(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183182
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】撮影システム及び印画物製造システム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/232 20060101AFI20221201BHJP
G03B 17/53 20210101ALI20221201BHJP
【FI】
H04N5/232
H04N5/232 300
G03B17/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152663
(22)【出願日】2022-09-26
(62)【分割の表示】P 2021068494の分割
【原出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】松尾 太一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勝久
(57)【要約】
【課題】所定の場所に設置したカメラの撮影パラメータを状況に応じた値に自動設定できる撮影システム及び印画物製造システムを提供する。
【解決手段】撮影システムは、撮影装置から撮影画像を受信する画像受信部と、互いに異なる撮影パラメータのパラメータ値が設定された複数のプリセットパラメータファイル、及び前記複数のプリセットパラメータファイルの適用条件が定義されたテーブルを記憶する記憶部と、前記テーブルを参照し、前記撮影装置の撮影パラメータを更新するか否か判定する判定部と、前記判定部が撮影パラメータを更新すると判定した場合、前記撮影装置の撮影パラメータのパラメータ値を、前記適用条件に応じた前記プリセットパラメータファイルに設定されたパラメータ値に更新するパラメータ更新部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置から撮影画像を受信する画像受信部と、
互いに異なる撮影パラメータのパラメータ値が設定された複数のプリセットパラメータファイル、及び前記複数のプリセットパラメータファイルの適用条件が定義されたテーブルを記憶する記憶部と、
前記テーブルを参照し、前記撮影装置の撮影パラメータを更新するか否か判定する判定部と、
前記判定部が撮影パラメータを更新すると判定した場合、前記撮影装置の撮影パラメータのパラメータ値を、前記適用条件に応じた前記プリセットパラメータファイルに設定されたパラメータ値に更新するパラメータ更新部と、
前記撮影装置の設置場所の光量を検出する光量センサと、
を備え、
前記テーブルには、光量と前記プリセットパラメータファイルとが対応付けられており、
前記パラメータ更新部は、前記撮影装置の撮影パラメータのパラメータ値を、前記光量センサが検出した光量に対応するプリセットパラメータファイルに設定されたパラメータ値に更新する、撮影システム。
【請求項2】
撮影装置から撮影画像を受信する画像受信部と、
互いに異なる撮影パラメータのパラメータ値が設定された複数のプリセットパラメータファイル、及び前記複数のプリセットパラメータファイルの適用条件が定義されたテーブルを記憶する記憶部と、
前記テーブルを参照し、前記撮影装置の撮影パラメータを更新するか否か判定する判定部と、
前記判定部が撮影パラメータを更新すると判定した場合、前記撮影装置の撮影パラメータのパラメータ値を、前記適用条件に応じた前記プリセットパラメータファイルに設定されたパラメータ値に更新するパラメータ更新部と、
前記撮影画像を解析し、前記撮影装置の設置場所の光量を算出する画像解析部と、
を備え、
前記テーブルには、光量と前記プリセットパラメータファイルとが対応付けられており、
前記パラメータ更新部は、前記撮影装置の撮影パラメータのパラメータ値を、前記画像解析部が算出した光量に対応するプリセットパラメータファイルに設定されたパラメータ値に更新する、撮影システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の撮影システムと、
読取機を介して識別情報を取得する取得部と、
前記撮影画像及び前記識別情報を送信する送信部と、
前記送信部から受信した前記撮影画像及び前記識別情報を対応付けて保存するサーバ装置と、
識別情報の入力を受け付けると、入力された識別情報を前記サーバ装置に通知し、前記サーバ装置から、通知した識別情報に対応付けられた撮影画像を受信し、受信した撮影画像をプリント出力する画像プリント装置と、
を備える印画物製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影システム及び印画物製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
テーマパーク等では、入園客を撮影し、プリントした写真をオリジナルの台紙に貼り付けて、入園客に販売するサービスが行われている。また、アトラクションにカメラを設置し、アトラクション体験中の瞬間を自動撮影するサービスが提供されている。例えば、ジェットコースターの落ちる瞬間など、盛り上がる瞬間を自動撮影するライドフォトが知られている。
【0003】
自動撮影システムでは、入園客の自然な表情を撮影するために、高所など入園客に意識されないような場所にカメラを設置することがある。しかし、そのような場所は人の出入りが容易でないことが多く、カメラ設置後に、露出補正や絞り値(F値)などの撮影パラメータを調整するためにカメラに直接触れて操作することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、所定の場所に設置したカメラの撮影パラメータを状況に応じた値に自動設定できる撮影システム及び印画物製造システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮影システムは、撮影装置から撮影画像を受信する画像受信部と、互いに異なる撮影パラメータのパラメータ値が設定された複数のプリセットパラメータファイル、及び前記複数のプリセットパラメータファイルの適用条件が定義されたテーブルを記憶する記憶部と、前記テーブルを参照し、前記撮影装置の撮影パラメータを更新するか否か判定する判定部と、前記判定部が撮影パラメータを更新すると判定した場合、前記撮影装置の撮影パラメータのパラメータ値を、前記適用条件に応じた前記プリセットパラメータファイルに設定されたパラメータ値に更新するパラメータ更新部と、を備えるものである。
【0007】
本発明の印画物製造システムは、本発明の撮影システムと、読取機を介して識別情報を取得する取得部と、前記撮影画像及び前記識別情報を送信する送信部と、前記送信部から受信した前記撮影画像及び前記識別情報を対応付けて保存するサーバ装置と、識別情報の入力を受け付けると、入力された識別情報を前記サーバ装置に通知し、前記サーバ装置から、通知した識別情報に対応付けられた撮影画像を受信し、受信した撮影画像をプリント出力する画像プリント装置と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、所定の場所に設置したカメラの撮影パラメータを状況に応じた値に自動設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る印画物製造システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る印画物製造システムの概略構成図である。
図1に示すように、印画物製造システムは、制御装置1、撮影装置2、操作表示装置3、読取機4、サーバ装置5、画像プリント装置6、及びセンサ8を備え、撮影装置2で撮影した画像をプリント出力する。
【0012】
制御装置1は、有線又は無線ネットワークを介して、撮影装置2、操作表示装置3、読取機4、サーバ装置5及びセンサ8と通信可能に接続されている。撮影装置2は、例えばデジタルカメラである。操作表示装置3は、画像の表示、及び情報入力の受け付けを行うものであり、例えばタッチパネルである。操作表示装置3は、キーボードやマウス等の入力機器を有していてもよい。
【0013】
この印画物製造システムは、レジャー施設等に導入されるものであり、例えば、撮影装置2は、入園客Uがアトラクションを楽しんでいるシーンを撮影する。
【0014】
センサ8は、入園客Uの接近を検知して制御装置1に通知する。制御装置1は、センサ8からの通知に応じて、撮影装置2に撮影を指示する。撮影装置2は、入園客Uを撮影し、撮影画像を制御装置1へ送信する。
【0015】
制御装置1は、撮影画像を操作表示装置3に表示する。
図1に示すように、入園客Uは、アトラクションを楽しんだ後、操作表示装置3に表示されている自分の画像を確認し、読取機4にチケットTをかざす。チケットTは、入園時に各入園客Uに配布されるものであり、入園客固有の識別情報を示す二次元コードが印刷されている。読取機4は、二次元コードを読み取り、識別情報を制御装置1へ送信する。
【0016】
制御装置1は、撮影画像と識別情報とを対応付けて、サーバ装置5へ送信する。入園客Uは、退園時等に、画像プリント装置6にチケットTの二次元コードを読み取らせる。画像プリント装置6は、二次元コードから取得した識別情報をサーバ装置5に通知する。サーバ装置5は、画像プリント装置6から識別情報が通知されると、この識別情報に紐付けられている撮影画像を画像プリント装置6へ送信する。画像プリント装置6は、サーバ装置5から受信した撮影画像を用紙にプリントして出力する。入園客Uは、記念の印画物7を入手できる。
【0017】
このようなシステムでは、入園客Uの自然な表情を撮影するために、高所など入園客Uに意識されないような場所に撮影装置2が設置される。しかし、そのような場所に設置した場合、撮影装置2に直接触れて操作し、露出補正や絞り値などの撮影パラメータを調整することは困難である。
【0018】
また、撮影装置2を屋外に設置した場合、明るさ(光量)など周囲の環境が時刻によって変化する。入園客Uに写りの良い画像を提供するためには、時刻によって撮影パラメータを調整・更新し、周囲の環境に合わせた撮影パラメータで撮影を行うことが好ましい。
【0019】
そこで、本実施形態に係る撮影システムでは、撮影パラメータのパラメータ値を設定した複数種のプリセットパラメータファイルを事前に準備する。例えば、シャッタースピードや絞り値などの撮影パラメータのパラメータ値が異なる複数種のプリセットパラメータファイルを準備する。
【0020】
また、時刻(時間帯)に応じて、どのプリセットパラメータファイルのパラメータ値で撮影を行うかを事前に定義したテーブルを準備する。複数種のプリセットパラメータファイル及びテーブルを制御装置1に格納する。制御装置1は、テーブルを参照し、現在時刻のプリセットパラメータファイルに設定されたパラメータ値となるように、撮影装置2の撮影パラメータをリモート制御する。撮影装置2のリモート制御には、SDK(Software Development Kit、ソフトウェア開発キット)を使用する。
【0021】
次に、制御装置1の構成について説明する。制御装置1は、通信部、記憶部、CPU等を備えたコンピュータであり、CPUが制御プログラムを実行することで、
図2に示すように、センサ信号受信部101、撮影指示部102、画像受信部103、表示処理部104、識別情報取得部105、データ送信部106、プリセットパラメータ設定部110、テーブル作成部111、判定部112、及びパラメータ更新部113の機能が実現される。
【0022】
制御装置1は、天気予報データ取得部114、光量算出部115、画像解析部116等の機能を有していてもよい。これらの機能については後述する。
【0023】
センサ信号受信部101は、センサ8から入園客接近の検知信号を受信する。
【0024】
撮影指示部102は、センサ信号受信部101による検知信号の受信に伴い、撮影装置2に撮影処理の実行を指示する。
【0025】
画像受信部103は、撮影装置2から撮影画像を受信する。
【0026】
表示処理部104は、撮影画像を操作表示装置3に表示させる。
【0027】
識別情報取得部105は、読取機4から、チケットに印刷された二次元コードが示す入園客の識別情報を取得する。
【0028】
データ送信部106は、操作表示装置3に表示されている撮影画像と、識別情報取得部105が取得した識別情報とを対応付けて、サーバ装置5へ送信する。
【0029】
プリセットパラメータ設定部110は、撮影パラメータのパラメータ値の設定を受け付け、プリセットパラメータファイルを作成する。例えば、プリセットパラメータ設定部110は、
図3に示すようなパラメータ設定画面を操作表示装置3に表示する。管理者(施設管理者)は、パラメータ設定画面を操作し、各撮影パラメータのパラメータ値を入力する。設定ボタン31を押すと、1つのプリセットパラメータファイルが作成される。プリセットパラメータファイルは記憶部10に格納される。
【0030】
管理者は、複数のプリセットパラメータファイルを作成する。例えば、絞り値及び露出補正値を変えて、明るい環境に適したプリセットパラメータファイル、暗い環境に適したプリセットパラメータファイル等を作成する。
【0031】
テーブル作成部111は、時刻(時間帯)と、プリセットパラメータファイルとを対応付けたテーブルを作成する。作成されたテーブルは記憶部100に格納される。
【0032】
例えば、テーブル作成部111は、
図4に示すようなタイマー設定画面を操作表示装置3に表示する。管理者は、時間帯(開始時刻及び終了時刻)及びプリセットパラメータファイルを設定する。
図4に示すように、記憶部10に格納されているプリセットパラメータファイルの名称がドロップダウンリストで表示され、リスト内からプリセットパラメータファイルが選択できるようにしてもよい。
図4は、プリセットA~Cの3種類のプリセットパラメータファイルが作成され、その中から選択する例を示す。
【0033】
図5に示すように、タイマー設定画面では、時間帯だけでなく、月日が設定できるようにしてもよい。
【0034】
これにより、例えば、月日及び時間帯とプリセットパラメータファイルとを対応付けた
図6に示すようなテーブルが作成できる。
図6に示す例では、1年を通して、19:00~21:00の時間帯には、暗い環境に適したプリセットパラメータファイルであるプリセットAが対応付けられている。9:00~12:00の時間帯は、夏季(6/1~8/31)のみ明るい環境に適したプリセットパラメータファイルであるプリセットCが対応付けられ、それ以外の季節では標準的な明るさに適したプリセットパラメータファイルであるプリセットBが対応付けられている。
【0035】
判定部112は、テーブルを参照し、撮影装置2に設定する撮影パラメータを更新(変更)するか否か判定する。例えば、春季(3/1~5/31)では、時刻が12:00、16:00、19:00になった時に、撮影パラメータを更新すると判定する。
【0036】
パラメータ更新部113は、判定部112の判定結果に基づいて、撮影装置2をリモート制御して、撮影パラメータを更新する。例えば、冬季(12/1~2/28)では、時刻が16:00になった時に、撮影装置2の撮影パラメータを、プリセットAのプリセットパラメータファイルに設定されたパラメータ値に更新する。
【0037】
このように、本実施形態によれば、撮影装置2の撮影パラメータを、周囲の環境に適したパラメータ値に自動的に更新できる。そのため、入園客Uに写りの良い画像を提供することができる。
【0038】
上記実施形態では、月日や時間帯によって撮影装置2の撮影パラメータを更新する例について説明したが、更新方法はこれに限定されない。例えば、天気予報から現在時刻の光量を予測し、好適な撮影パラメータを設定してもよい。この場合、天気予報データ取得部114が、撮影装置2の設置場所における天気予報データを気象庁データベース等から取得する。光量算出部115が、天気予報データから現在時刻の周囲の光量を算出する。
【0039】
記憶部100に、
図7に示すような、光量と、プリセットパラメータファイルとを対応付けたテーブルを準備しておく。判定部112が、テーブルを参照し、光量算出部115により算出された光量に対応するプリセットパラメータファイルを特定し、撮影パラメータの更新を行うか否か判定する。
【0040】
撮影装置2の近傍に光量センサを設置してもよい。判定部112は、光量センサで検出された光量に対応するプリセットパラメータファイルを特定し、撮影パラメータの更新を行うか否か判定する。
【0041】
画像解析部116が、撮影装置2による撮影画像を解析し、輝度ヒストグラムを求め、現在時刻の周囲の光量を算出してもよい。判定部112は、算出された光量に対応するプリセットパラメータファイルを特定し、撮影パラメータの更新を行うか否か判定する。
【0042】
テーブルに定義するプリセットパラメータファイルの適用条件は、時間帯、計算によって求めた光量、センサで測定した光量に限定されない。
【0043】
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更が可能であることは当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0044】
1 制御装置
2 撮影装置
3 操作表示装置
4 読取機
5 サーバ装置
6 画像プリント装置