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2022-183356操作されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチド
<図1-1>
  • -操作されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチド 図1-1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183356
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】操作されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/60 20060101AFI20221201BHJP
   C12N 9/88 20060101ALI20221201BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20221201BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20221201BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20221201BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20221201BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20221201BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20221201BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20221201BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221201BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20221201BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20221201BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221201BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221201BHJP
   A61K 9/28 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
C12N15/60
C12N9/88 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/21
C12N15/31
A61K38/02
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/06
A61K9/08
A61K9/107
A61P13/02
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K9/28
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022169038
(22)【出願日】2022-10-21
(62)【分割の表示】P 2020138454の分割
【原出願日】2014-04-17
(31)【優先権主張番号】61/813,586
(32)【優先日】2013-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/897,932
(32)【優先日】2013-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502427921
【氏名又は名称】コデクシス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャルト ダブリュー. ユイスマン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ジェイ. アガード
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン ミジツ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ブルーム
(72)【発明者】
【氏名】シユン ザン
(57)【要約】
【課題】操作されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)ポリペプチドおよびその組成物ならびに操作されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供すること。
【解決手段】一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、増強された触媒活性と共に、タンパク質分解に対する低下した感受性および酸性pHレベルに対する増加した耐性をもたらすよう最適化される。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、脱免疫化されている。本発明は、治療および産業目的のための、操作されたPALポリペプチドを含む組成物の使用にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の組成物等。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2013年4月18日に出願された米国仮特許出願第61/813,586号、および2013年10月31日に出願された米国仮特許出願第61/897,932号に基づく優先権を主張し、その両方は、すべての目的についてその全体が参照によって組み込まれる。
【0002】
ASCIIテキストファイルとして提出された「配列表」、表またはコンピュータプログラム表付録の参照
2014年4月15日に作成された、127,412バイト、マシンフォーマットIBM-PC、MS-ウィンドウズ(登録商標)オペレーティングシステムの、ファイルCX7-131WO2_ST25.TXTにおいて書き出された配列表は、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、操作されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)ポリペプチドおよびその組成物ならびに操作されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、増強された触媒活性と共に、タンパク質分解に対する低下した感受性および酸性pHレベルに対する増加した耐性をもたらすよう最適化される。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、脱免疫化(deimmunized)されている。本発明は、治療および産業目的のための、操作されたPALポリペプチドを含む組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)は、ヒスチジンアンモニアリアーゼ(HAL)およびチロシンアンモニアリアーゼ(TAL)と共に、芳香族アミノ酸リアーゼファミリーのメンバーである(EC4.3.1.23~1.25および4.3.1.3)。より詳細には、PAL活性を有する酵素(EC4.3.1.23~1.25および以前に分類されたEC4.3.1.5)は、L-フェニルアラニンの非酸化的脱アミノ化を触媒して(E)-桂皮酸とする。PALは、植物に広く分布した非哺乳動物酵素であり、真菌および限られた数の細菌においても同定された。PAL酵素は、代謝性障害、フェニルケトン尿症(PKU)の処置のための治療タンパク質として使用することができる。PKUは、肝酵素フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)、または補助因子テトラヒドロビオプテリンの合成もしくは再利用に関与する酵素のうち1種もしくは複数が、相当する遺伝子のうち1種における突然変異のため非機能性となった常染色体代謝性遺伝障害である。このような機能性の欠如は、血流における高レベルのフェニルアラニンをもたらす。フェニルアラニンは、フェニルピルビン酸塩(フェニルケトン)および他の誘導体に変換される。ヒトにおいて、PKUが早期に処置されないと、高レベルのフェニルアラニンおよびその分解産物の一部が、知的障害、小頭症および発作を含む顕著な医学的問題を引き起こし得る。多数の研究が、酵素置換によるPKUの処置におけるPALの使用に着目してきた(Ambrusら、Science 201巻:837~839頁[1978年];Bourgetら、Appl. Biochem. Biotechnol.、10巻:57~59頁[1984年];およびSarkissianら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96巻:2339~2344頁[1999年])。
【0004】
血流中のフェニルアラニンを解毒する一方法は、注射用組換えPALおよびペグ化によって修飾されたPALバリアント(PEG-PAL)の使用である。ペグ化は、酵素半減期を改善し、対象の抗原応答を低下させることが示されてきた(例えば、WO2008/153776、WO2011/097335および米国特許第7,531,341号を参照)。PEG-PAL組成物において有用なPALバリアントは、野生型Nostoc punctiforme(NpPAL);Anabaena variabilis(AvPAL)およびRhodosporidium toruloides(RtPAL)のバリアントとして記載されてきた。特に、位置64、318、503および565におけるシステイン残基がセリンに置換された、野生型AvPALのバリアントが記載されてきた(例えば、米国特許第7,790,433号;同第7,560,263号;および同第7,537,923号を参照)。
【0005】
PKU対象におけるL-フェニルアラニンの血漿中濃度を低下させる手段としてのPAL投与の代替的経路は、経口製剤等、非観血的製剤である(Sarkissianら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96巻:2339~2344頁[1999年])。PALの経口送達の重要な利点は、酵素が免疫系へと曝露されるのを低下し、これにより、注射用PEG-PALに観察される免疫応答を最小化することである。しかし、PALの経口製剤に関する主な制限は、胃および腸管腔における酵素活性の損失である。有効かつ機能的となるために、PALは、タンパク質性の食物を正常に分解してオリゴペプチドおよびアミノ酸とする、酸性pHならびにトリプシン、キモトリプシン、カルボキシペプチダーゼおよびペプシン等のプロテアーゼによる分解に抵抗しなければならない。いくつかの以前の研究(Sarkissian、上記参照)において、一部にはプロテアーゼによる酵素分解が原因で、また一部にはpH7.0における相対的に低い特異的活性が原因で、PALの経口投与の有意な効果を達成するためには、大量の酵素が必要とされた。消化によるPAL分解を抑制するために様々な手段が模索された(Kimら、Molec. Therap.、10巻:220~224頁[2004年];および Shahら、Int. J. Pharmaceut.、356巻:61~68頁
[2008年])。
【0006】
消化管の過酷な条件下においてPALの有効性を増加させるための一アプローチは、固有の過酷な条件に耐容性を示す操作されたPALポリペプチドを提供することである。Kangらは、AvPALのキモトリプシン切断部位の部位特異的突然変異誘発および表面リシンのペグ化を使用して、タンパク質分解不活性化を低下させた(Kangら、Mol. Gen. Metabol.、99巻:4~9頁[2010年]を参照)。これらの研究において、10個の切断部位を特異的に突然変異させ、これらの得られた突然変異体のうち2個(F18AおよびR94G)を除く全てが、本来の酵素活性の50%超を失った。これらの突然変異体のうち、活性増加を示したものはなく、F18A突然変異体は、トリプシン抵抗性の僅かな増加を示した(Kangら、上記参照)。PALによるさらに別の研究は、有効ではあったが、一般に、より長寿命の酵素をもたらさなかった。したがって、以前に記載されたPAL突然変異体およびその誘導体の経口投与は、有効なPKU処置をもたらさない。
【0007】
PALの様々な製剤により為された進歩にもかかわらず、依然として、経口投与のために改善された特性を有するPALポリペプチドの必要がある。このような改善された特性は、より優れた半減期、増加した触媒活性、消化路における条件に対する改善された安定性および低下した凝集を限定することなく含む。
【0008】
治療適用に加えて、PAL酵素は、L-フェニルアラニンおよび他の置換されたL-フェニルアラニン誘導体の産業的合成において使用することもできる。続いて、このような誘導体は、医薬品前駆物質として使用することができる(Glogeら、Chem.、6巻:3386~3390頁[2000年];Bartschら、Prot. Eng. Des. Sel.、23巻:929~933頁[2010年];およびTurner、Curr. Opin. Chem. Biol.、234~240頁[2011年])。
PAL酵素は、農業適用において使用することもできる。PALは、植物、真菌および細菌におけるフェニルプロパノイド(フラボノイドおよびリグニン等)の生合成において顕著な役割を果たし、防御関連の酵素として作用することができる(Bateら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91巻:7608~7612頁[1994年])。PAL活性を有する組換えポリペプチドを使用することによるPAL活性のモジュレーションは、有効な除草剤をもたらす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2008/153776号
【特許文献2】国際公開第2011/097335号
【特許文献3】米国特許第7,531,341号明細書
【特許文献4】米国特許第7,790,433号明細書
【特許文献5】米国特許第7,560,263号明細書
【特許文献6】米国特許第7,537,923号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Ambrusら、Science 201巻:837~839頁[1978年]
【非特許文献2】Bourgetら、Appl. Biochem. Biotechnol.、10巻:57~59頁[1984年]
【非特許文献3】Sarkissianら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96巻:2339~2344頁[1999年]
【非特許文献4】Kimら、Molec. Therap.、10巻:220~224頁[2004年]
【非特許文献5】Shahら、Int. J. Pharmaceut.、356巻:61~68頁[2008年]
【非特許文献6】Kangら、Mol. Gen. Metabol.、99巻:4~9頁[2010年]
【非特許文献7】Glogeら、Chem.、6巻:3386~3390頁[2000年]
【非特許文献8】Bartschら、Prot. Eng. Des. Sel.、23巻:929~933頁[2010年]
【非特許文献9】Turner、Curr. Opin. Chem. Biol.、234~240頁[2011年]
【非特許文献10】Bateら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91巻:7608~7612頁[1994年]
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、操作されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)ポリペプチドおよびその組成物ならびに操作されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、増強された触媒活性と共に、タンパク質分解に対する低下した感受性および酸性pHレベルに対する増加した耐性をもたらすよう最適化される。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、脱免疫化されている。本発明は、また、治療および産業目的のための、操作されたPALポリペプチドを含む組成物の使用に関する。一部の実施形態において、本発明は、酸性pHに対する増加した耐性および/またはタンパク質分解に対する低下した感受性等、改善された特性を有する、操作されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)ポリペプチドならびにその生物学的活性を有する断片および類似体を対象とする。
【0012】
本発明は、基本的に同じ条件下で野生型PAL酵素または参照PALポリペプチドと比較した場合に改善された特性を有する、操作されたPALポリペプチドならびにその生物学的活性を有する断片および類似体を対象とする。本発明は、治療的および/または産業的組成物ならびに治療および/または産業目的で斯かる組成物を使用する方法において、操作されたPALポリペプチドならびにその生物学的活性を有する断片および類似体を使用する方法をさらに対象とする。
【0013】
第1の態様において、本発明は、操作されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)ポリペプチドであって、基本的に同じ条件下で測定された参照配列と比較して、i)増強された触媒活性、ii)タンパク質分解に対する低下した感受性、iii)酸性pHに対する増加した耐性、iv)低下した凝集、またはi)、ii)、iii)もしくはiv)のいずれかの組合せの群から選択される改善された特性を有する操作されたPALポリペプチドを提供する。一部の特異的な実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、2種の改善された特性を有する。他の特異的な実施形態において、改善された特性は、タンパク質分解に対する低下した感受性であり、さらに他の特異的な実施形態において、改善された特性は、酸性pHに対する増加した耐性である。
【0014】
第2の態様において、操作されたPALポリペプチドは、配列番号4またはその機能的断片に対し少なくとも85%のアミノ酸配列の同一性を含むタンパク質を含み、配列番号4のポリペプチドと最適に整列された場合、位置X39;X91;X158;X180;X195;X243;X245;X256;X257;X270;X290;X307;X308;X326;X349;X364;X394;X399;X400;X404;X407;X443;X453;X459;X460;X463;X474;X522;X524;およびX528に相当する位置にアミノ酸残基の差異を含む。
【0015】
第1および第2の態様の一部の特異的な実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、配列番号4のポリペプチドと最適に整列された場合、A39;A91;Y158;S180;K195;T243;I245;A256;L257;N270;N290;H307;E308;I326;L349;L364;A394;S399;N400;P404;L407;F443;N453;Y459;T460;T463;N474;K522;T524;およびP528に相当する1個または複数のアミノ酸残基位置のアミノ酸残基の差異を少なくとも含む。一部の特異的な実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を含む参照ポリペプチドから、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15および少なくとも20個のアミノ酸残基の差異を含む。
【0016】
第1および第2の態様の他の特異的な実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、配列番号4に対し少なくとも90%(少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%および99%)のアミノ酸配列の同一性を含む。またさらなる特異的な実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、配列番号4に対し少なくとも90%(少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%および99%)のアミノ酸配列の同一性を含み、次の置換A39V;A91V;Y158H;S180A;K195E;T243I/L;I245L;A256G;L257W/A;N270K;N290G;H307G/Q/M;E308Q;I326F;L349M;L364Q;A394V;S399N;N400K;P404A;L407V;F443H;N453G;Y459F;T460G;T463N;N474Q;K522Y/F/N;T524S;およびP528Lのうち1種または複数を含む。
【0017】
他の特異的な実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、野生型Anabaena variabilis PAL(ATCC29413;NCBIタンパク質参照配列YP_324488.1;配列番号4等)に由来する。
【0018】
第3の態様において、本発明に包含されるフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、配列番号10またはその機能的断片に対し少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0019】
第4の態様において、本発明に包含されるフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、配列番号10またはその機能的断片に対し少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、1、2、3、4、5もしくは6個またはそれを超えるアミノ酸位置に、配列番号10と比較したアミノ酸残基の差異をさらに含む。
【0020】
第5の態様において、本発明は、本明細書に記載されている操作されたPALポリペプチドのうちいずれか1種をコードするポリヌクレオチド配列を提供する。
【0021】
第6の態様において、本発明は、本明細書に記載されている操作されたPALポリペプチドのうちいずれか1種を含む医薬組成物または産業的組成物を提供する。
【0022】
一部の実施形態において、本発明は、a)参照配列の配列番号4またはその機能的断片に対し少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列;b)1個または複数のアミノ酸位置に、配列番号4またはその機能的断片と比較したアミノ酸残基の差異を含み、c)参照配列と比較して、i)増強された触媒活性、ii)タンパク質分解に対する低下した感受性、iii)酸性pHに対する増加した耐性、iv)低下した凝集、またはi)、ii)、iii)もしくはiv)のいずれかの組合せから選択される改善された特性を示す、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドを提供する。一部の実施形態において、1個または複数のアミノ酸位置は、配列番号4のアミノ酸配列と最適に整列された場合、X39;X54;X59;X73;X91;X158;X112、X134、X180;X195;X240;X243;X245;X256;X257;X270;X290;X304、X305;X307;X308;X326;X349;X353;X364;X394;X399;X400;X404;X407;X443;X453;X459;X460;X463;X474;X509;X521;X522;X524;X528;X546;X564;および/またはこれらの組合せから選択される。一部の追加的な実施形態において、改善された特性は、タンパク質分解に対する低下した感受性および/または酸性pHに対する増加した耐性から選択される。さらに追加的な実施形態において、参照配列は、Anabaena variabilisに由来する野生型PALである。一部のさらなる実施形態において、配列番号4の参照配列のアミノ酸残基は、A39;T54;G59、S73;A91;Y158;S180;K195;A112;R134;Q240;T243;I245;A256;L257;N270;N290;Y304;R305;H307;E308;I326;L349;D353;L364;A394;S399;N400;P404;L407;F443;N453;Y459;T460;T463;N474;E509;Q521;K522;T524;P528;S546;および/またはP564に相当する。一部の実施形態において、配列番号4と比較したアミノ酸残基の差異は、配列番号4のポリペプチドと最適に整列された場合、次の置換A39V;T54K;G59R;S73K;A112C;R134Q;A91V;Y158H;S180A;K195E;Q240R/W;T243I/L;I245L;A256G;L257W/A;N270K;N290G;Y304H;R305M;H307G/Q/M;E308Q;I326F;L349M;D353A/N;L364Q;A394V;S399N;N400K;P404A;L407V;F443H;N453G;Y459F;T460G;T463N;N474Q;E509L;Q521K/S;K522Y/F/N;T524S;P528L;S546R;およびP564G/L/Mのうち1種または複数から選択される。一部のさらなる実施形態において、操作されたポリペプチドは、参照配列の配列番号4に対し、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%の配列同一性を有する。一部のさらなる実施形態において、操作されたポリペプチドは、参照配列の配列番号4に対し、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有する。一部の追加的な実施形態において、操作されたポリペプチドは、参照配列の配列番号4に対し少なくとも約90%の配列同一性を有する。一部の追加的な実施形態において、操作されたポリペプチドは、参照配列の配列番号4に対し少なくとも約95%の配列同一性を有する。一部のさらなる実施形態において、操作されたポリペプチドは、配列番号4に対し少なくとも約90%の配列同一性を有し;位置H307にアミノ酸残基の差異を有する。一部のさらなる実施形態において、操作されたポリペプチドは、参照配列の配列番号4に対し少なくとも90%の配列同一性を有する。一部の追加的な実施形態において、操作されたポリペプチドは、参照配列の配列番号4に対し少なくとも95%の配列同一性を有する。一部のさらなる実施形態において、操作されたポリペプチドは、配列番号4に対し少なくとも90%の配列同一性を有し;位置H307にアミノ酸残基の差異を有する。一部の追加的な実施形態において、アミノ酸残基の差異は、H307G/Q/Mである。一部のさらなる実施形態において、アミノ酸残基の差異は、A39;A91;Q240;A256;N290;Y304;R305;H307;D353;A394;S399;P404;L407;Q521;K522;およびT524のうち1種または複数の組合せから選択される。
【0023】
本発明は、配列番号6、8、10、12および/または14、またはこれらの機能的断片に対し、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または少なくとも約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドも提供する。一部の実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、配列番号6、8、10、12および/または14、またはこれらの機能的断片に対し少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0024】
一部のさらなる実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、配列番号6、8、10、12および/または14、またはこれらの機能的断片に対し少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0025】
本発明は、配列番号6、8、10、12および/または14、またはこれらの機能的断片に対し、少なくとも約少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドも提供する。一部の実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、配列番号6、8、10、12および/または14、またはこれらの機能的断片に対し少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部のさらなる実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、配列番号6、8、10、12および/または14、またはこれらの機能的断片に対し少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、配列番号6、8、10、12および/または14、またはこれらの機能的断片に対し少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部のさらなる実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、配列番号6、8、10、12および/または14、またはこれらの機能的断片に対し少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0026】
本発明は、配列番号4またはその機能的断片に対し、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または少なくとも約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドであって、脱免疫化された操作されたポリペプチドも提供する。本発明は、配列番号4またはその機能的断片に対し、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドであって、脱免疫化された操作されたポリペプチドも提供する。一部の実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、配列番号4またはその機能的断片に対し少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記操作されたポリペプチドは、脱免疫化されている。一部の追加的な実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、表9-1から9-7のいずれかに提示されているバリアントPALである。一部の実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する、脱免疫化された操作されたポリペプチドは、配列番号6、8、10、12および/または14に対し少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0027】
本発明は、本明細書に提示されているPAL活性を有する操作されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列も提供する。一部の実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、制御配列に作動可能に連結されている。本発明は、PAL活性を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドをコードする、少なくとも1種のポリヌクレオチド配列を含むベクターをさらに提供する。本発明は、本明細書に提示されている、PAL活性を有する操作されたポリペプチドをコードする少なくとも1種のポリヌクレオチド配列により形質転換された宿主細胞も提供する。
【0028】
本発明は、宿主細胞において操作されたPALポリペプチドを産生する方法であって、適した培養条件下で、少なくとも1種の操作されたPALポリペプチドをコードする少なくとも1種のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培養するステップを含む方法をさらに提供する。本発明は、宿主細胞において操作されたPALポリペプチドを産生する方法であって、適した培養条件下で、操作されたPALポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培養するステップを含む方法をさらに提供する。一部の実施形態において、本方法は、培養物および/または宿主細胞から操作されたPALポリペプチドを回収するステップをさらに含む。
【0029】
本発明は、本明細書に提示されている、PAL活性を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドを含む組成物も提供する。一部の実施形態において、本組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む医薬組成物である。本発明は、このような組成物の使用をさらに提供する。
【0030】
本発明は、a)フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する参照配列またはその機能的断片に対し、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列;b)1個または複数のアミノ酸位置に、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する参照配列またはその機能的断片と比較して少なくとも1個のアミノ酸残基の差異を含むポリペプチド配列を含み、c)フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する参照配列と比較して、i)増強された触媒活性、ii)タンパク質分解に対する低下した感受性、iii)酸性pHに対する増加した耐性、iv)低下した凝集、v)低下した免疫原性、またはi)、ii)、iii)、iv)もしくはv)のいずれかの組合せから選択される改善された特性を示す、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドも提供する。一部の実施形態において、参照配列は、原核生物のPALであるが、一部の他の実施形態において、参照配列は、真核生物のPALである。一部の実施形態において、参照配列は、細菌のPAL(例えば、Anabaena variabilisのPAL)であるが、一部の他の実施形態において、これは、ヒトまたは他のPALである。一部のさらなる実施形態において、参照配列は、野生型配列(例えば、野生型A.variabilisのPAL)であるが、一部の代替的実施形態において、参照配列は、バリアント酵素(例えば、PAL活性を有する操作されたポリペプチド)である。
【0031】
一部の実施形態において、本発明のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、a)参照配列の配列番号4またはその機能的断片に対し、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列;b)1個または複数のアミノ酸位置に、配列番号4またはその機能的断片と比較して少なくとも1個のアミノ酸残基の差異を含むポリペプチド配列を含み、c)参照配列の配列番号4と比較して、i)増強された触媒活性、ii)タンパク質分解に対する低下した感受性、iii)酸性pHに対する増加した耐性、iv)低下した凝集、v)低下した免疫原性、またはi)、ii)、iii)、iv)もしくはv)のいずれかの組合せから選択される改善された特性を示す。
【0032】
一部の追加的な実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、a)参照配列の配列番号4またはその機能的断片に対し、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列;b)1個または複数のアミノ酸位置に、配列番号4またはその機能的断片と比較して少なくとも1個のアミノ酸残基の差異を含むポリペプチド配列を含み、c)参照配列の配列番号4と比較して、i)増強された触媒活性、ii)タンパク質分解に対する低下した感受性、iii)酸性pHに対する増加した耐性、iv)低下した凝集、v)低下した免疫原性、またはi)、ii)、iii)、iv)もしくはv)のいずれかの組合せから選択される改善された特性を示す。
【0033】
一部の実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ活性(PAL)を有する操作されたポリペプチドは、次のアミノ酸位置:20、24、27、39、43、45、47、54、58、59、62、70、73、80、82、91、94、98、104、105、110、112、115、117、118、119、121、123、124、125、126、127、128、129、130、131、133、134、135、139、140、141、142、143、144、145、146、147、149、150、151、153、154、156、157、158、159、172、174、175、176、177、178、180、187、191、195、199、205、206、210、212、213、214、232、240、243、245、247、248、250、256、257、266、270、275、278、279、285、286、289、290、292、304、305、307、308、309、319、321、326、331、332、334、349、353、355、364、365、369、370、371、372、374、375、377、378、379、381、382、383、384、385、387、389、394、396、399、400、403、404、407、417、418、425、431、432、433、434、435、436、437、438、439、443、446、447、453、456、459、460、461、463、471、472、473、474、475、476、477、478、479、482、483、503、507、509、521、522、524、525、528、538、546、547、551、558、560、564、565および/またはこれらのいずれかの組合せのうち1種または複数に少なくとも1個の置換(複数可)を含み、アミノ酸位置は、配列番号4を参照して番号付けされている。一部の実施形態において、配列番号4の参照配列のアミノ酸残基は、A39、T54、G59、S73、A91、Y158、S180、K195、A112、R134、Q240、T243、I245、A256、L257、N270、N290、Y304、R305、H307、E308、I326、L349、D353、L364、A394、S399、N400、P404、L407、F443、N453、Y459、T460、T463、N474、E509、Q521、K522、T524、P528、S546、および/またはP564に相当する。一部の追加的な実施形態において、配列番号4と比較したアミノ酸残基の差異は、配列番号4のポリペプチドと最適に整列された場合、次の置換A39V、T54K、G59R、S73K、A112C、R134Q、A91V、Y158H、S180A、K195E、Q240R/W、T243I/L、I245L、A256G、L257W/A、N270K、N290G、Y304H、R305M、H307G/Q/M、E308Q、I326F、L349M、D353A/N、L364Q、A394V、S399N、N400K、P404A、L407V、F443H、N453G、Y459F、T460G、T463N、N474Q、E509L、Q521K/S、K522Y/F/N、T524S、P528L、S546R、およびP564G/L/Mのうち1種または複数から選択される。一部のさらなる実施形態において、操作されたポリペプチドは、配列番号4に対し少なくとも約90%の配列同一性を有し;位置H307にアミノ酸残基の差異を有する。一部の実施形態において、アミノ酸残基の差異は、H307G/Q/Mである。一部のまたさらなる実施形態において、アミノ酸残基の差異は、A39、A91、Q240、A256、N290、Y304、R305、H307、D353、A394、S399、P404、L407、Q521、K522およびT524のうち1種または複数の組合せから選択される。一部の追加的な実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ活性(PAL)を有する操作されたポリペプチドの改善された特性は、タンパク質分解に対する低下した感受性および/または酸性pHに対する増加した耐性から選択される。
【0034】
本発明は、a)参照配列の配列番号10またはその機能的断片に対し少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列;b)1個または複数のアミノ酸位置に、配列番号10またはその機能的断片と比較して少なくとも1個のアミノ酸残基の差異を含むポリペプチド配列を含み、c)参照配列の配列番号10と比較して、i)増強された触媒活性、ii)タンパク質分解に対する低下した感受性、iii)酸性pHに対する増加した耐性、iv)低下した凝集、v)低下した免疫原性、またはi)、ii)、iii)、iv)もしくはv)のいずれかの組合せから選択される改善された特性を示す、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドも提供する。
【0035】
一部の実施形態において、本発明は、a)参照配列の配列番号10またはその機能的断片に対し少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列;b)1個または複数のアミノ酸位置に、配列番号10またはその機能的断片と比較して少なくとも1個のアミノ酸残基の差異を含むポリペプチド配列を含み、c)参照配列の配列番号10と比較して、i)増強された触媒活性、ii)タンパク質分解に対する低下した感受性、iii)酸性pHに対する増加した耐性、iv)低下した凝集、v)低下した免疫原性、またはi)、ii)、iii)、iv)もしくはv)のいずれかの組合せから選択される改善された特性を示す、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドも提供する。
【0036】
一部の実施形態において、本発明は、a)参照配列の配列番号10またはその機能的断片に対し少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列;b)1個または複数のアミノ酸位置に、配列番号10またはその機能的断片と比較して少なくとも1個のアミノ酸残基の差異を含むポリペプチド配列を含み、c)参照配列の配列番号10と比較して、i)増強された触媒活性、ii)タンパク質分解に対する低下した感受性、iii)酸性pHに対する増加した耐性、iv)低下した凝集、v)低下した免疫原性、またはi)、ii)、iii)、iv)もしくはv)のいずれかの組合せから選択される改善された特性を示す、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドも提供する。
【0037】
一部の実施形態において、本発明は、参照配列の配列番号10に対し少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および配列番号10と比較して少なくとも1個のアミノ酸残基の差異を含み、配列番号10と比較して、増強された触媒活性、タンパク質分解に対する低下した感受性、酸性pHに対する増加した耐性、低下した凝集および/または低下した免疫原性から選択される少なくとも1種の改善された特性を示す、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドも提供する。
【0038】
一部の実施形態において、本発明は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドであって、配列番号10と比較したアミノ酸残基の差異が、次の置換または置換セット:
I27E/V39A; I27E/V39A/R43L/V105C/A153R/L214E/P266H/L278D/C503Q; I27E/V39A/R43L/L214E/A547D; I27E/V39A/V105C/A112C/R134Q/L214E/L278D/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/V105C/A112C/R134Q/A153R/Q205T/L214E/P266H/L278D/C503Q/A551D; I27E/V39A/V105C/A112C/Q205T/P210C/P266H/C503Q/A547D; I27E/V39A/V105C/A112C/Q205T/P266H/I285E/C503Q/A551D; I27E/V39A/V105C/A112C/L214E/I285E/C503Q/A547D; I27E/V39A/V105C/S131N/R134Q/Q205T/L214E/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/V105C/R134Q/A153R/P210C/L278D/I285E/C503Q/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/R134Q/Q205T/P210C/L278D/C503Q/A547D;
I27E/V39A/V105C/R134Q/Q205T/L214E; I27E/V39A/V105C/R134Q/Q205T/L214E/A551D/C565N; I27E/V39A/V105C/R134Q/Q205T/L278D/I285E/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/V39A/V105C/R134Q/P210C; I27E/V39A/V105C/R134Q/P210C/L214E; I27E/V39A/V105C/R134Q/P210C/L214E/I285E/A547D; I27E/V39A/V105C/R134Q/P210C/L214E/C503Q/A551D/C565N; I27E/V39A/V105C/R134Q/L214E/L278D/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/R134Q/L214E/I285E/C503Q/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/R134Q/P266H/C503Q; I27E/V39A/V105C/R134Q/P266H/C503Q/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/R134Q/L278D/C503Q/C565N; I27E/V39A/V105C/R134Q/L278D/I285E/C503Q; I27E/V39A/V105C/R134Q/L278D/A551D; I27E/V39A/V105C/R134Q/I285E/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/R134Q/C503Q/A551D; I27E/V39A/V105C/A153R/Q205T/L278D/C503Q/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/A153R/L214E; I27E/V39A/V105C/A153R/I285E; I27E/V39A/V105C/A153R/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/V105C/A153R/A551D/C565N; I27E/V39A/V105C/Q205T/P210C/L214E/L278D/A547D; I27E/V39A/V105C/Q205T/P210C/L278D/C503Q; I27E/V39A/V105C/Q205T/P210C/L278D/A547D; I27E/V39A/V105C/Q205T/L214E/L278D/C503Q/A547D; I27E/V39A/V105C/Q205T/L278D/C503Q/A547D; I27E/V39A/V105C/P210C/I285E/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/V39A/V105C/P210C/L214E/P266H/L278D; I27E/V39A/V105C/L214E/P266H/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/V105C/L214E/L278D/L309P/C503Q/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/L278D/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/V105C/I285E/A547D; I27E/V39A/V105C/C503Q/A551D; I27E/V39A/V105C/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/V39A/A112C/R134Q/Q205T/P210C/L214E/A551D/C565N; I27E/V39A/A112C/R134Q/L214E/P266H/A551D; I27E/V39A/A112C/R134Q/L214E/C503Q/A547D; I27E/V39A/A112C/R134Q/P266H/I285E; I27E/V39A/A112C/Q205T/L214E/P266H/C503Q/A551D/C565N; I27E/V39A/A112C/Q205T/L278D/I285E; I27E/V39A/A112C/L214E; I27E/V39A/A112C/L214E/L278D/C503Q/A547D/A551D; I27E/V39A/A112C/I285E; I27E/V39A/A112C/A547D; I27E/V39A/R134Q; I27E/V39A/R134Q/A153R/Q205T/L214E/P266H/C503Q; I27E/V39A/R134Q/A153R/P210C/L214E/L278D/I285E/A547D/C565N; I27E/V39A/R134Q/A153R/L214E/P266H/L278D/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/R134Q/A153G/L214E/P266H/I285E/C503Q/ A551D/ C565N; I27E/V39A/R134Q/A153R/L214E/C503Q/A547D; I27E/V39A/R134Q/A153R/L278D; I27E/V39A/R134Q/A153R/L278D/A547D/A551D; I27E/V39A/R134Q/A153R/A547D; I27E/V39A/R134Q/Q205T/L214E/P266H/I285E/C503Q/A551D/C565N; I27E/V39A/R134Q/Q205T/P266H/C503Q/A551D/C565N; I27E/V39A/R134Q/P210C/L214E/C503Q; I27E/V39A/R134Q/P210C/C503Q/A551D; I27E/V39A/R134Q/L214E/P266H/A551D; I27E/V39A/R134Q/L278D/I285E/C503Q/A547D/A551D; I27E/V39A/R134Q/L278D/C503Q/A547D; I27E/V39A/R134Q/C503Q/A547D; I27E/V39A/R134Q/A547D/C565N; I27E/V39A/Q205T/L214E/C503Q/C565N; I27E/V39A/Q205T/P266H/I285E/A547D/A551D/C565N; I27E/V39A/Q205T/P266H/A551D; I27E/V39A/Q205T/L278D/C503Q/A551D/C565N; I27E/V39A/Q205T/L278D/C503Q/C565N; I27E/V39A/Q205T/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/P210C/T212S; I27E/V39A/P210C/L214E/L278D/C503Q/A551D; I27E/V39A/P210C/L214E/I285E/C503Q/A551D; I27E/V39A/P210C/P266H/I285E/C503Q/A547D; I27E/V39A/P210C/P266H/C503Q/A551D; I27E/V39A/L214E; I27E/V39A/L214E/P266H/L278D/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/V39A/L214E/L278D/C503Q; I27E/V39A/L214E/L278D/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/L214E/C503Q/A551D; I27E/V39A/P266H; I27E/V39A/P266H/L278D; I27E/V39A/L278D; I27E/V39A/L278D/A547D; I27E/V39A/L278D/I285E/C503Q/A547D; I27E/V39A/L278D/C503Q/C565N; I27E/V39A/C503Q; I27E/G45D/Q205T/P266H/C565N; I27E/V105C; I27E/V105C/R134Q/A153R/P210C/L214E/C503Q/A547D; I27E/V105C/R134Q/A153R/I285E/A547D; I27E/V105C/R134Q/A153R/C503Q; I27E/V105C/R134Q/Q205T/P210C/C503Q; I27E/V105C/R134Q/Q205T/L214E/P266H/L278D/C503Q/C565N; I27E/V105C/Q205T/P266H/C503Q; I27E/V105C/R134Q/P210C/L214E/P266H/L278D/A551D/C565N; I27E/V105C/R134Q/P210C/L214E/C503Q/A551D/C565N; I27E/V105C/R134Q/P210C/P266H/L278D/I285E/C503Q/A551D/C565N; I27E/V105C/R134Q/L214E/L278D/C503Q/A547D; I27E/V105C/R134Q/L214E/L278D/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/V105C/Q205T; I27E/V105C/Q205T/L214E/P266H; I27E/V105C/Q205T/L214E/P266H/A551D/C565N; I27E/V105C/Q205T/L214E/L278D/I285E/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/V105C/Q205T/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/V105C/L214E; I27E/V105C/L214E/P266H/C503Q; I27E/V105C/L214E/I285E/A551D/C565N; I27E/V105C/L214E/A547D/A551D/C565N; I27E/V105C/L214E/A551D/C565N; I27E/V105C/P266H; I27E/V105C/P266H/I285E/C503Q/A547D/C565N; I27E/V105C/L278D/A547D; I27E/V105C/I285E/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/V105C/C503Q/A547D/C565N; I27E/V105C/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/A112C/R134Q/A153R/L214E/P266H/C503Q; I27E/A112C/R134Q/L278D/I285E/C503Q/A551D/C565N; I27E/A112C/R134Q/Q205T/L278D/C503Q; I27E/A112C/R134Q/Q205T/I285E/C503Q; I27E/A112C/Q205T/P266H/L278D/I285E/C503Q; I27E/A112C/P210C/L214E/C503Q/A547D; I27E/R134Q; I27E/R134Q/A153R/I285E/C503Q/A547D; I27E/R134Q/Q205T/I285E/C503Q/A551D; I27E/R134Q/Q205T/P266H/L278D/A547D; I27E/R134Q/P210C; I27E/R134Q/L214E/C503Q; I27E/R134Q/L214E/C503Q/A547D; I27E/R134Q/L214E/C503Q/A547D/A551D; I27E/R134Q/L214E/C503Q/C565N; I27E/R134Q/L278D/I285E/A551D/C565N; I27E/R134Q/I285E/C503Q; I27E/A153R/L214E/L278D/I285E/A551D/C565N; I27E/A153R/L214E/L278D/A551D; I27E/Q205T; I27E/Q205T/L214E/L278D/I285E/C503Q/C565N; I27E/Q205T/L214E/C503Q/A547D/C565N; I27E/Q205T/P266H/L278D/I285E/A551D/C565N; I27E/Q205T/L278D/A551D; I27E/P210C; I27E/P210C/L214E/C503Q/A547D; I27E/P210C/L278D/C503Q; I27E/P210C/C503Q; I27E/P210C/C503Q/C565N; I27E/P210C/A551D; I27E/L214E; I27E/L214E/P266H/L278D/I285E/A551D;
I27E/L214E/L278D; I27E/L214E/L278D/C503Q; I27E/L214E/C503Q; I27E/L214E/C503Q/A547D; I27E/L214E/C503Q/A547D/C565N; I27E/L214E/A551D; I27E/P266H/L278D/C503Q; I27E/P266H/A547D/A551D; I27E/L278D/C503Q/A551D; I27E/L278D/C503Q/A551D/C565N; I27E/A547D/C565N; V39A/G45S/L278D/C503Q/A551D; V39A/V105C/R134Q/A153R/Q205T/A551D; V39A/V105C/R134Q/P210C/L214E/A551D; V39A/V105C/R134Q/L214E/C503Q/A547D/A551D; V39A/V105C/A153R/P266H/A547D/A551D; V39A/V105C/Q205T/C503Q; V39A/V105C/Q205T/A551D; V39A/V105C/P210C/A547D; V39A/V105C/L214E/P266H/A547D/C565N;
V39A/V105C/L214E/I285E/C503Q/A551D/C565N; V39A/A112C/R134Q/Q205T/L214E/L278D;
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【0039】
一部の追加的な実施形態において、本発明は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドであって、配列番号10と比較したアミノ酸残基の差異が、次の置換または置換セット:V80I/R134C/P564Q;V121C;A123G;A124G;M125L;L126I/T;L126M/R134L;L127A;A129G/L;N130Q;N130C/M370I R134W;M133R;R134I;R134N/G307C;G135C/S;および/またはG135A/A394Eのうち1種または複数から選択される操作されたポリペプチドも提供する。
【0040】
一部の追加的な実施形態において、本発明は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドであって、配列番号10と比較したアミノ酸残基の差異が、次の置換または置換セット:G20S/I144L;R43S;L47M/I144L;L47M/R146E;L47M/M147G/A383E;L47M/P157C;Q58H/L143V;Q58K/P157D/G369C;A62S/M147V;S82I/G135C/P157F/W279L;R94C/I149E;T110I/I139R;L118M/L141H;A119E/T156H/A289D;I139M/V;R140D/G/M;R140N/A199E;R140E/A334S/A551D;L141K/Q/P/T;E142H/P/V;E142D/G371D;L143F/M;I144L/N/V;K145N/Q/R;K145G/P157T;R146H/L;R146W/D191Y;M147A;I149L/R;F150K/L/M;L151M;A153C/G;A153S/H250N;G154R;G154Y/L174M/Q321K/S456I/G483C;T156K/G483C;P157D/F/H/Y;Y158E;V159C/H/L/M;M247I;L319M;および/またはQ389Kのうち1種または複数から選択される操作されたポリペプチドも提供する。
【0041】
また一部の追加的な実施形態において、本発明は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドであって、配列番号10と比較したアミノ酸残基の差異が、次の置換または置換セット:P117T/Y176Q;V172I/C/L;L174M;S175G;Y176E/I/M/R/V;I177M/V;T178L/A477S;および/またはS180C/Tのうち1種または複数から選択される操作されたポリペプチドも提供する。
【0042】
一部の追加的な実施形態において、本発明は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドであって、配列番号10と比較したアミノ酸残基の差異が、次の置換または置換セット:R43S/H374K;R43S/H374R;A112S/M370A/A507E;M147I/H374S;S187R/L381V;D191Y/H385N;A232S;Q240K/H374R;A256S/L381N;P275Q/M370S;P275T/H374R;Q332K/Y377M;A334S/H374V;L349M;Q355K/H374S;M370G/I/S;G371H/N/Q/S;M372A/V;H374A/D/G/L/N/R/S/T;H374Q/P396Q;H374R/G417C;L375I;L375M;Y377C/I/N;Y378C/D/E/I/L/N/S;Y378F/P404Q;I379C/H/L/M/N;L381G/V;L381M/Q560K;L382C/H/I/M/S;A383S/V;K384R;H385C/G/N;H385M/P403H;H385S/P403H;D387S;L418M;G425V;A447S;S461G;および/またはS525Lのうち1種または複数から選択される操作されたポリペプチドも提供する。
【0043】
一部の追加的な実施形態において、本発明は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドであって、配列番号10と比較したアミノ酸残基の差異が、次の置換または置換セット:A24S/F434M;A62S/T433N;S98I;L213M/S438L;Q240K/T433Y;S286R/Y435T;A289S/L431E;S331I;L431C/E/G/P/S/V;L432C/V;T433A/I/L/N/P/Q/R/S/V/W;F434C;Y435L;Y435Q/H446N;G436M;G436D/T;N437E/G/Q;N437T/L538M;S438C/F/M/R/T;I439C/F/L/V;および/またはA477Sのうち1種または複数から選択される操作されたポリペプチドも提供する。
【0044】
一部の追加的な実施形態において、本発明は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドであって、配列番号10と比較したアミノ酸残基の差異が、次の置換または置換セット:A24E;Q58R/Y475H;A70S/N474E;L104M/V476L;A119E/G365A;L206M;P275Q;G276V;Q292H/A479G;Q355H/I478C;P404T/A477V;I471F/G/K/M/N/R/V/W;F472G;Q473H/K/M/R/S;Q473H/A507S;N474A/H/R/W;N474D/R490H;Y475C/F/L/Q;V476C/I/L;I478N/S;A479G/S;F482C/L;G483C/H/S;G483A/S524I;G483R/G537C;および/またはA558Sのうち1種または複数から選択される操作されたポリペプチドも提供する。
【0045】
一部の追加的な実施形態において、本発明は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドであって、配列番号10と比較したアミノ酸残基の差異が、次の置換または置換セット:V39A/K115E/M133R/C565N;V39A/M133R/F472G/C503Q/C565N;V39A/M133R/F472G/C565N;V39A/M133R/C503Q;V39A/M133R/C503Q/C565N;V39A/M147A/Y378E/C503Q/C565N;V39A/M147A/Y378E/C565N;V39A/M147A/L381G/F472G/C503Q/C565N;V39A/M147A/L381G/C503Q/C565N;V39A/M147A/F472G/C503Q/C565N;V39A/M147A/F472G/C565N;V39A/M147A/C565N;V39A/G248C/L381G/F472G/C503Q/C565N;V39A/Y378E/C503Q/C565N;V39A/Y378E/C565N;V39A/L381G;V39A/F472G/C503Q/C565N;V39A/C503Q/C565N;M133R/L381G/C565N;M133R/C503Q;Y378D/C503Q;Y378E/F472G/C503Q/C565N;L381G/F472GC503Q/C565N;および/またはF472G/C503Q/C565Nのうち1種または複数から選択される操作されたポリペプチドも提供する。
【0046】
また一部のさらなる実施形態において、本発明は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドであって、配列番号10と比較したアミノ酸残基の差異が、次の置換または置換セット:I27E/V39A; I27E/V39A/R43L/V105C/A153R/L214E/P266H/L278D/C503Q; I27E/V39A/R43L/L214E/A547D; I27E/V39A/V105C/A112C/R134Q/L214E/L278D/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/V105C/A112C/R134Q/A153R/Q205T/L214E/P266H/L278D/C503Q/A551D; I27E/V39A/V105C/A112C/Q205T/P210C/P266H/C503Q/A547D; I27E/V39A/V105C/A112C/Q205T/P266H/I285E/C503Q/A551D; I27E/V39A/V105C/A112C/L214E/I285E/C503Q/A547D; I27E/V39A/V105C/S131N/R134Q/Q205T/L214E/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/V105C/R134Q/A153R/P210C/L278D/I285E/C503Q/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/R134Q/Q205T/P210C/L278D/C503Q/A547D; I27E/V39A/V105C/R134Q/Q205T/L214E; I27E/V39A/V105C/R134Q/Q205T/L214E/A551D/C565N; I27E/V39A/V105C/R134Q/Q205T/L278D/I285E/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/V39A/V105C/R134Q/P210C; I27E/V39A/V105C/R134Q/P210C/L214E; I27E/V39A/V105C/R134Q/P210C/L214E/I285E/A547D; I27E/V39A/V105C/R134Q/P210C/L214E/C503Q/A551D/C565N; I27E/V39A/V105C/R134Q/L214E/L278D/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/R134Q/L214E/I285E/C503Q/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/R134Q/P266H/C503Q; I27E/V39A/V105C/R134Q/P266H/C503Q/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/R134Q/L278D/C503Q/C565N; I27E/V39A/V105C/R134Q/L278D/I285E/C503Q; I27E/V39A/V105C/R134Q/L278D/A551D; I27E/V39A/V105C/R134Q/I285E/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/R134Q/C503Q/A551D; I27E/V39A/V105C/A153R/Q205T/L278D/C503Q/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/A153R/L214E; I27E/V39A/V105C/A153R/I285E; I27E/V39A/V105C/A153R/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/V105C/A153R/A551D/C565N; I27E/V39A/V105C/Q205T/P210C/L214E/L278D/A547D; I27E/V39A/V105C/Q205T/P210C/L278D/C503Q; I27E/V39A/V105C/Q205T/P210C/L278D/A547D; I27E/V39A/V105C/Q205T/L214E/L278D/C503Q/A547D;
I27E/V39A/V105C/Q205T/L278D/C503Q/A547D; I27E/V39A/V105C/P210C/I285E/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/V39A/V105C/P210C/L214E/P266H/L278D; I27E/V39A/V105C/L214E/P266H/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/V105C/L214E/L278D/L309P/C503Q/A547D/A551D;
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A447S; S461G; S525L; A24S/F434M; A62S/T433N; S98I; L213M/S438L; Q240K/T433Y; S286R/Y435T; A289S/L431E; S331I; L431C/E/G/P/S/V; L432C/V; T433A/I/L/N/P/Q/R/S/V/W; F434C; Y435L; Y435Q/H446N; G436M; G436D/T; N437E/G/Q; N437T/L538M; S438C/F/M/R/T; I439C/F/L/V; A477S; A24E; Q58R/Y475H; A70S/N474E;
L104M/V476L; A119E/G365A; L206M; P275Q; G276V; Q292H/A479G; Q355H/I478C;
P404T/A477V; I471F/G/K/M/N/R/V/W; F472G; Q473H/K/M/R/S; Q473H/A507S; N474A/H/R/W; N474D/R490H; Y475C/F/L/Q; V476C/I/L; I478N/S; A479G/S; F482C/L; G483C/H/S; G483A/S524I; G483R/G537C; A558S; V39A/K115E/M133R/C565N; V39A/M133R/F472G/C503Q/C565N; V39A/M133R/F472G/C565N; V39A/M133R/C503Q; V39A/M133R/C503Q/C565N; V39A/M147A/Y378E/C503Q/C565N; V39A/M147A/Y378E/C565N; V39A/M147A/L381G/F472G/C503Q/C565N; V39A/M147A/L381G/C503Q/C565N; V39A/M147A/F472G/C503Q/C565N; V39A/M147A/F472G/C565N; V39A/M147A/C565N; V39A/G248C/L381G/F472G/C503Q/C565N; V39A/Y378E/C503Q/C565N; V39A/Y378E/C565N; V39A/L381G; V39A/F472G/C503Q/C565N; V39A/C503Q/C565N; M133R/L381G/C565N; M133R/C503Q; Y378D/C503Q; Y378E/F472G/C503Q/C565N; L381G/F472GC503Q/C565N;および/またはF472G/C503Q/C565Nの
うち1種または複数から選択される操作されたポリペプチドも提供する。
【0047】
本発明は、a)参照配列の配列番号26またはその機能的断片に対し少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列;b)1個または複数のアミノ酸位置に、配列番号26またはその機能的断片と比較して少なくとも1個のアミノ酸残基の差異を含むポリペプチド配列を含み、c)参照配列の配列番号26と比較して、i)増強された触媒活性、ii)タンパク質分解に対する低下した感受性、iii)酸性pHに対する増加した耐性、iv)低下した凝集、v)低下した免疫原性、またはi)、ii)、iii)、iv)もしくはv)のいずれかの組合せから選択される改善された特性を示す、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドも提供する。
【0048】
一部の実施形態において、本発明は、a)参照配列の配列番号26またはその機能的断片に対し少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列;b)1個または複数のアミノ酸位置に、配列番号26またはその機能的断片と比較して少なくとも1個のアミノ酸残基の差異を含むポリペプチド配列を含み、c)参照配列の配列番号26と比較して、i)増強された触媒活性、ii)タンパク質分解に対する低下した感受性、iii)酸性pHに対する増加した耐性、iv)低下した凝集、v)低下した免疫原性、またはi)、ii)、iii)、iv)もしくはv)のいずれかの組合せから選択される改善された特性を示す、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドも提供する。
【0049】
一部の追加的な実施形態において、本発明は、a)参照配列の配列番号26またはその機能的断片に対し少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列;b)1個または複数のアミノ酸位置に、配列番号26またはその機能的断片と比較して少なくとも1個のアミノ酸残基の差異を含むポリペプチド配列を含み、c)参照配列の配列番号26と比較して、i)増強された触媒活性、ii)タンパク質分解に対する低下した感受性、iii)酸性pHに対する増加した耐性、iv)低下した凝集、v)低下した免疫原性、またはi)、ii)、iii)、iv)もしくはv)のいずれかの組合せから選択される改善された特性を示す、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドを提供する。一部の実施形態において、本発明のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、参照配列の配列番号26に対し少なくとも85%の配列同一性、および配列番号126と比較して少なくとも1個のアミノ酸残基の差異を有し、配列番号26と比較して、増強された触媒活性、タンパク質分解に対する低下した感受性、酸性pHに対する増加した耐性、低下した凝集および/または低下した免疫原性から選択される少なくとも1種の改善された特性を示す、アミノ酸配列を含む。操作されたポリペプチドの一部の実施形態において、配列番号26と比較したアミノ酸残基の差異は、次の置換または置換セットA24E/G381L;L127V;A129I/V;S131C/T;H132L/S;R134C/F/H/K;R134H/Y378E/G381L;R134H/Y378E/G381L/V388T;R134H/V388T;A136K;A289S;M372L;H374G/M/Q;G381A/C/F/I/L/M/N/Q/S/T;A383C/M;V388C/T;L431M;および/またはL563Mのうち1種または複数から選択される。
【0050】
一部の実施形態において、本発明のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、参照配列の配列番号4に対し、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する。一部の実施形態において、本発明のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、参照配列の配列番号4に対し少なくとも約90%の配列同一性を有するが、一部のさらなる実施形態において、操作されたポリペプチドは、参照配列の配列番号4に対し少なくとも約95%の配列同一性を有する。一部の実施形態において、本発明のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、参照配列の配列番号4に対し、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。一部の実施形態において、本発明のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、参照配列の配列番号4に対し少なくとも90%の配列同一性を有するが、一部のさらなる実施形態において、操作されたポリペプチドは、参照配列の配列番号4に対し少なくとも95%の配列同一性を有する。一部のさらなる実施形態において、操作されたポリペプチドは、本発明のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有するポリペプチド(例えば、本明細書の表に提示されているバリアントのいずれか)の機能的断片を含む。
【0051】
一部の実施形態において、本発明のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24および/または26に対し、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する。一部の実施形態において、本発明のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24および/または26に対し、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。一部の実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24および/または26に対し少なくとも約90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24および/または26、またはこれらの機能的断片に対し少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部のさらなる実施形態において、操作されたポリペプチドは、本発明のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有するポリペプチドの機能的断片(例えば、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24および/または26ならびに本明細書の表に提示されているバリアントのいずれかの機能的断片)を含む。
【0052】
本発明は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドであって、表2-1から2-5および/または表9-1から9-7のいずれかに提示されているバリアントPALである操作されたポリペプチドも提供する。
【0053】
一部の実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、Anabaena variabilis酵素である。一部の追加的な実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、熱安定的である。一部の実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、タンパク質分解に対し抵抗性である。一部の追加的な実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、少なくとも1種の消化管酵素によるタンパク質分解に対し抵抗性である。一部のさらなる実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、キモトリプシン、トリプシン、カルボキシペプチダーゼおよび/またはエラスターゼによるタンパク質分解に対し抵抗性である。一部のさらなる実施形態において、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドは、酸安定的である。
【0054】
本発明は、脱免疫化された、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチドも提供する。一部の実施形態において、脱免疫化された操作されたポリペプチドは、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24および/または26に対し少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の追加的な実施形態において、脱免疫化された操作されたポリペプチドは、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24および/または26に対し少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、脱免疫化された操作されたポリペプチドは、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24および/または26に対し少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、脱免疫化された操作されたポリペプチドは、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24および/または26に対し95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0055】
また一部のさらなる実施形態において、本発明は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する、精製された操作されたポリペプチドを提供する。
【0056】
本発明は、本明細書に表記されているフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列も提供する。一部の実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、制御配列に作動可能に連結されている。一部の追加的な実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、コドン最適化されている。
【0057】
本発明は、本明細書に提示されているフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドをコードする、少なくとも1種のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターも提供する。一部の実施形態において、発現ベクターは、少なくとも1種の制御配列をさらに含む。一部の実施形態において、制御配列は、プロモーターである。一部の追加的な実施形態において、プロモーターは、異種プロモーターである。
【0058】
本発明は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドをコードする少なくとも1種のポリヌクレオチド配列、および/またはフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドをコードする少なくとも1種のポリヌクレオチド配列および少なくとも1種の制御配列を含む少なくとも1種の発現ベクターにより形質転換された宿主細胞も提供する。一部の実施形態において、宿主細胞は、コドン最適化された、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドを含む。一部の実施形態において、宿主細胞はE.coliである。
【0059】
本発明は、宿主細胞において少なくとも1種の操作されたPALポリペプチドを産生する方法であって、操作されたPALポリペプチドが産生されるように、適した培養条件下で、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドをコードする少なくとも1種のポリヌクレオチド、および/またはフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドをコードする少なくとも1種のポリヌクレオチド配列および少なくとも1種の制御配列を含む少なくとも1種の発現ベクターを含む宿主細胞を培養するステップを含む方法も提供する。一部の実施形態において、方法は、培養物および/または宿主細胞から、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドを回収するステップをさらに含む。一部のさらなる実施形態において、方法は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドを精製するステップをさらに含む。
【0060】
本発明は、本明細書に提示されているフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドを含む組成物も提供する。一部の実施形態において、組成物は、医薬組成物である。一部の実施形態において、組成物は、食物性および/または栄養性補助食品である。一部のさらなる実施形態において、医薬組成物は、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤および/または担体をさらに含む。一部の追加的な実施形態において、組成物は、フェニルケトン尿症の処置に適する。一部のさらなる実施形態において、医薬組成物は、ヒトへの経口投与に適する。一部の実施形態において、組成物は、丸剤、錠剤、カプセル、ジェルキャップ、液体またはエマルションの形態である。なお一部のさらなる実施形態において、丸剤、錠剤、カプセルまたはジェルキャップは、腸溶コーティングをさらに含む。一部の追加的な実施形態において、医薬組成物は、ヒトへの非経口的注射に適する。一部の実施形態において、医薬組成物は、少なくとも1種の追加的な治療上有効な化合物と同時投与される。一部のさらなる実施形態において、医薬組成物は、少なくとも1種の追加的な治療上有効な化合物を含む。一部の追加的な実施形態において、医薬組成物は、食物性および/または栄養性補助食品中に存在する。
【0061】
本発明は、対象におけるフェニルケトン尿症の症状を処置および/または防止するための方法であって、フェニルケトン尿症を有する対象を用意するステップと、本明細書に提示されている少なくとも1種の組成物を対象に与えるステップとを含む方法も提供する。一部の実施形態において、組成物は、医薬組成物を含むが、一部の代替的実施形態において、組成物は、食物性/栄養性補助食品を含む。方法の一部の実施形態において、フェニルケトン尿症の症状は寛解される。一部の追加的な実施形態において、処置された対象は、フェニルアラニンの症状を示す対象に必要とされる食事よりも、そのメチオニン、フェニルアラニンおよび/またはチロシン含量が制限されない食事を摂ることができる。一部の実施形態において、処置された対象(即ち、本明細書に提示されているフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドを含む少なくとも1種の組成物を与えた対象)は、本明細書に提示されている少なくとも1種の組成物を与えなかった対象に必要とされる食事よりも、そのメチオニン、フェニルアラニンおよび/またはチロシン含量が制限されない食事を摂ることができる。一部の実施形態において、対象に与えられる組成物は、医薬組成物を含むが、一部の代替的実施形態において、組成物は、食物性/栄養性補助食品を含む。本発明は、処置された対象であって、本明細書に提示されているフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドを含む少なくとも1種の組成物および/または医薬組成物を投与した対象も提供する。一部の実施形態において、対象は、霊長類、齧歯類およびウサギ目動物(lagamorph)から選択される動物である。一部の追加的な
実施形態において、対象は、マウスである。一部のさらなる実施形態において、対象は、ヒトである。また一部のさらなる実施形態において、対象は、ヒト乳児または小児であるが、一部の代替的実施形態において、対象は、ヒト成人または若年成人である。I
【0062】
本発明は、本明細書に提示されているフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドを含む組成物の使用も提供する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
a)参照配列の配列番号4またはその機能的断片に対し少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列、b)1個または複数のアミノ酸位置に、配列番号4またはその機能的断片と比較した少なくとも1個のアミノ酸残基の差異を含むポリペプチド配列を含み、c)該参照配列の配列番号4と比較してi)増強された触媒活性、ii)タンパク質分解に対する低下した感受性、iii)酸性pHに対する増加した耐性、iv)低下した凝集、v)低下した免疫原性、またはi)、ii)、iii)、iv)もしくはv)のいずれかの組合せから選択される改善された特性を示す、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチド。
(項目2)
前記1個または複数のアミノ酸位置が、20、24、27、39、43、45、47、54、58、59、62、70、73、80、82、91、94、98、104、105、110、112、115、117、118、119、121、123、124、125、126、127、128、129、130、131、133、134、135、139、140、141、142、143、144、145、146、147、149、150、151、153、154、156、157、158、159、172、174、175、176、177、178、180、187、191、195、199、205、206、210、212、213、214、232、240、243、245、247、248、250、256、257、266、270、275、278、279、285、286、289、290、292、304、305、307、308、309、319、321、326、331、332、334、349、353、355、364、365、369、370、371、372、374、375、377、378、379、381、382、383、384、385、387、389、394、396、399、400、403、404、407、417、418、425、431、432、433、434、435、436、437、438、439、443、446、447、453、456、459、460、461、463、471、472、473、474、475、476、477、478、479、482、483、503、507、509、521、522、524、525、528、538、546、547、551、558、560、564、565および/またはこれらのいずれかの組合せから選択され、前記アミノ酸位置が、配列番号4を参照して番号付けされている、項目1に記載の操作されたポリペプチド。
(項目3)
配列番号4の前記参照配列の前記アミノ酸残基が、A39、T54、G59、S73、A91、Y158、S180、K195、A112、R134、Q240、T243、I245、A256、L257、N270、N290、Y304、R305、H307、E308、I326、L349、D353、L364、A394、S399、N400、P404、L407、F443、N453、Y459、T460、T463、N474、E509、Q521、K522、T524、P528、S546、および/またはP564に相当する、先行する項目のいずれかに記載の操作されたポリペプチド。
(項目4)
配列番号4と比較した前記アミノ酸残基の差異が、配列番号4のポリペプチドと最適に整列された場合、次の置換A39V、T54K、G59R、S73K、A112C、R134Q、A91V、Y158H、S180A、K195E、Q240R/W、T243I/L、I245L、A256G、L257W/A、N270K、N290G、Y304H、R305M、H307G/Q/M、E308Q、I326F、L349M、D353A/N、L364Q、A394V、S399N、N400K、P404A、L407V、F443H、N453G、Y459F、T460G、T463N、N474Q、E509L、Q521K/S、K522Y/F/N、T524S、P528L、S546R、およびP564G/L/Mのうち1種または複数から選択される、先行する項目のいずれかに記載の操作されたポリペプチド。
(項目5)
前記アミノ酸残基の差異が、A39、A91、Q240、A256、N290、Y304、R305、H307、D353、A394、S399、P404、L407、Q521、K522およびT524のうち1種または複数の組合せから選択される、項目1~4のいずれかに記載の操作されたポリペプチド。
(項目6)
配列番号4に対する少なくとも約90%の配列同一性;および位置H307におけるアミノ酸残基の差異を有する、先行する項目のいずれかに記載の操作されたポリペプチド。
(項目7)
前記アミノ酸残基の差異が、H307G/Q/Mである、項目6に記載の操作されたポリペプチド。
(項目8)
前記改善された特性が、タンパク質分解に対する低下した感受性および/または酸性pHに対する増加した耐性から選択される、先行する項目のいずれかに記載の操作されたポリペプチド。
(項目9)
前記参照配列が、Anabaena variabilisに由来する野生型PALである、先行する項目のいずれかに記載の操作されたポリペプチド。
(項目10)
a)参照配列の配列番号10またはその機能的断片に対し少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列、b)1個または複数のアミノ酸位置に、配列番号10またはその機能的断片と比較した少なくとも1個のアミノ酸残基の差異を含むポリペプチド配列を含み、c)該参照配列の配列番号10と比較してi)増強された触媒活性、ii)タンパク質分解に対する低下した感受性、iii)酸性pHに対する増加した耐性、iv)低下した凝集、v)低下した免疫原性、またはi)、ii)、iii)、iv)もしくはv)のいずれかの組合せから選択される改善された特性を示す、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチド。
(項目11)
参照配列の配列番号10に対し少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および配列番号10と比較した少なくとも1個のアミノ酸残基の差異を含み、配列番号10と比較して増強された触媒活性、タンパク質分解に対する低下した感受性、酸性pHに対する増加した耐性、低下した凝集および/または低下した免疫原性から選択される少なくとも1種の改善された特性を示す、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチド。
(項目12)
配列番号10と比較した前記アミノ酸残基の差異が、次の置換または置換セット:I27E/V39A; I27E/V39A/R43L/V105C/A153R/L214E/P266H/L278D/C503Q; I27E/V39A/R43L/L214E/A547D; I27E/V39A/V105C/A112C/R134Q/L214E/L278D/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/V105C/A112C/R134Q/A153R/Q205T/L214E/P266H/L278D/C503Q/A551D; I27E/V39A/V105C/A112C/Q205T/P210C/P266H/C503Q/A547D; I27E/V39A/V105C/A112C/Q205T/P266H/I285E/C503Q/A551D; I27E/V39A/V105C/A112C/L214E/I285E/C503Q/A547D; I27E/V39A/V105C/S131N/R134Q/Q205T/L214E/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/V105C/R134Q/A153R/P210C/L278D/I285E/C503Q/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/R134Q/Q205T/P210C/L278D/C503Q/A547D; I27E/V39A/V105C/R134Q/Q205T/L214E; I27E/V39A/V105C/R134Q/Q205T/L214E/A551D/C565N;
I27E/V39A/V105C/R134Q/Q205T/L278D/I285E/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/V39A/V105C/R134Q/P210C; I27E/V39A/V105C/R134Q/P210C/L214E; I27E/V39A/V105C/R134Q/P210C/L214E/I285E/A547D; I27E/V39A/V105C/R134Q/P210C/L214E/C503Q/A551D/C565N; I27E/V39A/V105C/R134Q/L214E/L278D/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/R134Q/L214E/I285E/C503Q/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/R134Q/P266H/C503Q; I27E/V39A/V105C/R134Q/P266H/C503Q/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/R134Q/L278D/C503Q/C565N; I27E/V39A/V105C/R134Q/L278D/I285E/C503Q; I27E/V39A/V105C/R134Q/L278D/A551D; I27E/V39A/V105C/R134Q/I285E/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/R134Q/C503Q/A551D; I27E/V39A/V105C/A153R/Q205T/L278D/C503Q/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/A153R/L214E; I27E/V39A/V105C/A153R/I285E; I27E/V39A/V105C/A153R/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/V105C/A153R/A551D/C565N; I27E/V39A/V105C/Q205T/P210C/L214E/L278D/A547D; I27E/V39A/V105C/Q205T/P210C/L278D/C503Q; I27E/V39A/V105C/Q205T/P210C/L278D/A547D; I27E/V39A/V105C/Q205T/L214E/L278D/C503Q/A547D; I27E/V39A/V105C/Q205T/L278D/C503Q/A547D; I27E/V39A/V105C/P210C/I285E/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/V39A/V105C/P210C/L214E/P266H/L278D; I27E/V39A/V105C/L214E/P266H/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/V105C/L214E/L278D/L309P/C503Q/A547D/A551D; I27E/V39A/V105C/L278D/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/V105C/I285E/A547D; I27E/V39A/V105C/C503Q/A551D; I27E/V39A/V105C/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/V39A/A112C/R134Q/Q205T/P210C/L214E/A551D/C565N; I27E/V39A/A112C/R134Q/L214E/P266H/A551D; I27E/V39A/A112C/R134Q/L214E/C503Q/A547D; I27E/V39A/A112C/R134Q/P266H/I285E; I27E/V39A/A112C/Q205T/L214E/P266H/C503Q/A551D/C565N; I27E/V39A/A112C/Q205T/L278D/I285E; I27E/V39A/A112C/L214E; I27E/V39A/A112C/L214E/L278D/C503Q/A547D/A551D; I27E/V39A/A112C/I285E; I27E/V39A/A112C/A547D; I27E/V39A/R134Q; I27E/V39A/R134Q/A153R/Q205T/L214E/P266H/C503Q; I27E/V39A/R134Q/A153R/P210C/L214E/L278D/I285E/A547D/C565N; I27E/V39A/R134Q/A153R/L214E/P266H/L278D/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/R134Q/A153G/L214E/P266H/I285E/C503Q/ A551D/
C565N; I27E/V39A/R134Q/A153R/L214E/C503Q/A547D; I27E/V39A/R134Q/A153R/L278D;
I27E/V39A/R134Q/A153R/L278D/A547D/A551D; I27E/V39A/R134Q/A153R/A547D; I27E/V39A/R134Q/Q205T/L214E/P266H/I285E/C503Q/A551D/C565N; I27E/V39A/R134Q/Q205T/P266H/C503Q/A551D/C565N; I27E/V39A/R134Q/P210C/L214E/C503Q; I27E/V39A/R134Q/P210C/C503Q/A551D; I27E/V39A/R134Q/L214E/P266H/A551D; I27E/V39A/R134Q/L278D/I285E/C503Q/A547D/A551D; I27E/V39A/R134Q/L278D/C503Q/A547D; I27E/V39A/R134Q/C503Q/A547D; I27E/V39A/R134Q/A547D/C565N; I27E/V39A/Q205T/L214E/C503Q/C565N; I27E/V39A/Q205T/P266H/I285E/A547D/A551D/C565N; I27E/V39A/Q205T/P266H/A551D; I27E/V39A/Q205T/L278D/C503Q/A551D/C565N; I27E/V39A/Q205T/L278D/C503Q/C565N; I27E/V39A/Q205T/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/P210C/T212S; I27E/V39A/P210C/L214E/L278D/C503Q/A551D; I27E/V39A/P210C/L214E/I285E/C503Q/A551D; I27E/V39A/P210C/P266H/I285E/C503Q/A547D; I27E/V39A/P210C/P266H/C503Q/A551D; I27E/V39A/L214E; I27E/V39A/L214E/P266H/L278D/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/V39A/L214E/L278D/C503Q; I27E/V39A/L214E/L278D/C503Q/A547D/C565N; I27E/V39A/L214E/C503Q/A551D; I27E/V39A/P266H; I27E/V39A/P266H/L278D; I27E/V39A/L278D; I27E/V39A/L278D/A547D; I27E/V39A/L278D/I285E/C503Q/A547D; I27E/V39A/L278D/C503Q/C565N; I27E/V39A/C503Q; I27E/G45D/Q205T/P266H/C565N; I27E/V105C; I27E/V105C/R134Q/A153R/P210C/L214E/C503Q/A547D;
I27E/V105C/R134Q/A153R/I285E/A547D; I27E/V105C/R134Q/A153R/C503Q; I27E/V105C/R134Q/Q205T/P210C/C503Q; I27E/V105C/R134Q/Q205T/L214E/P266H/L278D/C503Q/C565N;
I27E/V105C/Q205T/P266H/C503Q; I27E/V105C/R134Q/P210C/L214E/P266H/L278D/A551D/C565N; I27E/V105C/R134Q/P210C/L214E/C503Q/A551D/C565N; I27E/V105C/R134Q/P210C/P266H/L278D/I285E/C503Q/A551D/C565N; I27E/V105C/R134Q/L214E/L278D/C503Q/A547D;
I27E/V105C/R134Q/L214E/L278D/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/V105C/Q205T; I27E/V105C/Q205T/L214E/P266H; I27E/V105C/Q205T/L214E/P266H/A551D/C565N; I27E/V105C/Q205T/L214E/L278D/I285E/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/V105C/Q205T/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/V105C/L214E; I27E/V105C/L214E/P266H/C503Q; I27E/V105C/L214E/I285E/A551D/C565N; I27E/V105C/L214E/A547D/A551D/C565N; I27E/V105C/L214E/A551D/C565N; I27E/V105C/P266H; I27E/V105C/P266H/I285E/C503Q/A547D/C565N; I27E/V105C/L278D/A547D; I27E/V105C/I285E/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/V105C/C503Q/A547D/C565N; I27E/V105C/C503Q/A547D/A551D/C565N; I27E/A112C/R134Q/A153R/L214E/P266H/C503Q; I27E/A112C/R134Q/L278D/I285E/C503Q/A551D/C565N; I27E/A112C/R134Q/Q205T/L278D/C503Q; I27E/A112C/R134Q/Q205T/I285E/C503Q; I27E/A112C/Q205T/P266H/L278D/I285E/C503Q; I27E/A112C/P210C/L214E/C503Q/A547D; I27E/R134Q; I27E/R134Q/A153R/I285E/C503Q/A547D; I27E/R134Q/Q205T/I285E/C503Q/A551D; I27E/R134Q/Q205T/P266H/L278D/A547D; I27E/R134Q/P210C; I27E/R134Q/L214E/C503Q; I27E/R134Q/L214E/C503Q/A547D; I27E/R134Q/L214E/C503Q/A547D/A551D; I27E/R134Q/L214E/C503Q/C565N; I27E/R134Q/L278D/I285E/A551D/C565N; I27E/R134Q/I285E/C503Q; I27E/A153R/L214E/L278D/I285E/A551D/C565N; I27E/A153R/L214E/L278D/A551D; I27E/Q205T; I27E/Q205T/L214E/L278D/I285E/C503Q/C565N; I27E/Q205T/L214E/C503Q/A547D/C565N; I27E/Q205T/P266H/L278D/I285E/A551D/C565N; I27E/Q205T/L278D/A551D; I27E/P210C; I27E/P210C/L214E/C503Q/A547D; I27E/P210C/L278D/C503Q; I27E/P210C/C503Q; I27E/P210C/C503Q/C565N; I27E/P210C/A551D; I27E/L214E; I27E/L214E/P266H/L278D/I285E/A551D; I27E/L214E/L278D; I27E/L214E/L278D/C503Q; I27E/L214E/C503Q; I27E/L214E/C503Q/A547D; I27E/L214E/C503Q/A547D/C565N; I27E/L214E/A551D; I27E/P266H/L278D/C503Q;
I27E/P266H/A547D/A551D; I27E/L278D/C503Q/A551D; I27E/L278D/C503Q/A551D/C565N; I27E/A547D/C565N; V39A/G45S/L278D/C503Q/A551D; V39A/V105C/R134Q/A153R/Q205T/A551D; V39A/V105C/R134Q/P210C/L214E/A551D; V39A/V105C/R134Q/L214E/C503Q/A547D/A551D; V39A/V105C/A153R/P266H/A547D/A551D; V39A/V105C/Q205T/C503Q; V39A/V105C/Q205T/A551D; V39A/V105C/P210C/A547D; V39A/V105C/L214E/P266H/A547D/C565N; V39A/V105C/L214E/I285E/C503Q/A551D/C565N; V39A/A112C/R134Q/Q205T/L214E/L278D; V39A/A112C/R134Q/L214E/C503Q/A547D/A551D; V39A/A112C/A153R/Q205T/L278D/C503Q/A547D; V39A/R134Q; V39A/R134Q/Q205T/L214E/C503Q/C565N; V39A/R134Q/P210C/L214E/A547D/C565N; V39A/A153R/C503Q/A547D; V39A/Q205T/L278D/A547D/A551D; V39A/P210C/L214E/L278D/I285E/C503Q/A551D; V39A/P266H; V39A/P275R/L278D/C503Q/A551D; V39A/C503Q; V39A/C503Q/A551D/C565N; V105C; V105C/A112C/R134Q/Q205T/L214E/Y492H/C503Q/A547D; V105C/R134Q/A153R/Q205T/L214E/C503Q; V105C/R134Q/Q205T/L214E/A547D; V105C/R134Q/Q205T/P266H/L278D; V105C/R134Q/L214E/P266H/I285E/C503Q/A551D/C565N;
V105C/R134Q/L214E/L278D/C565N; V105C/R134Q/L214E/C503Q/A547D; V105C/R134Q/L214E/C503Q/A547D/A551D; V105C/R134Q/C503Q; V105C/R134Q/C503Q/A547D; V105C/R134Q/C503Q/A547D/C565N; V105C/A153R/Q205T/L214E/P266H/C503Q/A547D; V105C/A153R/Q205T/P266H/I285E/A547D/C565N; V105C/Q205T/P210C/L214E/C503Q/A547D; V105C/Q205T/L214E/L278D; V105C/Q205T/L214E/C503Q/A547D/A551D/C565N; V105C/Q205T/C503Q/A551D; V105C/L214E/P266H/L278D/A547D; V105C/L214E/L278D/C503Q/A547D/A551D; V105C/L214E/I285E; V105C/L214E/I285E/C503Q/A547D/A551D/C565N; V105C/L214E/I285E/A547D/C565N; V105C/L278D/C503Q/A551D; V105C/I285E; V105C/I285E/A547D; V105C/C503Q; V105C/A547D/A551D; A112C/R134Q/A153R/L214E/L278D/I285E/C503Q/A547D/A551D/C565N; A112C/R134Q/L214E/C503Q/A547D/A551D/C565N; A112C/L214E/L278D; A112C/L278D/C503Q/A547D; R134Q/Q205T/L214E/I285E/C503Q/A551D/C565N; R134Q/Q205T/C503Q; R134Q/P210C/L214E/L278D/C503Q/A547D/C565N; R134Q/P210C/L214E/C503Q/A547D/A551D;
R134Q/L214E; R134Q/L214E/L278D/C503Q; R134Q/L214E/L278D/C503Q/A551D; R134Q/L214E/I285E/C503Q; R134Q/C503Q; R134Q/C503Q/A547D/A551D; A153R; Q205T/L214E/I285E/C503Q/A551D; Q205T/L214E/I285E/C503Q/C565N; Q205T/L214E/C503Q/A547D/C565N; Q205T/L278D/I285E/A547D/A551D; P210C/L214E; P210C/L214E/P266H; L214E/P266H; L214E/P266H/C503Q/A547D/A551D/C565N; L214E/C503Q/A547D; L214E/A547D; P266H/L278D/C503Q; P266H/C565N; L278D/A547D; C503Q; C503Q/A547D; C503Q/A547D/A551D/C565N; C503Q/A547D/C565N; C503Q/A551D; C503Q/A551D/C565N; A547D;および/
またはC565Nのうち1種または複数から選択される、項目10および/または11に記載
の操作されたポリペプチド。
(項目13)
配列番号10と比較した前記アミノ酸残基の差異が、次の置換または置換セット:V80I/R134C/P564Q;V121C;A123G;A124G;M125L;L126I/T;L126M/R134L;L127A;A129G/L;N130Q;N130C/M370I R134W;M133R;R134I;R134N/G307C;G135C/S;および/またはG135A/A394Eのうち1種または複数から選択される、項目10および/または11に記載の操作されたポリペプチド。
(項目14)
配列番号10と比較した前記アミノ酸残基の差異が、次の置換または置換セット:G20S/I144L;R43S;L47M/I144L;L47M/R146E;L47M/M147G/A383E;L47M/P157C;Q58H/L143V;Q58K/P157D/G369C;A62S/M147V;S82I/G135C/P157F/W279L;R94C/I149E;T110I/I139R;L118M/L141H;A119E/T156H/A289D;I139M/V;R140D/G/M;R140N/A199E;R140E/A334S/A551D;L141K/Q/P/T;E142H/P/V;E142D/G371D;L143F/M;I144L/N/V;K145N/Q/R;K145G/P157T;R146H/L;R146W/D191Y;M147A;I149L/R;F150K/L/M;L151M;A153C/G;A153S/H250N;G154R;G154Y/L174M/Q321K/S456I/G483C;T156K/G483C;P157D/F/H/Y;Y158E;V159C/H/L/M;M247I;L319M;および/またはQ389Kのうち1種または複数から選択される、項目10および/または11に記載の操作されたポリペプチド。(項目15)
配列番号10と比較した前記アミノ酸残基の差異が、次の置換または置換セット:P117T/Y176Q;V172I/C/L;L174M;S175G;Y176E/I/M/R/V;I177M/V;T178L/A477S;および/またはS180C/Tのうち1種または複数から選択される、項目10および/または11に記載の操作されたポリペプチド。
(項目16)
配列番号10と比較した前記アミノ酸残基の差異が、次の置換または置換セット:R43S/H374K;R43S/H374R;A112S/M370A/A507E;M147I/H374S;S187R/L381V;D191Y/H385N;A232S;Q240K/H374R;A256S/L381N;P275Q/M370S;P275T/H374R;Q332K/Y377M;A334S/H374V;L349M;Q355K/H374S;M370G/I/S;G371H/N/Q/S;M372A/V;H374A/D/G/L/N/R/S/T;H374Q/P396Q;H374R/G417C;L375I;L375M;Y377C/I/N;Y378C/D/E/I/L/N/S;Y378F/P404Q;I379C/H/L/M/N;L381G/V;L381M/Q560K;L382C/H/I/M/S;A383S/V;K384R;H385C/G/N;H385M/P403H;H385S/P403H;D387S;L418M;G425V;A447S;S461G;および/またはS525Lのうち1種または複数から選択される、項目10および/または11に記載の操作されたポリペプチド。
(項目17)
配列番号10と比較した前記アミノ酸残基の差異が、次の置換または置換セット:A24S/F434M;A62S/T433N;S98I;L213M/S438L;Q240K/T433Y;S286R/Y435T;A289S/L431E;S331I;L431C/E/G/P/S/V;L432C/V;T433A/I/L/N/P/Q/R/S/V/W;F434C;Y435L;Y435Q/H446N;G436M;G436D/T;N437E/G/Q;N437T/L538M;S438C/F/M/R/T;I439C/F/L/V;および/またはA477Sのうち1種または複数から選択される、項目10および/または11に記載の操作されたポリペプチド。
(項目18)
配列番号10と比較した前記アミノ酸残基の差異が、次の置換または置換セット:A24E;Q58R/Y475H;A70S/N474E;L104M/V476L;A119E/G365A;L206M;P275Q;G276V;Q292H/A479G;Q355H/I478C;P404T/A477V;I471F/G/K/M/N/R/V/W;F472G;Q473H/K/M/R/S;Q473H/A507S;N474A/H/R/W;N474D/R490H;Y475C/F/L/Q;V476C/I/L;I478N/S;A479G/S;F482C/L;G483C/H/S;G483A/S524I;G483R/G537C;および/またはA558Sのうち1種または複数から選択される、項目10および/または11に記載の操作されたポリペプチド。
(項目19)
配列番号10と比較した前記アミノ酸残基の差異が、次の置換または置換セット:V39A/K115E/M133R/C565N;V39A/M133R/F472G/C503Q/C565N;V39A/M133R/F472G/C565N;V39A/M133R/C503Q;V39A/M133R/C503Q/C565N;V39A/M147A/Y378E/C503Q/C565N;V39A/M147A/Y378E/C565N;V39A/M147A/L381G/F472G/C503Q/C565N;V39A/M147A/L381G/C503Q/C565N;V39A/M147A/F472G/C503Q/C565N;V39A/M147A/F472G/C565N;V39A/M147A/C565N;V39A/G248C/L381G/F472G/C503Q/C565N;V39A/Y378E/C503Q/C565N;V39A/Y378E/C565N;V39A/L381G;V39A/F472G/C503Q/C565N;V39A/C503Q/C565N;M133R/L381G/C565N;M133R/C503Q;Y378D/C503Q;Y378E/F472G/C503Q/C565N;L381G/F472GC503Q/C565N;および/またはF472G/C503Q/C565Nのうち1種または複数から選択される、項目10および/または11に記載の操作されたポリペプチド。
(項目20)
a)参照配列の配列番号26またはその機能的断片に対し少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列、b)1個または複数のアミノ酸位置に、配列番号26またはその機能的断片と比較した少なくとも1個のアミノ酸残基の差異を含むポリペプチド配列を含み、c)該参照配列の配列番号26と比較してi)増強された触媒活性、ii)タンパク質分解に対する低下した感受性、iii)酸性pHに対する増加した耐性、iv)低下した凝集、v)低下した免疫原性、またはi)、ii)、iii)、iv)もしくはv)のいずれかの組合せから選択される改善された特性を示す、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチド。
(項目21)
参照配列の配列番号26に対し少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および配列番号26と比較した少なくとも1個のアミノ酸残基の差異を含み、配列番号26と比較して増強された触媒活性、タンパク質分解に対する低下した感受性、酸性pHに対する増加した耐性、低下した凝集および/または低下した免疫原性から選択される少なくとも1種の改善された特性を示す、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチド。
(項目22)
配列番号26と比較した前記アミノ酸残基の差異が、次の置換または置換セット:A24E/G381L;L127V;A129I/V;S131C/T;H132L/S;R134C/F/H/K;R134H/Y378E/G381L;R134H/Y378E/G381L/V388T;R134H/V388T;A136K;A289S;M372L;H374G/M/Q;G381A/C/F/I/L/M/N/Q/S/T;A383C/M;V388C/T;L431M;および/またはL563Mのうち1種または複数から選択される、項目20および/または21に記載の操作されたポリペプチド。
(項目23)
参照配列の配列番号4に対し少なくとも約90%の配列同一性を有する、先行する項目のいずれかに記載の操作されたポリペプチド。
(項目24)
参照配列の配列番号4に対し少なくとも約95%の配列同一性を有する、項目23に記載の操作されたポリペプチド。
(項目25)
配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24および/または26、またはこれらの機能的断片に対し少なくとも約90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチド。
(項目26)
配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24および/または26、またはこれらの機能的断片に対し少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、項目25に記載のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチド。
(項目27)
表2-1から表2-5および/または表9-1から表9-7のいずれかに示されているバリアントPALである、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチド。
(項目28)
Anabaena variabilis酵素である、項目1~27のいずれかに記載のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチド。
(項目29)
熱安定的である、項目1~28のいずれかに記載のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチド。
(項目30)
タンパク質分解に対し抵抗性である、項目1~29のいずれかに記載のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチド。
(項目31)
少なくとも1種の消化管酵素によるタンパク質分解に対し抵抗性である、項目30に記載のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチド。
(項目32)
キモトリプシン、トリプシン、カルボキシペプチダーゼおよび/またはエラスターゼによるタンパク質分解に対し抵抗性である、項目31に記載のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチド。
(項目33)
酸安定的である、項目1~32のいずれかに記載のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する操作されたポリペプチド。
(項目34)
脱免疫化されている、項目1~33のいずれかに記載の操作されたポリペプチド。
(項目35)
配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24および/または26に対し少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、項目34に記載の脱免疫化された操作されたポリペプチド。
(項目36)
精製されている、項目1~35のいずれかに記載の操作されたポリペプチド。
(項目37)
先行する項目1~36のいずれか一項に記載の少なくとも1種の操作されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列。
(項目38)
制御配列に作動可能に連結されている、項目37に記載のポリヌクレオチド配列。
(項目39)
前記ポリヌクレオチドが、コドン最適化されている、項目37および/または38に記載のポリヌクレオチド配列。
(項目40)
項目37~39のいずれかに記載の少なくとも1種のポリヌクレオチド配列と、少なくとも1種の制御配列とを含む発現ベクター。
(項目41)
前記制御配列が、プロモーターである、項目40に記載の発現ベクター。
(項目42)
前記プロモーターが、異種プロモーターである、項目41に記載の発現ベクター。
(項目43)
項目35~37のいずれかに記載の少なくとも1種のポリヌクレオチド配列および/または項目40~42のいずれかに記載のベクターにより形質転換された宿主細胞。
(項目44)
E.coliである、項目43に記載の宿主細胞。
(項目45)
宿主細胞において操作されたPALポリペプチドを産生する方法であって、少なくとも1種の操作されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)ポリペプチドが産生されるように適した培養条件下で、項目1~36のいずれかに記載のPAL活性を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドをコードする少なくとも1種のポリヌクレオチド、および/または項目37および/または39に記載の少なくとも1種のポリヌクレオチド配列、および/または項目40~42のいずれかに記載の少なくとも1種のベクターを含む宿主細胞を培養するステップを含む方法。
(項目46)
培養物および/または宿主細胞から、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドを回収するステップをさらに含む、項目45に記載の方法。
(項目47)
産生されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)を有する前記少なくとも1種の操作されたポリペプチドを精製するステップをさらに含む、項目46に記載の方法。(項目48)
項目1~36のいずれかに記載のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドを含む組成物。
(項目49)
医薬組成物である、項目48に記載の組成物。
(項目50)
少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤および/または担体をさらに含む、項目49に記載の医薬組成物。
(項目51)
フェニルケトン尿症の処置に適した、項目48~50のいずれかに記載の組成物。
(項目52)
ヒトへの経口投与に適した、項目49~51のいずれかに記載の医薬組成物。
(項目53)
丸剤、錠剤、カプセル、ジェルキャップ、液体またはエマルションの形態である、項目49~52のいずれかに記載の医薬組成物。
(項目54)
前記丸剤、錠剤、カプセルまたはジェルキャップが、腸溶コーティングをさらに含む、項目53に記載の医薬組成物。
(項目55)
ヒトへの非経口的注射に適した、項目49~51のいずれかに記載の医薬組成物。
(項目56)
少なくとも1種の追加的な治療上有効な化合物と同時投与される、項目49~55のいずれかに記載の医薬組成物。
(項目57)
少なくとも1種の追加的な治療上有効な化合物を含む、項目56に記載の医薬組成物。
(項目58)
対象におけるフェニルケトン尿症の症状を処置および/または防止するための方法であって、フェニルケトン尿症を有する対象を用意するステップと、項目49~57のいずれかに記載の医薬組成物を前記対象に与えるステップとを含む方法。
(項目59)
フェニルケトン尿症の前記症状が寛解される、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記対象が、項目1~36に表記されているフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性を有する少なくとも1種の操作されたポリペプチドを含む少なくとも1種の医薬組成物を与えられなかった対象に必要とされる食事よりも、メチオニン、フェニルアラニンおよび/またはチロシン含量が制限されない食事を摂ることができる、項目58および/または59に記載の方法。
(項目61)
前記対象が、乳児または小児である、項目58~60のいずれかに記載の方法。
(項目62)
前記対象が、成人または若年成人である、項目58~60のいずれかに記載の方法。
(項目63)
項目48~57のいずれかに示されている組成物の使用。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1-1】図1は、野生型PALタンパク質配列のアライメントを提示する:Anabaena variabilis PAL(NCBI YP_324488.1(配列番号4));Nostoc punctiformeフェニルアラニン/ヒスチジンアンモニアリアーゼ「NpPHAL」(NCBI YP_001865631.1(配列番号28);Rivularia sp.ヒスチジンアンモニアリアーゼ「RspHAL」(NCBI YP_007056096.1(配列番号29);Oscillatoria sp.ヒスチジンアンモニアリアーゼ「Osp HAL」(NCBI YP_07108482.1(配列番号30);およびGloeocapsa sp.ヒスチジンアンモニアリアーゼ「GspHAL」(NCBI YP_007127054.1)(配列番号31)。
【0064】
図1-2】図1は、野生型PALタンパク質配列のアライメントを提示する:Anabaena variabilis PAL(NCBI YP_324488.1(配列番号4));Nostoc punctiformeフェニルアラニン/ヒスチジンアンモニアリアーゼ「NpPHAL」(NCBI YP_001865631.1(配列番号28);Rivularia sp.ヒスチジンアンモニアリアーゼ「RspHAL」(NCBI YP_007056096.1(配列番号29);Oscillatoria sp.ヒスチジンアンモニアリアーゼ「Osp HAL」(NCBI YP_07108482.1(配列番号30);およびGloeocapsa sp.ヒスチジンアンモニアリアーゼ「GspHAL」(NCBI YP_007127054.1)(配列番号31)。
【0065】
図2図2Aは、実施例4にさらに記載されている通りの、野生型AvPALと比較した、バリアント番号22(配列番号8)、バリアント番号30(配列番号6)およびバリアント番号36(配列番号10)に関するpH7.0で検査したタンパク質分解に対する低下した感受性(キモトリプシンおよびトリプシン耐性として発現)を示す。図2Bは、実施例4にさらに記載されている通りの、野生型AvPALと比較した、バリアント番号22、30および36に関するpH4.0~5.2で検査した酸性pHに対する増加した耐性を示すグラフを提示する。
【0066】
図3図3は、野生型PALおよびバリアント番号36のK結果を提示する。
【0067】
図4図4は、野生型PALおよびバリアント番号36のアミノ酸特異性を示すデータを提示する。
【0068】
図5図5は、ヒトキモトリプシンおよびトリプシンに曝露された野生型PALおよびバリアント番号36の相対的安定性を示す結果を提示する。
【0069】
図6図6は、ブタ膵臓抽出物に曝露された野生型PALならびにバリアント番号36、42および43の相対的安定性を示す結果を提示する。
図7】(記載なし)
図8】(記載なし)
【発明を実施するための形態】
【0070】
本発明は、操作されたPALポリペプチド、その突然変異体、生物学的活性を有する断片および類似体、ならびにこれを含む医薬および産業的組成物を提供する。
【0071】
本発明は、操作されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)ポリペプチドおよびその組成物ならびに操作されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、増強された触媒活性と共に、タンパク質分解に対する低下した感受性および酸性pHレベルに対する増加した耐性をもたらすよう最適化される。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、脱免疫化されている。本発明は、治療および産業目的のための、操作されたPALポリペプチドを含む組成物の使用にも関する。
【0072】
略語および定義:
他に規定がなければ、本明細書に使用されているあらゆる技術および科学用語は一般に、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。一般に、本明細書に使用されている命名法ならびに後述する細胞培養、分子遺伝学、微生物学、有機化学、分析化学および核酸化学の研究室の手順は、周知であり、本技術分野において一般的に用いられている。斯かる技法は周知であり、当業者に周知の多数の教科書および参考文献に記載されている。標準技法またはその修正が、化学合成および化学分析のために使用される。上記および下記の両方で本明細書に言及されているあらゆる特許、特許出願、論文および刊行物は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0073】
本明細書に記載されているものと同様または均等のいかなる適した方法および材料も、本発明の実施における使用を見出すが、一部の方法および材料を本明細書に記載する。記載されている特定の方法論、プロトコールおよび試薬は、当業者によってこれらが使用される文脈に応じて変動し得るため、本発明が、記載されている特定の方法論、プロトコールおよび試薬に限定されないことを理解されたい。したがって、このすぐ下に定義されている用語は、本願を全体として参照することにより、より十分に説明される。上記および下記の両方で本明細書に言及されているあらゆる特許、特許出願、論文および刊行物は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0074】
また、本明細書において、単数形(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそれ以外の事柄を明らかに示さない限り、複数の参照を含む。
【0075】
数の範囲は、範囲を規定する数を包括する。よって、本明細書に開示されている全ての数値範囲は、より狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記述されているかのように、より広い数値範囲内に収まるより狭い数値範囲を全て包含するよう企図される。本明細書に開示されている全ての最大(または最小)数値限界が、下限(または上限)の数値限界が本明細書に明確に記述されているかのように、全ての下限(または上限)の数値限界を含むことも企図される。
【0076】
用語「約」は、特定の値に許容される誤差を意味する。一部の事例において、「約」は、所定の値の範囲の0.05%、0.5%、1.0%または2.0%以内を意味する。一部の事例において、「約」は、所定の値の1、2、3または4標準偏差以内を意味する。
【0077】
さらに、本明細書に提示されている見出しは、本発明の様々な態様または実施形態を限定するものではなく、本願を全体として参照することにより分かる。したがって、このすぐ下に定義されている用語は、本願を全体として参照することにより、より十分に定義される。にもかかわらず、本発明の理解を助けるために、多数の用語を下に定義する。
【0078】
他に断りがなければ、それぞれ、核酸は、5’から3’の向きで左から右に書かれる;アミノ酸配列は、アミノからカルボキシの向きで左から右に書かれる。
【0079】
本明細書において、用語「を含む(comprising)」およびその同族言語は、その包括的な意味において使用される(即ち、用語「含む(including)」およびその相当する同族
言語と均等)。
【0080】
「EC」番号は、国際生化学分子生物学連合の命名委員会(Nomenclature Committee
of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology)(NC-IUBMB)の酵素命名法を指す。IUBMB生化学的分類は、酵素が触媒する化学反応に基づく酵素の数的分類体系である。
【0081】
「ATCC」は、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)を指し、そのバイオレポジトリーコレクションは、遺伝子および株を含む。
【0082】
「NCBI」は、国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biological Information)およびそれに提供される配列データベースを指す。
【0083】
本明細書において、用語「フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)ポリペプチド」は、芳香族アミノ酸リアーゼファミリー内の酵素のクラスを指し(EC4.3.1.23、EC4.3.1.24およびEC4.3.1.25)、このファミリーは、ヒスチジンアンモニアリアーゼおよびチロシンアンモニアリアーゼも含む。一部のPAL酵素は、フェニルアラニンと同様にチロシンを基質として使用することができるため、PALポリペプチドは、フェニルアラニン/チロシンアンモニアリアーゼと称されることもある。しかし、本明細書に開示および請求されているAvPALおよびバリアントは、基質としてチロシンを使用しない。PALポリペプチドは、L-フェニルアラニンからトランス-桂皮酸およびアンモニアへの変換を触媒する。PAL活性は、PALポリペプチドの酵素活性を指す。一部の好ましい実施形態において、PAL酵素は、補助因子3,5-ジヒドロ-5-メチリデン-4H-イミダゾール-4-オン(MIO)も含有する。この補助因子は、触媒活性に要求される場合があり、保存された活性部位Ala167-Ser168-Gly169トリペプチドセグメントの環化および脱水によって形成される。
【0084】
「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」は、長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)にかかわりなく、アミド結合によって共有結合により連結された少なくとも2個のアミノ酸のポリマーを表示するよう、本明細書において互換的に使用される。
【0085】
「アミノ酸」は、本明細書において、IUPAC-IUB生化学命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)によって推奨される、その一般的に公知の3文字記号
または1文字記号のいずれかで言及されている。ヌクレオチドも同様に、その一般的に受け入れられた一文字コードで言及することができる。
【0086】
用語「操作された」、「組換え」、「非天然起源の」および「バリアント」は、細胞、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに関して使用される場合、他の仕方では自然に存在しない様式で修飾されたまたはそれと同一であるが産生されたまたは合成材料に由来するおよび/または組換え技法を使用した操作による、材料または該材料の天然もしくはネイティブ型に相当する材料を指す。
【0087】
本明細書において、「野生型」および「天然起源の」は、自然に存在する形態を指す。例えば、野生型ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、自然における供給源から単離することができる、ヒトの操作によって意図的に修飾されていない、生物に存在する配列である。
【0088】
「脱免疫化」は、本明細書において、野生型または参照タンパク質ほど免疫原性ではないバリアントを作製するためのタンパク質の操作を指す。一部の実施形態において、バリアントタンパク質が、該バリアントタンパク質が投与された患者における免疫応答を刺激しないという点において、脱免疫化は完全である。この応答は、タンパク質の投与による中和(即ち、抗薬物抗体)の存在もしくは存在量、アナフィラキシー応答の存在、またはサイトカイン放出の普及もしくは強度等が挙げられるがこれらに限定されない、様々な方法によって測定することができる。一部の実施形態において、バリアントタンパク質は、野生型または参照タンパク質よりも免疫原性が低い。一部の実施形態において、脱免疫化は、T細胞受容体によって認識されるタンパク質(例えば、エピトープ)の修飾に関与する。一部の実施形態において、脱免疫化されたバリアントタンパク質を産生するために、T細胞エピトープが、野生型または参照タンパク質から除去される。一部の実施形態において、脱免疫化されたタンパク質は、樹状細胞T細胞活性化アッセイまたはヒト白血球抗原(HLA)ペプチド結合アッセイを含む、ヒト免疫学的応答の生化学的および細胞生物学的予測因子においてより低いレベルの応答を示す。
【0089】
「コード配列」は、タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸の部分(例えば、遺伝子)を指す。
【0090】
用語「パーセント(%)の配列同一性」は、本明細書において、ポリヌクレオチドおよびポリペプチド間の比較を指すよう使用され、比較ウィンドウにわたり2種の最適に整列された配列を比較することにより決定され、比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分は、2配列の最適アライメントのための参照配列と比較して付加または欠失(即ち、ギャップ)を含むことができる。パーセンテージは、両方の配列に同一核酸塩基またはアミノ酸残基が生じる位置の数を決定してマッチした位置の数を得て、マッチした位置の数を比較のウィンドウにおける位置の総数で割り、この結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを得ることにより計算することができる。あるいは、パーセンテージは、両方の配列に同一核酸塩基またはアミノ酸残基が生じる位置の数を決定し、あるいは核酸塩基またはアミノ酸残基がギャップと共に整列されて、マッチした位置の数を得て、マッチした位置の数を比較のウィンドウにおける位置の総数で割り、この結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを得ることにより計算することができる。当業者であれば、2配列の整列に利用できる多くの確立されたアルゴリズムが存在することを認める。比較のための配列の最適アライメントは、例えば、本技術分野において公知の通り、SmithとWatermanの局所的相同性アルゴリズム(SmithおよびWaterman、Adv. Appl. Math.、2巻:482頁[1981年])、Needl
emanとWunschの相同性アライメントアルゴリズム(NeedlemanおよびWunsch、J. Mol. Biol.、48巻:443頁[1970年])、PearsonとLipmanの類似性探索方法(PearsonおよびLipman、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85巻:2
444頁[1988年])、これらのアルゴリズムのコンピュータ処理された実行(例えば、GCG Wisconsin Software PackageにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)または目視検査により行うことができる。パーセントの配列同一性および配列類似性の決定に適したアルゴリズムの例として、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズム(例えば、Altschulら、J. Mol. Biol.、215巻:403~410頁[1990年];およびAltschulら、Nucleic Acids
Res.、3389~3402頁[1977年]を参照)が挙げられるがこれらに限定されない。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)ウェブサイトによって
公開されている。このアルゴリズムは、先ず、データベース配列における同じ長さのワードと整列すると、ある正の値の閾値スコア「T」にマッチするまたは満たす、問い合わせ配列における長さ「W」の短いワードを同定することによる、高スコアリング配列ペア(HSP)の同定に関与する。Tは、近隣ワードスコア閾値と称される(Altschulら、上記参照)。このような初期近隣ワードヒットは、これを含有するより長いHSPを発見するための探索を開始するためのシーズとして作用する。次に、ワードヒットは、累積的アライメントスコアが増加できるところまで、各配列に沿って両方向に伸長される。累積的スコアは、ヌクレオチド配列に関して、パラメータ「M」(マッチする残基ペアのための報酬スコア;常に>0)および「N」(ミスマッチ残基のための罰則スコア;常に<0)を使用して計算される。アミノ酸配列に関して、スコアリングマトリックスを使用して、累積的スコアを計算する。累積的アライメントスコアが、その最大達成値から含量「X」だけ離れる;1または複数の負のスコアリング残基アライメントの蓄積により、累積的スコアがゼロまたはそれを下回る;あるいはいずれかの配列の終わりに達した場合に、各方向におけるワードヒットの伸長は停止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、TおよびXは、アライメントの感度およびスピードを決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとして、ワード長(W)11、予想(E)10、M=5、N=-4および両方の鎖の比較を使用する。アミノ酸配列のため、BLASTPプログラムは、デフォルトとしてワード長(W)3、予想(E)10およびBLOSUM62スコアリングマトリックス(例えば、HenikoffおよびHenikoff、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89巻:10915頁[1989年]を参照)を使用する。配列アライメントおよび%配列同一性の例示的な決定は、提供されているデフォルトパラメータを使用して、GCG Wisconsin Software package(Accelrys、ウィスコンシン州マディソン)におけるBESTFITまたはGAPプログラムを用いることができる。
【0091】
「参照配列」は、配列比較のための基盤として使用される定義された配列を指す。参照配列は、より大型の配列のサブセット、例えば、全長遺伝子またはポリペプチド配列のセグメントとなり得る。一般に、参照配列は、少なくとも20ヌクレオチドもしくはアミノ酸残基の長さ、少なくとも25残基の長さ、少なくとも50残基の長さ、少なくとも100残基の長さであるまたは核酸もしくはポリペプチドの全長である。2種のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、それぞれ(1)2配列の間で類似の配列(即ち、完全配列の一部)を含むことができ、(2)2配列間で多岐にわたる配列をさらに含むことができるため、2種(またはそれを超える)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの間の配列比較は、「比較ウィンドウ」にわたり2種のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列を比較して、配列類似性の局所的領域を同定および比較することにより典型的に行われる。一部の実施形態において、「参照配列」は、参照配列が一次配列に1個または複数の変化を有し得る配列である、一次アミノ酸配列に基づくことができる。例えば、語句「X39に相当する残基にバリンを有する配列番号4に基づく参照配列」は、配列番号4における位置X39における相当する残基(例えば、アラニン)がバリンに変化した参照配列を指す。
【0092】
「比較ウィンドウ」は、少なくとも約20個の近接ヌクレオチド位置またはアミノ酸残基の概念的セグメントを指し、配列は、少なくとも20個の近接ヌクレオチドまたはアミノ酸の参照配列と比較することができ、比較ウィンドウにおける配列の一部は、2配列の最適アライメントのための参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して、20パーセントまたはそれに満たない付加または欠失(即ち、ギャップ)を含むことができる。比較ウィンドウは、20個の近接残基よりも長くなることができ、任意選択で30、40、50、100またはそれよりも長いウィンドウを含む。
【0093】
「に相当する」、「を参照」および「と比べて」は、所定のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列のナンバリングの文脈において使用される場合、所定のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列が参照配列と比較される際の指定の参照配列の残基のナンバリングを指す。換言すると、所定のポリマーの残基数または残基位置は、所定のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列内の残基の実際の数値位置ではなく、参照配列に関して命名される。例えば、操作されたPALの配列等、所定のアミノ酸配列は、ギャップを導入して、2配列間の残基マッチを最適化することにより、参照配列と整列することができる。このような場合、ギャップが存在していても、所定のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列における残基のナンバリングは、それと整列された参照配列に関して為される。
【0094】
「アミノ酸の差異」および「残基の差異」は、参照配列の相当する位置におけるアミノ酸残基と比べた、ポリペプチド配列の位置におけるアミノ酸残基の差異を指す。アミノ酸の差異の位置は一般に、本明細書において、「Xn」(式中、nは、残基の差異が基づく参照配列における相当する位置を指す)と称される。例えば、「配列番号4と比較した位置X91における残基の差異」は、配列番号4の位置91に相当するポリペプチド位置におけるアミノ酸残基の差異を指す。よって、配列番号4の参照ポリペプチドが、位置91にアラニンを有する場合、「配列番号4と比較した位置X91における残基の差異」は、配列番号4の位置91に相当するポリペプチドの位置におけるアラニン以外のいずれかの残基のアミノ酸置換を指す。本明細書における大部分の事例において、ある位置における特異的なアミノ酸残基の差異は、「XnY」(式中、「Xn」は、参照ポリペプチドの相当する残基および位置を指定し(上述通り)、「Y」は、操作されたポリペプチドに存在するアミノ酸の一文字識別子である(即ち、参照ポリペプチドのものとは異なる残基))と示す。一部の事例において(例えば、実施例中の表における)、本開示は、従来の表示法「AnB」(式中、Aは、参照配列における残基の一文字識別子であり、「n」は、参照配列における残基位置の数であり、Bは、操作されたポリペプチドの配列における残基置換の一文字識別子である)によって表示される、特異的なアミノ酸の差異も提示する。一部の事例において、本開示のポリペプチドは、参照配列と比べて1個または複数のアミノ酸残基の差異を含むことができ、これは、参照配列と比べて残基の差異が存在する指定の位置のリストによって示される。一部の実施形態において、ポリペプチドの特異的な残基位置において2種以上のアミノ酸が使用され得る場合、使用され得る様々なアミノ酸残基は、「/」によって隔てられる(例えば、X307G/X307QまたはX307G/Q)。本開示は、保存的および非保存的アミノ酸置換のいずれか一方/または両方を含む、1個または複数のアミノ酸の差異を含む操作されたポリペプチド配列を含む。
【0095】
用語「アミノ酸置換セット」および「置換セット」は、ポリペプチド配列内のアミノ酸置換の群を指す。一部の実施形態において、置換セットは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個またはそれを超えるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態において、置換セットは、実施例中の表のいずれかに収載されているバリアントAvPALポリペプチドのいずれかに存在するアミノ酸置換のセットを指す。例えば、バリアント36に存在する置換セットは、A39V/A91V/N290G/H307G/L407V/T524Sであり、アミノ酸位置は、配列番号4と比べたものである。
【0096】
「保存的アミノ酸置換」は、同様の側鎖を有する異なる残基による残基の置換を指し、よって、典型的に、同じまたは同様の定義されたアミノ酸クラス内のアミノ酸による、ポリペプチドにおけるアミノ酸の置換に関与する。限定するのではなく例として、脂肪族側鎖内のアミノ酸は、別の脂肪族アミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン)と置換することができ;ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸は、ヒドロキシル側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、セリンおよびスレオニン)と置換され;芳香族側鎖を有するアミノ酸は、芳香族側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンおよびヒスチジン)と置換され;塩基性側鎖を有するアミノ酸は、塩基性(basis)側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、リシンおよびアルギニン)と
置換され;酸性側鎖を有するアミノ酸は、酸性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)と置換され;疎水性または親水性アミノ酸は、それぞれ別の疎水性または親水性アミノ酸に置き換えられる。
【0097】
「非保存的置換」は、有意に異なる側鎖特性を有するアミノ酸による、ポリペプチドにおけるアミノ酸の置換を指す。非保存的置換は、定義された群内ではなく群間のアミノ酸を使用することができ、(a)置換の区域におけるペプチド骨格の構造(例えば、グリシンに対しプロリン);(b)電荷もしくは疎水性;および/または(c)側鎖の体積に影響を与え得る。限定するのではなく例として、例示的な非保存的置換は、塩基性または脂肪族アミノ酸に置換された酸性アミノ酸;小型のアミノ酸に置換された芳香族アミノ酸;および疎水性アミノ酸に置換された親水性アミノ酸を含む。
【0098】
「欠失」は、参照ポリペプチドからの1個または複数のアミノ酸の除去による、ポリペプチドの修飾を指す。欠失は、酵素活性を保持しつつ、および/または操作されたトランスアミナーゼ酵素の改善された特性を保持しつつ、参照酵素を構成する1個もしくはそれを超えるアミノ酸、2個もしくはそれを超えるアミノ酸、5個もしくはそれを超えるアミノ酸、10個もしくはそれを超えるアミノ酸、15個もしくはそれを超えるアミノ酸または20個もしくはそれを超えるアミノ酸、アミノ酸総数の最大10%またはアミノ酸総数の最大20%の除去を含むことができる。欠失は、ポリペプチドの内部部分および/または末端部分を対象とすることができる。様々な実施形態において、欠失は、連続的セグメントを含むことができる、あるいは不連続となり得る。
【0099】
「挿入」は、参照ポリペプチドへの1個または複数のアミノ酸の付加による、ポリペプチドの修飾を指す。挿入は、ポリペプチドの内部部分において為しても、カルボキシまたはアミノ末端に為してもよい。挿入は、本明細書において、本技術分野において公知の融合タンパク質を含む。挿入は、アミノ酸の近接セグメントであっても、天然起源のポリペプチドにおける1個または複数のアミノ酸に隔てられてもよい。
【0100】
用語「機能的断片」および「生物学的活性を有する断片」は、アミノ末端および/またはカルボキシ末端の欠失(複数可)および/または内部欠失を有するが、残るアミノ酸配列が、これと比較されている配列(例えば、本発明の全長の操作されたPAL)における相当する位置と同一であり、全長ポリペプチドの活性を実質的に全て保持する、ポリペプチドを指すよう本明細書において互換的に使用される。
【0101】
「単離されたポリペプチド」は、天然においてはこれに付随する他の夾雑物(例えば、タンパク質、脂質およびポリヌクレオチド)から実質的に分離されたポリペプチドを指す。この用語は、その天然起源の環境または発現系(例えば、宿主細胞またはin vitro合成)から除去または精製されたポリペプチドを包接する。組換えPALポリペプチドは、細胞内に存在し得る、細胞培地に存在し得る、あるいはライセートまたは単離された調製物等、様々な形態で調製され得る。そのようなものとして、一部の実施形態において、本明細書に提示されている組換えPALポリペプチドは、単離されたポリペプチドである。
【0102】
「実質的に純粋なポリペプチド」は、ポリペプチド種が、存在する優勢種である(即ち、モル濃度または重量基盤で、組成物中の他のいかなる個々の高分子種よりも豊富である)組成物を指し、対象種が、モルまたは%重量で存在する高分子種の少なくとも約50パーセントを構成する場合、一般に、実質的に精製された組成物である。一般に、実質的に純粋なPAL組成物は、モルまたは%重量で組成物中に存在する全高分子種の約60%またはそれ超、約70%またはそれ超、約80%またはそれ超、約90%またはそれ超、約95%またはそれ超および約98%またはそれ超を構成することになる。一部の実施形態において、対象種は、本質的均一性となるまで(即ち、従来の検出方法によって組成物中に夾雑物種を検出できなくなるまで)精製され、組成物は、単一の高分子種から本質的になる。溶媒種、小分子(<500ダルトン)および元素イオン種は、高分子種と考慮されない。一部の実施形態において、単離された組換えPALポリペプチドは、実質的に純粋なポリペプチド組成物である。
【0103】
「改善された酵素特性」は、野生型PALポリペプチド(例えば、配列番号4を有するAvPAL野生型)または別の操作されたPALポリペプチド等、参照PALポリペプチドと比較していずれかの酵素特性における改善を示す、操作されたPALポリペプチドを指す。改善された特性として、増加したタンパク質発現、増加した熱活性、増加した熱安定性、増加したpH活性、増加した安定性、増加した酵素活性、増加した基質特異性および/または親和性、増加した特異的活性、基質および/または最終産物阻害に対する増加した抵抗性、増加した化学的安定性、改善された官能基選択性、改善された溶媒安定性、酸性pHに対する増加した耐性、タンパク質分解活性に対する増加した耐性(即ち、タンパク質分解に対する低下した感受性)、低下した凝集、増加した溶解度、低下した免疫原性ならびに変更された温度プロファイル等の特性が挙げられるがこれらに限定されない。
【0104】
「増加した酵素活性」および「増強された触媒活性」は、操作されたPALポリペプチドの改善された特性を指し、これは、参照PAL酵素(例えば、野生型AvPALおよび/または別の操作されたAvPAL)と比較した、特異的活性(例えば、産生される産物/時間/重量タンパク質)の増加および/または基質から産物へのパーセント変換の増加(例えば、指定された量のPALを使用した指定された期間における基質の出発量から産物へのパーセント変換)によって表すことができる。酵素活性を決定するための例示的な方法は、実施例に提示されている。その変化が酵素活性の増加をもたらし得る、K、Vmaxまたはkcatの古典的酵素特性を含む、酵素活性に関するいかなる特性が影響されてもよい。酵素活性における改善は、相当する野生型酵素の酵素活性の約1.1倍から、PALポリペプチドが由来する天然起源のPALまたは別の操作されたPALの2倍、5倍、10倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍、150倍、200倍またはそれを超える大きさの酵素活性となり得る。
【0105】
一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、少なくとも0.1/秒、少なくとも0.2/秒、少なくとも0.3/秒、少なくとも0.5/秒、少なくとも1.0/秒、一部の好ましい実施形態においては、1.0/秒を超えるkcatを有する。一部の実施形態において、Kは、約1μm~約5mMの範囲内;約5μm~約2mMの範囲内;約10μm~約2mMの範囲内;または約10μm~約1mMの範囲内である。一部の特異的な実施形態において、操作されたPAL酵素は、参照PAL酵素の1.5~10倍、1.5~25倍、1.5~50倍、1.5~100倍またはそれを超える範囲内の改善された酵素活性を示す。PAL活性は、本技術分野において公知のいずれかの標準アッセイにより測定することができる(例えば、反応物または産物の分光光度的特性の変化をモニターすることにより)。一部の実施形態において、産生された産物の量は、直接的にまたはo-フタルジアルデヒド(OPA)誘導体化後に、UV吸光度または蛍光検出と組み合わせた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分離により測定される。一部の実施形態において、酵素活性の比較は、本明細書において詳細にさらに記載されている通り、定義された酵素調製物、セット条件下の定義されたアッセイおよび1種または複数の定義された基質を使用して為される。一般に、ライセートが比較される場合、宿主細胞によって産生され、ライセート中に存在する酵素の量の変動を最小化するために、同一発現系および同一宿主細胞を使用すると共に、細胞の数およびアッセイされるタンパク質の量が決定される。
【0106】
用語「酸性pHに対する改善された耐性」は、本発明に係る組換えPALが、参照PALと比較して増加した安定性を示すことを意味する(即ち、指定された期間[1時間、最大24時間]酸性pHに曝露した後の、約pH7.0におけるより高い保持活性)。
【0107】
「生理的pH」は、本明細書において、対象(例えば、ヒト)の小腸に一般に存在するpH範囲を意味する。通常、幽門弁から大腸へと、約6.0~7.5の範囲内の勾配pHが存在する。
【0108】
酸性pH条件に対する改善された安定性または酸性pHに対する増加した耐性に関して使用される用語「酸性pH」は、約1.5~6.8のpH範囲を意味する。
【0109】
本明細書において互換的に使用される用語「タンパク質分解活性」および「タンパク質分解」は、タンパク質のより小型のポリペプチドまたはアミノ酸への分解を指す。タンパク質の分解は、一般に、プロテアーゼ(プロテイナーゼ)酵素によるペプチド結合の加水分解の結果である。プロテアーゼ酵素として、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ;カルボキシペプチダーゼAおよびBならびにペプチダーゼ(例えば、アミノペプチダーゼ、ジペプチダーゼおよびエンテロペプチダーゼ)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0110】
語句「タンパク質分解に対する感受性を低下」および「タンパク質分解感受性を低下」は、本明細書において互換的に使用されており、本発明に係る操作されたPALポリペプチドが、1種または複数のプロテアーゼで処理した後に、標準アッセイ(例えば、実施例に開示)において参照PALと比較してより高い酵素活性を有することになることを意味する。
【0111】
「凝集」は、PALポリペプチドの集塊または沈殿を意味する。凝集は、酵素の不活性化をもたらし得る。用語「低下した凝集」は、操作されたPALポリペプチドが、参照PALと比較して、凝集する傾向が少なくなることを意味する。凝集を評価するための方法が、本技術分野において公知であり、適切な色素(例えば、チオフラビンTまたはナイルレッド)による蛍光顕微鏡の使用、動的光散乱、適切な色素(例えば、ボディパイ)によるフローサイトメトリー、濾過ならびにSDS-PAGEおよび/またはウエスタンブロッティングによる分析、蛍光相関分光測定、ならびに電子顕微鏡等が挙げられるがこれらに限定されない。凝集を評価するための市販のキットが存在する(例えば、ProteoStat(登録商標)タンパク質凝集アッセイキット[Enzo])。
【0112】
「変換」は、基質(複数可)から相当する産物(複数可)への酵素変換(または生体内変換)を指す。「パーセント変換」は、指定された条件下である期間内に産物へと変換される基質のパーセントを指す。よって、PALポリペプチドの「酵素活性」または「活性」は、特異的な期間における基質から産物への「パーセント変換」として表現することができる。
【0113】
「ハイブリダイゼーションストリンジェンシー」は、核酸のハイブリダイゼーションにおける洗浄条件等のハイブリダイゼーション条件に関する。一般に、ハイブリダイゼーション反応は、より低いストリンジェンシーの条件下で行われ、続いて変動するがより高いストリンジェンシーの洗浄が為される。用語「中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション」は、標的DNAに対し約60%同一性、好ましくは、約75%同一性、約85%同一性、標的ポリヌクレオチドに対し約90%を超える同一性を有する相補的核酸に、標的DNAが結合することを可能にする条件を指す。例示的な中程度にストリンジェントな条件は、50%ホルムアミド、5×デンハルト(Denhart)溶液、5×SSPE、0
.2%SDSにおける42℃のハイブリダイゼーションと、続く0.2×SSPE、0.2%SDSにおける42℃の洗浄に均等な条件である。「高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション」は、一般に、定義されたポリヌクレオチド配列のための溶液条件下で決定される熱融解温度Tから約10℃またはそれより低い条件を指す。一部の実施形態において、高ストリンジェンシー条件は、0.018M NaClにおいて65℃で安定的ハイブリッドを形成する核酸配列のみのハイブリダイゼーションを可能にする条件を指す(即ち、0.018M NaClにおける65℃でハイブリッドが安定的でない場合、本明細書で考慮される高ストリンジェンシー条件下で安定的ではない)。高ストリンジェンシー条件は、例えば、50%ホルムアミド、5×デンハルト(Denhart)溶液、5×SS
PE、0.2%SDS、42℃に均等な条件におけるハイブリダイゼーションと、続く0.1×SSPEおよび0.1%SDSにおける65℃の洗浄により示すことができる。別の高ストリンジェンシー条件は、0.1%(w:v)SDSを含有する5×SSCにおける65℃のハイブリダイズに均等な条件におけるハイブリダイズおよび0.1%SDSを含有する0.1×SSCにおける65℃の洗浄である。他の高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件と共に中程度にストリンジェントな条件は、上に引用されている参考文献に記載されている。
【0114】
「コドン最適化」は、コードされるタンパク質が、特定の生物においてより効率的に発現されるように、タンパク質をコードするポリヌクレオチドのコドンを、該生物において優先的に使用されるコドンに変化させることを指す。「シノニム」または「同義」コドンと呼ばれる複数のコドンによって大部分のアミノ酸が表されるという点において、遺伝暗号は縮重するが、特定の生物によるコドン使用が非ランダムであり、特定のコドントリプレットに偏向していることが周知である。このようなコドン使用の偏向は、所定の遺伝子、共通機能または祖先起源の遺伝子、高度に発現されるタンパク質対低コピー数タンパク質、および生物のゲノムの凝集したタンパク質コード領域に関してより高くなり得る。一部の実施形態において、PAL酵素をコードするポリヌクレオチドは、発現のために選択された宿主生物からの最適な産生のためにコドン最適化される。
【0115】
「制御配列」は、本明細書において、本開示のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現に必要または有利なあらゆる構成成分を含むことを指す。各制御配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列に対してネイティブであっても外来性であってもよい。斯かる制御配列として、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター配列、シグナルペプチド配列、開始配列および転写ターミネーターが挙げられるがこれらに限定されない。最小でも、制御配列は、プロモーターならびに転写および翻訳終止シグナルを含む。一部の実施形態において、制御配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列のコード領域と制御配列とのライゲーションを容易にする特異的制限部位を導入する目的のリンカーと共に与えられる。
【0116】
「作動可能に連結」は、本明細書において、制御配列が、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現を方向づけるまたは調節するように、目的のポリヌクレオチドに応じた位置に制御配列が適切に(即ち、機能的関係性で)配置された構成として定義される。
【0117】
「プロモーター配列」は、コード配列等、目的のポリヌクレオチドの発現のために宿主細胞によって認識される核酸配列を指す。プロモーター配列は、目的のポリヌクレオチドの発現を媒介する転写制御配列を含有する。プロモーターは、突然変異体、トランケート型およびハイブリッドプロモーターを含む、最適な宿主細胞において転写活性を示すいかなる核酸配列となることもでき、宿主細胞と同種または異種のいずれかの細胞外または細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得ることができる。
【0118】
「適した反応条件」は、本開示のPALポリペプチドが、基質を所望の産物化合物に変換することができる、酵素変換反応溶液における条件を指す(例えば、酵素ロード、基質ロードの範囲、温度、pH、バッファー、共溶媒等)。例示的な「適した反応条件」は、本明細書に提示されている(実施例を参照)。
【0119】
「化合物ロード」または「酵素ロード」等における「ロード」は、反応開始の際の反応混合物における構成成分の濃度または量を指す。酵素変換反応プロセスの文脈における「基質」は、PALポリペプチドによって作用される化合物または分子を指す。酵素変換プロセスの文脈における「産物」は、基質におけるPALポリペプチドの作用に起因する化合物または分子を指す。
【0120】
本明細書において、用語「培養」は、いずれか適した培地(例えば、液体、ゲルまたは固体)を使用した、適した条件下での微生物細胞の集団の育成を指す。
【0121】
組換えポリペプチド(例えば、PAL酵素バリアント)は、本技術分野において公知のいずれか適した方法を使用して産生することができる。例えば、当業者に周知の多種多様な異なる突然変異誘発技法が存在する。加えて、多くの商業的分子生物学サプライヤーから突然変異誘発キットを入手することもできる。定義されたアミノ酸における特異的な置換(部位特異的)、遺伝子の局在化された領域における特異的もしくはランダム突然変異(領域(regio)特異的)または遺伝子全体にわたるランダム突然変異誘発(例えば、飽
和突然変異誘発)を作製するための方法を利用することができる。PCRを使用した一本鎖DNAもしくは二本鎖DNAの部位特異的突然変異誘発、カセット突然変異誘発、遺伝子合成、エラープローンPCR、シャッフリングおよび化学的飽和突然変異誘発、または本技術分野において公知の他のいずれかの適した方法等が挙げられるがこれらに限定されない、酵素バリアントを作製するための多数の適した方法が当業者に公知である。DNAおよびタンパク質操作のために使用される方法の非限定例は、次の特許に示されている:米国特許第6,117,679号;米国特許第6,420,175号;米国特許第6,376,246号;米国特許第6,586,182号;米国特許第7,747,391号;米国特許第7,747,393号;米国特許第7,783,428号;および米国特許第8,383,346号。バリアントが産生された後に、バリアントは、いずれか所望の特性に関してスクリーニングすることができる(例えば、高いもしくは増加した活性、または低いもしくは低下した活性、増加した熱活性、増加した熱安定性、および/または酸性pH安定性等)。一部の実施形態において、「組換えPALポリペプチド」(本明細書において、「操作されたPALポリペプチド」、「バリアントPAL酵素」および「PALバリアント」とも称される)は、使用を見出す。
【0122】
本明細書において、「ベクター」は、細胞にDNA配列を導入するためのDNA構築物である。一部の実施形態において、ベクターは、DNA配列にコードされたポリペプチドの適した宿主における発現をもたらすことができる適した制御配列に作動可能に連結した発現ベクターである。一部の実施形態において、「発現ベクター」は、宿主細胞における発現を駆動するために、DNA配列(例えば、導入遺伝子)に作動可能に連結したプロモーター配列を有し、一部の実施形態において、転写ターミネーター配列も含む。
【0123】
本明細書において、用語「発現」は、転写、転写後修飾、翻訳および翻訳後修飾等が挙げられるがこれらに限定されない、ポリペプチドの産生に関与するいずれかのステップを含む。一部の実施形態において、この用語は、細胞からのポリペプチドの分泌も包含する。
【0124】
本明細書において、用語「産生」は、細胞によるタンパク質および/または他の化合物の産生を指す。この用語が、転写、転写後修飾、翻訳および翻訳後修飾等が挙げられるがこれらに限定されない、ポリペプチドの産生に関与するいずれかのステップを包含することが企図される。一部の実施形態において、この用語は、細胞からのポリペプチドの分泌も包含する。
【0125】
本明細書において、アミノ酸またはヌクレオチド配列(例えば、プロモーター配列、シグナルペプチド、ターミネーター配列等)が、これと作動可能に連結した別の配列と自然において関連していない場合、この2配列は「異種」である。
【0126】
本明細書において、用語「宿主細胞」および「宿主株」は、本明細書に提示されているDNA(例えば、少なくとも1種のAvPALバリアントをコードするポリヌクレオチド配列)を含む発現ベクターに適した宿主を指す。一部の実施形態において、宿主細胞は、本技術分野において公知の組換えDNA技法を使用して構築されたベクターにより形質転換またはトランスフェクトされた原核または真核細胞である。
【0127】
用語「類似体」は、参照ポリペプチドと70%を超える配列同一性だが100%に満たない配列同一性(例えば、75%、78%、80%、83%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を超える配列同一性)を有するポリペプチドを意味する。一部の実施形態において、類似体は、天然起源のアミノ酸と共に、ホモアルギニン、オルニチンおよびノルバリン等が挙げられるがこれらに限定されない非天然起源のアミノ酸残基を含む。一部の実施形態において、類似体は、1種または複数のD-アミノ酸残基と共に、2個またはそれを超えるアミノ酸残基の間の非ペプチド連結も含む。
【0128】
用語「治療薬」は、有益なまたは望ましい医学的効果を有する、病理の徴候または症状を示す対象に投与される化合物を指す。
【0129】
用語「医薬組成物」は、本発明に包含される薬学的有効量の操作されたPALポリペプチドと、許容される担体とを含む、哺乳動物対象(例えば、ヒト)における医薬品使用に適した組成物を指す。
【0130】
用語「有効量」は、所望の結果を生じるために十分な量を意味する。当業者であれば、ルーチン実験法を使用することにより有効量について決定することができる。
【0131】
用語「単離された」および「精製された」は、それと天然において関連する少なくとも1種の他の構成成分から除去された分子(例えば、単離された核酸、ポリペプチド等)または他の構成成分を指すように使用される。用語「精製された」は、絶対的な純度を要求するものではなく、むしろ相対的な定義として企図される。
【0132】
用語「対象」は、ヒト、非ヒト霊長類、家畜、コンパニオンアニマルおよび研究用動物(例えば、齧歯類およびウサギ目動物)等、哺乳動物を包含する。この用語は、雌と雄とを包含することが企図される。
【0133】
本明細書において、用語「患者」は、疾患を評価されている、これを処置されている、またはこれを経験しているいずれかの対象を意味する。
【0134】
用語「乳児」は、生後1カ月からおよそ一(1)歳の期間の小児を指す。本明細書において、用語「新生児」は、出生から生後28日目の期間の小児を指す。用語「未熟児」は、妊娠期間満20週目の後に、ただし満期の前に産まれた、一般に、出生時にほぼ500~ほぼ2499グラムの体重の乳児を指す。「極低出生時体重乳児」は、出生時に1500g未満の体重の乳児である。
【0135】
本明細書において、用語「小児」は、処置または研究手順の同意のための法定年齢に達していない者を指す。一部の実施形態において、この用語は、出生時と青年期との間にある者を指す。
【0136】
本明細書において、用語「成人」は、関連する管轄権の法定年齢に達した者を指す(例えば、米国では18歳)。一部の実施形態において、この用語は、いずれかの完全に成長し成熟した生物を指す。一部の実施形態において、用語「若年成人」は、18歳未満の、ただし性的成熟に達した者を指す。
【0137】
本明細書において、「組成物」および「製剤」は、いずれか適した使用(例えば、医薬組成物、食物性/栄養性補助食品、飼料等)のために企図された、本発明の少なくとも1種の操作されたPALを含む産物を包含する。
【0138】
組成物の「投与」およびこれを「投与する」という用語は、本発明の組成物を対象(例えば、PKUの効果を患う者)に与えることを意味する。
【0139】
用語「担体」は、医薬組成物に関して使用される場合、安定剤、保存剤およびアジュバント等、標準医薬品担体、バッファーおよび賦形剤のいずれかを意味する。
【0140】
用語「薬学的に許容される」は、いかなる望ましくない生物学的効果を引き起こすこともなく、またはこれが含有される構成成分のいずれかと有害な様式で相互作用することもなく対象に投与することができ、所望の生物学的活性を保有する材料を意味する。
【0141】
本明細書において、用語「賦形剤」は、活性医薬品成分(API;例えば、本発明の操作されたPALポリペプチド)以外の、いずれかの薬学的に許容される添加物、担体、希釈剤、アジュバントまたは他の成分を指す。賦形剤は、典型的に、製剤化および/または投与目的のために含まれる。
【0142】
用語「治療有効量」は、疾患/状態の症状に関して使用される場合、疾患/状態の1種または複数の症状を寛解、減弱または排除する、あるいは症状(複数可)(例えば、PKU)の発病を防止または遅延する、化合物(例えば、操作されたPALポリペプチド)の量および/または濃度を指す。一部の実施形態において、この用語は、研究者、医師、獣医師または他の臨床医によって探索される、組織、系または動物対象による生物学的(例えば、医学的)応答を誘発する組成物の量に関する使用である。
【0143】
用語「治療有効量」は、疾患/状態に関して使用される場合、疾患/状態を寛解、減弱または排除する、組成物の量および/または濃度を指す。
【0144】
用語「処置している」、「処置する」および「処置」は、防止的(例えば、予防的)および対症的処置を包含することが企図される。
【0145】
操作されたPALポリペプチド:
本発明の操作されたPALポリペプチドが由来する親PALポリペプチドは、Anabaena(例えば、A.variabilis)、Nostoc(例えば、N.punctiforme)、Rhodosporidium(例えば、R.toruloides)、Streptomyces(例えば、S.maritimusまたはS.verticillatus)、Oscillatoria sp.、Gloeocapsa sp.およびRivularia sp.等、細菌株を含む。これらの株に由来するPAL酵素が同定されており、周知のものである。Anabaena(A.variabilis)ATCC 29413およびNCBI YP_324488.1;Nostoc(N.punctiforme)ATCC 29133およびNCBI YP_00186563.1;Oscillatoria sp.PCC 6506およびNCBI ZP_07108482.1ならびにGloeocapsa sp.PCC7428およびNCBI YP_007127054.1由来の相同酵素配列を図1に示す。Nostoc punctiformeフェニルアラニン/ヒスチジンアンモニアリアーゼ「NpPHAL」(NCBI YP_001865631.1(配列番号30);Rivularia sp.ヒスチジンアンモニアリアーゼ「RspHAL」(NCBI YP_007056096.1(配列番号31);Oscillatoria sp.ヒスチジンアンモニアリアーゼ「Osp HAL」(NCBI YP_07108482.1(配列番号32);およびGloeocapsa sp.ヒスチジンアンモニアリアーゼ「GspHAL」(NCBI YP_007127054.1)(配列番号33)は、AvPAL(配列番号4)と70%を超える相同性を有する。
【0146】
さらに、特定のPALバリアント(即ち、操作されたPALポリペプチド)が、野生型PALまたは参照PALの配列における特定のアミノ酸残基の修飾の参照により言及される場合、均等な位置(複数可)(それぞれのアミノ酸配列間の任意選択のアミノ酸配列アライメントから決定される)において修飾された別のPALのバリアントが、本明細書に包含されることを理解されたい。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、上述の細菌株(即ち、Nostoc[N.punctiforme]、Rhodosporidium[R.toruloides]、Streptomyces[S.maritimusまたはS.verticillatus]、Oscillatoria
sp.、Gloeocapsa spおよびRivularia sp.)に収載されているポリペプチドのうちいずれか1種に由来する。一部の追加的な実施形態において、本発明の操作されたPALポリペプチドは、保存された活性部位Ala167-Ser168-Gly169を含み、配列番号4に対し少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を含む。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、PAL活性を含むだけではなく、チロシンおよび/またはヒスチジン基質における活性も含む。
【0147】
一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、少なくとも1種の操作されたPALポリペプチドをコードする少なくとも1種のポリヌクレオチド配列を含む微生物を、操作されたPALポリペプチドの産生の助けになる条件下で培養することにより産生される。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、その結果得られた培養培地および/または細胞からその後回収される。
【0148】
本発明は、PAL活性を有する例示的な操作されたPALポリペプチドを提供する。実施例は、操作されたPALポリペプチドの機能活性と特異的アミノ酸配列特色を相関させる、配列構造情報を示す表を提供する。この構造-機能相関情報は、配列番号4の参照の操作されたポリペプチドと比べた特異的アミノ酸残基の差異と共に、例示的な操作されたPALポリペプチドの関連する実験的に決定された活性データの形態で提供される。
【0149】
一部の実施形態において、PAL活性を有する本発明の操作されたPALポリペプチドは、a)参照配列の配列番号4に対し少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列;b)1個または複数のアミノ酸位置における配列番号4と比較したアミノ酸残基の差異を含み、c)参照配列と比較してi)増強された触媒活性、ii)低下したタンパク質分解感受性、iii)酸性pHに対する増加した耐性、iv)低下した凝集、またはi)、ii)、iii)もしくはiv)のいずれかの組合せから選択される改善された特性を示す。
【0150】
一部の実施形態において、少なくとも1種の改善された特性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号4と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有し、1個または複数のアミノ酸位置(配列番号4、または配列番号4と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有する配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、20個またはそれを超えるアミノ酸位置等)に配列番号4と比較したアミノ酸残基の差異を有する。一部の実施形態において、1個または複数の位置における配列番号4と比較した残基の差異は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれを超える保存的アミノ酸置換を含む。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、実施例に提示されている表に収載されたポリペプチドである。
【0151】
一部の実施形態において、少なくとも1種の改善された特性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号4と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有し、1個または複数のアミノ酸位置における配列番号4と比較したアミノ酸残基の差異は、配列番号4のアミノ酸配列と最適に整列された場合、X39;X54;X59;X73;X91;X158;X112、X134、X180;X195;X240;X243;X245;X256;X257;X270;X290;X304、X305;X307;X308;X326;X349;X353;X364;X394;X399;X400;X404;X407;X443;X453;X459;X460;X463;X474;X509;X521;X522;X524;X528;X546;X564;またはこれらのいずれかの組合せから選択される。一部の実施形態において、アミノ酸の差異は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15もしくは20個またはそれを超えるアミノ酸位置である。
【0152】
一部の実施形態において、少なくとも1種の改善された特性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号4に対し少なくとも85%(少なくとも88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%)の配列同一性を有し、位置H307におけるアミノ酸残基の差異と、任意選択で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれを超えるアミノ酸位置におけるアミノ酸残基の差異を含む。一部の実施形態において、位置307におけるアミノ酸残基の差異は、H307/G/Q/Mである。
【0153】
一部の実施形態において、少なくとも1種の改善された特性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号4に対し少なくとも85%(少なくとも88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%)の配列同一性を有し、A39;T54;G59、S73;A91;Y158;S180;K195;A112;R134;Q240;T243;I245;A256;L257;N270;N290;Y304;R305;H307;E308;I326;L349;D353;L364;A394;S399;N400;P404;L407;F443;N453;Y459;T460;T463;N474;E509;Q521;K522;T524;P528;S546;および/またはP564のうち1種または複数の組合せから選択される少なくとも1個のアミノ酸残基の差異を含む。一部の追加的な実施形態において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれを超えるアミノ酸位置に、アミノ酸残基の差異が存在する。
【0154】
一部の実施形態において、改善された特性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号4に対し少なくとも85%(少なくとも88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%)の配列同一性を有し、配列番号4と最適に整列された場合、A39V;T54K;G59R;S73K;A112C;R134Q;A91V;Y158H;S180A;K195E;Q240R/W;T243I/L;I245L;A256G;L257W/A;N270K;N290G;Y304H;R305M;H307G/Q/M;E308Q;I326F;L349M;D353A/N;L364Q;A394V;S399N;N400K;P404A;L407V;F443H;N453G;Y459F;T460G;T463N;N474Q;E509L;Q521K/S;K522Y/F/N;T524S;P528L;S546R;およびP564G/L/Mのうち1種または複数の組合せから選択されるアミノ酸残基の差異を含む。
【0155】
一部の実施形態において、アミノ酸残基の差異は、配列番号4と最適に整列された場合、A39V;A91V;A256G;N290G;A394V;S399N;P404A;L407V;K522Y/F/N;および/またはT524Sのうち1種または複数の組合せから選択される。
【0156】
一部の実施形態において、本発明は、操作されたPALポリペプチドの機能的断片を提供する。一部の実施形態において、機能的断片は、これが由来する操作されたPALポリペプチド(即ち、親操作されたPAL)の活性の少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を構成する。一部の実施形態において、機能的断片は、操作されたPALの親配列の少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を構成する。一部の実施形態において、機能的断片は、5個未満、10個未満、15個未満、10個未満、25個未満、30個未満、35個未満、40個未満、45個未満および50個未満のアミノ酸がトランケートされることになる。
【0157】
一部の実施形態において、本発明は、操作されたPALポリペプチドの機能的断片を提供する。一部の実施形態において、機能的断片は、これが由来する操作されたPALポリペプチド(即ち、親操作されたPAL)の活性の少なくとも約95%、96%、97%、98%または99%を構成する。一部の実施形態において、機能的断片は、操作されたPALの親配列の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%を構成する。一部の実施形態において、機能的断片は、5個未満、10個未満、15個未満、10個未満、25個未満、30個未満、35個未満、40個未満、45個未満、50個未満、55個未満、60個未満、65個未満または70個未満のアミノ酸がトランケートされることになる。
【0158】
一部の実施形態において、少なくとも1種の改善された特性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号6と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有し、配列番号6、または配列番号6と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有する配列と比較した1個または複数のアミノ酸位置(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15個またはそれを超えるアミノ酸位置等)に、配列番号6と比較したアミノ酸残基の差異を有する。一部の実施形態において、操作されたPALは、配列番号6に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれを超えるアミノ酸位置の、配列番号6と比較したアミノ酸の差異を含む。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、配列番号6の配列からなる。
【0159】
一部の実施形態において、少なくとも1種の改善された特性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号10またはその機能的断片と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有し、配列番号10、または配列番号10と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有する配列と比較した1個または複数のアミノ酸位置(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15個またはそれを超えるアミノ酸位置等)に、配列番号10と比較したアミノ酸残基の差異を有する。一部の実施形態において、操作されたPALは、配列番号10に対し少なくとも95%の配列同一性を含み、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれを超えるアミノ酸位置の、配列番号10と比較したアミノ酸の差異を含む。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、配列番号10の配列からなる。
【0160】
一部の実施形態において、少なくとも1種の改善された特性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号12またはその機能的断片と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有し、配列番号12、または配列番号12と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有する配列と比較した1個または複数のアミノ酸位置(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15個またはそれを超えるアミノ酸位置等)に、配列番号12と比較したアミノ酸残基の差異を有する。一部の実施形態において、操作されたPALは、配列番号12に対し少なくとも95%の配列同一性を含み、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれを超えるアミノ酸位置の、配列番号12と比較したアミノ酸の差異を含む。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、配列番号12の配列からなる。
【0161】
一部の実施形態において、少なくとも1種の改善された特性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号14またはその機能的断片と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有し、配列番号14、または配列番号14と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有する配列と比較した1個または複数のアミノ酸位置(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15個またはそれを超えるアミノ酸位置等)に、配列番号14と比較したアミノ酸残基の差異を有する。一部の実施形態において、操作されたPALは、配列番号14に対し少なくとも95%の配列同一性を含み、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれを超えるアミノ酸位置の、配列番号14と比較したアミノ酸の差異を含む。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、配列番号14の配列からなる。
【0162】
一部の実施形態において、少なくとも1種の改善された特性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号16またはその機能的断片と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有し、配列番号16、または配列番号16と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有する配列と比較した1個または複数のアミノ酸位置(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15個またはそれを超えるアミノ酸位置等)に、配列番号16と比較したアミノ酸残基の差異を有する。一部の実施形態において、操作されたPALは、配列番号16に対し少なくとも95%の配列同一性を含み、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれを超えるアミノ酸位置の、配列番号16と比較したアミノ酸の差異を含む。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、配列番号16の配列からなる。
【0163】
一部の実施形態において、少なくとも1種の改善された特性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号18またはその機能的断片と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有し、配列番号18、または配列番号18と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有する配列と比較した1個または複数のアミノ酸位置(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15個またはそれを超えるアミノ酸位置等)に、配列番号18と比較したアミノ酸残基の差異を有する。一部の実施形態において、操作されたPALは、配列番号18に対し少なくとも95%の配列同一性を含み、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれを超えるアミノ酸位置の、配列番号18と比較したアミノ酸の差異を含む。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、配列番号18の配列からなる。
【0164】
一部の実施形態において、少なくとも1種の改善された特性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号20またはその機能的断片と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有し、配列番号20、または配列番号20と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有する配列と比較した1個または複数のアミノ酸位置(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15個またはそれを超えるアミノ酸位置等)に、配列番号20と比較したアミノ酸残基の差異を有する。一部の実施形態において、操作されたPALは、配列番号20に対し少なくとも95%の配列同一性を含み、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれを超えるアミノ酸位置の、配列番号20と比較したアミノ酸の差異を含む。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、配列番号20の配列からなる。
【0165】
一部の実施形態において、少なくとも1種の改善された特性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号22またはその機能的断片と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有し、配列番号22、または配列番号22と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有する配列と比較した1個または複数のアミノ酸位置(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15個またはそれを超えるアミノ酸位置等)に、配列番号22と比較したアミノ酸残基の差異を有する。一部の実施形態において、操作されたPALは、配列番号22に対し少なくとも95%の配列同一性を含み、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれを超えるアミノ酸位置の、配列番号22と比較したアミノ酸の差異を含む。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、配列番号22の配列からなる。
【0166】
一部の実施形態において、少なくとも1種の改善された特性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号24またはその機能的断片と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有し、配列番号24、または配列番号24と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有する配列と比較した1個または複数のアミノ酸位置(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15個またはそれを超えるアミノ酸位置等)に、配列番号24と比較したアミノ酸残基の差異を有する。一部の実施形態において、操作されたPALは、配列番号24に対し少なくとも95%の配列同一性を含み、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれを超えるアミノ酸位置の、配列番号24と比較したアミノ酸の差異を含む。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、配列番号24の配列からなる。
【0167】
タンパク質分解に対する低下した感受性を有するバリアント:
一部の実施形態において、本発明の操作されたPALポリペプチドは、PAL活性を有し、タンパク質分解に対する低下した感受性を示し、a)参照配列の配列番号4に対し少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列;およびb)1個または複数のアミノ酸位置に、配列番号4と比較したアミノ酸残基の差異を含む。
【0168】
一部の実施形態において、タンパク質分解に対する低下した感受性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号4と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有し、1個または複数のアミノ酸位置(配列番号4、または配列番号4と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有する配列と比較した1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、20個またはそれを超えるアミノ酸位置等)に、配列番号4と比較したアミノ酸残基の差異を有する。
【0169】
一部の実施形態において、タンパク質分解に対する低下した感受性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号4と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有し、配列番号4のアミノ酸配列と最適に整列された場合、X39;X54;X59;X73;X91;X158;X112、X134、X180;X195;X240;X243;X245;X256;X257;X270;X290;X304、X305;X307;X308;X326;X349;X353;X364;X394;X399;X400;X404;X407;X443;X453;X459;X460;X463;X474;X509;X521;X522;X524;X528;X546;X564;またはこれらのいずれかの組合せから選択される1個または複数のアミノ酸位置に、配列番号4と比較したアミノ酸残基の差異を有する。一部の実施形態において、アミノ酸の差異は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15もしくは20個またはそれを超えるアミノ酸位置である。
【0170】
一部の実施形態において、タンパク質分解に対する低下した感受性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号4に対し少なくとも85%、少なくとも88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、位置X307;X326;X460;X307;および/またはX528におけるアミノ酸残基の差異、ならびに任意選択で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれを超えるアミノ酸位置におけるアミノ酸残基の差異を含む。一部の実施形態において、アミノ酸残基の差異は、配列番号4と整列された場合、Y304H/W;R305L/M;H307G/M/Q;I326F;Q240W;T460G;P528L;および組合せたこれらの置換のいずれかから選択される。
【0171】
一部の実施形態において、タンパク質分解に対する低下した感受性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号10、12、14、16、18、20、22および/または24、またはこれらの機能的断片のうちいずれかと少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有し、配列番号10、12、14、16、18、20、22および/または24、あるいは配列番号10、12、14、16、18、20、22および/または24と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有する配列と比較した1個または複数のアミノ酸位置(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15またはそれを超えるアミノ酸位置等)に、配列番号10、12、14、16、18、20、22および/または24と比較したアミノ酸残基の差異を有する。一部の実施形態において、操作されたPALは、配列番号10、12、14、16、18、20、22および/または24に対し少なくとも95%の配列同一性を含み、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれを超えるアミノ酸位置の、配列番号10、12、14、16、18、20、22および/または24と比較したアミノ酸の差異を含む。一部の実施形態において、PALは、配列番号10、12、14、16、18、20、22および/または24の配列を含むまたはこれからなる。
【0172】
一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドのタンパク質分解感受性は、野生型PAL(例えば、配列番号4を有するAvPAL)の、または基本的に同じ条件下で参照PALポリペプチドと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%低下する。タンパク質分解活性は、実施例に記載されている方法等が挙げられるがこれらに限定されない、本技術分野において公知のいずれか適した方法を使用して測定することができる。
【0173】
一部の実施形態において、参照PALおよび低下した感受性を有する操作されたPALの両方が比較され、基本的に同じ条件下で基本的に同じ量および種類のプロテアーゼに曝露される場合、タンパク質分解に対する低下した感受性を有する操作されたPALポリペプチドは、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、カルボキシペプチダーゼAおよびB、ペプチダーゼ(例えば、アミノペプチダーゼ、ジペプチダーゼおよびエンテロペプチダーゼ)等が挙げられるがこれらに限定されない、1種または複数のプロテアーゼを含む組成物に対する低下した感受性を有する。
【0174】
一部の実施形態において、タンパク質分解に対する低下した感受性を有する操作されたPALポリペプチドは、参照PAL(例えば、AvPAL)の酵素活性の約1.0倍、2倍、5倍、10倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍、150倍、200倍またはそれを超える酵素活性レベルを有する。一部の実施形態において、活性が、4.5~7.5のpH範囲において測定される場合;活性が、4.5~6.5のpH範囲において測定される場合;活性が、5.0~7.5のpH範囲において測定される場合;活性が、5.0~6.5のpH範囲において測定される場合;活性が、5.5~7.5のpH範囲において測定される場合;および/または同様に活性が、5.5~6.5のpH範囲において測定される場合、操作されたポリペプチドは、参照PALと比較してより大きい酵素活性を有する。一部の他の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、1μM~5mMの範囲内のK値を有する。
【0175】
酸性pHに対する増加した耐性を有するバリアント:
一部の実施形態において、本発明の操作されたPALポリペプチドは、PAL活性を有し、酸性pHレベルに耐容性を示し、a)参照配列の配列番号4またはその断片に対し少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列;およびb)1個または複数のアミノ酸位置に、配列番号4と比較したアミノ酸残基の差異を含む。
【0176】
一部の実施形態において、野生型AvPALおよび/または別の参照ポリペプチドと比較して酸性pHに対する増加した耐性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号4と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有し、配列番号4、または配列番号4と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有する配列と比較した1個または複数のアミノ酸位置(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、20個またはそれを超えるアミノ酸位置等)に、配列番号4と比較したアミノ酸残基の差異を有する。
【0177】
一部の実施形態において、野生型AvPALおよび/または別の参照ポリペプチドと比較して酸性pHに対する増加した耐性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号4と少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性を有し、配列番号4のアミノ酸配列と最適に整列された場合、X39;X54;X59;X73;X91;X158;X112、X134、X180;X195;X240;X243;X245;X256;X257;X270;X290;X304、X305;X307;X308;X326;X349;X353;X364;X394;X399;X400;X404;X407;X443;X453;X459;X460;X463;X474;X509;X521;X522;X524;X528;X546;X564;またはこれらのいずれかの組合せから選択される1個または複数のアミノ酸位置に、配列番号4と比較したアミノ酸残基の差異を有する。一部の実施形態において、アミノ酸の差異は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15もしくは20個またはそれを超えるアミノ酸位置である。
【0178】
一部の実施形態において、野生型AvPALおよび/または別の参照ポリペプチドと比較して酸性pHに対する増加した耐性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号4に対し少なくとも85%、少なくとも88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、位置X39;X54;X59;X73;X91;X158;X112、X134、X180;X195;X240;X243;X245;X256;X257;X270;X290;X304、X305;X307;X308;X326;X349;X353;X364;X394;X399;X400;X404;X407;X443;X453;X459;X460;X463;X474;X509;X521;X522;X524;X528;X546;X564;またはこれらのいずれかの組合せにおけるアミノ酸残基の差異;および任意選択で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれを超えるアミノ酸位置におけるアミノ酸残基の差異を含む。一部の実施形態において、アミノ酸残基の差異は、配列番号4と整列した場合、A39;T54;G59、S73;A91;Y158;S180;K195;A112;R134;Q240;T243;I245;A256;L257;N270;N290;Y304;R305;H307;E308;I326;L349;D353;L364;A394;S399;N400;P404;L407;F443;N453;Y459;T460;T463;N474;E509;Q521;K522;T524;P528;S546;および/またはP564である。一部の実施形態において、酸性pHに対する増加した耐性を示す操作されたPALポリペプチドは、配列番号4に対し少なくとも85%、少なくとも88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、配列番号4と整列された場合、1個または複数の位置A39V;T54K;G59R;S73K;A112C;R134Q;A91V;Y158H;S180A;K195E;Q240R/W;T243I/L;I245L;A256G;L257W/A;N270K;N290G;Y304H;R305M;H307G/Q/M;E308Q;I326F;L349M;D353A/N;L364Q;A394V;S399N;N400K;P404A;L407V;F443H;N453G;Y459F;T460G;T463N;N474Q;E509L;Q521K/S;K522Y/F/N;T524S;P528L;S546R;および/またはP564G/L/Mにアミノ酸残基の差異を含む。
【0179】
一部の実施形態において、他のあらゆるアッセイ条件が基本的に同じである場合、参照PALポリペプチドと比較して酸性pHに対する増加した耐性を有する操作されたPALポリペプチドは、1.5~6.5の間;1.5~5.0の間;2.0~5.5の間;3.0~6.8の間;3.0~5.5の間;4.0~6.5の間;4.0~4.5の間;4.5~5.0の間;4.5~5.5の間、4.5~6.0の間;4.5~6.5の間;5.0~6.5の間;5.0~6.0の間;5.0~5.5の間;5.5~6.0の間;6.0~6.5の間;および/または6.5~7.0の間のpH範囲において増加した耐性を有する。一部の実施形態において、酸性pHに対する増加した耐性は、約3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0および/または6.5のpHにおいて示される。
【0180】
一部の実施形態において、酸性pHに対する増加した耐性を有する操作されたPALポリペプチドは、標準アッセイにより測定する場合、参照PALと比較してより優れたPAL活性も示す。本明細書に提示されているアッセイ等が挙げられるがこれらに限定されない、いずれか適したアッセイが、本発明における使用を見出す。
【0181】
例示的な操作されたポリペプチド(即ち、バリアント番号1~バリアント番号1010)のいずれかが、例えば、本明細書に記載されている他のポリペプチドおよび他の残基位置から様々なアミノ酸の差異の新たな組合せを加えることによる進化のその後のラウンドにより、他の操作されたPALポリペプチドを合成するための出発アミノ酸配列としての使用を見出すことがさらに考慮される。一部の実施形態において、進化のより初期のラウンドを通して未変化として維持された残基位置にアミノ酸の差異を含むことにより、追加的な改善が為される。本明細書に提示されている方法等が挙げられるがこれらに限定されない、いずれか適した方法が使用を見出すため、本発明が、操作されたPALポリペプチドを産生するためのいずれか特定の方法に限定されることは企図されない。
【0182】
操作されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、発現ベクターおよび宿主細胞:
本発明は、本明細書に記載されている操作されたPALポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、ポリペプチドを発現することができる組換えポリヌクレオチドを作製するために、遺伝子発現を制御する1種または複数の異種調節配列に動作可能に連結されている。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチド(複数可)をコードする少なくとも1種の異種ポリヌクレオチドを含有する発現構築物が、適切な宿主細胞に導入されて、相当するPALポリペプチド(複数可)を発現する。
【0183】
当業者には明らかな通り、タンパク質配列の利用能および様々なアミノ酸に相当するコドンの知識は、対象ポリペプチドをコードすることができるあらゆるポリヌクレオチドの説明を提供する。同じアミノ酸が、代替的または同義コドンによってコードされるという遺伝暗号の縮重は、その全てが操作されたPALポリペプチドをコードする極めて多数の核酸が作製されることを可能にする。よって、本発明は、可能なコドン選択に基づく組合せを選択することにより本明細書に記載されているPALポリペプチドをコードするよう作製することができる、PALポリヌクレオチドのありとあらゆる可能な変種の産生のための方法および組成物を提供し、斯かる変種は全て、実施例に(例えば、様々な表中で)示されているアミノ酸配列を含む、本明細書に記載されているいずれかのポリペプチドのために特に開示されていると考慮されるべきである。
【0184】
一部の実施形態において、コドンは、好ましくは、タンパク質産生に選ばれた宿主細胞による利用のために最適化される。例えば、細菌において使用される好ましいコドンは、細菌における発現のために典型的に使用される。結果的に、操作されたPALポリペプチドをコードするコドン最適化されたポリヌクレオチドは、全長コード領域におけるコドン位置の約40%、50%、60%、70%、80%、90%または90%超に好ましいコドンを含有する。
【0185】
一部の実施形態において、PALポリヌクレオチドは、本明細書に開示されている特性を有するPAL活性を有する操作されたポリペプチドであって、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21および/または23から選択される参照配列、またはいずれかのバリアント(例えば、実施例に提示)のアミノ酸配列に対し少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21および/または23の参照ポリヌクレオチド、または実施例に開示されているいずれかのバリアントのアミノ酸配列と比較して1個または複数の残基の差異を含む(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれを超えるアミノ酸残基位置)ポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、参照配列は、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21および/または23から選択される。
【0186】
一部の実施形態において、PALポリヌクレオチドは、本明細書に開示されている特性を有するPAL活性を有する操作されたポリペプチドであって、参照配列の配列番号4に対し少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号4のポリペプチドと最適に整列された場合、X39;X54;X59;X73;X91;X158;X112、X134、X180;X195;X240;X243;X245;X256;X257;X270;X290;X304、X305;X307;X308;X326;X349;X353;X364;X394;X399;X400;X404;X407;X443;X453;X459;X460;X463;X474;X509;X521;X522;X524;X528;X546;および/またはX564の残基位置に、配列番号4と比較した1個または複数の残基の差異を含むポリペプチドをコードする。
【0187】
一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21および/または23から選択されるポリヌクレオチド配列から選択されるポリヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号2、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21および/または23に対し少なくとも80%、85%、90%、93%、95%、96%、97%、98%、99%のヌクレオチド残基同一性を有する。
【0188】
一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、高度にストリンジェントな条件下で、配列番号2、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21および/または23から選択される参照ポリヌクレオチド配列またはその相補体、または本明細書に提示されているバリアントPALポリペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができる。一部の実施形態において、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドは、X39;X54;X59;X73;X91;X158;X112、X134、X180;X195;X240;X243;X245;X256;X257;X270;X290;X304、X305;X307;X308;X326;X349;X353;X364;X394;X399;X400;X404;X407;X443;X453;X459;X460;X463;X474;X509;X521;X522;X524;X528;X546;および/またはX564から選択される残基位置に、配列番号4と比較した1個または複数の残基の差異を有するアミノ酸配列を含むPALポリペプチドをコードする。
【0189】
一部の実施形態において、本明細書における操作されたPALポリペプチドのいずれかをコードする単離されたポリヌクレオチドは、種々の仕方で操作されて、PALポリペプチドの発現を容易にする。一部の実施形態において、PALポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、PALポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現を調節するための1種または複数の制御配列が存在する発現ベクターを含む。ベクターへのその挿入に先立つ単離されたポリヌクレオチドの操作は、利用される発現ベクターに応じて望ましくまたは必要となり得る。組換えDNA方法を利用した、ポリヌクレオチドおよび核酸配列を修飾するための技法は、本技術分野において周知のものである。一部の実施形態において、制御配列は、プロモーター、リーダー配列、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、シグナルペプチド配列および転写ターミネーターをとりわけ含む。一部の実施形態において、適したプロモーターは、宿主細胞選択に基づき選択される。細菌宿主細胞に関して、本開示の核酸構築物の転写を導くために適したプロモーターとして、E.coli
lacオペロン、Streptomyces coelicolorアガラーゼ遺伝子(dagA)、Bacillus subtilisレバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、Bacillus licheniformisアルファ-アミラーゼ遺伝子(amyL)、Bacillus stearothermophilusマルトース生成型アミラーゼ遺伝子(amyM)、Bacillus amyloliquefaciensアルファ-アミラーゼ遺伝子(amyQ)、Bacillus licheniformisペニシリナーゼ遺伝子(penP)、Bacillus subtilis xylAおよびxylB遺伝子ならびに原核生物ベータ-ラクタマーゼ遺伝子から得られるプロモーター(例えば、Villa-Kamaroffら、Proc. Natl Acad. Sci. USA 75巻:37
27~3731頁[1978年]を参照)と共にtacプロモーター(例えば、DeBoerら、Proc. Natl Acad. Sci. USA 80巻:21~25頁[1983年]を参照)が挙
げられるがこれらに限定されない。糸状真菌宿主細胞のための例示的なプロモーターとして、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、Aspergillus niger中性アルファ-アミラーゼ、Aspergillus niger酸安定的アルファ-アミラーゼ、Aspergillus nigerまたはAspergillus awamoriグルコアミラーゼ(glaA)、Rhizomucor mieheiリパーゼ、Aspergillus oryzaeアルカリプロテアーゼ、Aspergillus oryzaeトリオースリン酸イソメラーゼ、Aspergillus nidulansアセトアミダーゼおよびFusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼの遺伝子から得られるプロモーター(例えば、WO96/00787を参照)と共にNA2-tpiプロモーター(Aspergillus niger中性アルファ-アミラーゼおよびAspergillus oryzaeトリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子由来のプロモーターのハイブリッド)、ならびにこれらの突然変異体、トランケート型およびハイブリッドプロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。例示的な酵母細胞プロモーターは、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ(ENO-1)、Saccharomyces cerevisiaeガラクトキナーゼ(GAL1)、Saccharomyces cerevisiaeアルコール脱水素酵素/グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(ADH2/GAP)およびSaccharomyces cerevisiae 3-ホスホグリセリン酸キナーゼの遺伝子から得ることができる。酵母宿主細胞のための他の有用なプロモーターは、本技術分野において公知である(例えば、Romanosら、Yeast 8巻:423~488頁[1992年]を参照)。
【0190】
一部の実施形態において、制御配列は、適した転写ターミネーター配列(即ち、転写を終結させるよう宿主細胞に認識される配列)でもある。一部の実施形態において、ターミネーター配列は、PALポリペプチドをコードする核酸配列の3’末端に作動可能に連結される。最適な宿主細胞において機能的ないずれか適したターミネーターは、本発明における使用を見出す。糸状真菌宿主細胞のための例示的な転写ターミネーターは、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Aspergillus nidulansアントラニル酸合成酵素、Aspergillus nigerアルファ-グルコシダーゼおよびFusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼの遺伝子から得ることができる。酵母宿主細胞のための例示的なターミネーターは、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ、Saccharomyces cerevisiaeチトクロムC(CYC1)およびSaccharomyces cerevisiaeグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素の遺伝子から得ることができる。酵母宿主細胞のための他の有用なターミネーターは、本技術分野において公知である(例えば、Romanosら、
上記参照)。
【0191】
一部の実施形態において、制御配列は、適したリーダー配列(即ち、宿主細胞による翻訳に重要なmRNAの非翻訳領域)でもある。一部の実施形態において、リーダー配列は、PALポリペプチドをコードする核酸配列の5’末端に作動可能に連結される。最適な宿主細胞において機能的ないずれか適したリーダー配列は、本発明における使用を見出す。糸状真菌宿主細胞のための例示的なリーダーは、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼおよびAspergillus nidulansトリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子から得られる。酵母宿主細胞に適したリーダーは、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ(ENO-1)、Saccharomyces cerevisiae 3-ホスホグリセリン酸キナーゼ、Saccharomyces cerevisiaeアルファ-因子およびSaccharomyces
cerevisiaeアルコール脱水素酵素/グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(ADH2/GAP)の遺伝子から得られる。
【0192】
一部の実施形態において、制御配列は、ポリアデニル化配列(即ち、核酸配列の3’末端に作動可能に連結される配列であって、転写されると、転写されたmRNAにポリアデノシン残基を付加するためのシグナルとして宿主細胞によって認識される配列)でもある。最適な宿主細胞において機能的ないずれか適したポリアデニル化配列は、本発明における使用を見出す。糸状真菌宿主細胞のための例示的なポリアデニル化配列として、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Aspergillus nidulansアントラニル酸合成酵素、Fusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼおよびAspergillus nigerアルファ-グルコシダーゼの遺伝子が挙げられるがこれらに限定されない。酵母宿主細胞に有用なポリアデニル化配列は、公知のものである(例えば、GuoおよびSherman、Mol. Cell. Bio.、15巻:5983~5990頁[1995
年]を参照)。
【0193】
一部の実施形態において、制御配列は、シグナルペプチド(即ち、ポリペプチドのアミノ末端に連結され、コードされたポリペプチドを細胞の分泌経路へと方向づける、アミノ酸配列をコードするコード領域)でもある。一部の実施形態において、核酸配列のコード配列の5’端は、分泌型ポリペプチドをコードするコード領域のセグメントと翻訳読み枠において天然に連結された、シグナルペプチドコード領域を固有に含有する。あるいは、一部の実施形態において、コード配列の5’端は、該コード配列にとって外来性のシグナルペプチドコード領域を含有する。最適な宿主細胞の分泌経路へと発現されたポリペプチドを方向づけるいずれか適したシグナルペプチドコード領域は、操作されたポリペプチド(複数可)の発現のための使用を見出す。細菌宿主細胞のための有効なシグナルペプチドコード領域は、Bacillus NClB 11837マルトース生成型アミラーゼ、Bacillus stearothermophilusアルファ-アミラーゼ、Bacillus licheniformisスブチリシン、Bacillus licheniformisベータ-ラクタマーゼ、Bacillus stearothermophilus中性プロテアーゼ(nprT、nprS、nprM)およびBacillus subtilis prsAの遺伝子から得られる領域等が挙げられるがこれらに限定されないシグナルペプチドコード領域である。さらに別のシグナルペプチドは、本技術分野において公知である(例えば、SimonenおよびPalva、Microbiol. Rev.、57巻:109~137頁[1993年]を参照)。一部の実施形態において、糸状真菌宿主細胞のための有効なシグナルペプチドコード領域として、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus niger中性アミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、Humicola insolensセルラーゼおよびHumicola lanuginosaリパーゼの遺伝子から得られるシグナルペプチドコード領域が挙げられるがこれらに限定されない。酵母宿主細胞のための有用なシグナルペプチドとして、Saccharomyces cerevisiaeアルファ-因子およびSaccharomyces cerevisiaeインベルターゼの遺伝子由来のシグナルペプチドが挙げられるがこれらに限定されない。
【0194】
一部の実施形態において、制御配列は、ポリペプチドのアミノ末端に配置されたアミノ酸配列をコードする、プロペプチドコード領域でもある。その結果得られるポリペプチドは、「プロ酵素」、「プロポリペプチド」または「チモーゲン」と称される。プロポリペプチドは、プロポリペプチドからのプロペプチドの触媒性または自己触媒性切断によって、成熟活性ポリペプチドへと変換され得る。プロペプチドコード領域は、Bacillus subtilisアルカリプロテアーゼ(aprE)、Bacillus subtilis中性プロテアーゼ(nprT)、Saccharomyces cerevisiaeアルファ-因子、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼおよびMyceliophthora thermophilaラクターゼの遺伝子等が挙げられるがこれらに限定されない、いずれか適した供給源から得ることができる(例えば、WO95/33836を参照)。ポリペプチドのアミノ末端にシグナルペプチドおよびプロペプチド領域の両方が存在する場合、プロペプチド領域は、ポリペプチドのアミノ末端の隣に配置され、シグナルペプチド領域は、プロペプチド領域のアミノ末端の隣に配置される。
【0195】
一部の実施形態において、調節配列も利用される。この配列は、宿主細胞の増殖に対するポリペプチドの発現の調節を容易にする。調節系の例は、調節化合物の存在を含む化学的または物理的刺激に応答して遺伝子の発現をオンまたはオフにする調節系である。原核生物宿主細胞において、適した調節配列として、lac、tacおよびtrpオペレーター系が挙げられるがこれらに限定されない。酵母宿主細胞において、適した調節系として、ADH2系またはGAL1系が挙げられるがこれらに限定されない。糸状真菌において、適した調節配列として、TAKAアルファ-アミラーゼプロモーター、Aspergillus nigerグルコアミラーゼプロモーターおよびAspergillus oryzaeグルコアミラーゼプロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。
【0196】
別の態様において、本発明は、操作されたPALポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと、これを導入しようとする宿主の種類に応じて、プロモーターおよびターミネーター等の1種または複数の発現調節領域や複製起点等とを含む組換え発現ベクターを対象とする。一部の実施形態において、本明細書に記載されている様々な核酸および制御配列が一体に連接されて、当該部位にPALポリペプチドをコードする核酸配列の挿入または置換を可能にする、1種または複数の簡便な制限部位を含む組換え発現ベクターを産生する。あるいは、一部の実施形態において、本発明の核酸配列は、発現のための適切なベクターへと核酸配列または該配列を含む核酸構築物を挿入することにより発現される。一部の実施形態において、発現ベクターの作製に関与して、コード配列は、該コード配列が、発現のための適切な制御配列と作動可能に連結され得るように、ベクター内に位置する。
【0197】
組換え発現ベクターは、組換えDNA手順に簡便に付され、PALポリヌクレオチド配列の発現をもたらすことができる、いずれか適したベクター(例えば、プラスミドまたはウイルス)となり得る。ベクターの選択は、典型的に、ベクターと、該ベクターを導入しようとする宿主細胞との適合性に依存する。ベクターは、直鎖状または閉環状プラスミドとなり得る。
【0198】
一部の実施形態において、発現ベクターは、自律的に複製するベクター(即ち、プラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体または人工染色体等、染色体外の実体として存在するベクターであり、その複製は、染色体の複製から独立している)である。ベクターは、自己複製を保証するためのいずれかの手段を含有することができる。一部の代替的実施形態において、ベクターは、宿主細胞に導入されると、ゲノム内に組み込まれ、それが組み込まれた染色体(複数可)と共に複製されるベクターである。さらに、一部の実施形態において、単一のベクターもしくはプラスミド、または宿主細胞のゲノムに導入しようとする全DNAを共に含有する2個もしくはそれを超えるベクターもしくはプラスミド、および/またはトランスポゾンが利用される。
【0199】
一部の実施形態において、発現ベクターは、形質転換された細胞の容易な選択を可能にする、1種または複数の選択可能マーカーを含有する。「選択可能マーカー」は、その産物が、殺生物剤またはウイルス抵抗性、重金属に対する抵抗性、栄養要求株に原栄養性その他をもたらす遺伝子である。細菌の選択可能マーカーの例として、Bacillus subtilisもしくはBacillus licheniformis由来のdal遺伝子、またはアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコールもしくはテトラサイクリン抵抗性等、抗生物質抵抗性を付与するマーカーが挙げられるがこれらに限定されない。酵母宿主細胞のための適したマーカーとして、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1およびURA3が挙げられるがこれらに限定されない。糸状真菌宿主細胞における使用のための選択可能マーカーとして、amdS(アセトアミダーゼ;例えば、A.nidulansまたはA.orzyaeに由来)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ;例えば、S.hygroscopicusに由来)、hph(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸レダクターゼ)、pyrG(オロチジン-5’-リン酸デカルボキシラーゼ;例えば、A.nidulansまたはA.orzyaeに由来)、sC(硫酸アデニルトランスフェラーゼ)およびtrpC(アントラニル酸合成酵素)ならびにこれらの均等物が挙げられるがこれらに限定されない。別の態様において、本発明は、本発明の少なくとも1種の操作されたPALポリペプチドをコードする少なくとも1種のポリヌクレオチドであって、宿主細胞における操作されたPAL酵素(複数可)の発現のための1種または複数の制御配列に動作可能に連結されているポリヌクレオチド(複数可)を含む宿主細胞を提供する。本発明の発現ベクターにコードされるポリペプチドの発現における使用に適した宿主細胞は、本技術分野において周知のものであり、その例として、E.coli、Vibrio fluvialis、StreptomycesおよびSalmonella typhimurium細胞等、細菌細胞;酵母細胞(例えば、Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastoris(ATCC受託番号201178))等、真菌細胞;Drosophila S2およびSpodoptera Sf9細胞等、昆虫細胞;CHO、COS、BHK、293およびBowesメラノーマ細胞等、動物細胞;ならびに植物細胞が挙げられるがこれらに限定されない。例示的な宿主細胞は、様々なEscherichia coli株(例えば、W3110(ΔfhuA)およびBL21)も含む。
【0200】
したがって、別の態様において、本発明は、操作されたPALポリペプチドを産生する方法であって、ポリペプチドの発現に適した条件下で、操作されたPALポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現することができる宿主細胞を培養するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態において、本方法は、本明細書に記載されているPALポリペプチドを単離および/または精製するステップをさらに含む。
【0201】
宿主細胞のための適切な培養培地および増殖条件は、本技術分野において周知のものである。PALポリペプチドの発現のためのポリヌクレオチドを細胞に導入するためのいずれか適した方法が、本発明において使用を見出すことが考慮される。適した技法として、エレクトロポレーション、遺伝子銃・微粒子銃、リポソーム媒介性トランスフェクション、塩化カルシウムトランスフェクションおよびプロトプラスト融合が挙げられるがこれらに限定されない。
【0202】
本明細書に開示されている特性を有する操作されたPALポリペプチドは、天然起源または操作されたPALポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、本技術分野において公知のおよび/または本明細書に記載されているいずれか適した突然変異誘発および/または定向進化方法に付すことにより得ることができる。例示的な定向進化技法は、突然変異誘発および/またはDNAシャッフリングである(例えば、Stemmer、Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 91巻:10747~10751頁[1994年];WO95/22625;WO97/0078;WO97/35966;WO98/27230;WO00/42651;WO01/75767および米国特許第6,537,746号を参照)。使用することができる他の定向進化手順は、ねじれ型伸長プロセス(ステップ)、in
vitro組換え(例えば、Zhaoら、Nat. Biotechnol.、16巻:258~261頁
[1998]を参照)、変異原性PCR(例えば、Caldwellら、PCR Methods Appl.、
3巻:S136~S140頁[1994年]を参照)およびカセット突然変異誘発(例えば、Blackら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93巻:3525~3529頁[19
96年]を参照)をとりわけ含む。
【0203】
突然変異誘発および定向進化方法をPALコードポリヌクレオチドに容易に適用して、発現、スクリーニングおよびアッセイすることができるバリアントライブラリーを作製することができる。いずれか適した突然変異誘発および定向進化方法が、本発明における使用を見出し、これは本技術分野において周知のものである(例えば、これら全てここに本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用する、米国特許第5,605,793号、同第5,830,721号、同第6,132,970号、同第6,420,175号、同第6,277,638号、同第6,365,408号、同第6,602,986号、同第7,288,375号、同第6,287,861号、同第6,297,053号、同第6,576,467号、同第6,444,468号、同第5,811238号、同第6,117,679号、同第6,165,793号、同第6,180,406号、同第6,291,242号、同第6,995,017号、同第6,395,547号、同第6,506,602号、同第6,519,065号、同第6,506,603号、同第6,413,774号、同第6,573,098号、同第6,323,030号、同第6,344,356号、同第6,372,497号、同第7,868,138号、同第5,834,252号、同第5,928,905号、同第6,489,146号、同第6,096,548号、同第6,387,702号、同第6,391,552号、同第6,358,742号、同第6,482,647号、同第6,335,160号、同第6,653,072号、同第6,355,484号、同第6,03,344号、同第6,319,713号、同第6,613,514号、同第6,455,253号、同第6,579,678号、同第6,586,182号、同第6,406,855号、同第6,946,296号、同第7,534,564号、同第7,776,598号、同第5,837,458号、同第6,391,640号、同第6,309,883号、同第7,105,297号、同第7,795,030号、同第6,326,204号、同第6,251,674号、同第6,716,631号、同第6,528,311号、同第6,287,862号、同第6,335,198号、同第6,352,859号、同第6,379,964号、同第7,148,054号、同第7,629,170号、同第7,620,500号、同第6,365,377号、同第6,358,740号、同第6,406,910号、同第6,413,745号、同第6,436,675号、同第6,961,664号、同第7,430,477号、同第7,873,499号、同第7,702,464号、同第7,783,428号、同第7,747,391号、同第7,747,393号、同第7,751,986号、同第6,376,246号、同第6,426,224号、同第6,423,542号、同第6,479,652号、同第6,319,714号、同第6,521,453号、同第6,368,861号、同第7,421,347号、同第7,058,515号、同第7,024,312号、同第7,620,502号、同第7,853,410号、同第7,957,912号、同第7,904,249号ならびにあらゆる関連する非米国特許対応文献;Lingら、Anal. Biochem.、254巻(2号):157~78頁[1997年]
;Daleら、Meth. Mol. Biol.、57巻:369~74頁[1996年];Smith、Ann.
Rev. Genet.、19巻:423~462頁[1985年];Botsteinら、Science、2
29巻:1193~1201頁[1985年];Carter、Biochem. J.、237巻:1~7頁[1986年];Kramerら、Cell、38巻:879~887頁[1984年];Wellsら、Gene、34巻:315~323頁[1985年];Minshullら、Curr. Op. Chem.
Biol.、3巻:284~290頁[1999年];Christiansら、Nat. Biotechnol.、17巻:259~264頁[1999年];Crameriら、Nature、391巻:288~2
91頁[1998年];Crameriら、Nat. Biotechnol.、15巻:436~438頁[1997年];Zhangら、Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A.、94巻:4504~450
9頁[1997年];Crameriら、Nat. Biotechnol.、14巻:315~319頁[1996年];Stemmer、Nature、370巻:389~391頁[1994年];Stemmer、Proc. Nat. Acad. Sci. USA、91巻:10747~10751頁[1994年];W
O95/22625;WO97/0078;WO97/35966;WO98/27230;WO00/42651;WO01/75767;WO2009/152336および米国特許第6,537,746号を参照)。
【0204】
一部の実施形態において、突然変異誘発処理後に得られる酵素クローンは、酵素調製物を規定の温度(または他のアッセイ条件)に付し、熱処理または他の適したアッセイ条件後に残存する酵素活性の量を測定することによりスクリーニングされる。次に、遺伝子からPALポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するクローンを単離し、配列決定してヌクレオチド配列変化(あるとすれば)を同定し、宿主細胞における酵素の発現に使用する。発現ライブラリーからの酵素活性の測定は、本技術分野において公知のいずれか適した方法(例えば、HPLC分析等、標準生化学技法)を使用して行うことができる。
【0205】
公知配列の操作されたポリペプチドのため、酵素をコードするポリヌクレオチドは、公知合成方法に従った標準固相方法により調製することができる。一部の実施形態において、最大約100塩基の断片を個々に合成し、続いて連接(例えば、酵素もしくは化学的ライゲーション(litigation)方法またはポリメラーゼ媒介性方法により)して、いずれか所望の連続的配列を形成することができる。例えば、本明細書に開示されているポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドは、自動合成方法において典型的に実施されることから、古典的ホスホラミダイト方法(例えば、Beaucageら、Tet. Lett.、22巻:185
9~69頁[1981年];およびMatthesら、EMBO J.、3巻:801~05頁[19
84年]を参照)を使用した化学合成により調製することができる。ホスホラミダイト方法に従って、オリゴヌクレオチドは、合成(例えば、自動DNA合成機において、精製、アニール、ライゲーションおよび適切なベクターにクローニング)される。
【0206】
したがって、一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドを調製するための方法は、(a)本明細書に記載されているいずれかのバリアントのアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを合成するステップと、(b)ポリヌクレオチドにコードされたPALポリペプチドを発現させるステップを含むことができる。本方法の一部の実施形態において、ポリヌクレオチドにコードされたアミノ酸配列は、1個または数個(例えば、最大3、4、5または最大10個)のアミノ酸残基欠失、挿入および/または置換を任意選択で有することができる。一部の実施形態において、アミノ酸配列は、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~15、1~20、1~21、1~22、1~23、1~24、1~25、1~30、1~35、1~40、1~45または1~50個のアミノ酸残基欠失、挿入および/または置換を任意選択で有する。一部の実施形態において、アミノ酸配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、30、35、40、45または50個のアミノ酸残基欠失、挿入および/または置換を任意選択で有する。一部の実施形態において、アミノ酸配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、20、21、22、23、24または25個のアミノ酸残基欠失、挿入および/または置換を任意選択で有する。一部の実施形態において、置換は、保存的または非保存的置換である。
【0207】
発現された操作されたPALポリペプチドは、本明細書に記載されているアッセイおよび条件等が挙げられるがこれらに限定されない、本技術分野において公知のいずれか適したアッセイを使用して、いずれか所望の改善された特性または特性の組合せ(例えば、活性、選択性、安定性、酸耐性、プロテアーゼ感受性等)に関して評価することができる。
【0208】
一部の実施形態において、宿主細胞において発現された操作されたPALポリペプチドのいずれかは、リゾチーム処理、超音波処理、濾過、塩析、超遠心およびクロマトグラフィーをとりわけ含む、タンパク質精製のための周知技法のうちいずれか1種または複数を使用して、細胞および/または培養培地から回収される。
【0209】
PALポリペプチドの単離のためのクロマトグラフィー技法は、逆相クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、ゲル電気泳動およびアフィニティークロマトグラフィーをとりわけ含む。特定の酵素を精製するための条件は、一部には、正味電荷、疎水性、親水性、分子量、分子形状等の因子に依存し、当業者であれば明らかとなる。一部の実施形態において、親和性技法を使用して、改善されたPAL酵素を単離することができる。アフィニティークロマトグラフィー精製のため、目的のPALポリペプチドに特異的に結合するいずれかの抗体が、使用を見出すことができる。抗体の産生のため、ウサギ、マウス、ラット等が挙げられるがこれらに限定されない様々な宿主動物が、PALポリペプチドまたはその断片の注射により免疫化される。一部の実施形態において、PALポリペプチドまたは断片は、側鎖官能基または側鎖官能基に取り付けられたリンカーによって、BSA等の適した担体に取り付けられる。
【0210】
一部の実施形態において、本明細書に記載されている操作されたPALポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む宿主細胞(例えば、E.coli株)を、操作されたPALポリペプチドの産生の助けになる条件下で培養するステップと、細胞および/または培養培地から操作されたPALポリペプチドを回収するステップとを含む方法によって、操作されたPALポリペプチドは、宿主細胞において産生される。一部の実施形態において、宿主細胞は、2種以上の操作されたPALポリペプチドを産生する。
【0211】
一部の実施形態において、本発明は、操作されたPALポリペプチドを産生する方法であって、参照配列の配列番号4に対し少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、配列番号4のアミノ酸配列と最適に整列された場合、X39;X91;X158;X180;X195;X243;X245;X256;X257;X270;X290;X307;X308;X326;X349;X364;X394;X399;X400;X404;X407;X443;X453;X459;X460;X463;X474;X522;X524;およびX528またはこれらの組合せから選択される、配列番号4と比較した1個または複数のアミノ酸残基の差異を有する操作されたPALポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む組換え細菌細胞を、操作されたPALポリペプチドの産生に適した培養条件下で培養するステップと、培養物および/または培養された細菌細胞から操作されたPALポリペプチドを任意選択で回収するステップとを含む方法を提供する。一部の実施形態において、宿主細胞は、2種以上の操作されたPALポリペプチドを産生する。
【0212】
一部の実施形態において、組換え宿主細胞および/または培養培地から操作されたPALポリペプチドが回収されたら、本技術分野において公知のいずれか適した方法(複数可)によりこれをさらに精製する。一部の追加的な実施形態において、精製されたTALポリペプチドは、他の成分および化合物と組み合わされて、異なる適用および使用(例えば、医薬組成物)の必要に応じて、操作されたPALポリペプチドを含む組成物および製剤をもたらす。
【0213】
組成物:
本発明は、多数の組成物における使用に適した操作されたPALポリペプチドを提供する。このような組成物は、医薬品、食物性/栄養性補助食品、食物、飼料および精製化学製品産生等が挙げられるがこれらに限定されない、多くの分野における使用を見出す。例えば、一部の実施形態において、本発明は、少なくとも1種の操作されたPALバリアントおよび/または少なくとも1種のPALバリアントをコードする少なくとも1種のポリヌクレオチド配列を含む食物および/または飼料を提供する。一部の実施形態において、本発明は、少なくとも1種の操作されたPALバリアントを含む飲料を提供する。
【0214】
一部の実施形態において、食物、飼料および/または栄養性/食物性補助食品における操作されたPALバリアントは、グリコシル化されている。さらに、操作されたPALバリアントは、いずれか適した食用酵素送達マトリックスにおける使用を見出す。一部の実施形態において、操作されたPALバリアントは、バリアント摂取後の動物の消化管内におけるPALバリアントの迅速な分散のために設計された食用酵素送達マトリックス中に存在する。
【0215】
本発明は、精製化学製品および他の産業的に重要な化合物の産生における使用に適した操作されたPALポリペプチドも提供する(例えば、米国特許出願公開第2013/0340119号、同第2013/0005012号および同第2005/0260724号ならびにWO2012/122333を参照)。
【0216】
医薬品および他の組成物
本発明は、食物性/栄養性補助食品等、医薬品および他の組成物における使用に適した操作されたPALポリペプチドを提供する。
【0217】
投与機序に応じて、本発明に係る治療有効量の操作されたPALを含むこのような組成物は、固体、半固体または液体の形態である。一部の実施形態において、組成物は、希釈剤、バッファー、賦形剤、塩、乳化剤、保存剤、安定剤、充填剤および他の成分等、他の薬学的に許容される構成成分を含む。製剤および投与のための技法に関する詳細は、本技術分野において周知のものであり、文献に記載されている。
【0218】
一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、経口医薬組成物における使用のために製剤化される。操作されたPALポリペプチドの送達における使用のためのいずれか適した形式が、本発明における使用を見出し、その例として、丸剤、錠剤、ジェルタブ、カプセル、ロゼンジ、糖衣錠、粉末、軟ゲル、ゾル-ゲル、ゲル、エマルション、植込剤、パッチ、スプレー、軟膏、リニメント、クリーム、ペースト、ゼリー、ペイント、エアゾール、チューインガム、粘滑剤、スティック、懸濁液(油ベースの懸濁液、水中油型エマルションが挙げられるがこれらに限定されない)、スラリー、シロップ、制御放出製剤、坐剤等が挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、注射に適した形式で提供される(即ち、注射用製剤において)。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、シリカベースの(例えば、オキシシラン)ゾル-ゲルを含むゾル-ゲル等、生体適合性マトリックス中に提供される。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、カプセル包埋される。一部の代替的実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、ナノ構造(例えば、ナノチューブ、ナノ細管、ナノカプセルまたはマイクロカプセル、マイクロスフェア、リポソーム等)中にカプセル包埋される。実際に、本発明が、いずれか特定の送達製剤および/または送達手段に限定されることは企図されない。操作されたPALポリペプチドが、非経口、経口、外用、経皮、鼻腔内、眼内、くも膜下腔内、植込剤経由等が挙げられるがこれらに限定されない、本技術分野において公知のいずれか適した手段により投与されることが企図される。
【0219】
一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、グリコシル化、ペグ化(即ち、ポリエチレングリコール[PEG]または活性化されたPEG等により修飾)または他の化合物によって化学修飾される(例えば、Ikeda、Amino Acids 29巻:283
~287頁[2005年];米国特許第7,531,341号、同第7,534,595号、同第7,560,263号および同第7,53,653号;米国特許出願公開第2013/0039898号、同第2012/0177722号等を参照)。実際に、本発明が、いずれか特定の送達方法および/または機構に限定されることは企図されない。
【0220】
一部の追加的な実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、マトリックス安定化された酵素結晶を含む製剤中に提供される。一部の実施形態において、製剤は、架橋された結晶性の操作されたPAL酵素と、酵素結晶に接着する反応性部分を有するポリマーとを含む。本発明は、ポリマーにおける操作されたPALポリペプチドも提供する。
【0221】
一部の実施形態において、本発明の操作されたPALポリペプチドを含む組成物は、糖(例えば、ラクトース、スクロース、マンニトールおよび/またはソルビトール)、デンプン(例えば、トウモロコシ、コムギ、イネ、ジャガイモまたは他の植物のデンプン)、セルロース(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシ-メチルセルロース)、ガム(例えば、アラビア、トラガント、グアー等)および/またはタンパク質(例えば、ゼラチン、コラーゲン等)等が挙げられるがこれらに限定されない、1種または複数の一般的に使用される担体化合物を含む。経口製剤における追加的な構成成分は、着色および/または甘味料(例えば、グルコース、スクロースおよびマンニトール)および潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)ならびに腸溶コーティング(例えば、メタクリレートポリマー、ヒドロキシルプロピルメチルセルロースフタレートおよび/または本技術分野において公知の他のいずれかの適した腸溶コーティング)を含むことができる。一部の実施形態において、崩壊または可溶化剤が含まれる(例えば、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはアルギン酸ナトリウム等のその塩)。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、保存剤、懸濁化剤、増粘剤、湿潤剤、アルコール、脂肪酸および/または乳化剤(特に液体製剤において)等が挙げられるがこれらに限定されない、様々な追加的な構成成分と組み合わされる。
【0222】
一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、保存剤、懸濁化剤、増粘剤、湿潤剤、アルコール、脂肪酸および/または乳化剤(特に液体製剤において)等が挙げられるがこれらに限定されない、様々な追加的な構成成分と組み合わされる。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、KUVAN(登録商標)テトラヒドロビオプテリン(BioMarin Pharmaceutical、Inc.、カリフォルニア州ノバト)、制酸剤(例えば、オメプラゾール、エソメプラゾールおよび他のプラゾール類)および他のいずれか適した化合物等が挙げられるがこれらに限定されない、PKUの処置において使用される他の化合物と組み合わせて対象に投与される。
【0223】
一部の実施形態において、本発明は、血液や脳脊髄液等の流体におけるフェニルアラニンの濃度の減少における使用に適した、操作されたPALポリペプチドを提供する。動物に投与される操作されたPALポリペプチド(複数可)の投薬量は、動物の状態または疾患、全身状態および当業者に公知の他の因子に依存する。一部の実施形態において、組成物は、動物への単一または複数投与に企図される。一部の実施形態において、動物(例えば、PKUのヒト)に投与される組成物(複数可)における操作されたPALポリペプチド(複数可)の濃度は、疾患(例えば、PKUおよび/またはPKU関連の状態、疾患および/または症状)を有効に処置、寛解および/または防止するのに十分であることが考慮される。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、他の医薬品および/または食物性組成物と組み合わせて投与される。
【0224】
産業的組成物
本発明の操作されたPALポリペプチドが、産業的組成物における使用を見出すことが考慮される。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、食品および/または飼料産業における使用のために製剤化される。一部の実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、追加的な酵素(例えば、セルラーゼ、ラッカーゼおよびアミラーゼ)等、動物飼料構成成分と混合される、顆粒化またはペレット化された産物において製剤化される。一部の代替的実施形態において、操作されたPALポリペプチドは、液体の動物飼料組成物(例えば、水性または油ベースのスラリー)において使用される。よって、一部の実施形態において、本発明の操作されたPALバリアントは、ペレットおよび他の加工される飼料/食品の産生に使用される処理に耐えるために十分に熱耐性および熱安定的である。
【0225】
本発明の操作されたPALバリアントは、フェニルアラニンおよび/またはフェニルアラニン誘導体の産生においても使用を見出す。
【0226】
本発明の前述および他の態様は、次の非限定例に関してよりよく理解することができる。実施例は、単なる説明目的のために提供されており、決して本発明の範囲の限定を企図するものではない。
【0227】
実験
実験および達成された結果を含む次の実施例は、単なる説明目的のために提供されており、本発明を限定するものと解釈するべきではない。
【0228】
後述する実験の開示において、次の略語が適用される:ppm(百万分率);M(モル濃度);mM(ミリモル濃度)、uMおよびμM(マイクロモル濃度);nM(ナノモル濃度);mol(モル);gmおよびg(グラム);mg(ミリグラム);ugおよびμg(マイクログラム);Lおよびl(リットル);mlおよびmL(ミリリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);umおよびμm(マイクロメートル);sec.(秒間);min(複数可)(分間(複数可));h(複数可)およびhr(複数可)(時間(複数可));U(ユニット);MW(分子量);rpm(毎分回転数);psiおよびPSI(ポンド/平方インチ);℃(セ氏温度);RTおよびrt(室温);CDS(コード配列);DNA(デオキシリボ核酸);RNA(リボ核酸);E.coli W3110(一般的に使用される研究用E.coli株、Coli Genetic Stock Center[CGSC]、コネチカット州ニューヘイブンから入手);HTP(ハイスループット);HPLC(高圧液体クロマトグラフィー);CFSE(カルボキシフルオセインサクシニミジルエステル);IPTG(イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド);PES(ポリエーテルスルホン);PHEおよびphe(フェニルアラニン);BSA(ウシ血清アルブミン);PBMC(末梢血単核細胞);PKU(フェニルケトン尿症);MHC(主要組織適合遺伝子複合体);HLA(ヒト白血球抗原);HLA-DR(染色体番号6におけるHLA複合体にコードされる、MHCクラスII細胞表面受容体);FIOPC(陽性対照を上回る倍数改善);LB(ルリアブロス(Luria broth));Athens Research(Athens Research Technology、ジョージア州アセンズ);ProSpec(ProSpec Tany Technogene、ニュージャージー州イーストブランズウィック);Sigma-Aldrich(Sigma-Aldrich、ミズーリ州セントルイス);Ram Scientific(Ram Scientific、Inc.、ニューヨーク州ヨンカーズ);Pall Corp.(Pall, Corp.、ニューヨーク州ポートワシントン);Millipore(Millipore、Corp.、マサチューセッツ州ビレリカ);Difco(Difco Laboratories、BD
Diagnostic Systems、ミシガン州デトロイト);Molecular Devices(Molecular Devices、LLC、カリフォルニア州サニーベール);Kuhner(Adolf Kuhner、AG、スイス、バーゼル);Cambridge Isotope Laboratories(Cambridge Isotope Laboratories、Inc.、マサチューセッツ州テュークスベリー);Applied Biosystems(Applied Biosystems、Life Technologies、Corp.の一部、ニューヨーク州グランドアイランド)、Agilent(Agilent Technologies、Inc.、カリフォルニア州サンタクララ);Thermo Scientific(Thermo Fisher Scientificの一部、マサチューセッツ州ウォルサム);Corning(Corning、Inc.、カリフォルニア州パロアルト);Constant Systems(Constant Systems Ltd.、英国ダベントリー);Megazyme(Megazyme International、アイルランド、ウィックロー);Enzo(Enzo Life Sciences、Inc.、ニューヨーク州ファーミングデール);GE Healthcare(GE Healthcare Bio-Sciences、ニュージャージー州ピスカタウェイ);Harlan(Harlan Laboratories、インディアナ州インディアナポリス);AB Sciex(AB Sciex、マサチューセッツ州フレイミングハム);ならびにBio-Rad(Bio-Rad Laboratories、カリフォルニア州ハーキュリーズ)。
【0229】
次のポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、本発明における使用を見出す。場合によっては(下に示す通り)、ポリヌクレオチド配列に続き、コードされるポリペプチドを記す。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】
【実施例0230】
(実施例1)
PAL遺伝子獲得および発現ベクターの構築
Anabaena variabilisフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(AvPAL)プラスミドDNAを得て、AvPALをコードする合成遺伝子をE.coliにおける発現のためにコドン最適化し、E.coli発現ベクターpET16bにクローニングして、pET16b-AvPAL(配列番号1)を用意した。オリゴヌクレオチド:PAL-pCK-FおよびPAL-pCK-Rを使用したPCRにより、AvPALオープンリーディングフレーム(配列番号2)を増幅し、発現ベクターpCK100900i(配列番号27)にサブクローニングした。
【表1】
【0231】
このプラスミド構築物でW3110に由来するE.coli株を形質転換した。当業者によって一般に公知の定向進化技法を使用して、このプラスミド構築物から遺伝子バリアントのライブラリーを作製した(例えば、米国特許第8,383,346号およびWO2010/144103を参照)。
【0232】
(実施例2)
ハイスループット(HTP)増殖およびアッセイ
PALおよびPALバリアントのハイスループット(HTP)増殖
1%グルコースおよび30μg/mlクロラムフェニコールを含有するLB寒天プレート上にプレーティングすることにより、形質転換されたE.coli細胞を選択した。37℃における一晩インキュベーション後に、NUNC(商標)(Thermo-Scientific)、1%グルコースおよび30μg/mlクロラムフェニコールを補充した180μl/ウェルのLBを充填した96ウェル浅平底プレートのウェルにコロニーを置いた。振盪機(200rpm、30℃、85%相対湿度;Kuhner)において培養物を一晩、18~20時間育成させた。一晩育成した試料(20μL)を、30μg/mlクロラムフェニコールを補充した380μLのTerrificブロスを充填したCostar96ウェル深プレートに移した。振盪機(250rpm、30℃、85%相対湿度;Kuhner)においてプレートを135分間インキュベートした。次に、滅菌水に溶解した40μLの10mM IPTGで細胞を誘導し、振盪機(250rpm、30℃、85%相対湿度;Kuhner)において一晩、20~24時間インキュベートした。2回複製した培養物を組み合わせ、細胞をペレット化し(4000rpm×20分間)、上清を廃棄し、分析に先立ち細胞を-80℃で凍結した。
【0233】
HTPペレットの溶解
先ず、500μLの溶解バッファー(20mM Tris pH7.5、1mM MgSO、1mg/mlリゾチームおよび0.5mg/mlポリミキシンB硫酸塩)を細胞ペレットに加えた。この混合物を1.5時間室温で揺動し、本明細書に記載されている様々なHTPアッセイにおける清澄化ライセートの使用に先立ち、ペレット化した(4000rpm×5分間)。SDS-PAGEによるこのようなライセートの分析は、ほぼ60kDaの見かけ上のMWにおける過剰発現されたタンパク質の存在を明らかにし、これは、PALの予想されるMWと一貫した。
【0234】
清澄化ライセートの分析
経時的に290nmにおける吸光度の変化によって決定される桂皮酸の生成を測定することにより、PALバリアント活性を決定した。本アッセイのため、100μLの200mM Tris/50mMフェニルアラニン、pH7.5または200mMリン酸ナトリウム/50mMフェニルアラニンpH7.0のいずれか、80μLの水および20μLの清澄化ライセートを、ポリアクリレート96ウェルプレート(Costar番号3635、Corning)のウェルに加えた。反応物を短時間混合し、SpectraMax(登録商標)Plus384またはSpectraMax(登録商標)190(Molecular Devices)吸光度マイクロプレートリーダーを使用して、290nmにおける吸光度を経時的に追跡することにより活性を決定した(5~20分間にわたり12~20秒毎に)。
【0235】
プロテアーゼで前処理した清澄化ライセートのHTP分析
PALバリアントに、キモトリプシンおよびトリプシンを負荷して、腸管下部の環境をシミュレートした。先ず、30μLのプロテアーゼミックス(0.01~100mg/mlキモトリプシン(C4129 Sigma Aldrich)、0.01~100mg/mlトリプシン(T7409 Sigma Aldrich)、1mM CaClおよび1mM HCl)、500mMリン酸ナトリウムpH7.0に溶解した0~30μLの20mMタウロコール酸ナトリウムおよび90~120μLの清澄化ライセートを、96ウェル丸底プレート(Costar番号3798、Corning)のウェルに加えた。このプレートを封着し、分析に先立ち37℃、400rpm、1”スロー(throw)で
1時間インキュベートした。アッセイのため、100μLの200mM Tris/50mMフェニルアラニンpH7.5または200mMリン酸ナトリウム/50mMフェニルアラニンpH7.0のいずれかおよび100μLのプロテアーゼ処理ライセートを、ポリアクリレート96ウェルプレート(Costar番号3635、Corning)のウェルに加えた。反応物を短時間混合し、SpectraMax(登録商標)Plus384またはSpectraMax(登録商標)190(Molecular Devices)吸光度マイクロプレートリーダーを使用して、290nmにおける吸光度を経時的に追跡することにより活性を決定した(5~20分間にわたり12~20秒毎に)。結果を次表に示す。
【0236】
酸で前処理した清澄化ライセートのHTP分析
本アッセイにおいて、胃の環境をシミュレートするために、PALバリアントを酸性条件下で負荷した。先ず、20μLの1Mクエン酸ナトリウム(pH3.7~4.5)および30μLの水または50μLの400mMクエン酸ナトリウムpH3.7~4.8および50uLの清澄化ライセートを、96ウェル丸底プレート(Costar番号3798、Corning)のウェルに加えた。このプレートを封着し、分析に先立ち37℃、400rpm、1”スローで1時間インキュベートした。アッセイのため、100μLの200mM Tris、50mMフェニルアラニンpH7.5および80μL 1M Tris pH7.5または200mMリン酸ナトリウム/50mMフェニルアラニンpH7.0および80μL 1.0Mリン酸ナトリウムpH7.0のいずれかならびに20μLの酸処理ライセートを、ポリアクリレート96ウェルプレート(Costar番号3635、Corning)のウェルに加えた。反応物を短時間混合し、SpectraMax(登録商標)Plus384またはSpectraMax(登録商標)190(Molecular Devices)吸光度マイクロプレートリーダーを使用して、290nmにおける吸光度を経時的に追跡することにより活性を決定した(5~20分間にわたり12~20秒毎に)。結果を次表に示す。
【0237】
ペプシンで前処理した清澄化ライセートのHTP分析
追加的なアッセイにおいて、PALバリアントに、酸性条件およびペプシンを負荷して、胃内環境を模倣する条件下でバリアントをさらに検査する。先ず、400mMクエン酸ナトリウムpH1.5~4に溶解した50μLの0.01~100mg/mlペプシンおよび50μLの清澄化ライセートを、96ウェル丸底プレート(Costar番号3798、Corning)のウェルに加えた。このプレートを封着し、分析に先立ち37℃、400rpm、1”スローで1~12時間インキュベートする。アッセイのため、100μLの200mM Tris/50mMフェニルアラニンpH7.5および80μL 1M Tris pH7.5または200mMリン酸ナトリウム/50mMフェニルアラニンpH7.0のいずれかならびに20μLの酸処理ライセートを、ポリアクリレート96ウェルプレート(Costar番号3635、Corning)のウェルに加える。反応物を短時間混合し、SpectraMax(登録商標)Plus384またはSpectraMax(登録商標)190(Molecular Devices)吸光度マイクロプレートリーダーを使用して、290nmにおける吸光度を経時的に追跡することにより活性を決定する(5~20分間にわたり12~20秒毎に)。
【表2-1-1】

【表2-1-2】

【表2-2】

【表2-3】

【表2-4】

【表2-5-1】

【表2-5-2】

【表2-5-3】
【0238】
(実施例3)
PALバリアントのタンパク質凝集を決定するためのアッセイ
凝集するPALバリアントの傾向は、ProteoStat(登録商標)タンパク質凝集アッセイキット(Enzo)を使用してメーカーの説明書に従って決定される。簡潔に説明すると、0~100μMの精製されたPALを、ProteoStat(登録商標)検出試薬(1:2000)と混合し、フローサイトメトリーにより分析する。本技術分野において公知のProteoStat(登録商標)凝集標準と一貫して、蛍光に関して試料を評価する(例えば、Bershteinら、Mol. Cell、133~144頁[2013年を参
照])。
【0239】
(実施例4)
振盪フラスコ(SF)培養物から凍結乾燥されたライセート
上述の通り育成した選択されたHTP培養物を、1%グルコースおよび30μg/mlクロラムフェニコールを有するLB寒天プレート上にプレーティングし、一晩37℃で育成した。各培養物から単一コロニーを、1%グルコースおよび30μg/mlクロラムフェニコールを有する50mlのLBに移した。18時間30℃、250rpmで培養物を育成し、30μg/mlのクロラムフェニコールを有する250mlのTerrificブロスにおいておよそ1:10の希釈で継代培養して、最終OD600を0.2とした。135分間30℃、250rpmで培養物をインキュベートして、OD600を0.6とし、1mMのIPTGで誘導した。誘導された培養物を20時間、30℃、250rpmでインキュベートした。このインキュベーション期間の後に、培養物を4000rpm×10分間で遠心分離した。上清を廃棄し、30mlの50mMリン酸ナトリウムpH7.5にペレットを再懸濁した。細胞をペレット化し(4000rpm×10分間)、12mlの50mMリン酸ナトリウムpH7.5に再懸濁し、One Shot Cell Disruptionシステム(Constant Systems)を17,000psiで使用して溶解させた。ライセートをペレット化し(10,000rpm×30分間)、上清を凍結および凍結乾燥して、酵素含有粉末を生成した。
【0240】
振盪フラスコ培養物からのPALの精製
上述の通り、飽和するまで振盪フラスコ培養においてPALバリアント番号42を育成した。飽和した培養物を遠心分離(4000rpm×20分間)によりペレット化し、精製に先立ち細胞ペレットを-80℃で貯蔵した。細胞ペレットを室温で解凍し、5mLバッファー/1g細胞となるよう、130mM NaClを有する25mM Tris、pH8に再懸濁した。圧力設定110psiのマイクロフルイダイザーを使用して、この試料スラリーを溶解した。10,000rpm、1時間の遠心分離と、続く0.2μm PESフィルター(Millipore)を通した濾過により、得られたライセートを清澄化した。
【0241】
濾過後に、得られたライセートを、10mM Pheの存在または非存在下において70~85℃で1.5~2時間加熱した。ライセートを熱から取り出し、10,000rpm、4℃、1時間の遠心分離により清澄化した。次に、クロマトグラフィーカラムへのロードに先立ち、可溶性PALを含有する上清を、0.2μm PESフィルターを通して濾過した。
【0242】
80~100mgの総タンパク質を含有する、熱処理し濾過したライセートを、25mM Tris、pH8と1.2M硫酸アンモニウムを使用して2倍に希釈した。25mM
Tris、pH8と0.6M硫酸アンモニウムで前平衡化したHiPrep16/10フェニルFF(hi sub)カラム(GE Healthcare)に試料をロードした。試料ロード後に、3カラム容量の同じバッファーと、続いて1カラム容量の25mM
Tris、pH8に溶解した直線勾配の0.6M~0M硫酸アンモニウムでカラムを洗浄した。3カラム容量の25mM Tris、pH8による定組成溶離を使用して、緊密に結合したPALをカラムから溶出した。活性および純粋PALを含有する画分をプールした。
【0243】
フェニルカラムから得た精製されたPALを0.5M Tris、pH8.5へとバッファー交換し、濃縮した。濃縮されたPALをSDS-PAGEにより分析したところ、ほぼ60kDaのバンドに存在することを見出した。0.45μm PESフィルターを使用して、精製されたPAL試料を濾過し、使用準備が整うまで-80℃で貯蔵した。
【0244】
(実施例5)
精製されたPALおよびPALバリアントの特徴付け
本実施例において、野生型およびバリアントPALを特徴付けるために行われたアッセイが記載されている。
【0245】
酸性pHに対する耐性:
PALバリアントを含有する凍結乾燥された粉末を、2g/Lとなるよう20mMリン酸ナトリウムpH7.0に溶解した。次に、この酵素溶液の50μLを、50μLの400mMクエン酸(pH4.0~5.2)または100mMリン酸ナトリウムと混合し、反応物を37℃で1時間、400rpm(1”スロー)にてインキュベートした。続いて、この溶液の20μLを、80μLの1Mリン酸ナトリウムpH7.0および100μLの200mM Tris/50mMフェニルアラニンpH7.5と短時間混合した。SpectraMax(登録商標)Plus384またはSpectraMax(登録商標)190(Molecular Devices)吸光度マイクロプレートリーダーを使用して、290nmにおける吸光度を経時的に追跡することにより、酸性条件下の酵素活性を決定した(5~20分間にわたり12~20秒毎に)。結果を図2に示す。図2に示す通り、バリアント番号30および36は、野生型PALと比較して、pHおよそ4~4.8でインキュベートされた後により高い活性を維持した。
【0246】
の決定:
バリアントPALにおける突然変異が、フェニルアラニンに対するPALバリアントの親和性を変更したか評価するために、野生型酵素およびバリアント36のミカエリス定数を決定した。先ず、100mM Tris pH8.0に溶解した100μLの15μg/ml PALおよび100mM Tris、pH8.0に溶解した100μLの0~32mMフェニルアラニンを、ポリアクリレート96ウェルプレート(Costar番号3625、Corning)のウェルに加えた。反応物を短時間混合し、SpectraMax(登録商標)Plus384またはSpectraMax(登録商標)190(Molecular Devices)吸光度マイクロプレートリーダーを使用して、290nmにおける吸光度を経時的に追跡することにより初速度を決定した(5~20分間にわたり12~20秒毎に)。本技術分野において公知のラインウィーバーバーク(Lineweaver-Burke)プロットにデータを適合させることにより、検査したPALバリアント毎のKを決定した。結果を図3に示す。図示されている通り、Kは、野生型酵素は74μM、バリアント36は60μMであった。
【0247】
アミノ酸特異性:
いくつかのフェニルアラニンアンモニアリアーゼは、フェニルアラニンに加えてチロシンおよび/またはヒスチジンに対する活性を実証する。PALバリアントに存在する突然変異が、フェニルアラニンに対するPALバリアントの特異性を変更したか評価するために、これらの3アミノ酸における野生型酵素およびバリアント36の活性を評価した。先ず、10mMリン酸ナトリウムpH7.0に溶解した100μLの5g/L PAL含有凍結乾燥粉末および200mMリン酸ナトリウムpH7.5に溶解した100μLの50mMフェニルアラニンもしくはヒスチジンまたは2.5mMチロシンを、ポリアクリレート96ウェルプレート(Costar番号3635、Corning)のウェルに加えた。溶液を短時間混合し、SpectraMax(登録商標)Plus384またはSpectraMax(登録商標)190(Molecular Devices)吸光度マイクロプレートリーダーを使用して、290nmにおける吸光度を経時的に追跡することにより初速度を決定した(5~20分間にわたり12~20秒毎に)。結果を図4に示す。図示されている通り、WT酵素またはバリアント番号36のいずれに対しても、ヒスチジンまたはチロシンによる検出可能な活性は観察されず、これらの酵素がフェニルアラニンに特異的であることを示す。
【0248】
ブタおよびウシプロテアーゼに対する抵抗性:
実施例4に記載されている通りに調製されたPALバリアント試料を、2g/Lとなるよう100mMリン酸ナトリウムpH7.0に溶解した。ブタトリプシンおよびウシキモトリプシン(各100mg)を2mlの100mMリン酸ナトリウムpH7.0に溶解し、100mMリン酸ナトリウムにおいて11回2倍系列希釈した。次に、80μLのPALバリアント酵素溶液を、20μLのトリプシンおよびキモトリプシン溶液と混合した。反応混合物を37℃で1時間400rpm(1”スロー)にてインキュベートした。続いて、20μLの反応物を、80μLの水および100μLの100mMリン酸ナトリウム、50mMフェニルアラニンpH7.0と混合した。各溶液を短時間混合し、SpectraMax(登録商標)Plus384またはSpectraMax(登録商標)190(Molecular Devices)吸光度マイクロプレートリーダーを使用して、290nmにおける吸光度を経時的に追跡することにより活性を決定した(5~20分間にわたり12~20秒毎に)。結果を図2に示す。この図に示されている通り、検査したバリアントは全て、野生型PALと比較して改善したプロテアーゼ抵抗性を示し、タンパク質分解に対しバリアント番号36が最も安定的であった。
【0249】
ヒトプロテアーゼに対する抵抗性:
上述の通り、いくつかの進化したPALバリアントをブタトリプシンおよびウシキモトリプシンに対しスクリーニングして、胃腸管に存在する酵素によるタンパク質分解に対するその抵抗性を評価した。進化したPALバリアントのうちいくつかは、ヒト酵素を使用して検査して、これらがブタまたはウシ酵素のヒトホモログに対し抵抗性であることも確認した。これらのアッセイにおいて、WT PALおよびバリアント番号36の凍結乾燥した粉末(2.4g/Lとなるよう100mMリン酸ナトリウム、pH7.0に溶解)をヒトキモトリプシン(Athens Research)0~80BTEEユニット/mlまたはヒトトリプシン(ProSpec)(0~10,000BAEEユニット/ml)と共に37℃で2時間インキュベートした。次に、この混合物の100μLをポリアクリレート96ウェルプレート(Costar番号3635、Corning)のウェルに加え、続いて100μLの50mMフェニルアラニン、200mMリン酸ナトリウムpH7.0を加えた。溶液を短時間混合し、SpectraMax(登録商標)Plus384またはSpectraMax(登録商標)190(Molecular Devices)吸光度マイクロプレートリーダーを使用して、290nmにおける吸光度を経時的に追跡することにより初速度を決定した(5~20分間にわたり12~20秒毎に)。結果を図5に示す。図5に示す通り、バリアント番号36は、野生型PAL酵素よりも安定的であった。
【0250】
粗膵臓抽出物に対する抵抗性:
進化したPALバリアントを検査して、膵臓酵素に対するその抵抗性も決定した。WT
PALの凍結乾燥した粉末、バリアント番号36、バリアント番号42およびバリアント番号43の凍結乾燥した粉末(実施例4に記載されている通りに調製;12g/Lとなるよう50mMリン酸カリウムpH6.8に溶解)を、ブタパンクレアチン(4×Sigma-Aldrich、ミズーリ州セントルイス)と1:1混合し、37℃で振盪しつつ(400rpm、1”スロー)最大23時間インキュベートした。表示の時点において、反応物の10μLアリコートを、ポリアクリレート96ウェルプレート(Costar番号3635、Corning)のウェル内の190μLの50mMフェニルアラニン、190mMリン酸ナトリウムpH7.0に加えた。反応物を短時間混合し、SpectraMax(登録商標)Plus384またはSpectraMax(登録商標)190(Molecular Devices)吸光度マイクロプレートリーダーを使用して、290nmにおける吸光度を経時的に追跡することにより初速度を決定した(5~20分間にわたり12~20秒毎に)。結果を図6に示す。図6に示す通り、バリアント番号36、バリアント番号42およびバリアント番号43は全て、野生型PAL酵素と比較して、このようなアッセイ条件下で有意な安定性を示した。
【0251】
腸洗浄剤の影響:
進化したPALバリアントを、腸胆汁酸および脂肪酸の存在または非存在下におけるタンパク質分解に対するその感受性に関して検査して、これらの酸が、その安定性に影響を与えるかも評価した。バリアント番号36を含有する凍結乾燥された粉末(実施例4に記載されている通りに調製)を、50μg/mlとなるよう0~16mMタウロコール酸ナトリウム、100mMリン酸ナトリウム、pH7.0に溶解した。ブタトリプシンおよびウシキモトリプシン(各80mg)を2mlの100mMリン酸ナトリウムpH7.0に溶解し、100mMリン酸ナトリウムにおいて11回2倍系列希釈した。このアッセイのため、50μLのPAL溶液を、50μLのプロテアーゼ溶液と混合した。この混合物を37℃で1時間、400rpm(1”スロー)にてインキュベートした。次に、この混合物の50μLを150μLの200mMリン酸ナトリウム、50mMフェニルアラニンpH7.0と混合した。各反応物を短時間混合し、SpectraMax(登録商標)Plus384またはSpectraMax(登録商標)190(Molecular Devices)吸光度マイクロプレートリーダーを使用して、290nmにおける吸光度を経時的に追跡することにより活性を決定した(5~20分間にわたり12~20秒毎に)。結果を図7に示す。この図に示す通り、追加的なタウロコール酸ナトリウムは、タンパク質分解に対するバリアント番号36の感受性を増加させる。
【0252】
(実施例6)
バリアントPALの腸安定性
動物の腸を通過する際のPALバリアントの安定性および活性を評価するために、マウスに精製した酵素バリアントを経管栄養で与えた。10~12週齢、20~26gの体重の健康なC57Bl/6マウスをメタボリックケージ内で維持し、15時間絶食させた。水は適宜与えた。一晩絶食後に、21ゲージ経管栄養針を使用して、動物に0.3mlの0.5M Tris-HCl pH8.5および8mg/mlの0.5M Tris-HCl pH8.5に溶解したWT PAL(実施例4に記載されている通りに調製)または8mg/mlの0.5M Tris-HCl pH8.5に溶解したバリアント番号42(実施例4に記載されている通りに調製)の混合物を経管栄養した。経管栄養後0.5、2または6時間目に、動物を断頭し、グリーントップ(green-top)キャピラリー血液
採取チューブ(Ram Scientific)を使用して血漿を採取し、胃、十二指腸(胃からほぼ1~8cm)、空腸(胃からほぼ10~18cm)、回腸(盲腸のほぼ8cm上)および結腸(盲腸のほぼ5cm下)の内容物を採取した。これらの内容物の重量を記録し、分析に先立ち内容物を-80℃で貯蔵した。
【0253】
胃または腸の内容物を100mMリン酸ナトリウムpH7.0で4×希釈し、短時間混合し、14,000rpm×2分間で遠心分離した。上清を350μL、0.45μM AcroPrep(商標)Advanced96ウェルフィルタープレート(Pall Corp)に移し、真空濾過により微粒子を除去した。清澄化した濾液を、以前の実施例に記載されている通りに酵素活性に関して、また、SDS-PAGEによりインタクトPALタンパク質の存在に関して評価した。結果は、十二指腸および空腸における酵素活性が、野生型PAL酵素および陰性対照と比較して、進化したPALバリアントの方がより高いと思われることを示した。
【0254】
(実施例7)
血漿フェニルアラニンレベル
実施例6に記載されているマウスから採取された血漿試料を評価して、検査したマウスの血流中に存在するフェニルアラニンの含量を決定した。マウス血漿(50μL)を、0.6mMのdl-フェニルアラニン(Ring D)(即ち、芳香環炭素と結合した水素ではなく重水素を含む同位体標識バージョンのフェニルアラニン;Cambridge
Isotope Laboratories)を含有する250μLのアセトニトリル(acetontrile)と組み合わせた。この試料をRTで5分間混合し、3200×gで10
分間、4℃で遠心分離し、上清を試料分析のためのプレートに移した。分析のため、10μLの各試料をa3200 QTRAP(登録商標)LC/MS/MSシステム(AB Sciex)に注射し、DISCOVERY(登録商標)C18カラム(150×2.1mM、5μmビーズ)(Supelco、現Sigma-Aldrich)を通して、水(A)およびアセトニトリル(B)における0.1%ギ酸で溶出させた。5分間の勾配(t=0、97%A;3分、50%A;3.5分、5%A;4分、97%A;5分、95%A)を通して試料を溶出させて、内在性フェニルアラニンは166から120、同位体標識した標準は171から125の移行を探す。結果は、血漿フェニルアラニンレベルが、野生型PAL酵素および陰性対照と比較して、進化したPALバリアント(即ち、バリアント番号42)を与えたマウス由来の試料において30分間の時点でより低かったことを示した。
【0255】
(実施例8)
バリアントPALの治療機能
PALバリアントが、in vivoで血清Pheレベルを低下させるか評価するために、PKUのマウスモデルを使用した。これらの実験において、PALタンパク質を経管栄養で罹患動物に与えた。先ず、食事から3日間Pheを除去し、続いて公知含量のPhe含有溶液を注射することにより、マウスにおける一貫したベースラインPheレベルを確立した。C57Bl/6バックグラウンドを有する3~6月齢のホモ接合性PAH enu-2マウス(McDonaldら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87巻:1965~1967頁[1990年]を参照)を、フェニルアラニンフリーの食事(TD.97152, Harlan)と飲料水に入れた0.03g/LのPheに72時間移した。時間=0時間目に処置を開始する前に、マウスに、0.15mg/g体重のPhe(10g/LのPhe水溶液から調製)を注射した。注射後55分目に、およそ20μLの血液を尾静脈穿刺により採取し、濾紙上にスポットした。その後、注射後1時間、3時間および5時間目に、マウスに0.3mlの50~100g/LのWT AvPAL、WT AvPALプラスアプロチニン、BSAまたはバリアント番号42を経管栄養で与えた。注射後6時間、7時間および9時間目に、追加的な血液スポットを濾紙上に採取した。血液スポットを乾燥させ、本技術分野において公知の方法を使用したPheおよびTyrレベルのLC-MS/MS分析に先立ち-20℃で貯蔵した(Chaseら、Clin. Chem.、39巻:6
6~71頁[1993年]を参照)。
【0256】
結果を図8に示す。この図に示す通り、不活性タンパク質(BSA)の経管栄養は、血清Pheレベルの増加をもたらした。対照的に、タンパク質分解感受性WT AvPALによる処置は、一定のPheレベルを生じた一方、プロテアーゼ阻害剤アプロチニンと組み合わせた同じタンパク質は、Pheレベルの有意な降下を生じた。結果は、操作されたPALバリアント番号42の投与が、プロテアーゼ阻害剤の非存在下で血清Pheレベルの減少を生じたことも示す。
【0257】
(実施例9)
PALの脱免疫化
本実施例において、PALからT細胞エピトープを除去することになる多様性を同定するために行われた実験が記載されている。
【0258】
脱免疫化多様性の同定:
突然変異されるとT細胞エピトープを除去することができるアミノ酸を同定するために、計算的方法を使用して、T細胞応答を誘発することが予測されるPAL配列を同定した。並行して、特に、未負荷アッセイ(例えば、実施例2に記載されているアッセイ)においてタンパク質活性を維持するアミノ酸に関して、許容できる有害でない突然変異の実験による探索も行った。次に、予測される免疫原性における突然変異の効果に関して活性バリアントを分析した。
【0259】
バリアントAvPALにおける推定T細胞エピトープの計算的同定:
本技術分野において公知のImmune Epitope Database(IEDB;Immune Epitope Database and Analysis Resourceウェブサイト)ツールおよび専用の統計分析ツール(例えば、iedb.orgおよびVitaら、Nucl. Acids Res.、38巻(データベース版):D854~62頁[2010年]Epub2009年11月11日]を参照)を使用して、AvPALバリアント番号36における推定T細胞エピトープを同定した。AvPALバリアントをあらゆる可能な15-mer分析フレームへと構文解析し、各フレームは、最後が14アミノ酸重複する。IEDBウェブサイトにおいて推奨される方法を使用して、ヒトの人口のほぼ95%をまとめて網羅する8種の共通クラスII HLA-DRアレル(DRB1*0101、DRB1*0301、DRB1*0401、DRB1*0701、DRB1*0801、DRB1*1101、DRB1*1301およびDRB1*1501)への予測される結合に関してその9-merコア領域をスコアリングすることにより、免疫原性潜在力に関して15-mer分析フレームを評価した(例えば、Southwoodら、J. Immunol.、1
60巻:3363~3373頁[1998年]を参照)。本技術分野において公知の統計分析ツールを使用して、バリアントAvPAL内に含有される潜在的T細胞エピトープクラスター(即ち、免疫原性の異常に高い潜在力を有するバリアントAvPAL内に含有されるサブ領域)を同定した。公知エピトープのIEDBデータベースおよびGenBankタンパク質データベースに対し、同定されたT細胞エピトープクラスターをスクリーニングした。これらのスクリーニングは、バリアントAvPALバリアント番号36における10(十)個の推定T細胞エピトープを同定した。これらのエピトープは、後述するTCE-I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IXおよびXと称される。
【0260】
脱免疫化ライブラリーの設計:
先ず、上述通りに同定された10個の推定T細胞エピトープ領域における、バリアントAvPALの作製に使用された定向進化のラウンドから同定された、あらゆる中立で有益な突然変異を含有するコンビナトリアルライブラリーを開発した。8種の共通クラスII
HLA-DRアレルへの予測される結合におけるこれらの突然変異の効果を分析した。複数の突然変異が、TCE-I、II、VI、VIIを除去または低下させると予測された。これらの突然変異をコンビナトリアルライブラリーにおいて組み合わせた。次に、飽和突然変異誘発を使用してライブラリーを設計して、残る6種のT細胞エピトープ(即ち、TCE-III、IV、V、VIII、IXおよびX)内の全単一アミノ酸に突然変異を誘発した。最後に、PALバリアントの凝集状態に影響を与えることが報告された2個のアミノ酸であるC503およびC565と共に、TCE-I、III、IV、VIIIおよびXを標的とした複数ラウンドの進化から同定された有益な多様性を含有する、コンビナトリアルライブラリーを作製した。このライブラリー由来の最良のヒットを、TCE-IIIおよびVIIIを標的とするさらなる飽和突然変異誘発ならびに数個の位置における追加的な標的化突然変異誘発に付した。
【0261】
脱免疫化ライブラリーの構築およびスクリーニング:
上述通りに設計されたコンビナトリアルおよび飽和突然変異誘発ライブラリーを本技術分野において公知の方法により構築し、実施例2に記載されている未負荷アッセイにおける活性に関して検査した。活性バリアントを同定し、配列決定した。AvPALバリアント番号36および多数のAvPALバリアントに関するその活性および突然変異を、下表9-1から9-7に示す。
【0262】
脱免疫化多様性の同定:
上述の8種の共通クラスII HLA-DRアレルへのその結合を評価することにより、活性バリアントをその免疫原性レベルに関して分析した。総免疫原性スコアおよび免疫原性ヒットカウントを表9-1から9-7に示す。総免疫原性スコアは、バリアントの全体的な予測される免疫原性を反映する(即ち、より高いスコアは、より高いレベルの予測される免疫原性を示す)。免疫原性「ヒットカウント」は、免疫原性の異常に高い潜在力を有する15-mer分析フレームの数を示す(即ち、より高いヒットカウントは、免疫原性のより高い潜在力を示す)。より低い総予測免疫原性スコアおよび/または参照バリアントに満たない免疫原性ヒットカウントを有する突然変異は、「脱免疫化突然変異」と考慮した。最良であると同定された脱免疫化突然変異を組換えて、活性を有し、出発参照バリアントAvPALよりも有意に免疫原性が低いと予測される多数のバリアントを作製した。次表において、FIOP結果は、未負荷アッセイから得られ;総免疫原性スコア(TIS)および免疫原性ヒットカウント(IHC)に関して、PALタンパク質全体(表9-1、9-8および9-9)または表示のエピトープ(表9-2から9-7)の結果を示す。
【表9-1-1】

【表9-1-2】

【表9-1-3】

【表9-1-4】

【表9-1-5】

【表9-1-6】

【表9-1-7】

【表9-2】

【表9-3-1】

【表9-3-2】

【表9-4】

【表9-5-1】

【表9-5-2】

【表9-6】

【表9-7】

【表9-8】

【表9-9】
【0263】
脱免疫化PALバリアントのin vitro検査:
樹状T細胞アッセイにおいて脱免疫化PALバリアントを検査して、T細胞応答を誘発するその能力を経験的に検査する。標準技法を使用して、ヒトドナーから末梢血単核細胞(PBMC)を単離する。この細胞は、未成熟樹状細胞を作製するために限定培地において培養され単球の供給源として使用する。この未成熟樹状細胞(DC)に、脱免疫化PALバリアントをロードし、続いて限定培地においてさらに培養することにより、より成熟した表現型に誘導して、抗原刺激されたDCをもたらす。DCと同じドナー試料から得られたCD8+T細胞枯渇されたドナーPBMCを、CFSEで標識し、続いて抗原刺激されたDCと共に7日間培養し、その後8回複製物(octuplicate)を検査する。各DC-
T細胞培養物は、未処理対照(即ち、陰性対照)のセットを含む。アッセイは、2種の強力な全タンパク質抗原を含む参照抗原対照(即ち、陽性対照)も取り込む。多様な主要組織適合遺伝子複合体クラスIIアレルを有する50名のヒトドナーから単離された細胞を利用するアッセイは、T細胞応答を誘発するPALバリアントの能力の統計的に関連する評価をもたらす。
【0264】
特異的な実施形態を参照しつつ本発明について記載してきたが、様々な変更を行うことができ、均等物に置換して、特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセスステップ(単数または複数)に適応させることができ、これにより、特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明の利益を達成することができる。
【0265】
アメリカ合衆国におけるあらゆる目的のため、本開示に引用されているありとあらゆる刊行物および特許文書は、あたかも斯かる刊行物または文書のそれぞれが、ここに本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用されていると特にかつ個々に示されているかのように、ここに本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用する。刊行物および特許文書の引用は、斯かる文書のいずれかが関連する先行技術であるという指示として企図されておらず、また、その内容または日付に関する承認を構成するものでもない。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
2022183356000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-10-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
図1-1】図1は、野生型PALタンパク質配列のアライメントを提示する:Anabaena variabilis PAL(NCBI YP_324488.1(配列番号4));Nostoc punctiformeフェニルアラニン/ヒスチジンアンモニアリアーゼ「NpPHAL」(NCBI YP_001865631.1(配列番号30);Rivularia sp.ヒスチジンアンモニアリアーゼ「RspHAL」(NCBI YP_007056096.1(配列番号31);Oscillatoria sp.ヒスチジンアンモニアリアーゼ「Osp HAL」(NCBI YP_07108482.1(配列番号3);およびGloeocapsa sp.ヒスチジンアンモニアリアーゼ「GspHAL」(NCBI YP_007127054.1)(配列番号3)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
図1-2】図1は、野生型PALタンパク質配列のアライメントを提示する:Anabaena variabilis PAL(NCBI YP_324488.1(配列番号4));Nostoc punctiformeフェニルアラニン/ヒスチジンアンモニアリアーゼ「NpPHAL」(NCBI YP_001865631.1(配列番号30);Rivularia sp.ヒスチジンアンモニアリアーゼ「RspHAL」(NCBI YP_007056096.1(配列番号31);Oscillatoria sp.ヒスチジンアンモニアリアーゼ「Osp HAL」(NCBI YP_07108482.1(配列番号3);およびGloeocapsa sp.ヒスチジンアンモニアリアーゼ「GspHAL」(NCBI YP_007127054.1)(配列番号3)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
図6図6は、ブタ膵臓抽出物に曝露された野生型PALならびにバリアント番号36、42および43の相対的安定性を示す結果を提示する。
図7図7は、実施例5について得られた結果を示すグラフを提示する。
図8図8は、実施例8について得られた結果を示すグラフを提示する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0237
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0237】
ペプシンで前処理した清澄化ライセートのHTP分析
追加的なアッセイにおいて、PALバリアントに、酸性条件およびペプシンを負荷して、胃内環境を模倣する条件下でバリアントをさらに検査する。先ず、400mMクエン酸ナトリウムpH1.5~4に溶解した50μLの0.01~100mg/mlペプシンおよび50μLの清澄化ライセートを、96ウェル丸底プレート(Costar番号3798、Corning)のウェルに加えた。このプレートを封着し、分析に先立ち37℃、400rpm、1”スローで1~12時間インキュベートする。アッセイのため、100μLの200mM Tris/50mMフェニルアラニンpH7.5および80μL 1M Tris pH7.5または200mMリン酸ナトリウム/50mMフェニルアラニンpH7.0のいずれかならびに20μLの酸処理ライセートを、ポリアクリレート96ウェルプレート(Costar番号3635、Corning)のウェルに加える。反応物を短時間混合し、SpectraMax(登録商標)Plus384またはSpectraMax(登録商標)190(Molecular Devices)吸光度マイクロプレートリーダーを使用して、290nmにおける吸光度を経時的に追跡することにより活性を決定する(5~20分間にわたり12~20秒毎に)。
【表2-1-1】
【表2-1-2】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5-1】
【表2-5-2】
【表2-5-3】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1-2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1-2】
【外国語明細書】