(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183393
(43)【公開日】2022-12-09
(54)【発明の名称】心臓再同期療法治療効果予測装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61N 1/362 20060101AFI20221202BHJP
【FI】
A61N1/362
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2019202536
(22)【出願日】2019-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】関 悠介
(72)【発明者】
【氏名】北川 悠乃
(72)【発明者】
【氏名】松下 周平
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053KK02
4C053KK07
4C053KK10
(57)【要約】
【課題】心不全の症状の程度に関わらず、心臓再同期療法(CRT)のノンレスポンダーを予測できる装置、方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】ステップS1では、教師データ入力部101は、教師データの入力を受け付ける。ステップS2では、機械学習部102は、教師データ入力部101に入力された教師データから、ノンレスポンダーの予測判定モデルを機械学習する。ステップS3では、医療情報入力部103は、予測対象患者医療情報の入力を受け付ける。ステップS4では、予測部104は、機械学習部102により得られた予測判定モデルに基づいて、医療情報入力部103に入力された予測対象患者医療情報から、患者がノンレスポンダーであるか否かを予測判定する。ステップS5では、予測結果出力部105は、予測部104により得られた予測判定の結果を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓再同期療法のレスポンダーおよびノンレスポンダーのうち少なくとも1つを含む心臓再同期療法の実施済み患者に関する医療情報である教師データの入力を受け付ける教師データ入力部と、
前記教師データ入力部が入力を受け付けた前記教師データに基づいて前記ノンレスポンダーの予測基準を機械学習する機械学習部と、
心臓再同期療法の未実施患者の医療情報の入力を受け付ける医療情報入力部と、
前記医療情報入力受付部の受け付けた心臓再同期療法の未実施患者の医療情報と前記機械学習部の学習した前記ノンレスポンダーの判別基準とに基づいて、前記心臓再同期療法の未実施患者が心臓再同期療法のノンレスポンダーであるか否かを予測する予測部と、
を備える心臓再同期療法治療効果予測装置。
【請求項2】
前記教師データは、心臓再同期療法の治療完了時から所定期間経過した時点での心臓再同期療法の実施済み患者の電気的心機能および機械的心機能に関する情報のうち少なくとも1つを含み、
前記機械学習部は、前記教師データから、前記心臓再同期療法の治療完了時から所定期間経過した時点での患者の電気的心機能または機械的心機能に関する情報の予測基準を学習し、
前記予測部は、前記入力受付部の受け付けた任意の心臓再同期療法の未実施患者の医療情報と前記機械学習部の学習した前記心臓再同期療法の治療完了時から所定期間経過した時点での患者の電気的心機能または機械的心機能に関する情報の予測基準とに基づいて、前記任意の心臓再同期療法の未実施患者の電気的心機能および機械的心機能に関する情報を予測する請求項1に記載の心臓再同期療法治療効果予測装置。
【請求項3】
前記予測部による予測の結果を出力する予測結果出力部を備える請求項1または2に記載の心臓再同期療法治療効果予測装置。
【請求項4】
前記教師データは、前記心臓再同期療法の患者の属性、既往歴、薬歴、心臓形態、電気的心機能、機械的心機能、心筋生存能、リード留置部位、およびペーシング設定に関する情報のうち少なくとも1つを含む請求項1~3のいずれか1項に記載の心臓再同期療法治療効果予測装置。
【請求項5】
コンピュータが、
心臓再同期療法のレスポンダーおよびノンレスポンダーのうち少なくとも1つを含む心臓再同期療法の実施済み患者に関する医療情報である教師データの入力を受け付けるステップと、
入力を受け付けた前記教師データに基づいて前記ノンレスポンダーの予測基準を機械学習するステップと、
心臓再同期療法の未実施患者の医療情報の入力を受け付けるステップと、
受け付けた心臓再同期療法の未実施患者の医療情報と学習した前記ノンレスポンダーの判別基準とに基づいて、前記心臓再同期療法の未実施患者が心臓再同期療法のノンレスポンダーであるか否かを予測するステップと、
を実行する心臓再同期療法治療効果予測方法。
【請求項6】
請求項5に記載の心臓再同期療法治療効果予測方法をコンピュータに実行させるための心臓再同期療法治療効果予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓再同期療法の治療効果を予測する心臓再同期療法治療効果予測装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1によれば、心不全とは「何らかの心臓機能障害、すなわち、心臓に異常が生じて心ポンプ機能の代償機能が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群」と定義される。つまり、心不全は病名ではなく、「心臓の働きが不十分な結果、起きた体の状態」を指す。心不全の原因は、心臓発作・高血圧・弁膜症・心筋炎・先天性心臓血管・不整脈など様々である。したがって、原因に応じて薬物治療や手術・デバイス治療の中から適切な治療法が選択される。
【0003】
左心室の収縮不全では、しばしば房室伝導障害や心室内伝導障害を合併する。通常、心室内伝導障害は、心電図のQRS幅の延長として認識される。慢性心不全症例の約3分の1が120ミリ秒以上のQRS波を示し、その多くは左脚ブロックであると報告されている。このような心室の同期不全に起因する心不全に対しては、心臓再同期療法(Cardiac Resynchronization Therapy:CRT)が有効である。
【0004】
CRTは、重症心不全に対する有効な治療法である。CRTは、心室の収縮をより組織的かつ効果的にするためのデバイス療法である。CRTは両室ペーシングとも呼ばれ、左心室と右心室への電気刺激によって両心室を同時に収縮させることで、心臓が拍出する血液量を最大化するものである。
【0005】
CRTの植え込み手術は、通常のペースメーカー植え込み手術と同様に、局所麻酔下で行われる。例えば特許文献1に示すように、CRTデバイスは、鎖骨の下の胸の皮下に植え込まれる。X線透視下で鎖骨下静脈に沿って心室内に3本のリード線が挿入され、右心房と右心室の内壁に、2本のリード線先端の電極が接触固定される。3本目のリード線は、右心房に合流している冠状静脈洞という心臓の表面を走っている冠状静脈の合流する静脈に挿入され、この冠状静脈の中にリード線を這わせながら左心室の表面を走るリード線を挿入しこの静脈内に留置する。
【0006】
非特許文献1によれば、CRTの推奨とエビデンスレベルは、NYHA(New York Heart Association)心機能分類III/IV度については「1.最適な薬物治療、2.左室駆出率(Left Ventricular Ejection Fraction:LVEF)≦35%、3.左脚ブロック・QRS幅120ミリ秒以上、4.洞調律」である。NYHA心機能分類II度については「1.最適な薬物治療、2. LVEF≦35%、3.左脚ブロック・QRS幅150ミリ秒以上、4.洞調律」である。
【0007】
CRTデバイスの植え込みによる心不全の改善が認められない患者は「ノンレスポンダー」、改善が認められる患者は「レスポンダー」と呼ばれる。非特許文献1に示すように、QRS幅の大小など、従来からノンレスポンダーとなりうる患者を評価する指標が提案されている。QRS波は、心室の収縮に伴って生じる心電図の波形であり、QRS幅はQRS波の出現時間の長さである。正常なQRS幅は120ミリ秒未満である。ところが、左脚ブロックなどの伝導障害が生じた場合は、伝導遅延によりQRS幅は広くなる傾向にある。心室の伝導遅延は心室の収縮のタイミングのずれを引き起こすため、広いQRS幅は心臓のポンプ機能が低下している可能性を示している。
【0008】
非特許文献2は、両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)適用に関する多施設臨床試験(MADIT-CRT)のデータを利用し、CRT-Dを適用された患者677人と植込み型除細動器(ICD)を適用されたNYHA心機能分類I/II度の軽度心不全患者429人の計1106人の心不全患者について、教師なし機械学習アルゴリズムを用いて、患者を臨床指標、左室容積、変形における類似性によって互いに排他的なグループに分類する後ろ向き研究結果を報告したものである。CRT-Dの治療効果によって比較した結果、分類された4つのグループのうち、2つのグループにおいてCRT-Dの治療効果が高いことが示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】日本循環器学会、「急性・慢性心不全診療ガイドライン」47-48ページ(2019年10月21日検索)、インターネット<URL: http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2017_tsutsui_h.pdf>
【非特許文献2】Cikes M, et al., ” Machine learning-based phenogrouping in heart failure to identify responders to cardiac resynchronization therapy,” Eur J Heart Fail. 2019; 21: 74-85(2019年10月21日検索)、インターネット<URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30328654>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
非特許文献1のように、CRTは心電図上のQRS幅が120ミリ秒以上の患者に推奨されている。しかし心不全患者の多くはQRS幅が120ミリ秒未満であり、その約半数が心エコー上の心室同期不全を有することから、これらの患者にもCRTが有効な可能性がある。したがって、QRS幅やLVEFのような指標によらず、CRTによる治療効果を予測することが求められる。
【0012】
非特許文献2の研究は、軽度心不全患者を対象としており、重症心不全患者のノンレスポンダーは分類できない。
【0013】
本発明は、心不全の症状の程度に関わらず、CRTのノンレスポンダーを予測できる装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の心臓再同期療法治療効果予測装置は、心臓再同期療法のレスポンダーおよびノンレスポンダーのうち少なくとも1つを含む心臓再同期療法の実施済み患者に関する医療情報である教師データの入力を受け付ける教師データ入力部と、前記教師データ入力部が入力を受け付けた前記教師データに基づいて前記ノンレスポンダーの予測基準を機械学習する機械学習部と、心臓再同期療法の未実施患者の医療情報の入力を受け付ける医療情報入力部と、前記医療情報入力受付部の受け付けた心臓再同期療法の未実施患者の医療情報と前記機械学習部の学習した前記ノンレスポンダーの判別基準とに基づいて、前記心臓再同期療法の未実施患者が心臓再同期療法のノンレスポンダーであるか否かを予測する予測部と、を備える。
【0015】
また、本発明の心臓再同期療法治療効果予測方法では、コンピュータが、心臓再同期療法のレスポンダーおよびノンレスポンダーのうち少なくとも1つを含む心臓再同期療法の実施済み患者に関する医療情報である教師データの入力を受け付けるステップと、入力を受け付けた前記教師データに基づいて前記ノンレスポンダーの予測基準を機械学習するステップと、心臓再同期療法の未実施患者の医療情報の入力を受け付けるステップと、受け付けた心臓再同期療法の未実施患者の医療情報と前記機械学習部の学習した前記ノンレスポンダーの判別基準とに基づいて、前記心臓再同期療法の未実施患者が心臓再同期療法のノンレスポンダーであるか否かを予測するステップと、を実行する。
【0016】
この方法を実行するためのプログラムも本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によりCRTのノンレスポンダーを高精度に予測できれば、治療効果が期待できる患者のみCRTを受けさせることができる。これにより、ノンレスポンダーは、結果的に効果が得られないCRTの施術に伴う身体的、精神的、または経済的な負担を回避できる。また、ノンレスポンダーは、より治療効果の高い心不全治療を予め検討し選択する機会を得ることができる。したがって、本発明は、ノンレスポンダーのQOL向上に寄与することが期待される。
【0018】
また本発明は、CRTのノンレスポンダーの減少に寄与するため、無駄なCRTの施術に費やす医療費を削減できるという医療経済的な効果も奏することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】心臓再同期療法治療効果予測装置1のブロック図である。
【
図2】心臓再同期療法治療効果予測装置1の実行する予測処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明の好ましい実施形態に係る心臓再同期療法治療効果予測装置1のブロック図である。心臓再同期療法治療効果予測装置1は、教師データ入力部101と、機械学習部102と、医療情報入力部103と、予測部104と、予測結果出力部105とを備える。心臓再同期療法治療効果予測装置1は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、ストレージ、入出力インターフェース、通信インターフェース、および、データバス等の周知のハードウェア構成を備えたコンピュータで構成することができる。
【0021】
教師データ入力部101は、ノンレスポンダーであることが判明している患者および/またはレスポンダーであることが判明している患者の医療情報(教師データ)の入力を受け付ける。教師データ入力部101は、MT(Magnetic Tape:磁気テープ)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)、メモリSDカード(Secure Digital Card:セキュアデジタルカード)、などの記録媒体の読み取り装置など公知のハードウェアで構成することができる。あるいは、教師データ入力部101は、セキュアな通信装置を介して教師データの入力を受け付けてもよい。
【0022】
例えば、教師データは、CRTの施術の結果、ノンレスポンダーであることが確定している患者および/またはレスポンダーであることが確定している患者の医療情報、すなわち、患者の属性情報(年齢、性別、体重、身長、血圧など)、既往歴、薬歴、心臓形態(CT、心エコーなど)、電気的心機能(心電図など)、機械的心機能(心エコーなど)、心筋生存能(心筋シンチグラフィ、造影MRIなど)、リード配置部位(X線透視画像など)、ペーシング電極配置位置の要素のうち少なくとも1つである。教師データの要素および教師データの提供元となる患者は可能な限り多数であることが望ましい。したがって、教師データの医療情報の要素は上記に限られなくてもよい。
【0023】
また教師データは、上記に加えて、LVEF、QRS幅、NYHFのような要素を含んでもよい。教師データは、心筋の解剖学的情報を示すCT、機械的な同期不全を表す誘導心電図、心筋の生存能を示す心筋シンチグラフィや造影MRI、リード・電極配置部位を示すX線透視画像などを含むことが望ましい。
【0024】
また上記の医療情報の要素は、当該要素の測定の日時の情報と対応づけられてもよい。したがって、教師データは、異なる日時において測定された同一の患者の医療情報の要素を含んでもよい。例えば同じ患者の日時t1(CRT治療時)における身長、体重、心臓形態、電気的心機能などと、t1から所定期間経過した日時t2(CRT治療後半年、CRT治療後1年など)における身長、体重、心臓形態、電気的心機能などを含んでもよい。
【0025】
さらに教師データは、CRTが施術されているものの治療効果が得られない患者の医療情報を含んでもよい。そのような患者については、CRTの電極配置の変更を実施することで、レスポンダーになる可能性がある。本明細書では、このような患者を「仮ノンレスポンダー」と呼ぶこともある。教師データは、仮ノンレスポンダーの医療情報を含んでもよい。
【0026】
機械学習部102は、教師データ入力部101に入力された学習用の医療情報(教師データ)に基づいて、患者がノンレスポンダーであるか否かを予測する基準を学習する。すなわち機械学習部102は、入力された教師データから、ノンレスポンダーの予測判定モデルを機械学習する。予測判定モデルは、ロジスティック回帰やサポートベクターマシンなどの公知のものが用いられる。心臓形態、心筋生存能、リード留置部位などの画像情報は、CPUの代わりに、あるいはCPUと併用して、GPU(Graphics Processing Unit)によって処理してもよい。あるいは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサで医療情報を処理してもよい。
【0027】
機械学習部102は、仮ノンレスポンダーの教師データに基づいて仮ノンレスポンダーの予測判定モデルを機械学習してもよい。機械学習部102は、仮ノンレスポンダーがレスポンダーになる電極の変更位置を予測判定するモデルも機械学習するとさらによい。
【0028】
機械学習部102は、異なる日時において測定された同一の患者の医療情報の要素を含む教師データに基づいて、治療後から所定期間経過した日時における患者の機械的心機能や電気的心機能を予測判定するモデルも機械学習するとさらによい。
【0029】
教師データは、ノンレスポンダーに関する医療情報であってもよいし、レスポンダーに関する医療情報であってもよいし、その双方であってもよい。レスポンダーに関する医療情報からレスポンダーの予測判定モデルが機械学習され、患者がレスポンダーでないと予測することと、患者がノンレスポンダーと予測することは同じだからである。
【0030】
医療情報入力部103は、ノンレスポンダーであることが確定していない患者の医療情報(予測対象患者医療情報)の入力を受け付ける。予測対象患者医療情報は、患者の属性情報など、教師データと同様の要素を含む。医療情報入力部103は教師データ入力部101と同様USBなど公知のハードウェアで構成することができる。
【0031】
ノンレスポンダーであることが確定していない患者とは、CRTが施術されていない患者を含むが、さらに、CRTが施術されているものの治療効果が得られない患者を含んでもよい。本明細書では、このような患者を「仮ノンレスポンダー」と呼ぶこともある。仮ノンレスポンダーについては、CRTの電極配置の変更を実施することで、レスポンダーになる可能性がある。なおCRTの電極配置の変更を実施しても治療効果が得られない患者は、確定したノンレスポンダーである。
【0032】
予測部104は、機械学習部102により得られた予測判定モデルに基づいて、医療情報入力部103に入力された予測対象患者医療情報から、患者がノンレスポンダーであるか否かを予測する。
【0033】
予測結果出力部105は、予測部104により得られた予測の結果を出力する装置である。予測結果出力部105は、予測結果をディスプレイに表示させるディスプレイコントローラや、予測結果をプリンタにプリントアウトさせるプリントコントローラなど、公知の情報出力装置で構成できる。
【0034】
図2は心臓再同期療法治療効果予測装置1の実行する予測処理のフローチャートを示す。この処理を心臓再同期療法治療効果予測装置1のプロセッサで実行するためのプログラムは、心臓再同期療法治療効果予測装置1のメモリ、ストレージなどのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されている。
【0035】
ステップS1では、教師データ入力部101は、教師データの入力を受け付ける。
【0036】
ステップS2では、機械学習部102は、教師データ入力部101に入力された教師データから、ノンレスポンダーの予測判定モデルを機械学習する。機械学習部102は、仮ノンレスポンダーの予測判定モデル、仮ノンレスポンダーがレスポンダーになる電極の変更位置を予測判定するモデルも機械学習してもよい。
【0037】
ステップS3では、医療情報入力部103は、予測対象患者医療情報の入力を受け付ける。
【0038】
ステップS4では、予測部104は、機械学習部102により得られた予測判定モデルに基づいて、医療情報入力部103に入力された予測対象患者医療情報から、患者がノンレスポンダーであるか否かを予測判定する。患者が仮ノンレスポンダーであるか、および、仮ノンレスポンダーがレスポンダーになる電極の変更位置を予測判定してもよい。
【0039】
ステップS5では、予測結果出力部105は、予測部104により得られた予測判定の結果を出力する。この予測判定の結果には、患者がノンレスポンダーであると予測されるか否か、ノンレスポンダーであるが仮ノンレスポンダーであるか否かおよび仮ノンレスポンダーがレスポンダーになる電極の変更位置が含まれうる。
【0040】
心臓再同期療法治療効果予測装置1において以上の処理を行うことにより、CRTの適応とならない患者すなわちノンレスポンダー、あるいは適応となる患者すなわちレスポンダーを予測することができる。これにより、治療効果の高い患者のみにCRTを施術でき、無駄な身体的・経済的・時間的負担を回避することができ、患者のQOLを向上することができる。また、医療経済的な観点では、治療効果のないノンレスポンダーにCRTを施術することを抑制でき、無駄な医療費を削減することができる。さらに、ノンレスポンダーと予測された患者については、人工心臓、心臓移植、再生医療などの代替治療法を提案する機会を与えることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 心臓再同期療法治療効果予測装置
101 教師データ入力部
102 機械学習部
103 医療情報入力部
104 予測部
105 予測結果出力部