IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人弘前大学の特許一覧

特開2022-183447ヒドラジン酸化用触媒電極およびその製造方法
<>
  • 特開-ヒドラジン酸化用触媒電極およびその製造方法 図1
  • 特開-ヒドラジン酸化用触媒電極およびその製造方法 図2
  • 特開-ヒドラジン酸化用触媒電極およびその製造方法 図3
  • 特開-ヒドラジン酸化用触媒電極およびその製造方法 図4
  • 特開-ヒドラジン酸化用触媒電極およびその製造方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183447
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ヒドラジン酸化用触媒電極およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 31/28 20060101AFI20221206BHJP
   B01J 37/16 20060101ALI20221206BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20221206BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20221206BHJP
   C01B 3/02 20060101ALI20221206BHJP
   C01B 21/02 20060101ALI20221206BHJP
   C01B 5/00 20060101ALI20221206BHJP
   C25B 11/053 20210101ALI20221206BHJP
   C25B 11/095 20210101ALI20221206BHJP
   C25B 11/085 20210101ALI20221206BHJP
   C25B 11/087 20210101ALI20221206BHJP
   C23C 18/44 20060101ALI20221206BHJP
   C23C 18/31 20060101ALI20221206BHJP
   C25B 5/00 20060101ALI20221206BHJP
   C25B 1/02 20060101ALI20221206BHJP
   C25B 11/081 20210101ALI20221206BHJP
【FI】
B01J31/28 M
B01J37/16
B01J35/02 J
B01J37/02 301L
B01J37/02 301P
C01B3/02 H
C01B21/02 A
C01B5/00 D
C25B11/053
C25B11/095
C25B11/085
C25B11/087
C23C18/44
C23C18/31 A
C25B5/00
C25B1/02
C25B11/081
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090760
(22)【出願日】2021-05-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年2月18日の弘前大学大学院理工学研究科物質創成化学コース修士論文発表会にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】504229284
【氏名又は名称】国立大学法人弘前大学
(74)【代理人】
【識別番号】100210778
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 世治
(72)【発明者】
【氏名】阿部 敏之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 衛
【テーマコード(参考)】
4G169
4K011
4K021
4K022
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA14B
4G169BA21A
4G169BA21B
4G169BA27B
4G169BA48A
4G169BB02A
4G169BB04B
4G169BB06B
4G169BC32A
4G169BC32B
4G169BC32C
4G169BC67B
4G169BD01B
4G169BD04B
4G169BD06B
4G169BE16B
4G169BE19B
4G169CB81
4G169EB14Y
4G169EC25
4G169EE06
4G169FA01
4G169FA06
4G169FB02
4G169FB43
4G169FB78
4G169FC02
4G169FC04
4G169HA06
4G169HB06
4G169HC15
4G169HC22
4G169HD13
4G169HE20
4K011AA66
4K011AA68
4K011AA69
4K011DA11
4K021AA01
4K021AA07
4K021BA02
4K021BA17
4K021DB05
4K021DB18
4K021DB40
4K021DC03
4K022AA05
4K022AA43
4K022BA01
(57)【要約】
【課題】 ヒドラジンの酸化に対し光触媒作用および触媒作用を示し、光照射下および暗所下のいずれにおいてもヒドラジンを酸化できるヒドラジン酸化用触媒電極とその製造方法を提供すること。
【解決手段】 電極基材12の上にn型有機半導体層14及びp型有機半導体層16がこの順に積層された触媒電極であって、p型有機半導体層16に銀を含む助触媒18が担持されているヒドラジン酸化用触媒電極10である。このヒドラジン酸化用触媒電極は、ヒドラジンの酸化に対して光触媒作用および触媒作用を示し、光照射下及び暗所下のいずれにおいてもヒドラジンを酸化することができる。本発明のヒドラジン酸化用触媒電極は、電極基材の上にn型有機半導体層及びp型有機半導体層をこの順で積層する積層工程と、p型有機半導体層上に銀を担持する銀担持工程により製造できる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極基材の上にn型有機半導体層及びp型有機半導体層がこの順に積層された触媒電極であって、前記p型有機半導体層に銀を含む助触媒が担持されていることを特徴とするヒドラジン酸化用触媒電極。
【請求項2】
電極基材の上にn型有機半導体層及びp型有機半導体層がこの順に積層された触媒電極であって、前記p型有機半導体層に銀化合物を含む助触媒が担持されていることを特徴とするヒドラジン酸化用触媒電極。
【請求項3】
前記p型有機半導体層および/または前記助触媒の表面に、ヒドラジンを吸着する吸着材が担持されていることを特徴とする請求項1または2に記載のヒドラジン酸化用触媒電極。
【請求項4】
電極基材の上にn型有機半導体層及びp型有機半導体層をこの順で積層する積層工程と、前記p型有機半導体層上に銀を担持する銀担持工程と、を含むことを特徴とするヒドラジン酸化用触媒電極の製造方法。
【請求項5】
前記銀担持工程は、前記p型有機半導体層上に銀化合物を担持する銀化合物担持工程と、担持された前記銀化合物から銀を生成する銀生成工程と、を有していることを特徴とする請求項4に記載のヒドラジン酸化用触媒電極の製造方法。
【請求項6】
前記銀生成工程は、前記銀化合物に還元剤を接触させる工程を有していることを特徴とする請求項5に記載のヒドラジン酸化用触媒電極の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドラジン酸化用触媒電極およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素は、燃焼により二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーとして期待されている。一方、水素は常温常圧で気体であり貯蔵や運搬が困難である。そこで、水素を水素キャリアと呼ばれる水素化合物に変換して効率的に貯蔵・運搬し、使用時に水素キャリアから水素を取り出す技術の開発が進められている。
【0003】
ヒドラジン(N)は、常温で液体であり、高い水素含有量を有することから、水素キャリアとして着目されている。ヒドラジンは、光触媒反応により窒素と水素に分解できることが報告されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】T. Abe et al., RSC Advances, 2015, 5, 46325-46329.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に記載の光触媒電極は、電極基板上にn型有機半導体層とp型有機半導体層を積層した構造のものである。この光触媒電極は、光照射下で光触媒作用によりヒドラジンを酸化することができる。また、ヒドラジンの酸化に伴って放出される電子を対極に導き水素を生成することができる。この方法は、再生可能エネルギーである太陽光を用いてヒドラジンから水素を生成できるため、クリーンな水素製造方法として期待が寄せられている。
【0006】
しかし、非特許文献1の光触媒電極は、光触媒作用によってヒドラジンを酸化するため、暗所下においては動作しない。そのため、夜間など光が届かない状況では用いることができない。そこで、本発明は、ヒドラジンの酸化に対して光触媒作用および触媒作用を示し、光照射下および暗所下のいずれにおいてもヒドラジンを酸化できるヒドラジン酸化用触媒電極とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、電極基材上にn型有機半導体とp型有機半導体とが積層された触媒電極において、p型有機半導体の表面に助触媒として銀化合物を担持すると、光照射下及び暗所下のいずれにおいてもヒドラジンを酸化できることを見いだした。かかる知見に基づいて更に研究を進め、本発明の完成に至った。即ち上記の課題は、以下に示す構成からなる発明により解決される。
【0008】
[1] 電極基材の上にn型有機半導体層及びp型有機半導体層がこの順に積層された触媒電極であって、前記p型有機半導体層に銀を含む助触媒が担持されていることを特徴とするヒドラジン酸化用触媒電極。
[2] 電極基材の上にn型有機半導体層及びp型有機半導体層がこの順に積層された触媒電極であって、前記p型有機半導体層に銀化合物を含む助触媒が担持されていることを特徴とするヒドラジン酸化用触媒電極。
[3] 前記p型有機半導体層および/または前記助触媒の表面に、ヒドラジンを吸着する吸着材が担持されていることを特徴とする[1]または[2]に記載のヒドラジン酸化用触媒電極。
[4] 電極基材の上にn型有機半導体層及びp型有機半導体層をこの順で積層する積層工程と、前記p型有機半導体層上に銀を担持する銀担持工程と、を含むことを特徴とするヒドラジン酸化用触媒電極の製造方法。
[5]前記銀担持工程は、前記p型有機半導体層上に銀化合物を担持する銀化合物担持工程と、担持された前記銀化合物から銀を生成する銀生成工程と、を有していることを特徴とする[4]に記載のヒドラジン酸化用触媒電極の製造方法。
[6] 前記銀生成工程は、前記銀化合物に還元剤を接触させる工程を有していることを特徴とする[5]に記載のヒドラジン酸化用触媒電極の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ヒドラジンの酸化に対して光触媒作用および触媒作用を示し、光照射下および暗所下のいずれにおいてもヒドラジンを酸化できるヒドラジン酸化用触媒電極およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のヒドラジン酸化用触媒電極の構成を示す断面図である。
図2】二室型電解槽の構成例を示す模式図である。
図3】実施例1の触媒電極のX線回折パターンである。
図4】実施例1の触媒電極を暗所下でヒドラジン酸化に使用した後のX線回折パターンである。
図5】実施例1の触媒電極を光照射下でヒドラジン酸化に使用した後のX線回折パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、ヒドラジンの酸化に対して光触媒作用および触媒作用を示し、光照射下および暗所下のいずれにおいてもヒドラジンを酸化できる、ヒドラジン酸化用触媒電極およびその製造方法を提供するものである。なお、本明細書において、このように光触媒作用および触媒作用を示し、光照射下および暗所下において同一の酸化反応を触媒する作用をデュアルキャタリシスとも称する。
以下に本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
<触媒電極>
本発明のヒドラジン酸化用触媒電極10は、図1(a)に示すように、電極基材12の上に、n型有機半導体層14及びp型有機半導体層16がこの順に積層された触媒電極10であって、p型有機半導体層16に銀(Ag)を含む助触媒18が担持されているものである。また、図1(b)に示すように、p型有機半導体層16および/または助触媒18の表面に、ヒドラジンを吸着する吸着材19がさらに担持されているものであってもよい。
【0013】
(電極基材)
電極基材12には導電性を有する材料を用いる。例えば、導電性透明ガラス基材、金属基材、炭素系基材等が挙げられる。具体的には、例えば、インジウム-スズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ-スズ酸化物(FTO)等で被覆された導電性透明ガラス基材、グラファイト、ダイヤモンド、ガラス状炭素等の炭素系基材等が挙げられる。電極基材12の抵抗値は、例えば、5~100Ω/cm、好ましくは8~20Ω/cmのものが用いられる。また、電極基材12の形状は種々の形状を採用することができるが、光照射の効率を上げるために電極表面積が大きい板状のものが好ましい。
【0014】
(n型/p型有機半導体層)
電極基材12の表面上には、n型有機半導体層14とp型有機半導体層16とがこの順に積層されている。n型有機半導体層14はn型有機半導体材料を含んで構成される。また、p型有機半導体層16はp型有機半導体材料を含んで構成される。n型有機半導体層の厚さは50~800nm程度、好ましくは100~650nm程度である。また、p型有機半導体層16の厚さは20~500nm程度、好ましくは30~350nm程度である。n型有機半導体層14とp型有機半導体層16の界面ではpn接合が形成されている。
【0015】
n型有機半導体材料は、特に限定されるものではないが、ペリレン誘導体、ナフタレン誘導体、フラーレン類、カーボンナノチューブ類およびグラフェン類などを用いることができる。ここで、ペリレン誘導体、ナフタレン誘導体、フラーレンまたはフラーレン類、グラフェンまたはグラフェン類とは、それぞれペリレン、ナフタレン、フラーレン、グラフェンの基本骨格を有する化合物を意味する。
【0016】
特に好適なn型有機半導体材料は、ヘキサペリヘキサベンゾコロネン、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボキシル-ビスベンズイミダゾール又はフラーレン類(C60等)、カーボンナノチューブ類が挙げられる。
【0017】
p型有機半導体材料についても特に限定されるものではないが、大環状の配位子化合物又はその金属錯体を用いることができる。大環状の配位子化合物とは、金属の配位子となり得る不対電子を有する原子を環上に含む有機化合物であり、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体などが挙げられる。ここで、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体とは、それぞれフタロシアニン、ナフタロシアニン、ポルフィリンの基本骨格を有する化合物を意味する。また、その金属錯体とは、金属イオンが大環状の配位子化合物の配位基に結合した金属錯体である。金属イオンには、Co、Pt、Os、Mn、Ir、Fe、Rh、Cu、Zn、Ni、Pb、Pd又はRuなどのイオンを挙げることができる。
【0018】
p型有機半導体材料のその他の例としては、導電性高分子を挙げることができる。導電性高分子の具体例としては、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン共重合体等が挙げられる。
【0019】
p型有機半導体材料の好ましい例は、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体が挙げられる。特に、無金属フタロシアニン、鉄フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、銅フタロシアニン、鉛フタロシアニン、クロロアルミニウムフタロシアニン又はコバルトフタロシアニンが好ましい。
【0020】
(助触媒)
p型有機半導体層16上には、助触媒18が担持される。助触媒18は、銀(Ag)を含んで構成される。助触媒18の形状は、層状や粒子状など種々の形状のものを用いることができる。表面積を増す観点から、粒子状や多孔質状であることが好ましい。また、助触媒18は、p型有機半導体層16の表面を完全に被覆している必要はなく、部分的に覆うように担持されていればよい。
助触媒18の担持量に特に制限はなく、様々に選択することができる。例えば、p型半導体層16表面上に0.3mg/cm程度の量で担持すると十分な活性が得られて好ましい。
【0021】
(吸着材)
p型有機半導体層16および/または助触媒18の表面には、ヒドラジン吸着能を有する吸着剤19を担持してもよい。吸着材19を担持することで、助触媒18表面のヒドラジン濃度を増加させることができ、ヒドラジン酸化反応の効率を上げることができる。吸着材の材料は、特に限定されないが、例えば、活性炭、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、シリカゲル、粘土などの吸着能が高い材料や、イオン交換樹脂、キトサン、ポリプロピレン、有機ゲルなどの薄膜化できる高分子材料等を挙げることができる。これらの中でもイオン交換樹脂がヒドラジンを特に吸着しやすく好適である。具体的には、パーフルオロスルホン酸/PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)共重合体や、パーフルオロカルボン酸/PTFE共重合体等が挙げられる。
【0022】
吸着材19の形態は特に限定はなく、層状又は粒状であってもよい。吸着材19は助触媒18と接触することが好ましいが近傍に配置してもよい。吸着材19の形態と配置は、助触媒18とp型有機半導体層16との電子授受を妨げない限り、様々に選択することができる。
【0023】
<ヒドラジンの酸化>
本発明のヒドラジン酸化用触媒電極は、光触媒作用および触媒作用のいずれの作用によっても同一反応によりヒドラジンを酸化(N→N+4H+4e)できる。したがって、本発明によれば、光照射下及び暗所下のいずれにおいてもヒドラジンを酸化することができるようになる。また、光照射下では、光触媒作用が助触媒の作用によりヒドラジンの酸化を促進するので、従来のデュアルキャタリシスを示さない光触媒電極と比較して効果的にヒドラジンを酸化することができる。
【0024】
本発明のヒドラジン酸化用触媒電極の使用雰囲気に特に制限はなく気相中や液相中で好ましく用いることができる。特に好ましくは、作用極と対極を設置した電解槽において、本発明のヒドラジン酸化用触媒電極を作用極として用いて電解槽内のヒドラジン溶液に浸漬し、作用極を光照射下または暗所下において、液相中のヒドラジンを酸化するものである。電解槽としては、一室型電解槽や二室型電解槽など種々の形態のもの選択することができる。また、電解方法に制限はなく、定電流電解または定電圧電解のいずれの方法を選択してもよい。
【0025】
図2は、本発明のヒドラジン酸化用触媒電極10を二室型電解槽20において用いた構成例を示す模式図である。二室型電解槽20は、陽極室22と陰極室24とが塩橋26で隔てられてなる。陽極室22は、作用極30がヒドラジン溶液38に浸漬されてなる。作用極30として本発明のヒドラジン酸化用触媒電極10を用いる。陰極室24は、対極34が電解質水溶液32に浸漬されてなる。陰極室24には、電解方法に合わせ、適宜、参照極36を電解質水溶液32に浸漬して設置する。作用極30の電極基材12、対極34及び参照極36は導線42により電源装置40に接続されている。
【0026】
ヒドラジン溶液38についてヒドラジンの濃度に特に制限はないが、pHが0以上であることが好ましい。ヒドラジン溶液38の溶媒は、ヒドラジンが溶解するものであれば特に制限はなく、通常は水を用いる。対極34は、対極34の還元反応に合わせて種々のものを選択することができる。例えば、対極34において水素イオンを還元して水素を生成する場合には、白金電極、金電極等の貴金属電極等を用いる。電解質水溶液32は、例えばリン酸や硫酸などの酸を含む酸性水溶液が好ましい。特に好ましくはリン酸水溶液である。電解質水溶液32のpHは5以下が好ましく、より好ましいpHは2以下である。
【0027】
電源装置40は、ポテンショスタット、関数発生器、クーロンメーターなどで構成される。
作用極30に光を照射する光源(図示せず)は特に制限はないが、本発明の触媒電極は波長が近赤外線以下の光を吸収して光触媒作用を示すので、波長約1200nm以下の光を含む光源を用いることが好ましい。光源としては、例えば、太陽光、ハロゲンランプ、キセノンランプ、水銀ランプ、蛍光灯、LEDなどを好適に用いることができる。
【0028】
上記のような構成において、本発明のヒドラジン酸化用触媒電極10(30)は、光照射の有無にかかわらず、ヒドラジン溶液38中のヒドラジンを酸化することができる。ヒドラジンを酸化するために作用極に電位印加する必要は特にないが、電源装置40により、適宜、電位印加してもよい。ヒドラジンの酸化に伴ってヒドラジンから放出された電子は対極34に輸送される。対極34において水素を生成するよう構成することで、系全体としてヒドラジンを窒素と水素に分解(N→N+2H)することができる。このように本発明のヒドラジン酸化用触媒電極を用いることで、水素キャリアとしてのヒドラジンから、光照射下及び暗所下のいずれにおいても、水素を製造することが可能となる。
【0029】
なお、本発明のヒドラジン酸化用触媒電極は、ヒドラジンの燃焼を目的とする場合にも用いることができる。上記の二室型電解槽20において、対極34を酸素雰囲気下におき、対極34にて酸素還元を誘起することにより、系全体としてヒドラジンの燃焼反応(N+O→N+2HO)を起こすことができる。これはヒドラジンを燃料とする燃料電池にほかならず、燃焼反応に伴い発生するエネルギーは電気エネルギーとして取り出すことができる。また、光照射下における反応速度は暗所下よりも速い。このように本発明の触媒電極はヒドラジンの燃焼反応にも好適に利用できる。
【0030】
本発明の触媒電極が、ヒドラジンの酸化に対してデュアルキャタリシスを示すメカニズムは、実施例を踏まえると次のように推定される。
(光触媒作用による酸化)本発明の触媒電極に光を照射すると、n型/p型有機物半導体層の光吸収によって励起電子と正孔が発生する。正孔は、p型有機半導体層の価電子帯上端を経由して銀(助触媒)に移動し、助触媒の表面でヒドラジンの酸化を誘起する。
(触媒作用による酸化)暗所下では、銀が通常の触媒(熱触媒)として作用し、ヒドラジンの酸化を誘起する。また、ヒドラジンの酸化に伴って電子が放出される。
なお、励起電子およびヒドラジンから放出された電子は導線を経由して対極に輸送される。対極では輸送された電子を消費して水素生成や酸素還元などの反応を誘起する。
【0031】
<ヒドラジン酸化用触媒電極の製造方法>
本発明のヒドラジン酸化用触媒電極の好適な製造方法は、電極基材の上に、n型有機半導体層及びp型有機半導体層をこの順で積層する積層工程と、p型有機半導体層上に銀を担持する銀担持工程とを含むものである。以下に詳細に説明する。
【0032】
(積層工程)
積層工程では、まず、電極基材の上に、n型有機半導体材料を含むn型有機半導体層を積層する。次に、n型有機半導体層の上に、p型有機半導体材料を含むp型有機半導体層を積層する。
n型有機半導体材料は、前述のように、ペリレン誘導体、ナフタレン誘導体、フラーレン類、カーボンナノチューブ類およびグラフェン類などを用いることができる。また、p型有機半導体材料は、前述のように、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、金属フタロシアニンなどを用いる。n型有機半導体層とp型有機半導体層との間において良好なpn接合を形成する材料を用いる。
n型及びp型有機半導体層のいずれも公知の方法で積層することができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、電気化学的被覆(電析)、塗布等が挙げられる。この中でも、均一に被覆するためには、真空蒸着法が好ましい。
【0033】
(銀担持工程)
次の銀担持工程では、p型有機半導体層上に銀を担持し、本発明のヒドラジン酸化用触媒電極を得る。
担持する銀は公知の方法で得られた粉末状や塊状のものを用いる。銀を担持する方法としては、スパッタリング法や塗布等を用いる。例えば、塗布による場合は、粉末状の銀を水やアルコールなどに分散させ、その分散液をp型有機半導体層上に塗布して乾燥させて担持する。これにより、本発明のヒドラジン酸化用触媒電極が得られる。
【0034】
銀担持工程においては、さらに吸着材を担持してもよい。吸着材に用いる材料などの例は前述のとおり、活性炭、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、シリカゲル、粘土などの吸着能が高い材料や、イオン交換樹脂、キトサン、ポリプロピレン、有機ゲルなどの薄膜化できる高分子材料等を用いることができ、特に、パーフルオロスルホン酸/PTFE共重合体や、パーフルオロカルボン酸/PTFE共重合体等のイオン交換樹脂を好ましく用いることができる。吸着材は、例えば、銀の担持後に、吸着材を水やアルコールに分散した分散液を作製し、その分散液をp型有機半導体層上に塗布して乾燥させることで担持すればよい。もしくは、銀の分散液にさらに吸着材を加え、これをp型有機半導体層上に塗布して乾燥させることで、銀と同時に担持してもよい。
【0035】
銀担持工程は、以下に示すように、p型有機半導体層上に銀化合物を担持する銀化合物担持工程と、担持された銀化合物から銀を生成する銀生成工程とを有して構成してもよい。この方法は、p型有機半導体層上に、銀の前駆体となる銀化合物を担持した後、銀化合物から銀を生成することで、本発明のヒドラジン酸化用触媒電極を得るものである。
【0036】
(銀化合物担持工程)
銀化合物担持工程では、まず、前述の積層工程によって得た触媒電極のp型有機半導体層上に、銀化合物を担持する。銀化合物は、加熱や還元などの処理を施すことで銀を生成しうる銀(I)化合物であり、例えば、酸化銀(AgO)、シュウ酸銀、硝酸銀、酢酸銀などの銀塩、塩化銀、臭化銀などのハロゲン化銀、ネオデカン酸銀、オクチル酸銀、サリチル酸銀などの有機銀化合物といったものが挙げられる。これらは公知の合成法により得られたものを用いることができる。銀化合物を担持する方法としては、塗布、スパッタリング法、電気化学的被覆(電析)等を用いることができる。例えば、塗布による場合は、粉末状の銀化合物を水やアルコールなどに分散させた分散液、または銀化合物の溶液をp型有機半導体層上に塗布して乾燥させて担持する。
【0037】
銀化合物担持工程においては、前述の銀担持工程において述べたものと同様の吸着材をさらに担持することができる。吸着材は、例えば、銀化合物の担持後に、吸着材を水やアルコールに分散した分散液を作製し、その分散液をp型有機半導体層上に塗布して乾燥させることで担持する。もしくは、前述の銀化合物の分散液(または溶液)にさらに吸着材を加え、これをp型有機半導体層上に塗布して乾燥させる方法により、銀化合物と同時に担持してもよい。
【0038】
なお、ここで得られた銀化合物を担持した触媒電極は、触媒電極の他の態様のところでも詳述する。
【0039】
(銀生成工程)
次の銀生成工程では、p型有機半導体層上に担持された銀化合物から銀を生成する。銀を生成する方法は、用いた銀化合物の性質に応じて、還元処理、加熱処理、露光処理などの様々な方法を用いることができる。
還元処理は、触媒電極に担持された銀化合物を還元剤に接触させて銀を生成するものである。還元剤としては、ヒドラジン、一酸化炭素、水素などを用いることができる。具体的な方法としては、例えば、酸化銀を担持した触媒電極を、還元剤を含む液体に浸漬して還元処理を行う。これにより酸化銀が還元されて銀が生成する。
なお、触媒電極を浸漬するヒドラジン溶液として、酸化したいヒドラジン(例えば、水素キャリアとしてのヒドラジン)を含む溶液を用いてもよい。これにより、還元剤を別途用意することなく、その場反応によって銀化合物が銀へと還元されて本発明のヒドラジン酸化用触媒電極が得られ、引き続きヒドラジンの酸化処理及び水素製造を行うことができる。
【0040】
加熱処理は、酸化銀、銀塩、有機銀化合物などの銀化合物を担持した触媒電極を加熱することで銀化合物を熱分解して銀を生成するものである。加熱温度は用いた銀化合物の種類によって選択すればよく、特に限定されない。露光処理は、ハロゲン化銀などの感光性のある銀化合物を担持した触媒電極に光を照射することにより、銀化合物が分解して銀が生成するものである。露光処理には、例えば、可視光線、紫外線、および、X線などを適宜用いることができる。
【0041】
以上の銀生成工程により、銀化合物から銀が生成してp型有機半導体層上に担持され、本発明のヒドラジン酸化用触媒電極が得られる。
【0042】
<ヒドラジン酸化用触媒電極の他の態様>
本発明の他の態様に係るヒドラジン酸化用触媒電極は、電極基材の上に、n型有機半導体層及びp型有機半導体層がこの順に積層された触媒電極であって、p型有機半導体層に銀化合物を含む助触媒が担持されている触媒電極である。この触媒電極は、前述の銀化合物担持工程によって得られた触媒電極である。
この触媒電極は、例えば図2に示すような電解槽において、ヒドラジン酸化のためにヒドラジン溶液に浸漬すると、ヒドラジンの還元作用により銀化合物から銀が生成する。このように、その場反応によってヒドラジンの酸化に対して光触媒作用および触媒作用を示す電極が得られる。したがって、ヒドラジンによって銀に還元されうる酸化銀などの銀化合物を含む助触媒が担持された本発明のヒドラジン酸化用触媒電極も、ヒドラジン酸化用に実質的に好ましく用いることができる。
【実施例0043】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0044】
<触媒電極の作成>
(実施例1)
実施例1の触媒電極を以下のように作製した。電極基材にインジウム-スズ酸化物(ITO)で被覆された導電性透明ガラス基板(以下「ITO基板」と表記する)(旭硝子社製、抵抗8Ω/cm)を用いた。ITO基板を1.5cm×1cmに切り出し、0.5cm×1cmの部分に銀含有エポキシ系接着剤(藤倉化成社製、D-500)を用いて、導線を取り付けた。さらに、銀部位(硬化した接着剤の表面)は、電解質水溶液との接触を防ぐためにエポキシ系接着剤を被覆し絶縁した。
【0045】
導線を取り付けたITO基板に、真空蒸着法によりn型有機半導体層とp型有機半導体層を積層した。n型有機半導体材料には、ペリレン誘導体である3,4,9,10-ペリレンテトラカルボキシル-ビスベンズイミダゾール(以下「PTCBI」と表記する)を、p型有機半導体材料には金属フタロシアニンであるコバルトフタロシアニン(以下「CoPc」と表記する)を用いた。導線を取り付けたITO基板を真空蒸着装置(アルバック機工社製、VPC-260)に取り付け、真空度約1.0×10-3Pa、蒸着速度0.03nm/秒の条件下で、ITO基板のITO被覆側にPTCBIを厚さ約220nmで積層した。次に、積層されたPTCBIの上に、真空度が約1.0×10-3Pa、0.03nm/秒の蒸着速度で、CoPcを厚さ約70nmで積層した。ここで得られた触媒電極を「ITO/PTCBI/CoPc」と称する。
【0046】
次に、ITO/PTCBI/CoPcへ酸化銀(AgO)を担持した。酸化銀は、文献(X. Xu et al., Applied catalysis B: Environmental, 2015, 176-177, 637)の記載に従って合成したものを用いた。市販の5wt%のナフィオン(登録商標)を含むアルコール溶液(Aldrich製)200μLとメタノール800μLの混合液に酸化銀13.0mgを懸濁させた。この懸濁液23μLをITO/PTCBI/CoPc上に滴下し、70℃で30分間乾燥した。得られた触媒電極を実施例1とした。
【0047】
実施例1の触媒電極をヒドラジンの酸化に使用する前に、X線回折装置(リガク社製、SmartLab9kW、線源:CuKα)により評価したところ、X線回折パターン(図3)から酸化銀(AgO)に帰属されるピークが確認できた。
【0048】
(比較例1)
実施例1において酸化銀を用いなかった以外は、実施例1と同様にして触媒電極を作製し、比較例1の触媒電極とした。
【0049】
<ヒドラジン酸化能力の評価>
(評価方法)
二室型電解槽を用いて実施例1及び比較例1の触媒電極のヒドラジン酸化能力を評価した。二室型電解槽は図2に例示した構成のものを用いた。まず、塩橋は次の方法で作成した。寒天1.3gと硝酸カリウム4.74gを約10mLの蒸留水に加え、それらを温浴中で溶解させて二室セルの架橋部位に流し込み、冷却して固化させた。
次に、陽極室に作用極として実施例1または比較例1の触媒電極を、陰極室には対極の白金線と参照極(銀-塩化銀電極)を設置した。電解質水溶液として、陽極室(作用極側)には5mmol/Lヒドラジン水溶液(pH=11)を、陰極室(対極側)にはリン酸水溶液(pH=0)をそれぞれ入れた。対極、参照極、作用極は、ポテンショスタット(北斗電工社製、HA-301)に接続した。さらに、ポテンショスタットには、関数発生器(北斗電工社製、HB-104)及びクーロンメーター(北斗電工社製、HF-201)を接続した。
上記構成の二室型電解槽において、陽極室と陰極室のガス雰囲気、光照射条件及び印加電位を変えた条件下で電気分解を行った。電気分解の際、ヒドラジン分解生成物である窒素の量をガスクロマトグラフ(ジーエルサイエンス社製、GC-3200;キャリアガス、Ar;カラム、モレキュラーシーブ5Å)によって測定した。対極にて水素が生成する条件では、同様にその生成量を測定した。
【0050】
(ヒドラジン分解反応)
陽極室及び陰極室を不活性雰囲気下にして、ヒドラジン酸化能力を評価した。本条件では、作用極においてヒドラジン酸化が、対極において水素生成がそれぞれ誘起され、系全体としてヒドラジンを窒素と水素に分解(N→N+2H)する。
まず、陽極室及び陰極室にアルゴンガスを30分間通気し、電解質水溶液中の溶存酸素を取り除いた。触媒電極のITO基板の非被覆面側から光量100mW/cmで光照射し、+0.3V(vs.Ag/AgCl)の電位を印加しながら、3時間の電気分解を行った。暗所下(光照射をしない条件)においても同様にして電気分解を行った。
【0051】
実施例1または比較例1の触媒電極を作用極に用いた場合の窒素及び水素生成量の測定結果を表1に示す。
【表1】
【0052】
実施例1の触媒電極を用いた場合、光照射下及び暗所下のいずれにおいても、ヒドラジンの酸化に伴う窒素と還元生成物である水素の発生が確認できた。窒素および水素生成量は、いずれも暗所下よりも光照射下の方が大きかった。この結果から、実施例1の触媒電極はデュアルキャタリシスを示し、光触媒作用と触媒作用のいずれの作用によってもヒドラジンを酸化できることがわかった。
比較例1の触媒電極を用いた場合、光照射下ではヒドラジンの酸化に伴う窒素と還元生成物であると水素の発生が確認できた。しかし、暗所下ではヒドラジンの酸化は誘起されず、窒素の発生も確認されなかった。この結果から、比較例1の触媒電極は、ヒドラジンの酸化に対して光触媒作用を示すが、暗所下における触媒作用は全く示さないことが確認された。
【0053】
実施例1の触媒電極を、暗所下または光照射下で3時間の電気分解に使用した後、再びX線回折によって評価した。X線回折パターンを図4(暗所下)及び図5(光照射下)に示す。図4および5のいずれにおいても、酸化銀(AgO)に帰属されるピークは観察されず、銀(Ag)に帰属されるピークが観察された。この結果から、実施例1の触媒電極に担持された酸化銀は、光照射の有無とは関係なく、ヒドラジンと接触して銀に還元されていることがわかった。
【0054】
以上の結果から、電極基材の上にn型有機半導体層及びp型有機半導体層がこの順に積層された触媒電極において、担持された銀は、ヒドラジンの酸化に対する助触媒として作用し、デュアルキャタリシスの発現に寄与することがわかった。また、酸化銀を担持した触媒電極でも、その場反応によって銀が担持された触媒電極が得られる結果、実質的にヒドラジンの酸化に対してデュアルキャタリシスを示す触媒電極であるといえる。
【0055】
(ヒドラジン燃焼反応)
次に、陽極室を不活性ガス雰囲気下に、陰極室を酸素雰囲気下にして、ヒドラジンの酸化能力を評価した。本条件では、作用極においてヒドラジンの酸化が、対極において酸素還元が誘起され、系全体としてヒドラジンの燃焼反応(N+O→N+2HO)が起こる。
陽極室のみアルゴンガスを30分間通気して電解質水溶液中の溶存酸素を取り除いた。陰極室はアルゴンガスを通気せず、酸素雰囲気下(大気条件下)にした。触媒電極のITO基板の非被覆面側から光量100mW/cmで光照射し、作用極と対極に間には電位印加せず、反応を3時間行った。暗所下(光照射をしない条件)においては、反応を10時間行った。反応後に、陽極室の窒素発生量を測定して、窒素発生速度を算出した。
【0056】
実施例1の触媒電極を作用極に用いた場合の窒素生成速度の測定結果を表2に示す。
【表2】
【0057】
実施例1の触媒電極を用いた場合、光照射下及び暗所下のいずれにおいても、ヒドラジンの酸化に伴う窒素の発生が確認できた。窒素生成速度は暗所下よりも光照射下の方が大きかった。この結果から、実施例1の触媒電極は、ヒドラジンの燃焼を目的とした条件下においてもデュアルキャタリシスを示し、光触媒作用と触媒作用のいずれの作用によってもヒドラジンを酸化できることが確認できた。
【0058】
以上のように、本発明によればヒドラジンの酸化に対して光触媒作用および触媒作用を示し、光照射下および暗所下のいずれにおいてもヒドラジンを酸化できるヒドラジン酸化用触媒電極およびその製造方法を提供することができる。また、本発明のヒドラジン酸化用触媒電極は、光照射下では、光触媒作用が助触媒の作用によりヒドラジンの酸化を促進するので、従来のデュアルキャタリシスを示さない光触媒電極と比較して効果的にヒドラジンを酸化することができる。したがって、本発明のヒドラジン酸化用触媒電極は、ヒドラジンの分解による水素製造や、ヒドラジンの燃焼による電気エネルギー生産など、ヒドラジンの酸化を必要とする様々な産業分野に有効に活用することができる。
【符号の説明】
【0059】
10 ヒドラジン酸化用触媒電極
12 電極基材
14 n型有機半導体層
16 p型有機半導体層
18 助触媒
19 吸着材

図1
図2
図3
図4
図5