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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183179
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】ゲーム統合したスポーツチェア
(51)【国際特許分類】
   A47C 9/00 20060101AFI20221201BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
A47C9/00 Z
A47C7/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022152108
(22)【出願日】2022-09-26
(62)【分割の表示】P 2019565437の分割
【原出願日】2018-04-10
(31)【優先権主張番号】62/513,411
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】アンドン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ファム,ヒアン トミー
(72)【発明者】
【氏名】ワランズ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジュデルソン,ダニエル エー.
(72)【発明者】
【氏名】フスコ,シロ
(57)【要約】
【課題】従来技術の問題を解決する。
【解決手段】補助電子機能性を備えるスポーツチェアは、ユーザを支持するように作動する座席面と、熱管理機能性、同一性感知機能性、健康感知機能性、衣服統合、及び没入型ディスプレイ機能性から選択される補助機能性とを含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを支持するように作動する座席面と、
少なくとも1つの入力コントローラと、関連するディスプレイとを有する、ビデオゲームシステムと通信し、前記ユーザの生理学的パラメータを感知するように作動する少なくとも1つの生体測定センサと更に通信する、プロセッサと、を含み、
前記プロセッサは、
前記座席面上のユーザの存在を検出し、
前記生体測定センサから前記ユーザの感知される生理学的パラメータの指標を受信し、
前記感知される生理学的パラメータの前記指標を前記ビデオゲームシステムへの入力として提供する、
ように構成され、
前記指標は、前記入力コントローラの感度またはディスプレイを介して提供される画像の明瞭性もしくは視野のうちの少なくとも1つを変更するように作動する、
電子スポーツチェア。
【請求項2】
前記生体測定センサは、前記座席面に統合される、請求項1に記載の電子スポーツチェア。
【請求項3】
前記生体測定センサは、前記ユーザの身体上の衣服に統合され、
前記プロセッサは、前記衣服との無線通信を構築し、該無線通信を介して前記感知される生理学的パラメータの前記指標を受信する、ように更に構成される、
請求項1に記載の電子スポーツチェア。
【請求項4】
前記生理学的パラメータは、感知される心拍数または感知される呼吸数である、請求項1に記載の電子スポーツチェア。
【請求項5】
前記感知される心拍数または前記感知される呼吸数の増大が、前記ディスプレイの焦点を減少させるか、前記ディスプレイを介して表示される末梢視力の量を減少させるか、或いは前記コントローラ内のジッタの増加させるように作動する、請求項3に記載の電子スポーツチェア。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記感知される生理学的パラメータをディスプレイに出力するように更に構成される、請求項1に記載の電子スポーツチェア。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記ユーザの身体上の衣服との無線通信を構築し、
前記衣服の至る所に適用される張力を変更するように前記衣服を制御する、
ように更に構成される、
請求項1に記載の電子スポーツチェア。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記ユーザに対して前記衣服によって加えられる圧力の量を示す前記衣服からの張力フィードバック信号を受信するように更に構成され、
前記プロセッサは、前記張力フィードバック信号を使用して、前記衣服の至る所に適用される前記張力を制御するように作動する、
請求項7に記載の電子スポーツチェア。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記ユーザの同一性を決定し、
前記ユーザの前記同一性に関して前記感知される生理学的パラメータをデータベースに格納する、
ように更に構成される、
請求項1に記載の電子スポーツチェア。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記データベースから前記ユーザについての履歴的な生理学的パラメータを検索し、
前記ディスプレイを介して前記履歴的な生理学的パラメータに対する前記感知される生理学的パラメータの比較を出力する、
ように更に構成される、
請求項9に記載の電子スポーツチェア。
【請求項11】
ビデオゲームのゲームプレイを変更する方法であって、
チェアの座席面上のユーザの存在を検出することと、
プロセッサを介して、生体測定センサから前記ユーザの感知される生理学的パラメータの指標を受信することと、
前記感知される生理学的パラメータの前記指標をビデオゲームシステムへの入力として提供することと、を含み、
前記ビデオゲームシステムは、コントローラからユーザ入力を受信して、ディスプレイを介して前記ビデオゲームのビューを出力するように構成され、前記感知される生理学的パラメータの前記指標は、前記コントローラの感度またはディスプレイを介して出力される前記ビューの明瞭性もしくは視野のうちの少なくとも1つを変更するように作動する、
方法。
【請求項12】
前記生体測定センサは、前記ユーザの身体上の衣服に統合され、
当該方法は、
前記衣服との無線通信を構築することと、
前記無線通信を介して前記感知される生理学的パラメータの前記指標を受信することと、を更に含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記衣服の至る所に適用される張力を変更するように、前記プロセッサを介して、前記衣服を制御することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記衣服からの張力フィードバック信号を受信することを更に含み、該張力フィードバック信号は、前記ユーザに対して前記衣服によって加えられる圧力の量を示し、
前記衣服の至る所に適用される張力を変更するように前記衣服を制御することは、前記受信される張力フィードバック信号に応答する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プロセッサを介して、前記ユーザの同一性を決定することと、
前記ユーザの前記同一性に関して前記感知される生理学的パラメータをデータベースに格納することと、を更に含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記データベースから前記ユーザについての履歴的な生理学的パラメータを検索することと、
前記ディスプレイを介して前記履歴的な生理学的パラメータに対する前記感知される生理学的パラメータの比較を出力することと、を更に含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記生理学的パラメータは、感知される心拍数または感知される呼吸数である、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2017年5月31日に出願された米国仮出願第62/513,411号からの優先権の利益を主張し、その全文を本明細書に参照として援用する。
【0002】
本開示は、一般的に、スポーツ又はeスポーツ環境において有用な電子的態様(electronic aspects)を有するチェア(椅子)に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、アスリート(運動選手)は、ユーザ(使用者)を支持するという唯一の機能を実行する座席(seating)を利用してきた。その場合、アスリートは、他のニーズを満足するために、補助的な機能特異なデバイス/ソリューション(解決策)に依存する。しかしながら、多くの場合、これらの機能特異なデバイス/ソリューションは、ユーザのニーズに次善的に対処するか或いはユーザを不便にするように働き、よって、それらの可能性を最大限に利用しないというリスクを冒し得る。よって、状況に応じて有益なことがある補助的な機能性を提供しながら、アスリートを支持することができる、座席ソリューションのニーズがあると考えられる。
【0004】
例えば、運動競技活動(athletic activity)中、活動を行う前に筋肉が十分に温められるならば、より良好に機能する(perform)ことができ、怪我のリスクがより低いことが十分に認知されている。筋肉内の代謝活動及び熱発生の両方を増加させる低強度の運動(即ち、「アクティブウォームアップ(active warm-up)」)を行うことによって、活動を行う前に筋肉を温めることは、アスリートにとって一般的な慣行である。アクティブウォームアップの典型的な期間は、筋肉の温度を約2~4℃だけ(即ち、約35~36℃の休止温度から約38~39℃の活動温度まで)上昇させ得ることが見出されている。
【0005】
実際、多くのアスリートは運動競技(athletic competition)の準備中にアクティブウォームアップを行うが、アスリートがウォームアップと競技(competition)の開始との間に多少の遅れを経験することも一般的である。同様に、アスリートの交代又はプレイ期間中の休憩を含むチームスポーツにおいて、アスリートは、ある時間期間に亘って競技した後に競技から離脱し、図1に示すように、チェアに座る/チェアで休息することがある。これらの非活動の期間は、筋肉の冷却を招き、筋肉の冷却は、後続の筋肉パフォーマンスの低下及び怪我のリスクの増大を引き起こし得る。
【0006】
これらの非活動の期間中に筋肉の暖かさを維持する現在の最先端技術は、周囲環境への熱損失を最小限に抑えようとする努力の一環として、アスリートが断熱された衣服を着用することを含む。標準的な衣服は、筋肉の温度を最適なレベルに積極的に調節することを何ら行わない。その上、身体全体を断熱することは、深部体温を調節する身体の能力及びアスリートの快適性又は疲労の知覚に有害な影響を有し得るし、それらの両方は、長期持久力に否定的な影響を与え得る。
【0007】
別の例において、多くのスポーツのプレーヤー(players)は、ゲームから離脱するときに、パーソナルコーチ又はチームコーチと対話することが一般的である。このコラボレーションは、時には、対面で或いは電話又は他の双方向通信デバイスを介して言葉で行うことができ、乾式消去マーカボード、写真、又はタブレットもしくは他のコンピューティングデバイスに表示されるビデオのような、実証(demonstratives)を使用することができる。各場合において、通信手段又は実証は、意図されたメッセージ又は情報を伝達するには不十分なことがある。同様に、それは、例えば、休息又は回復が優先事項である期間中に、プレーヤーの関与の増大を含む。
【発明の概要】
【0008】
運動競技統合したスポーツチェア(sport chair with athletic integration)の或る実施形態は、ユーザを支持するように作動する座席面と、複数の熱変換器と、生体測定センサと、プロセッサとを含む。複数の熱変換器は、座席面に配置され、各熱変換器は、ユーザに熱エネルギを能動的に伝達すること又はユーザから熱エネルギを能動的に吸収することのうちの少なくとも1つを行うように作動する。生体測定センサは、水和、重量、心拍数、呼吸数、又はガルバニック皮膚応答のうちの少なくとも1つのような、ユーザの生理的パラメータをモニタリングするように作動する。次に、プロセッサは、熱変換器の各々の熱変換器及び生体測定センサと通信し、複数の熱変換器を制御して、ユーザの温度を所定の温度範囲内に維持し、生体測定センサを介してユーザの少なくとも1つの生理的パラメータを感知し、且つ感知する生理的パラメータをディスプレイに出力する、ように構成される。
【0009】
ある実施形態において、スポーツチェアは、プロセッサを含み、プロセッサは、座席面上のユーザの存在を検出し、ユーザの身体上の衣服との通信を確立し、且つ衣服を制御して衣服を通じて加えられる張力を減少させる、ように構成される。スポーツチェアは、誘導充電送信機を更に含んでよく、その場合、プロセッサは、誘導充電送信機を介して磁場を送信することによって衣服と関連付けられるバッテリを充電するように作動してよい。
【0010】
加えて、ある実施形態において、スポーツチェアは、ユーザの温度を調節するための熱管理手段と、ユーザの同一性を決定するための同一性感知手段と、ユーザの少なくとも1つの生体測定パラメータを決定するための健康感知手段と、ユーザの身体上の衣服と関連付けられるバッテリを充電すること又は衣服を通じてユーザの身体に対して加えられる張力を制御することのうちの少なくとも1つのための衣服統合手段と、ユーザの視野内に画像を表示するためのディスプレイ手段とのうちの少なくとも2つを含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】バスケットボールゲームのサイドラインで使用されることがあるような、従来技術の運動競技チェアに座っているユーザの概略図である。
【0012】
図2】スマートチェアのある実施形態を例示する概略図である。
【0013】
図3】剛的なシェルとコンプライアントな座席面とを有する人間工学的チェアの概略的な斜視図である。
【0014】
図4図3のチェアの座席面の一部の概略的な斜視図である。
【0015】
図5A】ユーザと図1の従来技術のチェアとの間の接触領域を例示するユーザの概略的な前面図及び後面図である。
【0016】
図5B】ユーザと図3に示すような人間工学的チェアとの間の接触領域を例示するユーザの概略的な前面図及び後面図である。
【0017】
図6】スマートチェアに具現される感覚機能性を例示する概略図である。
【0018】
図7】各ユーザがスマートチェアに座っている複数のユーザを含むバスケットボールコートの概略的な斜視図である。
【0019】
図8】拡張現実ディスプレイ態様及び仮想現実ディスプレイ態様の両方を例示する図7のユーザの概略的な混合現実視野である。
【0020】
図9】温度調節能力を備えるスマートチェアのある実施形態の概略的な斜視図である。
【0021】
図10図9のスマートチェアの座席面の一部分の概略的な斜視図である。
【0022】
図11図9のスマートチェア構成と共に使用されることがあるような、対流頭部冷却システムの一部分の概略的な側面図である。
【0023】
図12】衣服充電能力と自動緊張能力とを備えるスマートチェアのある実施形態を例示する概略図である。
【0024】
図13】スマートチェアのプロセッサによって実行されることがある機能性を例示する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
同等の参照番号を使用して様々な図中の同様の又は同一の構成要素を識別する図面を参照すると、図2は、スポーツ又はeスポーツ環境において有用であることがある(一般的には12で示す)1以上(1つ又はそれよりも多く)の統合された電子的態様(electronic aspects)を含む、スマートチェア10(スマート椅子)(smart chair)の概略的な実施形態を例示している。図示のように、チェア10は、例えば、1以上のセンサ又は感知能力14、双方向又は一方向のオーディオ通信システム16、拡張現実又は仮想現実ディスプレイのような視覚ディスプレイシステム18、1以上の導電性及び/又は対流性熱変換器20、及び/又は衣服統合能力22を含んでよい。各電子的態様12は、直接的に制御されてよく、或いはプロセッサ24と通信してよく、プロセッサは、幾つかの実施形態において、1以上の他のスマートチェア10、遠隔格納サーバ26/データベース28、遠隔コーチング端末30、及び/又は外部オーディオ/ビジュアル(A/V)設備34とインターフェース接続するメディア生成デバイス32と遠隔通信してよい。
【0026】
構造的観点からは、可能な限り人間工学的であり且つユーザ36とチェア10との間の平均接触圧力及び最大接触圧力の両方を最小限に抑える自然な体勢においてユーザ36を支持するように設計されるチェア10を構築することが望ましい。幾つかの実施形態において、理想的な人間工学的なチェア設計は、チェア10に構造及び形状を提供する一方で、ユーザ36を揺動させ且つ快適さを最大化するのにも役立つ、混合材料構造(mixed material construction)を含むことがある。例えば、図3図4に示すような1つの構成において、チェア10は、よりコンプライアントな(順応性のある)(compliant)内側座席面42を取り囲んで支持する剛性の外側構造40を含むことがある。幾つかの実施形態において、剛性の外側構造40は、コンプライアントな内側座席面42の下に位置するのに対し、図3図4に示すような他の実施形態において、外側構造40及び内側座席面42は、連続した表面44を定めるように協働してよい。コンプライアントな内側座席面42は、ユーザ36がチェア10内に座るときにユーザの身体の輪郭に適合するように特に構成されてよい。このようにして、ユーザ36とチェア10との間で面一に接触する表面積は最大化される。
【0027】
図5A及び図5Bは、図1に示すようなチェアと図3に示すチェア10との間の接触表面積の相違を概略的に例示している。図5Aにおいて、従来的なチェアは、背中の中央及び上方脚部の狭い表面領域46aに亘ってユーザ36との接触を構築するに過ぎないことが明らかである。反対に、図5Bは、ユーザ36の後面46b全体がチェア10と接触する実施形態を例示している。ユーザのより多くを支持することによって、チェア10は、より良好な人間工学を提供し、ユーザ36がチェア内でより完全にリラックスし、必要であるならば休息/回復することを可能にする。図3は、本チェアの幾分倒された(リクライニングされた)(reclined)実施形態を例示しているが、チェアがより直立すること又は図1の標準的な折り畳みチェアより上の改良された接触圧力及び人間工学的品質を提供する他の姿勢を取ることも可能であってよい。
【0028】
図6に概略的に例示し、また、上述したように、幾つかの実施形態において、チェア10は、ユーザの同一性(アイデンティティ)(identity)(即ち、同一性感知50)及び/又はユーザ36のリアルタイム健康(即ち、健康感知52)を決定するのに役立つ様々な感知能力14を含んでよい。チェア10内/上の個人の同一性を知ることによって、プロセッサ24は、そのユーザ36に適合するように且つ/或いはサードパーティディスプレイ及び/又は集約(aggregation)のために他の感知データを調整するように、チェア10の特定の性能属性をカスタマイズしてよい。健康感知52は、一般的に、特定の生体測定(バイオメトリクス)(biometrics)のモニタリング(監視)を含んでよく、それは(コーチングの観点から)将来のゲーム戦略を決定すること、トレンド(傾向)を確立すること、及び/又はサードパーティのインフォグラフィック(情報画像)ディスプレイに有用なことがある。
【0029】
同一性感知50を可能にするために、チェア10は、ユーザ36又はユーザの衣服に連結されるRFIDチップを読み取るRFIDリーダ、顔認識ソフトウェアを備えるカメラ、指紋スキャナ、キーパッド、又は他のそのような感覚手段を含んでよい。これらの同一性感知モダリティの各々は、一般的に、ユーザ36の何らかの識別属性を感知するためにチェア10を必要とする。ひとたび感知されると、それぞれのセンサは、属性に関連する情報をプロセッサ24に伝達し、プロセッサ24は、ユーザの同一性に関する適切な推論を引き出すことがある。
【0030】
幾つかの構成において、健康感知52は、水和、重量、心拍数、呼吸、ガルバニック皮膚応答、又は他のそのような生体測定のリアルタイムモニタリングを含んでよい。例えば、1つの構成において、チェア10は、ユーザ36のリアルタイム重量を決定するために1以上のロードセルを含んでよい。急速な重量変動が主として水和の変化に起因することを考えると、プロセッサ24が、ロードセルを介して、ユーザの重量が事象の過程を通じて所定量又はパーセンテージよりも多く減少したと決定するならば、プロセッサ24は、ユーザ36が脱水している結論付け、ユーザ36に流体を飲むように警告してよい。そのような脱水の表示は、例えば、ユーザ36に見える光又はチェア10の近接近している人(例えば、チームの人又はトレーニングスタッフ)に見える光を照らすことによって提供されてよい。水和のための異なるプロキシ(proxy)として、プロセッサ24は、例えば、カップホルダと関連付けられる1以上のひずみ計又はロードセルを介して、1以上の水ボトルの重量の変化を監視(モニタリング)するように更に構成されてよい。このようにして、プロセッサ24は、ユーザ36の全取水量をトラッキング(追跡)してよい。
【0031】
同様に、幾つかの構成において、チェア10は、ユーザの心拍数、呼吸数、及び/又はガルバニック皮膚応答を決定し得る1以上の統合センサを含んでよい。これらのセンサは、1以上の電極、ロードセル、ひずみ計、発光ダイオード、光センサ、又はそのようなパラメータを監視することが知られていることがある他のそのようなセンサを含んでよい。更に、これらのセンサは、チェアの表面内に、水分バリア層の下に、及び/又はクッション層の下に一体化されてよい。他の実施形態では、以下に更に記載するように、センサのうちの1以上は、ユーザの衣服内に及び/又はユーザの皮膚と直接的に通信するウェアラブルデバイス又はストラップ内に埋め込まれてよい。
【0032】
ひとたびユーザの同一性で調整されると、プレーヤー特異な健康データ54は、次に、例えば、トレンド分析及びトレンド偏差のリアルタイム検出の目的のために、サーバ26によって及び/又は関連するデータベース28によってログ又は記録されてよい。更に、リアルタイム健康データ54及び/又はトレンドデータ56は、(図7に概ね示すような)遠隔コーチング端末30及び/又はメディア製造デバイス32にストリーミングされ、そこで、それは情報目的のために表示されてよい。例えば、幾つかの実施形態において、コーチング/トレーニングスタッフは、ユーザ36が競技を再開するために十分に休息/回復されているか否かに関する評価を行うために、プレーヤー特異な健康データ54を使用してよい。同様に、メディア製造スタッフは、プレーヤー特異な健康データ54及び/又はトレンドデータ56を、ライブ又は(例えば、A/V設備34を介して)放映されるオーディオ/ビジュアル放送に組み込んでよい。更に他の実施形態において、健康データ54及びトレンドデータ56は、ディスプレイを介してユーザに直接的に提示されてよい。
【0033】
更に別の実施形態において、プレーヤー特異な健康データ54及び/又はトレンドデータ56は、ゲームプレイの一部としてeスポーツの脈絡(コンテキスト)において更に使用されてよい。例えば、ゲーム中のユーザのリアルタイムの感知される生理的応答は、視覚焦点及び/又はコントローラ感度若しくはジッタ(jitter)を制御するための入力として使用されてよい。そのような実施形態において、(例えば、心拍数又は呼吸数によって評価されるような)緊張した又はストレスの多い対戦(encounters)は、より焦点の合わないディスプレイ、末梢視力のある程度の喪失、また制御装置内のジッタの増加を招くことがある。よって、生理学的反応を制御できるゲーマー(gamer)は、利点を有することがある。
【0034】
図7に概略的に例示するように、また、上述のように、幾つかの実施形態において、チェア10は、2人以上(2人又はそれよりも多く)のユーザ36間の及び/又は1人以上(1人又はそれよりも多く)のユーザ36とローカル又は遠隔コーチングスタッフ60との間の(即ち、データ接続62を通じた)可聴通信を容易にするのに役立つ様々なオーディオ通信システム16を含んでよい。そのような実施形態において、オーディオ通信システム16は、各々のそれぞれのチェア10に関して設けられる少なくとも1つのスピーカ64を含んでよい。同様に、オーディオ通信システム16は、遠隔コーチング端末30及び/又は提供されるチェア10のうちの1以上と関連付けられる少なくとも1つのマイクロホン又は他のオーディオ入力デバイスを更に含んでよい。このようにして、オーディオ通信システム16は、プレーヤー間の通信及び/又はユーザとコーチングスタッフとの間の通信及び/又は通信を容易にすることがある。プレーヤー間の通信は、騒々しいスタジアム/アリーナ環境、又はプレーヤーが直線配置で座るように制約されるスポーツにおいて特に有益なことがある。同様に、コーチとプレーヤーとの間の通信は、任意の1人以上のユーザ36又はユーザ36のグループ36に対するプレーヤー特異なアドバイス又はチーム戦略のアドバイスを容易にすることによって、ゲーム内調整をより良好に可能にすることがある。
【0035】
幾つかの実施形態において、スピーカ64及び/又はオーディオ通信システム16は、各々のそれぞれのユーザ36にノイズキャンセリング機能を提供するように動作してよい。そのようなノイズキャンセリング機能は、騒々しいアリーナ又はスタジアムにおいて、静かな感覚及びリラックスした感覚の両方をユーザ36に提供するのに有用であり、プレーヤー間の及びプレーヤーとコーチングスタッフとの間のコミュニケーションをより良好に促進するのに有用である。そのような実施形態において、チェア10は、可聴バックグラウンド/スタジアム雑音を受けるマイクロホンを備えてよい。プロセッサ24は、マイクロホンから信号を受信し、周囲雑音の大きさと破壊的に干渉し且つ/或いはその大きさを減少させる位相外のオーディオ波をユーザ36に放送するようスピーカ64に命令して(direct)よい。幾つかの実施形態において、これはラップアラウンド頭部支持体を有するチェア10を備えることがより好ましい。
【0036】
純粋にオーディオ通信/アドバイスに加えて、多くのアスリートは、相手チームのゲーム中の戦略及びトレンドをより良く理解するために、視覚的な情報及び/又は実証(demonstratives)に依存する。よって、幾つかの実施形態において、スマートチェア10は、(例えば、仮想現実(VR)に類似の)拡張現実(AR)視野及び/又は1以上の没入型もしくは部分的に没入型のディスプレイを組み込むことがある視覚ディスプレイシステム18を含んでよい。これらのディスプレイシステム18は、前のゲームシーケンスを再生するために、将来のゲームシーケンスを図示するために、ライブの及び/又は記録されたプレイの俯瞰図及び/又は斜視図を提供するために、ユーザのライブプレイのリアルタイムビューを強化するために、コーチングスタッフによって使用されてよい。更に、幾つかの実施形態において、視覚ディスプレイシステム18は、激しい活動の期間に続いてユーザ36をリラックスさせるために使用されてよく、且つ/或いはゲーム/競技に入る前にプレーヤーを活性化させるために使用されてよい。
【0037】
具体的には、図7に示すように、幾つかの実施形態において、視覚ディスプレイシステム18は、ユーザの頭部72の一部の上に又はユーザの頭部72の一部を覆って着用されてよい、特にユーザの目の前に着用されてよい、グラフィカルディスプレイ70を含んでよい。幾つかの実施形態において、ディスプレイ70は、ヘルメット、バイザー、又はチェア10と関連付けられる他の頭部を覆う要素において具現されてよい。代替的に、ディスプレイ70は、メガネ、ゴーグル、又はチェア10から分離されてよい他の別個のレンズにおいて具現されてよい。いずれの実施形態においても、グラフィカルディスプレイ70は、ユーザ36に立体表示を提供するために、ユーザの眼の各々のための別個の視覚ディスプレイ(又は各眼に別々に立体視覚を投影する能力)を含んでよい。
【0038】
AR構成において、グラフィカルディスプレイ70は、ユーザ36の視野内に1以上の視覚要素を提供するように動作する実質的に透明なレンズを含んでよい。ディスプレイ70は、例えば、隣接して位置付けられるプロジェクタ、選択的に発光するディスプレイ(例えば、OLEDディスプレイ)、及び/又は光透過を選択的に変更し得るディスプレイ(例えば、LCD)から投影画像を受け取る、透明レンズを含んでよい。更に、グラフィカルディスプレイ70は、例えば、カメラを使用して、外側を見ること、ユーザの眼の動きを追跡するために内側を見ることによって、及び/又はディスプレイ70のリアルタイムの位置及び向きを理解することによって、ユーザのリアルタイムの視野を検出し且つ/或いは理解することができる、ビュートラッキングシステムを含んでよい。拡張現実表現のために本システムと共に用いられてよいグラフィカルディスプレイ技術の例は、米国特許出願公開第2014/0160001号に詳述されており、その全文を本明細書に参照として援用する。
【0039】
VR構成において、グラフィカルディスプレイ70は、一般的に、ディスプレイが、ディスプレイの外側のユーザの周囲のユーザの認識を遮断するように、不透明であってよい。そのような実施形態において、ディスプレイ70は、例えば、不透明又は半透明な表面上の投影ディスプレイ、不透明な背面を備える発光ディスプレイ、又はLCD若しくはLEDディスプレイのような、背面照明される、選択的に透過性のディスプレイを含んでよい。幾つかの実施形態において、VR及びARは、同じデバイスを使用して、且つ/或いは、例えば、OLEDディスプレイのような発光ディスプレイの背後に配置される選択的に調光可能なエレクトロクロミック層を使用する、デバイスの別個の部分を選択的に覆って、達成されてよい。そのような組み合わせVR/ARディスプレイの例は、米国特許出願公開第2016/0055822号に記載されており、その全文を本明細書に参照として援用する。
【0040】
図8は、図7に示すグラフィカルディスプレイ70を通じて見られることがあるような、混合現実ビュー80の実施形態を概略的に例示している。この実施形態では、コートの概略図82が、現在のライブアクションをもたらすプレーヤーの動きをより正確に図解するために、ユーザのリアルタイムの視野84内に重ね合わされる。より具体的には、幾つかの実施形態において、コートのこの頂面図は、ライブ画像又は図式的記号86のいずれかを用いて、全てのプレーヤーの位置を図解してよく、所定の量の以前の時間に亘るプレーヤーの動きを表現するために、プレーヤー履歴線88を更に含んでよい。幾つかの実施形態において、ビュー80は、動的に再構成可能であってよく、コーチング端末30を介してディスプレイ70に選択的に供給されてよい再生ビデオ(即ち、再生窓90)のために、ビュー80の一部を割り当ててよい。加えて、幾つかの実施形態において、ディスプレイ70は、位置インジケータ92をフロア94と同時に又はフロア94の僅かに上方に重ね合わせて、リアルタイムのプレーヤー位置を強調してよい。図示的ビュー82と同様に、プレーヤー履歴線88は、位置インジケータ92を追跡して、プレーヤーの動きを図解してよい。タイムアウトの間、例えば、図式的表示82及び/又は再生窓0の相対的なサイズを調整/拡大して、強化されたコーチング及び戦略の図解を提供してよい。
【0041】
図7図8は、バスケットボールのスポーツに関連するオーディオ及びビデオ能力16、18の使用を図解しているが、それらは他のスポーツ及びeスポーツにも容易に適することがある。例えば、アメリカンフットボールのスポーツにおけるゲーム中コーチングのための現在の最新技術は、印刷された画像及び/又はタブレットディスプレイ上に提供される再生ビデオを集合的に検討する小グループのプレーヤーを含む。現在のチェア技術は、コーチング及びチーム統合に有意な利益を提供する一方で、プレーヤーがコーチングアドバイスに集中しながら座った状態でリラックスすることを可能にする。更に、上述のように、本チェア10は、(プレーヤーが単一のディスプレイの周りに群がることが要求されるならば典型的には不可能である)アスリートの身体を準備できた状態に維持するための複数の熱変換器20を含んでよい。eスポーツのコンテキストにおいて、オーディオ及びビデオ能力16、18は、ゲームの競争相手(competitor)のための没入型(immersive)及び/又は半没入型(semi-immersive)の環境を提供するために使用されることがある一方で、競争相手が外向きに通信すること及び/又は競争相手の個人的な注釈がより大きな視聴者に放送されることを可能にすることがある。
【0042】
従来的なスポーツの脈絡において、図9は、ユーザの体内の様々な筋肉群の温度を「ウォームアップ」状態に積極的に維持するように構成された複数の熱変換器20と、ユーザの深部体温を低減/調節すること及び/又は疲労/疲弊の感情を軽減することを助けるように構成される1以上のシステムとを備える、スマートチェア10の実施形態を概略的に例示している。
【0043】
図9図10に示すように、幾つかの実施形態において、チェア10の内側の座席面42は、複数の別個の熱ゾーン114を含み、各熱ゾーンは、導電性熱伝達を介してユーザ36に能動的に熱を加えるように構成され且つ/或いは冷却を加えるように構成される。本明細書において使用するとき、「熱を加える(applying heat)」又は「加熱(heating)」は、それぞれの熱ゾーン114を制御して、熱流束を生成して熱流速をユーザ36に外向きに伝達すること(即ち、熱源)を含むのに対し、「冷却を加える(applying cooling)」又は「冷却(cooling)」は、それぞれの熱ゾーン114を制御して、ユーザ36から熱流束を吸収して熱流速を内向きに受け取ること(即ち、ヒートシンク)を含む。
【0044】
各熱ゾーン114は、熱エネルギを能動的に生成及び/又は吸収するように構成された1以上の作動要素116(working elements)と、作動要素116とユーザ36との間の熱伝達を容易にするユーザに面する接触面118とを含む。図10により良く示すような1つの構成において、作動要素116は、例えば、ペルチエデバイス120(Peltier device)のような熱電冷却器であってよく、接触面118は、ペルチエデバイス120のユーザに面する外面を含んでよい。当該技術分野において良く知られているように、ペルチエデバイスは、(図9に概略的に示す)印加電流122に応答してペルチエデバイス120の厚さに亘る温度勾配を制御可能に変化させることができるソリッドステートデバイス(solid-state device)である。有利には、所望の表面を加熱又は冷却するためにこれらのデバイス120を使用することができる。例えば、電流がペルチエデバイス120に加えられるならば、接触面118は熱的に熱くなる一方で、反対側は熱的に冷える。逆に、反対の電流がペルチエデバイス120に加えられるならば、接触面は熱的に冷える一方で、反対側は熱的に熱くなる。
【0045】
チェア10の可撓性及び有用性を最大限にするために、各熱ゾーン114は、ペルチエデバイス120によって提供されることがあるように、ユーザに熱を加えること及び冷却を加えることの両方ができることが好ましい。この多用途性を考慮すると、チェア10は、様々な熱ゾーン114に亘る加熱/冷却プロファイルを単に変更することによって、イベント前にユーザ36を能動的にウォームアップし、イベント中の中断の間にユーザ36を準備のできた状態に維持し、且つ/或いはイベント後にユーザ36を冷やすために使用されてよい。
【0046】
他の実施形態において、選択されたゾーンは、(例えば、専ら筋肉を温めるためのゾーンのように)熱を加えるように厳密に構成されてよい一方で、他のゾーンは、(例えば、冷却するためのゾーン/ユーザの深部温度を調節するのを助けるためのゾーンのように)冷却を加えるように厳密に構成されてよい。専用の加熱ゾーンは、例えば、抵抗加熱要素又は加熱された液体で満たされた嚢のような、作動要素116を利用してよい。同様に、専用の冷却ゾーンは、例えば、空冷ヒートシンク、冷蔵システム、又は極低温流体、冷却された液体で満たされた嚢のような、作動要素116を利用してよい。更なる実施形態では、専用の冷却ゾーンは、ユーザの皮膚より低い温度に保持される高い熱容量を有する大きな塊(例えば、鋼、アルミニウム、又は水の容器の大きなブロック)の使用を組み込んでよい。
【0047】
ユーザ36を運動競技の準備ができた最適な状態に維持するために、チェア10は、複数の熱ゾーン114の各々の熱ゾーンの温度出力を独立的且つ選択的に制御するように動作する。そうすることによって、チェア10は、ユーザの身体の異なる局所領域をそれらのそれぞれの最適温度で調節しようと試みてよい。この独立的かつ選択的な制御を達成するために、プロセッサ24は、複数の熱ゾーン114の各々と通信することがある。プロセッサ24は、格納する1以上のソフトウェア/ファームウェアアルゴリズムを実行するように構成され、或いは各々のそれぞれの熱ゾーン114の温度を理解して独立的に制御するためにそれらに容易にアクセスすることができるように構成される。
【0048】
1つの構成において、プロセッサ24は、各々のそれぞれの熱ゾーン114の温度を開ループ式に制御してよい。例えば、プロセッサ24は、各ゾーン114についての所望の量の熱流束の表示(indication)を受信してよく、相応して応答するようにそれぞれの作動要素116を作動させてよい。作動要素116がペルチエデバイス120であるシステムにおいて、プロセッサ24は、受信した所望の熱流束の表示に応答して、各ペルチエデバイス120に電流122を直接的に供給してよい。受信した所望の熱流束の表示は、ゾーン114を介して加えられるべき所望の量の熱/冷却の定性的測定値であってよく、1以上のデジタル又はアナログ入力デバイスを介してユーザ36によって入力されてよい。代替的に、所望の量の熱流束は、チェア10の所望の使用に基づいて(例えば、スポーツ、運動競技強度、スポーツ環境、及び/又は予想される残存期間に従って)、プロセッサ24に予めプログラムされてよい。
【0049】
開ループ温度制御は、容易に実装されるソリューションを提示するが、より好ましい戦略は、閉ループ温度制御の使用を含む。閉ループ温度制御戦略において、各熱ゾーン114は、接触面118の温度及び/又は接触面118に近接近するユーザ36の温度を示す信号134を出力するように動作する1以上の温度センサ132を含んでよい。このフィードバックを用いて、プロセッサ24は、感知される温度と特定の設定点温度との間の差を最小限に抑える試みにおいて、(例えば、作動要素116に提供される電流122を変化させることによって)作動要素116の出力を変調させてよい。1つの構成において、ユーザ36は、各々のそれぞれの熱ゾーン114について、それらの所望の温度設定点を直接的に入力してよい。別の構成において、設定点温度は、プロセッサ24によって自動的に選択されてよく、或いはスポーツの性質及びスポーツが競技される環境に従ってプロセッサ24に予めプログラムされてよい。
【0050】
好ましい実施形態において、プロセッサ24は、ユーザの様々な筋肉温度を、ユーザ36が参加している活動についてのそれぞれの最適なレベルに維持しようとしながら、ユーザに最適な熱緩和(thermal relief)を提供することを自動的に試みてよい。これを達成するために、熱ゾーン114は、それらが熱又は冷却を加えることも意図する筋肉群及び/又は身体領域で或いはその付近でユーザ36と整列してユーザ36と直接的に接触するように配置されることが望ましい。例えば、チェア10がバスケットボールのスポーツに関連して使用されるならば(例えば、ゲームの開始前又はプレーヤーの交代後の使用のために)、熱ゾーン114は、ユーザの殿筋、ハムストリングの筋肉(即ち、半腱様筋、半膜様筋、及び/又は大腿二頭筋)、及び/又はふくらはぎの筋肉(即ち、腓腹筋)と接触し且つそれらと直接的に熱連通して配置されるのが望ましいことがある。また、背中の筋肉(即ち、僧帽筋、菱形筋、脊柱起立筋、鋸筋、腹斜筋、及び/又は広背筋)、肩(即ち、三角筋)、及び/又は腕(例えば、三頭筋)との直接的な接触のために熱ゾーン114を配置することが有益なこともある。
【0051】
筋肉温度を最適なレベルに維持する目的のために、図9図10は、上背部(例えば、菱形筋)と直接的に接触するために位置付けられる第1の複数の熱ゾーン140と、殿筋及び/又はハムストリングの筋肉と直接的に接触するために位置付けられる第2の複数の熱ゾーン142と、ふくらはぎの筋肉と直接的に接触するために位置付けられる第3の複数の熱ゾーン144とを概略的に例示している。各場合において、プロセッサ24は、それぞれ隣接する筋肉をそれらの自然な休止温度よりも約2℃~約4℃高い温度に維持することが望ましく、それは接触面118の温度を所望の筋肉温度に又はそれよりも僅かに高い設定点温度に制御することによって達成されてよい。
【0052】
筋肉を高温に維持することは、筋肉を準備できた状態に維持するのに有用であり、それは将来の怪我の可能性を減少させ、筋肉パフォーマンス/パワーを向上させるが、加熱は、アスリートの長期持久力及び運動期間後の熱緩和の心理学的知覚に有害であり得る。従って、疲労を軽減させ、ユーザの快適性を高め、ユーザの身体内の体温調節ストレスを減少させるために、本チェア10は、様々な形態のうちの1以上においてユーザ36に冷却を加えることができる。
【0053】
先ず、チェア10は、ユーザ36から熱エネルギを能動的に吸収する(sink)ように構成された、ユーザの脊椎及び/又は頸部と整列させられた熱ゾーン146を含んでよい。頸部及び脊椎領域は、有意な量の血流を運ぶが、冷やされるならば痙攣したり或いは運動競技パフォーマンスに負の影響を与えたりするリスクのある最小量の筋肉塊を有する。よって、脊椎及び/又は頸部を冷却することによって、チェア10は、ユーザの身体がその深部温度を管理すること(即ち、身体が受ける体温調節ひずみを少なくすること)を助ける場合があると同時に、休息、回復、及び/又は熱緩和の感情のような、心理学的利益も提供する。1つの構成において、脊椎及び/又は頸部に冷却を加えることは、外部加熱の適用にも拘わらず筋肉温度への如何なる悪影響も回避する制御された方法で実行されてよい。
【0054】
チェア10は、更に、図9及び図11に概略的に示すように、ユーザの頭部及び/又は顔に及びそれらに亘って空気流152を向ける対流冷却システム150を介してユーザ36に冷却を提供してよい。頭部及び/又は顔の対流冷却が深部体温に対して有意な影響を有するか否かは不明であるが、疲労までの平均時間を延長させて、ユーザが知覚する総運動レベル(level of total exertion)を低下させるという、有益な効果を提供することが示された。更に、幾つかの状況において、顔の冷却は、好気的な活動中に明確なパフォーマンス上の利点を有し得ることが見出された。
【0055】
図9に示し、図11により明確に示すように、幾つかの実施形態において、対流冷却システム150は、ユーザ36の頭部及び/又は顔に空気流152を向けるように構成される空気プレナム154(air plenum)を含んでよい。1つの構成において、空気プレナム154は、加圧された空気がプレナム154から出て、ユーザ36の頭部/顔に向けられることを可能にする、1以上のオリフィス、スロット、又は他のそのような通気口156(ベント)を含む。1つの構成では、空気が層流式に送達されることが好ましいことがあり、それは出て行く空気流152がユーザの頭部及び顔の輪郭に密接に従うことを可能にすることがある。1以上のオリフィス、スロット、又は他のそのような通気口156は、空気流152がユーザの顔に亘って向けられるために、ユーザの頭部に対して十分に前方に(例えば、前頭面の前方に)配置されることが好ましいが、幾つかの実施形態では、たとえ通気口156が更に後方に配置されるとしても、流れの性質(例えば、層流/境界に従うこと)は、顔冷却を可能にすることがある。
【0056】
図9に概略的に示すように、対流冷却システム150は、システム150内で空気を移動させるように構成される1以上のファン158又は他のブロアデバイスを更に含んでよい。空気流152をユーザに向ける前に空気流152を冷却する目的のために、対流冷却システム150は、通気口156を出る前に空気の経路内に配置される1以上の冷蔵デバイス160を更に含んでよい。1つの構成において、冷蔵デバイス160は、例えば、冷媒又は蒸発冷却器を利用して、流れる空気を冷却してよい。別の構成において、冷蔵デバイス160は、ユーザの筋肉を暖めるために使用されるペルチエデバイス120のうちの1以上のペルチエデバイスの反転面を利用してよく、且つ/或いはそのような反転面を含んでよい。最後に、図11に示すように、対流冷却システム150は、ファン158からプレナム154に空気流を運ぶために必要とされる任意の所要のダクト構造162を更に含んでよい。
【0057】
幾つかの実施形態において、チェア10は、ユーザ36を直接取り囲む微気候(microclimate)内の湿度を管理するように動作する対流湿度管理システムを更に含んでよい。例えば、集中的な活動期間の後に、ユーザの身体は、非常に汗に覆われることがある。湿度管理システムは、汗の蒸発をもたらし且つ/或いは蒸発した汗に起因する局所湿度の如何なる増加も減少させるのを助けるような方法において、空気流をユーザ36の身体の周囲に向けてよい。湿度管理システムは、プレナム154及び/又はチェア10の内側座席面42を通じて延びるマイクロチャネルを利用して、ユーザの身体の上に空気流を向けてよい。1つの構成では、身体に向けられる空気流れを(例えば、加熱要素を介して)加熱して、ユーザの皮膚/筋肉に対して顕著な冷却効果を有することを避けてよい。代替的に、幾つかの実施形態において、身体に向けられる空気流は、(所望であれば)ユーザ36を冷却し且つ/或いはリフレッシュされることの心理学的利益を提供する試みにおいて、周囲温度にあってよく或いは周囲温度より下に冷却されてよい。
【0058】
特定の座席面42が運動競技イベントを通じて複数の異なるユーザを受け入れる可能性が高い構成では、チェアが異なる身体タイプを有するユーザを快適にかつ人間工学的に受け入れるのに十分なコンプライアンス(順応性)(compliance)を有することが特に重要である。同様に、複数の熱ゾーン114は、それらが或る範囲の身体タイプ/サイズについての所望の筋肉群/身体場所と接触するように配置されなければならない。
【0059】
複数の異なるユーザ/身体サイズに亘って最適な温度調節効果を提供するために、1つの構成において、複数の熱ゾーン114は、ユーザの特定の解剖学的構造の理解に基づいて、動的に割り当てられてよく、且つ/或いは構築されてよい。例えば、複数の別個の作動要素116が、チェア10の内側座席面42全体に亘って(又はその実質的な部分に亘って)配置されてよい。ユーザ36をチェア10内に受け入れ/チェア上で受けた後に、プロセッサ24は、ユーザの特定の解剖学的構造に従って隣接するセットの作動要素116をグループ化することによって、複数の熱ゾーン114を知的に定めてよい。
【0060】
1つの構成において、プロセッサ24は、例えば、座席面42及び/又は作動要素116に統合される複数のひずみ計又はロードセルを使用して、ユーザ36とチェア10との間の接触圧力をモニタリングすることによって、ユーザの解剖学的構成(anatomical makeup)を決定してよい。別の構成において、プロセッサ24は、(例えば、同一性感知50能力を介して)ユーザの同一性の表示を受信し、次に、電子データベースからそのユーザの解剖学的比率を検索することによって、ユーザの解剖学的構成を決定してよい。
【0061】
更に別の構成では、熱ゾーン114の完全な動的構造の代わりに、ユーザの解剖学的構造がそのような修正を指示するならば、ある所定の熱ゾーン114が選択的に修正されてよい。例えば、図10に示すように、異なる熱ゾーン114は、予想されるユーザのサイズ(例えば、95パーセンタイル及び5パーセンタイル解剖学的構造)の大小の端の両方にユーザを収容するような大きさ/配置にされてよい。特定のユーザの解剖学的構造がアレイ全体を必要としないならば、個々の作動要素116は、プロセッサがユーザの同一性を学習した後に選択的に非アクティブ化されてよい。
【0062】
再び図2を参照すると、幾つかの実施形態において、チェア10は、ユーザの履物又は衣服と統合する1以上の電子的態様(即ち、衣服統合22)を含んでよい。例えば、ユーザ36が自動張力機構を備える靴又は衣服を着用しているならば、チェア10は、ユーザ36が最初に座るときに、ユーザの靴/衣服を弛緩させてよく、ユーザ36が競技に入ろう/再び入ろうとするときに、再張力をかけてよい。自動張力履物及び衣服の例は、米国特許第8,046,937号及び9,365,387号に記載されており、それらの全文を本明細書に参照として援用する。そのようなデバイスは、一般的に、物品内に設けられる1以上の張力ファイバを電子的に巻き付けるか(spooling)或いは収縮させる(constricting)ことによって作動することがある。ファイバが引き入れられると、それらは物品がユーザの身体の一部に概ね収縮性の力を加えるようにさせることがある。この力は競技中に有益であり得るが、ユーザ36がリラックスしようとしているときには不快と知覚されることがあり得る。
【0063】
図12は、衣服統合スキーマの1つの実施形態を概略的に例示している。図示のように、チェア10は、ユーザ36が着用している衣服及び/又は履物170(一般的に「衣服170」)と密接に接触している。衣服170は、衣服170内に設けられる少なくとも1つのファイバ174に選択的に張力をかけるように作動するモータ172(又は形状記憶合金、電気活性ポリマ、若しくは同等物のような、他の電気的に作動させられる収縮要素)を含み、ファイバ174に張力をかけること又はファイバ175を弛緩させることは、衣服170をユーザ36の周りで収縮又は弛緩させる。そのような選択的な収縮を利用することがある衣服170の例は、圧縮シャツ、圧縮腕スリーブ又は脚スリーブ、圧縮半ズボン、膝装具、手首装具、足首装具、足装具、グラブ、腹部詰物/装具、靴、及び同等物を含む。幾つかの実施形態において、モータ172は、衣服170によって支持されるバッテリ176又は他の電荷貯蔵デバイスによって動力供給されてよい。他の実施形態において、モータ172は、チェア10及び/又はプロセッサ24のような、外部ソースによって電力供給されてよい。
【0064】
ユーザ36がチェア10内に座わった後に、プロセッサ24は、チェア10内に統合される検知能力14を介して、ユーザの存在及び/又は同一性を検出してよい。この表示に続いて、プロセッサ24は、モータ172に命令してファイバ174を巻き戻させ(unspool)且つ/或いはファイバ174に対する張力を弛緩させることにより、衣服170にユーザ36の周りのあらゆる収縮を減少させてよい。プロセッサ24は、チェア10と衣服170との間のデータ接続178を介してこの指令(instruction)を提供してよい。幾つかの実施形態において、このデータ接続は、チェア10上の電気端子と衣服170に統合される嵌め合い電気端子(mating electrical terminals)との間で行われる有線データ接続であってよい。そのような端子は、例えば、接触を保証するのを助ける磁気接触要素を含んでよい。他の実施形態において、データ接続178は、低電力ブルートゥース(登録商標)無線機、近距離場通信能力、又は他の近距離無線デジタル通信手段を含んでよい。
【0065】
ユーザ36が競技を再開するとき且つ/或いはチェア10から立ち上がる準備ができているとき、プロセッサ24は、モータ172に命令して(複数の)ファイバ174に再び張力をかけさせて、衣服170をユーザ36の周りで再収縮させてよい。1つの実施形態において、プロセッサ24は、ユーザ36から退出命令(exit command)を受信した後に(例えば、ユーザ36が再び張力をかけること又は退出を示すボタンを押した後に)、チェア10から退出するユーザの意図を理解することがある。別の実施形態において、プロセッサ24は、ユーザの体勢及び/又はユーザとチェア10との間の接触圧力をモニタリングして、立ち上がるという内在的な試みを推測することによって、チェア10から退出するユーザの意図を理解してよい。更に別の実施形態において、衣服170は、チェア10との通信又は接触の切断に続いて(即ち、ユーザがチェア10から完全に立ち上がるときに)自律的に作動して、再び張力をかけてよい。
【0066】
図12に更に例示するように、幾つかの実施形態において、プロセッサ24は、ファイバ174及び/又は衣服170を通じてリアルタイムの張力を示す張力フィードバック信号180をモータ172から受信してよい。プロセッサ24は、この信号180を使用して、着席後に衣服170が適切に弛緩されることを保証し、ユーザ36が競技を再開する準備ができているときに衣服170に適応的に(adaptively)再び張力をかけてよい。幾つかの実施形態において、適応的に張力をかけることは、競技中に起こることがある膨張(swelling)、体液貯留(fluid retention)、及び/又はユーザの人体比率の変化を説明するために有用なことがある。別の言い方をすると、例えば、ユーザに対して加えられる衣服圧力に基づいて張力をかけることであるならば、衣服170の絶対サイズは、身体サイズの変化の故に競技開始時と競技終了時とで異なることがある。
【0067】
引き続き図12を参照すると、幾つかの実施形態において、本チェア10の衣服統合22構成は、衣服及び/又は履物170の適応性物品のための充電能力182を含んでよい。幾つかの実施形態において、これらの能力は、チェア10に設けられる誘導充電送信機184と、衣服170と関連付けられる及び/又は衣服に統合される誘導充電受信機186とを含む、誘導充電手段を含んでよい。適切な充電能力の例は、米国特許第8,058,837号及び米国特許出願公開第2016/0345654号に更に記載されており、それらの両方の全文を本明細書中に参照として援用する。チェア10は、バッテリ176が十分な充電状態にあることを保証するために、ユーザ36がチェア10内に座っている時間を利用してよい。充電が必要とされるならば、チェア10は、誘導充電送信機184からの磁場を送信してよく、磁場は、誘導充電受信機186によって受信されて、バッテリ176内に蓄積される電荷を補充するために使用されてよい。
【0068】
幾つかの実施形態において、図2及び図6に関して上述した感知能力14は、衣服統合22機能性と統合されてよい。より具体的には、ユーザの衣服は、ユーザ36の皮膚と近接近して或いは接触して保持される1以上のセンサを含んでよい。これらのセンサは、例えば、心拍数センサ、呼吸センサ、ガルバニック皮膚応答センサ、RFID同一性インジケータ、及び同等物を含んでよい。センサ(一般に「衣服センサ」)は、1以上の圧縮嵌め衣類、保護詰物、履物、胴体又は他の付属物の周囲に装着されるストラップに統合されてよく/編まれてよく、或いはユーザ36に接着式に貼り付けられてよい。幾つかの構成において、衣服センサは、ユーザ36が運動競技に従事している間に周期的なユーザデータを記録することができる、フラッシュメモリ又はEEPROMメモリのようなメモリデバイスを含んでよい。ユーザ36がチェア10に座ると、チェア10は、これらの衣服センサと一方向又は双方向の方法(例えば、低電力ブルートゥース、NFC等)で通信して、リアルタイムのユーザ生体測定情報及び/又は衣服センサのメモリに格納されている生体測定情報を受信してよい。このダウンロード可能なコンテンツは、上述のように、チェア10によって直接的に取得される生体測定データと同じ方法で使用されてよい。
【0069】
幾つかの実施形態において、衣服ベースの感知能力は、ユーザの保護詰物内に埋め込まれた及び/又はユーザの圧縮ベースの下着と織られた或いは他の方法で一体化された1以上の加速度計を含んでよい。そのような感知能力は、競技中に起こることがあるあらゆる衝撃又は衝突の大きさ及び場所を記録するのに有用なことがある。ユーザが競技フィールドから出てチェア10に座った後に、記録された感覚データは、プロセッサ24及び/又はチェア10内の能力によってダウンロードされてよい。そのような実施形態では、感知電子機器と受信機との間の密接な接触を必要とすることは、衣服へのより低い重量及びより低い電力付加を提供することがあり、それはより多くのアスリートによる受容を受けて、より多くの採用をもたらすことがある。
【0070】
上述のチェア10は、個々のアスリートのために利益を提供するが、幾つかの構成において、スポーツチームは、所定の時間に1人よりも多くのアスリートに類似の利益を提供することに特別な有用性を見出すことがある。よって、1つの構成において、複数のスマートチェア10は、複数の内側座席面42を含むスマートベンチを形成するように隣接して連結されてよく、各々の座席面は、異なるユーザ/アスリートを人間工学的に受け入れて支持するように構成される。1つの構成において、スマートベンチは、複数の隣接する座席面42を含む単一の一体的な製品であってよい。別の構成では、隣接する個々のチェア10を局所的に貼り付けて、より大きな構造を形成してよい。
【0071】
バスケットボールのスポーツに関連して使用されるならば、スマートベンチは、例えば、任意の特定の時間に最大5人又はそれよりも多くのユーザ/アスリートを受け容れて支持するように構成されてよい。5人のユーザは、ゲームに現在登録されている(例えば、タイムアウト又はクォーター間のブレーク中の)プレーヤー、交替してゲームから出た後で回復しているプレーヤー、及び/又はゲームへの切迫した代替を待っているプレーヤーを含んでよい。他の例では、バスケットボール用のスマートベンチが最大2人又は3人のユーザ/アスリートを受け容れて支持するように構成されてよい(即ち、殆どのチームが7人又は8人のローテーションで競技するならば、ゲームに入ること/再び入ることを待つ2人又は3人のプレーヤーは、ウォームアップ状態で維持されてよい)。
【0072】
本開示は、バスケットボールのスポーツに関連して主として例示されているが、本技術は、アメリカンフットボール、サッカー、テニス、ラクロス、ラグビー、野球、ソフトボール、ホッケー、体操競技、ストックカーレース、オープンホイールレース、スキー、スノーボード、短距離走又はその他の陸上競技イベント、水泳、フィールドホッケー、レスリング、混合格闘技、ボクシング、クリケット、又は間欠的な期間の競技及び休息を伴う任意のイベント、着席して行われるイベント、又はゲーム中のプレーヤーの交代を伴うイベントのような、他のスポーツに同様に適用可能であり且つ有用であるが、それらに限定されない。同様に、本チェアは、アスリートに主として適用可能であるが、記載のスマートチェアの態様のうちの1以上は、上記で特定したスポーツのうちのいずれかのスポーツの観客にも同様に適用可能である。
【0073】
上記で使用されるとき、「プロセッサ24」は、1以上の別個のデータ処理デバイスを含むことが意図されており、各々のデータ処理デバイスは、1以上のマイクロコントローラ又は中央処理装置(CPU)、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的に消去可能なプログラマブル読出し専用メモリ(EEPROM)、高速クロック、入力/出力(I/O)回路、及び/又は本明細書に記載する機能を実行するために必要とされることがある任意の他の回路構成を有する。プロセッサ24は、チェア10に対してローカルであってよく、且つ/或いは1以上の遠隔プロセッサ又はサーバを含んでよい。幾つかの実施形態において、「プロセッサ24」は、チェア10にリアルタイムデータを提供することがある/チェア10からリアルタイムデータを受信することがある且つ/或いはチェア10の1以上の性能又は視覚的態様を制御することがある1以上のインターネットベース/クラウドベースのサービスを含んでよく且つ/或いはそのような1以上のインターネットベース/クラウドベースのサービスと通信してよい。
【0074】
図13は、プロセッサ24の視点から、チェア10の動作方法200の1つの実施形態を概略的に例示している。方法200は、一般的に、ユーザ/アスリートの存在の検出する210で始まる。上述のように、存在は、例えば、1以上のロードセル、ひずみ計、容量センサ、熱センサ、又は座席面42上のユーザの存在のためのRFセンサをモニタリングすることによって検出されてよい。
【0075】
ひとたびユーザが210で検出されると、接続されたハードウェアを使用して、プロセッサ24は、(概ね202で)1以上の温度管理機能を実行してよく、(概ね204で)1以上の生体測定感知機能を実行してよく、(概ね206で)1以上のディスプレイ機能又は通信機能を実行してよく、且つ/或いは(概ね208で)1以上の衣服/履物統合機能を実行してよい。
【0076】
上述のように、熱管理機能性202を提供するために、プロセッサ24は、(212で)ユーザ及び/又はユーザの筋肉の温度をモニタリングすることによって開始してよい。このモニタリングは、例えば、座席面42に亘って分散された1以上の熱センサをポーリングすること(polling)によって達成されてよい。ひとたびユーザの温度(又はユーザの主要筋肉群に亘るユーザの熱プロファイル)が理解されると、プロセッサ24は、(214で)1以上の熱変換器を作動させて、筋肉温度(又は熱プロファイル)を所望の設定点に又は所望の温度範囲内で調節及び/又は維持してよい。この加熱/冷却は、好ましくは、熱変換器とユーザ36との間の直接伝導を介して達成される。より具体的には、加熱/冷却は、例えば、ペルチエ加熱要素又は抵抗加熱要素を介して、ユーザに熱エネルギを能動的に供給することを含んでよく、且つ/或いはそれはペルチエ冷却要素又は他の流体ベースの冷蔵技術を介して、ユーザから熱エネルギを能動的に吸収する(sink)ことを含んでよい。
【0077】
1つの実施形態において、(複数の)標的温度は、ユーザから直接的に受信されてよい。例えば、ユーザは、標的温度を度で特定してよく、或いは定性的な1~10の値を介して特定してよい。ある実施形態において、プロセッサ24は、この設定点にヒステリシスを適用して、制御された温度範囲を確立してよい。別の実施形態において、(複数の)標的温度は、例えば、(図6に記載する同一性感知能力を介して220で検出されることがある)ユーザの同一性に基づいて、関連するデータベースから受信されてよい。ユーザの理想的な標的温度又は熱プロファイルは、スポーツ活動の性質、ユーザの生理学的な基質(makeup)及び調節(conditioning)、並びにユーザの熱的好みを説明する、所定の温度/プロファイルであってよい。運動の期間(即ち、212でモニタリングされる温度が所望の設定点より上である場合)の後に緩和又は冷却の感覚を更に提供するために、プロセッサ24は、(216で)ユーザの顔、頭部、及び頸部で対流冷却を向けてよい。
【0078】
生体測定機能は、(一般的に204で)上述の健康感知能力52を使用して或いはそれに基づいて作動してよい。より具体的には、220でのユーザの識別に続いて、プロセッサ24は、1以上の生体測定センサ、(222で)ロードセル、又は他の健康感知能力52をモニタリングして、ユーザのリアルタイムの状態を理解してよい。これらの感知されるパラメータは、正常又はピーク状態の関数としてユーザのリアルタイムの状態を評価するために、(224で)履歴的なユーザデータと比較されてよい。プロセッサ24は、更に、リアルタイム状態が運動競技を行う準備ができていること(即ち、より大きい程度の疲労が運動競技能力の低下を引き起こす場合)を示すことがあるように、ユーザの状態レベルを履歴的なパフォーマンスデータと相関させてよい。そのような分析は、例えば、重回帰モデルを介して行われてよい。次に、これらの健康統計を、図6に示すように、(226で)コーチングスタッフ及び/又はメディアに出力し、プレーヤー交代戦略の向上及び/又はプレーヤー/チームの状態のより深い理解を可能にする。1つの構成において、プロセッサ24は、疲労のレベル、ピークの状態に対する現在の状態の比率、又は現在の健康モデル化されたパフォーマンスレベルと最適な健康モデル化されたパフォーマンスレベルとの比率を表す、複合健康指標を決定してよい。
【0079】
1つの実施形態において、健康/生体測定感知能力は、ユーザの衣服に統合されてよく、競技を通じてデータをログしてよい。その場合、プロセッサ24は、230で衣服との通信を確立してよく、そのときに、プロセッサ24は、(222で)ウェアラブルセンサから直接的に生体測定データを検索してよい。
【0080】
上記で更に議論したように、自動緊張(auto-tensioning)履物/衣服(集合的に「衣服」)の場合、(230で)ひとたび衣服との通信が確立されると、プロセッサ24は、(232で)衣服に命令して、あらゆる適用された圧縮を弛緩及び/又は解放)させてよい。そのような能力は、ユーザが休息期間中により完全にリラックスするのを可能にすることがある。この能力は、衣服に命令して、靴の上部、圧縮スリーブ、レギング、膝装具、足首装具、又は手首装具、及び/又はヘッドギアを通じて/それらに亘って加えられる張力を緩和させることを含んでよい。
【0081】
232での衣服の弛緩に続いて、(234で)ユーザが座席面から立ち上がること及び/又は座席面から出ることを意図しているのをプロセッサ24が検出するならば、プロセッサは、(236で)衣服と通信して、再び張力をかけることを命令してよい。しかしながら、幾つかの実施形態において、再び張力をかけることは、(明白な命令を介してでなく)単に衣服とプロセッサ24との間の通信の中断を介して起こってよい。そのような実施形態において、衣服の初期設定状態は、「緊張状態」であってよい一方で、プロセッサ24は、ユーザが着席している間に、より弛緩した構成において衣服を単に「保持する(holds)」。
【0082】
図13に更に例示するように、プロセッサ24は、206で様々なディスプレイ/通信機能を調整してもよい。図示のように、プロセッサ24は、240で1以上のオーディオ及び/又はビデオストリームを受信(及び/又は外向きに送信)してよい。コーチからのアドバイスのようなオーディオストリーム又はアスリート間の通信が(242で)スピーカ/マイクロホンを介してユーザに提示されてよく、視覚ストリームが(244で)接続されたディスプレイシステム18を介してユーザに提示されてよい。上述のeスポーツの場合のような幾つかの実施形態において、生体測定感知は、例えば、ビデオストリームの視野又は焦点を狭めることによって、(246で)ビデオストリームの態様を制御することができてよい。
【0083】
幾つかの実施形態において、(244で)ディスプレイシステム18を介して出力されるビデオストリームは、例えば、プレイダイヤグラム(競技図)(play diagrams)、相手チームのゲーム中のトレンドに関する高度な統計、最も高い成功の可能性を表す相手のポジショニング、トレンド、又はフィールドの領域を表す確率論的ヒートマップ、及び/又はリアルタイムのプレーヤー健康又はフィットネス概要を含んでよい。
【0084】
表示されるプレイダイヤグラムは、フィールド上の所与の行為へのルート又は応答を分析するために、画像認識能力を有するカメラを使用して取得されることがあるような、相手チームのリアルタイムのトラッキングを組み込んでよい。加えて、それらは、コーチによって又は予測計算技術を介して選択される1以上のプレイ(即ち、コーチングスタッフによって又は状況の文脈の認識によって定義される成功結果の確率を最大化するプレイ)を提示してよい。例えば、タイムアウト又はプレイ中の停止の間に、先を見越した戦略(forward looking strategy)として使用されるならば、プレイダイアグラムは、作成されたプレイ(drawn-up play)のペース又はシーケンスをより良く図解するために、時間内にアニメーション表示されてよい。
【0085】
表示される高度な統計は、例えば、チーム形成確率、チームルート/プレイ確率、プレーヤーの指向性トレンド、プレーヤー/チームショット選択トレンド、場所によるプレーヤー/チームシューティングパーセンテージ、打撃トレンド、又は同等のことを含んでよい。そのようなトレンドは、(例えば、光学的又はRF)プレーヤートラッキング能力を用いて認識されてよく、クラスタ分析、パターンマッチング、ニューラルネットワーク、サポートベクタマシン、確率論的方法、又は他のそのような技法のような、高度な計算技法を用いて処理されてよい。次に、確率論的ヒートマップは、これらの計算された統計を可視化する効果的な方法である。理解されることがあるように、ヒートマップは、(ARを使用しようが、ユーザの視野の一部に亘ってオーバーレイされる頂面ビューを介してであろうが)、競技領域の一部を動的にカラー化することがある。
【0086】
最後に、リアルタイムプレーヤー健康又はフィットネス概要は、異なる生体測定パラメータの読み出し、それらのパラメータがユーザの履歴的なトレンドとどのように比較されるか、及び/又はユーザが類似の身体的状態/疲労レベルの下で以前にどのように行ったかを提供することがある。これらのトレンドを使用して、プロセッサ24は、ユーザが自分自身の最適な生理学的状態(即ち、最適なパフォーマンスを履歴的に提供した状態)からどれだけ離れているかを例示する複合健康指標を計算することがある。
【0087】
上記で言及した情報はディスプレイシステム18を介してユーザに表示されてよいが、それはメディア制作デバイス32及び/又はA/V設備34を介して1人以上の観客に提示されてもよい。幾つかの実施形態において、1人以上の観客への表示は、(スポーツ会場にライブでいるユーザのためには)ARディスプレイの形態にあってよく、(スポーツ会場にライブでいないユーザのためには)VRディスプレイの形態にあってよく、或いはテレビ又はストリーミングビデオ放送を通じて表示されることがあるインフォグラフィック(infographics)の形態にあってよい。
【0088】
単数形の表現(「a」、「an」、「the」)、「少なくとも1つ」、及び「1以上」は、項目(item)のうちの少なくとも1つが存在することを示すために交換可能に使用される。文脈が他のことを明確に示していない限り、複数のそのような項目が存在してよい。添付の特許請求の範囲を含む本明細書中のパラメータの全ての数値(例えば、量又は条件)は、「約」が数値の前に実際に現れるか否かに拘わらず、全ての場合において「約」という用語によって修正されていると理解されるべきである。「約」は、記載の数値が、(値の正確さへの多少の接近、その値にほぼ近い又は合理的に近い、ほぼ近いものを含む)多少の僅かな不正確さを許容することを示す。「約」によって提供される不正確さが、この通常の意味で当該技術分野において他の方法で理解されないならば、本明細書中で使用する「約」は、少なくとも、そのようなパラメータを測定及び使用する通常の方法から生じることがある変化を示す。加えて、範囲の開示は、全ての値及び全範囲内で更に分割された範囲の開示を含む。ある範囲内の各値及びある範囲の終点は、本明細書では、全て別個の実施形態として開示されている。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的であり、従って、記述の項目の存在を明記するが、他の項目の存在を排除しない。本明細書において使用するとき、「又は」という用語は、列挙される項目のうちの1以上の項目のありとあらゆる組み合わせを含む。第1、第2、第3等という用語が、様々な項目を互いに区別するために用いられるとき、これらの呼称は、便宜上のものであるに過ぎず、項目を限定するものでない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【外国語明細書】