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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183370
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】波付管の接続部構造
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/00 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
B25B21/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169649
(22)【出願日】2022-10-24
(62)【分割の表示】P 2019078969の分割
【原出願日】2019-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121429
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(72)【発明者】
【氏名】西脇 寿幸
(57)【要約】
【課題】作業者が楽な体勢で締緩作業を行うことができる回転電動機に装着される波付管の接続部構造を提供する。
【解決手段】波付管13Aが接続される接続部15は、筒状の外壁21を備え、外壁21の内部には、外壁21の内面上に突出する弾性爪23が設けられて、波付管13Aの端部が外壁21の内部から抜け止めされる状態となる。接続部15に対して波付管13Aは、その軸線を軸心とした回転を許容される。さらに、外壁21の内部には、伝達部13の受け入れ方向における弾性爪23よりも奥方に、受け入れた波付管13Aの端部に内挿される内挿壁24が設けられていて、外壁21の内挿壁24と対応する位置には、接続部15と波付管13Aを共回り回転させる回転追従部25が設けられている。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に交互に連続するように外面に形成された凹部と凸部が周方向に伸びる環状をなす波付管の接続部構造であって、
前記波付管が接続される接続部は、筒状の外壁を備えており、前記外壁の内部には、当該外壁の内外方向に弾性を有し該外壁の内面上に突出する弾性爪が設けられ、前記弾性爪が前記外壁の外側方向に弾性変形されることで前記外壁の内部に前記波付管の端部が受け入れられる状態となるともに、前記弾性爪がその弾性により元の位置に復帰して前記波付管の外面の凹部に係合されることで前記波付管の端部が前記外壁の内部から抜け止めされる状態となり、
前記波付管の端部が前記外壁の内部から抜け止めされる状態で、前記接続部に対して前記波付管は、その軸線を軸心とした回転を許容されており、
さらに、前記外壁の内部において、前記伝達部の受け入れ方向における前記弾性爪よりも奥方には、受け入れた前記波付管の端部に内挿される内挿壁が設けられており、
前記外壁の前記内挿壁と対応する位置には、前記内挿壁に前記波付管の端部を押し付けて固定することで、前記接続部に対する前記波付管の回転を規制して、前記接続部と前記波付管を共回り回転させる回転追従部が設けられていることを特徴とする波付管の接続部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルトに対するナットの締緩作業を行うべく回転電動機に装着される波付管の接続部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、建造物の天井裏に各種ケーブルを敷設するために設置されるケーブルラックは、天井の梁等から吊下された長尺のボルトに、ケーブルを載置して支持するためのラックが、所定の高さで固定された構成とされており、ボルトへのラックの固定には、ナットが使用されている。このケーブルラックのボルトは、寸切りボルト、長ねじ、全ねじ等とも呼ばれる頭部の無いものであり、使用直前にならないとねじの長さが決まらない場合、頭部があっては都合が悪い場合、両側がナットでも支障が無い場合、非常に長いねじが必要な場合に使用される。
上述のケーブルラックにおいて、ボルトに対するナットの締緩作業は、作業効率や作業時間を考慮すると、電動ドライバー、電動インパクトレンチ等の回転電動機に、ソケット等のナット回し工具を装着して行うことが望ましい。しかし、ソケットは、締緩作業時にナットから突出した分のボルトの端部を収容できるスペースを有していない。このため、ナットの取り付け位置がボルトの下端部よりも上方になる場合、ソケット及び回転電動機を使用したナットの締緩作業は不可能となる。
【0003】
そこで、ナットの取り付け位置がボルトの下端部よりも上方になる場合にも、回転電動機を使用したナットの締緩作業を行うことができるように、特許文献1に記載のナット回し工具が提案されている。
特許文献1のナット回し工具は、自身の内部に全ネジボルトを挿入する筒体を形成し、この筒体の一端に、電気ドリルや充電ドライバーのごとき回転電動機の回転部分に連結する連結体を設け、筒体の他端に、全ネジボルトにネジ止めするナットを内嵌するソケットを設けたものである。このナット回し工具は、筒体の側面を貫通する適数個の貫通孔を開穿し、筒体内部に挿入する全ネジボルトの挿入長さを規制するピンをこの貫通孔に挿入し筒体と連結体とを着脱自在に設けると共に、筒体とソケットとを着脱自在に設けたことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平7-42610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のナット回し工具は、筒体が屈曲しないため、締緩作業中の作業者は、重量が嵩む回転電動機を支える体勢を常に保たなければならず、作業がつらいという問題があった。特に、ボルトが梁等から吊下されている場合、作業者は、重量の嵩む回転電動機を支えながら常に上向きの体勢を保たなければならず、非常につらいものになるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、作業者が楽な体勢で締緩作業を行うことができる回転電動機に装着される波付管の接続部構造の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の波付管の接続部構造は、軸方向に交互に連続するように外面に形成された凹部と凸部が周方向に伸びる環状をなす波付管の接続部構造であって、
前記波付管が接続される接続部は、筒状の外壁を備えており、前記外壁の内部には、当該外壁の内外方向に弾性を有し該外壁の内面上に突出する弾性爪が設けられ、前記弾性爪が前記外壁の外側方向に弾性変形されることで前記外壁の内部に前記波付管の端部が受け入れられる状態となるともに、前記弾性爪がその弾性により元の位置に復帰して前記波付管の外面の凹部に係合されることで前記波付管の端部が前記外壁の内部から抜け止めされる状態となり、
前記波付管の端部が前記外壁の内部から抜け止めされる状態で、前記接続部に対して前記波付管は、その軸線を軸心とした回転を許容されており、
さらに、前記外壁の内部において、前記伝達部の受け入れ方向における前記弾性爪よりも奥方には、受け入れた前記波付管の端部に内挿される内挿壁が設けられており、
当該内挿壁と対応する位置で前記外壁には、前記内挿壁に向かって前記波付管の端部を押し付けて固定することで、前記接続部に対する前記波付管の回転を規制して、前記接続部と前記波付管を共回り回転させる回転追従部が設けられている
これにより、接続部の外壁に設けられた弾性爪の弾性を利用することで、波付管の接続部への着脱が容易に行われるとともに、接続部と波付管との互いに対する空転が抑制される。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、ボルトに対するナットの締緩作業を行うべく回転電動機に装着されるナット回し工具において、回転電動機の回転部分に連結された連結軸部の回転をナットに外嵌されたソケット部に伝達する伝達部が、可撓性を有する中空管によって形成されることで、締緩作業時にナットから突出したボルトの端部を伝達部の内部に受け入れることができるとともに、ソケット部を所望する自由な方向に向けることができる。したがって、作業者が楽な体勢で締緩作業を行うことができる。
また、接続部の外壁に設けられた弾性爪の弾性を利用することで、波付管の接続部への着脱を容易に行うことができるとともに、接続部と波付管との互いに対する空転を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態のナット回し工具を示す分解斜視図である。
図2】実施形態の連結軸部を示す(a)は側面図、(b)は側断面図、(c)は正面側から見た斜視図、である。
図3】実施形態のソケット部を示す(a)は側面図、(b)は側断面図、(c)は背面側から見た斜視図、(d)は正面側から見た斜視図、である。
図4】実施形態の伝達部を示す(a)は側断面図、(b)は側面図、である。
図5】実施形態の接続部を示す側断面図であり、(a)は回転が許容された状態、(b)は回転が規制された状態、である。
図6】実施形態の把持筒部を示す(a)は側面図、(b)は側断面図、(c)は正面側から見た斜視図、である。
図7】把持筒部を示す一部を拡大した側断面図であり、(a)は移動が規制された状態、(b)は移動が許容された状態、である。
図8】実施形態のナット回し工具を示す斜視図である。
図9】締緩作業中の作業者の体勢を示す説明図であり、ナット回し工具を(a)は上向きにした状態、(b)は横向きにした状態、である。
図10】伝達部の内部にボルトを受け入れる状態を示す拡大側断面図、である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態の波付管の接続部構造を図に基づいて説明する。
図1及び図8において、本実施形態のナット回し工具10は、回転電動機に装着されて、ボルトに対するナットの締緩作業を行うためのものである。
ナット回し工具10は、連結軸部11と、ソケット部12と、これら連結軸部11及びソケット部12を同軸上に繋げる伝達部13と、を備えおり、この伝達部13には、把持筒部14が外装されている。また、伝達部13は、連結軸部11及びソケット部12と別体であり、連結軸部11及びソケット部12にそれぞれ設けられた接続部15を介して、連結軸部11及びソケット部12に着脱可能に接続されている。
以下、ナット回し工具10の各構成部材について詳細に説明する。なお、以下の説明で方向については、伝達部13に対して連結軸部11側となる方向と同方向を基端方向、伝達部13に対してソケット部12側となる方向と同方向を先端方向とする。
【0011】
連結軸部11は、回転電動機の回転部分に連結されて回転を受けるためのものである。図2(a)~(c)において、連結軸部11は、略円柱状に形成されている。
連結軸部11には連結軸11Aが、基端面の中心から軸線方向へ伸びるように、設けられている。この連結軸11Aは、回転電動機の回転部分に連結するためのものであり、その形状、材質、サイズ等は回転電動機に応じたものとされるので、特に限定されない。本実施形態の連結軸11Aは、鉄、ステンレス鋼等の金属により、略六角棒状に形成されている。
また、連結軸部11の先端には、前記接続部15が設けられている。この接続部15の構成については、後ほど説明する。
【0012】
ソケット部12は、ナットに外嵌されて、締緩作業時にナットを回転させるためのものである。図3(a)~(d)において、ソケット部12は、略円筒状に形成されることにより、内部にボルトを受け入れ可能に構成されている。
ソケット部12の先端部にはソケット12Aが設けられている。このソケット12Aは、ナットを内嵌するためのものであり、形状、サイズ等はナットに応じたものとされるので、特に限定されない。本実施形態のソケット12Aは、六角筒状に形成されている。
また、ソケット部12の基端には、前記接続部15が設けられている。この接続部15の構成については、後ほど説明する。
【0013】
伝達部13は、連結軸部11とソケット部12とを同軸上に繋げて、連結軸部11の回転をソケット部12へ伝達するためのものである。すなわち、回転電動機の回転部分に連結された連結軸部11の回転が、伝達部13を介してソケット部12へと伝達されることにより、ソケット部12が外嵌されたナットが回転されて、締緩作業が実施される。
図3(a),(b)において、伝達部13は、可撓性を有するとともに、ボルトを内部に受け入れ可能な中空管によって形成されている。
伝達部13の中空管は、可撓性を有するものであれば、例えば波付管、ゴムチューブ、樹脂チューブ、金属チューブ、コイルスプリング等の何れも使用することができ、その形状や材質、あるいは太さ、長さ等のサイズは、特に限定されない。
【0014】
伝達部13の中空管は、接続部15との接続や把持筒部14の移動の規制等を好適に行うことが可能であるという観点において、波付管13Aであることが好ましい。
波付管13Aは、その外面に凹部13Bと凸部13Cが、軸方向に交互に連続して形成されたものである。この波付管13Aには、凹部13Bと凸部13Cが周方向に伸びる環状をなすものと、凹部と凸部が軸方向に伸びる螺旋状をなすものとの2種類が存在し、本発明のナット回し工具10の伝達部13には、何れも使用することができる。本実施形態の伝達部13には、合成樹脂からなり、凹部13Bと凸部13Cが周方向に伸びる環状をなす波付管13Aが使用されている。
【0015】
接続部15は、連結軸部11又はソケット部12に、伝達部13を着脱可能に接続するためのものである。
図5(a),(b)において、接続部15は、略円筒状の外壁21を備えている。この外壁21の一端には、外壁21の内部に伝達部13の端部を受け入れるための円環状の挿入部22が設けられている。
挿入部22の内側には、弾性爪23が、挿入部22の内周面上に突出して設けられている。この弾性爪23は、挿入部22の径方向、つまりは外壁21の内外方向に弾性を有している。
【0016】
弾性爪23は、挿入部22から外壁21の内部へ伝達部13の端部を挿入する際、伝達部13の端部に押し退けられるようにして、外壁21の外側方向に弾性変形される。このように弾性爪23が外壁21の外側方向に弾性変形されると、外壁21の内部への伝達部13の端部の挿入を邪魔するものは無くなり、外壁21の内部に伝達部13の端部が受け入れられる状態となる。
一方、弾性爪23は、その弾性により上述の弾性変形された位置から元の位置に復帰しようとする際、伝達部13の端部の外周面に係合される。このように弾性爪23が伝達部13の端部の外周面に係合されると、伝達部13の端部が外壁21の内部から抜け出しを抑制される状態となる。特に、伝達部13が上述の波付管13Aである場合、弾性爪23が波付管13Aの凹部13Bに入り込むようにして係合されると、伝達部13の端部が外壁21の内部から抜け止めされる状態となる。
【0017】
外壁21の内部において、挿入部22が設けられた一端の反対側となる他端には、内挿壁24が設けられている。内挿壁24は、伝達部13の受け入れ方向で弾性爪23よりも奥方に位置するように配されている。この内挿壁24は、円筒状に形成されており、外壁21の内部に受け入れられた伝達部13の端部に内挿されるように構成されている。
連結軸部11に設けられた接続部15において、内挿壁24は、先端側となる一端が開口して、基端側となる他端が閉じられた円筒状に形成されている(図2(b)参照)。
ソケット部12に設けられた接続部15において、内挿壁24は、ソケット部12の内部にボルトを受け入れることができるように、基端側となる一端と、先端側となる他端との両方が開口した円筒状に形成されている(図3(b)参照)。
【0018】
上述した伝達部13の端部が外壁21の内部から抜け止めされる状態で、接続部15に対して伝達部13は、その軸線を軸心とした回転を許容されている。この接続部15に対する伝達部13の回転を規制して、接続部15と伝達部13を共回り回転させるため、内挿壁24と対応する位置で外壁21には、回転追従部25が設けられている。
回転追従部25は、外壁21を貫通して径方向に伸びるように形成されたネジ穴25Aと、このネジ穴25Aに螺合された操作ノブ25Bと、を有している。
回転追従部25において、操作ノブ25Bがネジ穴25Aに螺入された際、操作ノブ25Bの端部は、ネジ穴25Aを通過して外壁21の内部へ突出し、伝達部13の端部の外周面に接触した状態となる(図5(a)参照)。この状態から更に操作ノブ25Bがネジ穴25Aに螺入されると、操作ノブ25Bの端部は、伝達部13の端部を内挿壁24に押し付けて固定した状態となる(図5(b)参照)。この状態で接続部15に対する伝達部13の回転が規制されており、接続部15と伝達部13が共回り回転する。
【0019】
ここで、上述した接続部15に伝達部13が着脱可能に接続された構成は、請求項の波付管の接続部構造に相当するものでもある。
なお、請求項の波付管の接続部構造との関係において、「伝達部13」は請求項の「波付管」に相当する。
【0020】
把持筒部14は、伝達部13を屈曲させてソケット部12を所望の方向に向けた状態で、このソケット部12の向きを保つためのものである。
図6(a)~(c)において、把持筒部14は、直線状の円筒体によって形成されている。この把持筒部14は、軸長が伝達部13の軸長よりも短く、また内径が伝達部13の外径よりも大きく形成されている(図1及び図8参照)。このため、伝達部13に外装された把持筒部14は、その内部で伝達部13の回転を許容するとともに、伝達部13の軸方向に沿って移動することができるように構成されている。
把持筒部14の先端部には、フランジ状の鍔部27が設けられている。この鍔部27は、作業者が把持筒部14を把持する際、指を掛ける等することにより、把持筒部14を握りやすくしている。
【0021】
把持筒部14は、鍔部27よりも更に先端部に、係合部28を有している。この係合部28は、把持筒部14の内周面上に突出しており、更に把持筒部14の径方向に弾性を有している。
把持筒部14の基端側となる係合部28の端部の外面には、操作ピン29が、把持筒部14の先端側へ向かうにつれ把持筒部14の外面から離れる斜め方向へ伸びるように、設けられている。
係合部28は、操作ピン29を把持筒部14の内側へ向かって手指で押し込んだ場合、把持筒部14の外側へ弾性変形して、把持筒部14の内面上から没し(図7(b)参照)、操作ピン29から手指を離した場合、元の形状へ復帰して、把持筒部14の内面上へ出る(図7(a)参照)。すなわち、係合部28は、把持筒部14の内面上に出没自在に設けられている。
【0022】
伝達部13が上述の凹部13Bと凸部13Cが周方向に伸びる環状をなす波付管13Aである場合、この伝達部13に外装された把持筒部14は、内面上に出没自在に設けられた係合部28が、伝達部13(波付管13A)の凹部13B内に出入れ可能とされている。
図7(a)において、係合部28は、把持筒部14の内面上へ出て、伝達部13(波付管13A)の凹部13B内に入り込んだ状態で、凹部13Bと係合し、伝達部13(波付管13A)の軸方向への把持筒部14の移動を規制している。また、凹部13Bが周方向に伸びる環状であるため、係合部28は、凹部13Bと係合した状態で、この凹部13Bに移動方向をガイドされることで、伝達部13(波付管13A)の周方向への把持筒部14の回転を許容している。
図7(b)において、係合部28は、把持筒部14の内面上から没して、伝達部13(波付管13A)の凹部13B内から抜け出した状態で、凹部13Bとの係合が解除され、伝達部13(波付管13A)の軸方向に沿った把持筒部14の自由移動を許容している。
【0023】
ここで、伝達部13が上述の凹部と凸部が軸方向に伸びる螺旋状をなす波付管である場合もまた、伝達部13に外装された把持筒部14は、内面上に出没自在に設けられた係合部28が、伝達部13(波付管)の凹部内に出入れ可能とされている。
係合部28は、把持筒部14の内面上へ出て、伝達部13(波付管)の凹部内に入り込んだ状態で、凹部と係合し、伝達部13(波付管)の軸方向に沿った把持筒部14の自由移動を規制している。
但し、この凹部は伝達部13の軸方向に螺旋状に延びるため、係合部28がこの凹部と係合した状態で、把持筒部14は伝達部13の外側を回りながら伝達部13の軸方向に移動させることができる。また、把持筒部14を把持して位置を定めた状態で、伝達部13をその軸線を中心軸として回すと、係合部28が相対的に凹部内を移動するように把持筒部14内で回転しながら、伝達部13は把持筒部14に対して軸方向に移動させることができる。
【0024】
次に、本実施形態のナット回し工具10、波付管の接続部構造の作用を説明する。
図8において、本実施形態のナット回し工具10は、把持筒部14が外装された伝達部13と、連結軸部11及びソケット部12とが、接続部15を介して接続されることにより、組み立てられる。
連結軸部11及びソケット部12と、伝達部13(波付管13A)との接続に係る作業は、連結軸部11及びソケット部12のそれぞれに設けられた接続部15に、伝達部13(波付管13A)の端部を挿入するのみであり、簡易かつ短時間で完了する。つまり、接続部15に伝達部13(波付管13A)の端部を挿入するのみで、接続部15の弾性爪23が伝達部13(波付管13A)の凹部13Bに係止されて、伝達部13(波付管13A)が接続部15に対して抜け止め状態となる(図5(a)参照)。
【0025】
その後、接続部15の回転追従部25で操作ノブ25Bを操作し、接続部15の内挿壁24に伝達部13の端部を固定することで、接続部15と伝達部13が共回り回転できるようになり、連結軸部11、伝達部13及びソケット部12が一体的に回転可能となる(図5(b)参照)。
また、接続部15と伝達部13を共回り回転させるか否かは、回転追従部25での操作ノブ25Bの操作によって簡単に選択することができる。例えば、伝達部13の捻りを解消する場合には、回転追従部25の操作ノブ25Bを緩め、内挿壁24への伝達部13の端部の固定を解除することにより、接続部15に対する伝達部13の回転が許容されるので、伝達部13を接続部15に対して回転させて、その捻りを解消する。
【0026】
ナット回し工具10の伝達部13は、可撓性を有しているため、撓ませたり、屈曲させたりすることで、ソケット部12を所望の方向に自由に向けることができる。また、伝達部13には、把持筒部14が外装されており、この把持筒部14は内部で伝達部13の回転を許容するため、把持筒部14を把持することにより、ソケット部12の向きを所望の方向に保ちながら、締緩作業を行うことができる。
図9(a)において、天井の梁等から吊下された長尺のボルトにナットを螺合する場合、作業者WMは、重量の嵩む回転電動機EWを片手にぶら下げた楽な姿勢を保ったまま、把持筒部14を握り、伝達部13を屈曲させて、ソケット部12を上向きにすることで、ナットの締緩作業を行うことができる。
図9(b)において、水平方向に伸びる長尺のボルトにナットを螺合する場合、作業者WMは、重量の嵩む回転電動機EWを片手にぶら下げた楽な姿勢を保ったまま、把持筒部14を握り、伝達部13を撓ませて、ソケット部12を横向きにすることで、ナットの締緩作業を行うことができる。
【0027】
図10において、締緩作業時にナット回し工具10の伝達部13は、ボルトBの端部を、その内部に受け入れて収容することができる。このため、長尺のボルトBにナットを螺合する場合、ナットから突出したボルトBの端部は伝達部13の内部に収容されるので、締緩作業を続けることができる。
また、把持筒部14の内部で伝達部13は、撓む等の変形を抑制されており、把持筒部14が直線状であることから、直線状の形状を保たれている。このため、伝達部13の内部にボルトBの端部を受け入れる際には、把持筒部14をガイドとして利用し、伝達部13を直線状に保つことにより、ボルトBの伝達部13の内側での引っ掛かりを抑制することができる。
把持筒部14は、係合部28を伝達部13の波付管13Aの凹部13Bに係合させた状態で、把持筒部14を持ち上げることで、伝達部13を持ち上げることもできる。伝達部13の中空管が螺旋状をなす波付管の場合も、同様に、把持筒部14を持ち上げることで、伝達部13を持ち上げることもできる。
【0028】
ところで、上記実施形態のナット回し工具10は、伝達部13と、連結軸部11及びソケット部12とが別体であり、それぞれが着脱可能に接続された構成とされているが、本発明を実施する場合には、この構成に限られるものではなく、伝達部13と、連結軸部11及びソケット部12とを接着、溶着、固着等の方法で着脱不可能に接続した構成や、伝達部13と連結軸部11及びソケット部12とを一体化した構成にすることができる。
【0029】
また、上記実施形態では、把持筒部14に係合部28を設け、伝達部の軸方向に沿った把持筒部14の自由移動を所望に応じて規制する構成としたが、係合部28を省略して、伝達部の軸方向に沿った把持筒部14の自由移動を常に許容する構成としてもよい。
【0030】
更に、本発明の波付管の接続部構造は、ナット回し工具の伝達部としての波付管の接続以外にも、電線管としての波付管の接続にも利用することができる。
【符号の説明】
【0031】
10 ナット回し工具 22 挿入部
11 連結軸部 23 弾性爪
11A 連結軸 24 内挿壁
12 ソケット部 25 回転追従部
12A ソケット 25A ネジ穴
13 伝達部 25B 操作ノブ
13A 波付管 27 鍔部
13B 凹部 28 係合部
13C 凸部 29 操作ピン
14 把持筒部 WM 作業者
15 接続部 EW 回転電動機
21 外壁 B ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10