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特開2022-183421プロスタグランジンE2産生抑制皮膚外用剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183421
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】プロスタグランジンE2産生抑制皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20221206BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20221206BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20221206BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 33/00 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 31/195 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20221206BHJP
   A61K 36/48 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q19/00
A61P17/00
A61P43/00 121
A61K33/00
A61K31/195
A61K31/19
A61K31/704
A61K8/63
A61K8/44
A61K8/9789
A61K36/48
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090730
(22)【出願日】2021-05-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 販売日 令和 3年 2月15日、販売場所 埼玉県戸田市笹目5-21-7 [刊行物等] 販売日 令和 3年 4月 1日、販売場所 新潟県新潟市東区木工新町1185-1 株式会社M・Kロジ内Waqooセンター
(71)【出願人】
【識別番号】501304836
【氏名又は名称】ホシケミカルズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503324047
【氏名又は名称】株式会社クイックレスポンス
(71)【出願人】
【識別番号】591183935
【氏名又は名称】中央エアゾール化学株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000185363
【氏名又は名称】小池化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136560
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊晴
(72)【発明者】
【氏名】辻 慶一郎
(72)【発明者】
【氏名】玉城 剛史
(72)【発明者】
【氏名】飯田 将一
(72)【発明者】
【氏名】野村 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】村上 栞菜
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C083AA032
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB131
4C083AB132
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC352
4C083AC621
4C083AC622
4C083AD202
4C083AD352
4C083AD412
4C083AD432
4C083AD531
4C083AD532
4C083CC04
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE12
4C083EE13
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA10
4C086HA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA63
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZC02
4C086ZC75
4C088AB60
4C088AC02
4C088BA08
4C088MA06
4C088MA63
4C088NA05
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZC02
4C088ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA14
4C206FA01
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA83
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZC02
4C206ZC75
(57)【要約】
【課題】プロスタグランジンE(PGE)の抑制効果が向上した皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】トラネキサム酸、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸誘導体および甘草抽出物よりなる群から選ばれる1種または2種以上と、COと、を有するプロスタグランジンE産生抑制皮膚外用剤である。また、トラネキサム酸および/またはグリチルリチン酸誘導体と、COと、を有するプロスタグランジンE産生抑制皮膚外用剤である。グリチルリチン酸誘導体が、グリチルリチン酸ジカリウムであることが、好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラネキサム酸、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸誘導体および甘草抽出物よりなる群から選ばれる1種または2種以上と、
COと、を有することを特徴とするプロスタグランジンE産生抑制皮膚外用剤。
【請求項2】
トラネキサム酸および/またはグリチルリチン酸誘導体と、
COと、を有することを特徴とするプロスタグランジンE産生抑制皮膚外用剤。
【請求項3】
前記グリチルリチン酸誘導体が、グリチルリチン酸ジカリウムである請求項1または2記載のプロスタグランジンE産生抑制皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロスタグランジンE産生抑制皮膚外用剤に関し、特に、プロスタグランジンE(PGE)の産生の抑制効果が向上した皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
トラネキサム酸とは、C15NOで示される人工合成されたアミノ酸であり、化粧品分野では美白効果の主剤として使用されている。また、グリチルリチン酸誘導体は、甘草の根に含まれる甘味成分であるグリチルリチン酸の誘導体であり、グリチルレチン酸誘導体は、甘草から得られるグリチルリチン酸の加水分解によって得られるβ-アミリン(オレアナン)系の五環式テルペノイド誘導体であり、いずれも化粧品分野では抗炎症剤として使用され、特に、グリチルリチン酸ジカリウムは、化粧品分野では抗炎症効果の主剤として使用されている。さらに、CO(二酸化炭素、炭酸ガス)は、エアゾール製品における充填剤として使用されたり、あるいは血行促進効果を目的に入浴剤等で使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、肌を日焼けしにくい性質に導くことを目的に、サンザシエキスとトラネキサム酸もしくはその誘導体またはその塩とを含有する組成物が、開示され、特許文献2には、加齢によって進行しがちな歯肉退縮を有効に予防又は改善できることを目的に、(A)酢酸トコフェロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸又はその塩、アラントイン又はその塩、アズレンスルホン酸ナトリウム、アスコルビン酸又はその塩、銅クロロフィリンナトリウム、塩酸ピリドキシン、ε-アミノカプロン酸、トラネキサム酸、及びニコチン酸トコフェロールから選ばれる1種又は2種以上の薬効成分を含有する原液と、並びに(B)二酸化炭素を90質量%以上含有する噴射剤とを含む、泡状歯肉退縮予防改善剤が、開示されている。また、特許文献3には、特定の有効成分による肌状態改善効果を効率よく発揮させることを目的に、同一剤又は2以上の剤において、酸性物質、該酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質及び増粘剤を含有する炭酸ガス発泡性皮膚外用剤であって、更に、アスコルビン酸グルコシド、アラントイン、エストラジオール、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、β-グリチルリチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、トラネキサム酸、d-カンフル、酢酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、D-パントテニルアルコール、パントテニールエチルエーテル、エチニルエストラジオール、サリチル酸、ビオチン、レゾルシン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、塩化ベンゼトニウム、イオウ、感光素201号、フェノール、塩酸ピリドキシン、ピリドキシン、酸化亜鉛、アルブチン、リン酸-L-アスコルビルマグネシウム、ジパルミチン酸アスコルビル、プラセンタ、レチノール及びパルミチン酸レチノールから選ばれる少なくとも一種を含有する炭酸ガス発泡性皮膚外用剤が、開示されている。
【0004】
さらに、特許文献4には、頭髪全体への育毛剤の均一な塗布と頭皮への直接的な塗布と髪にハリコシ感を付与することを目的に、育毛剤と噴射剤が、ジェットスプレーとミストスプレーの切替可能なエアゾール容器に充填されてなり、育毛剤が、(i)エタノールと、(ii)センブリ抽出液、黄キ抽出液、ニンジン抽出エキス、クアチャララーテ抽出液、ボタンピ抽出液、コレウスエキス、ヒノキチオール、脂肪酸誘導体、パントテニール誘導体、ジメチルモノアミン誘導体、アミンオキシド誘導体、酢酸トコフェロール、ニコチン酸誘導体、グリチルリチン酸ジカリウム、β-グリチルレチン酸、フラバノノール誘導体、ユーカリエキス、アスナロエキス、クロロゲン酸類、フェルラ酸、カフェ酸から選ばれる少なくとも1種とを含有し、噴射剤として二酸化炭素が充填されているエアゾール育毛製品が、開示され、特許文献5には、スキンケア化粧品など水溶性薬剤やエタノールを配合した化粧料を炭酸ガスを噴射剤として安定して発泡しながら噴射することを目的に、(A)ジアルキルアクリルアミドと、アニオン性アクリルアミド誘導体からなる水溶性エチレン性不飽和モノ マー混合物を重合反応させて得られるアニオン性増粘剤0.1~5.0質量%と、(B)水溶性薬剤と、(C)エタノールと、を含有する組成物を原液とし、炭酸ガスを噴射剤とするエアゾール剤であって、該エアゾール剤がエアゾール容器から発泡しながら噴射する泡沫皮膚外用エアゾール剤が、開示されている。さらに、特許文献6には、簡単に二酸化炭素を発泡させるとともに、二酸化炭素の発泡量が多く、さらに泡の持続性の高い発泡性外用剤を提供することを目的に、(A)酸性非水液状組成物と、(B)塩基性組成物を含有する含水液状組成物とを有し、前記(A)酸性非水液状組成物と前記(B)含水液状組成物を混合して使用する発泡性外用剤が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-95453号公報
【特許文献2】特開2017-95382号公報
【特許文献3】特開2018-12683号公報
【特許文献4】特開2004-231553号公報
【特許文献5】特開2011-116806号公報
【特許文献6】特開2015-180610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は、サンザシエキスとトラネキサム酸を組合せて、ケラチノサイトにおける時計遺伝子Dec1の発現を抑制して炎症性メディエータPGE2の産生を抑制することが検討されているが、サンザシエキスとの組合せであり、十分なプロスタグランジンE産生抑制効果を得ることはできず、さらなる改良が必要なものであった。また、特許文献2記載の技術は、歯肉退縮の予防を目的とするものであり、特許文献3記載の技術は、肌状態改善効果を目的とするものであり、いずれもプロスタグランジンE産生抑制効果について検討されていなかった。さらに、特許文献4記載の技術は、頭髪への塗布を目的とするものであり、特許文献5記載の技術は、安定して発泡噴射することを目的とするものであり、また、特許文献6記載の技術は、二酸化炭素の発泡持続性等を目的とするものであり、いずれもプロスタグランジンE産生抑制効果について検討されていなかった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、前記の従来技術の問題点を解決し、プロスタグランジンE(PGE)の産生の抑制効果が向上した皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、CO(二酸化炭素、炭酸ガス)と組合せることによって、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明のプロスタグランジンE産生抑制皮膚外用剤は、トラネキサム酸、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸誘導体および甘草抽出物よりなる群から選ばれる1種または2種以上と、COと、を有することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のプロスタグランジンE産生抑制皮膚外用剤は、トラネキサム酸および/またはグリチルリチン酸誘導体と、COと、を有することを特徴とするものである。
【0011】
さらに、本発明のプロスタグランジンE産生抑制皮膚外用剤は、前記グリチルリチン酸誘導体が、グリチルリチン酸ジカリウムであることが、好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、プロスタグランジンE(PGE)の産生の抑制効果が向上した皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のプロスタグランジンE産生抑制皮膚外用剤について具体的に説明する。
本発明のプロスタグランジンE産生抑制皮膚外用剤は、トラネキサム酸、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸誘導体および甘草抽出物よりなる群から選ばれる1種または2種以上と、CO(二酸化炭素、炭酸ガス)と、を有することを特徴とするものである。これにより、プロスタグランジンE(PGE)の抑制効果が向上した皮膚外用剤を提供することができる。
【0014】
本発明において、トラネキサム酸とは、C15NOで示される人工合成されたアミノ酸であり、本発明の効果が得られ、通常の皮膚外用剤に使用できるものであれば特に限定されないが、例えば、丸善製薬株式会社製のトラネキサム酸等を使用できる。
【0015】
また、本発明において、グリチルリチン酸誘導体とは、甘草の根に含まれる甘味成分であるグリチルリチン酸の誘導体であり、本発明の効果が得られ、通常の皮膚外用剤に使用できるものであれば特に限定されないが、例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等を挙げることができ、中でもグリチルリチン酸ジカリウムでが、好ましい。具体的には、丸善製薬株式会社製の外原規グリチルリチン酸ジカリウム(商品名)、外原規グリチルリチン酸モノアンモニウム(商品名)等を挙げることができる。
【0016】
さらに、本発明において、グリチルレチン酸およびグリチルレチン酸誘導体は、甘草から得られるグリチルリチン酸の加水分解によって得られるβ-アミリン(オレアナン)系の五環式テルペノイド誘導体であり、本発明の効果が得られ、通常の皮膚外用剤に使用できるものであれば特に限定されないが、例えば、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、サクシニルグリチルレチン酸2Na、ステアリン酸グリチルレチニル等を挙げることができる。具体的には、丸善製薬株式会社製の外原規β-グリチルレチン酸(商品名)、シーオーグレチノール(登録商標)、3-サクシニルオキシグリチルレチン酸二ナトリウム(商品名)、グレチノールオー(登録商標)等を挙げることができる。
【0017】
さらにまた、本発明において、甘草抽出物とは、甘草から得られる抽出液、粉末等であり、本発明の効果が得られ、通常の皮膚外用剤に使用できるものであれば特に限定されないが、例えば、丸善製薬株式会社製のカンゾウ抽出液(商品名)、カンゾウ抽出液BG-J(商品名)、カンゾウ抽出末CP(商品名)等を挙げることができる。なお、甘草の抽出に用いる溶媒としては、例えば、エタノール、1,3-ブチレングリコール等を使用することができる。
【0018】
また、本発明において、COとは、二酸化炭素、炭酸ガスであり、通常の皮膚外用剤に使用できるものであれば特に限定されない。配合方法としては、本発明の効果が得られれば特に限定されないが、例えば、製剤中にCOを配合してもよいし、クエン酸、リンゴ酸等を含む酸性組成物と炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等を含む組成物の2剤を混合してCOを発生させてもよいし、COを噴射剤として配合してもよい。中でも噴射剤として使用する(エアゾール製剤とする)ことで、COとベースとなる成分を使用する直前で配合することができるため、好ましい。
【0019】
また、本発明のプロスタグランジンE産生抑制皮膚外用剤は、トラネキサム酸および/またはグリチルリチン酸誘導体と、COと、を有することを特徴とするものであり、特に、トラネキサム酸、グリチルリチン酸誘導体およびCOの3成分を有することが好ましい。
【0020】
さらに、本発明において、トラネキサム酸、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸誘導体および甘草よりなる群から選ばれる1種または2種以上の成分の配合量としては、COを含んでいない製剤(COを有する前の製剤)中で、0.001~5質量%であることが好ましく、0.01~2質量%であることがより好ましい。また、特に、トラネキサム酸とグリチルリチン酸誘導体を配合する場合は、トラネキサム酸の配合量が0.1~2質量%であることが好ましく、グリチルリチン酸誘導体の配合量が0.01~0.1質量%であることがより好ましい。これにより、プロスタグランジンE(PGE)の産生の抑制効果をより向上することができる。
【0021】
さらに、本発明において、COを含んでいない製剤(COを有する前の製剤)が97~99体積%で、COの配合量が1~3体積%であることが好ましく、COを除いた製剤が98~99体積%で、COの配合量が1~2体積%であることがより好ましい。これにより、プロスタグランジンE(PGE)の産生の抑制効果をより向上することができる。
【0022】
また、本発明において、皮膚外用剤とは人間の皮膚等に使用できれば特に限定されず、主として化粧品であるが、医薬部外品、医薬品等の用途を排除するものではない。さらに、前記化粧品とは、基礎化粧品、メイクアップ化粧品、頭髪用化粧品、入浴剤等を含むものである。また、特に、COを噴射剤として使用するエアゾール製品であることが好ましい。
【0023】
さらに、本発明において、本発明の効果が損なわれない範囲で、適宜他の成分等を添加することもできる。質的、量的範囲で上記以外の任意の成分を配合することができ、皮膚外用剤、特に化粧品に通常配合される成分、例えば、界面活性剤、油性成分、保湿剤、酸化防止剤、香料、各種ビタミン剤、キレート剤、着色剤、紫外線吸収剤、薬効成分、無機塩類等を配合することができる。
【0024】
配合できる成分の例として、非イオン界面活性剤としては、例えば、モノ脂肪酸ポリグリセリル、ポリ脂肪酸ポリグリセリル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンステロール、ポリオキシエチレン水素添加ステロール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0025】
両性界面活性成分として、例えば、2-ウンデシルーN,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミタゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2-ナトリウム塩等の、イミダゾリン系両性界面活性剤、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
【0026】
多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ペンチレングリコール、ペンタエリスリトール、ヘキシレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール・プロピレングリコール共重合体、およびそれらの重合体よりなる群から選ばれる一種以上等が挙げられる。
【0027】
高分子成分として、例えば、キサンタンガム、ジェランガム、アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード、デキストラン、プルラン、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチンメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等を挙げることができる。
【0028】
抽出液成分として、例えば、カミツレエキス、パセリエキス、スイカズラエキス、コメエキス、コメヌカエキス、ホップエキス、オウバクエキス、ヨクイニンエキス、センブリエキス、メリロートエキス、バーチエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、トウガラシエキス、レモンエキス、ゲンチアナエキス、シソエキス、アロエエキス、ローズマリーエキス、セージエキス、タイムエキス、ユーカリエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、ハマメリスエキス、クワエキス、チンピエキス、ピーカンナッツエキス、グレープフルーツエキス、シークワーサーエキス、パッションフルーツエキス、ビワエキス、ブドウエキス、ローズフルーツエキス、クララエキス、ペパーミントエキス等の各種抽出成分が挙げられる。
【0029】
他の保湿成分として、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、エラスチン、グルコサミン、ヒアルロン酸、シクロデキストリン、コラーゲン、胆汁酸塩等が挙げられる。
【0030】
薬効成分として、例えば、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEなどのビタミン類およびそれらの誘導体、尿素などの各種塩、クレアチニン、CoQ10、アスタキサンチン、ポリフェノール、セラミド等の成分が挙げられる。
【0031】
紫外線吸収剤として、例えば、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸等のパラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸オクチル等のメトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル等のサリチル酸誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、4-tert-ブチル-4‘メトキシジベンゾイルメタン、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0032】
また、本発明において、皮膚外用剤の製造方法としては、通常の化粧品の製造方法で製造することができ、油相成分と水相成分を加熱して製造する方法やD相乳化法などを用いることができる。
【0033】
さらに、本発明の皮膚外用剤の使用方法としては、皮膚等に塗布できれば特に限定されず、直接皮膚に外用剤を手で塗布してもよいし、容器等から直接塗布してもよい。
【0034】
以下、本発明について、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の処方に関する表中の数字は、質量%または体積%を示す。
【実施例0035】
PGE産生抑制作用試験(表皮角化細胞)
正常ヒト新生児表皮角化細胞(Normal human epidermal keratinocytes;NHEK、クラボウ)を正常ヒト表皮角化細胞増殖用培地(KGM、クラボウ)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10 cells/mLの濃度にKGMで希釈 した後、コラーゲンコートした48 wellプレート(IWAKI)に1 well当たり200μLずつ播種(2.0×10cells/well)し、一晩培養した。細胞が定着したことを確認した後、増殖添加剤を含まない基礎培地(KBM、クラボウ)で必要濃度に溶解した被験試料を各wellに200μLずつ添加し、5体積%または10体積%CO条件下で24時間培養した。細胞をPBS(-)で3回洗浄 し、100μLのPBS(-)を加え、UVB照射(60mj/cm)を行い、その後、KBMで溶解した被験試料を各wellに400μLずつ添加し、5体積%または10体積%CO条件下で24時間培養した。培養終了後、各wellの培養上清中のプロスタグランジンE2(PGE)量をPGE EIA Kit (Cayman Chemical)を用いて定量し、結果を下記表1に示し、表1中、「TA」はトラネキサム酸、「GK2」はグリチルリチン酸ジカリウムを示す。なお、PGE産生抑制率の計算方法は以下のとおりである。
PGE産生抑制率(%)={1-(A-C)/(B-C)}×100
A:被験試料添加、紫外線照射時のPGE
B:被験試料無添加、紫外線照射時のPGE
C:被験試料無添加、紫外線未照射時のPGE
【0036】
【表1】
【0037】
表1中、「TA」は「トラネキサム酸」、「GK2」は「グリチルリチン酸ジカリウム」を示す。表1の結果から、10体積%CO条件下において、5体積%CO条件下よりもトラネキサム酸(TA)およびグリチルリチン酸ジカリウム(GK2)のPGE産生抑制作用が強くなることが確認された。また、トラネキサム酸(TA)5000μg/mLおよびグリチルリチン酸ジカリウム(GK2)500μg/mLを併用した場合は、それぞれ単独添加した場合よりもPGE産生抑制作用が増強された。
【0038】
(処方例1)
下記表2に示す配合量で、トラネキサム酸およびグリチルリチン酸ジカリウムを含む化粧料を作製した。得られた化粧料を98.2体積%に対し、COを1.8体積%加えて、本発明のプロスタグランジンE産生抑制皮膚外用剤を作製した。
【0039】
【表2】