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特開2022-183239折り畳まれた可撓性回路基板にプリントされた多軸位置センサ
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  • 特開-折り畳まれた可撓性回路基板にプリントされた多軸位置センサ 図1
  • 特開-折り畳まれた可撓性回路基板にプリントされた多軸位置センサ 図2A
  • 特開-折り畳まれた可撓性回路基板にプリントされた多軸位置センサ 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183239
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】折り畳まれた可撓性回路基板にプリントされた多軸位置センサ
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/00 20060101AFI20221201BHJP
   G01D 5/20 20060101ALI20221201BHJP
   A61B 5/367 20210101ALI20221201BHJP
   A61B 5/06 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G01B7/00 103M
G01D5/20 J
A61B5/367 100
A61B5/06
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022164600
(22)【出願日】2022-10-13
(62)【分割の表示】P 2018023791の分割
【原出願日】2018-02-14
(31)【優先権主張番号】15/433,072
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】メイル・バル-タル
(72)【発明者】
【氏名】アビ・レウベニ
(57)【要約】
【課題】 位置センサを提供すること。
【解決手段】 位置センサは、三次元(3D)形状に形成された可撓性基材を含む。少なくとも第1及び第2の磁界検出コイルが、この可撓性基材の第1及び第2の層内にそれぞれ形成されており、これによって、3D形状において、第1及び第2の磁界検出コイルが、互いに平行ではない第1及び第2の軸をそれぞれ有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置センサを製造する方法であって、
平面形状の可撓性基材の第1及び第2の層内にそれぞれ、少なくとも第1及び第2の磁界検出コイルを形成することであって、これによって、前記可撓性基材が円筒形状に巻かれたとき、前記第1及び第2の磁界検出コイルは、互いに平行ではない第1及び第2の軸をそれぞれ有する、ことと、
前記可撓性基材を前記円筒形状に巻き、前記円筒形状の中心に長手方向軸を画定する、ことと、を含み、
前記第1の磁界検出コイルは、前記可撓性基材が前記平面形状の時、前記可撓性基材の一端から他端まで延在するストライプ状に形成され、
前記第1の磁界検出コイルは、前記可撓性基材が前記円筒形状に巻かれた時、前記円筒形状の円周に沿ってループを形成し、前記第1の軸と前記長手方向軸が同軸となるように構成される、方法。
【請求項2】
前記可撓性基材が可撓性回路基板を含む、請求項1に記載の位置センサを製造する方法。
【請求項3】
前記第1及び第2の磁界検出コイルを形成することが、前記第1及び第2の磁界検出コイルを互いに電気的に絶縁させることを含む、請求項1に記載の位置センサを製造する方法。
【請求項4】
前記可撓性基材を前記円筒形状に巻くことが、前記第1及び第2の軸を互いに直交するように配置することを含む、請求項1に記載の位置センサを製造する方法。
【請求項5】
前記可撓性基材の表面上に1つ又は2つ以上の電極を形成することを含む、請求項1に記載の位置センサを製造する方法。
【請求項6】
前記可撓性基材に連結されるか又は前記可撓性基材に隣接する、強磁性エレメントを配設することを含む、請求項1に記載の位置センサを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般に、位置センサを装着した医療機器に関するものであり、特に、位置センサのコイルが可撓性回路基板上に形成されているものに関する。
【背景技術】
【0002】
心カテーテルなどの、様々な医療用途に使用される医療機器が、体内におけるその機器の位置を判定するための位置センサを使用している。位置センサは典型的に、複数のコイルを含む。そのようなコイルのいくつかの実装例が、当該技術分野において周知である。
【0003】
例えば、米国特許第8,504,133号(この開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、心臓の心内膜表面から複数の局所的電圧を検出するシステムについて記載している。このシステムには、細長い管状部材と、近位部分、遠位部分、及びそれらの間に内側部分を有する複数の可撓性スプラインと、そのスプラインの近位部分をしっかりと固定するためのアンカーと、そのスプラインの遠位部分をしっかりと固定するための非外傷性先端と、第1の開放端と第2の開放端との間に開放ルーメンを規定する、対向する第1の開放端及び第2の開放端、並びに内側部材表面及び外側部材表面を含むポリマー部材と、が含まれる。
【0004】
米国特許第5,722,401号(この開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、近位末端及び遠位末端を有する可撓性の細長い管状部材からなるカテーテルプローブについて記載している。収縮位置から拡張位置へと動くことができる拡張可能アセンブリが、この可撓性の細長い管状部材の遠位末端に固定され、かつ、収縮位置と拡張位置との間で動くことができる少なくとも2つの細長い部材から形成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で説明する本発明の一実施形態は、三次元(3D)に形成された可撓性基材を含む位置センサを提供する。少なくとも第1及び第2の磁界検出コイルが、この可撓性基材の第1及び第2の層内にそれぞれ形成されており、これによって、3D形状において、第1及び第2の磁界検出コイルが、互いに平行ではない第1及び第2の軸をそれぞれ有する。
【0006】
いくつかの実施形態において、この可撓性基材は、可撓性回路基板を含む。他の実施形態において、この3D形状は、円筒形状を含む。更に他の実施形態において、この位置センサは第3の磁界検出コイルを含み、これは、3D形状において、第1及び第2の軸のいずれとも平行ではない第3の軸を有する。一実施形態において、この第3の磁界検出コイルは、この可撓性基材の第3の層上に形成される。
【0007】
別の実施形態において、この第1及び第2の層は、互いに電気的に絶縁されている。更に別の実施形態において、この3D形状において、第1及び第2の軸は互いに直交している。いくつかの実施形態において、この位置センサは、可撓性基材の表面上に形成された1つ又は2つ以上の電極を含む。他の実施形態において、この第1及び第2のコイルは、異なるそれぞれの向きを有する磁界のそれぞれの成分を検出し、かつこの磁界の検出された成分を示す対応する電気信号を生成するように構成されている。更に他の実施形態において、この位置センサは、可撓性基材に連結されるか又は可撓性基材に隣接する強磁性エレメントを含み、この強磁性エレメントは、検出された成分のうち少なくとも1つを増幅するように構成されている。
【0008】
本発明の一実施形態により、位置センサを製造する方法が更に提供される。この方法は、可撓性基材の第1及び第2の層内にそれぞれ、少なくとも第1及び第2の磁界検出コイルを形成することを含み、これによって、この基材が三次元(3D)形状に形成されたとき、第1及び第2の磁界検出コイルが、互いに平行ではない第1及び第2の軸をそれぞれ有する。この可撓性基材は3D形状に形成される。
【0009】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による、カテーテル追跡システムの概略絵画図である。
図2A】本発明の一実施形態による、折り畳まれていない位置での、可撓性基材の概略的な絵画図であり、この可撓性基材から位置センサが作製される。
図2B】本発明の一実施形態による、折り畳まれた位置での位置センサの概略的な絵画図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
概要
カテーテルなどの医療機器は、例えば心臓電気生理学的(EP)マッピング及びアブレーションなどの様々な治療手技及び診断医療手技で使用される。カテーテルの遠位端は、1つ又は2つ以上の位置センサを備えてもよい。位置センサは、複数の(例えば、3つの)コイルを備えてよく、これらは、互いに直交配置され、かつ互いに同心に配置され、共通の形状に巻かれ、この遠位端に装着されている。しかしながらそのようなコイルの製造は、3つのコイルを機械的に巻き付けるため、比較的高価である。更に、そのようなコイル構造は、カテーテル内の貴重なスペースを占めることになる。
【0012】
下記に説明される本発明の実施形態は、例えば医療用プローブのための三軸センサ(TAS)などの位置センサを製造するための改善された方法を提供し、この方法は上記の制限を克服する。いくつかの実施形態において、位置センサは多層可撓性基材を含み、これは、所与の三次元(3D)形状(例えば円筒形状)に形成(例えば折り畳む又は巻く)されるよう構成される。この位置センサは更に、互いに電気的に絶縁され、可撓性基材の3つのそれぞれの層に形成された、3つの磁界検出コイルを含む。基材が所与の形状(例えば円筒形)に形成されたとき、3つの検出コイルの軸が、互いに実質的に直交する。
【0013】
いくつかの実施形態において、円筒形状に形成された基材が、カテーテルの遠位端に適合する全体的直径を有する。一実施形態において、この円筒形状は中空であるため、この円筒形状の中心に、電気伝導体又は管を通すことが可能である。更に、この円筒形状は、カテーテルの遠位端を機械的に補強するための構造的構成要素としての役目も果たし得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、検出コイルはそれぞれ、特定の向きの磁界を検出し、かつ検出されたそれぞれの磁界を示す対応する電気信号を生成するように構成されている。この電気信号は、患者の体内でカテーテル遠位端の位置及び向きを推定するために使用することができる。一実施形態において、この位置センサは更に、可撓性基材上に配設された、又は基材に近接して配設された、強磁性エレメントを含んでよく、これによって、コイルにより検出される磁界強度を増加させることにより、位置センサの感度を高めることができる。
【0015】
開示される技法により、遠位端内に占める体積を実質的に低減し、かつコイルを機械的に巻き付ける必要性をなくして、それに伴う生産コストを低減することができるような、複数のコイルを有する位置センサを製造することが可能になる。更に、開示される技法を使用することにより、位置センサの形状をカスタマイズすることが可能になり、これにより、センサに割当てられたスペースを、カテーテルの遠位端内に適合させることができる。
【0016】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、カテーテル追跡システム20の概略絵画図である。システム20は、本実施例では心臓カテーテルであるプローブ22と、制御コンソール24と、を含む。本明細書に記載する実施形態では、カテーテル22は、心臓26内の組織のアブレーション、及び、例えば心臓不整脈など、心臓の機能不全を診断するための心電信号のマッピングなど、任意の好適な治療及び/又は診断目的に使用されてもよい。
【0017】
コンソール24は、カテーテル22からの信号を受信するため及び本明細書に記載のシステム20の他の構成要素を制御するための好適なフロントエンド及びインターフェース回路を有する、典型的には汎用コンピュータであるプロセッサ39を備える。プロセッサ39は、システムが使用する機能を実行するためにソフトウェアでプログラムされてもよく、プロセッサはソフトウェアのためのデータをメモリ38に保存する。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態でコンソール24にダウンロードするか、又は光学的、磁気的、若しくは電子的記憶媒体など、一時的でない有形の媒体上に提供されてもよい。あるいは、プロセッサ39の機能のうちの一部又は全てが、専用の又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素によって実行されてもよい。
【0018】
オペレータ30(介入する心臓専門医など)は、テーブル29に横たわる患者28の脈管系を通して、カテーテル22を挿入する。カテーテル22は、挿入図23に示されるように、挿入管と、1つ又は2つ以上の位置センサ50を備える遠位端アセンブリ40とを含む。オペレータ30は、挿入図21に示されるように、カテーテルの近位端付近にあるマニピュレータ32を用いてカテーテル22を操作することによって、カテーテル22のアセンブリ40を心臓26の標的領域の近傍で動かす。カテーテル22の近位端は、プロセッサ39のインターフェース回路に接続されている。
【0019】
心臓腔内における遠位端アセンブリの位置は、一般的に、カテーテル追跡システム20の磁気位置検知によって測定される。この場合、コンソール24は駆動回路34を備え、この駆動回路34は、テーブル29に横たわる患者28の体外における既知の位置、例えば患者の胴体の下に位置する磁界発生器36を駆動する。
【0020】
次に、挿入図23を参照する。遠位端アセンブリ40は典型的に、1つ又は2つ以上の位置センサ50と、例えば、1つ又は2つ以上のマッピング電極(図示なし)とを含む。遠位端アセンブリを心臓の内面に接触させるとき、マッピング電極は、検出された電位に反応して、電位勾配信号を生成し、位置センサ50は、検出された外部の磁界に反応して、位置信号を生成し、これによって、プロセッサ39が、心臓腔内部の位置の関数として、電位をマッピングすることが可能になる。
【0021】
アセンブリ40内の複数の位置センサ及びマッピング電極は、カテーテル近位端においてプロセッサ39のインターフェース回路に接続されている。オペレータ30は、ユーザディスプレイ31上の心臓26の画像33で、アセンブリ40の位置を見ることができる。
【0022】
この位置検知方法は、例えば、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,Calif.)が製造するCARTO(商標)システムにおいて実行されており、その詳細は、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、PCT特許公開96/05768、並びに米国特許出願公開第2002/0065455A1号、同第2003/0120150A1号及び同第2004/0068178A1号に開示されており、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
三次元(3D)形状に形成された可撓性基材上に配設された位置センサ
図2Aは、本発明の一実施形態による、可撓性基材の概略的な絵画図であり、この可撓性基材から位置センサ50が作製される。この基材を円筒形状に形成することにより形成された位置センサが、以下の図2Bに示されている。図2Aの上側は上面図を示し、図2Aの下側は側断面図を示し、この基材内に形成された層の構造を表わしている。
【0024】
いくつかの実施形態において、この基材は、Kapton(登録商標)又はその他の任意の好適な材料から作製される可撓性回路基板52を含む。いくつかの実施形態において、1つ又は2つ以上のコイル(例えばコイル54、56及び58)は、基板52の層の上又は内部に形成される。コイル54、56及び58は、銅などの導電性材料から作製され、当該技術分野において周知の任意の好適な製造技法を用いて基板52上に形成される。
【0025】
図2Aの断面図に示すように、コイル54は基板52の上表面上に形成され、コイル56は基板52の内部層内に埋め込まれ、コイル58は基板52の下表面上に形成され、この下表面は、基板を巻いた後に組織に面する、基板52の外表面である。この配列において、コイル54、56及び58は、好適な絶縁層により互いに電気的に絶縁されている。
【0026】
一実施形態において、コイル54、56はそれぞれ、実質的に対称的な形状を有する。図2Aの例において、コイル54及び56はそれぞれ、長方形の閉じたループ形状を有するが、別法として、他の任意の好適な形状を有してもよい。一実施形態において、コイル58は、基板52に沿って端から端まで通るストライプを含む。いくつかの実施形態において、コイル54、56、及び58はそれぞれ、基板52上に印刷されている電気回路トレース(図示なし)を介してカテーテル22に電気接続されている。
【0027】
図2Bは、本発明の一実施形態による、折り畳まれた位置での位置センサ50の概略描写図である。いくつかの実施形態において、折り畳まれた基板52において、それぞれのコイル54、56及び58の軸V1、V2及びV3は、互いに実質的に直交している。上記の図2Aに示されているように、コイル54及び56は、基板52上で互いに対してある特定のずれを伴って形成される。このずれは、基板52が円筒形状に巻かれた後に、この2つのコイルが相互に直交する軸の向きになるように計算される。
【0028】
図2Bの例において、基板52は、直径2mm又は遠位端40に適合し得る他の任意の好適な寸法を有する、円筒形状を形成するよう巻かれる。一実施形態において、コイル58の左縁部と右縁部が互いに連結され、これによりコイル58も、円筒形の円周に沿った対称的ループを形成する。
【0029】
一実施形態において、円筒形状に形成された基板52は、遠位端40の壁を機械的に補強する構造的構成要素として使用することができる。いくつかの実施形態において、中空形状の円筒形により、円筒形状の中心に、電気伝導体、管又はその他の構成要素を通すことが可能になる。
【0030】
いくつかの実施形態において、発生器36により生じる磁界の存在下で、コイル54、56、及び58がそれぞれ異なる向き(軸V1、V2及びV3に応じて)で磁界を検出し、それぞれの検出した磁界を示すそれぞれの電気信号を発生させる。コイル54、56、及び58により生成された電気信号は、アセンブリ40を介してプロセッサ39へと伝達され、このプロセッサは、電気信号に基づいて心臓26内のアセンブリ40の位置を推定するように構成されている。
【0031】
いくつかの実施形態において、センサ50は更に、コイル54、56、及び58に近接して、遠位端40に位置する強磁性エレメント(図示なし)を含み得る。この強磁性エレメントは、コイル54、56、及び58により検出された磁界を増幅するように構成され、これによって、発生器36により生成される磁界に対するセンサ50の感度を高める。
【0032】
一実施形態において、強磁性エレメントは、例えば別個の層として、基板52上に形成され得る。別の実施形態において、強磁性エレメントは、基板52に近接して配設することができ、例えば、基板52の円筒形状内のスペースの中央(例えば、図2Bにおける軸V1、V2、及びV3の交差点)に配設することができる。強磁性エレメントの遠位端40内の寸法、形状、位置、及び磁気特性によって、センサ52の感度と、及び検出された磁界を示す電気信号を生成するのに形成されるべきコイルの数とを、決定することができる。
【0033】
一実施形態において、センサ50は更に、例えばアブレーション電極又は電極電位(EP)センサなどの1つ又は2つ以上の電極(図示なし)を含み得、これらは、基板を巻いた後に組織に面する基板52の外表面に形成される。一実施形態において、この電極は、基板52上に印刷されている電気回路トレース(図示なし)を介してカテーテル22に電気接続され得る。
【0034】
一実施形態において、基板52の円筒形状は、図の直交軸V1、V2及びV3により示されるように、互いに実質的に直交するコイル54、56、及び58を形成することにより三軸センサ(TAS)を形成する。
【0035】
他の実施形態において、センサ50は2つのみのコイル(図示なし)を含み得る。例えば、コイル54は基板52の上表面上に形成され得、コイル56は、基板を巻いた後に組織に面する基板52の外表面上に形成され得、コイル58は省略される。この実施形態において、基板52を円筒形状に形成することによって、センサ50は二軸センサとなる。一実施形態において、コイル58は別個の金属ストライプ(例えば、別個の可撓性基板(図示なし))の上に形成することができ、これを円筒形状に形成し、任意の好適な構成で、基板52に連結する(例えば、外側に巻き付ける、又は内側に貼り付ける)。この配列において、コイル54、56、及び58は更にカテーテル22に接続され(例えば、上述の図2Aで記述されたように電気回路トレースを使用して)、これによって、図2Bに示す構成と実質的に同様の機能を有するTASを実現することができる。一実施形態において、コイル58に加えて、1つ又は2つ以上の電極(例えばアブレーション電極又は電極電位(EP)センサなど)を、別個の可撓性基板上に形成することができる。
【0036】
図2A及び2Bに示されている、コイル54、56、及び58の構成と、折り畳んだ基板52の円筒形状とは、単に例示のために示されているものである。代替的実施形態において、センサ50は、任意の好適な形状及び配置を有する任意の好適な数のコイルを含み得、これにより、基板52を任意の好適な形状に折り畳むことができ、よって、コイルの軸を、互いに平行ではない任意の角度に配置することができる。
【0037】
上に述べた実施形態は例として挙げたものであり、本発明は上記に具体的に示し、説明したものに限定されない点が理解されよう。むしろ本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組み合わせ及びその一部の組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者により想到されるであろう、従来技術において開示されていない変形及び修正を含むものである。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0038】
〔実施の態様〕
(1) 位置センサであって、
三次元(3D)形状に形成される可撓性基材と、
前記可撓性基材の第1及び第2の層内にそれぞれ形成された、少なくとも第1及び第2の磁界検出コイルであって、これによって、前記3D形状において、前記第1及び第2の磁界検出コイルは、互いに平行ではない第1及び第2の軸をそれぞれ有する、少なくとも第1及び第2の磁界検出コイルと、
を含む、位置センサ。
(2) 前記可撓性基材が可撓性回路基板を含む、実施態様1に記載の位置センサ。
(3) 前記3D形状が円筒形状を含む、実施態様1に記載の位置センサ。
(4) 第3の磁界検出コイルを含み、前記3D形状において、前記第3の検出コイルは、前記第1及び第2の軸のいずれとも平行ではない第3の軸を有する、実施態様1に記載の位置センサ。
(5) 前記第3の磁界検出コイルが、前記可撓性基材の第3の層上に形成されている、実施態様4に記載の位置センサ。
【0039】
(6) 前記第1及び第2の層が、互いに電気的に絶縁されている、実施態様1に記載の位置センサ。
(7) 前記3D形状において、前記第1及び第2の軸が互いに直交している、実施態様1に記載の位置センサ。
(8) 前記可撓性基材の表面上に形成された1つ又は2つ以上の電極を含む、実施態様1に記載の位置センサ。
(9) 前記第1及び第2のコイルが、異なるそれぞれの向きを有する磁界のそれぞれの成分を検出し、かつ前記磁界の前記検出された成分を示す対応する電気信号を生成するように構成されている、実施態様1に記載の位置センサ。
(10) 前記可撓性基材に連結されるか又は前記可撓性基材に隣接する強磁性エレメントを含み、前記強磁性エレメントは、前記検出された成分のうちの少なくとも1つを増幅するように構成されている、実施態様9に記載の位置センサ。
【0040】
(11) 位置センサを製造する方法であって、
可撓性基材の第1及び第2の層内にそれぞれ、少なくとも第1及び第2の磁界検出コイルを形成することであって、これによって、前記基材が三次元(3D)形状に形成されたとき、前記第1及び第2の磁界検出コイルは、互いに平行ではない第1及び第2の軸をそれぞれ有する、ことと、
前記可撓性基材を前記3D形状に形成することと、
を含む、方法。
(12) 前記可撓性基材が可撓性回路基板を含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記基材を前記3D形状に形成することが、前記基材を円筒形状に巻くことを含む、実施態様11に記載の方法。
(14) 第3の磁界検出コイルを形成することを含み、前記3D形状において、前記第3の検出コイルは、前記第1及び第2の軸のいずれとも平行ではない第3の軸を有する、実施態様11に記載の方法。
(15) 前記第3の磁界検出コイルを形成することが、前記可撓性基材の第3の層上に前記第3の磁界検出コイルを形成することを含む、実施態様14に記載の方法。
【0041】
(16) 前記少なくとも第1及び第2の磁界検出コイルを形成することが、前記第1及び第2の磁界検出コイルを互いに電気的に絶縁させることを含む、実施態様11に記載の方法。
(17) 前記可撓性基材を前記3D形状に形成することが、前記第1及び第2の軸を互いに直交するように配置することを含む、実施態様11に記載の方法。
(18) 前記可撓性基材の表面上に1つ又は2つ以上の電極を形成することを含む、実施態様11に記載の方法。
(19) 前記可撓性基材に連結されるか又は前記可撓性基材に隣接する、強磁性エレメントを配設することを含む、実施態様11に記載の方法。
図1
図2A
図2B
【外国語明細書】