(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183183
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】小さい活動性脈絡膜新生血管病変を有する加齢黄斑変性症の治療
(51)【国際特許分類】
A61K 38/17 20060101AFI20221201BHJP
A61K 41/00 20200101ALI20221201BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20221201BHJP
A61K 31/409 20060101ALN20221201BHJP
【FI】
A61K38/17
A61K41/00
A61P27/02
A61K31/409
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022152791
(22)【出願日】2022-09-26
(62)【分割の表示】P 2020173951の分割
【原出願日】2015-12-10
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2014/093548
(32)【優先日】2014-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2015/089251
(32)【優先日】2015-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】507021757
【氏名又は名称】バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー・ツァイツ
(72)【発明者】
【氏名】オラフ・ソウェイデ
(72)【発明者】
【氏名】ハイヤン・ウ
(57)【要約】
【課題】全病変サイズの50%未満の活動性CNV病変を有するwAMDの治療のための方法およびその方法における使用のための医薬組成物が開示される。
【解決手段】本発明では、CNV病変の小さい活動性部分を有する病変(全病変サイズの50%未満;「sCNV wAMD」)が、抗VEGF治療、すなわちアフリベルセプトまたはPDTを用いる治療に良好に反応することが示されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の湿潤加齢黄斑変性症(wAMD)を治療するための方法であって、CNV病変の活動性サイズが全病変サイズの50%未満である場合にまず確立され、次いで、前記CNV病変の前記活動性サイズが前記全病変サイズの50%未満である場合に、通常のwAMD治療スキームにしたがって前記患者が治療される方法。
【請求項2】
前記CNV病変の前記活動性サイズが前記全病変サイズの50%未満である場合に、抗VEGF治療により前記患者が治療される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
最初の抗VEGF療法が、それぞれ4週間、8週間、12週間以上ごとの抗VEGF療法のための医薬組成物の単回注射または2回、3回、4回、5回、6回以上の注射からなる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗VEGF療法の少なくとも3回の投与が4週間ごとに投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
治療反応の評価が、先行する抗VEGF療法の4週間、8週間、12週間以上後に実施される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記抗VEGF治療が、アフリベルセプト、ラニビズマブ、ベバシズマブ、KH-902またはペガプタニブから選択される化合物の投与を含む、請求項2、3、4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記CNV病変の前記活動性サイズが前記全病変サイズの50%未満である場合に、光増感剤を用いてPDTにより前記患者が治療される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記治療が、光増感剤としてのベルテポルフィンの投与を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
抗VEGF剤を含む、sCNV wAMDの治療における使用のための医薬組成物。
【請求項10】
アフリベルセプト、ラニビズマブ、ベバシズマブ、KH-902またはペガプタニブを含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
光増感剤を含む、sCNV wAMDの治療のための医薬組成物。
【請求項12】
光増感剤としてベルテポルフィンを含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
加齢黄斑変性(AMD)は、通常、高齢者に影響を及ぼし、網膜の損傷のために視野の中心(黄斑)の視力を失う病状である。それは「乾燥」および「湿潤」形態で生じる。乾燥形態では、ドルーゼンと呼ばれる細胞破片が網膜と脈絡膜との間に蓄積し、網膜が剥離することがある。より重篤な湿潤形態(wAMD)では、脈絡膜新生血管(CNV)とも呼ばれる網膜の背後の脈絡膜から血管が成長する。CNVの結果、網膜も剥離することがある。
【背景技術】
【0002】
網膜における異常な血管の増殖は、血管内皮増殖因子(VEGF)によって刺激される。抗血管新生剤または抗VEGF剤は、異常な血管の退行を引き起こし、硝子体内投与されたときに視力を改善し得る。いくつかの抗VEGF薬は眼内使用が認可されており、以下の特許出願に記載されている:
【0003】
アフリベルセプト(Eylea(登録商標)) WO 2000/75319
ベバシズマブ(Avastin(登録商標)) WO 9845331
ラニビズマブ(Lucentis(登録商標)) WO 9845331
ペガプタニブ(Macugen(登録商標)) WO 9818480
KH-902/conbercept(Langmu(登録商標)) WO 2007112675
【0004】
抗VEGF治療の他に、wAMDはVerteporfin(登録商標)(V(登録商標)-PDT)を用いた光線力学療法でも治療することができ、これにより、静注可能な光増感剤であるビスダインと組み合わせたレーザー光によって漏出の閉鎖が誘導される。
【0005】
抗VEGF剤を用いて実施された臨床試験では、全病変の少なくとも50%を占めなければならないクラシック主体型活動性中心窩下CNV領域(active predominantly classic,subfoveal CNVarea)を有する患者を含める必要があった[Rosenfeldら、N Engl J Med 2006,355:1419-1431;Brownら、N Engl J Med 2006,355:1432-1444;Heierら、Ophthalmology 2012,119:2537-2548;Regilloら、Am J Ophthalmol 2008,145:239-248]。したがって、全病変の50%未満を占めるクラシック主体型活動性中心窩下CNV領域を有する眼の、抗VEGF療法に対する反応に関する情報は不足している。
【0006】
CATT研究グループは、加齢性黄斑変性症治療試験(CATT)の比較に登録した、血液で構成される病変を50%を超えて有する眼(B50群)と他のすべての眼(他の群)のベースライン特性、治療頻度、視力(VA)および形態学的予後を比較した。試験眼の治療は、ラニビズマブまたはベバシズマブのいずれかにランダムに割り当てられ、2年間にわたって異なる3つの投与レジメンに割り当てられた。リーディングセンターのグレーダーは、カラー眼底写真、フルオレセイン蛍光眼底造影(FA)および光干渉断層撮影(OCT)においてベースラインおよびフォローアップ形態を評価した。平均視力(VA)の上昇は、「B50群」および「他の群」において、1年目(+9.3対+7.2文字;P=0.22)および2年目(9.0対6.1文字;P=0.17)で同等であった。「B50群」の平均病変サイズは、1年目と2年目のいずれも1.2 DA減少(主に出血の回復による。)し、「その他の群」では1年目に0.33 DA、2年目に0.91 DA増加した(P<0.001)。著者らは、「B50群」は「他の群」と同様の視覚予後を有していると結論付けた。病変サイズは2年間で著しく減少した。50%を超える血液で構成される血管新生性AMD病変を有する、CATTに登録されたもののような眼は、血液が少ないかまたは全くないものと同様に管理することができる。[Altaweel MMら、Ophthalmology.2015 122(2):391-398]。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Rosenfeldら、N Engl J Med 2006,355:1419-1431
【非特許文献2】Brownら、N Engl J Med 2006,355:1432-1444
【非特許文献3】Heierら、Ophthalmology 2012,119:2537-2548
【非特許文献4】Regilloら、Am J Ophthalmol 2008,145:239-248
【非特許文献5】Altaweel MMら、Ophthalmology.2015 122(2):391-398
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、血液で構成される病変を50%を超えて有する上記の評価された亜集団は、本出願(実施例1)に記載された調査の全病変サイズの50%未満の活動性CNV病変を有する患者の亜集団と同等ではない。
【0009】
本発明によれば、次のwAMDの2つのサブタイプが存在する:(I)小さい活動性CNV病変-wAMDのタイプ、または(II)活動性主体型(predominantly active)CNV病変-wAMDのタイプ。病変の位置は、中心窩に影響を及ぼす中心窩下または傍中心窩であり得る。病変のタイプは、クラシック主体、最小限のクラシックまたはオカルトを含むすべてのサブタイプであり得る。
【0010】
2つのタイプのwAMDの用語は暫定的(preliminary)である。「小さい活動性CNV病変-wAMDのタイプ」の代替用語は以下を含んでもよい:
1)「sCNV wAMD」
2)「小さい活動性CNVを有するwAMD」
3)「活動性CNVが減少したwAMD」
4)「CNVがより少ないwAMD」
5)「非CNV関連のwAMD」
6)「wAMDタイプ1」
7)「wAMDタイプ2」
8)「wAMDタイプX」(Xは任意の数字、文字または両方の組み合わせ)。
【0011】
列記した「活動性CNVが減少した-wAMDのタイプ」の代替用語1~8のもと、「wAMD」の代替用語は以下があり得る:
a.「湿潤AMD」
b.「血管新生性AMD」
c.「nAMD」
d.「滲出型AMD」
e.「eAMD」
【0012】
「活動性主体型CNV病変-wAMDのタイプ」の代替用語は以下を含んでもよい:
1)「pCNV wAMD」
2)「活動性CNVを主体とするwAMD」
3)「活動性CNVを有するwAMD」
4)「大きな活動性CNVを有するwAMD」
5)「CNV関連wAMD」
6)「wAMDタイプ1」
7)「wAMDタイプ2」
8)「wAMDタイプX」(Xは任意の数字、文字または両方の組み合わせ)。
【0013】
列記した「活動性CNVが減少した-wAMDのタイプ」の代替用語1~8のもと、「wAMD」の代替用語は以下があり得る
a.「湿潤AMD」
b.「血管新生性AMD」
c.「nAMD」
d.「滲出型AMD」
e.「eAMD」
【0014】
以下では、「sCNV wAMD」および「pCNV wAMD」という用語が使用される。
【0015】
活動性CNV病変の存在およびそれによるwAMDの診断は、通常、蛍光血管造影(FA)によって確認されるが、2つのwAMDタイプは、以下の通り区別することができる:
1)「sCNV wAMD」は、全病変サイズの50%未満を占める活動性CNV病変を特徴とする
2)「pCNV wAMD」は、全病変サイズの少なくとも50%を占める活動性CNV病変を特徴とする。
【0016】
病変の位置は、中心窩に影響を及ぼす中心窩下または傍中心窩であり得る。病変のタイプは、クラシック主体、最小限のクラシックまたはオカルトを含むすべてのサブタイプであり得る。
【0017】
活動性CNV病変のサイズならびに全病変サイズは、MPSプロトコル[Macular Photocoagulation Study Group,Arch Ophthalmol 1991,109:1242-1257]に記載の通り、蛍光血管造影(FA)を用いて測定される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明では、CNV病変の小さい活動性部分を有する病変(全病変サイズの50%未満;「sCNV wAMD」)が、抗VEGF治療、すなわちアフリベルセプトまたはPDTを用いる治療に良好に反応することが示されている。この結論は、アフリベルセプトまたはV(登録商標)-PDTの硝子体内注射のいずれかで治療された、「sCNV wAMD」および「pCNV wAMD」を有する患者の臨床試験での観察に基づく。驚くべきことに、「sCNV wAMD」患者の視力によって測定されるアフリベルセプト治療に対する反応は、「pCNV wAMD」患者の反応に対して数値的に高かった。これは、CNV病変の大きな活動性部分を有する病変が、CNV病変の小さい活動性部分を有する病変よりも、抗VEGF治療の漏出防止作用に対してより受容性があると推定されるため、予想されていなかった。さらに、「sCNV wAMD」患者のV(登録商標)-PDT治療に対する反応は、「pCNV wAMD」患者の反応に対して数値的に高く、これも予想されていなかった。
【0019】
本発明によれば、「sCNV wAMD」を有する患者の治療にも、wAMDの治療を用いることができる。「sCNV wAMD」を有する患者のこのような治療は次の通りでもよい:
1)wAMDの治療と同様の硝子体内抗VEGF単独療法であるが、抗VEGF療法は、眼内の遊離VEGFを減弱させることを目的とした認可された治療および認可されていない治療すべてを指す。これには、特にアフリベルセプト、ラニビズマブ、ベバシズマブ、KH-902およびペガプタニブが含まれるが、これらの化合物に限定されない。抗VEGF治療は、以下の治療スケジュールにしたがって施すことができる:
a.毎月の硝子体内注射3回または4週間ごとの硝子体内注射3回、続いて隔月または4週間ごとに投与し、後の治療段階は、さらに治療間隔を延ばす選択肢あり、またはなしで投与する。
b.視力および/または網膜形態(例えば、OCT、フルオレセイン血管造影、インドシアニン血管造影、眼底検査などによって評価される。)が安定化するまで治療し、続いて治療を中止する。視力および/または網膜形態の悪化時に治療を再開。
c.必要に応じて(pro-re-nata-「PRN」)任意のレジメン
d.任意の治療および延長レジメン
e.wAMDの治療に使用されている、または使用された他の任意の治療レジメン
【0020】
2)以下の治療のうちの1つまたは複数の療法。1つを超える治療が使用される場合、それらは同時に、または順次使用されてもよい。
a.1)に記載の抗VEGF治療
b.Visudyne(登録商標)(V(登録商標)-PDT)を用いる光線力学療法の単回または反復適用
c.徐放性製剤またはデポー製剤(例えば、Ozurdex(登録商標)、トリアムシノロン、デキサメタゾン、Iluvien(登録商標)など)を含むステロイドの単回または反復適用(すべての利用可能な局所または全身投与経路)
d.放射線療法
e.閾値以下の治療を含む熱レーザー療法
f.外科療法
g.薬理学的な硝子体液化(pharmacological vitreolysis)(例えば、Jetria(登録商標)あるいは他の認可された薬剤または認可されていない薬剤による)
h.全身的または局所的に適用されるチロシンキナーゼの阻害剤
i.全身的または局所的に適用されるVEGF受容体の阻害剤
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】ベースラインにおいて全病変サイズの50%以上の活動性CNV病変を有する被験者における訪問によるETDRS BCVA文字数スコアのベースラインからの平均変化を示す図である。第1週(V3)4週(V4)、第8週(V5)、第12週(V6)、第16週(V7)、第20週(V8)、第24週(V9)、第28週(V10)、第32週(訪問11)、第36週(訪問12)、第40週(訪問13)、第44週(訪問14)、第28週(訪問15)、第52週(訪問16)における、ETDRSにより測定したBCVAスコア(文字数)のベースラインからの平均変化が、VTE2Q8群(実線と菱形)およびPDT→VTE群(点線と四角)について示されている。第28週(V10)のBCVAスコアのベースラインからの平均変化は、VTE2Q8群では12.7、PDT→VTE群では1.5である。第52週のBCVAスコアのベースラインからの平均変化は、VTE2Q8群では14.0、PDT→VTE群では6.4である。
【
図2】ベースラインにおいて全病変サイズの50%未満の活動性CNV病変を有する被験者における訪問によるETDRS BCVA文字数スコアのベースラインからの平均変化を示す図である。第1週(V3)4週(V4)、第8週(V5)、第12週(V6)、第16週(V7)、第20週(V8)、第24週(V9)、第28週(V10)、第32週(訪問11)、第36週(訪問12)、第40週(訪問13)、第44週(訪問14)、第28週(訪問15)、第52週(訪問16)における、ETDRSにより測定したBCVAスコア(文字数)のベースラインからの平均変化が、VTE2Q8群(実線と菱形)およびPDT→VTE群(点線と四角)について示されている。第28週(V10)のBCVAスコアのベースラインからの平均変化は、VTE2Q8群では16.7、PDT→VTE群では8.0である。第52週(V10)のBCVAスコアのベースラインからの平均変化は、VTE2Q8群では18.1、PDT→VTE群では13.4である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施例1
加齢性血管新生または湿潤加齢性黄斑変性症を有する合計304人の中国人被験者を無作為化二重盲検臨床試験に登録して、V(登録商標)-PDTと比較した硝子体内(IVT)投与したアフリベルセプトの有効性を、BCVA(最高矯正視力)のベースラインからの平均変化で第28週まで評価した。試験眼のBCVAを、加齢性眼疾患調査(Age Related Eye Disease Study)(AREDS)に適合させたETDRS(早期治療糖尿病性網膜症調査(Early Treatment Diabetic Retinopathy Study))のために開発された標準的な手順にしたがって評価した。重要な組み入れ基準は以下の通りであった。
署名し、日付を入れた書面によるICF。
50歳以上の男性と女性。
試験眼においてフルオレセイン蛍光眼底造影(FA)によって明らかになる、中心窩に影響を及ぼす傍中心窩病変を含む、AMDに続発するクラシック主体型活動性中心窩下脈絡膜新生血管(CNV)病変。
CNVの領域は、全病変の少なくとも50%を占有しなければならなかった。
ETDRSの試験眼の最高矯正視力(BCVA)は73~25文字(試験眼のスネレン等価視力は20/40~20/320)。
【0023】
試験眼に適用される以下の重要な除外基準:
全病変サイズは、FAによって評価される12の乳頭領域(30.5mm2、血液、瘢痕および新生血管を含む。)より大きい。
網膜下出血は全病変領域の50%以上であるか、または血液が中心窩の下にある場合、1つまたは複数の乳頭領域のサイズである。(血液が中心窩の下にある場合、中心窩は目に見えるCNVによって270度囲まれていなければならない)
wAMD以外の起源を持つCNVの存在。糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫またはwAMD以外の何らかの網膜血管疾患の病歴または臨床的証拠。ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)を有する被験者を除外するために、特に注意が払われるべきである。
実質的に不可逆的な視力喪失を示す中心窩を含む瘢痕、線維症または萎縮症の存在。
網膜色素上皮断裂または黄斑に関与する裂け目の存在。
【0024】
適格な患者は3:1に無作為化され、アフリベルセプト(VTE)2Q8またはV(登録商標)-PDT(228 VTE+76 PDT)が投与された。50%以上の活動性CNV病変を有する患者194人(147 VTE2Q8+47 PDT)および50%未満の活動性CNV病変を有する患者106人(78 VTE2Q8+28 PDT)が含まれていた。病変サイズは、MPSプロトコル[Macular Photocoagulation Study Group,Arch Ophthalmol 1991,109:1242-1257]に基づき、セントラルリーディングセンターにより測定された。活動性CNVのサイズ、CNVの面積(mm2)ならびに全病変サイズをFAを用いて測定した。中心網膜厚は、光干渉断層撮影により測定した。VTE2Q8群では、ベースライン、第4週、第8週、第16週、第24週、第32週、第40週および第48週に硝子体内投与された2mg(0.05mL)のアフリベルセプトで患者を治療した。PDT群では、第12週および第24週に、ベースラインにおいてV(登録商標)-PDTを実施し、wAMDにおけるPDT治療の利用のガイドライン[Verteporfin Roundtable Participants,Retina.2005;25(2):119-34]にしたがって、可能性のあるPDT再治療を実施した。第28週に、一次および二次エンドポイントの評価後、PDT→VEGF Trap-Eye群の被験者にはVEGF Trap-Eye 2.0mgをIVT注射し、その後、第32週、第36週、第40週および第48週にさらにVEGF Trap-Eye 2.0mgをIVT注射した。
【0025】
ベースラインからの平均変化のBCVA文字数スコアは、調査集団全体において、活動性CNV病変サイズに関わらず、第28週にVTE2Q8群が14.0(-29~59)、PDT群が3.9(-36~43)(P<0.0001)と、アフリベルセプト2mgの硝子体内注射はV(登録商標)-PDTより優れていた。アフリベルセプト2mgの硝子体内注射は、全病変サイズの50%未満の活動性CNV病変を有する患者にとって有効な治療であった(第28週のBCVAのベースラインからの平均変化:16.7(-21~59)。
図2参照。)が、これは、全病変サイズの50%以上の活動性CNV病変を有する患者の治療結果(第28週のBCVAのベースラインからの平均変化:12.7(-29~40)。
図1参照。)と同等であった。V(登録商標)-PDTの治療有効性は、全病変サイズの50%以上の活動性CNV病変を有する患者(第28週のBCVAのベースラインからの平均変化:1.5(-36~27)。
図1参照。)よりも、全病変サイズの50%未満の活動性CNV病変を有する患者(第28週のBCVAのベースラインからの平均変化:8.0(-18~43)、
図2参照。)において数値的に高い。
【0026】
概して、他の有効性パラメータの大部分では、VTE2Q8およびV(登録商標)-PDTで治療された両方の患者について、全病変サイズの50%以上の活動性CNV病変を有する患者と比較して、全病変サイズの50%未満の活動性CNV病変を有する患者において、より好ましい結果が観察された(表1)。
【0027】
【0028】
【手続補正書】
【提出日】2022-10-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の湿潤加齢黄斑変性症(wAMD)の治療において使用するための、抗VEGF剤または光増感剤を含む組成物であって、活動性CNV病変のサイズが全病変サイズの50%未満である場合にまず確立され、次いで、前記活動性CNV病変の前記サイズが前記全病変サイズの50%未満である場合に、通常のwAMD治療スキームにしたがって前記患者が治療され、
前記wAMD治療スキームが、i)アフリベルセプトを含む抗VEGF治療、またはii)ベルテポルフィンを有する光増感剤の適用を含む、組成物。
【請求項2】
前記最初の抗VEGF治療が、前記治療におけるそれぞれ4週間ごとの抗VEGF治療のための医薬組成物の少なくとも3回の投与を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
視力および/または網膜形態が安定化するまで患者を前記抗VEGF治療で治療し、続いて治療を中止し、視力および/または網膜形態の悪化時に治療を再開する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記抗VEGF療法の3回の投与が4週間ごとに投与され、続いて隔月または4週間ごとに投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
アフリベルセプトが硝子体内注射により投与される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
i)抗VEGF剤としてアフリベルセプト、またはii)光増感剤としてベルテポルフィンを含む、活動性CNV病変のサイズが全病変サイズの50%未満であるwAMD患者の治療における使用のための医薬組成物。
【外国語明細書】