(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183453
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】電波モジュールおよび通信システム
(51)【国際特許分類】
H04L 13/00 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
H04L13/00 307Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090786
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】川端 優豪
(72)【発明者】
【氏名】坂西 宏一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 凌宏
(72)【発明者】
【氏名】杉本 賢二郎
【テーマコード(参考)】
5K034
【Fターム(参考)】
5K034AA05
5K034EE03
5K034HH02
5K034PP08
(57)【要約】
【課題】第1通信規格による第1指令信号と、リモコンとの通信に用いられる第2通信規格による第2指令信号と、を安定して受信できる電波モジュールを提供する。
【解決手段】確認応答信号を有する第1通信規格による第1指令信号と、リモコンからの通信で使用され確認応答信号を有さない第2通信規格による第2指令信号と、の両方の指令信号を受信可能な通信部を有する電波モジュールであって、前記通信部は、前記第1指令信号を受信可能な第1受信期間と、前記第2指令信号を受信可能な第2受信期間と、が交互に切り替わり、前記第1受信期間は、前記第2指令信号の長さよりも短く設定されていることを特徴とする電波モジュール。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
確認応答信号を有する第1通信規格による第1指令信号と、リモコンからの通信で使用され確認応答信号を有さない第2通信規格による第2指令信号と、の両方の指令信号を受信可能な通信部を有する電波モジュールであって、
前記通信部は、前記第1指令信号を受信可能な第1受信期間と、前記第2指令信号を受信可能な第2受信期間と、が交互に切り替わり、
前記第1受信期間は、前記第2指令信号の長さよりも短く設定されていることを特徴とする電波モジュール。
【請求項2】
前記第2指令信号は、先頭にプリアンブルが付加されており、
前記第1受信期間は、前記プリアンブルの時間長さよりも短くなっていることを特徴とする請求項1に記載の電波モジュール。
【請求項3】
前記第2受信期間は、前記第1受信期間よりも長く設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電波モジュール。
【請求項4】
前記第1指令信号は、ネットワークを介して外部機器に接続されるネットワーク機器から送信されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電波モジュール。
【請求項5】
確認応答信号を有する第1通信規格による第1指令信号と、リモコンからの通信で使用され確認応答信号を有さない第2通信規格による第2指令信号と、の両方の指令信号を受信可能な通信部を有する電波モジュールを備えた通信システムであって、
前記通信部は、前記第1指令信号を受信可能な第1受信期間と、前記第2指令信号を受信可能な第2受信期間と、が交互に切り替わり、
前記第1受信期間は、前記第2指令信号の長さよりも短く設定されていることを特徴とする通信システム。
【請求項6】
前記電波モジュールが設けられた水まわり機器と、
前記水まわり機器を作動させるための前記リモコンと、
ネットワークを介して外部機器に接続され前記第1通信規格により前記電波モジュールと通信するネットワーク機器と、
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、電波モジュールおよび通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ室の状態をネットワークを介して外部機器に送信することにより、管理者の管理者端末でトイレ室の管理をすることができる通信システムが知られている(例えば、特許文献1)。また、例えば温水洗浄便座、大便器、手洗器、ソープディスペンサ、電気温水器、および手乾燥装置などの水まわり機器の使用状況やメンテナンスの要否などを管理者の管理者端末で一元管理できる水まわり機器の通信システムも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような水まわり機器の通信システムは、例えば水まわり機器に設けられた電波モジュールとゲートウェイなどのネットワーク機器との通信によりなされている。また、水まわり機器の電波モジュールは、水まわり機器を作動させるためのリモコンと通信する場合もある。
【0005】
電波モジュールは、例えばネットワーク機器との通信に用いられる第1通信規格による第1指令信号を受信可能な第1受信期間と、リモコンとの通信に用いられる第2通信規格による第2指令信号を受信可能な第2受信期間と、を切り替えて制御することが考えられる。ネットワーク機器から電波モジュールへの第1指令信号は、例えば送信タイミングを第1受信期間に設定することで安定して行うことができる。
【0006】
一方、リモコンから電波モジュールへの第2指令信号は、使用者によるリモコンの操作に基づきなされるので送信タイミングが不規則となる。そうすると、電波モジュールが第1受信期間である場合には、リモコンを操作しても電波モジュールが第2指令信号を受信できないおそれがある。
【0007】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、第1通信規格による第1指令信号と、リモコンとの通信に用いられる第2通信規格による第2指令信号と、を安定して受信できる電波モジュールおよび通信システム提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、確認応答信号を有する第1通信規格による第1指令信号と、リモコンからの通信で使用され確認応答信号を有さない第2通信規格による第2指令信号と、の両方の指令信号を受信可能な通信部を有する電波モジュールであって、前記通信部は、前記第1指令信号を受信可能な第1受信期間と、前記第2指令信号を受信可能な第2受信期間と、が交互に切り替わり、前記第1受信期間は、前記第2指令信号の長さよりも短く設定されていることを特徴とする電波モジュールである。
【0009】
この電波モジュールによれば、第1通信規格による第1指令信号と、リモコンとの通信に用いられる第2通信規格による第2指令信号との両方の信号を安定して受信できる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記第2指令信号は、先頭にプリアンブルが付加されており、前記第1受信期間は、前記プリアンブルの時間長さよりも短くなっていることを特徴とする電波モジュールである。
【0011】
この電波モジュールによれば、リモコンから送信される第2指令信号をより安定して受信できる。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記第2受信期間は、前記第1受信期間よりも長く設定されていることを特徴とする電波モジュールである。
【0013】
この電波モジュールによれば、通信部が第1受信期間になっているときにリモコンから送信される第2指令信号が到達するのを低減させることができるので、第2指令信号をより安定して受信できる。
【0014】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記第1指令信号は、ネットワークを介して外部機器に接続されるネットワーク機器から送信されることを特徴とする電波モジュールである。
【0015】
この電波モジュールによれば、第1指令信号によりネットワークから指示されるものを受信することができる。
【0016】
第5の発明は、確認応答信号を有する第1通信規格による第1指令信号と、リモコンからの通信で使用され確認応答信号を有さない第2通信規格による第2指令信号と、の両方の指令信号を受信可能な通信部を有する電波モジュールを備えた通信システムであって、前記通信部は、前記第1指令信号を受信可能な第1受信期間と、前記第2指令信号を受信可能な第2受信期間と、が交互に切り替わり、前記第1受信期間は、前記第2指令信号の長さよりも短く設定されていることを特徴とする通信システムである。
【0017】
この通信システムによれば、第1通信規格による第1指令信号と、リモコンとの通信に用いられる第2通信規格による第2指令信号との両方の信号を安定して受信できる。
【0018】
第6の発明は、第5の発明において、前記電波モジュールが設けられた水まわり機器と、前記水まわり機器を作動させるための前記リモコンと、ネットワークを介して外部機器に接続され前記第1通信規格により前記電波モジュールと通信するネットワーク機器と、を備えたことを特徴とする通信システムである。
【0019】
この通信システムによれば、水まわり機器の管理と作動との両方の通信を安定して行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の態様によれば、第1通信規格による第1指令信号と、リモコンとの通信に用いられる第2通信規格による第2指令信号と、を安定して受信できる電波モジュールおよび通信システム提供が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】ネットワークシステムを模式的に示す説明図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電波モジュールを備えた通信システムを模式的に示すブロック図である。
【
図3】リモコンから送信される第2指令信号を電波モジュールが受信した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、ネットワークシステムを模式的に示す説明図である。
図1に示すように、ネットワークシステム101は、水まわり機器10と、水まわり機器10とネットワーク30を介して接続された外部機器40と、外部機器40とネットワーク30を介して接続された管理者端末50と、を備えている。
【0023】
水まわり機器10は、例えば不特定多数の者が使用する施設に設けられる機器となっており、例えば公衆のトイレ室TR、ビル内のトイレ室、ホテルのユニットバス、および公衆浴場などに関連して用いられる機器となっている。一例を挙げると、水まわり機器10は、温水洗浄便座、大便器、小便器、自動水栓、オートソープディスペンサ、電気温水器、手乾燥装置、紙巻器、人感・行列センサ、ドア・鍵センサ、ストック棚、照明、スピーカ、音楽再生機、映像表示機、および生態センサなどを挙げることができる。
【0024】
ネットワーク機器20は、例えば水まわり機器10の使用状況やメンテナンスの要否などに関連する複数の機器情報を、ネットワーク30を介して外部機器40に送信する。このように、ネットワーク機器20は、複数の水まわり機器10に接続され、各水まわり機器10の複数の機器情報を外部機器40などに送信する。また、ネットワーク機器20は、外部機器40から送信された種々の指令信号を受信して各水まわり機器10に送信する。
【0025】
ネットワーク機器20は、ネットワーク30を介して外部機器40と無線通信を行うとともに、ネットワーク35を介して各水まわり機器10に設けられた電波モジュール15とそれぞれ無線通信を行う。ネットワーク機器20は、例えば外部機器40側のネットワーク30のプロトコルと電波モジュール15の無線通信のプロトコルとの変換を行うゲートウェイである。なお、ネットワーク機器20は、ゲートウェイに限らず、外部と通信可能であればどのような通信機器でもよい。ネットワーク機器20と電波モジュール15との間の通信は、双方向の通信となっている。また、ネットワーク機器20と外部機器40との間の通信は、双方向の通信となっている。
【0026】
ネットワーク30は、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)などであり、外部機器40を介してネットワーク機器20、管理者端末50、および表示部60を接続している。ネットワーク30は、外部機器40と管理者端末50、外部機器40とネットワーク機器20、および外部機器40と表示部60を有線で接続するものでもよいし、無線で接続するものでもよいし、有線と無線との組み合わせでもよい。ネットワーク30は、ネットワーク機器20、外部機器40、および管理者端末50の間の通信を可能にする任意のネットワークでよい。
【0027】
外部機器40は、水まわり機器10から離れた位置に設けられている。外部機器40は、例えばクラウドサーバであり、ネットワーク30により管理者端末50に接続され、水まわり機器10の情報を管理している。
【0028】
管理者端末50は、トイレ室TRを管理する管理者が保有する端末であり、例えば携帯端末50aやPC端末50bとなっている。管理者端末50は、ネットワーク30を介して外部機器40に接続されている。管理者は、例えば外部機器40に接続して、トイレ室TRに設置された水まわり機器10の各種の情報を取得(閲覧)することができる。また、管理者は、管理者端末50を操作して外部機器40から水まわり機器10に向けて種々の指令信号を出力させることができる。
【0029】
表示部60は、例えば公共施設や建物の出入口や案内センタに設置されるもので、施設内の案内を表示するものである。表示部60には、例えばトイレ室TRの空満表示や清掃状況などが表示される。これにより、使用者は、表示部60を確認することで施設内の状況を認識することができる。
【0030】
このように、ネットワークシステム101は、トイレ室TRをIoT(Internet of Things)化させることにより、各水まわり機器10の使用状況やメンテナンスの要否などを管理者が一元管理できるようになっている。これにより、管理者は、トイレ室TRから離れた場所で、水まわり機器10の故障、メンテナンス、および使用状況を把握することができる。また、管理者は、管理者端末50を操作することにより、水まわり機器10に関する種々の設定を行うことができる。従って、管理者は、公衆のトイレ室TRなどに行かなくても、トイレ室TRの管理を行うことができる。
【0031】
図2は、本発明の実施形態に係る電波モジュールを備えた通信システムを模式的に示すブロック図である。
図3は、リモコンから送信される第2指令信号を電波モジュールが受信した場合の説明図である。
図2に示すように、通信システム1は、水まわり機器10と、ネットワーク機器20と、リモコン25と、を備えている。通信システム1は、各水まわり機器10に設けられた電波モジュール15とネットワーク機器20との通信および各水まわり機器10に設けられた電波モジュール15と水まわり機器10を作動させるためのリモコン25との通信を備えている。
【0032】
水まわり機器10は、機器本体11を備えている。機器本体11は、水まわり機器10の作動を行うもので、例えば機器本体11の作動を制御する制御部13と、機器本体11の状態や使用状況を記憶する記憶部14と、を備えている。機器本体11は、例えば温水洗浄便座ならば、便座を保温する保温装置やおしりを洗浄する衛生洗浄装置などであり、小便器ならば、便器洗浄のための洗浄水を流す洗浄装置などであり、自動水栓ならば湯水を吐水する水栓装置などとなっている。すなわち、機器本体11は、水まわり機器10の機能を果たす機能部を構成している。
【0033】
制御部13は、機器本体11の作動を制御している。制御部13は、機器本体11のアクチュエータやセンサなど(いずれも図示せず)に電気的に接続されている。また、制御部13は、電波モジュール15と電気的に接続されている。制御部13は、例えばリモコン25から送信された第2指令信号やセンサから送信される検出信号に基づいて、機器本体11のアクチュエータなどの作動を制御する。
【0034】
記憶部14は、水まわり機器10の使用履歴、水まわり機器10に設けられている各種装置の状況、および水まわり機器10の設定などを記憶するメモリとなっている。また、記憶部14には、制御部13が実行する制御プログラムが格納されている。なお、記憶部14は、制御部13内に設けられていてもよい。
【0035】
電波モジュール15は、ネットワーク機器20およびリモコン25の両方と通信する。電波モジュール15は、ネットワーク機器20から送信された第1指令信号と、リモコン25から送信された第2指令信号と、を受信可能となっている。電波モジュール15は、例えば管理者端末50で操作された水まわり機器10の設定などをネットワーク機器20を介して受信する。また、電波モジュール15は、水まわり機器10の使用状況や状態などの情報をネットワーク機器20を介して外部機器40および管理者端末50に送信する。また、電波モジュール15は、リモコン25で操作された水まわり機器10の作動などの第2指令信号を受信する。そして、電波モジュール15は、通信部16、制御部18、および記憶部19を有している。
【0036】
通信部16は、ネットワーク機器20から送信される第1指令信号およびリモコン25から送信される第2指令信号を受信する。また、通信部16は、ネットワーク機器20に向けて指令信号を送信する。すなわち、通信部16とネットワーク機器20とは、双方向通信となっている。一方、通信部16とリモコン25とは、リモコン25から通信部16に向けての一方向通信となっている。これにより、消費電力を低減させた通信システム1を構築している。
【0037】
通信部16とネットワーク機器20との間の通信は、確認応答信号(ACK:acknowledgement)を有する第1通信規格により行われている。第1通信規格は、無線による通信規格となっている。電波モジュール15は、ネットワーク機器20から送信される第1指令信号を受信した場合にはネットワーク機器20に向けて確認応答信号を送信する。一方、通信部16とリモコン25との間の通信は、確認応答信号を有さない第2通信規格により行われている。第2通信規格は、無線による通信規格となっている。
【0038】
制御部18は、電波モジュール15の作動を制御する。制御部18は、例えばネットワーク機器20から送信された第1指令信号やリモコン25から送信された第2指令信号を記憶部19に記憶させたり、ネットワーク機器20に向けての確認応答信号の送信を通信部16にさせたりする。また、制御部18は、例えば記憶部19に記憶された水まわり機器10の各種の情報を通信部16からネットワーク機器20に送信させる。
【0039】
さらに、制御部18は、通信部16の受信態様の切替制御を行う。具体的には、制御部18は、通信部16に対して、ネットワーク機器20から送信された第1指令信号を受信可能な第1受信期間Aと、リモコン25から送信された第2指令信号を受信可能な第2受信期間Bと、を交互に切り替える。電波モジュール15の受信態様についての詳細は、後で説明する。
【0040】
記憶部19は、通信部16が受信した第1、第2指令信号や水まわり機器10の使用状況や状態などの情報を記憶するメモリとなっている。また、記憶部19には、ネットワーク機器20やリモコン25に個別に設定された識別情報が記憶されている。制御部18は、ネットワーク機器20やリモコン25から送信される指令信号の識別情報と、記憶部19に記憶された識別情報と、を比較することで、受信した指令信号が対応するネットワーク機器20やリモコン25であるか否かを認識できる。また、記憶部19には、制御部18が実行する制御プログラムが格納されている。なお、記憶部19は、制御部18内に設けられていてもよい。
【0041】
ネットワーク機器20は、例えば公衆のトイレ室TR、ビル内のトイレ室、ホテルのユニットバス、および公衆浴場などに配設され、複数の水まわり機器10(電波モジュール15)に対して1個設けられる。すなわち、1つのネットワーク機器20は、複数の電波モジュール15に対応する一対多の通信が可能となっている。
【0042】
ネットワーク機器20は、例えばゲートウェイであり、ネットワーク30により外部機器40に接続されている。また、ネットワーク機器20は、ネットワーク35により複数の水まわり機器10にそれぞれ設けられた電波モジュール15に接続されている。ネットワーク機器20は、ゲートウェイに限らず、インターネット網と電波モジュール15との間に設けられる任意の機器でもよい。そして、ネットワーク機器20は、通信部21、制御部22、および記憶部23を有している。
【0043】
通信部21は、ネットワーク30により外部機器40に接続される。通信部21は、外部機器40から送信される指令信号を受信したり、外部機器40に向けて指令信号を送信したりする。また、通信部21は、ネットワーク35により電波モジュール15の通信部16に接続される。ネットワーク35で送信される信号は、確認応答信号を有する第1通信規格によりなされる。通信部21は、電波モジュール15から送信される指令信号を受信したり、電波モジュール15に向けて第1指令信号を送信したりする。
【0044】
制御部22は、ネットワーク機器20の作動を制御する。制御部22は、例えば外部機器40や電波モジュール15から送信された指令信号を記憶部23に記憶させる。また、制御部22は、外部機器40に向けての指令信号や電波モジュール15に向けての第1指令信号の送信を通信部21にさせる。
【0045】
制御部22は、例えば電波モジュール15に第1指令信号を送信した場合に、電波モジュール15から送信される確認応答信号を受信することで、第1指令信号が電波モジュール15に受信されたことを認識することができる。ネットワーク機器20から電波モジュール15に向けて第1指令信号を送信したときに、電波モジュール15の通信部16がリモコン25から送信される第2指令信号を受信可能な第2受信期間Bである場合には、ネットワーク機器20の制御部22は送信後の所定時間以内に確認応答信号を受信することができない。
【0046】
このような場合には、制御部22は、第1指令信号を電波モジュール15に向けて再度送信する。電波モジュール15の通信部16が第1受信期間Aであれば、第1指令信号は受信されて電波モジュール15からネットワーク機器20に向けて確認応答信号が送信される。すなわち、制御部22は、確認応答信号が受信されるまで、電波モジュール15に向けて第1指令信号の送信を行う。これにより、ネットワーク機器20と電波モジュール15との間の通信を安定して行うことができる。
【0047】
記憶部23は、通信部21が受信した指令信号などを記憶するメモリとなっている。また、記憶部23には、各電波モジュール15に個別に設定された識別情報が記憶されている。制御部22は、各水まわり機器10の電波モジュール15から送信される指令信号の識別情報と、記憶部23に記憶された識別情報と、を比較することで、受信した指令信号がどの水まわり機器10の情報であるかを認識できる。
【0048】
また、制御部22は、記憶部23に記憶された電波モジュール15の識別情報をもとにして、複数の電波モジュール15のうち、第1指令信号を送信する電波モジュール15を特定することができる。また、記憶部23には、制御部22が実行する制御プログラムが格納されている。なお、記憶部23は、制御部22内に設けられていてもよい。
【0049】
リモコン25は、水まわり機器10を作動させるために操作されるものである。リモコン25は、例えば各水まわり機器10の側方に配設されている。例えば、水まわり機器10が温水洗浄便座であるならば、リモコン25は、便座に着座した使用者の局部の洗浄を行うために操作されるものである。リモコン25は、例えば1つの電波モジュール15に専用で設けられている。すなわち、リモコン25と電波モジュール15とは、一対一の通信となっている。なお、リモコン25は、使用者が携帯可能な携帯端末でもよい。また、リモコン25は、水まわり機器10のメンテナンスなどに用いられるものでもよい。そして、リモコン25は、操作部26、通信部27、制御部28、および記憶部29を有している。
【0050】
操作部26は、例えばリモコン25に複数個設けられている。操作部26は、水まわり機器10の機器本体11の機能を操作するためのスイッチおよびボタンとなっている。操作部26は、例えば水まわり機器10の水量調節スイッチ、水温調節スイッチ、および水まわり機器10のアクチュエータなどの作動を開始させる開始スイッチ、アクチュエータの作動を停止させる停止スイッチなどとなっている。例えば、水まわり機器10が温水洗浄便座であるならば、操作部26は局部洗浄を開始するためのスイッチや局部洗浄を停止するためのスイッチなどとなっている。操作部26は、制御部28に接続され、操作された操作部26の信号が制御部28に送信される。
【0051】
通信部27は、電波モジュール15の通信部16に接続される。通信部27は、電波モジュール15の通信部16に向けて第2指令信号を送信する。第2指令信号は、確認信号を有さない第2通信規格によりなされる。すなわち、リモコン25の通信部27は、電波モジュール15からの応答確認信号を受信しないようになっている。換言すると、リモコン25の通信部27は、第1指令信号を送信する送信部であり、電波モジュール15に対して一方向通信を行うようになっている。
【0052】
制御部28は、リモコン25の作動を制御する。制御部28は、例えば操作部26の操作情報を記憶部29に記憶させる。また、制御部28は、操作部26が操作されたときに、電波モジュール15に向けての第2指令信号の送信を通信部27にさせる。
【0053】
記憶部29は、通信部27が送信した第2指令信号などを記憶するメモリとなっている。また、記憶部29には、各電波モジュール15に個別に設定された識別情報が記憶されている。制御部28は、この識別情報を付加した第2指令信号を電波モジュール15に送信する。
【0054】
次に、ネットワーク機器20から第1指令信号が送信された場合について説明する。
【0055】
ネットワーク機器20は、例えばあらかじめ設定された時間や所定時間ごとに第1指令信号を電波モジュール15に向けて送信することができる。また、ネットワーク機器20は、例えば管理者端末50で指示された場合に第1指令信号を電波モジュール15に向けて送信してもよい。
【0056】
電波モジュール15の通信部16は、ネットワーク機器20から送信される第1指令信号を受信可能な第1受信期間Aと、リモコン25から送信される第2指令信号を受信可能な第2受信期間Bと、が交互に切り替わっている。通信部16は、第1受信期間Aである場合に第1指令信号が到達したときには第1指令信号を受信することができる。電波モジュール15の制御部18は、第1指令信号を受信すると、ネットワーク機器20に向けて確認応答信号を送信させる。ネットワーク機器20は、この確認応答信号を受信することで、第1指令信号が正常に受信されたことを認識することができる。
【0057】
一方、通信部16は、第2受信期間Bである場合に第1指令信号が到達したときには第1指令信号を受信することができない。ネットワーク機器20は、確認応答信号が受信されないことで、第1指令信号が正常に受信されていないことを認識することができる。このような場合、ネットワーク機器20は、確認応答信号を受信するまで第1指令信号を繰り返し送信することができる。
【0058】
第1指令信号は、例えば管理者端末50で設定された水まわり機器10の各種の初期設定値(例えば、水温や水量の初期設定値など)となっている。従って、第1指令信号は、早期に電波モジュール15に受信させる必要性は低く、ある程度の所定時間以内に電波モジュール15に受信させればよい。また、ネットワーク機器20は、複数の電波モジュール15と通信を行うので、送信した第1指令信号が電波モジュール15に受信されたか否かを認識する必要がある。そこで、ネットワーク機器20と電波モジュール15との間の通信を確認応答信号を有する第1通信規格によるものとすることで、通信および管理を安定して行うことができる。
【0059】
次に、リモコン25から送信される第2指令信号を電波モジュール15が受信した場合について、
図3を参照して説明する。
【0060】
図3に示すように、電波モジュール15の通信部16は、ネットワーク機器20から送信される第1指令信号を受信可能な第1受信期間Aと、リモコン25から送信される第2指令信号を受信可能な第2受信期間Bと、が交互に切り替わっている。第1受信期間Aの時間長さTaは、第2受信期間Bの時間長さTb以下となっている(Ta≦Tb)。本実施形態では、第1受信期間Aの時間長さTaと、第2受信期間Bの時間長さTbと、が同じ長さに設定されている。
【0061】
第2指令信号は、1パケットの先頭にプリアンブルが付加されており、それ以降ヘッダ、データ中身、チェックサムが順番に並んでいる。プリアンブルは、これから第2指令信号のデータ中身が送信されることを知らせるための部分となっている。ヘッダは、データ中身の前に付加されるもので、データ中身の情報やリモコン25の識別情報などが記述された部分となっている。データ中身は、リモコン25の操作部26で操作された内容が記述された部分となっている。チェックサムは、電波モジュール15の制御部18がリモコン25から送信された第2指令信号との同一性を確認するための部分となっている。
【0062】
通信部16が第2受信期間Bである場合には、第2指令信号を受信することができる。一方、通信部16が第1受信期間Aである場合には、第2指令信号を受信することができない。第2指令信号が送信されるタイミングは、使用者がリモコン25の操作部26を操作したときであるので、第2指令信号の送信タイミングを第2受信期間Bに合わせるのは難しい。また、リモコン25から送信される第2指令信号は、水まわり機器10の機器本体11の機能を発揮させるためのものであるから、電波モジュール15で早期かつ安定して受信させる必要がある。
【0063】
そこで、電波モジュール15の通信部16は、第1受信期間Aの時間長さTaを、第2指令信号のプリアンブルの時間長さTcよりも短く設定している(Ta<Tc)。
図3に示すように、電波モジュール15の通信部16は、時刻t1では第1受信期間Aに設定されている。そして、通信部16は、時刻t2で第1受信期間Aから第2受信期間Bに切り替えられる。時刻t1で第2指令信号が通信部16に到達した場合には、通信部16は時刻t2で第2指令信号(プリアンブル)を受信することができる。通信部16は、第2指令信号を受信すると、第2指令信号が終了する時刻t3まで第2受信期間Bを継続(延長)させる。通信部16は、第2指令信号の受信が終了すると、第1受信期間Aに切り替わる。
【0064】
このように、電波モジュール15の通信部16は、第2指令信号が第1受信期間Aのどこで到達しても、第1受信期間Aから第2受信期間Bに切り替わったときにプリアンブルを受信させることができる。そして、水まわり機器10の制御部13は、電波モジュール15が受信した第2指令信号を基にして機器本体11を作動させる。従って、リモコン25の操作に基づく水まわり機器10の作動を安定して行うことができる。
【0065】
かくして、本実施形態によれば、確認応答信号を有する第1通信規格による第1指令信号と、リモコン25からの通信で使用され確認応答信号を有さない第2通信規格による第2指令信号と、の両方の指令信号を受信可能な通信部16を有する電波モジュール15であって、通信部16は、第1指令信号を受信可能な第1受信期間Aと、第2指令信号を受信可能な第2受信期間Bと、が交互に切り替わり、第1受信期間Aは、第2指令信号の長さよりも短く設定されている。また、第2指令信号は、先頭にプリアンブルが付加されており、第1受信期間Aは、プリアンブルの時間長さよりも短くなっている。
【0066】
電波モジュール15は、通信部16が第1受信期間Aと第2受信期間Bとを交互に切り替えているので、第1指令信号と第2指令信号との両方を同時に受信することがなく、制御処理が複雑になるのを抑制できる。また、第1指令信号は、確認応答信号を有する第1通信規格となっている。従って、電波モジュール15は、この確認応答信号により第1指令信号を安定して受信することができる。また、第2受信期間Bは、第2指令信号(プリアンブル)よりも短くなっている。従って、電波モジュール15は、例えば第2指令信号(プリアンブル)が第1受信期間Aのときに到達しても、第2受信期間Bに切り替わったときに第2指令信号を受信することができる。その結果、電波モジュール15は、第1通信規格による第1指令信号と、リモコン25との通信に用いられる第2通信規格による第2指令信号と、を安定して受信できる。
【0067】
また、第1指令信号は、ネットワーク30を介して外部機器40に接続されるネットワーク機器20から送信される。これにより、電波モジュール15は、例えば遠隔地で指示された情報を受信することができる。
【0068】
また、確認応答信号を有する第1通信規格による第1指令信号と、リモコン25からの通信で使用され確認応答信号を有さない第2通信規格による第2指令信号と、の両方の指令信号を受信可能な通信部16を有する電波モジュール15を備えた通信システム1であって、通信部16は、第1指令信号を受信可能な第1受信期間Aと、第2指令信号を受信可能な第2受信期間Bと、が交互に切り替わり、第1受信期間Aは、第2指令信号の長さよりも短く設定されている。
【0069】
また、通信システム1は、電波モジュール15が設けられた水まわり機器10と、水まわり機器10を作動させるためのリモコン25と、ネットワーク30を介して外部機器40に接続され第1通信規格により電波モジュール15と通信するネットワーク機器20と、を備えている。これにより、通信システム1は、水まわり機器10の管理と水まわり機器10の作動との両方の通信を安定して行うことができる。
【0070】
なお、上述した実施形態では、第1受信期間Aの時間長さTaが第2指令信号のプリアンブルの時間長さTcよりも短い場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば第1受信期間Aの時間長さTaは、第2指令信号の長さよりも短く設定されていてもよい。すなわち、第2通信規格による第2指令信号は、プリアンブルがない通信でもよい。
【0071】
第2指令信号は、プリアンブルがなくても必要なデータ部が電波モジュール15に受け渡しできればよい。例えば、ヘッダ、データ中身から第2指令信号が送信されることを知ることができるような第2通信規格を用いて、第2受信期間B内に少なくとも第2指令信号に含まれる水まわり機器を作動させるために必要なデータが受信できればよい。このような場合でも、電波モジュール15は、第1受信期間Aで第2指令信号を受信しても、第1受信期間Aから第2受信期間Bに切り替わったときに第2指令信号を受信できる。
【0072】
また、上述した実施形態では、第1受信期間Aの時間長さTaと、第2受信期間Bの時間長さTbと、が同じ長さの場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば第2受信期間Bの時間長さTbは、第1受信期間Aの時間長さTaよりも長く設定されていてもよい。これにより、リモコン25から送信される第2指令信号が第1受信期間Aにかかるのを可及的に少なくすることができるので、リモコン25の応答速度をより早くすることができる。
【0073】
また、上述した実施形態では、第2指令信号をプリアンブルからチェックサムまでの1パケットを送信した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば第2指令信号は、プリアンブルからチェックサムまでのパケットを複数個連続して送信してもよい。これにより、例えばパケットのデータが破損していても、次のパケットにより水まわり機器10の作動を安定して行うことができる。
【0074】
また、上述した実施形態では、外部機器40をクラウドサーバとした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば外部機器40で行われる制御処理を管理者端末50で行ってもよい。すなわち、管理者端末50が外部機器40の制御機能を有していてもよい。換言すると、管理者端末50が水まわり機器10の管理を直接行ってもよい。
【0075】
また、上述した実施形態では、トイレ室TRなどに設置される水まわり機器10に設けられる電波モジュール15や通信システム1を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば電波モジュール15や通信システム1は、IoT化される複数の機器などに用いられてもよい。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、電波モジュール15や通信システム1が備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0077】
1 通信システム
10 水まわり機器
11 機器本体
13 制御部
14 記憶部
15 電波モジュール
16 通信部
18 制御部
19 記憶部
20 ネットワーク機器
21 通信部
22 制御部
23 記憶部
25 リモコン
26 操作部
27 通信部
28 制御部
29 記憶部
30,35 ネットワーク
40 外部機器
50 管理者端末
50a 携帯端末
50b PC端末
60 表示部
101 ネットワークシステム
A 第1受信期間
B 第2受信期間
TR トイレ室