および2~10mMの最終濃度までGSHを添加すること、を含む。他の態様では、微小粒子形成の低減化は、血液製剤から酸素および二酸化炭素を除去すること、0.2mMの最終濃度までS-303を添加すること、および2~20mMの最終濃度までGSHを添加すること、を含む。さらなる一態様では、微小粒子形成の低減化は、血液製剤から酸素を除去すること、0.2mMの最終濃度までS-303を添加すること、2~20mMの最終濃度までGSHを添加すること、および嫌気性条件下で貯蔵すること、を含む。さらなる別の態様では、血液製剤の微小粒子形成の低減化は、添加剤溶液を血液製剤に混合すること、血液製剤から酸素を除去すること、0.2mMの最終濃度までS-303を添加すること、2~20mMの最終濃度までGSHを添加すること、および嫌気性条件下で貯蔵すること、を含む。さらなる別の態様では、血液製剤の微小粒子形成の低減化は、添加剤溶液を血液製剤に混合すること、血液製剤から酸素を除去すること、0.2mMの最終濃度までS-303を添加すること、2~20mMの最終濃度までGSHを添加すること、血液製剤を遠心分離すること、および嫌気性条件下で貯蔵すること、を含む。本明細書の方法はまた、少なくとも1週間の貯蔵後に微小粒子のレベルを5倍超まで低減化させることによる、S-303病原体不活性化および酸素低減化血液製剤における微小粒子形成の低減化も提供する。一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、4倍超まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、3倍超まで低減化される。さらなる別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、2倍超まで低減化される。一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、10%超まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、25%超まで低減化される。さらなる一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、10~50%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に20~60%まで低減化される。さらなる一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、60%超まで低減化される。一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、60~90%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の保存後に90~100%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、80%超まで低減化される。本明細書の方法はまた、少なくとも3週間の貯蔵後に微小粒子のレベルを5倍超まで低減化させることによる、S-303病原体不活性化および酸素低減化血液製剤における微小粒子形成の低減化も提供する。一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に、4倍超まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に、3倍超まで低減化される。さらなる別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に、2倍超まで低減化される。一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に、10%超まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に、25%超まで低減化される。さらなる一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に、10~50%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に20~60%まで低減化される。さらなる一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に、60%超まで低減化される。一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に、60~90%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に90~100%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に、80%超まで低減化される。本明細書の方法はまた、3週間の貯蔵後に微小粒子のレベルを5倍超まで低減化させることによる、S-303病原体不活性化および酸素低減化血液製剤における微小粒子形成の低減化も提供する。一態様では、微小粒子のレベルは、3週間の貯蔵後に、4倍超まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、3週間の貯蔵後に、3倍超まで低減化される。さらなる別の態様では、微小粒子のレベルは、3週間の貯蔵後に、2倍超まで低減化される。一態様では、微小粒子のレベルは、3週間の貯蔵後に、10%超まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に、25%超まで低減化される。さらなる一態様では、微小粒子のレベルは、3週間の貯蔵後に、10~50%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、3週間の貯蔵後に20~60%まで低減化される。さらなる一態様では、微小粒子のレベルは、3週間の貯蔵後に、60%超まで低減化される。一態様では、微小粒子のレベルは、3週間の貯蔵後に、60~90%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、3週間の貯蔵後に90~100%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に、80%超まで低減化される。本明細書の方法はまた、少なくとも6週間の貯蔵後に微小粒子のレベルを5倍超まで低減化させることによる、S-303病原体不活性化および酸素低減化血液製剤における微小粒子形成の低減化も提供する。一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも6週間の貯蔵後に、4倍超まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも6週間の貯蔵後に、3倍超まで低減化される。さらなる別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも6週間の貯蔵後に、2倍超まで低減化される。一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも6週間の貯蔵後に、10%超まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも6週間の貯蔵後に、25%超まで低減化される。さらなる一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に、10~50%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも6週間の貯蔵後に20~60%まで低減化される。さらなる一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも6週間の貯蔵後に、60%超まで低減化される。一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも6週間の貯蔵後に、60~90%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも6週間の貯蔵後に90~100%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも6週間の貯蔵後に、80%超まで低減化される。
【0094】
本明細書は、延長された貯蔵寿命を有する、改善された血液組成物を提供、および包含する。一態様では、本開示は、約0.2mMの最終濃度のS-303を有し、25%未満の酸素飽和度(SO2)を有し、37℃で90mmHg以下のpCO2を有する赤血球を含む酸素低減化赤血球を提供、および包含する。別の態様では、約0.2mMの最終濃度のS-303および約5~20mMの最終濃度のGSHを有する赤血球を含む酸素低減化赤血球である。一態様では、酸素低減化赤血球はまた、約0.2mMの最終濃度のS-303を有し、25%未満の酸素飽和度(SO2)を有し、37℃で90mmHg以下のpCO2を有する赤血球を含む二酸化炭素低減化赤血球である。別の態様では、酸素および二酸化炭素低減化赤血球は、約0.2mMの最終濃度のS-303および約2~20mMの最終濃度のGSHを有する赤血球を含む。本明細書はまた、CBC、残存する病原体の濃度、溶血パーセント、ATP、2,3-DPG、変形能、微小粒子形成、細胞膜表面上へのホスファチジルセリン曝露、%SO2、およびS-303の分解反応速度、からなる群から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つのパラメータにおいて改善を有する、改善された血液組成物も提供、および包含する。一態様では、改善された血液組成物は、CBC、残存する病原体の濃度、溶血パーセント、ATP、2,3-DPG、変形能、微小粒子形成、細胞膜表面上へのホスファチジルセリン曝露、%SO2、およびS-303の分解反応速度、からなる群から選択される2つのパラメータにおいて改善を有する。別の態様では、改善された血液組成物は、CBC、残存する病原体の濃度、溶血パーセント、ATP、2,3-DPG、変形能、微小粒子形成、細胞膜表面上へのホスファチジルセリン曝露、%SO2、およびS-303の分解反応速度、からなる群から選択される3つのパラメータにおいて改善を有する。さらなる一態様では、改善された血液組成物は、CBC、残存する病原体の濃度、溶血パーセント、ATP、2,3-DPG、変形能、微小粒子形成、細胞膜表面上へのホスファチジルセリン曝露、%SO2、およびS-303の分解反応速度、からなる群から選択される3つのパラメータにおいて改善を有する。さらなる別の態様では、改善された血液組成物は、CBC、残存する病原体の濃度、溶血パーセント、ATP、2,3-DPG、変形能、微小粒子形成、細胞膜表面上へのホスファチジルセリン曝露、%SO2、およびS-303の分解反応速度、からなる群から選択される4つのパラメータにおいて改善を有する。別の態様では、改善された血液組成物は、CBC、残存する病原体の濃度、溶血パーセント、ATP、2,3-DPG、変形能、微小粒子形成、細胞膜表面上へのホスファチジルセリン曝露、%SO2、およびS-303の分解反応速度、からなる群から選択される5つのパラメータにおいて改善を有する。別の態様では、改善された血液組成物は、CBC、残存する病原体の濃度、溶血パーセント、ATP、2,3-DPG、変形能、微小粒子形成、細胞膜表面上へのホスファチジルセリン曝露、%SO2、およびS-303の分解反応速度、からなる群から選択される5~9つのパラメータにおいて改善を有する。
【0095】
本明細書は、病原体のレベルを10%超まで低減化させることによって、改善された濃度の残存する病原体を有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化された改善された血液組成物を提供する。特定の態様では、残存する病原体の濃度は、20%超まで低減化される。他の態様では、残存する病原体の濃度は、30%まで低減化される。別の態様では、残存する病原体の濃度は、40%超まで低減化される。さらなる別の態様では、残存する病原体の濃度は、60%超まで低減化される。さらなる一態様では、残存する病原体の濃度は、80%超まで低減化される。特定の態様では、残存する病原体の濃度は、10~50%まで低減化される。他の態様では、残存する病原体の濃度は、50~95%まで低減化される。別の態様では、残存する病原体の濃度は、60~100%まで低減化される。いくつかの態様では、本明細書は、改善された濃度の残存する病原体を有し、さらにまた低減化された二酸化炭素を有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化された改善された血液組成物を提供する。
【0096】
本明細書は、1.0%未満の溶血レベルを有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化された改善された血液組成物を提供する。一態様では、溶血は、0.8%未満である。別の態様では、溶血は、0.2%以下である。さらなる一態様では、溶血は、0.4%以下である。さらなる別の態様では、溶血は、0.6%以下である。別の態様では、溶血は、0.01~0.2%である。特定の態様では、溶血は、0.2~0.8%である。別の態様では、溶血は、0.2~0.6%である。別の態様では、溶血は、0.5~1.0%である。いくつかの態様では、本明細書は、改善された溶血を有し、さらにまた低減化された二酸化炭素を有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化された改善された血液組成物を提供する。
【0097】
本明細書は、改善された変形能を有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化された改善された血液組成物を提供する。特定の態様では、変形能は、5%超だけ増大する。他の態様では、変形能は、10%超だけ増大する。別の態様では、変形能は、10~50%増大する。他の態様では、変形能は、50%超だけ増大する。いくつかの態様では、本明細書は、改善された変形能を有し、さらにまた低減化された二酸化炭素を有する、S-303病原体不活性化および酸素低減された改善された血液組成物を提供する。
【0098】
本明細書は、増大されたレベルのATPを有することにより改善されたレベルのATPを有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化された改善された血液組成物を提供する。特定の態様では、ATPレベルは、10%超だけ増大する。他の態様では、ATPレベルは、5~40%増大する。別の態様では、ATPレベルは、1週間の貯蔵後に、増大する。他の態様では、ATPレベルは、2週間の貯蔵後に、増大する。別の態様では、ATPレベルは、4週間の貯蔵後に、増大する。さらなる別の態様では、ATPレベルは、5週間の貯蔵後に、増大する。さらなる一態様では、ATPレベルは、6週間の貯蔵後に、増大する。いくつかの態様では、本明細書は、改善されたATPレベルを有し、さらにまた低減化された二酸化炭素を有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化された改善された血液組成物を提供する。
【0099】
本明細書は、増大されたレベルの2,3-DPGを有することにより改善されたレベルの2,3-DPGを有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化された改善された血液組成物を提供する。特定の態様では、2,3-DPGのレベルは、10%超だけ増大する。他の態様では、2,3-DPGのレベルは、20%超だけ増大する。さらなる態様では、2,3-DPGのレベルは、30%超だけ増大する。他の態様では、2,3-DPGのレベルは、5~40%増大する。別の態様では、2,3-DPGのレベルは、1週間の貯蔵後に、増大する。他の態様では、2,3-DPGのレベルは、2週間の貯蔵後に、増大する。別の態様では、2,3-DPGのレベルは、4週間の貯蔵後に、増大する。さらなる別の態様では、2,3-DPGのレベルは、5週間の貯蔵後に、増大する。さらなる一態様では、2,3-DPGのレベルは、6週間の貯蔵後に、増大する。いくつかの態様では、本明細書は、改善された2,3-DPGレベルを有し、さらにまた低減化された二酸化炭素を有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化された改善された血液組成物を提供する。
【0100】
本明細書は、少なくとも1週間の貯蔵後に微小粒子のレベルを5倍だけ低減化することにより、改善されたレベルの微小粒子を有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化された改善された血液組成物を提供する。一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、4倍超まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、3倍超まで低減化される。さらなる別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、2倍超まで低減化される。一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、10%超まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、25%超まで低減化される。さらなる一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、10~50%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の保存後に20~60%まで低減化される。さらなる一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、60%超まで低減化される。一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、60~90%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の保存後に90~100%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、80%超まで低減化される。一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に、10%超まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に、25%超まで低減化される。さらなる一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に、10~50%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に20~60%まで低減化される。さらなる一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に、60%超まで低減化される。一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に、60~90%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に90~100%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも3週間の貯蔵後に、80%超まで低減化される。一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも6週間の貯蔵後に、10%超まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも6週間の貯蔵後に、25%超まで低減化される。さらなる一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも6週間の貯蔵後に、10~50%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも6週間の貯蔵後に20~60%まで低減化される。さらなる一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも6週間の貯蔵後に、60%超まで低減化される。一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも6週間の貯蔵後に、60~90%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも6週間の貯蔵後に90~100%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも6週間の貯蔵後に、80%超まで低減化される。いくつかの態様では、本明細書は、改善された微小粒子レベルを有し、さらにまた低減化された二酸化炭素を有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化された改善された血液組成物を提供する。
【0101】
本明細書はまた、細胞膜の細胞質ゾル表面に沿ってホスファチジルセリンの非対称分布を維持することによって、細胞膜表面上の改善されたホスファチジルセリン曝露を有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化された改善された血液組成物を提供する。特定の態様では、ホスファチジルセリン発現は、細胞膜を蛍光アネキシン-Vで標識し、フローサイトメトリまたは顕微鏡法で定量化することにより、測定されることができる。いくつかの態様では、本明細書は、低減化された二酸化炭素も有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化された改善された血液組成物を提供する。
【0102】
本明細書は、30%未満の%SO2を有することにより改善されたレベルの%SO2を有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化された改善された血液組成物を提供する。一態様では、%SO2は、25%未満である。別の態様では、%SO2は、20%未満である。さらなる別の態様では、%SO2は、20%未満である。さらなる一態様では、%SO2は、10%未満である。別の態様では、%SO2は、5%未満である。特定の態様では、%SO2は、5~20%である。他の態様では、%SO2は、3~15%である。いくつかの態様では、本明細書は、低減化された二酸化炭素も有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化された改善された血液組成物を提供する。
【0103】
本明細書は、3時間の病原体不活性化プロセスの後に低減化されたレベルのS-303を有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化された改善された血液組成物を提供する。一態様では、S-303のレベルは、6時間の病原体不活性化プロセスの後に低減化される。別の態様では、S-303のレベルは、9時間の病原体不活性化プロセスの後に低減化される。さらなる別の態様では、S-303のレベルは、12時間の病原体不活性化プロセスの後に低減化される。さらなる一態様では、S-303のレベルは、24時間の病原体不活性化プロセスの後に低減化される。いくつかの態様では、本明細書は、低減化された二酸化炭素も有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化された改善された血液組成物を提供する。
【0104】
本明細書の方法は、赤血球から酸素を除去すること、0.2mMの最終濃度までS-303を添加すること、および2~20mMの最終濃度までGSHを添加すること、を含む、血液製剤中のS-303の病原体不活性化の効能の改善を提供する。別の態様では、S-303の病原体不活性化の効能に対する改善は、血液製剤から酸素を除去すること、0.2mMの最終濃度までS-303を添加すること、および2~10mMの最終濃度までGSHを添加すること、を含む。他の態様では、血液製剤中のS-303の病原体不活性化の効能に対する改善は、血液製剤から酸素および二酸化炭素を除去すること、0.2mMの最終濃度までS-303を添加すること、および2~20mMの最終濃度までGSHを添加すること、を含む。さらなる一態様では、血液製剤中のS-303の病原体不活性化の効能に対する改善は、血液製剤から酸素を除去すること、0.2mMの最終濃度までS-303を添加すること、2~20mMの最終濃度までGSHを添加すること、および嫌気性条件下で貯蔵すること、を含む。さらなる別の態様では、血液製剤中のS-303の病原体不活性化の効能に対する改善は、添加剤溶液を血液製剤に混合すること、血液製剤から酸素を除去すること、0.2mMの最終濃度までS-303を添加すること、2~20mMの最終濃度までGSHを添加すること、および嫌気性条件下で貯蔵すること、を含む。特定の態様では、S-303の病原体不活性化の効能に対する改善は、残存する病原体の濃度を10%超まで低減化することによる。特定の態様では、残存する病原体の濃度は、20%超まで低減化される。他の態様では、残存する病原体の濃度は、30%まで低減化される。別の態様では、残存する病原体の濃度は、40%超まで低減化される。さらなる別の態様では、残存する病原体の濃度は、60%超まで低減化される。さらなる一態様では、残存する病原体の濃度は、80%超まで低減化される。特定の態様では、残存する病原体の濃度は、10~50%まで低減化される。他の態様では、残存する病原体の濃度は、50~95%まで低減化される。別の態様では、残存する病原体の濃度は、60~100%まで低減化される。
【0105】
さらなる別の態様では、血液製剤の微小粒子形成の低減化は、添加剤溶液を血液製剤に混合すること、血液製剤から酸素を除去すること、0.2mMの最終濃度までS-303を添加すること、2~20mMの最終濃度までGSHを添加すること、血液製剤を遠心分離すること、および嫌気性条件下で貯蔵すること、を含む。特定の態様では、血液製剤における微小粒子形成の低減化は、少なくとも1週間の貯蔵後に微小粒子のレベルを5倍まで低減化することを含む。一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、4倍超まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、3倍超まで低減化される。さらなる別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、2倍超まで低減化される。一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、10%超まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、25%超まで低減化される。さらなる一態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の貯蔵後に、10~50%まで低減化される。別の態様では、微小粒子のレベルは、少なくとも1週間の保存後に20~60%まで低減化される。
【0106】
本明細書は、プールされた血液試料と比較した場合に、貯蔵血液中の、CBC、残存する病原体の濃度、溶血パーセント、ATP、2,3-DPG、変形能、微小粒子形成、細胞膜表面上のホスファチジルセリン曝露、%SO2、およびS-303の分解反応速度からなる群から選択される改善されたパラメータを有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化血液組成物を提供する。特定の態様では、貯蔵血液中の、CBC、残存する病原体の濃度、溶血パーセント、ATP、2,3-DPG、変形能、微小粒子形成、細胞膜表面上のホスファチジルセリン曝露、%SO2、およびS-303の分解反応速度は、上述のとおりである。
【0107】
本明細書は、酸素存在下で実施される病原体低減化法を有する血液ユニットと比較した場合に、貯蔵血液中の、CBC、残存する病原体の濃度、溶血パーセント、ATP、2,3-DPG、変形能、微小粒子形成、細胞膜表面上のホスファチジルセリン曝露、%SO2、およびS-303の分解反応速度を含む群から選択される改善されたパラメータを有する、S-303病原体不活性化および酸素低減化血液を提供する。
【0108】
「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「包含する(includes)」、「包含している(including)」、「有する」という用語およびそれらの活用形は、「含むがこれらに限定されない」ということを意味する。
【0109】
「からなる(consisting of)」という用語は、「含みかつそれらに限定される」ということを意味する。
【0110】
「から本質的になる」という用語は、さらなる成分、工程、および/または部品が、特許請求される組成物、方法、または構造の基本的および新規の特徴を実質的に改変しない場合にのみ、組成物、方法、または構造が、さらなる成分、工程、および/または部分を含んでもよいことを意味する。
【0111】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が別段明確に指示しない限り、複数の参照を含む。例えば、「1つの化合物」または「少なくとも1つの化合物」という用語は、それらの混合物を含む、複数の混合物を含んでもよい。
【0112】
本開示は特定の態様を参照して説明されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされてもよいこと、相当物はそれらの構成要素で代用されてもよいこと、が、当業者に理解されるであろう。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本開示の教示に適合させるために、多くの修正がなされてもよい。
【0113】
したがって、本開示は、本開示を実施するために熟慮される最良の形態として開示された特定の態様に限定されないことが意図されるが、本開示は、添付の特許請求の範囲内にある範囲および主旨の範囲内にある全ての態様を含み得ることが意図される。
【実施例0114】
実施例1:血液の収集および試料調製
【0115】
6つのABO適合全血ユニットが、収集され、プールされ、表2に示されるように、3つの対で6つの試料に分割される。全血の6ユニット(450mL+10%)はCPD中で収集され、病原体不活性化処理まで冷却トレーに保持される。献血当日(D0)、これら6つの全血ユニットがプールされ、分割される。全血の脱酸素化は、以下に記載されるように実施される。表2に示されるように、ユニットは、食塩水またはリボフラビンを用いて処理提供される。試料3および4は、病原体処置および成分の分離、ならびに濃厚赤血球の調製後に、酸素低減化される。試料5および6は、全血状態の時に酸素低減化され、成分の分離および濃厚赤血球の調製の前に、病原体低減化される。リボフラビン含有ユニットは、MIRASOL(登録商標)全血照射バッグに移され、全てのユニットは冷却トレー上に配置される。献血の24時間以内に、全血ユニットは、バフィーコート法により処理され、SAGM添加剤溶液の添加後に、赤血球濃縮物が貯蔵される。酸素低減化された赤血球濃縮物は、実施例2に記載のように調製される。
【0116】
【0117】
実施例2:全血の収集、白血球低減化、および気体枯渇
【0118】
CPD中のプールされ、分割された赤血球ユニット(「血液ユニット」)は、Mirasol処理および成分の分離後に、製造元の指示に従って白血球低減化される。
【0119】
各全血ユニット(試料5および6)は、95%N2および5%CO2気体の混合物を用いて700ml/分の流量で、Sorin D100メンブレン人工肺に連結された収集バッグ中の全血への輸送により、酸素枯渇のために処理され、3%未満の%SO2および70mmHg(37℃)のpCO2の事前貯蔵を達成する。試料6については、Mirasol(登録商標)ディスポーザブルからのO2(リボフラビン溶液を含まない)は、処理前に酸素除去される。各試料の調製直後に、ABL90血液気体レベルは、製造元の指示に従って測定され、ベースラインSO2およびpCO2レベル(例えば、T0)を確立する。試料6については、酸素低減化血液は、次いで、Mirasol処理バッグに輸送される。リボフラビンを添加した後、それをMirasol光増感デバイスに配置し、製造元の指示に従って、UVに暴露させる。Mirasol処理(試料6)の後、その内容物を元の血液収集バッグに戻し、次いで、標準的なトップボトムバフィーコート法に従って、成分を処理する。分離されたRBCは、取り付けられた白血球低減化フィルタを用いて、白血球低減化され、嫌気性キャニスター中で貯蔵される。試料5については、Mirasol処理工程は、上記から省略される。
【0120】
試料3および4については、分離され白血球低減化されたRBCバッグは、95%N2および5%CO2気体の混合物を用いて700ml/分の流量で、Sorin D100メンブレン人工肺に連結され、3%未満の%SO2および70mmHg(37℃)のpCO2の事前貯蔵を達成する。各試料の調製直後に、ABL90血液気体レベルは、製造元の指示に従って測定され、ベースラインSO2およびpCO2レベル(例えば、T0)を確立する。O2低減化されたRBCを、元のRBC貯蔵バッグに戻し入れ、嫌気性キャニスター中で貯蔵する。
実施例3:MIRASOL(登録商標)病原体低減化
【0121】
試料は、製造元の指示に従って、Mirasolイルミネーターを用いて処理される。実験は、各データ点において合計n=5の試料のために、5回繰り返される。
実施例4:嫌気性試験製品の貯蔵
【0122】
輸送バッグ中の、酸素低減化、ならびに酸素および二酸化炭素低減化血液は、メッシュ中に包まれ、ゴムで固定され、かつ4つの吸着剤サシェを有する嫌気性キャニスター(Mitsubishi,SS-300)中に置かれる。キャニスターは密封され、窒素ガスを使用して空気を除去する。嫌気性および好気性血液は、1~6℃の血液バンク冷蔵庫内に置かれる。キャニスターゲージは、5±1psiの読み取りを確実にするため、毎日モニターされる。2psi未満に低下したキャニスターは、調整される。
実施例5:試料分析
【0123】
2日目、7日目、14日目、21日目、28日、および42日目に、上記の実施例に従って調製した6つの試料の各々から、以下の測定が行われる。実験は、各データ点において合計n=5の試料のために、5回繰り返される。
a.試料調製
【0124】
これらの方法は当業者に既知である。赤血球上清は、Schubert et al.(Schubert,et al.、“Whole blood treated with riboflavin and ultraviolet light: Quality assessment of all blood components produced by the buffy coat method”、Transfusion 55(4):815-823(2015))の方法を用いて、小胞MV計数のために調製される。個々の試料中の赤血球数、平均血球体積(MCV)、および全ヘモグロビンは、ヘマトロジーアナライザー(ADVIA120、Siemens)にて測定される。ヘマトクリットは、製造元の指示に従って、Hettrich ZentrifugenからのHAEMATOKRIT 210デバイスを使用して、測定される。代謝産物(グルコースおよびラクテート)およびカリウム(K+)は、Gem Premier 3000血液ガスアナライザー(Instrumentation Laboratories)を用いて定量化される。pHは、Orion Ross Ultra Semi-Micro pHプローブ(Thermo Scientific)を用いて、測定される。1日目の測定後、ヘモグロビンおよび血液の気体状態は、Gem Premier 3000血液ガスアナライザー(Instrumentation Laboratories)を用いて、測定される(%SO2、pCO2、pH、K+、グルコース、%Hb-O2、%Hb-CO、%met-Hb、%Hb)。溶血度は、Han et. al、(2010)Vox Sang;98:116-23)のHarboe法によって測定される。赤血球中のATPレベルは、赤血球の過塩素酸抽出後にHPLCによって定量化される。細菌試験は、42日目に、BacT/ALERTシステム(bioMerieux)を用いて実施される。
【0125】
溶血分析の結果は、4に提示される。
図4に示されるように、病原体低減化前の酸素低減化は、全ての時点において溶血を大幅に低減化する。赤血球の貯蔵性に対する改善は、より早い時点で見られるが、その改善は14日目に明白になり始める。
【0126】
微小粒子における相対的低減化を示す微小粒子分析の結果は、
図5に提示される。
図5に示されるように、病原体低減化前の酸素低減化は、全ての時点において微小粒子の形成を大幅に低減化する。赤血球の貯蔵性に対する改善は、より早い時点で見られるが、その改善は14日目に明白になり始める。
【0127】
無菌食塩水を伴う対照全血(1平均)、リボフラビンを伴う対照全血(2平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化濃厚RBC(3平均)、リボフラビンを伴う酸素低減化pRBC(4平均)、無菌食塩水を伴う酸素低減化全血(5平均)、およびリボフラビンを伴う酸素低減化全血(6平均)の、浸透圧脆弱性(6A)、カリウム(6B)、総ヘモグロビン(6C)、酸素飽和度(6D)、グルコース(6E)、ラクテート(6F)およびpH(6G)の結果。
実施例6:酸素低減化血液についての病原体不活性化方法
【0128】
病原体不活性化のために処理される血液の試料は、まず、Sorin D100 メンブレン人工肺(Sorin Group,Arvada,CO)に連結され、95% N2および5% CO2気体の混合物を用いて700ml/分の流速でポンプされる、全血収集バッグに輸送することによって、酸素枯渇のために処理され、25%未満の%SO2および約23℃での約70mmHgのpCO2の前処理が達成される。抗凝固剤を伴う全血(WB)の所望の血液成分のために、500+/-50mLの容量が用いられ、添加剤溶液を伴う白血球低減化濃厚赤血球(LRpRBC)の所望の血液成分のために、500+/-50mLの容量が用いられ、懸濁された血小板(PLT)の所望の血液成分のために、試料は、400+/-50mLの総容量のために組み合わされ、血漿の所望の血液成分のために、各々約200mLの2ユニットが、400+/-50mLの総容量のために組み合わされる。血液試料は、ポリ塩化ビニル照射バッグ(TerumoBCT、Lakewood、CO)に輸送され、バッグは満たされ、計算された用量の架橋剤と混合される。次いで、照射バッグは、トレー上に配置され、架橋剤に従って適切な照射源で照射され、表に従って、所定の容量に必要とされる放射線量および所与の架橋剤に必要とされる用量に従って、照射時間が算出される。トレーは、照射中に穏やかに振とうされ、露光期間中、照射源への内容物の均一な露光をもたらす。照射サイクルが完了すると、血液試料は、冷蔵貯蔵のために、照射バッグから嫌気性貯蔵バッグに輸送される。全血試料は、遠心分離および別々の血液成分への分離によって、さらに処理されてもよい。本明細書の方法に好適な病原体不活性化方法としては、表1に提示される方法が挙げられる。
実施例7:血液成分のアフェレーシス収集およびUV処理
【0129】
血液ドナーは、17ゲージの皮下針を使用して静脈を穿刺することでアクセスされ、アフェレーシスシステムにつながれる。約450mLの全血(WB)が、ドナーからアフェレーシスシステムに吸い出され、遠心分離および血液成分の分離の前に、抗凝固剤と混合される。次いで、分離された赤血球(RBC)は、添加剤溶液およびリボフラビンと混合され、続いて、UV照射チャンバを通過させて、UV光を照射し、病原体を不活性化し、残存する任意の白血球も不活性化する。UV照射後、RBCは別個の貯蔵バッグ中に収集される。次いで、分離されたPLTは、PLT添加剤溶液およびリボフラビンと混合され、続いて、UV照射チャンバを通過させて、UV光を照射し、病原体を不活性化する。UV照射後、PLTは別個の貯蔵バッグ中に収集される。次いで、分離された血漿は、リボフラビンと混合され、続いて、UV照射チャンバを通過させて、UV光を照射し、病原体を不活性化する。UV照射後、血漿は別個の貯蔵バッグ中に収集される。交換液量の0.9%の生理食塩水および結晶質は、瀉血針を取り外す前に、ドナーに戻される。
実施例8:全血のアフェレーシス収集およびUV処理
【0130】
血液ドナーは、17ゲージの皮下針を使用して静脈を穿刺することでアクセスされ、アフェレーシスシステムにつながれる。約450mLの全血(WB)は、ドナーからアフェレーシスシステムに吸い出され、抗凝固剤およびリボフラビンと混合され、その後、照射チャンバを通過させて、UV光を照射し、病原体を不活性化し、続いて、遠心分離および血液成分の分離を行う。遠心分離および血液成分の分離後、RBCは添加剤溶液と混合され、別個の貯蔵バッグ中に収集される。次いで、分離されたPLTは、PLT添加剤溶液と混合され、別個の貯蔵バッグ中で収集される。分離された血漿は、別個の貯蔵バッグ中に収集される。交換液量の0.9%の生理食塩水および結晶質は、瀉血針を取り外す前に、ドナーに戻される。
実施例9:病原体不活性化(S-303)処理RBCの品質の検査
【0131】
添加剤溶液(例えば、AS3)を伴う白血球低減化濃厚赤血球(LRpRBC)の5ユニットが、全血球数(CBC)および酸素飽和度(%SO2)について測定される。5つのユニットは、一緒に2~3リットルの血液バッグ中にプールされて、均質プールを作製する。CBCおよび%SO2は、プールされたLRpRBCについて測定される。等量アリコートの300mLのLRpRBCは、5つの貯蔵容器内に置かれ、A~Eとラベルされ、表3に概説されるように処理され、標準的な血液バンク冷蔵庫内で42日間4℃で貯蔵される。
【0132】
実施例5に記載される方法を使用して、試料A~Eのアリコートを、0日目(貯蔵前)、7日目、14日目、21日目、および42日目に収集し、以下のパラメータ、CBC、溶血パーセント、ATP、2,3-DPG、MVAを用いる変形能、微小粒子、細胞膜上のホスファチジルセリン(PS)暴露、%SO2、RBC形態、およびRBC凝集、について試験する。S-303およびS-300の濃度は、0、3、6、9、12、および24時間で収集された試料A~Eのアリコートから、測定される。実験は、各データ点において合計n=5の試料のために、5回繰り返される。
【0133】
データの中心傾向は、平均値および中央値を用いて決定され、データの分散は標準偏差を用いて決定される。
【0134】
【表4】
実施例10:嫌気性条件下でのS-303病原体不活性化の効能の検査
【0135】
AS3添加剤溶液を伴う白血球低減化濃厚赤血球(LRpRBC)の5ユニットが、全血球数(CBC)および酸素飽和度(%SO2)について測定される。5つのユニットは、一緒に2~3リットルの血液バッグ中にプールされて、均質プールを作製する。CBCおよび%SO2は、プールされたLRpRBCについて測定される。プールされた血液は、製造元の指示に従って、選択された病原体またはモデルウイルスを用いてスパイクされる。等量アリコートの300mLのLRpRBCは、5つの貯蔵容器内に置かれ、A~Eとラベルされ、表3に概説されるように処理される。試料Bは、好気性条件下にて、約0.2mMのS-303および約2~20mMのグルタチオン(GSH)で処理される。試料CおよびDは、各々、酸素低減化の前および後に、約0.2mMのS-303および約2~20mMのGSHで処理される。試料Eは、ORB中で一晩、約0.2mMのS-303および約2~20mMのグルタチオン(GSH)で処理される。概説される処理の後、全ての試料は、標準的な血液バンク冷蔵庫内に4℃で42日間貯蔵される。代替的には、試料中のS-300の残存量は、遠心分離および新鮮なAS3の交換により、除去される。
【0136】
実施例5に記載される方法を使用して、試料A~Eのアリコートを、0日目(貯蔵前)、7日目、14日目、21日目、および42日目に収集し、以下のパラメータ、CBC、残存する病原体の濃度、溶血パーセント、溶血、ATP、2,3-DPG、MVAを用いる変形能、赤血球膜上のホスファチジルセリン(PS)暴露、および%SO2、について試験する。S-303およびS-300の濃度は、0、3、6、9、12、および24時間で収集された試料A~Eのアリコートから、測定される。実験は、各データ点において合計n=5の試料のために、5回繰り返される。
【0137】
データの中心傾向は、平均値および中央値を用いて決定され、データの分散は標準偏差を用いて決定される。様々な試料条件間の差異は、Neuman-Keuls多重比較試験での分散分析の繰り返し測定を用いて分析され、0.05未満の確率レベルが有意であると見なされる。