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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183226
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】車両用駆動装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/00 20060101AFI20221201BHJP
   F16H 1/06 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B60K1/00
F16H1/06
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162730
(22)【出願日】2022-10-07
(62)【分割の表示】P 2021511261の分割
【原出願日】2020-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2019066935
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】井上 亮平
(57)【要約】
【課題】インバータ装置の配置による径方向への大型化を抑制できる車両用駆動装置を提供する。
【解決手段】車両用駆動装置100は、回転電機1と、第1ギヤ32を有する入力部材3と、一対の出力部材61,62と、第1ギヤ32に噛み合う第2ギヤ42、及び第2ギヤ42と一体的に回転する第3ギヤ43を有するカウンタギヤ機構4と、第3ギヤ43に噛み合う第4ギヤ51を有する差動歯車機構5と、回転電機1を制御するインバータ装置7と、を備え、回転電機1は、入力部材3と同軸に配置されていると共に、入力部材3に対して軸方向第1側L1に配置され、第3ギヤ43及び第4ギヤ51は、第1ギヤ32及び第2ギヤ42よりも軸方向第2側L2に配置され、インバータ装置7は、第4ギヤ51よりも軸方向第1側L1に配置されていると共に、軸方向Lに沿う軸方向視で第4ギヤ51と重複する位置に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪の駆動力源となる回転電機と、
第1ギヤを有し、前記回転電機に駆動連結された入力部材と、
それぞれ前記車輪に駆動連結される一対の出力部材と、
前記第1ギヤに噛み合う第2ギヤ、及び前記第2ギヤと一体的に回転する第3ギヤを有するカウンタギヤ機構と、
前記第3ギヤに噛み合う第4ギヤを有し、前記第4ギヤの回転を一対の前記出力部材に分配する差動歯車機構と、
前記回転電機を制御するインバータ装置と、を備え、
前記回転電機は、前記入力部材と同軸に配置されていると共に、前記第1ギヤに対して、前記回転電機の軸方向の一方側である軸方向第1側に配置され、
前記第3ギヤ及び前記第4ギヤは、前記第1ギヤ及び前記第2ギヤよりも、前記軸方向の他方側である軸方向第2側に配置され、
前記カウンタギヤ機構の軸心が、前記回転電機の軸心及び前記差動歯車機構の軸心の双方よりも下方に配置され、
前記インバータ装置は、前記第4ギヤよりも前記軸方向第1側であって、前記差動歯車機構の軸心よりも上方に配置されていると共に、前記軸方向に沿う軸方向視で、前記第4ギヤと重複する位置に配置され、
前記インバータ装置の特定部分が、前記軸方向における前記回転電機と前記第4ギヤとの間であって、上下方向に沿う上下方向視で前記カウンタギヤ機構と重複すると共に、前記軸方向視で前記回転電機と重複する位置に配置されている、車両用駆動装置。
【請求項2】
前記インバータ装置の前記特定部分は、前記インバータ装置における前記特定部分を除いた部分よりも、前記上下方向視で前記軸方向に直交する方向に突出した突出部である、請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記インバータ装置は、当該インバータ装置の前記軸方向の配置領域と前記回転電機の前記軸方向の配置領域とが重なるように配置されている、請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記カウンタギヤ機構の最下端が、前記差動歯車機構の最下端に対して、前記上下方向の同じ位置又は上方に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記回転電機、前記入力部材、前記カウンタギヤ機構、前記差動歯車機構、及び前記インバータ装置を収容するケースを更に備え、
前記上下方向視で前記軸方向に直交する方向を奥行方向として、
前記奥行方向において、前記カウンタギヤ機構の軸心が、前記回転電機の軸心と前記差動歯車機構の軸心との間に配置され、
前記ケースは、前記回転電機を収容する第1収容部と、前記差動歯車機構を収容する第2収容部と、を備え、
前記インバータ装置は、前記第1収容部の最上端及び前記第2収容部の最上端のうち、上方に位置する方よりも下方であって、前記奥行方向における前記第1収容部の最外端と前記第2収容部の最外端との間に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項6】
前記インバータ装置は、前記軸方向における前記第1収容部の最外端と前記第2収容部の最外端との間に配置されている、請求項5に記載の車両用駆動装置。
【請求項7】
前記ケースは、前記インバータ装置を収容する第3収容部を更に備え、
前記第1収容部と前記第2収容部と前記第3収容部とが一体的に形成されている、請求項5又は6に記載の車両用駆動装置。
【請求項8】
前記インバータ装置の最上端が、前記回転電機の最上端に対して、上下方向の同じ位置又は下方に配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項9】
車両における、荷室よりも下方の空間であって、前記上下方向視で前記荷室と重複する空間、及び、前記車両における、居室よりも下方の空間であって、前記上下方向視で前記居室と重複する空間の少なくとも一方に配置される、請求項1から8のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項10】
車輪の駆動力源となる回転電機と、
第1ギヤを有し、前記回転電機に駆動連結された入力部材と、
それぞれ前記車輪に駆動連結される一対の出力部材と、
前記第1ギヤに噛み合う第2ギヤ、及び前記第2ギヤと一体的に回転する第3ギヤを有するカウンタギヤ機構と、
前記第3ギヤに噛み合う第4ギヤを有し、前記第4ギヤの回転を一対の前記出力部材に分配する差動歯車機構と、
前記回転電機を制御するインバータ装置と、
前記回転電機、前記入力部材、前記カウンタギヤ機構、及び前記差動歯車機構を収容するケースと、を備え、
前記回転電機は、前記入力部材と同軸に配置されていると共に、前記第1ギヤに対して、前記回転電機の軸方向の一方側である軸方向第1側に配置され、
上下方向に沿う上下方向視で前記軸方向に直交する方向を奥行方向として、
前記奥行方向において、前記カウンタギヤ機構の軸心が、前記回転電機の軸心と前記差動歯車機構の軸心との間に配置され、
前記ケースは、前記回転電機を収容する第1収容部と、前記差動歯車機構を収容する第2収容部と、を備え、
前記インバータ装置は、前記第1収容部の最上端よりも下方であって、前記奥行方向における前記第1収容部の最外端と前記第2収容部の最外端との間に配置されている、車両用駆動装置。
【請求項11】
前記インバータ装置は、前記軸方向に沿う軸方向視で、前記第4ギヤと重複する位置に配置されている、請求項10に記載の車両用駆動装置。
【請求項12】
前記インバータ装置は、前記軸方向に沿う軸方向視で、前記回転電機と重複する位置に配置されている、請求項10又は11に記載の車両用駆動装置。
【請求項13】
前記カウンタギヤ機構の軸心が、前記回転電機の軸心及び前記差動歯車機構の軸心の双方よりも下方に配置され、
前記インバータ装置は、前記上下方向視で、前記カウンタギヤ機構と重複する位置に配置されている、請求項10から12のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項14】
前記インバータ装置は、前記軸方向における前記第1収容部の最外端と前記第2収容部の最外端との間に配置されている、請求項10から13のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項15】
前記ケースは、前記インバータ装置を収容する第3収容部を更に備え、
前記第1収容部と前記第2収容部と前記第3収容部とが一体的に形成されている、請求項10から14のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪の駆動力源となる回転電機と、カウンタギヤ機構と、差動歯車機構と、回転電機を制御するインバータ装置と、を備えた車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両用駆動装置の一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、この背景技術の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1の車両用駆動装置(1)は、一対の車輪(W)の駆動力源となる回転電機(MG)と、第1ギヤ(GMo)を有し、回転電機(MG)に駆動連結された入力部材(SR2)と、一対の車輪(W)に駆動連結される一対の出力部材(AX)と、第1ギヤ(GMo)に噛み合う第2ギヤ(GCi)、及び第2ギヤ(GCi)と一体的に回転する第3ギヤ(GCo)を有するカウンタギヤ機構(CG)と、第3ギヤ(GCo)に噛み合う第4ギヤ(GDi)を有し、第4ギヤ(GDi)の回転を一対の出力部材(AX)に分配する差動歯車機構(DF)と、回転電機(MG)を制御するインバータ装置(IN)と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-182505号公報(図2及び図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の車両用駆動装置(1)では、差動歯車機構(DF)よりも上方にインバータ装置(IN)が配置されている。そして、差動歯車機構(DF)の第4ギヤ(GDi)は、入力部材(SR2)の第1ギヤ(GMo)、並びにカウンタギヤ機構(CG)の第2ギヤ(GCi)及び第3ギヤ(GCo)と比較して、径方向の寸法が大きい。このような車両用駆動装置(1)では、比較的大径の第4ギヤ(GDi)とインバータ装置(IN)とが径方向(上下方向)に並んで配置されているため、径方向の寸法が大型化し易いという課題があった。車両用駆動装置(1)の径方向の寸法が大きいと、例えば車両の床下等、径方向に余裕が少ない空間に車両用駆動装置(1)を配置することが難しくなる。
【0006】
そこで、インバータ装置の配置による車両用駆動装置の径方向への大型化を抑制することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、車両用駆動装置の特徴構成は、
車輪の駆動力源となる回転電機と、
第1ギヤを有し、前記回転電機に駆動連結された入力部材と、
それぞれ前記車輪に駆動連結される一対の出力部材と、
前記第1ギヤに噛み合う第2ギヤ、及び前記第2ギヤと一体的に回転する第3ギヤを有するカウンタギヤ機構と、
前記第3ギヤに噛み合う第4ギヤを有し、前記第4ギヤの回転を一対の前記出力部材に分配する差動歯車機構と、
前記回転電機を制御するインバータ装置と、を備え、
前記回転電機は、前記入力部材と同軸に配置されていると共に、前記第1ギヤに対して、前記回転電機の軸方向の一方側である軸方向第1側に配置され、
前記第3ギヤ及び前記第4ギヤは、前記第1ギヤ及び前記第2ギヤよりも、前記軸方向の他方側である軸方向第2側に配置され、
前記カウンタギヤ機構の軸心が、前記回転電機の軸心及び前記差動歯車機構の軸心の双方よりも下方に配置され、
前記インバータ装置は、前記第4ギヤよりも前記軸方向第1側であって、前記差動歯車機構の軸心よりも上方に配置されていると共に、前記軸方向に沿う軸方向視で、前記第4ギヤと重複する位置に配置され、
前記インバータ装置の特定部分が、前記軸方向における前記回転電機と前記第4ギヤとの間であって、上下方向に沿う上下方向視で前記カウンタギヤ機構と重複すると共に、前記軸方向視で前記回転電機と重複する位置に配置されている点にある。
【0008】
一般的に、差動歯車機構の第4ギヤは、入力部材の第1ギヤ、並びにカウンタギヤ機構の第2ギヤ及び第3ギヤと比較して、径方向の寸法が大きい。本特徴構成によれば、インバータ装置は、軸方向に沿う軸方向視で、第4ギヤと重複する位置に配置されている。これにより、インバータ装置の配置による車両用駆動装置の径方向の寸法の大型化を抑制することができる。
また、本特徴構成によれば、第3ギヤ及び第4ギヤは、回転電機、並びに、第1ギヤ及び第2ギヤよりも軸方向第2側に配置されている。つまり、第3ギヤ及び第4ギヤは、車両用駆動装置の軸方向第2側に寄せて配置されている。これにより、比較的大径の第4ギヤよりも軸方向第1側であって、回転電機、並びに、第1ギヤ及び第2ギヤよりも径方向外側に、インバータ装置を配置するためのスペースを確保することが容易となっている。
また、本特徴構成によれば、カウンタギヤ機構の軸心が、回転電機の軸心及び差動歯車機構の軸心の少なくとも一方よりも上方に配置されている場合と比較して、差動歯車機構の軸心よりも上方に、インバータ装置を配置するためのスペースを確保することが容易となっている。更に、本構成によれば、このようにカウンタギヤ機構を下方に配置したことにより生じたスペースに、インバータ装置の特定部分を収めている。具体的には、インバータ装置の特定部分を、軸方向における回転電機と第4ギヤとの間であって、上下方向視でカウンタギヤ機構と重複すると共に、軸方向視で回転電機と重複する位置に配置している。このように、各部材の配置関係によって生じたスペースにインバータ装置を適切に配置したことにより、車両用駆動装置の径方向への大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る車両用駆動装置の軸方向に沿う断面図
図2】実施形態に係る車両用駆動装置のスケルトン図
図3】回転電機と入力部材とカウンタギヤ機構と差動歯車機構とインバータ装置との位置関係を示す図
図4】第3収容部に収容されたインバータ装置を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、実施形態に係る車両用駆動装置100について、図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、車両用駆動装置100は、回転電機1と、入力部材3と、カウンタギヤ機構4と、差動歯車機構5と、第1出力部材61及び第2出力部材62と、を備えている。本実施形態では、回転電機1、入力部材3、カウンタギヤ機構4、及び差動歯車機構5は、ケース2に収容されている。
【0011】
回転電機1と入力部材3とのそれぞれは、その回転軸心としての第1軸A1上に配置されている。つまり、回転電機1は、入力部材3と同軸に配置されている。カウンタギヤ機構4は、その回転軸心としての第2軸A2上に配置されている。差動歯車機構5は、その回転軸心としての第3軸A3上に配置されている。本実施形態では、第1出力部材61及び第2出力部材62も第3軸A3上に配置されている。第1軸A1、第2軸A2、及び第3軸A3は、互いに異なる仮想軸であり、互いに平行に配置されている。
【0012】
以下の説明では、上記の軸A1~A3に平行な方向を、車両用駆動装置100の「軸方向L」とする。そして、軸方向Lにおいて、入力部材3に対して回転電機1が配置される側を「軸方向第1側L1」とし、その反対側を「軸方向第2側L2」とする。また、上記の第1軸A1、第2軸A2、及び第3軸A3のそれぞれに直交する方向を、各軸を基準とした「径方向R」とする。なお、どの軸を基準とするかを区別する必要がない場合やどの軸を基準とするかが明らかである場合には、単に「径方向R」と記す場合がある。
【0013】
図1に示すように、本実施形態では、ケース2は、第1周壁部21と、第2周壁部22と、第1側壁部23及び第2側壁部24と、隔壁部25と、を有している。
【0014】
第1周壁部21は、回転電機1の径方向Rの外側を囲む筒状に形成されている。第2周壁部22は、入力部材3、カウンタギヤ機構4、及び差動歯車機構5の径方向Rの外側を囲む筒状に形成されている。第1側壁部23及び第2側壁部24は、径方向Rに沿って延在するように形成されている。第1側壁部23は、第1周壁部21の軸方向第1側L1の開口を閉塞するように、第1周壁部21の軸方向第1側L1の端部に固定されている。第2側壁部24は、第2周壁部22の軸方向第2側L2の開口を閉塞するように、第2周壁部22の軸方向第2側L2の端部に固定されている。隔壁部25は、第1周壁部21の径方向Rの内側の空間と第2周壁部22の径方向Rの内側の空間とを軸方向Lに区画するように形成されている。
【0015】
回転電機1は、一対の車輪Wの駆動力源として機能する。回転電機1は、ステータ11とロータ12とを有している。ここで、本願において「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
【0016】
ステータ11は、非回転部材(例えば、ケース2)に固定されたステータコア111を有している。ロータ12は、ステータ11に対して回転可能なロータコア121と、ロータコア121と一体的に回転するように連結されたロータ軸122と、を有している。本実施形態では、回転電機1は回転界磁型の回転電機である。そのため、ステータコア111には、当該ステータコア111から軸方向Lの両側(軸方向第1側L1及び軸方向第2側L2)にそれぞれ突出するコイルエンド部112が形成されるようにコイルが巻装されている。そして、ロータコア121には、永久磁石123が設けられている。また、本実施形態では、回転電機1はインナロータ型の回転電機である。そのため、ステータコア111よりも径方向Rの内側にロータコア121が配置されている。そして、ロータコア121の内周面に、ロータ軸122が連結されている。
【0017】
ロータ軸122は、第1軸A1回りに回転する回転部材である。ロータ軸122は、軸方向Lに沿って延在するように形成されている。本実施形態では、ロータ軸122は、第1ロータ軸受B1a及び第2ロータ軸受B1bを介して、ケース2に対して回転可能に支持されている。具体的には、ロータ軸122の軸方向第1側L1の端部が、第1ロータ軸受B1aを介して、ケース2の第1側壁部23に対して回転可能に支持されている。そして、ロータ軸122の軸方向第2側L2の端部が、第2ロータ軸受B1bを介して、ケース2の隔壁部25に対して回転可能に支持されている。
【0018】
入力部材3は、回転電機1に駆動連結されている。入力部材3は、入力軸31と、入力ギヤ32とを有している。
【0019】
入力軸31は、第1軸A1回りに回転する回転部材である。入力軸31は、回転電機1に対して軸方向第2側L2に延出するように配置されている。そして、入力軸31から径方向Rの外側に突出するように入力ギヤ32が設けられている。つまり、回転電機1が、入力ギヤ32に対して軸方向第1側L1に配置されている。本実施形態では、入力軸31は、ケース2の隔壁部25を軸方向Lに貫通する貫通孔に挿通されている。そして、入力軸31の軸方向第1側L1の端部が、ロータ軸122の軸方向第2側L2の端部と連結されている。図示の例では、ロータ軸122の径方向Rの内側に入力軸31が位置するように、入力軸31の軸方向第1側L1の端部がロータ軸122の軸方向第2側L2の端部に挿入され、これらの端部同士がスプライン係合によって連結されている。
【0020】
本実施形態では、入力軸31は、第1入力軸受B3a及び第2入力軸受B3bを介して、ケース2に対して回転可能に支持されている。具体的には、入力軸31における、軸方向Lの中心部よりも軸方向第1側L1の部分であって、ロータ軸122との連結部分よりも軸方向第2側L2の部分が、第1入力軸受B3aを介して、ケース2の隔壁部25に対して回転可能に支持されている。そして、入力軸31の軸方向第2側L2の端部が、第2入力軸受B3bを介して、ケース2の第2側壁部24に対して回転可能に支持されている。
【0021】
入力ギヤ32は、「第1ギヤ」に相当する。入力ギヤ32は、回転電機1からの駆動力をカウンタギヤ機構4に伝達する。入力ギヤ32は、入力軸31と一体的に回転するように、入力軸31に連結されている。本実施形態では、入力ギヤ32は、入力軸31と一体的に形成されている。また、本実施形態では、入力ギヤ32は、第1入力軸受B3aと第2入力軸受B3bとの間に配置されている。
【0022】
カウンタギヤ機構4は、回転電機1と一対の車輪Wとを結ぶ動力伝達経路における、入力部材3と差動歯車機構5との間に配置されている。カウンタギヤ機構4は、カウンタ軸41と、第1カウンタギヤ42と、第2カウンタギヤ43とを有している。
【0023】
カウンタ軸41は、第2軸A2回りに回転する回転部材である。カウンタ軸41は、軸方向Lに沿って延在するように形成されている。本実施形態では、カウンタ軸41は、第1カウンタ軸受B4a及び第2カウンタ軸受B4bを介して、ケース2に対して回転可能に支持されている。具体的には、カウンタ軸41の軸方向第1側L1の端部が、第1カウンタ軸受B4aを介して、ケース2の隔壁部25に対して回転可能に支持されている。そして、カウンタ軸41の軸方向第2側L2の端部が、第2カウンタ軸受B4bを介して、ケース2の第2側壁部24に対して回転可能に支持されている。
【0024】
第1カウンタギヤ42は、カウンタギヤ機構4の入力要素である。第1カウンタギヤ42は、入力部材3の入力ギヤ32と噛み合っている。つまり、第1カウンタギヤ42は、第1ギヤに噛み合う「第2ギヤ」に相当する。第1カウンタギヤ42は、カウンタ軸41と一体的に回転するように、カウンタ軸41に連結されている。本実施形態では、第1カウンタギヤ42は、カウンタ軸41に対してスプライン係合によって連結されている。
【0025】
第2カウンタギヤ43は、カウンタギヤ機構4の出力要素である。第2カウンタギヤ43は、第1カウンタギヤ42よりも軸方向第2側L2に配置されている。第2カウンタギヤ43は、カウンタ軸41と一体的に回転するように、カウンタ軸41に連結されている。つまり、第2カウンタギヤ43は、第2ギヤと一体的に回転する「第3ギヤ」に相当する。本実施形態では、第2カウンタギヤ43は、カウンタ軸41と一体的に形成されている。また、本実施形態では、第2カウンタギヤ43は、第1カウンタギヤ42よりも小径に形成されている。
【0026】
差動歯車機構5は、回転電機1の側から伝達される駆動力を、第1出力部材61と第2出力部材62とに分配する。本実施形態では、差動歯車機構5は、差動入力ギヤ51と、差動ケース52と、ピニオンシャフト53と、一対のピニオンギヤ54と、第1サイドギヤ55及び第2サイドギヤ56と、を備えている。なお、本実施形態では、一対のピニオンギヤ54、並びに第1サイドギヤ55及び第2サイドギヤ56は、いずれも傘歯車である。
【0027】
差動入力ギヤ51は、差動歯車機構5の入力要素である。差動入力ギヤ51は、カウンタギヤ機構4の第2カウンタギヤ43と噛み合っている。つまり、差動入力ギヤ51は、第3ギヤに噛み合う「第4ギヤ」に相当する。上述したように、第2カウンタギヤ43は、第1カウンタギヤ42よりも軸方向第2側L2に配置されている。そして、第1カウンタギヤ42は、入力部材3の入力ギヤ32と噛み合っている。そのため、カウンタギヤ機構4の第2カウンタギヤ43及び差動入力ギヤ51は、入力ギヤ32及び第1カウンタギヤ42よりも軸方向第2側L2に配置されている。
【0028】
差動ケース52は、第3軸A3回りに回転する回転部材である。差動ケース52は、差動入力ギヤ51と一体的に回転するように、差動入力ギヤ51に連結されている。本実施形態では、差動ケース52は、第1差動軸受B5a及び第2差動軸受B5bを介して、ケース2に対して回転可能に支持されている。具体的には、差動ケース52の軸方向第1側L1の端部が、第1差動軸受B5aを介して、ケース2の隔壁部25に対して回転可能に支持されている。そして、差動ケース52の軸方向第2側L2の端部が、第2差動軸受B5bを介して、ケース2の第2側壁部24に対して回転可能に支持されている。
【0029】
本実施形態では、差動ケース52には、ポンプ駆動ギヤ57が連結されている。ポンプ駆動ギヤ57は、ケース2内の貯留部に貯溜された油を汲み上げて吐出する油圧ポンプ(図示を省略)を駆動するためのギヤである。具体的には、ポンプ駆動ギヤ57は、油圧ポンプの入力要素であるポンプ入力ギヤ(図示を省略)に噛み合うギヤである。ポンプ駆動ギヤ57は、差動ケース52と一体的に回転するように、差動ケース52に連結されている。ポンプ駆動ギヤ57は、差動ケース52の外周面から径方向Rの外側に突出するように形成されている。本実施形態では、ポンプ駆動ギヤ57は、差動入力ギヤ51よりも軸方向第1側L1に配置されている。また、本実施形態では、ポンプ駆動ギヤ57は、差動入力ギヤ51よりも小径に形成されている。
【0030】
差動ケース52は、中空の部材である。差動ケース52の内部には、ピニオンシャフト53と、一対のピニオンギヤ54と、第1サイドギヤ55及び第2サイドギヤ56と、が収容されている。
【0031】
ピニオンシャフト53は、第3軸A3を基準とした径方向Rに沿って延在している。ピニオンシャフト53は、一対のピニオンギヤ54に挿通され、それらを回転可能に支持している。ピニオンシャフト53は、差動ケース52を貫通するように配置されている。ピニオンシャフト53は、係止部材53aにより差動ケース52に係止され、差動ケース52と一体的に回転する。図示の例では、係止部材53aは、差動ケース52とピニオンシャフト53との双方に挿通される棒状のピンである。
【0032】
一対のピニオンギヤ54は、第3軸A3を基準とした径方向Rに沿って互いに間隔を空けて対向した状態で、ピニオンシャフト53に取り付けられている。一対のピニオンギヤ54は、ピニオンシャフト53を中心として回転(自転)可能、かつ、第3軸A3を中心として回転(公転)可能に構成されている。
【0033】
第1サイドギヤ55及び第2サイドギヤ56は、差動歯車機構5における駆動力の分配後の回転要素である。第1サイドギヤ55と第2サイドギヤ56とは、互いに軸方向Lに間隔を空けて、ピニオンシャフト53を挟んで対向するように配置されている。第1サイドギヤ55は、第2サイドギヤ56よりも軸方向第1側L1に配置されている。第1サイドギヤ55と第2サイドギヤ56とは、差動ケース52の内部空間において、それぞれ周方向に回転するように構成されている。第1サイドギヤ55及び第2サイドギヤ56は、一対のピニオンギヤ54に噛み合っている。第1サイドギヤ55は、第1出力部材61と一体的に回転するように連結されている。一方、第2サイドギヤ56は、第2出力部材62と一体的に回転するように連結されている。
【0034】
第1出力部材61及び第2出力部材62のそれぞれは、車輪Wに駆動連結されている。第1出力部材61及び第2出力部材62のそれぞれは、差動歯車機構5によって分配された駆動力を車輪Wに伝達する。
【0035】
本実施形態では、第1出力部材61は、第1車軸611と、中継部材612と、を含む。第1車軸611及び中継部材612のそれぞれは、第3軸A3回りに回転する回転部材である。第1車軸611は、軸方向第1側L1の車輪Wに駆動連結されている。中継部材612は、軸方向Lに延在する軸部材である。中継部材612は、ケース2の隔壁部25を軸方向Lに貫通する貫通孔に挿通されている。中継部材612は、出力軸受B6を介して、ケース2の第1側壁部23に対して回転可能に支持されている。
【0036】
中継部材612の軸方向第1側L1の端部は、ケース2の第1側壁部23を軸方向Lに貫通する貫通孔を通してケース2の外部に露出している。中継部材612の軸方向第1側L1の端部は、第1車軸611と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、中継部材612は、その軸方向第1側L1の端面が開放した筒状に形成されている。そして、中継部材612の内周面と、第1車軸611の軸方向第2側L2の端部の外周面とのそれぞれに、対応するスプラインが形成されており、それらのスプライン同士が係合することにより、中継部材612と第1車軸611とが一体的に回転するように連結されている。
【0037】
一方、中継部材612の軸方向第2側L2の端部は、差動歯車機構5の第1サイドギヤ55と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、中継部材612の軸方向第2側L2の端部の外周面と、第1サイドギヤ55の内周面とのそれぞれに、対応するスプライン形成されており、それらのスプライン同士が係合することにより、中継部材612と第1サイドギヤ55とが一体的に回転するように連結されている。
【0038】
本実施形態では、第2出力部材62は、第2車軸621を含む。第2車軸621は、第3軸A3回りに回転する回転部材である。第2車軸621は、軸方向第2側L2の車輪Wに駆動連結されている。第2車軸621は、第2サイドギヤ56と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第2車軸621の軸方向第1側L1の端部の外周面と、第2サイドギヤ56の内周面とのそれぞれに、対応するスプライン形成されており、それらのスプライン同士が係合することにより、第2車軸621と第2サイドギヤ56とが一体的に回転するように連結されている。
【0039】
図1に示すように、車両用駆動装置100は、インバータ装置7を備えている。インバータ装置7は、回転電機1を制御する装置である。インバータ装置7は、蓄電装置(図示を省略)に接続されると共に回転電機1に接続されて、蓄電装置の直流と回転電機1の複数相(ここでは3相)の交流との間で電力を変換する。本実施形態では、インバータ装置7は、ケース2に収容されている。
【0040】
以下では、ケース2に収容された各要素の位置関係について説明する。なお、以下の説明では、車両に搭載した状態の車両用駆動装置100の鉛直方向を「上下方向V」とする。そして、上下方向Vの上側の位置は、例えば、上方、上端等のように「上」を用いて表し、上下方向Vの下側の位置は、例えば、下方、下端等のように「下」を用いて表す。また、上下方向Vに沿う上下方向視で軸方向Lに直交する方向を「奥行方向D」とする。そして、奥行方向Dにおいて、回転電機1に対して差動歯車機構5の側を「前側D1」とし、その反対側を「後側D2」とする。
【0041】
図3に示すように、カウンタギヤ機構4の軸心(A2)は、回転電機1の軸心(A1)及び差動歯車機構5の軸心(A3)の双方よりも下方に配置されている。図3に示す例では、第1軸A1と第2軸A2と第3軸A3とが、上方から第1軸A1、第3軸A3、第2軸A2の順で配置されている。
【0042】
本実施形態では、奥行方向Dにおいて、カウンタギヤ機構4の軸心(A2)が、回転電機1の軸心(A1)と差動歯車機構5の軸心(A3)との間に配置されている。
【0043】
図1に2点鎖線で配置領域を示すように、インバータ装置7は、差動歯車機構5の差動入力ギヤ51よりも軸方向第1側L1に配置されている。更に、インバータ装置7は、差動歯車機構5の軸心(A3)よりも上方に配置されている。そして、図3に示すように、インバータ装置7は、軸方向Lに沿う軸方向視で、差動入力ギヤ51と重複する位置に配置されている。ここで、2つの要素の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線と直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの要素の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを指す。なお、図3では、入力ギヤ32及び第1カウンタギヤ42の外形を破線で示し、差動入力ギヤ51及び第2カウンタギヤ43の外形を一点鎖線で示している。
【0044】
図1に示すように、インバータ装置7の特定部分Pは、軸方向Lにおける回転電機1と差動入力ギヤ51との間に配置されている。そして、インバータ装置7の特定部分Pは、上下方向Vに沿う上下方向視で、カウンタギヤ機構4と重複する位置に配置されている。
また、図3に示すように、インバータ装置7の特定部分Pは、軸方向Lに沿う軸方向視で、回転電機1と重複する位置に配置されている。図4に示すように、本実施形態では、特定部分Pは、インバータ装置7における特定部分Pを除いた部分よりも、奥行方向Dに突出した突出部71である。図示の例では、突出部71は、インバータ装置7における特定部分Pを除いた部分よりも、後側D2に突出している。突出部71は、インバータ装置7を構成する要素(例えば、パワーモジュール、平滑コンデンサ等)の一部である。
【0045】
図1に示すように、本実施形態では、インバータ装置7は、当該インバータ装置7の軸方向Lの配置領域AR7と回転電機1の軸方向Lの配置領域AR1とが重なるように配置されている。つまり、インバータ装置7は、回転電機1の軸方向Lの配置領域AR1内に、インバータ装置7の軸方向Lの配置領域AR7の少なくとも一部が含まれるように配置されている。図示の例では、インバータ装置7の軸方向Lの寸法が回転電機1の軸方向Lの寸法よりも大きく、回転電機1の軸方向Lの配置領域AR1がインバータ装置7の軸方向Lの配置領域AR7内に完全に収まっている。
【0046】
図3に示すように、本実施形態では、カウンタギヤ機構4の最下端であるカウンタギヤ下端4aが、差動歯車機構5の最下端である差動歯車下端5aに対して、上下方向Vの同じ位置又は上方に配置されている。図示の例では、カウンタギヤ下端4aは、差動歯車下端5aよりも上方に配置されている。本実施形態では、カウンタギヤ下端4aは、第1カウンタギヤ42の下端である。また、差動歯車下端5aは、差動入力ギヤ51の下端である。
【0047】
また、本実施形態では、インバータ装置7の最上端であるインバータ上端7aが、回転電機1の最上端である回転電機上端1aに対して、上下方向Vの同じ位置又は下方に配置されている。図示の例では、インバータ上端7aと回転電機上端1aとが、上下方向Vの同じ位置に配置されている。本実施形態では、回転電機上端1aは、ステータコア111の外周面の上端である。
【0048】
図3に示すように、本実施形態では、ケース2は、回転電機1を収容する第1収容部2Aと、差動歯車機構5を収容する第2収容部2Bと、インバータ装置7を収容する第3収容部2Cと、を備えている。本実施形態では、第1収容部2Aと第2収容部2Bと第3収容部2Cとが一体的に形成されている。つまり、第1収容部2Aと第2収容部2Bと第3収容部2Cとが一部材で構成されている。本実施形態では、第1収容部2Aは、第1周壁部21の一部と、第1側壁部23の一部と、隔壁部25の一部とによって構成されている。また、第2収容部2Bは、第2周壁部22の一部と、第2側壁部24の一部と、隔壁部25の一部とによって構成されている。また、第3収容部2Cは、上方からインバータ装置7を収容できるように、上部に開口部が形成されている。この開口部は、第3収容部2Cにインバータ装置7が収容された状態で、蓋部材(図示を省略)によって閉塞される。
【0049】
本実施形態では、インバータ装置7は、第1収容部2Aの最上端である第1最上端2Aa、及び、第2収容部2Bの最上端である第2最上端2Baのうち、上方に位置する方よりも下方に配置されている。図示の例では、第1最上端2Aaは、第2最上端2Baよりも上方に位置している。そして、インバータ装置7は、第1最上端2Aaよりも下方に配置されている。また、本実施形態では、インバータ装置7は、奥行方向Dにおける、第1収容部2Aの最外端である第1最外奥行端2Abと、第2収容部2Bの最外端である第2最外奥行端2Bbとの間に配置されている。換言すれば、インバータ装置7は、第1収容部2A及び第2収容部2Bにおける奥行方向Dの最も外側に位置する両端の間に配置されている。図示の例では、第1最外奥行端2Abは、第1収容部2Aの後側D2の最外端である。また、第2最外奥行端2Bbは、第2収容部2Bの前側D1の最外端である。
【0050】
また、図4に示すように、本実施形態では、インバータ装置7は、軸方向Lにおける、第1収容部2Aの最外端である第1最外軸端2Acと、第2収容部2Bの最外端である第2最外軸端2Bcとの間に配置されている。換言すれば、インバータ装置7は、第1収容部2A及び第2収容部2Bにおける軸方向Lの最も外側に位置する両端の間に配置されている。図示の例では、第1最外軸端2Acは、第1収容部2Aの軸方向第1側L1の最外端である。また、第2最外軸端2Bcは、第2収容部2Bの軸方向第2側L2の最外端である。
【0051】
本実施形態では、以上のように構成された車両用駆動装置100は、車両に搭載される場合に、当該車両の荷室及び居室の少なくとも一方の下方に配置される。具体的には、本実施形態では、車両用駆動装置100は、車両における、荷室よりも下方の空間であって、上下方向Vに沿う上下方向視で当該荷室と重複する空間、及び、車両における、居室よりも下方の空間であって、上下方向視で当該居室と重複する空間の少なくとも一方に配置される。ここで、荷室は、車両における荷物積載用空間が設けられている部分である。荷室には上部が開放された荷台を含む。また、居室は、乗員が乗車するための座席が配置された空間である。居室についても、上部が開放された構成を含む。
【0052】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、インバータ装置7の軸方向Lの配置領域AR7と回転電機1の軸方向Lの配置領域AR1とが重なっている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、インバータ装置7の軸方向Lの配置領域AR7と回転電機1の軸方向Lの配置領域AR1とが重なっていなくても良い。例えば、インバータ装置7が回転電機1よりも軸方向第1側L1に配置されていても良い。或いは、インバータ装置7が軸方向Lにおける回転電機1と差動入力ギヤ51との間に配置されていても良い。
【0053】
(2)上記の実施形態では、突出部71がインバータ装置7における特定部分Pを除いた部分よりも後側D2に突出した構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、突出部71がインバータ装置7における特定部分Pを除いた部分よりも前側D1に突出していても良い。
【0054】
(3)上記の実施形態では、第1最上端2Aaが第2最上端2Baよりも上方に位置し、インバータ装置7が第1最上端2Aaよりも下方に配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第2最上端2Baが第1最上端2Aaよりも上方に位置し、インバータ装置7が第2最上端2Baよりも下方に配置されていても良い。また、インバータ装置7が、第1最上端2Aa及び第2最上端2Baのうちの上方に位置する方よりも上方に突出するように配置されていても良い。
【0055】
(4)上記の実施形態では、インバータ装置7が、奥行方向Dにおける第1最外奥行端2Abと第2最外奥行端2Bbとの間に配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、インバータ装置7が、第1最外奥行端2Ab及び第2最外奥行端2Bbの少なくとも一方よりも奥行方向Dの外側に突出するように配置されていても良い。
【0056】
(5)上記の実施形態では、インバータ装置7が、軸方向Lにおける第1最外軸端2Acと第2最外軸端2Bcとの間に配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、インバータ装置7が、第1最外軸端2Ac及び第2最外軸端2Bcの少なくとも一方よりも軸方向Lの外側に突出するように配置されていても良い。
【0057】
(6)上記の実施形態では、第1収容部2Aと第2収容部2Bと第3収容部2Cとが一体的に形成された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1収容部2Aと第2収容部2Bと第3収容部2Cとのいずれか1つ以上が別部材で構成されていても良い。
【0058】
(7)上記の実施形態では、インバータ上端7aが、回転電機上端1aに対して、上下方向Vの同じ位置又は下方に配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、インバータ上端7aが、回転電機上端1aよりも上方に配置されていても良い。
【0059】
(8)上記の実施形態では、カウンタギヤ機構4のカウンタギヤ下端4aが、差動歯車機構5の差動歯車下端5aに対して、上下方向Vの同じ位置又は上方に配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、カウンタギヤ下端4aが差動歯車下端5aよりも下方に配置された構成としても良い。
【0060】
(9)上記の実施形態では、油圧ポンプのポンプ入力ギヤに噛み合うポンプ駆動ギヤ57が、差動ケース52に設けられた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、ポンプ駆動ギヤ57がカウンタ軸41に設けられていても良い。或いは、ポンプ駆動ギヤ57が設けられず、ポンプ入力ギヤが第1カウンタギヤ42又は差動入力ギヤ51に噛み合う構成としても良い。また、油圧ポンプにポンプ入力ギヤが設けられず、油圧ポンプのロータに連結されたポンプ駆動軸がカウンタ軸41と一体的に回転するように連結され、カウンタ軸41の回転により油圧ポンプが駆動される構成としても良い。或いは、油圧ポンプが、車両用駆動装置100の動力伝達経路から独立して、電動モータ等のポンプ駆動専用の駆動力源により駆動される構成であっても良い。
【0061】
(10)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0062】
〔上記実施形態の概要〕
以下では、上記において説明した車両用駆動装置(100)の概要について説明する。
【0063】
車両用駆動装置(100)は、
車輪(W)の駆動力源となる回転電機(1)と、
第1ギヤ(32)を有し、前記回転電機(1)に駆動連結された入力部材(3)と、
それぞれ前記車輪(W)に駆動連結される一対の出力部材(61,62)と、
前記第1ギヤ(32)に噛み合う第2ギヤ(42)、及び前記第2ギヤ(42)と一体的に回転する第3ギヤ(43)を有するカウンタギヤ機構(4)と、
前記第3ギヤ(43)に噛み合う第4ギヤ(51)を有し、前記第4ギヤ(51)の回転を一対の前記出力部材(61,62)に分配する差動歯車機構(5)と、
前記回転電機(1)を制御するインバータ装置(7)と、を備え、
前記回転電機(1)は、前記入力部材(3)と同軸に配置されていると共に、前記第1ギヤ(32)に対して、前記回転電機(1)の軸方向(L)の一方側である軸方向第1側(L1)に配置され、
前記第3ギヤ(43)及び前記第4ギヤ(51)は、前記第1ギヤ(32)及び前記第2ギヤ(42)よりも、前記軸方向(L)の他方側である軸方向第2側(L2)に配置され、
前記カウンタギヤ機構(4)の軸心(A2)が、前記回転電機(1)の軸心(A1)及び前記差動歯車機構(5)の軸心(A3)の双方よりも下方に配置され、
前記インバータ装置(7)は、前記第4ギヤ(51)よりも前記軸方向第1側(L1)であって、前記差動歯車機構(5)の軸心(A3)よりも上方に配置されていると共に、前記軸方向(L)に沿う軸方向視で、前記第4ギヤ(51)と重複する位置に配置され、
前記インバータ装置(7)の特定部分(P)が、前記軸方向(L)における前記回転電機(1)と前記第4ギヤ(51)との間であって、上下方向(V)に沿う上下方向視で前記カウンタギヤ機構(4)と重複すると共に、前記軸方向視で前記回転電機(1)と重複する位置に配置されている。
【0064】
一般的に、差動歯車機構(5)の第4ギヤ(51)は、入力部材(3)の第1ギヤ(32)、並びにカウンタギヤ機構(4)の第2ギヤ(42)及び第3ギヤ(43)と比較して、径方向(R)の寸法が大きい。本構成によれば、インバータ装置(7)は、軸方向(L)に沿う軸方向視で、第4ギヤ(51)と重複する位置に配置されている。これにより、インバータ装置(7)の配置による車両用駆動装置(100)の径方向(R)の寸法の大型化を抑制することができる。
また、本構成によれば、第3ギヤ(43)及び第4ギヤ(51)は、回転電機(1)、並びに、第1ギヤ(32)及び第2ギヤ(42)よりも軸方向第2側(L2)に配置されている。つまり、第3ギヤ(43)及び第4ギヤ(51)は、車両用駆動装置(100)の軸方向第2側(L2)に寄せて配置されている。これにより、比較的大径の第4ギヤ(51)よりも軸方向第1側(L1)であって、回転電機(1)、並びに、第1ギヤ(32)及び第2ギヤ(42)よりも径方向(R)の外側に、インバータ装置(7)を配置するためのスペースを確保することが容易となっている。
また、本構成によれば、カウンタギヤ機構(4)の軸心(A2)が、回転電機(1)の軸心(A1)及び差動歯車機構(5)の軸心(A3)の少なくとも一方よりも上方に配置されている場合と比較して、差動歯車機構(5)の軸心(A3)よりも上方に、インバータ装置(7)を配置するためのスペースを確保することが容易となっている。更に、本構成によれば、このようにカウンタギヤ機構(4)を下方に配置したことにより生じたスペースに、インバータ装置(7)の特定部分(P)を収めている。具体的には、インバータ装置(7)の特定部分(P)を、軸方向(L)における回転電機(1)と第4ギヤ(51)との間であって、上下方向視でカウンタギヤ機構(4)と重複すると共に、軸方向視で回転電機(1)と重複する位置に配置している。このように、各部材の配置関係によって生じたスペースにインバータ装置(7)を適切に配置したことにより、車両用駆動装置(100)の径方向(R)への大型化を抑制することができる。
【0065】
ここで、前記インバータ装置(7)の前記特定部分(P)は、前記インバータ装置(7)における前記特定部分(P)を除いた部分よりも、前記上下方向視で前記軸方向(L)に直交する方向(D)に突出した突出部(71)であると好適である。
【0066】
この構成によれば、インバータ装置(7)が上下方向視で軸方向(L)に直交する方向(D)に突出した突出部(71)を備えている場合であっても、軸方向(L)における回転電機(1)と第4ギヤ(51)との間のスペースであって、上下方向視でカウンタギヤ機構(4)と重複すると共に、軸方向視で回転電機(1)と重複するスペースを利用して、インバータ装置(7)の突出部(71)を配置することができる。したがって、インバータ装置(7)の配置による、上下方向視で軸方向(L)に直交する方向(D)への車両用駆動装置(100)の大型化を抑制することができる。
【0067】
また、前記インバータ装置(7)は、当該インバータ装置(7)の前記軸方向(L)の配置領域(AR7)と前記回転電機(1)の前記軸方向(L)の配置領域(AR1)とが重なるように配置されていると好適である。
【0068】
この構成によれば、軸方向(L)の配置領域が回転電機(1)と重なるスペースを利用して、インバータ装置(7)が配置されている。これにより、インバータ装置(7)の配置による車両用駆動装置(100)の軸方向(L)への大型化を抑制することができる。
【0069】
カウンタギヤ機構(4)の軸心(A2)が、前記回転電機(1)の軸心(A1)及び前記差動歯車機構(5)の軸心(A3)の双方よりも下方に配置された構成において、
前記カウンタギヤ機構(4)の最下端(4a)が、前記差動歯車機構(5)の最下端(5a)に対して、前記上下方向(V)の同じ位置又は上方に配置されていると好適である。
【0070】
この構成によれば、カウンタギヤ機構(4)が差動歯車機構(5)よりも下方に突出していない。これにより、車両用駆動装置(100)を車両に搭載する場合における最低地上高の確保が容易となっている。
【0071】
また、前記回転電機(1)、前記入力部材(3)、前記カウンタギヤ機構(4)、前記差動歯車機構(5)、及び前記インバータ装置(7)を収容するケース(2)を更に備え、
前記上下方向視で前記軸方向(L)に直交する方向を奥行方向(D)として、
前記奥行方向(D)において、前記カウンタギヤ機構(4)の軸心(A2)が、前記回転電機(1)の軸心(A1)と前記差動歯車機構(5)の軸心(A3)との間に配置され、
前記ケース(2)は、前記回転電機(1)を収容する第1収容部(2A)と、前記差動歯車機構(5)を収容する第2収容部(2B)と、を備え、
前記インバータ装置(7)は、前記第1収容部(2A)の最上端(2Aa)及び前記第2収容部(2B)の最上端(2Ba)のうち、上方に位置する方よりも下方であって、前記奥行方向(D)における前記第1収容部(2A)の最外端(2Ab)と前記第2収容部(2B)の最外端(2Bb)との間に配置されていると好適である。
【0072】
この構成によれば、インバータ装置(7)が、第1収容部(2A)と第2収容部(2B)との奥行方向(D)の配置領域よりも外側に突出しないように、かつ、第1収容部(2A)と第2収容部(2B)との上下方向(V)の配置領域よりも上方に突出しないように配置されている。これにより、インバータ装置(7)の配置による車両用駆動装置(100)の奥行方向(D)及び上下方向(V)の寸法の大型化を抑制することができる。
【0073】
前記ケース(2)が前記第1収容部(2A)と前記第2収容部(2B)とを備えた構成において、
前記インバータ装置(7)は、前記軸方向(L)における前記第1収容部(2A)の最外端(2Ac)と前記第2収容部(2B)の最外端(2Bc)との間に配置されていると好適である。
【0074】
この構成によれば、インバータ装置(7)が、第1収容部(2A)と第2収容部(2B)との軸方向(L)の配置領域よりも外側に突出しないように配置されている。これにより、インバータ装置(7)の配置による車両用駆動装置(100)の軸方向(L)の寸法の大型化を抑制することができる。
【0075】
また、前記ケース(2)は、前記インバータ装置(7)を収容する第3収容部(2C)を更に備え、
前記第1収容部(2A)と前記第2収容部(2B)と前記第3収容部(2C)とが一体的に形成されていると好適である。
【0076】
この構成によれば、第1収容部(2A)と第2収容部(2B)と第3収容部(2C)とのいずれか1つ以上が別部材で構成されている場合に比べて、ケース(2)の連結部や壁部等を少なくできるため、ケース(2)を小型化し易い。したがって、車両用駆動装置(100)の大型化を抑制することができる。
【0077】
また、前記インバータ装置(7)の最上端(7a)が、前記回転電機(1)の最上端(1a)に対して、上下方向(V)の同じ位置又は下方に配置されていると好適である。
【0078】
一般的に、回転電機(1)の最上端(1a)は、カウンタギヤ機構(4)の最上端、及び差動歯車機構(5)の最上端よりも上方に位置することが多い。本構成によれば、インバータ装置(7)が回転電機(1)よりも上方に突出していない。これにより、インバータ装置(7)の配置による車両用駆動装置(100)の上下方向(V)の寸法の大型化を抑制することができる。
【0079】
また、前記車両用駆動装置(100)は、車両における、荷室よりも下方の空間であって、上下方向に沿う上下方向視で前記荷室と重複する空間、及び、前記車両における、居室よりも下方の空間であって、前記上下方向視で前記居室と重複する空間の少なくとも一方に配置されると好適である。
【0080】
この構成によれば、上述したように径方向(R)の寸法を小さく抑えた車両用駆動装置(100)が、車両の荷室及び居室の少なくとも一方の下方に配置される。これにより、車両の荷室や居室の下方に車両用駆動装置(100)が配置される場合においても、これらの荷室や居室を広く確保することができる。
【0081】
車両用駆動装置(100)は、
車輪(W)の駆動力源となる回転電機(1)と、
第1ギヤ(32)を有し、前記回転電機(1)に駆動連結された入力部材(3)と、
それぞれ前記車輪(W)に駆動連結される一対の出力部材(61,62)と、
前記第1ギヤ(32)に噛み合う第2ギヤ(42)、及び前記第2ギヤ(42)と一体的に回転する第3ギヤ(43)を有するカウンタギヤ機構(4)と、
前記第3ギヤ(43)に噛み合う第4ギヤ(51)を有し、前記第4ギヤ(51)の回転を一対の前記出力部材(61,62)に分配する差動歯車機構(5)と、
前記回転電機(1)を制御するインバータ装置(7)と、
前記回転電機(1)、前記入力部材(3)、前記カウンタギヤ機構(4)、及び前記差動歯車機構(5)を収容するケース(2)と、を備え、
前記回転電機(1)は、前記入力部材(3)と同軸に配置されていると共に、前記第1ギヤ(32)に対して、前記回転電機(1)の軸方向(L)の一方側である軸方向第1側(L1)に配置され、
上下方向(V)に沿う上下方向視で前記軸方向(L)に直交する方向を奥行方向(D)として、
前記奥行方向(D)において、前記カウンタギヤ機構(4)の軸心(A2)が、前記回転電機(1)の軸心(A1)と前記差動歯車機構(5)の軸心(A3)との間に配置され、
前記ケース(2)は、前記回転電機(1)を収容する第1収容部(2A)と、前記差動歯車機構(5)を収容する第2収容部(2B)と、を備え、
前記インバータ装置(7)は、前記第1収容部(2A)の最上端(2Aa)よりも下方であって、前記奥行方向(D)における前記第1収容部(2A)の最外端(2Ab)と前記第2収容部(2B)の最外端(2Bb)との間に配置されている。
【0082】
この構成によれば、インバータ装置(7)が、第1収容部(2A)と第2収容部(2B)との奥行方向(D)の配置領域よりも外側に突出しないように、かつ、第1収容部(2A)の上下方向(V)の配置領域よりも上方に突出しないように配置されている。これにより、インバータ装置(7)の配置による車両用駆動装置(100)の奥行方向(D)及び上下方向(V)の寸法の大型化を抑制することができる。
【0083】
ここで、前記インバータ装置(7)は、前記軸方向(L)に沿う軸方向視で、前記第4ギヤ(51)と重複する位置に配置されていると好適である。
【0084】
一般的に、差動歯車機構(5)の第4ギヤ(51)は、入力部材(3)の第1ギヤ(32)、並びにカウンタギヤ機構(4)の第2ギヤ(42)及び第3ギヤ(43)と比較して、径方向(R)の寸法が大きい。本構成によれば、インバータ装置(7)は、軸方向(L)に沿う軸方向視で、第4ギヤ(51)と重複する位置に配置されている。これにより、インバータ装置(7)の配置による車両用駆動装置(100)の径方向(R)の寸法の大型化を抑制することができる。
【0085】
また、前記インバータ装置(7)は、前記軸方向(L)に沿う軸方向視で、前記回転電機(1)と重複する位置に配置されていると好適である。
【0086】
この構成によれば、前記インバータ装置(7)が前記回転電機(1)よりも径方向(R)の外側に配置された構成と比較して、車両用駆動装置(100)の径方向(R)の寸法を小さく抑えることができる。
【0087】
また、前記カウンタギヤ機構(4)の軸心(A2)が、前記回転電機(1)の軸心(A1)及び前記差動歯車機構(5)の軸心(A3)の双方よりも下方に配置され、
前記インバータ装置(7)は、前記上下方向視で、前記カウンタギヤ機構(4)と重複する位置に配置されていると好適である。
【0088】
この構成によれば、カウンタギヤ機構(4)の軸心(A2)が、回転電機(1)の軸心(A1)及び差動歯車機構(5)の軸心(A3)の少なくとも一方よりも上方に配置されている場合と比較して、差動歯車機構(5)の軸心(A3)よりも上方に、インバータ装置(7)を配置するためのスペースを確保することが容易となっている。これにより、車両用駆動装置(100)の径方向(R)への大型化を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本開示に係る技術は、車輪の駆動力源となる回転電機と、カウンタギヤ機構と、差動歯車機構と、回転電機を制御するインバータ装置と、を備えた車両用駆動装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0090】
100 :車両用駆動装置
1 :回転電機
3 :入力部材
32 :入力ギヤ(第1ギヤ)
4 :カウンタギヤ機構
42 :第1カウンタギヤ(第2ギヤ)
43 :第2カウンタギヤ(第3ギヤ)
5 :差動歯車機構
51 :差動入力ギヤ(第4ギヤ)
61 :第1出力部材
62 :第2出力部材
7 :インバータ装置
P :特定部分
W :車輪
V :上下方向
L :軸方向
L1 :軸方向第1側
L2 :軸方向第2側
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-10-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪の駆動力源となる回転電機と、
第1ギヤを有し、前記回転電機に駆動連結された入力部材と、
それぞれ前記車輪に駆動連結される一対の出力部材と、
前記第1ギヤに噛み合う第2ギヤ、及び前記第2ギヤと一体的に回転する第3ギヤを有するカウンタギヤ機構と、
前記第3ギヤに噛み合う第4ギヤを有し、前記第4ギヤの回転を一対の前記出力部材に分配する差動歯車機構と、
前記回転電機を制御するインバータ装置と、を備え、
前記回転電機は、前記入力部材と同軸に配置されていると共に、前記第1ギヤに対して、前記回転電機の軸方向の一方側である軸方向第1側に配置され、
前記第3ギヤ及び前記第4ギヤは、前記第1ギヤ及び前記第2ギヤよりも、前記軸方向の他方側である軸方向第2側に配置され
記インバータ装置は、前記第4ギヤよりも前記軸方向第1側に配置されていると共に、前記軸方向に沿う軸方向視で、前記第4ギヤと重複する位置に配置されている、車両用駆動装置。
【請求項2】
前記インバータ装置は、パワーモジュールと、平滑コンデンサと、を備えている、請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記回転電機、前記入力部材、前記カウンタギヤ機構、前記差動歯車機構、及び前記インバータ装置を収容するケースを更に備え、
前記ケースは、前記回転電機を収容する第1収容部と、前記差動歯車機構を収容する第2収容部と、前記インバータ装置を収容する第3収容部と、を備え、
前記第1収容部と前記第2収容部と前記第3収容部とが一体的に形成されている、請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。