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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183204
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】物品管理装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 19/00 20060101AFI20221201BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
E05B19/00 E
B65G1/137 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160694
(22)【出願日】2022-10-05
(62)【分割の表示】P 2020095505の分割
【原出願日】2020-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501079875
【氏名又は名称】グローリーAZシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 克稔
(57)【要約】
【課題】効率的に管理できる物品管理装置を提供する。
【解決手段】物品管理装置11は、物品12を備える複数の収納部材13と、収納部材13をそれぞれ収納する収納部23と、物品管理装置11の本体17の前面側を開閉する表扉18と、収納部材13に取り出して使用可能とする使用制限時間を設定する設定部と、
使用制限時間内に収納部材13が返却されない場合にアラームを発する報知部と、を備える。収納部材13のうちの所定の収納部材13については、表扉18が閉められている間は使用制限時間の対象外となっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品管理装置であって、
物品を備える複数の収納部材と、
前記収納部材をそれぞれ収納する収納部と、
前記物品管理装置の本体の前面側を開閉する表扉と、
前記収納部材に取り出して使用可能とする使用制限時間を設定する設定部と、
前記使用制限時間内に前記収納部材が返却されない場合にアラームを発する報知部と、
を備え、
前記収納部材のうちの所定の収納部材については、前記表扉が閉められている間は前記使用制限時間の対象外となっている
ことを特徴とする物品管理装置。
【請求項2】
前記所定の収納部材は所定の鍵を備えている
ことを特徴とする請求項1記載の物品管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を管理する物品管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管理用の部材を用いて物品を管理する物品管理装置が知られている。例えば特許文献1では、管理用の部材にリングを介して物品を連結する物品管理装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-145793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような物品管理装置では、効率的に管理することが求められる。
【0005】
本発明は、効率的に管理できる物品管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の物品管理装置は、物品管理装置であって、物品を備える複数の収納部材と、前記収納部材をそれぞれ収納する収納部と、前記物品管理装置の本体の前面側を開閉する表扉と、前記収納部材に取り出して使用可能とする使用制限時間を設定する設定部と、前記使用制限時間内に前記収納部材が返却されない場合にアラームを発する報知部と、を備え、前記収納部材のうちの所定の収納部材については、前記表扉が閉められている間は前記使用制限時間の対象外となっている。
【0007】
また、前記所定の収納部材は所定の鍵を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態を示す物品管理システムの物品管理装置の斜視図である。
図2】同上物品管理装置のブロック図である。
図3】同上物品管理装置の設定変更処理のフローチャートである。
図4】同上物品管理装置の交換処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に物品管理システム10の物品管理装置11を示す。物品管理装置11は、複数の物品12を、これら物品12を備える複数の収納部材13を用いて管理する。図1には、物品12の一例として鍵12aを示す。この場合、収納部材13は、鍵12aを連結するキーホルダーである。
【0011】
鍵12aは、同一構成の複数の鍵12aであって「本鍵と予備鍵(スペアキー)」というような関連性のある場合や、異なる構成の鍵12aであっても「子鍵と親鍵(マスターキー)」というような関連性がある場合や、一緒に管理する必要があるような関連性がある場合等、関連性のある少なくとも2以上の鍵12aが含まれる場合がある。物品管理装置11では、関連性のある少なくとも2以上の鍵12aについてもそれぞれ個別に収納部材13に連結して管理することが可能となっている。
【0012】
収納部材13には、リング等の連結部14を介して鍵12aが間接的に連結されている。なお、収納部材13には、鍵12aが直接的に連結されてもよい。また、収納部材13は、この収納部材13に対応した固有情報や連結される鍵12aの情報等を含む情報を読書可能に記憶するRFIDタグ等のICタグを備えている。そして、収納部材13は、連結部14を介して連結された鍵12aが外れないようにロックが掛けられているが、所定の処理である交換処理により、ロックが解除されて鍵12aを交換可能な状態となり、鍵12aの交換あるいは追加や削減が可能となっている。
【0013】
そして、物品管理装置11は、本体17、この本体17の前面側を開閉する表扉18、本体17の上部に設けられたステータス情報報知部である表示操作部19、および本体17の側部に配設されたプリンタ部20等を備えている。
【0014】
本体17は、この本体17の前面側に、鍵12aを保管して管理する物品管理部22を備えている。物品管理部22には、収納部材13を着脱可能に収納する複数の収納部23が設けられている。収納部23は、物品管理部22の前面側に、上下方向に複数段に設けられているとともに、各段の左右方向に複数列に並んで設けられている。収納部23は、物品管理部22の前面側に開口する孔状に設けられ、前方から収納部材13を挿入または取り出し可能とする。
【0015】
収納部23には、収納された収納部材13を施解錠する錠機構24(図2参照)、収納部23に対して収納部材13の挿入(収納)および取り出しを検知する検知部25(図2参照)、収納部材13のICタグに対して情報を読み書きするICタグ用リーダライタである情報読書部26(図2参照)、および使用者の使用権限に応じて収納部23から取り出し可能な収納部材13を表示する収納部材表示部27等が設けられている。なお、情報読書部26は、収納部材13のICタグから情報を読み出すICタグ用リーダである情報読取部であってもよい。また、収納部材表示部27は、収納部23の孔の周囲に設けられた導光体、およびこの導光体に光を入射する例えばLED等の光源を有している。そして、収納部材表示部27は、光源が発する光により導光体が発光して収納部23に収納されている収納部材13の場所を表示するものであり、収納部23に収納部材13が収納状態にあっても物品管理部22の前方から視認可能となっている。収納部材表示部27は、点灯、点滅が可能となっているとともに、例えば青色や黄色等の光色の変更が可能となっている。
【0016】
さらに、物品管理部22には、収納部材13に対して鍵12aの交換あるいは追加や削減を行うための交換部28が設けられている。交換部28は、開閉可能とするカバーで覆われ、内部に収納部材13を挿入する交換孔が設けられている。交換部28は、交換部28に挿入された収納部材13のICタグに対して情報を読み書きするICタグ用リーダライタまたは情報を読み出すICタグ用リーダを備えている。そして、交換部28は、権限を有する管理者(権限者)の操作による交換処理に基づき、交換部28に挿入された収納部材13のロックを解除して交換可能な状態とし、鍵12aの交換あるいは追加や削減を可能とする。
【0017】
また、表扉18は、本体17の前面側の物品管理部22を開閉可能で、物品管理部22の閉鎖時には本体17に対して施錠可能とし、物品管理部22の開放時にはプリンタ部20とは反対側となる本体17の側部に折り畳んで配置可能とする。
【0018】
また、表示操作部19は、タッチパネルディスプレイが用いられている。表示操作部19は、使用者に対して操作案内等の情報を表示する表示部(ステータス情報を表示によって報知するステータス情報報知部を含む)、および使用者からの各種操作の入力を受け付ける入力部である。
【0019】
また、プリンタ部20は、収納部材13の取り出し履歴および返却履歴、各種の履歴等をロール紙等の用紙に印字する。印字された用紙は、プリンタ部20内の巻き取り部に巻き取られるか、プリンタ部20の前面側から導出される。なお、プリンタ20は物品管理装置11に必須の構成ではない。
【0020】
次に、図2に物品管理装置11のブロック図を示す。
【0021】
物品管理装置11では、使用者とこの使用者の使用権限に応じて使用が許可される鍵12aの収納部材13とを関連付けて予め登録しておき、使用者を認証して物品管理装置11にログインすることにより、使用者の使用権限に応じて使用が許可される鍵12aの取り出しまたは返却を可能としている。
【0022】
物品管理装置11は、物品管理装置11を制御する制御部31を有している。制御部31には、表示操作部19と、各収納部23の錠機構24、検知部25、情報読書部26および収納部材表示部27と、交換部28と、各種の情報を記憶する記憶部32と、報知をするための報知部33とが接続されている。報知部33は、表示操作部19や収納部材表示部27での表示による報知や、スピーカ等を用いた音や音声等による報知が含まれる。
【0023】
制御部31は、使用者のログイン時に、使用者を認証する認証部34の機能を備えている。認証部34は、使用者の生体情報で認証してもよく、あるいはカードリーダを用いて使用者のIDカードにより認証したり、表示操作部19でのID番号やパスワードの入力により認証してもよい。
【0024】
さらに、制御部31は、少なくとも2以上の収納部材13を関連付ける関連付け部35の機能を備えている。関連付け部35は、権限を有する管理者により関連付け処理が可能で、表示操作部19に関連付け設定ガイダンスを表示し、この関連付け設定ガイダンスに従って管理者により入力される少なくとも2以上の収納部材13の関連付けを設定し、設定された関連付け情報を記憶部32に記憶する。少なくとも2以上の収納部材13の関連付けの設定は、1組に限らず、複数組の設定が可能となっている。
【0025】
また、制御部31は、関連付け部35で関連付けがなされた収納部材13について所定の処理が行われる際に、この関連付けがなされている関連付けグループに属する全ての収納部材13について所定の処理が行われるように制御する。
【0026】
所定の処理には、収納部材13の使用権限や使用制限時間等の設定を変更する設定変更処理や、収納部材13が備える鍵12aを交換する交換処理等が含まれる。なお、所定の処理は、関連付けグループに属する全ての収納部材13について、全て同じ処理をするが、関連して異なる処理をする場合も含まれる。
【0027】
制御部31は、関連付け部35により関連付けがなされた収納部材13について使用権限や使用制限時間等の設定変更処理が行われる際に、この関連付けがなされている関連付けグループに属する全ての収納部材13について設定変更処理が行われるように制御する。この場合、関連付けグループに属するいずれか1つの収納部材13の設定を変更することにより、この関連付けグループに属する残りの収納部材13の設定を自動的に変更、または関連付けグループに属する残りの収納部材13の設定を変更するように報知部33で報知する連動方式と、関連付けグループに対して設定を変更することにより、この関連付けグループに属する全ての収納部材13の設定を自動的に一括して変更する一括方式と、のいずれの方式で実行されてもよい。
【0028】
制御部31は、関連付け部35により関連付けがなされた収納部材13について交換処理が行われる際に、この関連付けがなされている関連付けグループに属する全ての収納部材13について交換処理が行われるように制御する。この場合、関連付けグループに属するいずれか1つの収納部材13について交換処理をすることにより、この関連付けグループに属する残りの収納部材13についても交換処理をするように報知部33で報知する連動方式と、関連付けグループに対して交換処理を設定することにより、この関連付けグループに属する全ての収納部材13について交換処理をするように報知部33で報知する一括方式と、のいずれの方式で実行されてもよい。
【0029】
制御部31は、関連付け部35により関連付けがなされた関連付けグループに属する収納部材13のうち、少なくとも一部の収納部材13については有効として収納部23から取り出し可能とし、残りの収納部材13については無効として収納部23から取り出し不可とするように制御可能とする。この場合、無効として収納部23から取り出し不可とされた収納部材13については、有効として収納部23から取り出し可能とするように変更可能とする。この場合の具体例としては、例えば、予備鍵を連結した収納部材13を無効にしておき、本鍵が何らかの理由で使用できなくなった場合に、管理者が予備鍵を連結した収納部材13を無効から有効に変更し、予備鍵を使用できるようにするというケース等が挙げられる。また、制御部31は、関連付け部35により関連付けがなされた関連付けグループに属する全ての収納部材13について収納部23から取り出し可能とするように制御可能とする。
【0030】
制御部31は、収納部材13が収納部23から取り出される際に、この収納部材13に関連付けがなされている他の収納部材13のステータス情報をステータス情報報知部である表示操作部19にて表示によって報知するように制御する。ステータス情報には、他の収納部材13の収納中(〇時に貸出予定)、他の収納部材13の取り出し中(〇時に返却予定)、他の収納部材13のエラー中(故障中)等が含まれる。なお、ステータス情報報知部は、表示による報知以外に、スピーカ等での音や音声による報知を行ってもよい。
【0031】
制御部31は、少なくとも2以上の収納部材13について複数組の関連付けがある場合、複数組の関連付けがなされている収納部材13を区別可能に表示するように収納部材表示部27を制御する。なお、複数組の関連付けがなされている収納部材13を区別可能に表示することは表示操作部19でも可能であり、表示操作部19が収納部材表示部27の機能を有していてもよい。
【0032】
次に、物品管理装置11の全体の処理について説明する。
【0033】
物品管理装置11で管理されている鍵12aを使用するために収納部材13を取り出す場合、使用者により表示操作部19で取り出しが選択操作されることにより、物品管理装置11は使用者の認証処理を実行する。使用者が認証されると、使用者が使用権限のある収納部材13を収納する収納部23の錠機構24を解錠するとともに収納部材表示部27を点滅表示する。
【0034】
使用者は、収納部材表示部27が点滅した収納部材13から、使用する収納部材13を選択して収納部23から取り出す。
【0035】
このとき、収納部材表示部27が点滅することにより、複数の収納部材13の中から使用権限のある収納部材13を確認し、使用する収納部材13を選択しやすくすることができるが、さらに使用権限のある収納部材13の数が多い場合には、使用する収納部材13の選択に迷い、選択に時間がかかる場合がある。
【0036】
そこで、物品管理装置11では、使用者毎に収納部材13の使用状況を記憶部32に記憶する。そして、使用者の認証後に、この使用者による例えば1週間の収納部材13毎の使用頻度と予め設定された閾値とを比較し、使用頻度が閾値よりも高い収納部材13については収納部材表示部27の点滅速度を速くおよび明るさを明るくし、使用頻度が閾値よりも低い収納部材13については点滅速度を遅くおよび明るさを暗くする。なお、収納部材表示部27の点滅速度および明るさは、使用頻度が閾値よりも高い収納部材13と使用頻度が閾値よりも低い収納部材13との違いを確認できるように相対的に異なっていればよい。このように、収納部材表示部27の点滅速度および明るさを収納部材13の使用頻度に応じて異ならせることにより、使用頻度の高い収納部材13を使用する場合にはこの収納部材13を選択しやすく、選択にかかる時間を短縮できる。
【0037】
そして、使用者により収納部材13が収納部23から取り出されると、その収納部材13の取り出しを検知部25で検知し、使用者の情報、取り出された収納部材13や鍵12aの情報等を含む取り出し履歴を記憶部32に記憶する。そして、使用者は、取り出した収納部材13が備える鍵12aを使用する。
【0038】
一方、収納部材13を返却する場合には、認証有の場合と、認証無の場合とがある。
【0039】
認証有の場合、使用者により表示操作部19で返却が選択操作されることにより、物品管理装置11は使用者の認証処理を実行する。使用者が認証された後、収納部材13が対応する収納部23に挿入されることにより、検知部25で収納部材13の返却を検知し、収納部材13の返却を受け付け、収納部材13を収納部23の錠機構24で施錠する。
【0040】
認証無の場合には、収納部材13が対応する収納部23に挿入されることにより、検知部25で収納部材13の返却を検知し、収納部材13の返却を受け付け、収納部材13を収納部23の錠機構24で施錠する。なお、認証無の場合でも、使用者により表示操作部19で返却が選択操作されてから、収納部材13が対応する収納部23に返却されるようにしてもよい。
【0041】
そして、収納部材13の返却を受け付けると、使用者の情報(認証有の場合)、返却された収納部材13や鍵12aの情報等を含む返却履歴を記憶部32に記憶する。
【0042】
また、物品管理装置11では、収納部材13に取り出して使用可能とする使用制限時間(例えば3時間)を設定し、この使用制限時間内に収納部材13が返却されない場合には、報知部33にて例えばアラームを発して警告することが可能となっている。
【0043】
また、金融機関等で使用される物品管理装置11では、業務終了時に、表扉18を閉じて施錠するが、未返却の収納部材13がある場合には、表扉18は施錠されず、未返却の収納部材13の見落としを防止することが可能となっている。
【0044】
さらに、金融機関等で使用される物品管理装置11では、例えば、業務終了後に警備員等が使用する所定の鍵12aを備えた収納部材13が取り出しキーとして設定される場合がある。このような取り出しキーは、業務中に、物品管理装置11に収納されて管理され、業務終了時に、物品管理装置11から取り出される。そして、業務終了時に、表扉18を閉じる際、取り出しキーが取り出されていることにより、表扉18の施錠が可能となっている。
【0045】
この場合、取り出しキーについても使用制限時間が設定されていると、業務終了後において、物品管理装置11が電源オンの状態の場合には取り出しキーの使用制限時間を超過したときに、あるいは物品管理装置11を電源オフにした場合でも電源立上時に使用制限時間を超過しているときに、報知部33でアラームを発してしまうことがある。
【0046】
そこで、業務終了時に、取り出しキーが取り出され、閉じられた表扉18が正常に施錠された状態の場合に限り、表扉18が閉められている間の時間は使用制限時間の対象にはならないように、すなわち使用制限時間をカウントアップしないようにする。これにより、通常は、使用制限時間を超過する前に取り出しキーを返却することが可能となり、報知部33でアラームが発するのを防止できる。
【0047】
次に、関連付け部35により少なくとも2以上の収納部材13を関連付けて管理する場合について説明する。
【0048】
権限を有する管理者により表示操作部19で関連付けが選択操作されることにより、表示操作部19に関連付け設定ガイダンスを表示し、この関連付け設定ガイダンスに従って管理者により入力される少なくとも2以上の収納部材13についての関連付けを設定し、設定された関連付け情報を記憶部32に記憶する。少なくとも2以上の収納部材13の関連付けの設定は、1組に限らず、複数組の場合もある。
【0049】
例えば、同一構成の複数の鍵12aであって「本鍵と予備鍵(スペアキー)」というような関連性がある場合、本鍵を備えた収納部材13と予備鍵を備えた収納部材13とを関連付けて設定する。
【0050】
この場合、本鍵を備えた収納部材13は使用権限を有する使用者により収納部23から取り出し可能とするが、予備鍵を備えた収納部材13は収納部23から取り出し不可とし、予備鍵は非常時に備えて保管するように設定することができる。
【0051】
仮に、使用者が本鍵を備えた収納部材13を紛失した場合には、使用者からの紛失申請後に、予備鍵を備えた収納部材13を取り出し可能とすることにより、迅速に業務を遂行できる。この場合、使用者からの紛失申請が物品管理装置11等やこの物品管理装置11が接続されるサーバー等に入力された場合に、予備鍵を備えた収納部材13を取り出し可能としてもよいし、権限を有する管理者により予備鍵を備えた収納部材13を収納部23から取り出し可能とするように設定変更してもよい。
【0052】
あるいは、例えば、テニスコートを利用するための同一構成の複数の鍵12aを管理事務所等に設置された物品管理装置11で管理する場合、テニスコート用としての複数の鍵12aを関連付けて設定する。
【0053】
この場合、テニスコートと管理事務所等が別の場所にあり、先の利用者の利用時間の終了時刻と次の利用者の利用時間の開始時刻が同じか近いと、先に利用する利用者にテニスコート用の1つの鍵12aを貸し出した状態で、次の利用者にもテニスコート用の別の鍵12aを貸し出すことがある。この場合、関連付けグループに属する鍵12aを備えた収納部材13の全てについて収納部23から取り出し可能に設定する。
【0054】
収納部材13が収納部23から取り出される際には、関連付けグループに属する他の収納部材13のステータス情報をステータス情報報知部である表示操作部19に表示する。例えば、テニスコート用の鍵12aの場合、他の収納部材13のステータス情報には、他の収納部材13が収納中であれば「〇時に貸出予定」と表示したり、他の収納部材13が取り出し中であれば「〇時に返却予定」と表示したり、他の収納部材13が取り出せないようなエラー中であれば「故障中」と表示する。これにより、関連付けがなされている他の収納部材13の状況も確認することができる。また、上述した本鍵と予備鍵という関連性がある場合にも、本鍵が取り出される際に、予備鍵を保管中であることを表示操作部19で表示してもよい。
【0055】
また、関連付けを設定する際、関連付けられる収納部材13を収納する収納部23の収納部材表示部27を点灯表示し、関連付けをわかりやすくしてもよい。さらに、関連付けられる収納部材13が複数組ある場合には、組毎に収納部材13の区別が可能なように、収納部材表示部27の表示を異ならせてもよい。例えば、1つの組についての収納部材表示部27は青色で表示し、他の組についての収納部材表示部27は黄色で表示するなど、色分けして表示してもよいし、また、関連付けを設定済みの組についての収納部材表示部27は点灯表示し、関連付けを設定中の組についての収納部材表示部27は点滅表示してもよい。
【0056】
次に、関連付けがなされた収納部材13について所定の処理が行われる場合について説明する。
【0057】
まず、所定の処理として、収納部材13について使用者の使用権限や使用制限時間等の設定を変更する設定変更処理がなされる場合について、図3を参照して説明する。
【0058】
制御部31は、関連付け部35により関連付けがなされた収納部材13について設定変更処理が行われる際に、この関連付けがなされている関連付けグループに属する全ての収納部材13について設定変更処理が行われるように制御する。
【0059】
この場合、関連付けグループに属するいずれか1つの収納部材13の設定を変更することにより、関連付けグループに属する残りの収納部材13の設定を自動的に連動して変更、または関連付けグループに属する残りの収納部材13の設定を変更するように報知部33で報知する連動方式と、関連付けグループに対して設定を変更することにより、関連付けグループに属する全ての収納部材13の設定を自動的に一括して変更する一括方式と、のいずれの方式でも可能とする。
【0060】
そして、権限を有する管理者により、表示操作部19で収納部材13の設定変更処理が選択操作された後、1つの収納部材13についての設定変更が選択操作されるか(ステップS1)、関連付けグループに対しての設定変更が選択操作される(ステップS2)。
【0061】
1つの収納部材13についての設定変更が選択操作された場合(ステップS1のYES)、この収納部材13についての使用者の使用権限等の設定を変更する(ステップS3)。
【0062】
さらに、この収納部材13に関連付けがなされている収納部材13があるか確認する(ステップS4)。関連付けがなされていない場合には(ステップS4のNO)、設定変更処理を終了する。一方、関連付けがなされている場合には(ステップS4のYES)、関連付けがなされている残りの収納部材13の設定を自動的に連動して変更し(ステップS5)、設定変更処理を終了する。なお、関連付けがなされている残りの収納部材13の設定を自動的に連動して変更することなく、関連付けがなされている残りの収納部材13の設定を変更するように報知部33で報知するようにしてもよい。
【0063】
また、関連付けグループに対しての設定変更が選択操作された場合(ステップS2のYES)、関連付けグループに属する全ての収納部材13の設定を自動的に一括して変更し(ステップS6)、設定変更処理を終了する。
【0064】
次に、所定の処理として、収納部材13が備える鍵12aの交換処理が行われる場合について、図4を参照して説明する。
【0065】
制御部31は、関連付け部35により関連付けがなされた収納部材13について交換処理が行われる際に、この関連付けがなされている関連付けグループに属する全ての収納部材13について交換処理が行われるように制御する。
【0066】
この場合、関連付けグループに属するいずれか1つの収納部材13について交換処理を行うことにより、関連付けグループに属する残りの収納部材13についても交換処理を行うように報知部33で報知する連動方式と、関連付けグループに対して交換処理を設定することにより、関連付けグループに属する全ての収納部材13について交換処理を行うように報知部33で報知する一括方式と、のいずれの方式でも可能とする。
【0067】
そして、権限を有する管理者により、表示操作部19で交換処理が選択操作された後、1つの収納部材13についての交換処理が選択操作されるか(ステップS11)、関連付けグループに対しての交換処理が選択操作される(ステップS12)。
【0068】
表示操作部19で1つの収納部材13についての交換処理が選択操作された場合(ステップS11のYES)、この収納部材13についての交換処理が行われる(ステップS13)。交換処理では、管理者により該当する収納部材13が収納部23から取り出されて交換部28に挿入されることにより、収納部材13のロックが解除されて交換可能な状態となる。交換可能となった収納部材13に対して鍵12aの交換あるいは追加や削減を含む交換処理が行われる。その後、管理者により、収納部材13が交換不可能な状態に戻され、収納部材13が交換部28から取り出されて収納部23に戻される。
【0069】
さらに、その収納部材13に関連付けがなされている収納部材13があるか確認する(ステップS14)。関連付けがなされていない場合には(ステップS14のNO)、交換処理を終了する。
【0070】
一方、関連付けがなされている場合には(ステップS14のYES)、関連付けグループに属する残りの収納部材13についても交換処理を行うように報知部33で報知する(ステップS15)。報知部33では、表示操作部19や収納部材表示部27での表示による報知や、音声案内による報知を行い、残りの収納部材13の交換処理を促す。
【0071】
表示操作部19で残りの収納部材13についての交換処理が選択操作されると(ステップS16のYES)、上述したように、選択された収納部材13についての交換処理を行う(ステップS17)。
【0072】
関連付けグループに属する全ての収納部材13についての交換処理が完了しておらず、残りの収納部材13がある場合には(ステップS18のNO)、残りの収納部材13について報知部33で報知し、交換処理を促す。
【0073】
関連付けグループに属する全ての収納部材13について交換処理が完了すれば(ステップS18のYES)、交換処理を終了する。
【0074】
また、関連付けグループに対しての交換処理が選択操作された場合(ステップS12のYES)、関連付けグループに属する収納部材13について交換処理を行うように報知部33で報知する(ステップS19)。
【0075】
表示操作部19で関連付けグループに属する1つの収納部材13についての交換処理が選択操作されると(ステップS20のYES)、上述したように、選択された収納部材13についての交換処理を行う(ステップS21)。
【0076】
その後は、ステップS15に進み、上述したように、関連付けグループに属する残りの収納部材13について交換処理を行う。
【0077】
そして、以上のように構成された物品管理装置11では、関連性のある物品12を備える少なくとも2以上の収納部材13について関連付けを設定することにより、関連付けがなされた収納部材13について所定の処理が行われる際に、関連付けがなされている全ての収納部材13について所定の処理が行われるように制御するため、関連性のある物品12を関連付けて効率的に管理できる。
【0078】
所定の処理として、収納部材13についての設定変更処理や、収納部材13が備える物品12の交換処理等であっても、関連付けがなされている全ての収納部材13について所定の処理が行われるように制御するため、関連性のある物品12を関連付けて効率的に管理できる。
【0079】
交換処理の場合、関連付けがなされた収納部材13について交換処理が行われた際に、この収納部材13に関連付けされている残りの収納部材13についても交換処理が行われるように報知するため、交換を行う操作者の失念による交換操作の漏れが発生することを防止でき、必要な収納部材13について確実に交換処理ができる。
【0080】
また、関連付けがなされた収納部材13のうち、少なくとも一部の収納部材13については収納部23から取出可能とし、残りの収納部材13については収納部23から取り出し不可とするため、通常は使用しない物品12を保管することができる。
【0081】
また、収納部材13が収納部23から取り出される際に、この収納部材13に関連付けされている他の収納部材13についてのステータス情報を報知するため、関連付けされている他の収納部材13の状態を確認することができ、物品12を効率的に管理できる。
【0082】
また、複数組の関連付けがなされている収納部材13を収納部材表示部27により区別可能に表示するため、収納部材13の関連付けを確認でき、関連付けの設定をしやすくできる。
【0083】
なお、物品12は、鍵12aに限らず、判子、メモリ媒体(USBメモリ、メモリカード等)、カード(認証カード等)等でもよい。これら判子、メモリ媒体(USBメモリ、メモリカード等)、カード(認証カード等)等の物品12の場合には、連結部14に連結するための孔がないため連結部14は使用できないが、連結部14に代えて、これら物品12を収容可能とするとともに収納部材13が収納部23に収納されている状態で物品12を収容部から取り出せないように構成された収容部を収納部材13に連結すればよい。
【0084】
また、物品管理システム10は、上述した各構成を備えるが、それら各構成を物品管理装置11が備えていてもよいし、少なくとも一部の構成については物品管理装置11とは別に備えていてもよい。例えば、関連付け部35は物品管理装置11とは別のパソコン等が備え、パソコン等で収納部材13の関連付けを設定し、関連付け情報を物品管理装置11に送るようにしてもよい。
【0085】
以上、本発明の実施の形態およびその変形例について説明したが、種々の構成の組み合わせ、一部の省略、置き換えおよび変更も可能である。
【符号の説明】
【0086】
11 物品管理装置
12 物品
12a 鍵
13 収納部材
17 本体
18 表扉
23 収納部
33 報知部
図1
図2
図3
図4