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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183464
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】法面作業車
(51)【国際特許分類】
   E21B 7/00 20060101AFI20221206BHJP
   E02F 5/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
E21B7/00 Z
E02F5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090803
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】390040073
【氏名又は名称】岡本 俊仁
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】岡本 俊仁
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AA03
2D129AB20
2D129BA13
2D129DA11
2D129DC16
2D129DC28
2D129DC36
2D129DC52
(57)【要約】
【課題】 急斜面においても適切に削孔作業を行うことができるとともに、ガイドシェルやロッド等の長尺の部品を適切に支持できる法面作業車を提供することを目的としている。
【解決手段】作業車本体と、作業車本体に設けられた走行装置と、作業車本体に設けられたウインチと、作業車本体に設けられた削孔装置とで構成され、削孔装置は、作業車本体に第1の旋回機構を介して旋回可能に設けられたベース部と、ベース部に上下方向に回動可能に設けられたアーム部と、アーム部の先端部に第2の旋回機構を介して旋回可能に設けられた削孔装置本体とからなり、第2の旋回機構は、第1の旋回機構の回転軸と同軸にならないように設けられ、かつ、削孔装置本体の中間部を支持している法面作業車。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車本体と、前記作業車本体に設けられた走行装置と、前記作業車本体に設けられたウインチと、前記作業車本体に設けられた削孔装置とで構成され、
前記削孔装置は、前記作業車本体に第1の旋回機構を介して旋回可能に設けられたベース部と、前記ベース部に上下方向に回動可能に設けられたアーム部と、前記アーム部の先端部に第2の旋回機構を介して旋回可能に設けられた削孔装置本体とからなり、前記第2の旋回機構は、前記第1の旋回機構の回転軸と同軸にならないように設けられ、かつ、前記削孔装置本体の中間部を支持している法面作業車。
【請求項2】
前記ベース部には、前記走行装置及び前記削孔装置を操縦する操縦席が設けられ、前記ベース部は法面においても前記操縦席を略水平に保持することができる角度調節手段を介して前記作業車本体に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の法面作業車。
【請求項3】
前記削孔装置本体は、前記アーム部の先端部に第2の旋回機構を介して旋回可能に設けられたガイドシェルと、前記ガイドシェルに摺動可能に設けられた削孔具と、前記削孔具を駆動する駆動装置とで構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の法面作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は法面を移動して削孔等の作業を行う法面作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、法面において、ウインチのワイヤーで牽吊されて法面等を走行し、法面において作業を行う法面作業車としては、「法面を走行することができる作業台を備える作業車本体と、この作業車本体の作業台に回動装置を介して取付けられたガイドシェルと、このガイドシェルに前後進可能に取付けられた先端部にビットが装着されたインナーロッドと、このインナーロッドを回転できるように取付けられたインナーロッド駆動装置と、前記ガイドシェルに前後進可能に取付けられた前記インナーロッドの外周部を覆うケーシングロッドと、前記インナーロッドの回転とは低い回転で支持あるいは回転不能に前記ケーシングロッドを支持する支持装置と、前記インナーロッドおよびケーシングロッドを前記ガイドシェルに沿って前後進させる前後進装置とからなることを特徴とする削孔装置。」が知られている。
【0003】
しかし、上記構成の削孔装置を用いた場合、ある程度長い孔を削孔する場合には、作業車本体の作業台に回動装置を回動させて法面に対してロッドを直角にした際に削孔装置の先端部が法面に衝突しないよう、ガイドシェルの先端部付近を支持する必要があった。このような構成にする必要があったため、ガイドシェルやロッド等の長物は片持ち状態となっており、ガイドシェルやロッド等が自重や駆動装置等の重量により支持されていない端部側が変形してしまうおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-62655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、急斜面においても適切に削孔作業を行うことができるとともに、ガイドシェルやロッド等の長尺の部品を適切に支持できる法面作業車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の法面作業車は、作業車本体と、前記作業車本体に設けられた走行装置と、前記作業車本体に設けられたウインチと、前記作業車本体に設けられた削孔装置とで構成され、前記削孔装置は、前記作業車本体に第1の旋回機構を介して旋回可能に設けられたベース部と、前記ベース部に上下方向に回動可能に設けられたアーム部と、前記アーム部の先端部に第2の旋回機構を介して旋回可能に設けられた削孔装置本体とからなり、前記第2の旋回機構は、前記第1の旋回機構の回転軸と同軸にならないように設けられ、かつ、前記削孔装置本体の中間部を支持していることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の法面作業車の前記ベース部は、前記ベース部には、前記走行装置及び前記削孔装置を操縦する操縦席が設けられ、前記ベース部は法面においても前記操縦席を略水平に保持することができる角度調節手段を介して前記作業車本体に取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の法面作業車の前記削孔装置本体は、アーム部の先端部に旋回可能に設けられたガイドシェルと、前記ガイドシェルに摺動可能に設けられた削孔具と、前記削孔具を駆動する駆動装置とで構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1乃至請求項3に記載の各発明においては、アーム部は前記削孔装置本体の中間部、換言すれば、端部や両端部付近を除く部位、好ましくは長杆状のガイドシェル中間部を支持するため、ガイドシェルやロッド等の長尺の部品がたわんで変形することなく適切に支持することができる。
(2)第1の旋回機構及び第2の旋回機構を有し、かつ、アーム部が作業車本体の中央部よりも端部側に設けられているため、第1の旋回機構及び第2の旋回機構を旋回させることにより、削孔装置本体を旋回させて作業車本体の前方から削孔装置本体が突出することを防止できる。
したがって、法面での作業時にガイドシェル等の先端部が法面に衝突することなく削孔作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1乃至図6は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図7乃至図9は本発明の第2の実施形態示す説明図である。
図1】第1の実施形態の法面作業車の右側面図。
図2】第1の実施形態の法面作業車の平面図。
図3】第1及び第2の旋回機構を180度旋回させた状態の説明図。
図4】法面での移動時の平面視からの説明図。
図5】法面での削孔作業を行う準備段階の説明図。
図6】法面での作業時の説明図。
図7】第2の実施形態の法面作業車の右側面図。
図8】第2の実施形態の法面作業車の平面図。
図9】スパンナーを伸長させた状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。なお、左右方向とは図2(平面視)における左右方向であり、前後方向とは図1における左右方向、上下方向とは図1における上下方向をいう。
【0012】
図1乃至図6に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は主に少なくとも40度以上の急斜面状の法面2で削孔作業が可能な法面作業車である。
【0013】
具体的には、法面作業車1は、図1及び図2に示すように、作業車本体3と、前記作業車本体3に設けられた走行装置4と、前記作業車本体3に設けられたウインチ5と、前記作業車本体3に設けられた削孔装置6とで構成されている。
【0014】
作業車本体3は、走行装置4を備えており、走行装置4には左右にそれぞれ複数個、本実施形態では、左右に4輪ずつ、計8輪のタイヤ4が用いられている。なお、タイヤ4ではなく無限軌道を走行装置4として用いてもよい。
このタイヤ4うち前後の4輪(中央部付近の4輪を除くもの)は、シリンダー4aにより上下方向に回動可能に設けられている。
【0015】
作業車本体3の左右方向の側部には、それぞれ左右のウインチ5及びこのウインチのワイヤー7を誘導する左右のワイヤーフェアリーダー8が設けられている。
【0016】
ワイヤーフェアリーダー8は、作業車本体3の前方に設けられており、ワイヤーフェアリーダー8の後方側から導入したワイヤー7を作業車本体3の前方側へワイヤー誘導口から誘導する。このワイヤー誘導口から誘導されたワイヤー7を法面2の上部の主アンカー9に固定してウインチ5を巻き上げることにより、平坦面や緩斜面だけでなく急角度の法面2であっても走行することができる。
【0017】
本発明では急角度の法面としては傾斜が40度以上の急斜面状の法面を想定しているが、例えば略垂直の壁面のような法面2であっても2つのウインチ5に接続されたワイヤー7で支持することにより作業車本体3を法面2の任意の位置に位置させ、削孔作業をすることができる。
【0018】
前記削孔装置6は、作業車本体3の略中央部に第1の旋回機構10を介して略水平方向に旋回可能に設けられたベース部11と、前記ベース部11の外周部に上下方向に回動可能に設けられたアーム部12と、前記アーム部12の先端部に第2の旋回機構13を介して略水平方向に旋回可能に設けられた削孔装置本体14とで構成されている。
【0019】
この第1の旋回機構10の回転軸r1と第2の旋回機構13の回転軸r2は同軸にならないように、すなわち、平面視において第1の旋回機構10の回転軸r1と第2の旋回機構13の回転軸r2が前後方向に偏芯状態となるように設けられている。
【0020】
ベース部11には、前記走行装置4及び前記削孔装置本体14を操縦する操縦席15が設けられており、このベース部11は、法面2においても前記操縦席15を略水平に保持することができる角度調節手段16を介して作業車本体に取り付けられている。
【0021】
角度調節手段16は、作業車本体3の支持台17に一端部が枢支ピン18を介して、他端部が上下方向に回動可能に取付けられたベース板19と、前記ベース板19の後部側に設けられベース板19を枢支ピン18を支点に上下方向に回動させる油圧シリンダー20とで構成されている。
【0022】
なお、第1の旋回機構10は平坦な地面にいる状態(通常状態)において、略水平方向に旋回可能なものであり、第2の旋回機構13は、アーム部12を上方へ回動させた状態(削孔装置本体14のガイドシェル21が略水平になる状態)で略水平方向に旋回可能に設けられている。アーム部12を上方へ回動させた状態においては、第1の旋回機構10と第2の旋回機構13は、略平行な状態を保って互いに旋回できる。このような互いに略水平に旋回できる状態において、第1の旋回機構10の回転軸r1と第2の旋回機構13の回転軸r2前後方向に偏芯状態となるように、第1の旋回機構10と第2の旋回機構13が前後方向に間隔を有するように設けられている。
【0023】
ところで、前記削孔装置本体14は、アーム部12の先端部に第2の旋回機構13を介して旋回可能に設けられた長杆状のガイドシェル21と、前記ガイドシェル21に、このガイドシェル21の長手方向に摺動可能に設けられた長尺のロッド状の削孔具22と、前記削孔具22を駆動する駆動装置23とで構成されている。ここで「削孔装置本体14の中間部」とは、例えば図1で示すように前後方向に両端部を有する長杆状のガイドシェル21を基準とするが、本実施形態の削孔装置本体14は、中間部(発明の課題を逸脱しない範囲で中間部付近も含み、例えば端部や端部付近は含まない)を第2の旋回機構13を介してアーム部12に支持されている。このような部位を支持することにより、一方の端部付近を支持した場合に比べ、削孔装置本体14の端部に荷重が集中することを防止することができ、ガイドシェル21や削孔具22がたわんで変形することを防止できる。
【0024】
また、本実施形態においては、作業車本体3の略中央部よりやや全部側に設けられたベース部11の外周部にアーム部12を設けることにより、前述の通り平面視において第1の旋回機構10の回転軸r1と第2の旋回機構13の回転軸r2が偏芯状態となるように設けられる。このように、第1の旋回機構10と第2の旋回機構13を設けることにより、削孔装置本体14の長杆状のガイドシェル21の中間部(例えば中央部やその付近)をアーム部12が支持した場合であっても、第1の旋回機構10及び第2の旋回機構13を旋回することにより、図3に示すように、作業車本体3の前方から削孔装置本体14が突出することを防止できるため(作業車本体3の前方から削孔装置本体14が引っ込んだ状態にできるため)、ガイドシェル21等が法面2に衝突することを防止することができる。
【0025】
なお、削孔装置本体14の全長は、第1の旋回機構10及び第2の旋回機構13を旋回することにより削孔作業ができる寸法に形成されている。
【0026】
上記構成に於いて、法面2で作業を行なう場合、法面作業車1を法面2の下部に位置させ、左右のウインチ5のワイヤー7の先端部を法面上部の主アンカー9に固定する。このとき、図4に示すように、ワイヤー7を平面視において逆ハの字状になるように固定することが望ましい。主アンカー9にワイヤー7を固定したら、ウインチ5を巻き上げるとともに、走行装置4を作動させて法面作業車1を前進させる。
【0027】
ところで、法面2においては操縦席15が略水平となるように角度調節手段16で操縦席15の角度を調整することが望ましい。
作業位置に法面作業車1が到着したら、削孔装置本体14の削孔具22により法面2の所定の位置に削孔作業を行う。
【0028】
この時、図4に示すように、第1の旋回機構10を旋回させて操縦席15を、後方側を向くように旋回させ、かつ、第2の旋回機構13を用いて削孔装置本体14の削孔具22の先端部を法面2に正対するように位置させることによって、ガイドシェル21や削孔具22を法面2に衝突させることなく、法面2に対して直角に孔を削孔することができる。
次に図5に示すように、第1の旋回機構10及び第2の旋回機構13を旋回させた状態で駆動装置23を駆動させ削孔具22により孔を削孔する。
【0029】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図6乃至図8に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、この異なる実施形態の説明に当って、前記第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0030】
図6乃至図8に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、無限軌道を左右の走行装置4Aとして用いるとともに、作業車本体3の後方に排土板24を設け、前記走行装置4Aの間の距離を調節できるスパンナー25をさらに設けた点で、このような法面作業車1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0031】
本実施形態の走行装置4Aは、走行装置4Aに設けられたスパンナー25により左右方向に変位する。法面2において作業する際には、スパンナー25を伸長させることにより、左右の走行装置4Aの間の距離が長くなり、安定して作業を行うことができる。
【0032】
本実施形態では走行装置4Aに無限軌道を用いたが、第1の実施形態のようにタイヤを用い、この左右のタイヤの間の距離を調節できるよう、スパンナー25を備えてもよい。
なお、本発明の実施形態では、操縦席を有する削孔装置について説明したが、例えば操縦席を有さないベース部の外周部にアーム部に設けた削孔装置としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明はウインチのワイヤーで牽吊されて法面等の急斜面の傾斜地で削孔作業を行なう場合に使用される法面作業車を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0034】
1、1A:法面作業車、 2:法面、
3:作業車本体、 4、4A:走行装置、
5:ウインチ、 6:削孔装置、
7:ワイヤー、 8:ワイヤーフェアリーダー、
9:主アンカー、 10:第1の旋回機構、
11:ベース部、 12:アーム部、
13:第2の旋回機構、 14:削孔装置本体、
15:操縦席、 16:角度調節手段、
17:支持台旋回機構、 18:枢支ピン、
19:ベース板、 20:油圧シリンダー、
21:ガイドシェル、 22:削孔具、
23:駆動装置、 24:排土板、
25:スパンナー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9