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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183454
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】弾性波デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/25 20060101AFI20221206BHJP
   H03H 9/64 20060101ALI20221206BHJP
   H03H 9/02 20060101ALI20221206BHJP
   H03H 9/17 20060101ALI20221206BHJP
   H03H 9/54 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H03H9/25 A
H03H9/64 Z
H03H9/02 A
H03H9/17 F
H03H9/54 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090787
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 諭
【テーマコード(参考)】
5J097
5J108
【Fターム(参考)】
5J097AA29
5J097AA30
5J097BB15
5J097CC05
5J097JJ02
5J097JJ06
5J097JJ09
5J097KK09
5J097KK10
5J097LL07
5J108AA07
5J108CC11
5J108DD01
5J108DD06
5J108EE03
5J108EE04
5J108EE07
5J108EE13
5J108GG03
5J108GG05
5J108GG15
5J108JJ01
(57)【要約】
【課題】装置の大型化を抑制すること。
【解決手段】弾性波デバイス100は、支持基板10と、支持基板10の一方の面上に設けられる弾性波素子50と、支持基板10の一方の面上に設けられ、弾性波素子50に電気的に接続される配線20と、支持基板10の他方の面上に設けられる入力端子14aおよびグランド端子14cと、支持基板10に設けられ、配線20と入力端子14aおよびグランド端子14cとを接続するビア配線16aと、支持基板10の一方の面上に支持基板10の端に沿って設けられ、平面視して弾性波素子50および配線20を囲む枠体18と、平面視して支持基板10の一方の面上に支持基板10の端と弾性波素子50および配線20との間に位置して枠体18に沿って設けられた線路パターン30aにより形成され、弾性波素子50と入力端子14aおよびグランド端子14cとに電気的に接続されるインダクタL1とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一方の面上に設けられる弾性波素子と、
前記基板の前記一方の面上に設けられ、前記弾性波素子に電気的に接続される配線と、
前記基板の他方の面上に設けられる端子と、
前記基板に設けられ、前記配線と前記端子を接続する素子用ビア配線と、
前記基板の前記一方の面上に前記基板の端に沿って設けられ、平面視して前記弾性波素子および前記配線を囲む枠体と、
前記基板とで空隙を挟んで前記枠体上に設けられ、前記空隙内に前記弾性波素子を封止するリッドと、
平面視して前記基板の前記一方の面上に前記基板の端と前記弾性波素子および前記配線との間に位置して前記枠体に沿って設けられた1または複数の線路パターンにより形成され、前記弾性波素子と前記端子に電気的に接続される受動素子と、を備える、弾性波デバイス。
【請求項2】
前記1または複数の線路パターンは、平面視して前記枠体に重なって前記枠体に沿って設けられている、請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項3】
前記1または複数の線路パターンは、平面視して前記枠体と前記基板の端との間に位置して前記枠体に沿って設けられている、請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項4】
前記1または複数の線路パターンは、前記基板の前記一方の面に形成された凹部に埋め込まれている、請求項1から3のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項5】
金属製の前記枠体と前記1または複数の線路パターンとの間に、前記枠体と前記1または複数の線路パターンとを電気的に絶縁させる絶縁膜を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項6】
前記基板の前記他方の面上に複数の前記端子が設けられ、
前記1または複数の線路パターンは、一端が前記複数の端子のうちの第1端子に接続され、他端が前記複数の端子のうちの第2端子に接続された1つの線路パターンであり、
前記受動素子は、前記1つの線路パターンにより形成されるインダクタである、請求項1から5のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項7】
前記基板に設けられ、前記1つの線路パターンの一端と前記第1端子とを接続し、平面視して前記枠体に重なる第1ビア配線と、
前記基板に設けられ、前記1つの線路パターンの他端と前記第2端子とを接続し、平面視して前記枠体に重なる第2ビア配線と、を備える、請求項6に記載の弾性波デバイス。
【請求項8】
前記基板に設けられ、前記枠体と前記複数の端子のうちのグランド端子とを接続する第3ビア配線を備える、請求項6または7に記載の弾性波デバイス。
【請求項9】
前記基板に、複数の前記配線と複数の前記素子用ビア配線とが設けられ、
前記複数の素子用ビア配線は、前記複数の配線のうちの第1配線と前記第1端子とを接続し、平面視して前記第1配線に重なる第1ビア配線と、前記複数の配線のうちの第2配線と前記第2端子とを接続し、平面視して前記第2配線に重なる第2ビア配線と、を有し、
前記1つの線路パターンの一端は、前記基板の前記一方の面上で前記第1配線に接続することで、前記第1配線と前記第1ビア配線を介して前記第1端子に接続し、
前記1つの線路パターンの他端は、前記基板の前記一方の面上で前記第2配線に接続することで、前記第2配線と前記第2ビア配線を介して前記第2端子に接続する、請求項6に記載の弾性波デバイス。
【請求項10】
前記1つの線路パターンは、前記基板の厚さ方向および前記基板の前記一方の面方向の少なくとも一方に蛇行して設けられたミアンダ線路パターンである、請求項6から9のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項11】
前記1または複数の線路パターンは2つの線路パターンであり、
前記受動素子は、前記2つの線路パターンが対向したキャパシタである、請求項1から5のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項12】
複数の前記弾性波素子によりフィルタが形成されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項13】
前記フィルタによりマルチプレクサが形成されている、請求項12に記載の弾性波デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性波デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
弾性波素子を囲む枠体上にリッドを設け、リッドと基板との間の空隙内に弾性波素子を封止する弾性波デバイスが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-152612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
弾性波デバイスの特性を改善するために、弾性波素子に受動素子を接続させる場合がある。弾性波素子に受動素子を接続させる場合でも、装置が大型化することは望ましくない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、装置の大型化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基板と、前記基板の一方の面上に設けられる弾性波素子と、前記基板の前記一方の面上に設けられ、前記弾性波素子に電気的に接続される配線と、前記基板の他方の面上に設けられる端子と、前記基板に設けられ、前記配線と前記端子を接続する素子用ビア配線と、前記基板の前記一方の面上に前記基板の端に沿って設けられ、平面視して前記弾性波素子および前記配線を囲む枠体と、前記基板とで空隙を挟んで前記枠体上に設けられ、前記空隙内に前記弾性波素子を封止するリッドと、平面視して前記基板の前記一方の面上に前記基板の端と前記弾性波素子および前記配線との間に位置して前記枠体に沿って設けられた1または複数の線路パターンにより形成され、前記弾性波素子と前記端子に電気的に接続される受動素子と、を備える、弾性波デバイスである。
【0007】
上記構成において、前記1または複数の線路パターンは、平面視して前記枠体に重なって前記枠体に沿って設けられている構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記1または複数の線路パターンは、平面視して前記枠体と前記基板の端との間に位置して前記枠体に沿って設けられている構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記1または複数の線路パターンは、前記基板の前記一方の面に形成された凹部に埋め込まれている構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、金属製の前記枠体と前記1または複数の線路パターンとの間に、前記枠体と前記1または複数の線路パターンとを電気的に絶縁させる絶縁膜を備える構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記基板の前記他方の面上に複数の前記端子が設けられ、前記1または複数の線路パターンは、一端が前記複数の端子のうちの第1端子に接続され、他端が前記複数の端子のうちの第2端子に接続された1つの線路パターンであり、前記受動素子は、前記1つの線路パターンにより形成されるインダクタである構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記基板に設けられ、前記1つの線路パターンの一端と前記第1端子とを接続し、平面視して前記枠体に重なる第1ビア配線と、前記基板に設けられ、前記1つの線路パターンの他端と前記第2端子とを接続し、平面視して前記枠体に重なる第2ビア配線と、を備える構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記基板に設けられ、前記枠体と前記複数の端子のうちのグランド端子とを接続する第3ビア配線を備える構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、前記基板に、複数の前記配線と複数の前記素子用ビア配線とが設けられ、前記複数の素子用ビア配線は、前記複数の配線のうちの第1配線と前記第1端子とを接続し、平面視して前記第1配線に重なる第1ビア配線と、前記複数の配線のうちの第2配線と前記第2端子とを接続し、平面視して前記第2配線に重なる第2ビア配線と、を有し、前記1つの線路パターンの一端は、前記基板の前記一方の面上で前記第1配線に接続することで、前記第1配線と前記第1ビア配線を介して前記第1端子に接続し、前記1つの線路パターンの他端は、前記基板の前記一方の面上で前記第2配線に接続することで、前記第2配線と前記第2ビア配線を介して前記第2端子に接続する構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、前記1つの線路パターンは、前記基板の厚さ方向および前記基板の前記一方の面方向の少なくとも一方に蛇行して設けられたミアンダ線路パターンである構成とすることができる。
【0016】
上記構成において、前記1または複数の線路パターンは2つの線路パターンであり、前記受動素子は、前記2つの線路パターンが対向したキャパシタである構成とすることができる。
【0017】
上記構成において、複数の前記弾性波素子によりフィルタが形成されている構成とすることができる。
【0018】
上記構成において、前記フィルタによりマルチプレクサが形成されている構成とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、装置が大型化することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施例1に係る弾性波デバイスの回路図である。
図2図2は、実施例1に係る弾性波デバイスの平面図である。
図3図3(a)は、図2のA-A断面図、図3(b)は、図2のB-B断面図である。
図4図4は、実施例1における弾性波素子の平面図である。
図5図5(a)から図5(d)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図(その1)である。
図6図6(a)から図6(c)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図(その2)である。
図7図7は、比較例に係る弾性波デバイスが配線基板上に実装された場合の平面図である。
図8図8は、実施例1に係る弾性波デバイスが配線基板上に実装された場合の平面図である。
図9図9は、実施例2に係る弾性波デバイスの断面図である。
図10図10は、実施例2の変形例1に係る弾性波デバイスの平面図である。
図11図11(a)および図11(b)は、実施例2の変形例2に係る弾性波デバイスの配線近傍の透視斜視図である。
図12図12(a)および図12(b)は、実施例3に係る弾性波デバイスの断面図である。
図13図13は、実施例4に係る弾性波デバイスの平面図である。
図14図14(a)は、図13のA-A断面図、図14(b)は、図13のB-B断面図である。
図15図15は、実施例5に係る弾性波デバイスの平面図である。
図16図16(a)は、図15のA-A断面図、図16(b)は、図15のB-B断面図である。
図17図17は、実施例6に係る弾性波デバイスの平面図である。
図18図18(a)は、図17のA-A断面図、図18(b)は、図17のB-B断面図である。
図19図19は、実施例7に係る弾性波デバイスの断面図である。
図20図20は、実施例8に係る弾性波デバイスの断面図である。
図21図21は、マルチプレクサの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0021】
図1は、実施例1に係る弾性波デバイス100の回路図である。図1に示すように、弾性波デバイス100は、1または複数の直列共振器S1からS6と、1または複数の並列共振器P1からP5と、インダクタL1およびL2と、を備える。1または複数の直列共振器S1からS6は、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に直列に接続されている。1または複数の並列共振器P1からP5は、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に並列に接続されている。インダクタL1は、入力端子Tinと直列共振器S1の間のノードとグランドとの間に接続されている。インダクタL2は、出力端子Toutと直列共振器S6の間のノードとグランドとの間に接続されている。このように、弾性波デバイス100はラダー型フィルタである。
【0022】
インダクタL1、L2は、弾性波デバイス100の特性を調整するために設けられている。例えば、インダクタL1、L2は、弾性波デバイス100のインピーダンス整合のために設けられている。
【0023】
図2は、実施例1に係る弾性波デバイス100の平面図である。図3(a)は、図2のA-A断面図、図3(b)は、図2のB-B断面図である。図2においては、リッド22を透視して、支持基板10、圧電層12、ビア配線16a~16c、枠体18、配線20、および弾性波素子50を主に図示し、枠体18の一部を透視して線路パターン30a、30bを図示している。また、図2においては、支持基板10の下面に設けられた入力端子14a、出力端子14b、およびグランド端子14cを破線で図示している。なお、図2では、図の明瞭化のために、配線20および線路パターン30a、30bにハッチングを付している。
【0024】
図2図3(a)、および図3(b)に示すように、弾性波デバイス100は、支持基板10の上面に圧電層12が接合されている。支持基板10は、例えばサファイア基板、アルミナ基板、スピネル基板、石英基板、水晶基板、またはシリコン基板であり、その厚さは50μm~300μmである。サファイア基板は単結晶のAlを主成分とする基板である。アルミナ基板は多結晶のAlを主成分とする基板である。スピネル基板は単結晶または多結晶のMgAlを主成分とする基板である。石英基板はアモルファスのSiOを主成分とする基板である。水晶基板は単結晶のSiOを主成分とする基板である。
【0025】
圧電層12は、例えば単結晶タンタル酸リチウム層または単結晶ニオブ酸リチウム層であり、その厚さは0.5μm~30μmである。圧電層12の厚さは、例えば弾性波素子50が励振する主モードの弾性波の波長より小さい。支持基板10の線膨張係数は圧電層12の線膨張係数より小さい。これにより、弾性波デバイス100の周波数温度係数を低減できる。圧電層12と支持基板10との間に酸化シリコンまたは窒化アルミニウム等の絶縁層を設けてもよい。このように、圧電層12は支持基板10に直接または間接的に接合されている。
【0026】
圧電層12の上面に1または複数の弾性波素子50が設けられている。弾性波素子50によって直列共振器S1からS6および並列共振器P1からP5が形成されている。
【0027】
図4は、実施例1における弾性波素子50の平面図である。図4に示すように、弾性波素子50は弾性表面波共振子である。圧電層12の上面にIDT51と反射器52が設けられている。IDT51は、対向する一対の櫛型電極53を有する。櫛型電極53は、複数の電極指54と、複数の電極指54が接続するバスバー55と、を有する。IDT51が圧電層12に弾性表面波(主モードの弾性波)を励振する。一対の櫛型電極53のうち一方の櫛型電極の電極指54のピッチがほぼ弾性波の波長λとなる。すなわち、弾性波の波長λは、複数の電極指54のピッチDの2倍にほぼ等しい。IDT51および反射器52は、例えばアルミニウム、銅、またはモリブデン等の金属膜により形成される。圧電層12の上面にIDT51および反射器52を覆う保護膜または温度補償膜が設けられていてもよい。櫛型電極53はダミー電極指を有していてもよい。
【0028】
図2図3(a)、および図3(b)に示すように、支持基板10の下面に入力端子14a、出力端子14b、およびグランド端子14cが設けられている。入力端子14aは信号が入力する端子である。出力端子14bは信号が出力する端子である。グランド端子14cはグランドに接続される端子である。入力端子14aは図1における入力端子Tinに対応し、出力端子14bは図1における出力端子Toutに対応する。支持基板10を貫通する複数のビア配線16a~16cが設けられている。直列共振器S1からS6は、ビア配線16aと配線20を介して、入力端子14aと出力端子14bとの間に直列に接続されている。並列共振器P1からP5は、一端が直列共振器S1からS6の間を接続する配線20に接続され、他端がビア配線16aを介してグランド端子14cに接続されることで、入力端子14aと出力端子14bとの間に並列に接続されている。
【0029】
入力端子14a、出力端子14b、グランド端子14c、ビア配線16a~16c、および配線20は、例えばチタン層、銅層、アルミニウム層、白金層、ニッケル層、および/または金層等を含む金属層である。入力端子14a、出力端子14b、グランド端子14c、ビア配線16a~16c、および配線20は、単層の金属層の場合でもよいし、複数層が積層された積層金属層の場合でもよい。
【0030】
支持基板10の周縁領域には圧電層12は設けられていない。平面視において、圧電層12、弾性波素子50、および配線20を囲むように支持基板10上に枠体18が設けられている。枠体18は圧電層12から離れて支持基板10の端に沿って支持基板10上に設けられている。例えば、支持基板10は平面視にて略矩形状をしていて、枠体18は平面視にて略矩形の環状(リング状)をしている。枠体18は、例えば銅、コバール、金、アルミニウム、および/またはタングステン等を含む金属層である。なお、枠体18は、シリコン層、サファイア層、又は樹脂層の場合でもよい。枠体18は、単層の場合でもよいし、複数層が積層されている場合でもよい。枠体18の高さは例えば15μm~30μm程度であり、幅は例えば10μm~40μm程度である。
【0031】
枠体18上に、支持基板10との間に空隙24が形成されるようにリッド22が設けられている。枠体18とリッド22は、はんだ等の接合層26により接合されている。弾性波素子50は、枠体18とリッド22により空隙24内に封止されている。リッド22は、概ね平板であり、平面視にて略矩形状をしている。リッド22は、例えばコバール、銅、金、アルミニウム、および/またはタングステン等の金属により形成されている。なお、リッド22は、シリコンまたはサファイアにより形成されてもよい。リッド22は、単層の場合でもよいし、複数層が積層されている場合でもよい。リッド22の厚さは例えば20μm~50μm程度である。
【0032】
枠体18はビア配線16bを介してグランド端子14cに電気的に接続されている。これにより、枠体18およびリッド22にグランド電位が供給されることで、枠体18およびリッド22はシールド効果を発揮するようになる。なお、枠体18およびリッド22は支持基板10上では弾性波素子50に電気的に接続されていない。
【0033】
支持基板10上に、平面視して支持基板10の端と弾性波素子50および配線20との間に位置して枠体18に沿って延びた線路パターン30a、30bが設けられている。実施例1においては、線路パターン30a、30bは平面視して枠体18に重なるようにして枠体18に沿って延びている。例えば、線路パターン30a、30bは、幅方向の全体が枠体18に重なっている。線路パターン30a、30bは、支持基板10の上面に設けられた凹部44に埋め込まれている。線路パターン30a、30bと枠体18との間には、線路パターン30a、30bと枠体18とを電気的に絶縁させるための絶縁膜32が設けられている。絶縁膜32も支持基板10の上面に設けられた凹部44に埋め込まれている。絶縁膜32の上面と支持基板10の上面は例えば同一面となっている。
【0034】
線路パターン30aの一端はビア配線16cを介して入力端子14aに電気的に接続され、他端はビア配線16cを介してグランド端子14cに電気的に接続されている。これにより、図1における入力端子Tinと直列共振器S1の間のノードとグランドとの間に接続されたインダクタL1が線路パターン30aにより形成されている。線路パターン30bの一端はビア配線16cを介して出力端子14bに電気的に接続され、他端はビア配線16cを介してグランド端子14cに電気的に接続されている。これにより、図1において出力端子Toutと直列共振器S6の間のノードとグランドとの間に接続されたインダクタL2が線路パターン30bにより形成されている。線路パターン30a、30bが接続するビア配線16cは、平面視して枠体18に重なって設けられている。
【0035】
線路パターン30a、30bは、チタン層、銅層、アルミニウム層、白金層、ニッケル層、および/または金層等を含む金属層により形成されている。線路パターン30a、30bの幅は例えば1.0μm~20μm程度であり、厚さは例えば0.2μm~5.0μm程度である。絶縁膜32は、レジストまたは酸化シリコン等により形成されている。絶縁膜32の幅は例えば1.0μm~25μm程度であり、厚さは例えば0.1μm~2.0μm程度である。例えば、絶縁膜32の幅は線路パターン30a、30bの幅以上であり、絶縁膜32の厚さは線路パターン30a、30bの厚さよりも薄い。
【0036】
[製造方法]
図5(a)から図6(c)は、実施例1に係る弾性波デバイス100の製造方法を示す断面図である。図5(a)に示すように、支持基板10の上面に例えばレーザ光を照射してビアホールを形成し、ビアホール内に銅等の金属層を例えば電解めっき法を用い形成する。その後、支持基板10の上面が露出するように金属層の上面を例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用い平坦化する。これにより、支持基板10にビア配線16a~16c(図5(a)から図6(c)ではビア配線16a、16cのみを図示)が形成される。次いで、支持基板10の上面に圧電基板を例えば表面活性化法を用い常温接合する。支持基板10と圧電基板とは数nmのアモルファス層を介し直接接合されてもよいし、絶縁層を介し間接的に接合されてもよい。その後、圧電基板の上面を例えばCMP法を用い研磨する。これにより、支持基板10の上面に直接または間接的に接合された圧電層12が形成される。
【0037】
図5(b)に示すように、圧電層12の上面に弾性波素子50を形成する。次いで、圧電層12の一部を例えばエッチング法を用いて除去する。これにより、支持基板10の周縁領域の圧電層12が除去され、ビア配線16a~16cが露出する。次いで、線路パターン30a、30bが接続するビア配線16c以外のビア配線16a、16bの上面に金属層40を形成する。金属層40は、例えばビア配線16a~16cが銅層である場合ではチタン層である。
【0038】
図5(c)に示すように、金属層40をマスクとしてビア配線16cの上部を例えばエッチング法を用いて除去する。次いで、マスク層(不図示)をマスクとして線路パターン30a、30bを形成する領域における支持基板10の上部を例えばエッチング法を用いて除去する。これにより、支持基板10の上面に凹部44が形成される。凹部44の深さは、例えば0.3μm~7.0μm程度である。
【0039】
図5(d)に示すように、弾性波素子50から金属層40上に延在する金属層42を例えばリフトオフ法を用いて形成する。金属層42は、例えばチタン層と金層の積層金属層である。金属層40と金属層42により配線20が形成される。また、金属層42の形成と同時に凹部44に線路パターン30a、30b(図5(d)から図6(c)では線路パターン30bのみを図示)を形成する。
【0040】
図6(a)に示すように、線路パターン30a、30b上に凹部44に埋め込まれるように例えばリフトオフ法を用いて絶縁膜32を形成する。絶縁膜32は、例えば樹脂膜を用いることができる。
【0041】
図6(b)に示すように、支持基板10上に例えば電解めっき法を用いて枠体18および接合層26を形成する。例えば、枠体18は、チタン層と銅層のシード層と、シード層上に順に設けられた銅層およびニッケル層と、を含む。例えば、接合層26は、金錫はんだ層である。次いで、枠体18上に接合層26を用いてリッド22を接合する。例えば、リッド22の表面に金層が設けられていて、この金層と接合層26が反応することで、枠体18上にリッド22が接合される。弾性波素子50は、リッド22および枠体18により空隙24内に封止される。
【0042】
図6(c)に示すように、支持基板10の下面を例えばCMP法を用い研磨する。これにより、ビア配線16a~16cが支持基板10の下面に露出する。次いで、支持基板10の下面にビア配線16a~16cに接続する入力端子14a、出力端子14b、およびグランド端子14c(図6(c)では入力端子14aは不図示)を形成する。以上により、実施例1に係る弾性波デバイス100が製造される。
【0043】
[比較例]
図7は、比較例に係る弾性波デバイス1000が配線基板80上に実装された場合の平面図である。図7に示すように、比較例の弾性波デバイス1000では、インダクタL1、L2を形成する線路パターン30a、30bが設けられていない。このため、インダクタL1、L2を形成するために、配線基板80上に信号用のパッド82aとグランド用のパッド82bとに跨るチップインダクタ84が設けられている。このように、配線基板80上にチップインダクタ84が設けられると、配線基板80が大きくなり、モジュール装置が大型化してしまう。
【0044】
図8は、実施例1に係る弾性波デバイス100が配線基板80上に実装された場合の平面図である。図8に示すように、インダクタL1、L2は支持基板10上に設けられた線路パターン30a、30bにより形成されているため、配線基板80上にチップインダクタ84を設けなくて済む。このため、配線基板80を小さくでき、モジュール装置の大型化を抑制することができる。
【0045】
実施例1によれば、図2に示すように、平面視して支持基板10の上面に支持基板10の端と弾性波素子50および配線20との間に位置して枠体18に沿って延びた線路パターン30a、30bが設けられている。線路パターン30aは、一端が入力端子14a(第1端子)に接続され、他端がグランド端子14c(第2端子)に接続されている。よって、線路パターン30aにより弾性波素子50と入力端子14aおよびグランド端子14cとに電気的に接続されたインダクタL1が形成されている。同様に、線路パターン30bは、一端が出力端子14b(第1端子)に接続され、他端がグランド端子14c(第2端子)に接続されている。よって、線路パターン30bにより弾性波素子50と出力端子14bおよびグランド端子14cとに電気的に接続されたインダクタL2が形成されている。これにより、図8に示したように、弾性波デバイス100の特性を調整するためにインダクタL1、L2を設ける場合でも、弾性波デバイス100が実装される配線基板80が大きくなることを抑制でき、モジュール装置が大型化することを抑制できる。また、線路パターン30a、30bと弾性波素子50が支持基板10の厚さ方向で重なる(すなわち平面視して重なる)ことが抑制されるため、線路パターン30a、30bと弾性波素子50との間での電気的な結合が低減される。よって、弾性波デバイス100の特性劣化を抑制できる。
【0046】
また、実施例1では、図2に示すように、線路パターン30a、30bは、平面視して枠体18に重なって枠体18に沿って設けられている。これにより、線路パターン30a、30bを支持基板10の上面に設けた場合でも、弾性波デバイス100が大型化することを抑制できる。線路パターン30a、30bは、平面視して幅の一部が枠体18に重なって枠体18に沿って延びる場合でもよいが、弾性波デバイス100の大型化を抑制する点から、平面視して幅の半分以上が枠体18に重なって枠体18に沿って延びる場合が好ましく、幅の2/3以上が枠体18に重なって枠体18に沿って延びる場合がより好ましい。幅の3/4以上が枠体18に重なって枠体18に沿って延びる場合が更に好ましく、幅全体が枠体18に重なって枠体18に沿って延びる場合が最も好ましい。
【0047】
また、実施例1では、図3(a)および図3(b)に示すように、線路パターン30a、30bは、支持基板10の上面に形成された凹部44に埋め込まれている。これにより、支持基板10の上面のうち枠体18を設ける箇所における凹凸を低減でき、枠体18とリッド22によって弾性波素子50を空隙24内に封止するときの気密性の低下を抑制できる。
【0048】
また、実施例1では、図3(a)および図3(b)に示すように、金属製の枠体18と線路パターン30a、30bとの間に、枠体18と線路パターン30a、30bとを電気的に絶縁させる絶縁膜32が設けられている。これにより、空隙24内に弾性波素子50を封止するときの気密性および/または弾性波素子50を保護するためのシールド効果を考慮して枠体18およびリッド22に金属を用いた場合でも、線路パターン30a、30bと枠体18およびリッド22とが電気的に接続されることを抑制できる。弾性波素子50を空隙24内に良好な気密性を保持して封止する点から、絶縁膜32の上面と支持基板10の上面とは略同一面となっている場合が好ましい。なお、枠体18がサファイア又は樹脂などの絶縁物で形成され、絶縁膜32が設けられない場合では、線路パターン30a、30bの上面と支持基板10の上面とが略同一面となっている場合が好ましい。略同一面とは、製造誤差程度の段差を許容するものである。
【0049】
また、実施例1では、図2および図3(b)に示すように、線路パターン30aの一端と入力端子14aとを接続し、平面視して枠体18に重なるビア配線16c(第1ビア配線)が支持基板10に設けられている。線路パターン30aの他端とグランド端子14cとを接続し、平面視して枠体18に重なるビア配線16c(第2ビア配線)が支持基板10に設けられている。同様に、図2および図3(a)に示すように、線路パターン30bの一端と出力端子14bとを接続し、平面視して枠体18に重なるビア配線16c(第1ビア配線)が支持基板10に設けられている。線路パターン30bの他端とグランド端子14cとを接続し、平面視して枠体18に重なるビア配線16c(第2ビア配線)が支持基板10に設けられている。このように、ビア配線16cが枠体18に重なることで、枠体18がシールド効果を有する場合に、ビア配線16cが外部に与える影響を抑制することができる。また、インダクタL1、L2のインダクタンスにはビア配線16cも寄与することから、大きなインダクタンスのインダクタL1、L2を得ることができる。外部への影響を抑制する点から、ビア配線16cは、平面視して面積の半分以上が枠体18に重なる場合が好ましく、面積の2/3以上が枠体18に重なる場合がより好ましく、面積の3/4以上が枠体18に重なる場合が更に好ましく、面積全てが枠体18に重なる場合が最も好ましい。
【0050】
また、実施例1では、図2に示すように、枠体18とグランド端子14cとを接続するビア配線16b(第3ビア配線)が支持基板10に設けられている。これにより、枠体18およびリッド22にグランド電位が供給され、枠体18およびリッド22にシールド効果を付与することができる。
【実施例0051】
図9は、実施例2に係る弾性波デバイス200の断面図である。図9は、図2のB-B間に相当する箇所の断面図である。図9に示すように、弾性波デバイス200では、線路パターン30aは、ミアンダ線路パターンであり、支持基板10の厚さ方向に絶縁膜36を間に挟みながら蛇行して延びている。例えば、線路パターン30aは、下層、中層、上層を形成するように蛇行して延びていて、下層と中層の間および中層と上層の間に絶縁膜36が設けられている。なお、図9では、線路パターン30aが3層構造のミアンダ線路パターンである場合を例に示したが、2層または4層以上の層構造のミアンダ線路パターンである場合でもよい。また、図9では、線路パターン30a、30bのうちの線路パターン30aのみが図示されているが、線路パターン30bも線路パターン30aと同じミアンダ線路パターンとなっていてもよい。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
【0052】
実施例2によれば、線路パターン30aは、支持基板10の厚さ方向に蛇行して設けられたミアンダ線路パターンとなっている。これにより、線路パターン30aにより形成されるインダクタL1のインダクタンスを大きくすることができる。
【0053】
[変形例]
図10は、実施例2の変形例1に係る弾性波デバイス210の平面図である。図10に示すように、弾性波デバイス210では、線路パターン30a、30bは、ミアンダ線路パターンであり、支持基板10の上面の面方向に蛇行して延びている。なお、図10では、線路パターン30a、30bは略平行線が3本の場合のミアンダ線路パターンの場合を例に示したが、略平行線が2本または4本以上のミアンダ線路パターンの場合でもよい。また、線路パターン30a、30bのいずれか一方のみがミアンダ線路パターンの場合でもよい。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
【0054】
実施例2の変形例1によれば、線路パターン30a、30bは、支持基板10の上面の面方向に蛇行して設けられたミアンダ線路パターンとなっている。これにより、線路パターン30a、30bにより形成されるインダクタL1、L2のインダクタンスを大きくすることができる。
【0055】
図11(a)および図11(b)は、実施例2の変形例2に係る弾性波デバイス220の線路パターン30a近傍の透視斜視図である。図11(a)では、絶縁膜32、36を透視して、線路パターン30aにハッチングを付して図示し、図11(b)では、絶縁膜32、36にハッチングを付して図示している。図11(a)および図11(b)に示すように、弾性波デバイス220では、線路パターン30aは、ミアンダ線路パターンであり、支持基板10の厚さ方向および面方向の両方に蛇行しながら延びている。すなわち、線路パターン30aは、下層、中層、上層の各層において支持基板10の面方向に蛇行して延びていて、各層の間がビア配線38で接続されることで支持基板10の厚さ方向に蛇行して延びている。下層と中層の間および中層と上層の間に絶縁膜36が設けられている。なお、ミアンダ線路パターンの層の数および面方向の略平行線の数は上述したように適宜変更できる。また、図11(a)および図11(b)では、線路パターン30a、30bのうちの線路パターン30aのみが図示されているが、線路パターン30bも線路パターン30aと同じミアンダ線路パターンとなっていてもよい。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
【0056】
実施例2の変形例2によれば、線路パターン30aは、支持基板10の厚さ方向および面方向に蛇行して設けられたミアンダ線路パターンとなっている。これにより、線路パターン30aにより形成されるインダクタL1のインダクタンスを大きくすることができる。
【0057】
線路パターン30a、30bは、実施例1のような直線線路パターン、実施例2からその変形例2のようなミアンダ線路パターンの場合に限られず、スパイラル線路パターン等のその他の場合でもよい。
【実施例0058】
図12(a)および図12(b)は、実施例3に係る弾性波デバイス300の断面図である。図12(a)は、図2のA-A間に相当する箇所の断面図であり、図12(b)は、図2のB-B間に相当する箇所の断面図である。図12(a)および図12(b)に示すように、弾性波デバイス300では、線路パターン30a、30bおよび絶縁膜32は、支持基板10の上面の平坦面に設けられている。すなわち、支持基板10の上面に凹部44は形成されていない。絶縁膜32は線路パターン30a、30bの上面および側面を覆うように設けられている。例えば、線路パターン30a、30bの幅は枠体18の幅より小さく、絶縁膜32の幅は枠体18の幅と略同じ大きさとなっている。略同じ大きさとは、枠体18の幅が、絶縁膜32の幅の95%以上105%以下の場合である。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
【0059】
実施例1から実施例2の変形例2では、線路パターン30a、30bおよび絶縁膜32は、支持基板10に形成された凹部44に設けられている場合を例に示した。しかしながら、この場合に限られず、実施例3のように、線路パターン30a、30bおよび絶縁膜32は、支持基板10の上面の平坦面に設けられている場合でもよい。この場合、凹部44の形成工程が不要となるため、製造工数を削減することができる。
【実施例0060】
図13は、実施例4に係る弾性波デバイス400の平面図である。図14(a)は、図13のA-A断面図、図14(b)は、図13のB-B断面図である。図13図14(a)、および図14(b)に示すように、弾性波デバイス400では、線路パターン30a、30bは支持基板10の上面で配線20に接続されている。線路パターン30aは、一端が配線20とビア配線16aを介して入力端子14aに接続され、他端が配線20とビア配線16aを介してグランド端子14cに接続されている。線路パターン30bは、一端が配線20とビア配線16aを介して出力端子14bに接続され、他端が配線20とビア配線16aを介してグランド端子14cに接続されている。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
【0061】
実施例1から実施例3では、線路パターン30a、30bは、一端が平面視して枠体18に重なって設けられたビア配線16cを介して入力端子14aまたは出力端子14bに接続され、他端が平面視して枠体18に重なって設けられたビア配線16cを介してグランド端子14cに接続される場合を例に示したが、この場合に限られない。実施例4のように、線路パターン30aの一端は、支持基板10の上面で配線20(第1配線)に接続することで、配線20と平面視して配線20に重なるビア配線16a(第1ビア配線)とを介して入力端子14aに接続されてもよい。線路パターン30aの他端は、支持基板10の上面で配線20(第2配線)に接続することで、配線20と平面視して配線20に重なるビア配線16a(第2ビア配線)とを介してグランド端子14cに接続されてもよい。線路パターン30bについても同様である。この場合、線路パターン30a、30bの長さの調整幅が大きくなるため、インダクタL1、L2のインダクタンスの調整幅を大きくできる。
【実施例0062】
図15は、実施例5に係る弾性波デバイス500の平面図である。図16(a)は、図15のA-A断面図、図16(b)は、図15のB-B断面図である。図15では、配線20および線路パターン30a、30bに加えて枠体18にもハッチングを付している。図15図16(a)、および図16(b)に示すように、弾性波デバイス500では、線路パターン30a、30bは、平面視して枠体18と弾性波素子50および配線20との間に位置して枠体18に沿って設けられている。すなわち、線路パターン30a、30bは、枠体18と重ならずに枠体18に沿って設けられている。また、線路パターン30a、30bは圧電層12を介さずに支持基板10上に設けられている。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
【実施例0063】
図17は、実施例6に係る弾性波デバイス600の平面図である。図18(a)は、図17のA-A断面図、図18(b)は、図17のB-B断面図である。図17では、配線20および線路パターン30a、30bに加えて枠体18にもハッチングを付している。図17図18(a)、および図18(b)に示すように、弾性波デバイス600では、線路パターン30a、30bは、平面視して枠体18と支持基板10の端との間に位置して枠体18に沿って設けられている。すなわち、線路パターン30a、30bは、枠体18と重ならずに枠体18に沿って設けられている。また、線路パターン30a、30bは圧電層12を介さずに支持基板10上に設けられている。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。実施例6では、線路パターン30a、30bと弾性波素子50との間の距離が大きくなるため、線路パターン30a、30bと弾性波素子50との間に電気的な結合を低減できる。よって、弾性波デバイス600の特性劣化を抑制できる。
【0064】
実施例5のように、線路パターン30a、30bは、平面視して枠体18と弾性波素子50および配線20との間に位置して枠体18に沿って設けられていてもよい。実施例6のように、線路パターン30a、30bは、平面視して枠体18と支持基板10の端との間に位置して枠体18に沿って設けられていてもよい。このように、線路パターン30a、30bは、平面視して支持基板10の端と弾性波素子50および配線20との間に位置して枠体18に沿って設けられていれば、枠体18に重なっていない場合でもよい。
【0065】
実施例5、6において、弾性波デバイスの小型化の点から、線路パターン30a、30bは、枠体18に沿って設けられている箇所における枠体18との間隔が枠体18の幅の1/2よりも小さい場合が好ましく、枠体18の幅の1/4よりも小さい場合がより好ましく、枠体18の幅の1/10よりも小さい場合が更に好ましい。
【実施例0066】
図19は、実施例7に係る弾性波デバイス700の断面図である。図19は、図2のA-A間に相当する箇所の断面図である。図19に示すように、弾性波デバイス700では、支持基板10上に弾性波素子50の代わりに弾性波素子50aが設けられている。弾性波素子50aは圧電薄膜共振子である。弾性波素子50aは、支持基板10上に設けられた圧電層62と、圧電層62を挟む下部電極60および上部電極64と、を備える。下部電極60と支持基板10との間に空隙66が形成されている。圧電層62の少なくとも一部を挟み下部電極60と上部電極64とが対向する領域が共振領域68である。共振領域68において、下部電極60および上部電極64は圧電層62内に厚み縦振動モードの弾性波を励振する。なお、圧電層62の共振領域68の外周領域にQ値を高めるため、または、温度補償のための挿入膜が挿入されていてもよい。
【0067】
下部電極60および上部電極64は例えばルテニウム膜等を含む金属膜である。圧電層62は例えば窒化アルミニウム層または酸化亜鉛層である。空隙66の代わりに弾性波を反射する音響反射膜が設けられていてもよい。弾性波素子50aは一般的に知られた方法により製造される。
【0068】
実施例1から実施例6のように、支持基板10上に設けられた弾性波素子は、単結晶タンタル酸リチウム層または単結晶ニオブ酸リチウム層である圧電層12上に設けられた櫛型電極53を含む弾性波素子50の場合でもよい。実施例7のように、弾性波素子は、圧電層62を挟んで下部電極60と上部電極64が設けられた圧電薄膜共振子である弾性波素子50aの場合でもよい。
【0069】
実施例1から実施例7において、線路パターン30a、30bの長さは、インダクタンスを確保する点から、支持基板10の複数の辺のうち線路パターン30a、30bが沿って設けられている辺の1/2以上の長さである場合が好ましく、3/4以上の長さである場合がより好ましく、7/8以上の長さである場合が更に好ましい。
【実施例0070】
図20は、実施例8に係る弾性波デバイス800の断面図である。図20は、図2のB-B間に相当する箇所の断面図である、図20に示すように、弾性波デバイス800では、入力端子14aに接続されかつグランド端子14cには接続されていない線路パターン31aと、グランド端子14cに接続されかつ入力端子14aには接続されていない線路パターン31bと、が設けられている。線路パターン31aと線路パターン31bは、支持基板10の厚さ方向で誘電膜39を間に挟んで対向している。したがって、線路パターン31aと線路パターン31bによりキャパシタCが形成されている。その他の構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。
【0071】
実施例1から実施例7では、受動素子は、線路パターン30a、30bにより形成されたインダクタL1、L2である場合を例に示したが、この場合に限られるわけではない。実施例8のように、受動素子は、線路パターン31aと線路パターン31bとが対向したキャパシタCである場合でもよい。また、受動素子は、入力端子14aと直列共振器S1の間および/または出力端子14bと直列共振器S6の間に直列に接続されている場合でもよい。
【0072】
実施例8において、線路パターン31aと線路パターン31bが支持基板10の厚さ方向で対向する場合を例に示したが、支持基板10の上面の面方向で対向する場合でもよい。また、実施例8において、線路パターン31aおよび線路パターン31bの長さは、キャパシタンスを確保する点から、支持基板10の複数の辺のうち線路パターン31a、31bが沿って設けられている辺の1/2以上の長さである場合が好ましく、3/4以上の長さである場合がより好ましく、7/8以上の長さである場合が更に好ましい。
【0073】
実施例1から実施例7では、線路パターン30a、30b、31a、31bは、平面視して支持基板10の短辺に沿って設けられている場合を例に示した。しかしながら、この場合に限られず、線路パターン30a、30b、31a、31bは、長辺に沿って設けられていてもよいし、短辺から長辺にかけて設けられていてもよい。
【0074】
実施例1から実施例8では、支持基板10上に圧電層12が設けられている場合を例に示したが、支持基板10が設けられずに、圧電層12が厚い圧電基板となっている場合でもよい。
【0075】
実施例1から実施例8では、支持基板10上に複数の弾性波素子50によりフィルタが形成されている場合を例に示したが、この場合に限られず、マルチプレクサが形成されていてもよい。図21は、マルチプレクサの一例を示すブロック図である。図21に示すように、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ70が接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ72が接続されている。送信フィルタ70は、送信端子Txから入力された高周波信号のうち送信帯域の信号を送信信号として共通端子Antに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ72は、共通端子Antから入力された高周波信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子Rxに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。なお、図21では、マルチプレクサとしてデュプレクサを例に示したが、トリプレクサまたはクワッドプレクサ等であってもよい。
【0076】
以上、本願発明の実施形態について詳述したが、本願発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本願発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
10 支持基板
12 圧電層
14a 入力端子
14b 出力端子
14c グランド端子
16a、16b、16c ビア配線
18 枠体
20 配線
22 リッド
24 空隙
26 接合層
30a、30b、31a、31b 線路パターン
32 絶縁膜
36 絶縁膜
38 ビア配線
39 誘電膜
40、42 金属層
44 凹部
50、50a 弾性波素子
51 IDT
52 反射器
53 櫛型電極
54 電極指
55 バスバー
60 下部電極
62 圧電層
64 上部電極
66 空隙
68 共振領域
70 送信フィルタ
72 受信フィルタ
80 配線基板
82a 信号用のパッド
82b グランド用のパッド
84 チップインダクタ
100、200、210、220、300、400、500、600、700、800、1000 弾性波デバイス
図1
図2
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