(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183452
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】マルチタスク管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20120101AFI20221206BHJP
【FI】
G06Q10/10 310
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090773
(22)【出願日】2021-05-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】507019293
【氏名又は名称】株式会社日本労務研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 隆志
(72)【発明者】
【氏名】奥山 惠一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA07
(57)【要約】
【課題】 スタッフの習熟度の高低にかかわらず、誰でも複数のタスクを円滑に処理できるように支援するマルチタスク管理システムを提供する。
【解決手段】 本発明のマルチタスク管理システム1は、タスクごとに異なる納期が設定される複数のタスクを単独又は同時並行で円滑に処理できるように支援するものであって、納期及び処理内容が明確な単純タスクを入力する単純タスク入力部42と、複数のタスクを含み、かつタスクごとに納期が設定される複合タスクを入力する複合タスク入力部43と、複合タスクを構成する各タスクの納期、先行後続関係及び参考情報をユーザに提供する参考情報提供部44と、単純タスク及び複合タスクに含まれる各タスクの内容及び納期を表示する納期表示部45と、単純タスク及び複合タスクに含まれる各タスクの納期が予め設定された期間以下になった場合にユーザにアラートを通知する納期通知部46と、を含むことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タスクごとに異なる納期が設定される複数のタスクを単独又は同時並行で円滑に処理できるように支援するマルチタスク管理システムであって、
納期及び処理内容が明確な単純タスクを入力する単純タスク入力部と、
複数のタスクを含み、かつ前記タスクごとに納期が設定される複合タスクを入力する複合タスク入力部と、
前記複合タスクを構成する各タスクの納期、先行後続関係及び参考情報をユーザに提供する参考情報提供部と、
前記単純タスク及び前記複合タスクに含まれる各タスクの内容及び納期を表示する納期表示部と、
前記単純タスク及び前記複合タスクに含まれる各タスクの納期が予め設定された期間以下になった場合にユーザにアラートを通知する納期通知部と、を含むマルチタスク管理システム。
【請求項2】
複数の前記複合タスクの納期、先行後続関係及び参考情報を管理する複合タスクデータベースをさらに含み、
前記複合タスク入力部による前記複合タスクの入力は、前記複合タスクデータベースから最適な複合タスクをユーザが選択することによって行われる請求項1に記載のマルチタスク管理システム。
【請求項3】
前記複合タスクデータベースは、複合タスクの種類ごとにグループ分けして管理されていることを特徴とする請求項2に記載のマルチタスク管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、納期及び処理内容が明確な単純タスクと、複数のタスクを含む複合タスクとを同時平行で処理するときに各タスクの納期を明確にし、各タスクを円滑に処理できるように支援するマルチタスク管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業における業務管理においては、各スタッフが複数のタスクを同時平行で進めることが一般的であり、各スタッフは、単純に処理できる単純タスクと、複数のタスクの先行後続関係を考慮しながら処理すべき複合タスクとを同時並行で処理している。各スタッフは、これらのタスクの優先順位及び同僚スタッフとの連携状況を考慮しながら各タスクを適切なタイミングで処理している。
【0003】
例えば、社会保険労務士の業務においては、雇用や社会保険、労働問題及び公的年金等に関連する書類を作成し、労働基準監督署等の行政官庁に書類を提出する必要があるが、単純に1枚の書類に必要事項を記入して行政官庁に提出するだけの単純タスクもあれば、複数の書類を作成するとともに必要があれば官公庁から書類を取り寄せたりして一括して行政官庁に提出する複合タスクもある。複合タスクの処理においては、単一のスタッフで処理するものではなく、同一職場内の別のスタッフに頼んで処理してもらうタスクもあるので、各スタッフ間での連携も密に取る必要がある。
【0004】
社会保険労務士の職場では、習熟度の異なる複数のスタッフが業務を処理しているが、各スタッフが単純タスクと複合タスクを抱える中で、特に習熟度の低いスタッフは、どのタスクを優先的に処理すればよいか判断に困るときもあるし、またイレギュラーなタスクを含む場合にはそのタスクに多大な時間がとられてスケジュール通りにタスクを処理できないこともある。また習熟度の低いスタッフが複合タスクを処理する場合に、タスクの優先順位付けを誤って優先度の低い処理を先に処理する等で非効率な手順でタスクを処理してしまうこともある。
【0005】
上記のようなタスクの先行後続関係を判断するために、タスクの優先度を用いてタスクの処理順序を支援する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載された配信処理サーバは、顧客毎の明細発生パターン及び過去実績から予測数を算出し、この予測数に基づいてタスク起動時刻を算出してスケジューリングを行なうことができる。特許文献1に開示の配信処理サーバによれば、優先度が高いタスクから順番にスケジューリングしてくれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示のように、タスクの優先度のみによってタスクの処理順序を決めるべきではなく、タスクの処理に要する時間やスタッフの習熟度を考慮する必要がある。すなわち、優先順位が高くても処理に多大な時間がかかる複合タスクと、優先順位は低いものの僅か数分で処理できる単純タスクと、を並列して処理する場合には、単純タスクの優先順位を上げて迅速に処理し、時間のかかる複合タスクを後回しにした方が良い場合もある。
【0008】
また習熟度が高いスタッフであれば複合タスクのうちの時間を要するタスクのみを優先的に処理し、複合タスクの処理待ち時間のうちに単純タスクを処理するというようにスケジューリングした方が良い場合もある。特許文献1に開示の配信処理サーバは、各スタッフの習熟度を加味していない点や、タスクの処理に要する時間や見通しを共有できていない点、各スタッフの進捗状況を確認できない点で、複数のタスクを効率的に処理できるとは言い難い。そこで、スタッフの習熟度の高低にかかわらず誰もが効率的にタスクを処理できるようなシステムの登場が望まれている。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スタッフの習熟度の高低にかかわらず、誰でも複数のタスクを円滑に処理できるように支援するマルチタスク管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のマルチタスク管理システムは、タスクごとに異なる納期が設定される複数のタスクを単独又は同時並行で円滑に処理できるように支援するものであって、納期及び処理内容が明確な単純タスクを入力する単純タスク入力部と、複数のタスクを含み、かつ前記タスクごとに納期が設定される複合タスクを入力する複合タスク入力部と、前記複合タスクを構成する各タスクの納期、先行後続関係及び参考情報をユーザに提供する参考情報提供部と、前記単純タスク及び前記複合タスクに含まれる各タスクの内容及び納期を表示する納期表示部と、前記単純タスク及び前記複合タスクに含まれる各タスクの納期が予め設定された期間以下になった場合にユーザにアラートを通知する納期通知部とを含むことを特徴とする。
【0011】
複数の前記複合タスクの納期、先行後続関係及び参考情報を管理する複合タスクデータベースをさらに含み、前記複合タスク入力部による前記複合タスクの入力は、ユーザが前記複合タスクデータベースから最適な複合タスクを選択することによって行われることが好ましい。
【0012】
複合タスクデータベースは、複合タスクの種類ごとにグループ分けして管理されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明のマルチタスク管理システムを構成する各部の模式図である。
【
図2】本発明のマルチタスク管理システムによって出力されたタスク参考情報及び納期管理一覧の一例を示す模式図である。
【
図3】本発明のマルチタスク管理システムによって出力されたスケジュール管理及びアラーム機能の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、適宜図面が参照し、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態が適宜変更することができる。
【0015】
<マルチタスク管理システム>
図1は、本実施形態のマルチタスク管理システムの構成を示す図である。本実施形態のマルチタスク管理システム1は、
図1に示すように、入力部11と、出力部12と、記憶部13と、制御処理部14と、で構成されている。
【0016】
入力部11は、制御処理部14に接続され、例えばタスクの納期やタスクの内容等の必要な各種データをマルチタスク管理システム1に入力する機器であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ、キーボード、マウス等である。
【0017】
出力部12は、制御処理部14に接続され、制御処理部14の制御に従って、入力部11から入力されたコマンドやデータを出力する機器であり、例えばCRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)及び有機ELディスプレイ等の表示装置、又はプリンタ等の印刷装置等である。
【0018】
入力部11及び出力部12はタッチパネルで構成されてもよい。タッチパネルを構成する場合において、入力部11は、例えば抵抗膜方式、静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部12は表示装置である。このタッチパネルでは、表示装置の表示画面上に位置入力装置が設けられる。そして、表示装置に入力可能な1又は複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが入力したい入力内容を表示した表示位置に触れると、位置入力操作によってその位置が検出される。この検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容としてマルチタスク管理システム1に入力される。このようなタッチパネルは、ユーザが入力操作を直感的に理解しやすいので、ユーザにとって取り扱いやすいマルチタスク管理システム1が提供される。
【0019】
記憶部13は、制御処理部14に接続され、制御処理部14の制御に従って、各種の所定のプログラム及び各種の所定のデータを記憶する回路である。この各種の所定のプログラムは、例えば、マルチタスク管理システム1の各部を当該各部の機能に応じて制御する制御プログラム、タスクの納期が近付いてきた場合にユーザに対して納期のリマインダを送信するプログラム、タスクを処理する上で必要な情報(例えば申請先の情報や申請方法、申請において注意すべきポイント)をユーザに伝達するプログラムが含まれる。前記各種の所定のデータには、各単純タスクに関する情報(例えば価格、納期、注意すべき事項、優先度、申請先等)を記憶する単純タスクデータベース31、複合タスクに関する情報(例えば、在庫数、有効期限、大きさ、材質、機能及び用途等)を記憶する複合タスクデータベース32、各スタッフが入力した単純タスク及び複合タスクを管理する入力タスクデータベース33等が含まれる。
【0020】
このような記憶部13は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部13は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部14のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を備える。また、記憶部13は、例えばハードディスク等の比較的大容量の記憶装置を備えて良い。
【0021】
制御処理部14は、マルチタスク管理システム1の各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、複数のタスクのうちの各納期を算出し、納期までに処理すべき事項を決定するための回路である。制御処理部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を備えて構成される。制御処理部14には、記憶部13に記憶されている制御プログラムが実行されることによって、
図1に示すように、制御部41、単純タスク入力部42、複合タスク入力部43、参考情報提供部44、納期表示部45及び納期通知部46が機能的に構成される。
【0022】
制御部41は、マルチタスク管理システム1の各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するものである。この制御部41によって、マルチタスク管理システム1を構成する各部が所望の機能を発揮するように作動する。
【0023】
単純タスク入力部42は、ユーザからの単純タスクの入力を受け付ける部分である。ユーザによる単純タスクの入力方法は、ユーザが入力部11を通じて納期及び処理内容を入力してもよいし、単純タスクデータベース31に格納された単純タスクから選択することによって単純タスクの納期及び処理内容を設定してもよい。単純タスク入力部42で入力された単純タスクは入力タスクデータベース33に格納される。
【0024】
複合タスク入力部43は、ユーザからの複合タスクの入力を受け付ける部分である。複合タスクは、複数のタスクを含み、かつタスクごとに納期が設定されており、複合タスクには、先行後続関係にあって互いに関連する複数のタスクが含まれる場合もある。ここで、ユーザによる複合タスクの入力は、予め複合タスクデータベース32に格納されている複合タスクから選択することによって行われることが好ましい。予め格納された複合タスクデータベース32内の複合タスクの情報を取得することにより、複合タスクを構成する各タスクの漏れを防止することができ、スタッフの習熟度が低い場合でも、複合タスクを構成する各タスクの納期及び処理内容を的確に理解することができる。複合タスク入力部43で入力された複合タスクは入力タスクデータベース33に格納される。
【0025】
複合タスクデータベース32には、複合タスクを構成する各タスクの納期及び処理内容が保管されている。また、複合タスクデータベース32には、複合タスクを構成する各タスクの処理に必要な情報(例えば、過去の類似例や根拠となる法令)を参照できるように格納されている。そして、複合タスクデータベース32は、複数の複合タスクがグループ別に分けて格納されていることが好ましい。このようにグループ別に分けて格納されていることで、複合タスクデータベース32中の複合タスクをユーザが選択する際に、どのグループに属する複合タスクを特定してから、そのグループ内の複合タスクを選択することができるので、グループ分けされていない場合に比べて、ユーザにとって複合タスクの選択が容易になるという利点がある。
【0026】
参考情報提供部44は、複合タスクデータベース32に格納されている複合タスクの処理に必要な情報(例えば、過去の類似例や根拠となる法令)を出力部12に表示する。ユーザは出力部12に表示された複合タスクの処理に必要な情報(例えば、過去の類似例や根拠となる法令等のエビデンス)を参照することで複合タスクを効率的に処理することができる。また、参考情報提供部44は、複合タスクの処理に必要な個別のタスクを箇条書きにしたチェックボックス形式で各タスクを表示してもよい。この場合、チェックボックスに表示された条件・書類を全て満たす場合に複合タスクを処理することができる。
【0027】
また、ユーザは、複合タスクを処理する上で、注意すべき事項・共有すべき事項があれば、入力部11を通じて入力することにより複合タスクの処理に必要な情報を添付又は追記することができる。ここで添付又は追記された内容も複合タスクデータベース32に格納され、複合タスクの処理時に出力部12に表示されることになる。
【0028】
納期表示部45は、単純タスク及び複合タスクに含まれる各タスクの内容及び納期を出力部12に表示する。例えば、出力部12は、各タスクの内容及び納期の一覧(いわゆるTodoリスト等)又はタスク処理のスケジュール等が表示される。ユーザは、単純タスク及び複合タスクのうちから納期の迫っているものから順に作業することにより各タスクの納期の順番にタスクを処理することができ、効率的に作業を進めることができる。また、出力部12に、タスク処理のスケジュールが表示される場合、その表示されたタスク処理のスケジュールに沿ってタスクを処理することで、単純タスク及び複合タスクをそれぞれ単独又は同時並行で効率的に処理することができる。この納期表示部45に表示されたタスクの処理が完了した場合には、入力部11を通じてタスクが完了したことを入力することで、完了したタスクを期限管理から除外することができる。
【0029】
また、ユーザはタスクの処理で不明な点がある場合には、その不明な点を、入力部11を通じて入力することによりタスクに記録することもできる。このようにタスクの不明点を記録することにより、タスクを処理する上での不明確な点を共有することができ、他のユーザ又は管理者からのタスク処理の支援を得ることも可能となる。
【0030】
納期通知部46は、単純タスク及び複合タスクに含まれる各タスクの納期が予め設定された期間以下になった場合にユーザにアラートを通知する。例えば、ユーザがタスクの納期の3日前にアラートが通知されるように予め設定しておくことで、当該タスクの納期の3日前の時点でタスクが完了していない場合に、そのタスクが未完了であることをユーザに通知することで、ユーザにタスク処理を促し、ユーザのタスク処理漏れを防ぐことができる。
【0031】
以下に実施例を挙げ、上述の内容を更に詳細に説明する。本発明は以下の実施例から何ら制限を受けない。
【実施例0032】
本発明のマルチタスク管理システム1を社会保険労務士事務所のスタッフが用いる場合を一例として説明する。
【0033】
(タスクを入力するステップ)
まず、ユーザは、入力部11を用いて単純タスク及び複合タスクをマルチタスク管理システム1に入力する。ここで、単純タスクとは、納期及び処理内容が明確なルーチン業務であり、例えば特定の法人にA氏が入社した場合に必要な手続き及びB氏が退社した場合に必要な手続きである。複合タスクとは、複数のタスクを含み、かつタスクごとに納期が設定されているものであり、具体的には、整理解雇の手続きの複合タスクを行う場合、1.人員整理の必要性、2.解雇回避努力義務の履行、3.被解雇者選定の合理性 、4.解雇手続の妥当性の4つの要件を満たす書類を準備することが必要な手続きである。上記単純タスク及び複合タスクが入力されると、その情報はそれぞれ入力タスクデータベース33に格納される。
【0034】
単純タスクは、記憶部13に格納された単純タスクデータベース31のうちから選択してもよいし、タスクの内容と納期を入力することで入力してもよい。複合タスクは、記憶部13に格納された複合タスクデータベース32のうちから選択することによって入力する。このように複合タスクのみ記憶部13に格納された複合タスクデータベース32から複合タスクを選択することにより、複合タスクを処理する際の複数のタスクのタスク漏れを防止することができる。
【0035】
(複合タスクの入力方法)
ここで、複合タスクの入力方法及び複合タスクデータベース32について説明する。複合タスクデータベース32は、複数の複合タスクがグループごとに分けて格納されており、例えば、社会保険手続グループ、法令労務相談手続グループ、社内内部処理グループ、顧客別対応仕様グループ等の複数のグループにグループ分けされており、さらに各グループの中に詳細の複合タスク、例えば、社会保険手続グループ内に「学生又は18歳未満の入社手続」「外国人入社手続」「高齢者入社手続」「年齢到達時手続」等の複合タスクが格納されている。
【0036】
スタッフが複合タスクを入力するときには、まず、その複合タスクが属するグループを選択し、当該グループの中で適切な複合タスクを選択するようになっている。したがって、スタッフは「社会保険手続グループ」のグループを選択し、その中から「外国人入社手続」の複合タスクを選択する。このように2段階の階層に分けて複合タスクを選択することで、スタッフは、複合タスクデータベース32に格納された複合タスクのうちから所望の複合タスクを見つけやすく、所望の複合タスクを選択しやすいという利点がある。なお、上記のような複合タスクの選択方式に限られず、例えば、複合タスクデータベース32に格納された複合タスクを一括検索形式で特定した上で複合タスクを選択して入力できるようにしてもよい。
【0037】
スタッフが整理解雇の手続きをする必要がある場合、スタッフは、社内内部処理グループの中にある「整理解雇の手続き」の複合タスクを選択して入力する。これにより、人員整理の必要性を証明する書面を作成するタスク、解雇回避努力義務の履行を行ったことを証明する書面を作成するタスク、非解雇者選定の合理性を証明する書面を作成するタスク、解雇手続きの妥当性を証明する書面を作成するタスクがそれぞれ納期とともに設定される。よって、スタッフはこれらの各タスクを処理する順序が明確になるし、これら4つのタスク全てを完成させることで「整理解雇の手続き」の複合タスクが完了する。
【0038】
(参考情報を提供するステップ)
上記入力タスクデータベース33に格納された複合タスクをスタッフが処理する前に、参考情報提供部44は、複合タスクを構成する各タスクの納期、先行後続関係及び参考情報をユーザに提供する。
図2の上段は、ユーザに提供される参考情報の一例を示す図である。例えば、外国人を雇用する複合タスクを処理する前に、参考情報提供部44は、外国人を雇用する際に注意すべき項目が箇条書きで表示部12に表示される。スタッフは表示部12の内容を確認してから外国人の入社手続きを行うことにより効率的に複合タスクを処理することができる。
【0039】
上記においては、処理前に予め複合タスクを構成する各タスクを説明するものであるが、例えば複合タスクの先行後続関係がある場合にはその関係に関する情報を提供することもあるし、複合タスクに含まれる各タスクの納期が個別に異なっている場合には、そのタスクの納期をスタッフに伝達することもある。このようにして参考情報提供部44がスタッフに複合タスクを処理する上で有益な情報を伝達することによりスタッフが複合タスクを円滑に処理することができる。
【0040】
(タスクの納期を表示するステップ)
納期表示部45は、上記単純タスク及び前記複合タスクに含まれる各タスクの内容及び納期を出力部12に表示させる。
図2の下段は、マルチタスク管理システムによって出力された納期管理一覧の一例を示す模式図である。納付表示部45は、
図2の下段に示されるように、スタッフが処理すべきタスク及び納期を表示するので、スタッフ又は管理者は、どのタスク(仕事)をどれくらいまでの納期で処理しなければならないかが明確になる。例えば、
図2の下段においては、タスクA、タスクC及びタスクDが単純タスク及びその納期であり、タスクBは、タスクB-1、タスクB-2及びタスクB-3の3つのタスクを含む複合タスクである。このように各タスクの内容及び納期を一覧形式で出力部12(ディスプレイ)に表示することにより、スタッフが複合タスクを処理するにあたって必要なタスク及び納期を理解することができ、複合タスクを処理に要する時間の見通しを立てやすくなる。
【0041】
図3の上段は、マルチタスク管理システムによって出力された納期管理の一例を示す模式図である。タスクの納期の表示は、
図2の下段のような形態のみに限られず、例えば、
図3の上段のように、各タスクの納期及び処理に要する時間を表示するものであってもよい。このような表示形式とすることで、各タスクにかかる時間、納期及び処理内容を視覚的に把握することができ、そのスタッフの多忙度を把握することが可能となる。
【0042】
(アラームを通知するステップ)
次に、納期通知部46は、上記単純タスク及び複合タスクに含まれる各タスクの納期が予め設定された期間以下になった場合にユーザにアラートを通知する。
図3の下段は、マルチタスク管理システム1によって出力された納期管理の一例を示す模式図である。具体的には、
図3の下段に示す通り、タスクの納期が3日以下になった場合にアラートを通知するようにスタッフが設定すると、タスクの処理納期の3日前になってもタスクが未処理の状態である場合に、そのタスクが未処理であるというアラートをスタッフに通知する。これにより未処理タスクの放置を防止することができ、タスクが所定の納期内に処理されるようになる。
【0043】
(管理者によるスタッフの業務管理ステップ)
本実施例のマルチタスク管理システム1を適用した社会保険労務士事務所の管理者及び利用スタッフは、マルチタスク管理システム1の入力タスクデータベース33内に格納された各タスクの内容及び納期を確認することができる。具体的には、各スタッフがどれくらいの納期のタスクをどれくらいの分量で抱えているかを管理者及び各スタッフが把握することができる。これにより管理者が各スタッフに指示をより明確にすることができるし、スタッフ間での連携もよりスムーズになり、社会保険労務士事務所の業務効率を格段に向上することができる。
【0044】
上記実施例では、上記本実施例においては、社会保険労務士事務所の業務に本発明のマルチタスク管理システムを用いることによりスタッフの習熟度の高低にかかわらず、誰でも複数のタスクを円滑に処理できるように支援することができることを説明したが、オフィスワークのあらゆる事業所において本発明のマルチタスク管理システムを適用することができるし、工事現場の監督が各作業員の作業を効率的に管理する場面でも、本発明のマルチタスク管理システムを適用することができる。また別の一例として、例えば、家族の日常生活における業務に対して本発明のマルチタスク管理システムを適用しても効率的にタスクを処理することができる。