(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183412
(43)【公開日】2022-12-12
(54)【発明の名称】複数の浴槽を単一の浄化・処理装置で時間帯を設けて浄化する技術
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20060101AFI20221205BHJP
【FI】
C02F1/00 D
C02F1/00 L
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090726
(22)【出願日】2021-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】721005119
【氏名又は名称】赤石 維衆
(72)【発明者】
【氏名】赤石維衆
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数槽の水または湯を処理するに当たって、衛生的に省スペース化を実現する技術を提供する。
【解決手段】複数の浴槽、浄化及び各種処理(薬注など)を必要とする各種水槽を、1台または水槽数より少ない複数のろ過機などの浄化装置で浄化するにあたり、これらの装置の複数ある流入側または複数ある吐出側の配管を1台あるいは上記装置台数分とし、1槽分を浄化・処理する時間帯によってこれらの切り替えを行うシステムとする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の浴槽、浄化及び各種処理(薬注など)を必要とする各種水槽(以降、水槽と総称する)を1台(または水槽数より少ない複数)のろ過機などの浄化装置で浄化するのにあたり、これらの装置の複数ある流入側または複数ある吐出側の配管を1台あるいは上記装置台数分にさせ、時間帯によってこれらの切り替えを行い、その時間帯は1槽分を浄化・処理するシステムである。時間帯によって切り替えを行うため、浄化・処理部分は、複数の水槽の混合水を処理しなくてよく、より安全かつ衛生的である。処理吐出部も同時にこれらの切り替えを行う。切り替え方法は、流入側は弁(2槽の場合は三方弁、3槽以上は各々に弁を設ける)または、各水槽に循環ポンプを設けて、原水の取水を各々行う。ただしこの方法でも処理吐出側は弁による切り替えとする。
【請求項2】
ろ過などの浄化装置を衛生的に保つため、逆流洗浄などの洗浄作業(以下、逆洗と総称)を行う。
逆洗頻度は、各槽処理を一とおりまたは複数とおり実施した後に逆洗時間帯を挿入することで行うか、1水槽分処理を行ったあとに逆洗時間帯を短時間挿入することで行う。後者の方式は、浄化・処理のたびに新しい浄化・処理状態の構築を行うため、より衛生度合が高い。
【請求項3】
より衛生度合を高めるために、浄化・処理装置の流入側と吐出側に排水弁を設けて、逆洗時間帯の前または/および後に排水時間帯を設けて、流入側の合流部から浄化・処理装置まで、および浄化・処理装置から各槽分岐までの間を、次に処理する水または湯を通水し排出することで、その間の残滓や汚染物を除去する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
浄水、水槽(浴槽を含む)、時間帯処理
【背景技術】
【0002】
従来は複数槽の水または湯を処理する場合、以下の2方法がとられている(以下に2槽の浴槽のろ過の場合を示す)。
また、逆洗とは逆流洗浄のことであり、原水または処理水を用いて、ろ過機などの浄化装置や処理装置を逆流させることにより、浄化や処理で除去した物質を剥離させることでろ過機を洗浄し、剥離物を排水口より排出することである。
2水槽で浄化装置がろ過機の場合は、原水をろ過機の吐出側から流入側に逆流させ、ろ過物を剥離除去し、弁の開閉により排出口から外部に排出させることを指す。
(方法1)
図1に示すとおり、2浴槽間に連通管を設けて、浴槽間の水位を一定に保ちつつ、各々から取得した原水1a,bを浴槽ごとに設置されているろ過機4a,bに通水して処理を行っている。この方式は各槽にろ過機などの浄化装置を設置するものであり、衛生度合も高いが、浄化装置台数が増えるため、設置スペースや配管スペースの問題が生じ、設置する機器室の規模を大きくするという問題が生じる。
(方法2)
図2に示すとおり、同じく連通管を設けて、各々から取得した原水6a,bを混合させて、単一のろ過機9で浄化するものである。この方法は方法1に比べて、設置スペースが小さくて済むが、2槽水を混合させるため、衛生度合は方法1に比べてよくない。また、単一の循環ポンプ8で複数槽より原水を取得するため、流量調整用の弁7a,bおよび10a,bの調整が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許5597042
特許4215427
特許4586095
特開2012-008922
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
省スペース化には、複数の水槽の水または湯を単一(または水槽数より少ない複数)のろ過機などの浄化装置及び処理装置で処理することが求められる。従来でもされているが、この方法だと以下の課題が生じる、
(課題1)複数水槽からの水または湯を単一(または水槽数より少ない複数)の循環ポンプで吸い込むため、各々の経路に容量に応じた流入量を配分する必要がある。既存ではこれを弁7a,bおよび10a,bで行っているが、調整が困難である上に精度が低い。
(課題2)複数水槽からの水または湯を合流させるため、衛生的によくない。2槽の処理の場合、例えば、片方が汚染していた場合、もう片方に汚染が広がる可能性がある。このため近年では『公衆浴場における衛生など管理要領』(健発第0214004 厚労省)により、浴槽に限られるが、浴槽ごとにろ過機などの浄化装置を設置することが望ましいとしている。
(課題3)
複数槽の水または湯を混合処理するため、水温の異なるもの例えば、温浴水と水風呂水は別々の浄化装置で処理する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(解決策1)
複数の水槽の水または湯を単一(または水槽数より少ない複数)のろ過機などの浄化装置・処理装置で処理することで省スペース化を図るが、上記課題の解決のために以下を行う(
図3~6に示す)。
水槽が2槽の場合で浄化装置をろ過機とした場合を以降に示す。
1)
図3において、ろ過機の流入側および吐出側を三方弁12で合流させ、時間帯によって水槽11aと11bを三方弁12で切り替えを行い、その時間帯は例えば1ターム分相当の容量を循環ポンプ13およびろ過機14でろ過浄化するシステムである。なお、時間帯で処理流量が可変のため、1ターム相当に限らなくてもよい。
注)ターム相当:タームとは資料などで決められている1日または1時間の水槽の処理回数のことであり、ターム相当とはタームと水槽容量から算出される1回の処理量のこと(以下、1ターム処理量)
2)時間帯によって切り替えを行うため、浄化装置は、複数の水槽の混合水を処理しなくてよく、より衛生的であり、課題2を解決できる。また時間帯により切り替えを行うため、弁7a,7bのような微妙な調整は不要で課題1の解決につながる。さらに、処理吐出部の三方弁15(または19)も同時に切り替えを行う。流入部の切り替え方法は、三方弁(
図3)に代わり、各々の系統にポンプを設置すること17a,17bでも対応できる(
図4)。
(解決策2)
浄化装置がろ過機の場合で水槽が2槽の場合を以降に示す。
1)1ターム処理量を処理したあとに逆洗工程を短時間設けることによって、実質、新しいろ過待機状態になり、各水槽にろ過機を設けるのと同じ作用が得られる。
なお、切り替え時に切り替え対象の水槽容量に応じて、流量Q1またはQ2に応じて、循環ポンプの流量をインバーターなどで変化させることができる(変化させなくても可)。
2)または、数日に1回の処理においても、水槽の水または湯を切り替えることによって、水または湯を混合しなくてもよいため、現行方法より衛生的な水または湯を得ることができる。ただし、1)方法より衛生面では若干落ちるが逆洗水の節水につながるため、逆洗頻度は汚染状態を勘案して判断することになる(例:複数回のろ過工程後に1回逆洗)。このように本方法は省スペースも図れる上、衛生面と節水面の両面を容易に変更できる(
図6ケース3,4参照)。
(解決策3)
浄化装置がろ過機の場合で水槽が2槽の場合を以降に示す。
時間帯により処理を行うため、1処理工程(1回の通水)の処理流量は、
図2で示す従来方式と処理流量全体としては大きく変化しない。
浄化装置がろ過機である場合、従来の方式(2槽処理の場合)では、処理量Q1に対して必要面積V1、同じくQ2に対してV2となり、ろ過機2台でろ過必要面積合計はV1+V2となるが、本特許の方式(1槽処理の場合)では、Q1’に対してV1’、同じくQ2’に対してV2’で、Q1’>Q2’,V1’>V2’とすると、設置ろ過機はV1’となる。
これは、時間制限分だけ、Q1’>Q1,Q2’>Q2であり、V1’>V1(またはV2’>V2)となる(V1’はV1+V2に近くなる)。合計必要ろ過面積はあまり変わらないが、台数が減じるので、設置スペースおよび配管スペースの節約につながる。
(解決策4)
浄化装置がろ過機の場合で水槽が2槽の場合を以降に示す。
図5において、時間帯により、流入側(合流部21からろ過機24まで)と吐出側(ろ過機24後から分岐手前24まで)を次の原水または処理水で洗浄し、排水弁23,26で排出するため、全体の経路に残滓している前回の原水などが排出できるため、より衛生的である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】1a,b:浴槽などの水槽 浄化対象水の原水と処理水を貯水 2a,b:仕切弁(循環ポンプ交換、浄化装置メンテナンス時に閉) 3a,b:循環ポンプ(原水取り込み、処理水吐出、逆洗など) 4a,b:ろ過機などの浄化装置 5a,b:仕切弁(2a,bと同じ)
【0007】
【
図2】6a,b:1a,bと同じ 7a,b:7aは6aからの流入量を7bは6bからの流入量を調整する 8:循環ポンプ 9:ろ過機などの浄化装置 10a,b:6a,bへ処理水量を分配する弁
【0008】
【
図3】水槽切り替えをバルブ(2槽の場合は三方弁) 11a,b:1a,bと同じ 12:時間帯により水槽からの原水を切り替える弁(2水槽の場合)、3水槽以上は水槽ごとに弁をつけ、その開閉で原水を選択する。 13:循環ポンプ 14:ろ過機などの浄化装置 15:時間帯により浄化装置からの処理水を切り替える弁(2水槽の場合)、3水槽以上は水槽ごとに弁をつけ、その開閉で排水先を選択する
【
図4】16a,b:1a,bと同じ 17a,b:17aは16aからの原水を取水、17bは16bからの旗水を取水する(インバータなどで可変をしてもしなくても可) 18:9と同じ 19:15と同じ
【
図5】20a,b:1a,bと同じ 21:12と同じ 22:13と同じ 23:21から24の間の前回原水残滓を次の原水で洗浄し排出する 24:14と同じ 25:15と同じ 26:24から25の間の前回原水処理水残滓を次の原水処理水で洗浄し排出する
【
図6】2水槽のろ過の場合の逆洗時間帯例 従来技術:ケース1(各水槽に各ろ過機)、ケース2(各水槽水混合水を単一ろ過機) 本特許方式:ケース3(時間帯で処理、逆洗は複数回処理後に実施) ケース4(時間帯で処理、逆洗は処理ごとに実施)