(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183207
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】高性能ポリオレフィンを使用する付加製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/118 20170101AFI20221201BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20221201BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20221201BHJP
B29C 64/264 20170101ALI20221201BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20221201BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20221201BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20221201BHJP
C08L 23/06 20060101ALI20221201BHJP
C08L 23/14 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B29C64/118
B29C64/106
B29C64/209
B29C64/264
B33Y10/00
B33Y70/00
B33Y80/00
C08L23/06
C08L23/14
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022161058
(22)【出願日】2022-10-05
(62)【分割の表示】P 2020536812の分割
【原出願日】2018-12-21
(31)【優先権主張番号】62/610,416
(32)【優先日】2017-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520232035
【氏名又は名称】ブラスケム・アメリカ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ・ベルナルディ
(72)【発明者】
【氏名】アルシャンドル・ディ・ピントール・ダ・ルース
(72)【発明者】
【氏名】アナ・パウラ・デ・アゼレード
(72)【発明者】
【氏名】レオナルド・バティスタ・イトウ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアナ・ブレダ・ソアレス
(72)【発明者】
【氏名】ミッシェル・ケー・シング
(57)【要約】
【課題】付加製造技術を使用して物品を製造する方法を提供する。
【解決手段】付加製造技術を使用して物品を製造する方法は、ポリマー組成物を溶融する工程と、1種又は複数の活性化剤を用いてポリマー組成物を活性化する工程と、溶融ポリマー組成物を堆積して物品を製造する工程とを含みうる。物品は、ポリオレフィン組成物の複数のプリント層を含んでもよく、ポリオレフィン組成物は、活性化ポリオレフィン組成物の堆積から調製され、ポリオレフィン組成物は、1種又は複数の活性化剤によって活性化される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造技術を使用して物品を製造する方法であって、
ポリマー組成物を溶融する工程と、
1種又は複数の活性化剤を用いてポリマー組成物を活性化する工程と、
溶融ポリマー組成物を堆積して物品を製造する工程と
を含む、方法。
【請求項2】
溶融する工程が、ポリマー組成物を押出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリマー組成物を溶融する工程及びポリマー組成物を活性化する工程が、同時に行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
溶融する工程及び活性化する工程が、付加製造機のプリントヘッドで行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
溶融ポリマー組成物を堆積する工程が、ポリマー組成物を活性化する工程の前に行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
1種又は複数の活性化剤が、放射線源から放出された電離放射線を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
堆積ポリマー組成物に光をパルス処理する工程であって、堆積ポリマー組成物が、活性化剤を含み、パルス光が、温度を上昇させることによって活性化剤を活性化する、工程を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ポリマーを、フリーラジカル発生剤、カップリング剤及び架橋剤からなる群から選択される1種又は複数の活性化剤と合わせることによってポリマー組成物を調製する工程を更に含み、ポリマーを1種又は複数の活性化剤と合わせる工程が、1種又は複数の活性化剤の活性化温度未満の温度で行われ、ポリマーを1種又は複数の活性化剤と合わせる工程が、ポリマー組成物を活性化する工程の前に行われる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ポリマー組成物を活性化する工程が、合わされたポリマー組成物及び1種又は複数の活性化剤の温度を、1種又は複数の活性化剤の活性化温度を超えて上昇させることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
活性化温度が、190℃以上である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
活性化温度が、190℃~250℃の範囲である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
1種又は複数の硬化剤を用いて堆積ポリマー組成物を硬化させる工程を更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
硬化剤が、不飽和オルガノシランである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
1種又は複数の活性化剤が、アジド、スルホンアジド、過酸化物、アミノシラン、シラン、アクリレート、メタクリレート、高分子カップリング剤、アルファ-ベータ不飽和酸、ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジアリルマレエート、ペンタエリスリトールの不飽和エステル及びエーテル、トリアリルシアヌレート、硫黄、硫黄供与体、p-ベンゾキノン、ヒドロキノン並びにビスフェノールからなる群から選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
1種又は複数の活性化剤が、ジクミルペルオキシド(DCP)、t-ブチルα-クミルペルオキシド(BCP)、ジ-t-アミルペルオキシド(DTAP)、α,α'-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)-1,3-及び1,4-ジ-イソプロピル-ベンゼン(DTBPIB)、2,5-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(DTBPH)、ジ-t-ブチルペルオキシド(DTBP)及び2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン(DTBHY)からなる群から選択される1種又は複数を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
1種又は複数の活性化剤がビススルホニルアジドである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
1種又は複数の活性化剤が、0.0001wt%~15wt%の範囲の、ポリマー組成物の質量パーセント(wt%)で添加される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
ポリマー組成物が、ポリエチレンホモポリマー、1つ又は複数のC3~C20オレフィンコモノマーを含有するポリエチレンコポリマー、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、非常に低密度のポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレンホモポリマー、1つ又は複数のC4~C20オレフィンコモノマーを含有するポリプロピレンコポリマー、異相ポリプロピレン及びランダムポリプロピレンからなる群から選択される1種又は複数のポリオレフィンを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ポリマー組成物が、ポリプロピレンマトリックス相及びゴム相を含む異相ポリプロピレンコポリマーであり、ゴム相が、異相ポリプロピレンコポリマーの総質量に対して3wt%~70wt%の範囲で存在する、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
ゴム相が、ゴムの質量に対して15~70wt%の範囲のエチレンを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ポリマー組成物が、フィラメント又はペレット形態である、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ポリマー組成物を堆積する工程が、フィラメント堆積モデリング技術を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ポリマー組成物を堆積する工程が、自由形式堆積技術を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
1種又は複数の活性化剤を用いてポリマー組成物を活性化する工程と、ポリマー組成物を溶融する工程と、溶融ポリマー組成物を堆積する工程のシークエンスを繰り返すことによって、3次元物品を構築する工程とを更に含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか一項に記載の方法によって調製された物品。
【請求項26】
ポリオレフィン組成物の複数のプリント層を含む物品であって、ポリオレフィン組成物が、活性化ポリオレフィン組成物の堆積から調製され、ポリオレフィン組成物が、1種又は複数の活性化剤によって活性化される、物品。
【請求項27】
1種又は複数の活性化剤が、フリーラジカル発生剤、カップリング剤及び架橋剤からなる群から選択される、請求項26に記載の物品。
【請求項28】
1種又は複数の活性化剤が、放射線源から放出された電離放射線を含む、請求項26に記載の物品。
【請求項29】
1種又は複数の活性化剤が、フリーラジカル発生剤、カップリング剤及び架橋剤からなる群から選択される更なる活性化剤を更に含む、請求項28に記載の物品。
【請求項30】
ポリオレフィン組成物が、ビススルホニルアジドとカップリングされる、請求項26から29のいずれか一項に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
高速プロトタイピング又は高速製造プロセスは、可能な限り手動介入又は型の使用なしに、利用可能な3次元CADデータを直接かつ迅速にワークピースに変換することを目的とする製造プロセスである。高速プロトタイピングにおいて、部品の構築又はアセンブリは、通常、付加、層毎方式で行われる。付加又は層毎方式で部品又はアセンブリを作製することを含むこれらの技術は、大部分が還元的な性質である伝統的な製造法とは反対に、「付加製造」(AM)と呼ばれる。付加製造は、一般的に、一般の人によって「3Dプリント」と呼ばれる。
【0002】
現在、いくつかの基本的なAM技術が存在する:材料押出、材料ジェッチング、結合剤ジェッチング、材料ジェッチング、バット光重合、シート積層、粉末床溶融及び指向性エネルギー堆積。これらのAM技術のうち、材料押出に基づくものが最も幅広く使用されている。いくつかの変形例が存在するものの、この技術は一般に、連続フィラメントの形態の熱可塑性ポリマーを、加熱ノズルに供給することを含み、加熱ノズルにおいて熱可塑性フィラメントは粘性溶融物になり、したがって、押出できる。ノズル又は押出機アセンブリの3次元の動きは、ステップモーター及びコンピュータ支援製造(CAM)ソフトウェアによって正確に制御される。対象物の第1の層は、構築基材に堆積され、一方、更なる層は、順次堆積され、温度低下に起因する硬化によって前の層に融合(又は部分的に融合)する。プロセスは、3次元部品が完全に構築されるまで続き、あらゆる一時的な支持材料が除去される。
【0003】
材料押出の一般的な種類としては、熱溶解積層法(FDM)及び溶融フィラメント作製(FFF)が挙げられる。現在、材料押出プロセスにおいて使用されているいくつかの熱可塑性ポリマー、例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、高耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリカプロラクトン(PCL)及びポリアミド、並びにいくつかの他の高分子材料が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2017/005730
【特許文献2】US2017/253681
【特許文献3】US2016/136884
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
この概要は、詳細な説明において以下で更に記載される概念の選択の導入のために提供される。この概要は、特許請求される主題の要点又は本質的特徴を特定することを意図せず、特許請求される主題の範囲の限定を補助するものとして使用することも意図しない。
【0006】
一態様では、本明細書において開示される実施形態は、付加製造技術を使用して物品を製造する方法であって、ポリマー組成物を溶融する工程と、1種又は複数の活性化剤を用いてポリマー組成物を活性化する工程と、溶融ポリマー組成物を堆積して物品を製造する工程とを含む、方法に関する。
【0007】
別の態様では、本明細書において開示される実施形態は、ポリマー組成物を溶融し、1種又は複数の活性化剤を用いてポリマー組成物を活性化し、溶融ポリマー組成物を堆積して物品を製造することによって調製された物品に関する。
【0008】
なお別の態様では、本明細書に開示される実施形態は、ポリオレフィン組成物の複数のプリント層を含む物品であって、ポリオレフィン組成物が、活性化ポリオレフィン組成物の堆積から調製され、ポリオレフィン組成物が、1種又は複数の活性化剤によって活性化される、物品に関する。
【0009】
特許請求される主題の他の態様及び利点は、以下の記載及び添付の特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態によるポリマー試料についての角周波数の関数としての複素粘度を示すグラフである。
【
図2】本開示の実施形態によるポリマー試料についてのドロー率の関数としての溶融強度を示すグラフである。
【
図3】本開示の実施形態によるポリマー試料についての分子量のログの関数としての質量分率を示すサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の結果のグラフである。
【
図4】本開示の実施形態による3Dプリントポリマーの顕微鏡画像である。
【
図5】本開示の実施形態による3Dプリントポリマーの顕微鏡画像である。
【
図6】本開示の実施形態による3Dプリントポリマーの顕微鏡画像である。
【
図7】本開示の実施形態による3Dプリントポリマーの顕微鏡画像である。
【
図8】本開示による3Dプリントポリマーの物理特性のグラフである。
【
図9】本開示による3Dプリントポリマーの物理特性のグラフである。
【
図10】本開示による3Dプリントポリマーの物理特性のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一態様では、本明細書に開示される実施形態は、付加製造適用、詳細には、材料押出を使用して溶融ポリマーを堆積するもののための特定の用途のポリマー組成物に関する。本開示によるポリマー組成物は、ポリマー成分、並びに物品製造の間のポリマー成分の機械特性を強化する分岐及び架橋の形成を開始する活性化剤を含みうる。本開示による方法は、活性化剤を使用して、ポリマーの表面エネルギーを変化させ、異なる基材への及びプリント層間の接着を変更でき、材料押出プロセスに用いられうるポリマーの範囲を拡大できる。
【0012】
材料押出(ME)は、ノズル又は他のオリフィスを通してポリマー溶融物を選択的に押出し、基材上に順次層でポリマーを堆積して3次元構造を生成する付加製造の変形形態である。一般的なMEプロセスの例は、押出ヘッドによりプラスチックフィラメントが加熱され、ポリマー溶融物が生成され、これがノズルを通して、制御されたパターンでプリント基材上に押出される、熱溶解積層法(FDM)である。他のMEプロセスとしては、ポリマー樹脂が溶融され、ノズルによって液滴形態(溶融ポリマーのストリングではなく)でプリント基材上に堆積される自由形式プリントが挙げられる。
【0013】
一般に、より高分子量(MW)のポリオレフィンは、低MWポリオレフィンと比較した場合、機械特性及び耐久性が強化されているため、多くの場合、多くの用途において製品製造のために好ましい。しかしながら、付加製造プロセスにおいて、より高MWポリオレフィンは、多くの場合、溶融条件下でより高粘度を示し、これは、不十分なポリマー鎖拡散及び層間接着に起因して押出性能に負の影響を与えうる。結果として、高MWポリオレフィンから調製されたプリント物品は、多くの場合、同じ材料の射出成形物品と比較した場合、低い機械抵抗性を示す。一方、低MWポリマーは、付加製造の間に良好な癒合及び鎖拡散特性を示すが、低機械性能の部品が生じ、冷却段階の間のポリマーの結晶化によって引き起こされる最終形状の収縮の発生率がより高い。
【0014】
本開示によるポリマー組成物は、混合物中のポリマー成分と反応する(それらを活性化する)1種又は複数の活性化剤を組み込むことによって、これらの問題に対処できる。活性化により、ポリマー成分に、材料押出適用のための組成物の機械特性を強化する架橋及び分岐構造を形成する反応部位が生じる。例えば、低MWポリマーは、良好な鎖拡散及び押出特性を示す場合があり、材料により、材料押出プロセスの間の不十分な機械性能を有する物品が生成される。しかしながら、活性化剤を用いてポリマーを活性化することによって、鎖延長及び分岐反応により、押出材料の寸法安定性が改善され、低MWポリマーの焼結歪み及び収縮特性が回避又は低減される。
【0015】
1つ又は複数の実施形態では、ポリマー組成物は、付加製造プロセスの間に活性化される活性化剤を含みうる。本開示による活性化剤は、化学活性化剤及び物理活性化剤を含む。化学活性化剤は、高温又は圧力等の製造条件下で活性化し、組成物のポリマー成分と直接又はフリーラジカル等の反応種を発生することによって反応する試薬を含む。そのような化学活性化剤の例としては、例えば、カップリング剤、架橋剤、フリーラジカル発生剤等が挙げられる。化学活性化剤は、活性化剤に依存する所定の活性化温度に又はそれを超えて温度を上昇させることによって「活性化」されうる。次いで、活性化ポリマー組成物は、表面又は逐次層上に溶融物として堆積され、このシークエンスはプリント物品が完成するまで繰り返される。
【0016】
使用前の組成物の活性化又は分解を防ぐために、ポリマー組成物を、活性化温度未満の温度で1種又は複数の活性化剤と組み合わることができる。加えて、溶融及び押出工程はまた、活性化温度未満の温度で行なって、粘度及び鎖拡散の許容可能なレベルを維持できる。FDMプロセスでは、例えば、活性成分は、フィラメントの製造のための押出プロセスに添加されうる。フィラメントがFDMプリンターに供給された場合、液化装置温度は、活性化温度(又はそれ超)に設定され、部品がプリントされている間、ポリマー活性化が行われる。自由形式プロセスでは、活性化剤は、ポリマーペレット供給原料と合わせられ若しくはそれによりコーティングされ得、又はポリマー成分がポリマー吐出工程の前に溶融される押出プロセスに添加されうる。次いで、押出ポリマー溶融物が、堆積の間にプリントヘッドにおいて加熱されると、ポリマー組成物の活性化が行われる。
【0017】
1つ又は複数の実施形態では、活性化剤は、単独で又は1種若しくは複数の化学活性化剤と組み合わせて使用されて、物品の押出製造の間に鎖延長及び/又は架橋を開始することが可能なフリーラジカルを発生させることによってポリマー組成物のポリマー成分を活性化する放射線源からの電離放射線でありうる。活性化剤として電離放射線を利用する方法は、カップリング剤を活性化し、プリントポリマーの変換を開始するランプ又はレーザー等の放射線源への堆積溶融ポリマー材料の曝露を含みうる。
【0018】
1つ又は複数の実施形態では、混合、押出及び溶融を含むポリマー組成物の加工は、活性化がほとんど又はまったく行われない、所与の活性化剤の活性化温度未満で行われうる。次いで、滞留時間、温度制御、せん断及び放射線への曝露を使用して基材又は物品への堆積の前、間又は後のポリマー組成物の活性を制御できる。
【0019】
1つ又は複数の実施形態では、プリント物品は、後処理における更なる加工を受けて、フリーラジカル又は未反応カップリング剤等の任意の反応種が完全に変換されうる。一部の実施形態では、後処理段階は、プリント物品の完成時点又は各層のプリント後に用いられうる。後処理は、オルガノシラン等の更なる化学硬化剤による処理を含みうる。更に、後処理は、残留反応種を変換し、プリント物品及び層間の鎖拡散を促進するのに十分な時間にわたって、プリント物品を加熱又はパルス処理する物理的方法の使用を含みうる。物理的後処理としては、2次レーザー、セラミックヒーター、石英ヒーター又は超音波装置を挙げることができる。
【0020】
ポリマー成分
1つ又は複数の実施形態では、ポリマー組成物は、活性化剤と反応して1つ又は複数の分岐又は架橋を導入するポリオレフィンポリマー又はコポリマーから調製されうる。一部の実施形態では、ポリマー組成物のポリオレフィン成分は、ゴム内相及び/又は他の添加剤等の他の成分を囲むポリマーマトリックス相を形成しうる。一部の実施形態では、ポリマー組成物のポリマー成分は、反応器内での重合前又は後にブレンドすることによって生成される1種又は複数のポリマー又はコポリマーの組合せを含みうる。
【0021】
ポリオレフィンは、ホモポリマー、ランダムコポリマー又は多相ポリマー組成物を含みうる。ポリオレフィンは、C2~C20オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、分岐状オレフィン、不飽和オレフィン等のポリマー及びコポリマーを含む。本開示によるポリオレフィンは、ポリエチレン、1つ又は複数のオレフィンコモノマーを含有するポリエチレンコポリマー、エチレン及び1つ又は複数のC3~C20アルファ-オレフィンのコポリマー、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、非常に低密度のポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン並びにポリプロピレン、例えば、ポリプロピレンホモポリマー、1つ又は複数のオレフィンコモノマーを含有するポリプロピレンコポリマー、プロピレン及びエチレン又は1つ若しくは複数のC4~C20アルファ-オレフィンのコポリマー、異相ポリプロピレン、ランダムポリプロピレンを含みうる。本開示によるポリプロピレンは、アタクチックであってもよく、又はアイソタクチック若しくはシンジオタクチックである立体規則性を有していてもよい。ポリマー組成物はまた、石油系モノマー、生物由来モノマー及び消費後リサイクルポリオレフィンから生成されたポリマーも含みうる。
【0022】
1つ又は複数の実施形態では、ポリマー組成物は、任意の下限と任意の上限が組み合わされてもよい、0.5、1又は5wt%から選択される下限~2.5、5又は10wt%から選択される上限の範囲の質量パーセント(wt%)のC2~C20ポリオレフィンコモノマーを有するポリプロピレンポリマーを含みうる。
【0023】
上記のポリオレフィンに加えて、本開示による活性化剤と反応性である他のポリマー組成物を使用できる。例えば、ポリマー組成物はまた、塩化ポリビニル等のハロゲン化ポリマー、ポリ乳酸及びポリグリコール酸等のポリエステル、ポリアミド12、ポリアミド6、ポリアミド8、ポリアミド11、ポリアミド66等のポリアミド、並びにアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)等の熱可塑性プラスチックを含む他のポリマー及びコポリマーから調製されるポリマー成分を含みうる。
【0024】
ゴム内相
1つ又は複数の実施形態では、本開示によるポリマー組成物は、ポリマーマトリックス相に分散したゴム内相を有する多相ポリマー組成物を含む。一部の実施形態では、ポリマー組成物は、耐衝撃性コポリマー(ICP)と分類されるポリマー組成物を含みうる。
【0025】
1つ又は複数の実施形態では、ゴム内相としての使用に適したゴムは、ホモポリマー及び1つ又は複数のモノマーを有するコポリマーを含む。一部の実施形態では、ゴムは、マレイン化エチレン-プロピレンコポリマー等のグラフトコポリマー、並びに5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,8オクタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロペンタジエン等の非コンジュゲートジエンとのエチレン及びプロピレンのターポリマー等を含みうる。他のポリマーとしては、低密度ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、ポリ(エチレン-メチルアクリレート)、ポリ(エチレン-アクリレート)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ビニルシリコーンゴム(VMQ)、フルオロシリコーン(FVMQ)、ニトリルゴム(NBR)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン-エチレンゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー(SBS及びSEBS)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(SIS)、部分水素化アクリロニトリルブタジエン(HNBR)、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレンゴム(IR)、ネオプレンゴム(CR)、ポリクロロプロペン、ブロモブチルゴム、クロロブチルゴム、エラストマーポリオレフィン、例えば、ポリウレタン、エチレン-オクテンコポリマー及びそれらの組合せを挙げることができる。
【0026】
一部の実施形態では、ゴム内相は、エチレン及びプロピレンに加えて1つ又は複数のコモノマーを有するEPRを含みうるエチレン-プロピレンゴム(EPR)でありうる。他のコモノマーとしては、例えば、α-オレフィン、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン等を挙げることができる。
【0027】
1つ又は複数の実施形態では、ポリマー組成物は、任意の下限と任意の上限が対にされてもよい、2、3、5及び10wt%のうちの任意のものから選択される下限~50、60、70及び75wt%のうちの任意のものから選択される上限の範囲の、分岐状ポリマー組成物の質量パーセント(wt%)で存在するポリマーマトリックス相及びゴム内相を有する多相ポリマーを含みうる。
【0028】
1つ又は複数の実施形態では、ポリマー組成物は、エチレン及びC3~C8ポリオレフィンコモノマーから調製されるゴム内相を有する多相ポリマーを含み得、ここで、エチレンは、任意の下限と任意の上限が対にされてもよい、5、10、15及び20wt%のうちの任意のものから選択される下限~50、60、70及び75wt%のうちの任意のものから選択される上限の範囲の、ゴム内相の質量パーセント(wt%)で存在する。
【0029】
化学活性化剤
1つ又は複数の実施形態では、ポリマー組成物は、ポリマー組成物のポリマー成分の鎖間のストランド内及びストランド間共有結合を形成するための1種又は複数の化学活性化剤を含みうる。本開示による活性化剤は、MEプロセスの間に活性化の前にポリマー組成物と組み合わされる化学活性化剤、例えば、カップリング剤、フリーラジカル発生剤及び架橋剤を含みうる。1つ又は複数の実施形態では、複数の種類の活性化剤が使用されうる。例えば、一部の実施形態では、カップリング剤とフリーラジカル発生剤等の活性化剤の組合せが使用され得、一部の実施形態では、化学活性化剤が電離放射線と組み合わせられうる。
【0030】
1つ又は複数の実施形態では、ポリオレフィン組成物は、付加製造技術における使用の前にカップリング剤又は硬化剤とグラフトされる場合があり、溶融及び/又は焼結工程の間に活性化する。一部の実施形態では、カップリング剤及びポリオレフィン間の架橋のレベルを制御して好ましい粘度プロファイルを維持するために、化学量論又は複数の直交性官能基が使用されうる。例えば、ポリオレフィンは、ポリオレフィン主鎖に共有結合する第1のアルケン官能基を有し、一方、シラン基等の第2の官能基は、水分又は高温に曝露された場合、後続の粉末系溶融プロセスにおいて活性化される、二官能性カップリング剤又は硬化剤と共重合又はグラフトされうる。
【0031】
本開示によるポリマー組成物は、活性化温度に又はそれを超えて組成物の温度を上昇させることによって、材料押出プロセスの任意の工程で1種又は複数の活性化剤によって変性されうる。活性化は、溶融プロセスの間、基材上への堆積の間又は堆積後を含む任意の工程で行われうる。
【0032】
一部の実施形態では、活性化剤は、任意の下限と任意の上限が対にされてもよい、150℃、175℃及び190℃のうちの任意のものから選択される下限~200℃、250℃及び300℃のうちの任意のものから選択される上限を有する範囲の活性化温度を有しうる。一部の実施形態では、活性化剤は、190℃以上又は190℃~250℃の範囲の活性化温度を有しうる。しかしながら、多数の温度範囲が提供される一方、活性化温度は、活性化剤の性質及び触媒又は適用される放射線源の存在に大なり小なり依存しうる。
【0033】
1つ又は複数の実施形態では、活性化剤は、任意の下限と任意の上限が対にされてもよい、0.0001、0.001、0.1及び1wt%のうちの任意のものから選択される下限~2.5、3、5、10及び15wt%のうちの任意のものから選択される上限の範囲の、ポリマー組成物の質量パーセント(wt%)で含まれうる。しかしながら、上記の化学活性化剤についての範囲が提供される一方、活性化剤(又は複数の活性化剤)の濃度は、特定の用途及び物品設計基準に大なり小なり依存しうることもまた想定される。
【0034】
カップリング剤
1つ又は複数の実施形態では、ポリオレフィン組成物は、ポリオレフィン成分と反応して、ポリマー鎖間の1つ又は複数のストランド内及びストランド間共有結合を形成する1種又は複数のカップリング剤を含みうる。本開示によるカップリング剤は、分岐状ポリマー組成物の構成成分ポリマーの主鎖又は側鎖との結合を形成することが可能な少なくとも2つの反応基を含有する化合物を含む。
【0035】
1つ又は複数の実施形態では、カップリング剤は、スルホニルアジド、ポリスルホニルアジド、ホスファゼンアジド、ジアゾアルカン、ホルミルアジド、アジド、ジエン、ジェミナル置換メチレン基、高分子カップリング剤、メタロカルベン、過酸化物、アミノシラン、シラン、アクリレート、メタクリレート及びアルファ-ベータ不飽和酸等を含みうる。
【0036】
本開示によるポリスルホニルアジドは、一般式X-R-X(式中、各XはSO2N3であり、Rは、飽和又は不飽和、環式又は非環式、芳香族又は非芳香族であってもよく、酸素、窒素、硫黄又はケイ素を含む1個又は複数のヘテロ原子及び1つ又は複数の更なるアジド官能基を含有していてもよい炭素鎖である)を有しうる。好適なカップリング剤としては、アリル、アルキル、アリルアルカリル、アリルアルキルシラン、シロキサン又は複素環式基及び不活性であり記載されている通りスルホニルアジド基を分離する他の基であるRを挙げることができる。一部の実施形態では、Rは、スルホニル基間に少なくとも1つのアリル基、最も好ましくは少なくとも2つのアリル基(例えば、Rが4,4'フェニレンエーテル又は4,4'ビフェニルである場合)を含みうる。
【0037】
ポリスルホニルアジドは、4,4'-オキシジベンゼンスルホニルアジド、ナフチレンビス(スルホニルアジド)、1,5-ペンタンビス(スルホニルアジド)、1,8-オクタンビス(スルホニルアジド)、1,10-デカンビス(スルホニルアジド)、1,10-オクタデカンビス(スルホニルアジド)、1-オクチル-2,4,6-ベンゼントリス(スルホニルアジド)、4,4'-ビス(ベンゼンスルホニルアジド)、1,6-ビス(4'-スルホンアジドフェニル)ヘキサン、2,7-ナフタレンビス(スルホニルアジド)及び分子当たり平均1~8個の塩素原子及び約2~5つのスルホニルアジド基を含有する塩素化脂肪族炭化水素の混合スルホニルアジド、並びにそれらの混合物を含みうる。一部の実施形態では、カップリング剤は、ビススルホニルアジド、ポリスルホニルアジド、例えば、オキシ-ビス(4-スルホニルアジドベンゼン)、2,7-ナフタレンビス(スルホニルアジド)、4,4'-ビス(スルホニルアジド)ビフェニル、4,4'-オキシビス(ベンゼンスルホニルアジド)及びビス(4-スルホニルアジドフェニル)メタン、並びにそれらの混合物を含みうる。
【0038】
1つ又は複数の実施形態では、カップリング剤は、高分子カップリング剤を含みうる。本開示による高分子カップリング剤は、ポリオレフィン鎖の末端及び/又は主鎖に反応基を有するポリオレフィンを含みうる。ポリオレフィン主鎖は、直鎖状であっても又は2つ以上の末端を有する分岐状であってもよく、高分子カップリング剤の反応基は、同じであっても又は混合であってもよい。1つ又は複数の実施形態では、高分子カップリング剤は、一般構造R(X)nR'(式中、R及びR'は独立して、過酸化物、アルキルボラン、ハロゲン、チオール、アミン、アミド、アルデヒド、アルコール、カルボン酸、エステル、イソシアネート、シラン、リン含有基、ジチオエステル、ジチオカルバメート、ジチオカーボネート、トリチオカーボネート、アルコキシアミン、アリルスルホニルハライド、アリルスルホニルアジド、ホスホリルアジド、ビニル、アルキルビニル、ビニリデン、アリルビニル、ジエン、アルキルアジド又はその誘導体を含みうる反応基から選択され、(X)は、n個のオレフィン単位を有するポリオレフィンであり、ポリオレフィンは、線状又は分岐状、飽和又は不飽和であってもよく、1個又は複数のヘテロ原子、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、酸素、硫黄、セレン、窒素、リン、ケイ素及びホウ素を含有していてもよく、nは、2~1000の範囲の整数であってもよい)を有しうる。
【0039】
任意のポリオレフィンを使用して、高分子カップリング剤の変性ポリオレフィンを調製できる。ポリオレフィンは、ポリマー及び2~20個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状オレフィンから調製されたコポリマーを含む。高分子カップリング剤を調製するためのポリオレフィンは、単一オレフィンから合成されたホモポリマーであっても又は2種以上のオレフィンから合成されたコポリマーであってもよい。例えば、高分子カップリング剤を調製するためのポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、並びにエチレン及びプロピレンのコポリマーでありうる。
【0040】
架橋剤
1つ又は複数の実施形態では、活性化剤は架橋剤を含む場合があり、架橋剤は、ポリマー組成物のポリマー成分と反応してポリマー成分の主鎖と1つ又は複数のストランド内又はストランド間結合を形成しうる官能基を有する二官能性種である。官能基は、ビニル、アリル、アクリル、メタクリル、硫黄、チオール、マイケル受容体及びそれらの混合物等の官能基を含みうる。本開示による架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジアリルマレエート、ペンタエリスリトールの不飽和エステル及びエーテル、トリアリルシアヌレート、硫黄、硫黄供与体、例えば、チオウレア及びチオウレアの誘導体、p-ベンゾキノン、ヒドロキノン、ビスフェノール等を挙げることができる。一部の実施形態では、本開示による架橋剤は、ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジアリルマレエート、ペンタエリスリトールの不飽和エステル及びエーテル、トリアリルシアヌレート、硫黄、硫黄供与体(チオウレア及びチオウレアの誘導体)、p-ベンゾキノン、ヒドロキノン及びビスフェノールを含みうる。
【0041】
フリーラジカル発生剤
1つ又は複数の実施形態では、活性化剤は、ポリマー組成物のポリマー成分と反応するラジカルを生成し、ポリマー構造中に分岐及び架橋を作ることが可能な1種又は複数のフリーラジカル発生剤を含みうる。本開示によるフリーラジカル発生剤は、ポリマー加工の間にフリーラジカルを発生させて硬化を促進することが可能な1種又は複数の過酸化物を含みうる。過酸化物としては、ジクミルペルオキシド(DCP)、t-ブチルα-クミルペルオキシド(BCP)、ジ-t-アミルペルオキシド(DTAP)、α,α'-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)-1,3-及び1,4-ジ-イソプロピル-ベンゼン(DTBPIB)、2,5-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(DTBPH)、ジ-t-ブチルペルオキシド(DTBP)及び2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン(DTBHY)を挙げることができる。
【0042】
他の過酸化物としては、ベンゾイルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド、tert-ブチル3,5,5-トリメチルヘキサノエートペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、2-エチルヘキシルカーボネートtert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシド)ヘキサン、1,1-ジ(tert-ブチルオペルオキシド)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシド)、ヘキシン-3,3,3,5,7,7-ペンタメチル-1,2,4-トリオキセパン、ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシド)バレレート、ジ(2,4-ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ペルオキシドジ(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジ(クミルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ジ(クミルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン-3,4-メチル-4-(t-ブチルペルオキシ)-2-ペンタノール、4-メチル-4-(t-アミルペルオキシ)-2-ペンタノール、4-メチル-4-(クミルペルオキシ)-2-ペンタノール、4-メチル-4-(t-ブチルペルオキシ)-2-ペンタノン、4-メチル-4-(t-アミルペルオキシ)-2-ペンタノン、4-メチル-4-(クミルペルオキシ)-2-ペンタノン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2-t-ブチルペルオキシ-5-ヒドロペルオキシヘキサン、2,5-ジメチル-2-クミルペルオキシ-5-ヒドロペルオキシヘキサン、2,5-ジメチル-2-t-アミルペルオキシ-5-ヒドロペルオキシヘキサン、m/p-アルファ,アルファ-ジ[(t-ブチルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼン、1,3,5-トリス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3,5-トリス(t-アミルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3,5-トリス(クミルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ[1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブチル]カーボネート、ジ[1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブチル]カーボネート、ジ[1,3-ジメチル-3-(クミルペルオキシ)ブチル]カーボネート、ジ-t-アミルペルオキシド、t-アミルクミルペルオキシド、t-ブチル-イソプロペニルクミルペルオキシド、2,4,6-トリ(ブチルペルオキシ)-s-トリアジン、1,3,5-トリ[1-(t-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル]ベンゼン、1,3,5-トリ-[(t-ブチルペルオキシ)-イソプロピル]ベンゼン、1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブタノール、1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブタノール、ジ(2-フェノキシエチル)ペルオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、ジベンジルペルオキシジカーボネート、ジ(イソボルニル)ペルオキシジカーボネート、3-クミルペルオキシ-1,3-ジメチルブチルメタクリレート、3-t-ブチルペルオキシ-1,3-ジメチルブチルメタクリレート、3-t-アミルペルオキシ-1,3-ジメチルブチルメタクリレート、トリ(1,3-ジメチル-3-t-ブチルペルオキシブチルオキシ)ビニルシラン、1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブチルN-[1-{3-(1-メチルエテニル)-フェニル)1-メチルエチル]カルバメート、1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブチルN-[1-{3(1-メチルエテニル)-フェニル}-1-メチルエチル]カルバメート、1,3-ジメチル-3-(クミルペルオキシ)ブチルN-[1-{3-(1-メチルエテニル)-フェニル}-1-メチルエチル]カルバメート、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル4,4-ジ(t-アミルペルオキシ)バレレート、エチル3,3-ジ(t-ブチルペルオキシ)ブチレート、2,2-ジ(t-アミルペルオキシ)プロパン、3,6,6,9,9-ペンタメチル-3-エトキシカルボニルメチル-1,2,4,5-テトラオキサシクロノナン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレート、エチル-3,3-ジ(t-アミルペルオキシ)ブチレート、ベンゾイルペルオキシド、OO-t-ブチル-O-水素-モノペルオキシ-スクシネート、OO-t-アミル-O-水素-モノペルオキシ-スクシネート、3,6,9,トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキシノナン(又はメチルエチルケトンペルオキシド環式トリマー)、メチルエチルケトンペルオキシド環式ダイマー、3,3,6,6,9,9-ヘキサメチル-1,2,4,5-テトラオキサシクロノナン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t-ブチルペルベンゾエート、t-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルペルベンゾエート、t-アミルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシイソブチレート、3-ヒドロキシ-1,1-ジメチルt-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、OO-t-アミル-O-水素-モノペルオキシスクシネート、OO-t-ブチル-O-水素-モノペルオキシスクシネート、ジ-t-ブチルジペルオキシフタレート、t-ブチルペルオキシ(3,3,5-トリメチルヘキサノエート)、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシカルボ)シクロヘキサン、t-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチル-ペルオキシ-(シス-3-カルボキシ)プロピオネート、アリル3-メチル-3-t-ブチルペルオキシブチレート、OO-t-ブチル-O-イソプロピルモノペルオキシカーボネート、OO-t-ブチル-O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート、1,1,1-トリス[2-(t-ブチルペルオキシ-カルボニルオキシ)エトキシメチル]プロパン、1,1,1-トリス[2-(t-アミルペルオキシ-カルボニルオキシ)エトキシメチル]プロパン、1,1,1-トリス[2-(クミルペルオキシ-カルボニルオキシ)エトキシメチル]プロパン、OO-t-アミル-O-イソプロピルモノペルオキシカーボネート、ジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジ(3-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジ(2-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、2,4-ジブロモ-ベンゾイルペルオキシド、コハク酸ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジ(2,4-ジクロロ-ベンゾイル)ペルオキシド、ジアセチルペルオキシドジカーボネート及びそれらの組合せを挙げることができる。過酸化物としてはまた、アゾジニトリル化合物との過酸化物の混合物、例えば、2,2'-アゾビス(2-メチルペンタンニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチル-ブタンニトリル)、2,2'-アゾビス(2-エチルペンタンニトリル)、2-[(1-シアノ-1-メチルプロピル)アゾ]-2-メチル-ペンタンニトリル、2-[(1-シアノ-1-エチルプロピル)アゾ]-2-メチル-ブタンニトリル、2-[(1-シアノ-1-メチルプロピル)アゾ]-2-エチル等を含むアゾ-ペルオキシド開始剤も挙げることができる。
【0043】
フリーラジカル発生剤によって生成されるラジカル間での反応に関して、活性化ポリマー組成物のフリーラジカルとのポリマーの反応によって形成されるマクロラジカルは、競合する架橋及び鎖切断反応を受けうる。例えば、ポリエチレンマクロラジカルは、架橋の可能性がより高い場合がある一方、ポリプロピレンによって形成されたものは鎖切断の可能性がより高い。反応性の差は、多くの場合、ポリプロピレン等のポリマーが、ポリプロピレン等のポリマー中で形成される2級炭素中心ラジカルよりも安定である3級炭素中心ラジカルを発生させることに起因する。しかしながら、エチレン含有量がより高いエチレン-プロピレンコポリマーにおいて、ポリプロピレンラジカルの架橋反応は、鎖切断反応に関連して増加する。一部の実施形態では、フリーラジカル源とのポリプロピレン等の3級炭素中心ポリマーの架橋は、過酸化物濃度又は温度を調節することによって制御又は変更できる。例えば、過酸化物発生ラジカルによるポリプロピレンにおける架橋は、鎖切断反応を最小にする高過酸化物濃度及び低反応温度を使用することによって達成できる。
【0044】
物理活性化剤 - 電離放射線
本開示による方法は、ポリマー組成物の加熱を誘導する強度で電離放射線を発生させるための1つ又は複数の放射線源を組み込みうる。一部の実施形態では、放射線源は、ポリオレフィン組成物の溶融を開始するのに適した強度からカップリング剤の活性化温度に又はそれを超えてポリオレフィン組成物を加熱するのに適した強度に及びうる可変強度を有しうる。
【0045】
放射線源は、商業的付加製造適用において使用される供給源を含んでもよく、赤外(IR)、紫外(UV)、ガンマ及びX線等のスペクトルにわたって動作するランプ及びレーザー並びに電子ビーム等が挙げられる。1つ又は複数の実施形態では、放射線源は、溶融及び/又は焼結の間にポリオレフィン組成物に集束されてもよく、放射線源は固定式であっても又は可動性であってもよい。
【0046】
硬化剤
本開示によるポリマー組成物は、材料押出プロセスの間、活性化後及び堆積に続いて1種又は複数の硬化剤を用いた後処理を受けうる。本開示による硬化剤としては、ビニル基、エポキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、アミノ基、ウレイド、メルカプト基、イソシアネート、イソシアヌレート等を含む、ポリマー組成物と反応しうる官能基を含有するオルガノシランを挙げることができる。1つ又は複数の実施形態では、不飽和オルガノシラン、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス-(ベータ-メトキシエトキシ)シラン、メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、ガンマ-アミノ-プロピルトリエトキシシラン、3-チオシアナトプロピル-トリエトキシシラン、ガンマ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が含まれうる。
【0047】
1つ又は複数の実施形態では、不飽和オルガノシランは、ポリマー組成物のポリマー成分にグラフトされうる。グラフトポリマーが、硬化工程において周囲湿度又は水性流体に曝露される場合、グラフトシラン基の加水分解により、硬化ポリマーにおいて縮合し、シロキサン架橋を生じる反応性シランが生成される。
【0048】
1つ又は複数の実施形態では、硬化剤は、任意の下限と任意の上限が対にされてもよい、0.0001、0.001、0.1及び1wt%のうちの任意のものから選択される下限~2.5、3、5及び10wt%のうちの任意のものから選択される上限の範囲の、ポリマー組成物の質量パーセント(wt%)で含まれうる。
【0049】
添加剤
本開示による高分子組成物は、ブレンドの間に高分子組成物に添加された場合、種々の物理及び化学特性を変更する添加剤を含んでもよく、これらとしては、流動潤滑剤、帯電防止剤、清澄剤、核形成剤、ベータ-核形成剤、スリップ剤、酸化防止剤、酸中和剤、光安定剤、例えば、HALS、IR吸収剤、シリカ、二酸化チタン、二酸化ケイ素、有機染料、有機顔料、無機染料及び無機顔料等の1種又は複数のポリマー添加剤が挙げられる。
【0050】
物理特性
1つ又は複数の実施形態では、ポリエチレン組成物は、カップリング剤との反応の前に、任意の下限と任意の上限が対にされてもよい、1g/10分、5g/10分、10g/10分及び15g/10分のうちの任意のものから選択される下限~50g/10分、100g/10分、500g/10分及び600g/10分のうちの任意のものから選択される上限を有する範囲の、ASTM D1238に従って決定される通りの190℃及び2.16kgにおける初期メルトフローインデックス(MFI)を有しうる。1つ又は複数の実施形態では、ポリプロピレン組成物は、カップリング剤との反応の前に、任意の下限と任意の上限が対にされてもよい、1g/10分、5g/10分、10g/10分及び15g/10分のうちの任意のものから選択される下限~100g/10分、500g/10分、600g/10分及び700g/10分のうちの任意のものから選択される上限を有する範囲の、ASTM D1238に従って決定される通りの230℃及び2.16kgにおける初期メルトフローインデックス(MFI)を有しうる。
【0051】
1つ又は複数の実施形態では、カップリング剤との反応から調製されたポリエチレン組成物は、任意の下限と任意の上限が対にされてもよい、0.1g/10分、0.2g/10分、0.5g/10分及び1g/10分のうちの任意のものから選択される下限~5g/10分、10g/10分、20g/10分及び50g/10分のうちの任意のものから選択される上限を有する範囲の、ASTM D1238に従って決定される通りの190℃及び2.16kgにおける最終メルトフローインデックス(MFI)を有しうる。1つ又は複数の実施形態では、カップリング剤との反応から調製されたポリプロピレン組成物は、任意の下限と任意の上限が対にされてもよい、0.2g/10分、0.5g/10分、1g/10分及び2g/10分のうちの任意のものから選択される下限~10g/10分、20g/10分、50g/10分及び60g/10分のうちの任意のものから選択される上限を有する範囲の、ASTM D1238に従って決定される通りの230℃及び2.16kgにおける最終メルトフローインデックス(MFI)を有しうる。
【0052】
1つ又は複数の実施形態では、カップリング剤との反応前の本開示によるポリマーの初期固有粘度(デカヒドロナフタレン溶媒(又はデカリン)を用いて135℃で測定)は、任意の下限と任意の上限が対にされてもよい、3dL/g、5dL/g及び10dL/gから選択される下限~15dL/g、20dL/g、40dL/g及び50dL/gから選択される上限を有する範囲でありうる。
【0053】
1つ又は複数の実施形態では、ポリマー組成物は、任意の下限と任意の上限が対にされてもよい、0.9g/cm3、0.91g/cm3及び0.92g/cm3のうちの任意のものから選択される下限~0.95g/cm3、0.97g/cm3及び0.98g/cm3のうちの任意のものから選択される上限を有する範囲の、ASTM D792に従って決定される通りの、カップリング剤との反応後の最終密度を示しうる。
【0054】
適用
本開示による方法は、FDM及び自由形式堆積を含む多数の付加製造技術において使用できる。本開示による付加製造システムは、プリント、構築又はそれ以外で3D部品及び/若しくは支持構造を生成する任意のシステムを含む。付加製造システムは、自立型ユニットであっても、より大きなシステム若しくは生産ラインのサブユニットであってもよく、及び/又は他の非付加製造フィーチャ、例えば、基材製造フィーチャ、ピックアンドプレースフィーチャ、2次元プリントフィーチャ等を含んでもよい。
【0055】
形成されうる物品としては、例えば、包装、剛性及び可撓性容器、家庭用機器、成型品、例えば、フタ、ボトル、カップ、パウチ、ラベル、パイプ、タンク、ドラム、水タンク、医療デバイス、棚積みユニット等が挙げられる。具体的には、本開示のポリマー組成物から従来通り作製された(従来の製造技術を使用して)任意の物品は、代わりに付加製造から製造できる。
【0056】
本開示によるポリマー組成物の使用は、付加製造方法によって生成された製品により高い可撓性をもたらしうる。具体的には、例えば、付加製造によって生成された物品は、PLA又はABSと比較してより低い曲げ弾性率及び優れた疲労抵抗を有しうる。
【実施例0057】
(実施例1)
以下の実施例では、線状ポリプロピレンをビススルホニルアジド4,4'-オキシジベンゼンスルホニルアジドと200℃で合わせて、分岐状ポリプロピレン組成物を生成し、種々の物理特性についてアッセイする。特に
図1に関して、カップリング剤とのポリマーの反応によって発生した線状ポリプロピレン及び分岐状ポリプロピレンについての、200℃における粘度に対する長鎖分岐の効果が、角周波数の関数としての複素粘度のグラフに示されている。分岐状ポリプロピレンの粘度は、特により低い角運動速度で、線状ポリマーに対してより高い。
【0058】
特に
図2に関して、190℃における溶融強度を、線状ポリプロピレン及びビススルホニルアジドと反応させた対応するポリマーについてドロー率の関数として比較し、これは、分岐が増加するにつれて溶融強度が増加することを強調している。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)をまた、線状及び分岐状ポリマーの試料に対して実施して、ポリマーの分子量に対するカップリングの効果を研究した。特に
図3に関して、分子量のログ(log M)の関数としてのポリマー試料の質量分率のグラフが、線状及び分岐状ポリプロピレンについて示されている。分岐状ポリプロピレンの分布の広幅化により、高分子量ポリマーの形成が確認され、これは、機械特性の観察される増加に寄与する。
【0059】
(実施例2)
以下の実施例では、異相ポリプロピレンコポリマー(PP1)を2種の異なる活性化剤と組み合わせる。試料PP1 X01は、0.2wt%のビススルホニルアジドと組み合わせ、試料PP1 X02は、10wt%の、Cray Valley(商標)社から市販されている亜鉛塩であるDymalink 9200と組み合わせる。試料PP1 X01及びPP1 X02はまた、1,000ppmのHPN20E、Milliken(商標)社から市販されている核形成剤も含有する。両方の試料PP1 X01及びPP1 X02は、それぞれの活性化剤のバイアビリティーを維持することが可能である条件で調製した。
【0060】
【0061】
(実施例3)
次の実施例では、本開示に従って配合された樹脂の挙動を、3Dプリントプロセスにおいてアッセイした。試料PP X02を、ペレット押出3Dプリンター(Titan Robotics(商標)社から入手可能)を使用して試験した。プリント加工温度を、以下のTable 2(表2)に示す。
【0062】
【0063】
PP1 X02等の反応性ポリマーは、ペレット押出による3Dプリントに使用できることが観察された。操作の間、ポリマーは、プリンター押出機においてフローエラーに抵抗し、プリント試験片を生成するのに使用した。反応性ポリマーPP1 X02により、試料の層境界面の画像である
図4及び層断面の画像である
図5に示される顕微鏡画像において見られる通り、層は均質に堆積された。
【0064】
(実施例4)
機械特性の評価
試料配合物PP1 X01及びPP1 X02を、Table 3(表3)に示されるプロセス条件を使用してペレット押出3Dプリンターにおいて試験した。
【0065】
【0066】
次いで、生成された試験片を機械特性分析に供した。各試験片について得られた顕微鏡画像を、
図6及び
図7に示している。各試料についての機械的結果を、
図8~
図10にプロットし、
図8は、降伏歪の関数としての降伏応力のプロットであり、
図9は、破壊歪の関数としての破壊応力のプロットであり、
図10は、降伏応力の関数としての靭性のプロットである。
【0067】
前述の記載は、特定の手段、材料及び実施形態を参照して本明細書に記載されているが、本明細書に開示される詳細への限定は意図されず、むしろ、添付の特許請求の範囲内であるもの等のすべての機能的に等価な構造、方法及び使用に拡張される。特許請求の範囲において、ミーンズプラスファンクション条項とは、列挙された機能を実施するものとして本明細書に記載の構造、及び構造的等価物だけでなく等価な構造も包含することが意図される。したがって、釘及びねじは、釘が木製部品を一緒に固定するための円柱状表面を用いるのに対してねじはらせん状表面を用いる点で構造的等価物ではない場合があるが、木製部品を固定する状況において、釘及びねじは等価な構造でありうる。請求項が関連する機能と一緒に「ための(means for)」という語を明示的に使用している場合を除き、本明細書における請求項のいずれの限定についても米国特許法第112条(f)を行使しないことは本出願人らの明確な意図である。
堆積ポリマー組成物に光をパルス処理する工程であって、堆積ポリマー組成物が、活性化剤を含み、パルス光が、温度を上昇させることによって活性化剤を活性化する、工程を更に含む、請求項5に記載の方法。
ポリマーを、フリーラジカル発生剤、カップリング剤及び架橋剤からなる群から選択される1種又は複数の活性化剤と合わせることによってポリマー組成物を調製する工程を更に含み、ポリマーを1種又は複数の活性化剤と合わせる工程が、1種又は複数の活性化剤の活性化温度未満の温度で行われ、ポリマーを1種又は複数の活性化剤と合わせる工程が、ポリマー組成物を活性化する工程の前に行われる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
ポリマー組成物を活性化する工程が、合わされたポリマー組成物及び1種又は複数の活性化剤の温度を、1種又は複数の活性化剤の活性化温度を超えて上昇させることを含む、請求項8に記載の方法。
1種又は複数の活性化剤が、アジド、スルホンアジド、過酸化物、アミノシラン、シラン、アクリレート、メタクリレート、高分子カップリング剤、アルファ-ベータ不飽和酸、ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジアリルマレエート、ペンタエリスリトールの不飽和エステル及びエーテル、トリアリルシアヌレート、硫黄、硫黄供与体、p-ベンゾキノン、ヒドロキノン並びにビスフェノールからなる群から選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
1種又は複数の活性化剤が、ジクミルペルオキシド(DCP)、t-ブチルα-クミルペルオキシド(BCP)、ジ-t-アミルペルオキシド(DTAP)、α,α'-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)-1,3-及び1,4-ジ-イソプロピル-ベンゼン(DTBPIB)、2,5-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(DTBPH)、ジ-t-ブチルペルオキシド(DTBP)及び2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン(DTBHY)からなる群から選択される1種又は複数を含む、請求項14に記載の方法。
1種又は複数の活性化剤を用いてポリマー組成物を活性化する工程と、ポリマー組成物を溶融する工程と、溶融ポリマー組成物を堆積する工程のシークエンスを繰り返すことによって、3次元物品を構築する工程とを更に含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
ポリオレフィン組成物の複数のプリント層を含む物品であって、ポリオレフィン組成物が、活性化ポリオレフィン組成物の堆積から調製され、ポリオレフィン組成物が、1種又は複数の活性化剤によって活性化され、
前記ポリオレフィン組成物が、ポリエチレン及びランダムポリプロピレンコポリマーのうちの少なくとも1つを含む、物品。