(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183409
(43)【公開日】2022-12-09
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/36 20060101AFI20221202BHJP
B65H 29/58 20060101ALI20221202BHJP
B41J 13/00 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
B65H5/36
B65H29/58 B
B65H29/58 D
B41J13/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153482
(22)【出願日】2022-09-27
(62)【分割の表示】P 2021037163の分割
【原出願日】2008-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】浅田 哲男
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 真種
(72)【発明者】
【氏名】飯島 章太
(72)【発明者】
【氏名】井▲土▼ 正俊
(72)【発明者】
【氏名】中北 覚
(57)【要約】
【課題】装置を大型化することなく、一方の面に画像が記録された被記録媒体を再び記録部へ搬送する際に、当該被記録媒体を円滑に記録部へ案内することが可能な画像記録装置を提供すること。
【解決手段】プリンタ部11の内部に搬送路65と反転搬送路67とが設けられている。
搬送路65は、外側湾曲路65Aと排紙路65Bを有し、反転搬送路67は、分岐路67Aと内側湾曲路67Bを有する。内側湾曲路67Bは外側湾曲路65Aよりもプリンタ部11の内部側に配置されている。分岐路67Aと内側湾曲路67Bとの繋ぎ目付近にガイドフラップ19が設けられている。内側湾曲路67Bは、ガイドフラップ19の湾曲したガイド面19Bによって形成されている。表面に画像が記録された記録用紙は、ガイドフラップ19によって分岐路67Aから内側湾曲路67Bへ円滑に案内される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙カセットと、
排紙保持部と、
記録部と、
前記給紙カセットから前記記録部を通過し前記排紙保持部に至る搬送路と、
前記搬送路から分岐する分岐部位から前記搬送路に合流する合流部位に至る反転搬送路と、
回動中心と回動先端部を有する回動可能な回動ガイド部材であって、前記給紙カセットから前記記録部へ向けて前記搬送路を搬送される被記録媒体をガイドする第1姿勢と、前記分岐部位から前記合流部位に向けて前記反転搬送路を搬送される被記録媒体をガイドする第2姿勢と、の間で回動する前記回動ガイド部材と、
前記回動ガイド部材と対向するガイド部材と、
前記回動ガイド部材と対向する他のガイド部材と、
を備え、
前記反転搬送路の一部は、前記回動ガイド部材と前記ガイド部材により形成され、
前記搬送路の一部は、前記回動ガイド部材と前記他のガイド部材により形成され、
前記回動ガイド部材が前記第2姿勢にあるときの前記回動ガイド部材の前記回動先端部と前記ガイド部材との間隔は、前記回動ガイド部材が前記第1姿勢にあるときの前記回動ガイド部材の前記回動先端部と前記ガイド部材との間隔よりも大きく、
前記回動ガイド部材が前記第2姿勢にあるとき、前記回動ガイド部材は前記搬送路を塞ぐ、画像記録装置。
【請求項2】
前記回動ガイド部材が前記第1姿勢にあるときの前記回動ガイド部材の前記回動先端部と前記他のガイド部材との間隔は、前記回動ガイド部材が前記第2姿勢にあるときの前記回動ガイド部材の前記回動先端部と前記他のガイド部材との間隔よりも大きい請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記給紙カセットから送り出されるシートとの当接により、前記回動ガイド部材は前記第2姿勢から前記第1姿勢に姿勢を変化させる請求項1または請求項2のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記回動ガイド部材の前記回動先端部の形状は、シートの搬送方向に突出した部分が、前記搬送方向と直交する方向において間隔を空けて複数設けられた形状である請求項1から3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記回動ガイド部材は、シートの搬送方向に沿って先細り形状となっている請求項1から4のいずれかに記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイから記録部へ給送された被記録媒体に対して画像を記録する画像記録装置に関し、特に、画像が記録された被記録媒体を再び記録部へ給送する搬送路を備えたインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被記録媒体の両面に画像を記録することができるインクジェット方式の画像記録装置が知られている。この種の画像記録装置の一例として、トレイから送り出された被記録媒体を湾曲状の搬送路を通って記録部へ搬送し、記録部において表面(第1面)に画像が記録された被記録媒体を記録部の搬送方向下流側でスイッチバックさせ、この被記録媒体を再び上記湾曲状の搬送路を通して裏面(第2面)を記録部に対向させるようにして搬送し、記録部において裏面に画像を記録する機構を備えたものが特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2008-247537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前掲した従来の画像記録装置では、トレイと該トレイの上方に配置された記録部との間に第2搬送路15が設けられており、表面に画像が記録された被記録媒体はこの第2搬送路を通って湾曲状の第1搬送路23へ戻される。そのため、第2搬送路15から第1搬送路23への接続通路において、上方への緩やかな湾曲面を確保することができず、被記録媒体が第1搬送路23へ進入する際に、過剰に撓まされるおそれがある。
なお、上記接続通路を上下方向へ長く構成すると、上記接続通路において上方への緩やかな湾曲面を確保することが可能であるが、画像記録装置の高さ方向の寸法が大きくなり、装置が大型化するという問題が生じかねない。
【0004】
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、装置を大型化することなく、画像が記録された被記録媒体を再び記録部へ搬送する際に、当該被記録媒体を円滑に記録部へ案内することが可能なインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の画像記録装置は、上記目的を達成するために、被記録媒体を収容するトレイと、給送向きに沿って前記トレイに収容された被記録媒体を送り出す給送部と、被記録媒体を分離する分離部と、送り出された被記録媒体を案内する湾曲した第1搬送路の外側を形成する外側ガイド部材と、被記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドと、前記トレイよりも上方に配置され、前記第1搬送路の内側にて湾曲する湾曲経路を有し、前記記録ヘッドによってインクが吐出された被記録媒体を前記記録ヘッドに再度搬送する第2搬送路を形成する反転ガイド部と、を備え、前記反転ガイド部は、前記湾曲経路の内側を形成する内側ガイド部材と、前記第1搬送路の内側を形成する湾曲した第1案内部と、前記第2搬送路の外側を形成する湾曲した第2案内部と、を有し、前記給送向きにおいて前記分離部の下流端よりも上流側であって前記記録ヘッドよりも下流側に配置され、前記給送部によって送り出される被記録媒体との当接に応じて前記内側ガイド部材側に回動可能に設けられた回動ガイド部材と、を備える。
【0006】
【発明の効果】
【0007】
本発明の画像記録装置によれば、装置の大型化を伴うことなく、画像が記録された被記録媒体を再び記録部へ搬送する際に、当該被記録媒体を円滑に記録部へ案内することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、適宜図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0009】
[複合機10の概略]
図1は、本発明の一実施形態である複合機10の外観斜視図である。なお、以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7を定義し、操作パネル40が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8を定義し、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9を定義する。
【0010】
複合機10は、主に、下部に設けられたインクジェット方式のプリンタ部11と、上部に設けられたスキャナ部12と、正面上部に設けられた操作パネル40とを備えている。
この複合機10は、ファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及び、コピー機能などの各種の機能を有している。プリンタ機能としては、記録用紙の表面(第1面)及び裏面(第2面)の両面に画像を記録する両面画像記録機能を有している。なお、プリンタ機能以外の機能は任意であり、例えば、スキャン機能やコピー機能、ファクシミリ機能を有しないプリンタ機能のみを有するプリンタとして本発明の画像記録装置が実施されてもよい。
【0011】
プリンタ部11は、正面に開口13が形成されており、この開口13からプリンタ部11の内部に給紙カセット78が装着されている。この給紙カセット78は、開口13からプリンタ部11内に挿抜可能に構成されている。給紙カセット78は、各種サイズの記録用紙(本発明の被記録媒体の一例)を収容するものであり、下段にメイントレイ20が配置され、上段にセカンドトレイ21(本発明のトレイの一例)が配置されている。つまり、メイントレイ20及びセカンドトレイ21は、上下2段に設けられている。セカンドトレイ21の前方側の上面は、排出された画像記録済みの記録用紙が保持される排紙保持部79である。
【0012】
スキャナ部12は、いわゆるフラットベッドスキャナとして構成されている。スキャナ部12の上部に原稿カバー30が設けられている。原稿カバー30は、複合機10の天板として設けられており、その原稿カバー30の下には、図示しないプラテンガラスが配置されている。原稿は、プラテンガラス上に載置され、原稿カバー30に覆われた状態でスキャナ部12に読み取られる。
【0013】
操作パネル40は、プリンタ部11やスキャナ部12を操作するためのものであって、各種操作ボタンや液晶表示部が設けられている。ユーザは、操作パネル40を操作することで、各種機能の設定や動作を実行することができる。例えば、記録用紙としての記録用紙の種類(普通紙又は葉書など)の設定や、記録用紙の表面のみに画像を記録する片面記録モードの設定、表裏両面に画像を記録する両面記録モードの設定、解像度(ドラフトモード又はフォトモード)の設定を、操作パネル40を介して指示することができる。
【0014】
[プリンタ部11の詳細]
次に、
図2乃至
図4を参照して、プリンタ部11の構成について詳細に説明する。
図2及び
図3は、プリンタ部11の構造を示す縦断面図である。
図4は、
図2における要部IVの拡大詳細図であり、ガイドフラップ19周辺の断面構造が詳細に示されている。
【0015】
プリンタ部11は、上述した給紙カセット78に加えて、給紙カセット78から記録用紙を給紙(給送)する給送部15(本発明の給送手段の一例)と、給送部15によって給紙された記録用紙にインク滴を吐出することで記録用紙に画像を記録するインクジェット方式の記録部24(本発明の記録部の一例)と、裏面(第2面)に画像を記録するために表面(第1面)に画像が記録された記録用紙の搬送経路を切り換える経路切換部41(本発明の経路切換部の一例)とを備えている。なお、記録部24は、インクジェット方式に限られず、電子真方式、或いは感熱記録方式など、種々の記録方式のものが適用され得る。
【0016】
[搬送路65]
プリンタ部11内には、メイントレイ20の先端から記録部24を経て排紙保持部79に至る搬送路65が形成されている。搬送路65は、メイントレイ20の先端から記録部24に至る間に形成された外側湾曲路65A(本発明の第1搬送路の一例)と、記録部24から排紙保持部79に至る間に形成された排紙路65Bとを有している。
【0017】
図4に示されるように、外側湾曲路65Aは、給紙カセット78よりも搬送方向下流側(以下「下流側」と略称する。)、詳細にはメイントレイ20の分離傾斜板22の上端付近から、記録部24よりも搬送方向上流側(以下「上流側」と略称する。)に至る間に形成された湾曲状の通路である。この外側湾曲路65Aは、メイントレイ20と記録用紙との間に定められた中心点を中心とする円弧形状に概ね形成されている。外側湾曲路65Aは、所定間隔で対向する湾曲形状のガイド面18A及びガイド面19A(本発明の内側ガイド面の一例)によって形成されている。具体的には、プリンタ部11のフレームに設けられた上記ガイド面18Aを有する外側ガイド部材18と、上記ガイド面19Aを有するガイドフラップ19(本発明のガイドフラップの一例)とによって、外側湾曲路65Aが区画形成されている。外側ガイド部材18には、搬送コロ17が設けられている。搬送コロ17は、外側湾曲路65Aの幅方向(左右方向9)を軸方向として外側ガイド部材18に回転自在に支持されている。搬送コロ17外周面は、外側ガイド部材18のガイド面18Aか外側湾曲路65Aに露出されている。搬送コロ17によって、記録用紙が外側湾曲路65Aを通る際に、外側ガイド部材18のガイド面18Aに接触する記録用紙の搬送が円滑となる。
【0018】
ガイドフラップ19は、プリンタ部11のフレームに設けられた支持部71に回動可能に支持されている。このガイドフラップ19は、外側ガイド部材18との間で外側湾曲路65Aを形成するとともに、ガイドフラップ19よりも前方側に設けられた固定ガイド72との間で後述する内側湾曲路67Bを形成している。ガイドフラップ19の構成については後述する。
【0019】
[反転搬送路67]
また、
図2に示されるように、プリンタ部11内には、記録部24の下流側の分岐部位36から分岐して給紙カセット78の上側を通って記録部24の上流側の合流部位37に接続される反転搬送路67が形成されている。なお、合流部位37は、外側湾曲路65Aの終端と反転搬送路67の終端とが合流する部分である。反転搬送路67は、分岐路67A(本発明の第2搬送路の一例)と内側湾曲路67B(本発明の第3搬送路の一例)とを有している。分岐路67Aは、分岐部位36から分岐され、給紙カセット78及び記録部24の間を通って装置の後方へ延設されている。この分岐路67Aの終端は、給送部15よりも後方側であって外側湾曲路65Aよりも前方側に設けられた支持部71に達している。内側湾曲路67Bは、分岐路67Aの後方側の終端付近から記録部24の上流側の合流部位37に至る間に形成されている。本実施形態では、
図2及び
図3に示されるように、内側湾曲路67Bは、外側湾曲路65Aよりも前方側(プリンタ部11の内部側)に形成されている。
【0020】
分岐路67Aは、分岐部位37から後方斜め下方へ延出された傾斜ガイド32,33と、排紙保持部79の内部から出没されるスライドガイド34(本発明のガイド部材の一例)とにより形成されている。傾斜ガイド32,33は互いに対向するように配置されており、これらによって、分岐路67Aにおいて分岐部位36から傾斜する傾斜部が形成されている。なお、スライドガイド34については後述する。
【0021】
内側湾曲路67Bは、所定間隔で対向する湾曲形状のガイド面19B(本発明の内側ガイド面の一例)及びガイド面72Aによって形成されている。具体的には、前方側(プリンタ部11の内部側)に上記ガイド面19Bを有するガイドフラップ19と、後方側に上記ガイド面72Aを有する固定ガイド72とによって、内側湾曲路67Bが区画形成されている。固定ガイド72は、ガイドフラップ19よりも前方側に設けられており、そのガイド面72Aには搬送コロ73が設けられている。搬送コロ73は、内側湾曲路67Bの幅方向(左右方向9)を軸方向として外側ガイド部材18に回転自在に支持されている。
搬送コロ73の外周面は内側湾曲路67Bに露出されている。搬送コロ73によって、記録用紙が内側湾曲路67Bを通る際に、固定ガイド72のガイド面72Aに接触する記録用紙の搬送が円滑となる。
【0022】
給送部15によってメイントレイ20又はセカンドトレイ21から給紙された記録用紙は、外側湾曲路65Aを通って、記録部24へ搬送される。このとき、記録用紙は、給紙ローラ25(本発明の第1ローラの一例)が当接した面とは反対の面が記録部24と対向するように反転される。記録部24を通過した記録用紙は、排紙路65Bを通って排紙保持部79へ搬送されるか、あるいは、経路切換部41により搬送経路が切り換えられて、反転搬送路67の分岐路67A及び内側湾曲路67Bを通って再び記録部24へ搬送される。
【0023】
[記録部24]
記録部24は、給紙カセット78の上方に配置されている。記録部24は、キャリッジ38と記録ヘッドとを備えている。記録ヘッドは、キャリッジ38に搭載され、
図2の紙面垂直方向(主走査方向)に延出されたガイドレール(不図示)に沿って往復動するように構成されている。記録ヘッドは、キャリッジ38の往復過程において、図示しないインクカートリッジから供給されたインクを微小なインク滴としてプラテン42上を搬送される記録用紙に吐出する。これにより、記録用紙に画像が記録される。
【0024】
湾曲路65Aの終端と記録部24との間には、搬送ローラ60及びピンチローラ61が設けられている。これらは対をなしている。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の下側に圧接するように配置されている。搬送ローラ60及びピンチローラ61は、湾曲路65Aを搬送してきた記録用紙を狭持してプラテン42上へ送るものである。
【0025】
また、記録部24と排紙路65Bの始端との間には、排紙ローラ62及び拍車ローラ63が設けられている。排紙ローラ62及び拍車ローラ63は、記録済みの記録用紙を狭持してさらに下流側(排紙保持部79側)へ搬送するものである。搬送ローラ60及び排紙ローラ62は、図示しないモータから回転駆動力が伝達されて回転される。なお、これらのローラ60,62は、画像記録時に間欠駆動される。これにより、記録用紙は所定の改行幅で送られながら画像記録がなされる。
【0026】
[給送部15]
給送部15は、給紙カセット78に収容された記録用紙を外側湾曲路65Aへ向けて搬送するためのものであり、給紙ローラ25と給紙アーム26(本発明のアームの一例)と駆動伝達機構(不図示)とを備えている。給紙ローラ25は、給紙カセット78の上側に配置されている。給紙ローラ25は、給紙カセット78のメイントレイ20或いはセカンドトレイ21に収容された記録用紙を湾曲路65Aへ給紙するものであり、給紙アーム26の先端に回転自在に軸支されている。給紙ローラ25は、モータなどの電動機(不図示)を駆動源として上記駆動伝達機構を介して回転駆動される。上記駆動伝達機構は概ね直線状に並ぶ複数のギヤで構成されており、これらが噛合されることにより構成されている。
【0027】
給紙カセット78の上方に形成された分岐路67Aよりも更に上方であって記録部24の下方に基軸28が設けられている。つまり、基軸28は、分岐路67Aと記録部24との間に設けられている。給紙アーム26は、その基端部が基軸28に支持されており、基軸28を回動中心軸として回転可能に構成されている。このため、給紙アーム26は、メイントレイ20に対して接離可能に上下動することができる。また、給紙アーム26は、自重により又はバネ等に付勢されて下側へ回動付勢されている。このため、給紙ローラ25は、給紙カセット78に収容された記録用紙の上面に当接可能である。給紙アーム26は、給紙カセット78がプリンタ部11に対して挿入される際に、給紙カセット78の後端部に押圧されることによって、上方へ押し上げられるように構成されている。
【0028】
[給紙カセット78]
給紙カセット78は、給送部15の下方に設けられている。給紙カセット78のメイントレイ20は、プリンタ部11の底側に配置され、上面が開放された矩形箱状に構成されている。メイントレイ20は、最大でA4サイズ(210mm×297mm)の記録用紙が収容可能である。本実施形態の複合機10では、主として、B5サイズ、A4サイズなどの記録用紙がメイントレイ20に収容される。
【0029】
セカンドトレイ21は、メイントレイ20の上段に配置されている。セカンドトレイ21は、最大で葉書サイズ(100×148mm)の記録用紙が収容可能である。本実施形態の複合機10では、主として、葉書サイズ、名刺サイズ、写真L版サイズの記録用紙(葉書、光沢紙など)がセカンドトレイ21に収容される。
【0030】
セカンドトレイ21は、メイントレイ20の上部において前後方向8へスライド可能に支持されている。詳細には、セカンドトレイ21は、その後方端部21Aが後述する分離傾斜板22に当接する後方位置(
図2及び
図3参照)と、後方端部21Aが分離傾斜板22から所定距離だけ前方側へ離間した前方位置との間でスライドする。
【0031】
セカンドトレイ21が上記前方位置から上記後方位置へスライドされると、後方端部21Aが給紙アーム26を押圧して、給紙アーム26を上方へ押し上げる。これにより、給紙ローラ25が、
図2及び
図3に示されるように、セカンドトレイ21上に配置される。
このときの給紙アーム26の姿勢が、本発明の第1姿勢に相当する。給紙ローラ25がセカンドトレイ21上に配置されると、給紙ローラ25はセカンドトレイ21に収容された記録用紙の上面に当接する。この状態で、給紙ローラ25が回転されると、セカンドトレイ21に収容された記録用紙を外側湾曲路65Aへ向けて給紙することが可能となる。
【0032】
一方、セカンドトレイ21が上記後方位置から上記前方位置へスライドされると、メイントレイ20の後方側の上面が開けられる。そして、給紙ローラ25がメイントレイ20の後方側の上面の開口からメイントレイ20側へ下降すると、メイントレイ20に収容された記録用紙に当接する。これにより、メイントレイ20の記録用紙を給紙することが可能な状態となる。
【0033】
セカンドトレイ21のスライド支持機構としては、例えば、メイントレイ20に設けられたレール(不図示)が、セカンドトレイ21に設けられた摺動溝(不図示)に挿入されて、上記摺動溝内で上記レールが摺動可能な摺動支持機構や、その他の周知の機構が採用可能である。また、セカンドトレイ21は、手動で動作可能なものであってもよく、或いは、周知の伝達機構(例えばラック-ピニオン機構)を介してモータなどの電動機から動力を受けて動作可能なものであってもよい。なお、セカンドトレイ21は、摺動可能に支持される機構に限られず、メイントレイ20の上部において前後方向8へ移動可能に支持されていれば如何なる支持機構でも採用可能である。
【0034】
セカンドトレイ21の前方側に排紙保持部79が設けられている。排紙保持部79の上面に、排出された画像記録済みの記録用紙が保持される。排紙保持部79の後方側の側壁に開口が設けられており、その開口から排紙保持部79の内部にスライドガイド34が出没可能に配置されている。
【0035】
スライドガイド34は、セカンドトレイ21上において、
図2に示される退避位置と
図3に示される案内位置との間で前後方向8へスライド可能に支持されている。なお、上記退避位置は、スライドガイド34の後方端部34Aが給送部15よりも前方側へ退避した位置である。また、上記案内位置は、給送部15よりも後方側に設けられた支持部71にスライドガイド34の後方端部34Aが近接した位置である。
【0036】
スライドガイド34のスライド支持機構としては、例えば、セカンドトレイ21に設けられたレール(不図示)が、スライドガイド34に設けられた摺動溝(不図示)に挿入されて、上記摺動溝内で上記レールが摺動可能な摺動支持機構や、その他の周知の支持機構が採用可能である。また、スライドガイド34は、手動で動作可能なものであってもよく、或いは、周知の伝達機構(例えばラック-ピニオン機構)を介してモータなどの電動機から動力を受けて動作可能なものであってもよい。なお、スライドガイド34は、摺動可能に支持される機構に限られず、上記案内位置(
図3参照)と上記退避位置(
図2参照)との間で移動可能に支持されていれば如何なる支持機構でも採用可能である。
【0037】
セカンドトレイ21が
図2及び
図3に示される後方位置に配置された状態で、スライドガイド34が退避位置(
図2参照)から案内位置(
図3参照)までスライドされると、スライドガイド34の後方端部34Aが給送部15の給紙アーム26を押圧して、給紙アーム26を上方へ押し上げる。これにより、給紙ローラ25が、
図3に示されるように、スライドガイド34の上面に当接するようにスライドガイド34上に配置される。このときの給紙アーム26の姿勢が、本発明の第2姿勢に相当する。給紙ローラ25がスライドガイド34上に配置された状態で、スライドガイド34上を通過する記録用紙を下流側へ給紙することが可能となる。一方、スライドガイド34が上記案内位置から上記退避位置までスライドされると、給紙ローラ25は、スライドガイド34から下方へ落ちてセカンドトレイ21の記録用紙に当接するようにセカンドトレイ21上に配置される。この状態で、セカンドトレイ21に収容されている記録用紙を外側湾曲路65Aへ向けて給紙することが可能となる。
【0038】
なお、スライドガイド21の後方端部34Aには、傾斜ガイド69が立設されている。
傾斜ガイド69は、後方端部34Aから後方側へ傾斜している。スライガイド34が
図3に示される位置にあるときに、傾斜ガイド69は内側湾曲路67Bへ向けて上方へ突出しており、その上端は、内側湾曲路67Bに配置されている。この傾斜ガイド69によって、反転搬送路67を通過する記録用紙は、分岐路67Aから内側湾曲路67Bへ円滑に案内される。
【0039】
[分離傾斜板22]
図2及び
図3に示されるように、メイントレイ20には、分離傾斜板22が設けられている。分離傾斜板22は、メイントレイ20の後方端部に立設されており、後方側へ傾斜している。この分離傾斜板22の上側から後方斜め上方へ向けて外側湾曲路65Aが形成されている。分離傾斜板22の内面23は、記録用紙を外側湾曲路65Aへ案内するガイド面の役割を担う。従って、メイントレイ20から水平方向へ送り出された記録用紙の先端が分離傾斜板22の内面23に当接すると、記録用紙の進行方向が、分離傾斜板22の傾斜方向つまり後方斜め上方へ変更される。分離傾斜板22の内面23の中央には、内面23から突出された複数の分離歯が上下方向7に並んで配設されている。このような分離傾斜板22が設けられているため、仮に、メイントレイ20から複数の記録用紙が束となって給送されたとしても、記録用紙の端部が分離傾斜板22の内面23に当接したときに、分離歯によって各記録用紙が分離されて、最上位の記録用紙だけが上方の湾曲路65Aへ案内される。
【0040】
[経路切換部41]
次に、経路切換部41について説明する。経路切換部41は、排紙路65Bに配置されている。具体的には、経路切換部41は、排紙路65Bにおける分岐部位36、すなわち排紙路65Bと反転搬送路67との接続部分付近に配置されている。経路切換部41には、ローラ対を構成する第1ローラ45及び第2ローラ46と、第2ローラ46に並設された補助ローラ47とが設けられている。
【0041】
第1ローラ45及び第2ローラ46は、排紙ローラ62及び拍車ローラ63から送られた記録用紙を狭持するものである。第1ローラ45及び第2ローラ46は、記録用紙を排紙路65Bに沿ってさらに下流側(排紙保持部79側)へ搬送可能であるとともに、記録用紙を反転搬送路67に搬送可能である。
【0042】
第2ローラ46及び補助ローラ47は、フレーム48に取り付けられている。このフレーム48は、複合機10の左右方向9(
図2の紙面垂直方向)に延びている。フレーム48には、複数の第2ローラ46及び補助ローラ47が複合機10の左右方向9(幅方向)に所定間隔で配置されている。第2ローラ46及び補助ローラ47は、
図2において紙面に垂直な方向を軸方向とする2つの回転軸それぞれに回転自在に支持されている。第2ローラ46及び補助ローラ47は、用紙の記録面に当接するので、拍車ローラ63と同様に拍車状に形成されている。補助ローラ47は、所定距離だけ第2ローラ46よりも上流側に配置されている。第2ローラ46は、弾性部材により第1ローラ45へ付勢されている。
【0043】
第1ローラ45は、所定の駆動伝達機構を介して不図示のモータと連結されており、このモータを駆動源として回転駆動される。また、第1ローラ45は、中心軸52を備えており、その中心軸52は、プリンタ部11のフレームに支持されている。
【0044】
第1ローラ45の上方に第2ローラ46が配置されている。第1ローラ45は、単一の細長円柱形状に形成されていてもよく、また、複数のローラがそれぞれ各第2ローラ46と対向配置されていてもよい。第1ローラ45は、モータによって正転又は逆転される。
排紙路65Bに沿って記録部24から搬送された記録用紙は、第1ローラ45及び第2ローラ46によって挟持される。
【0045】
経路切換部41は、中心軸52を回転中心として、フレーム48、第2ローラ46、及び補助ローラ47が一体的に回動するように構成されている。この経路切換部41は、モータから伝達される駆動力の有無に応じて、中心軸52の周りを回転して姿勢変化する。
詳細には、経路切換部41は、記録部24を通過した記録用紙を排紙トレイ21へ排出する排出姿勢(本発明の第3姿勢に相当、
図2参照)と、記録部24を通過した記録用紙を反転させてから反転搬送路67へ案内する反転姿勢(本発明の第4姿勢に相当、
図3参照)とに変化可能である。
【0046】
モータによって第1ローラ45が正転(
図2及び
図3において時計方向の回転)されると、経路切換部41はその姿勢を上記排出姿勢に維持する。これにより、記録部24を通過した記録用紙が前方側(排紙保持部79側)へ送られる。片面記録を行う場合は、第1ローラ45が継続して正転されることで、記録用紙は第1ローラ45及び第2ローラ46に挟持されて下流側へ搬送され、排紙保持部79に排紙される。
【0047】
両面記録を行う場合は、経路切換部41は、第1ローラ45及び第2ローラ46が記録用紙の後端部を挟持した状態で上記排出姿勢(
図2参照)から上記反転姿勢(
図3参照)へ姿勢変化される。この姿勢変化は、モータの回転方向が切り換えられて、第1ローラ45が正転から逆転(
図2及び
図3において反時計方向の回転)に切り換えられたことにより達成される。経路切換部41が反転姿勢に変化したことにより、記録用紙の後端部が補助ローラ47によって下方へ押さえつけられる。これにより、記録部24を通過した記録用紙は、スイッチバック搬送されて、その後端側から反転搬送路67の分岐路67Aへ送り込まれる。
【0048】
なお、本実施形態では、第1ローラ45が正転のときに基軸28を介して給紙ローラ25へモータの駆動力が伝達され、第1ローラ45が逆転のときには、給紙ローラ25へ駆動力が伝達されないよう構成されている。つまり、記録用紙が反転搬送路67を第1ローラ45等によって搬送されている間は、基軸28にはモータの駆動力は伝達されない。このような構成は、給紙ローラ25に駆動力を供給するモータを独立して制御することにより実現可能である。もちろん、給紙ローラ25及び搬送ローラ62等の各ローラを共通のモータで駆動させる駆動伝達系を採用した場合は、クラッチや遊星ギヤなどの伝達切換機構を用いることによって上記動作を実現することができる。
【0049】
[ガイドフラップ19]
次に、
図4乃至
図6を参照して、ガイドフラップ19について説明する。
図5及び
図6は、ガイドフラップ19の斜視図である。
図5には、ガイドフラップ19の前方側のガイド面19Bが示されており、
図6には、ガイドフラップ19の後方側のガイド面19Aが示されている。
【0050】
ガイドフラップ19は、分岐路67Aを搬送される記録用紙を内側湾曲路67Bを通って記録部24の上流側の合流部位へ向けて案内する湾曲形状のフラップである。このガイドフラップ19は、
図4に示されるように、分岐路67Aの終端付近に回動可能に支持されている。具体的には、ガイドフラップ19は、左右方向9に伸びる回動軸81を有しており、この回動軸81が給送部15よりも後方側に設けられた支持部71に回動可能に支持されている。ガイドフラップ19の先端(回動端)82は、合流部位37に到達している。
【0051】
本実施形態では、ガイドフラップ19は、
図2に示されるように、外側湾曲路65Aにおいて記録用紙の搬送経路を確保するとともに内側湾曲路67Bの合流部位37側を先端82で塞ぐ姿勢と、内側湾曲路67Bにおいて記録用紙の搬送経路を確保するとともに外側湾曲路65Aの合流部位37側を先端82で塞ぐ姿勢との間で回動可能となっている。
なお、本実施形態では、外側湾曲路65Aまたは内側湾曲路67Bのいずれか一方の搬送路を記録用紙が搬送されている場合は、他方の搬送路に記録用紙は搬送されない。従って、仮に、一方の搬送路(例えば内側湾曲路67B)に記録用紙が搬送されている場合に、他方の搬送路(例えば外側湾曲路68A)が塞がれても、記録用紙の搬送に不具合は生じない。
【0052】
図5及び
図6に示されるように、ガイドフラップ19は、細幅で、左右方向9に長尺に形成されている。このガイドフラップ19は、2つのガイド面19A,19Bを有する。
ガイド面19Bは、回動軸81から先端82に渡って湾曲している。具体的には、ガイド面19Bは、給送部15側に定められた中心点を中心とする円弧に略一致するような湾曲面に形成されている。ガイド面19Bによって、内側湾曲路67Bが区画されている。また、ガイド面19Aは、先端82から外側ガイド部材18のガイド面18Aに沿って分離傾斜板22へ向けて延びている。この湾曲面19Aは、外側ガイド部材18のガイド面18Aと概ね同様に曲率で湾曲している。ガイド面19Aによって外側湾曲路65Aが区画されている。
【0053】
ガイドフラップ19は、合流部位37へ向けて徐々に先細りとなるように形成されている。ガイドフラップ19の先端82は鋭角形状に形成されており、搬送ローラ60及びピンチローラ61との圧接部へ向けられている。
【0054】
ガイドフラップ19の先端付近に2つの搬送コロ84(本発明の回転体の一例)が設けられている。各搬送コロ84は、左右方向9を軸方向として、ガイドフラップ19を貫通する取付穴85に回転自在に支持されている。この搬送コロ84の外周面は、ガイド面19A及びガイド面19Bの双方に露出されている。また、ガイドフラップ19のガイド面19Aにも複数の搬送コロ87が回転自在に支持されている。搬送コロ84によって、内側湾曲路67Bを記録用紙が通る際に、ガイド面19Bに接触する記録用紙の搬送が円滑となる。また、搬送コロ87によって、外側湾曲路65Aを記録用紙が通る際に、ガイド面19Aに接触する記録用紙の搬送が円滑となる。
【0055】
図6に示されるように、ガイド面19Aの回動軸81側の端部、詳細には、当該端部の中央部分に、回動軸81側が開放された細幅長尺な開口89が設けられている。この開口89は、セカンドトレイ21から記録用紙が外側湾曲路65Aへ向けて給紙されて、該記録用紙の給送向きが上方へ変更された際に記録用紙が進入される部分である。従って、開口89の幅D(左右方向9の寸法)は、セカンドトレイ21に収容可能な記録用紙の幅に対応した寸法に形成されている。つまり、開口89の幅Dは、セカンドトレイ21に収容可能な記録用紙が開口89に進入可能なサイズに形成されている。例えば、セカンドトレイ21に収容可能な記録用紙の最大サイズが葉書サイズである場合は、少なくとも開口89の幅Dは、葉書の幅(100mm)よりも大きい寸法に設定されている。
【0056】
[画像記録動作]
以下、
図7及び
図8を参照して、上述の如く構成されたプリンタ部11における画像記録動作について説明する。ここに、
図7及び
図8は、画像記録時における記録用紙Sの搬送状態を時系列順に示す断面図である。なお、以下においては、説明を簡便するため、セカンドトレイ21に収容された葉書サイズの記録用紙Sに対して画像記録が行われるものとする。
【0057】
[片面画像記録]
記録用紙Sの片面(表面)のみに画像を記録する場合、
図7(A)に示されるように、給紙ローラ25によってセカンドトレイ21から給紙された記録用紙Sは、外側湾曲路65Aへ案内されて、記録部24へ搬送される。このとき、記録用紙Sは、外側湾曲路65Aに沿って下方から上方へUターンするように搬送される。これにより、記録用紙Sは、給紙ローラ25が当接した面とは反対の面(表面)が記録部24と対向するように反転される。
【0058】
記録用紙Sが外側湾曲路65Aを搬送される過程において、記録用紙Sの先端が外側湾曲路65Aに進入すると、記録用紙Sの先端は、外側ガイド部材18のガイド面18Aに接触して、進行方向が上方へ変えられる。記録用紙Sが外側湾曲路65Aを上方へ進行するにつれて、記録用紙Sはセカンドトレイ21に対して徐々に傾きを増す。そして、一定の角度を超えると、記録用紙Sが、ガイドフラップ19に設けられた開口89に進入する(
図7(A)参照)。この場合、開口89も外側湾曲路65Aの一部を構成することになる。このため、記録用紙Sは過剰に湾曲されることなく、記録部24へ向けて外側湾曲路65Aを搬送される。また、記録用紙Sは、ガイドフラップ19から過大な接触摩擦を受けることなく円滑に搬送される。
【0059】
また、記録用紙Sが更に搬送されると、記録用紙Sがガイドフラップ19に当接して、ガイドフラップ19を固定ガイド72側へ回動させる。これにより、内側湾曲路67Bの合流部位37側がガイドフラップ19によって塞がれる。また、同時に、外側湾曲路65Aが拡大される。このため、外側湾曲路65Aにおいて十分な搬送空間を確保することができる。
【0060】
記録用紙Sが搬送ローラ60及びピンチローラ61に到達すると、搬送ローラ60及びピンチローラ61によって記録用紙Sが記録部24とプラテン42との間に搬送される。
そして、記録部24によって画像記録が開始される。そして、記録部24によって表面に画像が記録された記録用紙Sは、排紙ローラ62及び拍車ローラ63によって排紙路65Bを通って排紙保持部79へ排出される。
【0061】
[両面画像記録]
一方、記録用紙Sの両面(表裏面)に画像を記録する場合、表面に画像が記録された記録用紙Sは、第1ローラ45及び第2ローラ46に到達すると、第1ローラ45及び第2ローラ46によって更に下流側に搬送される。続いて、
図7(B)に示されるように、記録用紙Sの上流側の端部が、第1ローラ45及び第2ローラ46に挟持されている状態で、第1ローラ45の回転方向が逆転される。経路切換部41は、第1ローラ45の逆回転方向の駆動力が伝達されて、中心軸52を中心に回動する。この回動により、経路切換部41は、記録用紙Sを排紙保持部79へ排出する排出姿勢(
図7(B)参照)から反転姿勢(
図8(C)参照)へ変化する。これにより、記録用紙Sは、上流側の端部が反転搬送路67側に進入する。また、第1ローラ45の逆回転方向の駆動力がスライドガイド34に伝達されて、スライドガイド34が退避位置から案内位置へ移動する(
図8(C)参照)。このとき、スライドガイド34によって給紙アーム26が上方へ押し上げられて、給紙ローラ25がスライドガイド34上に配置される。
【0062】
そして、第1ローラ45及び第2ローラ46が逆転駆動されると、記録用紙Sは分岐路67Aを通ってスライドガイド34の上面によって案内されつつ給紙ローラ25へ搬送される。その後、給紙ローラ25によって搬送される。このとき、記録用紙Sの先端は、ガイドフラップ19の手前で、傾斜ガイド69によって上方へ向きを変えられて、内側湾曲路67Bへ案内される(
図8(D)参照)。このとき、記録用紙Sはガイドフラップ19のガイド面19Bに当接して、ガイドフラップ19を外側ガイド部材18側へ回動させる。これにより、外側湾曲路65Aの合流部位37側がガイドフラップ19によって塞がれる。また、同時に、内側湾曲路67Bが拡大される。このため、内側湾曲路67Bにおいて十分な搬送空間を確保することができる。
【0063】
内側湾曲路67Bを搬送される記録用紙Sは、内側湾曲路67Bに沿って下方から上方へUターンするように搬送される。これにより、記録用紙Sは、給紙ローラ25が当接した面とは反対の面(裏面)が記録部24と対向するように反転される。その後、記録用紙Sが搬送ローラ60及びピンチローラ61に到達すると、搬送ローラ60及びピンチローラ61によって記録用紙Sが記録部24とプラテン42との間に搬送される。そして、記録部24によって裏面に画像記録が開始される。そして、記録部24によって裏面に画像が記録された記録用紙Sは、排紙ローラ62及び拍車ローラ63によって排紙路65Bを通って排紙保持部79へ排出される。なお、記録用紙Sの先端が経路切換部41に進入する前に、経路切換部41は、反転姿勢から再び排出姿勢に変化するように駆動される。
【0064】
上述したように、本実施形態では、外側湾曲路65Aよりも前方側に内側湾曲路67Bを形成するガイドフラップ19が設けられているため、分岐路67Aを搬送されてきた記録用紙がガイドフラップ19によって内側湾曲路67Bへ円滑に案内される。また、ガイドフラップ19が支持部71で回動自在に支持されているため、ガイドフラップ19のガイド面19Bに記録用紙が当接しつつ案内される際に、ガイドフラップ19が記録用紙によって外側ガイド部材18側へ押し付けられて傾倒する。これにより、スライドガイド34に対するガイドフラップ19のガイド面19Bの傾斜角が緩やかになるため、記録用紙は内側湾曲路67Bを円滑に搬送される。
【0065】
また、ガイドフラップ19のガイド面19Aの回動軸81側に開口89が設けられているため、記録用紙が外側湾曲路65Aを搬送される過程において、記録用紙の進行方向が上方へ変えられたときに、記録用紙が、ガイドフラップ19に設けられた開口89に進入する。これにより、記録用紙は過剰に湾曲されることなく、記録部24へ向けて外側湾曲路65Aを搬送される。また、記録用紙は、ガイドフラップ19から過大な接触摩擦を受けることなく円滑に搬送される。
【0066】
なお、上述の実施形態において、
図9に示されるように、スライドガイド34にピンチローラ92(本発明の第2ローラの一例)を設けてもよい。このピンチローラ92は、スライドガイド34に回転自在に支持されており、そのローラ面がスライドガイド34の上面に露出されている。ピンチローラ92は、スライドガイド34が案内位置にあるときに、ローラ面が給紙ローラ25と接触する位置に配置されている。このようなピンチローラ92が設けられることにより、反転搬送路67を通る記録用紙の搬送が円滑となり、記録用紙が安定的に反転搬送路67から記録部24の上流側へ再送される。
【0067】
また、上述の実施形態では、メイントレイ20及びセカンドトレイ21が上下2段に構成された給紙カセット78を備えた例について説明したが、給紙カセット78がセカンドトレイ21のみを備えたものであっても、本発明は適用可能である。また、給紙カセット78がメイントレイ20のみを備えたものである場合は、その上部にスライドガイド34及び排紙保持部79を設けることにより、本発明が適用可能となる。
【0068】
また、上述の実施形態では、反転搬送路67を通る記録用紙を給紙ローラ25で搬送する機構について説明したが、スライドガイド34が案内位置に配置されたときに給紙ローラ25をスライドガイド34よりも上方へ離間させて、別の搬送ローラを反転搬送路67に設ける機構を採用することも可能である。この機構であれば、記録用紙の画像記録面(表面)への接触による給紙ローラ25のインク汚れを防止することができる。
【0069】
また、上述の実施形態では、外側湾曲路65Aの終端と内側湾曲路67Bの終端とが合流部位37で合流するようにガイドフラップ19を設け、分岐路67Aを搬送されてきた記録用紙をガイドフラップ19によって合流部位37を通って記録部24へ案内することとした。これに対して、外側湾曲路65Aの終端ではなく、外側湾曲路65Aの始端と終端との間(例えば、外側湾曲路65Aの略中間)に内側湾曲路67Bの終端が合流するようにガイドフラップ19を設けてもよい。このような構成であっても、分岐路67Aを搬送されてきた記録用紙をガイドフラップ19によって外側湾曲路65Aを通って記録部24へ円滑に案内することが可能である。なお、この構成において、ガイドフラップ19の湾曲形状のガイド面19Bと、外側ガイド部材18の湾曲形状のガイド面18Aとが滑らかに連続するように各ガイド面18A,19Bの曲率を設定することで、内側湾曲路67Bから外側湾曲路65Aへの記録用紙の搬送が円滑になる。
【0070】
また、上述の実施形態では、両面記録が行われる際に反転搬送路67に記録用紙が案内される例について説明した。しかしながら、両面記録時に限られず、例えば、表面に画像が記録された記録用紙を経路切換部41でスイッチバックさせずに反転搬送路67へ案内し、再び表面が記録部24に対面するように記録部24へ搬送して、表面に再度画像を記録する場合にも、反転搬送路67に記録用紙が案内される。このような画像記録が行われる場合でも、外側湾曲路65Aよりも前方側に内側湾曲路67Bを形成するガイドフラップ19を設けることで、分岐路67Aを搬送されてきた記録用紙がガイドフラップ19によって内側湾曲路67Bへ円滑に案内される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態である複合機10の外観斜視図である。
【
図2】
図2は、プリンタ部11の構造を示す縦断面図である。
【
図3】
図3は、プリンタ部11の構造を示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、
図2における要部IVの拡大詳細図であり、ガイドフラップ19周辺の断面構造が詳細に示されている。
【
図5】
図5は、ガイドフラップ19の斜視図であり、ガイドフラップ19の前方側のガイド面19Bが示されている。
【
図6】
図6は、ガイドフラップ19の斜視図であり、ガイドフラップ19の後方側のガイド面19Aが示されている。
【
図7】
図7は、画像記録時における記録用紙Sの搬送状態を時系列順に示す模式断面図である。
【
図8】
図8は、画像記録時における記録用紙Sの搬送状態を時系列順に示す模式断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の変形例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
【0072】
10・・・複合機
11・・・プリンタ部
18・・・外側ガイド部材
19・・・ガイドフラップ
20・・・メイントレイ
21・・・セカンドトレイ
24・・・記録部
34・・・スライドガイド
65・・・搬送路
65A・・・外側湾曲路
65B・・・排紙路
67・・・反転搬送路
67A・・・分岐路
67B・・・内側湾曲路
69・・・傾斜ガイド
84,87・・・搬送コロ
92・・・ピンチローラ